JP5777733B2 - ベーン型圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、ベーン型圧縮機に関する。
従来、ロータシャフト(シリンダ内で回転運動する円柱形のロータ部と、ロータ部に回転力を伝達するシャフトと、が一体化されたもの)のロータ部内に一箇所又は複数箇所形成されたベーン溝内にベーンが嵌入され、そのベーンの先端がシリンダ内周面と当接しながら摺動する構成の一般的なベーン型圧縮機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ロータシャフトの内側を中空に構成しその中にベーンの固定軸を配し、ベーンはその固定軸に回転可能に取り付けられ、更に、ロータ部の外周部付近に半円柱形状の一対の挟持部材(以下、ブッシュという)を介してベーンがロータ部に対して回転自在(揺動自在)に保持されているベーン型圧縮機も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−252675号公報(要約、図1) 特開2000−352390号公報(要約、図1)
従来の一般的なベーン型圧縮機(例えば、上記特許文献1)は、ベーンの方向がロータシャフトのロータ部内に形成されたベーン溝により規制されているため、ベーンはロータ部に対して常に同じ傾きとなるように保持される。このため、ロータシャフトの回転に伴い、ベーンとシリンダ内周面の成す角度が変化する。したがって、シリンダ内周面の全周に亘ってベーン先端が当接するためには、ベーン先端の円弧の半径をシリンダ内周面の半径に比べて小さく構成する必要があった。
つまり、従来の一般的なベーン型圧縮機においてシリンダ内周面の全周に亘ってベーン先端を当接させる場合、半径の大きく異なるシリンダ内周面とベーン先端とが摺動することとなる。このため、二つの部品(シリンダ、ベーン)間の潤滑状態は、両者の間に油膜を形成しその油膜を介して摺動する流体潤滑の状態にはならず、境界潤滑状態となってしまう。一般に、潤滑状態による摩擦係数は、流体潤滑では0.001〜0.005程度なのに対し、境界潤滑状態では非常に大きくなり、概ね0.05以上となる。
したがって、従来の一般的なベーン型圧縮機の構成では、ベーンの先端とシリンダの内周面が境界潤滑状態で摺動することにより摺動抵抗が大きくなり、機械損失の増大による圧縮機効率の大幅な低下が発生してしまうという課題があった。また、従来の一般的なベーン型圧縮機の構成では、ベーンの先端及びシリンダ内周面が摩耗しやすく、長期の寿命を確保することが困難であるという課題があった。
そこで、上記の課題を解決するために提案されたものの1つとして、特許文献2に記載の従来のベーン型圧縮機がある。特許文献2に記載の従来のベーン型圧縮機のような構成にすることにより、ベーンはシリンダ内周面の中心にて回転支持されることとなるため、ベーンの長手方向は常にシリンダ内周面の法線方向となる。つまり、ベーンの長手方向は常にシリンダ内周面の中心に向かうため、ベーン先端はシリンダの内周面に沿うように回転することとなる。このため、ベーン先端とシリンダの内周面間に微小な隙間を保ち、非接触にして運転することが可能となり、ベーン先端での摺動による損失が発生せず、またベーン先端及びシリンダの内周面が摩耗することの無い、ベーン型圧縮機を得ることができる。
しかしながら、特許文献2に記載の従来のベーン型圧縮機は、ロータシャフトの内部を中空に構成する必要があるため、ロータ部への回転力の付与やロータ部の回転支持が難しくなってしまう。より詳しくは、上記特許文献2に記載の従来のベーン型圧縮機は、ロータ部の両端面に端板(回転基盤2a、回転保持部材2b)を設けている。そして、片側の端板(回転基盤2a)は、回転軸からの動力を伝達する必要があるため円盤状であり、端板の中心に回転軸が接続される構成となっている。また、他側の端板(回転保持部材2b)は、ベーン固定軸(固定軸1b)やベーン軸支持材(軸支部材1a)の回転範囲と干渉しないように構成する必要があるため、中央部に穴の開いたリング状に構成する必要がある。このため、ロータ部と共に回転する端板を回転支持する部分は、回転軸(回転軸2c)に比べて大径に構成する必要があり、軸受摺動損失が大きくなるという課題があった。
また、ロータ部とシリンダ内周面との間には圧縮したガス(ガス状冷媒)が漏れないように狭い隙間を形成するため、ロータ部の外径や回転中心には高い精度が必要とされる。しかしながら、上記特許文献2に記載の従来のベーン型圧縮機は、ロータ部と端板が別々の部品で構成されるため、ロータ部と端板との締結により発生する歪みやロータ部と端板の同軸ズレ等により、ロータ部の外径や回転中心の精度を悪化させてしまうという課題があった。
また、特許文献2に記載の従来のベーン型圧縮機は、理論的にはベーン先端とシリンダ内周面との間に微小な隙間を保ち、非接触にして運転することが可能となっている。しかしながら、特許文献2では、ベーン先端部の半径とシリンダ内周面の半径との関係を規定していないため、ベーンやシリンダの加工公差等によっては、ベーン先端部の幅方向端部とシリンダ内周面とが接触してしまう場合があるという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、回転軸の軸受摺動損失を低減し、且つロータ部とシリンダ内周面間を狭い隙間で形成して漏れ損失を低減するために、ベーン先端部の円弧とシリンダ内周面の法線が常にほぼ一致するように圧縮動作を行なうために必要な機構(ベーンがシリンダの中心周りに回転運動する機構)を、ロータ部の外径や回転中心精度悪化をもたらすロータ部の端板を用いず、ロータ部と回転軸を一体に構成することで実現できるベーン型圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係るベーン型圧縮機は、略円筒状で、軸方向の両端が開口しているシリンダと、前記シリンダの軸方向の両端を閉塞するシリンダヘッド及びフレームと、前記シリンダ内で回転運動する円柱形のロータ部及び前記ロータ部に回転力を伝達するシャフト部を有するロータシャフトと、前記ロータ部内に設置された複数のベーン部を有するベーン型圧縮機において、前記フレーム及び前記シリンダヘッドの前記シリンダ側の端面に、外周面が前記シリンダの内周面と同心となる凹部またはリング状の溝が形成され、前記外周面に沿って摺動自在に回転し、前記ベーン部を支持するベーンアライナ部を設け、前記ベーンアライナ部は、外周面が円弧形状の部分リング形状であり、前記ベーン部のそれぞれは、自らの前記ベーンアライナ部の周方向端部が前記ロータ部の1回転中に他の前記ベーンアライナ部の周方向端部と前記軸方向に重なり、前記軸方向に重なり合う前記ベーンアライナ部の周方向端部どうしが前記溝内で前記シリンダの中心軸の方向にずれて配置されることによって互いに干渉しないように設けられているものである。
本発明に係るベーン型圧縮機は、フレーム及びシリンダヘッドのシリンダ側の端面に、外周面がシリンダの内周面と同心となる凹部またはリング状の溝が形成されており、また、凹部またはリング状の溝の外周面に沿って摺動自在に回転し、ベーン部を支持するベーンアライナ部を備えている。このため、ベーン部の先端の円弧とシリンダ内周面の法線が常にほぼ一致するように圧縮動作を行なうために必要な機構(ベーン部がシリンダの中心周りに回転運動する機構)を、ロータ部とシャフト部(回転軸)を一体にした構成で実現できる。また、本発明に係るベーン型圧縮機においては、複数のベーン部のそれぞれは、自らのベーンアライナ部の周方向端部がロータ部の1回転中に他のベーンアライナ部の周方向端部と軸方向に重なり、軸方向に重なり合うベーンアライナ部の周方向端部どうしが溝内でシリンダの中心軸の方向にずれて配置されることによって干渉しないように設けられている。このため、ベーンアライナ部の円弧角度を大きくすることもできる。
