JP5800252B2 - Led素子 - Google Patents

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Description

本発明はLED素子に関し、特に窒化物半導体で構成されたLED素子に関する。
従来、窒化物半導体を用いたLED素子としては、青色発光ダイオードで代表されるように、サファイア基板上にエピタキシャル成長によって半導体層構造体(積層半導体基板)を形成している。このような技術は、例えば下記特許文献1や特許文献2に開示されている。
特許文献1には、サファイア基板の上に、n型窒化物半導体として窒化ガリウム(GaN)よりなるn型コンタクト層と、n−AlGaNよりなるn型クラッド層と、n−InGaNよりなる活性層と、p−AlGaNよりなるp型クラッド層と、p−GaNよりなるp型コンタクト層とが順に積層された構造を有したLEDが開示されている。活性層は、単一量子井戸構造又は多重量子井戸構造で実現されている。
そして、サファイア基板とn型コンタクト層との間には、GaN、AlGaN又はAlNよりなるバッファ層が形成されている。活性層を形成するn−InGaNには、SiやGeなどのドナー不純物及び/又はZnやMgなどのアクセプター不純物がドープされている。
特許文献2には、LEDを形成する積層半導体基板において、c軸方向に面方位が揃ったAlN上に、それよりも格子定数が大きく、且つc軸方向に面方位が揃ったGaN層を成長形成させ、その上にそれよりも格子定数が小さいn−AlGaN層、多重量子井戸構造を有する活性層、p−AlGaN層を順次形成する内容が開示されている。
特開平10−93138号公報 特開2005−209925号公報
GaNやAlGaNなどの窒化物半導体は、ウルツ鉱型結晶構造(六方晶構造)を有している。ウルツ鉱型結晶構造の面は、4指数表記(六方晶指数)にて、a1、a2、a3及びcで示される基本ベクトルを用いて結晶面や方位が表される。基本ベクトルcは、[0001]方向に延びており、この方向は「c軸」と呼ばれる。c軸に垂直な面は「c面」又は「(0001)面」と呼ばれる。
従来、窒化物半導体を用いて半導体素子を作製する場合、窒化物半導体結晶を成長させる基板として、c面基板を主面に有する基板が使用される。実際にはこの基板上にアンドープのGaN層を成長させ、更にその上層にn型の窒化物半導体層を成長させる。
図14は、従来のLED素子90の構造を示す概略断面図である。なお、以下の図面において、実際の寸法比と図面上の寸法比は必ずしも一致しない。
LED素子90は、サファイアなどの支持基板11の上層に、例えばアンドープのGaN層を3μmの膜厚で形成したアンドープ層13と、その上層に、例えばn−AlGaN層を1.5μmの膜厚で形成したn型クラッド層15を有する。更に、LED素子90は、n型クラッド層15の上層に、例えば井戸層を構成する膜厚2nmのInGaNと障壁層を構成する膜厚5nmのAlGaNを交互に積層することでMQW(Multi-quantum Well:多重量子井戸)を形成した、活性層17を有する。更に、LED素子90は、活性層17の上層に、例えばp−AlGaN層で形成されたp型クラッド層19を有し、その上層にp−GaN層で形成されたp型コンタクト層21を有する。なお、LED素子90は、必要に応じて活性層17とp型クラッド層19の間に、AlGaNで形成されたラストバリア層を有する。
ここで、n型クラッド層15を構成するAlGaNは、その下層のアンドープ層13を構成するGaNよりも格子定数が小さい。このため、n型クラッド層15内に格子不整合に起因した引張応力81が生じる。なお、引張応力81が示す矢印は、応力の向きを表している。この引張応力81は、n型クラッド層15の膜厚の増大と共に増大し、ある閾値を超えると表面荒れやクラック、結晶欠陥に伴うミスフィット転位が生じて発光効率の低下を招く。
一方、n型クラッド層15の膜厚を薄くし過ぎた場合、p型コンタクト層21の上面に形成される給電端子(不図示)とn型クラッド層15の間に電圧を印加すると、給電端子から、その直下近傍に位置するp型コンタクト層21、p型クラッド層19、活性層17を介してn型クラッド層15に電流が流れる。このため、活性層17内の一部の領域のみに電流が流れてしまい、発光領域が少なくなって結果的に発光効率の低下を招く。更に、活性層17の一部を電流が流れるために、局部的に電流集中が起こり、活性層17内でのキャリアの不均一性が生じて高い発光強度を得ることができない。
本発明は、上記の課題に鑑み、活性層に隣接するn型半導体層の格子不整合に起因した課題を生じさせることなく、活性層内の水平方向の電流広がりを確保して、発光効率を向上させたLED素子を実現することを目的とする。
本発明のLED素子は、支持基板上に窒化物半導体層をc軸成長させてなるLED素子であって、
前記支持基板の上層に形成されたアンドープ層と、
前記アンドープ層の上層に形成され、n型窒化物半導体で構成される第1半導体層と、
前記第1半導体層の上層に、Siドープ濃度が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下のn−Alx1Gax2Inx3N(0<x1<1,0<x2<1,0≦x3≦0.05,x1+x2+x3=1)で構成される第2半導体層と、膜厚が10nm以上、25nm以下のInGa1−yNで構成される第3半導体層の積層構造で形成されたヘテロ構造体と、
前記ヘテロ構造体の上層に形成され、p型窒化物半導体で構成される第4半導体層を備え、
ピーク発光波長が362nm以上、395nm以下であることを特徴とする。
n−Alx1Gax2Inx3N(0<x1<1,0<x2<1,0≦x3≦0.05,x1+x2+x3=1)で構成される第2半導体層とInGa1−yNで構成される第3半導体層のヘテロ接合により、両材料のバンドギャップの相違から、両層の界面にバンドベンディング領域が形成される。このバンドベンディング領域に、水平方向に移動度の高い二次元電子ガス層が形成される。なお、以下において、第2半導体層を、適宜「n−Alx1Gax2Inx3N」と略記する。
