JP5782244B2 - ドウ組成物用の結晶セルロース複合化物 - Google Patents

ドウ組成物用の結晶セルロース複合化物 Download PDF

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Description

本発明は、ドウ組成物用の結晶セルロース複合化物と、それを配合したドウ組成物、さらにそのドウ組成物を含む食品に関する。
パン類、焼き菓子等は、小麦粉などの穀粉類と水とを主原料とするドウを用い、これに発酵、焼成、蒸し、フライ、茹でなどの加熱処理を行うことで得られる。これらの食品では、しっとり感やもちもちとした食感が消費者に好まれることから、増粘多糖類や乳化剤などを配合することで、そのような食感を与える商品が増えている。しかしながら、増粘多糖類などによってしっとり感やもちもち感を付与した食品は、一般的に歯切れが悪く噛み切りにくい傾向にあり、特に高齢者や子供にとっては不適切な場合があった。また、乳化剤を上記の効果が出る程度に十分に配合すると、味、香りなどの風味が損なわれ好ましくない。そのため、しっとり感やもちもちした食感を持ちながら、味、香りなどの風味が良く、歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つ食品が求められていた。
特許文献1には、ドウ組成物に複合化物でない結晶セルロース単体を配合することで、しっとり感やもちもちとした食感と同時に歯切れの良い適度なさくい感を併せもつことが開示されている。
特許文献2には、食物繊維を付与し低カロリーにするためにセルロースをドウ組成物に配合することが開示されている。
特許文献3には、バクテリアセルロースをパン生地に配合することが開示されている。
特開2008−206435号公報 特開平5−95754号公報 特開平11−137163号公報
上述の通り、特許文献1〜3にはセルロースをドウ組成物に配合することが開示されているが、本願発明のようなもちもちとした食感は得られていない。特許文献1には、パン生地の製造法として、中種法、ストレート法等の記載があるが、本発明者らが特許文献1に記載されたドウ組成物を用い中種法でパンを試作したところ、本願発明のような食感は得られなかった。
本発明は、味、香りなどの風味が良く、しっとり感やもちもちとした食感と同時に歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つ食品が得られるドウ組成物を得ることができる結晶セルロース複合化物、及びそれを配合したドウ組成物、さらに、そのドウ組成物を含む食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を重ねた結果、ドウ組成物に特定の結晶セルロース複合化物を含有させることで、食品の食感が改善されることを見出して、本発明をなすに至った。すなわち本発明は下記の通りである。
(1)結晶セルロースを50〜99質量%、アルギン酸プロピレングリコールエステルを1〜50質量%を含有する、ドウ組成物用の結晶セルロース複合化物。
(2)結晶セルロース複合化物が、さらにカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを含有することを特徴とする上記(1)記載の結晶セルロース複合化物。
(3)結晶セルロース複合化物が、さらに乳化剤を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の結晶セルロース複合化物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶セルロース複合化物を含むことを特徴とするドウ組成物。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の結晶セルロース複合化物を固形分で、穀粉類に対し0.01〜10質量%を含むことを特徴とするドウ組成物。
(6)(4)又は(5)に記載のドウ組成物から得られるパン。
(7)(4)又は(5)に記載のドウ組成物から得られる焼き菓子。
本発明は、結晶セルロース複合化物をドウ組成物に用いることによって、しっとり感やもちもちとした食感と同時に歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つ食品を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明において、結晶セルロース複合化物とは、少なくとも結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステルを混練して得られるものであり、結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステルが特定の割合で化学結合をして複合化しているものである。
本発明において、「結晶セルロース」とは、木材パルプ、精製リンター、再生セルロー
ス、穀物又は果実由来の食物繊維、バクテリアセルロース等のセルロース系素材を、酸加
水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解、亜臨界水又は
超臨界水による加水分解等により、或いはそれらの組み合わせにより、解重合処理して平
均重合度30〜375としたものを洗浄、濾過して得られたセルロースのことである。
本発明において、「アルギン酸プロピレングリコールエステル」とは、アルギン酸中の
カルボキシル基にプロピレンオキシドがエステル化されたものである。そのエステル化度
と粘度に特に制限はないが、結晶セルロースとの複合化が進みやすく、複合化物の保水性が高まるという点から、エステル化度は50%以上、粘度(固形分1%の水溶液として)は300mPa・s以下とするのが好ましい。より好ましくは、エステル化度は70%以上、粘度は100mPa・s以下であり、さらに好ましくは、エステル化度は75%以上、粘度は70mPa・s以下である。
