JP5752656B2 - 銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法 - Google Patents

銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法 Download PDF

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本発明は、毛髪に銀イオン含有の感光性染毛料を塗布してすぐに洗い流した後、光によって染毛させる銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法に関する。
従来、染毛料としてはフェニレンジアミン誘導体を過酸化水素で酸化させて発色させる永久染毛料と呼ばれる酸化染毛剤及び各種染料とベンジルアルコールなどの浸透促進剤を組み合わせたヘアマニキュアタイプの半永久染毛料が知られているが、最近は光で髪を染める銀イオン含有の感光性染毛料も知られ、普及し始めている。この感光性染毛料は水に溶解された銀イオンが光によって還元され、イオンから水不溶性の金属銀微粒子に変化する反応を利用しており、その時に毛髪表面を担体として金属銀が折出するので銀粒子がしっかりと髪表面に付着し、ダークブラウンに見える。一旦染まると洗髪を繰り返しても染毛状態が長期間持続することが特徴の一つである(特許文献1参照)。
市販されている感光性染毛料は銀イオンを与えるものとして硫酸銀、醋酸銀、乳酸銀が使われており、系を安定させるためにクエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、酒石酸などのヒドロキシ有機酸が併用されpHが4.0以下に保たれているのが普通である。染毛料の剤形としても、クリーム状、乳液状、ジェル状、ローション状、フォーム状とさまざまな剤形が作れる上、人体への影響やアルカリ及び酸化による毛髪の傷みが無い長所を有しているので、市場に普及し続けている。
しかしながら、従来の感光性染毛料は、毛髪に塗布したまま放置して光により充分発色した後洗い流す使用方法であった。従って、感光性染毛料としては毛髪に塗ったまま使用する頭髪料、例えばヘアクリーム、ヘアリキッド、ヘアムース、ヘアジェルなどの洗い流さないタイプの剤形でしか使用できなかった。
特許第3881688号公報
上記した様に、従来の感光性染毛料は全て毛髪に塗布したままで使用するため、その剤形によっては使用者にとって好ましくない状態が生じる場合があった。例えば、クリーム状の感光性染毛料の場合、髪の長い女性が必要量のクリームを毛髪の先まで塗るとかなり重く感じられ、乾くと毛髪が硬く固まってしまい、好ましいサラサラした状態にならない。また、ジェル状の感光性染毛料を使用すると、ジェルが強く硬化し一定の髪型を保つためには良いが、髪型を自由な時に自由に変えることが出来ない。また、基材臭がいつまでも残ることや、感光性染毛料を塗ってから乾くまで髪が服や他の物に触れると染毛料が付着して何時間か後に発色して汚してしまう点に問題があった。
従って、本発明は、感光性染毛料の剤形が洗い流すタイプのヘアリンス、シャンプー、ウォッシャブルトリートメントなどの剤形であっても、従来の問題点を全て解決する銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法を提供するものである。
本発明の銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法は、以下の経緯により開発されたものである。
感光性染毛料のヘアクリームを試料の人毛に塗り、一定の光を当てて発色までの時間を測定する実験を試みた時に、まだ充分発色していない試料を洗剤で洗った所、試料の人毛は全く染着していなかった。この試料を暗所に長期間保存し発色していないことを確かめた後、これに還元剤を塗布したところ、薄くブラウンに発色した。その発色の理由を調べるために種々実験を繰り返し、次のことが判明した。水に溶けている銀イオンは毛又は爪などの硬質ケラチン(オイケラチン)に強く吸着するが、軟質ケラチン(プソイドケラチン)である皮膚にはあまり吸着しない。試料の人毛に吸着した銀イオンは着色していないが、その人毛に吸着した銀イオンに光を当てると銀イオンが光還元されて金属銀に変化し、生成した銀粒子間に光が吸収されるために黒っぽく着色して見える。この人毛への銀イオンの吸着量は想像以上に多く、吸着した銀のみで充分着色するほどの量であり、そして、試料の人毛に塗布した後に3分以上放置して洗髪すれば、銀イオンが光還元されて金属銀に変化することが判明した。この事実に基づき、感光性染毛料を毛髪に塗り、直ちに洗い流しても髪が染まるという使用方法が考え出された。
