実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1における液晶モジュール16の構成を説明する。図1は、この発明の実施の形態1における液晶モジュール16を示す断面図である。尚、図1では、液晶モジュール16における各構成要素の厚みは、説明のため実際の比率とは異なって図示している。
図1において、液晶パネル15の背面側にバックライト12が配置され、駆動制御基板17が液晶パネル15及びバックライト12と電気的に接続されている。そして、液晶パネル15及びバックライト12の動作は駆動制御基板17によって制御される。
次に、液晶パネル15の構成について説明する。液晶パネル15は、カラーフィルタ基板13aと薄膜トランジスタ(以下「TFT」という。TFT:Thin Film Transistor)アレイ基板14との間に液晶7が封入された構造となっている。尚、バックライト12は、TFTアレイ基板14側に配置される。
カラーフィルタ基板13aは、ガラス基板3を有し、このガラス基板3の一方の面上、即ち、液晶7側の面上にカラーフィルタ36が配置されている。カラーフィルタ36上には共通電極5が配置され、共通電極5上には配向膜6が配置されている。そして、ガラス基板3の他方の面上、即ち、外側の面上には偏光板2が配置されている。
カラーフィルタ36は、赤(R)、緑(G)、青(B)に相当する特定の波長域の光を透過するカラーフィルタ色材1と、これら隣接するRGBの各画素間に配置されて光を遮るブラックマトリクス4と、を有する。カラーフィルタ色材1としては、例えばポリイミドやアクリル系、エポキシ系の樹脂に着色したもの等が用いられ、厚みは例えば1.2μm程度である。ブラックマトリクスは、遮光性に優れた膜であって、樹脂にカーボンを加えて黒くしたものや金属のクロム膜等が用いられ、厚みは例えば0.1μm程度である。
共通電極5は、液晶7に電圧を印加するためのものであり、例えばITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電膜で形成される。共通電極5の厚みは、例えば50〜150nm程度である。
配向膜6は、液晶7の分子を所定の向きに配向させるためのものであり、例えばポリイミド等で形成される。厚みは、例えば50nm程度である。
TFTアレイ基板14は、ガラス基板10を有し、このガラス基板3の一方の面上、即ち、液晶7側の面上にTFTアレイ9が形成され、TFTアレイ9上に配向膜8が配置されている。そして、ガラス基板10の他方の面、即ち、外側の面上には偏光板11が配置されている。
TFTアレイ9には、液晶7に電圧を印加するための画素電極や、印加する電圧を制御するためのTFTのアレイ等が含まれる。駆動制御基板17は、このTFTアレイ9と電気的に接続されている。
配向膜8としては、カラーフィルタ基板13a側の配向膜8と同じものが使用される。
次に、バックライト12について説明する。バックライト12としては、例えば発光ダイオードや蛍光管といった点光源や線光源から面光源を形成したものや、エレクトロルミネッセンス素子による面光源等が使用可能である。
次に、駆動制御基板17について説明する。駆動制御基板17は制御用のIC等を含み、液晶パネル15のTFTアレイ9の動作を制御することによって液晶7を駆動する。また、バックライト12の動作の制御も行う。
以上のような液晶モジュール16において、液晶パネル15の製造時等に液晶パネル15に輝点欠陥が発生することがある。輝点欠陥とは、上述のとおり、例えば黒のような暗い色を表示しようとした際に、所望の色を表示することができずに明るい点として視認される欠陥のことである。
次に、この発明の実施の形態1における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37aの構成を説明する。ここで、「輝点欠陥の暗点化」とは、輝点欠陥を完全に黒化することだけでなく、完全に黒化されるに至らなくても輝点欠陥の輝度を下げて暗くすることによって目立ちにくくすることも含むものとする。図2は、この発明の実施の形態1における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37aを示す側面図である。
液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37aは、レーザ照射・観察部18、液晶パネル設置部19及び暗点化装置用制御装置38を有する。
レーザ照射・観察部18は、レーザ光の発生、整形、集光等と、液晶パネル15の観察という機能を有し、液晶パネル設置部19は、レーザ照射・観察部18で発生されたレーザ光を照射する対象である液晶パネル15を載置する機能を有する。そして、レーザ照射・観察部18で発生されたレーザ光を、液晶パネル設置部19に設置された液晶パネル15の輝点欠陥を有する画素に対して照射することによって、液晶パネル15の輝点欠陥を暗点化する。
まず、レーザ照射・観察部18について説明する。レーザ照射・観察部18では、輝点欠陥の暗点化用の光源の一例であるレーザ発振器20にレーザ駆動電源21から電力を供給してレーザ光を発生させる。レーザ発振器20としては、半導体レーザ、固体レーザ、ガスレーザ等を使用することができる。
レーザ発振器20から出射されたレーザ光は、レーザ照射・観察部18のスポット整形装置の一例である調整光学系22、可変開口装置23及び対物レンズ24によって、調整、整形、集光されて、画素よりも小さいスポットサイズで液晶パネル15に照射される。
遮光装置の一例である可変開口装置23は、例えば略円形や略矩形の開口部39を有し、開口部39の大きさを変化させることができる機構を有する。ここで、「開口部39の大きさ」とは、開口部39が円形の場合はその直径を指し、開口部39が正方形の場合はその一辺の長さを指すこととする。レーザ発振器20から出射されて可変開口装置23にまで達したレーザ光は、一部は可変開口装置23によって遮られ、一部は開口部39を通過する。開口部39の大きさを変化させることによって、レーザ発振器20から出射されたレーザ光を遮る量を、言い換えると開口部39を通過するレーザ光のパワー(単位時間当たりのエネルギー)を変化させることができる。
可変開口装置23としては、開口部39が円形の場合は例えば虹彩絞り、矩形の場合は例えばスリットを使用することができる。虹彩絞りは羽の重なり具合を調整することで開口部39の径を調整可能である。スリットは互いに略直交するように配置された二対のスリットで構成され、スリット間の距離を調整することで開口部39の幅を調整可能である。