本発明において粘度は以下の方法で測定できる。
アルギン酸プロピレングリコールエステルを純水に溶解する(例えば、粉末の場合は、水分散液の全量を300mLにし、ホモジナイザー(NIHON SEIKI KAISYA製 エクセルオートホモジナイザーED−7型)を用いて、15000rpmで、溶解するまで分散させる。)。その後、1時間、25℃で静置した後、B型粘時計(TOKI SANGYO製 VISCOMETER TV−10型)を用いて計測する。ロータータイプは水溶液の粘度に応じて選択する。水溶液を入れたローターをセットし、30秒間静置した後、60rpmで、30秒間ローターを回転させる。この時粘度が測定される。
本発明の結晶セルロース複合化物は、結晶セルロースを50〜99質量%含み、アルギン酸プロピレングリコールエステルを1〜50質量%含む。結晶セルロース複合化物中の結晶セルロースが50質量%以上であれば、しっとり感やもちもちとした食感と同時に歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つ食品が得られる。また、アルギン酸プロピレングリコールエステルが1質量%以上であれば、結晶セルロースに対してアルギン酸プロピレングリコールエステルの量が十分であり、結晶セルロース複合化物を乾燥及び粉体化しても、結晶セルロース同士の角質化を防止できる。そのため、ドウ組成物中での結晶セルロース複合化物の分散性が良くなり、保水性が高まるため、しっとり感やもちもちとした食感を持つ食品が得られる。結晶セルロース複合化物中の結晶セルロースの含有量は、より好ましくは55〜90質量%であり、さらに好ましくは、60〜90質量%である。結晶セルロース複合化物中のアルギン酸プロピレングリコールエステルの含有量は、より好ましくは10〜45質量%であり、さらに好ましくは、10〜40質量%である。本発明で用いる結晶セルロース複合化物は、さらにカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを含むことが好ましい。好ましい配合量は5〜50質量%である。
本発明において、「カルボキシメチルセルロース・ナトリウム」とは、セルロースの水酸基がモノクロロ酢酸で、一部置換されたものである。カルボキシメチル基の置換度(エーテル化度)に関しては、結晶セルロースとの複合化が進みやすい点から、0.50〜1.50であることが好ましい。より好ましくは0.50〜1.00であり、さらに好ましくは、0.70〜0.90である。粘度(固形分2質量%の水溶液として)に関しては、良好な喉越しの点から、300mPa・s以下が好ましい。より好ましくは100mPa・s以下であり、さらに好ましくは50mPa・s以下であり、特に好ましくは10mPa・s以下である。結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステルとの複合化物に、さらにカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを加え複合化した結晶セルロース複合化物は、ドウ組成物中の分散性がさらに向上し、食品の保水性がさらに高まる。このため、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムを加えた結晶セルロース複合化物をパン類に配合すると、さらにしっとり感やもちもちとした食感と同時に歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つ食品となる。
複合化を促進して複合化物の保水性を高め、食品のしっとり感やもちもちとした食感を向上させるには、アルギン酸プロピレングリコールエステルとカルボキシメチルセルロース・ナトリウムの質量比を、1/9〜9/1とすることが好ましい。より好ましくは、2/8〜8/2、さらに好ましくは、4/6〜6/4である。
結晶セルロース複合化物は、乳化剤を含むことが好ましい。本発明において、「乳化剤」とは、親水基と疎水基を併せ持つ両親媒性化合物のことである。その化学構造は特に制限されるものではないが、例えば以下の化合物が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖イソ酪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の糖脂
肪酸エステル類、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリ
セリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセ
チル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノ
レイン酸エステル、グリセリン酢酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類、ステアロ
イル乳酸カルシウム、オキシエチレン高級脂肪族アルコール、オレイン酸ナトリウム、モ
ルホリン脂肪酸塩、ポリオキシエチレン高級脂肪族アルコール等。これらは複数用いることもできる。
特に、上述の乳化剤のなかでも、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが好ましい。本発明において、「ショ糖脂肪酸エステル」は、ショ糖の水酸基と脂肪酸が脱水縮合しエステル化した化合物のことである。このショ糖脂肪酸エステルは、親水性と疎水性のバランスを示すHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が10以下のものを用いると、結晶セルロースと乳化剤が複合化しやすく、しっとり感やもちもちとした食感と同時に歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つ効果が高くなるため好ましい。より好ましくは、HLBは5以下であり、さらに好ましくは4以下である。
