JP5795311B2 - 抗体ベースのアレイを使用する胃癌療法のための薬物選択 - Google Patents

抗体ベースのアレイを使用する胃癌療法のための薬物選択 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2009年7月15日に出願された米国仮出願第61/225,866号、2009年11月30日に出願された米国仮出願第61/265,218号及び2010年4月16日に出願された米国仮出願第61/325,000号の優先権を主張し、これらの開示は、全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれる。
***、肝臓、肺、卵巣、腎臓、胃(stomach)(胃(gastric))及び甲状腺の癌腫を含む広範な種々のヒト悪性腫瘍は、持続するc−Metの刺激、過剰発現又は突然変異を示す。特に、c−Metの活性化突然変異が、乳頭状腎臓癌の特定の遺伝型の患者において明確に同定されており、このことはc−Metがヒト腫瘍発生に直接関与していることを示す。c−Met受容体の調節不全又はこのリガンド、肝細胞成長因子(HGF)の過剰発現に起因するc−Metシグナリング経路のアベラントなシグナリングは、悪性表現型と関連している。c−Metシグナリングがいくつかの癌の進行及び拡散に関与する広範な証拠並びに疾患におけるこの役割についての理解の向上は、癌薬物開発における主な標的としてc−Met及びHGFへのかなりの関心を生み出した。
この関心は、潜在的な臨床用途を有する種々のc−Met経路アンタゴニストの開発をもたらした。経路選択的抗癌薬開発のこの3種の主なアプローチは、リガンド/受容体相互作用の拮抗作用、チロシンキナーゼ触媒活性の阻害及び受容体/エフェクター相互作用の遮断を含む。
c−Metは、散乱因子としても公知の肝細胞成長因子(HGF)の細胞表面受容体である。HGFは、プラスミノーゲンセリンプロテアーゼファミリーのメンバーに高度に関連するマルチドメイン糖タンパク質である。HGFは、間葉細胞により単鎖の不活性ポリペプチドとして分泌され、多数のプロテアーゼによりこの活性ヘテロ二量体に開裂される。
HGF結合は、c−Met受容体のホモ二量体化及び触媒部位内の2個のチロシン残基(Y1234及びY1235)のリン酸化を誘導し、このことによりキナーゼ活性を調節する。カルボキシ末端テイルは、チロシンY1349及びY1356を含み、これらはリン酸化されると細胞内アダプタータンパク質についてのドッキング部位として機能し、下流シグナリングをもたらす。c−Met受容体は、胚形性時及び成人期に、肝臓、膵臓、前立腺、腎臓、筋及び骨髄を含む多くの器官の上皮細胞内で発現される。
対象となる1種のc−Met媒介癌は、胃癌である。胃癌は、世界規模の主な癌による死因であり、発病率は1年当たり18.9人/100000人である。胃癌の発病率は、934000人の症例と推定され、新たな症例の56%は西アジアにおいて生じている。胃癌は、2002年のCentral Tumor Registryデータによれば、韓国において全ての癌の20.8%を占める。胃切除は胃癌患者における唯一の根治治療であるが、根治手術後40〜60%に及ぶ高い再発率が依然として不良な全生存率の一因となっている。
いくつかのc−Metアンタゴニストの前臨床結果は、目下臨床調査中である。これらの薬剤は、モノクローナル抗体、リガンド/受容体相互作用の撹乱物質及び小分子チロシンキナーゼ阻害剤を含み、有望である。いくつかのマルチ標的療法も臨床において調査中であり、特にチロシンキナーゼ阻害に関して見込みがあると実証されている。種々の癌においてc−Metが担う役割に関し、個体のための治療の適切な選択及び方針の必要性が存在する。このことは、特に、c−Met媒介胃癌に当てはまる。本発明は、これらの及び他の必要性を満たす。
本発明は、腫瘍細胞(例えば、胃腫瘍細胞)におけるシグナル伝達経路の構成因子の状態(例えば、発現及び/又は活性化レベル)を検出するための組成物及び方法を提供する。本発明の実施から導き出されるシグナル伝達経路の構成因子(例えば、HER2及び/又はc−Metシグナル伝達経路構成因子)の発現及び/又は活性化状態についての情報は、胃癌診断、予後診断及び胃癌治療の設計に使用することができる。
一態様において、本発明は、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択すること
を含む方法を提供する。
1つの特定の実施態様において、本発明は、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して抗癌薬が胃癌の治療に好適か不適かを決定すること
を含む方法を提供する。
別の特定の実施態様において、本発明は、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較すること;並びに
(e)1種以上の分析物について決定された発現レベル及び/又は活性化レベルが参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して変化(例えば、実質的に減少)した場合、抗癌薬が胃癌の治療に好適であることを示すこと
を含む方法を提供する。
一部の実施態様において、本発明の方法は、胃腫瘍の治療に好適な抗癌薬の選択を補助又は支援するために有用であり得る。他の実施態様において、本発明の方法は、胃腫瘍の治療に好適な抗癌薬の選択を改善するために有用であり得る。
別の態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定すること
を含む方法を提供する。
1つの特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性か非応答性かを同定すること
を含む方法を提供する。
別の特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較すること;並びに
(e)1種以上の分析物について決定された発現レベル及び/又は活性化レベルが参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して変化(例えば、実質的に減少)した場合、胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性であることを示すこと
を含む方法を提供する。
一部の実施態様において、本発明の方法は、抗癌薬による治療に対する胃腫瘍の応答の同定を補助又は支援するために有用であり得る。他の実施態様において、本発明の方法は、抗癌薬による治療に対する胃腫瘍の応答の同定を改善するために有用であり得る。
更に別の態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測すること
を含む方法を提供する。
1つの特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性を予測すること
を含む方法を提供する。
別の特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性を予測すること;並びに
(e)1種以上の分析物について決定された発現レベル及び/又は活性化レベルが参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して変化(例えば、実質的に減少)した場合、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性が高いことを示すこと
を含む方法を提供する。
一部の実施態様において、本発明の方法は、抗癌薬による治療に対して応答する胃癌対象の可能性の予測を補助又は支援するために有用であり得る。他の実施態様において、本発明の方法は、抗癌薬による治療に対して応答する胃癌対象の可能性の予測を改善するために有用であり得る。
本発明の他の目的、特性及び利点は、当業者には以下の詳細な説明及び図面から明白になる。
本発明の実施において使用することができる細胞増殖に関与するシグナル伝達経路の一例を示す図である。マイトジェンシグナルを細胞増殖に変換させるために細胞により使用されるEGFR/MAPK/ERK経路の構成因子が示されている。
癌治療の経過を通しての薬物選択のための本発明のアドレス可能なアレイの適用を略図によって示す図である。
HGF処理されたA431扁平上皮癌細胞におけるc−Met及びHER2活性化のレベルを示す図である。
HGF処理されたHCC827肺癌細胞におけるc−Met及びHER2活性化のレベルを示す図である。
結合される各標的タンパク質ごとに後続のチャネリング事象のための酵素と結合している2種の追加の検出抗体の共局在化に依存する本発明の近接アッセイフォーマット(COPIA)の一実施態様を示す図である。
受容体チロシンキナーゼ経路の構成因子、例えば、c−Met及びEGFR/MAPK/ERK経路におけるものに対する抗体の希釈物を含むアドレス可能なアレイの略例を示す図である。非限定的な例として、抗体は、アドレス可能なアレイ上の4種の異なる希釈物中でトリプリケートでプレーティングすることができる。
胃癌において活性化されるシグナル伝達経路の構成因子に対する抗体の希釈物を含むアドレス可能なアレイの略例を示す図である。非限定的な例として、抗体は、アドレス可能なアレイ上の4種の異なる希釈物中でトリプリケートでプレーティングすることができる。
生物学的試料における活性化(例えば、リン酸化)及び全分析物レベルの決定において特に有用な本発明の近接アッセイフォーマット(COPIA)の別の実施態様を示す。
HER2定量のために作成された標準滴定曲線を示す図である。
図10Aは、完全長HER2を除去した又は除去していないBT474細胞のディファレンシャルHER2プロファイリング(HER2−ECD及びHER2−ICD捕捉を用いる)の比較を示す図である。図10Bは、各RTKに特異的なリガンドにより処理された既知レベルのRTK発現を有する細胞系に基づく標的タンパク質発現及びリン酸化の定量を示す図である。
GCA試料における広範な経路タンパク質発現が観察されたことを示す図である。「T」=合計;「P」=リン酸化。
Veridex CTC計数システムにより決定された、GCA患者からの規定容量の血液において得られたCTCの数を示す図である。
COPIAにより決定された、GCA患者から単離されたCTCにおけるHER1/EGFR及びHER2の発現及び活性化を示す図である。
GCA腫瘍組織におけるHER2発現を検出するための免疫組織化学(IHC)とCOPIAとの相関度を示す図である。
GCA試料における広範な経路タンパク質発現が観察されたことを示す図である。COPIAによりアッセイされた分析物は、以下のシグナル伝達経路タンパク質:HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcを含んだ。N=291。
2種の異なる腫瘍溶解物濃度のGCA腫瘍組織におけるHER2、HER3、c−Met、IGF1R及びcKitの発現レベル並びにPI3Kの活性化レベルのCOPIA分析を示す図である。
COPIAを使用するGCA腫瘍組織試料におけるHER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcの発現プロファイリングを示す図である。IgG及びサイトケラチン(CK)を対照として使用し、HER1発現レベルは、2種の異なる捕捉抗体(「HER1」及び「HER1−2」と示す)を用いてアッセイした。アッセイされた腫瘍溶解物の量も示す(すなわち、0.25μg、2.5μg、20μg)。
COPIAを使用する追加のGCA腫瘍組織試料におけるHER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcの発現プロファイリングを示す図である。IgG及びCKを対照として使用し、HER1発現レベルは、2種の異なる捕捉抗体(「HER1」及び「HER1−2」と示す)を用いてアッセイした。アッセイされた腫瘍溶解物の量も示す(すなわち、0.25μg、2.5μg、20μg)。
COPIAを使用する追加のGCA腫瘍組織試料におけるHER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcの発現プロファイリングを示す図である。IgG及びCKを対照として使用し、HER1発現レベルは、2種の異なる捕捉抗体(「HER1」及び「HER1−2」と示す)を用いてアッセイした。アッセイされた腫瘍溶解物の量も示す(すなわち、0.25μg、2.5μg、20μg)。
HER2発現についてIHCによりIHC3+と決定された試料におけるCOPIA(例えば、本明細書に記載のトランケート化受容体近接アッセイを使用する)により決定されたGCA腫瘍組織試料におけるp95HER2の発現レベルを示す図である。
HER2発現に関してIHCとCOPIAとの間に観察された不一致を示す図である。CU=標準に対して正規化されたコンピュータ単位
HER2発現に関してIHCとCOPIAとの間に観察された不一致を説明する追加のGCA腫瘍組織試料を示す図である。
HER2発現についてIHCによっても記録されたGCA腫瘍試料においてCOPIAにより観察されたp95HER2発現レベルを示す図である。
発明の詳細な説明
I.導入
上記のとおり、細胞増殖に関与するシグナル伝達経路の活性化及び細胞死に関与する経路の不活性化は、多数の異なるタイプの癌を特徴付ける分子的特性の非限定的な例である。多くの場合、特定のシグナル伝達経路及びこれらの構成因子の活性は、所与のタイプの癌についての分子シグニチャーとして機能することができる。このような活性化された構成因子は、治療介入に有用な標的を更に提供することができる。従って、治療前、治療中及び治療後の癌細胞内での特定のシグナル伝達系の活性レベルに関する知見は、採用すべき適切な治療経過を選択するために使用することができる高度に関連する情報を医師に提供する。更に、治療が進行するにつれて癌細胞内で活性になるシグナル伝達経路の継続的追跡は、例えば、同一又は別のシグナル伝達経路のいずれかを活性化する更なる異常を通して癌細胞が治療に対して耐性になった場合、医師に特定の治療過程を継続すること又は別の治療ラインに切り替えることを促す、医師に治療の効力に関する追加の情報を提供することができる。
従って、本発明は、特異的マルチプレックスハイスループットアッセイにおいて、腫瘍組織又は腫瘍外細胞、例えば、固形腫瘍の希少循環細胞中での複数の脱調節されたシグナル伝達分子の発現及び活性化状態を検出するための方法及び組成物を提供する。本発明はまた、脱調節されたシグナリング経路を下方調節又は停止させるために適切な治療(単一薬物又は薬物の組合せ)を選択するための方法及び組成物を提供する。従って、本発明は、癌患者にパーソナライズされた治療の設計を促進するために使用することができる。
単細胞のレベルにおけるシグナル伝達経路の活性の決定を介する循環中で腫瘍細胞を検出及び同定する能力は、本発明の重要な利点である。腫瘍細胞は、「微小転移」(播種性腫瘍細胞)としての種々の初期段階の癌を有する患者の血液中に見出されることが多く、転移性癌においても見出される。血液中の腫瘍細胞の数は、腫瘍の病期及びタイプに依存する。生検物は典型的には原発性腫瘍上で得られる一方、ほとんどの転移腫瘍は生検が行われず、このことにより、このような腫瘍試料についての分子分析が極めて困難になる。腫瘍転移時には、多くの進行性腫瘍細胞は原発性腫瘍を離れ、血液系及びリンパ系を通って移動して遠隔部位に達する。従って、血液からの循環腫瘍細胞は、腫瘍細胞の最も悪性で均質な集団を表す。しかしながら、血液中の転移性腫瘍細胞の数は極めて少ないことが多く、血液1ミリリットル当たり1個から数千個の細胞まで変動する。このような希少細胞中でシグナル伝達経路を単離及びアッセイし、この情報をより有効な癌治療に向けて適用する能力は、本発明の1つの目的である。
一部の実施態様において、本発明のマルチプレックスハイスループット免疫アッセイは、固形腫瘍の循環細胞中の1種以上のシグナル伝達分子の活性化状態を単細胞レベルで検出することができる。実際、EGFR及びHER2などのシグナル伝達分子は、約100ゼプトモルの感度及び約100ゼプトモルから約100フェムトモルの線形ダイナミックレンジで検出することができる。従って、希少循環細胞中の複数のシグナル伝達物質の活性化状態の単細胞検出は、癌の予後診断及び診断並びにパーソナライズされた標的療法の設計を促進する。
希少循環細胞には、固形腫瘍から転移又は微小転移している固形腫瘍の循環細胞が含まれる。循環腫瘍細胞、癌幹細胞及び腫瘍に遊走している(例えば、化学走化性に起因する)細胞、例えば、循環内皮前駆細胞、循環内皮細胞、循環前血管新生骨髄性細胞及び循環樹状細胞は、固形腫瘍と関連する循環細胞の一部の例である。
対象となるシグナル伝達分子は、典型的にはこれらのインサイチュー活性化状態を保存するために循環細胞が単離された直後に、好ましくは約24、6又は1時間以内、より好ましくは約30、15又は5分以内に抽出される。単離された細胞は、通常はナノモルからマイクロモル濃度の1種以上の成長因子とともに約1〜30分間インキュベートしてシグナル伝達分子の活性化を復活させ、又は刺激することもできる(例えば、Irish et al.,Cell,118:217−228(2004)参照)。
以下により詳細に説明するとおり、個々の患者のために潜在的な抗癌療法を評価するため、単離された細胞を変動する用量の1種以上の抗癌薬とインキュベートすることができる。次いで、成長因子の刺激を数分間(例えば、約1〜5分間)又は数時間(例えば、約1〜6時間)実施することができる。抗癌薬を用いる及び用いないシグナリング経路のディファレンシャルな活性化は、各個々の患者のために適正用量での好適な癌療法の選択を補助することができる。循環細胞は、抗癌薬治療中の患者試料から単離し、1種以上の成長因子により刺激して治療の変更を実行すべきか否かを決定することもできる。従って、本発明の方法は、有利には、臨床医が全ての患者に適切な時点に適切な用量で適切な抗癌薬を提供することを支援する。
現在利用可能な胃癌試験オプションとは対照的に、本発明の方法は、例えば血液及び/又は細針吸引液(FNA)からの循環腫瘍細胞(CTC)などの試料を使用して固形胃腫瘍の「リアルタイム生検」を提供することにより、疾患の全病期を通して胃癌患者を追跡することを可能とする。非限定的な例として、本明細書に記載の胃癌アッセイは、疾患の早期段階に患者における胃癌の初期診断において使用することができる。好適な癌療法の選択は、本明細書に記載のアッセイを使用して、抗癌薬を用いて及び用いずに特異的シグナリング経路の発現及び/又は活性化状態をプロファイリングすることにより導かれる。有利には、本発明の方法は、疾患の任意の段階において採取され、本明細書に記載のアッセイを使用して分析された試料に基づいて治療介入を行うことができるので、疾患の進行又は退縮を追跡するために使用することもできる。従って、胃癌の初期及び転移期のために好適な癌療法の選択は、リアルタイム診断及び特定のシグナリング経路分子の発現及び/又は活性化状態の分析により導かれる。
本発明の方法は、有利には、癌管理における重要な問題に対応し、胃癌患者のためにより高度の標準看護を提供するようにオーダーメードされる。これというのも、この方法が(1)増加した感度を提供し(例えば、全及びリン酸化シグナル伝達分子、例えば、EGFR及びHER2を検出するために単細胞検出を達成することができる)、(2)増加した特異性を提供し(例えば、3抗体近接アッセイは全及びリン酸化シグナル伝達分子を検出するための特異性を向上させる)、(3)経路プロファイリングを可能にし(例えば、特定のシグナル伝達分子の発現及び/又は活性化状態は患者からのCTC及びFNA中で検出することができる)、(4)患者試料を得ることに伴うあらゆる問題を排除する(例えば、アッセイはほんの少数の腫瘍細胞について実施することができる)からである。本明細書に記載のアッセイにおいてはあらゆる試料を使用することができるが、CTCは最も悪性の腫瘍細胞を表し、各腫瘍はCTCを遊離させることが公知であり、遺残腫瘍又はアクセス困難な転移性腫瘍の唯一の起源であり得、これらは血液中に見出されるので、特に有用である。従って、本発明の方法は、胃腫瘍組織の連続サンプリングを可能とし、時間及び治療に応じて腫瘍細胞中で発生する変化に関する貴重な情報をもたらし、急速に発達する癌経路シグニチャーを追跡するための手段を臨床医に提供する。
これらをまとめると、本発明の組成物及び方法は、有利には、マルチプレックス化された抗体ベースの近接アッセイを使用して、容易にアクセス可能な腫瘍細胞について経路プロファイリングを実施することにより標的療法から利益を得る可能性が最も高い癌患者(例えば、胃癌患者)の正確な予測、選択及び追跡を提供する。
II.定義
本明細書において使用される以下の用語は、他に記載のない限り、これらに与えられた意味を有する。
用語「癌」は、アベラントな細胞の制御されない成長を特徴とする疾患クラスの任意のメンバーを含めるものとする。この用語は、悪性、良性、軟組織もしくは固形並びに転移前及び転移後癌を含む全ての病期及び悪性度の癌のいずれであると特徴付けられようと、全ての公知の癌及び新生物病態を含む。様々な癌のタイプの例には、限定されるものではないが、消化管及び胃腸癌、例えば、胃癌(例えば、胃癌)、結腸直腸癌、消化管間質腫瘍(GIST)、消化管カルチノイド腫瘍、結腸癌、直腸癌、肛門癌、胆管癌、小腸癌及び食道癌;乳癌;肺癌(例えば、非小細胞肺癌);胆嚢癌;肝臓癌;膵臓癌;虫垂癌;前立腺癌、卵巣癌;腎臓癌(例えば、腎細胞癌);中枢神経系の癌;皮膚癌;リンパ腫;神経膠腫;絨毛腫;頭頸部癌;骨原性肉腫;並びに血液癌が含まれる。本明細書において使用される「腫瘍」は、1個以上の癌性細胞を含む。
用語「分析物」には、任意の対象となる分子、典型的にはこの存在、量(発現レベル)、活性化状態及び/又は同一性が決定される高分子、例えば、ポリペプチドが含まれる。ある例において、分析物は、シグナル伝達分子、例えば、HER2(ErbB2)又はc−Metシグナリング経路の構成因子である。
用語「シグナル伝達分子」又は「シグナル伝達物質」は、細胞が細胞外シグナル又は刺激を応答に変換するプロセスであって、典型的には細胞の内部での順序付けられた生化学反応の順序を含むプロセスを実施するタンパク質及び他の分子を含む。シグナル伝達分子の例には、限定されるものではないが、受容体チロシンキナーゼ、例えば、EGFR(例えば、EGFR/HER1/ErbB1、HER2/Neu/ErbB2、HER3/ErbB3、HER4/ErbB4)、VEGFR1/FLT1、VEGFR2/FLK1/KDR、VEGFR3/FLT4、FLT3/FLK2、PDGFR(例えば、PDGFRA、PDGFRB)、c−KIT/SCFR、INSR(インスリン受容体)、IGF−IR、IGF−IIR、IRR(インスリン受容体関連受容体)、CSF−1R、FGFR1−4、HGFR1−2、CCK4、TRKA−C、c−MET、RON、EPHA1−8、EPHB1−6、AXL、MER、TYRO3、TIE1−2、TEK、RYK、DDR1−2、RET、c−ROS、V−カドヘリン、LTK(白血球チロシンキナーゼ)、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)、ROR1−2、MUSK、AATYK1−3及びRTK106;受容体チロシンキナーゼのトランケート化形態、例えば、アミノ末端細胞外ドメインを欠くトランケート化HER2受容体(例えば、p95ErbB2(p95m)、p110、p95c、p95nなど);受容体チロシンキナーゼ二量体(例えば、p95HER2/HER3、p95HER2/HER2、HER2/HER2、HER2/HER3、HER1/HER2、HER2/HER3、HER2/HER4など);非受容体チロシンキナーゼ、例えば、BCR−ABL、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、Ack及びLIMK;チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、例えば、Akt(例えば、AKT1、AKT2、AKT3)、MEK(MAP2K1)、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PI3K(例えば、PIK3CA(p110)、PIK3R1(p85))、PDK1、PDK2、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)、SGK3、4E−BP1、P70S6K(例えば、p70S6キナーゼスプライスバリアントアルファI)、タンパク質チロシンホスファターゼ(例えば、PTP1B、PTPN13、BDP1など)、RAF、PLA2、MEKK、JNKK、JNK、p38、Shc(p66)、Ras(例えば、K−Ras、N−Ras、H−Ras)、Rho、Rac1、Cdc42、PLC、PKC、p53、サイクリンD1、STAT1、STAT3、ホスファチジルイノシノール4,5−二リン酸(PIP2)、ホスファチジルイノシノール3,4,5−三リン酸(PIP3)、mTOR、BAD、p21、p27、ROCK、IP3、TSP−1、NOS、GSK−3β、RSK1−3、JNK、c−Jun、Rb、CREB、Ki67及びパキシリン;核ホルモン受容体、例えば、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、アンドロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、鉱質コルチコイド受容体、ビタミンA受容体、ビタミンD受容体、レチノイド受容体、甲状腺ホルモン受容体及びオーファン受容体;核受容体コアクチベーター及びリプレッサー、例えば、それぞれ乳癌−1(AIB1)及び核受容体コリプレッサー1(NCOR)内で増幅するもの;並びにこれらの組合せが含まれる。
用語「HER2シグナリング経路の構成因子」には、HER2の上流リガンド、HER2の結合パートナー及び/又はHER2を介してモジュレートされる下流のエフェクター分子の任意の1種以上が含まれる。HER2シグナリング経路の構成因子の例には、限定されるものではないが、ヘレグリン、HER1/ErbB1、HER2/ErbB2、HER3/ErbB3、HER4/ErbB4、AKT(例えば、AKT1、AKT2、AKT3)、MEK(MAP2K1)、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PI3K(例えば、PIK3CA(p110)、PIK3R1(p85))、PDK1、PDK2、PTEN、SGK3、4E−BP1、P70S6K(例えば、スプライスバリアントアルファI)、タンパク質チロシンホスファターゼ(例えば、PTP1B、PTPN13、BDP1など)、HER2二量体(例えば、p95HER2/HER3、p95HER2/HER2、HER2/HER2、HER2/HER3、HER1/HER2、HER2/HER3、HER2/HER4など)、GSK−3β、PIP2、PIP3、p27及びこれらの組合せが含まれる。
用語「c−Metシグナリング経路の構成因子」には、c−Metの上流リガンド、c−Metの結合パートナー及び/又はc−Metを介してモジュレートされる下流エフェクター分子の任意の1種以上が含まれる。c−Metシグナリング経路の構成因子の例には、限定されるものではないが、肝細胞成長因子/散乱因子(HGF/SF)、Plexin B1、CD44v6、AKT(例えば、AKT1、AKT2、AKT3)、MEK(MAP2K1)、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、STAT(例えば、STAT1、STAT3)、PI3K(例えば、PIK3CA(p110)、PIK3R1(p85))、GRB2、Shc(p66)、Ras(例えば、K−Ras、N−Ras、H−Ras)、GAB1、SHP2、SRC、GRB2、CRKL、PLCγ、PKC(例えば、PKCα、PKCβ、PKCδ)、パキシリン、FAK、アデュシン、RB、RB1、PYK2及びこれらの組合せが含まれる。
用語「活性化状態」は、特定のシグナル伝達分子、例えば、HER2又はc−METシグナリング経路構成因子が活性化されているか否かを指す。同様に、用語「活性化レベル」は、特定のシグナル伝達分子、例えば、HER2又はc−METシグナリング経路構成因子がどの程度活性化されているかを指す。活性化状態は、典型的には、1種以上のシグナル伝達分子のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体化状態に対応する。活性化状態(丸括弧内に列記)の非限定的な例には、HER1/EGFR(EGFRvIII、リン酸化(p−)EGFR、EGFR:Shc、ユビキチン化(u−)EGFR、p−EGFRvIII);ErbB2(p−ErbB2、p95HER2(トランケート化ErbB2)、p−p95HER2、ErbB2:Shc、ErbB2:PI3K、ErbB2:EGFR、ErbB2:ErbB3、ErbB2:ErbB4);ErbB3(p−ErbB3、ErbB3:PI3K、p−ErbB3:PI3K、ErbB3:Shc);ErbB4(p−ErbB4、ErbB4:Shc);c−MET(p−c−MET、c−Met:HGF複合体);AKT1(p−AKT1);AKT2(p−AKT2);AKT3(p−AKT3);PTEN(p−PTEN);P70S6K(p−P70S6K);MEK(p−MEK);ERK1(p−ERK1);ERK2(p−ERK2);PDK1(p−PDK1);PDK2(p−PDK2);SGK3(p−SGK3);4E−BP1(p−4E−BP1);PIK3R1(p−PIK3R1);c−KIT(p−c−KIT);ER(p−ER);IGF−1R(p−IGF−1R、IGF−1R:IRS、IRS:PI3K、p−IRS、IGF−1R:PI3K);INSR(p−INSR);FLT3(p−FLT3);HGFR1(p−HGFR1);HGFR2(p−HGFR2);RET(p−RET);PDGFRA(p−PDGFRA);PDGFRB(p−PDGFRB);VEGFR1(p−VEGFR1、VEGFR1:PLCγ、VEGFR1:Src);VEGFR2(p−VEGFR2、VEGFR2:PLCγ、VEGFR2:Src、VEGFR2:硫酸ヘパリン、VEGFR2:VE−カドヘリン);VEGFR3(p−VEGFR3);FGFR1(p−FGFR1);FGFR2(p−FGFR2);FGFR3(p−FGFR3);FGFR4(p−FGFR4);TIE1(p−TIE1);TIE2(p−TIE2);EPHA(p−EPHA);EPHB(p−EPHB);GSK−3β(p−GSK−3β);NFKB(p−NFKB)、IKB(p−IKB、p−P65:IKB);BAD(p−BAD、BAD:14−3−3);mTOR(p−mTOR);Rsk−1(p−Rsk−1);Jnk(p−Jnk);P38(p−P38);STAT1(p−STAT1);STAT3(p−STAT3);FAK(p−FAK);RB(p−RB);Ki67;p53(p−p53);CREB(p−CREB);c−Jun(p−c−Jun);c−Src(p−c−Src);パキシリン(p−パキシリン);GRB2(p−GRB2)、Shc(p−Shc)、Ras(p−Ras)、GAB1(p−GAB1)、SHP2(p−SHP2)、GRB2(p−GRB2)、CRKL(p−CRKL)、PLCγ(p−PLCγ)、PKC(例えば、p−PKCα、p−PKCβ、p−PKCδ)、アデュシン(p−アデュシン)、RB1(p−RB1)及びPYK2(p−PYK2)が含まれる。
本明細書において使用される用語「希釈系列」は、特定試料(例えば、細胞溶解物)又は試薬(例えば、抗体)の一連の減少する濃度を含むものとする。希釈系列は、典型的には、測定された量の出発濃度の試料又は試薬を希釈物(例えば、希釈緩衝液)と混合してより低濃度の試料又は試薬を作出するプロセス及び更に所望の数の段階希釈物を得るために十分な回数にわたり前記プロセスを繰り返すプロセスにより生成される。試料又は試薬は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、500又は1000倍で段階希釈して少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45又は50種の減少濃度の試料又は試薬を含む希釈系列を生成することができる。例えば、1mg/mLの出発濃度で捕捉抗体試薬の2倍の段階希釈物を含む希釈系列は、ある量の出発濃度の捕捉抗体を等量の希釈緩衝液と混合して0.5mg/mL濃度の捕捉抗体を作出することと及び前記プロセスを繰り返して0.25mg/mL、0.125mg/mL、0.0625mg/mL、0.0325mg/mLなどの捕捉抗体濃度を得ることにより生成することができる。
本明細書において使用される用語「優れたダイナミックレンジ」は、1個という少ない細胞中又は数千個という多数の細胞中で特定の分析物を検出するアッセイの能力を意味する。例えば、本明細書に記載の免疫アッセイは、有利には、捕捉抗体濃度の希釈系列を使用して約1〜10000個の細胞(例えば、約1、5、10、25、50、75、100、250、500、750、1000、2500、5000、7500又は10000個の細胞)中で対象となる特定のシグナル伝達分子を検出するので、優れたダイナミックレンジを有する。
本明細書において使用される用語「循環細胞」は、固形腫瘍から転移した、又は微小転移した腫瘍外細胞を含む。循環細胞の例には、限定されるものではないが、循環腫瘍細胞、癌幹細胞及び/又は腫瘍に遊走している細胞(例えば、循環内皮前駆細胞、循環内皮細胞、循環前血管新生骨髄性細胞、循環樹状細胞など)が含まれる。循環細胞を含有する患者試料は、任意のアクセス可能な生体液(例えば、全血、血清、血漿、痰、気管支洗浄液、尿、乳頭吸引液、リンパ液、唾液、細針吸引液など)から得ることができる。ある例において、全血試料は、血漿又は血清分画及び細胞分画(すなわち、細胞ペレット)に分離される。細胞分画は、典型的には、赤血球、白血球及び/又は固形腫瘍の循環細胞、例えば、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CEC)、循環内皮前駆細胞(CEPC)、癌幹細胞(CSC)、リンパ節の播種性腫瘍細胞及びこれらの組合せを含有する。血漿又は血清分画は、通常、とりわけ、核酸(例えば、DNA、RNA)及び固形腫瘍の循環細胞により放出されるタンパク質を含有する。
循環細胞は、典型的には、1種以上の分離方法を使用して患者試料から単離され、この方法は、例えば、免疫磁気分離(例えば、Racila et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:4589−4594(1998);Bilkenroth et al.,Int.J.Cancer,92:577−582(2001))、Immunicon(Huntingdon Valley,PA)によるCellTracks(商標)System、マイクロ流体分離(例えば、Mohamed et al.,IEEE Trans.Nanobiosci.,3:251−256(2004);Lin et al.,Abstract No.5147,97th AACR Annual Meeting,Washington,D.C.(2006)),FACS(例えば、Mancuso et al.,Blood,97:3658−3661(2001)参照)、密度勾配遠心(例えば、Baker et al.,Clin.Cancer Res.,13:4865−4871(2003)参照)及び枯渇法(例えば、Meye et al.,Int.J.Oncol.,21:521−530(2002)参照)を含む。
本明細書において使用される用語「試料」は、患者から得られた任意の生物学的標本を含む。試料には、限定されるものではないが、全血、血漿、血清、赤血球、白血球(例えば、末梢血単核球細胞)、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液(例えば、リンパ節の播種性腫瘍細胞)、骨髄吸引液、唾液、尿、糞便(すなわち大便)、痰、気管支洗浄液、涙液、細針吸引液(例えば、ランダム乳頭周囲細針吸引により採取される)、任意の他の体液、例えば腫瘍の生検(例えば、針生検)又はリンパ節(例えば、センチネルリンパ節生検)の生検などの組織試料(例えば、腫瘍組織)、腫瘍の外科的切除物などの組織試料(例えば、腫瘍組織)及びこれらの細胞抽出物が含まれる。一部の実施態様において、試料は、全血又はこれらの分画構成成分、例えば血漿、血清もしくは細胞ペレットである。好ましい実施態様において、試料は、当分野において公知である任意の技術を使用して全血又はこの細胞分画から固形腫瘍の循環細胞を単離することにより得られる。他の実施態様において、試料は、例えば胃又は胃腸管の他の部分の固形腫瘍からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織試料である。
「生検」は、診断的又は予後診断的評価のために組織試料を切除するプロセス及び組織標本自体を指す。当分野において公知の任意の生検技術を、本発明の方法及び組成物に適用することができる。適用される生検技術は、一般に、他の因子の中でも特に、評価すべき組織タイプ並びに腫瘍のサイズ及びタイプ(すなわち、固形又は浮遊型(すなわち、血液又は腹水))に依存する。代表的な生検技術には、切除生検、切開生検、針生検(例えば、コア針生検、細針吸引生検など)、外科生検及び骨髄生検が含まれる。生検技術については、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,Kasper et al.,eds.,16th et.,2005,Chapter 70及びPart V全体において考察されている。当業者は、所与の組織試料における癌性及び/又は前癌性細胞を同定するために生検技術を実施することができることを理解する。
用語「対象」又は「患者」又は「個体」は、典型的にはヒトを含むが、他の動物、例えば他の霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなども含むことができる。
「アレイ」又は「マイクロアレイ」は、固体担体、例えば、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ(例えば、磁気ビーズ、ポリスチレンビーズなど)、紙、膜(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、繊維束など又は任意の他の好適な基体上に固定化又は拘束された捕捉抗体の個別セット及び/又は希釈系列を含む。捕捉抗体は、一般に、共有結合又は非共有結合相互作用(例えば、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、双極子間結合)を介して固体担体上に固定化又は拘束される。ある例において、捕捉抗体は、固体担体に結合している捕捉剤と相互作用する捕捉タグを含む。本明細書に記載のアッセイにおいて使用されるアレイは、典型的には、複数の異なる捕捉抗体及び/又は異なる既知/アドレス可能な位置において固体担体の表面に結合している捕捉抗体濃度を含む。
用語「捕捉抗体」は、試料、例えば、細胞抽出物中の1種以上の対象となる分析物に特異的である(すなわち、結合する、これにより結合される又は複合体をともに形成する)固定化された抗体を含むものとする。好ましい実施態様において、捕捉抗体は、アレイ内の固体担体上に拘束される。固体担体上に種々のシグナル伝達分子のいずれかを固定化するのに好適な捕捉抗体は、Upstate(Temecula,CA),Biosource(Camarillo,CA)、Cell Signaling Technologies(Danvers,MA)、R&D Systems(Minneapolis,MN)、Lab Vision(Fremont,CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)、Sigma(St.Louis,MO)及びBD Biosciences(San Jose,CA)から入手可能である。
本明細書において使用される用語「検出抗体」は、試料中の対象となる1種以上の分析物に特異的である(すなわち、結合する、これにより結合される又は複合体をともに形成する)検出可能な標識を含む抗体を含む。この用語は、対象となる1種以上の分析物に特異的である抗体も包含し、この抗体は検出可能な標識を含む別の種により結合され得る。検出可能な標識の例には、限定されるものではないが、ビオチン/ストレプトアビジン標識、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)標識、化学的に反応性の標識、蛍光標識、酵素標識、放射活性標識及びこれらの組合せが含まれる。種々のシグナル伝達分子のいずれかの活性化状態及び/又は全量を検出するのに好適な検出抗体は、Upstate(Temecula,CA)、Biosource(Camarillo,CA)、Cell Signaling Technologies(Danvers,MA)、R&D Systems(Minneapolis,MN)、Lab Vision(Fremont,CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)、Sigma(St.Louis,MO)及びBD Biosciences(San Jose,CA)から入手可能である。非限定的な例として、種々のシグナル伝達分子、例えば、EGFR、c−KIT、c−Src、FLK−1、PDGFRA、PDGFRB、AKT、MAPK、PTEN、Raf及びMEKのリン酸化形態に対するホスホ特異的抗体が、Santa Cruz Biotechnologyから入手可能である。
「活性化状態依存性抗体」という用語は、試料中の対象となる1種以上の分析物の特定の活性化状態に特異的な(すなわち、結合する、これにより結合される又は複合体をともに形成する)検出抗体を含む。好ましい実施態様において、活性化状態依存性抗体は、1種以上の分析物、例えば、1種以上のシグナル伝達分子のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体状態を検出する。一部の実施態様において、受容体チロシンキナーゼのEGFRファミリーのメンバーのリン酸化及び/又はEGFRファミリーメンバー間のヘテロ二量体複合体の形成は、活性化状態依存性抗体を使用して検出される。特定の実施態様において、活性化状態依存性抗体は、以下のシグナル伝達分子(リン酸化部位は、ヒトタンパク質配列におけるアミノ酸の位置に対応する)の1種以上のリン酸化の1つ以上の部位を検出するために有用である:EGFR/HER1/ErbB1(例えば、チロシン(Y)1068);ErbB2/HER2(例えば、Y1248);ErbB3/HER3(例えば、Y1289);ErbB4/HER4(例えば、Y1284);c−Met(例えば、Y1003、Y1230、Y1234、Y1235及び/又はY1349);SGK3(例えば、スレオニン(T)256及び/又はセリン(S)422);4E−BP1(例えば、T70);ERK1(例えば、T185、Y187、T202及び/又はY204);ERK2(例えば、T185、Y187、T202及び/又はY204);MEK(例えば、S217及び/又はS221);PIK3R1(例えば、Y688);PDK1(例えば、S241);P70S6K(例えば、T229、T389及び/又はS421);PTEN(例えば、S380);AKT1(例えば、S473及び/又はT308);AKT2(例えば、S474及び/又はT309);AKT3(例えば、S472及び/又はT305);GSK−3β(例えば、S9);NFKB(例えば、S536);IKB(例えば、S32);BAD(例えば、S112及び/又はS136);mTOR(例えば、S2448);Rsk−1(例えば、T357及び/又はS363);Jnk(例えば、T183及び/又はY185);P38(例えば、T180及び/又はY182);STAT3(例えば、Y705及び/又はS727);FAK(例えば、Y397、Y576、S722、Y861及び/又はS910);RB(例えば、S249、T252、S612及び/又はS780);RB1(例えば、S780);アデュシン(例えば、S662及び/又はS724);PYK2(例えば、Y402及び/又はY881);PKCα(例えば、S657);PKCα/β(例えば、T368及び/又はT641);PKCδ(例えば、T505);p53(例えば、S392及び/又はS20);CREB(例えば、S133);c−Jun(例えば、S63);c−Src(例えば、Y416);及びパキシリン(例えば、Y31及び/又はY118)。
用語「活性化状態非依存性抗体」は、分析物の活性化状態に関わりなく、試料中の1種以上の対象となる分析物に特異的な(すなわち、結合する、これにより結合される又は複合体をともに形成する)検出抗体を含む。例えば、活性化状態非依存性抗体は、1種以上の分析物、例えば、1種以上のシグナル伝達分子のリン酸化形態及び非リン酸化形態の両方を検出することができる。
用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、一本鎖又は二本鎖形態のいずれかであるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びこれらのポリマー、例えば、DNA及びRNAを含む。核酸には、合成、天然型及び非天然型であり、参照核酸と同様の結合特性を有する公知のヌクレオチドアナログ又は修飾骨格残基もしくは連結部を含有する核酸が含まれる。このようなアナログの例には、限定されることなく、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド及びペプチド−核酸(PNA)が含まれる。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有する天然ヌクレオチドの公知のアナログを含有する核酸を包含する。特に記載のない限り、特定の核酸配列は、保存的に改変されたこれらの突然変異体及び相補的配列並びに明示的に示された配列も黙示的に含む。
用語「オリゴヌクレオチド」は、RNA、DNA、RNA/DNAハイブリッド及び/又はこれらの模倣物の一本鎖オリゴマー又はポリマーを含む。ある例において、オリゴヌクレオチドは、天然型(すなわち、未改変)核酸塩基、糖及びインターヌクレオシド(骨格)結合から構成される。ある他の例において、オリゴヌクレオチドは、改変された核酸塩基、糖及び/又はインターヌクレオシド結合を含む。
本明細書において使用される用語「ミスマッチモチーフ」又は「ミスマッチ領域」は、この相補的配列に対して100%相補性を有しないオリゴヌクレオチドの一部を指す。オリゴヌクレオチドは、少なくとも1、2、3、4、5、6個以上のミスマッチ領域を有してよい。ミスマッチ領域は連続していてよく、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個以上のヌクレオチドにより分離されていてよい。ミスマッチモチーフ又は領域は、単一ヌクレオチドを含んでよく、又は2、3、4、5個以上のヌクレオチドを含んでよい。
語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、オリゴヌクレオチドがこの相補性配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況では異なる。長い配列は、特に高温においてハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションについての広汎な指針は、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes,「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993)に見出される。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度pHにおいて特異的配列について熱融点(T)よりも約5〜10℃低いように選択される。Tは、標的に相補的であるプローブの50%が平衡状態(標的配列が過剰に存在するので、Tにおいては、プローブの50%は平衡状態で占められる)で標的配列にハイブリダイズする温度(規定のイオン強度、pH及び核濃度下で)である。ストリンジェントな条件は、脱安定剤、例えば、ホルムアミドを添加して達成することもできる。選択的又は特異的ハイブリダイゼーションのため、陽性シグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。
用語「実質的に同一」又は「実質的同一性」は、2種以上の核酸に関し、配列比較アルゴリズムを使用し、又は手動アラインメント及び目視検査により測定された比較窓もしくは指定領域にわたり最大一致性について比較及びアライメントした場合、同一であり、又は同一である規定パーセンテージのヌクレオチド(すなわち、規定領域にわたり少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%同一性)を有する2種以上の配列又は下位配列を指す。この定義は、状況が示す場合、配列の相補体を同様に意味する。好ましくは、実質的同一性は、長さが少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75又は100ヌクレオチドである領域にわたって存在する。
用語「インキュベートすること」は、「接触させること」及び「曝露させること」と同義的に使用され、特に記載のない限り任意の特定の時間又は温度要件を意味しない。
「受容体チロシンキナーゼ」又は「RTK」は、膜貫通ドメイン及びチロシンキナーゼモチーフを特徴とする56種のタンパク質のファミリーを含む。RTKは、細胞シグナリングにおいて機能し、成長、分化、接着、遊走及びアポトーシスを調節するシグナルを伝達する。受容体チロシンキナーゼの突然変異活性化及び/又は過剰発現は、細胞を変形させ、癌の発達において重要な役割を担うことが多い。RTKは、種々の分子標的剤、例えば、トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、スニチニブ、イマチニブ、ニロチニブなどの標的になっている。1種の十分に特徴付けられたシグナル伝達経路は、MAPキナーゼ経路であり、この経路は、細胞における細胞増殖の促進に対する上皮成長因子(EGF)からのシグナルの伝達を担う(図1参照)。
III.実施態様の説明
本発明は、アッセイ、例えば、本明細書に記載の特異的マルチプレックスハイスループット近接アッセイにより固形腫瘍の腫瘍組織に由来する腫瘍細胞又は循環細胞におけるシグナル伝達経路の構成因子の状態(例えば、発現及び/又は活性化レベル)を検出するための組成物及び方法を提供する。本発明はまた、1種以上の脱調節されたシグナル伝達経路を下方調節又は活動停止させるために適切な治療を選択するための組成物及び方法を提供する。従って、本発明のある実施態様は、所与の患者の腫瘍(例えば、胃腫瘍)における全及び活性化シグナル伝達タンパク質の回収により提供される特定の分子シグニチャーに基づいてパーソナライズされた治療の設計を促進するために使用することができる。
特定の態様において、本発明は、特定の癌が、抗癌薬、例えば、HER2−モジュレーティング化合物(例えば、HER2阻害剤)及び/又はc−Met−モジュレーティング化合物(例えば、c−Met阻害剤)などに応答し得るか否か又は好ましく応答する可能性が高いか否かの決定又は予測を可能にする分子マーカー(バイオマーカー)を提供する。特定の実施態様において、HER2及び/又はc−Metシグナリング経路の1種以上の構成因子(例えば、HER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR及び/又はPDGFR)の発現及び/又は活性化のレベルの測定は、好適な抗癌薬の選択及び/又は細胞、例えば胃癌細胞(例えば、単離された循環腫瘍細胞、細針吸引液(FNA)細胞など)におけるこれに対する応答の同定もしくは予測に特に有用である。
