特許文献1に記載されているサイドサポート装置は、例えば、車両の一般的な走行状況において車両に作用すると考えられる0.6G程度(Gは重力加速度)の横加速度に対して、着座者を車両用シートに安定して保持可能なように設計されている。しかし、よりスポーティーな走行を好む運転手も多く、この場合、車両に0.9G程度の横加速度が作用することがある。
特許文献1に記載されているサイドサポート装置を、車両に0.9G程度の横加速度が作用する状況に対応させるには、合成樹脂製のパドル本体81の剛性を高めることが望ましい。しかし、図11に示すように、クッション部材12aと左サイドフレーム21Lとの間の隙間が1cm程度と狭いため、合成樹脂製のパドル本体81の厚さを厚くして剛性を高めるには限界がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、サイドエアバッグが装備された車両用シートのシートバックのサイドサポート部に内蔵されたサイドサポート装置において、車両に作用する大きな横加速度に対して、着座者を車両用シートに安定して保持可能であると共に、サイドエアバッグの膨張を妨げることなくサイドエアバッグを確実に展開させることが可能なサイドサポート装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係るサイドサポート装置の構成上の特徴は、サイドエアバッグが装備された車両用シートのシートバックのサイドサポート部に内蔵され、着座者を拘束しないオープン位置と、着座者の身体側部を保持するサポート位置との間で移動自在なサポート本体と、シートバック側部材に固定的に設けられ、前記サポート本体の移動方向を該サポート本体の中間部において規定するように延設された長孔状の第1ガイド孔、及び該第1ガイド孔の延設方向に対して交差する方向に延設され該第1ガイド孔と共に前記サポート本体の移動方向を該サポート本体の基端部において規定する長孔状の第2ガイド孔を有する固定部と、前記第1ガイド孔に挿入され、該第1ガイド孔の延設方向に移動可能な第1軸部材と、前記第2ガイド孔に挿入され、該第2ガイド孔の延設方向に移動可能な第2軸部材と、を備え、
前記サポート本体は、金属製の金属パドルを主強度部材とし、少なくとも、該金属パドルの表面と、前記シートバック側部材から側方にはみ出している該金属パドルの縁端部とが合成樹脂により被覆されており、前記サポート本体は、前記第1軸部材に対して着脱可能に当接する当接部を該サポート本体の前記中間部に備えると共に、前記第2軸部材に対して枢支される枢支孔を該サポート本体の前記基端部に備え、該サポート本体の先端部が前記サイドエアバッグの膨張により前方に押されたときに、該当接部と該第1軸部材との当接が解除されて、該第2軸部材を中心に回転することである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載のサイドサポート装置において、前記サポート本体は、前記金属パドルと合成樹脂製の樹脂パドルとを重ね合わせて一体化することよりなることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2に記載のサイドサポート装置において、前記樹脂パドルは、該樹脂パドルの裏面に形成された複数の突起により、前記金属パドルの表面に支持されていることである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項2又は3に記載のサイドサポート装置において、前記金属パドルは、前記第2軸部材に対して枢支される第1枢支孔を備え、前記樹脂パドルは、前記第2軸部材に対して枢支される第2枢支孔と、前記金属パドルの先端部が挿入される挿入部とを備え、前記金属パドルの前記先端部を前記樹脂パドルの前記挿入部に挿入した後、前記第1枢支孔及び前記第2枢支孔に前記第2軸部材を挿入することにより、該金属パドルと該樹脂パドルとを一体化することである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4に記載のサイドサポート装置において、前記金属パドルは、前記第2軸部材に対して枢支される1個の前記第1枢支孔を備え、前記第1枢支孔は、前記金属パドルの基端部の上下方向のうちで前記サポート本体に作用する荷重の作用中心から離れている側に配置されていることである。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項2〜5のうちのいずれか一つに記載のサイドサポート装置において、前記金属パドルは、前記第1軸部材に対して着脱可能に当接する第1当接部を備え、前記樹脂パドルは、前記第1軸部材に対して着脱可能に当接する第2当接部を備え、前記樹脂パドルの前記第2当接部と前記第1軸部材とは、前記サイドエアバッグの膨張時を除いて常時当接可能であり、前記金属パドルの前記第1当接部と該第1軸部材とは、前記サポート本体が表面側から押されたときにのみ当接可能であることである。
請求項1に係る発明によれば、サポート本体は、金属パドルを主強度部材とし、少なくとも、金属パドルの表面と、シートバック側部材から側方にはみ出している金属パドルの縁端部とが合成樹脂により被覆されている。また、サポート本体は、第1軸部材に対して着脱可能に当接する当接部をサポート本体の中間部に備えると共に、第2軸部材に対して枢支される枢支孔をサポート本体の基端部に備え、サポート本体の先端部がサイドエアバッグの膨張により前方に押されたときに、当接部と第1軸部材との当接が解除されて、第2軸部材を中心に回転する。
