JP5785728B2 - 不飽和ニトリルの蒸留方法及び蒸留装置、並びに不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、プロピレン及び/又はプロパン、アンモニア及び分子状酸素を反応させてアクリロニトリルを製造するプロセスにおいて、生成したアクリロニトリル、アセトニトリル及び青酸から、アセトニトリルを分離し、アクリロニトリル及び青酸を回収するための回収塔がある。この回収塔の塔頂からアクリロニトリル及び青酸を回収するが、このときアセトニトリルを同伴させないように運転することが、製品アクリロニトリルの規格外品をつくらないために重要である。また同時に、回収塔の塔底から余剰水を抜き出し廃水処理設備で処理するが、この塔底液中にアクリロニトリル、アセトニトリル及び青酸を混入させないように運転することが廃水処理費用を低減するために重要である。
上記事情に鑑み、本発明は、アクリロニトリル等の不飽和ニトリルを工業的に製造する際に、不飽和ニトリル及びその副生成物の回収・精製工程における回収塔の安定な運転を実現し得る、不飽和ニトリルの蒸留方法及び蒸留装置を提供することを目的とする。
さらには、アクリロニトリル等の不飽和ニトリルを工業的に製造する際に、不飽和ニトリル及びその副生成物の回収・精製工程において、回収塔を安定に運転することにより、高純度の不飽和ニトリルを長期間に亘って得ることのできる、不飽和ニトリルの製造方法を提供することを目的とする。
従来、図16に示すように、回収塔の中段部の温度制御は、再沸騰器2の熱源流量調整弁19で実施してきた。流量調整弁19の制御は、回収塔中段部の温度計15の測定値見合いで行うか、流量調整弁に流量指示調整計17、温度計15に温度指示調整計16を設置し、両間を電気配線18で繋ぎ電子制御してきた。しかし、このような制御をもってしても、中段部の温度を一定に保つのは難しい。
また、従来、図17に示すように、回収塔の中段部の温度制御は、補助沸騰器3の熱源流量調整弁19で実施してきた。補助沸騰器3は再沸騰器2から流出した塔底流の一部を再加熱し、ライン13を通じて再沸騰器2に戻す。流量調整弁19の制御は、回収塔中段部の温度計15の測定値見合いで行うか、流量調整弁に流量指示調整計17、温度計15に温度指示調整計16を設置し、両間を電気配線18で繋ぎ電子制御してきた。しかし、このような制御をもってしても、中段部の温度を一定に保つのは難しい。
本発明者は、回収塔の温度制御方法を鋭意検討した結果、回収塔に第一及び第二の加熱経路を接続し、前記第二の加熱経路によって回収塔に供給する熱量を、前記第一及び第二の加熱経路によって回収塔に供給する熱量の和に対して1〜20%に制御することにより、回収塔の中段部の温度変動を小さくできることを見いだし本発明に到達した。
[1]
不飽和ニトリルを蒸留する方法であって、
第一及び第二の加熱経路が接続された回収塔により不飽和ニトリルを蒸留する工程を含み、
前記第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量を、前記第一及び第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量の和に対して1〜20%とし、
前記第一の加熱経路から再加熱した塔底流を前記回収塔に供給し、前記第二の加熱経路から水蒸気を前記回収塔に供給する不飽和ニトリルの蒸留方法。
[2]
前記水蒸気を前記回収塔の下部に供給する、上記[1]記載の蒸留方法。
[3]
前記第二の加熱経路に水蒸気を熱媒とする再沸騰器が設けられており、前記第一の加熱経路から再加熱した塔底流を前記回収塔に供給し、前記第二の加熱経路から前記再沸騰器によって加熱した塔底流及び/又は塔内流を前記回収塔に供給する、上記[1]記載の不飽和ニトリルの蒸留方法。
[4]
触媒の存在下で、プロパン、プロピレン、イソブタン及びイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種をアンモ酸化することにより不飽和ニトリルを含むガスを生成させる工程、
前記ガスを急冷塔内で水性液体と接触させた後、吸収塔内で水を含む液体と接触させて吸収させることにより不飽和ニトリルを含む水性混合物を得る工程、
得られた不飽和ニトリルを含む水性混合物を蒸留する工程、
を含む不飽和ニトリルの製造方法であって、
前記水性混合物から前記不飽和ニトリルを蒸留するための回収塔に、再加熱した塔底流と、水蒸気とを供給する工程を含む方法。
[5]
回収塔と、前記回収塔に接続された第一及び第二の加熱経路とを有する蒸留装置であって、
前記第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量が、前記第一及び第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量の和に対して1〜20%であり、
前記第二の加熱経路が蒸気生成装置を含み、
前記第一の加熱経路により塔底流が加熱され、当該加熱された塔底流が前記回収塔に供給され、
前記蒸気生成装置が、前記塔底流に由来しない水蒸気を生成し、かつ、当該塔底流に由来しない水蒸気を前記回収塔に供給する、不飽和ニトリルの蒸留装置。
[6]
前記水蒸気は前記回収塔の下部に供給される、上記[5]記載の不飽和ニトリルの蒸留装置。
[7]
前記第二の加熱経路が水蒸気を熱媒とする再沸騰器を含み、前記第一の加熱経路により塔底流が加熱され、前記再沸騰器によって塔底流及び/又は塔内流が加熱される、上記[5]記載の不飽和ニトリルの蒸留装置。
[8]
前記再沸騰器によって塔底流及び/又は回収塔の下部の塔内流を再加熱して前記回収塔に供給する、上記[7]記載の不飽和ニトリルの蒸留装置。
[9]
反応器と、前記反応器に接続された急冷塔と、前記急冷塔に接続された吸収塔と、前記吸収塔に接続された回収塔とを有し、
前記回収塔には、再沸騰器及び蒸気生成装置が接続されており、