一態様において、本発明は、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択すること
を含む方法を提供する。
一部の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、例えば、近接アッセイ、例えば、本明細書に記載の共同近接免疫アッセイ(COPIA)を使用して決定される、対象となる特定の分析物についてのシグナル強度に対応する相対蛍光単位(RFU)値として表現される。他の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現され、これらは、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される、対象となる特定の分析物についての増加するシグナル強度に対応する。一部の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、検出不能又はわずかに検出可能なレベルの発現又は活性化は「−」又は「±」として表現することができる。他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、低レベルの発現又は活性化は「+」として表現することができる。更に他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、中程度のレベルの発現又は活性化は「++」として表現することができる。更にいっそう他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、高レベルの発現又は活性化は「+++」として表現することができる。更なる例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、非常に高レベルの発現又は活性化は「++++」として表現することができる。
更に他の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定されるRFU値を、対象となる特定の分析物について作成された標準曲線に対して較正又は正規化することにより定量される。ある例において、計算単位(CU)値を標準曲線に基づき計算することができる。他の例において、CU値は、シグナル強度について上記説明に従って、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現することができる。実施例13は、胃癌細胞中のシグナル伝達経路タンパク質(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の定量についてのデータ分析の非限定的な例を提供する。
ある実施態様において、対象となる特定の分析物の発現又は活性化レベルは、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現される場合、例えば、陰性対照、例えば、IgG対照と比較した場合、対象となる分析物について作成された標準曲線と比較した場合、陽性対照、例えば、pan−CK対照と比較した場合、抗癌薬の存在下で決定された発現もしくは活性化レベルと比較した場合及び/又は抗癌薬の非存在下で決定された発現もしくは活性化レベルと比較した場合、参照発現レベル又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍高い又は低い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍高い又は低い)発現又は活性化のレベルに対応し得る。一部の例において、相関は分析物特異的である。非限定的な例として、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定された発現又は活性化の「+」レベルは、参照発現又は活性化レベルと比較した場合、ある分析物については発現又は活性化の2倍増加に、別の分析物については5倍増加に対応し得る。
一部の実施態様において、癌細胞は、対象への抗癌薬の投与後に胃癌を有する対象から単離される。他の実施態様において、単離された癌細胞は、抗癌薬と接触される。これらの実施態様のいずれにおいても、好適な抗癌薬は、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較することにより選択することができる。
ある実施態様において、工程(b)は、工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを適用して胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択することを含む。
1つの特定の実施態様において、本発明は、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して抗癌薬が胃癌の治療に好適か不適かを決定すること
を含む方法を提供する。
別の特定の実施態様において、本発明は、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)胃癌の試料から得られた癌細胞を抗癌薬と接触させること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較すること;並びに
(e)1種以上の分析物について工程(c)において決定された発現レベル及び/又は活性化レベルが参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して変化(例えば、実質的に減少)した場合、抗癌薬が胃癌の治療に好適であること(例えば、胃腫瘍は、抗癌薬に対する応答の可能性の増加を有する)を示すこと
を含む方法を提供する。
ある例において、胃癌は腺癌である。ある他の例において、胃癌は、食道、小腸、リンパ節、器官、骨又はこれらの組合せに転移している。
一部の実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、これが抗癌薬の非存在下よりも少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%多く又は少なく活性化された場合、抗癌薬の存在下で「変化した」とみなされる。他の実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、これが抗癌薬の非存在下よりも少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%少なく活性化された場合、抗癌薬の存在下で「実質的に減少した」とみなされる。更なる実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、(1)抗癌薬を用いない分析物の高いもしくは強い発現及び/又は活性化からの、抗癌薬を用いる分析物の中程度、弱い、低いもしくは極めて弱い発現及び/又は活性化への変化が存在する場合、又は(2)抗癌薬を用いない分析物の中程度の発現及び/又は活性化からの、抗癌薬を用いる分析物の弱い、低いもしくは極めて弱い発現及び/又は活性化への変化が存在する場合、抗癌薬の存在下で「実質的に減少した」とみなされる。
インサイチュー活性化状態を保存するため、シグナル伝達タンパク質は、典型的には、細胞が単離された直後に、好ましくは96、72、48、24、6又は1時間以内に、より好ましくは30、15又は5分以内に抽出される。単離された細胞は、通常はナノモルからマイクロモル濃度の成長因子とともに約1〜30分間インキュベートしてシグナル伝達物質の活性化を復活させ、又は刺激することもできる(例えば、Irish et al.,Cell,118:217−228(2004)参照)。刺激成長因子には、上皮成長因子(EGF)、ヘレグリン(HRG)、TGF−α、PIGF、アンジオポエチン(Ang)、NRG1、PGF、TNF−α、VEGF、PDGF、IGF、FGF、HGF、サイトカインなどが含まれる。個々の患者のための潜在的抗癌療法を評価するため、成長因子の刺激前、刺激中及び/又は刺激後、単離された細胞を変動する用量の1種以上の抗癌薬とインキュベートすることができる。成長因子の刺激は、数分間又は数時間(例えば、約1〜5分間から約1〜6時間)実施することができる。単離、抗癌薬による治療及び/又は成長因子刺激後、細胞は当分野において公知の任意の技術を使用して溶解されてシグナル伝達タンパク質が抽出される。好ましくは、細胞溶解は、成長因子刺激の約1〜360分後に、より好ましくは2つの異なる時間間隔で:(1)成長因子刺激の約1〜5分後;及び(2)成長因子刺激の約30〜180分後に開始される。あるいは、溶解物は、使用時まで−80℃で貯蔵することができる。
一部の実施態様において、抗癌薬は、癌細胞中の活性化シグナル伝達経路構成因子の機能を妨害する物質を含む。このような作用物質の非限定的な例には、以下の表1に列挙した作用物質が含まれる。
ある実施態様において、抗癌薬は、抗シグナリング剤(すなわち、細胞増殖抑制薬)、例えばモノクローナル抗体又はチロシンキナーゼ阻害剤;抗増殖剤;化学療法剤(すなわち、細胞毒性薬);ホルモン療法剤;放射線療法剤;ワクチン;及び/又はアベラントな細胞、例えば、癌性細胞の脱制御された成長を低減又は無効にさせる能力を備える任意の他の化合物を含む。一部の実施態様において、単離された細胞は、少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて1種以上の抗シグナリング剤、抗増殖剤及び/又はホルモン療法剤により治療される。
本発明における使用に好適な抗シグナリング剤の例には、制限されることなく、モノクローナル抗体、例えばトラスツズマブ(Herceptin(商標))、パーツズマブ(2C4)、アレムツズマブ(Campath(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ゲムツズマブ(Mylotarg(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商品名))、リツキシマブ(Rituxan(商標))及びトシツモマブ(BEXXAR(商標));チロシンキナーゼ阻害剤、例えばゲフィチニブ(Iressa(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、ラパチニブ(GW−572016;Tykerb(商標))、カネルチニブ(CI1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(BAY43−9006;Nexavar(商標))、イマチニブメシレート(Gleevec(商標))、レフルノミド(SU101)、バンデタニブ(ZACTIMA(商品名);ZD6474)、ペリチニブ、CP−654577、CP−724714、HKI−272、PKI−166、AEE788、BMS−599626、HKI−357、BIBW2992、ARRY−334543、JNJ−26483327及びJNJ−26483327;並びにこれらの組合せが含まれる。
典型的な抗増殖剤には、mTOR阻害剤、例えばシロリムス(ラパマイシン)、テムシロリムス(CCI−779)、エベロリムス(RAD001)、BEZ235及びXL765;Akt阻害剤、例えば1L6−ヒドロキシメチル−カイロ−イノシトール−2−(R)−2−O−メチル−3−O−オクタデシル−sn−グリセロカーボネート、9−メトキシ−2−メチルエリプチシニウムアセテート、1,3−ジヒドロ−1−(1−((4−(6−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−g]キノキサリン−7−イル)フェニル)メチル)−4−ピペリジニル)−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン、10−(4’−(N−ジエチルアミノ)ブチル)−2−クロロフェノキサジン、3−ホルミルクロモンチオセミカルバゾン(Cu(II)Cl錯体)、癌原遺伝子TCL1のアミノ酸10−24に由来する15量体ペプチドであるAPI−2(Hiromura et al.,J.Biol.Chem.,279:53407−53418(2004)、KP372−1及びKozikowski et al.,J.Am.Chem.Soc.,125:1144−1145(2003)及びKau et al.,Cancer Cell,4:463−476(2003)に記載の化合物;PI3K阻害剤、例えばPX−866、ワートマニン、LY294002、クエルセチン、テトロドトキシンシトレート、チオペラミドマレエート、GDC−0941(957054−30−7)、IC87114、PI−103、PIK93、BEZ235(NVP−BEZ235)、TGX−115、ZSTK474、(−)−デグエリン、NU7026、ミリセチン、タンヅチニブ、GDC−0941ビスメシレート、GSK690693、KU−55933、MK−2206、OSU−03012、ペリホシン、トリシリビン、XL−147、PIK75、TGX−221、NU7441、PI828、XL−765及びWHI−P154;MEK阻害剤、例えばPD98059、ARRY−162、RDEA119、U0126、GDC−0973、PD184161、AZD6244、AZD8330、PD0325901及びARRY−142886;並びにこれらの組合せが含まれる。
pan−HER阻害剤の非限定的な例には、PF−00299804、ネラチニブ(HKI−272)、AC480(BMS−599626)、BMS−690154、PF−02341066、HM781−36B、CI−1033、BIBW−2992及びこれらの組合せが含まれる。
化学療法剤の非限定的な例には、白金系薬物(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、スピロプラチン、イプロプラチン、サトラプラチンなど)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソウレアなど)、代謝拮抗薬(例えば、5−フルオロウラシル、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ロイコボリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(商標))、ペメトレキセド(ALIMTA(商標))、ラルチトレキセドなど)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル(Taxol(商標))、ドセタキセル(Taxotere(商標))など)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)、リン酸エトポシド、テニポシドなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンなど)、薬学的に許容されるこれらの塩、これらの立体異性体、これらの誘導体、これらのアナログ並びにこれらの組合せが含まれる。
ホルモン療法剤の例には、制限されることなく、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール(Arimidex(商標))、レトロゾール(Femara(商標))、ボロゾール、エキセメスタン(Aromasin(商標))、4−アンドロステン−3,6,17−トリオン(6−OXO)、1,4,6−アンドロスタトリエン−3,17−ジオン(ATD)、フォルメスタン(Lentaron(商標))など)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(例えば、バゼドキシフェン、クロミフェン、フルベストラント、ラソフォキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェンなど)、ステロイド剤(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド及びゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)、例えば、ゴセレリン、薬学的に許容されるこれらの塩、これらの立体異性体、これらの誘導体、これらのアナログ並びにこれらの組合せが含まれる。
本発明において有用な癌ワクチンの非限定的な例には、Active BiotechからのANYARA、Northwest BiotherapeuticsからのDCVax−LB、IDM PharmaからのEP−2101、PharmexaからのGV1001、Idera PharmaceuticalsからのIO−2055、Introgen TherapeuticsからのINGN225及びBiomira/MerckからのStimuvaxが含まれる。
放射線療法剤の例には、制限されることなく、腫瘍抗原に向けられた抗体に場合によりコンジュゲートされた放射性核種、例えば47Sc、64Cu、67Cu、89Sr、86Y、87Y、90Y、105Rh、111Ag、111In、117mSn、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At及び212Biが含まれる。
HER2活性をモジュレートする化合物の非限定的な例は本明細書に記載されており、この例には、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤及びこれらの組合せが含まれる。好ましい実施態様において、HER2−モジュレーティング化合物は、HER2活性を阻害し、及び/又はHER2シグナリングを遮断し、例えば、HER2阻害剤である。HER2阻害剤の例には、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、例えばトラスツズマブ(Herceptin(商標))及びパーツズマブ(2C4);小分子チロシンキナーゼ阻害剤、例えばゲフィチニブ(Iressa(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、ペリチニブ、CP−654577、CP−724714、カネルチニブ(CI1033)、HKI−272、ラパチニブ(GW−572016;Tykerb(商標))、PKI−166、AEE788、BMS−599626、HKI−357、BIBW2992、ARRY−334543、JNJ−26483327及びJNJ−26483327;並びにこれらの組合せが含まれる。他の実施態様において、HER2モジュレーティング化合物は、HER2経路を活性化させ、例えば、HER2活性化剤である。
c−Met活性をモジュレートする化合物の非限定的な例は、本明細書に記載されており、この例には、モノクローナル抗体、小分子阻害剤及びこれらの組合せが含まれる。好ましい実施態様において、c−Metモジュレーティング化合物は、c−Met活性を阻害し、及び/又はc−Metシグナリングを遮断し、例えば、c−Met阻害剤である。c−Met阻害剤の例には、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、例えばAMG102及びMetMAb;c−Metの小分子阻害剤、例えばARQ197、JNJ−38877605、PF−04217903、SGX523、GSK1363089/XL880、XL184、MGCD265及びMK−2461;並びにこれらの組合せが含まれる。他の実施態様において、c−Metモジュレーティング化合物は、c−Met経路を活性化させ、例えば、c−Met活性化剤である。
ある実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、正常細胞、例えば、癌、例えば、胃癌を有しない健常個体からの非癌性細胞から得られる。ある他の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、癌、例えば、胃癌を有する患者からの試料からの腫瘍細胞、例えば、胃癌細胞から得られる。
一部の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、腫瘍細胞、例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)から得られる。特定の実施態様において、抗癌薬により処理されていない細胞は、細胞抽出物を生成するために使用される単離された細胞(例えば、調査すべき試験細胞)が得られる同一試料から得られる。ある例において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の低いレベルの発現又は活性化の存在は、抗癌薬が胃癌の治療に好適であること(例えば、胃腫瘍が抗癌薬に対して応答する可能性が増加すること)を示す。ある他の例において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは高いレベルの発現又は活性化の存在は、抗癌薬が胃癌の治療に不適であること(例えば、胃腫瘍が抗癌薬に対して応答する可能性が減少すること)を示す。
代替的実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理された、抗癌薬に感受性の細胞から得られる。このような実施態様において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似又は低いレベルの発現又は活性化の存在は、抗癌薬が胃癌の治療に好適であること(例えば、胃腫瘍が抗癌薬に対して応答する可能性が増加すること)を示す。ある他の代替的実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理された、抗癌薬に耐性の細胞から得られる。このような実施態様において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは高いレベルの発現又は活性化の存在は、抗癌薬が胃癌の治療に不適であること(例えば、胃腫瘍が抗癌薬に対して応答する可能性が減少すること)を示す。
ある実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)のより高い発現又は活性化レベルは、発現又は活性化レベルが、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)中の、抗癌薬により処理された抗癌薬感受性細胞中の、又は抗癌薬により処理された抗癌薬耐性細胞中の対応する分析物の参照発現又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍高い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍高い)場合に細胞抽出物に存在するとみなされる。
他の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)のより低い発現又は活性化レベルは、発現又は活性化レベルが、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)中の、抗癌薬により処理された抗癌薬感受性細胞中の、又は抗癌薬により処理された抗癌薬耐性細胞中の対応する分析物の参照発現又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍低い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍低い)場合に細胞抽出物に存在するとみなされる。
本発明を使用して調査することができるシグナル伝達分子及び経路の非限定的な例には、表2に示したものが含まれる。
細胞抽出物における発現(例えば、全量)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルについて調査することができる分析物、例えば、シグナル伝達分子の非限定的な例には、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せが含まれる。
一実施態様において、本発明の方法は、細胞抽出物中の以下の分析物の1種の発現(例えば、全量)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:(1)HER1/EGFR/ErbB1;(2)HER2/ErbB2;(3)p95HER2;(4)HER3/ErbB3;(5)c−Met;(6)IGF1R;(7)cKit;(8)PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1);(9)Shc;(10)Akt;(11)p70S6K;(12)VEGFR(例えば、VEGFR1、VEGFR2及び/又はVEGFR3);及び(13)PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はPDGFRB)。
別の実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の以下の2種の分析物のペアの1種の発現(例えば、全量)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含み、「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB):1、2;1、3;1、4;1、5;1、6;1、7;1、8;1、9;1、10;1、11;1、12;1、13;2、3;2、4;2、5;2、6;2、7;2、8;2、9;2、10;2、11;2、12;2、13;3、4;3、5;3、6;3、7;3、8;3、9;3、10;3、11;3、12;3、13;4、5;4、6;4、7;4、8;4、9;4、10;4、11;4、12;4、13;5、6;5、7;5、8;5、9;5、10;5、11;5、12;5、13;6、7;6、8;6、9;6、10;6、11;6、12;6、13;7、8;7、9;7、10;7、11;7、12;7、13;8、9;8、10;8、11;8、12;8、13;9、10;9、11;9、12;9、13;10、11;10、12;10、13;11、12;11、13;及び12、13である。
更に別の実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の以下の3種の分析物の組の1種の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含み、「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB):1、2、3;1、2、4;1、2、5;1、2、6;1、2、7;1、2、8;1、2、9;1、2、10;1、2、11;1、2、12;1、2、13;1、3、4;1、3、5;1、3、6;1、3、7;1、3、8;1、3、9;1、3、10;1、3、11;1、3、12;1、3、13;1、4、5;1、4、6;1、4、7;1、4、8;1、4、9;1、4、10;1、4、11;1、4、12;1、4、13;1、5、6;1、5、7;1、5、8;1、5、9;1、5、10;1、5、11;1、5、12;1、5、13;1、6、7;1、6、8;1、6、9;1、6、10;1、6、11;1、6、12;1、6、13;1、7、8;1、7、9;1、7、10;1、7、11;1、7、12;1、7、13;1、8、9;1、8、10;1、8、11;1、8、12;1、8、13;1、9、10;1、9、11;1、9、12;1、9、13;1、10、11;1、10、12;1、10、13;1、11、12;1、11、13;1、12、13、2、3、4;2、3、5;2、3、6;2、3、7;2、3、8;2、3、9;2、3、10;2、3、11;2、3、12;2、3、13;2、4、5;2、4、6;2、4、7;2、4、8;2、4、9;2、4、10;2、4、11;2、4、12;2、4、13;2、5、6;2、5、7;2、5、8;2、5、9;2、5、10;2、5、11;2、5、12;2、5、13;2、6、7;2、6、8;2、6、9;2、6、10;2、6、11;2、6、12;2、6、13;2、7、8;2、7、9;2、7、10;2、7、11;2、7、12;2、7、13;2、8、9;2、8、10;2、8、11;2、8、12;2、8、13;2、9、10;2、9、11;2、9、12;2、9、13;2、10、11;2、10、12;2、10、13;2、11、12;2、11、13;2、12、13;3、4、5;3、4、6;3、4、7;3、4、8;3、4、9;3、4、10;3、4、11;3、4、12;3、4、13;3、5、6;3、5、7;3、5、8;3、5、9;3、5、10;3、5、11;3、5、12;3、5、13;3、6、7;3、6、8;3、6、9;3、6、10;3、6、11;3、6、12;3、6、13;3、7、8;3、7、9;3、7、10;3、7、11;3、7、12;3、7、13;3、8、9;3、8、10;3、8、11;3、8、12;3、8、13;3、9、10;3、9、11;3、9、12;3、9、13;3、10、11;3、10、12;3、10、13;3、11、12;3、11、13;3、12、13;4、5、6;4、5、7;4、5、8;4、5、9;4、5、10;4、5、11;4、5、12;4、5、13;4、6、7;4、6、8;4、6、9;4、6、10;4、6、11;4、6、12;4、6、13;4、7、8;4、7、9;4、7、10;4、7、11;4、7、12;4、7、13;4、8、9;4、8、10;4、8、11;4、8、12;4、8、13;4、9、10;4、9、11;4、9、12;4、9、13;4、10、11;4、10、12;4、10、13;4、11、12;4、11、13;4、12、13;5、6、7;5、6、8;5、6、9;5、6、10;5、6、11;5、6、12;5、6、13;5、7、8;5、7、9;5、7、10;5、7、11;5、7、12;5、7、13;5、8、9;5、8、10;5、8、11;5、8、12;5、8、13;5、9、10;5、9、11;5、9、12;5、9、13;5、10、11;5、10、12;5、10、13;5、11、12;5、11、13;5、12、13、6、7、8;6、7、9;6、7、10;6、7、11;6、7、12;6、7、13;6、8、9;6、8、10;6、8、11;6、8、12;6、8、13;6、9、10;6、9、11;6、9、12;6、9、13;6、10、11;6、10、12;6、10、13;6、11、12;6、11、13;6、12、13;7、8、9;7、8、10;7、8、11;7、8、12;7、8、13;7、9、10;7、9、11;7、9、12;7、9、13;7、10、11;7、10、12;7、10、13;7、11、12;7、11、13;7、12、13;8、9、10;8、9、11;8、9、12;8、9、13;8、10、11;8、10、12;8、10、13;8、11、12;8、11、13;8、12、13;9、10、11;9、10、12;9、10、13;9、11、12;9、11、13;9、12、13;10、11、12;10、11、13;10、12、13;及び11、12、13である。
いっそう更に別の実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の以下の4種の分析物の組の1種の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含み、「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB):1、2、3、4;1、2、3、5;1、2、3、6;1、2、3、7;1、2、3、8;1、2、3、9;1、2、3、10;1、2、3、11;1、2、3、12;1、2、3、13;1、3、4、5;1、3、4、6;1、3、4、7;1、3、4、8;1、3、4、9;1、3、4、10;1、3、4、11;1、3、4、12;1、3、4、13;1、4、5、6;1、4、5、7;1、4、5、8;1、4、5、9;1、4、5、10;1、4、5、11;1、4、5、12;1、4、5、13;1、5、6、7;1、5、6、8;1、5、6、9;1、5、6、10;1、5、6、11;1、5、6、12;1、5、6、13;1、6、7、8;1、6、7、9;1、6、7、10;1、6、7、11;1、6、7、12;1、6、7、13;1、7、8、9;1、7、8、10;1、7、8、11;1、7、8、12;1、7、8、13;1、8、9、10;1、8、9、11;1、8、9、12;1、8、9、13;1、9、10、11;1、9、10、12;1、9、10、13;1、10、11、12;1、10、11、13;1、11、12、13;2、3、4、5;2、3、4、6;2、3、4、7;2、3、4、8;2、3、4、9;2、3、4、10;2、3、4、11;2、3、4、12;2、3、4、13;2、4、5、6;2、4、5、7;2、4、5、8;2、4、5、9;2、4、5、10;2、4、5、11;2、4、5、12;2、4、5、13;2、5、6、7;2、5、6、8;2、5、6、9;2、5、6、10;2、5、6、11;2、5、6、12;2、5、6、13;2、6、7、8;2、6、7、9;2、6、7、10;2、6、7、11;2、6、7、12;2、6、7、13;2、7、8、9;2、7、8、10;2、7、8、11;2、7、8、12;2、7、8、13;2、8、9、10;2、8、9、11;2、8、9、12;2、8、9、13;2、9、10、11;2、9、10、12;2、9、10、13;2、10、11、12;2、10、11、13;2、11、12、13;3、4、5、6;3、4、5、7;3、4、5、8;3、4、5、9;3、4、5、10;3、4、5、11;3、4、5、12;3、4、5、13;3、5、6、7;3、5、6、8;3、5、6、9;3、5、6、10;3、5、6、11;3、5、6、12;3、5、6、13;3、6、7、8;3、6、7、9;3、6、7、10;3、6、7、11;3、6、7、12;3、6、7、13;3、7、8、9;3、7、8、10;3、7、8、11;3、7、8、12;3、7、8、13;3、8、9、10;3、8、9、11;3、8、9、12;3、8、9、13;3、9、10、11;3、9、10、12;3、9、10、13;3、10、11、12;3、10、11、13;3、11、12、13;4、5、6、7;4、5、6、8;4、5、6、9;4、5、6、10;4、5、6、11;4、5、6、12;4、5、6、13;4、6、7、8;4、6、7、9;4、6、7、10;4、6、7、11;4、6、7、12;4、6、7、13;4、7、8、9;4、7、8、10;4、7、8、11;4、7、8、12;4、7、8、13;4、8、9、10;4、8、9、11;4、8、9、12;4、8、9、13;4、9、10、11;4、9、10、12;4、9、10、13;4、10、11、12;4、10、11、13;4、11、12、13;5、6、7、8;5、6、7、9;5、6、7、10;5、6、7、11;5、6、7、12;5、6、7、13;5、7、8、9;5、7、8、10;5、7、8、11;5、7、8、12;5、7、8、13;5、8、9、10;5、8、9、11;5、8、9、12;5、8、9、13;5、9、10、11;5、9、10、12;5、9、10、13;5、10、11、12;5、10、11、13;5、11、12、13;6、7、8、9;6、7、8、10;6、7、8、11;6、7、8、12;6、7、8、13;6、8、9、10;6、8、9、11;6、8、9、12;6、8、9、13;6、9、10、11;6、9、10、12;6、9、10、13;6、10、11、12;6、10、11、13;6、11、12、13;7、8、9、10;7、8、9、11;7、8、9、12;7、8、9、13;7、9、10、11;7、9、10、12;7、9、10、13;7、10、11、12;7、10、11、13;7、11、12、13;8、9、10、11;8、9、10、12、8、9、10、13;8、10、11、12;8、10、11、13;8、11、12、13;9、10、11、12;9、10、11、13;9、11、12、13;及び10、11、12、13である。
別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の5種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)、及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、5種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5;2、3、4、5、6;3、4、5、6、7;4、5、6、7、8;5、6、7、8、9;6、7、8、9、10;7、8、9、10、11;8、9、10、11、12;又は9、10、11、12、13。
更に別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の6種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)、及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、6種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5、6;2、3、4、5、6、7;3、4、5、6、7、8;4、5、6、7、8、9;5、6、7、8、9、10;6、7、8、9、10、11;7、8、9、10、11、12;又は8、9、10、11、12、13。
更に別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の7種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、7種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5、6、7;2、3、4、5、6、7、8;3、4、5、6、7、8、9;4、5、6、7、8、9、10;5、6、7、8、9、10、11;6、7、8、9、10、11、12;又は7、8、9、10、11、12、13。
別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の8種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、8種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5、6、7、8;2、3、4、5、6、7、8、9;3、4、5、6、7、8、9、10;4、5、6、7、8、9、10、11;5、6、7、8、9、10、11、12;又は6、7、8、9、10、11、12、13。
更に別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の9種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、9種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5、6、7、8、9;2、3、4、5、6、7、8、9、10;3、4、5、6、7、8、9、10、11;4、5、6、7、8、9、10、11、12;又は5、6、7、8、9、10、11、12、13。
更にいっそう別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の10種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、10種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10;2、3、4、5、6、7、8、9、10、11;3、4、5、6、7、8、9、10、11、12;又は4、5、6、7、8、9、10、11、12、13。
別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の11種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、11種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11;2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12;又は3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13。
更に別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の12種の任意の考えられる組合せの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。非限定的な例として、12種の分析物の組合せは、以下のものの1種を含むことができる:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12;又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13。
いっそう更に別の実施態様において、本発明は、以下の分析物の13種全ての発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:「1」=HER1、「2」=HER2、「3」=p95HER2、「4」=HER3、「5」=c−Met、「6」=IGF1R、「7」=cKit、「8」=PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、「9」=Shc、「10」=Akt、「11」=p70S6K、「12」=VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及び「13」=PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)。
1つの特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、p95HER2及びHER3の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。別の特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)及びShcの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。更に別の特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及びPDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。
ある実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の1種以上(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上)の追加の分析物の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを更に含む。一部の実施態様において、1種以上(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上)の追加の分析物は、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のシグナル伝達分子を含む。
特定の実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の以下の追加の分析物の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上の1種又は任意の組合せの発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを更に含む:HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PDK1、PDK2、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、EPH−A、EPH−B、EPH−C、EPH−D、FLT−3、TIE−1、TIE−2、c−FMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON、PIP2、PIP3、p27、タンパク質チロシンホスファターゼ(例えば、PTP1B、PTPN13、BDP1など)、受容体二量体、他のHER2シグナリング経路構成因子、他のc−Metシグナリング経路構成因子及びこれらの組合せ。
一部の実施態様において、細胞(例えば、細胞抽出物が生成される試験細胞)は、腫瘍細胞、例えば、胃癌細胞である。ある例において、腫瘍細胞は、腫瘍から得られた循環腫瘍細胞又は細針吸引液(FNA)細胞である。他の実施態様において、細胞(例えば、細胞抽出物が生成される試験細胞)は、例えば、胃癌患者から得られた試料から単離される。試料の非限定的な例には、体液試料、例えば、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液及び/又は細針吸引液(FNA)試料などが含まれる。特定の実施態様において、試料は、全血、血清、血漿及び/又は腫瘍組織試料、例えば、胃腫瘍組織を含む。
ある例において、本発明の方法は、工程(d)において得られた比較の結果を読取可能なフォーマットでユーザ(例えば、臨床医、例えば、癌専門医又は一般診療医)に提供する工程を更に含む。一部の例において、本方法は、工程(d)において得られた比較の結果を臨床医、例えば、癌専門医又は一般診療医に送付又は報告することを更に含むことができる。他の例において、本方法は、工程(d)において得られた比較の結果をコンピュータデータベース又は例えば実験室において情報を保存するための他の好適な機械もしくはデバイスに記録又は保存することを更に含むことができる。
一部の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の発現レベルの決定は、細胞抽出物中の1種以上の分析物の全量を、対応する分析物に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む。特定の実施態様において、抗体は、検出すべき分析物の活性化状態にかかわらず分析物に結合し、すなわち、抗体は、分析物の非活性化及び活性化形態の両方を検出する。
全発現レベル及び/又は状態は、種々の技術のいずれかを使用して決定することができる。ある実施態様において、試料中の1種以上の分析物、例えば、シグナル伝達分子の発現レベル及び/又は状態は、免疫アッセイ、例えば単一検出アッセイ又は本明細書に記載の近接二重検出アッセイ(例えば、共同近接免疫アッセイ(COllaborative Proximity ImmunoAssay)(COPIA))により検出される。
ある実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の発現(例えば、全)レベルの決定は、
(i)細胞抽出物を捕捉抗体(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子に特異的な捕捉抗体)の1種又は複数の希釈系列とインキュベートして(例えば、接触させて)複数の捕捉された分析物を形成すること(捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている)(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、分析物及び捕捉抗体を含む捕捉された分析物の複合体に転換すること);
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な1種又は複数の第1及び第2の活性化状態非依存性抗体(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子に特異的な第1及び第2の活性化状態非依存性抗体)を含む検出抗体とインキュベートして(例えば、接触させて)複数の検出可能な捕捉された分析物を形成すること(例えば、捕捉された分析物の複合体を、捕捉された分析物及び検出抗体を含む検出可能な捕捉された分析物の複合体に転換すること);
(第1の活性化状態非依存性抗体は、促進部分により標識されており、第2の活性化状態非依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進部分は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物を、シグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして(例えば、接触させて)増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
ある他の実施態様において、トランケート化受容体(例えば、p95HER2)である工程(c)における1種以上の分析物の発現(例えば、全)レベルの決定は、
(i)細胞抽出物を完全長受容体(例えば、完全長HER2)の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートする(例えば、接触させる)こと;
(ii)複数のビーズを細胞抽出物から除去し、これにより完全長受容体(例えば、完全長HER2)を除去して完全長受容体(例えば、完全長HER2)を欠く細胞抽出物を形成すること(例えば、細胞抽出物を、特定の完全長受容体又は完全長受容体のファミリーを欠く細胞抽出物に転換すること);
(iii)完全長受容体(例えば、完全長HER2)を欠く細胞抽出物を、完全長受容体(例えば、完全長HER2)の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な1種又は複数の捕捉抗体とインキュベートして(例えば、接触させて)複数の捕捉されたトランケート化受容体を形成すること(捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている)(例えば、完全長受容体枯渇細胞抽出物中に存在するトランケート化受容体を、トランケート化受容体及び捕捉抗体の複合体に転換すること);
(iv)複数の捕捉されたトランケート化受容体を、完全長受容体(例えば、完全長HER2)のICD結合領域に特異的な1種又は複数の第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を形成すること(例えば、捕捉されたトランケート化受容体の複合体を、捕捉されたトランケート化受容体及び検出抗体を含む検出可能な捕捉されたトランケート化受容体の複合体に転換すること)、
(第1の活性化状態非依存性抗体は、促進部分により標識されており、第2の活性化状態非依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進部分は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を、シグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして(例えば、接触させて)増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(vi)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