InGa1−yNのIn比率、すなわちy値は、LED素子のピーク発光波長を決定付ける。InGa1−yNのIn比率を少なくすると、LED素子からのピーク発光波長が短波長側に移動し、逆にIn比率を多くするとピーク発光波長が長波長側に移動する。
ここで、ピーク発光波長を395nmより長い値、例えば400nmにすると、InGa1−yNのIn比率が高くなり過ぎる。結果として、ピエゾ電界に起因したエネルギーバンドの歪みが生じ、量子シュタルク効果によって発光効率が低下することに加え、InGa1−yN層で格子緩和が起こるため、ミスフィット転位が生成され発光効率の低下が生じる。一方で、ピーク発光波長を362nmより短い値、例えば357nmにしようとすると、InGa1−yNのIn比率を極めて低くしなければならない。しかし、本構成においては、従来のMQWを有するLED素子とは異なり、InGa1−yNの膜厚を10nm以上、25nm以下という厚膜で形成している。このため、Inの少量添加が難しく、357nmといった短波長の光を実現するのが難しい。このような理由から、本発明のLED素子はピーク発光波長が362nm以上、395nm以下の素子に適している。
前述したように、本発明のLED素子は、InGa1−yN層を、一般的なMQW構造の井戸層を構成するために形成されるInGa1−yNの膜厚(例えば2nm程度)よりも、十分に厚い10nm以上25nm以下としている。一般的なMQW構造では、量子シュタルク効果による発光割合の低下を防ぐために、InGa1−yNの膜厚を2nm程度、厚くても高々7nm以下とされている。
しかし、本発明のLED素子では、電流拡散層を構成するInGa1−yNの膜厚を、10nm以上25nm以下としている。このように、膜厚を大きくすることで、InGa1−yNによって形成されるほぼ平坦なバンド領域を広くし、電子を確保する容量を増加することができる。この領域に電子が十分に蓄積されるまでの間、n−Alx1Gax2Inx3Nによって形成される障壁を電子が超えられない。この間、二次元電子ガスが界面に平行な方向に移動するため、電子が水平方向に拡散する。つまり、電子が十分に水平方向に拡散し、バンドベンディング領域及びほぼ平坦なバンド領域内に十分な量の電子が蓄積された段階で、電子がn−Alx1Gax2Inx3Nの障壁を超えてp層側に移動する。つまり、電流がp層側からn層側に流れるまでに、いったん水平方向に電子の広がりが実現される。これにより、ヘテロ構造体内を流れる電流が水平方向に広がるので、ヘテロ構造体の全体で発光させることができ、発光効率を高めることができる。
他方、本発明者らの鋭意研究により、InGa1−yNの膜厚を25nmよりも厚く、例えば30nmにした場合、結晶欠陥などの問題が顕在化して、光出力が低下することが分かった。つまり、InGa1−yNの膜厚は、結晶欠陥が生じない臨界膜厚以下とするのが好ましい。
よって、上記のように、InGa1−yNの膜厚を10nm以上25nm以下とすることで、従来のLED素子よりも、光出力を向上させる効果が得られる。なお、後述するように、InGa1−yNの膜厚を上記範囲内とすることで、素子のESD(Electro Static Discharge:静電気放電)に対する耐圧を向上させる効果も得られる。
なお、n−Alx1Gax2Inx3Nとした第2半導体層に含まれるIn組成は0であっても構わない。ただし、第2半導体層にInを5%以内の範囲で含ませることで、光出力を更に向上させる効果が得られる。
更に、本発明者らの鋭意研究により、n−Alx1Gax2Inx3NのSiドープ濃度を、1×1018/cm以上、1×1019/cm以下とすることで、このような光出力の向上効果を担保できることが分かった。例えば、Siドープ濃度を5×1017/cmといった、1×1018/cmよりも少ない値とした場合には、絶対的なSi濃度が低いために、n−Alx1Gax2Inx3N層の伝導帯のスクリーニング効果が小さく、十分な量のキャリアをバンドベンディング領域及びほぼ平坦なバンド領域に取り込むことができない。これによって、高い光出力が得られないことが分かった。他方、2×1019/cmといった、1×1019/cmよりも高い値とした場合にはドループ現象が生じ、高い光出力が得られないことが分かった。
よって、InGa1−yNの膜厚を10nm以上25nm以下とした上で、更にn−Alx1Gax2Inx3NのSiドープ濃度を、1×1018/cm以上、1×1019/cm以下とすることで、従来のLED素子よりも、更に光出力を向上させる効果が得られる。
なお、本発明者らの鋭意研究により、上記構成によれば、従来のMQWを備えたLED素子と比較して、Siドープ濃度を高くすることができるため、高電流注入時における動作電圧を低減させる効果も得られることが分かった。
また、前記ヘテロ構造体を複数周期繰り返してなる多層構造部を有し、
前記多層構造部の最上層に位置する前記ヘテロ構造体の上層に、前記第4半導体層が形成される構成としても構わない。
このような構成とした場合、ヘテロ接合の界面が複数形成されることから、二次元電子ガス層が形成される領域が複数形成される。また、電子蓄積層として機能する、InGa1−yNによって形成されるほぼ平坦なバンド領域も複数形成される。これにより、電流拡がりの効果を更に高めることができ、光出力を更に向上させることができる。
本発明によれば、n型クラッド層を結晶欠陥が招来しない範囲内の膜厚で形成しつつも、水平方向への電流広がりを実現することができるので、発光効率の高いLED素子を実現することができる。
