以下に、本願の開示する電子機器及び増幅器制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。例えば、以下の実施例では、電子機器の一例として携帯電話機等の無線機を挙げて説明するが、これに限らず、3つ以上の増幅素子が並列接続されたドハティ増幅器を有する電子機器であればよい。例えば、電子機器は、PDA(Personal Digital Assistant)やPC(Personal Computer)などでもよい。また、以下の実施例では、3Wayドハティ増幅器を一例として挙げて説明するが、増幅素子の数は3以上であればよい。
図6は、無線機のハードウェア構成を示す図である。図6に示すように、無線機100は、CPU(Central Processing Unit)102、メモリ103、送信データ生成部104、変調器106、DC(Direct Current)電源108、増幅装置110、及びアンテナ112を備える。
CPU102は、メモリ103に格納された各種プログラムを実行して無線機100の全体の処理を制御する演算処理部である。メモリ103は、無線機100の各種機能を実行するためのデータ、及び無線機100の各種機能を実行するための各種プログラムを格納する記憶部である。
送信データ生成部104は、外部へ送信する送信データを生成し、生成した送信データを変調器106へ出力する。変調器106は、送信データ生成部104から送信された送信データを受信する。変調器106は、受信した送信データに対して、例えばOFDM等の変調を行い、増幅装置110へ出力する。
増幅装置110は、変調器106から出力された送信データを受信する。増幅装置110は、DC電源108から供給される電源を利用して送信データを増幅し、アンテナ112を介して増幅した送信データを外部へ送信する。増幅装置110は、以下に説明するように、3Wayドハティ増幅器である。ただし、増幅装置110は、3Wayドハティ増幅器に限らず、4以上の増幅部が並列に接続されたドハティ増幅器であればよい。
図7は、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の構成を示す図である。図7に示すように、第1実施例の3Wayドハティ増幅器は、CAとしてのFET(Field Effect Transistor)202と、PAとしてのFET204と、PAとしてのFET206とが並列に接続された3Wayドハティ増幅器である。この場合、FET204が中間で動作する増幅部となる。なお、実施例では、増幅素子としてFETを用いる場合を例に挙げて説明するが、増幅素子はFETに限らず、例えばバイポーラトランジスタなどの増幅素子を用いることもできる。
FET204のゲート側にはλ/4線路210が設けられ、FET206のゲート側にはλ/4線路212,214が設けられる。変調器106から出力された送信データは、FET202のゲートに対しては直接入力される。一方、変調器106から出力された送信データは、FET204のゲートに対してはλ/4線路210を介して入力され、FET206のゲートに対してはλ/4線路212,214を介して入力される。
また、FET202のドレイン出力側には、λ/4線路216が設けられ、FET204のドレイン出力側には、λ/4線路218が設けられる。FET202の出力電流は、λ/4線路216,218を介して負荷220に流れ、FET204の出力電流は、λ/4線路218を介して負荷220に流れる。一方、FET206の出力電流は、直接負荷220に流れる。
FET202のドレイン側には、DC電源より供給されるドレイン電流を計測する電流検出器222が設けられる。また、FET204のドレイン側には、DC電源より供給されるドレイン電圧を制御する電圧制御回路226が設けられる。電流検出器222で検出されたFET202のドレイン電流は制御回路224に入力される。なお、原理的には、増幅素子の出力(ドレイン)電流が増加すれば、電源(ドレイン)電流も増加する関係にある。
制御回路224は、FET202,204,206のうち、中間で動作する増幅素子(FET204)の直前で動作する増幅素子(FET202)の出力が飽和したことを検出する。ただし、増幅素子の出力の飽和とは、完全に飽和した状態のほか、例えば増幅素子入力に対する出力電圧の変化があらかじめ設定された閾値より小さい状態のように飽和付近の状態も含むものとする。例えば、制御回路224は、電流検出器222で検出されたFET202のドレイン電流に基づいて、FET202の出力が飽和したことを検出する。より具体的には、制御回路224は、電流検出器222によって検出された電流が一定の値になるか、又は電流検出器222によって検出された電流の変化率があらかじめ設定された閾値よりも小さくなったら、FET202の出力が飽和したことを検出する。
また、制御回路224は、FET202の出力が飽和したことが検出されたら、FET204に供給する電源電圧(ドレイン電圧)を増加させる。例えば、制御回路224は、FET202の出力が飽和したことが検出されたら、FET204に供給する電源電圧(ドレイン電圧)を増加させるための制御信号を、電圧制御回路226へ出力する。
電圧制御回路226は、FET204に供給する電源電圧(ドレイン電圧)の減少又は増加を制御する回路である。電圧制御回路226は、制御回路224から出力された制御信号に基づいて、FET204のドレイン電圧の減少又は増加を制御する。
このように、FET202の出力(出力電流)が飽和したことが検出された場合に、FET204のドレイン電圧を増加させることにより、3Wayドハティ増幅器の電力効率を向上することができる。この点について、以下、詳細に説明する。
図8は、ドハティ増幅器への入力電力に対するCAとPAの出力電圧・出力電流特性を示す図である。図8は、図3における3Wayドハティ増幅器のCA152とPA154の出力電圧・出力電流特性について説明する図である。図8において、グラフ182はCA152の出力電圧、グラフ184はCA152の出力電流を示す。また、図8において、グラフ186はPA154の出力電圧、グラフ188はPA154の出力電流を示す。また、図8において、領域AはCA152が非飽和の領域を示し、領域BはCA152の出力電圧が飽和、PA154が非飽和の領域を示し、領域CはCA152の出力電圧・出力電流及びPA154の出力電圧が飽和、PA156が非飽和の領域を示す。
