JP5740072B2 - β−1,3−1,6−D−グルカンを用いたストレス緩和剤 - Google Patents

β−1,3−1,6−D−グルカンを用いたストレス緩和剤 Download PDF

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本発明は、ストレス緩和剤、副交感神経の刺激剤及び/又は交感神経抑制剤、及びストレス緩和のため、又は交感神経抑制及び/又は副交感神経刺激(若しくはストレス緩和)のために用いられる飲食品組成物に関する。
現在の多様化した社会環境では、絶えずストレスに暴露され、肉体的・精神的な疲労を訴える人が増加している。そのメカニズムは動物でも同様のことが起こり、マウスへの強制拘束などのストレス負荷は、血中のコルチコステロン上昇や免疫力の低下(特にナチュラルキラー(NK)活性の低下)が報告されている。(非特許文献1,2、3)
ストレスという言葉は、古くはカナダの生理学者セリエ(H. Selye)により提唱され、生体が外部から強い熱や圧力などの強い刺激を受けたり、傷害を受けた際に生体が一定の変調をきたし、副腎皮質の肥大、脾臓や胸腺の萎縮、胃・十二指腸の出血や潰瘍といった一定の状態を引き起こすことを見つけた。このような状態をストレス状態と定義されている。これはストレスによって、大脳の視床下部、脳下垂体、副腎系に支配される内分泌系、そして自律神経系の機能亢進が起こることを示唆するものであった。また、アメリカの生理学者であるキャノン (W. B. Cannon) も生体が外部からの強い物理的あるいは精神的な刺激にさらされた場合、生体の恒常性を維持するために、交感神経系刺激によるアドレナリンの分泌による全身反応が誘引されることを発見した。具体的には、ネコが興奮して瞳孔の拡大や呼吸数・脈拍の増大、血圧上昇、胃腸機能の低下が起こることを見出していた。
最近では、ストレスに対する生体の反応として、内分泌系、自律神経系、免疫系での応答が明らかになってきている。生体にストレスがかかるとそれに応答して、アドレナリン、ノルアドレナリン、グルココルチコイド(糖質コルチコイドとも言われる)などのホルモンが分泌される。アドレナリン、ノルアドレナリン、カテコールアミンおよびドーパミンは副腎髄質から分泌され、グルココルチコイド、コルチゾールおよびコルチコステロンは副腎皮質から分泌される。そのメカニズムは、次のように説明されている。ストレスを感知した脳は、その不快シグナルを視床下部へ送り、順次、脳下垂体へと働きかけ、そこから副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、その刺激によって副腎皮質からグルココルチコイド等が分泌され、血中のグルコース濃度が増加する。同時に、ストレッサーを感じた脳は視床下部から自律神経に作用して活発化する。その際に自律神経のうち交感神経が刺激され、副腎髄質からアドレナリン等が分泌されて、血糖が増加すると共に血圧上昇などを誘引する。これらが、ストレスが与えられたときの生体の対応である。
過度のストレスがかかり続けると、上記の状態が持続し、傷害部位治癒遅延や筋肉の萎縮、胃粘膜の傷害、血管の傷害、胸腺の萎縮などを誘引して種々の疾病を引き起こすことになる。特に免疫系への傷害は深刻で、リンパ球の減少、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性低下を余儀なくされ、ウイルスや細菌感染などにさらされることとなる。
一方、自律神経は免疫を担当している器官(胸腺、リンパ節、骨髄、脾臓など)にも分布しており、その影響は大きいと考えられる。また白血球やNK細胞、リンパ球に対しても自律神経系により調節されている。例えば、NK細胞は、交感神経優位な際に分泌されるアドレナリンによりその活性が低下する。グルココルチコイドはリンパ球を衰弱させ、マクロファージの活性も低下させることが知られている。逆に副交感神経優位になるとリンパ球の活性は増大する。このようにストレスによって免疫系が低下することは知られており、多くの疾病を引き起こす原因となっている。しかしながら抗ストレス効果と免疫賦活効果を合わせ持つ食品素材は知られていない。
近年、食習慣の変化、運動不足、過度のストレス、高齢化等の要因により、常習性ストレス者が増加している。ストレス者が増加していることは、厚生労働省の発表している、平成14年患者調査(厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保険統計課:平成14年患者調査報告(疾病分類学))からも明らかである。
このような背景もあり、ストレスを緩和する機能を持った食品素材の開発が盛んに行なわれている。
β-1,3-1,6-D-グルカンはオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)から調製され得ることが報告され(特許文献1)、腸管免疫活性化作用を有することが報告されている(特許文献2)。しかしながら、その由来に限られずβ-1,3-1,6-D-グルカンがストレス緩和作用を有することは報告されていない。
特開2006−104439号公報 特開2006−137719号公報 「ストレスの生物学」室伏きみ子 著、オーム社 発刊日2005年4月10日、2−55頁 「シンプル免疫学 改定第3版」中島 泉、高橋利忠、吉開泰信 著 南江堂 発刊日2006年2月20日、73−82頁 「ストレスと免疫」星 恵子 著、ブルーバックス 講談社 発刊日1993年5月20日、5−84頁