従って、第1の銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法は、毛髪に使用する銀イオン含有の感光性染毛料(但し、アルカノールアミン類を含むものを除く。)の使用方法であって、毛髪に前記銀イオン含有の感光性染毛料を塗布した後に3分以上10分以内放置し、その後に毛髪を洗髪して乾燥させて光により染毛することを特徴とする。
第2の銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法は、前記感光性染毛料が洗い流すタイプのヘアリンス、シャンプー、ウォッシャブルトリートメント、ヘアマニキュアのいずれかであることを特徴とする。
従来の感光性染毛料は、毛髪に塗布したまま光に曝して数時間以上洗髪しないで染毛するものであるが、本発明の方法では、毛髪に塗布した感光性染毛料を3分間以上経ってから洗い流して染毛する方法であるため、感光性染毛料が洗い流すタイプのヘアリンス、シャンプー、ウォッシャブルトリートメントなどの剤形にも適用でき、見た目にも、また手で触っても、普通に髪を洗った仕上がり状態になる。特にシャンプーしても感光性の効果は充分あるので、洗髪後は感光性染毛料が全く付着していない様に見える。その後は髪に何もつけなくても良いし、また自分の好みの整髪料を使用することも出来るので、香りの問題や髪が重くベトつく問題、さらに髪がバリバリに硬化する問題も全て解決出来る優れた使用方法である。また、洗い流した後は髪が衣類や物に触れても汚すことがない。
図1は1gの白髪人毛をテストピースとして用い、これを0.8重量%の硫酸銀水溶液に10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、3分、4分、5分および10分間浸して、その後に40℃のお湯で洗髪した後に乾燥させ、各試料を直射日光に1時間曝した写真である。 図1の試料の内から10秒、20秒、40秒、1分、3分、5分および10分間浸した試料を選択して並び変えた写真である。 3種類の洗髪方法で洗髪した試料を直射日光に1時間曝した写真である。 硫酸銀水溶液の濃度を変化させて銀イオンの吸着の度合いを官能検査で比較するための試料の写真である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(感光性染毛料)
本発明の銀イオン含有の感光性染毛料(以下、「感光性染毛料」という。)の使用方法で用いられる感光性染毛料の製造方法を説明する。
感光性染毛料は、水分を有する所定の基質材料をクエン酸により酸性の状態とし、この基質材料に水溶性の銀塩である硫酸銀を混合(添加)させ、クエン酸により酸性とされた基質材料に硫酸銀が溶解している状態としたものである。基質材料は、水溶性成分に油成分が乳化された乳液状であればよい。また、基質材料は、所定の分散媒体中に高分子材料が分散したゲルであってもよく、アルコールを含む水溶液であってもよい。
感光性染毛料を頭髪に塗布し、ここに紫外線や可視光線などの光照射がなされると、感光性染毛料に溶解している銀イオンが金属銀に還元され、還元された金属銀の微粒子が毛髪の表面に析出・付着して発色する。このようにして染毛された毛髪は、通常の洗髪では毛髪の染毛状態に何ら変化が確認されない。光照射により析出して毛髪の表面に付着した金属銀は、洗髪などでは毛髪の表面より離脱しない強固なものと考えられる。
