JP5740638B2 - セラミックス製品の製造方法およびこれに用いられる成形型 - Google Patents

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Description

本発明は、中空状のセラミックス製品の製造方法およびこれに用いられる成形型に関する。
円筒状のセラミックス製品の製造方法として、石膏型または樹脂などの円筒状成形型を回転させる遠心成形方法が提案されている(特許文献1、特許文献2および非特許文献1参照)。また、鋳込み成形方法をベースとして、揺動または振動などが加えられる成形方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開平09−193130号公報 特開平05−253921号公報 特開2005−153495号公報
産総研/セラミックスの遠心成形技術(URL:http://unit.aist.go.jp/ chubu/ci/vm/sub3/sub3_06_3.html)
しかし、遠心成形法または揺動もしくは振動を伴う成形方法によれば、成形型の劣化または破損が生じやすいため、設備コストの節約の観点から好ましくない。また、成形中は、常に着肉層に対して応力が作用するため、完全に乾燥固化していない状態の着肉層には、チクソトロピー性によるダレまたは崩壊が起こる。その結果、成形体に、生密度ムラおよび残留応力によるクラック等が発生する。これは、成形体が大型であるほど顕著となる。
さらに、遠心成形法によれば、成形型が、その軸が略水平である状態で当該軸回りに回転されるため、重力の影響によって焼結体の真円度が低下する傾向がある。また、回転作用を利用するという性質上、製品形状が円筒状に限定されてしまう。
そこで、本発明は、中空状のセラミックス製品の大型化または高背化を図りながらも、高品質化を図ることができる、当該セラミックス製品の製造方法等を提供することを課題とする。
本発明は、中空状のセラミックス製品を製造する方法であって、多孔質の吸水性材料からなる筒状の側部および非吸水性材料からなる底部を有する有底筒状の枠と、前記枠の内側に設けられる、少なくとも表面層が非吸水性材料からなる中子とを備えている成形型を、前記筒の軸方向を鉛直方向に合わせて設置する工程と、セラミックス粉末の粒子径分布が単一のピークを有し、全粒子のうちメジアン径(M)を有する粒子の頻度が10[%]以上であり、メジアン径(M)が0.5[μm]であり、メジアン径(M)に対する最小粒子径(B)の比(B/M)が0.2以上であり、かつ、メジアン径(M)に対する最大粒子径(A)の比(A/M)が11.0以下になるように原料を調整する工程と、粒子径分布が調節された前記セラミックス粉末が分散されたスラリーを調整する工程と、前記成形型に対して前記スラリーを注入する工程と、前記成形型における前記スラリーの流動が収まった後、前記枠の側部の外側表面に沿った複数の方向のそれぞれについて均等に配置され、前記枠の側部の外側表面に対して気密に形成されている空間を−90[kPa]と同じまたはこれより強い圧力で真空吸引することにより、前記スラリー中の水分を前記吸水性材料に吸収させるとともに、前記セラミックス粉末を前記成形型に着肉させ、セラミックス成形体を形成する工程と、前記セラミックス成形体を乾燥させた後、焼成する工程とを含んでいることを特徴とする。
本発明の方法によれば、原料であるセラミックス粉末を分散させたスラリーが成形型に注入され、スラリーの流動が収束した後、有底筒状の枠の側部の外側に形成されている気密空間が高真空度(−90[kPa]と同じまたは強い吸引圧力)で真空吸引される。気密空間は枠の側部の外側表面に沿った複数の方向のそれぞれについて均等に配置されているため、セラミックス粉末の着肉層が側部の表面の各法線方向について均等に形成される。
セラミックス粉末の着肉層の形成に際し、スラリーに対して圧力が掛けられるわけではなく、枠の側部に作用する吸引圧力および当該枠を構成する吸水性材料の毛管吸引力の作用によってスラリー中の水分が除去される。このため、枠の側部近傍における原料粉末の着肉層が当該側部から離れることなく、成形体が形成されうる。また、中子の少なくとも表面は非吸水材料であることから、当該中子から外側に向かう方向からのみ吸水が進行するため、成形体にウェルドラインが生じることはない。
さらに、原料であるセラミックス粉末の着肉方向が側部表面の法線方向、すなわち、水平方向であって、鉛直方向に対して垂直である。このため、沈降作用の影響が軽減されるようにセラミックス粉末の粒度分布が調節されていることにより、成形体の高さ方向または上下方向について生密度差またはムラが生じず、変形または歪みおよびクラックがない高品質の成形体および焼結体が得られる。