図8に示すように、領域Cにおいて、CA152の出力電圧・出力電流及びPA154の出力電圧が飽和してPA156が非飽和になると、PA154の出力電圧がほぼ一定となり、CA152の出力電圧及び出力電流もほぼ一定になる。このように、ドハティ増幅器の原理的な考えでは、CA152の出力電流が一定になるのは、PA154の出力電圧が一定になるからである。
PA154の出力電圧が一定になるとCA152の出力電流が一定になるドハティ増幅器の原理的な考え方を、図3を用いて説明する。説明の便宜上、図3において、CA152の出力側とλ/4線路164との間の点をA点、PA154の出力側とλ/4線路164との間の点をB点とする。
まず、CA152が飽和し、PA154が非飽和の場合のCA152、PA154のA点、B点の電流、電圧の状態について説明する。増幅器は理想的には、飽和状態になると、出力電圧が一定になると考えられている。CA152が飽和状態になると、出力電圧が一定になる。CA152とPA154間にあるλ/4線路164は、インピーダンス変換を行うと共に、CA152からの出力を、λ/4線路164のB点側で、電流一定の出力に変換する。λ/4線路164のB点側はPA154の出力なので、B点の電圧はPA154の出力電圧になる。PA154の出力電力が変わると、B点の電流は一定で、電圧が変わるのでB点でのインピーダンスが変わる。B点のインピーダンスが変わると、λ/4線路164のA点側のインピーダンスも変わる。A点の電圧は一定であるので、A点の電流は変わる。
一方、CA152及びPA154がともに飽和の場合は、PA154は飽和しているのでB点の電圧は変わらない。B点の電圧に変化がないと、B点の電流も変化がないので、λ/4線路164のB点側のインピーダンスの変化もない。B点のインピーダンスの変化がなければ、A点のインピーダンスの変化もない。A点の電圧は一定であるので、電流も変化しなくなる。
これに対して、本実施例は、図7に示すように、FET202の出力が飽和する状態を検出したら、FET204の飽和電圧を大きくするために、FET204の増幅信号出力側のトランジスタ素子の供給電圧、つまり、FET204のドレイン電圧を大きくする。
次に、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の処理内容について説明する。図9は、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の処理フローを示す図である。まず、制御回路224は、電流検出器222によって検出されたFET202のドレイン電流値I(t)を読み込む(ステップS251)。続いて、制御回路224は、1サンプル前の電流値I(t−1)と、読み込んだ電流値I(t)とを比較する(ステップS252)。
続いて、制御回路224は、電流変化量の大きさ|ΔI|があらかじめ設定された閾値Aより小さいか否かを判定する(ステップS253)。ステップ253において、閾値Aというパラメータと比較するのは、原理的にはFET202のドレイン電流の電流値が一定となるはずだが、実際は多少の電流変化が生じるので、その容認範囲を持たせるためである。
制御回路224は、電流変化量の大きさ|ΔI|があらかじめ設定された閾値Aより小さいと判定したら(ステップS253、Yes)、FET204のドレイン電圧を増加させる指示を電圧制御回路226へ出力する(ステップS254)。例えば、制御回路224は、FET204のドレイン電圧を増加させる制御信号を電圧制御回路226へ出力し、電圧制御回路226は、制御回路224から出力された制御信号に基づいてFET204のドレイン電圧を増加させる。制御回路224は、ステップS254においてFET204のドレイン電圧を増加させる指示を電圧制御回路226へ出力した後、ステップS251の処理へ戻る。
一方、電流変化量の大きさが閾値A以上の場合は、FET202のドレイン電流が増加又は減少している状態である。そこで、制御回路224は、電流変化量の大きさ|ΔI|があらかじめ設定された閾値A以上であると判定したら(ステップS253、No)、FET202のドレイン電流が減少しているか否かを判定する(ステップS255)。制御回路224は、FET202のドレイン電流が減少していると判定したら(ステップS255、Yes)、電圧制御回路226の電圧値が最小値であるか否かを判定する(ステップS256)。つまり、FET202のドレイン電流が減少する状態は、FET202の入力電力が小さくなってきているため生じる。そこで、ステップS256において、FET204のドレイン電圧がFET202の出力電流を増加するために、FET204のドレイン電圧をすでに大きくした状態であるか判断する。
制御回路224は、電圧制御回路226の電圧値が最小値ではないと判定したら(ステップS256,No)、FET204のドレイン電圧を減少させる指示を電圧制御回路226へ出力する(ステップS257)。例えば、制御回路224は、FET204のドレイン電圧を減少させる制御信号を電圧制御回路226へ出力し、電圧制御回路226は、制御回路224から出力された制御信号に基づいてFET204のドレイン電圧を減少させる。このように、制御回路224は、FET204のドレイン電圧をすでに大きくした状態である場合は、電圧制御回路226へ電圧ダウンの指示を行う。制御回路224は、ステップS257においてFET204のドレイン電圧を減少させる指示を電圧制御回路226へ出力した後、ステップS251の処理へ戻る。