結晶セルロース複合化物には、上述の乳化剤を0.1質量%以上配合することが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、特に好ましくは、1.5質量%以上である。乳化剤の添加量が多すぎると、結晶セルロース複合化物との複合化が進まないため、上限は10質量%以下が好ましい。より好ましくは、5質量%以下である。また、結晶セルロース複合化物は、発明の効果を失わない程度に親水性物質を加えることによって、ドウ組成物中での分散性が更に高まり、食品の保水性を高める効果が更に発揮される。
親水性物質とは、冷水への溶解性が高く、粘性を殆どもたらさず、常温で固体の物質である。具体的には、デキストリン類、水溶性糖類(ブドウ糖、果糖、蔗糖、乳糖、異性化糖、キシロース、トレハロース、カップリングシュガー、パラチノース、ソルボース、還元澱粉糖化飴、マルトース、ラクツロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等)、糖アルコール類(キシリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール等)等が挙げられる。これらは、複数用いることもできる。最も好ましい親水性物質はデキストリンである。
さらに、結晶セルロース複合化物は、本発明の目的を損なわない範囲で、各種目的に応じて任意の添加剤を含むことができる。添加剤の具体例としては、甘味剤、乳化剤、単糖類、多糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、デンプン類、可溶性デンプン、デンプン加水分解物、油脂類、蛋白質類、食塩、各種リン酸塩類等の塩類、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、酸味料、保存料、殺菌料、参加防止剤、防かび剤、香料、色素等を挙げることができる。
結晶セルロース複合化物の水分散時における平均粒径の範囲は1〜20μmが好ましい。粒径が前述の範囲ならば、結晶セルロース複合化物が添加されたドウ組成物を食する際に、口腔内でざらつきを感じにくく、食感が優れるため好ましい。より好ましくは3〜10μmである。さらに好ましくは3〜8.5μmである。特に好ましくは3〜8.0μmである。
ここでいう結晶セルロース複合化物の平均粒径とは、以下の方法で測定した粒径のことである。
結晶セルロース複合化物を1質量%で純水に希釈し、全量300mLの水分散液をつくる。それを、ホモジナイザー(NIHON SEIKI KAISYA製 エクセルオートホモジナイザーED−7型)に導入し、15000rpmで、5分間分散する。これを、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−910型)に導入し、超音波で1分間処理し、相対屈折率1.20で得られる積算体積50%の平均粒径として測定されるものである。
また、結晶セルロース複合化物の水分散時における微粒子成分量としては、20%以上が好ましい。微粒子成分とは、1μm以下の粒子のことであり、微粒子成分が前記の範囲を満たすことで、ドウ組成物中での分散性が高まり、好ましい。より好ましくは30質量%以上である。さらに好ましくは35質量%以上である。特に好ましくは、40質量%以上である。上限は、99質量%である。
ここでいう微粒子成分量は、以下の方法で測定できる。
本発明の結晶セルロース複合化物を、1質量%として純水で希釈し水分散体を全量300mLにし、ホモジナイザー(NIHON SEIKI KAISYA製 エクセルオートホモジナイザーED−7型)に導入し、15000rpmで、5分間分散した水分散液を作る。これを、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−910型)に導入し、超音波で1分間処理し、相対屈折率1.04で得られる1μm以下の成分含量として測定されるものである。
次に、結晶セルロース複合化物の製造方法を説明する。
本発明の結晶セルロース複合化物の製造方法としては、例えば結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステル、または結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステルとカルボキシメチルセルロース・ナトリウム、または、結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステルとカルボキシメチルセルロース・ナトリウムと乳化剤を含む混合物を、混練機等を用いて混練する方法等が挙げられる。この際に、必要に応じて、親水性物質、添加剤を添加しておくことも可能である。また、親水性物質と添加剤の添加に関しては、混練前に予め親水性物質と添加剤を混ぜ合わせてから添加してもよいし、混練中に親水性物質と添加物を混ぜ合わせてもよいし、添加剤を添加して混練した後に、親水性物質をさらに加えて混ぜ合わせてもよい。
混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよく、二種以上を組み合わせてもよい。混練時の温度は成り行きでもよいが、混練の際の摩擦等により発熱する場合には、除熱しながら混練してもよい。
