JP5818707B2 - 振動波駆動装置、二次元駆動装置及び画像振れ補正装置 - Google Patents
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Description
これらは特に精密な動作が求められる光学機器において、重要な機能部品として位置付けられている。その中に、直動型(直線状に移動体を移動可能な型式)の振動波駆動装置を複数配して駆動を組み合わせ、移動体を2次元の異なる方向への移動を可能にする二次元駆動装置を、画像触れ補正装置として用いるものがある(特許文献1及び特許文献2参照)。
この場合には、この移動方向と直交、又は直交に近い角度で交差する振動波駆動装置は駆動に寄与できないばかりか、移動体と振動波駆動装置の接触による摩擦力が移動体の移動の負荷となり、エネルギー的に損失を生じるため、出力ロスとなる。
また、振動波駆動装置以外の駆動装置として、ボイスコイルモータのように、移動体との変位または駆動力の伝達を非接触に行える非接触式の駆動装置がある。非接触式の駆動装置と、振動波駆動装置と、を、駆動方向が異なるように配置して、移動体を2次元の異なる方向への移動を可能にする二次元駆動装置が実現可能である。
この場合にも、非接触式の駆動装置で移動体を駆動しようとした際に、振動波駆動装置と移動体の接触による摩擦力が、移動体の移動の負荷となってしまう。
また、振動波駆動装置とは異なる接触式の駆動装置と、振動波駆動装置を組み合わせた場合にも、同様に、移動体の移動の負荷が発生する。
そして、例えば画像振れ補正装置の駆動装置として使用する場合には、画像振れ補正装置の特性低下を引き起こしてしまうこととなる。
これらに対処するため、上記特許文献1及び特許文献2では、移動体との加圧方向の振動を振動波駆動装置に励起し、摩擦力を減らして出力ロスを低減するという手段が採られている。
すなわち、上記従来例の出力ロスの低減手段では、出力ロスを低減することはできるが、移動体の移動に寄与しない振動波駆動装置に、移動体との加圧方向の振動を励起するための電気エネルギーとして大きな消費電力が必要となる。
また、移動体との加圧方向の振動の大きさも一定以上に大きくしないと出力ロスを効果的に抑制することが困難である。このため、一定値以上の大きな振幅の振動を発生させる必要があり、消費電力も大きくなる。
また、非接触式の駆動装置と振動波駆動装置を組み合わせた際にも、振動波駆動装置とは異なる接触式の駆動装置と振動波駆動装置とを組み合わせた際にも、同様の消費電力が大きくなる課題がある。
移動体の移動に寄与しない振動波駆動装置による出力ロスを低減し、消費電力を大きくすることなく駆動が可能な振動波駆動装置及び二次元駆動装置及び画像振れ補正装置の提供を目的とする。
前記振動子と接触する移動体を第1の方向に相対移動させる振動波駆動装置と、
前記移動体を前記第1の方向と交差する第2の方向に相対移動させる駆動装置と、
前記振動波駆動装置と前記移動体とが接触する面及び前記駆動装置と前記移動体とが接触する面と平行な平面内で、前記第2の方向に、前記振動波駆動装置を移動可能とする移動機構を有し、
前記移動機構は転動可能な曲線部を備えることを特徴とする装置に関する。
また、本発明の一様態は、
上記した振動波駆動装置と、前記駆動装置と、前記移動体と、を少なくとも有し、
前記振動波駆動装置と前記駆動装置とにより前記移動体を二次元に移動させることを特徴とする二次元駆動装置に関する。
本発明の一様態は、上記した装置または二次元駆動装置と、光学レンズまたは撮像素子と、制御手段と、電源と、を含み構成されていることを特徴とする画像振れ補正装置に関する。
また、本発明の一様態は、上記した装置または二次元駆動装置と、光学レンズと、を有し、前記移動体が前記光学レンズを保持することを特徴とするレンズ鏡筒に関する。
移動体の移動に寄与しない振動波駆動装置による出力ロスを低減し、消費電力を大きくすることなく駆動が可能な振動波駆動装置、二次元駆動装置及び画像振れ補正装置を実現することができる。
本実施形態の振動波駆動装置は、
電気機械エネルギー変換素子が設けられた振動子と、前記振動子を支持する支持部材と、を有し、前記振動子に振動を励起して、摩擦力によって前記振動子と接触する移動体を移動させる。
そして、前記振動子を、第1の方向(前記振動体が生成する駆動力の方向であり、後述する図4の送り方向と同じ方向)と交差する、第2の方向に移動させることが可能に構成された移動機構を有している。