第1の活性化状態非依存性抗体は、促進部分により直接的に標識することができ、又は促進成分により、例えば第1の活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドと促進成分にコンジュゲートされた相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより間接的に標識することができる。同様に、第2の活性化状態非依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識することができ、又はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、例えば第2の活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合により間接的に標識することができる。ある例において、結合ペアの第1のメンバーはビオチンであり、結合ペアの第2のメンバーはアビジン、例えばストレプトアビジン又はニュートラビジンである。
一部の実施態様において、促進部分は、例えば、グルコースオキシダーゼであり得る。ある例において、グルコースオキシダーゼ及び活性化状態非依存性抗体は、例えば、開示が全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の実施例16〜17に記載のとおりスルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートさせることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約500kDa(例えば、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700又は750kDa)の分子量を有する。他の実施態様において、酸化剤は、例えば過酸化水素(H)であり得る。更に他の実施態様において、シグナル増幅ペアの第1のメンバーは、例えば、ペルオキシダーゼ、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)であり得る。更なる実施態様において、シグナル増幅ペアの第2のメンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であり得る。好ましくは、増幅されたシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに転換する)ビオチン−チラミドのペルオキシダーゼの酸化により発生する。活性化チラミドは、直接的に検出することができ、又は例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出することができる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア並びにストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ及び発色試薬、例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの組合せが含まれる。
ある例において、セイヨウワサビペルオキシダーゼ及び第2の活性化状態非依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートさせることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約70kDa(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100kDa)の分子量を有する。
トランケート化受容体は、典型的には完全長受容体のフラグメントであり、細胞内ドメイン(ICD)結合領域を完全長受容体と共有する。ある実施態様において、完全長受容体は、細胞外ドメイン(ECD)結合領域、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメイン(ICD)結合領域を含む。任意の特定の理論により拘束されるものではないが、トランケート化受容体は、完全長受容体のECDのタンパク質分解プロセシングを介し、又は例えば短縮ECDを有するトランケート化受容体又は膜関連もしくは細胞質ICDフラグメントを含むトランケート化受容体を作出するために、膜貫通ドメイン前、内又は後に局在するメチオニン残基からの翻訳の選択的開始により生じ得る。
ある好ましい実施態様において、トランケート化受容体はp95HER2であり、対応する完全長受容体はHER2である。しかしながら、当業者であれば、トランケート化タンパク質を検出するための本明細書に記載の方法は、限定されるものではないが、EGFR VIII突然変異体(膠芽細胞腫、結腸直腸癌などに関与する)又は他のトランケート化受容体チロシンキナーゼ、カスパーゼなどを含む多数の様々なタンパク質に適用することができることを認識する。開示が全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の実施例12は、優れたダイナミックレンジを有するマルチプレックスハイスループット近接二重検出マイクロアレイELISAを使用して細胞中のトランケート化受容体、例えばp95HER2を検出するための本発明のアッセイ方法の例示的な実施態様を提供している。
一部の実施態様において、ECD結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチンペアを含み、ストレプトアビジンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している。ある例において、抗体は、完全長受容体(例えば、完全長HER2)のECD結合領域に特異的である。
一部の実施態様において、捕捉抗体の各希釈系列は、一連の減少する捕捉抗体濃度を含む。ある例において、捕捉抗体は、少なくとも2倍(例えば、2、5、10、20、50、100、500又は1000倍)で段階希釈されてアレイ上にスポットされるセット数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)の減少する捕捉抗体濃度を含む希釈系列が生成される。好ましくは、各捕捉抗体希釈物の少なくとも2、3、4、5又は6個のレプリケートがアレイ上にスポットされる。
他の実施態様において、固体担体は、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、繊維束又は任意の他の好適な基体を含む。好ましい実施態様において、捕捉抗体は、ニトロセルロースポリマーによりコーティングされたガラススライド、例えば、Whatman Inc.(Florham Park,NJ)から市販されているFAST(商標)スライドなどの上に(例えば、共有結合又は非共有結合相互作用により)拘束される。
更なる実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の活性化レベルの決定は、細胞抽出物中の1種以上の分析物のリン酸化レベルを検出すべき分析物のそれぞれのリン酸化形態に特異的な抗体により検出することを含む。
リン酸化レベル及び/又は状態は、種々の技術のいずれかを使用して決定することができる。例えば、リン酸化タンパク質は、タンパク質のリン酸化形態を特異的に認識する抗体を使用する免疫アッセイにより検出することができることが当分野において周知である(例えば、Lin et al.,Br.J.Cancer,93:1372−1381(2005))。免疫アッセイには、一般に、免疫ブロッティング(例えば、ウエスタンブロッティング)、RIA及びELISAが含まれる。免疫アッセイのより具体的なタイプには、抗原捕捉/抗原競合、抗体捕捉/抗原競合、二抗体サンドイッチ、抗体捕捉/抗体過剰及び抗体捕捉/抗原過剰が含まれる。抗体を作製する方法は、本明細書及びHarlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,1988,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USAに記載されている。ホスホ特異的抗体は、デノボで作製することができ、又は市販もしくは非市販源から得ることができる。リン酸化レベル及び/又は状態は、細胞を[γ−32P]ATP又は[γ−33P]ATPの形態の放射性リン酸で代謝標識することによっても決定することができる。リン酸化されたタンパク質は放射性になり、従ってシンチレーションカウンティング、ラジオグラフィーなどを介して追跡可能及び定量可能となる(例えば、Wang et al.,J.Biol.Chem.,253:7605−7608(1978)参照)。例えば、代謝標識されたタンパク質は、細胞から抽出し、ゲル電気泳動により分離し、膜に転移させ、特定のHER2シグナリング経路構成因子に特異的な抗体によりプロービングし、オートラジオグラフィーに供して32P又は33Pを検出することができる。あるいは、ゲルをオートラジオグラフィーに供してから膜転移及び抗体プロービングを行うことができる。
特定の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の活性化(例えば、リン酸化)レベル及び/又は状態は、免疫アッセイ、例えば、単一検出アッセイ又は本明細書に記載の近接二重検出アッセイ(例えば、共同近接免疫アッセイ(COPIA))により検出される。
ある実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路の構成因子)の活性化(例えば、リン酸化)レベルの決定は、
(i)細胞抽出物を捕捉抗体(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子に特異的な捕捉抗体)の希釈系列とインキュベートして(例えば、接触させて)複数の捕捉された分析物を形成すること(捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている)(例えば、細胞抽出物中に存在する分析物を、分析物及び捕捉抗体を含む捕捉された分析物の複合体に転換すること);
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子に特異的な活性化状態非依存性抗体)及び対応する分析物に特異的な活性化状態依存性抗体(例えば、例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子に特異的な活性化状態依存性抗体)を含む検出抗体とインキュベートして(例えば、接触させて)複数の検出可能な捕捉された分析物を形成すること(例えば、捕捉された分析物の複合体を、捕捉された分析物及び検出抗体を含む検出可能な捕捉された分析物の複合体に変換させること);
(活性化状態非依存性抗体は、促進部分により標識されており、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進部分は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物を、シグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして(例えば、接触させて)増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
ある他の実施態様において、トランケート化受容体(例えば、p95HER2)である工程(c)における1種以上の分析物の活性化(例えば、リン酸化)レベルの決定は、
(i)細胞抽出物を完全長受容体(例えば、完全長HER2)の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートする(例えば、接触させる)こと;
(ii)複数のビーズを細胞抽出物から除去し、これにより完全長受容体(例えば、完全長HER2)を除去して完全長受容体(例えば、完全長HER2)を欠く細胞抽出物を形成すること(例えば、細胞抽出物を、特定の完全長受容体又は完全長受容体のファミリーを欠く細胞抽出物に転換すること);
(iii)完全長受容体(例えば、完全長HER2)を欠く細胞抽出物を、完全長受容体(例えば、完全長HER2)の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な複数の捕捉抗体とインキュベートして(例えば、接触させて)複数の捕捉されたトランケート化受容体を形成すること(捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている)(例えば、完全長受容体枯渇細胞抽出物中に存在するトランケート化受容体を、トランケート化受容体及び捕捉抗体の複合体に転換すること);
(iv)複数の捕捉されたトランケート化受容体を、完全長受容体(例えば、完全長HER2)のICD結合領域に特異的な活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして(例えば、接触させて)複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を形成すること(例えば、捕捉されたトランケート化受容体の複合体を、捕捉されたトランケート化受容体及び検出抗体を含む検出可能な捕捉されたトランケート化受容体の複合体に転換すること)
(活性化状態非依存性抗体は、促進部分により標識されており、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進部分は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を、シグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして(例えば、接触させて)増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(vi)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
活性化状態非依存性抗体は、促進部分により直接的に標識でき、又は促進成分により、例えば活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドと促進成分にコンジュゲートされた相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより間接的に標識することができる。同様に、活性化状態依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識することができ、又はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、例えば活性化状態依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合により間接的に標識することができる。ある例において、結合ペアの第1のメンバーはビオチンであり、結合ペアの第2のメンバーはアビジン、例えばストレプトアビジン又はニュートラビジンである。
一部の実施態様において、促進部分は、例えば、グルコースオキシダーゼであり得る。ある例において、グルコースオキシダーゼ及び活性化状態非依存性抗体は、例えば、開示が全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の実施例16〜17に記載のとおりスルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートさせることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約500kDa(例えば、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700又は750kDa)の分子量を有する。他の実施態様において、酸化剤は、例えば過酸化水素(H)であり得る。更に他の実施態様において、シグナル増幅ペアの第1のメンバーは、例えば、ペルオキシダーゼ、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)であり得る。更なる実施態様において、シグナル増幅ペアの第2のメンバーは、例えば、チラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)であり得る。好ましくは、増幅されたシグナルは、活性化チラミドを生成する(例えば、ビオチン−チラミドを活性化チラミドに転換する)ビオチン−チラミドのペルオキシダーゼの酸化により発生する。活性化チラミドは、直接的に検出することができ、又は例えばシグナル検出試薬の添加に基づいて間接的に検出することができる。シグナル検出試薬の非限定的な例には、ストレプトアビジン標識フルオロフォア並びにストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ及び発色試薬、例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などの組合せが含まれる。
ある例において、セイヨウワサビペルオキシダーゼ及び活性化状態依存性抗体は、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートさせることができる。スルフヒドリル活性化デキストラン分子は、典型的には、約70kDa(例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100kDa)の分子量を有する。
トランケート化受容体は、典型的には完全長受容体のフラグメントであり、細胞内ドメイン(ICD)結合領域を完全長受容体と共有する。ある実施態様において、完全長受容体は、細胞外ドメイン(ECD)結合領域、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメイン(ICD)結合領域を含む。任意の特定の理論により拘束されるものではないが、トランケート化受容体は、完全長受容体のECDのタンパク質分解プロセシングを介し、又は例えば短縮ECDを有するトランケート化受容体又は膜関連もしくは細胞質ICDフラグメントを含むトランケート化受容体を作出するために、膜貫通ドメイン前、内又は後に局在するメチオニン残基からの翻訳の選択的開始により生じ得る。
ある好ましい実施態様において、トランケート化受容体はp95HER2であり、対応する完全長受容体はHER2である。しかしながら、当業者であれば、トランケート化タンパク質を検出するための本明細書に記載の方法は、限定されるものではないが、EGFR VIII突然変異体(膠芽細胞腫、結腸直腸癌などに関与する)又は他のトランケート化受容体チロシンキナーゼ、カスパーゼなどを含む多数の様々なタンパク質に適用することができることを認識する。開示が全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の実施例12は、優れたダイナミックレンジを有するマルチプレックスハイスループット近接二重検出マイクロアレイELISAを使用して細胞中のトランケート化受容体、例えばp95HER2を検出するための本発明のアッセイ方法の例示的な実施態様を提供している。
一部の実施態様において、ECD結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチンペアを含み、ストレプトアビジンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している。ある例において、抗体は、完全長受容体(例えば、完全長HER2)のECD結合領域に特異的である。
一部の実施態様において、捕捉抗体の各希釈系列は、一連の減少する捕捉抗体濃度を含む。ある例において、捕捉抗体は、少なくとも2倍(例えば、2、5、10、20、50、100、500又は1000倍)で段階希釈されてアレイ上にスポットされるセット数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)の減少する捕捉抗体濃度を含む希釈系列が生成される。好ましくは、各捕捉抗体希釈物の少なくとも2、3、4、5又は6個のレプリケートがアレイ上にスポットされる。
他の実施態様において、固体担体は、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、繊維束又は任意の他の好適な基体を含む。好ましい実施態様において、捕捉抗体は、ニトロセルロースポリマーによりコーティングされたガラススライド、例えば、Whatman Inc.(Florham Park,NJ)から市販されているFAST(商標)スライドなどの上に(例えば、共有結合又は非共有結合相互作用により)拘束される。
別の態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定すること
を含む方法を提供する。
一部の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、例えば、近接アッセイ、例えば、本明細書に記載の共同近接免疫アッセイ(COPIA)を使用して決定される、対象となる特定の分析物についてのシグナル強度に対応する相対蛍光単位(RFU)値として表現される。他の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現され、これらは、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される、対象となる特定の分析物についての増加するシグナル強度に対応する。一部の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、検出不能又はわずかに検出可能なレベルの発現又は活性化は「−」又は「±」として表現することができる。他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、低レベルの発現又は活性化は「+」として表現することができる。更に他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、中程度のレベルの発現又は活性化は「++」として表現することができる。更にいっそう他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、高レベルの発現又は活性化は「+++」として表現することができる。更なる例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、非常に高レベルの発現又は活性化は「++++」として表現することができる。
更に他の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定されるRFU値を、対象となる特性の分析物について作成された標準曲線に対して較正又は正規化することにより定量される。ある例において、計算単位(CU)値を標準曲線に基づき計算することができる。他の例において、CU値は、シグナル強度について上記説明に従って、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現することができる。実施例13は、胃癌細胞中のシグナル伝達経路タンパク質(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の定量についてのデータ分析の非限定的な例を提供する。
ある実施態様において、対象となる特定の分析物の発現又は活性化レベルは、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現される場合、例えば、陰性対照、例えば、IgG対照と比較した場合、対象となる分析物について作成された標準曲線と比較した場合、陽性対照、例えば、pan−CK対照と比較した場合、抗癌薬の存在下で決定された発現もしくは活性化レベルと比較した場合及び/又は抗癌薬の非存在下で決定された発現もしくは活性化レベルと比較した場合、参照発現レベル又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍高い又は低い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍高い又は低い)発現又は活性化のレベルに対応し得る。一部の例において、相関は分析物特異的である。非限定的な例として、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定された発現又は活性化の「+」レベルは、参照発現又は活性化レベルと比較した場合、ある分析物については発現又は活性化の2倍増加に、別の分析物については5倍増加に対応し得る。
一部の実施態様において、癌細胞は、胃癌を有する対象から、対象への抗癌薬の投与後に単離される。他の実施態様において、単離された癌細胞は、抗癌薬と接触される。これらの実施態様のいずれにおいても、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答は、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較することにより同定することができる。
ある実施態様において、工程(b)は、工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを適用して抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定することを含む。
1つの特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性か非応答性かを同定すること
を含む方法を提供する。
別の特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較すること;並びに
(e)1種以上の分析物について決定された発現レベル及び/又は活性化レベルが参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して変化(例えば、実質的に減少)した場合、胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性である(例えば、胃腫瘍が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が増加する)ことを示すこと
を含む方法を提供する。
ある例において、胃癌は腺癌である。ある他の例において、胃癌は、食道、小腸、リンパ節、器官、骨又はこれらの組合せに転移している。
一部の実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、これが抗癌薬の非存在下よりも少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%多く又は少なく活性化された場合、抗癌薬の存在下で「変化した」とみなされる。他の実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、これが抗癌薬の非存在下よりも少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%少なく活性化された場合、抗癌薬の存在下で「実質的に減少した」とみなされる。更なる実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、(1)抗癌薬を用いない分析物の高いもしくは強い発現及び/又は活性化からの、抗癌薬を用いる分析物の中程度、弱い、低いもしくは極めて弱い発現及び/又は活性化への変化が存在する場合、又は(2)抗癌薬を用いない分析物の中程度の発現及び/又は活性化からの、抗癌薬を用いる分析物の弱い、低いもしくは極めて弱い発現及び/又は活性化への変化が存在する場合、抗癌薬の存在下で「実質的に減少した」とみなされる。
インサイチュー活性化状態を保存するため、シグナル伝達タンパク質は、典型的には、細胞が単離された直後に、好ましくは96、72、48、24、6又は1時間以内に、より好ましくは30、15又は5分以内に抽出される。単離された細胞は、通常はナノモルからマイクロモル濃度の成長因子とともに約1〜30分間インキュベートしてシグナル伝達物質の活性化を復活させ、又は刺激することもできる(例えば、Irish et al.,Cell,118:217−228(2004)参照)。刺激性成長因子には、上皮成長因子(EGF)、ヘレグリン(HRG)、TGF−α、PIGF、アンジオポエチン(Ang)、NRG1、PGF、TNF−α、VEGF、PDGF、IGF、FGF、HGF、サイトカインなどが含まれる。個々の患者のための潜在的抗癌療法を評価するため、成長因子の刺激前、刺激中及び/又は刺激後に、単離された細胞を変動する用量の1種以上の抗癌薬とインキュベートすることができる。成長因子の刺激は、数分間又は数時間(例えば、約1〜5分間から約1〜6時間)実施することができる。単離、抗癌薬による治療及び/又は成長因子刺激後、細胞は当分野において公知の任意の技術を使用して溶解されてシグナル伝達タンパク質が抽出される。好ましくは、細胞溶解は、成長因子刺激の約1〜360分間後に、より好ましくは2つの異なる時間間隔で:(1)成長因子刺激の約1〜5分間後;及び(2)成長因子刺激の約30〜180分後に開始される。あるいは、溶解物は、使用時まで−80℃で貯蔵することができる。
一部の実施態様において、抗癌薬は、癌細胞中の活性化シグナル伝達経路構成因子の機能を妨害する作用物質を含む。このような作用物質の非限定的な例には、上の表1に列挙した作用物質が含まれる。
他の実施態様において、抗癌薬は、抗シグナリング剤(すなわち、細胞増殖抑制薬)、例えば、モノクローナル抗体もしくはチロシンキナーゼ阻害剤;抗増殖剤;化学療法剤(すなわち、細胞毒性薬);ホルモン療法剤;放射線療法剤;ワクチン;及び/又はアベラントな細胞、例えば、癌性細胞の脱制御された成長を低減又は無効にさせる能力を有する任意の他の化合物、例えば上記の抗癌剤を含む。更なる実施態様において、単離された細胞は、少なくとも1種の化学療法剤、例えば上記の抗癌剤と組み合わせて1種以上の抗シグナリング剤、抗増殖剤及び/又はホルモン療法剤により処理される。
ある実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、正常細胞、例えば、癌、例えば、胃癌を有しない健常個体からの非癌性細胞から得られる。ある他の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、癌、例えば、胃癌を有する患者からの試料からの腫瘍細胞、例えば、胃癌細胞から得られる。
一部の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、腫瘍細胞、例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)から得られる。特定の実施態様において、抗癌薬により処理されていない細胞は、細胞抽出物を生成するために使用される単離された細胞(例えば、調査すべき試験細胞)が得られる同一試料から得られる。ある例において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の低いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性である(例えば、胃腫瘍が抗癌薬に対して応答する可能性又は確率が増加する)ことを示す。ある他の例において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは高いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性でない(例えば、胃腫瘍が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が減少する)ことを示す。
代替的実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理された、抗癌薬に感受性の細胞から得られる。このような実施態様において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは低いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性である(例えば、胃腫瘍が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が増加する)ことを示す。ある他の代替的実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理された、抗癌薬に耐性の細胞から得られる。このような実施態様において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは高いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性でない(例えば、胃腫瘍が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が減少する)ことを示す。
ある実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)のより高い発現又は活性化レベルは、発現又は活性化レベルが、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)中の、抗癌薬により処理された抗癌薬感受性細胞中の、又は抗癌薬により処理された抗癌薬耐性細胞中の対応する分析物の参照発現又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍高い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍高い)場合に細胞抽出物に存在するとみなされる。
他の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)のより低い発現又は活性化レベルは、発現又は活性化レベルが、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)中の、抗癌薬により処理された抗癌薬感受性細胞中の、又は抗癌薬により処理された抗癌薬耐性細胞中の対応する分析物の参照発現又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍低い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍低い)場合に細胞抽出物に存在するとみなされる。
細胞抽出物における発現(例えば、全量)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルについて調査することができる分析物、例えば、シグナル伝達分子の非限定的な例には、上記表2に示す分析物、例えば、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せなどが含まれる。
一実施態様において、本発明の方法は、上記組合せに従う細胞抽出物中の以下の分析物の1種又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12種の任意の組合せ又は13種全ての発現(例えば、全量)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:(1)HER1/EGFR/ErbB1;(2)HER2/ErbB2;(3)p95HER2;(4)HER3/ErbB3;(5)c−Met;(6)IGF1R;(7)cKit;(8)PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1);(9)Shc;(10)Akt;(11)p70S6K;(12)VEGFR(例えば、VEGFR1、VEGFR2及び/又はVEGFR3);及び(13)PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はPDGFRB)。
1つの特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、p95HER2及びHER3の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。別の特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)及びShcの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。更に別の特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及びPDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。
ある実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の1種以上(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上)の追加の分析物の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを更に含む。一部の実施態様において、1種以上の追加の分析物は、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上)のシグナル伝達分子を含む。
特定の実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の以下の追加の分析物の1種又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上の任意の組合せの発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを更に含む:HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PDK1、PDK2、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、EPH−A、EPH−B、EPH−C、EPH−D、FLT−3、TIE−1、TIE−2、c−FMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON、PIP2、PIP3、p27、タンパク質チロシンホスファターゼ(例えば、PTP1B、PTPN13、BDP1など)、受容体二量体、他のHER2シグナリング経路構成因子、他のc−Metシグナリング経路構成因子及びこれらの組合せ。
一部の実施態様において、細胞(例えば、細胞抽出物が生成される試験細胞)は、腫瘍細胞、例えば、胃癌細胞である。ある例において、腫瘍細胞は、腫瘍から得られた循環腫瘍細胞又は細針吸引液(FNA)細胞である。他の実施態様において、細胞(例えば、細胞抽出物が生成される試験細胞)は、例えば、胃癌患者から得られた試料から単離される。試料の非限定的な例には、体液試料、例えば、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液及び/又は細針吸引液(FNA)試料などが含まれる。特定の実施態様において、試料は、全血、血清、血漿及び/又は腫瘍組織試料、例えば、胃腫瘍組織を含む。
ある例において、本発明の方法は、工程(d)において得られた比較の結果を読取可能なフォーマットでユーザ(例えば、臨床医、例えば、癌専門医又は一般診療医)に提供する工程を更に含む。一部の例において、本方法は、工程(d)において得られた比較の結果を臨床医、例えば、癌専門医又は一般診療医に送付又は報告することを更に含むことができる。他の例において、本方法は、工程(d)において得られた比較の結果をコンピュータデータベース又は例えば実験室において情報を保存するための他の好適な機械もしくは装置に記録又は保存することを更に含むことができる。
一部の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の発現レベルの決定は、細胞抽出物中の1種以上の分析物の全量を、対応する分析物に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む。特定の実施態様において、抗体は、検出すべき分析物の活性化状態にかかわらず分析物に結合し、すなわち、抗体は、分析物の非活性化及び活性化形態の両方を検出する。
他の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の活性化レベルの決定は、細胞抽出物中の1種以上の分析物のリン酸化レベルを検出すべき分析物のそれぞれのリン酸化形態に特異的な抗体により検出することを含む。
発現(例えば、全)レベルもしくは状態及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルもしくは状態は、種々の技術のいずれかを使用して決定することができる。特定の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の発現(例えば、全)及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベル又は状態は、免疫アッセイ、例えば、単一検出アッセイ又は本明細書に記載の近接二重検出アッセイ(例えば、共同近接免疫アッセイ(COPIA))により検出される。
更に別の態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測すること
を含む方法を提供する。
一部の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、例えば、近接アッセイ、例えば、本明細書に記載の共同近接免疫アッセイ(COPIA)を使用して決定される、対象となる特定の分析物についてのシグナル強度に対応する相対蛍光単位(RFU)値として表現される。他の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現され、これらは、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される、対象となる特定の分析物についての増加するシグナル強度に対応する。一部の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、検出不能又はわずかに検出可能なレベルの発現又は活性化は「−」又は「±」として表現することができる。他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、低レベルの発現又は活性化は「+」として表現することができる。更に他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、中程度のレベルの発現又は活性化は「++」として表現することができる。更にいっそう他の例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、高レベルの発現又は活性化は「+++」として表現することができる。更なる例において、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定される対象となる特定の分析物の、非常に高レベルの発現又は活性化は「++++」として表現することができる。
更に他の実施態様において、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルは、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定されるRFU値を、対象となる特性の分析物について作成された標準曲線に対して較正又は正規化することにより定量される。ある例において、計算単位(CU)値を標準曲線に基づき計算することができる。他の例において、CU値は、シグナル強度について上記説明に従って、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現することができる。実施例13は、胃癌細胞中のシグナル伝達経路タンパク質(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の定量についてのデータ分析の非限定的な例を提供する。
ある実施態様において、対象となる特定の分析物の発現又は活性化レベルは、「−」、「±」、「+」、「++」、「+++」又は「++++」として表現される場合、例えば、陰性対照、例えば、IgG対照と比較した場合、対象となる分析物について作成された標準曲線と比較した場合、陽性対照、例えば、pan−CK対照と比較した場合、抗癌薬の存在下で決定された発現もしくは活性化レベルと比較した場合及び/又は抗癌薬の非存在下で決定された発現もしくは活性化レベルと比較した場合、参照発現レベル又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍高い又は低い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍高い又は低い)発現又は活性化のレベルに対応し得る。一部の例において、相関は分析物特異的である。非限定的な例として、例えば、近接アッセイ、例えば、COPIAを使用して決定された発現又は活性化の「+」レベルは、参照発現又は活性化レベルと比較した場合、ある分析物については発現又は活性化の2倍増加に、別の分析物については5倍増加に対応し得る。
一部の実施態様において、癌細胞は、対象への抗癌薬の投与後に胃癌を有する対象から単離される。他の実施態様において、単離された癌細胞は、抗癌薬と接触される。これらの実施態様のいずれにおいても、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答は、1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較することにより予測することができる。
ある実施態様において、工程(b)は、工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを適用して抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測することを含む。
1つの特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性を予測すること
を含む方法を提供する。
別の特定の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;
(d)工程(c)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性を予測すること;並びに
(e)1種以上の分析物について決定された発現レベル及び/又は活性化レベルが参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して変化(例えば、実質的に減少)した場合、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性が高い(例えば、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が増加する)ことを示すこと
を含む方法を提供する。
ある例において、胃癌は腺癌である。ある他の例において、胃癌は、食道、小腸、リンパ節、器官、骨又はこれらの組合せに転移している。
一部の実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、これが抗癌薬の非存在下よりも少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%多く又は少なく活性化された場合、抗癌薬の存在下で「変化した」とみなされる。他の実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、これが抗癌薬の非存在下よりも少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%少なく活性化された場合、抗癌薬の存在下で「実質的に減少した」とみなされる。更なる実施態様において、1種以上の分析物の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、(1)抗癌薬を用いない分析物の高いもしくは強い発現及び/又は活性化からの、抗癌薬を用いる分析物の中程度、弱い、低いもしくは極めて弱い発現及び/又は活性化への変化が存在する場合、又は(2)抗癌薬を用いない分析物の中程度の発現及び/又は活性化からの、抗癌薬を用いる分析物の弱い、低いもしくは極めて弱い発現及び/又は活性化への変化が存在する場合、抗癌薬の存在下で「実質的に減少した」とみなされる。
インサイチュー活性化状態を保存するため、シグナル伝達タンパク質は、典型的には、細胞が単離された直後に、好ましくは96、72、48、24、6又は1時間以内に、より好ましくは30、15又は5分以内に抽出される。単離された細胞は、通常はナノモルからマイクロモル濃度の成長因子とともに約1〜30分間インキュベートしてシグナル伝達物質の活性化を復活させ、又は刺激することもできる(例えば、Irish et al.,Cell,118:217−228(2004)参照)。刺激性成長因子には、上皮成長因子(EGF)、ヘレグリン(HRG)、TGF−α、PIGF、アンジオポエチン(Ang)、NRG1、PGF、TNF−α、VEGF、PDGF、IGF、FGF、HGF、サイトカインなどが含まれる。個々の患者のための潜在的抗癌療法を評価するため、成長因子の刺激前、刺激中及び/又は刺激後に、単離された細胞を変動する用量の1種以上の抗癌薬とインキュベートすることができる。成長因子の刺激は、数分間又は数時間(例えば、約1〜5分間から約1〜6時間)実施することができる。単離、抗癌薬による治療及び/又は成長因子刺激後、細胞は当分野において公知の任意の技術を使用して溶解されてシグナル伝達タンパク質が抽出される。好ましくは、細胞溶解は、成長因子刺激の約1〜360分間後に、より好ましくは2つの異なる時間間隔で:(1)成長因子刺激の約1〜5分間後;及び(2)成長因子刺激の約30〜180分後に開始される。あるいは、溶解物は、使用時まで−80℃で貯蔵することができる。
一部の実施態様において、抗癌薬は、癌細胞中の活性化シグナル伝達経路構成因子の機能を妨害する作用物質を含む。このような作用物質の非限定的な例には、上の表1に列挙した作用物質が含まれる。
他の実施態様において、抗癌薬は、抗シグナリング剤(すなわち、細胞増殖抑制薬)、例えばモノクローナル抗体もしくはチロシンキナーゼ阻害剤;抗増殖剤;化学療法剤(すなわち、細胞毒性薬);ホルモン療法剤;放射線療法剤;ワクチン;及び/又はアベラントな細胞、例えば、癌性細胞の脱制御された成長を低減又は無効にさせる能力を有する任意の他の化合物、例えば、上記の抗癌剤を含む。更なる実施態様において、単離された細胞は、少なくとも1種の化学療法薬、例えば上記の抗癌剤と組み合わせて1種以上の抗シグナリング剤、抗増殖剤及び/又はホルモン療法剤により処理される。
ある実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、正常細胞、例えば、癌、例えば、胃癌を有しない健常個体からの非癌性細胞から得られる。ある他の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、癌、例えば、胃癌を有する患者からの試料からの腫瘍細胞、例えば、胃癌細胞から得られる。