一方、制御回路224は、FET202のドレイン電流が減少していないと判定したら(ステップS255、No)、FET204のドレイン電圧を維持させる指示を電圧制御回路226へ出力する(ステップS258)。例えば、制御回路224は、FET204のドレイン電圧を維持させる制御信号を電圧制御回路226へ出力し、電圧制御回路226は、制御回路224から出力された制御信号に基づいてFET204のドレイン電圧を維持させる。制御回路224は、ステップS258においてFET204のドレイン電圧を維持させる指示を電圧制御回路226へ出力した後、ステップS251の処理へ戻る。
また、制御回路224は、電圧制御回路226の電圧値が最小値であると判定したら(ステップS256,Yes)、FET204のドレイン電圧を維持させる指示を電圧制御回路226へ出力する(ステップS258)。例えば、制御回路224は、FET204のドレイン電圧を維持させる制御信号を電圧制御回路226へ出力し、電圧制御回路226は、制御回路224から出力された制御信号に基づいてFET204のドレイン電圧を維持させる。このように、制御回路224は、FET204のドレイン電圧をすでに大きくした状態でない場合は、電圧制御回路226へ電圧維持の指示を行う。なお、制御回路224は、電圧維持の場合は何も指示しなくとも、電圧制御回路226は電圧を維持しているので、電圧維持指示を不要にしてもよい。
なお、ステップS255の判定において、FET202のドレイン電流が増加している場合(ステップS255、No)は、2つの場合が考えられる。一つは、FET204がまだ飽和していない状態である。その場合、制御回路224は、FET204に対して、ドレイン電圧を変更する必要がないので、電圧制御回路226へ電圧維持の指示を行う(ステップS258)。
もう一つの場合は、FET204が飽和している状態で、FET204のドレイン電圧を大きくしている効果によりFET202のドレイン電流が増加している場合である。この状態は、FET204のドレイン電圧を最適に制御できている場合と、FET204のドレイン電圧を大きくし過ぎ、FET204が非飽和状態になっている場合がある。
本実施例では、非飽和状態になっていると仮定して、ステップ258に進み、電圧制御回路226へ電圧維持の指示を出している。これに対して、もし、FET204のドレイン電圧を最適に制御できている場合は、制御回路224は、次の電流検出からの一連のフローのステップ253にて電流変化量の大きさが閾値A以下になり、電圧制御回路226へ電圧アップの指示を送ることになる。このように、本実施例は、電流検出からの一連のフローを短い周期で行えば、ほぼ、常にFET204のドレイン電圧を最適に制御することができる。
次に、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の効果を説明する。図10は、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の効果を示す図である。図10において、破線262は、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率を示し、実線264は、従来の3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率を示す。図10のグラフは、横軸が規格化出力電力であり、縦軸が電力効率である。規格化出力電圧は、ドハティ増幅器が出力することのできる最大電力を1と規格化した場合の入力電圧である。
図10に示すように、規格化出力電力が約0.5より大きい領域、つまりFET202及びFET204が飽和動作し、FET206が非飽和動作している領域において、実施例1の3Wayドハティ増幅器の電力効率が向上する。
次に、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の変形例を説明する。図11は、第1実施例の3Wayドハティ増幅器においてCAの出力側にRF(Radio Frequency)電圧を検出する電圧検出器を挿入する例を示す図である。図11に示すように、第1実施例の3Wayドハティ増幅器においてCAとなるFET202の出力側に電圧検出器228を設けることができる。
すなわち、図11に示した3Wayドハティ増幅器は、図7に示した3Wayドハティ増幅器と比較して、CAであるFET202の出力側に電圧検出器228を追加したものである。また、電圧検出器228で検出された出力電圧値は、制御回路224に入力される。
制御回路224は、FET202の出力が飽和している場合に、FET204のドレイン電圧の増加又は減少の制御を行うのが好ましい。この点、図11に示すように、FET202の出力側に電圧検出器228を追加することにより、制御回路224は、FET202の出力電圧が飽和しているか否かを判定することができる。そして、制御回路224は、FET202の出力電圧が飽和している場合に限り、図9等で説明したFET204のドレイン電圧の制御を行うことができる。
次に、第1実施例の3Wayドハティ増幅器の変形例を説明する。図12は、第1実施例の3Wayドハティ増幅器において変調波振幅検出器を追加した例を示す図である。図12に示すように、第1実施例の3Wayドハティ増幅器において変調器106の入力側に変調波振幅検出器230を設けることができる。
すなわち、図12に示した3Wayドハティ増幅器は、図7に示した3Wayドハティ増幅器と比較して、変調器106の入力側に変調波振幅検出器230を追加したものである。また、変調波振幅検出器230で検出された変調波の入力振幅は、制御回路224に入力される。
図7に示した3Wayドハティ増幅器は、変調波の入力振幅が一定の状態が続くと、FET202の出力電流が一定になり、FET202のドレイン電流も一定になる。これにより、FET202の出力が飽和していないにも関わらず、FET204のドレイン電圧の制御が行われるおそれがある。ただし、本実施例は、ピーク電力と平均電力の比が大きい変調方式に対しての実施例であり、変調波の入力振幅が一定の状態が長く続くことはほとんどないものと考えられるので、図7に示した3Wayドハティ増幅器でも不都合はないと考える。