硫酸銀(AgSO)は、分子量311.79の白色固体であり、水に対する溶解度は低く、20℃で0.8重量%であり、酸性とした状態やアルコールの存在により溶解度はわずかに向上する。例えば、酸性の状態とすることで、溶解度は0.9重量%程度に向上する。溶解している銀塩の濃度が0.4〜0.6%程度の低い濃度では、毛髪が赤みの入った着色状態となる。例えば、白髪に適用した場合、銀塩の濃度が0.4〜0.6%程度では、ピンク色から赤色を帯びた茶色に染毛され、あまり濃い茶色には染毛されない。ただし、染毛の対象が女性の場合などは、ライトブラウンが好まれる場合もあり、銀塩濃度である程度色調を調整すればよい。
酸性の状態とするためには、酸を加えればよいが、例えば、硫酸や硝酸などの強酸は、人体に用いる感光性染毛料には適切ではない。また、塩酸は、塩化銀を生成するので、用いることができない。
上述した強酸に対し、弱酸は人体に対する影響もなく、塩を形成することもないので、酸性とするために添加する材料として適している。しかしながら、例えば酢酸は、強い臭いがあるため、感光性染毛料に添加する材料としては適切ではない。
以上の知見に対し、クエン酸,リンゴ酸,乳酸,グリコール酸、酒石酸などが、前述した酸性にするための材料として、上述したような問題が発生しない。
これらの中でクエン酸を用いて酸性領域とすると、着色を発生させることなく、安定した状態で硫酸銀を溶解させる状態が得られた。加えて、クエン酸を用いた場合、硫酸銀の溶解度を0.9%まで高くすることが可能となる。ここで、緩衝剤としてクエン酸ナトリウムを用いるようにしてもよいことは、いうまでもない。また、銀塩水溶液は非常に不安定であるが、上述したようにクエン酸を加えることで酸性域としておくことで、安定した状態が得られ、放置により黒化するという暗反応が抑制できるようになる。
クエン酸を用いない場合、暗所に保管した場合であっても徐々に黒化が進行し、また、毛髪に対する付着の能力や堅牢性が低下する。これに対し、本実施の形態における感光性染毛料では、クエン酸によりpH4.0以下としておくようにしたので、溶解している銀塩の酸化が抑制され、黒色の酸化銀の生成を抑制できる。例えば、上記感光性染毛料は、40℃以上の高温状態で保管されていても、着色の発生(暗反応)がおきない。ただし、予めクエン酸が添加されている状態で、硫酸銀を加える必要がある。硫酸銀を溶解した後にクエン酸を加えても効果が得られない。
一方、クエン酸により酸性とされていなくアルカリ領域とされている場合、光を遮断しておいても、室温(例えば20〜25℃)の状態で放置しておくと、銀イオンが徐々に酸化して酸化銀が生成し、徐々に黒化する。この場合、還元剤として硫黄が添加されていると、アルカリ領域であっても上記暗反応を抑制することが可能となる。しかしながら、アルカリ領域で硫黄が添加されているものでは、光に対する反応性(感度)が低下する。
なお、硫酸銀は、0.5〜0.9%程度の溶解量であっても、水溶液であれば、前述した染毛状態が得られる。ただし、例えば、油成分中に硫酸銀を分散させた状態など、銀イオンがほとんど発生していない状態では、光による反応が非常に遅く、上述した染毛効果が得られない。
次に、上述した感光性染毛料の製造方法について説明する。
まず、以下に示す各成分により、作製物Aを作製する。
真空乳化釜において、精製水81.4kgを入れて90℃に加温し、ここにクエン酸を追加して酸性の状態とした上で、硫酸銀0.6kgを加え、撹拌して硫酸銀を溶解させて作製物Aとする。ここで、緩衝剤としてクエン酸ナトリウムを当量加えておいてもよい。
次に、以下に示す各成分を混合し、作製物Bを作製する。
油槽釜に、シリコーンオイル12kg、セタノール4kg、ステアリン酸ソルビタン1.5kg、ステアリルジメチルアンモニウムクロライド0.3kg、メチルパラベン0.1kgを収容し、これらを80℃に加温して各々溶解させ、作製物Bとする。
次に、真空乳化釜中に収容されている作製物Aを80℃に保ち、これを激しく撹拌した状態とし、撹拌している状態に、作製物Bを徐々に添加する。ついで、作製物Aに作製物Bが全て添加された後、真空乳化釜を密閉して減圧環境とする。減圧環境とした後、3000rpmのホモミキサーにより、真空乳化釜の内容物を8分間撹拌し、この後、撹拌速度を低下させながら内容物の温度を35℃まで冷却する。