液晶パネル15上でのレーザ光のスポットサイズは、可変開口装置23の開口部39の大きさと対物レンズ24の倍率によって決まる。ここで、レーザ光の「スポットサイズ」とは、スポットの形状が円形の場合はその直径を指し、正方形の場合はその一辺の長さを指すこととする。例えば、開口部39の大きさを一辺が200μmの正方形、対物レンズ24の倍率を40倍とすると、液晶パネル15上でのレーザ光のスポットサイズは、200μm×1/40=5μmとなる。可変開口装置23の開口部39の大きさを調整することで、液晶パネル15上でのレーザ光のスポットサイズを制御することが可能である。
可変開口装置23でのレーザ光のビーム径は調整光学系22によって調整が可能である。調整光学系22は、例えばレンズ、プリズム、回折光学素子等の光学素子で構成される。可変開口装置23でのレーザ光のビーム径を変えると、可変開口装置23の開口部39を通過するレーザ光のパワーが変わる。
図3は、この発明の実施の形態1におけるレーザ光が可変開口装置23の開口部39を通過する様子を示す断面図であり、(a)は入射するレーザ光31のビーム径が小さい場合を示す断面図、(b)は入射するレーザ光31のビーム径が大きい場合を示す断面図である。図3において、レーザ光31の進行方向Cは、図3における左から右へ向かう方向であり、図3中に矢印で方向を示している。
図3において、可変開口装置23の開口部39の大きさAよりも大きいビーム径でレーザ光31が可変開口装置23に入射する。尚、開口部39の大きさAと、図3(a)におけるビーム径B1、図3(b)におけるビーム径B2とは、B2>B1>Aの関係となっている。
ここで、開口部39の大きさAを一辺が150μmの正方形、ビーム径B1を直径300μm、ビーム径B2を直径1mmとした例で説明する。
図3(a)において、調整光学系22によって可変開口装置23に入射するレーザ光31のビーム径B1を300μm、可変開口装置23の開口部39の大きさAを150μmと設定すると、開口部39を通過したレーザ光40のパワーは、可変開口装置23の直前の約25%となる。
また、図3(b)において、調整光学系22によって可変開口装置23に入射するレーザ光31のビーム径B2を1mm、可変開口装置23の開口部39の大きさAを150μmと設定すると、開口部39を通過したレーザ光40のパワーは、可変開口装置23の直前の約2%となる。
つまり、可変開口装置23の開口部39の大きさAに対して、入射するレーザ光31のビーム径を大きくすると、開口部39を通過するレーザ光40のパワーは小さくなる。逆に開口部30の大きさAに対して、入射するレーザ光31のビーム径を小さくすると、開口部39を通過するレーザ光40のパワーは大きくなる。したがって、輝点欠陥の暗点化に必要なレーザ光のパワーが、レーザ発振器20から出射するレーザ光のパワーの何%であるかを考慮して、可変開口装置23に入射するレーザ光31のビーム径と、可変開口装置23の開口部39の大きさAの調整を行う。
尚、開口部39の大きさAよりも入射するレーザ光31のビーム径が小さくなると、可変開口装置23によるレーザ光のスポット整形効果はなくなる。
レーザ照射・観察部18において、液晶パネル15を観察する部分は、対物レンズ24、ミラー25及びカメラ26を有する。液晶パネル15側から対物レンズ24に入射した光は、ミラー25によって反射してカメラ26へ入射する。カメラ26に入射した光は、画像としてディスプレイ(図示せず)に表示される。
この液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37aにおいて、観察のための光路と輝点欠陥の暗点化のためのレーザ光の光路とは対物レンズ24上で一致するようになっている。よって、ミラー25は、輝点欠陥の暗点化用のレーザ光に対しては透過率が高く、液晶パネル15の観察用の光に対しては反射率が高いことが望ましい。光の透過率の高低の選択は、光の波長や偏光によって行うとよい。つまり、輝点欠陥の暗点化用のレーザ光と液晶パネル15の観察用の光とで、波長や偏光が異なるようにしておき、輝点欠陥の暗点化用のレーザ光の波長に対しては透過率が高く、他の波長に対しては反射率が高いミラーや、輝点欠陥の暗点化用のレーザ光の偏光に対しては透過率が高く、それと直交する偏光に対しては反射率が高いミラーを使用するとよい。
また、レーザ照射・観察部18には、輝点欠陥の暗点化用のレーザ光を照射する際や液晶パネル15を観察する際に液晶パネル15にフォーカスを合わせるための、Zステージ27が設置されている。Zステージ27は、レーザ照射・観察部18と液晶パネル15との距離を調整可能であり、図2における上下方向にレーザ照射・観察部18を移動させて輝点欠陥の暗点化用のレーザ光や観察用の光のフォーカスを調整する。
次に、液晶パネル設置部19について説明する。液晶パネル設置部19は、XYテーブル28、観察用光源29及び駆動制御装置41を有する。
XYテーブル28は、その上面に液晶パネル15を載置し、液晶パネル15に入射するレーザ光に対して略垂直な面内で略直交する2方向に移動可能である。これにより、液晶パネル15上の任意の場所にレーザ光を照射することができる。XYテーブル28には透過穴30が設けられており、XYテーブル28の液晶パネル15を載置した面の反対の面側に設置された観察用光源29から出射された光が、透過穴30を通って液晶パネル15に照射されるようになっている。
観察用光源29としては、例えば、発光ダイオードやランプなどが使用される。また、観察用光源29から出射した光を集光するレンズ等も備えていることが好ましい。
駆動制御装置41は、液晶パネル15と電気的に接続され、液晶パネル15のTFTアレイ9の動作を制御することによって液晶7を駆動する。尚、駆動制御装置41の機能は基本的に液晶モジュール16の駆動制御基板17と同様であるため、液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37aに駆動制御装置41を設ける代わりに、液晶モジュール16の駆動制御基板17を使用してもよい。
液晶パネル15を観察するときは、駆動制御装置41によって液晶パネル15を動作させて全黒表示とすることが好ましい。全黒表示にすることによって、輝点欠陥以外の部分は黒表示となる一方で、輝点欠陥の部分では観察用光源29から出射された観察光が漏れて輝点となり、輝点欠陥として判別がしやすくなる。
