JP5629514B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
そして、衝撃低減部材の少なくとも一部が、シートバックフレームの側方に設けられる荷重入力部材に対し、左右方向において、離間して重ならない位置に配設されている。したがって、衝撃低減部材周辺の構成が複雑化することがない。また、各部材が重なって配設された構造としないことにより、組み立て時、作業者は容易に各部材を取り付けていくことができる。その結果、側面衝突や後面衝突等に対する荷重を効果的に低減することが可能であると共に、シートバックフレーム側方、すなわちサイド部(サイドフレーム)の周辺構造を簡素化することができる。したがって、乗物用シートの製造時、サイド部(サイドフレーム)回りの作業が複雑化することがないため、作業性が向上する。さらに、衝撃低減部材周辺の取り付け作業が簡素化されるため、作業者の熟練度を必要とせず、均一な品質の乗物用シートとすることができる。
また、サイド部において、後端部を内側へ屈曲させ、荷重入力部材をこの後縁部と対向し、ほぼ面一となるように配設することにより、荷重(特に、側方からの衝突による荷重)に対する強度が向上する。さらに、側面衝突時の大きな荷重が加わった際、荷重入力部材からサイド部の後縁部にその荷重がスムーズに伝達されるため、より側方からの荷重に対する強度が向上する。
このように、シートバックフレームの側方に荷重入力部材を備えると共に、移動する衝撃低減部材と連結された受圧部材を備えることにより、本発明の乗物用シートは、衝突による荷重を受け止め、さらにシートバックフレームを構成する部材に対してその荷重を伝達し、さらに後面衝突時には乗員の身体を後方に沈み込ませることにより、乗員にかかる荷重を効果的に低減することができる。そして、衝撃低減部材の少なくとも一部が、シートバックフレームの側方に設けられる荷重入力部材に対し、左右方向において、離間して重ならない位置に配設されている。したがって、衝撃低減部材周辺の構成が複雑化することがない。また、各部材が重なって配設された構造としないことにより、組み立て時、作業者は容易に各部材を取り付けていくことができる。その結果、側面衝突や後面衝突等に対する荷重を効果的に低減することが可能であると共に、シートバックフレーム側方、すなわちサイド部(サイドフレーム)の周辺構造を簡素化することができる。したがって、乗物用シートの製造時、サイド部(サイドフレーム)回りの作業が複雑化することがないため、作業性が向上する。さらに、衝撃低減部材周辺の取り付け作業が簡素化されるため、作業者の熟練度を必要とせず、均一な品質の乗物用シートとすることができる。
また、サイド部に沿って配設される管状部材(メインパイプ)の取り付け強度や、荷重に対する剛性が向上する。さらに、管状部材は、衝撃低減部材と離間して配設されているため、互いに干渉することなく、衝撃低減部材の動作を妨げることがない。したがって、荷重に対する強度を向上させると共に、衝撃低減部材をスムーズに可動させることができる。
このような構成とすると、サイド部に沿って配設される管状部材(メインパイプ)の取り付け強度や、荷重に対する剛性が向上する。さらに、管状部材は、衝撃低減部材と離間して配設されているため、互いに干渉することなく、衝撃低減部材の動作を妨げることがない。したがって、荷重に対する強度を向上させると共に、衝撃低減部材をスムーズに可動させることができる。
このように、サイド部(サイドフレーム)において内側に向かって膨出した凸部を設け、この凸部内に衝撃低減部材の少なくとも一部を配設する構成とすることにより、衝撃低減部材を構成する部材を配設する際、その位置決めが容易になる。さらに、凸部とサイド部において内側に屈曲した後縁部との間に形成される空間内に管状部材を配設することにより、空間を無駄なく使うことができ、その結果、サイド部(サイドフレーム)周辺の構成のコンパクト化を図ることができる。
なお、上記の構成において、前記衝撃低減部材は、前記受圧部材に加わった所定の衝撃荷重により軸部を回動軸として回動し、前記サイド部の前記凸部には、前記衝撃低減部材の前記軸部が嵌め込まれているとよい。このようにサイド部の凸部に衝撃低減部材の軸部を嵌め込む構成となっていれば、サイド部に対する軸部の設置作業が容易になる。
請求項2の乗物用シートによれば、衝撃低減部材の少なくとも一部が、荷重入力部材と重ならない位置に離間して配設されるため、サイド部回りの構造を簡素化することができ、各部品の取り付け作業の作業性が向上する。さらに、各部品の取り付け作業後の確認が容易に行えるようになる。その上、シートバックフレームを構成する管状部材をサイド部に沿わせることにより、シートバックフレームの強度が向上し、衝突時の荷重に対する剛性が向上する。
請求項3の乗物用シートによれば、請求項1の乗物用シートの構成においてシートバックフレームを構成する管状部材をサイド部に沿わせることにより、シートバックフレームの強度が向上し、衝突時の荷重に対する剛性が向上する。