混練工程において加水してもよいが、加水するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよいし、混練工程の途中で加水してもよいし、両方実施しても良い。ただし、混練物の粘性が高い半固形状態で混練することが好ましく、混練時の固形分は10質量%以上とすることが好ましい。この範囲で混練を制御することで、混練物が水っぽくならず、下記に述べる混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるため好ましい。混練時の固形分は、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは40質量%以上である。上限は特に限定されないが、混練物が水分量の少ない粉っぽい状態にならず、充分な混練効果と均一な混練状態が得られることを考慮して、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以下である。
ここで、混練エネルギーについて説明する。混練エネルギーとは混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義するものである。混練エネルギーは、50Wh/kg以上とすることが好ましい。より好ましくは80Wh/kg以上であり、さらに好ましくは100Wh/kg以上である。混練エネルギーが50Wh/kg以上であれば、混練物が十分に磨砕され、結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステルの複合化が進み、結晶セルロース複合化物を含む食品がしっとり感やもちもちとした食感と同時に歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つため好ましい。
複合化の程度は、結晶セルロースとその他の成分の水素結合の割合と考えられる。複合化が進むと、水素結合の割合が高くなり本発明の効果が向上する。混練エネルギーが高い程、混練物を磨砕する力が高まると考えられるが、混練エネルギーをあまり高くすると工業的に過大な設備になるのでコストの点から好ましくない。この観点から、混練エネルギーの上限は1000Wh/kgである。
本発明の結晶セルロース複合化物は、固形分1質量%の水分散液における貯蔵弾性率が0.1Pa以上が好ましい。この貯蔵弾性率が高い程、結晶セルロースとアルギン酸プロピレングリコールエステル及びカルボキシメチルセルロース・ナトリウムの複合化が進んでいるということであり、本発明の効果が大きくなるため好ましい。より好ましくは、0.3Pa以上であり、さらに好ましくは0.7Pa以上であり、特に好ましくは1.0Pa以上である。貯蔵弾性率の上限は、特に設定されるものではないが、現実的な範囲としては5.0Pa以下である。貯蔵弾性率を0.1Pa以上にするためには、混練エネルギーを50Wh/kg以上にすればよい。上述の貯蔵弾性率は、以下の方法で測定されるものである。
<貯蔵弾性率>
(1)固形分1質量%の水分散液となるように結晶セルロース複合化物と純水を量り取り、エースホモジナイザー((株)日本精機製作所、ED−7型)にて、15000rpmで5分間分散する。
(2)25℃の雰囲気中に3日間静置する。
(3)動的粘弾性測定装置に、サンプル液を入れてから5分間静置後、下記の条件で測定し、貯蔵弾性率(G’)を求める。
装置:ARES(100FRTN1型)
(Rheometric Scientific,Inc.製)
ジオメトリー:Double Wall Couette
温度:25℃
歪み:5%(固定)周波数:0.1→100rad/s
貯蔵弾性率は、上記の方法において、周波数0.1→100rad/sで掃引された周波数−貯蔵弾性率の曲線において、周波数20rad/sにおいて示される値のことである。
結晶セルロース複合化物を得るにあたって、前述の混練工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。乾燥後の結晶セルロース複合化物の含水率は1〜20質量%が好ましい。
結晶セルロース複合化物を市場に流通させる場合は、粉体の方が取り扱いやすいので、乾燥により得られた結晶セルロース複合化物を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、上述の乾燥方法で噴霧乾燥を選択した場合は、粉砕の必要はない。乾燥した結晶セルロース複合化物を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒径としては10〜250μmとなるように粉砕する。
本発明の結晶セルロース複合化物は、液体状、固体状、ゲル状又はペースト状の種々の形態でドウ組成物に配合することができる。
次に、ドウ組成物に関して説明する。
本発明のドウ組成物を、パン類、焼き菓子などのドウを製造するのに用いる際は、小麦粉、水、油を必須成分とするもので、必要に応じて食塩、砂糖、バター、ショートニング、マーガリン、卵製品、乳製品、グルテンの他に、イーストフード、ドウコンディショナー、香料、着色剤等を添加してもよい。
本発明のドウ組成物を、麺類を製造するのに用いる際は、小麦粉、そば粉、米粉、澱粉類、大麦粉、ライ麦粉等の穀粉類、および水を必須成分とし、食塩、かん水(かん粉)、卵製品、山芋、海苔、縮合りん酸塩等の保水剤、乳化剤、蛋白強化剤、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の栄養強化剤、保存料等を添加してもよい。結晶セルロースを用いたドウ組成物を麺類に用いることで、茹でた時に伸びにくく、腰のある麺が得られる。
また、本発明の効果を妨げない限りにおいて、上記の成分以外に、風味、外観などの改善を目的として、デンプン類、油脂類、蛋白質類、乳化剤、酸味料、甘味料、香料、色素などの、食品に使用できるその他の成分を適宜配合しても良い。その他の成分のドウ組成物における配合量は、計10質量%以下が好ましく、製造性、機能、価格などを適宜考慮して決定すればよい。
ドウ組成物を得るには、結晶セルロース複合化物を、小麦粉や他の原材料に配合して、ミキシングすればよい。結晶セルロース複合化物を乾燥し粉体化したものを用いる場合は、予め水に分散させ、分散液として他の原材料と配合するのが好ましい方法である。分散液の調整方法として、例えば高速回転型のホモジナイザーやピストン型高圧ホモジナイザー(10MPa以上)を用いることは好ましい実施態様の一つである。このようにすることで、ドウ組成物中における結晶セルロース複合化物の分散性が高まり、本発明の効果が充分に発揮される。