ここで、本発明において、「振動子と移動体とが接触する面」とは、振動子と振動体とが接触する複数の接触点を含む仮想的な平面を意味する。
そして「振動子と移動体とが接触する面と平行な平面」とは前記した仮想的な「振動子と移動体とが接触する面」と平行な仮想的な平面を意味しており、無数に存在する。
これらの平面は、第1の方向と第2の方向とを明確に把握するために規定する平面である。
本発明において、第1の方向とは、前記振動子(仮に「第1の振動子」とする)が移動体を移動させるために生成する駆動力の方向であり、駆動方向(後述する図4の送り方向と同じ方向)ともいう。第2の方向とは、前記第1の方向とは交差する方向をいう。
ここで、前記第1の振動子は駆動力を生成せずに、第1の振動子とは異なる振動子(もしくは振動波駆動装置以外の駆動装置)により生成された駆動力の方向(第2の方向)に移動体が移動する場合、前記第1の振動子は移動機構により前記第2の方向に移動する。つまり、移動体が移動される方向が、前記第1の振動子の駆動方向(第1の方向)とは異なる第2の方向に移動体が移動する場合、前記第1の振動子は第2の方向に移動する。
この場合には、前記第1の振動子以外の振動子(もしくは振動波駆動装置以外の駆動装置)によって、前記第1の振動子には前記第2の方向に力が作用するが、移動機構により、前記第1の振動子は当該力にあらがうことなく第2の方向に移動する(かわす)。つまり、第2の方向とは、移動機構により振動子が移動可能な方向であり、「かわし方向」とも言う。
逆に、前記第1の振動子が生成する駆動力によって、前記移動体を移動させる場合、該移動体の移動に伴って前記第1の振動子以外の振動子は移動機構により移動体の移動方向に移動する。
本発明において、第2の方向に移動可能とする(第1の方向には実質的に移動しない)移動機構の構成としては、第2の方向のみに移動可能なガイド部材を設けることにより実現できる。
さらに、振動子を弾性部材(典型的にはバネ部材)で支持しておき、当該弾性部材を特定の方向のみ変位しやすい構成とすることによっても実現できる。
このように移動方向とは異なる方向に移動する力が働いている状態は、前述したように出力ロスの原因となる。
第1の方向と第2の方向との交差する角度は典型的には90°の時が最も出力ロスを生じる可能性が高いが、わずかでも交差していれば、その交差角度に応じた出力ロスが発生し得る。
本発明において直動型振動波駆動装置とは、直線状に移動体を移動させることが可能な振動波駆動装置を意味しており、リニア型振動波駆動装置ともいう。
そして、単体では、移動体(被駆動体ともいう)を直線的に移動させる構成となるが、複数の直動型の振動波駆動装置を組み合わせることで、移動体を所望の方向に移動させることができる。
実施例1として、本発明を適用した撮像装置としてカメラを構成した例について説明する。
図3は、本実施例おける動画及び静止画の撮影機能を有するカメラの構成例について説明する断面図である。
図3において、1はレンズ鏡筒で、2はカメラボディである。3は、レンズ鏡筒1に内蔵された二次元駆動装置である画像振れ補正装置3である。
画像振れ補正装置3には、光学レンズ4と、光学レンズ4が保持された移動体5と、移動体5を移動させる振動波駆動装置6と、が少なくとも含まれている。
また、図3には示していないが、レンズ鏡筒1には、光学レンズ4以外の光学系、レンズ鏡筒1の振れを検出する加速度センサ、移動体の2次元の移動を検出するエンコーダが設けられると良い。
さらに、振動波駆動装置6に電気エネルギーを供給する電源、加速度センサから出力される信号とエンコーダから出力される信号とを処理して電源を操作する制御方法を内蔵した制御部が設けられると良い。
カメラボディ2内には撮像素子7がある。被写体からの光が、レンズ鏡筒1内の光学レンズ4を含む光学系を透過し、カメラボディ2内の撮像素子7に入射する。
加速度センサの信号に基づき、画像振れ補正装置3により光学レンズ4を移動させることで、画像の振れを補正する事が可能となっている。
移動体5は、耐摩耗性の高い熱処理されたステンレス鋼からなり、円環形状に加工されている。
中心部には画像触れ補正用の光学レンズ4が保持されている。振動波駆動装置6は光路を妨げないように、光学レンズ4を径方向に避けて配置されている。
周方向を等分割するように4つの振動波駆動装置6(6A、6B、6C、6D)が配置されている。
各々の駆動方向を矢印8で示している。