したがって、回転軸を小径で支持できることで軸受摺動損失を低減し、且つロータ部の外径や回転中心の精度が向上することでロータ部とシリンダ内周面間を狭い隙間で形成して漏れ損失を低減することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機の圧縮要素を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮要素の第1のベーン及び第2のベーンを示す図面である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮要素のブッシュを示す斜視図である。 ベーン部先端及びシリンダ内周面近傍を示す要部拡大図(平面図)である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮要素の断面図であり、図1のI−I線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮要素の圧縮動作を示す説明図であり、図1のI−I線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態1に係るベーンアライナ部の回転動作を説明するための説明図であり、図1のII−II線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態1に係るベーンのベーン部近傍を示す要部拡大図である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮要素の別の一例を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮要素のさらに別の一例を説明するための説明図である。 図11に示す圧縮要素の圧縮動作を示す説明図(断面図)である。 本発明の実施の形態2に係るベーン型圧縮機の圧縮要素のベーンを示す図面である。 本発明の実施の形態2に係る圧縮要素のベーンの別の一例を示す図面である。 本発明の実施の形態2に係る圧縮要素の別の一例を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態3に係るベーン型圧縮機の圧縮要素のベーンを示す図面である。
以下、下記の各実施の形態において、本発明に係るベーン型圧縮機の一例について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機を示す縦断面図である。図2は、このベーン型圧縮機の圧縮要素を示す分解斜視図である。図3は、この圧縮要素の第1のベーン及び第2のベーンを示す図面であり、図3(a)が第1のベーン及び第2のベーンの平面図、図3(b)が第1のベーン及び第2のベーンの正面図を示している。図4は、この圧縮要素のブッシュを示す斜視図である。図5は、この圧縮要素のベーン部先端及びシリンダ内周面近傍を示す要部拡大図(平面図)である。なお、図1において、実線の矢印はガス(冷媒)の流れを示しており、破線の矢印は冷凍機油25の流れを示している。以下、これら図1〜図5を参照しながら、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200について説明する。
ベーン型圧縮機200は、密閉容器103内に、圧縮要素101と、この圧縮要素101を駆動する電動要素102とが収納されている。圧縮要素101は、密閉容器103の下部に配置されている。電動要素102は、密閉容器103の上部(より詳しくは、圧縮要素101の上方)に配置されている。また、密閉容器103内の底部には、冷凍機油25を貯溜する油溜め104が設けられている。また、密閉容器103の側面には吸入管26、上面には吐出管24が取り付けられている。
圧縮要素101を駆動する電動要素102は、例えば、ブラシレスDCモータで構成される。電動要素102は、密閉容器103の内周に固定された固定子21と、固定子21の内側に配設され、永久磁石を使用した回転子22とを備える。密閉容器103に溶接等で固定されたガラス端子23を介して固定子21のコイルに電力が供給されると、固定子21に発生した磁界によって回転子22の永久磁石に駆動力が付与され、回転子22が回転する。
圧縮要素101は、吸入管26から低圧のガス冷媒を圧縮室に吸入して圧縮し、圧縮した冷媒を密閉容器103内に吐出するものである。密閉容器103内に吐出されたこの冷媒は、電動要素102を通過して密閉容器103の上部に固定(溶接)された吐出管24から外部(冷凍サイクルの高圧側)に吐出される。この圧縮要素101は、以下に示す要素を有する。なお、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200は、ベーン枚数が2枚(第1のベーン5、第2のベーン6)のものについて示している。
(1)シリンダ1:全体形状が略円筒状で、中心軸方向の両端部が開口している。また、略円筒状に形成されたシリンダ内周面1bの一部には、中心軸方向に貫通し、外側に抉られた(外周側に凸形状となった)切欠き部1cが設けられている。そして、切欠き部1cには、外周面からシリンダ内周面1bにかけて、吸入ポート1aが開口している。また、後述する最近接点32を挟んで吸入ポート1aと反対側となる位置には、吐出ポート1dが形成されている。この吐出ポート1dは、最近接点32の近傍に形成され、後述するフレーム2に面した側に形成されている(図2、図6参照)。また、外周部には軸方向(シリンダ内周面1bの中心軸に沿った方向)に貫通した油戻し穴1eが形成されている。
(2)フレーム2:略円板状部材の上部に円筒状部材が設けられたものであり、縦断面が略T字形状となっている。略円板状部材は、シリンダ1の一方の開口部(図2では上側)を閉塞するものである。この略円板状部材のシリンダ1側端面(図2では下面)には、シリンダ1のシリンダ内周面1bと同心である有底円筒形状の凹部2aが形成されている。凹部2aには後述する第1のベーン5のベーンアライナ部5c及び第2のベーン6のベーンアライナ部6cが挿入され、凹部2aの外周面であるベーンアライナ軸受部2bで支承(回転及び摺動自在に支持)される。また、フレーム2は、略円板状部材のシリンダ1側端面から略円筒状部材を貫通するように、貫通孔が形成されている。この貫通孔には、主軸受部2cが設けられている。主軸受部2cは、後述するロータシャフト4の回転軸部4bを支承するものである。また、フレーム2には、吐出ポート1dと連通する吐出ポート2dが形成されている。また、略円板状部材のシリンダ1と反対側の面には、吐出ポート2dの開口部を覆う吐出弁27(図2のみに図示)、及び吐出弁27の開度を規制するための吐出弁押え28(図2のみに図示)が取り付けられている。なお、凹部2aは、シリンダ内周面1bと同心の溝部(リング状溝)として形成してもよい。
(3)シリンダヘッド3:略円板状部材の下部に円筒状部材が設けられたものであり、縦断面が略T字形状となっている。略円板状部材は、シリンダ1の他方の開口部(図2では下側)を閉塞するものである。この略円板状部材のシリンダ1側端面(図2では上面)には、シリンダ1のシリンダ内周面1bと同心である有底円筒形状の凹部3aが形成されている。凹部3aには、後述する第1のベーン5のベーンアライナ部5d及び第2のベーン6のベーンアライナ部6dが挿入され、凹部3aの外周面であるベーンアライナ軸受部3bで支承される。また、シリンダヘッド3は、略円板状部材のシリンダ1側端面から略円筒状部材を貫通するように、貫通孔が形成されている。この貫通孔には、主軸受部3cが設けられている。主軸受部3cは、後述するロータシャフト4の回転軸部4cを支承するものである。なお、凹部3aは、シリンダ内周面1bと同心の溝部(リング状溝)として形成してもよい。