これに対して、図12に示した3Wayドハティ増幅器では、制御回路224は、変調波振幅検出器230から入力された変調波の入力振幅が一定の場合には、FET204のドレイン電圧の制御を行わないようにすることができる。つまり、制御回路224は、変調波振幅検出器230から入力された変調波の入力振幅が一定の場合には、たとえFET202のドレイン電流が一定であったとしても、FET204のドレイン電圧の増加を行わないようにすることができる。なお、変調波振幅検出器230は、変調器106の出力側に設けることもできる。また、本実施例は、複数の増幅素子のうち、中間で動作する増幅素子の直前で動作する増幅素子の出力が飽和したことが検出されたら、中間で動作する増幅素子に供給する電源電圧を増加させる例を示したが、これには限られない。例えば、複数の増幅素子のうち、中間で動作する増幅素子の出力が飽和したこと、又は中間で動作する増幅器入力に対する出力電圧の変化があらかじめ設定した閾値よりも小さくなったことが検出されたら、中間で動作する増幅素子に供給する電源電圧を増加させることもできる。
次に、第2実施例の3Wayドハティ増幅器について説明する。図13は、第2実施例の3Wayドハティ増幅器の構成を示す図である。図13に示すように、第2実施例の3Wayドハティ増幅器は、CAとしてのFET302と、PAとしてのFET304と、PAとしてのFET306とが並列に接続された3Wayドハティ増幅器である。この場合、FET304が中間で動作する増幅部となる。なお、実施例では、増幅素子としてFETを用いる場合を例に挙げて説明するが、増幅素子はFETに限らず、例えばバイポーラトランジスタなどの増幅素子を用いることもできる。
FET304のゲート側にはλ/4線路310が設けられ、FET306のゲート側にはλ/4線路312,314が設けられる。変調器106から出力された送信データは、FET302のゲートに対しては直接入力される。一方、変調器106から出力された送信データは、FET304のゲートに対してはλ/4線路310を介して入力され、FET306のゲートに対してはλ/4線路312,314を介して入力される。
また、FET302のドレイン出力側には、λ/4線路316が設けられ、FET304のドレイン出力側には、λ/4線路318が設けられる。FET302の出力電流は、λ/4線路316,318を介して負荷320に流れ、FET304の出力電流は、λ/4線路318を介して負荷320に流れる。一方、FET306の出力電流は、直接負荷320に流れる。
FET304のドレイン側には、RFのドレイン電圧を計測する電圧検出器322が設けられる。また、FET304のドレイン側には、DC電源より供給されるドレイン電圧を制御する電圧制御回路326が設けられる。電圧検出器322で検出されたFET304のドレイン電圧は制御回路324に入力される。
制御回路324は、FET302,304,306のうち、中間で動作する増幅素子(FET304)の直前で動作する増幅素子(FET302)の出力が飽和したことを検出する。例えば、制御回路324は、電圧検出器322で検出されたFET304のドレイン電圧に基づいて、FET302の出力が飽和したことを検出する。より具体的には、制御回路324は、電圧検出器322によって検出された電圧が一定の値になるか、又は電圧検出器322によって検出された電圧の変化率があらかじめ設定された閾値よりも小さくなったら、FET302の出力が飽和したことを検出する。
また、制御回路324は、FET302の出力が飽和したことが検出されたら、FET304に供給する電源電圧(ドレイン電圧)を増加させる。例えば、制御回路324は、FET302の出力が飽和したことが検出されたら、FET304に供給する電源電圧(ドレイン電圧)を増加させるための制御信号を、電圧制御回路326へ出力する。
電圧制御回路326は、FET304に供給する電源電圧(ドレイン電圧)の減少又は増加を制御する回路である。電圧制御回路326は、制御回路324から出力された制御信号に基づいて、FET304のドレイン電圧の減少又は増加を制御する。
このように、制御回路324は、FET304のドレイン電圧の飽和を検出することによって、FET302の出力が飽和したことを検出する。そして、制御回路324は、FET302の出力が飽和したことを検出した場合に、FET304のドレイン電圧を増加させることにより、3Wayドハティ増幅器の電力効率を向上することができる。この点については、図8を用いて既に説明したので詳細な説明を省略する。
次に、第2実施例の3Wayドハティ増幅器の処理内容について説明する。図14は、第2実施例の3Wayドハティ増幅器の処理フローを示す図である。まず、制御回路324は、電圧検出器322によって検出されたFET304のドレイン電圧値V(t)を読み込む(ステップS351)。続いて、制御回路324は、1サンプル前の電圧値V(t−1)と、読み込んだ電圧値V(t)とを比較する(ステップS352)。
続いて、制御回路324は、電圧変化量の大きさ|ΔV|があらかじめ設定された閾値Bより小さいか否かを判定する(ステップS353)。ステップ353において、閾値Bというパラメータと比較するのは、原理的にはFET304のドレイン電圧の電圧値が一定となるはずだが、実際は多少の電圧変化が生じるので、その容認範囲を持たせるためである。
制御回路324は、電圧変化量の大きさ|ΔV|があらかじめ設定された閾値Bより小さいと判定したら(ステップS353、Yes)、FET304のドレイン電圧を増加させる指示を電圧制御回路326へ出力する(ステップS354)。例えば、制御回路324は、FET304のドレイン電圧を増加させる制御信号を電圧制御回路326へ出力し、電圧制御回路326は、制御回路324から出力された制御信号に基づいてFET304のドレイン電圧を増加させる。制御回路324は、ステップS354においてFET304のドレイン電圧を増加させる指示を電圧制御回路326へ出力した後、ステップS351の処理へ戻る。
一方、電圧変化量の大きさが閾値B以上の場合は、FET304のドレイン電圧が増加又は減少している状態である。そこで、制御回路324は、電圧変化量の大きさ|ΔV|があらかじめ設定された閾値B以上であると判定したら(ステップS353、No)、FET304のドレイン電圧が減少しているか否かを判定する(ステップS355)。