振動波駆動装置6A及び6Cの駆動方向は図中のX方向となっており、振動波駆動装置6B及び6Dの駆動方向は図中のY方向となっている。
これらは駆動方向が直交している配置となっている。これらの駆動を組み合わせる事で、移動体5の、XY平面内の2次元の異なる方向への移動が可能となっている。
本実施例では、駆動方向が直交する振動波駆動装置6によって、移動体5を2次元の異なる方向への移動を可能としたが、駆動方向が、交差するように振動波駆動装置6を配置すれば、本実施例と同じく2次元の移動体5の移動が可能である。
例えば、X方向に画像が振れ、それを相殺するようにX方向に移動体5を移動させる場合には、振動波駆動装置6B及び6Dは、駆動方向がY方向に向いているため、駆動に寄与しない。
また、移動体5と振動波駆動装置6B及び6Dは、加圧接触している為に、この間に摩擦力が生じ、移動体5がX方向に移動するのを阻害してしまう。
この阻害の程度を緩和するために、図4(b)に示した突起部12の上面が移動体5との接触方向(Z方向)に振動する振動モードの振動を励起していた。
しかし、摩擦力を十分に低減するには、大きな振幅を起こす必要がある。そのために大きな振幅の振動を発生させる必要があり、消費電力が大きくなるという問題がある。
9は矩形板形状の振動子である。振動子9は、二つの突起部12を有する振動板10と、振動板10に固着された電気機械エネルギー変換素子である圧電セラミックス11とで構成される。振動板10には、梁部と振動子固定部13がある。二つの突起部12は振動子9の長手方向に並んで配置されている。
14は振動子固定部13と固着されているスリーブで、15はレンズ鏡筒1に端部が固定されたバーである。レンズ鏡筒は、ガイド部材を固定する固定部材としても機能している。
スリーブ14には穴が開いており、その穴をバー15が貫通し、これらの組合せで、ガイド部材となっている。
ここでのガイド部材とは特定の方向の移動を許容し、それ以外の方向への移動は拘束する部材のことをいう。
振動子9がバー15の長手方向(Y方向)に移動可能となっている。
また、スリーブ14とバー15の接触面にはグリースが塗布されており、摺動抵抗は極めて小さくなっている。突起部12の上面は移動体5に接触している。
また、バー15と移動体5が、図中Z方向に近づくような加圧力が、不図示のコイルバネによって付与されている。
これによって、突起部12と移動体5は加圧接触している。
図4(a)の振動モードはAモードともいう。また図4(b)の振動モードはBモードともいう。
図4(a)に示す振動モードは、突起部12の上面が、振動子9の長手方向(送り方向ともいう:図中X方向)に振動する振動モード(Aモード)である。
図4(b)に示す振動モードは、突起部12の上面が、移動体5との接触方向(突き上げ方向ともいう)に振動する振動モード(Bモード)である。
これら二つの振動モードの振動を時間位相を略90°で励起するように、交番電圧を設定している。
ここで略90°と記載した意味は、正確に90°でなくても、必要な振動が合成される範囲を許容するという意味である。以下、本明細書における「略〜」という表現は同様の意味である。
これにより、突起部12の上面は楕円軌跡で運動し、接触している移動体5を図4(a)中のXの方向の一方向に移動させる。つまり振動子9の駆動方向とは、振動子9が移動体を移動させるために生成する駆動力の方向であり、送り方向と同じ方向である。
また、二つの振動モードの振動の位相差を略−90°とすると、逆方向に移動体5を移動させられる。
この移動方向が、図2中の振動波駆動装置6A及び6Cの駆動方向(第1の方向、矢印8)となっている。
本実施例では、振動波駆動装置6が、駆動方向(第1の方向)に直交した方向(第2の方向)に、スリーブ14とバー15で構成されたガイド部材を有している。
振動波駆動装置6A及び6Cの駆動力によって、移動体5がX方向(振動波駆動装置6A及び6Cにおける第1の方向)に移動した際には、振動波駆動装置6B及び6Dは、移動体5の動きに伴ってX方向(振動波駆動装置6B及び6Dにおける第2の方向)に移動する。
その際の振動波駆動装置6B及び6DのX方向(Y方向を第1の方向とする振動波駆動装置6B及び6Dにおける第2の方向)への移動は何ら拘束されず抵抗も実質的に無視できる。
このため、振動波駆動装置6B及び6Dから、移動体5に働くX方向(振動波駆動装置6B及び6Dにおける第2の方向)の力をほぼゼロにでき、移動体5の移動を妨げず、出力ロスがほぼない。