(4)ロータシャフト4:シリンダ1内でシリンダ1の中心軸とは偏心した中心軸で回転運動を行う略円筒形状のロータ部4a、ロータ部4aと同心となるようにロータ部4aの上部に設けられた回転軸部4b、及び、ロータ部4aと同心となるようにロータ部4aの下部に設けられた回転軸部4cを備えている。これらロータ部4a、回転軸部4b及び回転軸部4cは、一体構造で形成されている。回転軸部4b及び回転軸部4cは、上述のように、主軸受部2c及び主軸受部3cに支承されるものである。また、ロータ部4aには、軸方向に貫通する複数の略円筒状(断面が略円形)の貫通孔(ブッシュ保持部4d,4e及びベーン逃がし部4f,4g)が形成されている。これら貫通孔のうち、ブッシュ保持部4dとベーン逃がし部4fとが側面部において連通しており、ブッシュ保持部4eとベーン逃がし部4gとが側面部において連通している。また、ブッシュ保持部4d及びブッシュ保持部4eは、その側面部がロータ部4aの外周部側に開口している。また、ベーン逃がし部4f及びベーン逃がし部4gの軸方向端部はフレーム2の凹部2a及びシリンダヘッド3の凹部3aと連通している。また、ブッシュ保持部4dとブッシュ保持部4e、ベーン逃がし部4fとベーン逃がし部4gとは、ロータ部4aの回転軸に対してほぼ対称の位置に配置されている(後述する図6も参照)。
また、ロータシャフト4の下端部には、例えば特開2009−264175号公報に記載されているような油ポンプ31(図1にのみ図示)が設けられている。この油ポンプ31は、ロータシャフト4の遠心力を利用して油溜め104内の冷凍機油25を吸引するものである。この油ポンプ31はロータシャフト4の軸中央部に設けられ軸方向に延在する給油路4hと連通しており、給油路4hと凹部2a間には給油路4i、給油路4hと凹部3a間には給油路4jが設けられている。また、回転軸部4bの主軸受部2cの上方の位置に排油穴4k(図1にのみ図示)が設けられている。
(5)第1のベーン5:ベーン部5a、ベーンアライナ部5c及びベーンアライナ部5dが一体形成されて構成されている。ベーン部5aは、側面視略四角形の板状部材であり、シリンダ内周面1bの中心軸方向においてシリンダ1と略同寸法となっている。このベーン部5aは、シリンダ1のシリンダ内周面1b側に位置するベーン先端部5b(ロータ部4aから突出する側の先端部)が平面視において外側に凸となる円弧形状に形成されている。このベーン先端部5bの円弧形状の半径は、シリンダ1のシリンダ内周面1bの半径とほぼ同等の半径で構成されている(図5参照)。また、ベーン部5aのベーン先端部5bと反対側の端部(以下、内周側端部という)近傍には、上面(フレーム2との対向面)に、接続部5eを介してベーン部5aを支持する部分リング形状(リング形状の一部分の形状、円弧形状)のベーンアライナ部5cが設けられている。同様に、ベーン部5aの内周側端部近傍には、下面(シリンダヘッド3との対向面)に、接続部5fを介してベーン部5aを支持する部分リング形状のベーンアライナ部5dが設けられている。ここで、ベーン部5a、ベーンアライナ部5c及びベーンアライナ部5dは、ベーン部5aのベーン長手方向及びベーン先端部5bの円弧の法線方向がベーンアライナ部5c,5dを形成する円弧の中心を通るように形成されている。なお、ベーン部5a、ベーンアライナ部5c及びベーンアライナ部5dを別体で形成した後、ベーンアライナ部5c及びベーンアライナ部5dをベーン部5aに一体に取り付けてもよい。
また、第1のベーン5のベーンアライナ部5cは、その周方向端部5gが後述する第2のベーン6のベーンアライナ部6cの周方向端部6gと1回転中で互いに接触しないように、フレーム2の凹部2a内に設けられている(図1、図3参照)。詳しくは、ベーン部5aとベーンアライナ部5cとを接続する接続部5eの長さが、後述のベーン部6aとベーンアライナ部6cとを接続する接続部6eの長さと異なっている(接続部6eよりも長くなっている)。そして、第1のベーン5のベーンアライナ部5cと第2のベーン6のベーンアライナ部6cとは(より詳しくは、ベーンアライナ部5cの周方向端部5g近傍とベーンアライナ部6cの周方向端部6g近傍とが)、シリンダ内周面1bの中心軸方向に隙間を介して重なるように、フレーム2の凹部2a内に設けられている。同様に、第1のベーン5のベーンアライナ部5dは、その周方向端部5hが後述する第2のベーン6のベーンアライナ部6dの周方向端部6hと1回転中で互いに接触しないように、シリンダヘッド3の凹部3a内に設けられている(図1、図3参照)。詳しくは、ベーン部5aとベーンアライナ部5dとを接続する接続部5fの長さが、後述のベーン部6aとベーンアライナ部6dとを接続する接続部6fの長さと異なっている(接続部6fよりも長くなっている)。そして、第1のベーン5のベーンアライナ部5dと第2のベーン6のベーンアライナ部6dとは(より詳しくは、ベーンアライナ部5dの周方向端部5h近傍とベーンアライナ部6dの周方向端部6h近傍とが)、シリンダ内周面1bの中心軸方向に隙間を介して重なるように、シリンダヘッド3の凹部3a内に設けられている。
(6)第2のベーン6:ベーン部6a、ベーンアライナ部6c及びベーンアライナ部6dが一体形成されて構成されている。ベーン部6aは、側面視略四角形の板状部材であり、シリンダ内周面1bの中心軸方向においてシリンダ1と略同寸法となっている。このベーン部6aは、シリンダ1のシリンダ内周面1b側に位置するベーン先端部6b(ロータ部4aから突出する側の先端部)が平面視において外側に凸となる円弧形状に形成されている。このベーン先端部6bの円弧形状の半径は、シリンダ1のシリンダ内周面1bの半径とほぼ同等の半径で構成されている(図5参照)。また、ベーン部6aのベーン先端部6bと反対側の端部(以下、内周側端部という)近傍には、上面(フレーム2との対向面)に、接続部6eを介してベーン部6aを支持する部分リング形状のベーンアライナ部6cが設けられている。同様に、ベーン部6aの内周側端部近傍には、下面(シリンダヘッド3との対向面)に、接続部6fを介してベーン部6aを支持する部分リング形状のベーンアライナ部6dが設けられている。ここで、ベーン部6a、ベーンアライナ部6c及びベーンアライナ部6dは、ベーン部6aのベーン長手方向及びベーン先端部6bの円弧の法線方向がベーンアライナ部6c,6dを形成する円弧の中心を通るように形成されている。なお、ベーン部6a、ベーンアライナ部6c及びベーンアライナ部6dを別体で形成した後、ベーンアライナ部6c及びベーンアライナ部6dをベーン部6aに一体に取り付けてもよい。
また、上述のように、第2のベーン6のベーンアライナ部6cは、その周方向端部6gが第1のベーン5のベーンアライナ部5cの周方向端部5gと1回転中で互いに接触しないように、フレーム2の凹部2a内に設けられている(図1、図3参照)。詳しくは、ベーン部6aとベーンアライナ部6cとを接続する接続部6eの長さが、ベーン部5aとベーンアライナ部5cとを接続する接続部5eの長さよりも短くなっている。そして、第1のベーン5のベーンアライナ部5cと第2のベーン6のベーンアライナ部6cとは(より詳しくは、ベーンアライナ部5cの周方向端部5g近傍とベーンアライナ部6cの周方向端部6g近傍とが)、シリンダ内周面1bの中心軸方向に隙間を介して重なるように、フレーム2の凹部2a内に設けられている。同様に、第2のベーン6のベーンアライナ部6dは、その周方向端部6hが第1のベーン5のベーンアライナ部5dの周方向端部5hと1回転中で互いに接触しないように、シリンダヘッド3の凹部3a内に設けられている(図1、図3参照)。詳しくは、ベーン部6aとベーンアライナ部6dとを接続する接続部6fの長さが、ベーン部5aとベーンアライナ部5dとを接続する接続部5fの長よりも短くなっている。そして、第1のベーン5のベーンアライナ部5dと第2のベーン6のベーンアライナ部6dとは(より詳しくは、ベーンアライナ部5dの周方向端部5h近傍とベーンアライナ部6dの周方向端部6h近傍とが)、シリンダ内周面1bの中心軸方向に隙間を介して重なるように、シリンダヘッド3の凹部3a内に設けられている。