本発明のLED素子の構造を示す概略断面図である。 本発明のLED素子の別の構造を示す概略断面図である。 本発明のLED素子の別の構造を示す概略断面図である。 InGa1−yN層のIn組成を変化させて素子のピーク発光波長を変化させたときの、LED素子のピーク発光波長とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。 ヘテロ構造体の理想的なエネルギーバンド図を模式的に示したものである。 ヘテロ構造体のエネルギーバンド図をピエゾ電界の影響を反映して模式的に示したものである。 ヘテロ構造体の伝導帯のエネルギーバンド図を、半導体材料の相互作用を反映させて模式的に示したものである。 ヘテロ構造体の伝導帯のエネルギーバンド図を、半導体材料の相互作用を反映させて模式的に示したものである。 InGaN層の膜厚を変化させたときの、LED素子を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。 ヘテロ構造体の伝導帯のエネルギーバンド図を、半導体材料の相互作用を反映させて模式的に示したものである。 InGa1−yN層の膜厚とLED素子の歩留まりの関係を示す表である。 ヘテロ構造体を構成するAlGaN層のSiドープ濃度を変化させたときの、LED素子を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。 MQWを構成するAlGaNのSiドープ濃度を変化させたときの、従来のLED素子を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。 ヘテロ構造体の伝導帯のエネルギーバンド図を、半導体材料の相互作用を反映させて模式的に示したものである。 LED素子の電流電圧特性をグラフ化したものである。 第2半導体層に含まれるIn組成を異ならせて作製したLED素子に対して供給した電流と光出力の関係を示すグラフである。 従来のLED素子の構造を示す概略断面図である。
[構造]
図1は、本発明のLED素子1の構造を示す概略断面図である。なお、図14に示すLED素子90と同一の構成要素については、同一の符号を付している。また、以下の各図面において、実際の寸法比と図面上の寸法比は必ずしも一致しない。
LED素子1は、LED素子90と比較して、活性層17に代えてヘテロ構造体2を備える点が異なる。
LED素子1は、サファイアなどの支持基板11の上層に、アンドープ層13を有し、その上層にn型クラッド層15(「第1半導体層」に対応)を有し、n型クラッド層15の上層に、n−Alx1Gax2Inx3N層3(「第2半導体層」に対応)とInGa1−yN層4(「第3半導体層」に対応)の積層構造で形成されたヘテロ構造体2を有する。LED素子1は、ヘテロ構造体2の上層に、p型クラッド層19(「第4半導体層」に対応)、及びp型コンタクト層21を備える構成である。また、LED素子1は、LED素子90と同様に、ヘテロ構造体2とp型クラッド層19の間に、必要に応じてラストバリア層を有する(不図示)。なお、第2半導体層において、0<x1<1,0<x2<1,0≦x3≦0.05,x1+x2+x3=1である。
(支持基板11)
支持基板11は、サファイア基板で構成される。なお、サファイアの他、Si,SiC,GaN,YAGなどで構成しても構わない。
(アンドープ層13)
アンドープ層13は、GaNにて形成される。より具体的には、GaNよりなる低温バッファ層と、その上層にGaNよりなる下地層によって形成される。
(n型クラッド層15)
n型クラッド層15は、n−AlGa1−nN(0≦n≦1)で構成される。なお、アンドープ層13に接触する領域にn−GaNで構成される層(保護層)を含む構成としても構わない。この場合、保護層に、Si,Ge,S,Se,Sn,Teなどのn型不純物がドープされており、特にSiがドープされているのが好ましい。
なお、本実施形態では、一例としてn型クラッド層15をn−Al0.1Ga0.9Nで形成している。
(p型クラッド層19)
p型クラッド層19は、例えばp−AlGa1−cN(0≦c≦1)で構成され、Mg,Be,Zn,Cなどのp型不純物がドープされている。本実施形態では、一例としてp型クラッド層19をp−Al0.3Ga0.7Nとp−Al0.07Ga0.93Nの積層構造で形成している。なお、p型コンタクト層21に接触する領域にGaNで構成される層(保護層)を含む構成としても構わない。この場合、保護層に、Mg,Be,Zn,Cなどのp型不純物がドープされている。
(p型コンタクト層21)
p型コンタクト層21は、例えばp−GaNで構成される。特にMg,Be,Zn,Cなどのp型不純物が高濃度にドープされてp−GaN層で構成される。
(ヘテロ構造体2)
上述したように、ヘテロ構造体2は、n−Alx1Gax2Inx3N層3とInGa1−yN層4の積層構造によって形成される。
ここで、n−Alx1Gax2Inx3N層3は、Siドープ濃度が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下で構成される。また、InGa1−yN層4は、膜厚が10nm以上、25nm以下で構成され、LED素子1のピーク発光波長が362nm以上、395nm以下となるようなIn組成比で構成される。
[別構成]
図2に示すように、LED素子1は、ヘテロ構造体2を複数周期繰り返してなる多層構造部2Aを備えた構成としても構わない。このとき、LED素子1は、多層構造部2Aの最上層に位置するInGa1−yN層4の上層に、p型クラッド層19及びp型コンタクト層21を備える構成である。また、この場合においても、多層構造部2Aの最上層に位置するInGa1−yN層4とp型クラッド層19の間に、必要に応じてラストバリア層を有するものとして構わない(不図示)。
また、ヘテロ構造体2を構成するn−Alx1Gax2Inx3N層3とInGa1−yN層4の位置関係は、これらが交互に積層されていれば、どちらが上層でどちらが下層に位置しても構わない。例えば、ヘテロ構造体2を複数周期繰り返してなる多層構造部2Aを備える構成の場合、図3に示すように、InGa1−yN層4の上層にn−Alx1Gax2Inx3N層3が積層された構成としても構わない。なお、図2及び図3には、いずれもヘテロ構造体2が3周期繰り返し積層された多層構造部2Aを備える構成が開示されているが、繰り返し周期数を3に限定するものではない。例えば5周期としても構わないし、他の周期数としても構わない。
[ヘテロ構造体2の機能説明]