すなわち、ここで、振動波駆動装置6B及び6Dには図4(b)の振動モード(Bモード)の振動を励起する必要がなく、電気機械エネルギー変換素子11に印加する電圧を小さくすることができる。このために消費されていた消費電力が削減できる。そして、電気機械エネルギー変換素子11に印加する電圧をゼロにすると、最も消費電力の削減効果が大きくなる。
同様に、振動波駆動装置6B及び6Dの駆動力によって、移動体5がY方向(振動波駆動装置6B及び6Dにおける第1の方向)に移動した際にも、振動波駆動装置6A及び6Cから、移動体5に働くY方向(X方向を第1の方向とする振動波駆動装置6A及び6Cにおける第2の方向)の力をほぼゼロにできる。これによって、出力ロスをほぼ無くすことが可能となり、消費電力の削減ができる。
例えば、移動体5を移動させる方向が、X方向とY方向の間の角度となった場合においても適用することができる。
このような場合においても、振動波駆動装置6(6A、6B、6C、6D)のいずれもが、その駆動方向(第1の方向)と移動体5の移動方向は交差するため、駆動方向と直交した方向(第2の方向)の摩擦力成分が発生する。
しかし、本発明の構成を適用することで、移動体5と振動波駆動装置6の間の摩擦力による出力ロスを抑制することができる。
また、本発明の振動波駆動装置は、レンズ鏡筒1に画像振れ補正装置3を内臓した例を示したが、カメラボディ2に内蔵しても良いし、カメラボディ内の撮像素子を移動させるように構成しても、本実施例と同様の効果が得られる。
また、振動子9の形状や振動モードも別のものであっても、本発明の効果は得られる。
本実施例では、画像振れ補正装置について述べた。本発明の他の適用例として、例えば、顕微鏡のサンプル移動のためのステージのような二次元駆動装置に適用しても良い。この場合にも、本発明の効果は同様で、出力ロスが抑制された二次元駆動装置を実現する事ができる。
実施例2として、振動子と固定部の構成、及び振動子の保持構成の点で、実施例1と異なる構成例について説明する。
図5(a)は、本発明の別の形態の振動波駆動装置を突起部12側から見た斜視図である。
また、図5(b)は、振動波駆動装置を突起部12の反対側から見た斜視図である。図中の座標系は、直交座標系を右手系で示している。両図を用いて、説明する。
本実施例では、ホルダ20は、振動子9の固定部13と結合しており、四角枠状の形状となっている。
ホルダ20には板状の弾性部材であるバネ17が取り付けられている。ホルダ20は、振動子9とバネ17の間の空間に、磁石16を保持している。
バネ17は、板金のプレスによって製造されていて、材料はステンレス鋼のバネ材である。但し、本発明に採用し得るバネはこのような板状の弾性部材の構成に限らない。
バネ17は、ホルダ20に固定されている図中のX方向に伸びた部分と、そこから、図中のZ方向に伸びた部分としてY変形バネ18があり、その先に固定部19がある。固定部19が不図示のレンズ鏡筒1に固定されている。
Y変形バネ18は板厚方向が図中のY方向となり、Y方向(第2の方向)にはバネ剛性が小さく、X方向(第1の方向)にはバネ剛性が大きくなる。
移動体5が他のアクチュエータによってY方向(第2の方向)に移動される際には、Y変形バネ部18のY方向のバネ剛性が小さいので、ここがY方向に曲げ変形し、振動子9がY方向に移動する。
この時、振動子9から移動体5に与えるY方向の力は、振動子9のY方向の移動量に、Y変形バネ部18のY方向のバネ剛性を乗じた量となる。
Y変形バネ部18の板厚を薄くする、あるいは細くする、バネ剛性の小さいバネを使用するなどすれば、このバネ剛性を簡単に小さくでき、移動体5のY方向の移動を妨げる力を小さくできる。
また、振動波駆動装置の駆動方向のX方向には、Y変形バネ部18のバネ剛性が大きくなっているので、移動体5を力のロスが少なくX方向に駆動できる。
実施例1では、ガイド部材を用いていたが、本実施例では板バネを用いており、より簡素な構造で本発明の効果が得られる。
実施例3として、バネ17のY変形バネ18が図中のY方向(第2の方向)に二つ並び、その先の固定部19が2つある点で、実施例2と異なる構成例について説明する。
図6は、本発明の別の形態の振動波駆動装置を突起部12の反対側から見た斜視図である。図中の座標系は、直交座標系を右手系で示している。
本実施例では、2つの固定部19が、不図示のレンズ鏡筒1に固定されている。この構成は、弾性的に、Y方向(第2の方向)の平行クランク機構になっている。