最後に、上述したことにより作製物Aと作製物Bとを混合して得られた乳化物を、20メッシュのフィルターにより濾過し、98kgの白色のクリーム(感光性染毛料)を得る。これらの作製は、ほぼ光が遮断した状態で行い、還元による金属銀の析出がないようにする。
得られた白色・クリーム状の感光性染毛料は、pH4程度である。この感光性染毛料を、光を遮断して室温にした状態で放置すると、10ヶ月以上黒色化することなく安定している。また、この感光性染毛料を、光を遮断して40℃にした状態で放置しても、6ヶ月以上黒色化することなく安定している。
次に、上述した感光性染毛料の染毛作用について、より詳細に説明する。
上記感光性染毛料は、例えば、硫酸銀による水溶性銀塩を、ヘアクリームなどの水分を有する基質材料に混合したものである。このような感光性染毛料を毛髪に塗布し、この状態で毛髪を日光(紫外線)に晒すと、感光性染毛料中の銀イオンが光により還元されて金属銀が析出し、析出した金属銀が毛髪に付着する。このように金属銀が析出して毛髪に付着することで、毛髪が染毛される。析出して毛髪に付着した金属銀の一部は、毛髪中のイオウと反応して黒色の硫化銀に変化することや、空気中の酸素により徐々に酸化されて黒色の酸化銀に変化することも予想される。
上記感光性染毛料は、毛髪を染色するもととなる銀を、銀塩として混合してあり、水に溶解した状態すなわち水溶性の銀イオンの状態で頭髪に塗布するものとした。この結果、上記感光性染毛料によれば、毛髪内部にまで銀が浸透しやすい状態となっており、毛髪表面に接触した状態や毛髪内部で金属銀の微粒子が析出するので、色が定着しやすいものとなっている。また、ジアミンや鉛などを含むことが無いので、アレルギー反応を起こすことや健康を害することもない。さらに、上記感光性染毛料によれば、金属銀が毛髪表面を被覆することによる毛髪の保護効果も期待でき、勿論、毛髪などに損傷を与えることもない。
上記感光性染毛料によれば、感光性染毛料が塗布された段階の毛髪は、染色された状態とはなっていないが、感光性染毛料中の銀イオンが還元された金属銀として析出した段階で、毛髪が染色された状態となる。
ところで、上述した製造方法では、乳液状とした基質材料に硫酸銀を溶解させて感光性染毛料としたが、これに限るものではない。例えば、所定の分散媒体中に高分子材料が分散しているゲルとした基質材料に、硫酸銀を溶解させて感光性染毛料としてもよい。
例えば、精製水82.1kg、クエン酸0.1kg、クエン酸ナトリウム0.1kgに硫酸銀0.6kgを溶解させ、これに、カルボキシビニルポリマー0.5kg、ポリビニルピロリドン誘導体四級アンモニウム塩0.5kg、トリイソプロパノールアミン0.8kg、エタノール14.0kg、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(23E・O)0.8kg、エチルパラベン0.5kgを加え、これらで透明なゲルを得て感光性染毛料としてもよい。なお、当然ではあるが、この感光性染毛料の製造においても、ほぼ光が遮断した状態で行い、還元による金属銀の析出がないようにする。
また、基質材料として、所定の香料などが溶解した水溶液を用いてもよい。
基質材料として乳状液を用いた場合、一般にヘアクリームと称されるものとなり、基質材料としてゲルを用いた場合、一般にヘアジェルと称されるものとなる。また、基質材料として水溶液を用いた場合、ヘアローションと称されるものとなり、基質材料に粘度の高い乳化物を用いた場合、ヘアワックスと称されるものとなる。また、これらの感光性染毛料は、例えばスプレー缶などに充填し、泡立てたクリーム状のいわゆるヘアムース(登録商標)として提供することができる。
上述したように、感光性染毛料の形態としてクリーム状、乳液状、又はフォーム状で毛髪に使用することができる。
(感光性染毛料の使用方法)
毛髪に感光性染毛料を塗布して、感光性染毛料が毛髪の内部にまで行き渡るように手で塗布した後に3分以上の間、好ましくは5分間以上の間放置する。その後に毛髪を洗髪して乾燥させて光により染毛する。
洗髪の方法は、水、お湯又はシャンプーの何れを用いて洗髪しても良い。毛髪の乾燥は、タオルドライ、ヘアドライヤーの何れを用いても良いし、両方を用いても良い。