前記反応器内で、触媒の存在下、プロパン、プロピレン、イソブタン及びイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種のアンモ酸化により不飽和ニトリルを含むガスが生成され、
前記ガスは前記急冷塔内で水性液体と接触された後、前記吸収塔内で水を含む液体と接触されて不飽和ニトリルを含む水性混合物が得られ、
得られた不飽和ニトリルを含む水性混合物が回収塔内で蒸留される不飽和ニトリルの製造装置であって、
前記回収塔から流出した塔底流は前記再沸騰器によって加熱されて前記回収塔に戻され、前記蒸気生成装置で生成した水蒸気が前記回収塔に供給される不飽和ニトリルの製造装置。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。装置や部材の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
また、本実施形態における不飽和ニトリルの製造装置は、回収塔と、前記回収塔に接続された第一及び第二の加熱経路とを有する製造装置であって、前記第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量が、前記第一及び第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量の和に対して1〜20%である蒸留装置である。
ライン4より回収塔1に供給される水性混合物中のアクリロニトリルの典型的な濃度は5〜15wt%、好ましくは5〜10wt%である。供給される水性混合物流量は、アクリロニトリルの生産量に依存するが、工業的に効率的にアクリロニトリルを生産する観点で、アクリロニトリル生産量1Tに対して2.5〜30Tとすることが好ましい。
ライン9の好ましい位置は、回収塔1に供給される溶液に含まれる各成分と、その比率を想定し、各成分の沸点等を基に最適化することでおよそ決定することができる。このような計算を行うための計算機プログラムはよく知られており、回収塔の設計に使われている。一般にアセトニトリルの塔内濃度が最大となる段数の前後5段の範囲内にライン9を接続するのが好ましい。
回収塔1の塔底における温度は90〜130℃が好ましく、塔頂温度は50〜80℃が好ましい。回収塔1における運転時の熱負荷は、排出流体の組成に大きく影響する中段部の温度で管理するのが好ましい。本明細書中、「中段部」とは、ライン4からライン9の間を示す。また、「温度制御部」は中段部中の一段に設定される。一般に、中段部中で塔内温度が80〜105℃になる位置に温度計を設定して温度制御部とし、温度管理をするのが好ましい。
再沸騰器2で回収塔底流の一部が加熱されて、回収塔1に戻されると共に、残部の塔底流は廃水として、再沸騰器2の底部よりライン12を通して抜き出される。
本明細書中、回収塔1の「下部」とは、ライン9より下を意味し、回収塔底部を包含し、塔内部に加え、再沸騰器出口ライン8も含まれる。特に、水蒸気を再沸騰器出口ラインも含む回収塔1の回収塔底部に供給する態様は、回収塔1全体の熱負荷を低くできる点で好ましい。
水蒸気によって回収塔に供給する熱量(第二の加熱経路によって回収塔に供給する熱量)は、塔底流によって回収塔に供給する熱量(第一の加熱経路によって回収塔に供給する熱量)と前記水蒸気によって回収塔に供給する熱量との和に対して1〜20%とする。水蒸気によって回収塔に供給する熱量を上記範囲に制御することで、回収塔内部の温度変動を抑制することができる。上記水蒸気によって回収塔に供給する熱量が20%を超えると、再沸騰器を用いた塔底流のみによって回収塔に熱量を供給する場合と同様に、回収塔内部の温度変動が生じることが鋭意検討の結果わかった。
上記再沸騰器より供給される熱量は、熱媒もしくは塔底流の再沸騰器前後での温度及び圧力より算出されるエンタルピー変化量より見積もれる。上記水蒸気により供給される熱量は、供給する水蒸気の温度及び圧力より算出されるエンタルピー量より見積もれる。
補助沸騰器3には熱媒としてライン14を通して水蒸気が供給される。伝熱面の汚れの観点から、水蒸気は、補助沸騰器3に接続された蒸気生成装置で塔底流に由来しない水から生成されるのが好ましい。
水蒸気を熱媒とした再沸騰器を使用することは、水蒸気を直接回収塔に供給する場合より装置建設時及び運転時の経済性の観点から不利であるが、供給熱量が調整し易い点で好ましい。
特に、回収塔1の回収塔底部に水蒸気を熱媒とする再沸騰器を設置し、既存の塔底再沸騰器とともに塔底流を再加熱する態様は、回収塔1全体の熱負荷を低くできる点で好ましい。
第二の再沸騰器よって回収塔に供給する熱量は、塔底流によって回収塔に供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって回収塔に供給する熱量との和に対して1〜20%とする。水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって回収塔に供給する熱量を上記範囲に制御することで、回収塔内部の温度変動を抑制することができる。上記第二の再沸騰器によって回収塔に供給する熱量が20%を超えると、第一の再沸騰器を用いた塔底流のみによって回収塔に熱量を供給する場合と同様に、回収塔内部の温度変動が生じることが鋭意検討の結果わかった。
触媒の存在下で、プロパン、プロピレン、イソブタン及びイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種をアンモ酸化することにより不飽和ニトリルを含むガスを生成させる工程(工程A)、
前記ガスを急冷塔内で水性液体と接触させた後、吸収塔内で水を含む液体と接触させて吸収させて不飽和ニトリルを含む水性混合物を得る工程(工程B)、
得られた不飽和ニトリルを含む水性混合物を蒸留する工程(工程C)、
を含む不飽和ニトリルの製造方法であって、
前記水性混合物から前記不飽和ニトリルを蒸留するための回収塔に、再加熱した塔底流と、水蒸気とを供給する工程を含む方法である。