以下、上記構成のヘテロ構造体2を備えたことで、LED素子1が従来のLED素子90よりも発光効率が向上することにつき、実施例を参照して説明する。なお、以下の説明では、第2半導体層に含まれるIn組成を0%であるものとして(x3=0)説明するが、Inを5%以内の範囲で含む第2半導体層であっても同様の議論が可能である。このとき、第2半導体層を適宜、「n−AlGa1−xN層3」と記載するが、これは、第2半導体層がn−Alx1Gax2Inx3N(0<x1<1,0<x2<1,0≦x3≦0.05,x1+x2+x3=1)で構成される場合におけるx3=0のときと等価である。
なお、以下の説明では、比較検証のために用いたLED素子90は、MQWによって形成される活性層17として、膜厚2nmのInGaNと膜厚5nmのAlGaNが交互に5周期積層されて形成されたものを採用した。
(ピーク発光波長に関する考察)
図4は、ヘテロ構造体2を構成するInGa1−yN層4のIn組成、すなわちy値を変化させたときの、LED素子1のピーク発光波長と光出力の関係を示すグラフである。ここでは、LED素子1として、n型クラッド層15の上層に膜厚15nmのInGa1−yN層4を形成し、InGa1−yN層4の上層に膜厚20nmのn−AlGa1−xN層3を形成してなるヘテロ構造体2を5周期繰り返した構成を採用した(図3参照)。また、比較のため、ヘテロ構造体2を設けていない従来のLED素子90のデータも載せている。上述したように、このLED素子90としては、膜厚2nmのInGaNと膜厚5nmのAlGaNが交互に5周期積層されてなる活性層17を有する構成とした。
また、図4では、LED素子1及び従来のLED素子90共に、350μm角の素子を利用し、この素子に0.1Aの電流を注入したときの光出力を測定している。これは、素子の電流密度を100A/cmとした場合に相当する。この電流密度は高注入デバイスとして設計する際に目標とされる値に対応している。なお、低注入デバイスとして設計される際の電流密度は20〜30A/cm程度である。
図4によれば、発光波長が362nm以上で395nm以下の範囲D1において、従来のLED素子90よりも本発明のLED素子1の方が、光出力が向上していることが分かる。一方、発光波長が362nmより短い357nmの場合、並びに395nmより長い400nm、410nm、420nmにおいては、いずれも従来のLED素子90の方が、LED素子1よりも光出力が高い。この結果は、以下のことを示唆するものと考えられる。
図5A及び図5Bは、ヘテロ構造体2のエネルギーバンド図を模式的に示したものである。なお、以下では、各原子の組成に関して注目しない場合には、第2半導体層を「AlGaN」、第3半導体層を「InGaN」とそれぞれ表記するが、これは窒素以外の原子の比率が1:1であることを規定しているわけではない。
InGaNに比べてAlGaNの方が、バンドギャップが大きい。このため、図5Aに示すように、後述する分極電界の影響を考慮しなければ、n型クラッド層15を構成するn−AlGaNと、ヘテロ構造体2を構成するAlGaN層3の間で、InGaN層4によるほぼ平坦なバンド領域が形成される。ここで、前述したように、本実施例では、InGaN層4の膜厚を15nmとしており、従来のLED素子90の活性層17を構成するInGaNの膜厚の2nmよりもはるかに厚い。このため、InGaN層4の領域において、ほぼ平坦なバンド領域が広く形成される。
なお、別の実験結果を参照して後述するが、本発明のLED素子1が備えるヘテロ構造体2を構成するInGaN層4の膜厚は、10nm以上25nm以下の範囲内であり、MQWを活性層17とする従来のLED素子90が備える、膜厚2nm程度InGaNと比較して、極めて厚く構成される。
LED素子1では、InGaN層4によって形成される平坦なバンド領域の面に垂直なc軸方向に、圧電分極(ピエゾ分極)が発生する。
図5Bは、このピエゾ電界の影響を考慮して描かれたヘテロ構造体2のエネルギーバンドを模式的に示したものである。ピエゾ電界により、エネルギーバンドに歪みが生じる。
エネルギーバンドの歪みが増大すると、電子と正孔との波動関数の重なりが減少し、電子と正孔とが再結合することによって発光する割合が低下する、いわゆる量子シュタルク効果が生じる。この歪みは、InGaN層4のIn組成比が大きくなるほど大きくなる。ピーク発光波長が400nm以上のLED素子1において、従来のLED素子90よりも光出力が低下しているのは、In組成比が高いことによる量子シュタルク効果が顕在化したものと考えられる。また、格子定数差からくる前述のミスフィット転位の影響も無視できなくなっていると考えられる。
一方、ピーク発光波長が360nmを下回る357nmの光を実現しようとすると、InGa1−yN層4のIn比率を極めて少なくする必要がある。従来のLED素子90の場合、InGaNの膜厚が2nm程度であるため、Inの少量添加が可能であり、この程度の短波長の光を実現するための最適なIn比率を実現することが可能である。しかし、膜厚15nmのInGa1−yN層4を含むLED素子1では、InGa1−yN層4の膜厚が厚い分、Inの含有量が高くなってしまい、357nm程度の短波長の光を実現するのが難しい。このことから、ピーク発光波長が357nmのLED素子を実現した場合には、従来のLED素子90の方がLED素子1よりも光出力が高くなっている。
これに対し、ピーク発光波長が362nm以上、395nm以下の範囲内D1においては、本発明のLED素子1の方が、従来のLED素子90よりも光出力が高い。この理由としては、以下の内容が考えられる。
図5Aに示したように、InGaN層4に比べてAlGaN層3は電子的なバンドギャップが大きい。図5Aには、伝導帯30、価電子帯31、並びにInGaN層4のフェルミ準位32及びAlGaN層3のフェルミ準位33が示されている。なお、図5Aでは、InGaNとAlGaNの間の相互作用は考慮されていない。
図5Cは2つの半導体材料の相互作用を反映させた伝導帯30の状態を模式的に示したものである。フェルミ準位32及び33は相互に等位になるが、AlGaNとInGaNのエネルギーバンドの不連続性により、p層に近いAlGaN層3の伝導帯は下方へ引っ張られ、バンドベンディング領域41が生じる。このバンドベンディング領域41内において、水平方向に移動度の高い二次元電子ガス層が形成される。また、上述したように、InGaN層4の膜厚を大きくしたことにより、ほぼ平坦なバンド領域42が拡がり、多くの電子を蓄積できるので、AlGaN層3とInGaN層4の界面に形成されるバンドベンディング領域41、及びInGaN層4のほぼ平坦なバンド領域42に電子が蓄積されるまで、AlGaN層3のポテンシャルを超えて電子がオーバーフローすることがない。つまり、水平方向への電子の移動が図られ、この結果、水平方向への電流拡がりを実現することができる。つまり、InGaN層4とAlGaN層3のヘテロ接合によって、水平方向に電流を拡げる機能(電流拡散機能)が実現される。