一部の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、腫瘍細胞、例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)から得られる。特定の実施態様において、抗癌薬により処理されていない細胞は、細胞抽出物を生成するために使用される単離された細胞(例えば、調査すべき試験細胞)が得られる同一試料から得られる。ある例において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の低いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性が高い(例えば、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が増加する)ことを示す。ある他の例において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは高いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性が低い(例えば、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が減少する)ことを示す。
代替的実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理された、抗癌薬に感受性の細胞から得られる。このような実施態様において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは低いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に応答する可能性が高い(例えば、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が増加する)ことを示す。ある他の代替的実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の参照発現又は活性化レベルは、抗癌薬により処理された、抗癌薬に耐性の細胞から得られる。このような実施態様において、参照発現又は活性化レベルと比較して1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の同一、類似もしくは高いレベルの発現又は活性化の存在は、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性が低い(例えば、胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性又は確率が減少する)ことを示す。
ある実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)のより高い発現又は活性化レベルは、発現又は活性化レベルが、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)中の、抗癌薬により処理された抗癌薬感受性細胞中の、又は抗癌薬により処理された抗癌薬耐性細胞中の対応する分析物の参照発現又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍高い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍高い)場合に細胞抽出物に存在するとみなされる。
他の実施態様において、工程(c)において決定される、1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)のより低い発現又は活性化レベルは、発現又は活性化レベルが、抗癌薬により処理されていない細胞(例えば、患者試料から得られた胃癌細胞)中の、抗癌薬により処理された抗癌薬感受性細胞中の、又は抗癌薬により処理された抗癌薬耐性細胞中の対応する分析物の参照発現又は活性化レベルよりも少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50又は100倍低い(例えば、約1.5〜3、2〜3、2〜4、2〜5、2〜10、2〜20、2〜50、3〜5、3〜10、3〜20、3〜50、4〜5、4〜10、4〜20、4〜50、5〜10、5〜15、5〜20又は5〜50倍低い)場合に細胞抽出物に存在するとみなされる。
細胞抽出物における発現(例えば、全量)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルについて調査することができる分析物、例えば、シグナル伝達分子の非限定的な例には、上記表2に示す分析物、例えば、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せなどが含まれる。
一実施態様において、本発明の方法は、上記組合せに従う細胞抽出物中の以下の分析物の1種又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12種の任意の組合せ又は13種全ての発現(例えば、全量)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む:(1)HER1/EGFR/ErbB1;(2)HER2/ErbB2;(3)p95HER2;(4)HER3/ErbB3;(5)c−Met;(6)IGF1R;(7)cKit;(8)PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1);(9)Shc;(10)Akt;(11)p70S6K;(12)VEGFR(例えば、VEGFR1、VEGFR2及び/又はVEGFR3);及び(13)PDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はPDGFRB)。
1つの特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、p95HER2及びHER3の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。別の特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)及びShcの発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。更に別の特定の実施態様において、本発明は、HER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K(例えば、PIK3CA及び/又はPIK3R1)、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR(例えば、VEGFR1、2及び/又は3)及びPDGFR(例えば、PDGFRA及び/又はB)の発現(例えば全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを含む。
ある実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の1種以上(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上)の追加の分析物の発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを更に含む。一部の実施態様において、1種以上の追加の分析物は、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上)のシグナル伝達分子を含む。
特定の実施態様において、本発明は、細胞抽出物中の以下の追加の分析物の1種又は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50種以上の任意の組合せの発現(例えば、全)レベル及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルを決定することを更に含む:HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PDK1、PDK2、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、EPH−A、EPH−B、EPH−C、EPH−D、FLT−3、TIE−1、TIE−2、c−FMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON、PIP2、PIP3、p27、タンパク質チロシンホスファターゼ(例えば、PTP1B、PTPN13、BDP1など)、受容体二量体、他のHER2シグナリング経路構成因子、他のc−Metシグナリング経路構成因子及びこれらの組合せ。
一部の実施態様において、細胞(例えば、細胞抽出物が生成される試験細胞)は、腫瘍細胞、例えば、胃癌細胞である。ある例において、腫瘍細胞は、腫瘍から得られた循環腫瘍細胞又は細針吸引液(FNA)細胞である。他の実施態様において、細胞(例えば、細胞抽出物が生成される試験細胞)は、例えば、胃癌患者から得られた試料から単離される。試料の非限定的な例には、体液試料、例えば、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液及び/又は細針吸引液(FNA)試料などが含まれる。特定の実施態様において、試料は、全血、血清、血漿及び/又は腫瘍組織試料、例えば、胃腫瘍組織を含む。
ある例において、本発明の方法は、工程(d)において得られた比較の結果を読取可能なフォーマットでユーザ(例えば、臨床医、例えば、癌専門医又は一般診療医)に提供する工程を更に含む。一部の例において、本方法は、工程(d)において得られた比較の結果を臨床医、例えば、癌専門医又は一般診療医に送付又は報告することを更に含むことができる。他の例において、本方法は、工程(d)において得られた比較の結果をコンピュータデータベース又は例えば実験室において情報を保存するための他の好適な機械又はデバイスに記録又は保存することを更に含むことができる。
一部の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の発現レベルの決定は、細胞抽出物中の1種以上の分析物の全量を、対応する分析物に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む。特定の実施態様において、抗体は、検出すべき分析物の活性化状態にかかわらず分析物に結合し、すなわち、抗体は、分析物の非活性化及び活性化形態の両方を検出する。
他の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の活性化レベルの決定は、細胞抽出物中の1種以上の分析物のリン酸化レベルを検出すべき分析物のそれぞれのリン酸化形態に特異的な抗体により検出することを含む。
発現(例えば、全)レベルもしくは状態及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルもしくは状態は、種々の技術のいずれかを使用して決定することができる。特定の実施態様において、工程(c)における1種以上の分析物(例えば、1種以上のHER2及び/又はc−Metシグナリング経路構成因子)の発現(例えば、全)及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベル又は状態は、免疫アッセイ、例えば、単一検出アッセイ又は本明細書に記載の近接二重検出アッセイ(例えば、共同近接免疫アッセイ(COPIA))により検出される。
IV.c−Met媒介癌
c−Metは、多くの悪性腫瘍において過剰発現され得る。c−Met媒介癌において、チロシンキナーゼドメイン、膜近傍ドメイン又はセマホリン内の増幅及び/又は活性化突然変異が同定されている。c−Met媒介癌の治療に好適な抗癌薬の選択は、治療の存在下でのc−Metの発現及び/又は活性化状態のレベルを査定することにより可能である。c−Metの活性化は、細胞成長、浸潤、血管新生及び転移をもたらす。ある実施態様において、本発明は、適切な治療方針を選択してc−Met活性化及び/又は過剰発現を阻害する方法を提供する。
一実施態様において、本発明は、c−Met媒介癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成された細胞抽出物中のc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づきc−Met媒介癌の治療に好適な抗癌薬を選択すること
を含む方法を提供する。
一部の例において、本発明は、c−Met媒介癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定されたc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成されたc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して抗癌薬がc−Met媒介癌の治療に好適か不適かを決定すること
を含む方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対するc−Met媒介癌の応答を同定する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成された細胞抽出物中のc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき抗癌薬による治療に対するc−Met媒介癌の応答を同定すること
を含む方法を提供する。
一部の例において、本発明は、抗癌薬による治療に対するc−Met媒介癌の応答を同定する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定されたc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成されたc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して胃癌が抗癌薬による治療に対して応答性か非応答性かを同定すること
を含む方法を提供する。
更に別の実施態様において、本発明は、抗癌薬による治療に対するc−Met媒介癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)単離癌細胞から生成された細胞抽出物中のc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(b)工程(a)において決定された1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき抗癌薬による治療に対するc−Met媒介癌を有する対象の応答を予測すること
を含む方法を提供する。
一部の例において、本発明は、抗癌薬による治療に対するc−Met媒介癌を有する対象の応答を予測する方法であって、
(a)抗癌薬の投与後又は抗癌薬とのインキュベーション前に癌細胞を単離すること;
(b)単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成すること;
(c)細胞抽出物中のc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
(d)工程(c)において決定されたc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成されたc−Met及び場合により1種以上の追加の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較して胃癌を有する対象が抗癌薬による治療に対して応答する可能性を予測すること
を含む方法を提供する。
ある態様において、本発明は、患者試料、例えば、循環腫瘍細胞(CTC)又は細針吸引液(FNA)におけるc−Met媒介癌経路を評価する方法を提供する。本明細書の方法は、患者に最適な治療方針を提供する。一態様において、以下の追加の分析物の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種以上をスクリーニング又は調査してc−Met媒介癌療法(例えば、c−Met阻害剤)に対する応答を決定することができる:HER1、HER2、p95HER2、HER3、IGF1R、cKit、PI3K(例えば、PIK3CA、PIK3R1)、Shc、Akt(例えば、Akt1、Akt2、Akt3)、p70S6K、VEGFR(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3)、PDGFR(例えば、PDGFRA、PDGFRB)、RON及びこれらの組合せ。例えば、XL−880に対する応答者は、活性化c−Met及びVEGFR2を有する一方、非応答者は、活性化RTKの組合せを有する。
ある他の例において、本明細書に提供される方法は、胃癌の治療のための組合せ療法の選択において有用である。例えば、活性化c−MET、VEGFR2及びEGFRを有する胃癌患者は、Iressa(商標)及びXL880の組合せにより連続的に治療することができる一方、活性化c−MET、VEGFR2、HER1、HER2、p95HER2及びHER3を有する胃癌患者は、Tykerb(商標)+XL880により治療することができる。
腫瘍細胞において、c−Met活性化は、細胞成長、増殖、浸潤及びアポトーシスからの保護をもたらす多様な系列のシグナリングカスケードの誘引を引き起こすと考えられている。細胞及び動物腫瘍モデルからのデータは、c−Met媒介癌の腫瘍発生についての根底となる生物学的機序は、典型的には、3つの異なる様式において達成されることを示唆している:(1)HGF/c−Met自己分泌ループの確立によるもの;(2)c−Met又はHGF過剰発現を介するもの;及び(3)c−Met受容体コード配列におけるキナーゼ活性化突然変異の存在下におけるもの。HGF及びc−Metの過剰発現は、腫瘍の悪性度増加及び癌患者の不良な予後兆候の指標である。HGF/c−Metシグナリングは、内皮細胞における増殖及び遊走を誘導することにより、重要なプロ血管新生因子である血管内皮成長因子(VEGF)の発現を誘導することにより、並びに血管新生の負の調節因子であるトロンボスポンジン1(TSP−1)を顕著に下方調節することにより、腫瘍血管新生を誘導する。HGF及びc−Met発現は、ほとんどの固形腫瘍の腫瘍生検において観察されており、c−Metシグナリングは、広範なヒト悪性腫瘍、例えば、胃癌(胃癌)、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌及び甲状腺癌並びに種々の肉腫、造血悪性腫瘍及び黒色腫において確認されている。中でも注目すべきは、c−Metのチロシンキナーゼドメインの活性化突然変異は、乳頭状腎臓癌の遺伝型を有する患者において明確に同定されており、c−Metがヒト腫瘍発生に直接関与していることを示す。
ある実施態様において、本発明は、特異的マルチプレックスハイスループットアッセイにおいて、腫瘍組織に由来する腫瘍細胞又は固形腫瘍の循環細胞中のc−Met及び場合により複数の脱調節されたシグナル伝達物質の発現及び活性化状態を検出する方法を提供する。本発明はまた、適切な治療を選択して1種以上の脱調節されたシグナリング経路を下方調節し、又は停止させるための方法及び組成物を提供する。従って、本発明の実施態様は、所与の患者腫瘍、例えば胃腫瘍中の活性化シグナル伝達タンパクの回収により提供される特定の分子シグネチャーに基づきパーソナライズされた治療の設計を促進するために使用することができる。
一部の実施態様において、抗癌薬(例えば、c−Met媒介癌、例えば胃癌の治療に好適な1種以上の抗癌薬)は、抗シグナリング剤(すなわち、細胞増殖抑制薬)、例えばモノクローナル抗体又はチロシンキナーゼ阻害剤;抗増殖剤;化学療法剤(すなわち、細胞毒性薬);ホルモン療法剤;放射線療法剤;ワクチン;及び/又はアベラントな細胞、例えば、癌性細胞の脱制御された成長を低減又は無効にさせる能力を有する任意の他の化合物を含む。一部の実施態様において、単離された細胞は、少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて1種以上の抗シグナリング剤、抗増殖剤及び/又はホルモン療法剤により処理される。
ある実施態様において、抗体、例えばHGF−又はc−Met特異的抗体は、リガンド/受容体結合を妨げ、増殖を阻害し、アポトーシスを向上させることにより成長阻害及び腫瘍退縮をもたらす。一部の例において、モノクローナル抗体の組合せを使用することもできる。モノクローナル抗体を使用する方針により、HGF/c−Metに対する排他的な特異性、小分子キナーゼ阻害剤と比較して比較的長い半減期及び腫瘍細胞に対して宿主免疫応答を誘発する潜在性が許容される。AMG102は、HGFに選択的に結合し、これを中和し、これによりc−Metに対するこの結合及び後続の活性化を妨げる完全ヒトIgG2モノクローナル抗体である。AMG102は、種々の標準化学療法剤、例えば、テモゾロミド及びドセタキセルの効果を、組み合わせた場合にインビトロ及びゼノグラフトにおいて向上させることが示されている。MetMAbは、アゴニストモノクローナル抗体5D5に由来するヒト化一価アンタゴニスト抗c−Met抗体である。MetMAbは、c−Metに高い親和性で結合し、c−Metとともに細胞表面上に残留し、HGF結合及び後続のc−Metリン酸化並びに下流シグナリング活性及び細胞応答を妨げる。近年の前臨床試験は、MetMAbが、ヒト癌における治療抗体として、特にEGFR及び/又はVEGF阻害剤との組合せにおいて有望な強力な抗c−Met阻害剤であることを示している。
c−Metの小分子阻害剤には、限定されるものではないが、c−Met受容体に高度に選択的な非ATP競合剤であるARQ197(ArQule)が含まれる。他の選択的c−Met阻害剤が初期臨床評価に近年登録されており、以下のものを含む:c−Metの触媒活性の小分子ATP競合阻害剤であるJNJ−38877605(Johnson & Johnson);>150種のタンパク質キナーゼのスクリーニングパネルと比較してc−Metについて>1000倍の選択率の経口利用可能なc−MetのATP競合小分子阻害剤であるPF−04217903(Pfizer);213種のタンパク質キナーゼのスクリーニングパネルにおける全ての他のキナーゼと比べてc−Metについて>1000倍の選択率及びヒトゼノグラフトモデルにおいて経口投与された場合に明らかな毒性を示さずに強力な抗腫瘍活性を有するc−Metの別の高度に選択的なATP競合阻害剤であるSGX523(SGX Pharmaceuticals)。
GSK1363089/XL880(Exelixis)は、0.4nMのIC50においてc−Metを標的とするc−Metの小分子阻害剤の別の例である。c−Met及びVEGFR2の両方に対する結合親和性は高く、キナーゼにおける立体構造変化を引き起してXL880をATP結合ポケットにより深く移動させる。標的時間は、両方の受容体について>24時間である。XL880は、良好な経口バイオアベイラビリティを有し、これはCYP450基質であるが、阻害剤又は誘導因子ではない。2種の第1相臨床試験は、XL880の異なる投与スケジュールを試験し、5日投与/9日非投与のスケジュール(試験1)又は固定1日用量(試験2)としてのいずれかである。XL880は、異なる時点において増殖及び生存のための2種の協力経路に作用し、腫瘍血管新生への初期攻撃に対する腫瘍応答のための治療解決策を既に提供する。第2相試験は、乳頭状腎臓癌、胃癌及び頭頸部癌を含む複数の腫瘍タイプにおいて出発した。
XL184(Exelixis)は、c−Met及びVEGFR2の強力な阻害が前臨床モデルにおいて実証されている新規の経口投与される小分子抗癌化合物である。MP470(SuperGen)は、c−Met並びにc−Kitの突然変異形態、突然変異PDGFRa及び突然変異Flt−3を含むいくつかの他のタンパク質チロシンキナーゼ標的に対して阻害活性を有する新規の経口投与可能な小分子である。MGCD265(Methylgene)は、c−Met、Ron、VEGFR及びTie−2酵素活性をインビトロで強力に阻害し、HGF依存性細胞エンドポイント、例えば、細胞散乱及び創傷治癒並びにVEGF依存性応答、例えばインビトロ血管新生及びインビボ血管浸透性を無効にすることが報告されている。MK−2461(Merck)は、c−Metが構成的にリン酸化されるMET遺伝子が増幅された前臨床モデルにおいて特に活性であるc−Met、KDR、FGFR1/2/3及びFlt1/3/4の強力な阻害剤である。MK−2461は、前期第1相評価において十分に忍容されている。
ある例において、c−Met受容体に対するHGFリガンドの結合は、デコイ又はアンタゴニストとして作用することができるHGF又はc−Metの下位領域により阻害することができる。これらのデコイ及びアンタゴニストは、c−Met活性化をもたらすことなくリガンド又は受容体と化学量論的に競合し、これにより下流経路の活性化及び生物学的アウトカムを妨げる。いくつかのHGF及びc−Met変種は、インビトロ及びインビボの両方でアンタゴニストとして実験的に立証されており、リガンド結合を遮断し、又はc−Met二量体化を妨げることにより機能する。更に、c−Met結合についてHGFと競合することが示されているHGFに対する分子アナログが開発されている。
V.抗体アレイの構築
ある態様において、腫瘍細胞、例えば、胃癌細胞の細胞抽出物中の分析物(例えば、シグナル伝達分子)の1種以上(例えば、複数)の発現レベル及び/又は活性化状態は、固体担体上に拘束された捕捉抗体の希釈系列を含む抗体ベースのアレイを使用して検出される。これらのアレイは、典型的には、異なるアドレス可能な位置における固体担体の表面に結合しているある範囲の捕捉抗体濃度で複数の異なる捕捉抗体を含む。
1つの特定の実施態様において、本発明は、固体担体上に拘束された捕捉抗体の複数の希釈系列を含む優れたダイナミックレンジを有するアドレス可能なアレイであって、各希釈系列における捕捉抗体は、シグナル伝達経路の構成因子及び他の標的タンパク質に対応する1種以上の分析物に特異的であるアレイを提供する。種々の態様において、この実施態様には、特定の腫瘍に特徴的なシグナル伝達経路、例えば、胃癌細胞において活性であるシグナル伝達経路(例えば、HER2及び/又はc−Met経路)の構成因子を含むアレイが含まれる。従って、本発明は、有利には、胃癌をもたらす潜在的な発現又は活性化の欠陥を有する対象となる各シグナル伝達分子又は他のタンパク質が単一のアレイ又はチップ上で提示されて実施することができる。一部の態様において、特定の腫瘍細胞中で活性である所与のシグナル伝達経路の構成因子は、細胞内のシグナル伝達経路を通って情報が伝えられる配列に対応する直鎖状配列でアレイ化されている。このようなアレイの例は、本明細書に記載されており、全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の図5〜9にも示されている。特定の腫瘍細胞中で活性である所与のシグナル伝達経路の1種以上の構成因子に特異的な捕捉抗体は、無作為式でプリントしてあらゆる表面関連アーチファクトを最小化することもできる。
固体担体は、タンパク質を固定化するために任意の好適な基体を含むことができる。固体担体の例には、限定されるものではないが、ガラス(例えば、ガラススライド)、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束、ゲル、金属、セラミックなどが含まれる。膜、例えば、ナイロン(Biotrans(商品名)、ICN Biomedicals Inc.(Costa Mesa,CA;Zeta−Probe(商標)、Bio−Rad Laboratories(Hercules,CA))、ニトロセルロース(Protran(商標)、Whatman Inc.(Florham Park,NJ))及びPVDF(Immobilon(商品名)、Millipore Corp.(Billerica,MA))は、本発明のアレイにおける固体担体として使用するのに好適である。好ましくは、捕捉抗体は、ニトロセルロースポリマーによりコーティングされたガラススライド、例えば、Whatman Inc.(Florham Park,NJ)から市販されているFAST(商標)スライド上で拘束される。
望ましい固体担体の特定の態様には、大量の捕捉抗体に結合する能力及び最小の変性で捕捉抗体に結合する能力が含まれる。別の好適な態様は、固体担体が、捕捉抗体を含有する抗体溶液が担体に適用される場合に最小の「ウィッキング」を示すことである。最小のウィッキングを有する固体担体は、担体に適用された捕捉抗体溶液の小量のアリコートが固定化された捕捉抗体の小さい規定スポットをもたらすことを可能にする。
捕捉抗体は、典型的には、共有結合又は非共有結合相互作用(例えば、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、双極子間結合)を介して固体担体上に直接的又は間接的に(例えば、捕捉タグにより)拘束される。一部の実施態様において、捕捉抗体は、標準架橋方法及び条件を使用してホモ二官能性又はヘテロ二官能性架橋剤を使用して固体担体に共有結合される。好適な架橋剤は、例えば、Pierce Biotechnology(Rockford,IL)などの製造供給元から市販されている。
本発明における使用に好適なアレイを作製するための方法には、限定されるものではないが、タンパク質又は核酸アレイを構築するために使用される任意の技術が含まれる。一部の実施態様において、捕捉抗体は、典型的にはスプリットピン、ブラントピン又はインクジェット印刷を備えたロボット型プリンタである、マイクロスポッタを使用してアレイ上にスポットされる。本明細書に記載の抗体アレイをプリントするのに好適なロボットシステムには、ChipMaker2スプリットピン(TeleChem International;Sunnyvale,CA)を有するPixSys 5000ロボット(Cartesian Technologies;Irvine,CA)並びにBioRobics(Woburn,MA)及びPackard Instrument Co(Meriden,CT)から入手可能な他のロボット型プリンタが含まれる。好ましくは、各捕捉抗体希釈物の少なくとも2、3、4、5又は6個のレプリケートがアレイ上にスポットされる。
本発明における使用に好適なアレイを作製する別の方法は、担体上に規定容量の液体を引き出すために有効な条件下で固体担体上に毛細管ディスペンサを接触させることにより、それぞれの選択されたアレイ位置において既知容量の捕捉抗体希釈物を分注する工程を含み、このプロセスは完全アレイを作出するためにそれぞれの選択されたアレイ位置において選択された捕捉抗体希釈物を使用して繰り返される。本方法は、複数のこのようなアレイの形成において実施することができ、溶液堆積工程は各反復サイクルにおいて複数の固体担体それぞれの上の選択された位置に適用される。このような方法の更なる説明は、例えば、米国特許第5,807,522号に見出すことができる。
ある例において、紙上に印刷するための装置を使用して抗体アレイを作製することができる。例えば、望ましい捕捉抗体希釈物は、デスクトップ型ジェットプリンタのプリントヘッド内に装填し、好適な固体担体上にプリントすることができる(例えば、Silzel et al.,Clin.Chem.,44:2036−2043(1998)参照)。
一部の実施態様において、固体担体上で作製されたアレイは、少なくとも約5スポット/cm、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000もしくは9000又は10000スポット/cmの密度を有する。
ある例において、固体担体上のスポットはそれぞれ、異なる捕捉抗体を表す。ある他の例において、固体担体上の複数のスポットは、例えば、一連の減少する捕捉抗体濃度を含む希釈系列と同一の捕捉抗体を表す。
固体担体上で抗体アレイを調製及び構築する方法の追加の例は、米国特許第6,197,599号、第6,777,239号、第6,780,582号、第6,897,073号、第7,179,638号及び第7,192,720号;米国特許出願公開第20060115810号、第20060263837号、第20060292680号及び第20070054326号;並びにVarnum et al.,Methods Mol.Biol.,264:161−172(2004)に記載されている。
抗体アレイをスキャンする方法は当分野において公知であり、この方法には、制限されることなく、タンパク質又は核酸アレイをスキャンするために使用される任意の技術が含まれる。本発明における使用に好適なマイクロアレイスキャナは、PerkinElmer(Boston,MA)、Agilent Technologies(Palo Alto,CA)、Applied Precision(Issaquah,WA)、GSI Lumonics Inc.(Billerica,MA)及びAxon Instruments(Union City,CA)から入手可能である。非限定的な例として、蛍光検出のためのGSI ScanArray3000を定量のためにImaGeneソフトウエアとともに使用できる。
VI.単一検出アッセイ
一部の実施態様において、細胞、例えば腫瘍細胞の細胞抽出物中の対象となる1種以上の分析物(例えば、1種以上のシグナル伝達分子、例えば、HER2及び/又はc−Metシグナリング経路の1種以上の構成因子)の発現及び/又は活性化レベルを検出するためのアッセイは、優れたダイナミックレンジを有するマルチプレックスハイスループット2抗体アッセイである。非限定的例として、本アッセイにおいて使用される2種の抗体は:(1)対象となる特定の分析物に特異的な捕捉抗体;及び(2)分析物の活性化形態に特異的な検出抗体(すなわち、活性化状態依存性抗体)を含むことができる。活性化状態依存性抗体は、例えば、分析物のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体化状態を検出することができる。あるいは、検出抗体は、細胞抽出物中の分析物の全量を検出する、活性化状態非依存性抗体を含む。活性化状態非依存性抗体は、一般に、分析物の活性化及び非活性化形態の両方を検出することができる。
1つの特定の実施態様において、対象となる分析物の発現又は活性化レベルを検出するための2抗体アッセイは:
(i)細胞抽出物を捕捉抗体の1種又は複数の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成すること;
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成すること(検出抗体は、分析物の活性化(例えば、リン酸化)レベルを検出するための活性化状態依存性抗体又は分析物の発現レベル(例えば、全量)を検出するための活性化状態非依存性抗体を含む);
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物を、シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
本明細書に記載の2抗体アッセイは、典型的には、異なるアドレス可能な位置における固体担体の表面に結合しているある範囲の捕捉抗体濃度において複数の異なる捕捉抗体を含む抗体ベースのアレイである。本発明における使用に好適な固体担体の例は、上述されている。
捕捉抗体及び検出抗体は、好ましくは、分析物結合に関するこれらの間の競合を最小化するように選択される(すなわち、捕捉及び検出抗体の両方は、これらの対応するシグナル伝達分子に同時に結合することができる)。
一実施態様において、検出抗体は結合ペアの第1のメンバー(例えば、ビオチン)を含み、シグナル増幅ペアの第1のメンバーは結合ペアの第2のメンバー(例えば、ストレプトアビジン)を含む。結合ペアメンバーは、当分野において周知の方法を使用して、検出抗体に、又はシグナル増幅ペアの第1のメンバーに直接的又は間接的に結合させることができる。ある例において、シグナル増幅ペアの第1のメンバーはペルオキシダーゼ(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、カタラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、好酸球ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、デヨージナーゼなど)であり、シグナル増幅ペアの第2のメンバーはチラミド試薬(例えば、ビオチン−チラミド)である。これらの例において、増幅されたシグナルは、過酸化水素(H)の存在下において活性化チラミドを生成するためのチラミド試薬のペルオキシダーゼ酸化により発生する。
活性化チラミドは、直接的に検出され、又はシグナル検出試薬、例えば、ストレプトアビジン標識フルオロフォア又はストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ及び発色試薬の組合せなどの添加に基づいて検出される。本発明における使用に好適なフルオロフォアの例には、限定されるものではないが、Alexa Fluor(商標)色素(例えば、Alexa Fluor(商標)555)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green(商品名);ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商品名)フルオル(fluor)(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などが含まれる。ストレプトアビジン標識は、当分野において周知の方法を使用してフルオロフォア又はペルオキシダーゼに直接的又は間接的に結合させることができる。本発明における使用に好適な発色試薬の非限定的な例には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、4−クロロ−1−ナフトール(4CN)及び/又はポルフィリノーゲンが含まれる。
本明細書に記載の2抗体アッセイを実施するための例示的なプロトコールは、全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の実施例3に提供されている。
2抗体アプローチの別の実施態様において、本発明は、トランケート化受容体の発現又は活性化レベルを検出する方法であって:
(i)細胞抽出物を完全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートすること;
(ii)複数のビーズを細胞抽出物から除去し、これにより完全長受容体を除去して完全長受容体を欠く細胞抽出物を形成すること;
(iii)完全長受容体を欠く細胞抽出物を、完全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な1種又は複数の捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉されたトランケート化受容体を形成すること;
(iv)複数の捕捉されたトランケート化受容体を、完全長受容体のICD結合領域に特異的な検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を形成すること(検出抗体は、トランケート化受容体の活性化(例えば、リン酸化)レベルを検出するための活性化状態依存性抗体又はトランケート化受容体の発現レベル(例えば、全量)を検出するための活性化状態非依存性抗体を含む);
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を、シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(vi)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む方法を提供する。
ある実施態様において、トランケート化受容体はp95HER2であり、完全長受容体はHER2である。ある他の実施態様において、細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチンペアを含み、ビオチンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している(例えば、抗体は、完全長受容体のECD結合領域に特異的である)。
全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の図14Aは、対象となる受容体の細胞外ドメイン(ECD)に向けられた抗体によりコーティングされたビーズが全長受容体(例えば、HER2)には結合するが、トランケート化受容体(例えば、p95HER2)には結合せずにあらゆる全長受容体を本アッセイから除去することを示している。PCT国際公開第2009/108637号の図14Bは、トランケート化受容体(例えば、p95HER2)が捕捉抗体に結合すると、次いで完全長受容体(例えば、HER2)の細胞内ドメイン(ICD)に特異的な検出抗体により検出することができることを示している。検出抗体は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)に直接的にコンジュゲートさせることができる。次いで、チラミドシグナル増幅(TSA)を実施して検出すべきシグナルを発生させることができる。トランケート化受容体(例えば、p95HER2)の発現レベル又は活性化状態は、例えば、この全濃度又はこのリン酸化状態、ユビキチン化状態及び/もしくは複合体化状態を決定するために調査することができる。
別の実施態様において、本発明は、本明細書に記載の2抗体アッセイを実施するためのキットであって:(a)固体担体上に拘束された1種又は複数の捕捉抗体の希釈系列;並びに(b)1種又は複数の検出抗体(例えば、活性化状態非依存性抗体及び/又は活性化状態依存性抗体)を含むキットを提供する。一部の例において、本キットは、細胞、例えば、腫瘍細胞の1種又は複数のシグナル伝達分子の発現レベル及び/又は活性化状態を検出するために本キットを使用する方法についての取扱説明書を更に含有することができる。本キットは、本発明の特定方法を実施することに関連して上述した追加の試薬のいずれか、例えば、シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバー、チラミドシグナル増幅試薬、洗浄緩衝液などを含有することもできる。
VII.近接二重検出アッセイ
一部の実施態様において、細胞、例えば、腫瘍細胞の細胞抽出物中の対象となる1種以上の分析物(例えば、1種以上のシグナル伝達分子、例えば、HER2及び/又はc−Metシグナリング経路の1種以上の構成因子)の発現及び/又は活性化レベルを検出するためのアッセイは、優れたダイナミックレンジを有するマルチプレックスハイスループット近接(すなわち、3抗体)アッセイである。非限定的な例として、本近接アッセイにおいて使用される3種の抗体は:(1)対象となる特定の分析物に特異的な捕捉抗体;(2)分析物の活性化形態に特異的な検出抗体(すなわち、活性化状態依存性抗体);及び(3)分析物の全量を検出する検出抗体(すなわち、活性化状態非依存性抗体)を含むことができる。活性化状態依存性抗体は、例えば、分析物のリン酸化、ユビキチン化及び/又は複合体形成状態を検出することができる一方、活性化状態非依存性抗体は、分析物の全量(すなわち、活性化及び非活性化形態の両方)を検出することができる。
1つの特定の実施態様において、対象となる分析物の活性化レベル又は状態を検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を捕捉抗体の1種又は複数の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成すること;
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な1種又は複数の活性化状態非依存性抗体及び1種又は複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成すること、
(活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
別の特定の実施態様において、トランケート化受容体である対象となる分析物の活性化レベル又は状態を検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を完全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートすること;
(ii)複数のビーズを細胞抽出物から除去し、これにより完全長受容体を除去して完全長受容体を欠く細胞抽出物を形成すること;
(iii)完全長受容体を欠く細胞抽出物を、複数の捕捉された完全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な1種又は複数の捕捉抗体とインキュベートして複数の捕捉されたトランケート化受容体を形成すること;
(iv)複数の捕捉されたトランケート化受容体を、完全長受容体のICD結合領域に特異的な1種又は複数の活性化状態非依存性抗体及び1種又は複数の活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を形成すること
(活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(vi)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
ある実施態様において、トランケート化受容体はp95HER2であり、完全長受容体はHER2である。ある他の実施態様において、細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチンペアを含み、ビオチンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している(例えば、抗体は、完全長受容体のECD結合領域に特異的である)。
代替的な実施態様において、活性化状態依存性抗体は促進部分により標識することができ、活性化非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識することができる。
別の非限定的な例として、本近接アッセイにおいて使用される3種の抗体は:(1)対象となる特定の分析物に特異的な捕捉抗体;(2)分析物の全量を検出する第1の検出抗体(すなわち、第1の活性化状態非依存性抗体);及び(3)分析物の全量を検出する第2の検出抗体(すなわち、第2の活性化状態非依存性抗体)を含むことができる。好ましい実施態様において、第1及び第2の活性化非依存性抗体は、分析物上の異なる(例えば、別々の)エピトープを認識する。
1つの特定の実施態様において、対象となる分析物の発現レベルを検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を捕捉抗体の1種又は複数の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成すること;
(ii)複数の捕捉された分析物を、対応する分析物に特異的な1種又は複数の第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成すること
(第1の活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、第2の活性化非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
別の特定の実施態様において、トランケート化受容体である対象となる分析物の発現レベルを検出するための近接アッセイは、
(i)細胞抽出物を完全長受容体の細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズとインキュベートすること;
(ii)複数のビーズを細胞抽出物から除去し、これにより完全長受容体を除去して完全長受容体を欠く細胞抽出物を形成すること;
(iii)完全長受容体を欠く細胞抽出物を、複数の捕捉された完全長受容体の細胞内ドメイン(ICD)結合領域に特異的な1種又は複数の捕捉抗体とインキュベートして複数の捕捉されたトランケート化受容体を形成すること;
(iv)複数の捕捉されたトランケート化受容体を、完全長受容体のICD結合領域に特異的な1種又は複数の第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体を形成すること
(第1の活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、第2の活性化非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる);
(v)複数の検出可能な捕捉されたトランケート化受容体をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
(vi)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
を含む。
ある実施態様において、トランケート化受容体はp95HER2であり、完全長受容体はHER2である。ある他の実施態様において、細胞外ドメイン(ECD)結合領域に特異的な複数のビーズはストレプトアビジン−ビオチンペアを含み、ビオチンはビーズに付着しており、ビオチンは抗体に付着している(例えば、抗体は、完全長受容体のECD結合領域に特異的である)。
代替的な実施態様において、第1の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識することができ、第2の活性化状態非依存性抗体は促進部分により標識することができる。
本明細書に記載の近接アッセイは、典型的には、異なるアドレス可能な位置において固体担体の表面に結合しているある範囲の捕捉抗体濃度で1種又は複数の異なる捕捉抗体を含む抗体ベースのアレイである。本発明における使用に好適な固体担体の例は、上述されている。
捕捉抗体、活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体は、好ましくは、分析物結合に関するこれらの間の競合を最小化するように選択される(すなわち、全ての抗体は、これらの対応するシグナル伝達分子に同時に結合することができる)。
一部の実施態様において、分析物の1種以上の活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体又は分析物の1種以上の発現レベルを検出するための第1の活性化状態非依存性抗体は、検出可能部分を更に含む。このような例において、検出可能部分の量は、細胞抽出物中の分析物の1種以上の量と相関する。検出可能部分の例には、限定されるものではないが、蛍光標識、化学反応性標識、酵素標識、放射活性標識などが含まれる。好ましくは、検出可能部分は、フルオロフォア、例えばAlexa Fluor(商標)色素(例えば、Alexa Fluor(商標)647)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green(商品名);ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商品名)フルオル(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などである。検出可能部分は、当分野において周知の方法を使用して活性化状態非依存性抗体に直接的又は間接的に結合させることができる。