したがって、中空状のセラミックス製品の大型化または高背化を図りながらも、その高品質化を図ることができる。尚、粒度は、混合前の分級、混合処理方法で調整することが可能である。
本発明の成形型は、筒状または有底筒状の外枠と、多孔質の吸水性材料からなる筒状の側部および非吸水性材料からなる底部を有する内枠と、前記内枠の内側に設けられる、少なくとも表面層が非吸水性材料からなる中子とを備え、前記内枠の側部の外側表面に沿った複数の方向のそれぞれについて均等に配置され、真空吸引装置に対して気密に接続されることにより前記内枠の側部の外側表面に対して気密に形成されている空間を形成する吸引経路が、前記外枠において前記内枠の側部に当接する箇所に形成されていることを特徴とする。
本発明の成形型が筒状のセラミック製品の製造に際して用いられることにより、前記のように、大型または高背でありながら高品質の任意の所望形状の中空状セラミックス製品が製造されうる。
図1(a)は本発明の方法に用いられる成形型の上面図。図1(b)は図1(a)のIb−Ib線に沿った当該成形型の断面図。 本発明の一実施形態としてのセラミックス製品の製造方法に関する説明図。
本発明の一実施形態として、セラミックス製品としてのアルミナ焼結体の製造方法について説明する。
(スラリーの調整)
セラミックス粉末の粒子径分布が単一のピークを有し、メジアン径(M)が0.5[μm]であり、その頻度が10[%]以上であり、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0以下であり、かつ、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2以上になるようにスラリーが調整された。
なお、セラミックス粉末はアルミナ粉末のほか、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、スピネルまたはイットリアなどからなる各種のセラミック粉末であってもよい。分散剤は、ポリカルボン酸系など公知のものが用いられる。溶媒は、水、特に不純物が少ないイオン交換水であることが好ましいが、アルコールなど公知の溶媒が用いられうる。バインダは、ポリビニルアルコールやアクリルエマルジョンなどの公知のものが用いられる。また、必要に応じて、pH調整剤または消泡剤等の添加剤が添加されてもよい。
(成形型の構成)
図1(a)および図1(b)に示されている成形型は、外枠10と、内枠20と、中子30とを備えている。
外枠10は、略有底円筒状のステンレスからなり、その高さはたとえば950[mm]である。外枠10の側壁には、図1(a)に示されているように周方向について回転対称性(たとえば8回転対称性)を有するように配置され、かつ、図1(b)に示されているように上下方向(軸方向)について等間隔に(上下方向について並進対称性を有するように)配置されている複数の吸引口12が設けられている。
内枠20は、全周にわたり外枠10の内側に接し、円筒状の多孔質の吸水性材料(たとえば石膏)からなる側部21と、側部21の底を塞ぐように設けられている円盤状の非吸水性材料(たとえばクロロプレンゴム)からなる底部22とを備えている。内枠20の内径はたとえば800[mm]であり、その深さはたとえば950[mm]である。所望の高さの成形体が得られるように、石膏からなる側部21の一部が樹脂などによって被覆されることにより、その吸水作用の抑制が図られている。
吸引口12は、真空吸引装置(真空ポンプなど)に気密に接続されることにより、内枠20の側部21の外側表面に対して気密な空間を形成する。前記のように複数の吸引口12が配置されることにより、気密空間は、内枠20の側部21の外側表面に沿った周方向および軸方向のそれぞれについて均等に配置されている。
なお、内枠20の側部21の外側表面に沿った複数の方向のそれぞれについて、気密空間が均等に配置されるようにさまざまな形態で吸引経路が形成されうる。たとえば、外枠10の側壁内側に、当該複数の方向のそれぞれに細長い部材がのびているような格子状の吸引溝と、当該吸引溝に連通する吸引口とが吸引経路として形成されてもよい。
中子30は、少なくともその表面層がショア硬度A(JIS)20〜60°のゴム、シリコンまたはプラスチックなどの非吸水性材料(たとえばショア硬度40°のネオプレンゴム)により構成されている。中子30は、内枠20の内側に配置され、内枠20の深さと同じ高さの略円柱状であって、その直径はたとえば600[mm]である。
任意の形状のセラミックス製品の作成のため、外枠10、内枠20および中子30のそれぞれの形状が任意に変更されうる。外枠10の側壁および内枠20の側部21が、円筒状のほか、三角筒状、矩形筒状、台形筒状、多角形筒状または楕円筒状など、周囲が囲まれている任意の形状であってもよい。
