JP5820426B2 - アシストグリップの取付構造 - Google Patents
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Description
車室内にシートが前後三列に配置された車両等では、二列目のシートの側部にドア開口が設けられ、三列目のシートに着座した乗員が二列目のシートの側部のドア開口を通して乗降するものがある。このような車両の内装構造として、三列目のシートの側部上方の側壁にアシストグリップが取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の内装構造では、アシストグリップは、車室内の側部上方の側壁のうちの、三列目のシートに着座した乗員の頭部高さとほぼ同等の高さに設置されている。
現在、ドア開口からの乗員の降車を容易にするために、アシストグリップをドア開口の後縁部に設置することを検討している。しかし、この部位でアシストグリップの充分な支持剛性を得ようとすると、専用の強度部材を追加しなければならず、その場合、製造コストの高騰を招く原因となることが懸念される。
請求項1に係る発明は、車室内の車体側部のドア開口(例えば、実施形態のドア開口4)よりも後方側に、乗員の着座するシート(例えば、実施形態のシート2C)が設けられるとともに、車室内の車体側部に、乗員の把持するアシストグリップ(例えば、実施形態のアシストグリップ42)が設けられる車両のアシストグリップの取付構造において、車体側部の車室内側に内装部材(例えば、実施形態のリヤサイドライニング16)が取り付けられ、前記内装部材の、前記ドア開口の後方側の縁部に、取付開口(例えば、実施形態の取付開口47b)が設けられ、前記アシストグリップの少なくとも一部が、前記取付開口に挿通されて車体のリヤホイールハウス(例えば、実施形態のリヤホイールハウス13)に支持されていることを特徴とするものである。
これにより、アシストグリップは、ドア開口の後方側の縁部において、少なくとも一部が剛性の高いリヤホイールハウスに支持されるようになる。
この場合、アシストグリップ内の芯金部材が内装部材の取付開口を通して側部の車体部材に結合されるため、アシストグリップの支持剛性が高まる。特に、芯金部材の少なくとも一端部は、リヤホイールハウスに直接、若しくは、別の強度部材を介して結合されるため、アシストグリップの支持剛性はより高まる。
この場合、芯金部材のリヤホイールハウス側との結合位置がブラケットの延長片によって調整されることになる。このため、内装部材の取付開口の面積を小さくして内装部材の剛性低下を抑制することが可能になるとともに、延長片の長さや延出角度、サイズ等の異なるブラケットと交換することにより、仕様の異なる車両に容易に適用することが可能になる。
この場合、芯金部材からブラケットに作用するモーメントが、回り止め突起と係止孔の嵌合部分によって受け止められる。したがって、ブラケットの回転やガタツキが抑制され、アシストグリップの支持剛性がより高まる。
図1は、この実施形態に係る車両1を車幅方向の略中央で破断したときの模式的な側面図である。この実施形態の車両1は、前後三列にシート2A,2B,2Cを備えたミニバンタイプの車両であり、一列目、二列目、三列目の各シート2A,2B,2Cは左右対称にそれぞれ二組設けられている。図1においては、各列の右側のシート2A,2B,2Cが示されている。また、この車両1は、車体の左右の側部に前後二つのドア開口3,4が設けられ、二列目のシート2Bや三列目のシート2Cに着座した乗員が後側のドア開口4を通して乗降し得るようになっている。なお、図1中符号5は、車体側部の前側のドア開口3と後側のドア開口4の間に設けられたセンターピラーであり、符号6は、車体側部の後側のドア開口4の後縁部に設けられたクウォータピラー、符号7は、車体側部の後端縁に沿って設けられたリヤピラーである。また、図1中の符号29は、図示しないリヤクウォータガラスが取り付けられる窓枠部である。
これらの図に示すように、シート2Bは、乗員の臀部を支持するシートクッション8と、このシートクッション8の後端部に回動可能に連結されて、乗員の腰部および胸部(背部)を支持するシートバック9と、このシートバック9の上部に取り付けられて、乗員の頭部および首部を支持するヘッドレスト10と、を備えている。また、シートクッション8の車幅方向内側の側部には、シートクッション8の側面に沿うように上方に起立する起立壁11(図6参照。)が延設され、その起立壁11の上部に、乗員が腕を載せ置くためのアームレスト12が設けられている。なお、起立壁11は前後方向と上下方向に長い略ボックス形状に形成され、その内部に図示しないフレーム部材と、リクライニング操作用のレバー部品等が収納されている。