次に、暗点化装置用制御装置38について説明する。暗点化装置用制御装置38は、可変開口装置23に接続されており、可変開口装置23の開口部39の大きさが所望の大きさになるように制御する。つまり、暗点化装置用制御装置38が可変開口装置23の開口部39の大きさを制御することによって、液晶パネル15に照射されるレーザ光のスポットサイズが制御されることとなる。そして、レーザ光のスポットサイズを制御することによって、液晶パネル15に照射されるレーザ光の単位時間当たりのエネルギーを制御することができる。
以上で説明した液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37aによって、液晶パネル15の輝点欠陥が暗点化処理される。具体的には、液晶パネル15の輝点欠陥を有する画素に対してレーザ光を照射し、カラーフィルタ基板13aの一部を変質させて光透過率を低下させることによって、輝点欠陥を暗点化する。
ここで、「カラーフィルタ基板13aの一部」とは、カラーフィルタ基板13aを構成する構成物を指し、例えば、配向膜6、共通電極5、カラーフィルタ色材1、ガラス基板3、偏光板2等である。これらは、全てが変質される必要はなく、少なくとも1つが変質されて光透過率が低下すればよい。
次に、この発明の実施の形態1における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37aを用いた液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化方法について説明する。尚、ここでは、輝点欠陥を完全に黒化する場合を例に説明する。
まず、液晶パネル15をXYテーブル28上に設置する。ここで、観察用光源29から出射される観察光が液晶パネル15に照射されるように、液晶パネル15は、XYテーブル28の透過穴30の上に設置される。また、液晶パネル15は、TFTアレイ基板14側からレーザ光が入射するように設置される。
次に、駆動制御装置41と液晶パネル15を接続し、駆動制御装置41から液晶パネル15へ全黒表示の信号を送って液晶パネル15を全黒表示状態とする。そして、観察用光源29から観察光を液晶パネル15へ照射し、液晶パネル15から漏れる光をカメラ26で受光して液晶パネル15の輝点欠陥を観察する。ここで、XYテーブル28によって、液晶パネル15を移動させて、液晶パネル15の全画素について観察を行う。
尚、液晶パネル15の観察を行う際に輝点欠陥が発見された部位を記憶しておいて、全画素又は全画素中の一部のエリアの観察が終了した後に、輝点欠陥の黒化処理を行なってもよいし、観察中に輝点欠陥が発見されるたびに輝点欠陥の黒化処理を行なってもよい。ここでは、全画素を観察後に黒化処理を行う場合について説明する。
まず、液晶パネル15の観察によって発見された輝点欠陥を有する画素にレーザ光を照射できるように、XYテーブル28によって液晶パネル15を移動させる。
次に、輝点欠陥を有する画素に輝点欠陥を有する画素よりも小さいスポットサイズでレーザ光を照射する工程について説明する。
まず、レーザ駆動電源21によってレーザ発振器20に電力を供給し、レーザ発振器20からレーザ光を出射する。出射されたレーザ光は、調整光学系22でビーム径等を調整され、可変開口装置23に入射する。可変開口装置23に入射したレーザ光は、可変開口装置23によって一部は遮られ、一部は可変開口装置23の開口部39を通過して対物レンズ24に入射する。対物レンズ24に入射したレーザ光は、対物レンズ24によって集光されて、輝点欠陥を有する画素よりも小さいスポットサイズで液晶パネル15の輝点欠陥を有する画素に対して照射される。
次に、輝点欠陥を有する画素32内でレーザ光を走査する工程について説明する。図4は、この発明の実施の形態1における輝点欠陥を有する画素32内でレーザ光を走査する様子を示す上面図である。
液晶パネル15の画素は、例えば一辺が数十μm〜数百μmの矩形や矩形に近い形状である。図4に示すように、このような輝点欠陥を有する画素32よりも小さいスポットサイズ、例えば数μm〜数十μmのスポットサイズで、輝点欠陥を有する画素32を隙間無く黒化するために、レーザ光を画素内で走査する。レーザ光の走査は、液晶パネル15を載置したXYテーブル28を移動させることによって行う。
図4には、レーザ光の走査経路の一例を示している。ここでは、輝点欠陥を有する画素32の角部に走査開始点33を設定し、レーザ光の走査を開始する。レーザ光は、走査開始点33からジグザグ状に隙間無く輝点欠陥を有する画素32内を走査され、輝点欠陥を有する画素32の走査開始点33と異なる角部に設定した走査終了点34に到達した時点で走査を終了する。尚、この走査経路は、図4に示したものには限られず、輝点欠陥を有する画素32内を隙間無く走査する経路であれば、どのような経路でも構わない。
ここで、レーザ光の照射によって黒化されるのは、主に、液晶パネル15のカラーフィルタ基板13aの一部であるカラーフィルタ色材1や配向膜6、共通電極5等である。このように、黒化対象となる構成物は、厚みが数μm以下の薄膜である。レーザ光を照射すると、これらの構成物がレーザ光を吸収した熱によって変質して黒化する。
このような薄膜の構成物を黒化する際には、黒化対象となる薄膜の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーが大きいと、これらの薄膜が破損してしまう。これは、レーザ光の照射時に、薄膜が急加熱されて急激に熱膨張するために、薄膜に対して応力が働くからであると考えられる。液晶パネル15内でこれらの薄膜が破損すると、液晶7中に異物が散乱して、黒化処理をした画素の周辺の画素に新たな輝点欠陥を生じさせることがある。
一方、これらの薄膜が破損しないように単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを小さく設定すると、薄膜の破損を抑えることはできるが、黒化対象となる薄膜に与えるエネルギーが不足して、輝点欠陥を黒化するのに充分な黒化レベルを得ることができない。
また、黒化処理中、液晶パネル15のカラーフィルタ色材1や配向膜6、共通電極5等といった薄膜に最も応力が加わるのは、薄膜の温度変化が最も急激である走査開始点33である。よって、走査開始点33で薄膜の破損が生じやすい。