したがって、金属パドルを主強度部材としているサポート本体は、特許文献1に記載の合成樹脂製のパドル本体81と同様に、シートバックのクッション部材とシートバック側部材との間の狭い隙間に収まる厚さでありながらも高い剛性を確保することができる。これにより、本発明のサイドサポート装置によれば、車両に作用する大きな横加速度に対して、着座者を車両用シートに安定して保持することが可能である。
また、シートバック側部材から側方にはみ出している金属パドルの縁端部が合成樹脂により被覆されているため、サポート本体の後方に配置されたサイドエアバッグが膨張する際に、サイドエアバッグの表面が金属パドルに接触することがない。これにより、サイドエアバッグ膨張時のサイドエアバッグの裂損を防止することができるため、サイドエアバッグを確実に展開させることが可能である。
また、サイドエアバッグ膨張時には、サポート本体の当接部と第1軸部材との当接が解除されて、サポート本体が第2軸部材を中心に回転する。これにより、サイドエアバッグの前方に配置されたサポート本体は、サイドエアバッグの膨張を妨げることがないため、サイドエアバッグを確実に展開させることが可能である。
なお、周知のとおり、サポート本体は、シートバックの左右のサイドサポート部にそれぞれ内蔵されるが、請求項1に係る発明の構成は、シートバックの左右のサイドサポート部のうちの少なくともサイドエアバッグが装備された側に適用すればよい。シートバックの左右のサイドサポート部のうちのサイドエアバッグが装備されていない側の構成は、請求項1に係る発明と同一の構成であっても、異なる構成であってもよい。
請求項2に係る発明によれば、サポート本体は、金属パドルと樹脂パドルとを重ね合わせて一体化することよりなる。なお、一般に、金属パドルはプレス成形により形成され、樹脂パドルは射出成形により形成される。
金属パドルの剛性を確保するためには、金属パドルに凹凸加工を施す必要がある。着座者は、シートバックのクッション部材を介してサポート本体表面の凹凸を感じるため、金属パドルの表面の凹凸形状をそのままサポート本体の表面形状とすることなく、サポート本体の表面を滑らかに仕上げることが望ましい。そこで、請求項2に係る発明のように、金属パドルの表面に、金属パドルとは別体の樹脂パドルを被せることによって、金属パドルの凹凸形状に左右されずに、サポート本体の表面を滑らかかつ高い成形精度で仕上げることができる。
また、金属パドルと樹脂パドルとを別体とすることによって、金属パドル及び樹脂パドルの形状の自由度が高まる。これにより、車両用シート毎に異なる形状のサポート本体を用いる場合であっても、各サポート本体で同一形状の金属パドルを用いることが可能であり、金属パドルの量産化によるコストダウンが図れる。
また、サポート本体をインサート成形する場合と比較すると、合成樹脂が金属パドルの凹部に入り込まない分、樹脂パドルの樹脂量を最小限に抑えることが可能でありサポート本体を安価に製造することが可能である。
上述のとおり、金属パドルと樹脂パドルとは対向する面の形状が異なっており、また、プレス成形により形成された金属パドルは、射出成形により形成された樹脂パドルのような高い成形精度が得られにくい。したがって、金属パドルの表面と樹脂パドルの裏面との間に様々な間隔の隙間が発生する。
請求項3に係る発明によれば、樹脂パドルが、樹脂パドルの裏面に形成された複数の突起により、金属パドルの表面に支持されている。これにより、金属パドルの表面と樹脂パドルの裏面との間に様々な間隔の隙間が発生する場合であっても、複数の突起の突出量を調整することによって、樹脂パドルを金属パドルに確実に支持させることができる。
請求項4に係る発明によれば、金属パドルの先端部を樹脂パドルの挿入部に挿入した後、金属パドルの第1枢支孔及び樹脂パドルの第2枢支孔に第2軸部材を挿入することにより、金属パドルと樹脂パドルとが一体化される。
したがって、金属パドルと樹脂パドルとを一体化する際の組み付けが容易である。また、金属パドルと樹脂パドルとを一体化するための専用の部品(ボルト等)が不要であるため、部品点数の増加が抑えられて経済的である。
請求項5に係る発明によれば、金属パドルは、第2軸部材に対して枢支される1個の第1枢支孔を備え、この第1枢支孔は、金属パドルの基端部の上下方向のうちでサポート本体に作用する荷重の作用中心から離れている側に配置されている。
着座者の荷重等によりサポート本体が表面側から押されると、サポート本体は、第1軸部材を支点として回転しようとする。そして、枢支孔にはサポート本体の回転を止めるための反力が作用する。ここで、サポート本体の形状が上下非対象の場合には、サポート本体に作用する荷重によってサポート本体がねじられるため、サポート本体が複数個の枢支孔によって支持されている場合には、サポート本体に作用する荷重の作用中心から第1軸部材を挟んで最も離れている枢支孔に最も大きな反力が作用する。
主強度部材である金属パドルは金属製であるため、1個の第1枢支孔のみでこの反力を受けることが可能であり、1個の第1枢支孔の配置を上述のとおりとすることによって、サポート本体の回転を効率良く止めることが可能である。