制御回路324は、FET304のドレイン電圧が減少していると判定したら(ステップS355、Yes)、電圧制御回路326の電圧値が最小値であるか否かを判定する(ステップS356)。つまり、FET304の出力電圧が減少する状態は、FET304の入力電力が小さくなってきているため生じる。そこで、ステップS356において、FET304のドレイン電圧がFET302の出力電流を増加するために、FET304のドレイン電圧をすでに大きくした状態であるか判断する。
制御回路324は、電圧制御回路326の電圧値が最小値ではないと判定したら(ステップS356,No)、FET304のドレイン電圧を減少させる指示を電圧制御回路326へ出力する(ステップS357)。例えば、制御回路324は、FET304のドレイン電圧を減少させる制御信号を電圧制御回路326へ出力し、電圧制御回路326は、制御回路324から出力された制御信号に基づいてFET304のドレイン電圧を減少させる。このように、制御回路324は、FET304のドレイン電圧をすでに大きくした状態である場合は、電圧制御回路326へ電圧ダウンの指示を行う。制御回路324は、ステップS357においてFET304のドレイン電圧を減少させる指示を電圧制御回路326へ出力した後、ステップS351の処理へ戻る。
一方、制御回路324は、FET304のドレイン電圧が減少していないと判定したら(ステップS355、No)、FET304のドレイン電圧を維持させる指示を電圧制御回路326へ出力する(ステップS358)。例えば、制御回路324は、FET304のドレイン電圧を維持させる制御信号を電圧制御回路326へ出力し、電圧制御回路326は、制御回路324から出力された制御信号に基づいてFET304のドレイン電圧を維持させる。制御回路324は、ステップS358においてFET304のドレイン電圧を維持させる指示を電圧制御回路326へ出力した後、ステップS351の処理へ戻る。
また、制御回路324は、電圧制御回路326の電圧値が最小値であると判定したら(ステップS356,Yes)、FET304のドレイン電圧を維持させる指示を電圧制御回路326へ出力する(ステップS358)。例えば、制御回路324は、FET304のドレイン電圧を維持させる制御信号を電圧制御回路326へ出力し、電圧制御回路326は、制御回路324から出力された制御信号に基づいてFET304のドレイン電圧を維持させる。このように、制御回路324は、FET304のドレイン電圧をすでに大きくした状態でない場合は、電圧制御回路326へ電圧維持の指示を行う。なお、制御回路324は、電圧維持の場合は何も指示しなくとも、電圧制御回路326は電圧を維持しているので、電圧維持指示を不要にしてもよい。
なお、ステップS355の判定において、FET304のドレイン電圧が増加している場合(ステップS355、No)は、2つの場合が考えられる。一つは、FET304がまだ飽和していない状態である。その場合、制御回路324は、FET304に対して、ドレイン電圧を変更する必要がないので、電圧制御回路326へ電圧維持の指示を行う(ステップS358)。
もう一つの場合は、FET304が飽和している状態で、FET304のドレイン電圧を大きくしている効果によりFET304のドレイン電圧が増加している場合である。この状態は、FET304のドレイン電圧を最適に制御できている場合と、FET304のドレイン電圧を大きくし過ぎ、FET304が非飽和状態になっている場合がある。
本実施例では、非飽和状態になっていると仮定して、ステップ358に進み、電圧制御回路326へ電圧維持の指示を出している。これに対して、もし、FET304のドレイン電圧を最適に制御できている場合は、制御回路324は、次の電圧検出からの一連のフローのステップ353にて電圧変化量の大きさが閾値B以下になり、電圧制御回路326へ電圧アップの指示を送ることになる。このように、本実施例は、電圧検出からの一連のフローを短い周期で行えば、ほぼ、常にFET304のドレイン電圧を最適に制御することができる。
なお、第2実施例の3Wayドハティ増幅器の効果は、図10を用いて既に説明した第1実施例の3Wayドハティ増幅器の効果と同様であるので、詳細な説明を省略する。
次に、第2実施例の3Wayドハティ増幅器の変形例を説明する。図15は、第2実施例の3Wayドハティ増幅器においてCAの出力側にRF電圧を検出する電圧検出器を追加した例を示す図である。図15に示すように、第2実施例の3Wayドハティ増幅器においてCAとなるFET302の出力側に電圧検出器328を設けることができる。
すなわち、図15に示した3Wayドハティ増幅器は、図13に示した3Wayドハティ増幅器と比較して、CAであるFET302の出力側に電圧検出器328を追加したものである。また、電圧検出器328で検出された出力電圧値は、制御回路324に入力される。
制御回路324は、FET302の出力が飽和している場合に、FET304のドレイン電圧の増加又は減少の制御を行うのが好ましい。この点、図15に示すように、FET302の出力側に電圧検出器328を追加することにより、制御回路324は、FET302の出力電圧が飽和しているか否かを判定することができる。そして、制御回路324は、FET302の出力電圧が飽和している場合に限り、図14等で説明したFET304のドレイン電圧の制御を行うことができる。
次に、第2実施例の3Wayドハティ増幅器の変形例を説明する。図16は、第2実施例の3Wayドハティ増幅器において変調波振幅検出器を追加した例を示す図である。図16に示すように、第2実施例の3Wayドハティ増幅器において変調器106の入力側に変調波振幅検出器330を設けることができる。
すなわち、図16に示した3Wayドハティ増幅器は、図13に示した3Wayドハティ増幅器と比較して、変調器106の入力側に変調波振幅検出器330を追加したものである。また、変調波振幅検出器330で検出された変調波の入力振幅は、制御回路324に入力される。