円柱状のほか、角柱状などさまざまな形状の中子30が使用されてもよい。中子30の寸法が調整されることで、成形体および焼結体の肉厚が調節されうる。また。セラミックス製品の全体に対する中空部の体積割合は、5〜95[%]の範囲で調節されうる。
(セラミックス製品の製造方法)
セラミックス粉末の着肉面である底部22の表面が水平になるように、図1に示されている成形型が設置された上で、前記のように粒度調整されたスラリーが、図2(a)に示されているように成形型に注入される。スラリーは、バッチ方式にしたがって所望形状に必要な量が最初から成形型に投入されてもよく、または、着肉の進行に合わせて撹拌タンクなどから成形型に対して随時供給されてもよい。
成形型に注入されたスラリーの流動が収まった段階から、吸引口12を通じて成形型の内部が真空吸引されることにより、着肉による成形体の製造が実施された。真空吸引に際して、真空度は−90[kPa]以上に調節された。これにより、図2(b)および図2(c)に示されているように径方向外側から着肉が進行し、徐々に成形体Pの厚みが増していく。
成形体Pの高さが所望の高さ(600[mm])に到達したところで着肉層上にある余剰スラリーが排出(排泥)された。また、所定時間にわたって−90[kPa]と同じまたはこれより強い圧力で、吸引口12により形成されている気密空間が真空吸引されることにより、側部21による吸水が実施された。
さらに、成形体Pが脱型された。成形体Pの成形後も吸引が継続されることにより、成形体Pが効率的に乾燥され、成形型からの離型が迅速となる。中子30は、成形完了時点で引き抜かれる。これにより、図2(d)に示されているように円筒状(高さ600[mm]、外径800[mm]、内径600[mm])の成形体Pが得られた。
そして、成形体Pが乾燥され、さらに必要に応じて生加工された後、焼成されることにより、円筒状のセラミックス製品(焼結体)が製造された。なお、中子30を抱えた状態で成形体Pが焼成されることにより、中子30が焼失されることにより、中空部を有する焼結体が作成されてもよい。
市販のアルミナ粉末(昭和電工社製AL−160SG−4、純度99.7[%])に対して、バインダ(三井東圧化学社製WA−320)、分散剤(互応化学社製KE−552)およびイオン交換水が添加された上で、粉砕混合によってスラリーが調整された。
メジアン径(0.5[μm])の頻度が10[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0になるように粒子径分布が調節されたスラリーが用いられ、真空吸引圧力が−90[kPa]と同じまたは強くなるように調節されることにより実施例1の成形体および焼結体が得られた。
メジアン径の頻度が16[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が9.5になるように粒子径分布が調節されたスラリーが用いられたほかは、実施例1と同一条件下で実施例2の成形体および焼結体が得られた。
メジアン径の頻度が21[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.5であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0になるように粒子径分布が調節されたスラリーが用いられたほかは、実施例1と同一条件下で実施例3の成形体および焼結体が得られた。
メジアン径の頻度が15[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.3であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が9.0になるように粒子径分布が調節されたスラリーが用いられたほかは、実施例1と同一条件下で実施例4および焼結体が得られた。
メジアン径の頻度が14[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.3であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0になるように粒子径分布が調節されたスラリーが用いられたほかは、実施例1と同一条件下で実施例5の成形体および焼結体が得られた。
メジアン径の頻度が18[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.5であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が5.0になるように粒子径分布が調節されたスラリーが用いられたほかは、実施例1と同一条件下で実施例6の成形体および焼結体が得られた。
メジアン径の頻度が14[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.3であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が4.0になるように粒子径分布が調節されたスラリーが用いられたほかは、実施例1と同一条件下で実施例7の成形体および焼結体が得られた。