上述のとおり、プレス成形により形成された金属パドルは、射出成形により形成された樹脂パドルのような高い成形精度が得られにくい。したがって、仮に、金属パドルに2個の第1枢支孔を形成する場合には、両第1枢支孔の位置ずれによって両第1枢支孔への第2軸部材の挿入が困難となったり、第2軸部材の軸ずれが起こったりする可能性がある。本発明のように、第1枢支孔を1個のみとすることによって、第1枢支孔へ第2軸部材を挿入する際の上記の不具合の発生を防止することができる。
請求項6に係る発明によれば、樹脂パドルの第2当接部と第1軸部材とは、サイドエアバッグの膨張時を除いて常時当接可能であり、金属パドルの第1当接部と第1軸部材とは、サポート本体が表面側から押されたときにのみ当接可能である。
サポート本体に荷重が作用していないときには、車両の走行による振動等によって、サポート本体が振動する場合がある。このとき、仮に、金属パドルの第1当接部と金属製の第1軸部材とが接触している状態であれば、接触部位から不快なメタルタッチ音が発生する。本発明のように、金属パドルの第1当接部と第1軸部材とが、サポート本体が表面側から押されたときにのみ当接可能とすることによって、不快なメタルタッチ音の発生を防止することが可能である。
以上のように、本発明によれば、サイドエアバッグが装備された車両用シートのシートバックのサイドサポート部に内蔵されたサイドサポート装置において、車両に作用する大きな横加速度に対して、着座者を車両用シートに安定して保持可能であると共に、サイドエアバッグの膨張を妨げることなくサイドエアバッグを確実に展開させることが可能なサイドサポート装置を提供することができる。
図1乃至図9に基づき、本発明の一実施形態による車両用シートのサイドサポート装置について説明する。なお、説明中における上、下、左、右、前、後とは、車両用シート1のシートバック12を起立させた状態において、車両用シート1に着座した着座者にとっての上、下、左、右、前、後を指す。
また、説明中において、パドル本体41(金属パドル41Mと樹脂パドル41Pよりなり、本発明のサポート本体に該当する)の車両用シート1の外方側の端部付近を先端部といい、車両用シート1の内方側の端部付近を基端部といい、この先端部と基端部との間を中間部という。また、パドル本体41の着座者を保持する側の面を表面といい、表面の反対側の面を裏面という。
また、説明中において、作動ケーブル47(インナケーブル471及びアウタケーブル472を含む)の右用パドル機構4R側及び左用パドル機構4L側の端部を一端部といい、ケーブル駆動装置5側の端部を他端部という。
本実施形態は、特許文献1に記載のサイドサポート装置における合成樹脂製のパドル本体81を、金属と合成樹脂とよりなるパドル本体41に変更した実施形態である。本実施形態におけるパドル本体41以外の各部品の構成、及びサイドサポート装置の作動については、特許文献1に記載のサイドサポート装置とほぼ同様であるため、詳細については特許文献1を参照することができる。
図1に示すように、車両用シート1は、着座者が着座するシートクッション11と、シートクッション11の後端部において前後方向に回転可能に取り付けられ、着座者の背もたれとなるシートバック12とを備えている。また、シートバック12の上端には、着座者の頭部を支持するヘッドレスト13が取り付けられている。
シートバック12の右側端部には、着座者の上半身を右側方から保持するために前方に突出した右サイドサポート部121Rが形成されている。また、シートバック12の左側端部には、着座者の上半身を左側方から保持するために前方に突出した左サイドサポート部121Lが形成されている。
右サイドサポート部121R内には、後述するサイドサポート装置3の右用パドル機構4Rが収容されており、左サイドサポート部121L内には左用パドル機構4Lが収容されており、右用パドル機構4R及び左用パドル機構4Lが作動することにより、右サイドサポート部121R及び左サイドサポート部121Lが、それぞれ着座者の身体側部を保持する。
シートバック12内には、シートバックフレーム2が内蔵されている(図2示)。シートバックフレーム2は、右端において上下方向に延びる右サイドフレーム21R及び左端において上下方向に延びる左サイドフレーム21L(右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lは、本発明のシートバック側部材に該当する)と、上端部において右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lを互いに連結するアッパクロスメンバ22と、下端部において右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lを互いに連結するロアクロスメンバ23とを備えている。
また、アッパクロスメンバ22の下方には、右サイドフレーム21R及び左サイドフレーム21Lを連結する補強用のリインフォースメント24が設けられている。さらに、アッパクロスメンバ22には、ヘッドレスト13の下面から突出する支持棒(図示せず)が挿入されるように、一対のヘッドレスト取付部25が形成されている。このように形成されたシートバックフレーム2は、内部からシートバック12を支持している。