ある例において、分析物の1種以上の活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体又は分析物の1種以上の発現レベルを検出するための第1の活性化状態非依存性抗体は、促進成分により直接的に標識される。促進成分は、当分野において周知の方法を使用して活性化状態非依存性抗体に結合させることができる。本発明における使用に好適な促進成分には、促進成分に近接する(すなわち、空間的に近い、又は近接する)また別の分子にチャネリングし(すなわち、これに方向付けられ)、これと反応する(すなわち、結合する、これにより結合される、又は複合体をともに形成する)酸化剤を発生させることができる任意の分子が含まれる。促進成分の例には、制限されることなく、酵素、例えばグルコースオキシダーゼ又は電子受容体として分子酸素(O)を含む酸化/還元反応を触媒する任意の他の酵素及び光感作剤、例えばメチレンブルー、ローズベンガル、ポルフィリン、スクアレート色素、フタロシアニンなどが含まれる。酸化剤の非限定的な例には、過酸化水素(H)、一重項酸素及び酸化/還元反応において酸素原子を移動させ、又は電子を獲得する任意の他の化合物が含まれる。好ましくは、好適な基質(例えば、グルコース、光など)の存在下で、促進成分(例えば、グルコースオキシダーゼ、光感作剤など)は、2種の部分が相互に近接している場合、シグナル増幅ペアの第1のメンバー(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、保護基により保護されたハプテン、酵素阻害剤へのチオエーテル結合により不活性化された酵素など)にチャネリングし、これと反応する酸化剤(例えば、過酸化水素(H)、一重項酸素など)を発生させる。
ある他の例において、分析物の1種以上の活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体又は分析物の1種以上の発現レベルを検出するための第1の活性化状態非依存性抗体は、活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドリンカーと促進成分にコンジュゲートされた相補的オリゴヌクレオチドリンカーとのハイブリダイゼーションにより促進成分により間接的に標識される。オリゴヌクレオチドリンカーは、当分野において周知の方法を使用して促進成分又は活性化状態非依存性抗体に結合させることができる。一部の実施態様において、促進成分にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドリンカーは、活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドリンカーに対して100%の相補性を有する。他の実施態様において、オリゴヌクレオチドリンカーペアは、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションすると、少なくとも1、2、3、4、5、6個以上のミスマッチ領域を含む。当業者であれば、異なる分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体は、同一オリゴヌクレオチドリンカーに、又は異なるオリゴヌクレオチドリンカーのいずれかにコンジュゲートさせることができることを認識する。
促進成分又は活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドリンカーの長さは、変動し得る。一般に、リンカー配列は、長さが少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75又は100ヌクレオチドであり得る。典型的には、結合のためにランダム核酸配列を発生させる。非限定的な例として、オリゴヌクレオチドリンカーのライブラリーは、3種の別々の隣接ドメイン:スペーサードメイン;シグニチャードメイン;及びコンジュゲーションドメインを有するように設計することができる。好ましくは、オリゴヌクレオチドリンカーは、これらがコンジュゲートされる促進成分又は活性化状態非依存性抗体の機能を破壊することなく効率的に結合するために設計される。
オリゴヌクレオチドリンカー配列は、種々のアッセイ条件下で任意の二次構造形成を妨害又は最小化するように設計することができる。典型的には、リンカー内の各セグメントについて、アッセイ手順全体においてこれらの関与を可能とするように融解温度が慎重に追跡される。一般に、リンカー配列のセグメントの融解温度の範囲は、1〜10℃である。規定イオン濃度下での融解温度、二次構造及びヘアピン構造を決定するためのコンピュータアルゴリズム(例えば、OLIGO6.0)を使用して各リンカー内の3種の異なるドメインのそれぞれについて分析することができる。組合せ配列全体は、これらの構造的特徴及び他のコンジュゲートされるオリゴヌクレオチドリンカー配列とのこれらの比較可能性について、例えば、これらがストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で相補的オリゴヌクレオチドリンカーにハイブリダイズするか否かについてのように分析することもできる。
オリゴヌクレオチドリンカーのスペーサー領域は、コンジュゲーションドメインのオリゴヌクレオチド架橋部位からの適切な分離を提供する。コンジュゲーションドメインは、相補的オリゴヌクレオチドリンカー配列により標識された分子を核酸ハイブリダイゼーションによりコンジュゲーションドメインに結合させるように機能する。核酸媒介性ハイブリダイゼーションは、抗体−分析物(すなわち、抗原)複合体形成の前又は後のいずれかに実施することができ、よりフレキシブルなアッセイフォーマットを提供する。多数の直接抗体コンジュゲーション法とは相違して、比較的小さいオリゴヌクレオチドを抗体又は他の分子に結合させることは、標的分析物に向かう抗体の特異的親和性又はコンジュゲートされる分子の機能にわずかに影響を及ぼすにすぎない。
一部の実施態様において、オリゴヌクレオチドリンカーのシグニチャー配列ドメインは、複合体マルチプレックス化タンパク質アッセイにおいて使用できる。様々なシグニチャー配列を有するオリゴヌクレオチドリンカーと複数の抗体をコンジュゲートさせることができる。マルチプレックス免疫アッセイにおいて、適切なプローブにより標識されたレポーターオリゴヌクレオチド配列を使用してマルチプレックスアッセイフォーマットにおいて抗体とこれらの抗原との交差反応性を検出することができる。
オリゴヌクレオチドリンカーは、いくつかの異なる方法を使用して抗体又は他の分子にコンジュゲートさせることができる。例えば、オリゴヌクレオチドリンカーは、5’又は3’末端上のいずれかでチオール基と合成することができる。チオール基は、還元剤(例えば、TCEP−HCl)を使用して脱保護することができ、得られたリンカーは、脱塩スピンカラムを使用することにより精製することができる。得られた脱保護オリゴヌクレオチドリンカーは、ヘテロ二官能性架橋剤、例えば、SMCCを使用して抗体又は他のタイプのタンパク質の第1級アミンにコンジュゲートさせることができる。あるいは、オリゴヌクレオチド上の5’−リン酸基を水溶性カルボジイミドEDCにより処理してリン酸エステルを形成し、続いてアミン含有分子に結合させることができる。ある例において、3’−リボース残基上のジオールは、アルデヒド基に酸化させ、次いで還元アミノ化を使用して抗体又は他のタイプのタンパク質のアミン基にコンジュゲートさせることができる。ある他の例において、オリゴヌクレオチドリンカーは、3’又は5’末端上のいずれかでビオチン修飾により合成し、ストレプトアビジン標識分子にコンジュゲートさせることができる。
オリゴヌクレオチドリンカーは、当分野において公知である種々の技術のいずれか、例えば、Usman et al.,J.Am.Chem.Soc.,109:7845(1987);Scaringe et al.,Nucl.Acids Res.,18:5433(1990);Wincott et al.,Nucl.Acids Res.,23:2677−2684(1995);及びWincott et al.,Methods Mol.Bio.,74:59(1997)に記載の技術を使用して合成することができる。一般に、オリゴヌクレオチドの合成は、一般的な核酸保護基及び結合基、例えば、5’末端のジメトキシトリチル及び3’末端のホスホラミダイトを使用する。オリゴヌクレオチド合成に好適な試薬、核酸脱保護のための方法及び核酸精製のための方法は、当業者には公知である。
ある例において、分析物の1種以上の活性化レベルを検出するための活性化状態依存性抗体又は分析物の1種以上の発現レベルを検出するための第2の活性化状態非依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識される。シグナル増幅ペアのメンバーは、当分野において周知の方法を使用して活性化レベルを検出するために活性化状態依存性抗体に、又は発現レベルを検出するために第2の活性化状態非依存性抗体に結合させることができる。ある他の例において、活性化状態依存性抗体又は第2の活性化状態非依存性抗体は、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、活性化状態依存性抗体又は第2の活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合を介して間接的に標識される。結合ペアメンバー(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン)は、当分野において周知の方法を使用してシグナル増幅ペアのメンバー又は活性化状態依存性抗体もしくは第2の活性化状態非依存性抗体に結合させることができる。シグナル増幅ペアのメンバーの例には、限定されるものではないが、ペルオキシダーゼ、例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、カタラーゼ、クロロペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、好酸球ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、デヨージナーゼなどが含まれる。シグナル増幅ペアのメンバーの他の例には、保護基により保護されたハプテン及び酵素阻害剤へのチオエーテル結合により不活性化された酵素が含まれる。
近接チャネリングの一例において、促進成分はグルコースオキシダーゼ(GO)であり、シグナル増幅ペアの第1のメンバーはセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)である。GOがグルコースなどの基質と接触されると、GOは酸化剤(すなわち、過酸化水素(H))を発生させる。HRPがGOにチャネリングする近接内にあると、GOにより発生されたHはHRPにチャネリングされ、これと複合体を形成してHRP−H複合体を形成し、これはシグナル増幅ペアの第2のメンバー(例えば、化学発光基質、例えばルミノールもしくはイソルミノール又は蛍光発生基質、例えば、チラミド(例えば、ビオチン−チラミド)、ホモバリン酸又は4−ヒドロキシフェニル酢酸)の存在下で増幅されたシグナルを発生させる。近接アッセイにおいてGO及びHRPを使用する方法は、例えば、Langry et al.,U.S.Dept.of Energy Report No.UCRL−ID−136797(1999)に記載されている。ビオチン−チラミドがシグナル増幅ペアの第2のメンバーとして使用される場合、HRP−H複合体は、チラミドを酸化して求核残基の近くで共有結合する反応性チラミドラジカルを発生させる。活性化チラミドは、直接的に検出される、又はシグナル検出試薬、例えばストレプトアビジン標識フルオロフォア又はストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ及び発色試薬の組合せなどの添加に基づいて検出される。本発明における使用に好適なフルオロフォアの例には、限定されるものではないが、Alexa Fluor(商標)色素(例えば、Alexa Fluor(商標)555)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green(商品名);ローダミン、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、CyDye(商品名)フルオル(例えば、Cy2、Cy3、Cy5)などが含まれる。ストレプトアビジン標識は、当分野において周知の方法を使用してフルオロフォア又はペルオキシダーゼに直接的又は間接的に結合させることができる。本発明における使用に好適な発色試薬の非限定的例には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、4−クロロ−1−ナフトール(4CN)及び/又はポルフィリノーゲンが含まれる。
近接チャネリングの別の実施例において、促進成分は光感作剤であり、シグナル増幅ペアの第1のメンバーは特異的結合パートナー(例えば、リガンド、抗体など)へのハプテンの結合を妨げる保護基により保護された複数のハプテンにより標識された巨大分子である。例えば、シグナル増幅ペアのメンバーは、保護されたビオチン、クマリン及び/又はフルオレセイン分子により標識されたデキストラン分子であり得る。好適な保護基には、限定されるものではないが、フェノキシ−、アナリノ−、オレフィン−、チオエーテル−、及びセレノエーテル−保護基が含まれる。本発明の近接アッセイにおける使用に好適な追加の光感作剤及び保護ハプテン分子は、米国特許第5,807,675号に記載されている。光感作剤が光により励起されると、酸化剤(すなわち、一重項酸素)を発生させる。ハプテン分子が光感作剤にチャネリングする近接内にある場合、光感作剤により発生された一重項酸素は、ハプテンの保護基上のチオエーテルにチャネリングされ、これと反応してカルボニル基(ケトン又はアルデヒド)及びスルフィン酸を生じさせ、ハプテンから保護基を遊離させる。次いで、未保護ハプテンは、シグナル増幅ペアの第2のメンバー(例えば、検出可能なシグナルを発生させることができる特異的結合パートナー)に特異的に結合するために利用可能である。例えば、ハプテンがビオチンである場合、特異的結合パートナーは酵素標識ストレプトアビジンであり得る。例示的な酵素には、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、HRPなどが含まれる。洗浄して未結合試薬を除去した後、検出可能なシグナルは、酵素の検出可能な(例えば、蛍光、化学発光、発色性などの)基質を添加することにより発生させ、当分野において公知の好適な方法及び機器を使用して検出することができる。あるいは、検出可能なシグナルは、チラミドシグナル増幅を使用して増幅させることができ、活性化チラミドは、直接的に検出でき、又は上記のとおりシグナル検出試薬の添加に基づいて検出することができる。
近接チャネリングの更に別の例において、促進成分は光感作剤であり、シグナル増幅ペアの第1のメンバーは酵素−阻害剤複合体である。酵素及び阻害剤(例えば、ホスホン酸標識デキストラン)は、開裂可能なリンカー(例えば、チオエーテル)により一緒に結合される。光感作剤が光により励起されると、酸化剤(すなわち、一重項酸素)を発生させる。酵素−阻害剤複合体が光感作剤にチャネリングする近接内にある場合は、光感作剤により発生された一重項酸素は、開裂可能なリンカーにチャネリングされ、これと反応し、酵素から阻害剤を遊離させ、これにより酵素を活性化する。検出可能なシグナルを発生させるために酵素基質が添加され、又は増幅シグナルを発生させるために増幅試薬が添加される。
近接チャネリングの更なる例において、促進成分はHRPであり、シグナル増幅ペアの第1のメンバーは上記の通り保護されたハプテン又は酵素−阻害剤複合体であり、保護基はp−アルコキシフェノールを含む。フェニレンジアミン及びHの添加は、保護されたハプテン又は酵素−阻害剤複合体にチャネリングし、p−アルコキシフェノール保護基と反応して露出したハプテン又は反応性酵素を生じさせる、反応性フェニレンジイミンを発生させる。増幅されたシグナルは、上記のとおり発生し、検出される(例えば、米国特許第5,532,138号及び第5,445,944号参照)。
本明細書に記載の近接アッセイを実施するための例示的なプロトコールは、開示が全ての目的のために参照により本明細書に全体として組み込まれるPCT国際公開第2009/108637号の実施例4に提供されている。
別の実施態様において、本発明は、上記の近接アッセイを実施するためのキットであって:(a)固体担体上に拘束された1種又は複数の捕捉抗体の希釈系列;並びに(b)1種又は複数の検出抗体(例えば、活性化レベルを検出するための活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体の組合せ並びに/又は発現レベルを検出するための第1及び第2の活性化状態非依存性抗体の組合せ)を含むキットを提供する。一部の例において、本キットは、細胞、例えば腫瘍細胞の1種又は複数のシグナル伝達分子の発現及び/又は活性化状態を検出するために本キットを使用する方法についての取扱説明書を更に含有することができる。本キットは、本発明の特定方法を実施することに関連して上述した追加の試薬のいずれか、例えば、シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバー、チラミドシグナル増幅試薬、促進成分のための基質、洗浄緩衝液などを更に含有することができる。
VIII.抗体の生成
本発明による細胞、例えば胃癌細胞中のシグナル伝達分子(例えば、HER2及び/又はc−METシグナリング経路化合物)の発現及び/又は活性化レベルを分析するために未だ市販されていない抗体の作製及び選択は、いくつかの手法により実施することができる。例えば、1つの手法は、当分野において公知のタンパク質発現及び精製方法を使用して対象となるポリペプチド(すなわち、抗原)を発現させ、及び/又は精製する方法である一方、別の手法は当分野において公知の固相ペプチド合成法を使用して対象となるポリペプチドを合成する方法である。例えば、Guide to Protein Purification,Murray P.Deutcher,ed.,Meth.Enzymol.,Vol.182(1990);Solid Phase Peptide Synthesis,Greg B.Fields,ed.,Meth.Enzymol.,Vol.289(1997);Kiso et al.,Chem.Pharm.Bull.,38:1192−99(1990);Mostafavi et al.,Biomed.Pept.Proteins Nucleic Acids,1:255−60,(1995);及びFujiwara et al.,Chem.Pharm.Bull.,44:1326−31(1996)参照。次いで、精製又は合成されたポリペプチドは、例えば、マウス又はウサギに注射してポリクローナル又はモノクローナル抗体を発生させることができる。当業者であれば、例えば、Antibodies,A Laboratory Manual,Harlow and Lane,Eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988)に記載のとおり、抗体を生成するための多数の手順を利用可能であることを認識する。当業者であれば、結合フラグメント又は抗体を模倣する(例えば、抗体の機能的結合領域を保持する)Fabフラグメントも種々の手順により遺伝子情報から調製することができることも認識する。例えば、Antibody Engineering:A Practical Approach,Borrebaeck,Ed.,Oxford University Press,Oxford(1995);及びHuse et al.,J.Immunol.,149:3914−3920(1992)参照。
更に、多数の刊行物は、選択された標的抗原への結合のためのポリペプチドのライブラリーを生成及びスクリーニングするためのファージディスプレイ技術の使用を報告している(例えば、Cwirla et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6378−6382(1990);Devlin et al.,Science,249:404−406(1990);Scott et al.,Science,249:386−388(1990);及びLadner et al.,米国特許第5,571,698号参照)。ファージディスプレイ法の基本的概念は、ファージDNAによりコードされるポリペプチドと標的抗原との間の物理的会合の確立である。この物理的会合は、ポリペプチドをコードするファージゲノムを取り囲んでいるキャプシドの一部としてポリペプチドを提示するファージ粒子により提供される。ポリペプチドとこれらの遺伝物質との間の物理的会合の確立は、様々なポリペプチドを担持する極めて多数のファージの同時マススクリーニングを可能にする。標的抗原との親和性を有するポリペプチドを提示するファージは標的抗原に結合し、これらのファージは標的抗原に対する親和性スクリーニングにより濃縮される。これらのファージから提示されたポリペプチドの同一性は、これらの各ゲノムから決定することができる。これらの方法を使用すると、所望の標的抗原について結合親和性を有すると同定されたポリペプチドは、次いで慣用の手段により大量に合成することができる(例えば、米国特許第6,057,098号参照)。
これらの方法により発生した抗体は、次いで対象となる精製されたポリペプチド抗原との親和性及び特異性についての第1のスクリーニングにより及び必要であれば、この結果を、結合から排除されることが望ましい他のポリペプチド抗原を有する抗体の親和性及び特異性と比較することにより選択することができる。スクリーニング手順は、マイクロタイタープレートの別個のウエル内への精製ポリペプチド抗原の固定化を含むことができる。次いで、潜在的抗体又は抗体群を含有する溶液は、各マイクロタイターウエル内に配置され、約30分から2時間インキュベートされる。次いで、マイクロタイターウエルは洗浄され、標識された二次抗体(例えば、作製された抗体がマウス抗体の場合、アルカリホスファターゼにコンジュゲートされた抗マウス抗体)がウエルに添加され、約30分間インキュベートされ、次いで洗浄される。基質がウエルに添加され、固定化されたポリペプチド抗原に対する抗体が存在する場合に呈色反応が現れる。
次いで、このように同定された抗体は、親和性及び特異性について更に分析することができる。標的タンパク質のための免疫アッセイの開発において、精製された標的タンパク質は、選択された抗体を使用して免疫アッセイの感度及び特異性を判断する標準として作用する。種々の抗体の結合親和性は異なり得、例えばある抗体の組合せが相互に立体的に干渉し得るので、抗体のアッセイ性能は、この抗体の絶対親和性及び特異性よりも重要な尺度となり得る。
当業者であれば、抗体もしくは結合フラグメントを生成する際に、対象となる種々のポリペプチドに親和性及び特異性についてスクリーニング及び選択する際に多数のアプローチを実施できるが、これらのアプローチは本発明の範囲を変化させないことを認識する。
A.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは対象となるポリペプチド及びアジュバントの複数回の皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射により動物において作製される。対象となるポリペプチドを、二官能剤又は誘導体化剤を使用して、免疫すべき種内で免疫原性であるタンパク質担体、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン又はダイズトリプシン阻害剤などにコンジュゲートさせることが有用であり得る。二官能剤又は誘導体化剤の非限定的例には、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介するコンジュゲーション)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介するコンジュゲーション)、グルタルアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl及びRN=C=NR(式中、R及びRは異なるアルキル基である)が含まれる。
動物は、例えば100μg(ウサギについて)又は5μg(マウスについて)の抗原又はコンジュゲートを3容量のフロイント完全アジュバントと合わせ、複数の部位で溶液を皮内に注射することにより、対象となるポリペプチド又はこれらの免疫原性コンジュゲートもしくは誘導体に対して免疫される。1カ月後、動物は、複数部位での皮下注射によるフロイント不完全アジュバント内のポリペプチドもしくはコンジュゲートの元の量の約1/5から1/10により追加免疫される。7から14日後に、動物から採血され、血清が抗体力価についてアッセイされる。動物は、典型的には力価が安定状態に達するまで追加免疫される。好ましくは、動物は同一ポリペプチドのコンジュゲートにより追加免疫されるが、異なる免疫原性タンパク質への、及び/又は異なる架橋試薬を介するコンジュゲーションを使用することができる。コンジュゲートは、融合タンパク質としての組換え細胞培養物中で作製することもできる。ある例において、凝集剤、例えばミョウバンを免疫応答を向上させるために使用することができる。
B.モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、一般に、実質的に均質な抗体の集団から入手される、すなわち、この集団を含む個々の抗体は小量で存在し得る考えられる天然型突然変異を除いて同一である。従って、修飾語句「モノクローナル」は、抗体の特徴が別々の抗体の混合物ではないことを示す。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)により記載されたハイブリドーマ法又は当分野において公知の任意の組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)を使用して作製することができる。
ハイブリドーマ法において、マウス又は他の適切な宿主動物(例えば、ハムスター)は、免疫のために使用される対象となるポリペプチドに特異的に結合する抗体を生成する、又は生成することのできるリンパ球を誘引するために、上記のとおり免疫される。あるいは、リンパ球はインビトロで免疫される。次いで、免疫されたリンパ球は、ハイブリドーマ細胞を形成するために、好適な融合剤、例えばポリエチレングリコールを使用して骨髄腫細胞と融合される(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,pp.59−103(1986)参照)。こうして調製されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは融合していない親骨髄腫細胞の成長もしくは生存を阻害する1種以上の物質を含有する好適な培養培地中で播種され、成長する。例えば、親骨髄腫細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ細胞のための培養培地は、典型的には、HGPRT欠損細胞の成長を妨げるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)を含む。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定性高レベル産生を支持し、及び/又は例えばHAT培地などの培地に感受性である骨髄腫細胞である。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのこのような好ましい骨髄腫細胞系の例には、限定されるものではないが、マウス骨髄腫細胞系、例えばMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍(Salk Institute Cell Distribution Center;San Diego,CAから入手可能)、SP−2又はX63−Ag8−653細胞(American Type Culture Collection;Rockville,MDから入手可能)に由来する骨髄腫細胞及びヒト骨髄腫もしくはマウス−ヒト異種骨髄腫細胞系(例えば、Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);及びBrodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker,Inc.,New York,pp.51−63(1987)参照)が含まれる。
ハイブリドーマ細胞が成長している培養培地は、対象となるポリペプチドに対して向けられたモノクローナル抗体を産生するためにアッセイすることができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法により、又はインビトロ結合アッセイ、例えば放射免疫アッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード分析を使用して決定することができる。
所望の特異性、親和性及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを限定希釈手順によりサブクローニングし、標準方法により成長させることができる(例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,pp.59−103(1986)参照)。この目的に好適な培養培地には、例えば、D−MEM又はRPMI−1640培地が含まれる。更に、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてインビボで成長させることができる。サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、慣用の抗体精製手順、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動法、透析又は親和性クロマトグラフィーなどにより、培養培地、腹水又は血清から分離することができる。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、慣用の手順を使用して容易に単離して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することのできるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)シーケンシングすることができる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい源として機能する。DNAは、単離されると、他の点で抗体を産生しない宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞中に後にトランスフェクトされる発現ベクター内に配置して組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を誘導することができる。例えば、Skerra et al.,Curr.Opin.Immunol.,5:256−262(1993);及びPluckthun,Immunol Rev.,130:151−188(1992)参照。DNAは、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのためのコーディング配列をホモロガスなマウス配列に代えて置換する工程により(例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851(1984)参照)又は非免疫グロブリンポリペプチドについてのコーディング配列の全部又は一部を免疫グロブリンコーディング配列に共有結合させることにより改変することができる。
更なる実施態様において、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、例えば、McCafferty et al.,Nature,348:552−554(1990);Clacksone et al.,Nature,352:624−628(1991);及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載の技術を使用して発生された抗体ファージライブラリーから単離することができる。鎖シャフリングによる高親和性(nM範囲)ヒトモノクローナル抗体の産生は、Marks et al.,BioTechnology,10:779−783(1992)に記載されている。極めて大きいファージライブラリーを構築するための方針としてのコンビナトリアル感染及びインビボ組換えの使用については、Waterhouse et al.,Nuc.Acids Res.,21:2265−2266(1993)に記載されている。従って、これらの技術は、モノクローナル抗体を発生させるための慣習的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法に重要な代替法である。
C.ヒト化抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当分野において公知である。好ましくは、ヒト化抗体は、非ヒトである起源からこの中に導入された1個以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には「インポート」可変ドメインから採取される、「インポート」残基と称されることが多い。ヒト化は、本質的には非ヒト抗体の超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列と置換することにより実施することができる。例えば、Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988);及びVerhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988)参照。従って、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(例えば、米国特許第4,816,567号参照)であり、実質的にインタクト未満のヒト可変領域は、非ヒト種からの対応する配列により置換されている。実際、ヒト化抗体は、典型的には一部の超可変領域残基及びおそらくは一部のフレームワーク領域(FR)残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基により置換されているヒト抗体である。
本明細書に記載のヒト化抗体の作製において使用すべき軽鎖及び重鎖両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低減させるために重要な検討事項である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。次いで、齧歯類の配列に最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒトFRとして容認される(例えば、Sims et al.,J.Immunol.,151:2296(1993);及びChothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901(1987)参照)。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のFRを使用する。いくつかの異なるヒト化抗体については、同一のFRを使用することができる(例えば、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.,J.Immunol.,151:2623(1993)参照)。
抗原についての高親和性及び他の好ましい生物学的特性が保持された抗体をヒト化することも重要である。この目標を達成するため、ヒト化抗体は、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び種々の概念的ヒト化生成物を分析するプロセスにより調製することができる。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、当業者であれば精通している。選択された候補免疫グロブリン配列の考えられる三次元立体配座構造を説明及び提示するコンピュータプログラムを利用可能である。これらの提示の検査は、候補免疫グロブリン配列の機能において残基が果たす可能性がある役割についての分析、すなわち候補免疫グロブリンがこの抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を許容する。この手法において、FR残基をレシピエント及びインポート配列から選択して組み合わせることができるので、所望の抗体特性、例えば(1種以上の)標的抗原についての親和性の増加が達成される。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接的及び特異的に関係している。
種々の形態のヒト化抗体が、本発明により企図される。例えば、ヒト化抗体は、抗体フラグメント、例えば、Fabフラグメントであり得る。あるいは、ヒト化抗体は、インタクト抗体、例えば、インタクトIgA、IgG又はIgM抗体であり得る。
D.ヒト抗体
ヒト化の代替法として、ヒト抗体を発生させることができる。一部の実施態様において、免疫すると、内因性免疫グロブリン産生の非存在下で全レパートリーのヒト抗体を産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生成することができる。例えば、キメラ及び生殖細胞系突然変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合体欠失は内因性抗体産生の完全阻害をもたらすと記載されている。このような生殖細胞系突然変異マウスへのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの移動は、抗原チャレンジ後にヒト抗体の産生をもたらす。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255−258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immun.,7:33(1993);並びに米国特許第5,591,669号、第5,589,369号及び第5,545,807号参照。
あるいは、ファージディスプレイ技術(例えば、McCafferty et al.,Nature,348:552−553(1990)参照)を使用して未免疫ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーを使用してインビトロでヒト抗体及び抗体フラグメントを生成することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、線維状バクテリオファージ、例えばM13又はfdのメジャー又はマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれかの中にインフレームでクローン化され、ファージ粒子の表面上で機能的抗体フラグメントとして提示される。線維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択は、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択ももたらす。従って、ファージはB細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、例えば、Johnson et al.,Curr.Opin.Struct.Biol.,3:564−571(1993)に記載の種々のフォーマットで実施することができる。ファージディスプレイのために、V遺伝子セグメントのいくつかの起源を使用できる。例えば、Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991)参照。未免疫ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、多様な抗原アレイに対する抗体(自己抗原を含む)は、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991);Griffith et al.,EMBO J.,12:725−734(1993);並びに米国特許第5,565,332号及び第5,573,905号に記載の技術に本質的に従って単離することができる。
ある例において、ヒト抗体は、例えば米国特許第5,567,610号及び第5,229,275号に記載のとおりインビトロ活性化B細胞により発生させることができる。
E.抗体フラグメント
抗体フラグメントを生成するために、種々の技術が開発されてきた。慣習的には、これらのフラグメントはインタクト抗体のタンパク質分解消化により導き出された(例えば、Morimoto et al.,J.Biochem.Biophys.Meth.,24:107−117(1992);及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)参照)。しかしながら、これらのフラグメントは、現在では組換え宿主細胞を使用して直接的に生成することができる。例えば、抗体フラグメントは、上記で考察した抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−SHフラグメントを大腸菌細胞から直接的に回収し、化学的に結合させてF(ab’)フラグメントを形成することができる(例えば、Carter et al.,BioTechnology,10:163−167(1992)参照)。別のアプローチによれば、F(ab’)フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接的に単離することができる。抗体フラグメントを産生するための他の技術は、当業者には明白である。他の実施態様では、最適な抗体は、一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。例えば、PCT国際公開第93/16185号;並びに米国特許第5,571,894号及び第5,587,458号参照。抗体フラグメントは、例えば米国特許第5,641,870号に記載の直鎖抗体であり得る。このような直鎖抗体フラグメントは、単一特異的又は二重特異的であり得る。
F.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なるエピトープについての結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、対象となる同一ポリペプチドの2種の異なるエピトープに結合することができる。他の二重特異性抗体は、対象となるポリペプチドについての結合部位を、1種以上の追加の抗原についての(1種以上の)結合部位と組み合わせることができる。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体フラグメント(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製する方法は、当分野において公知である。完全長二重特異性抗体の慣習的な生成は、2種の免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの共発現に基づいており、この2種の鎖は異なる特異性を有する(例えば、Millstein et al.,Nature,305:537−539(1983)参照)。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダム選別のため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ(quadroma))は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、このうち1種のみが適正な二重特異性構造を有する。適正な分子の精製は、通常は親和性クロマトグラフィーにより実施される。同様の手順が、PCT国際公開第93/08829号及びTraunecker et al.,EMBO J.,10:3655−3659(1991)に開示されている。
異なるアプローチによれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。この融合体は、好ましくは、ヒンジ、CH2及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインを有する。融合体の少なくとも1種に存在する軽鎖結合のために必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体をコードするDNA及び所望であれば免疫グロブリン軽鎖は、別個の発現ベクター内に挿入され、好適な宿主生物内にコトランスフェクトされる。このことは、構築において使用される3本のポリペプチド鎖の不等比が最適収率を提供する場合、実施態様において3本のポリペプチドフラグメントの相互比率を調整する際の大きい柔軟性を提供する。しかしながら、同等比の少なくとも2本のポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合、又は比が特に有意ではない場合、2本又は全3本のポリペプチド鎖についてのコーディング配列を1個の発現ベクター内に挿入することが可能である。
このアプローチの好ましい実施態様において、二重特異性抗体は、一方のアームにおいて第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖及び他方のアームにおいて(第2の結合特異性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアから構成される。この非対称性構造は、二重特異性分子の2分の1のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が容易な分離手法を提供するので、不所望の免疫グロブリン鎖の組合せからの所望の二重特異性化合物の分離を促進する。例えば、PCT国際公開第94/04690号及びSuresh et al.,Meth.Enzymol.,121:210(1986)参照。
米国特許第5,731,168号に記載の別のアプローチによれば、一対の抗体分子間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化するために遺伝子操作することができる。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1個以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)により置き換えられる。(1個以上の)大きい側鎖と同一又は類似のサイズの代償性「キャビティ」は、大きいアミノ酸側鎖を小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)により置き換えることにより第2の抗体分子の界面上で作出される。このことは、他の不所望の最終生成物、例えばホモ二量体と比べてヘテロ二量体の収率を増加させる機序を提供する。
二重特異性抗体には、架橋又は「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲート内の抗体の一方はアビジンに、他方はビオチンに結合させることができる。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の便宜的な架橋法を使用して作製することができる。好適な架橋剤及び架橋技術は、当分野において周知であり、例えば、米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体フラグメントから二重特異性抗体を発生させるのに好適な技術も当分野において公知である。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製することができる。ある例において、二重特異性抗体は、インタクト抗体をタンパク質分解により開裂させてF(ab’)フラグメントを発生させる手順により発生させることができる(例えば、Brennan et al.,Science,229:81(1985)参照)。これらのフラグメントは、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元されて隣接ジチオールが安定化され、分子間ジスルフィド形成が妨げられる。次いで、発生したFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次いで、Fab’−TNB誘導体の1種はメルカプトエチルアミンによる還元によりFab’−チオールへ再変換され、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合されて二重特異性抗体が形成される。
一部の実施態様において、Fab’−SHフラグメントは、大腸菌から直接的に回収し、化学的に結合させて二重特異性抗体を形成することができる。例えば、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)分子は、Shalaby et al.,J.Exp.Med.,175:217−225(1992)に記載の方法により生成することができる。各Fab’フラグメントは大腸菌から別個に分泌させ、インビトロで指向化学的結合に供して二重特異性抗体を形成した。
組換え細胞培養物から直接的に二重特異性抗体フラグメントを作製及び単離するための種々の技術についても記載されてきた。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して生成されてきた。例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148:1547−1553(1992)参照。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合により2種の異なる抗体のFab’部分に連結させた。抗体ホモ二量体は、ヒンジ領域で還元させてモノマーを形成し、次いで再酸化させて抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体ホモ二量体を生成するためにも利用できる。Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)により記載された「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体フラグメントを作製するための代替機序を提供した。これらのフラグメントは、同一鎖上の2種のドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、1本のフラグメントのVH及びVLドメインは、別のフラグメントの相補的VL及びVHドメインと対合させられ、これにより2種の抗原結合部位が形成される。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用により二重特異性抗体フラグメントを作製するための別の方針は、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)に記載されている。
2超の価数を有する抗体も企図されている。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。例えば、Tutt et al.,J.Immunol.,147:60(1991)参照。
G.抗体の精製