請求項4の乗物用シートによれば、サイド部に凸部を設けることにより、衝撃低減部材の衝撃低減部材を構成する部材の設置時、位置決めが容易となり、さらに、凸部と後縁部の間に管状部材を配設する構成とすることにより、サイド部周辺の構成がコンパクト化される。
請求項5の乗物用シートによれば、サイド部の凸部に衝撃低減部材の軸部を嵌め込む構成となっていることにより、サイド部に対する軸部の設置作業が容易になる。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15とメインパイプ16と下部フレーム17とが別部材で形成されているが、一体の板状フレーム等で形成することもできる。また、ロアー部においてパワーモータ等の装置を取り付けた構成としても良い。
本実施形態のサイドフレーム15は、シートバックフレーム1の側面を構成する延伸部材であり、平板状の側板15aと、この側板15aの前端部(乗物前方側に位置する端部)からU字型に内側に折り返した前縁部15bと、後端部から略L字型に内側へ屈曲した後縁部15cとを有している(図7参照)。
また、本実施形態の後縁部15cの内側は、パイプ状のメインパイプ16の表面と当接して配設されている(図4参照)。なお、図3に示すように、側板15aの一部は屈曲すると共に開口部が設けられており、その開口部からメインパイプ16の表面の一部が突出するように配設されている。
この荷重入力部材40は、側面衝突時の荷重を受け、その荷重をさらにサイドフレーム15、メインパイプ16等、シートフレームFを構成する他の部材に伝達させるために配設されるものである。
なお、本実施形態では荷重入力部材40として、車両の側面衝突時の荷重を受ける部材としたが、これに限定されず、アームレストを取り付けるために配設されるアームレスト取付部材のように、乗員から荷重を受ける部材でも良く、エアバッグ取付部材のようにエアバッグユニットが作動した時にエアバッグから荷重を受ける部材でも良く、また、モータのように自重により取付部材が荷重を受けるような部材であっても良い。
本実施形態の荷重入力部材40は、サイドフレーム15と、サイドフレーム15から一部突出したメインパイプ16に対して接合されることにより、四方が閉じた筐体構造になるため、側方からの荷重に対する耐久性が向上する。また、メインパイプ16に対して荷重入力部材40が直接接合されているため、側方からの荷重がかかった際、メインパイプ16を捻れさせることによってもその荷重を分散させることができる。
そして、前板41aと後板42aにおいて、上下方向に複数配設された凹部41e及び凹部42eの間には、前方向又は後方向に幅が拡大するように設けられた膨出部41g及び膨出部42gがそれぞれ形成されている。なお、膨出部は、前板41a、後板42aの何れか一方に設けられた構成としても良い。このように、膨出部41g,42g及び凹部41e,42eが形成されることにより、荷重入力部材40は、その稜線部分によって側方からの荷重を受けやすくなるため、さらに剛性が向上する。
そして、本実施形態の移動部材30は、回動可能な軸部32によって、サイドフレーム15の内側に配設されている。
移動阻止部39はそれぞれ移動部材30の移動(回動)後にメインパイプ16と当接して移動(回動)を阻止する当接部である。そして、メインパイプ16と当接する移動阻止部39のシート内側方向の端部の高さは、当接時にメインパイプ16の表面に対して当接するように形成されている。
この移動阻止部39は、後述する付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
本実施形態では、移動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた移動部材30は、互いに独立して移動(回動)するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で移動部材30が、各々独立して移動(回動)することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
ここで、移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では移動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
移動部材30の移動(回動)前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止凹部31aは、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は移動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔33に係止されている。