以上により、LED素子1の構成によれば、ピーク発光波長が362nm以上、395nm以下となる範囲内において、従来よりも光出力を向上させる効果が得られることが分かる。
なお、図2及び図3に示すように、ヘテロ構造体2を複数周期有する構成とした場合は、図5A〜図5Cにおいて、AlGaN層15を直前周期のヘテロ構造体2を構成するAlGaN層3と置き換えれば、同様の議論が可能である。図5Dは、ヘテロ構造体2を複数周期有する構成(図2、図3参照)におけるヘテロ構造体2の伝導帯30のエネルギーバンド図を、図5Cにならって模式的に示したものである。
図5Dによれば、ヘテロ構造体2を複数周期備えることで、水平方向に電流を広げる役割を示すバンドベンディング領域41及び、電子を蓄積させる機能を示すほぼ平坦なバンド領域42を複数持たせることができる。これにより、電流拡がりの効果を更に向上させることができる。
また、特に、InGaN層4の膜厚を大きくすることで、電流拡がり効果を高めることができ、光出力の向上に更に寄与している。この点につき、次に説明する。
(InGaN層4の膜厚に関する考察)
上述したように、InGaN層4がほぼ平坦なバンド領域42を形成することから、電子を蓄積する能力を高める意味において、InGaN層4の膜厚を大きくするのが好ましいといえる。しかし、GaNとInGaNの格子定数の差に起因して、InGaN層4の膜厚をあまりに大きくすると、格子緩和が生じ、バンドベンディング領域41及びほぼ平坦なバンド領域42に電子を十分に蓄積させることができなくなる。
図6は、LED素子1において、InGaN層4の膜厚を変化させたときの、膜厚と得られる光出力の関係を示すグラフである。なお、ピーク発光波長は365nmとなるようにInGaN層4のIn比率を調整している。
図6によれば、InGaN層4の膜厚が5nm以下の領域D2と、6nm以上の領域D3にて、光出力と膜厚の関係に変化が生じていることが分かる。つまり、領域D2内においては、膜厚約3nmをピークとして、それより膜厚が厚くなると光出力が低下している。この領域D2は、いわゆる量子井戸による量子効果を利用して発光再結合が促されている膜厚の範囲内であり、従来のLED素子90の発光に寄与している領域であると考えられる。
これに対し、膜厚6nm以上の領域D3では、再びInGaN層4の膜厚が厚くなると光出力が上昇し始めており、膜厚約15nmをピークとして、それより膜厚が厚くなると光出力が低下を始める。この領域D3は、InGaN層4とAlGaN層3のヘテロ接合界面のバンドベンディング領域41を利用した量子効果により発光が促されている膜厚の範囲内であると考えられる。
図6によれば、MQW構成として従来利用されていた膜厚の範囲内D2と比較して、LED素子1の構成として、InGaN層4の膜厚を10nm以上、25nm以下の範囲(領域D4)とした場合に、従来よりも光出力を向上できていることが分かる。なお、LED素子1の構成として、InGaN層4の膜厚を25nmよりも厚くすると、上述した格子緩和による結晶欠陥によるミスフィット転位が顕在化し、面内の電流の均一性が低下した結果、従来構成より光出力が低下したものと考えられる。
図7は、図5Cにならって伝導帯30の状態を模式的に示したものである。図7(a)は、InGaN層4の膜厚を図6の領域D4の範囲内である15nmとした場合、(b)は領域D4から外れている7nmとした場合の、伝導帯30の状態を示している。図7(b)に示すように、InGaN層4の膜厚が薄い場合、上述したようにピエゾ電界の影響を大きく受けたことで、ほぼ平坦なバンド領域42にも傾きが生じ(42A)、電子を蓄積する能力が少なくなる。これに対し、図7(a)に示すように、膜厚を15nmと厚くすると、この平坦なバンド領域42が拡がり、電子を蓄積する能力が増大する。
図7において、フェルミ準位(32,33)を超えるポテンシャルを有する電子は、p層側(図面における右側)へとフローしてしまう。このため、図7(b)の構成の場合、電子を十分に蓄積する前にLED素子に電流が流れてしまい、電流を十分に拡散する効果が得られない。これに対し、図7(a)の構成の場合、多くの電子を平坦なバンド領域42に蓄積することができるため、電子がフェルミ準位を超えるポテンシャルを有するまでの間に、バンドベンディング領域41によって構成された二次元電子ガスによって電子を拡散することができる。これにより、電流拡散効果が得られ、光出力を向上させる効果が得られる。
以上により、InGaN層4の膜厚を10nm以上25nm以下とすることで、LED素子1の光出力を向上させる効果が得られることが分かる。
更に、InGaNの膜厚を厚くすることで、LED素子自体の耐圧特性が向上し、歩留まりを向上させる効果が得られる。図8は、InGaNの膜厚とLED素子の歩留まりの関係を示す表である。
AlGaN層3の膜厚を20nmに固定し、InGaN層4の膜厚を3nm、5nm、10nm、20nmと異ならせたLED素子1を作製した。そして、各LED素子1に対し、500Vの順方向電圧及び逆方向電圧をそれぞれ印加した後、逆方向バイアスとして−5Vを印加したときに流れる逆方向電流を測定する。このとき、当該逆方向電流の絶対値が5μA以下(又は未満)であるものを良好な素子とし、逆方向電流の絶対値が5μAを超えるものを不良素子として、歩留まりを測定した。
図8によれば、InGaN層4の膜厚を最も厚くした20nmのときが最も歩留まりが高く、InGaN層4の膜厚を最も薄くした3nmのときが最も歩留まりが低い。なお、InGaN層4の膜厚を3nm、5nm、10nm、20nmと順に厚くするに連れて歩留まりが高くなっており、InGaN層4の膜厚が10nm以上になると、歩留まりの良化傾向は鈍化している。