振動子9が移動体5からY方向の力を受けた際、振動子9には、XZ平面内の回転運動が起こり難く、主にY方向に運動する。
本実施例も実施例2と同様に、Y変形バネ18は板厚方向が図中のY方向(第2の方向)となっており、Y方向にはバネ剛性が小さくなっている。これにより、移動体5のY方向の移動を妨げる力を小さくできている。
さらに、別のアクチュエータの駆動によって移動体5がY方向に移動し、振動子9がY方向に移動した場合には、先の弾性的な平行クランク機構によって、振動子9はXZ平面内の回転運動が、起こり難くなっている。
これによって、振動子9の突起部12が移動体5に対しての傾き量が抑制され、突起部12と移動体5との接触の安定化が可能となっている。
実施例4として、バネ17のY変形バネ18と固定部19が、振動波駆動装置の駆動方向のX方向(第1の方向)を長手方向としている点で、実施例2と異なる構成例について説明する。
図7(a)は、本発明の別の形態の振動波駆動装置を突起部12側から見た斜視図である。
また、図7(b)は、振動波駆動装置を突起部12の反対側から見た斜視図である。図中の座標系は、直交座標系を右手系で示している。両図を用いて、説明する。
本実施例は、Y変形バネ18の板厚方向は、実施例2と同じく、振動波駆動装置の駆動方向と直交した図中のY方向(第2の方向)となっている。
また、X方向にはバネ剛性が大きくなっているので、移動体5を力のロスが少なくX方向に駆動できる。
本実施例では、バネ17がX方向を長手方向としているために、振動波駆動装置の低背化が可能となっている。
実施例5として、バネ17のY変形バネ18と固定部19が、振動波駆動装置の駆動方向のX方向に2つ配置している点で、実施例4と異なる構成例について説明する。
図8(a)は、本発明の別の形態の振動波駆動装置を突起部12側から見た斜視図である。
また、図8(b)は、振動波駆動装置を突起部12の反対側から見た斜視図である。図中の座標系は、直交座標系を右手系で示している。両図を用いて、説明する。
本実施例も実施例4と同様に、Y変形バネ18は板厚方向が図中のY方向となっており、Y方向(第2の方向)にはバネ剛性が小さくなっている。
これにより、移動体5のY方向の移動を妨げる力を小さくできている。また、X方向(第1の方向)にはバネ剛性が大きくなっているので、移動体5を力のロスが少なくX方向に駆動できる。
さらに、別のアクチュエータの駆動によって移動体5がY方向に移動し、振動子9がY方向に移動した場合には、XY平面内の回転に対する剛性が大きくなっており、この平面内の回転運動が、起き難くなっている。
これによって、振動波駆動装置の駆動方向が、図中XY平面内で回転してしまう量を低減できる。
実施例6として、バネ17のY変形バネ18と固定部19が、振動波駆動装置の駆動方向に直交した図中のY方向に2つ配置している点で、実施例5と異なる構成例について説明する。
図9(a)は、本発明の別の形態である振動波駆動装置を突起部12側から見た斜視図である。
また、図9(b)は、振動波駆動装置を突起部12の反対側から見た斜視図である。図中の座標系は、直交座標系を右手系で示している。両図を用いて、説明する。
実施例5のように、Y変形バネ18を駆動方向のX方向に2つ配置すると、振動子9がY方向(第2の方向)に大きく移動した際には、Y変形バネ18が長手方向に引っ張られる状態となる。これにより、振動子9のY方向の移動が阻害され、一定以上の移動が必要な場合には、移動体5のY方向の移動が制限される場合がある。
これに対し、本実施例ではY変形バネ18をY方向に2つ配置している。
振動子9がY方向(第2の方向)に大きく移動したとしても、Y変形バネ18は曲げ変形の状態を保ち、Y変形バネ18が長手方向に引っ張られる現象を抑制できる。
不図示の移動体5に対し、振動波駆動装置がこれら方向の取付姿勢に誤差をもって固定されたとしても、突起部12の上面が移動体5の面にならい易いようになっている。
Y変形バネ18の板厚方向は、実施例5と同じく、振動波駆動装置の駆動方向(第1の方向)と直交した図中のY方向(第2の方向)となっている。
本実施例も実施例5と同様に、Y変形バネ18は板厚方向が図中のY方向となっており、Y方向にはバネ剛性が小さくなっている。これにより、移動体5のY方向の移動を妨げる力を小さくできている。
また、X方向(第1の方向)にはバネ剛性が大きくなっているので、移動体5を力のロスが少なくX方向に駆動できる。