表1には、実施例1〜7のそれぞれの成形体の作成条件と、成形体および焼結体のそれぞれの相対密度の測定結果および外観の観察結果が示されている。各実施例および後述する比較例において、2つの成形体が作製され、1つの成形体の一部が切り出されて当該切り出し部分から生密度が評価され、もう1つの成形体が焼成されることにより焼結体が製造された。
表1から明らかなように、実施例1〜7のそれぞれの成形体の上下方向および径方向の相対密度のバラツキは小さく、乾燥後における外観上も成形体の乾燥収縮による割れは観察されなかった。また、実施例1〜7のそれぞれの焼結体の相対密度はいずれも99[%]以上であって非常に緻密であり、外観上も反り、変形および割れは観察されなかった。
実施例1〜7のそれぞれと同様に粒子径分布が調整されたスラリーが成形型に注ぎ足されながら成形体が作成された場合、同様に、生密度のバラツキが小さく、かつ、割れの無い成形体が得られ、生加工して焼成したところ、反り、変形および割れが無く、相対密度が99[%]以上に緻密化した焼結体が得られた。
比較例
〔比較例1〕
実施例1〜7と比較して最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2以上であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0以下である点でと一致する一方、メジアン径の頻度が10[%]未満(9[%])である点で異なる粒子径分布を有するスラリーが用いられたほかは、実施例1〜7と同一条件下で比較例1の成形体および焼結体が得られた。
〔比較例2〕
実施例1〜7と比較してメジアン径の頻度が10[%]であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0以下である点で一致する一方、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2未満(0.1)である点で異なる粒子径分布を有するスラリーが用いられたほかは、実施例1〜7と同一条件下で比較例2の成形体が得られた。
〔比較例3〕
実施例1〜7と比較してメジアン径の頻度が10[%]以上であり、かつ、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2以上である点で一致する一方、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0を超えている(12.0)点で異なる粒子径分布を有するスラリーが用いられたほかは、実施例1〜7と同一条件下で比較例3の成形体が得られた。
〔比較例4〕
真空吸引圧力が−90[kPa]より弱い(−70[kPa])ほかは、メジアン径の頻度が10[%]であり、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2以上であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0以下である粒子径分布を有するスラリーが用いられた点を含めて実施例1〜7と同一条件下で比較例4の成形体が得られた。
〔比較例5〕
実施例1〜7と比較してメジアン径の頻度が10[%]以上である点で一致する一方、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2未満(0.1)であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0を超えている(21.0)である点で異なる粒子径分布を有するスラリーが用いられたほかは、実施例1〜7と同一条件下で比較例5の成形体および焼結体が得られた。
〔比較例6〕
実施例1〜7と比較して最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2以上(0.3)である点で一致する一方、メジアン径の頻度が10[%]未満(7[%])であり、かつ、最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0を超えている(16.0)である点で異なる粒子径分布を有するスラリーが用いられたことに加え、真空吸引圧力が−90[kPa]より弱い(−89[kPa])ほかは、実施例1〜7と同一条件下で比較例6の成形体が得られた。
〔比較例7〕
実施例1〜7と比較して最大粒子径/メジアン径比(A/M)が11.0以下である点で一致する一方、メジアン径の頻度が10[%]未満(8[%])であり、かつ、最小粒子径/メジアン径比(B/M)が0.2未満(0.1)である点で異なる粒子径分布を有するスラリーが用いられたほかは、実施例1〜7と同一条件下で比較例7の成形体および焼結体が得られた。