図13に示した3Wayドハティ増幅器は、変調波の入力振幅が一定の状態が続くと、FET304の出力電圧が一定になる。これにより、FET302の出力が飽和していないにも関わらず、FET304のドレイン電圧の制御が行われるおそれがある。ただし、本実施例は、ピーク電力と平均電力の比が大きい変調方式に対しての実施例であり、変調波の入力振幅が一定の状態が長く続くことはほとんどないものと考えられるので、図13に示した3Wayドハティ増幅器でも不都合はないと考える。
これに対して、図16に示した3Wayドハティ増幅器では、制御回路324は、変調波振幅検出器330から入力された変調波の入力振幅が一定の場合には、FET304のドレイン電圧の制御を行わないようにすることができる。つまり、制御回路324は、変調波振幅検出器330から入力された変調波の入力振幅が一定の場合には、たとえFET304のドレイン電圧が一定であったとしても、FET304のドレイン電圧の増加を行わないようにすることができる。なお、変調波振幅検出器330は、変調器106の出力側に設けることもできる。
次に、第3実施例の3Wayドハティ増幅器について説明する。図17は、第3実施例の3Wayドハティ増幅器の構成を示す図である。図17に示すように、第3実施例の3Wayドハティ増幅器は、CAとしてのFET402と、PAとしてのFET404と、PAとしてのFET406とが並列に接続された3Wayドハティ増幅器である。この場合、FET404が中間で動作する増幅部となる。なお、実施例では、増幅素子としてFETを用いる場合を例に挙げて説明するが、増幅素子はFETに限らず、例えばバイポーラトランジスタなどの増幅素子を用いることもできる。
FET404のゲート側にはλ/4線路410が設けられ、FET406のゲート側にはλ/4線路412,414が設けられる。変調器106から出力された送信データは、FET402のゲートに対しては直接入力される。一方、変調器106から出力された送信データは、FET404のゲートに対してはλ/4線路410を介して入力され、FET406のゲートに対してはλ/4線路412,414を介して入力される。
また、FET402のドレイン出力側には、λ/4線路416が設けられ、FET404のドレイン出力側には、λ/4線路418が設けられる。FET402の出力電流は、λ/4線路416,418を介して負荷420に流れ、FET404の出力電流は、λ/4線路418を介して負荷420に流れる。一方、FET406の出力電流は、直接負荷420に流れる。
本実施例では、あらかじめ設計又は試験等によって、FET402の出力が飽和する入力電力が求められ、無線機100のメモリ103に記憶されている。例えば、メモリ103には、FET402の出力電流が一定の値になる入力電力、又はFET402の出力電流の変化率があらかじめ設定された閾値より小さくなる入力電力が記憶されている。また、メモリ103には、FET404の出力電圧が一定の値になる入力電力、又はFET404の出力電圧があらかじめ設定された閾値より小さくなる入力電力が記憶されている。なお、メモリ103に記憶するのは、変調波の入力電力に限らず、変調波の入力振幅閾値Vthとすることもできる。また、本実施例では、あらかじめ設計又は試験により、FET404のドレイン電圧の最小電圧値Vdminが求められ、メモリ103に記憶されている。
変調器106の入力側には、変調波の入力電力又は入力振幅を検出する変調波振幅検出器422が設けられる。また、FET404のドレイン側には、DC電源より供給されるドレイン電圧を制御する電圧制御回路426が設けられる。変調波振幅検出器422で検出された変調波の入力電力は制御回路424に入力される。
制御回路424は、FET402,404,406のうち、中間で動作する増幅素子(FET404)の直前で動作する増幅素子(FET402)の出力が飽和したことを検出する。例えば、制御回路424は、変調波振幅検出器422で検出された変調波の入力電力に基づいて、FET402の出力が飽和したことを検出する。より具体的には、制御回路424は、変調波振幅検出器422によって検出された変調波の入力電力がメモリ103に記憶された入力電力に達したら、FET402の出力が飽和したことを検出する。
また、制御回路424は、FET402の出力が飽和したことが検出されたら、FET404に供給する電源電圧(ドレイン電圧)を増加させる。例えば、制御回路424は、FET402の出力が飽和したことが検出されたら、FET404に供給する電源電圧(ドレイン電圧)を増加させるための制御信号を、電圧制御回路426へ出力する。
電圧制御回路426は、FET404に供給する電源電圧(ドレイン電圧)の減少又は増加を制御する回路である。電圧制御回路426は、制御回路424から出力された制御信号に基づいて、FET404のドレイン電圧の減少又は増加を制御する。
このように、本実施例は、あらかじめ設計又は試験等により、FET402の出力が飽和する変調波の入力電力又は入力振幅閾値Vthを求めておき、メモリ103に記憶する。そして、制御回路424は、変調波振幅検出器422によって検出された実際の変調波の入力電力又は入力振幅閾値Vthが、メモリ103に記憶された入力電力又は振幅値に達したら、FET302の出力が飽和したことを検出する。そして、制御回路424は、FET402の出力が飽和したことを検出した場合に、FET404のドレイン電圧を増加させることにより、3Wayドハティ増幅器の電力効率を向上することができる。この点については、図8を用いて既に説明したので詳細な説明を省略する。なお、変調波振幅検出器422は、変調器106の出力側に設けることもできる。この場合、変調波振幅検出器422は、変調器106から出力された電力を検出し、検出された電力は制御回路424に入力される。
次に、第3実施例の3Wayドハティ増幅器の処理内容について説明する。図18は、第3実施例の3Wayドハティ増幅器の処理フローを示す図である。まず、制御回路424は、メモリ103に格納された変調波の入力振幅閾値Vthを読み込む(ステップS451)。