図2に示すように、右サイドフレーム21Rには、サイドサポート装置3の右用パドル機構4R及びサイドエアバッグ6が取り付けられている。また、左サイドフレーム21Lには、サイドサポート装置3の左用パドル機構4L及びケーブル駆動装置5が取り付けられている。ケーブル駆動装置5の構成及び作動については、特許文献1を参照することができる。
図3は、右用パドル機構4Rの分解斜視図を示している。図4は、右用パドル機構4Rの斜視図を示している。図5及び6は、図4におけるA−A断面図を示している。図4及び5は、右用パドル機構4Rのパドル本体41が着座者を拘束しないように後方に下がったオープン位置に保持されている状況を示している。また、図6は、パドル本体41がオープン位置から前方に回転することによって、パドル本体41がクッション部材12aを介して着座者を保持するサポート位置に到達した状況を示している。
以下、図3〜6に基づき、右用パドル機構4Rについて説明する。なお、図略の左用パドル機構4Lは、右用パドル機構4Rと対称形状とされている点が異なるのみであるため、特に左用パドル機構4Lについては説明しない。
右用取付ブラケット26R(本発明の固定部に該当する)は、プレス成形された鋼板により形成されており、右サイドフレーム21Rへ固定的に取り付けられる平板部261を備えている。平板部261には、取付用ボルト(図示せず)が挿入される複数の取付孔262が貫通している。
平板部261からは、一対の案内面部263が所定の間隔を有して互いに平行に突出している。両案内面部263は、互いに同一形状に形成されており、それぞれの案内面部263には、第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bが貫通するように形成されている。第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bは、パドル本体41の移動方向を規定するように延びている。
各案内面部263に形成された第1ガイド孔264aは、それぞれの案内面部263における同一位置に設けられると共に、互いに同一の長孔状を呈している。図5及び6に示すように、一対の第1ガイド孔264aは、いずれも車両用シート1のほぼ前後方向に延びている。
一方、各案内面部263に形成された第2ガイド孔264bも、それぞれの案内面部263における同一位置に設けられると共に、互いに同一の長孔状を呈している。図5及び6に示すように、一対の第2ガイド孔264bは、いずれも車両用シート1のほぼ幅方向に延びており、幅方向外方にいくにつれて図5及び6におけるやや前方に移動するように形成されている。したがって、第2ガイド孔264bは、第1ガイド孔264aの延設方向に対して交差する方向に延びている。
右用取付ブラケット26Rの、図5及び6における前端部には、両案内面部263をつなぐように、矩形状のブリッジ部265が形成されている。図3に示すように、ブリッジ部265の平板部261側に位置する端部には、後述するインナケーブル471の一端部が係合する切欠部266が設けられている。また、右用取付ブラケット26Rの上側の案内面部263の後端部には、後述するリタンスプリング48を保持するためのフック263aが形成されている。
それぞれの案内面部263には、案内面部263と略同一の平面形状の一対のガイドプレート42が装着されている。それぞれのガイドプレート42は、これに限定されるものではないが、ポリアミド樹脂等の低摩擦係数の材料により一体的に形成されており、それぞれ上述した第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bの内周面を覆うように嵌合可能なループ形状のガイドフランジが形成されている。
各案内面部263の第1ガイド孔264a内には、プライマリピン43(本発明の第1軸部材に該当する)が移動可能に挿入されている。プライマリピン43は、円柱状の軸部と、その一端部に設けられた抜け止め用のフランジ部とにより形成されている。また、軸部には、Cクリップ43aが係合するクリップ溝が形成されている。
また、各案内面部263の第2ガイド孔264b内には、セカンダリピン44(本発明の第2軸部材に該当する)が移動可能に挿入されている。セカンダリピン44も、円柱状の軸部と、その一端部に設けられた抜け止め用のフランジ部とにより形成されている。
プーリー45は、合成樹脂材料にて円板状に一体的に形成されている。プーリー45の中心部には、プライマリピン43が挿入される挿入孔が形成されている。プーリー45は、プライマリピン43を枢支軸として回転可能に支持されている。また、プーリー45の真円状の外周面には、後述するインナケーブル471が架けられる一条のケーブルスリットが形成されている。
ムーブ46は、合成樹脂材料にて一体的に形成されている。ムーブ46は、上述した右用取付ブラケット26Rの両案内面部263の間にがたつかずに配置可能なように、その厚みが両案内面部263間の距離と同等に形成されている。また、ムーブ46は、第1ガイド孔264aと第2ガイド孔264bとの間に延びるような長さに形成されており、上述したプライマリピン43及びセカンダリピン44が挿入される厚み方向に貫通した2つの挿入孔を有している。ムーブ46の長手方向のプライマリピン43が挿入される側にはプーリー45が回転可能に支持されている。