この発明の実施の形態1では、上記のような問題点を解決するために、輝点欠陥を有する画素内でレーザ光を走査する工程において、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを走査開始時よりも大きくする工程を備えている。この発明の実施の形態1では、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを走査開始時よりも大きくする工程は、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の一部を遮り、かつ、レーザ発振器20から出射されたレーザ光を遮る量を変化させることにより輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させる工程によって実現される。
次に、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の一部を遮り、かつ、レーザ発振器20から出射されたレーザ光を遮る量を変化させることにより輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させる工程について説明する。図5は、この発明の実施の形態1における輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させる工程を説明するための図である。図5において、横軸は時刻tを示し、縦軸は液晶パネル15上におけるレーザ光のスポットサイズSを示す。
図5に示すように、時刻t0において、初期スポットサイズS0でレーザ光を照射し、走査を開始する。即ち、走査開始点33におけるスポットサイズが初期スポットサイズS0となる。走査開始と同時にレーザ光のスポットサイズを走査開始時よりも大きくしていき、時刻t1において、最終スポットサイズS1とする。ここで、S0<S1である。スポットサイズの拡大に要する時間、即ち、t1−t0をスポットサイズ拡大時間Δt1とする。スポットサイズが最終スポットサイズS1にまで拡大された後は、レーザ光が走査終了点34に達して走査が終了する時刻t2まで、最終スポットサイズS1のままで走査される。
尚、図5においては、レーザ光のスポットサイズを時間に対して直線状に変化させたが、時間に対して曲線状やステップ状に変化させても同様の効果がある。
ここで、スポットサイズの調整は、暗点化装置用制御装置38によって可変開口装置23の開口部39の大きさを制御することによって行う。レーザ発振器20から出射されたレーザ光は、可変開口装置23によって一部は遮られ、一部は開口部39を通過するので、開口部39の大きさを変化させることによって、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させることができる。このように可変開口装置23を用いてスポットサイズを変化させることによって、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワー(単位時間当たりのエネルギー)を変化させることができる。そして、このレーザ光を一定の速さで走査するので、レーザ光のパワーが変化することによって、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーも変化することになる。
これらの初期スポットサイズS0、最終スポットサイズS1、スポットサイズ拡大時間Δt1は、レーザ発振器20から出射するレーザ光のパワー、レーザ光を走査する速さ、レーザ光を走査する経路、といった他のパラメータと同様に、対象となる液晶パネル15の機種や画素の色ごとに設定しておき、レシピとして登録しておく。そして、液晶パネル15の機種や画素の色によってレシピを呼び出して輝点欠陥の暗点化処理を実施する。
最終スポットサイズS1は、輝点欠陥を有する画素の黒化に最適なレーザ光のパワーが得られるスポットサイズに設定しておく。初期スポットサイズS0は、例えば最終スポットサイズS1の約半分とすることにより、レーザ光のパワーが最終スポットサイズS1の時と比較して約4分の1となるようにするのがよい。
最終スポットサイズS1としては、例えば3〜5μm程度で、この時の輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーは、例えば20〜100mW程度で、40mW程度とするのが好ましい。初期スポットサイズS0としては、例えば1.5〜2.5μm程度で、この時の輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーは、例えば5〜25mW程度で、10mW程度とするのが好ましい。レーザ光を走査する速さ、即ち、XYテーブル28を移動させる速さは、例えば40μm/s程度が好ましく、スポットサイズ拡大時間Δt1は、1秒程度とするのが好ましい。
この発明の実施の形態1では、以上のように輝点欠陥を有する画素に輝点欠陥を有する画素よりも小さいスポットサイズでレーザ光を照射する工程と、レーザ光を液晶パネル15に対して相対的に移動させて、輝点欠陥を有する画素内でレーザ光を走査する工程と、を備え、レーザ光を走査する工程が、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを走査開始時よりも大きくする工程を有することにより、走査開始点33付近においては、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを小さくしつつ、レーザ光の走査の途中からは、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを輝点欠陥の暗点化に適した大きさにすることができる。これにより、輝点欠陥の暗点化処理中に、液晶パネル15のカラーフィルタ色材1や配向膜6、共通電極5等といった薄膜が破損しやすい走査開始点33付近においては、これら薄膜の破損を抑制することができ、レーザ光の走査の途中からは、輝点欠陥の暗点化に適したエネルギーによって、充分な暗点化を行うことができるという効果がある。つまり、暗点化処理時に、液晶パネル15内の薄膜の破損抑制と充分な暗点化とを両立することができる。