このような現象が生じた理由は、InGaN層4の膜厚が厚くなることで、InGaN層4(InGa1−yN層4)とAlGaN層3(n−Alx1Gax2Inx3N層3)の間に二次元電子ガス層が生じやすくなるためと考えられる。上述したように、二次元電子ガス層は水平方向に電流を拡げる効果を有するが、これに伴って狭い領域に電流が集中しにくくなり、電界が緩和される。この結果、瞬間的に高電圧が印加された場合であっても、電流拡散層3において電界が拡散される結果、電界が集中しにくくなり、素子の破壊が起こりにくくなっているものと考えられる。
(AlGaN層3のSiドープ濃度に関する考察)
図9は、ヘテロ構造体2を構成するAlGaN層3のSiドープ濃度を変化させたときの、LED素子1を流れる電流と、LED素子1から得られる光出力の関係を示すグラフである。なお、InGaN層4としては、ピーク発光波長が365nm(362nm以上395nm以下の範囲内の値)となるようにIn比率を設定し、膜厚を15nm(10nm以上25nm以下の範囲内の値)とした。
図9では、比較のために、MQW(量子井戸)を備えた従来のLED素子90の結果も載せている。この素子90は、MQWによって形成される活性層17として、膜厚2nmのInGaNと膜厚5nmのAlGaNが交互に5周期積層されて形成されたものを採用し、LED素子1と同様にピーク発光波長が365nmとなるように、InGaNのIn比率を設定した。また、このLED素子90の活性層17を構成するInGaNは、LED素子1と比べて膜厚が極めて薄いので、ドープできるSiは、高々5〜8×1017/cm程度となり、それ以上ドープした場合には光出力が低下してしまう。このため、図9の例では、Siのドープ濃度を7×1017/cmとしたものを用いた。
なお、図10には、従来構造のLED素子90において、MQWを構成するAlGaNのSiドープ濃度を変化させたときの、LED素子90を流れる電流と得られる光出力の関係をグラフに示している。このグラフによれば、AlGaNのSiドープ濃度を7×1017/cmとしたときが、最も高い光出力が得られていることが分かる。このため、図9では、LED素子1との比較のために、最も高い光出力が得られているSiドープ濃度である7×1017/cmとしている。
図9によれば、Siドープ濃度が3×1018/cmのときが、最も高い光出力を示している。また、1×1018/cm、3×1018/cm3、8×1018/cm、1×1019/cmの場合には、いずれも従来のLED素子90以上の高い光出力を示していることが分かる。これに対し、Siドープ濃度が1×1018/cmよりも低い7×1017/cmの場合と、1×1019/cmよりも高い2×1019/cmの場合には、従来のLED素子90より光出力が低下していることが分かる。
AlGaN層3のSiドープ濃度が7×1017/cmの場合には、絶対的なSi濃度が低いために、伝導帯30のスクリーニング効果が小さく、キャリアが十分に領域(42,43)内に取り込めていないことが考えられる(図5C参照)。一方、AlGaN層3のSiドープ濃度が2×1019/cmの場合には、電子のオーバーフローによって発光再結合確率が低下し、内部発光効率が悪化する、いわゆるドループ現象が生じているために、光出力が低下しているものと考えられる。
伝導帯30のスクリーニング効果について、図11を参照して説明する。図11(a)は、AlGaN層3へのSiドープをしなかった場合、図11(b)は、AlGaN層3のSiドープ濃度を3×1018/cmとした場合の、ヘテロ構造体2の伝導帯30を模式的に示したものである。
前述したように、アンドープ層13を構成するGaN結晶のc面上に、n型クラッド層15を構成するAlGaNを結晶成長させた場合、格子定数差に基づくピエゾ電界が発生する。この電界に起因して、n型クラッド層15を構成するn−AlGaN、及びヘテロ構造体2を構成するAlGaN層3とInGaN層4によって形成される伝導帯30に傾きが生じる(領域51)。この傾きの存在は、p層側(図面上右側)への電子の移動を妨げてしまう。これに対し、AlGaN層3にSiをドープすると、ピエゾ電界を打ち消す方向に電界が働くため、伝導帯30を押し下げる効果が働く。この結果、伝導帯30の傾きが緩和され(領域52)、n層側から電子をバンドベンディング領域41及びほぼ平坦なバンド領域42へと注入しやすくなる。
特に、100A/cm程度の高注入デバイスとしてLED素子1を設計する場合においては、より多くの電子を注入できる構成とするのが好ましい。この結果からも、AlGaN層3に対してドープするSi濃度は高くするのが好ましい。ただし、高くし過ぎると、前述したようにドループ現象が生じるため、1×1018/cm以上、1×1019/cm以下のSiドープ濃度とすることで、光出力を向上させることが可能となる。
図12は、従来のLED素子90と本発明のLED素子1のそれぞれにおいて、素子間に動作電圧を印加して電流を流したときの、電流電圧特性をグラフ化したものである。
ここで、従来のLED素子90としては、MQWによって形成される活性層17として、膜厚2nmのInGaNと膜厚5nmのAlGaNが交互に5周期積層されて形成されたものを採用し、AlGaN層へのSiドープ濃度を7×1017/cmとした。また、本発明のLED素子1としては、膜厚15nmのInGaN層4と膜厚20nmのAlGaN層3からなるヘテロ構造体2を5周期積層した構成を採用し、AlGaN層3へのSiドープ濃度を3×1018/cmとした。また、いずれの素子も、ピーク発光波長が365nmとなるようにInGaN層のIn比率を設定した。つまり、従来のLED素子90は、図10において最も光出力が高い値を示したSiドープ濃度をAlGaN層に適用したものを採用し、LED素子1は、図9において最も光出力が高い値を示したSiドープ濃度をAlGaN層3に適用したものを採用した。
図12によれば、印加電流を高くした場合、従来のLED素子90に比べて、LED素子1の方が動作電圧を低く実現できている。これは、AlGaN層3へのSiドープ濃度を従来素子よりも高濃度に設定できていることによる別の効果である。