作動ケーブル47は、すでに述べたインナケーブル471と、インナケーブル471を摺動(相対移動)可能に被覆するアウタケーブル472とにより形成されている。インナケーブル471の一端部には、拡径したアウタエンド部471aが形成されている。
パドル本体41は、主強度部材としての金属製の金属パドル41Mと、被覆部材としての合成樹脂製の樹脂パドル41Pとを重ね合わせて一体化したものである。図7に右用パドル機構4Rのパドル本体41を裏面から見た斜視図、図8にパドル本体41を裏面から見た分解斜視図を示す。
図7に示すように、樹脂パドル41Pによって、金属パドル41Mの表面と、金属パドル41Mの縁端部41Mdとが覆われている。特に、樹脂パドル41Pが、右サイドフレーム21Rから側方(右方)にはみ出している金属パドル41Mの縁端部41Md(図5示)を覆っていることによって、この縁端部41Mdと周辺部材等との接触が防止されている。
金属パドル41Mは、鋼板のプレス成形により一体的に形成され、先端へ向かい幅広となる概ねひれ状に形成され着座者の側方を樹脂パドル41Pを介して押圧可能なパドル部411Mと、パドル部411Mから互いに平行に突出した一対の取付面412Mとを備えている。パドル部411Mには、剛性を高めるために凹凸加工が施されている。各取付面412Mは、中間部41Mb側の面と、基端部41Mc側の面とに分けて形成されている。各取付面412Mは、それぞれ右用取付ブラケット26Rの各案内面部263の外側に位置するように、互いの間の寸法が、各案内面部263間の距離よりもやや大きくなるように形成されている。
中間部41Mbに位置する各取付面412Mには、プライマリピン43と着脱可能に当接する第1当接部413Mが形成されている。各第1当接部413Mの形状は、プライマリピン43と線接触するように直線状とされている。これにより、第1当接部413Mの形状を曲線状(切欠状)とする場合に比べて、取付面412Mの輪郭が鈍角化されるため、エアバッグ等の周辺部材への危害性を軽減することができる。また、基端部41Mcに位置する上側の取付面412Mには、セカンダリピン44に枢支される第1保持孔414M(本発明の枢支孔及び第1枢支孔に該当する)が形成されている。金属パドル41Mは、この一つの第1保持孔414Mによって、セカンダリピン44に枢支されている。
なお、図4に示すように、パドル本体41の形状は上下非対象となっており、パドル本体41に作用する荷重の作用中心は、プライマリピン43及びセカンダリピン44の長さ方向の中心よりも下方に位置している。このため、パドル本体41に作用する荷重によってパドル本体41がねじられて、金属パドル41Mの基端部41Mcの上下方向のうちでパドル本体41に作用する荷重の作用中心から離れている側により大きな反力が作用する。したがって、この大きな反力が作用する上側の取付面412Mのみに第1保持孔414Mを形成している。
樹脂パドル41Pは、合成樹脂の射出成形により一体的に形成され、先端へ向かい幅広となる概ねひれ状に形成され着座者の側方を押圧可能なパドル部411Pと、パドル部411Pから互いに平行に突出した、一対の取付面412Pとを備えている。パドル部411Pの表面は、パドル部411Pの前面に配置されるクッション部材12a(図5示)の表面形状に合わせた滑らかな面となっている。各取付面412Pは、それぞれ金属パドル41Mの一対の取付面412Mの外側を覆うように、互いの間の寸法が、各取付面412M間の距離よりもやや大きくなるように形成されている。
各取付面412Pには、プライマリピン43と着脱可能に当接する第2当接部413Pと、セカンダリピン44に枢支される第2保持孔414P(本発明の枢支孔及び第2枢支孔に該当する)とが形成されている。各第2当接部413Pの形状は、プライマリピン43と面接触するように曲線状(切欠状)とされている。また、樹脂パドル41Pの上側の取付面412Pには、後述するリタンスプリング48を保持するためのフック415Pが形成されている。
樹脂パドル41Pのパドル部411Pの裏面には、6個の突起416Pが形成されている(図8には、6個中の4個が示されている)。これら6個の突起416Pのうちの少なくとも3個により、樹脂パドル41Pのパドル部411Pが、金属パドル41Mのパドル部411Mの表面に支持されている。すなわち、突起416Pによって、樹脂パドル41Pのパドル部411Pの裏面と、金属パドル41Mのパドル部411Mの表面とが所定の間隔を保っている。
樹脂パドル41Pのパドル部411Pの裏面の先端部41Paには、金属パドル41Mの先端部41Maが挿入される2個の挿入部417Pが形成されている。図7に示すように金属パドル41Mの先端部41Maを樹脂パドル41Pの両挿入部417Pに挿入することにより、上述した2個の第1当接部413M及び2個の第2当接部413Pの位置が揃う。また、上述した1個の第1保持孔414M及び2個の第2保持孔414Pの位置が揃う。そして、第1保持孔414M及び第2保持孔414Pにセカンダリピン44を挿入することにより、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとが一体化される。