上述したように、銀イオンは一般的に水に溶解しやすいことから、本発明者は、銀イオンが光により金属銀に還元するまでの間に、感光性染毛料を塗布した毛髪を洗髪すると、水が感光性染毛料を洗い流してしまい、光を照射しても染毛されないと考えていた。しかしながら、以下に述べる銀イオンの毛髪への吸着度テストの結果により、水、シャンプー又はお湯で洗髪しても、毛髪に感光性染料を3分間、好ましくは5分間浸漬した後に、洗髪すれば毛髪が黒褐色に染色できることが分かった。
(銀イオンの毛髪への吸着度テスト)
銀イオンが毛髪へどの程度吸着するのか吸着度テストを行った。まず、銀イオンが毛髪にどの程度の速さで吸着するか調べてみた。
図1は1gの白髪人毛をテストピースとして用い、これを0.8重量%の硫酸銀水溶液に10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、3分、4分、5分および10分間浸して、その後に40℃のお湯で洗髪した後に乾燥させ、各試料を直射日光に1時間曝した写真である。
毛髪の黒褐色の濃淡を視覚による官能検査で比較したところ、図1の写真は、浸漬時間が増えるにつれて試料の黒褐色の色が5分間の試料まで徐々に濃くなり、5分と10分では黒褐色の色が同じであることが分かった。
そこで、毛髪の黒褐色の濃淡の差を識別しやすくするために、図1の試料の内から10秒、20秒、40秒、1分、3分、5分および10分間浸した試料を選択して並び変えた写真が図2である。1分間浸した試料と3分間浸した試料の黒褐色の濃淡を比べると、3分間浸した試料の方が黒褐色の色がやや濃いことが分かった。
3分間浸した試料と5分間浸した試料の黒褐色の濃淡を比べると、5分間浸した試料の方が僅かながら黒褐色の色が濃いことが分かった。従って、毛髪に感光性染毛料を3分間、好ましくは5分間以上浸漬した後に洗髪すれば毛髪が黒褐色に染色できることが判明した。また、わずか10秒の浸漬でも毛髪への吸着が生じることから、かなり吸着速度が速いことが分かった。
図3は3種類の洗髪方法で洗髪した試料を直射日光に1時間曝した写真である。
図3の試料は0.8重量%硫酸銀の硫酸銀水溶液に3分間浸して、その後に3種類の異なる洗髪方法、水、シャンプー又はお湯で洗髪した後に1時間曝したものである。図3の左の試料は25℃の水で洗髪、中央の試料はシャンプーして40℃のお湯で洗髪、右の試料は40℃のお湯で洗髪した。
図3の写真は毛髪の黒褐色の濃淡を視覚による官能検査で比較したところ、何れの洗髪方法であっても、3種類の試料の黒褐色状態は同じであることが分かった。洗浄力のあるシャンプーで洗っても脱色しないことから、銀の毛髪への吸着力はかなり強いものと推測される。
図4は硫酸銀水溶液の濃度を変化させて銀イオンの吸着の度合いを官能検査で比較するための試料の写真である。浸漬時間を5分間と一定にした場合、硫酸銀水溶液の濃度が0.004、0.006、0.008、0.01、0.1、0.3、0.6、0.8重量%と濃くなるに従い吸着量も増えていることが分かる。特に硫酸銀0.1重量%以上の濃度ではっきりと染色されているので、5分以上放置する実際使用時の硫酸銀水溶液の濃度は0.1%〜0.8%が適切である。
なお、図1〜図4の写真は、毛髪の白黒の濃淡で表示されているが、実際の毛髪の色は黒褐色である。
銀イオンは、一般的に水に溶解しやすいことから、銀イオンが光により金属銀に還元するまでの間に塗布した毛髪を洗髪すると、水が塗布した感光性染毛料を毛髪から洗い流してしまうと考えていたが、銀イオンの毛髪への吸着度テストの結果は、感光性染毛料を3分間、好ましくは5分間浸漬した後に洗髪すれば、感光性染毛料中の銀イオンが毛髪に付着されていることを示している。このことは、3分間以上感光性染毛料を毛髪に塗布しておけば、カチオン性の銀イオンがアニオン性の毛髪にイオン結合により吸着されているものと推測される。そのイオン結合した銀イオンは、毛髪に強固に付着しているが故に、洗髪したとしても水に銀イオンが流出せずに吸着しているので、光照射により毛髪を優れた黒褐色に染めることができることが判明した。
(実施例)
(実施例1)
〈感光性ヘアリンス〉