本発明のドウ組成物から得られる食品としては、ドウ組成物を発酵、焼成、蒸し、フライ、茹でなどの加熱処理することで得られるパン類、焼き菓子などが挙げられる。特にパン類において、食感改善の効果が顕著である。
ドウ組成物に配合する結晶セルロース複合化物の配合量は、食品の形態によって適宜変えることができるが、ドウ組成物に用いる穀粉類に対して0.01〜10質量%とするのが好ましい。0.1〜5質量%とするのがより好ましい。0.3〜3質量%とするのがさらに好ましい。
本発明のドウ組成物はパン類の生地として使用することができる。
パン類とは、食パン、菓子パン、フランスパン、ライ麦パン、クロワッサン、ナン、蒸しパン、ベーグル、パイ、調理パン、パン粉等が上げられるが、なかでも食パンが好ましい。
パン生地に用いる穀粉類としては、特に限定されるものではないが、小麦粉、薄力粉、中力粉、強力粉、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等が挙げられる。これらは、複数用いることもできる。
パン生地に用いる油脂としては、通常パン類に用いられるものであれば配合することができる。動物性、植物性のいずれでも良く、バター、ラード、マーガリン、ショートニングなどの可塑性を持ったもの、液状油、又はそれらに水素添加した硬化油(固体脂)、エステル交換油等が挙げられる。これらは、複数でも用いることができる。油脂の配合量としては、穀粉類100質量部に対し、0.5〜70質量部が好ましく、さらに1〜60質量部、特に3〜50重量部とすることが製パン作業性及び風味の点から好ましい。
パン類に用いる乳化剤としては、通常パン類に用いられるものであれば配合することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、レシチン誘導体等が挙げられる。これらは複数用いることもできる。乳化剤の配合量は、穀粉類100質量部に対し、0.1〜15質量部が好ましく、さらに0.1〜10質量部、特に0.2〜7質量部とすることが生地の調整時の作業性、食感及び保存性の点から好ましい。
パン類に用いる糖類は、食品に供し得るものであれば特に限定されるものではなく、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、アラビノース、キシロース、リボース、ガラクトース、ガラクツロン酸、ウロン酸、ラムノース、フコース、マンノース、又はこれらを構成成分とする還元糖を有する物質や混合物である水あめ等が挙げられ、単独又は複数を混合して使用出来る。これらの糖の添加量は穀粉類100質量部に対し、0.1〜50質量部が好ましく、さらには0.5〜20質量部である。
パンに用いるイーストは、生系イースト、ドライ系イーストのどちらでも良い。
製パン方法としては、いずれの製パン法も好適に実施することができる。例えば速成法、ストレート法、中種法、液種法、サワー種法、酒種法、ホップ種法、中麺法、チョリーウッド法、連続製パン法、冷蔵生地法等の製パン法を適宜選択して製造することが出来る。
ストレート製法では、オールインミックス法と2段ミキシング法があって、オールインミックス法では原材料全部を投入して混合する。2段ミキシング法では小麦粉、イースト、乳化剤及び水を混合し7割程度混合したあとに、油脂類を投入し再び混合して生地を仕上げる。
中種製法では原材料の一部(小麦粉、イースト、水、必要に応じてイーストフード、卵、砂糖)で種を作り、これを発酵させる。発酵終了後、残りの原材料を加え、生地を作る製法である。
液種法では、イースト、砂糖、食塩、イーストフード、モルトの全部または一部で液種を作り、一定時間後、残りの原料と共に生地を仕込む製法である。
パン類を食する際にはトーストしてもよい。ここで言うトーストとは、オーブンやトースターなどを使用した天火焼き、フライパンなどを使用した鉄板焼き、直接火で炙るなどの直火焼きなど、一般的に焼く調理方法を意味する。
本発明のドウ組成物はベーグルの生地として使用することができる。
一般のベーグルは小麦粉を主体とする穀粉、イースト、食塩および水等の原料からなる生地を発酵させた後にリング状に成型し、次いで茹でるまたは蒸した後、焼成して製造される。茹でる条件は、90〜100℃の温水に5〜120秒が好ましい。茹でる時間が長すぎると生地が硬くなり、もちもち感がなくなる。茹でる時は、片面ずつを茹でても良い。焼成は200〜250℃で15〜20分が好ましい。
ベーグルにはクリームやフルーツなどのフィリングやトッピングを加えるなどの加工を施してもよい。
本発明のドウ組成物は焼き菓子の生地として使用することができる。
焼き菓子とは、小麦粉、糖(砂糖、黒糖、異性化糖、コーンシロップ、デキストロース、蜂蜜、モルトシロップ、メイプルシロップ、糖蜜など)、鶏卵(全卵、卵黄、卵白、乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白など)を主な材料とし、場合によっては油脂、乳製品、膨張剤、香料、水など他の素材も加えた上で生地を作り、焼成した菓子類を指す。代表的な焼き菓子としては、スポンジ類(スポンジケーキ、パフケーキ、オムレット等)、パウンドケーキ類(パウンドケーキ、マドレーヌ、マフィン、バウムクーヘン等)、ビスケット類(ビスケット、クッキー、サブレ、クラッカー、ボーロ、ウェハース、スコーン等)、タルト、パイ、メレンゲ類(マカロン、スフレ等)、ガトー・ショコラ、ベイクドチーズケーキ、ブラウニー、カステラ、ホットケーキ、パンケーキ、どら焼き、ワッフル、たいやき、今川焼き(回転焼、大判焼)、人形焼、せんべい類(瓦煎餅、南部煎餅、えびせん等)、揚げ菓子(かりんとう、ドーナッツ類)があげられる。さらに前記焼き菓子にクリームやフルーツなどのフィリングやトッピングを加えるなどの加工を施したもの(例えばショートケーキなど)も焼き菓子に含まれる。