図9は、パドル本体41を上方から見た平面図を示している。図9は、パドル本体41が表面側から押されていない状態を示している。この状態において、樹脂パドル41Pの第2当接部413Pとプライマリピン43とが当接しており、金属パドル41Mの第1当接部413Mとプライマリピン43とは当接していない。すなわち、第1当接部413Mは、第2当接部413Pよりもプライマリピン43の径方向の外方に僅かにオフセットされている。そして、パドル本体41が表面側から押されると、金属パドル41Mの第1当接部413Mとプライマリピン43とが当接して、パドル本体41に作用する荷重を金属パドル41Mによって受けることが可能となっている。
次に、右用パドル機構4Rの組み立て及び全体構成について説明する。右用取付ブラケット26Rの第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bには、予めガイドプレート42が装着されている。
右サイドフレーム21R内側の前方よりに取り付けられた右用取付ブラケット26Rの第1ガイド孔264aには、プライマリピン43が上方から挿入されている。プライマリピン43は、樹脂パドル41Pの上方の第2当接部413P、金属パドル41Mの上方の第1当接部413M、右用取付ブラケット26Rの上方の第1ガイド孔264a、ムーブ46と一体となったプーリー45の挿入孔、右用取付ブラケット26Rの下方の第1ガイド孔264a、金属パドル41Mの下方の第1当接部413M及び樹脂パドル41Pの下方の第2当接部413Pの順序に挿入され、プーリー45及びムーブ46が右用取付ブラケット26Rの両案内面部263間に保持されている。
ムーブ46から下方に突出したプライマリピン43のクリップ溝にはCクリップ43aが装着され(ムーブ46の下面と案内面部263との間に位置している)、プーリー45及びムーブ46のがたつきを防止している。
一方、右用取付ブラケット26Rの第2ガイド孔264bには、セカンダリピン44が上方から挿入されている。セカンダリピン44は、樹脂パドル41Pの上方の第2保持孔414P、金属パドル41Mの第1保持孔414M、右用取付ブラケット26Rの上方の第2ガイド孔264b、ムーブ46の挿入孔、右用取付ブラケット26Rの下方の第2ガイド孔264b及び樹脂パドル41Pの下方の第2保持孔414Pの順序に挿入され、ムーブ46の端部を右用取付ブラケット26Rの両案内面部263間に保持している。第2保持孔414Pから下方に突出したセカンダリピン44の端部にはプッシュナット44aが装着され、抜け止めが施される(図3示)。
これにより、パドル本体41は、プライマリピン43、セカンダリピン44、プーリー45及びムーブ46と一体となり、プライマリピン43及びセカンダリピン44が、第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bに規制されながら、オープン位置とサポート位置との間で移動自在に組み付けられている。この状態において、パドル本体41のフック415Pと右用取付ブラケット26Rのフック263aとの間には、リタンスプリング48が張架されている。
作動ケーブル47のインナケーブル471の両端部間の途中部位は、ムーブ46と一体となったプーリー45の外周面に形成されたケーブルスリットに巻回されている。さらに、インナケーブル471の一端部は、アウタエンド部471aが右用取付ブラケット26Rのブリッジ部265上に突出するように切欠部266に挿入された後、固定クリップ267がブリッジ部265に装着される(図5示)。これにより、インナケーブル471の一端部は、右用取付ブラケット26Rに強固に固定されている。インナケーブル471の他端部は、ケーブル駆動装置5に接続されている。アウタケーブル472の一端部は、ムーブ46と共に一体的に移動可能なようにムーブ46に固定されている。
次に、図5及び6に基づき、右用パドル機構4Rの作動について説明する。右用パドル機構4Rの作動機構と、特許文献1に記載のサイドサポート装置における左用パドル機構8L(図11示)の作動機構とは同様であるため、作動に関する詳細については特許文献1を参照することができる。
作動ケーブル47のインナケーブル471の他端部と接続されているケーブル駆動装置5が非作動状態にあり、インナケーブル471を牽引していない場合、パドル本体41と右用取付ブラケット26Rとの間に張架されたリタンスプリング48の弾性力及びクッション部材12aの復元力によって、パドル本体41は着座者を拘束しないように後方に下がったオープン位置に保持されている(図5示)。
ケーブル駆動装置5が作動して、一端部が固定されているインナケーブル471の他端部を図5における左方に牽引すると、インナケーブル471に張力が発生する。この張力がプーリー45を第1ガイド孔264aの延設方向(長手方向)に付勢し、これがリタンスプリング48及びクッション部材12aの弾性力を上回ると、プライマリピン43が、プーリー45及びムーブ46と一体となって、第1ガイド孔264aに規制されながら図5における前方に移動する。
一方、ムーブ46の移動により、セカンダリピン44も第2ガイド孔264bに規制されながら、図5における右方やや前方へと移動していく。したがって、プーリー45、ムーブ46及びパドル本体41は、一体となって第1ガイド孔264a及び第2ガイド孔264bによって姿勢を維持されながら移動し、パドル本体41がクッション部材12aを介して着座者を保持するサポート位置に到達する(図6示)。