組換え技術を使用する場合、抗体は単離された宿主細胞の内側で、宿主細胞のペリプラスム間隙内において産生することができ、又は宿主細胞から培地中に直接的に分泌させることができる。抗体が細胞内で産生される場合、最初に微粒子片が例えば遠心分離又は限外濾過により除去される。Carter et al.,BioTech.,10:163−167(1992)は、大腸菌のペリプラスム間隙内に分泌される抗体を単離する手順について記載している。手短に述べると、細胞ペーストは酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA及びフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)の存在下で約30分間解凍される。細胞片は、遠心分離により除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、このような発現系からの上清は一般に、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon製の限外濾過装置である市販されているタンパク質濃縮フィルターを使用して濃縮される。プロテアーゼ阻害剤、例えばPMSFを上記の工程のいずれかに含めてタンパク質分解を阻害することができ、抗生物質を含めて外来汚染物質の成長を妨げることができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動法、透析及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインAの好適性は、抗体内に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖をベースとする抗体を精製するために使用することができる(例えば、Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.,62:1−13(1983)参照)。プロテインGは、全マウスアイソタイプ及びヒトγ3について推奨されている(例えば、Guss et al.,EMBO J.,5:1567−1575(1986)参照)。親和性リガンドが付着されるマトリックスはアガロースであることが最も多いが、他のマトリックスも利用可能である。機械的に安定性のマトリックス、例えば、制御細孔ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンは、アガロースを用いた場合よりも高速の流速及び短いプロセッシング時間を達成できる。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商品名)樹脂(J.T.Baker;Phillipsburg,N.J.)が精製のために有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラム上での分別、エタノール沈殿、シリカ上での逆相HPLCクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商品名)上でのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)上のクロマトグラフィー、クロマト分画、SDS−PAGE及び硫酸アンモニウム沈殿も、回収すべき抗体に応じて利用可能である。
(1つ以上の)予備精製工程後、対象となる抗体及び汚染物質を含む混合物は、好ましくは低い塩濃度(例えば、約0〜0.25Mの塩)で実施される、約2.5〜4.5のpHにある溶出緩衝液を使用して低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することができる。
当業者であれば、抗体に類似する機能を有する任意の結合分子、例えば試料中の1種以上の対象となる分析物に特異的な結合分子又は結合パートナーも本発明の方法及び組成物において使用することができることを認識する。好適な抗体様分子の例には、限定されるものではないが、ドメイン抗体、ユニボディ、ナノボディ、サメ抗原反応性タンパク質、アビマー、アドネクチン、アンチカルム(anticalm)、親和性リガンド、フィロマー(phylomer)、アプタマー、アフィボディ、トリネクチンなどが含まれる。
IX.投与方法
本発明の方法によれば、本明細書に記載の抗癌薬は、当分野において公知の任意の便宜的手段により対象に投与される。本発明の方法は、対象における腫瘍、例えば、胃(胃)腫瘍を治療するのに好適な抗癌薬又は抗癌薬の組合せを選択するために使用することができる。本発明の方法は、抗癌薬又は抗癌薬の組合せによる治療に対する対象における腫瘍、例えば、胃(胃)腫瘍の応答を同定するために使用することもできる。更に、本発明の方法は、抗癌薬又は抗癌薬の組合せによる治療に対する腫瘍、例えば、胃(胃)腫瘍を有する対象の応答を予測するために使用することができる。当業者であれば、本明細書に記載の抗癌薬を単独で、又は慣用の化学療法、放射線療法、ホルモン療法、免疫療法及び/もしくは手術との組合せ治療アプローチの一部として投与することができることを認識する。
ある実施態様において、抗癌薬は、抗シグナリング剤(すなわち、細胞増殖抑制薬)、例えばモノクローナル抗体又はチロシンキナーゼ阻害剤;抗増殖剤;化学療法剤(すなわち、細胞毒性薬);ホルモン療法剤;放射線療法剤;ワクチン;及び/又はアベラントな細胞、例えば癌性細胞の脱制御された成長を低減又は無効にさせる能力を有する任意の他の化合物を含む。一部の実施態様において、対象は、少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて1種以上の抗シグナリング剤、抗増殖剤及び/又はホルモン療法剤により治療される。例示的なモノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖剤、化学療法剤、ホルモン療法剤、放射線療法剤及びワクチンは上述されている。
一部の実施態様において、本明細書に記載の抗癌薬は、限定されるものではないが、免疫賦活剤(例えば、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette−Guerin:BCG)、レバミゾール、インターロイキン−2、α−インターフェロンなど)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体−カリケアマイシンコンジュゲート、抗CD22モノクローナル抗体−シュードモナス外毒素コンジュゲートなど)及び放射免疫療法(例えば、111In、90Y又は131Iなどにコンジュゲートされた抗CD20モノクローナル抗体)を含む慣用の免疫療法剤と共投与することができる。
抗癌薬は、必要に応じて好適な医薬賦形剤とともに投与することができ、許容された投与様式のいずれかにより実施することができる。従って、投与は、例えば、経口、バッカル、舌下、経歯肉、経口蓋、静脈内、局所、皮下、経皮的、経皮性、筋肉内、関節内、非経口、動脈内、皮内、心室内、頭蓋内、腹腔内、膀胱内、髄腔内、病巣内、鼻腔内、直腸内、膣内又は吸入によるものであり得る。「共投与する」は、抗癌薬が第2薬(例えば、別の抗癌薬、抗癌薬療法と関連する副作用を低減させるために有用な薬物、放射線療法剤、ホルモン療法剤、免疫療法剤など)の投与と同時に、投与直前に、又は投与直後に投与されることを意味する。
治療有効量の抗癌薬は、繰り返して、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8回以上繰り返し投与することができ、又は用量は連続注入により投与することができる。用量は、好ましくは正確な用量を簡単に投与するのに好適な単位剤形である、固体、半固体、凍結乾燥粉末又は液体剤形、例えば、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン、坐剤、停留浣腸剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、エアロゾル剤、フォーム剤などの形態を取ることができる。
本明細書において使用される用語「単位剤形」は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単一投与量として好適な物理的不連続単位を指し、各単位は適切な医薬賦形剤(例えば、アンプル)と関連して、所望の発現、忍容性及び/又は治療効果を生成するように計算された所定量の抗癌薬を含有する。更に、より濃縮された剤形を調製することができ、次いでこの剤形からより希釈された単位剤形を生成することができる。従って、より濃縮された剤形は、抗癌薬の量より実質的に多い、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍以上の量を含有する。
このような剤形を調製する方法は、当業者には公知である(例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18TH ED.Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)参照)。剤形は、典型的には、慣用の医薬担体又は賦形剤を含み、更に他の医薬剤、担体、アジュバント、希釈剤、組織透過強化剤、可溶化剤などを含むことができる。適切な賦形剤は、当分野において周知の方法によって、特定の剤形及び投与経路に合わせることができる(例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES参照、前掲)。
好適な賦形剤の例には、限定されるものではないが、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、生理食塩水、シロップ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース並びにポリアクリル酸、例えば、Carbopol、例えば、Carbopol941、Carbopol980、Carbopol981などが含まれる。これらの剤形は、滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油;湿潤剤;乳化剤;懸濁化剤;保存剤、例えばメチル−、エチル−、及びプロピル−ヒドロキシ−ベンゾエート(すなわち、パラベン);pH調整剤、例えば、無機及び有機の酸及び塩基;甘味剤;並びに付香剤を更に含むことができる。剤形は、生分解性ポリマービーズ、デキストラン及びシクロデキストリン包接錯体を含むこともできる。
経口投与のため、治療有効用量は、錠剤、カプセル剤、エマルジョン、懸濁剤、液剤、シロップ剤、噴霧剤、トローチ剤、散剤及び徐放性配合物の形態であり得る。経口投与に好適な賦形剤には、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含まれる。
一部の実施態様において、治療有効用量は、丸剤、錠剤又はカプセル剤の形態を取り、従って、剤形は、抗癌薬と一緒に、下記のいずれか:希釈剤、例えば、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなど;崩壊剤、例えば、デンプン又はこの誘導体;滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど;並びに結合剤、例えば、デンプン、アカシアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース及びこれらの誘導体を含有することができる。抗癌薬は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)担体内に配置された坐剤内に配合することもできる。
液体剤形は、例えば、経口、局所又は静脈内投与のための液剤又は懸濁剤を形成するために、担体、例えば、生理食塩水(例えば、0.9(重量/容量)%塩化ナトリウム)、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの中に抗癌剤及び場合により1種以上の薬学的に許容されるアジュバントを溶解又は分散させることにより調製することができる。抗癌薬は、停留浣腸剤に配合することもできる。
局所投与のため、治療有効用量は、エマルジョン、ローション剤、ゲル剤、フォーム剤、クリーム剤、ゼリー剤、液剤、懸濁剤、軟膏剤及び経皮貼付剤の形態であり得る。吸入による投与のため、抗癌薬は、乾燥粉末として、又はネブライザーによる液体形態で送達することができる。非経口投与のため、治療有効用量は、無菌注射液及び無菌包装粉末の形態であり得る。好ましくは、注射液は、約4.5から約7.5のpHにおいて配合される。
治療有効用量は、凍結乾燥形態で提供することもできる。このような剤形は、投与前の再構成のために、緩衝液、例えば、重炭酸塩を含むことができ、又は緩衝液は例えば水による再構成のための凍結乾燥剤形態で含めることができる。凍結乾燥剤形は、好適な血管収縮剤、例えばエピネフリンを更に含むことができる。凍結乾燥剤形は、再構成された剤形を対象に直ちに投与することができるように、再構成のための緩衝液と組み合わせて場合により包装されてシリンジで提供することができる。
対象は、ある治療レジメンの効力を査定するために定期的時間間隔で追跡することもできる。例えば、あるシグナル伝達分子の活性化状態は、本明細書に記載の抗癌薬の1種以上による治療の治療効果に基づいて変化し得る。対象を追跡して個別化されたアプローチにおけるある薬物又は治療の応答を査定し、これらの効果を理解することができる。更に、特定の抗癌薬又は抗癌薬の組合せに最初に応答する対象は、薬物又は薬物の組合せに対して治療抵抗性になり得、このことは、これらの対象に獲得薬物耐性が生じたことを示している。これらの対象は、対象の現行治療を中止し、代替療法を本発明の方法に従って処方することができる。
ある態様において、本発明に記載の方法は、種々の集団における胃癌の予後診断及び/又は再発の可能性を予測する遺伝子発現マーカーのパネルと結び付けて使用することができる。これらの遺伝子パネルは、再発を経験する可能性が低い、従ってアジュバント化学療法からの利益が得られる可能性が低い個体を同定するために有用であり得る。これらの発現パネルを使用して疾患不含の全生存アウトカムに悪影響を及ぼさずにアジュバント化学療法を安全に回避することができる個体を同定することができる。好適なシステムには、限定されるものではないが、Genomic Health,Inc.からの21遺伝子パネルであるOncotype DX(商品名);Agendiaからの70遺伝子パネルであるMammaPrint(商標);及びVeridexからの76遺伝子パネルが含まれる。
更に、ある他の態様において、本明細書に記載の方法は、原発不明癌(CUP)についての原発腫瘍を同定する遺伝子発現マーカーのパネルと結び付けて使用することができる。これらの遺伝子パネルは、最初に胃癌を有すると診断された患者に与えられる治療と一致する治療から利益が得られるであろう転移性癌を有する患者を同定する際に有用であり得る。好適なシステムには、限定されるものではないが、92種の遺伝子を測定して39種の腫瘍タイプについての原発出現部位を同定するRT−PCRベースの発現アッセイであるAviara CancerTYPE IDアッセイ;及びマイクロアレイ上で1600種超の遺伝子の発現を測定し、15種の既知の組織タイプに対して腫瘍の遺伝子発現「シグニチャー」を比較するPathwork(商標)Tissue of Origin Testが含まれる。
X.実施例
以下の実施例は、本発明を限定するためではなく例示するために提供する。
(実施例1)循環細胞の単離、刺激及び溶解
固形腫瘍の循環細胞は固形腫瘍から転移又は微小転移した細胞を含み、循環腫瘍細胞(CTC)、癌幹細胞(CSC)及び/又は腫瘍へ移動中である細胞(例えば、循環内皮前駆細胞(CEPC)、循環内皮細胞(CEC)、循環プロ血管新生骨髄性細胞、循環樹状細胞など)を含む。循環細胞を含有する患者試料は、任意のアクセス可能な生体液(例えば、全血、血清、血漿、管洗浄液、乳頭吸引液、リンパ液、尿、唾液、細針吸引液など)から得ることができる。循環細胞は、例えば、免疫磁気分離(例えば、Racila et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:4589−4594(1998);Bilkenroth et al.,Int.J.Cancer,92:577−582(2001)参照)、Immunicon(Huntingdon Valley,PA)によるCellTracks(商品名)システム、マイクロ流体分離(例えば、Mohamed et al.,IEEE Trans.Nanobiosci.,3:251−256(2004);Lin et al.,Abstract No.5147,97th AACR Annual Meeting,Washington,D.C.(2006))、FACS(例えば、Mancuso et al.,Blood,97:3658−3661(2001))、密度勾配遠心分離(例えば、Baker et al.,Clin.Cancer Res.,13:4865−4871(2003))及び枯渇法(例えば、Meye et al.,Int.J.Oncol.,21:521−530(2002)参照)を含む1種以上の分離方法を使用して患者試料から単離することができる。
CTCの手動単離:
CTCの免疫磁気分離−手動単離に続く活性化アッセイ:
1)抗EpCAMモノクローナル抗体(Kordia Life Sciences、Leiden,The Netherlands)に既にコンジュゲートされた磁気ビーズ(Dynal M450;Dynal AS、Oslo,Norway)を使用する。あるいは、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の混合物を使用することができる。
2)使用直前、プレコーティングされたDynabeadsを0.01%のBSAを有する等容量のPBS中で1回洗浄する。
3)25μLのプレコーティングされたDynabeadsを1mLの試料に添加する。
4)混合物を穏やかに傾斜及び回転させながら、2〜8℃で20分間インキュベートする。
5)試験管を磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に2分間配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%のBSAを有するPBS中に再懸濁させることによりビーズ結合細胞を3回洗浄し、次いで磁気分離する。
7)この試料を100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
試料の調製:
1)ヒト対象からの末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に抜き出す。穿刺した静脈から遊離される上皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
2)使用前に、0.9%のNaClにより1mLの全血を1:3に希釈する。
対照の調製:
1)細胞系対照は、ヒト癌細胞系をHL−60細胞中にスパイクすることにより作製する。
2)細胞系対照は、ヒト癌細胞系を健常ドナーからの全血中にスパイクすることにより作製する。
CEC及びCEPCの手動単離:
非限定的な例として、生存可能なCEC及びCEPCは、Beerepoot et al.,Ann.Oncology,15:139−145(2004)に記載の免疫磁気分離/濃縮技術を使用して単離することができる。手短に述べると、末梢血を抗CD146モノクローナル抗体(Kordia Life Sciences)に既にコンジュゲートされた磁気ビーズ(Dynal M450 IgG)とともにインキュベートする。この抗体は、末梢血中で造血細胞又は上皮細胞以外の全系統の内皮細胞を認識する(George et al.,J.Immunol.Meth.,139:65−75(1991))。造血細胞及び上皮細胞の陰性選択は、適切な抗体(例えば、白血球を枯渇させるためにはDynal−CD45ビーズ、単球を枯渇させるためにはDynal−CD14ビーズ、上皮細胞を枯渇させるためにはDynal−EpCAM(Invitrogen、Carlsbad,CA))に結合した磁気ビーズを用いる陽性選択の前に使用することができる。本実施例においては陽性選択のみを使用する。
CEC及びCEPCの免疫磁気分離−手動単離に続く活性化アッセイ:
1)抗CD146モノクローナル抗体(Kordia Life Sciences)に既にコンジュゲートされた磁気ビーズ(Dynal M450)を使用する。
2)使用直前、プレコーティングされたDynabeadsを0.01%のBSAを有する等容量のPBS中で1回洗浄する。
3)25μLのプレコーティングされたDynabeadsを1mLの試料に添加する。
4)混合物を穏やかに傾斜及び回転させながら、2〜8℃で20分間インキュベートする。
5)試験管を磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に2分間配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%のBSAを有するPBS中に再懸濁させることによりビーズ結合細胞を3回洗浄し、次いで磁気分離する。
7)この試料を100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
試料の調製:
1)ヒト対象からの末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に抜き出す。穿刺した静脈から遊離される内皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
2)使用前に、0.9%のNaClにより1mLの全血を1:3に希釈する。
対照の調製:
1)細胞系対照は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をHL−60細胞中にスパイクすることにより作製する。
2)細胞系対照は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を健常個体から提供された全血中にスパイクすることにより作製する。
CEPC(CEC不含)の手動単離:
CEPCは、種々の血管新生成長因子に応答して成熟内皮細胞に分化する能力を有する骨髄由来前駆細胞の循環サブタイプである。CEPCは、表面マーカーCD34を認識する抗体による選択により単離することができる。CD133は、CEPCから未成熟内皮前駆細胞(EPC)又は原子造血幹細胞(HSC)を分化させる表面マーカーである。様々な起源からのCEPCの種々の単離手順は、接着培養又は磁気マイクロビーズを使用して記載されている。本実施例において、Asahara et al.,Science,275:964−967(1997)に記載のプロトコールから修正されたプロトコールを使用する。
CEPCの免疫磁気分離−手動単離に続く活性化アッセイ:
1)磁気ビーズ(Dynal M450 CD34)を使用する。これらのビーズは、CD34表面抗原に特異的なモノクローナル抗体によりコーティングする。
2)使用直前、プレコーティングされたDynabeadsを0.01%のBSAを有する等容量のPBS中で1回洗浄する。
3)25μLのプレコーティングされたDynabeadsを1mLの試料に添加する。
4)混合物を穏やかに傾斜及び回転させながら、2〜8℃で20分間インキュベートする。
5)試験管を磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に2分間配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%のBSAを有するPBS中に再懸濁させることによりビーズ結合細胞を3回洗浄し、次いで磁気分離する。
7)この試料を100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
試料の調製:
1)ヒト対象からの末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に抜き出す。穿刺した静脈から遊離される内皮細胞による汚染を回避するために、最初の3〜5mLは廃棄する。
2)平衡塩類溶液により10mLの全血を1:1に希釈する。
3)4mLの希釈血液を10mLの試験管中の3mLのFicoll−Paque上へ層状に重ねる。
4)試験管を18〜20℃において30〜40分間400×gにおいて回転させる。
5)無菌パスツールピペットを使用して血漿及び血小板を含有する上層を取り出し、界面で平静である単核球の層を残す。
6)単核球は、無菌ピペットを使用して無菌遠心分離管に移す。
7)6mLの平衡塩類溶液を添加し、細胞を穏やかに再懸濁させる。
8)混合物を18〜20℃において10分間60〜100×gにおいて遠心分離する。
9)上清を除去し、各試験管からの単核球を1mLのPBS中に再懸濁させる。
Veridexシステムを使用するCTC、CEC及びCEPCの細胞単離:
Veridex,LLC(Warren,NJ)は、CellTracks(商標)AutoPrep(商標)システム、CellSearch(商品名)上皮細胞キット及びCellTracks(商標)アナライザーから構成されるCellSearchシステムを市販している。CellTracks(商標)AutoPrep(商標)システムは、半自動化試料調製システムである(Kagan et al.,J.Clin.Ligand Assay,25:104−110(2002))。CellSearch(商品名)上皮細胞キットは:上皮細胞に特異的な抗EpCAM抗体によりコーティングされた強磁性流体;サイトケラチン8、18及び19に対するフィコエリトリンにコンジュゲートされた抗体;アロフィコシアニンにコンジュゲートされた抗CD45抗体;DAPI色素;並びに細胞を洗浄し、透過させ、再懸濁化させるための緩衝液からなる。本実施例において使用するプロトコールは、Allard et al.,Clin.Cancer Res.,10:6897−6904(2004)にも記載されている。全VeridexシステムはCTC計数のために使用することができ、又はCellTracks(商標)AutoPrep(商標)システムを用いた単離後に試料を手動で除去することにより、分析前に経路活性化のための単離方法を提供することができる。CTCの数は、アルゴリズム開発のために情報を提供することができる。
Veridexシステム−CTC濃縮に続く計数:
1)7.5mLの血液を6mLの緩衝液と混合し、10分間800×gにおいて遠心分離し、次いでCellTracks(商標)AutoPrep(商標)システム上に配置する。
2)機器が上清を吸引した後、機器は強磁性流体を添加する。
3)機器はインキュベーション及び後続の磁気分離工程を実施する。
4)未結合細胞及び残留血漿を吸引する。
5)蛍光染色のために透過緩衝液を結び付けて染色試薬を添加する。
6)システムによるインキュベーション後、細胞を再び磁気的に分離し、MagNest(商標)細胞提示装置に再懸濁させる。
7)次いで、MagNest(商標)細胞提示装置を4色半自動化蛍光顕微鏡であるCellTracks(商標)アナライザー上に配置する。
8)Veridex規定基準を満たす画像を捕捉し、最終手動選択のためにウエブベースのブラウザにより示す。
9)細胞計数の結果は、血液7.5mL当たりの細胞数として表現する。
Veridexシステム−CTC濃縮に続く活性化アッセイ:
1)7.5mLの血液を6mLの緩衝液と混合し、10分間800×gにおいて遠心分離し、次いでCellTracks(商標)AutoPrep(商標)システム上に配置する。
2)機器が上清を吸引した後、機器は強磁性流体を添加する。
3)機器はインキュベーション及び後続の磁気分離工程を実施する。
4)未結合細胞及び残留血漿を吸引する。
5)試料を100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
Veridexシステム−CEC及びCEPC濃縮に続く活性化アッセイ:
1)Veridexは、抗CD146抗体による捕捉を利用するCellSearch(商品名)内皮細胞キットを供給する。CellSearch(商品名)内皮細胞キットは、血液試料調製のためにはCellTracks(商標)AutoPrep(商標)システムと、及び全血からのCEC及びCEPCを計数及び特性決定するためにはCellTracks(商標)アナライザーと結び付けて使用される。プロトコールは、CellSearch(商品名)上皮細胞キットについてのプロトコールと同一である。
試料の調製:
1)計数:ヒト対象からの末梢血を、製造業者の取扱説明書に従ってCellSave保存用試験管内に採血する。穿刺した静脈から遊離される上皮又は内皮細胞による汚染を回避するため、最初の3〜5mLは廃棄する。
2)経路分析:ヒト対象からの末梢血を、1mg/mLのEDTAを含有するシリコン被覆試験管内に抜き出す。穿刺した静脈から遊離される上皮又は内皮細胞による汚染を回避するため、最初の3〜5mLは廃棄する。
CSCの手動単離:
腫瘍が固有の自己再生及び生存機序を有する小集団の推定癌幹細胞を含有するという証拠が確立されつつある(例えば、Sells,Crit.Rev.Oncol.Hematol.,51:1−28(2004);Reya et al.,Nature,414:105−111(2001);Dontu et al.,Trends Endocrinol.Metal.,15:193−197(2004);及びDick,Nature,423:231−233(2003)参照)。癌幹細胞(CSC)は長時間静穏状態で存在し得、このことによりこの細胞が***細胞を標的とする化学療法薬に耐性となる。この癌開始集団は、選択的除去のための標的療法を受ける自己再生及び生存経路の活性化について特徴付けることができる。CSCの単離手順は、接着培養又は磁気マイクロビーズを使用して記載されている。本実施例においては、Cote et al.,Clin.Can.Res.,12:5615(2006)に記載のプロトコールから修正されたプロトコールを使用する。
免疫磁気CSC単離−手動単離に続く活性化アッセイ:
1)磁気ビーズ(Dynal AS;Oslo,Norway)を使用する。これらのビーズは、CD34又はCD133表面抗原のいずれかに特異的なモノクローナル抗体によりコーティングする。
2)使用直前、プレコーティングされたDynabeadsを0.01%のBSAを有する等容量のPBS中で1回洗浄する。
3)1〜10個のプレコーティングされたDynabeadsを3mLの試料に添加する。
4)混合物を穏やかに傾斜及び回転させながら、2〜8℃で60分間インキュベートする。
5)混合物を1mL部分に分割し、各試験管を磁気分離装置(MPL−1マグネット)内に少なくとも6分間配置する。
6)上清を廃棄し、0.01%のBSAを有するPBS中に再懸濁させることによりビーズ結合細胞を3回洗浄し、次いで磁気分離する。
7)この試料を100μLの刺激緩衝液中に再懸濁させる。
試料の調製:
1)骨髄標本を、癌患者からインフォームドコンセントを得た後に得る。
2)骨髄吸引液を処理する工程は、Bauer et al.,Clin.Can.Res.,6:3552−3559(2000))に記載のとおり実施する。任意の播種性腫瘍細胞を含有する単核球分画は、35分間にわたり4000×gでBeckman GS−6遠心分離装置を使用してFicoll−Hypaque密度勾配遠心分離により濃縮し、PBSにより2回洗浄する。
単離されたCTCの細胞刺激及び溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激:
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を添加することにより細胞を刺激し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激(フィードバックループ):
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで細胞をTGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)により刺激し、37℃で120分間インキュベートする。
下記のプロトコールを使用して刺激されたCTCを溶解させる:
1)新たな溶解緩衝液を、表3に記載の試薬を混合することにより新たに調製する。
2)最終洗浄後、細胞を氷上で100μLの冷蔵緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションを氷上で30分間実施する。
4)混合物を最高速度でマイクロフュージ(microfuge)内で10分間回転させて溶解物からビーズを分離する。
5)溶解物をアッセイのために新しい試験管に移し、又は80℃で貯蔵する。
単離されたCEC及び/又はCEPCの細胞刺激及び溶解:
VEGFは、CEPC(Larrivee et al.,J.Biol.Chem.,278:22006−22013(2003))及び血管壁から剥がれた成熟CEC(Solovey et al.,Blood,93:3824−3830(1999))の両方において抗アポトーシス経路を活性化することにより生存を促進すると考えられている。VEGFは、CEPC又は成熟CECの増殖を刺激することもできるが、成熟CECはCEPCに比較して限定された増殖能力しか有しないと思われる(Lin et al.,J.Clin.Invest.,105:71−77(2000))。これらの理由から、CEC及び/又はCEPCは、溶解前にVEGFファミリー成長因子とのインキュベーションにより活性化される。
細胞の刺激:
1)成長因子VEGF、FGF、PDGF、PIGF及び/又はAngをそれぞれ100nMで細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激:
1)試料を、治療有効濃度のAvastin、Nexavar、Sutent及び/又はラパマイシンアナログと、37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、因子VEGF、FGF、PDGF、PIGF及び/又はAngをそれぞれ100nMで添加することにより細胞を刺激し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激(フィードバックループ):
1)試料を、治療有効濃度のAvastin、Nexavar、Sutent及び/又はラパマイシンアナログと、37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、VEGF、FGF、PDGF、PIGF及び/又はAngをそれぞれ100nMで添加することにより細胞を刺激し、37℃で120分間インキュベートする。
単離されたCEC及び/又はCEPC細胞を、下記のプロトコールを使用して溶解させる:
1)新たな溶解緩衝液を、表3に記載の試薬を混合することにより新たに調製する。
2)最終洗浄後、細胞を氷上で100μLの冷蔵緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションを氷上で30分間実施する。
4)混合物を最高速度でマイクロフュージ内で10分間回転させて溶解物からビーズを分離する。
5)溶解物をアッセイのために新しい試験管に移し、又は80℃で貯蔵する。
単離されたCSCの細胞刺激及び溶解:
刺激された細胞:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理により刺激された細胞:
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を添加することにより細胞を刺激し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理により刺激された細胞(フィードバックループ):
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を添加することにより細胞を刺激し、37℃で120分間インキュベートする。
単離されたCSC細胞を、下記のプロトコールを使用して溶解させる:
1)新たな溶解緩衝液を、表3に記載の試薬を混合することにより新たに調製する。
2)最終洗浄後、細胞を氷上で100μLの冷蔵緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションを氷上で30分間実施する。
4)混合物を最高速度でマイクロフュージ内で10分間回転させて溶解物からビーズを分離する。
5)溶解物をアッセイのために新しい試験管に移し、又は80℃で貯蔵する。
(実施例2)組織、生検物又は一次培養物からの腫瘍細胞抽出物の調製
本実施例は、腫瘍組織又は生検標本から細胞を単離し、刺激し、及び溶解させる方法を説明する。本実施例は、組織、生検物又は全血から単離された腫瘍細胞の一次培養を開始し、刺激し、及び溶解させる方法も説明する。化学療法剤をスクリーニングするための生物学的標本から腫瘍細胞を単離及び培養する追加の方法は、例えば、米国特許第第5,728,541号;第6,416,967号;第6,887,680号;第6,900,027号;第6,933,129号;第7,112,415号並びに米国特許出願公開第20040023375号及び第20050202411号に記載されている。本実施例に従って調製された細胞抽出物は、単一検出又は本明細書に記載の近接アッセイにおいて使用することができる。
原発性又は転移性組織からの腫瘍細胞の単離:
細胞の単離及び培養:
1)約5〜100mgの非壊死性、非汚染腫瘍組織を外科的に採取し、無菌細胞培養培地(例えば、10%FBS及び抗生物質を有するRMPI−1640)を含有する100mLボトル内に配置する。
2)試料は、抽出後72時間以内に室温で貯蔵又は輸送することができる。
3)試料を細胞培養培地中で3回すすぎ洗う。
4)組織は外科用メスにより小片に細分化し、次いで微細なワイヤーメッシュに導通させることにより細胞懸濁液に分解させる。
5)あるいは、細分化された組織を、抗生物質を含有する血清不含細胞培養培地中に希釈された0.25%コラゲナーゼII及び0.001%DNアーゼを含有するカクテルにより処理する。インキュベーションは、穏やかに撹拌しながら15〜20分間行う。細胞培養培地により3回洗浄することによる処理後に酵素を除去する。
6)細胞濃度を10/mLに調整し、細胞を6ウエルプレート内に播種し、一晩沈降させる。翌日、細胞をトリプシン処理し、リガンドによる刺激及び/又は標的薬による阻害のためにマイクロタイタープレート内に再播種する。
解離された腫瘍からの細胞の細胞刺激及び溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激:
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を添加することにより細胞を刺激し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激(フィードバックループ):
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで細胞をTGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)により刺激し、37℃で120分間インキュベートする。
刺激された細胞は、下記のプロトコールを使用して溶解させる:
1)新たな溶解緩衝液を、表3に記載の試薬を混合することにより新たに調製する。
2)最終洗浄後、細胞を氷上で100μLの冷蔵緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションを氷上で30分間実施する。
4)混合物を最高速度でマイクロフュージ内で10分間回転させて溶解物からビーズを分離する。
5)溶解物をアッセイのために新しい試験管に移し、又は80℃で貯蔵する。
生検標本からの腫瘍細胞の単離:
細胞の単離及び培養:
1)コア生検物を外科的に抽出し(真空支援生検のための1〜2片の生検物とともに、14ゲージ針については2つのコア、16ゲージ針については3つのコア及び18ゲージ針については4つのコア)、腫瘍標本のための細胞培養培地を含有する10mLの無菌バイアル内に配置する。
2)試料は、抽出後72時間以内に室温で貯蔵又は輸送することができる。
3)コア生検物からの細胞材料を、微細なワイヤーメッシュに導通させることにより細胞懸濁液に分解させる。
4)あるいは、生検物を、抗生物質を含有する細胞培養培地中に希釈された0.25%コラゲナーゼII及び0.001%DNアーゼを含有するカクテルにより処理することができる。インキュベーションは、穏やかに撹拌しながら15〜20分間行う。細胞培養培地により3回洗浄することによる処理後に酵素を除去する。
5)細胞濃度を10/mLに調整し、細胞を6ウエルプレート内に播種し、一晩沈降させる。翌日、細胞をトリプシン処理し、リガンドによる刺激及び/又は標的薬による阻害のためにマイクロタイタープレート内に再播種する。
生検物からの細胞の細胞刺激及び溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激:
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を添加することにより細胞を刺激し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激(フィードバックループ):
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで細胞をTGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)により刺激し、37℃で120分間インキュベートする。
刺激された細胞は、下記のプロトコールを使用して溶解させる:
1)新たな溶解緩衝液を、表3に記載の試薬を混合することにより新たに調製する。
2)最終洗浄後、細胞を氷上で100μLの冷蔵緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションを氷上で30分間実施する。
4)混合物を最高速度でマイクロフュージ内で10分間回転させて溶解物からビーズを分離する。
5)溶解物をアッセイのために新しい試験管に移し、又は80℃で貯蔵する。
組織、生検物又は全血から単離された腫瘍細胞からの一次培養の開始:
細胞の培養:
1)上記の組織、生検物又は全血から単離された腫瘍細胞を、単離された腫瘍細胞の数に応じて小さい無菌フラスコ(例えば、T−25)、ペトリ皿(例えば、10mm)又はプレート(例えば、24ウェルプレート)内で培養する。
2)インキュベーションは、5%COが補給された加湿37℃インキュベーション内の細胞培養培地(例えば、2%FBS及び抗生物質を有するRMPI−1640)中で行う。経時的に細胞は容器底部上で単層を形成し、***し始める。細胞がコンフルエンスに近付くと、細胞をトリプシン処理し、リガンドによる刺激及び/又は標的薬による阻害のためにマイクロタイタープレート内に再播種する。
組織、生検物又は全血から単離された腫瘍細胞からの一次培養物の細胞刺激及び溶解:
細胞の刺激:
1)成長因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を細胞に添加し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激:
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで、因子TGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)を添加することにより細胞を刺激し、37℃で5分間インキュベートする。
薬物処理による細胞の刺激(フィードバックループ):
1)試料を治療有効濃度のHerceptin、ラパチニブ、Tarceva及び/又はラパマイシンアナログと37℃で30分間インキュベートする。
2)次いで細胞をTGF−α(100nM)、Hrg(100nM)及び/又はIGF(100nM)により刺激し、37℃で120分間インキュベートする。
刺激された細胞は、下記のプロトコールを使用して溶解させる:
1)新たな溶解緩衝液を、表3に記載の試薬を混合することにより新たに調製する。
2)最終洗浄後、細胞を氷上で100μLの冷蔵緩衝液中に再懸濁させる。
3)インキュベーションを氷上で30分間実施する。
4)混合物を最高速度でマイクロフュージ内で10分間回転させて溶解物からビーズを分離する。
5)溶解物をアッセイのために新しい試験管に移し、又は80℃で貯蔵する。
(実施例3)チラミドシグナル増幅による単一検出マイクロアレイELISA
本実施例は、希少循環細胞中のシグナル伝達分子の活性化状態を分析するのに好適な優れたダイナミックレンジを有するマルチプレックスハイスループット単一検出マイクロアレイELISAを説明する。
1)捕捉抗体を、2倍の段階希釈物により16パッドのFASTスライド(Whatman Inc.;Florham Park,NJ)上にプリントした。
2)一晩乾燥させた後、スライドをWhatmanブロッキング緩衝液によりブロッキングした。
3)80μLの細胞溶解物を、10倍の段階希釈物を含む各パッド上に添加した。スライドを、室温で2時間インキュベートした。
4)TBS−Tweenにより6回洗浄した後、80μLのビオチン標識検出抗体(例えば、リン酸化c−Metを認識するモノクローナル抗体又は活性化状態とは無関係にc−Metを認識するモノクローナル抗体)を室温で2時間インキュベートした。
5)6回洗浄した後、ストレプトアビジン標識セイヨウワサビペルオキシダーゼ(SA−HRP)を添加し、1時間インキュベートしてSA−HRPをビオチン標識検出抗体に結合させた。
6)シグナル増幅のため、5μg/mLの80μLのビオチン−チラミドを添加し、15分間反応させた。スライドをTBS−Tweenにより6回、20%DMSO/TBS−Tweenにより2回及びTBSにより1回洗浄した。
7)80μLのSA−Alexa 555を添加し、30分間インキュベートした。次いでスライドを2回洗浄し、5分間乾燥させ、マイクロアレイスキャナ(Perkin−Elmer,Inc.;Waltham,MA)上でスキャンした。
(実施例4)チラミドシグナル増幅による近接二重検出マイクロアレイELISA
本実施例は、希少循環細胞中のシグナル伝達分子の活性化状態を分析するのに好適な優れたダイナミックレンジを有するマルチプレックスハイスループット近接二重検出マイクロアレイELISAを説明する。
1)捕捉抗体を、1mg/mLから0.004mg/mLの範囲内の連続希釈物を含む16パッドのFASTスライド(Whatman Inc.)上でプリントした。
2)一晩乾燥させた後、スライドをWhatmanブロッキング緩衝液によりブロッキングした。
3)80μLのA431細胞溶解物を、10倍の連続希釈物を有する各パッド上に添加した。スライドを室温で2時間インキュベートした。
4)TBS−Tweenにより6回洗浄した後、TBS−Tween/2%BSA/1%FBS中に希釈された近接アッセイのための80μLの検出抗体をスライドに添加した。インキュベーションを室温で2時間行った。
a)非限定的な例として、検出抗体は以下のものを含むことができる:(i)グルコースオキシダーゼ(GO)に直接コンジュゲートされた抗c−Metモノクローナル抗体;及び(ii)セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)に直接コンジュゲートされたリン酸化c−Metを認識するモノクローナル抗体。
b)あるいは、検出工程は、リン酸化c−Metを認識するモノクローナル抗体のビオチン−コンジュゲートを利用することができる。これらの例において、6回洗浄した後、ストレプトアビジン−HRPによる1時間のインキュベーションの追加の連続工程を含める。
c)あるいは、検出工程は、抗c−Met抗体のオリゴヌクレオチド媒介グルコースオキシダーゼ(GO)コンジュゲートを利用することができる。リン酸化c−Met抗体に直接コンジュゲートされた、又はHRPのビオチン−ストレプトアビジン(SA)結合コンジュゲートのいずれかを使用することができる。
5)シグナル増幅のため、5μg/mLの80μLのビオチン−チラミドを添加し、15分間反応させた。スライドをTBS−Tweenにより6回、20%DMSO/TBS−Tweenにより2回及びTBSにより1回洗浄した。
6)80μLのSA−Alexa555を添加し、30分間インキュベートした。次いでスライドを2回洗浄し、5分間乾燥させ、マイクロアレイスキャナ(Perkin−Elmer Inc.)上でスキャンした。
(実施例5)薬物選択のための活性化プロファイルの作成
本発明の方法及び組成物は、癌治療のための薬物選択に適用することができる。典型的なプロトコールは、2種のプロファイル、すなわち参照活性化プロファイル及び試験活性化プロファイルを作成し、次いでこれらを比較して特定の薬物治療レジメンの効力を決定することを必要とする(図2参照)。
参照活性化プロファイル
参照活性化プロファイルを導出するため、血液又は細針吸引液(FNA)試料は、抗癌薬治療前に特定のタイプの癌(例えば、胃癌)を有する患者から得る。癌性腫瘍に由来する希少循環細胞は、血液試料から単離し、又は腫瘍細胞は、例えば、本明細書により詳細に記載された免疫磁気分離技術を使用してFNA試料から単離する。単離された細胞は、1種以上の成長因子を用いてインビトロで刺激することができる。次いで、刺激された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成する。細胞抽出物は、活性化状態が患者の癌のタイプにおいて変化され得るシグナル伝達分子に特異的な捕捉抗体のパネルの希釈系列を含有するアドレス可能なアレイに適用する。単一検出又は近接アッセイは、適切な検出抗体(例えば、活性化状態非依存性抗体及び/又は活性化状態依存性抗体)を使用して実施して対象となる各シグナル伝達分子の活性化状態を決定する。表2に示した「経路選択」表は、患者の癌のタイプに基づいてどの活性化状態を検出すべきかを選択するために特に有用である。例えば、ある患者は、表2の「経路1」に記載のEGFR経路の活性化状態を提示する癌のタイプを有し得る。あるいは、別の患者は、表2の「経路2」に記載のEGFR経路の活性化状態を提示する別の癌のタイプを有し得る。従って、参照活性化プロファイルは、任意の抗癌薬の非存在下で患者の癌におけるシグナル伝達分子の活性化状態を提供するように作成する。
試験活性化プロファイル
試験活性化プロファイルを得るため、第2の血液又はFNA試料を、抗癌薬治療前又は抗癌薬の投与後のいずれかに(例えば、癌治療の過程を通して任意の時点に)特定タイプの癌(例えば、胃癌)を有する患者から得る。癌性腫瘍に由来する希少循環細胞を血液試料から単離し、又は腫瘍細胞をFNA試料から単離する。単離された細胞を抗癌薬による治療を受けていない対象から得る場合、単離された細胞を、上記の参照活性化プロファイルから決定された活性化シグナル伝達分子の1種以上を標的とする抗癌薬とインキュベートする。「薬物選択」表(表1)は、特異的活性化標的シグナル伝達分子を阻害する、承認されている又は臨床試験下の適切な抗癌薬を選択するために特に有用である。例えば、EGFRが活性化されていることが参照活性化プロファイルから決定された場合、細胞を表1の欄「A」又は「B」に列挙した薬物の1種以上とインキュベートすることができる。次いで、単離された細胞を1種以上の成長因子によりインビトロで刺激することができる。次いで、単離された細胞を溶解させて細胞抽出物を生成する。細胞抽出物をアドレス可能なアレイに適用し、近接アッセイを実施して対象となる各シグナル伝達分子の活性化状態を決定する。従って、患者のための試験活性化プロファイルを、特定の抗癌薬の存在下での患者の癌におけるシグナル伝達分子の活性化状態を提供するように作成する。
