JP5793311B2 - 鞍乗型車両 - Google Patents
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Description
しかしながら、柔らかいラバーを用いた場合、シートに力が加わったときにラバーが大きく変形し、シートの変位量が大きくなるため、シートと他部品との干渉が生じてしまうという課題がある。この課題は、ラバーを硬くすることにより解決できるが、この場合、車体フレームからの振動がシートに伝わりやすいため、乗員の居住性(乗り心地)が悪化するという課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、シートが他部品と干渉することを防止しつつ、乗り心地を向上できる鞍乗型車両を提供することを目的とする。
本発明では、シート底板に車体フレームに当接するラバーを設け、ラバーの周囲にラバーの変形を規制する規制リブを設けたので、振動減衰能の高い柔らかいラバーを用いても、ラバーの変形を規制リブで防止してシートの変位量を抑制でき、シートが他部品と干渉することを防止しつつ、乗員の居住性を向上できる。また、シート底板の係止爪をクロスフレームの下方に潜り込ませて係止させることにより、シートが上方へ外れてしまうことを防止できる。
また、規制リブをラバーの車両前後方向の前方、後方および車幅方向の外側を囲むように設けられているので、シートを前後下方または車幅外側下方に押し下げる力が加わった場合に、ラバーが規制リブに当接し、ラバーの変形が規制される。これにより、シート底板の前後下方および車幅外側下方への動きを抑制でき、シートとシート後方に配置される部品との干渉を防止できるとともに、シートのたわみを防止できる。さらに、規制リブに切り欠きが設けられているので、規制リブの内側にラバーを差込みやすく、組み付け性を向上できる。
さらに、規制リブの車幅外側後部に補強部を設けたので、規制リブを後方または車幅外側に倒す力に対して、十分な強度および剛性を確保することができる。
第3の特徴として、前記規制リブ(155)の高さを前記ラバー(147)を狙った変位量で規制できる高さに設定してもよい。
規制リブの高さをラバーを狙った変位量で規制できる高さに設定しているので、ラバーを振動減衰能が高い柔らかい材料で形成しても、ラバーの変形を規制リブで防止してシートの動きを抑制でき、シートが他部品と干渉することを防止しつつ、乗員の居住性を向上できる。
第4の特徴として、前記規制リブ(155)は前記シート(49)の後端に設けられ、前記シート(49)の後方には、鞍乗型車両のリアカウル(65)が設けられ、前記シート底板(125)の後端(141)は、前記リアカウル(65)の前端(165)の上方に重なっていても良い。
シート底板の後端がリアカウルの前端の上方に重なるように、シート及びリアカウルを配置し、シートの後端に規制リブを設けたので、シートとリアカウルとの重なりの分だけシートの面積及びリアカウルの面積を大きくしつつ、シート後端部の後下方への動きを抑制してシートとリアカウルとの干渉を防止できる。
シートの後端およびリアカウルの前端が、側面視で重なる位置で、ともにクロスフレームに支持されるので、車体フレームの変形に起因してシートとリアカウルとのクリアランスが変化することがなく、シートとリアカウルとの干渉を防止できる。
第6の特徴として、前記係止爪(149)は下方に延出して前記クロスフレーム(113)の前端に当接する下方延出部(151)と、この下方延出部(151)から屈曲して後方へ延び前記クロスフレーム(113)の下方に潜り込む後方延出部(153)とを備えていてもよい。
係止爪の下方延出部がクロスフレームの前端に当接することにより、シートの後方への移動を規制するとともに、係止爪の後方延出部がクロスフレームの下方に潜り込むことにより、シートが上方へ外れてしまうことを防止することができる。
また、規制リブをラバーの車両前後方向の前方、後方および車幅方向の外側を囲むように設けられているので、シートを前後下方または車幅外側下方に押し下げる力が加わった場合に、ラバーが規制リブに当接し、ラバーの変形が規制される。これにより、シート底板の前後下方および車幅外側下方への動きを抑制でき、シートとシート後方に配置される部品との干渉を防止できるとともに、シートのたわみを防止できる。さらに、規制リブに切り欠きが設けられているので、規制リブの内側にラバーを差込みやすく、組み付け性を向上できる。
さらに、規制リブの車幅外側後部に補強部を設けたので、規制リブを後方または車幅外側に倒す力に対して、十分な強度および剛性を確保することができる。
規制リブがシートの後端に設けられ、シートの後方には、鞍乗型車両のリアカウルが設けられ、シート底板の後端がリアカウルの前端の上方に重なっていれば、シートとリアカウルとの重なりの分だけシートの面積及びリアカウルの面積を大きくしつつ、シート後端部の後下方への動きを抑制してシートとリアカウルとの干渉を防止できる。
係止爪の下方延出部がクロスフレームの前端に当接することにより、シートの後方への移動を規制するとともに、係止爪の後方延出部がクロスフレームの下方に潜り込むことにより、シートが上方へ外れてしまうことを防止することができる。