サポート位置にあるパドル本体41をオープン位置に戻す場合、ケーブル駆動装置5を上述した場合と逆方向に作動させ、牽引していたインナケーブル471の他端部を戻していく。これにより、インナケーブル471の張力が低下するため、リタンスプリング48の弾性力及びクッション部材12aの復元力によって、パドル本体41がプーリー45、ムーブ46及びアウタケーブル472の一端部と共に移動し、オープン位置に復帰する。
パドル本体41は、第1当接部413M及び第2当接部413Pがプライマリピン43に対して着脱可能に当接し、第1保持孔414M及び第2保持孔414Pにおいてセカンダリピン44を中心に回転可能に形成されている。このため、パドル本体41の先端部41Paがサイドエアバッグ6の膨張により前方に押されたときには、図9において一点鎖線で示しているように、パドル本体41とプライマリピン43との当接が解除されて、パドル本体41がセカンダリピン44を中心に、車両用シート1の前方に回転する。
本実施形態によれば、パドル本体41は、金属パドル41Mを主強度部材とし、樹脂パドル41Pによって、金属パドル41Mの表面と、金属パドル41Mの縁端部41Mdとが覆われている。特に、樹脂パドル41Pが、右サイドフレーム21Rから側方(右方)にはみ出している金属パドル41Mの縁端部41Mdを覆っている。
また、パドル本体41は、プライマリピン43に対して着脱可能に当接する第1当接部413M及び第2当接部413Pをパドル本体41の中間部41Pb及び41Mbに備えると共に、セカンダリピン44に対して枢支される第1保持孔414M及び第2保持孔414Pをパドル本体41の基端部41Pc及び41Mcに備え、パドル本体41の先端部41Paがサイドエアバッグ6の膨張により前方に押されたときに、パドル本体41とプライマリピン43との当接が解除されて、パドル本体41がセカンダリピン44を中心に、車両用シート1の前方に回転する。
したがって、金属パドル41Mを主強度部材としているパドル本体41は、シートバック12のクッション部材12aと右サイドフレーム21Rとの間の狭い隙間に収まる厚さでありながらも高い剛性を確保することができる。これにより、本実施形態のサイドサポート装置3によれば、車両に作用する大きな横加速度に対して、着座者を車両用シート1に安定して保持することが可能である。
また、右サイドフレーム21Rから側方(右方)にはみ出している金属パドル41Mの縁端部41Mdが樹脂パドル41Pにより被覆されているため、パドル本体41の後方に配置されたサイドエアバッグ6が膨張する際に、サイドエアバッグ6の表面が金属パドル41Mに接触することがない。これにより、サイドエアバッグ6膨張時のサイドエアバッグ6の裂損を防止することができるため、サイドエアバッグ6を確実に展開させることが可能である。
また、サイドエアバッグ6膨張時には、パドル本体41とプライマリピン43との当接が解除されて、パドル本体41がセカンダリピン44を中心に回転する。これにより、サイドエアバッグ6の前方に配置されたパドル本体41は、サイドエアバッグ6の膨張を妨げることがないため、サイドエアバッグ6を確実に展開させることが可能である。
また、本実施形態によれば、パドル本体41は、プレス成形により形成された金属パドル41Mと、射出成形により形成された樹脂パドル41Pとを重ね合わせて一体化することよりなる。
したがって、金属パドル41Mの表面に、金属パドル41Mとは別体の樹脂パドル41Pを被せることによって、金属パドル41Mの凹凸形状に左右されずに、パドル本体41の表面を滑らかかつ高い成形精度で仕上げることができる。これにより、着座者は、シートバック12のクッション部材12aを介してパドル本体41表面の凹凸による違和感を感じることがない。
また、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとを別体とすることによって、金属パドル41M及び樹脂パドル41Pの形状の自由度が高まる。これにより、車両用シート毎に異なる形状のパドル本体を用いる場合であっても、各パドル本体で同一形状の金属パドル41Mを用いることが可能であり、金属パドル41Mの量産化によるコストダウンが図れる。
また、パドル本体41をインサート成形する場合と比較すると、合成樹脂が金属パドル41Mの凹部に入り込まない分、樹脂パドル41Pの樹脂量を最小限に抑えることが可能でありパドル本体41を安価に製造することが可能である。
また、本実施形態によれば、樹脂パドル41Pが、樹脂パドル41Pの裏面に形成された6個の突起416Pにより、金属パドル41Mの表面に支持されている。これにより、金属パドル41Mの表面と樹脂パドル41Pの裏面との間に様々な間隔の隙間が発生する場合であっても、6個の突起416Pの突出量を調整することによって、樹脂パドル41Pを金属パドル41Mに確実に支持させることができる。
また、本実施形態によれば、金属パドル41Mの先端部41Maを樹脂パドル41Pの両挿入部417Pに挿入した後、金属パドル41Mの第1保持孔414M及び樹脂パドル41Pの第2保持孔414Pにセカンダリピン44を挿入することにより、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとが一体化される。したがって、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとを一体化する際の組み付けが容易である。また、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとを一体化するための専用の部品(ボルト等)が不要であるため、部品点数の増加が抑えられて経済的である。