本発明のドウ組成物には保存料、酸化防止剤、甘味料、着色料、色素、品質改良剤、調味料、強化剤、香料、酵素、膨張剤などを配合しても良い。保存料としては、例えば、過酸化水素、ソルビン酸およびソルビン酸K、デヒドロ酢酸Na、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸および安息香酸Na、プロピオン酸およびその塩類、次亜塩素酸Na、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシン、エチルアルコール、ポリリジンおよびその製剤、プロタミンおよびその製剤、リゾチームおよびその製剤、ペクチン分解物、アラニン、チアミンラウリル硫酸塩、ユッカフォーム抽出物、キトサンおよびその製剤、プロピレングリコールなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、L−アスコルビン酸およびアスコルビン酸Na、エリソルビン酸およびエリソルビン酸Na、ミックストコフェノールなどが挙げられる。
甘味料としては、例えば「サッカリン、サッカリンNa、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、甘草抽出物、ステビア、ソーマチン、グリチルリチン、ネオテーム等の高甘味度甘味料」や、「異性化糖、水あめ、ブドウ糖、果糖、還元水あめ、ソルビトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、キシロース、カップリングシュガー、マルトース、乳糖などの低甘味度甘味料」などが挙げられる。
着色料としては、例えば、β−カロチン色素、抽出カロチン色素、ビタミンB2、銅クロロフィルおよび銅クロロフィルNa、アナトー、アカキャベツ、アカダイコン、イカスミ、植物炭末、ウコン、エルダーベリー、カカオ、カロブ、クロロフィル、クチナシ黄、クチナシ青、クチナシ赤、グレープスキン、コチニール、コーリャン、シソ、シアナット、スピルリナ、タマリンド、タマネギ、トマト、パプリカ、ビートレッド、ブドウ果汁、ベニコウジ、ベニバナ黄、ベニバナ赤、マリーゴールド、ムラサキイモ、ムラサキコーン、ラック、カラメルなどが挙げられる。
色素としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、赤色3号レーキ、赤色40号レーキ、黄色4号レーキ、黄色5号レーキ、青色1号レーキ、青色2号レーキなどが挙げられる。
品質改良剤としては、例えば、ステアロイル乳酸Ca、フィチン酸、プロピレングリコール、リン酸Ca、リン酸Na、ピロリン酸Na、ポリリン酸Na、メタ・ヘキサリン酸Na、リン酸K、リン酸アンモニウム、リン酸、焼みょうばん、生みょうばん、ホエーたん白、カゼイン、カゼイネート、卵白、プラズマパウダー、粉末状大豆たん白、粉末状小麦たん白、ペースト状小麦たん白、EDTA塩類などが挙げられる。
調味料としては、例えば、グルタミン酸Na、核酸系調味料、アミノ酸系調味料、エキス系調味料、酵母エキス、グリシン、アラニンなどが挙げられる。酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸液、グルコノデルタラクトンなどが挙げられる。
強化剤としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸およびニコチン酸アミド、葉酸、パトテン酸Ca、グルコン酸Ca、乳酸Ca、天然Ca、ミルクCaなどが挙げられる。
香料としては、例えば、ピーチフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー等のフルーツフレーバー類、アロマフレーバー類、マルトール、フラネオール等のシュガーフレーバー類、ソトロン等のフレーバーエンハンサー類、フラボノイド類、カカオマス等のポリフェノール類、プリカーサーフレーバー類、ミートフレーバー類、コーヒーフレーバー類、ミルクフレーバー、メントール類、デカラクトン類などが挙げられる。
酵素としては、例えば、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、プロテアーゼ、レンネット、パンクレアチン、パパインなどが挙げられる。
膨脹剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、DL−酒石酸水素カリウム、L−酒石酸水素カリウム、アジピン酸、L−アスコルビン酸、塩化アンモニウム又はベーキングパウダー等が挙げられる。
以下、本発明について実施例等を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
なお、本発明の実施例等で用いる測定評価手段などは以下の通りである。
食パンのキメの細かさ、食感検査を下記の手順で行った。
<食パンのキメの細かさ>
食パンの気泡の大きさと均一さを指標にしてキメの細かさを目視で判断し、比較例1のものを基準として以下の判断基準で判断した。
◎:基準より顕著に良好、○:基準より良好、−:基準と同じ、×基準より劣る
<食パンの食感検査(しっとり感、もちもち感、さくい感)>
製造後、20℃の雰囲気下で2時間保存した食パンをトーストする前後で食して食感検査を実施した。健常男女各10名(計20名)について、一人あたりの持ち点を5点とし、比較例1のものを基準として以下の判断基準で点数化した。続いて、20名の点数を合算し、100点満点で評価を行った。
5点:基準より顕著に良好
4点:基準より良好
3点:基準と同等
2点:基準より劣る
1点:基準より顕著に劣る
得られた合算値を、以下の基準にあてはめて評価を行った。
◎:基準より顕著に良好(75点≦合算値)