尚、走査開始点33付近における輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを小さく抑えることによって、走査開始点33付近では暗点化が充分でないことがある。しかし、このように暗点化が充分でない領域は、画素内の狭い領域であるため、暗点化処理後に目視検査を行うと、差が見えないことが多い。充分に暗点化された領域と不充分な領域との差が大きい場合は、暗点化が不充分な領域だけ、レーザ光を2回走査すると暗点化が充分となる。
また、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを走査開始時よりも大きくする工程が、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の一部を遮り、かつ、レーザ発振器20から出射されたレーザ光を遮る量を変化させることにより輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させる工程を有することにより、レーザ光を遮る量を変化させてレーザ光のスポットサイズを変化させることによって、輝点欠陥を有する画素に照射するレーザ光のエネルギーを調整することができる。レーザ光を遮る量を変化させているだけなので、レーザ光のパワー密度は変化させずに輝点欠陥を有する画素に照射するレーザ光のエネルギーを調整することができる。レーザ光のパワー密度が変化せずにレーザ光のスポットサイズが小さくなることになるので、レーザ光の照射による液晶パネル15内の薄膜の温度変化が抑制できるだけでなく、レーザ光によって加熱される面積も小さくなる。加熱される面積が小さくなることにより、薄膜に加わる応力も小さくなり、薄膜の破損をより抑制することができる。
レーザ発振器20と、レーザ発振器20から出射されたレーザ光を、輝点欠陥を有する画素よりも小さいスポットサイズに整形して輝点欠陥を有する画素に照射するスポット整形装置である可変開口装置23等と、輝点欠陥を有する画素に照射されたレーザ光を、輝点欠陥を有する画素内で走査するために、輝点欠陥を有する画素に照射されたレーザ光を液晶パネル15に対して相対的に移動させるXYテーブル28と、輝点欠陥を有する画素に照射されたレーザ光を走査中に、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーが走査開始時よりも大きくなるように制御する暗点化装置用制御装置38と、を備えたことにより、走査開始点33付近においては、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを小さくしつつ、レーザ光の走査の途中からは、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを輝点欠陥の暗点化に適した大きさにすることができる。これにより、輝点欠陥の暗点化処理中に、液晶パネル15のカラーフィルタ色材1や配向膜6、共通電極5等といった薄膜が破損しやすい走査開始点33付近においては、これら薄膜の破損を抑制することができ、レーザ光の走査の途中からは、輝点欠陥の暗点化に適したエネルギーによって、充分な暗点化を行うことができるという効果がある。つまり、暗点化処理時に、液晶パネル15内の薄膜の破損抑制と充分な暗点化とを両立することができる。
スポット整形装置が、光源から出射された光の一部を遮る遮光装置の一例である可変開口装置23を有し、暗点化装置用制御装置38が、可変開口装置23がレーザ発振器20から出射されたレーザ光を遮る量を変化させることによって輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させることにより、レーザ光を遮る量を変化させてレーザ光のスポットサイズを変化させることによって、輝点欠陥を有する画素に照射するレーザ光のエネルギーを調整することができる。レーザ光を遮る量を変化させているだけなので、レーザ光のパワー密度は変化させずに輝点欠陥を有する画素に照射するレーザ光のエネルギーを調整することができる。レーザ光のパワー密度が変化せずにレーザ光のスポットサイズが小さくなることになるので、レーザ光の照射による液晶パネル15内の薄膜の温度変化が抑制できるだけでなく、レーザ光によって加熱される面積も小さくなる。加熱される面積が小さくなることにより、薄膜に加わる応力も小さくなり、薄膜の破損をより抑制することができる。
尚、この発明の実施の形態1では、輝点欠陥の暗点化処理に使用する光としてレーザ光を使用し、光源としてレーザ発振器20を用いた。しかし、使用する光は、レーザ光に限らない。よって、光源としては、発光ダイオードやランプ等を使用してもよい。
また、この発明の実施の形態1では、XYテーブル28を使用して液晶パネル15を移動させることによって、レーザ光を走査した。しかし、XYテーブル28を移動させて液晶パネル15を移動させる代わりに、レーザ照射・観察部18を移動させてレーザ光を走査してもよい。
この発明の実施の形態1では、可変開口装置23の開口部39の形状を円形又は正方形としたが、これに限ることはなく、長方形やその他の多角形等どのような形状であってもよい。
また、可変開口装置23としてスリットを使用する場合、スリットは互いに略直交するように配置された二対のスリットで構成されるものを用いたが、これに限ることはない。つまり、一対のスリットでもよいし、より多くの三対以上のスリットとしてもよい。また、一対でもなく、一枚のスリットによってレーザ光を遮ってもよい。
この発明の実施の形態1では、輝点欠陥を有する画素内でレーザ光を隙間なく走査するとしたが、多少の隙間があっても一定の効果が得られる。また、輝点欠陥を有する画素全体を走査することとしたが、必ずしも全体を走査しなくともよい。これは、輝点欠陥が、画素全体に生じる場合と、画素の一部だけに生じる場合とがあるからである。画素の一部だけに輝点欠陥が生じている場合は、輝点欠陥が生じている部分のみをレーザ光で走査して暗点化処理してもよい。
この発明の実施の形態1では、液晶パネル15を、TFTアレイ基板14側からレーザ光が入射するように設置した。しかし、カラーフィルタ基板13a側からレーザ光が入射するように設置してもよい。但し、TFTアレイ基板14側からレーザ光を入射した方が、レーザ光の照射時に不純物やイオン等の異物が飛散することを抑制することができる。
この発明の実施の形態1では、偏光板2及び偏光板11を取り付けた後の液晶パネル15を輝点欠陥の暗点化処理の対象としたが、偏光板2と偏光板11の両方または一方を取り付ける前の液晶パネルを対象としてもよい。