続いて、制御回路424は、メモリ103に格納されたFET404のドレイン電圧の最小電圧値Vdminを読み込む(ステップS452)。続いて、制御回路424は、変調波振幅検出器422によって検出された変調波の入力振幅値V(t)を読み込む(ステップS453)。続いて、制御回路424は、電圧制御回路426に現在設定されている電圧値Vd(t)を読み込む(ステップS454)。
続いて、制御回路424は、変調波振幅検出器422で検出された変調波の入力振幅値V(t)に対して、FET404のドレイン電圧値が大きいか否かを判定する。すなわち、制御回路424は、(V(t)−Vth)>(m×(Vd(t)−Vdmin))であるか否かを判定する(ステップS455)。
制御回路424は、変調波の入力振幅値V(t)に対してFET404のドレイン電圧値が小さいと判定した場合は(ステップS455、Yes)、FET404のドレイン電圧の不足分の電圧を増加するよう電圧制御回路426へ指示を出す。つまり、制御回路424は、電圧制御回路426に対して、FET404のドレイン電圧を(V(t)−Vth)/m−Vd(t)+Vdmin増加するよう指示を出す(ステップS456)。
続いて、制御回路424は、電圧制御回路426に対して、現在の電圧値を書き込む。つまり、制御回路424は、Vd(t+1)=(V(t)−Vth)/m+Vdminを電圧制御回路426に書き込む(ステップS457)。制御回路424は、ステップS457において電圧制御回路426に対して現在の電圧値を書き込んだ後、ステップS453の処理へ戻る。
一方、制御回路424は、入力振幅値V(t)に対してFET404のドレイン電圧値が大きいと判定した場合は(ステップS455、No)、変調波振幅検出器422によって検出された振幅値がFET402の出力が飽和する振幅値より小さいか否かを判定する。言い換えると、制御回路424は、変調波振幅検出器422によって検出された振幅値が、FET402の出力電流値又はFET404の出力電圧値がほぼ一定になる振幅値より小さいか否かを判定する。つまり、制御回路424は、V(t)−Vth<0であるか否かを判定する(ステップS458)。
制御回路424は、V(t)−Vth<0であると判定した場合は(ステップS458、Yes)、電圧制御回路426に対して、FET404のドレイン電圧が最小値のVdminになるよう指示を出す(ステップS459)。
続いて、制御回路424は、電圧制御回路426に対して、最小電圧値を書き込む。つまり、制御回路424は、Vd(t+1)=Vdminを電圧制御回路426に書き込む(ステップS460)。制御回路424は、ステップS460において電圧制御回路426に対して最小電圧値を書き込んだ後、ステップS453の処理へ戻る。
一方、制御回路424は、V(t)−Vth<0ではないと判定した場合は(ステップS458、No)、FET404のドレイン電圧が大きすぎるので、その大きすぎる分、電圧制御回路426に対してドレイン電圧を減少させる指示を出す。つまり、制御回路424は、電圧制御回路426に対して、FET404のドレイン電圧をVd(t)−Vdmin−(V(t)−Vth)/m減少するよう指示を出す(ステップS461)。
続いて、制御回路424は、電圧制御回路426に対して、現在の電圧値を書き込む。つまり、制御回路424は、Vd(t+1)=(V(t)−Vth)/m+Vdminを電圧制御回路426に書き込む(ステップS462)。制御回路424は、ステップS462において電圧制御回路426に対して現在の電圧値を書き込んだ後、ステップS453の処理へ戻る。
第3実施例の3Wayドハティ増幅器の効果は、図10を用いて既に説明した第1実施例の3Wayドハティ増幅器の効果と同様であるので、詳細な説明を省略する。なお、実施例1,2,3は、それぞれ単独で実施するだけでなく、相互に補完しあって動作させることもできるので、実施例1,2,3を適宜組み合わせて実施することもできる。
また、実施例1,2,3の3Wayドハティ増幅器において、電圧制御回路の電圧値の最小値をCA(FET202,302,402)のドレイン電圧に対して小さく設定することができる。例えば、図9,図14,図18のフローにおいて、電圧制御回路の電圧値の最小値をCA(FET202,302,402)のドレイン電圧に対して小さく設定することができる。図19は、第1−3実施例の3Wayドハティ増幅器において、電圧制御回路の電圧値の最小値をCAのドレイン電圧に対して小さくした場合の効果を示す図である。
図19において、破線362は、電圧制御回路の電圧値の最小値をCAのドレイン電圧に対して小さくした3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率を示し、実線364は、従来の3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率を示す。図19のグラフは、横軸が規格化出力電力であり、縦軸が電力効率である。規格化出力電圧は、ドハティ増幅器が出力することのできる最大電力を1と規格化した場合の入力電圧である。
図19に示すように、規格化出力電力が約0.3より大きい領域において、電圧制御回路の電圧値の最小値をCAのドレイン電圧に対して小さくした3Wayドハティ増幅器の電力効率が向上する。
次に、第1−3実施例における電圧制御回路の一例について説明する。図20は、電圧制御回路の構成の一例を示す図である。図20は、一例として第1実施例における3Wayドハティ増幅器における電圧制御回路226を挙げて説明するが、第2,3実施例の電圧制御回路326,426についても同様である。
図20に示すように、電圧制御回路226は、アップダウンカウンタ502、D/A(Digital/Analog)504、ローパスフィルタ506、PWM(Pulse Width Modulation)型DC/DCコンバータ508を有する。アップダウンカウンタ502には、制御回路224から出力された制御信号が入力される。また、PWM型DC/DCコンバータ508にはDC電源108から出力された電源電圧が供給される。なお、アップダウンカウンタ502及びD/A504は、制御回路224の機能ブロックに含まれていてもよい。