図15は、アンモニア及び酸素を用いるプロピレンの接触アンモ酸化によるアクリロニトリル製造プロセスの概略図を示す。図15に示すように、プロピレン、アンモニア及び分子状酸素(通常は空気を用いる)は予め触媒が収容された反応器に導入され、これらが触媒と接触することによりアクリルニトリルを含むガスが生成する(工程A)。生成したガスは反応器の塔頂から流出して、急冷塔に流入し、急冷塔内で水性液体(代表的には水)と接触する工程で冷却され、高沸点有機化合物等の一部の成分は冷却水に溶出するが、アクリロニトリルを含む主生成物はガス状のまま塔頂から流出し、吸収塔に導入される。吸収塔には塔頂から吸収水が供給され、ガス中のアクリロニトリル、アセトニトリル、青酸及び水は吸収水に吸収される(工程B)。ガスに含まれる成分のうち吸収されないプロピレン及び/又はプロパン、酸素、窒素、生成した炭酸ガス及び一酸化炭素は、吸収塔の塔頂から流出する。吸収塔の塔底からは、アクリロニトリルを含む水性混合物(アクリロニトリル、アセトニトリル及び青酸を含む水溶液)が流出し、回収塔に供給され、蒸留が行われる(工程C)。
上記方法においては、プロパンの代わりに又はプロパンと共に、プロピレン、イソブタン及びイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種以上を用いてアンモ酸化反応を行うことができる。
また、上記蒸留工程(工程C)は、上述した方法と同様に、第一及び第二の加熱経路が接続された回収塔を用いて行うことができる。
実施例及び比較例において、熱量は以下のとおりに測定した。
ここで、本実施形態において、再沸騰器より供給される熱量は、熱媒もしくは塔底流の再沸騰器前後での温度及び圧力より算出されるエンタルピー変化量より見積もった。また塔内に直接供給される水蒸気により供給される熱量は、供給する水蒸気の温度及び圧力より算出されるエンタルピー量より見積もった。
図6に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
プロピレン、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、アクリロニトリル7.1wt%、アセトニトリル0.4wt%、青酸0.4wt%及び水92.1wt%を含む液を、回収塔の上部37段に、流量363T/hrで供給した。ただし、この回収塔はデュアルトレイを有する上部69段と下部45段の2塔に分かれており、上部側の塔の塔底と下部側の塔の塔頂は配管で繋がっていた。
塔頂よりアクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段45段(2塔の間の配管)よりアセトニトリル12.2wt%及び水87.5wt%を含む液を流量4T/hrで抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離され製品アセトニトリルとした。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し47℃まで冷却した後、この液を流量133T/hrで塔の114段に供給した。
塔底液はアセトニトリル29wt.ppb、青酸0.2wt%及び水96.3wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量17T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を1.7T/hrを基準に塔底部の再沸騰器の出口ラインに供給した。前記水蒸気1.7T/hrによって供給する熱量は、前記塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して1.3%であった。
塔頂管理温度を73℃、塔底管理温度を116℃、59段管理温度を99℃で運転した。塔内の温度管理は、59段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で2年間運転したが、製品管理上重要な59段温度において変動幅が最大5℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。図18に回収塔の59段温度の経時変化を示す。
図8に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
プロピレン、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、アクリロニトリル6.6wt%、アセトニトリル0.2wt%、青酸0.1wt%及び水91.5wt%を含む液を、回収塔の上部37段に、流量165T/hrで供給した。ただし、この回収塔はデュアルトレイを有する上部69段と下部45段の2塔に分かれており、上部側の塔の塔底と下部側の塔の塔頂は配管で繋がっていた。
塔頂よりアクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段45段(2塔の間の配管)よりアセトニトリル16.5wt%及び水80.5wt%を含む液を流量1.7T/hrで抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アセトニトリルとした。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し47℃まで冷却した後、この液を流量69T/hrで塔の114段に供給した。
塔底液は青酸0.01wt%及び水98.6wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量22T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を2.7T/hrを基準に塔46段に直接供給した。前記水蒸気2.7T/hrによって供給する熱量は、前記塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して15.0%であった。
塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。塔内の温度管理は、75段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で1.5年間運転したが、製品管理上重要な75段温度において変動幅が最大3℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。
図1に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
プロピレン、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、アクリロニトリル6.4wt%、アセトニトリル0.2wt%、青酸0.6wt%及び水92.7wt%を含む液を、回収塔の82段に、流量394T/hrで供給した。ただし、この回収塔は段数110段のシーブトレイを有する回収塔であった。
塔頂よりアクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段41段よりアセトニトリル18.7wt%及び水79.6wt%を含む液を流量3.3T/hrで抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アセトニトリルとした。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し47℃まで冷却した後、この液を流量155T/hrで塔の110段に供給した。
塔底液はアセトニトリル6ppm、青酸0.01wt%及び水99.9wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量41T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を1.1T/hrを基準に塔42段に直接供給した。前記水蒸気1.1T/hrによって供給する熱量は、前記塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して2.7%であった。
塔頂管理温度を70℃、塔底管理温度を116℃、55段管理温度を99℃で運転した。塔内の温度管理は、55段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で2年間運転したが、製品管理上重要な55段温度において変動幅が最大3℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。
図8に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
ターシャリーブチルアルコール、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、メタクリロニトリル6.9wt%、アセトニトリル2.1wt%、青酸1.1wt%及び水88.8wt%を含む液を、回収塔の上部37段に、流量82T/hrで供給した。ただし、この回収塔はデュアルトレイを有する上部69段と下部45段の2塔に分かれており、上部側の塔の塔底と下部側の塔の塔頂は配管で繋がっていた。
塔頂よりメタクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品メタクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段45段(2塔の間の配管)よりアセトニトリル2.7wt%及び水95.4wt%を含む液を流量64.7T/hrで抜き出し、プロセス内で熱交換後、前工程の吸収塔の吸収水として使用した。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し44℃まで冷却した後、この液を流量66T/hrで塔の114段に供給した。
塔底液は青酸0.09wt%及び水99.5wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量14T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を0.9T/hrを基準に塔46段に直接供給した。前記水蒸気0.9T/hrによって供給する熱量は、前記塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して8.2%であった。
塔頂管理温度を76℃、塔底管理温度を113℃、75段管理温度を88℃で運転した。塔内の温度管理は、75段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で1ヶ月間運転したが、製品管理上重要な75段温度において変動幅が最大3℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。
図10に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
プロピレン、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、アクリロニトリル6.6wt%、アセトニトリル0.2wt%、青酸0.1wt%及び水91.5wt%を含む液を、回収塔の上部37段に、流量128T/hrで供給した。ただし、この回収塔はデュアルトレイ、シーブトレイを有する上部69段と下部45段の2塔に分かれており、上部側の塔の塔底と下部側の塔の塔頂は配管で繋がっていた。
塔頂よりアクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段45段(2塔の間の配管)よりアセトニトリル12.5wt%及び水80.5wt%を含む液を流量1.3T/hrで抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アセトニトリルとした。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し47℃まで冷却した後、この液を流量64T/hrで塔の114段に供給した。