本発明は、天然素材からなる安全なストレス緩和剤、及びストレス緩和の効果を有する飲食品組成物を提供することを課題とする。
さらにはストレスにより低下した免疫力の賦活効果を有する天然素材からなる飲食品組成物を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、天然素材からなる安全な副交感神経刺激剤及び/又は交感神経抑制剤、及び副交感神経を刺激及び/又は交感神経を抑制することができる飲食品組成物を提供することも課題とする。
本発明者らは、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物が産生するβ−1,3−1,6−D−グルカン(以下、本明細書においてβ−グルカンと称す)の健康維持・増進のための有効利用について研究を重ねた結果、このβ−グルカンをアルカリ処理により低粘度化したものは、ストレス緩和に優れた効果を示し、さらに自律神経系をも抑制及び/又は刺激して抗ストレス効果を示すことを見出した。さらにストレスを受けた際に低下した免疫活性を回復させる能力をも見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下のストレス緩和剤などを提供する。
本発明は、以下の(1)〜(3)の性質:
(1) オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来する。
(2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。
(3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、ストレス緩和剤を提供する。
本発明はまた、以下の(1)〜(3)の性質:
(1) オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来する。
(2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。
(3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、副交感神経刺激剤及び/又は交感神経抑制剤を提供する。
本発明はさらに、以下の(1)〜(3)の性質:
(1) オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来する。
(2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。
(3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、飲食品組成物を提供する。
本発明のストレス緩和剤は、ストレスに起因する症状の予防、改善、及び/又は治療等に有効である。
また、本発明のストレス緩和剤は、自律神経系、特に副交感神経系を亢進ないしは刺激、及び/又は交感神経系を抑制することから、ストレス緩和との関連が示唆される。
さらに、本発明におけるβ-1,3-1,6-D-グルカンの水溶液は低粘度であるため、摂取や除菌を行い易い点で有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)ストレス緩和剤
本発明のストレス緩和剤は、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含むものである。このβ-1,3-1,6-D-グルカンは、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有し、かつ水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下、より好ましくは100cP(mPa・s)以下、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下のものである。上記粘度の下限値は通常10cP(mPa・s)程度であり得る。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
オーレオバシジウム属微生物が生産するβ−1,3−1,6−D−グルカン
オーレオバシジウム属の微生物が生産するβ-1,3-1,6-D-グルカンは、菌体外に分泌されるために回収が容易であり、また水溶性である点で好ましいものである。オーレオバシジウム属の微生物は、分子量が100万以上の高分子量のグルカンから分子量が数万程度の低分子のグルカンまでを培養条件に応じて生産することができる。
中でも、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)が生産するものが好ましく、オーレオバシジウム・プルランスGM-NH-1A1株、又はGM-NH-1A2株(独立行政法人産業技術研究所特許生物寄託センターにそれぞれFERM P-19285及びFERM P-19286として寄託済み)が生産するものが好ましい。GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)K-1株の変異株である。オーレオバシジウム属K-1株は、分子量200万以上と100万程度の2種類のβ-1,3-1,6-D-グルカンを生産することが知られている。