(7)ブッシュ7,8:略半円柱状の部材を一対として構成される。ブッシュ7は、第1のベーン5のベーン部5aを挟持した状態で、ロータ部4aのブッシュ保持部4dに回転自在に挿入される。また、ブッシュ8は、第2のベーン6のベーン部6aを挟持した状態で、ロータ部4aのブッシュ保持部4eに回転自在に挿入される。つまり、第1のベーン5のベーン部5aがブッシュ7の間を摺動することにより、第1のベーン5はロータ部4aに対して回転可能かつ移動(スライド)可能に支持される。また、ブッシュ7がロータ部4aのブッシュ保持部4d内で回転することにより、第1のベーン5は揺動することができる。同様に、第2のベーン6のベーン部6aがブッシュ8の間を摺動することにより、第2のベーン6はロータ部4aに対して回転可能かつ移動(スライド)可能に支持される。また、ブッシュ8がロータ部4aのブッシュ保持部4e内で回転することにより、第2のベーン6は揺動することができる。
また、本実施の形態1に係るブッシュ7は、ブッシュ円弧部7b(ブッシュ7の円弧状の外周部)のシリンダ内周面1b側の端部が平坦に切り欠かれ、ブッシュ切欠き面7cが形成されている。またブッシュ円弧部7bのシリンダ内周面1bと反対側の端部も平坦に切り欠かれ、ブッシュ切欠き面7dが形成されている。ブッシュ切欠き面7cを形成することにより、ロータ部4aの外径を小さくしても、ブッシュ7がブッシュ保持部4d内を回転した際にブッシュ7がロータ部4aの外周から突出することを防止できる(つまり、ブッシュ7がシリンダ内周面1bに接触することを防止できる)。同様に、本実施の形態1に係るブッシュ8は、ブッシュ円弧部8b(ブッシュ8の円弧状の外周部)のシリンダ内周面1b側の端部が平坦に切り欠かれ、ブッシュ切欠き面8cが形成されている。またブッシュ円弧部8bのシリンダ内周面1bと反対側の端部も平坦に切り欠かれ、ブッシュ切欠き面8dが形成されている。ブッシュ切欠き面8cを形成することにより、ロータ部4aの外径を小さくしても、ブッシュ8がブッシュ保持部4d内を回転した際にブッシュ8がロータ部4aの外周から突出することを防止できる(つまり、ブッシュ8がシリンダ内周面1bに接触することを防止できる)。
ここで、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6d、凹部2a,3aのベーンアライナ軸受部2b,3b、ブッシュ保持部4d,4e、及びブッシュ7,8が、本発明におけるベーン角度調整手段に相当する。
(動作説明)
続いて、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200の動作について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る圧縮要素の断面図である。この図は、図1のI−I線に沿った断面図であり、図7で後述するようにロータ部4a(ロータシャフト4)の回転角度が90°の状態を示している。
図6に示すように、ロータシャフト4のロータ部4aとシリンダ1のシリンダ内周面1bは一箇所(図6に示す最近接点32)において最近接している。
ここで、ベーンアライナ軸受部2b,3bの半径をr(後述する図8参照)、シリンダ内周面1bの半径をr(図6参照)としたとき、第1のベーン5のベーンアライナ部5c,5dの外周面側とベーン先端部5b間の距離X(図3参照)は、下式(1)のように設定している。
(数1)
=r−r−δ…(1)
δはベーン先端部5bとシリンダ内周面1b間の最小隙間であり(図5参照)、式(1)のようにXを設定することで、第1のベーン5はシリンダ内周面1bに接触することなく、回転することとなる。ここで、δが極力小さくなるようにXを設定し、ベーン先端部5bからの冷媒の漏れを極力少なくしている。なお、式(1)の関係は、第2のベーン6においても同様で、第2のベーン6のベーン先端部6bとシリンダ内周面1b間は狭い隙間を保ちつつ、第2のベーン6は回転することとなる。
なお、ベーン先端部5bとシリンダ内周面1b間の最小隙間δは、ベーン先端部5b,6bの幅方向の略中心部とシリンダ内周面1b間の隙間を想定している。このため、シリンダ内周面1bやベーン先端部5b,6bの加工公差等によっては、ベーン先端部5b,6bの半径r(図5参照)がシリンダ内周面1bの半径rよりも大きくなる場合もある。このような場合、ベーン先端部5b,6bの幅方向端部がシリンダ内周面1bに接触してしまうことが懸念される。このため、ベーン先端部5b,6bの半径r(図5参照)とシリンダ内周面1bの半径rとの関係が下式(2)を満たすように、シリンダ1、第1のベーン5及び第2のベーン6を設計している。
(数2)
≦r…(2)
さらに、rをrよりも小さくし過ぎると、ベーン先端部5b,6bの幅方向端部とシリンダ内周面1b間の隙間δ(図5参照)が大きくなるため、漏れ損失が増加する問題がある。そのため、δとδとが式(3)を満たすように、シリンダ1、第1のベーン5及び第2のベーン6を設計するのが望ましい(図5参照)。
(数3)
δ≦2δ…(3)
式(3)を満たすためには、ベーン先端部5b,6bの幅をt(図5参照)、α=r/r、β=t/2r、δ=δ/rとしたとき、下式(4)の寸法関係を満たすように、シリンダ1、第1のベーン5及び第2のベーン6を設計すればよい。
(数4)
(−1+(1−β)+α(1−(1−(β/α)0.5 ))≧δ…(4)
なお、式(2)、式(3)の寸法関係は、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機に係らず、ベーン先端とシリンダ内周面に一定の隙間を保ちながら動作する全てのベーン型圧縮機(例えば、特許文献2参照)にも適用可能である。
以上のように、第1のベーン5とシリンダ内周面1b、第2のベーン6とシリンダ内周面1bとがそれぞれ狭い隙間を保つことにより、シリンダ1内には3つの空間(吸入室9、中間室10、圧縮室11)が形成される。吸入室9には、切欠き部1cを介して、冷凍サイクルの低圧側に連通する吸入ポート1aが開口している。圧縮室11は、シリンダ1に設けた吐出ポート1dを介して、フレーム2に形成された吐出ポート2dと連通している。吐出ポート2dは、吐出時以外は吐出弁27で閉塞されている。なお、切欠き部1cは、図6(回転角度90°)において、最近接点32の近傍から、第1のベーン5のベーン先端部5bとシリンダ内周面1bが相対する点Aの範囲まで設けられている。
したがって、中間室10は、回転角度90°までは吸入ポート1aと連通するが、その後、吸入ポート1a及び吐出ポート1dのいずれとも連通しない回転角度範囲が有り、その後、吐出ポート1dと連通する。なお、図4及び図6に示す7a,8aはブッシュ7,8のブッシュ中心で、それぞれブッシュ7,8の回転中心である。
まず、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200の回転動作について説明する。
ロータシャフト4の回転軸部4bが駆動部である電動要素102からの回転動力を受けると、ロータ部4aは、シリンダ1内で回転する。ロータ部4aの回転に伴い、ロータ部4aの外周付近に配置されたブッシュ保持部4d,4eは、ロータシャフト4を回転軸(中心軸)とした円周上を移動する。そして、ブッシュ保持部4d内に保持されている一対のブッシュ7及びその一対のブッシュ7の間に摺動可能に保持されている第1のベーン5のベーン部5aもロータ部4aとともに回転する。同様に、ブッシュ保持部4e内に保持されている一対のブッシュ8、及びその一対のブッシュ8の間に摺動可能に保持されている第2のベーン6のベーン部6aもロータ部4aとともに回転する。
第1のベーン5及び第2のベーン6は、回転による遠心力を受け、ベーンアライナ部5c,6c及びベーンアライナ部5d,6dがベーンアライナ軸受部2b,3bにそれぞれ押し付けられて摺動しながら、ベーンアライナ軸受部2b,3bの中心軸まわりに回転する。ここで、上述のように、ベーンアライナ軸受部2b,3bとシリンダ内周面1bとは同心である。このため、第1のベーン5及び第2のベーン6はシリンダ内周面1bの中心まわりに回転することになる。そうすると、第1のベーン5のベーン部5aの長手方向がシリンダ中心に向かうように、ブッシュ7,8がブッシュ保持部4d,4e内で、ブッシュ中心7a,8aまわりに回転することになる。