薬物の選択
抗癌薬は、試験活性化プロファイルを対照活性化プロファイルと比較することにより、患者の癌の治療に好適か不適かを決定する。例えば、薬物治療により、ほとんど又は全部のシグナル伝達分子が薬物の非存在下よりも実質的に低く活性化される場合、例えば、薬物を用いない強い活性化から薬物を用いた弱い又は極めて弱い活性化への変化が引き起こされる場合、治療は患者の癌に好適であると決定する。このような例において、治療は薬物療法を受けていない患者においては好適な抗癌薬を用いて開始し、又は薬物を既に摂取している患者においては好適な抗癌薬による後続の治療を継続する。しかしながら、薬物治療が患者の癌の治療に不適とみなした場合、異なる薬物を選択及び使用して新規な試験活性化プロファイルを作成し、次いでこのプロファイルを参照活性化プロファイルと比較する。このような例において、治療は薬物療法を受けていない患者においては好適な抗癌薬により開始し、又は不適な薬物を現在摂取している患者においては後続の治療を好適な抗癌薬に変更する。
(実施例6)抗癌薬療法選択のためにc−Met活性化を検出する方法
本実施例は、抗c−Met阻害剤に対して応答する患者を同定するための、及び抗c−Met阻害剤と他の標的剤との組合せから利益を受ける患者を同定するための、本明細書に記載のマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームの使用を説明する。
乳癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、腎臓癌及び甲状腺癌を含む広範なヒト悪性腫瘍は、c−Met刺激の持続、過剰発現又は突然変異を示す。特に、c−Metの活性化突然変異は、乳頭状腎臓癌の特定の遺伝型を有する患者において明確に同定されており、このことは、c−Metがヒト腫瘍発生に直接関与していることを示している。c−Met受容体の調節不全又はこのリガンドの肝細胞成長因子(HGF)の過剰発現に起因するc−Metシグナリング経路のアベラントなシグナリングは、悪性表現型と関連している。
c−Metシグナリングがいくつかの癌の進行及び拡散に関与する広範な証拠並びに疾患におけるこの役割についての理解の向上は、癌薬物開発における主な標的としてc−Met及びHGFへのかなりの関心を生み出した。この関心は、潜在的な臨床用途を有する種々のc−Met経路アンタゴニストの開発をもたらした。経路選択的抗癌薬開発のこの3種の主なアプローチは、リガンド/受容体相互作用の拮抗作用、チロシンキナーゼ触媒活性の阻害及び受容体/エフェクター相互作用の遮断を含む。
いくつかのc−Metアンタゴニストが、目下臨床調査中である。モノクローナル抗体及び小分子チロシンキナーゼ阻害剤の両方を含むこれらの薬剤のいくつかの前臨床結果は、有望である。興味深いことに、c−Met増幅を有する患者は、チロシンキナーゼ阻害剤に対して応答しない。いくつかの多標的療法も臨床において調査中であり、特にチロシンキナーゼ阻害に関して見込みがあると実証されている。
c−Met受容体チロシンキナーゼは、多くの悪性腫瘍において過剰発現され得、生物学的及び生化学的機能において重要である。c−Met受容体の活性化は、細胞成長、浸潤、血管新生及び転移の増加をもたらし得る。チロシンキナーゼドメイン、膜近傍ドメイン又はセマホリンドメイン内の増幅及び/又は活性化突然変異が、c−Metについて同定されている。多数の治療方針がc−Metを阻害するために用いられている。いくつかの臨床試験は、種々の悪性腫瘍についてc−Met及びこのリガンドの肝細胞成長因子(HGF)を調査している。従って、患者全血又は細針吸引液(FNA)試料中に見出される限定数の癌細胞においてc−Metリン酸化をプロファイリングする方法は、疾患病因全体への貴重な見識を提供し、従ってより良好な抗癌療法選択をもたらす。
図3は、A431扁平上皮癌細胞においてc−MetリガンドHGFがc−Metリン酸化を刺激したが、HER2リン酸化は刺激しなかったことを示す。HER2リン酸化は、HGF処理によりわずかに減少した。
図4は、HCC827肺癌細胞においてc−Metが高度にリン酸化されたことを示す。HGF処理により、これらのHCC827細胞においてc−Metリン酸化が約4倍だけ増加した。HER2リン酸化は、HGF処理により影響を受けなかった。
本明細書に記載のマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームは、標的タンパク質がマイクロアレイ表面上で捕捉されると、2種の検出酵素にコンジュゲートされた抗体の共局在化を要する固有の免疫複合体の形成を利用する。近接している2種の検出酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ(GO)及びセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP))間のチャネリング事象により、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、例えばc−Metのプロファイリングが極限感度で可能となる。分析特異性は、3種の異なる抗体の同時結合についての要件を前提として大きく向上する。特に、マルチプレックス化近接アッセイは、(1)マルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームを(2)三重抗体酵素チャネリングシグナル増幅プロセスと組み合わせてベースとする。固有及び新規な設計は、特異性を保存しつつ超高感度を付与する三重抗体酵素アプローチにより提供される:
(1)選択された標的は、マイクロアレイ表面上に段階希釈物でプリントされた標的特異性抗体により捕捉される。このフォーマットは、結合した各標的タンパク質ごとに後続のチャネリング事象のために酵素と結合している2種の追加の検出抗体の共局在化を要する(図5)。
(2)捕捉抗体による最初の標的結合及び捕捉された標的分子上の択一的エピトープを認識するGO(10/分のTON)にコンジュゲートされた抗体の二次結合により形成された免疫複合体は、GO基質グルコースの存在下でHを生成することができる。
(3)次いで、Hの標的特異的局所流入は、捕捉された標的上のリン酸化ペプチドに結合するHRP(10/分のTON)にコンジュゲートされたホスホペプチド特異的抗体により利用され、従って標的特異的シグナルが増幅される。リン酸化標的を検出するための特異性は、3種の異なるタイプの抗体の同時結合のための要件を前提にすると、共同免疫検出及び増幅プロセスを介して大きく増加される。約2〜3×10回という少ないリン酸化事象の検出及び定量は、この検出を「単」細胞レベルにする本方法により定型的に達成される。ある例において、この共同免疫アッセイの構成は、タンパク質相互作用及び活性化状態を調査するために更に適用することができる。
表4は、c−Met発現、突然変異又は活性化を有する原発性腫瘍を有する患者のパーセンテージを説明する。興味深いことに、胃癌においてMET増幅を有する患者は、c−Met阻害剤に対して応答しない。
c−Metは、キナーゼ、例えば、RON、EGFR、HER2、HER3、PI3K及びSHCと相互作用し、これらをリン酸化することが実証されている。c−Metは、他のキナーゼ、例えば、p95HER2、IGF−1R、c−KITなどとも相互作用し得る。本明細書に記載のマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイは、患者全血(例えば、循環腫瘍細胞)又はFNA試料中に見出される限定数の癌細胞を使用してこれらのキナーゼ及びこれらの経路の1種以上を状態を調査するために実施することができる。アッセイの結果は、各個々の患者について適正な抗癌療法の決定を可能とする。
図6は、以下のマーカーの発現及び/又は活性化状態を決定するための本発明の例示的なアドレス可能なアレイを説明する:c−MET、HER1/ErbB1、HER2/ErbB2、p95ErbB2、HER3/ErbB3、IGF−1R、RON、c−KIT、PI3K、SHC、VEGFR1、VEGFR2及びVEGFR3。近接アッセイマイクロアレイフォーマットを使用するこれらの受容体チロシンキナーゼ及びこれらの経路の調査により、有利には、特定のc−Met阻害剤療法に対する患者の応答の予測が可能となる。非限定的な例として、XL−880に対して応答する患者は、活性化されたc−MET及びVEGFR2を有する一方、非応答者は活性化されたRTKの組合せを有する。重要なことに、近接アッセイマイクロアレイプラットフォームは、適切な組合せ療法を選択するために使用することもできる。例えば、活性化されたc−MET、VEGFR2及びEGFRを有する患者は、Iressa+XL880の組合せにより治療すべきである一方、活性化されたc−MET、VEGFR2、ErbB1、ErbB2、ErbB3及びp95ErbB2を有する患者はTykerb+XL880により治療すべきである。
マルチプレックス化近接媒介プラットフォームは、有利には、限定量の試料においてRTK、例えば、c−Metの活性化を検出するための単細胞レベルの感度を提供する。従って、転移性癌を有する患者から得られた循環腫瘍細胞(CTC)及び/又はmFNA試料をプロファイリングしてオーダーメード療法及びインパクトのある臨床診療のための貴重な情報を提供することができる。
(実施例7)抗癌薬療法選択のための近接アッセイを使用する胃癌のプロファイリング
腫瘍組織の逐次サンプリングに基づくキナーゼ及び他のシグナル伝達経路分子の発現/活性化プロファイリングは、時間及び治療に応じて腫瘍細胞において生じる変化に基づく貴重な情報を提供する。腫瘍進行のこの一時的なプロファイリングにより、臨床医が各患者において急速に発達する癌シグネチャーを追跡することが可能となる。本実施例は、胃癌に関与する受容体チロシンキナーゼ(RTK)経路の発現のレベル及びリン酸化の程度を検出するための新規で堅牢なアッセイを説明し、単細胞レベルの感度を有するこのような治療ガイド診断システムを使用する利点を実証する。本アッセイは、一般に、試料、例えば、細針吸引液(FNA)及び血液に依存し、このような試料から得られた限定量の癌細胞の調査のための高い感度及び特異性を達成する。
本実施例は更に、(1)胃癌における95Her2の頻度を検査することにより;(2)臨床病理学的可変要素と胃癌におけるp95Her2との相関を分析することにより;(3)Herceptin耐性p95Her2(+)胃癌からのインビトロでの前臨床データと相関付けることにより;及び(4)p95Her2(+)胃癌患者においてラパチニブベースの治療について臨床試験を実行することにより、p95Her2(+)胃癌の発生率及び臨床的特徴を評価することを目的とする。
胃癌は、世界規模で主な癌による死因であり、発病率は1年当たり18.9人/100000人である。胃癌の発病率は、934000人の症例と推定され、新たな症例の56%は西アジアにおいて生じている。胃癌は、2002年のCentral Tumor Registryデータによれば、韓国において全ての癌の20.8%を占めている。胃切除は胃癌患者における唯一の根治治療であるが、根治手術後40〜60%に及ぶ高い再発率が依然として不良な全生存率の一因となっている。アジュバント試験における指標となる研究の1つは、U.S.Intergroupの研究INT−0116であり、この研究は、ほとんどのD0−D1結節切除胃癌患者における5−フルオロウラシル(5−FU)/ロイコボリン及び45Gy放射線による化学放射線療法からの顕著により良好な生存率を報告している。更に、アジュバント化学放射線療法(INT−0116)からの潜在的な生存利益が、D2切除患者において近年実証された。
生存率を更に改善するため、患者オーダーメード治療方針の開発に進展する、アジュバント化学放射線療法後の生存率又は再発率についての信頼性のある分子診断マーカーを同定する緊急の必要性が存在する。更に、胃癌療法の改善は、最終的には、新規治療アプローチに依存する。
RTKは、膜貫通ドメイン及びチロシンキナーゼモチーフを特徴とする56種のタンパク質のファミリーである。これらは、細胞シグナリングにおいて機能し、成長、分化、接着、遊走及びアポトーシスを調節するシグナルを伝達する。RTKの突然変異活性化及び/又は過剰発現は、細胞を変形させ、癌の発達において重要な役割を担うことが多い。このような理由のため、RTKは、種々の分子標的剤、例えば、トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、スニチニブ、イマチニブ、ニロチニブなどの標的となっている。胃癌における56種の既知のRTKの相対遺伝子発現レベルの中央値は、EGFR、FGFR及びVEGFRサブタイプを含むいくつかのRTKが胃癌に存在することを示す。
近年、HER2(+)胃癌においてカペシタビン+シスプラチン(XP)とXP+トラスツズマブを比較したToGA臨床試験の中間分析は、トラスツズマブ群において自由生存率の進行の顕著な延長を実証した。興味深いことに、トラスズマブ耐性の機序の1つは、細胞外トラスツズマブ結合ドメインを欠損するHER2受容体のトランケート化形態p95HER2の蓄積である。近年の研究は、p95HER2を発現する***腫瘍がトラスツズマブに耐性であり、代替的又は追加的な抗HER2標的化方針、例えば、トラスツズマブ及びラパチニブによる組合せ療法を要し得ることを実証した。従って、p95HER2発現の頻度を確立して胃癌におけるHER2標的剤を取り込む将来的な臨床試験の基礎を作ることが重要である。
本明細書に記載のマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームは、胃癌と関連するキナーゼ及び他のシグナル伝達経路分子の発現/活性化を調査するために使用することができる。従って、患者全血又は細針吸引液(FNA)試料に見出される限定数の癌細胞中の胃癌マーカーをプロファイリングする方法は,全疾患病因への貴重な見識を提供し、従ってより良好な抗癌療法選択をもたらす。
全血又はFNA試料は、本明細書に記載の近接アッセイを使用するRTK経路調査のために胃癌を有する患者から得ることができる。あるいは、経路分析のための試料は、冷凍組織から、切片化又は冷凍FNA手順の実施により得ることができる。ある例において、組織切片化は、後続のプロファイル分析のための冷凍標本について好ましい方法である一方、比較的非侵襲的なFNA手順は、臨床環境において患者(及びゼノグラフト)から試料を得るのに好ましい方法である。
冷凍組織試料は、以下の方法により回収することができる:
オプション番号1組織切片回収:
1.プラスチック秤量ボートをドライアイス上で保持し、このボート内で試料切断を行う。
a.材料を冷蔵するため、かみそり刃又はミクロトームブレード、微細鉗子及び予備標識試料回収バイアルをドライアイス上で保持する。
2.冷凍ヒト癌組織を−80℃フリーザーから取り出し、試料を直ちにドライアイス上に移す。
3.冷凍組織をドライアイス上の秤量ボートに移し、かみそり刃又はミクロトームブレードを使用して冷凍組織を小片(10μm切片×3)に切断し、予備冷蔵鉗子を使用して組織を予備冷蔵及び予備標識された試料回収バイアルに移す。
4.キャップを閉じ、これをドライアイス上で保持する。
5.回収された標本を、最初に二重プラスチックバッグ中に配置し、次いでStyrofoam容器(一次容器)中に適切量のドライアイスとともに配置する。
a.少なくとも6〜8ポンドのドライアイスを使用する。夏季においてはより多くのドライアイスを使用する。
注:正確な量のドライアイスは、輸送会社との協議後に決定する。
b.必要な許可及びドキュメンテーションについて国際的な輸送プロセスのために輸送会社と協議する。
c.湿った氷又は冷却剤(すなわち、クールパック)は使用しない。
6.必要条件を確認し、試料リストをボックス中に配置するが、二重バッグの外側に配置する。
7.容器を安全に密封し、「冷凍組織−解凍不可」のラベルを貼る。
オプション番号2冷凍組織からのFNA調製:
1.冷凍ヒト癌組織を−80℃フリーザーから取り出し、試料バイアルを直ちにドライアイス上に移す。
2.FNA手順について準備された試料を湿った氷の上に10分間配置して組織を軟化させるべきである。
3.FNA試料回収は、23又は25ゲージ針を軟化した冷凍組織に5から10回通すことにより実施すべきである。残りの試料バイアルをドライアイスに戻す。
4.FNA試料回収バイアルの蓋をアルコールにより拭く。
5.冷凍FNA試料は、100μLの「タンパク質後溶液」(Prometheus Laboratories;San Diego,CA)を含有する回収バイアル中への直接注射により回収すべきである。回収された組織材料を、内容物を穏やかに混合することにより分注する。
6.FNA回収バイアルを片手によりしっかり固定し、急速な指によるタッピング(約15×)を実施して完全な細胞溶解を確保する(可能な場合、10秒間ボルテックスにかける)。
7.回収された標本を、最初に二重プラスチックバッグ中に配置し、次いでStyrofoam容器(一次容器)中にクールパックとともに配置する。
a.必要な許可及びドキュメンテーションについて国際的な輸送プロセスのために輸送会社と協議する。
8.必要条件を確認し、試料リストをボックス中に配置するが、二重バッグの外側に配置する。
9.容器を安全に密封し、「生物学的標本」のラベルを貼る。
図7は、以下のマーカーの発現及び/又は活性化状態に基づき、胃癌において活性化されるシグナル伝達経路をプロファイリングするための本発明の例示的なアドレス可能なアレイを説明する:HER1/ErbB1、HER2/ErbB2、HER3/ErbB3、p95HER2/p95ErbB2、IGF−1R、c−MET、PI3K、SHC、Akt及びErk。この活性化プロファイルは、HER1、HER2、c−Met、PI3K、Akt及びFGFR2を含むいくつかの分子標的(発現)について現在プロファイリングされている500個の胃癌標本のコホートからの結果と比較することができる。近接アッセイマイクロアレイフォーマットを使用するこれらのRTK及びこれらの経路の調査により、有利には、胃癌の治療のための特定の治療レジメンに対する患者の応答の予測が可能となる。更に、近接アッセイマイクロアレイ技術に基づくRTK発現/活性化プロファイルは、RTK標的療法に基づく臨床試験を支援することができる。現在、ラパチニブは、LOGiC試験において臨床調査中であり、この試験において、カペシタビン+オキサリプラチン(CapeOx)の化学療法レジメンへのラパニチブの添加が、進行する時間の延長及びErbB2遺伝子の増幅を有する局所的に進行性、切除不可能な、又は転移性の胃癌、食道癌又は胃食道接合部癌を有する患者の全生存率におけるこの影響について評価されている。従って、HER2の発現に加え、活性化された95ErbB2、HER2及びHER1について各疾患をプロファイリングすることは、HER2標的療法について適切な患者を選択するための臨床的に関連する情報を提供する。
非限定的な例として、本明細書に記載の近接アッセイにより決定された、活性化p95ErbB2及び/又は活性化HER2及び/又は活性化HER1を有するErbB2陽性の進行性又は転移性の胃癌、食道癌又は胃食道癌を有する患者は、カペシタビン+オキサリプラチンの組合せにより治療すべきである一方、非活性化HER2を有する患者は、カペシタビン、オキサリプラチン及びラパチニブの組合せにより治療すべきである:
マルチプレックス化近接媒介プラットフォームは、有利には、限定量の試料においてRTK及びこれらの経路の活性化を検出するための単細胞レベルの感度を提供する。従って、胃癌を有する患者から得られたCTC及び/又はmFNA試料をプロファイリングしてオーダーメード療法及びインパクトのある臨床診療のための貴重な情報を提供することができる。
(実施例8)遺伝子発現パネルによる一次起源組織決定後の治療のための患者の選択
全転移性腫瘍の約3%〜5%は、原発不明癌(CUP)のカテゴリーに分類される。起源組織の正確な診断は、現行療法が多分に解剖学的部位に基づいているので、治療の決定において重要である。遺伝子発現パネルは、最初に胃癌を有すると診断された患者に与えられる治療と一致する治療から利益が得られるであろう転移性胃癌を有する患者の同定において有用であり得る。好適なシステムには、限定されるものではないが、マイクロRNAの発現パターンの分析を通して癌及び起源組織を分類するRosetta Genomics CUPアッセイ(例えば、PCT国際公開第08/117278号参照);92種の遺伝子を測定して39種の腫瘍タイプについて原発起源部位を同定するRT−PCRベースの発現アッセイであるAviara DX(Carlsbad,CA)CancerTYPE ID(商品名)アッセイ;及びマイクロアレイ上で1600種超の遺伝子の発現を測定し、15種の既知の組織タイプに対して腫瘍の遺伝子発現「シグニチャー」を比較する、Pathwork(商品名)起源組織検査(Sunnyvale,CA)が含まれる。患者の原発性癌の組織が食道及び/又は胃であると同定されると、経路活性化プロファイルを使用して適切な標的療法を選択して治療スケジュールに含めることができる。
以下のプロトコールは、胃癌、食道癌又は胃食道癌を治療するのに適切な標的療法又は標的療法の組合せを選択するために活性化状態プロファイリングと結び付けて遺伝子発現プロファイリングが使用される、本発明の例示的な実施態様を提供する:
1)転移性腫瘍から外科的又は細針生検のいずれかにより切除された厚さ7μmの組織切片を載せた2枚以上のガラススライドを患者から得る。これらの細胞をホルマリン中で固定し、パラフィン(FFPE)内に包埋する。1枚の追加の同一腫瘍のスライドをH&Eにより染色する。
2)病理学者は、H&Eスライドを精査し、CancerTYPE ID(商品名)アッセイのために回収すべき領域を示す。スライドを分析のためにAviara DXに送付する。
3)Aviara DXからの試験報告書は、k近傍分析から決定された上位5つの最も可能性が高い起源部位を示し、予測が導出される。患者のための予測が原発不明腫瘍として食道及び/又は胃を示す場合、患者の腫瘍細胞を経路活性化について査定することができる。
4)腫瘍細胞(例えば、CTC)を、実施例1に記載のとおり血液から単離し、分析のために調製する。あるいは、細針生検物を使用して実施例2に記載のとおり腫瘍細胞抽出物を調製することができる。細胞調製物は、実施例3又は実施例4に記載のとおりアッセイする。活性化プロファイルは、実施例6又は実施例7に記載のものと類似の様式において評価する。適切な標的療法又は標的療法の組合せを選択する。
(実施例9)胃癌患者におけるシグナル伝達経路タンパク質の機能的プロファイリング
胃切除は胃癌(GCA)患者における唯一の根治治療であるが、根治手術後の40〜60%に及ぶ高い再発率が依然として不良な全生存率の一因となっている。生存率を更に改善するため、患者オーダーメード治療方針の開発に進展する、アジュバント化学放射線療法後の生存率又は再発率についての信頼性のある分子診断マーカーを同定する緊急の必要性が存在する。胃癌療法の改善は、最終的には、癌増殖に重要な分子を標的とする新規治療アプローチに依存する。伝達経路タンパク質は細胞シグナリングにおいて機能し、成長、分化、接着、遊走及びアポトーシスを調節するシグナルを伝達するので、これらは種々の治療剤の標的となっている。本明細書に記載のマルチプレックス化免疫アッセイプラットフォームは、これらの伝達経路タンパク質の機能的プロファイリングに利用することができる。
共同近接免疫アッセイ(COPIA)は、2種の検出抗体の共局在化を要する固有の免疫複合体の形成を利用するマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームである。検出抗体は、対応するチャネリング酵素グルコースオキシダーゼ(GO)及びセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされている。標的タンパク質が捕捉抗体により結合されると、近接しているGOとHRPとのチャネリング事象により、標的タンパク質のプロファイリングが極限感度で可能となる。COPIAは、極度に高い分析特異性を達成する。それというのも、これがシグナル発生/増幅のための標的特異的近接内で複数の実体を要するからである。COPIAは、各特異的標的タンパク質について、トランケート化標的(すなわち、p95HER2)の、これらの正常な対応物(すなわち、HER2)からのディファレンシャルな検出が可能となるように構成することもできる。COPIAを適用してGCA患者から回収された冷凍組織におけるシグナリングタンパク質の発現及び活性化のレベルを調査した。
本実施例は、GCA患者におけるHER1、HER2、p95HER2、HER3、IGF1−R、c−MET、PI3K、Shc、VEGFR、panCK及び他のシグナル伝達経路タンパク質の発現の有病率並びにこれらの活性化のレベルを実証する。胃癌療法の改善は、最終的には、機能的プロファイリングにより同定される特異マーカーを標的とする新規治療アプローチに依存する。疾患プロファイルは再発性癌において、及び異なる治療圧力下でシフトすることが多いので、「発達/異種疾患」から得られた試料(入手可能性が限定されることが多い)を分析することにより得られた臨床情報は、臨床医がこれらの疾患治療オプションを「個人の」癌プロファイル−シフトに従って各患者に調整するのを補助することができる。
(実施例10)胃癌患者における複数のシグナル経路タンパク質の機能的プロファイリング
要旨
胃切除は胃癌(GCA)患者における唯一の根治治療であるが、根治手術後の40〜60%に及ぶ高い再発率が依然として不良な全生存率の一因となっている。生存率を更に改善するため、患者オーダーメード治療方針の開発に進展する、アジュバント化学放射線療法後の生存率又は再発率についての信頼性のある分子診断マーカーを同定する緊急の必要性が存在する。従って、本発明者らは、マルチプレックス化免疫マイクロアレイプラットフォームを使用するシグナル伝達経路タンパク質の機能的プロファイリングのためのマルチプレックス化免疫アッセイプラットフォームを開発した。本実施例は、GCAにおけるHER2、HER1、HER3、PI3K、cMET及びIGF1Rの機能的プロファイリングを実証する。
導入
胃癌は、世界規模で主な癌による死因であり、発病率は1年当たり18.9人/100000人であり、致死率は1年当たり14.7人/100000人である。転移性胃癌は、不良な予後に起因して腫瘍内科医にとって治療的な困難性が残存している。胃癌のための新規治療標的を追求して、HER2過剰発現が試験されており、胃腫瘍及び胃食道腫瘍の6〜35%で報告された。HER2を選択的に標的とするヒト化モノクローナル抗体トラスツズマブは、HER2(+)転移性乳癌を有する患者において生存利益を示している。注目すべきは、HER2過剰発現する乳癌患者の70〜80%は、初回又は獲得耐性のいずれかに起因してトラスツズマブに対して応答しない。トラスツズマブ耐性についての重要な機序の1つは、細胞外トラスツズマブ結合ドメインを欠損するHER2トランケート化形態(p95−HER2)の蓄積である。本明細書において本発明者らは、胃癌におけるHER2標的剤を取り込む将来的な臨床試験のための基礎を作るため、HER2、p95−HER2及びHER2活性化についてトランス活性化潜在性を有する他の経路タンパク質の発現/活性化プロファイリングを報告する。
方法
共同近接免疫アッセイ(COPIA):組織溶解物中に存在する標的タンパク質をニトロセルロース表面上にプリントされた特異的捕捉抗体に結合させ、未結合の非標的タンパク質をスライドから除去する。グルコースオキシダーゼ(GO)にコンジュゲートされた、捕捉された標的タンパク質上の択一的エピトープに対する一方の検出抗体と、HRPにコンジュゲートされた、標的タンパク質上のリン酸化部位又は別の重複しないエピトープに特異的な他方の検出抗体との酵素的相互作用は、シグナル発生及び後続のチラミド媒介シグナル増幅をもたらす(図8)。
スライドプリンティング:各特異的標的タンパク質についての捕捉抗体を、段階希釈物でトリプリケートでプリントする。各スライドは、各スライド実行時の試料の正確な定量のための標準曲線作成のための細胞系対照を含有する。内部品質対照試料を各スライド上で実行して各アレイスライドから作成されたデータの品質を確保する。
臨床試料:急速冷凍された乳癌組織は、局在化し、組織学的に確認されたGCAを有する患者からのものであった(Samsung Medical Center)。急速冷凍された組織試料を100μLの溶解緩衝液中で溶解させ、得られた溶解物を−80℃で貯蔵してから後続の分析を行った。
p95HER2濃縮:HER2の細胞外ドメイン(ECD)に特異的な磁気標識抗体を使用して完全長HER2受容体を細胞溶解物から除去した。
結果
HER2標準滴定曲線を、BT474細胞を使用して作成し、図9に示すとおり単細胞レベルの感度が達成された。これらの値をスタンダードとして使用して臨床試料についての定量値を作成した。完全長HER2を除去し、及び除去しないBT474細胞のディファレンシャルなHER2プロファイリング(HER2−ECD及びHER2−ICD捕捉による)の比較は、HER2増幅参照細胞系BT474において約4.4%のp95HER2が存在することを示した(図10A)。標的タンパク質発現及びリン酸化の定量は、各RTKに特異的なリガンドにより処理した既知レベルのRTK発現を有する細胞系(例えば、BT474、T47D、HCC827)に基づくものであった(図10B)。
図11に示したとおり、GCA試料における広範な経路タンパク質発現が観察された。各マーカーについて最大シグナルを有する試料を、最も黒い色により示す。COPIA−HER2は、IHC−HER2状態との高い相関を示した。HER1のより高いレベルが、より低いHER2発現を有する試料において見出された。HER3−Pレベルは、HER3−T及びPI3K活性化との高程度の相関を示した。cMETプロファイルも、PI3K活性化との強い相関を示した。このコホートにおけるIGF1Rの発現は、ほとんどの試料において相対的に低かった。p95HER2レベルは、より高いHER2発現を有する試料において顕著であったが;p95HER2活性化の証拠は、より広い分布を有した。表5に、95個のGCA試料におけるRTK発現をまとめる。
結論
HER2及びこの変種形態並びに他のRTKの状態に基づく本実施例に記載の知見は、初回又は獲得耐性のいずれかに起因してトラスツズマブに応答しないHER2陽性GCA患者についての潜在的な機序についての重要な情報を提供する。本発明のCOPIAフォーマット及び分析は、有利には、有効な標的療法を選択するため、GCA患者を、これらのシグナル伝達タンパク質についてプロファイリングするために利用することができる。
(実施例11)胃癌患者から単離されたCTCにおけるシグナル伝達経路タンパク質の機能的プロファイリング
本実施例は、本明細書に記載の共同近接免疫アッセイ(COPIA)マルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームを使用して胃癌(GCA)患者の血液から得られた循環腫瘍細胞(CTC)におけるシグナル伝達経路タンパク質、例えば、HER1及びHER2の機能的プロファイリングを実証する。従って、本実施例に記載の実験の1つの特定の目的は、GCAにおけるHER2陽性CTCの頻度を検査することであった。
患者及び試験試料:ステージIII又はIVの胃癌患者(N=100)を試験に登録し、単一血液試料回収を実施した。いくつかの例において、腹水試料を得た。
アウトカム測定:GCA患者の血液試料から単離されたCTCにおけるHER1及びHER2の発現及び活性化
登録及び状態:
図12は、Varidex CTC計数システムにより決定された82個のGCA患者試料の7.5mLの血液から得られたCTCの数を示す。特に、82個のGCA血液試料のうち39個(48%)はCTC陽性であった一方、82個のGCA血液試料のうち12個(14.6%)はHER2陽性であった。
図13は、COPIAにより決定された、GCA患者から単離されたCTCにおけるHER1/EGFR及びHER2の発現及び活性化を示す。Veridexシステムにより同定されたCTCを有する試料は、顕著なHER1及びHER2の発現を示し、HER1及びHER2の活性化(すなわち、リン酸化)はより低レベルであった。
本発明のCOPIAフォーマット及び分析は、有利には、有効な標的療法を選択するため、GCA患者を、これらのシグナル伝達タンパク質についてプロファイリングするために利用することができる。例えば、GCA患者におけるHER1及びHER2の発現及び活性化の決定は、これらのRTKの一方又は両方を標的とする治療が有効か否かについての見識を提供する。
(実施例12)胃癌患者から単離された腫瘍組織におけるシグナル伝達経路タンパク質の機能的プロファイリング
本実施例は、本明細書に記載の共同近接免疫アッセイ(COPIA)マルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームを使用して胃癌(GCA)腫瘍組織試料におけるシグナル伝達経路タンパク質、例えば、HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcの機能的プロファイリングを実証する。本実施例は、COPIAを使用するGCA腫瘍組織試料におけるp95HER2の機能的プロファイリングも実証する。従って、本実施例に記載の実験の1つの特定の目的は、(1)GCA腫瘍組織におけるp95HER2の頻度を検査すること、(2)臨床病理可変要素とp95HER2との相関を分析すること及び(3)トラスツズマブ耐性p95HER2(+)胃癌からのインビトロでの前臨床データと相関付けることであった。
患者及び試験試料:外科的切除から得られた447個の冷凍GCA腫瘍組織標本を本試験において使用した。
アウトカム測定:GCAにおけるp95HER2を含むシグナル伝達経路タンパク質の発現及び活性化
登録:447個の冷凍GCA組織試料を回収し、10種のマーカーを試験した。
図14は、GCA腫瘍組織におけるHER2発現を検出するための免疫組織化学(IHC)とCOPIAとの相関の程度を示す。特に、図14は、IHCにより決定された最大レベルのHER2発現を有するGCA組織試料に対応する「IHC3」カテゴリーにおけるIHCとCOPIAとの高程度の相関が存在したことを示す。しかしながら、(IHCにより検出不可能なHER2発現に対応する)「IHC0」と同定された顕著な数のGCA組織試料は、実際には、COPIAにより決定された中程度から高レベルのHER2発現を有した。従って、図14は、HER2発現の標準IHC分析と比較した場合にCOPIAを使用して著しく増加した達成感度を説明する。
図15に示すとおり、GCA試料における広範な経路タンパク質の発現が観察された。各マーカーについて最大シグナルを有する試料を、最も黒い色により示す。COPIAによりアッセイされる分析物は、以下のシグナル伝達経路タンパク質を含んだ:HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShc。これらの分析物は、COPIAを使用して発現レベル及び活性化(例えば、リン酸化)レベルの両方について分析することができる。ある実施態様において、限定されるものではないが、p95HER2、Akt、p70S6K、VEGFR及び/又はPDGFRを含む少なくとも1、2、3、4、5種以上の追加の分析物の発現及び/又は活性化(例えば、リン酸化)レベルは、COPIAを使用してGCA組織試料において分析することができる。
図16は、2種の異なる腫瘍溶解物濃度におけるGCA腫瘍組織におけるHER2、HER3、c−Met、IGF1R及びcKitの発現レベル並びにPI3Kの活性化レベルのCOPIA分析を示す。特に、COPIAは、両方の腫瘍溶解物濃度においてそれぞれの調査された分析物の発現又は活性化レベルを検出することができた。
図17は、本明細書に記載のCOPIAマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームを使用するGCA腫瘍組織試料におけるHER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcの発現プロファイリングを示す。IgG及びサイトケラチン(CK)を対照として使用し、HER1発現レベルを2種の異なる捕捉抗体(「HER1」及び「HER1−2」と称する)によりアッセイした。図17において分析されたGCA組織試料は全て、IHCにより決定された最大レベルのHER2発現(「IHC3+」と称する)を有した。特に、図17は、IHCにより決定された高いHER2発現(すなわち、IHC3+)が、COPIAにより測定されたHER2発現レベルと常に相関するとは限らないことを示す。任意の特定の理論に拘束されるものではないが、IHCとCOPIAとの間で観察される不一致は、本明細書に記載のCOPIAマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームにより達成される増加した感度及び特異性並びに優れたダイナミックレンジに起因する。図17は、シグナル伝達経路、例えばHER2及び/又はc−MET経路の複数の構成因子の機能的プロファイリングが、胃癌の治療に好適な1種以上の抗癌薬の選択への貴重な見識を提供することも説明する。
例えば、図17は、患者14742212が高レベルのp95HER2及びHER3に起因してHerceptin(商標)に応答しない可能性が高いことを説明する。ペルツズマブも、高レベルのp95HER2に起因して二量体化の妨害において有効でない。他の好適な抗癌療法は、1種以上の小分子pan−HER阻害剤、例えば、PF−00299804の使用である。別の好適な抗癌療法は、1種以上のc−MET阻害剤を1種以上のpan−HER阻害剤、例えば、ネラチニブと組み合わせた使用である。図17は更に、高レベルのHER1、HER3及びIGF1R発現を有する患者12619785が、1種以上の小分子pan−HER阻害剤、例えば、PF−00299804又は1種以上のIGF1R阻害剤を1種以上のpan−HER阻害剤、例えば、ネラチニブと組み合わせて投与されるべきであることを説明する。図17は、患者14609744が、高レベルのHER3に起因してHerceptin(商標)に応答しない可能性が高いことも説明する。しかしながら、この患者は低レベルのp95HER2を有する。従って、好適な抗癌療法の一例は、ペルツズマブ又は他のHER2二量体化阻害剤の使用である。ある例において、ペルツズマブは、1種以上のc−MET阻害剤、pan−HER阻害剤及び/又はPI3K阻害剤と組み合わせることができる。ある他の例において、PI3K阻害剤は、mTOR及び/又はMEK阻害剤と組み合わせて使用される。好適な抗癌療法の別の例は、1種以上のpan−HER阻害剤を1種以上のc−MET阻害剤と組み合わせた使用である。更に、図17は、Herceptin(商標)が患者15530461及び13313978における他のRTKの共発現に起因して有効な治療でない可能性が高いことを示す。ペルツズマブは、p95HER2レベルが高い場合には有効でない可能性が高い。他の好適な抗癌療法は、1種以上のpan−HER阻害剤を1種以上のc−MET阻害剤と組み合わせた使用である。
図18及び19は、COPIAを使用する、追加のGCA腫瘍組織試料におけるHER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcの発現プロファイリングを示す。IgG及びサイトケラチン(CK)を対照として使用し、HER1発現レベルを2種の異なる捕捉抗体(「HER1」及び「HER1−2」と称する)によりアッセイした。図18及び19において分析されるGCA組織試料は、IHCにより決定された変動レベルのHER2発現を有した。特に、これらの図は、IHCにより決定されたHER2発現のレベルがCOPIAにより測定されたHER2発現のレベルと常に相関するとは限らないことを示す。任意の特定の理論に拘束されるものではないが、IHCとCOPIAとの間で観察される不一致は、本明細書に記載のCOPIAマルチプレックス化タンパク質マイクロアレイプラットフォームにより達成される増加した感度及び特異性並びに優れたダイナミックレンジに起因する。更に、これらの図は、シグナル伝達経路、例えばHER2及び/又はc−MET経路の複数の構成因子の機能的プロファイリングが、胃癌の治療に好適な1種以上の抗癌薬の選択への貴重な見識を提供することを説明する。
例えば、図18は、p95HER2レベルが低いのでHerceptin(商標)が患者15199037において有効であり得ることを示す。しかしながら、この患者は、HER3及びc−METの発現に起因してHerceptin(商標)に対する耐性を発症し得る可能性が存在する。従って、好適な抗癌療法の一例は、1種以上の小分子pan−HER阻害剤、例えば、PF−00299804及び/又はペルツズマブを1種以上のc−MET阻害剤と組み合わせて使用し、又はこれに切り替えることである。図18は、患者15286982が低レベルのHER2を有するが、高レベルのHER3を有することも説明する。この患者は、1種以上のc−MET阻害剤及び1種以上の化学療法剤と組み合わせた場合、1種以上のpan−HER阻害剤及び/又はペルツズマブの投与から利益を受け得る。図18は更に、検出不可能なHER2発現を有する患者13777507に、1種以上のc−MET阻害剤を1種以上の化学療法剤と組み合わせて投与することができることを説明する。
図19は、低レベルのHER1、HER2、HER3及びc−MET及び検出不能レベルのp95HER2に起因して1種以上の化学療法剤を患者13758944について選択すべきであることを示す。図19は、患者13725795が1種以上のc−MET阻害剤及び1種以上の化学療法剤と組み合わせた1種以上のpan−HER阻害剤及び/又はペルツズマブによる治療から利益を受け得ることも示す。更に、図19は、COPIAにより決定された高レベルのHER1、HER2、HER3及びIGF1Rを有する患者13690624に、1種以上のpan−HER阻害剤及び/又はペルツズマブを1種以上のIGF1R阻害剤とともに投与することができることを説明する。図19は、検出不能レベルのHER2、p95HER2及びHER3並びにc−MET発現の存在に起因して1種以上のc−MET阻害剤を患者14622912について選択すべきであることも示す。図19は更に、ペルツズマブ及び/又は1種以上のpan−HER阻害剤、例えば、PF−00299804を1種以上のc−MET阻害剤と組み合わせて患者04021208について適切な治療として選択することができることを示す。更に、図19は、c−MET及びIGF1R発現並びにHER発現を有する患者14691628が、1種以上のpan−HER阻害剤を1種以上のc−MET阻害剤及び1種以上のIGF1R阻害剤と組み合わせた使用から利益を受け得ることを示す。
図20は、IHCによりHER2発現についてIHC3+と決定された試料におけるCOPIA(例えば、本明細書に記載のトランケート化受容体近接アッセイを使用する)により決定されたGCA腫瘍組織試料におけるp95HER2の発現レベルを示す。高い又はより高いp95HER2発現レベルを有するGCA患者は、HER2標的療法、例えば、Herceptin(商標)に対して応答しないより高い確率を有する(例えば、図20のグラフの左側に示されるGCA患者)一方、低い又はより低いp95HER2発現レベルを有するGCA患者は、HER2標的療法、例えば、Herceptin(商標)に対して応答するより高い確率を有する(例えば、図20のグラフの右側に示されるGCA患者)。
図21及び22は、HER2発現に関してIHCとCOPIAとの間に観察された不一致を示す。特に、実際に高レベルのHER2を有するGCA腫瘍組織試料は、IHCにより低い検出不可能なHER2を有するとして記録された。これらの図は、HER2不一致GCA試料におけるp95HER2の発現レベルも示す(矢印)。更に、図23は、GCA腫瘍試料においてCOPIAにより観察された広範なp95HER2発現レベルが、IHCにより最大レベルのHER2発現を有する(すなわち、IHC3+)として記録されたことを説明する。
(実施例13)胃癌細胞におけるシグナル伝達経路タンパク質の定量のためのデータ分析
本実施例は、対象となる特定の分析物について作成された標準曲線に対する生物学的試料(例えば、血液又は腫瘍組織)中の1種以上の分析物、例えば、1種以上のシグナル伝達タンパク質の発現及び/又は活性化レベルの定量を説明する。
一部の実施態様において、各COPIAスライドを3つの光電子倍増管(PMT)ゲイン設定においてスキャンして感度を改善し、サチュレーションの影響を低減させる。Perkin Elmer ScanArray Expressソフトウエアを、スポット探索及びシグナル定量に使用する。各スポットについての同定物は、GenePix Array List(.gal)ファイルからインポートする。スライド上の各臨床試料についての脱同定試験特定数を、得られたデータセットに取り込む。
他の実施態様において、バックグラウンド補正されたシグナル強度を、トリプリケートでプリントされたレプリケートスポットについて平均化する。それぞれの試薬ブランクの相対蛍光値を、各試料から差し引いた。スポットフットプリント上の限度、スポットレプリケートについての変動係数、全パッドバックグラウンド及び試薬ブランクの強度を含む更なる分析からのデータをフィルタリングするため、いくつかの品質基準を使用する。
各アッセイのため、細胞系、例えば、MD−468(HER1陽性)、SKBr3(HER2陽性)、BT474(HER2及びp95HER2陽性)、HCC827(c−MET及びHER1陽性)、IGFにより刺激されたT47D(IGF1R陽性)及び/又はHRGにより刺激されたT47D(HER3陽性)から調製された複数(例えば、2、3、4、5、6、7種など)の濃度の段階希釈された細胞溶解物からシグモイド標準曲線を作成することができる。各曲線は、log濃度誘導単位CU(計算単位)に対するシグナル強度の関数としてプロットすることができる。データは、非線形回帰(Ritz,C.and Streibig,J.C.,J.Statistical Software,12,1−22(2005))により5パラメーター方程式(5PL)にフィッティングすることができ、捕捉抗体の3種全ての希釈物を同時にフィッティングする。フィッティングは、R、オープンソース統計ソフトウエアパッケージ(Development Core Team,R:A language and environment for statistical computing.R Foundation for Statistical Computing,Vienna,Austria.ISBN 3−900051−07−0,URL http://www.R−project.org.R(2008))を使用して実施する。数学モデルのオーバーパラメーター化を回避し、これにより精度を改善するため、4種のパラメーターを律則させることができる一方、各希釈物を個々の変曲点について解くことができる。このプロセスを45、50及び60の各PMTゲイン設定について繰り返すことができる。このことは、捕捉抗体の3種の希釈物及び3つのPMTスキャンからアッセイごとに作成される9種の標準曲線をもたらす。アッセイにおけるビルトイン冗長により、標準曲線のフィットが0.95未満のRを有する場合、希釈物/スキャン組合せの1種以上が排除されることが可能となり、こうして後続の予測が改善される。
CU計算(標準曲線に基づく)
−標準曲線のそれぞれ(例えば、3種の捕捉抗体希釈物及び3つのPMTゲイン設定スキャニング)からの個々の予測は、単一の最終予測に組み合わせることができる。各予測のため、標準曲線上の点の傾きを計算する。この傾きは、x軸上でlog単位を取り、すなわち、傾きの分母における単位はlog計算単位(CU)である。第2に、予測の加重平均を計算し、この重みは傾きから決定する。特に、重みを合算し、各点に全傾きにより割った傾きに等しい重みを与える。各アッセイは、既知対照についての予測に対して検証することができる。
(実施例14)共同近接免疫アッセイ(COPIA)を使用する胃癌のための治療の選択
HER2陽性進行性胃癌
この提案される進行性胃癌の臨床試験において、HER−2標的剤、例えば、トラスツズマブをHER−1及びHER−2二重阻害剤、例えば、ラパチニブと組み合わせた組合せの治療効力を、これらの一方又は他方の単一治療が不適合であった患者において評価する。資格要件は、個体が少なくとも1種の化学療法レジメン、すなわち、トラスツズマブ又はラパチニブにおいて既に不適合であったことである。個体は、根治療法がなじまない局所進行性又は再発性及び/又は転移性疾患を有する手術不能な、組織学的に確認された胃又は胃食道接合部の腺癌を有する。
個体は、HER2陽性腫瘍(IHCに基づきi)3+及び/又はii)FISH(+)と定義された原発性腫瘍又は転移を有する。HER2陽性腫瘍は、COPIAを使用して確認する。調査者は、少なくとも1種の化学療法レジメンの不適合後にCOPIAにより確認されたHER−2陽性進行性胃癌を有する患者におけるこの第II相二重療法試験を計画する。
胃癌におけるファーストライン治療の有効性
この提案される無作為化第II相試験は、胃癌を有する患者の治療におけるファーストライン療法としてラパチニブジトシレートを用いて一緒に又は用いないで与える場合、エピルビシン塩酸塩又は5−フルオロウラシルがいかに十分であるかを決定する。
目的は、HER2及びEGFR状態に従って転移性の又は根治手術がなじまない胃又は食道胃接合部の腺癌を有する患者におけるエピルビシン塩酸塩又は5−フルオロウラシルを、ラパチニブジトシレートを用いて又は用いずに含むファーストライン治療の活性を決定することである。更なる目的は、IHC(0及び1+)によるHER2陰性及びCOPIA−又は±によるHER−2陰性である患者並びにIHC(2+及び3+)によるHER2陽性及びCOPIA+++又は++++による陽性である患者におけるこのレジメンの活性を探索することである。IHC及びCOPIAによるHER2決定の一致性を査定することが目的である。更に、EGFR状態もIHC及びCOPIAにより査定する。
この提案される試験において、患者を、慣例及び免疫組織化学(IHC)及びCOPIAアッセイにより決定されたHER2/EGFR状態の組合せに従って階層化する(IHC2/3+によるHER2陽性及びCOPIA3/4+による陽性並びにIHCによるEGFR陽性及びCOPIAによる陽性と、IHCによるHER2陰性及びCOPIAによる陰性、IHCによりEGFR陽性であるがCOPIAにより陰性)。患者を2種の治療群の1種に無作為化する。
試験治療の完了後、患者を8週間、2年にわたり3ヵ月ごと、次いでそれ以降6ヵ月ごとに追跡する。
HER2過剰発現胃癌における治療におけるラパチニブとラパチニブ+カペシタビン
転移性胃癌を有する患者の大多数は、化学療法(例えば、白金誘導体及びフルオロピリミジン、タキサンと組み合わせることもある)と組み合わせたファーストラインを受けるが、セカンドライン化学療法の役割は依然として十分に規定されていない。従って、ファーストライン化学療法の間又は直後の進行は、標準的な医学的アプローチが存在しない医学的病態である。胃癌及び胃食道癌におけるEGFR及びHER2の過剰発現により、これらの適応症が二重ErbB1/2チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、例えば、ラパチニブによる治療についての最有力候補となる。
この提案される試験において、HER2過剰発現は、COPIA及びFISHにより測定する(増幅及び増加した遺伝子コピー数)。EGFR活性化及び発現は、COPIAにより測定する。一方の群において患者にラパチニブを与え、他方の群において患者にラパチニブをカペシタビンとともに与える。患者を2種の治療群の1種に無作為化する。
試験治療の完了後、患者を8週間、2年にわたり3ヵ月ごと、次いでそれ以降6ヵ月ごとに追跡する。