図1は、本実施形態に係る自動二輪車1を示す。この自動二輪車1は、車体フレーム3を有し、車体フレーム3の前後中間部に支持されたエンジン5と、車体フレーム3の前部に操舵可能に支持される前輪7と、車体フレーム3の後部に支持されエンジン5の駆動力で駆動される後輪9とを備えている。
車体フレーム3の下部後方には、スイングアーム19が支持軸21を介して上下揺動可能に連結されている。スイングアーム19は後方に延び、その後端部には後輪車軸23が支持され、この後輪車軸23に後輪9が軸支されている。スイングアーム19の後端部と車体フレーム3の上部後方との間には左右一対のリアクッション25が介挿されている。
クランクケース27の後部左側にはドライブスプロケット(不図示)が配設され、該ドライブスプロケットと後輪車軸23に連結されたドリブンスプロケット43とにドライブチェーン45が掛け回されている。
車体フレーム3の下端部には、運転者の足を乗せる左右一対のステップ55と、センタースタンド57と、サイドスタンド59とが、それぞれ収納自在に取り付けられている。
なお、図中符号61,63は前輪7及び後輪9の上方外周を覆うフロントフェンダ及びリアフェンダを示し、符号65は車体フレーム3の後端部を覆うリアカウルを示す。
図2に示すように、車体フレーム3は、主に鋼管材を溶接等により一体に結合した、いわゆるパイプフレームであり、ヘッドパイプ67と、ダウンフレーム69と、左右一対のメインフレーム71と、左右一対のシートレール73と、左右一対のリアフレーム75と、上クロスフレーム77と、下クロスフレーム79とを備える。
ダウンフレーム69は、ヘッドパイプ67から後ろ下がりに延び、その下端にはエンジン5の前端を懸架するための前エンジンハンガーブラケット83が結合されている。
メインフレーム71の湾曲部87には、前方に延びるピボットプレート89が設けられている。ピボットプレート89の後端部90はメインフレーム71の湾曲部87内側に溶接されており、その中央部にはスイングアーム19の支持軸21が嵌合する軸孔91が設けられている。
第1屈曲部105には、車幅方向に延びる前クロスメンバ111の左右端が連結され、第2屈曲部107の後方には、車幅方向に延びる中クロスメンバ113の左右端が連結され、第3屈曲部109の後方には、車幅方向に延びる後クロスメンバ115の左右端が連結されている。すなわち、左右のシートレール73は、前クロスメンバ111、中クロスメンバ113及び後クロスメンバ115により車幅方向に連結されている。
リアフレーム75は、三又状部93から後ろ上がりに延び、その後端部119が、シートレール73の第2屈曲部107下方に溶接により連結されている。リアフレーム75の後端部119には、リアクッション25の上端およびリアキャリア51を支持するための支持部121が設けられており、この支持部121に、リアクッション25の上端およびリアキャリア51の前端が共締めされている。
図3はシート近傍の上面図、図4は図3のIV−IV断面図である。
シート49は、クッション部123とクッション部123を支持するシート底板125とを備えている。シート底板125の左右両縁の前後中間部には、下方へ延出する取り付けフランジ129が設けられている。取り付けフランジ129には、図4に示すように、車幅方向に貫通する取り付け孔131が設けられ、この取り付け孔131には、カラー133が隙間を有して嵌め込まれ、このカラー133を貫通する取り付けボルト135がシートレール73のシート取り付けブラケット118に締め込まれている。すなわち、シート底板125は、シートレール73に完全に固定されているのではなく、シートレール73に対して遊びを持って連結されている。
ところで、シート49は前後長の短いシングルシートであり、乗員が着座したときに乗員の臀部が位置する所謂ヒップポイントがシート49の後端部近傍となるため、シート49の後端部に伝わる衝撃や振動が、居住性に大きな影響を与える。そこで、本構成では、シート49の後端部の底面に位置する後ラバー147を振動減衰能の高い柔らかいゴムで形成し、居住性を向上させている。
例えば、加速時など、シート49を後下方に押し下げる力が加わったときには、後ラバー147は後方に変形するが、後ラバー147が規制リブ155との隙間分だけ変形した後は、後ラバー147は規制リブ155の後部に当接して変形が規制される。このため、シート底板125の後下方への揺動が抑制され、シート49と、シート49の後方に配置されたリアカウル65との干渉が防止される。シート49を後下方に押し下げる力が特に大きい場合には、規制リブ155が中クロスメンバ113に当接するため、シート底板125がそれ以上後下方へ動くことが無く、シート49とリアカウル65との干渉が防止される。
また、規制リブ155の車幅外側後部には補強部163が設けられている。これにより、規制リブ155を後方または車幅外側に倒す力に対して、十分な強度および剛性が確保されている。
図4に示すように、シート49の後方には、リアカウル65が設けられている。シート底板125の後端部141は、リアカウル65の前端部165の上方に重なっている。
図5は、図3におけるV−V断面図である。リアカウル65の前端部165の上部には、取り付け孔166が設けられており、リアカウル65の前端部165は、取り付け孔166を貫通する取り付けボルト167により中クロスメンバ113のリアカウル支持部120に取り付けられている。すなわち、リアカウル65の前端部165およびシート49の後端部は、側面視で重なる位置で、ともに中クロスメンバ113に支持されている。これにより、運転時に、車体フレーム3が弾性変形しても、車体フレーム3の弾性変形によりシート49とリアカウル65とのクリアランスが変化することがなく、シート49とリアカウル65との干渉を防止できる。