塔底液は青酸0.09wt%及び水98.6wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器(第一の再沸騰器)を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量18T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を別の再沸騰器(第二の再沸騰器)に3.3T/hrを基準に熱媒として供給して塔底流を加熱した。前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量は、前記第一の再沸騰器によって供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量との和に対して19.0%であった。
塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。塔内の温度管理は、75段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で1.5年間運転したが、製品管理上重要な75段温度において変動幅が最大3℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。
図11に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
プロピレン、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、アクリロニトリル6.7wt%、アセトニトリル0.2wt%、青酸0.1wt%及び水91.6wt%を含む液を、回収塔の上部82段に、流量160T/hrで供給した。ただし、この回収塔はデュアルトレイ、シーブトレイを有する上部69段と下部45段の2塔に分かれており、上部側の塔の塔底と下部側の塔の塔頂は配管で繋がっていた。
塔頂よりアクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段45段(2塔の間の配管)よりアセトニトリル12.5wt%及び水80.5wt%を含む液を流量1.5T/hrで抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アセトニトリルとした。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し47℃まで冷却した後、この液を流量65T/hrで塔の114段に供給した。
塔底液は青酸0.07wt%及び水98.5wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器(第一の再沸騰器)を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量18T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を別の再沸騰器(第二の再沸騰器)に0.8T/hrを基準に熱媒として供給して塔底流を加熱した。前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量は、前記第一の再沸騰器によって供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量との和に対して4.1%であった。
塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。塔内の温度管理は、75段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で1年間運転したが、製品管理上重要な75段温度において変動幅が最大2℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。
図14に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
プロピレン、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、アクリロニトリル6.6wt%、アセトニトリル0.2wt%、青酸0.1wt%及び水91.5wt%を含む液を、回収塔の上部82段に、流量105T/hrで供給した。ただし、この回収塔はデュアルトレイ、シーブトレイを有する上部69段と下部45段の2塔に分かれており、上部側の塔の塔底と下部側の塔の塔頂は配管で繋がっていた。
塔頂よりアクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段45段(2塔の間の配管)よりアセトニトリル12.6wt%及び水80.6wt%を含む液を流量1.4T/hrで抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アセトニトリルとした。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し47℃まで冷却した後、この液を流量51T/hrで塔の114段に供給した。
塔底液は青酸0.07wt%及び水98.5wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器(第一の再沸騰器)を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量18T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を別の再沸騰器(第二の再沸騰器)に3.0T/hrを基準に熱媒として供給して45段塔内流を加熱した。前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量は、前記第一の再沸騰器によって供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量との和に対して16.9%であった。
塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。塔内の温度管理は、75段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で1年間運転したが、製品管理上重要な75段温度において変動幅が最大2℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。
図14に示す蒸留装置を用いて蒸留を行った。
プロピレン、アンモニア及び空気を反応させて得られた反応生成物からアセトニトリルを分離するため、アクリロニトリル6.6wt%、アセトニトリル0.2wt%、青酸0.1wt%及び水91.5wt%を含む液を、回収塔の上部82段に、流量118T/hrで供給した。ただし、この回収塔はデュアルトレイ、シーブトレイを有する上部69段と下部45段の2塔に分かれており、上部側の塔の塔底と下部側の塔の塔頂は配管で繋がっていた。
塔頂よりアクリロニトリル、青酸、水の混合ガスを抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アクリロニトリル及び製品青酸とした。塔の中段45段(2塔の間の配管)よりアセトニトリル12.6wt%及び水80.6wt%を含む液を流量1.3T/hrで抜き出し、その後の精製工程で蒸留分離し、製品アセトニトリルとした。下段1段より抜き出した塔内液はプロセス内で熱交換し47℃まで冷却した後、この液を流量56T/hrで塔の114段に供給した。
塔底液は青酸0.09wt%及び水98.5wt%を含んでおり、この液を塔底より抜き出し、一部は再沸騰器(第一の再沸騰器)を通して加熱して塔底に戻し、残りを流量11T/hrで抜き出した。
再加熱した塔底流とは別に、塔底流に由来しない475kPaの水蒸気を別の再沸騰器(第二の再沸騰器)に0.8T/hrを基準に熱媒として供給して45段塔内流を加熱した。前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量は、前記第一の再沸騰器によって供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする第二の再沸騰器によって供給する熱量との和に対して4.9%であった。
塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。塔内の温度管理は、75段見合いで、再沸騰器の条件は一定のまま、塔底への水蒸気供給量にのみ実施した。この運転条件で1年間運転したが、製品管理上重要な75段温度において変動幅が最大2℃となり、回収塔の温度管理が原因による製品規格からの逸脱がなく、安定に運転できた。
図6に示す回収塔において塔底部の再沸騰器の出口ラインに水蒸気を供給せず、つまり第二の加熱経路を使わないで全熱量を塔底の再沸騰器を通して供給及び調整したこと以外は、実施例1と同様の反応生成液を同一流量で、実施例1と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例1と同様にし、温度、圧力も実施例1と同様にして運転した。塔頂管理温度を73℃、塔底管理温度を116℃、59段管理温度を99℃、45段管理温度を109℃で運転した。この運転条件で2年間運転したが、59段温度において変動幅が最大10℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。図19に回収塔の59段温度の経時変化を示す。
図8に示す回収塔において温度制御部近傍の46段に水蒸気を供給せず、つまり第二の加熱経路を使わないで全熱量を塔底の再沸騰器を通して供給及び調整したこと以外は、実施例2と同様の反応生成液を同一流量で、実施例2と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例2と同様にし、温度、圧力も実施例2と同様にして運転した。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で1.5年間運転したが、75段温度において変動幅が最大7℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図1に示す回収塔において温度制御部近傍の42段に水蒸気を供給せず、つまり第二の加熱経路を使わないで全熱量を塔底の再沸騰器を通して供給及び調整したこと以外は、実施例3と同様の反応生成液を同一流量で、実施例3と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例3と同様にし、温度、圧力も実施例3と同様にして運転した。塔頂管理温度を70℃、塔底管理温度を116℃、55段管理温度を99℃で運転した。この運転条件で2年間運転したが、55段温度において変動幅が最大8℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図8に示す回収塔において温度制御部近傍の46段に水蒸気を供給せず、つまり第二の加熱経路を使わないで全熱量を塔底の再沸騰器を通して供給及び調整したこと以外は、実施例4と同様の反応生成液を同一流量で、実施例4と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例2と同様にし、温度、圧力も実施例4と同様にして運転した。塔頂管理温度を76℃、塔底管理温度を113℃、75段管理温度を88℃で運転した。この運転条件で1ヶ月間運転したが、65段温度において変動幅が最大8℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図10に示す回収塔において水蒸気を熱媒とする再沸騰器を設置せず、つまり第二の加熱経路を使わないで全熱量を塔底の再沸騰器を通して供給及び調整したこと以外は、実施例5と同様の反応生成液を同一流量で、実施例5と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例5と同様にし、温度、圧力も実施例5と同様にして運転した。