すなわち、移動部材30の移動(回動)量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、移動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
また、上記実施形態では移動部材30がシートバックフレーム1(サイドフレーム15)の内側に配設された例を示したが、外側に設けられた構成であっても良い。ただし、シートバックフレーム1の外側に荷重入力部材40を設け、移動部材30を内側に、設けた構成とすると、空間を有効に活用でき、設計の自由度が高いため好ましい。
さらに、上記実施形態では、移動部材30をシートバックフレーム1の内側に、荷重入力部材40をシートバックフレーム1の外側に設けた例を示したが、移動部材30と荷重入力部材40とを、シートバックフレーム1の内側、又は外側の何れか一方の側において、重ならない位置に配設した構成としても良い。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 凸部
16 メインパイプ(管状部材)
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
22a 鈎部
30 移動部材(衝撃低減部材)
30a ベース部
30b 立上り部
30c 形成部
31 係止部
31a 係止凹部
32 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33 係止孔
35 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39 移動阻止部
40 荷重入力部材
41 第1板材
41a 前板
41b 上縁部
41c 側縁部
41d 下縁部
41e 凹部
41f 孔
41g 膨出部
42 第2板材
42a 後板
42b 上縁部
42c 側縁部
42d 下縁部
42e 凹部
42f 孔
42g 膨出部
Claims (5)
- 側方に位置するサイド部と、該サイド部の上方を連結するアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームの側方に配設され、他部材からの荷重が入力される荷重入力部材と、
前記シートバックフレームに連結部材を介して連結され、乗員を支持する受圧部材と、
前記シートバックフレームの前記サイド部の少なくとも一方側に配設されると共に、前記連結部材と連結され、前記受圧部材に加わった所定の衝撃荷重により前記受圧部材を後方へ移動させる衝撃低減部材と、を備え、
前記サイド部は、平板状の側板と、該側板の乗物後方側に位置する端部から内側へ屈曲した後縁部とを備え、
前記荷重入力部材の一部は、前記後縁部と対向する位置に配設され、
前記衝撃低減部材の少なくとも一部は、前記荷重入力部材と左右方向において重ならない位置にあり、かつ、前記荷重入力部材の乗物前方側に離間して配設されてなることを特徴とする乗物用シート。 - 側方に位置するサイド部と、該サイド部の上方を連結するアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームの側方に配設され、他部材からの荷重が入力される荷重入力部材と、
前記シートバックフレームに連結部材を介して連結され、乗員を支持する受圧部材と、
前記シートバックフレームの前記サイド部の少なくとも一方側に配設されると共に、前記連結部材と連結され、前記受圧部材に加わった所定の衝撃荷重により前記受圧部材を後方へ移動させる衝撃低減部材と、を備え、
前記サイド部は、平板状の側板と、該側板の乗物後方側に位置する端部から内側へ屈曲した後縁部とを備え、
該後縁部は、前記サイド部の上下方向に沿って重なるように配設された管状部材が接合され、
前記衝撃低減部材の少なくとも一部は、前記荷重入力部材と左右方向において重ならない位置にあり、かつ、前記管状部材の乗物前方側に離間して配設されてなることを特徴とする乗物用シート。 - 前記後縁部は、前記サイド部の上下方向に沿って重なるように配設された管状部材が接合され、
前記衝撃低減部材の少なくとも一部は、前記管状部材の乗物前方側に離間して配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。 - 前記サイド部は、前記衝撃低減部材の少なくとも一部が配設される位置に、内側に向かって膨出した凸部を備え、
前記管状部材は、前記凸部と前記後縁部との間に配設されてなることを特徴とする請求項2又は3に記載の乗物用シート。 - 前記衝撃低減部材は、前記受圧部材に加わった所定の衝撃荷重により軸部を回動軸として回動し、
前記サイド部の前記凸部には、前記衝撃低減部材の前記軸部が嵌め込まれていることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
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