また、オーレオバシジウム属細菌が生産するβ−1,3−1,6−D−グルカンは、通常、硫黄含有基を有するところ、K-1株の生産するβ−グルカンはスルホ酢酸基を有することが知られている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983)),科学と工業,64,131-135(1990))。GM-NH-1A1株、及びGM-NH-1A2株が生産するβ-1,3-1,6-D-グルカンもスルホ酢酸基を有すると考えられる。オーレオバシジウム属微生物の中には、リン酸基のようなリン含有基、リンゴ酸基などを含むβ-1,3-1,6-D-グルカンを生産する菌種、菌株も存在する。
GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、後に実施例において示すようにメインピークが見かけ上50〜250万の高分子量のβ−グルカン(微粒子グルカン)とメインピークが見かけ上2〜30万の低分子量のβ−グルカンの両方を生産する菌株である。この微粒子状グルカンは、一次粒子径が0.05〜2μm程度である。
β−1,3−1,6−D−グルカンの溶解度は、pH及び温度に依存する。このβ−1,3−1,6−D−グルカンは、pH3.5、温度25℃の条件で2mg/ml水溶液を調製しようとすると、その50重量%以上が一次粒子径0.05〜2μmの微粒子を形成し、残部は水に溶解する。本発明において粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した値である。
β−1,3−1,6−D−グルカンが水溶液として製剤中に含まれている場合は、レシチンのような乳化剤や、環状デキストリンのような安定化剤を水溶液に添加することにより、微粒子をさらに安定化させることができる。
また、β−1,3−1,6−D−グルカンがオーレオバシジウム・プルランス由来のものである場合は、β-1,3結合/β-1,6結合の結合比は、1〜1.5程度、特に1.1〜1.4程度である。
本発明のストレス緩和剤に含まれるβ−1,3−1,6−D−グルカン
本発明のストレス緩和剤に含まれるβ−1,3−1,6−D−グルカンは、水溶液にしたときの粘度が、オーレオバシジウム属微生物が生産する天然型β−1,3−1,6−D−グルカンより低い。この低粘度β−1,3−1,6−D−グルカンは、0.5%(w/v)水溶液(pH5.0)の30℃における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下であり、より好ましくは100cP(mPa・s)以下であり、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下であり、よりさらに好ましくは10cP以下である。本発明において、粘度はBM型回転粘度計で測定した値である。
この低粘度グルカンは、オーレオバシジウム属微生物が生産する天然型β−1,3−1,6−D−グルカンと同様の一次構造を有し得る。具体的には、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有するものである。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
このグルカンがオーレオバシディウム・プルランス(例えばGM-NH-1A1株)由来のものである場合、得られるβ−1,3−1,6−D−グルカンをエキソ型のβ−1,3−グルカナーゼ(キタラーゼ M、ケイアイ化成製)で加水分解処理すると、分解生成物としてグルコースとゲンチオビオースの遊離が確認できる。このこと及びNMRの積算比から、オーレオバシディウム・プルランス由来のβ−1,3−1,6−D−グルカンはβ−1,3結合の主鎖に対し、β−1,6結合でグルコ−スが1分子側鎖に分岐した構造で、1,3−結合主鎖に対する1,6−結合の側鎖分岐度は、50〜100%程度、特に50
〜90%と推測される。
本発明のストレス緩和剤に含まれるβ−1,3−1,6−D−グルカンは、金属イオン濃度が、β−1,3−1,6−D−グルカンの固形分1g当たり0.4g以下であることが好ましく、0.2g以下であることがより好ましく、0.1g以下であることがさらにより好ましい。製剤中にβ−1,3−1,6−D−グルカンが水溶液状態で含まれる場合は、金属イオン濃度は、水溶液の100ml当たり120mg以下であることが好ましく、50mg以下であることがより好ましく、20mg以下であることがさらにより好ましい。
ここでいう金属イオンには、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、第3〜第5族金属イオン、遷移金属イオンなどが含まれるが、混入する可能性のある金属イオンとしては、代表的には、低粘度β−1,3−1,6−D−グルカンの製造において使用されるアルカリ由来のカリウムイオン、ナトリウムイオンなどが挙げられる。金属イオン濃度は、限外ろ過や透析により調整できる。金属イオン濃度が上記範囲であれば、水溶液状態で保存する場合や、水溶液状態で加熱滅菌する際に、β−1,3−1,6−D−グルカンのゲル化、凝集、沈殿が生じ難い。また、固形製剤においても、再溶解させる場合に凝集などが生じ難い。
本発明のストレス緩和剤は、低粘度β−1,3−1,6−D−グルカンを固体状態で含んでいてもよく、又は水溶液のような液体ないしは流動状で含んでいてもよい。