表2には、比較例1〜7のそれぞれの成形体の作成条件と、成形体および焼結体のそれぞれの相対密度の測定結果および外観の観察結果が示されている。
表2から明らかなように、比較例1、5および7の成形体にクラックは観察されなかったものの、比較例1、5および7の焼結体は部分的に緻密化が不十分であり、かつ、クラックが観察された。比較例2〜4、6の成形体において上下に生密度の差異が生じ、かつ、クラックが観察された。
本発明の方法によれば、原料であるセラミックス粉末を分散させたスラリーが成形型に注入され、スラリーの対流および流動が収束した後、有底筒状の枠の側部の外側に形成されている気密空間が高真空度(−90[kPa]と同じまたは強い吸引圧力)で真空吸引される。吸引口12により形成される気密空間は内枠(枠)20の側部21の外側表面に沿った複数の方向(周方向および軸方向)のそれぞれについて均等に配置されているため、セラミックス粉末の着肉層が側部21の表面の各法線方向について均等に形成される。
セラミックス粉末の着肉層の形成に際し、スラリーに対して圧力が掛けられるわけではなく、内枠20の側部21に作用する吸引圧力および当該内枠21を構成する石膏等の吸水性材料の毛管吸引力の作用によってスラリー中の水分が除去される。このため、内枠20の側部21近傍における原料粉末の着肉層が当該側部21から離れることなく、成形体Pが形成されうる(図2(b)参照)。また、中子30の少なくとも表面は非吸水材料であることから、当該中子30から外側に向かう方向からのみ吸水が進行するため、成形体Pにウェルドラインが生じることはない。また、成形体Pが乾燥収縮しても柔軟性を有した中子30が用いられているため、成形体Pがこの中子30を抱きかかえても成形体Pにクラックが発生しない。
さらに、原料であるセラミックス粉末の着肉方向が側部表面の法線方向、すなわち、水平方向であって、鉛直方向に対して垂直である。このため、沈降作用の影響が軽減されるようにセラミックス粉末の粒度分布が調節されていることにより、成形体の高さ方向または上下方向について生密度差またはムラが生じず、変形または歪みおよびクラックがない高品質の成形体および焼結体が得られる。
従来の固形鋳込み等に比べて大きさの制約が少なく、小型から大型まで適用可能で、たとえば、一辺が400[mm]以上または直径300[mm]以上で、肉厚が40[mm]以上の大型肉厚形状の成形体およびセラミックス製品が作成されうる。
10‥外枠、12‥吸引口、20‥内枠、21‥側部、22‥底部、30‥中子、P‥成形体。

Claims (2)

  1. 中空状のセラミックス製品を製造する方法であって、
    多孔質の吸水性材料からなる筒状の側部および非吸水性材料からなる底部を有する有底筒状の枠と、前記枠の内側に設けられる、少なくとも表面層が非吸水性材料からなる中子とを備えている成形型を、前記筒の軸方向を鉛直方向に合わせて設置する工程と、
    セラミックス粉末の粒子径分布が単一のピークを有し、全粒子のうちメジアン径(M)を有する粒子の頻度が10[%]以上であり、メジアン径(M)が0.5[μm]であり、メジアン径(M)に対する最小粒子径(B)の比(B/M)が0.2以上であり、かつ、メジアン径(M)に対する最大粒子径(A)の比(A/M)が11.0以下になるように原料を調整する工程と、
    粒子径分布が調節された前記セラミックス粉末が分散されたスラリーを調整する工程と、
    前記成形型に対して前記スラリーを注入する工程と、
    前記成形型における前記スラリーの流動が収まった後、前記枠の側部の外側表面に沿った複数の方向のそれぞれについて均等に配置され、前記枠の側部の外側表面に対して気密に形成されている空間を−90[kPa]と同じまたはこれより強い圧力で真空吸引することにより、前記スラリー中の水分を前記吸水性材料に吸収させるとともに、前記セラミックス粉末を前記成形型に着肉させ、セラミックス成形体を形成する工程と、
    前記セラミックス成形体を乾燥させた後、焼成する工程とを含んでいることを特徴とする方法。
  2. 筒状または有底筒状の外枠と、多孔質の吸水性材料からなる筒状の側部および非吸水性材料からなる底部を有する内枠と、前記内枠の内側に設けられる、少なくとも表面層が非吸水性材料からなる中子とを備え、
    前記内枠の側部の外側表面に沿った複数の方向のそれぞれについて均等に配置され、真空吸引装置に対して気密に接続されることにより前記内枠の側部の外側表面に対して気密に形成されている空間を形成する吸引経路が、前記外枠において前記内枠の側部に当接する箇所に形成されていることを特徴とする成形型。
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