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で1.5年間運転したが、75段温度において変動幅が最大8℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図11に示す回収塔において水蒸気を熱媒とする再沸騰器を設置せず、つまり第二の加熱経路を使わないで全熱量を塔底の再沸騰器を通して供給及び調整したこと以外は、実施例6と同様の反応生成液を同一流量で、実施例6と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例6と同様にし、温度、圧力も実施例6と同様にして運転した。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で1年間運転したが、75段温度において変動幅が最大6℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図14に示す回収塔において水蒸気を熱媒とする再沸騰器を設置せず、つまり第二の加熱経路を使わないで全熱量を塔底の再沸騰器を通して供給及び調整したこと以外は、実施例7と同様の反応生成液を同一流量で、実施例7と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例7と同様にし、温度、圧力も実施例7と同様にして運転した。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で1年間運転したが、75段温度において変動幅が最大7℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図6に示す回収塔において塔底部の再沸騰器の出口ラインへの水蒸気供給量を32.9T/hrに変更したこと以外は、実施例1と同様の反応生成液を同一流量で、実施例1と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例1と同様にし、温度、圧力も実施例1と同様にして運転した。前記水蒸気32.9T/hrによって供給する熱量は、再加熱した塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して20.3%であった。塔頂管理温度を73℃、塔底管理温度を116℃、59段管理温度を99℃、45段管理温度を109℃で運転した。この運転条件で2週間運転したが、59段温度において変動幅が最大7℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図8に示す回収塔において塔46段への水蒸気供給量を4.1T/hrに変更したこと以外は、実施例2と同様の反応生成液を同一流量で、実施例2と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例2と同様にし、温度、圧力も実施例2と同様にして運転した。前記水蒸気4.1T/hrによって供給する熱量は、再加熱した塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して21.1%であった。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で1ヶ月間運転したが、75段温度において変動幅が最大8℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図1に示す回収塔において塔42段への水蒸気供給量を12.0T/hrに変更したこと以外は、実施例3と同様の反応生成液を同一流量で、実施例3と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例3と同様にし、温度、圧力も実施例3と同様にして運転した。前記水蒸気12.0T/hrによって供給する熱量は、再加熱した塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して23.2%であった。塔頂管理温度を70℃、塔底管理温度を116℃、55段管理温度を99℃で運転した。この運転条件で1ヶ月間運転したが、55段温度において変動幅が最大10℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図8に示す回収塔において塔46段への水蒸気供給量を3.0T/hrに変更したこと以外は、実施例4と同様の反応生成液を同一流量で、実施例4と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例2と同様にし、温度、圧力も実施例4と同様にして運転した。前記水蒸気3.0T/hrによって供給する熱量は、再加熱した塔底流によって供給する熱量と前記水蒸気によって供給する熱量との和に対して22.9%であった。塔頂管理温度を76℃、塔底管理温度を113℃、75段管理温度を88℃で運転した。この運転条件で2週間間運転したが、65段温度において変動幅が最大8℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図10に示す回収塔において水蒸気を熱媒とする再沸騰器への水蒸気供給量を4.0T/hrに変更したこと以外は、実施例5と同様の反応生成液を同一流量で、実施例5と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例5と同様にし、温度、圧力も実施例5と同様にして運転した。前記水蒸気を熱媒とする再沸騰器によって供給する熱量は、“塔底流に由来する”再沸騰器によって供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする再沸騰器によって供給する熱量との和に対して22.1%であった。