また、リアカウル65の前後中間部169には取り付け孔(不図示)が設けられており、リアカウル65の前後中間部169は、図3に示すように、この取り付け孔を貫通する取り付けボルト167により、リアキャリア51とともに後クロスメンバ115のキャリア支持ブラケット117に共締めされている。
また、本実施形態では、後ラバー147の車幅外側に規制リブ155が設けられているので、シート49を車幅外側下方に押し下げる力が加わった場合には、後ラバー147が規制リブ155の車幅外側部に当接し、後ラバー147の変形が規制される。これにより、シート底板125の車幅外側下方への動きを抑制でき、シート49のたわみを防止できる。
また、本実施形態では、シート底板125の後端部141がリアカウル65の前端部165の上方に重なるように、シート49及びリアカウル65を配置し、シート49の後端に規制リブ155を設けたので、シート49とリアカウル65との重なりの分だけシート49の面積及びリアカウル65の面積を大きく確保しつつ、シート49後端部の後下方への動きを抑制してシート49とリアカウル65との干渉を防止できる。
また、本実施形態では、シート底板125の後端部141およびリアカウル65の前端部165が、ともに中クロスメンバ113に支持されているので、車体フレーム3が弾性変形しても、車体フレーム3の弾性変形に起因してシート49とリアカウル65とのクリアランスが変化することがなく、シート49とリアカウル65との干渉を防止できる。
例えば、上述した実施の形態では、自動二輪車が備える車体フレーム3として、主に鋼管材を溶接等により一体に結合した、いわゆるパイプフレームを例示したが、車体フレームの構造はこれに限定されず、アルミ鋳造部材を用いた車体フレームであっても良い。
また、上述した実施の形態では、後ラバー147として、振動減衰能が高い柔らかいゴムを用いて円柱状に形成した後ラバー147を例示したが、ラバーの材質および形状はこれに限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なことは言うまでもない。
3 車体フレーム
49 シート
51 リアキャリア
65 リアカウル
73 シートレール
113 中クロスメンバ(クロスフレーム)
125 シート底板
141 後端部(後端)
147 後ラバー(ラバー)
155 規制リブ
161 切り欠き部(切り欠き)
165 前端部(前端)
Claims (6)
- 車体フレーム(3)と、前記車体フレーム(3)上に配置されたシート(49)とを備えた鞍乗型車両において、
前記車体フレーム(3)はクロスフレーム(113)を備え、
前記シート(49)はシート底板(125)を備え、前記シート底板(125)には、前記車体フレーム(3)の前記クロスフレーム(113)に底面が当接するラバー(147)を設け、前記ラバー(147)の周囲に、前記ラバー(147)の変形を規制する規制リブ(155)を設け、
前記ラバー(147)は車体の幅方向へ偏位して前記シート底板(125)に配置され、
前記規制リブ(155)は、前記ラバー(147)の車両前後方向の前方、後方および車幅方向の外側を囲むように設けられ、前記規制リブ(155)の車幅方向の内側に切り欠き(161)を設けるとともに、前記規制リブ(155)の車幅外側後部に補強部(163)を設け、
前記シート底板(125)には、前記クロスフレーム(113)の下方に潜り込んで係止する係止爪(149)を形成したことを特徴とする鞍乗型車両。 - 前記ラバー(147)と前記係止爪(149)とは、車両前後方向で同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
- 前記規制リブ(155)の高さを前記ラバー(147)を狙った変位量で規制できる高さに設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鞍乗型車両。
- 前記規制リブ(155)は前記シート(49)の後端に設けられ、前記シート(49)の後方には、鞍乗型車両のリアカウル(65)が設けられ、前記シート底板(125)の後端(141)は、前記リアカウル(65)の前端(165)の上方に重なることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
- 前記シート底板(125)の後端(141)およびリアカウル(65)の前端(165)が、側面視で重なる位置で、前記クロスフレーム(113)に支持されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。
- 前記係止爪(149)は下方に延出して前記クロスフレーム(113)の前端に当接する下方延出部(151)と、この下方延出部(151)から屈曲して後方へ延び前記クロスフレーム(113)の下方に潜り込む後方延出部(153)とを備えることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型車両。
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