本明細書に言及した全刊行物及び特許出願は、各個別刊行物又は特許出願が具体的及び個別に参照により本明細書に組み込まれると指示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。上記の本発明を明確に理解することができるように説明及び実施例によりある程度詳細に記載してきたが、当業者には、本発明の教示に照らせば、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなくある種の変更及び改変をなすことができることは容易に明白になる。
さらなる実施形態は以下のとおりである。
[実施形態1]
胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに(b)工程(a)において決定された前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択することを含む方法。
[実施形態2]
前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルが、前記1種以上の分析物について作成された標準曲線に対して較正される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
癌細胞が、胃癌を有する対象から抗癌薬の投与後に単離される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]
単離された癌細胞が抗癌薬と接触される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態5]
好適な抗癌薬が、前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された前記1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較することにより選択される、実施形態3又は4に記載の方法。
[実施形態6]
胃癌が腺癌である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態7]
胃癌が、食道、小腸、リンパ節、器官、骨又はこれらの組合せに転移している、実施形態1に記載の方法。
[実施形態8]
工程(a)が、細胞抽出物中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13種の分析物の任意の組合せの発現レベル及び/又は活性化レベルを決定することを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態9]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、p95HER2及びHER3を含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態10]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態11]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR及びPDGFRを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態12]
前記VEGFRが、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態13]
前記PDGFRが、PDGFRA、PDGFRB及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態14]
癌細胞が、腫瘍から得られた循環腫瘍細胞又は細針吸引液(FNA)細胞である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態15]
腫瘍が胃腫瘍である、実施形態14に記載の方法。
[実施形態16]
癌細胞が試料から単離される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態17]
試料が胃癌を有する対象から得られる、実施形態16に記載の方法。
[実施形態18]
試料が、全血、血清、血漿、腫瘍組織、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態16に記載の方法。
[実施形態19]
腫瘍組織が原発性腫瘍組織又は転移性腫瘍組織である、実施形態18に記載の方法。
[実施形態20]
単離された細胞が1種以上の成長因子によりインビトロで刺激される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態21]
抗癌薬が、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖剤、化学療法剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態22]
モノクローナル抗体が、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、パーツズマブ(2C4)、アレムツズマブ(Campath(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ゲムツズマブ(Mylotarg(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商品名))、リツキシマブ(Rituxan(商標))、トシツモマブ(BEXXAR(商標))、AMG102(抗HGF抗体)、MetMAb(抗Met抗体)及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
[実施形態23]
チロシンキナーゼ阻害剤が、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、ラパチニブ(Tykerb(商標))、カネルチニブ(CI1033)、ペリチニブ(EKB−569)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、イマチニブメシレート(Gleevec(商標))、レフルノミド(SU101)、バンデタニブ(ZACTIMA(商品名))、ARQ197、PF−02341066、SGX523、XL184、MGCD265、XL880及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
[実施形態24]
抗増殖剤が、mTOR阻害剤、AKT阻害剤、PI3K阻害剤、MEK阻害剤、pan−HER阻害剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
[実施形態25]
化学療法剤が、白金系薬物、アルキル化剤、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍抗生物質及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
[実施形態26]
工程(c)が、前記1種以上の分析物の発現レベル及び活性化レベルの両方を決定することを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態27]
細胞抽出物中の1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定することを更に含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態28]
1種以上の追加の分析物が、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のシグナル伝達分子を含む、実施形態27に記載の方法。
[実施形態29]
1種以上の追加の分析物が、HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PDK1、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、Eph−a、Eph−b、Eph−c、Eph−d、Flt−3、Tie−1、Tie−2、cFMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態27に記載の方法。
[実施形態30]
工程(c)における前記1種以上の分析物の発現レベルの決定が、細胞抽出物中の前記1種以上の分析物の全レベルを前記1種以上の分析物に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態31]
工程(c)における前記1種以上の分析物の活性化レベルの決定が、細胞抽出物中の前記1種以上の分析物のリン酸化レベルを前記1種以上の分析物のリン酸化形態に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態32]
工程(c)における前記1種以上の分析物の発現レベルの決定が、(i)細胞抽出物を、前記1種以上の分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;(ii)複数の捕捉された分析物を、前記1種以上の分析物に特異的な第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで第1の活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、第2の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出することを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態33]
第1の活性化状態非依存性抗体が、促進部分により直接的に標識される、実施形態32に記載の方法。
[実施形態34]
第2の活性化状態非依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識される、実施形態32に記載の方法。
[実施形態35]
第2の活性化状態非依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、第2の活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合を介して標識される、実施形態32に記載の方法。
[実施形態36]
結合ペアの第1のメンバーがビオチンであり、及び/又は結合ペアの第2のメンバーがストレプトアビジンである、実施形態35に記載の方法。
[実施形態37]
促進部分がグルコースオキシダーゼである、実施形態32に記載の方法。
[実施形態38]
グルコースオキシダーゼ及び第1の活性化状態非依存性抗体が、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートされる、実施形態37に記載の方法。
[実施形態39]
スルフヒドリル活性化デキストラン分子が、約500kDaの分子量を有する、実施形態38に記載の方法。
[実施形態40]
工程(c)における前記1種以上の分析物の活性化レベルの決定が、(i)細胞抽出物を、前記1種以上の分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;(ii)複数の捕捉された分析物を、前記1種以上の分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出することを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態41]
活性化状態非依存性抗体が、促進部分により直接的に標識される、実施形態40に記載の方法。
[実施形態42]
活性化状態依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識される、実施形態40に記載の方法。
[実施形態43]
活性化状態依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、活性化状態依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合を介して標識される、実施形態40に記載の方法。
[実施形態44]
結合ペアの第1のメンバーがビオチンであり、及び/又は結合ペアの第2のメンバーがストレプトアビジンである、実施形態43に記載の方法。
[実施形態45]
促進部分がグルコースオキシダーゼである、実施形態40に記載の方法。
[実施形態46]
グルコースオキシダーゼ及び活性化状態非依存性抗体が、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートされる、実施形態45に記載の方法。
[実施形態47]
スルフヒドリル活性化デキストラン分子が、約500kDaの分子量を有する、実施形態46に記載の方法。
[実施形態48]
固体担体が、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態32又は40に記載の方法。
[実施形態49]
捕捉抗体が、アドレス可能なアレイの固体担体上に拘束される、実施形態32又は40に記載の方法。
[実施形態50]
酸化剤が過酸化水素(H2O2)である、実施形態37又は45に記載の方法。
[実施形態51]
シグナル増幅ペアの第1のメンバーがペルオキシダーゼである、実施形態50に記載の方法。
[実施形態52]
ペルオキシダーゼがセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)である、実施形態51に記載の方法。
[実施形態53]
シグナル増幅ペアの第2のメンバーがチラミド試薬である、実施形態51に記載の方法。
[実施形態54]
チラミド試薬がビオチン−チラミドである、実施形態53に記載の方法。
[実施形態55]
増幅されたシグナルが、活性化チラミドを生成するビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化により発生する、実施形態54に記載の方法。
[実施形態56]
活性化チラミドが直接的に検出される、実施形態55に記載の方法。
[実施形態57]
活性化チラミドが、シグナル検出試薬の添加に基づいて検出される、実施形態55に記載の方法。
[実施形態58]
シグナル検出試薬がストレプトアビジン標識フルオロフォアである、実施形態57に記載の方法。
[実施形態59]
シグナル検出試薬がストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ及び発色試薬の組合せである、実施形態57に記載の方法。
[実施形態60]
発色試薬が3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)である、実施形態59に記載の方法。
[実施形態61]
抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定する方法であって、(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに(b)工程(a)において決定された前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定することを含む方法。
[実施形態62]
前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルが、前記1種以上の分析物について作成された標準曲線に対して較正される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態63]
癌細胞が、胃癌を有する対象から抗癌薬の投与後に単離される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態64]
単離された癌細胞が抗癌薬と接触される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態65]
前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された前記1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較することにより胃癌の応答が同定される、実施形態63又は64に記載の方法。
[実施形態66]
胃癌が腺癌である、実施形態61に記載の方法。
[実施形態67]
胃癌が、食道、小腸、リンパ節、器官、骨又はこれらの組合せに転移している、実施形態61に記載の方法。
[実施形態68]
工程(a)が、細胞抽出物中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13種の分析物の任意の組合せの発現レベル及び/又は活性化レベルを決定することを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態69]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、p95HER2及びHER3を含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態70]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態71]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR及びPDGFRを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態72]
前記VEGFRが、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態73]
前記PDGFRが、PDGFRA、PDGFRB及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態74]
癌細胞が、腫瘍から得られた循環腫瘍細胞又は細針吸引液(FNA)細胞である、実施形態61に記載の方法。
[実施形態75]
腫瘍が胃腫瘍である、実施形態74に記載の方法。
[実施形態76]
癌細胞が試料から単離される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態77]
試料が胃癌を有する対象から得られる、実施形態76に記載の方法。
[実施形態78]
試料が、全血、血清、血漿、腫瘍組織、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態76に記載の方法。
[実施形態79]
腫瘍組織が原発性腫瘍組織又は転移性腫瘍組織である、実施形態78に記載の方法。
[実施形態80]
単離された細胞が1種以上の成長因子によりインビトロで刺激される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態81]
抗癌薬が、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖剤、化学療法剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態61に記載の方法。
[実施形態82]
モノクローナル抗体が、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、パーツズマブ(2C4)、アレムツズマブ(Campath(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ゲムツズマブ(Mylotarg(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商品名))、リツキシマブ(Rituxan(商標))、トシツモマブ(BEXXAR(商標))、AMG102(抗HGF抗体)、MetMAb(抗Met抗体)及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態81に記載の方法。
[実施形態83]
チロシンキナーゼ阻害剤が、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、ラパチニブ(Tykerb(商標))、カネルチニブ(CI1033)、ペリチニブ(EKB−569)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、イマチニブメシレート(Gleevec(商標))、レフルノミド(SU101)、バンデタニブ(ZACTIMA(商品名))、ARQ197、PF−02341066、SGX523、XL184、MGCD265、XL880及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態81に記載の方法。
[実施形態84]
抗増殖剤が、mTOR阻害剤、AKT阻害剤、PI3K阻害剤、MEK阻害剤、pan−HER阻害剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態81に記載の方法。
[実施形態85]
化学療法剤が、白金系薬物、アルキル化剤、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍抗生物質及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態81に記載の方法。
[実施形態86]
工程(c)が、前記1種以上の分析物の発現レベル及び活性化レベルの両方を決定することを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態87]
細胞抽出物中の1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定することを更に含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態88]
1種以上の追加の分析物が、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のシグナル伝達分子を含む、実施形態87に記載の方法。
[実施形態89]
1種以上の追加の分析物が、HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PDK1、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、Eph−a、Eph−b、Eph−c、Eph−d、Flt−3、Tie−1、Tie−2、cFMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態87に記載の方法。
[実施形態90]
工程(c)における前記1種以上の分析物の発現レベルの決定が、細胞抽出物中の前記1種以上の分析物の全レベルを前記1種以上の分析物に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態91]
工程(c)における前記1種以上の分析物の活性化レベルの決定が、細胞抽出物中の前記1種以上の分析物のリン酸化レベルを前記1種以上の分析物のリン酸化形態に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態92]
工程(c)における前記1種以上の分析物の発現レベルの決定が、(i)細胞抽出物を、前記1種以上の分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;(ii)複数の捕捉された分析物を、前記1種以上の分析物に特異的な第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで第1の活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、第2の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出することを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態93]
第1の活性化状態非依存性抗体が、促進部分により直接的に標識される、実施形態92に記載の方法。
[実施形態94]
第2の活性化状態非依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識される、実施形態92に記載の方法。
[実施形態95]
第2の活性化状態非依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、第2の活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合を介して標識される、実施形態92に記載の方法。
[実施形態96]
結合ペアの第1のメンバーがビオチンであり、及び/又は結合ペアの第2のメンバーがストレプトアビジンである、実施形態95に記載の方法。
[実施形態97]
促進部分がグルコースオキシダーゼである、実施形態92に記載の方法。
[実施形態98]
グルコースオキシダーゼ及び第1の活性化状態非依存性抗体が、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートされる、実施形態97に記載の方法。
[実施形態99]
スルフヒドリル活性化デキストラン分子が、約500kDaの分子量を有する、実施形態98に記載の方法。
[実施形態100]
工程(c)における前記1種以上の分析物の活性化レベルの決定が、(i)細胞抽出物を、前記1種以上の分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;(ii)複数の捕捉された分析物を、前記1種以上の分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出することを含む、実施形態61に記載の方法。
[実施形態101]
活性化状態非依存性抗体が、促進部分により直接的に標識される、実施形態100に記載の方法。
[実施形態102]
活性化状態依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識される、実施形態100に記載の方法。
[実施形態103]
活性化状態依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、活性化状態依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合を介して標識される、実施形態100に記載の方法。
[実施形態104]
結合ペアの第1のメンバーがビオチンであり、及び/又は結合ペアの第2のメンバーがストレプトアビジンである、実施形態103に記載の方法。
[実施形態105]
促進部分がグルコースオキシダーゼである、実施形態100に記載の方法。
[実施形態106]
グルコースオキシダーゼ及び活性化状態非依存性抗体が、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートされる、実施形態105に記載の方法。
[実施形態107]
スルフヒドリル活性化デキストラン分子が、約500kDaの分子量を有する、実施形態106に記載の方法。
[実施形態108]
固体担体が、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態92又は100に記載の方法。
[実施形態109]
捕捉抗体が、アドレス可能なアレイの固体担体上に拘束される、実施形態92又は100に記載の方法。
[実施形態110]
酸化剤が過酸化水素(H2O2)である、実施形態97又は105に記載の方法。
[実施形態111]
シグナル増幅ペアの第1のメンバーがペルオキシダーゼである、実施形態110に記載の方法。
[実施形態112]
ペルオキシダーゼがセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)である、実施形態111に記載の方法。
[実施形態113]
シグナル増幅ペアの第2のメンバーがチラミド試薬である、実施形態111に記載の方法。
[実施形態114]
チラミド試薬がビオチン−チラミドである、実施形態113に記載の方法。
[実施形態115]
増幅されたシグナルが、活性化チラミドを生成するビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化により発生する、実施形態114に記載の方法。
[実施形態116]
活性化チラミドが直接的に検出される、実施形態115に記載の方法。
[実施形態117]
活性化チラミドが、シグナル検出試薬の添加に基づいて検出される、実施形態115に記載の方法。
[実施形態118]
シグナル検出試薬がストレプトアビジン標識フルオロフォアである、実施形態117に記載の方法。
[実施形態119]
シグナル検出試薬がストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ及び発色試薬の組合せである、実施形態117に記載の方法。
[実施形態120]
発色試薬が3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)である、実施形態119に記載の方法。
[実施形態121]
抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測する方法であって、(a)単離癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR、PDGFR及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに(b)工程(a)において決定された前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、抗癌薬による治療に対する胃癌を有する対象の応答を予測することを含む方法。
[実施形態122]
前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルが、前記1種以上の分析物について作成された標準曲線に対して較正される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態123]
癌細胞が、胃癌を有する対象から抗癌薬の投与後に単離される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態124]
単離された癌細胞が抗癌薬と接触される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態125]
前記1種以上の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された前記1種以上の分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較することにより対象の応答が予測される、実施形態123又は124に記載の方法。
[実施形態126]
胃癌が腺癌である、実施形態121に記載の方法。
[実施形態127]
胃癌が、食道、小腸、リンパ節、器官、骨又はこれらの組合せに転移している、実施形態121に記載の方法。
[実施形態128]
工程(a)が、細胞抽出物中の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13種の分析物の任意の組合せの発現レベル及び/又は活性化レベルを決定することを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態129]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、p95HER2及びHER3を含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態130]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K及びShcを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態131]
前記1種以上の分析物が、HER1、HER2、p95HER2、HER3、c−Met、IGF1R、cKit、PI3K、Shc、Akt、p70S6K、VEGFR及びPDGFRを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態132]
前記VEGFRが、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態133]
前記PDGFRが、PDGFRA、PDGFRB及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態134]
癌細胞が、腫瘍から得られた循環腫瘍細胞又は細針吸引液(FNA)細胞である、実施形態121に記載の方法。
[実施形態135]
腫瘍が胃腫瘍である、実施形態134に記載の方法。
[実施形態136]
癌細胞が試料から単離される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態137]
試料が胃癌を有する対象から得られる、実施形態136に記載の方法。
[実施形態138]
試料が、全血、血清、血漿、腫瘍組織、リンパ液、骨髄吸引液、尿、唾液及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態136に記載の方法。
[実施形態139]
腫瘍組織が原発性腫瘍組織又は転移性腫瘍組織である、実施形態138に記載の方法。
[実施形態140]
単離された細胞が1種以上の成長因子によりインビトロで刺激される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態141]
抗癌薬が、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖剤、化学療法剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態121に記載の方法。
[実施形態142]
モノクローナル抗体が、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、パーツズマブ(2C4)、アレムツズマブ(Campath(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ゲムツズマブ(Mylotarg(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商品名))、リツキシマブ(Rituxan(商標))、トシツモマブ(BEXXAR(商標))、AMG102(抗HGF抗体)、MetMAb(抗Met抗体)及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態141に記載の方法。
[実施形態143]
チロシンキナーゼ阻害剤が、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、ラパチニブ(Tykerb(商標))、カネルチニブ(CI1033)、ペリチニブ(EKB−569)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、イマチニブメシレート(Gleevec(商標))、レフルノミド(SU101)、バンデタニブ(ZACTIMA(商品名))、ARQ197、PF−02341066、SGX523、XL184、MGCD265、XL880及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態141に記載の方法。
[実施形態144]
抗増殖剤が、mTOR阻害剤、AKT阻害剤、PI3K阻害剤、MEK阻害剤、pan−HER阻害剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態141に記載の方法。
[実施形態145]
化学療法剤が、白金系薬物、アルキル化剤、代謝拮抗薬、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍抗生物質及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態141に記載の方法。
[実施形態146]
工程(c)が、前記1種以上の分析物の発現レベル及び活性化レベルの両方を決定することを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態147]
細胞抽出物中の1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定することを更に含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態148]
1種以上の追加の分析物が、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のシグナル伝達分子を含む、実施形態147に記載の方法。
[実施形態149]
1種以上の追加の分析物が、HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PDK1、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、Eph−a、Eph−b、Eph−c、Eph−d、Flt−3、Tie−1、Tie−2、cFMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態147に記載の方法。
[実施形態150]
工程(c)における前記1種以上の分析物の発現レベルの決定が、細胞抽出物中の前記1種以上の分析物の全レベルを前記1種以上の分析物に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態151]
工程(c)における前記1種以上の分析物の活性化レベルの決定が、細胞抽出物中の前記1種以上の分析物のリン酸化レベルを前記1種以上の分析物のリン酸化形態に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態152]
工程(c)における前記1種以上の分析物の発現レベルの決定が、(i)細胞抽出物を、前記1種以上の分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;(ii)複数の捕捉された分析物を、前記1種以上の分析物に特異的な第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで第1の活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、第2の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出することを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態153]
第1の活性化状態非依存性抗体が、促進部分により直接的に標識される、実施形態152に記載の方法。
[実施形態154]
第2の活性化状態非依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識される、実施形態152に記載の方法。
[実施形態155]
第2の活性化状態非依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、第2の活性化状態非依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合を介して標識される、実施形態152に記載の方法。
[実施形態156]
結合ペアの第1のメンバーがビオチンであり、及び/又は結合ペアの第2のメンバーがストレプトアビジンである、実施形態155に記載の方法。
[実施形態157]
促進部分がグルコースオキシダーゼである、実施形態152に記載の方法。
[実施形態158]
グルコースオキシダーゼ及び第1の活性化状態非依存性抗体が、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートされる、実施形態157に記載の方法。
[実施形態159]
スルフヒドリル活性化デキストラン分子が、約500kDaの分子量を有する、実施形態158に記載の方法。
[実施形態160]
工程(c)における前記1種以上の分析物の活性化レベルの決定が、(i)細胞抽出物を、前記1種以上の分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;(ii)複数の捕捉された分析物を、前記1種以上の分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;(iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに(iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出することを含む、実施形態121に記載の方法。
[実施形態161]
活性化状態非依存性抗体が、促進部分により直接的に標識される、実施形態160に記載の方法。
[実施形態162]
活性化状態依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより直接的に標識される、実施形態160に記載の方法。
[実施形態163]
活性化状態依存性抗体が、シグナル増幅ペアの第1のメンバーにより、活性化状態依存性抗体にコンジュゲートされた結合ペアの第1のメンバーとシグナル増幅ペアの第1のメンバーにコンジュゲートされた結合ペアの第2のメンバーとの結合を介して標識される、実施形態160に記載の方法。
[実施形態164]
結合ペアの第1のメンバーがビオチンであり、及び/又は結合ペアの第2のメンバーがストレプトアビジンである、実施形態163に記載の方法。
[実施形態165]
促進部分がグルコースオキシダーゼである、実施形態160に記載の方法。
[実施形態166]
グルコースオキシダーゼ及び活性化状態非依存性抗体が、スルフヒドリル活性化デキストラン分子にコンジュゲートされる、実施形態165に記載の方法。
[実施形態167]
スルフヒドリル活性化デキストラン分子が、約500kDaの分子量を有する、実施形態166に記載の方法。
[実施形態168]
固体担体が、ガラス、プラスチック、チップ、ピン、フィルター、ビーズ、紙、膜、繊維束及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態152又は160に記載の方法。
[実施形態169]
捕捉抗体が、アドレス可能なアレイの固体担体上に拘束される、実施形態152又は160に記載の方法。
[実施形態170]
酸化剤が過酸化水素(H2O2)である、実施形態157又は165に記載の方法。
[実施形態171]
シグナル増幅ペアの第1のメンバーがペルオキシダーゼである、実施形態170に記載の方法。
[実施形態172]
ペルオキシダーゼがセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)である、実施形態171に記載の方法。
[実施形態173]
シグナル増幅ペアの第2のメンバーがチラミド試薬である、実施形態171に記載の方法。
[実施形態174]
チラミド試薬がビオチン−チラミドである、実施形態173に記載の方法。
[実施形態175]
増幅されたシグナルが、活性化チラミドを生成するビオチン−チラミドのペルオキシダーゼ酸化により発生する、実施形態174に記載の方法。
[実施形態176]
活性化チラミドが直接的に検出される、実施形態175に記載の方法。
[実施形態177]
活性化チラミドが、シグナル検出試薬の添加に基づいて検出される、実施形態175に記載の方法。
[実施形態178]
シグナル検出試薬がストレプトアビジン標識フルオロフォアである、実施形態177に記載の方法。
[実施形態179]
シグナル検出試薬がストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼ及び発色試薬の組合せである、実施形態177に記載の方法。
[実施形態180]
発色試薬が3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)である、実施形態179に記載の方法。

Claims (15)

  1. 抗癌薬による治療に対する胃癌の応答を同定若しくは予測する方法、又は、胃癌の治療に好適な抗癌薬を選択する方法であって、
    (a)単離された癌細胞から生成される細胞抽出物中のHER1、HER2、HER3、c−Met、IGF1R及びPI3Kの組合せを含む分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定すること;並びに
    (b)工程(a)において決定された前記分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルに基づき、前記胃癌の応答を同定若しくは予測すること、又は、前記好適な抗癌薬を選択すること
    を含む方法。
  2. 記分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルが、前記分析物について作成された標準曲線に対して較正される、請求項1に記載の方法。
  3. 癌細胞が、胃癌を有する対象から抗癌薬の投与後に単離される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 単離された癌細胞が抗癌薬と接触される、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 記分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを、抗癌薬の非存在下で作成された前記分析物の参照発現及び/又は活性化プロファイルと比較することにより、前記胃癌の応答が同定若しくは予測され、又は、前記好適な抗癌薬が選択される、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 胃癌が腺癌である、又は、胃癌が、食道、小腸、リンパ節、器官、骨若しくはこれらの組合せに転移している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 癌細胞が、胃腫瘍から得られた循環腫瘍細胞又は細針吸引液(FNA)細胞である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 癌細胞が、胃癌を有する対象から得られる試料から単離される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 単離された癌細胞が1種以上の成長因子によりインビトロで刺激される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 抗癌薬が、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖剤、化学療法剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 細胞抽出物中の1種以上の追加の分析物の発現レベル及び/又は活性化レベルを決定することを更に含み、
    前記1種以上の追加の分析物が、
    (i)受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼシグナリングカスケード構成因子、核ホルモン受容体、核受容体コアクチベーター、核受容体リプレッサー及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のシグナル伝達分子;又は
    (ii)HER4、MEK、PTEN、SGK3、4E−BP1、ERK2(MAPK1)、ERK1(MAPK3)、PDK1、GSK−3β、Raf、SRC、NFkB−IkB、mTOR、Eph−a、Eph−b、Eph−c、Eph−d、Flt−3、Tie−1、Tie−2、cFMS、Abl、FTL3、RET、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、ER、PR、NCOR、AIB1、RON及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上の分子
    を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程(a)における前記分析物の発現レベルの決定が、細胞抽出物中の前記分析物の全レベルを前記分析物に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(a)における前記分析物の活性化レベルの決定が、細胞抽出物中の前記分析物のリン酸化レベルを前記分析物のリン酸化形態に特異的な1種以上の抗体により検出することを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 工程(a)における前記分析物の発現レベルの決定が、
    (i)細胞抽出物を、前記分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;
    (ii)複数の捕捉された分析物を、前記分析物に特異的な第1及び第2の活性化状態非依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで第1の活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、第2の活性化状態非依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;
    (iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
    (iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
    を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 工程(a)における前記分析物の活性化レベルの決定が、
    (i)細胞抽出物を、前記分析物に特異的な捕捉抗体の希釈系列とインキュベートして複数の捕捉された分析物を形成することであって、ここで捕捉抗体は、固体担体上に拘束されている;
    (ii)複数の捕捉された分析物を、前記分析物に特異的な活性化状態非依存性抗体及び活性化状態依存性抗体を含む検出抗体とインキュベートして複数の検出可能な捕捉された分析物を形成することであって、ここで活性化状態非依存性抗体は促進成分により標識されており、活性化状態依存性抗体はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにより標識されており、促進成分はシグナル増幅ペアの第1のメンバーにチャネリングし、これと反応する酸化剤を発生させる;
    (iii)複数の検出可能な捕捉された分析物をシグナル増幅ペアの第2のメンバーとインキュベートして増幅されたシグナルを発生させること;並びに
    (iv)シグナル増幅ペアの第1及び第2のメンバーから発生した増幅されたシグナルを検出すること
    を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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