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で1ヶ月間運転したが、75段温度において変動幅が最大9℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図11に示す回収塔において水蒸気を熱媒とする再沸騰器への水蒸気供給量を4.8T/hrに変更したこと以外は、実施例6と同様の反応生成液を同一流量で、実施例6と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例6と同様にし、温度、圧力も実施例6と同様にして運転した。前記水蒸気を熱媒とする再沸騰器によって供給する熱量は、“塔底流に由来する”再沸騰器によって供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする再沸騰器によって供給する熱量との和に対して20.4%であった。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で2ヶ月間運転したが、75段温度において変動幅が最大7℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
図14に示す回収塔において水蒸気を熱媒とする再沸騰器への水蒸気供給量を4.0T/hrに変更したこと以外は、実施例7と同様の反応生成液を同一流量で、実施例7と同様の回収塔に供給した。その他の流量も実施例7と同様にし、温度、圧力も実施例7と同様にして運転した。前記水蒸気を熱媒とする再沸騰器によって供給する熱量は、“塔底流に由来する”再沸騰器によって供給する熱量と前記水蒸気を熱媒とする再沸騰器によって供給する熱量との和に対して21.3%であった。塔頂管理温度を71℃、塔底管理温度を117℃、75段管理温度を85℃で運転した。この運転条件で2週間運転したが、75段温度において変動幅が最大8℃となり、規格外の製品が一時的に発生した。
2,3:再沸騰器
11:プロセス内の熱交換器
15:回収塔内温度計
16:温度指示調整計
17:流量指示調整計
18:電気配線
19:流量調整弁
20:第二の再沸騰器
4〜10,12,13,14:ライン
Claims (9)
- 不飽和ニトリルを蒸留する方法であって、
第一及び第二の加熱経路が接続された回収塔により不飽和ニトリルを蒸留する工程を含み、
前記第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量を、前記第一及び第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量の和に対して1〜20%とし、
前記第一の加熱経路から再加熱した塔底流を前記回収塔に供給し、前記第二の加熱経路から水蒸気を前記回収塔に供給する不飽和ニトリルの蒸留方法。 - 前記水蒸気を前記回収塔の下部に供給する、請求項1記載の蒸留方法。
- 前記第二の加熱経路に水蒸気を熱媒とする再沸騰器が設けられており、前記第一の加熱経路から再加熱した塔底流を前記回収塔に供給し、前記第二の加熱経路から前記再沸騰器によって加熱した塔底流及び/又は塔内流を前記回収塔に供給する、請求項1記載の不飽和ニトリルの蒸留方法。
- 触媒の存在下で、プロパン、プロピレン、イソブタン及びイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種をアンモ酸化することにより不飽和ニトリルを含むガスを生成させる工程、
前記ガスを急冷塔内で水性液体と接触させた後、吸収塔内で水を含む液体と接触させて吸収させることにより不飽和ニトリルを含む水性混合物を得る工程、
得られた不飽和ニトリルを含む水性混合物を蒸留する工程、
を含む不飽和ニトリルの製造方法であって、
前記水性混合物から前記不飽和ニトリルを蒸留するための回収塔に、再加熱した塔底流と、水蒸気とを供給する工程を含む方法。 - 回収塔と、前記回収塔に接続された第一及び第二の加熱経路とを有する蒸留装置であって、
前記第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量が、前記第一及び第二の加熱経路によって前記回収塔に供給する熱量の和に対して1〜20%であり、
前記第二の加熱経路が蒸気生成装置を含み、
前記第一の加熱経路により塔底流が加熱され、当該加熱された塔底流が前記回収塔に供給され、
前記蒸気生成装置が、前記塔底流に由来しない水蒸気を生成し、かつ、当該塔底流に由来しない水蒸気を前記回収塔に供給する、不飽和ニトリルの蒸留装置。 - 前記水蒸気は前記回収塔の下部に供給される、請求項5記載の不飽和ニトリルの蒸留装置。
- 前記第二の加熱経路が水蒸気を熱媒とする再沸騰器を含み、前記第一の加熱経路により塔底流が加熱され、前記再沸騰器によって塔底流及び/又は塔内流が加熱される、請求項5記載の不飽和ニトリルの蒸留装置。
- 前記再沸騰器によって塔底流及び/又は回収塔の下部の塔内流を再加熱して前記回収塔に供給する、請求項7記載の不飽和ニトリルの蒸留装置。
- 反応器と、前記反応器に接続された急冷塔と、前記急冷塔に接続された吸収塔と、前記吸収塔に接続された回収塔とを有し、
前記回収塔には、再沸騰器及び蒸気生成装置が接続されており、
前記反応器内で、触媒の存在下、プロパン、プロピレン、イソブタン及びイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種のアンモ酸化により不飽和ニトリルを含むガスが生成され、
前記ガスは前記急冷塔内で水性液体と接触された後、前記吸収塔内で水を含む液体と接触されて不飽和ニトリルを含む水性混合物が得られ、
得られた不飽和ニトリルを含む水性混合物が回収塔内で蒸留される不飽和ニトリルの製造装置であって、
前記回収塔から流出した塔底流は前記再沸騰器によって加熱されて前記回収塔に戻され、前記蒸気生成装置で生成した水蒸気が前記回収塔に供給される不飽和ニトリルの製造装置。
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