実施例7として、制限部材24を有する点で実施例1と異なる構成例について、図12を用いて説明する。
図12は、移動体5と振動波駆動装置6の配置を示している。図1での撮像素子7側から見た図となっている。
図12に示すように、本実施例の制限部材24は、直方体形状で、移動体5に固着されている。
制限部材24は、各々の振動波駆動装置6(6A、6B、6C、6D)の振動子9が固着しているスリーブ14を、駆動方向8(第1の方向)と直交した方向(第2の方向)に挟むように、二つずつ配置されている。振動波駆動装置6Aでは、スリーブ14のX方向に沿った側面と、制限部材24のX方向に沿った側面とで、X方向のガイドを構成している。
これによって、移動体5に対する振動子9及びスリーブ14の駆動方向8(X方向)の相対移動を許容(移動可能)しつつ、これと直交したY方向の相対移動量を制限する構成となっている。
その他の振動波駆動装置(6B、6C、6D)でも、同様に、移動体5に対する振動子9及びスリーブ14の駆動方向8の相対移動が許容され、これと直交した方向の相対移動量が制限されている。
振動波駆動装置6Aの駆動方向8はX方向となっており、通常は、移動体5と振動子9のY方向の相対移動は起こらない。
この場合には、移動体5に所望の移動量を与えた際、バー15に対する振動子9及びスリーブ14のY方向の移動量は、移動体5の所望の移動量に一致する。
しかしながら、組み付け誤差などによる駆動方向のズレや外乱などによって、移動体5と振動子9のY方向の滑りによる相対移動が発生する場合がある。
この場合には、バー15に対する振動子9及びスリーブ14のY方向の移動量は、移動体5の所望の移動量に、移動体5と振動子9の滑りによる相対移動量が加わった量となる。
この滑りによる相対移動が繰り返し数多く起こった場合には、移動体5と振動子9及びスリーブ14のY方向の相対移動量が大きくなる場合がある。
これが大きくなり過ぎると、スリーブ14とバー15で構成されたガイド部材の突き当たりが起こり、振動子9に姿勢を変化させる不要な力が作用する。これが、移動体5と振動子9の不安定な接触などの問題を引き起こしてしまう。
これにより、バー15に対する振動子9及びスリーブ14のY方向の移動量を制限でき、上述の問題を防ぐことができる。
その他の振動波駆動装置(6B、6C、6D)でも効果は同様である。
また、Y変形バネ18を用いた実施例2から6に述べた振動波駆動装置6においても、制限部材24は効果がある。
ここでは、制限部材24の側面と、振動子9が固着されたホルダ20の側面とで、駆動方向と直交した方向のガイドを構成した場合について説明する。
移動体5に所望の移動量を与えた際、この移動量に、移動体5と振動子9のY方向の滑りによる相対移動量が加わった量の変位がY変形バネ18に起こる。
このY方向の滑りによる相対移動量が大きくなってしまうと、Y変形バネ18の変形反力が大きくなって、移動体5のY方向の移動を妨げる力が大きくなってしまう。
また、Y変形バネ18に塑性変形する程の変形が起こってしまうと、加工硬化によって、さらに移動体5のY方向の移動を妨げる力が大きくなってしまう。
本実施例では、移動体5に対する振動子9の駆動方向と直交した相対移動量の制限機構として、制限部材24とスリーブ14による構成や、制限部材24とホルダ20による構成を述べたが、これに限るものではなく、バーとスリーブなどの他構成で実現してもよい。
また、移動体5に、振動波駆動装置6の駆動方向に沿った溝を有する凹部を設け、この凹部と振動子9の突起部12の側面とで滑りガイドを構成してもよい。
これらのように移動体5に対する振動子9の駆動方向と直交した相対移動量を制限可能な制限機構を有すれば良く、制限機構の構成を限定するものではない。
実施例8として、実施例1乃至7のようにガイド部材や板バネを用いた構成とは異なる形態の構成例について説明する。
本発明は、実施例1乃至7のようにガイド部材や板バネを用いた構成に限られるものではない。
例えば、図10(a)と図10(b)で示した、バネ17に線径の細い丸棒22を振動波駆動装置の駆動方向の図中X方向に配し、その両端を不図示のレンズ鏡筒1に固定することができる。図中の座標系は、直交座標系を右手系で示している。
この構成においては、振動子9は丸棒22を軸として、回転運動が起き易くなっている。
移動体5が他のアクチュエータによって、Y方向(第2の方向)に移動された際に、それを阻害しないように、振動子9は突起部12の上面がY方向に移動する回転が起きるようになっている。