オーレオバシジウム属のβ−1,3−1,6−D−グルカンの生産方法
β−1,3−1,6−D−グルカンは、例えば、これを生産する微生物の培養上清に有機溶媒を添加することにより沈殿物として得ることができる。
また、オーレオバシジウム属の微生物を培養して、β−1,3−1,6−D−グルカンを生産させる方法は種々報告されている。使用できる炭素源としては、シュークロース、グルコース、フラクトースなどの炭水化物、ペプトンや酵母エキスなどの有機栄養源等を挙げることができる。
窒素源としては、硫酸アンモニウムや硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの無機窒素源等を挙げることができる。場合によってはβ−グルカンの生産量を上昇させるために適宜、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの無機塩、更には鉄、銅、マンガンなどの微量金属塩やビタミン類等を添加するのも有効な方法である。
オーレオバシジウム属微生物を、炭素源としてシュークロースを含むツアペック培地にアスコルビン酸を添加した培地で培養した場合、高濃度のβ−1,3−1,6−D−グルカンを生産することが報告されている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983));科学と工業,64,131-135(1990);特開平7−51082号公報)。しかし、培地は、微生物が生育し、β−1,3−1,6−D−グルカンを生産するものなら特に限定されない。必要に応じて酵母エキスやペプトンなどの有機栄養源を添加してもよい。
オーレオバシジウム属の微生物を上記培地で好気培養するための条件としては、10〜45℃程度、好ましくは20〜35℃程度の温度条件、3〜7程度、好ましくは3.5〜5程度のpH条件等が挙げられる。
効果的に培養pHを制御するためにアルカリ、あるいは酸で培養液のpHを制御することも可能である。更に培養液の消泡のために適宜、泡消剤を添加してもよい。培養時間は通常1〜10日間程度、好ましくは1〜4日間程度であり、これによりβ−グルカンを生産することが可能である。なお、β−グルカンの生産量を測定しながら培養時間を決めてもよい。
上記条件下オーレオバシジウム属の微生物を4〜6日間程度通気攪拌培養すると、培養液にはβ−1,3−1,6−D−グルカンを主成分とするβ−グルカン多糖が0.1%から数%(w/v)含有されており、その培養液の粘度はBM型回転粘度計(東機産業社製)により30℃では数百cP([mPa・s])から数千cP([mPa・s])という非常に高い粘度を有する。この培養を遠心分離して得られる上清に例えば有機溶媒を添加することにより、β−1,3−1,6−D−グルカンを沈殿物として得ることができる。
低粘度β−1,3−1,6−D−グルカンの製造方法
上記の高粘度のβ−1,3−1,6−D−グルカンを含む培養液を、常温で攪拌しながら、これにアルカリを添加すると、急激に粘度が低下する。
アルカリは、水溶性で、かつ医薬品や食品添加物として用いることができるものであればよく、特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液などの炭酸アルカリ水溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液;あるいはアンモニア水溶液などを使用できる。アルカリは、培養液のpHが12以上、好ましくは13以上になるように添加すればよい。例えば水酸化ナトリウムを使用して培養液のpHを上げる場合は、水酸化ナトリウムの最終濃度が好ましくは0.5%(w/v)以上、より好ましくは1.25%(w/v)以上になるように添加すればよい。培養液にアルカリを添加し、良く攪拌すると、瞬時に培養液の粘度が低下する。
次いで、アルカリ処理後の培養液から菌体などの不溶性物質を分離する。培養液の粘度が低いため、菌体を自然沈降させて上澄みを回収する方法(デカント法)、遠心分離、ろ紙あるいはろ布を利用した全量ろ過、フィルタープレス、更に膜ろ過(MF膜などの限外ろ過)などの方法で、容易に不溶性物質とグルカンとを分離できる。ろ紙あるいはろ布による全量ろ過の場合は、セライトなどろ過助剤を利用するのも一つの手段である。工業的にはフィルタープレスによる菌体除去が好ましい。
次いで、グルカンを含む溶液に酸を添加して中和する。中和は、不溶物の除去前に行ってもよい。酸は、医薬や食品添加物として使用できるものであればよく、特に限定されない。例えば、塩酸、燐酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸などを使用できる。酸の使用量は、溶液又は培養液の液性が中性(pH5〜8程度)になるような量とすればよい。即ち、中和はpH7に合わせることを必ずしも要さない。
pH12以上のアルカリ処理後、中和して得られるβ−1,3−1,6−D−グルカンは、30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が通常200cP以下、場合によっては50cP以下である。粘度は製造方法ないしは精製方法によって変動する。
アルカリ処理された低粘度のβ−1,3−1,6−D−グルカンは、中和しても粘度が高くなることがない。さらに、常温(15〜35℃)では、液性をpHが4を下回るような酸性にしても、粘度が高くなることがない。