また、液晶パネルに限らず、バックライト12等を取り付けた液晶モジュール16の状態で輝点欠陥の暗点化処理をしてもよい。液晶モジュール16を対象とする場合は、バックライト12が取り付けられているので、観察用光源29を省略してもよい。また、レーザ光を入射する方向は、バックライト12が取り付けられた状態では、カラーフィルタ基板13a側から入射することが好ましい。
また、レーザ光を照射した際に変質させる対象としては、カラーフィルタ基板13aの一部である、偏光板2、ガラス基板3、カラーフィルタ色材1、共通電極5、配向膜6のいずれでもよく、これらの少なくとも一つが変質して光の透過率が低下すれば一定の効果が得られる。また、カラーフィルタ基板13aだけに限ることもなく、TFTアレイ基板14の一部である、偏光板11、ガラス基板10、TFTアレイ9、配向膜8のうちの少なくとも一つが変質して光の透過率が低下しても一定の効果が得られる。
尚、この発明の実施の形態1では、輝点欠陥の暗点化処理の対象を、カラーフィルタ基板13a側に共通電極5が配置された液晶パネル15としたが、これに限ることはなく、共通電極5がTFTアレイ基板14側に配置された液晶パネル、例えば、IPS(In Plane Switching)方式の液晶パネルでもよい。つまり、液晶パネルの機種によって限定されるものではない。
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37bを示す側面図である。図6において、図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、暗点化装置用制御装置38とレーザ駆動電源21とを接続し、レーザ発振器20に供給する電力を制御できるようにした構成が相違している。
暗点化装置用制御装置38によってレーザ駆動電源21を制御して、レーザ発振器20に供給する電力を制御することにより、レーザ発振器20から出射されるレーザ光のパワー(単位時間当たりのエネルギー)を変化させることができる。
次に、この発明の実施の形態2における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37bを用いた液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化方法について説明する。この発明の実施の形態1と同様の工程については、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の一部を遮り、かつ、レーザ発振器20から出射されたレーザ光を遮る量を変化させることにより輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させる工程の代わりに、レーザ発振器20から出射されるレーザ光の単位時間当たりのエネルギーを変化させる工程を有する点が相違している。
レーザ発振器20から出射されるレーザ光の単位時間当たりのエネルギーを変化させる工程について説明する。図7は、この発明の実施の形態2におけるレーザ発振器20から出射されるレーザ光の単位時間当たりのエネルギーを変化させる工程を説明するための図である。図7において、横軸は時刻tを示し、縦軸はレーザ発振器20から出射されるレーザ光のパワーPを示す。
図7に示すように、時刻t0において、初期パワーP0でレーザ発振器20からレーザ光を出射し、走査を開始する。即ち、走査開始点33におけるレーザ発振器20から出射するレーザ光のパワーが初期パワーP0となる。走査開始と同時にレーザ光のパワーを走査開始時よりも大きくしていき、時刻t3において、最終パワーP1とする。ここで、P0<P1である。パワーの増加に要する時間、即ち、t3−t0をパワー増加時間Δt2とする。レーザ光のパワーが最終パワーP1にまで増加された後は、レーザ光が走査終了点34に達して走査が終了する時刻t2まで、最終パワーP1のままで走査される。
尚、図7においては、レーザ光のパワーを時間に対して直線状に変化させたが、時間に対して曲線状やステップ状に変化させても同様の効果がある。
ここで、レーザ発振器20から出射するレーザ光のパワーの調整は、暗点化装置用制御装置38によってレーザ駆動電源21からレーザ発振器20へ供給する電力の大きさを制御することによって行う。レーザ発振器20から出射するレーザ光のパワーを変化させることにより、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーを変化させることができる。そして、このレーザ光を一定の速さで走査するので、レーザ光のパワーが変化することによって、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーも変化することになる。
これらの初期パワーP0、最終パワーP1、パワー増加時間Δt2は、可変開口装置23の開口部39の大きさ、レーザ光を走査する速さ、レーザ光を走査する経路、といった他のパラメータと同様に、対象となる液晶パネル15の機種や画素の色ごとに設定しておき、レシピとして登録しておく。そして、液晶パネル15の機種や画素の色によってレシピを呼び出して輝点欠陥の暗点化処理を実施する。
最終パワーP1は、輝点欠陥を有する画素の黒化に最適なレーザ光のパワーが得られるパワーに設定しておく。初期パワーP0は、例えば最終パワーP1の約4分の1とするのがよい。
最終パワーP1としては、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーが例えば20〜100mW程度となるように設定することが好ましく、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーが40mW程度となるのが特に好ましい。初期パワーP0としては、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーが例えば5〜25mW程度となるように設定することが好ましく、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーが10mW程度となるのが特に好ましい。パワー増加時間Δt2は、1秒程度とするのが好ましい。