○:基準より良好(65点≦合算値<75点)
−:基準と同等(55点≦合算値<65点)
×:基準より劣る(合算値<55点)
<ビスケットの食感検査(サクサク感)>
製造後、20℃の雰囲気下で2時間保存したビスケットの食感検査を実施した。健常男女各10名(計20名)について、一人あたりの持ち点を5点とし、比較例6のものを基準として以下の判断基準で点数化した。続いて、20名の点数を合算し、100点満点で評価を行った。
5点:基準より顕著に良好
4点:基準より良好
3点:基準と同等
2点:基準より劣る
1点:基準より顕著に劣る
得られた合算値を、以下の基準にあてはめて評価を行った。
◎:基準より顕著に良好(75点≦合算値)
○:基準より良好(65点≦合算値<75点)
−:基準と同等(55点≦合算値<65点)
×:基準より劣る(合算値<55点)
以下、結晶セルロースをMCC、アルギン酸プロピレングリコールエステルをPGA、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムをCMCと、乳化剤をSEと記載する。
参考例1]
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い固形分が50質量%のウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。
プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)にMCC、PGA((株)大阪アルギン、NLS−K)を、MCC/PGAの質量比が90/10となるように投入し、固形分45質量%となるように加水した。その後、126rpmで混練し結晶セルロース複合化物Aを得た。混練エネルギーは100Wh/kgであった。結晶セルロース複合化物Aの平均粒径及び微粒子成分量は、8.5μm、31.5%であった。G’は0.17Paであった。表1に、実施例、比較例で製造した結晶セルロースまたは結晶セルロース複合化物の組成比等を示す。
結晶セルロース複合化物Aを用いて次のようにして食パンを作った。
ホームベーカリー(Panasonic SD−BM102)に、強力粉280g、バター10g、砂糖17g、脱脂粉乳6g、塩5g、ドライイースト4.2g、水(5℃)198.6g、結晶セルロース複合化物A3.1g(強力粉に対し固形分0.5質量%の量)を入れて、「早焼き」を選択して、食パンを作製した。作製後、食感検査を行った。結果を表2に示す。
参考例2]
MCC、PGA、CMCを、MCC/PGA/CMCの質量比が90/9/1となるように投入した以外は参考例1と同様の方法で、結晶セルロース複合化物Bを得た。結晶セルロース複合化物Bの平均粒径及び微粒子成分量は、8.5μm、31.5%であった。G’は0.17Paであった。
結晶セルロース複合化物Bを用いて参考例1と同様に食パンを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
MCC、PGA、CMCを、MCC/PGA/CMCの質量比が50/25/25となるように投入し、混練エネルギーを250Wh/kgとした以外は実施例1と同様の方法で、結晶セルロース複合化物Cを得た。結晶セルロース複合化物Cの平均粒径及び微粒子成分量は、8.4μm、32.3%であった。G’は0.27Paであった。
結晶セルロース複合化物Cを用いて実施例1と同様に食パンを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
MCC、PGA、CMC及びSEを、MCC/PGA/CMC/SEの質量比が84/8/8/4となるように投入し、混練エネルギーを200Wh/kgとした以外は実施例1と同様の方法で結晶セルロース複合化物Dを得た。結晶セルロース複合化物Dの平均粒径及び微粒子成分量は、7.8μm、38.2%であった。G’は0.70Paであった。
結晶セルロース複合化物Dを用いて実施例1と同様に食パンを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
強力粉210g、イースト6g、水(5℃)142.5gをミキサー(Shinagawa Type 5DM)を用いて低速(141rpm)で1分30秒間混合し中種生地を作製した。混捏温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、28℃、相対湿度85%の恒温室で4時間、中種一次発酵を行った。終了温度は28℃であった。この中種発酵の終了した生地を再び、ミキサーに投入し、さらに強力粉9g、結晶セルロース複合化物C6.7g(強力粉に対し固形分1質量%の量)、食塩6g、グラニュー糖15g、ショートニング15g、水(5℃)71.7gを添加し、低速(141rpm)で1分30秒間、高速(285rpm)で2分30秒間ミキシングしパン生地を得た。混捏温度は28℃であった。ここで、28℃で30分静置した後、成型モルダー(ナショナル Sheeter−moulder)を用いて成型(3/8インチ間隙で1回通し、その後三つ折後、2回通した)し、型(上縁:20.5×9.8cm、下縁:18.9×8.5cm、深さ:8cm、体積:1445cm)に詰めた。次いで、ホイロを用いて温度38℃、湿度90%の状態で型上縁2cm上に達するまで二次発酵させた。二次発酵後、オーブンの焼成温度を220℃、焼成時間を23分としてワンローフ型の食パンを製造し、食パンを得た。食感検査を行った結果を表2に示す。
[参考例6]
結晶セルロース複合化物Aを用いて次のようにビスケットを製造した。
小麦粉(薄力粉)300g、砂糖100g、炭酸水素ナトリウム6g、食塩3g、結晶セルロース複合化物A20.5gをポリ袋中で混合し、万能混合混練機に入れる。また、マーガリン200g、全卵30g、水25gも加え、120rpmで2分間撹拌し、ビスケットの生地を調製する。これを3mmの厚さに圧延し、直径30mmの円形の型で型抜きし、針状にとがった棒で1枚につき20個ずつ穴を開けて焼成し、ビスケットを製造し、評価した。結果は表3に示す。