[LED素子1の製造方法]
次に、本発明のLED素子1の製造方法の一例につき説明する。なお、下記製造方法で説明する製造条件や膜厚などの寸法は、あくまで一例であって、これらの数値に限定されるものではない。また、以下に示す製造法例は、図1に示すLED素子に関するものである。
<ステップS1>
まず、支持基板11上に、アンドープ層13を形成する。例えば、以下の工程により行われる。
(支持基板11の準備)
支持基板11としてサファイア基板を用いる場合、c面サファイア基板のクリーニングを行う。このクリーニングは、より具体的には、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)装置の処理炉内にc面サファイア基板を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより行われる。
(アンドープ層13の形成)
次に、支持基板11(c面サファイア基板)の表面に、GaNよりなる低温バッファ層を形成し、更にその上層にGaNよりなる下地層を形成する。これら低温バッファ層及び下地層がアンドープ層13に対応する。
アンドープ層13のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、МОCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を480℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ5slmの窒素ガス及び水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルガリウム(TMG)及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に68秒間供給する。これにより、支持基板11の表面に、厚みが20nmのGaNよりなる低温バッファ層を形成する。
次に、MOCVD装置の炉内温度を1150℃に昇温する。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が100μmol/minのTMG及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に30分間供給する。これにより、低温バッファ層の表面に、厚みが1.7μmのGaNよりなる下地層を形成する。
<ステップS2>
次に、アンドープ層13の上層に、n−AlGa1−nN(0<n≦1)で構成されるn型クラッド層15を形成する。
n型クラッド層15のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を30kPaとする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が94μmol/minのTMG、流量が6μmol/minのトリメチルアルミニウム(TMA)、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.025μmol/minのテトラエチルシランを処理炉内に30分間供給する。これにより、Al0.06Ga0.94Nの組成を有し、Si濃度が3×1019/cmで厚みが1.7μmの高濃度電子供給層をアンドープ層13の上層に形成する。つまり、この工程によって、少なくとも上面の領域に関してはSi濃度が3×1019/cmで厚みが1.7μmの高濃度電子供給層を有するn型クラッド層15が形成される。
なお、ここでは、n型クラッド層15に含まれるn型不純物としてシリコン(Si)を用いるものとして説明したが、ゲルマニウム(Ge)、硫黄(S)、セレン(Se)、錫(Sn)及びテルル(Te)などを用いることもできる。なお、これらの中では、特にシリコン(Si)が好ましい。
<ステップS3>
次に、n型クラッド層15の上層に、n−AlGa1−xN層3とInGa1−yN層4からなるヘテロ構造体2を形成する。
ヘテロ構造体2のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を830℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が1slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が10μmol/minのTMG、流量が12μmol/minのトリメチルインジウム(TMI)及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に360秒間供給するステップを行う。その後、流量が10μmol/minのTMG、流量が1.6μmol/minのTMA、流量が0.009μmol/minのテトラエチルシラン及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に360秒間供給するステップを行う。これにより、膜厚が15nmのInGaN層4、及び膜厚が20nmのn−AlGaN層3よりなるヘテロ構造体2が形成される。
なお、図2及び図3に示すように、ヘテロ構造体2を複数周期備える構成とする場合は、本ステップS3を複数回繰り返すことで実現できる。
<ステップS4>
次に、ヘテロ構造体2(ヘテロ構造体2を複数周期有する場合は、最上層に位置するヘテロ構造体2)の上層に、p−AlGa1−cN(0≦c≦1)で構成されるp型クラッド層19を形成し、更にその上層に高濃度のp型コンタクト層21を形成する。