以上の動作において、回転に伴って、ブッシュ7と第1のベーン5のベーン部5aの側面、及び、ブッシュ8と第2のベーン6のベーン部6aの側面は互いに摺動を行う。また、ロータシャフト4のブッシュ保持部4dとブッシュ7、ブッシュ保持部4eとブッシュ8も互いに摺動することになる。
図7は、本発明の実施の形態1に係る圧縮要素の圧縮動作を示す説明図である。この図7は、図1のI−I線に沿った断面図である。以下、この図7を参照しながら、ロータ部4a(ロータシャフト4)の回転に伴い吸入室9、中間室10及び圧縮室11の容積が変化する様子を説明する。なお、図7では簡単のため、吸入ポート1a、切欠き部1c及び吐出ポート1dを省略し、吸入ポート1a、吐出ポート1dをそれぞれ矢印で「吸入」、「吐出」として示している。先ず、ロータシャフト4の回転に伴い、吸入管26から低圧の冷媒が吸入ポート1aに流入する。ここで、各空間(吸入室9、中間室10、圧縮室11)の容積変化を説明するにあたり、ロータ部4a(ロータシャフト4)の回転角度を次のように定義する。まず、第1のベーン5とシリンダ1のシリンダ内周面1bとの摺動箇所(接触箇所)が最近接点32と一致する状態を、「角度0°」と定義する。図7では、「角度0°」、「角度45°」、「角度90°」、「角度135°」の状態において、第1のベーン5及び第2のベーン6の位置と、そのときの吸入室9、中間室10及び圧縮室11の状態を示している。
なお、図7の「角度0°」の図に示す矢印は、ロータシャフト4の回転方向(図7では時計方向)である。但し、他の図では、ロータシャフト4の回転方向を示す矢印は省略している。また、図7において「角度180°」以降の状態を示していないのは、「角度180°」になると、「角度0°」において第1のベーン5と第2のベーン6が入れ替わった状態と同じになり、以降は「角度0°」から「角度135°」までと同じ圧縮動作となるためである。
図7における「角度0°」では、最近接点32と第2のベーン6で仕切られた右側の空間は中間室10で、切欠き部1cを介して吸入ポート1aと連通しており、ガス(冷媒)を吸入する。最近接点32と第2のベーン6で仕切られた左側の空間は、吐出ポート1dに連通した圧縮室11となる。
図7における「角度45°」では、第1のベーン5と最近接点32で仕切られた空間は、切欠き部1cを介して吸入ポート1aと連通している吸入室9となる。また、第1のベーン5と第2のベーン6で仕切られた空間は中間室10となる。この状態では、中間室10は、切欠き部1cを介して吸入ポート1aと連通している。中間室10の容積は「角度0°」のときより大きくなるので、ガスの吸入を続ける。また、第2のベーン6と最近接点32で仕切られた空間は圧縮室11で、圧縮室11の容積は「角度0°」のときより小さくなり、冷媒は圧縮され徐々にその圧力が高くなる。
図7における「角度90°」では、第1のベーン5のベーン先端部5bがシリンダ1のシリンダ内周面1b上の点Aと重なるので、中間室10は吸入ポート1aと連通しなくなる。これにより、中間室10でのガスの吸入は終了する。また、この状態で、中間室10の容積は略最大となる。圧縮室11の容積は「角度45°」のときより更に小さくなり、冷媒の圧力は上昇する。吸入室9の容積は「角度45°」のときより大きくなり、吸入を続ける。
図7における「角度135°」では、中間室10の容積は「角度90°」ときより小さくなり、冷媒の圧力は上昇する。また、圧縮室11の容積も「角度90°」のときより小さくなり、冷媒の圧力は上昇する。吸入室9の容積は「角度90°」のときより大きくなり、吸入を続ける。
その後、第2のベーン6が吐出ポート1dに近づくにつれて、圧縮室11の圧力が上昇していく。そして、冷凍サイクルの高圧(吐出弁27を開くのに必要な圧力も含む)を圧縮室11の圧力が上回ると、吐出弁27が開き、圧縮室11の冷媒は、吐出ポート1d及び吐出ポート2dを通って、密閉容器103内に吐出される(図1参照)。密閉容器103内に吐出された冷媒は、電動要素102を通過して密閉容器103の上部に固定(溶接)された吐出管24から外部(冷凍サイクルの高圧側)に吐出される。したがって、密閉容器103内の圧力は高圧である吐出圧力となる。
第2のベーン6が吐出ポート1dを通過すると、圧縮室11に高圧の冷媒が若干残る(ロスとなる)。そして、「角度180°」(図示せず)で、圧縮室11が消滅したとき、この高圧の冷媒は吸入室9にて低圧の冷媒に変化する。なお、「角度180°」では吸入室9が中間室10に移行し、中間室10が圧縮室11に移行して、以降圧縮動作を繰り返す。
このように、ロータ部4a(ロータシャフト4)の回転により、吸入室9は徐々に容積が大きくなり、ガスの吸入を続ける。以後中間室10に移行するが、途中まで容積が徐々に大きくなり、更にガスの吸入を続ける。途中で、中間室10の容積は最大となり、吸入ポート1aに連通しなくなるので、ここでガスの吸入を終了する。以後、中間室10の容積は徐々に小さくなり、ガスを圧縮する。その後、中間室10は圧縮室11に移行して、ガスの圧縮を続ける。所定の圧力まで圧縮されたガスは、吐出ポート1d及び吐出ポート2dを通って吐出弁27を押し上げて、密閉容器103内に吐出される。
図8は、本発明の実施の形態1に係るベーンアライナ部の回転動作を説明するための説明図であり、図1のII−II線に沿った断面図である。なお、図8では、ベーンアライナ部5c,6cの回転動作を示している。また、図8の「角度0°」の図に示す矢印は、ベーンアライナ部5c,6cの回転方向(図8では時計方向)である。但し、他の図では、ベーンアライナ部5c,6cの回転方向を示す矢印は省略している。
ロータシャフト4の回転によって、第1のベーン5のベーン部5a及び第2のベーン6のベーン部6aがシリンダ1の中心軸周りに回転する(図7)。これにより、ベーンアライナ部5c,6cは、図8に示すように、ベーンアライナ軸受部2bに支持されて、凹部2a内をシリンダ内周面1bの中心軸周りに回転する。なお、この動作は凹部3a内をベーンアライナ軸受部2bに支持されて回転するベーンアライナ部5d,6dについても同様である。
続いて、上記の冷媒圧縮動作中における給油動作について説明する。
上記の冷媒圧縮動作においてロータシャフト4が回転することにより、図1に破線矢印で示すように、油ポンプ31によって油溜め104から冷凍機油25が吸い上げられ、給油路4hに送り出される。給油路4hに送り出された冷凍機油25は、給油路4iを通ってフレーム2の凹部2a、給油路4jを通ってシリンダヘッド3の凹部3aに送り出される。
凹部2a,3aに送り出された冷凍機油25は、ベーンアライナ軸受部2b,3bを潤滑するとともに、その一部は凹部2a,3aと連通したベーン逃がし部4f,4gに供給される。ここで、密閉容器103内の圧力は高圧である吐出圧力になっているため、凹部2a,3a及びベーン逃がし部4f,4g内の圧力も吐出圧力となる。また、凹部2a,3aに送り出された冷凍機油25の一部は、フレーム2の主軸受部2c及びシリンダヘッド3の主軸受部3cに供給される。
ベーン逃がし部4f,4gに送り出された冷凍機油25は、次のように流れることとなる。
図9は、本発明の実施の形態1に係るベーンのベーン部近傍を示す要部拡大図である。なお、図9は、図6における第1のベーン5のベーン部5a近傍を示す要部拡大図となっており、図中に実線で示す矢印は冷凍機油25の流れを示している。
上述のようにベーン逃がし部4fの圧力は吐出圧力であり、吸入室9及び中間室10の圧力より高いため、冷凍機油25は、ベーン部5aの側面とブッシュ7間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室9及び中間室10に送り出される。また、冷凍機油25は、ブッシュ7とロータシャフト4のブッシュ保持部4d間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室9及び中間室10に送り出される。また、中間室10に送り出された冷凍機油25の一部は、ベーン先端部5bとシリンダ1のシリンダ内周面1b間の隙間をシールしながら吸入室9に流入する。