また、本実施形態によれば、金属パドル41Mは、セカンダリピン44に対して枢支される1個の第1保持孔414Mを備え、この第1保持孔414Mは、金属パドル41Mの基端部41Mcの上下方向のうちでパドル本体41に作用する荷重の作用中心から離れている上側に配置されている。上述のとおり、パドル本体41に作用する荷重によってパドル本体41がねじられて、金属パドル41Mの基端部41Mcの上下方向の上側に下側よりも大きな反力が作用する。したがって、この大きな反力が作用する上側の取付面412Mのみに第1保持孔414Mを形成することによって、パドル本体41の回転を効率良く止めることが可能である。
また、主強度部材である金属パドル41Mは金属製であるため、1個の第1保持孔414Mのみでこの反力を受けることが可能である。また、プレス成形により形成された金属パドル41Mにおいて、仮に、金属パドル41Mの基端部41Mcの上側及び下側のそれぞれに第1保持孔414Mを形成する場合、両第1保持孔414Mの位置ずれにより、両第1保持孔414Mへセカンダリピン44を挿入する際の不具合が発生しやすい。そこで、本実施形態のように、第1保持孔414Mを1個のみとすることによって、第1保持孔414Mへセカンダリピン44を挿入する際の不具合の発生を防止することができる。
また、本実施形態によれば、樹脂パドル41Pの第2当接部413Pとプライマリピン43とは、サイドエアバッグ6の膨張時を除いて常時当接可能であり、金属パドル41Mの第1当接部413Mとプライマリピン43とは、パドル本体41が表面側から押されたときにのみ当接可能である。したがって、パドル本体41に荷重が作用していないときには、金属パドル41Mの第1当接部413Mとプライマリピン43とが接触していないため、車両の走行による振動等に対して、不快なメタルタッチ音の発生を防止することが可能である。
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
例えば、本実施形態においては、ケーブル駆動装置5により作動ケーブル47を牽引して、プーリー45と共にパドル本体41が移動する構成としているが、パドル本体41をオープン位置からサポート位置に移動させる方法はこれに限定されない。第1ガイド孔264aの延設方向に移動可能な第1軸部材(プライマリピン43)、及び第2ガイド孔264bの延設方向に移動可能な第2軸部材(セカンダリピン44)のいずれか一方又は両方を動かすことによって、パドル本体41の移動方向を規定する構成であれば、種々の方法を用いることができる。
例えば、本実施形態の作動ケーブル47を用いる方法の他に、作動ロッド、ギヤ、リンク等の種々の方法によってパドル本体41を移動させることができる。なお、本実施形態においては、円柱状の軸部を有するピン部材であるプライマリピン43及びセカンダリピン44を用いているが、軸となる部材であれば、第1軸部材及び第2軸部材の形状は限定されない。
また、本実施形態においては、別体で形成された金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとを重ね合わせることによりパドル本体41として一体化しているが、インサート成形によって、金属パドル41Mの外周が合成樹脂により被覆されたパドル本体とすることもできる。
また、本実施形態においては、樹脂パドル41Pが、樹脂パドル41Pの裏面に形成された6個の突起416Pにより、金属パドル41Mの表面に支持されている。しかし、突起416Pの個数は6個に限定されない。また、突起416Pを形成することなく、樹脂パドル41Pの裏面と金属パドル41Mの表面とを直接接触させてもよい。
また、本実施形態においては、金属パドル41Mの先端部41Maを樹脂パドル41Pの両挿入部417Pに挿入した後、第1保持孔414M及び第2保持孔414Pにセカンダリピン44を挿入することにより、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとを一体化している。しかし、金属パドル41Mと樹脂パドル41Pとを一体化する方法はこれに限定されない。例えば、ボルト等を用いて一体化したり、爪嵌合により一体化したりすることができる。
また、本実施形態においては、金属パドル41Mは、セカンダリピン44に対して枢支される1個の第1保持孔414Mを備えているが、金属パドル41Mの基端部41Mcの上側及び下側のそれぞれに第1保持孔414Mを形成することもできる。
また、本実施形態においては、金属パドル41Mの第1当接部413Mは、樹脂パドル41Pの第2当接部413Pよりもプライマリピン43の径方向の外方に僅かにオフセットされている。しかし、第1当接部413Mと第2当接部413Pとをオフセットせずに、第1当接部413M及び第2当接部413Pが同時にプライマリピン43に当接する構成とすることもできる。
また、本発明は、運転席用の車両用シート及び助手席用の車両用シートのみでなく、中席用シートまたは後席用シートにも適用可能である。