ウェビング17は、初期状態では基端側がリトラクタ15に巻き取られており、乗員がタングプレート21部分を手で把持して引き出し、タングプレート21をバックル22に固定することにより、乗員の主に胸部と腰部をシート2Bに対して拘束する。
図7は、二列目のシート2Bのタンブル動作を実現する主要な構成を示す図であり、図8は、シート2Bのタンブル動作を、(A)から(E)によって順次時系列に示した図である。
また、シートバック9は、リクライニング機構26の解除操作時に、リクライニング機構26の回転軸26aを中心として回動して二段階の前倒れ状態に遷移する。即ち、シートバック9は、タンブル動作が完了するまでに、最初に半分程度前倒れする半倒れ状態となり、その後にシートクッション8上に重なるまで倒れる全倒れ状態となる。シートクッション8の後端部には、半倒れストッパ31が設けられており、リクライニング機構26が解除操作されたときに、半倒れストッパ31にシートバック9側のストッパピン32が当接することにより、シートバック9が半倒れ状態に維持されるようになっている。また、スライドベース24とシートレール23の間には、スライドベース24のスライド位置をロックするスライドロック機構35が設けられている。シート2Bを何等操作しない状態では、スライドロック機構35がスライドベース24をロック状態に維持している。
最初に、シート2Bが正規姿勢(シートバック9が後方に立ち上がった姿勢)のときに、図8(A)に示すように、リクライニング解除レバー33とリクライニング解除ストラップ34のいずれか一方が操作されると、シートバック9がリクライニング機構26の回転軸26aを中心として前傾して半倒れ状態となる。こうして、シートバック9が半倒れ状態になるとスライドロック機構35のロックが解除される。
この状態から、図8(C)に示すように、ロック解除ストラップ36が引かれると、シートバック9がリクライニング機構26の回転軸26aを中心として全倒れ状態となり、ロック機構28とタンブルストライカ27の係合が解除される。
なお、シートとして使用する場合に車体フロア20上に設置されたシート2Cは、後部側のドア開口4よりも後方側に位置されている。
図9〜図12は、リヤサイドライニング16の台座部38とその周辺部を示す図である。
これらの図にも示すように、台座部38のうちのリヤホイールハウス13(図2,図4参照。)の後部の直上位置には、前部領域が後部領域よりも低い段差部が設けられ、その段差部の車体前方側に向く垂立壁部分に前述したウェビング17の引き出し口18が形成されている。そして、台座部38の前部領域の上面と、その前部領域の上面に滑らかに連続する前端面とは、引き出し口18から前方に引き出されたウェビング17を沿わせるガイド面39とされている。ガイド面39に沿わせて配置されたウェビング17の先端部は、ガイド面39の前端位置からクウォータピラー6の下端近傍のアウタアンカ19に向かって延出する。
同図に示すように、アシストグリップ42は、三列目のシート2Cの座面108aよりも前方位置で、かつシート2Cに着座した一般的な体格の乗員mの肩Sの近傍の高さに設置されている。したがって、シート2Cに着座した乗員mは、上体をやや前傾させて腕を肩高さ付近まで前方に伸ばすことにより、把持部42aを容易に把持することができる。また、この実施形態の場合、アシストグリップ42の車体前後方向の設置位置は、図1に示すように、二列目のシート2Bが最後端移動位置にあるときに、そのシート2Bのシートバック9の側面と対向する位置に設定されている。
アシストグリップ42は、図10〜図12に示すように、樹脂製の表皮部材であるグリップベース43とグリップカバー44が車幅方向で相互に接合されるとともに、これらの内部に略コ字状の金属プレートから成る芯金部材45(図10参照。)が配置されている。
これらの図に示すように、リヤサイドライニング16の台座部38とアームレスト部41の前縁部の車幅方向内側の面には、グリップベース43とグリップカバー44の上下の屈曲基部42b,42cを接合するための切欠き部46a,46b(図16参照。)が設けられるとともに、リヤサイドライニング16を車幅方向に貫通する取付開口47a,47bが設けられている。