なお、図9では、第1のベーン5で仕切られる空間が吸入室9と中間室10である場合について示したが、回転が進んで、第1のベーン5で仕切られる空間が中間室10と圧縮室11となる場合でも同様である。また、圧縮室11内の圧力がベーン逃がし部4fの圧力と同じ吐出圧力に達した場合でも、遠心力によって、冷凍機油25は圧縮室11に向かって送り出されることになる。なお、以上の動作は第1のベーン5に対して示したが、第2のベーン6においても同様の動作を行う。
上記の給油動作において、図1に示すように、主軸受部2cに供給された冷凍機油25は主軸受部2cの隙間を通ってフレーム2の上方の空間に吐き出された後、シリンダ1の外周部に設けた油戻し穴1eより、油溜め104に戻される。また、主軸受部3cに供給された冷凍機油25は主軸受部3cの隙間を通って油溜め104に戻される。また、ベーン逃がし部4f,4gを介して吸入室9、中間室10及び圧縮室11に送り出された冷凍機油25も、最終的に冷媒とともに吐出ポート2dからフレーム2の上方の空間に吐き出された後、シリンダ1の外周部に設けた油戻し穴1eより、油溜め104に戻される。また、油ポンプ31により給油路4hに送り出された冷凍機油25のうち、余剰な冷凍機油25はロータシャフト4の上方の排油穴4kから、フレーム2の上方の空間に吐き出された後、シリンダ1の外周部に設けた油戻し穴1eより、油溜め104に戻される。
以上、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200においては、ベーン部5a,6aをロータ部4aに回転可能且つ移動可能に支持し、ベーンアライナ部5c,6cをフレーム2の凹部2a内で回転自在に支持し、ベーンアライナ部5d,6dをシリンダヘッド3の凹部3a内で回転自在に支持している。このため、ベーン先端部5b及びベーン先端部6bの円弧とシリンダ内周面1bの法線が常にほぼ一致するように圧縮動作を行なうために必要な機構(第1のベーン5及び第2のベーン6がシリンダ1の中心周りに回転運動する機構)を、ロータ部4aと回転軸部4b,4cを一体にしたロータシャフト4で実現できる。
また、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200においては、第1のベーン5のベーンアライナ部5cと第2のベーン6のベーンアライナ部6cとが凹部2a内において高さ方向に隙間を介して重なるような位置関係に配置され、第1のベーン5のベーンアライナ部5dと第2のベーン6のベーンアライナ部6dとが凹部3a内において高さ方向に隙間を介して重なるような位置関係に配置されている。つまり、1回転中において、第1のベーン5のベーンアライナ部5cの周方向端部5gと第2のベーン6のベーンアライナ部6cの周方向端部6gとが、干渉(接触)しないように設けられている。同様に、1回転中において、第1のベーン5のベーンアライナ部5dの周方向端部5hと第2のベーン6のベーンアライナ部6dの周方向端部6hとが、干渉(接触)しないように設けられている。このため、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dの円弧角度を大きくとることができ、ベーンアライナ部の部分軸受としての信頼性を向上する効果が得られる。
このため、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200は、回転軸部4b,4cを小径の主軸受部2c,3cで支持できることで軸受摺動損失を低減し、且つ、ロータ部4aの外径や回転中心の精度を向上することができる。したがって、本実施の形態1に係るベーン型圧縮機200は、ロータ部4aとシリンダ内周面1b間を狭い隙間で形成して漏れ損失を低減することが可能となるので、高効率のベーン型圧縮機200を得ることができる。
なお、上記ではベーン枚数が2枚の場合のベーン型圧縮機200について説明したが、ベーン枚数が3枚以上であっても本発明を実施することができる。
図10は、本発明の実施の形態1に係る圧縮要素の別の一例を説明するための説明図である。この図10は、図10(a)が第1のベーン5、第2のベーン6及び第3のベーン107の平面図、図10(b)が第1のベーン5、第2のベーン6及び第3のベーン107の正面図を示している。
第3のベーン107は、第1のベーン5及び第2のベーン6と同様の構成要素を備えている。つまり、第3のベーン107におけるベーン部107aの内周側端部近傍には、上面(フレーム2との対向面)に、接続部107eを介して部分リング形状のベーンアライナ部107cが設けられている。同様に、ベーン部107aの内周側端部近傍には、下面(シリンダヘッド3との対向面)に、接続部107fを介して部分リング形状のベーンアライナ部107dが設けられている。
これら第1のベーン5、第2のベーン6及び第3のベーン107においては、第1のベーン5の接続部5e、第2のベーン6の接続部6e及び第3のベーン107の接続部107eの長さが、それぞれ異なっている。このため、第1のベーン5のベーンアライナ部5c、第2のベーン6のベーンアライナ部6c及び第3のベーン107のベーンアライナ部107cを、フレーム2の凹部2a内に隙間を介して重なるように配置できる。つまり、1回転中において、第1のベーン5のベーンアライナ部5cの周方向端部5g、第2のベーン6のベーンアライナ部6cの周方向端部6g及び第3のベーン107のベーンアライナ部107cの周方向端部107gが互いに干渉(接触)しないようにすることができる。また、これら第1のベーン5、第2のベーン6及び第3のベーン107においては、第1のベーン5の接続部5f、第2のベーン6の接続部6f及び第3のベーン107の接続部107fの長さが、それぞれ異なっている。このため、第1のベーン5のベーンアライナ部5d、第2のベーン6のベーンアライナ部6d及び第3のベーン107のベーンアライナ部107dを、シリンダヘッド3の凹部3a内に隙間を介して重なるように配置できる。つまり、1回転中において、第1のベーン5のベーンアライナ部5dの周方向端部5h、第2のベーン6のベーンアライナ部6dの周方向端部6h及び第3のベーン107のベーンアライナ部107dの周方向端部107hが互いに干渉(接触)しないようにすることができる。
このようにベーン枚数を3枚以上とした場合においても、各ベーンのベーンアライナ部が隙間を介して重なるように凹部2a,3a内に配置できるので、各ベーンアライナ部の円弧角度を大きくとることができ、ベーンアライナ部の部分軸受としての信頼性を向上することができる。
また、上記では、第1のベーン5及び第2のベーン6は、ベーン部5a,6aのベーン長手方向とベーン先端部5b,6bの円弧の法線方向とが略同一方向となっていた。これに限らず、第1のベーン5及び第2のベーン6を例えば以下のように構成してもよい。
図11は、本発明の実施の形態1に係る圧縮要素のさらに別の一例を説明するための説明図である。この図11は、図1のII−II線に沿った断面図である。
図11において、Bは、ベーン部5a,6aのベーン長手方向を示している。また、Cは、ベーン先端部5b,6bの円弧の法線方向を示している。つまり、ベーン部5a,6aは、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dに対して、Bの方向に傾けて設けられている。また、ベーン先端部5b,6bの円弧の法線Cは、ベーン長手方向Bに対して傾いており、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dを形成する円弧の中心を通るように形成されている。
図11に示す構成においても、図12に示すように、ベーン先端部5b,6bの円弧とシリンダ1のシリンダ内周面1bの法線は回転中常に一致する状態で圧縮動作を行なうことが可能である。また、ベーン先端部5b,6bの円弧の法線Cをベーン長手方向Bに対して傾けることにより、ベーン先端部5b,6bの円弧長さを長くすることが可能となり、シール長さが増加する。このため、ベーン先端部5b,6bでの漏れ損失をより低減することも可能となる。
実施の形態2.