[参考例7]
結晶セルロース複合化物Bを用いて参考例6と同様にビスケットを作製し、評価した。結果を表3に示す。
[実施例8]
結晶セルロース複合化物Cを用いて実施例6と同様にビスケットを作製し、評価した。結果を表3に示す。
[比較例1]
結晶セルロースを配合しないことと、水(5℃)の量を200gに変えた以外は、実施例1と同じように食パンを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
MCC、PGA、CMCを、MCC/PGA/CMCの質量比が45/28/27とな
るように投入した以外は実施例1と同様の方法で結晶セルロース複合化物Eを得た。結晶セルロース複合化物Eの平均粒径及び微粒子成分量は、9.0μm、30.5%であった。G’は0.12Paであった。
結晶セルロース複合化物Eを用いて実施例1と同様に食パンを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い固形分が50質量%のウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。その後、固形分が10質量%となるように加水し、媒体撹拌湿式粉砕装置(ビーズはジルコニア製で1.0mmφのものを70%充填している)を流量250kg/hrで2パス処理した。
この混練物を固形分が6質量%となるよう純水を加え(全量2500g)、数分間ミキサーで攪拌しながら、pHを8.0に調整し、噴霧乾燥(噴霧化ノズルφ0.25cm、缶体径0.9mのBowen型噴霧乾燥機、入口温度195℃/出口温度95℃)し、結晶セルロースFを得た。結晶セルロースFの平均粒径及び微粒子成分量は、2.9μm、98.5%であった。G’は0.005Paであった。
結晶セルロース複合化物Fを用いて実施例1と同様に食パンを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例4]
市販バガスパルプ(平均重合度=1320、α−セルロース含有量=77%)を、6×16mm角の矩形に裁断した。次いでセルロース濃度が3質量%、CMCの濃度が0.176質量%となるように、バガスパルプ、CMC、水(5℃)を量り取り、家庭用ミキサーで5分間撹拌した。この水分散液を砥石回転型粉砕機(商品名「セレンディピター」MKCA6−3型、グラインダー:MKE6−46、グラインダー回転数:1800rpm)で3回処理した。次いで得られた水分散液を水(5℃)で希釈して2質量%にし、高圧ホモジナイザー(商品名「マイクロフルイダイザー」M−140K型、処理圧力110MPa)で4パスし、微細な繊維状のMCCを得た。
MCC:CMC=85:15(質量部)となるように、MCCにCMC(1質量%水溶液粘度:1700mPa・s)を添加し、15kgを攪拌型ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製、商品名、T.K.オートホモミクサー M2−40型)で、8000rpmで10分間撹拌・混合した。これをドラムドライヤーにて乾燥し、スクレーパーで掻き取り、得られたものをカッターミル(不二パウダル株式会社製、商品名「フラッシュミル」)で、目開き2mmの篩をほぼ全通する程度に粉砕し、乾燥状態の結晶セルロース複合化物Hを得た。結晶セルロース複合化物HのG’は0.05Paであった。
結晶セルロース複合化物Hを用いて実施例5と同様に食パンを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例5]
結晶セルロース複合化物Eを用いて、実施例6と同じようにビスケットを作製し、評価した。結果を表3に示す。
[比較例6]
結晶セルロース複合化物を配合せずに、実施例6と同じようにビスケットを作製し、評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005782244
Figure 0005782244
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本発明の組成物は、しっとり感やもちもちとした食感をもちながら、味・香りなどの風味が良く、歯切れの良い適度なさくい感を併せ持つパン類や焼き菓子などの食品を製造する分野で好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 結晶セルロースを50〜99質量%、アルギン酸プロピレングリコールエステルを1〜50質量%を含有し、
    さらにカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを含有し、
    アルギン酸プロピレングリコールエステルとカルボキシメチルセルロース・ナトリウムの質量比が2/8〜8/2であり、
    1質量%の水分散液における貯蔵弾性率が0.27Pa以上である、結晶セルロース複合化物を含む、ドウ組成物
  2. 結晶セルロース複合化物が、さらに乳化剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のドウ組成物
  3. 結晶セルロース複合化物を固形分で、穀粉類に対し0.01〜10質量%を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のドウ組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のドウ組成物から得られるパン。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のドウ組成物から得られる焼き菓子。
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