図中の座標系は、直交座標系を右手系で示している。この構成では、特にこの2本のワイヤ23に掛かる張力を調整する事で、容易に振動子9のY方向(第2の方向)の移動に対する剛性を調節する事が可能となっている。
これらの例においても、振動子9がY方向に移動しやすい構成となっているので、移動体5が他のアクチュエータによって、Y方向に移動された際に、それを阻害しないような効果が得られる。
また、本発明の効果が得られる物として、移動体5と接触する振動子9の突起部12は、突起形状でなくても良い。
さらに、その上面が接触する構成でなく、例えば、突起部12の先端に面取り形状を設けて、その面取りの斜面を移動体5と接触させても良いし、突起部12の先端がR形状となっていても良い。
さらに、Y変形バネの主たる変形方向を、説明の理解を助けるために各々の図中でX方向と直交するY方向としたが、ここに交差する方向であっても、変形した際にY方向に移動する成分があれば、本発明の効果が得られる。
実施例9として、ガイド部材の構成が実施例1と異なる構成例について説明する。
図13(a)は、本発明の別の形態である振動波駆動装置を突起部12側から見た斜視図である。
また、図13(b)及び(c)は、振動波駆動装置の各部品の配置関係を示す配置図である。図中のZ方向に部品をシフトして示している。各部品間が当接する部分を、破線で示している。
図13(b)は突起部12側から見た斜視図となっている。
図13(c)は、突起部12の反対側から見た斜視図である。図中の座標系は直交座標系を右手系で示している。これらの図を用いて、説明する。
本実施例において、25は転動可能な曲線部を有する球形状のセラミックボールである。
26及び27は、板形状のレール部材である。レール部材26及び27は、3つの溝部28を有している。
溝部28は、長手方向がY方向(第2の方向)となっている。それぞれの溝部28の稜線には面取りが施されている。レール部材26及び27は、不図示の引張コイルバネを取り付けるための、バネ取付部29を有している。
レンズ鏡筒1に、レール部材27(固定側)が固定されている。レール部材27(固定側)の溝部28の面取りの斜面に、セラミックボール25が当接している。
セラミックボール25に、レール部材26(可動側)の溝部28の面取りの斜面が当接している。レール部材27(固定側)とセラミックボール25とレール部材26(可動側)の当接の組は、3箇所ある。
また、レール部材26とレール部材27の互いに対向するバネ取付部の間に、引張力が掛るように、不図示の引張コイルバネが取り付けられている。これらの構成で、ガイド部材を構成している。振動子9は、レール部材26に固定されている。
セラミックボール25は、球形状であるので、レール部材27(固定側)の溝部28に沿って、図中Y方向(第2の方向)に転動し相対移動できる。
同様に、セラミックボール25は、レール部材26(可動側)に対して、図中Y方向(第2の方向)に転動し相対移動できる。
これらの相対移動の組合せによって、レール部材26(可動側)は、レール部材27(固定側)に対して、図中Y方向(第2の方向)に相対移動できる様になっている。
レール部材27(固定側)がレンズ鏡筒1に固定されていて、振動子9がレール部材(固定側)に固定されている事より、言い換えると、振動子9が、レンズ鏡筒1に対して、図中Y方向(第2の方向)に相対移動可能と言える。
また、この際の摺動抵抗は、転がり摩擦であるため、極めて小さい。
実施例1と同様の効果に付いて述べる。振動子9の突起12には、不図示の移動体が不図示の加圧手段によって、加圧接触されている。
移動体が、他のアクチュエータによって、レンズ鏡筒1に対し、図中Y方向(第2の方向)に移動された際に、振動子9と移動体には図中Y方向(第2の方向)の摩擦力が働く。
上述のガイド部材によって、振動子9は、レンズ鏡筒1に対して図中Y方向(第2の方向)に極めて小さい摺動抵抗で移動可能となっている。
これによって、実施例1と同様に、移動体は図中Y方向(第2の方向)に移動する際に、振動波駆動装置から移動体に働く図中Y方向(第2の方向)の力を極めて小さくできる。これにより、移動体の移動を妨げず、出力ロスがほぼ無い状態を実現できる。
なお、このガイド機構では、図中Y方向(第2の方向)以外の自由度である、X方向の並進自由度、Z方向の並進自由度、X軸及びY軸及びZ軸周りの回転自由度は、規制されている。