各ベーンにおいて、自らのベーンアライナ部の周方向端部が他のベーンのベーンアライナ部の周方向端部と干渉(接触)しないようにする場合、実施の形態1で示したベーンの形状に限らず、例えば下記のように各ベーンを構成してもよい。なお、本実施の形態2で特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図13は、本発明の実施の形態2に係るベーン型圧縮機の圧縮要素のベーンを示す図面である。この図13は、図13(a)が第1のベーン5の平面図及び正面図を示しており、図13(b)が第2のベーン6の平面図及び正面図を示している。
図13(a)に示すように、第1のベーン5のベーンアライナ部5c,5dは、高さ方向(シリンダ内周面1bの中心軸方向)に沿って円弧角度が異なるように、段付形状となっている。同様に、図13(b)に示すように、第2のベーン6のベーンアライナ部6c,6dも、高さ方向(シリンダ内周面1bの中心軸方向)に沿って円弧角度が異なるように、段付形状となっている。そして、フレーム2の凹部2a内に配置される第1のベーン5のベーンアライナ部5cと第2のベーン6のベーンアライナ部6cは、最も円弧角度が大きくなる箇所が高さ方向(シリンダ内周面1bの中心軸方向)において異なっている。また、シリンダヘッド3の凹部3a内に配置される第1のベーン5のベーンアライナ部5dと第2のベーン6のベーンアライナ部6dは、最も円弧角度が大きくなる箇所が高さ方向(シリンダ内周面1bの中心軸方向)において異なっている。
このため、ベーンアライナ部5cの最も円弧角度が大きくなる箇所とベーンアライナ部6cの最も円弧角度が大きくなる箇所とが隙間を介して重なるようにフレーム2の凹部2a内に配置することにより、1回転中において、第1のベーン5のベーンアライナ部5cの周方向端部5gと第2のベーン6のベーンアライナ部6cの周方向端部6gとが干渉することを防止できる。また、ベーンアライナ部5dの最も円弧角度が大きくなる箇所とベーンアライナ部6dの最も円弧角度が大きくなる箇所とが隙間を介して重なるようにシリンダヘッド3の凹部3a内に配置することにより、1回転中において、第1のベーン5のベーンアライナ部5dの周方向端部5hと第2のベーン6のベーンアライナ部6dの周方向端部6hとが干渉することを防止できる。なお、ベーンアライナ部5cの最も円弧角度が大きくなる箇所以外の箇所とベーンアライナ部6cの最も円弧角度が大きくなる箇所以外の箇所とは、中心軸方向に重ならない配置となっている。同様にして、ベーンアライナ部5dの最も円弧角度が大きくなる箇所以外の箇所とベーンアライナ部6dの最も円弧角度が大きくなる箇所以外の箇所とは、中心軸方向に重ならない配置となっている。
さらに、本実施の形態2においては、図13(a)に示すように、第1のベーン5は、ベーンアライナ部5cとベーンアライナ部5dとがベーン部5aに対して対称形状となっている。また、図13(b)に示すように、第2のベーン6は、ベーンアライナ部6cとベーンアライナ部6dとがベーン部6aに対して対称形状となっている。
以上、本実施の形態2のように構成されたベーン型圧縮機200においても、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dの円弧角度を大きくとることができ、ベーンアライナ部の部分軸受としての信頼性を向上する効果が得られる。
また、本実施の形態2では、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dを段付き形状としているため、実施の形態1に比べて、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dの軸受面積(ベーンアライナ軸受部2b,3bとの接触面積)を大きくとれる。このため、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dに作用する面圧を低減でき、部分軸受としての信頼性をより向上することができる。さらに、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dの高さ方向の幅を広範囲で大きくとれるため、剛性が改善され、強度的な信頼性を向上することもできる。
さらに、本実施の形態2では、ベーンアライナ部5c及びベーンアライナ部5dをベーン部5aに対して対称形状とし、ベーンアライナ部6c及びベーンアライナ部6dをベーン部6aに対して対称形状としている。このため、ベーンアライナ部5cにかかる荷重とベーンアライナ部5dにかかる荷重を互いにキャンセルでき、ベーン部5aを中心とした縦方向の回転モーメントが生じるのを抑制できるので、ベーン部5aの上下端面がフレーム2やシリンダヘッド3の端面に角で接触するのを防ぐ効果が得られる。同様に、ベーンアライナ部6cにかかる荷重とベーンアライナ部6dにかかる荷重を互いにキャンセルでき、ベーン部6aを中心とした縦方向の回転モーメントが生じるのを抑制できるので、ベーン部6aの上下端面がフレーム2やシリンダヘッド3の端面に角で接触するのを防ぐ効果が得られる。
なお、本実施の形態2では、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dを段付形状とすることにより、高さ方向(シリンダ内周面1bの中心軸方向)に沿ってベーンアライナ部5c,5d,6c,6dの円弧角度が異なるようにした。これに限らず、例えば図14のようにベーンアライナ部5c,5d,6c,6dを形成し、高さ方向(シリンダ内周面1bの中心軸方向)に沿ってベーンアライナ部5c,5d,6c,6dの円弧角度が異なるようにしてもよい。
図14は、本発明の実施の形態2に係る圧縮要素のベーンの別の一例を示す図面である。この図14は、図14(a)が第1のベーン5の平面図及び正面図を示しており、図14(b)が第2のベーン6の平面図及び正面図を示している。
図14に示すように、ベーンアライナ部5c,5d,6c,6dは、高さ方向(シリンダ内周面1bの中心軸方向)に沿って円弧角度が異なるように、その周方向端部が直線的又は曲線的に傾斜した形状となっている。このようにベーンアライナ部5c,5d,6c,6dを形成しても、上記(図13)と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態2においても、実施の形態1の図11及び図12で説明したように、ベーン部5a,6aのベーン長手方向をベーン先端部5b,6bの円弧の法線に対して傾けた構成としてもよい。
また、本実施の形態2ではベーン枚数が2枚の場合のベーン型圧縮機200について説明したが、実施の形態1と同様に、図15のようにベーン枚数が3枚以上であっても、同様の構成であり、同様の効果が得られる。
実施の形態3.