アップダウンカウンタ502は、制御回路224から出力された制御信号に基づいて、FET204のドレイン電圧のアップ指示、ダウン指示、又は維持指示を、カウンタを用いてカウントする。D/A504は、アップダウンカウンタ502から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。
ローパスフィルタ506は、D/A504から出力されたアナログ信号の高調波成分を除去し、信号の帯域を狭くする。PWM型DC/DCコンバータ508は、ローパスフィルタ506から出力された信号の電圧に従って、スイッチングパルスのパルス幅を変え、パルス幅に応じた直流の電圧を生成し、直流の電圧及び電流を、FET204へ供給する。
図20に示すように、電圧制御回路226には、ローパスフィルタ506が含まれているため、FET204に供給する電源電圧を制御する制御信号に含まれる高調波成分をローパスフィルタ506によって除去することができる。したがって、FET204に供給する電源電圧を制御する制御信号に高調波成分が含まれていたとしても、FET204のドレイン電圧を良好に制御することができる。
次に、第1−3実施例における電圧制御回路の他の例について説明する。図21は、電圧制御回路の構成の他の例を示す図である。図21は、一例として第1実施例における3Wayドハティ増幅器における電圧制御回路226を挙げて説明するが、第2,3実施例の電圧制御回路326,426についても同様である。
図21に示すように、電圧制御回路226は、アップダウンカウンタ602、平均化回路604、D/A606、PWM型DC/DCコンバータ608を有する。アップダウンカウンタ602には、制御回路224から出力された制御信号が入力される。また、PWM型DC/DCコンバータ608にはDC電源108から出力された電源電圧が供給される。なお、アップダウンカウンタ602、平均化回路604、及びD/A606は、制御回路224の機能ブロックに含まれていてもよい。
アップダウンカウンタ602は、制御回路224から出力された制御信号に基づいて、FET204のドレイン電圧のアップ指示、ダウン指示、又は維持指示を、カウンタを用いてカウントする。平均化回路604は、アップダウンカウンタ602から出力されたデジタルの制御信号の高調波成分を除去し、信号の帯域を狭くする。
D/A606は、平均化回路604から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。PWM型DC/DCコンバータ608は、D/A606から出力された信号の電圧に従って、スイッチングパルスのパルス幅を変え、パルス幅に応じた直流の電圧を生成し、直流の電圧及び電流を、FET204へ供給する。
図21に示すように、電圧制御回路226には、平均化回路604が含まれているため、FET204に供給する電源電圧を制御する制御信号に含まれる高調波成分を平均化回路604によって除去することができる。したがって、FET204に供給する電源電圧を制御する制御信号に高調波成分が含まれていたとしても、FET204のドレイン電圧を良好に制御することができる。
図22は、図20,図21の電圧制御回路による効果を示す図である。図22のグラフは、横軸が規格化出力電力であり、縦軸が電力効率である。規格化出力電圧は、ドハティ増幅器が出力することのできる最大電力を1と規格化した場合の出力電圧である。図22において、破線622は、第1−3実施例の3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率を示し、実線624は、従来の3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率を示す。図20,図21の電圧制御回路を用いた場合の3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率は、破線622で示した上限と、実線624で示した下限とに挟まれた斜線で示した領域626内となる。
図22に示すように、規格化出力電力が約0.5より大きい領域、つまりFET202及びFET204が飽和動作し、FET206が非飽和動作している領域において、図20,図21の電圧制御回路を用いた場合の3Wayドハティ増幅器の規格化出力電圧に対する電力効率は向上する。これに加えて、図20,図21の電圧制御回路を用いることにより、変調波に含まれる高調波を除去することができるので、広帯域の変調波に対して実施例1−3を適用することが可能になるという更なる効果を生じる。なお、狭帯域の変調波に対しては、図20のローパスフィルタ506、図21の平均化回路604を実装せず、図20ではD/A504の出力をPWM型DC/DCコンバータへ、図21ではアップダウンカウンタの出力をD/A606へ入力する構成を取ることができる。
なお、上述の実施例は、主に3つ以上の増幅素子を有するドハティ増幅器を備えた無線機(電子機器)を中心に説明したが、これに限らず、あらかじめ用意された増幅器制御プログラムをコンピュータで実行することによって、上述の実施例と同様の機能を実現することができる。すなわち、増幅器制御プログラムは、入力電力の増加にともなって順次動作し、並列接続された3つ以上の増幅素子を有する電子機器に、前記3つ以上の増幅素子のうち、中間で動作する増幅素子の直前で動作する増幅素子の出力が飽和したことを検出する処理を実行させる。また、増幅器制御プログラムは、入力電力の増加にともなって順次動作し、並列接続された3つ以上の増幅素子を有する電子機器に、前記中間で動作する増幅素子の直前で動作する増幅素子の出力が飽和したことが検出されたら、前記中間で動作する増幅素子に供給する電源電圧を増加させる処理を実行させる。
なお、増幅器制御プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介してコンピュータに配布することができる。また、増幅器制御プログラムは、電子機器に設けられたメモリ、ハードディスク、その他のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。