p型クラッド層19及びp型コンタクト層21の、より具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を100kPaに維持し、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が25slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を1050℃に昇温する。その後、原料ガスとして、流量が35μmol/minのTMG、流量が20μmol/minのTMA、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.1μmol/minのビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を処理炉内に60秒間供給する。これにより、ヘテロ構造体2の最上層の表面に、厚みが20nmのAl0.3Ga0.7Nの組成を有する正孔供給層を形成する。その後、TMAの流量を9μmol/minに変更して原料ガスを360秒間供給することにより、厚みが120nmのAl0.07Ga0.93Nの組成を有する正孔供給層を形成する。これらの正孔供給層によりp型クラッド層19が形成される。
更にその後、TMAの供給を停止すると共に、CpMgの流量を0.2μmol/minに変更して原料ガスを20秒間供給する。これにより、厚みが5nmのp−GaNよりなるp型コンタクト層21が形成される。
なお、ここでは、p型クラッド層19及びp型コンタクト層21に含まれるp型不純物としてマグネシウム(Mg)を用いるものとして説明したが、ベリリウム(Be)、亜鉛(Zn)、カーボン(C)などを用いることもできる。
<ステップS5>
次に、ステップS1〜S4を経て得られたウェハに対して活性化処理を行う。より具体的には、RTA(Rapid Thermal Anneal:急速加熱)装置を用いて、窒素雰囲気下中650℃で15分間の活性化処理を行う。
その後は、縦型のLED素子を実現する場合には、支持基板11を剥離した後、当該支持基板11が存在していた箇所に電極を形成してn側電極を形成する。また、横型のLED素子を実現する場合には、p側からn型半導体層が露出するまでエッチングを行なって、n側電極を形成する。なお、この場合、必要に応じて透明電極などの電極を形成するものとしても構わない。その後、各電極に給電端子などを形成し、必要に応じて、露出されている素子側面や上面を透光性の高い絶縁層で覆い、ワイヤボンディングなどにより基板との接続を行う。
[別実施形態]
上述した実施形態では、第2半導体層としてIn組成0%のn−AlGa1−xN層3で構成されるものとして説明したが、5%以下の範囲内の組成でInが添加されてなるn−Alx1Gax2Inx3N(0<x1<1,0<x2<1,0≦x3≦0.05,x1+x2+x3=1)で構成されていても構わない。図13は、第2半導体層に含まれるIn組成を異ならせて作製したLED素子に対して供給した電流と光出力の関係を示すグラフである。図13の縦軸が示す光出力の値は、Inを含まないn−AlGa1−xN層によって第2半導体層を形成したLED素子に対して0.1Aを供給したときの光出力に対する相対値で規定している。
なお、第2半導体層に対してInを含ませる方法としては、上述したステップS3のうち、TMG、TMA、テトラエチルシラン、及びアンモニアを供給するステップを実行する際、これらのガスと共にTMIを所定流量で供給することで実現できる。
図13によれば、第2半導体層にInを4%含ませた場合には、Inを含ませずに第2半導体層を構成した場合と光出力があまり変わらなかった、また、第2半導体層にInを1%含ませた場合及びInを2%含ませた場合には、Inを含ませずに第2半導体層を構成した場合よりも光出力が向上した。これは、AlGaNにInを含有することで、AlGa(In)NとInGaNの格子不整合から生じる歪みを緩和し、その表面状態が改善されたことに起因するものと考えられる。
ただし、第2半導体層にInをあまりに過剰に含ませると、InGaN層4に対するエネルギー障壁が低くなるため電子のオーバーフローが顕著になるという問題や、ピエゾ電極が小さくなることによる二次元電子ガスの効果が低減するという問題が生じるおそれがある。図13では、第2半導体層に含ませるInを4%とした場合にはInを含有させない場合とほぼ同等の光出力であることが示されているが、5%程度とした場合においても、その差はあまり大きくないことが確認されている。しかし、Inの組成が5%を超えると、上記の理由により、Inを含まないAlGaNによって第2半導体層を構成した場合よりも光出力が有意に低下してしまうので、第2半導体層に含ませるInの組成は0%以上5%以下とするのが好適である。
1 : LED素子
2 : ヘテロ構造体
2A : 多層構造部
3 : n−AlGa1−xN層(n−Alx1Gax2Inx3N層)
4 : InGa1−yN層
11 : 支持基板
13 : アンドープ層
15 : n型クラッド層
17 : 活性層
19 : p型クラッド層
21 : p型コンタクト層
30 : 伝導帯
31 : 価電子帯
32 : InGaNのフェルミ準位
33 : AlGaNのフェルミ準位
41 : AlGaNとInGaNの界面に形成されるバンドベンディング領域
42 : InGaNが形成するほぼ平坦なバンド領域
81 : 引張応力
90 : LED素子

Claims (2)

  1. 支持基板上に窒化物半導体層をc軸成長させてなるLED素子であって、
    前記支持基板の上層に形成されたアンドープ層と、
    前記アンドープ層の上層に形成され、n型窒化物半導体で構成される第1半導体層と、
    前記第1半導体層の上層に、Siドープ濃度が1×1018/cm以上、1×1019/cm以下のn−Alx1Gax2Inx3N(0<x1<1,0<x2<1,0≦x3≦0.05,x1+x2+x3=1)で構成される第2半導体層と、膜厚が10nm以上、25nm以下のInGa1−y(0<y<1)で構成される第3半導体層の積層構造で形成されたヘテロ構造体と、
    前記ヘテロ構造体の上層に形成され、p型窒化物半導体で構成される第4半導体層を備え、
    ピーク発光波長が362nm以上、395nm以下であることを特徴とするLED素子。
  2. 前記ヘテロ構造体を複数周期繰り返してなる多層構造部を有し、
    前記多層構造部の最上層に位置する前記ヘテロ構造体の上層に前記第4半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED素子。
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