本実施例で、ガイド部材に用いている部材は、いずれも安価に製造できるもので、安価にガイド部材を構成できる。
セラミックボール25は、ベアリングに用いられているように、工業的に製造工程が成熟しており、安価に製造が可能である。材質が鉄系材料になったとしても、同様に安価に製造が可能である。
レール部材は、板状の素材を安価なプレス加工で製造する事が可能である。引張コイルバネも、工業的に製造工程が成熟しており、安価に製造が可能である。
更に、実施例1に加わる効果として、移動体の駆動精度が向上する効果がある。実施例1では、スリーブ14とバー15の間に、振動波駆動装置の駆動方向(第1の方向)の微小なクリアランスが存在する。
一方、本実施例では、レール部材26(可動側)とセラミックボール25とレール部材27(固定側)は、引張コイルバネによって、加圧接触されているため、振動波駆動装置の駆動方向(第1の方向)にガイド部材のクリアランスが無い。これによって、移動体のより高精度な駆動が可能となっている。
例えば、図14(a)及び(b)のように、レール部材との接触面30が円筒形状となっている部材と、図15のような溝部28が凹形状となっているレール部材を組み合わせて、ガイド部材を構成してもよい。
この構成では、円筒面と平面の線接触となり、本実施例の球と平面の点接触よりも、接触面積を大きくできる。このことにより、摺動による摩耗耐久性を高くすることが可能である。
また、転動可能な曲線部を有する部材として、セラミック球を用いているが、転動可能な曲線部を有する部材であれば、その材質を限定することなく、極めて摺動抵抗の小さいガイド部材を構成する事ができる。
2:カメラボディ
3:画像振れ補正装置
4:光学レンズ
5:移動体
6:振動波駆動装置
7:撮像素子
8:振動波駆動装置の駆動方向
9:振動子
10:振動板
11:圧電セラミックス(電気機械エネルギー変換素子)
12:突起部
13:振動子固定部
14:スリーブ
15:バー
Claims (10)
- 電気機械エネルギー変換素子を備えた振動子を有し、前記振動子と接触する移動体を第1の方向に相対移動させる振動波駆動装置と、
前記移動体を前記第1の方向と交差する第2の方向に相対移動させる駆動装置と、
前記振動波駆動装置と前記移動体とが接触する面及び前記駆動装置と前記移動体とが接触する面と平行な平面内で、前記第2の方向に、前記振動波駆動装置を移動可能とする移動機構を有し、
前記移動機構は転動可能な曲線部を備えることを特徴とする装置。 - 前記転動可能な曲線部を備える部材が、球形状または円筒形状であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記振動子と前記移動体の、前記第2の方向の相対移動量を制限する制限機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
- 前記振動波駆動装置と前記駆動装置とにより前記移動体を二次元に移動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次元駆動装置。
- 前記駆動装置は、電気―機械エネルギー変換装置を備えた振動子を有する振動波駆動装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次元駆動装置。
- 前記振動波駆動装置と前記駆動装置の駆動方向が直交している事を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二次元駆動装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置と、光学レンズまたは撮像素子と、制御手段と、電源と、を含み構成されていることを特徴とする画像振れ補正装置。
- 請求項4から6のいずれか1項に記載の二次元駆動装置と、光学レンズまたは撮像素子と、制御手段と、電源と、を含み構成されていることを特徴とする画像振れ補正装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置と、光学レンズと、を有し、前記移動体が前記光学レンズを保持することを特徴とするレンズ鏡筒。
- 請求項4乃至6のいずれか1項に記載の二次元駆動装置と、光学レンズと、を有し、前記移動体が前記光学レンズを保持することを特徴とするレンズ鏡筒。
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