リヤサイドライニング16の上下の取付開口47a,47bには、アシストグリップ42の芯金部材45の上下の屈曲片部45a,45bがそれぞれ車室内側から挿通されるようになっている。取付開口47a,47bに車室内側から挿通された芯金部材45の上下の屈曲片部45a,45bは、車体パネル30上の特定位置に締結固定される。
なお、ピラースチフナ6a上のブラケット48の取り付けられる領域は、リヤホイールハウス13の膨出部13aに跨って接合される湾曲した領域であるため、剛性が充分に高くなっている。また、下縁スチフナ29a上の締結孔49の形成されている領域も、ピラースチフナ6aとの接合部に近接する領域であるため、剛性は充分に高くなっている。
最初に、車体パネル30のピラースチフナ6aには、図14,図15に示すように、ブラケット48を取り付けておき、リヤサイドライニング16の台座部38とアームレスト部41の前縁部には、図14に示すように、アシストグリップ42のグリップベース43と芯金部材45を取り付けておく。
また、アシストグリップ42のグリップベース43と芯金部材45は、凹凸係合やビス止めによって台座部38とアームレスト部41の前縁部の所定位置に固定され、このとき、芯金部材45の上下の屈曲片部45a,45bはリヤサイドライニング16の上下の取付開口47a,47bに挿通される。
この後、図16に示すように、芯金部材45の上下の屈曲片部45a,45bを、リヤサイドライニング16の上下の取付開口47a,47bを通して、車体パネル30側の下縁スチフナ29aとブラケット48とにそれぞれボルト57によって締結固定する。そして、最後にグリップカバー44をグリップベース43に重ね合わせ、グリップカバー44をグリップベース43に対して凹凸嵌合等によって固定する。
なお、この実施形態においては、アシストグリップ42の芯金部材45の一端部がブラケット48とピラースチフナ6aを介してリヤホイールハウス13に結合されているが、芯金部材45の一端部をリヤホイールハウス13に直接結合するようにしても良い。ただし、この実施形態のように、リヤホイールハウス13の膨出部13aに断面略コ字状のピラースチフナ6aを湾曲させて接合し、そのピラースチフナ6aに芯金部材45の一端部を結合するようにした場合には、芯金部材45の一端部が閉断面構造部に支持されることになるため、アシストグリップ42の支持剛性がより高まる。
4…ドア開口
6a…ピラースチフナ(別の強度部材)
13…リヤホイールハウス
16…リヤサイドライニング(内装部材)
42…アシストグリップ
43…グリップベース(表皮部材)
44…グリップカバー(表皮部材)
45…芯金部材
47a,47b…取付開口
48…ブラケット
48b…回り止め突起
48c…延長片
50…係止孔
Claims (5)
- 車室内の車体側部のドア開口よりも後方側に、乗員の着座するシートが設けられるとともに、車室内の車体側部に、乗員の把持するアシストグリップが設けられる車両のアシストグリップの取付構造において、
車体側部の車室内側に内装部材が取り付けられ、
前記内装部材の、前記ドア開口の後方側の縁部に、取付開口が設けられ、
前記アシストグリップの少なくとも一部が、前記取付開口に挿通されて車体のリヤホイールハウスに支持されていることを特徴とするアシストグリップの取付構造。 - 前記アシストグリップは、樹脂製の表皮部材と、表皮部材の内部に配置される芯金部材と、を有し、
前記内装部材の前記取付開口は、前記ドア開口の後方側の縁部の上下に離間した二位置に設けられ、
前記芯金部材の両端部は、前記取付開口に挿通されて、側部の車体部材に結合され、
前記芯金部材の少なくとも一端部は、車体部材である前記リヤホイールハウスに直接、若しくは、別の強度部材を介して結合されていることを特徴とする請求項1に記載のアシストグリップの取付構造。 - 前記芯金部材の少なくとも一方の端部は、前記リヤホイールハウス上にブラケットを介して結合されていることを特徴とする請求項2に記載のアシストグリップの取付構造。
- 前記ブラケットには、前記リヤホイールハウス側の取付部から前記取付開口に向かって延出し前記芯金部材の端部に結合される延長片が延設されていることを特徴とする請求項3に記載のアシストグリップの取付構造。
- 前記ブラケットには、前記リヤホイールハウス側の取付部の係止孔に嵌入される回り止め突起が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のアシストグリップの取付構造。
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