ミキシングタンク(A)に80kgの水を入れ、0.8kgの硫酸銀と0.5kgのクエン酸を溶かし、攪拌しながら80℃に保つ。別の容器(B)に0.5kgのモノステアリン酸グリセリル、0.5kgのモノステアリン酸ポリエチレングリコール、0.3kgのポリオキシエチレンセトステアリルエーテル、1kgのセタノール、環状シリコン3kg、メチルポリシロキサン1kgを取り、70℃で溶解混合する。ホモミキサーをかけながら容器(A)の中に容器(B)混合物をゆっくり注入し乳化する。乳化物をゆっくり攪拌しながら60℃に迄温度を冷やし、1.3ブチレングリコール1kgおよび1.5kgの(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーを9.9kgの水に溶かしたものを攪拌しながら加え、30℃迄冷却する。20メッシュのフィルターを通して99.5kgの感光性ヘアリンスを得た。
この感光性ヘアリンスを0.8g取り、1gの白髪人毛テストピースに均一に塗布し、5分間放置後お湯で洗い流し、タオルドライした後直射日光に1時間曝したところ、ダークブラウンに染色された。
(実施例2)
〈感光性ヘアトリートメント〉
A相 1. 水 75.00kg
2. 硫酸銀 0.80kg
3. クエン酸 0.10kg
B相 1. ステアリン酸グリセリル 0.8kg
2. ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル 0.8kg
3. セトステアリルアルコール 0.5kg
4. 水添ポリイソブテン 8.0kg
5. メチルポリシロキサン 3.0kg
C相 1. 水 8.7kg
2. (アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー 1.3kg
3. グリセリン 1.0kg
ミキシングタンクにA相を加え80℃で攪拌しながら硫酸銀を溶解する。B相を容器に取り70℃で溶解する。
B相をA相に少しずつ加えホモミキサーで激しく攪拌し乳化する。60℃に冷却後、C相をゆっくりと加え攪拌しながら30℃迄冷却する。100.0kgのクリーム状ヘアトリートメントを得た。
白髪の目立つ男性、女性各1人を選び使用させた。夜、浴室でまずシャンプーを使って洗髪した後、タオルドライし、感光性ヘアトリートメントを髪に均一に塗布した後5分間待ち、その後お湯でヘアトリートメントを洗い流した。髪には何も付けずそのまま一晩放置した。翌日1日通常通りごく普通に過ごし、翌々日の朝髪を検査した。よく見ると白髪の部分がダークブラウンに着色しており、黒い髪の部分はそのまま残っているので、全体を見た目には2人とも白髪が全く目立たなかった。
従来の感光性染毛料は、毛髪に塗布したまま放置して充分発色した後洗い流す使用方法であった。従って、感光性染毛料としては毛髪に塗ったまま使用する頭髪料、例えばヘアクリーム、ヘアリキッド、ヘアムース、ヘアジェルなどの洗い流さないタイプの剤形しか出来なかった。
本発明の感光性染毛料の使用方法により、直ちに洗い流して使用する方法が可能となったので、洗い流すタイプのヘアリンス、シャンプー、ウォッシャブルトリートメントなどにも感光性染毛料が使用できるようになり、その応用範囲が広がった。さらに、感光性染毛料に色素及び滲透促進剤を加え、洗い流して使用するヘアマニキュアにも応用できる。
従って、本発明の感光性染毛料の使用方法は、その感光性染毛料が無色のものだけでなく、染料を含む着色した感光性染毛料も含まれている。

Claims (2)

  1. 毛髪に使用する銀イオン含有の感光性染毛料(但し、アルカノールアミン類を含むもの、およびシャンプーを除く。)の使用方法であって、
    毛髪に前記銀イオン含有の感光性染毛料を塗布した後に3分以上10分以内放置し、その後に毛髪を洗髪して乾燥させて光により染毛することを特徴とする銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法。
  2. 前記銀イオン含有の感光性染毛料が洗い流すタイプのヘアリンスウォッシャブルトリート、ヘアマニキュアのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の銀イオン含有の感光性染毛料の使用方法。
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