図16は、本実施の形態3に係るベーン型圧縮機の圧縮要素のベーンを示す図である。この図16は、図16(a)が第1のベーン5、第2のベーン6、第3のベーン107、第4のベーン108の平面図を示しており、図14(b)が第1のベーン5、第2のベーン6、第3のベーン107、第4のベーン108の斜視図を示している。なお、本実施の形態3で特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図16に示すように、4枚のベーンのうち、中心軸に対して対称に配置されたベーン同士(つまり、第1のベーン5と第3のベーン107の組み合わせ、あるいは、第2のベーン6と第4のベーン108の組み合わせ)の互いのベーンアライナ部を同じ高さに配置し、ベーンアライナ部6c、108cをベーンアライナ部5c、107cよりもシリンダ1から離して配置した。また、ベーンアライナ部6c、108cの円弧角度がベーンアライナ部5c、107cの円弧角度よりも大きくなる構成とした。
さらに、本実施の形態3においては、第1のベーン5は、ベーンアライナ部5cとベーンアライナ部5dとがベーン部5aに対して対称形状となっている。第2のベーン6は、ベーンアライナ部6cとベーンアライナ部6dとがベーン部6aに対して対称形状となっている。第3のベーン107は、ベーンアライナ部107cとベーンアライナ部107dとがベーン部107aに対して対称形状となっている。第4のベーン108は、ベーンアライナ部108cとベーンアライナ部108dとがベーン部108aに対して対称形状となっている。
このように、ベーン枚数が4枚以上かつ複数枚である場合、中心軸に対して対称に配置されたベーン同士のベーンアライナ部の高さを同じにすることで、ベーンアライナ部の重なり数をベーン枚数の半分にしても、円弧角度を大きくとることができる。このため、ベーンアライナ部の部分軸受としての信頼性を向上し、かつ、ベーンアライナ部を重なり構造にすることによる高さの増加分を小さくする効果が得られる。
また、第1のベーン5のベーンアライナ部5c,5dの周方向端面5g,5hと第3のベーン107のベーンアライナ部107c,107dの周方向端面107g,107hは、1回転中で第2のベーン6の接続部6e,6fならびに第4のベーン108の接続部108e,108fと干渉しない構成としなければならない。
これに対して、第2のベーン6のベーンアライナ部6c,6dと第4のベーン108のベーンアライナ部108c,108dは、1回転中で互いに周方向端部が干渉しない構成とすればよい。
このため、第2のベーン6と第4のベーン108のベーンアライナ部の円弧角度を、第1のベーン5と第3のベーン107のベーンアライナ部の円弧角度よりも大きくとることができ、その分だけ軸受長さ(すなわち、ベーンアライナ部の高さ)を小さくとることができる。
なお、上記の実施の形態1〜実施の形態3ではロータシャフト4の遠心力を利用した油ポンプ31について示したが、油ポンプの形態はいずれでもよく、例えば特開2009−62820号公報に記載の容積形ポンプを油ポンプ31として用いてもよい。
1 シリンダ、1a 吸入ポート、1b シリンダ内周面、1c 切欠き部、1d 吐出ポート、1e 油戻し穴、2 フレーム、2a 凹部、2b ベーンアライナ軸受部、2c 主軸受部、2d 吐出ポート、3 シリンダヘッド、3a 凹部、3b ベーンアライナ軸受部、3c 主軸受部、4 ロータシャフト、4a ロータ部、4b 回転軸部、4c 回転軸部、4d ブッシュ保持部、4e ブッシュ保持部、4f ベーン逃がし部、4g ベーン逃がし部、4h 給油路、4i 給油路、4j 給油路、4k 排油穴、5 第1のベーン、5a ベーン部、5b ベーン先端部、5c ベーンアライナ部、5d ベーンアライナ部、5e 接続部、5f 接続部、5g 周方向端部、5h 周方向端部、6 第2のベーン、6a ベーン部、6b ベーン先端部、6c ベーンアライナ部、6d ベーンアライナ部、6e 接続部、6f 接続部、6g 周方向端部、6h 周方向端部、7 ブッシュ、7a ブッシュ中心、7b ブッシュ円弧部、7c ブッシュ切欠き面、7d ブッシュ切欠き面、8 ブッシュ、8a ブッシュ中心、8b ブッシュ円弧部、8c ブッシュ切欠き面、8d ブッシュ切欠き面、9 吸入室、10 中間室、11 圧縮室、21 固定子、22 回転子、23 ガラス端子、24 吐出管、25 冷凍機油、26 吸入管、27 吐出弁、28 吐出弁押え、31 油ポンプ、32 最近接点、101 圧縮要素、102 電動要素、103 密閉容器、104 油溜め、107 第3のベーン、107a ベーン部、107b ベーン先端部、107c ベーンアライナ部、107d ベーンアライナ部、107e 接続部、107f 接続部、107g 周方向端部、107h 周方向端部、108 第4のベーン、108a ベーン部、108b ベーン先端部、108c ベーンアライナ部、108d ベーンアライナ部、108e 接続部、108f 接続部、108g 周方向端部、108h 周方向端部、109 ブッシュ、200 ベーン型圧縮機。

Claims (12)

  1. 略円筒状で、軸方向の両端が開口しているシリンダと、
    前記シリンダの軸方向の両端を閉塞するシリンダヘッド及びフレームと、
    前記シリンダ内で回転運動する円柱形のロータ部及び前記ロータ部に回転力を伝達するシャフト部を有するロータシャフトと、
    前記ロータ部内に設置された複数のベーン部を有するベーン型圧縮機において、
    前記フレーム及び前記シリンダヘッドの前記シリンダ側の端面に、外周面が前記シリンダの内周面と同心となる凹部またはリング状の溝が形成され、
    前記外周面に沿って摺動自在に回転し、前記ベーン部を支持するベーンアライナ部を設け、
    前記ベーンアライナ部は、外周面が円弧形状の部分リング形状であり、
    前記ベーン部のそれぞれは、自らの前記ベーンアライナ部の周方向端部が前記ロータ部の1回転中に他の前記ベーンアライナ部の周方向端部と前記軸方向に重なり、前記軸方向に重なり合う前記ベーンアライナ部の周方向端部どうしが前記溝内で前記シリンダの中心軸の方向にずれて配置されることによって互いに干渉しないように設けられていることを特徴とするベーン型圧縮機。
  2. 前記ベーン部のそれぞれは、互いのベーンアライナ部が前記中心軸の方向に隙間を介して重なるように前記凹部に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のベーン型圧縮機。
  3. 前記ベーンアライナ部は、前記中心軸の方向に沿って円弧角度が異なるように、段付形状となっており、
    前記ベーン部のそれぞれは、同一の前記凹部に挿入される前記ベーンアライナ部の最も円弧角度が大きい箇所が前記中心軸の方向で異なっており、これら最も円弧角度が大きい箇所が前記中心軸の方向に隙間を介して重なるように前記凹部に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のベーン型圧縮機。
  4. 前記ベーンアライナ部は、前記中心軸の方向に沿って円弧角度が異なるように、その周方向端部が直線的又は曲線的に傾斜する形状となっており、
    前記ベーン部のそれぞれは、自らの前記ベーンアライナ部の周方向端部が他の前記ベーンアライナ部の周方向端部と干渉しないように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベーン型圧縮機。
  5. 前記ベーン部の枚数が4枚以上の偶数枚であり、前記中心軸に対して対称に配置された前記ベーン部の前記ベーンアライナ部を同じ高さに配置したことを特徴とする請求項2に記載のベーン型圧縮機。
  6. 前記シリンダに対して最も離して配置した前記ベーンアライナ部の円弧角度が、それ以外の前記ベーンアライナ部の円弧角度よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のベーン型圧縮機。
  7. 同一の前記ベーン部に設けられている前記ベーンアライナ部は、前記フレームとの対向面に設けられている前記ベーンアライナ部と前記シリンダヘッドとの対向面に設けられている前記ベーンアライナ部とが、前記ベーン部に対して対称形状となっていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のベーン型圧縮機。
  8. 記ベーン部の先端部と前記シリンダの前記内周面との間に常に隙間が形成されるように前記ベーン部を保持するものであり、前記ベーン部の前記先端部の半径をr、前記シリンダの前記内周面の半径をrとしたとき、
    ≦r
    の寸法関係を満たすことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のベーン型圧縮機。
  9. 前記ベーン部の前記先端部の幅をt、前記ベーン部の前記先端部と前記シリンダの前記内周面との間の最小隙間をδ、α=r/r、β=t/2r、δ=δ/rとしたとき、
    (−1+(1−β)+α(1−(1−(β/α)0.5))≧δ
    の寸法関係を満たすことを特徴とする請求項8に記載のベーン型圧縮機。
  10. 前記ベーンアライナ部は、前記ベーン部と一体に取り付けられ、あるいは前記ベーン部と一体で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のベーン型圧縮機。
  11. 前記ベーン部は、前記ロータ部に対して回転可能且つスライド可能に支持されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のベーン型圧縮機。
  12. 前記ロータ部には、軸方向に貫通する略円筒形状のブッシュ保持部が形成され、前記ブッシュ保持部には、一対の略半円柱形状のブッシュが挿入され、前記ベーン部は前記ブッシュに挟まれて支持されることにより、前記ロータ部に対して回転可能且つスライド可能に支持されることを特徴とする請求項11に記載のベーン型圧縮機。
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