この発明の実施の形態2では、暗点化装置用制御装置38とレーザ駆動電源21とを接続し、レーザ発振器20に供給する電力を制御できるようにし、レーザ発振器20から出射されるレーザ光の単位時間当たりのエネルギーを変化させることにより、また、レーザ発振器20から出射されるレーザ光の単位時間当たりのエネルギーを変化させる工程を有することにより、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーを容易に制御することができ、暗点化処理時に、液晶パネル15内の薄膜の破損抑制と充分な暗点化とを両立することができる。
尚、レーザ発振器20として半導体レーザを使用している場合、特に効果的である。固体レーザやガスレーザの場合は、レーザ駆動電源21にから供給する電力を変えることによってレーザ発振器20の状態が変化してしまうことがあるが、一定の効果は得られる。
尚、この発明の実施の形態2では、この発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37cを示す側面図である。図8において、図6と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態2とは、対物レンズ24と液晶パネル15との間に可変減衰器42を設け、暗点化装置用制御装置38と可変減衰器42とを接続し、可変減衰器42によるレーザ光の減衰量を制御できるようにした構成が相違している。
暗点化装置用制御装置38によって可変減衰器42を制御し、対物レンズ24から出射して液晶パネル15へ照射されるレーザ光の減衰量を制御することにより、液晶パネル15へ照射されるレーザ光のパワー(単位時間当たりのエネルギー)を変化させることができる。
次に、この発明の実施の形態3における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37cを用いた液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化方法について説明する。この発明の実施の形態2と同様の工程については、その説明を省略する。この発明の実施の形態2とは、レーザ発振器20から出射されるレーザ光の単位時間当たりのエネルギーを変化させる工程の代わりに、レーザ発振器20から液晶パネル15までの間の光路上に設置された可変減衰器42によって、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の減衰量を変化させる工程を有する点が相違している。
レーザ発振器20から液晶パネル15までの間の光路上に設置された可変減衰器42によって、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の減衰量を変化させる工程について説明する。
この工程では、レーザ光の走査開始時、つまり走査開始点33では、レーザ光の減衰量を大きくしておき、走査開始とともに減衰量を小さくして液晶パネル15に照射されるレーザ光のパワーを大きくしていく。所望のパワーまで大きくなった後は、レーザ光が走査終了点34に達して走査が終了するまで、そのままの減衰量で走査される。レーザ光のパワーの変化の様子は図7と同様となる。
この発明の実施の形態3では、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の、レーザ発振器20から液晶パネル15までの間の光路上に設置された可変減衰器42を備え、暗点化装置用制御装置38が可変減衰器42におけるレーザ光の減衰量を変化させることにより、また、レーザ発振器20から液晶パネル15までの間の光路上に設置された可変減衰器42によって、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の減衰量を変化させる工程を有することにより、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のパワーを容易に制御することができ、暗点化処理時に、液晶パネル15内の薄膜の破損抑制と充分な暗点化とを両立することができる。
また、レーザ発振器20として固体レーザやガスレーザを使用する場合、この発明の実施の形態2のようにレーザ駆動電源21から供給する電力を変えるとレーザ発振器20の状態が変化することがあるが、この発明の実施の形態3では、レーザ駆動電源21から供給する電力は一定のままで、可変減衰器42によってレーザ光のパワーを変化させることができ、レーザ発振器20の状態を変化させずに照射するレーザ光のパワーを変化させることができ、特に有用である。
尚、この発明の実施の形態3では、この発明の実施の形態2と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37dを示す側面図である。図9において、図2と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、暗点化装置用制御装置38とXYテーブル28とを接続し、XYテーブル28を移動させる速さを制御できるようにした構成が相違している。
暗点化装置用制御装置38によってXYテーブル28を移動させる速さを制御することにより、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを変化させることができる。
次に、この発明の実施の形態4における液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置37dを用いた液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化方法について説明する。この発明の実施の形態1と同様の工程については、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、レーザ発振器20から出射されたレーザ光の一部を遮り、かつ、レーザ発振器20から出射されたレーザ光を遮る量を変化させることにより輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光のスポットサイズを変化させる工程の代わりに、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光を走査する速さを変化させる工程を有する点が相違している。
輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光を走査する速さを変化させる工程について説明する。図10は、この発明の実施の形態4における輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光を走査する速さを変化させる工程を説明するための図である。図10において、横軸は時刻tを示し、縦軸はXYテーブル28を走査する速さv、即ち、レーザ光を走査する速さvを示す。
図10に示すように、時刻t0において、初期走査速さv0でレーザ光の照射と走査を開始する。即ち、走査開始点33におけるレーザ光を走査する速さが初期走査速さv0となる。走査開始と同時に走査する速さを走査開始時よりも遅くしていき、時刻t4において、最終走査速さv1とする。ここで、v0>v1である。走査する速さを減速するために要する時間、即ち、t4−t0を走査速さ減速時間Δt3とする。レーザ光を走査する速さが最終走査速さv1にまで減速された後は、レーザ光が走査終了点34に達して走査が終了する時刻t5まで、最終走査速さv1のままで走査される。
尚、図10においては、レーザ光を走査する速さを時間に対して直線状に変化させたが、時間に対して曲線状やステップ状に変化させても同様の効果がある。
ここで、XYテーブル28を走査する速さ、即ち、レーザ光を走査する速さの調整は、暗点化装置用制御装置38によって行う。レーザ光を走査する速さを変化させることにより、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを変化させることができる。
これらの初期走査速さv0、最終走査速さv1、走査速さ減速時間Δt3は、可変開口装置23の開口部39の大きさ、レーザ発振器20から出射されるレーザ光のパワー、レーザ光を走査する経路、といった他のパラメータと同様に、対象となる液晶パネル15の機種や画素の色ごとに設定しておき、レシピとして登録しておく。そして、液晶パネル15の機種や画素の色によってレシピを呼び出して輝点欠陥の暗点化処理を実施する。
最終走査速さv1は、輝点欠陥を有する画素の黒化に最適なエネルギーが輝点欠陥を有する画素に供給されるような速さに設定しておく。初期走査速さv0は、例えば最終走査速さの約4分の1とするのがよい。
最終走査速さv1としては、例えば40〜200μm/s程度が好ましい。初期走査速さv0としては、例えば10〜50μm/s程度が好ましい。走査速さ減速時間Δt3は、1秒程度とするのが好ましい。
この発明の実施の形態4では、暗点化装置用制御装置38とXYテーブル28とを接続し、XYテーブル28を走査する速さ、即ち、レーザ光を走査する速さを制御できるようにしたことにより、また、輝点欠陥を有する画素に照射されるレーザ光を走査する速さを変化させる工程を有することにより、輝点欠陥を有する画素の単位面積当たりに照射されるレーザ光のエネルギーを容易に制御することができ、暗点化処理時に、液晶パネル15内の薄膜の破損抑制と充分な暗点化とを両立することができる。
尚、この発明の実施の形態4では、この発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。
以上で説明したこの発明の実施の形態1〜4は互いに組み合わせることができる。例えばこの発明の実施の形態1と2とを組み合わせて、可変開口装置23によるレーザ光のパワーの調整と、レーザ駆動電源21からレーザ発振器20への電力の供給を調整することによるレーザ光のパワーの調整と、を組み合わせると、レーザ光のパワーをより細かに調整することができ、より効果的である。同様に、この発明の実施の形態1〜4のうちのいずれか2つの組み合わせや3つの組み合わせ、さらには全ての組み合わせるとより効果的である。
実施の形態5.
図11は、この発明の実施の形態5における液晶パネル15の一部を示す断面図である。図11において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。この発明の実施の形態1とは、カラーフィルタ36と共通電極5との間に保護膜35を設けたカラーフィルタ基板13bを用いた構成が相違している。保護膜35としては、例えばアクリル系の樹脂が用いられる。
この発明の実施の形態1〜4の構成及び方法では、液晶パネル15内のカラーフィルタ色材1、共通電極5、配向膜8等の薄膜の破損を抑制することができた。しかし、低確率ではあるが、暗点化処理をした輝点欠陥を有する画素の周辺の画素で、新たな輝点欠陥が生じることがあった。これは、液晶パネル15内の薄膜は破損していないものの、薄膜を変質させたときに不純物やイオンが発生して液晶7中に拡散することがあるからである。
この発明の実施の形態5では、カラーフィルタ36の液晶7側に保護膜35を設けたことにより、輝点欠陥の暗点化処理時に、特にカラーフィルタ色材1から発生する不純物やイオンが、液晶7中に拡散しないように閉じ込めることができる。これにより、輝点欠陥の暗点化処理によって、周辺の画素に新たに輝点欠陥が生じることをさらに抑制することができる。
また、保護膜35には、大きく分けて紫外線硬化のものと熱硬化のものとがあるが、熱硬化のものは耐熱性が高く、暗点化処理時にレーザ光を照射しても破損しにくく、より効果的である。さらに、保護膜35の耐熱温度がカラーフィルタ色材1と比較して高い場合、特に効果的である。
カラーフィルタ36上に保護膜35を有する場合、TFTアレイ基板14側からではなく、カラーフィルタ基板13b側から液晶パネル15にレーザ光を照射した方が、レーザ光の照射時に不純物やイオン等の異物を拡散させないという観点からより効果的である。
また、レーザ光を照射した際に保護膜35を変質させることによって輝点欠陥を暗点化してもよい。
尚、この発明の実施の形態5では、カラーフィルタ基板13b側に共通電極5が配置された液晶パネル15としたが、これに限ることはなく、共通電極5がTFTアレイ基板14側に配置された液晶パネル、例えば、IPS方式の液晶パネルでもよい。この場合は、保護膜35は、カラーフィルタ36と配向膜6との間に配置されることになる。
尚、この発明の実施の形態5では、この発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略した。また、この発明の実施の形態5は、この発明の実施の形態2〜4と組み合わせることも可能である。
3 ガラス基板
6 配向膜
7 液晶
13a、13b カラーフィルタ基板
14 薄膜トランジスタアレイ基板
15 液晶パネル
16 液晶モジュール
20 レーザ発振器
23 可変開口装置
28 XYテーブル
32 輝点欠陥を有する画素
36 カラーフィルタ
37a〜37d 液晶表示装置の輝点欠陥の暗点化装置
38 暗点化装置用制御装置