また、培養上清をアルカリ処理、及び中和した後に、菌体などを除去するのに代えて、培養上清から菌体などを除去した後に、アルカリ処理、及び中和を行うこともできる。
得られるグルカン水溶液からグルカンより低分子量の可溶性夾雑物(例えば塩類など)を除去する場合は、例えば限外ろ過を行えばよい。
また、アルカリ処理、除菌した後、中和せずに、アルカリ性条件下で限外ろ過することもでき、これにより透明性、熱安定性、長期保存性に一層優れる精製β−1,3−1,6−D−グルカンが得られる。アルカリ性条件は、pH10以上、好ましくは12以上であり、pHの上限は通常13.5程度である。
このようにして得られる水溶液に含まれるβ−1,3−1,6−D−グルカンは、乾燥させて固形製剤にする場合も、また水溶液のまま製剤として使用する場合も、一旦、水溶液から析出させることができる。β−1,3−1,6−D−グルカンの析出方法は、特に限定されないが、例えば、限外ろ過などにより濃縮してグルカン濃度を1w/w%以上にした水溶液に、エタノールのようなアルコールを、水溶液に対して容積比で等倍以上、好ましくは2倍以上添加することにより、β−1,3−1,6−D−グルカンを析出させることができる。
β−1,3−1,6−D−グルカンを低粘度化することにより、限外ろ過などによる濃縮を容易に行えることから、アルコール沈殿に使用するアルコール量を少なくすることができる。
固形製剤にする場合は、低粘度β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液を直接乾燥させてもよく、析出させたβ−1,3−1,6−D−グルカンを乾燥させてもよい。乾燥は、噴霧乾燥法、凍結乾燥法等公知の方法で行うことができる。
(I)製剤
本発明のストレス緩和剤において、β−1,3−1,6−D−グルカンは、必要に応じて薬学的に許容される担体とともに適当な製剤とすることができる。このような担体として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、付湿剤等が挙げられる。また、酸化防止剤のような慣用の添加剤なども含まれていてよい。
製剤の形態は特に限定されず、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等のどのような形態であってもよい。アルカリ処理された低粘度のβ−1,3−1,6−D−グルカンを使用する場合は、高濃度の水溶液を調製できることから、シロップ剤にする場合にも、1日に無理なく摂取できる量に有効量のβ−1,3−1,6−D−グルカンを含ませることができる。
賦形剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種の糖類;バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン等の各種デンプン類、;結晶セルロース等の各種セルロース類;無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩類等が挙げられる。
結合剤としては、公知のものを使用でき、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
潤沢剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などが挙げられる。
付湿剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、大豆リン脂質、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
製剤中に含まれるβ−1,3−1,6−D−グルカンの量は、投与対象又は患者の年齢、体重、症状、投与方法等によって変化し得るが、例えば、体重70kgの成人男性の場合、1日摂取量が1〜1000mg程度、好ましくは10〜500mg程度、より好ましくは10〜200mg程度、さらに好ましくは25〜100mg程度になるような量含まれていればよい。上記摂取量の範囲であれば、十分にストレス緩和効果が得られるとともに、下痢のような副作用や毒性が現れるということがない。
1日1回投与する製剤である場合は、1日必要量が一つの製剤に含まれていればよく、例えば1日3回投与する製剤である場合は、1日必要量の3分の1が製剤に含まれていればよい。
また、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤のような固形製剤の場合は、製剤中にβ−1,3−1,6−D−グルカンが0.1〜100重量%程度、特に1〜50重量%程度含まれていることが好ましい。
また、シロップ剤のような液体又は流動状の製剤の場合は、β−1,3−1,6−D−グルカンが0.01〜2重量%程度、特に0.05〜0.5重量%程度含まれていることが好ましい。なお、液体又は流動状の製剤中のグルカンは一部が溶解していない場合もある。
上記範囲であれば、摂取し易い製剤量中に、ストレス緩和効果が十分に得られるとともに副作用や毒性が現れない量のβ−1,3−1,6−D−グルカンが含まれることになる。またシロップ剤の場合は、上記範囲であれば、飲み易い粘度のシロップ剤が得られる。
また、本発明のストレス緩和剤には、β−1,3−1,6−D−グルカンによるストレス緩和効果を損なわない範囲で、ストレス緩和剤に通常含まれる成分や添加剤が含まれていてもよい。
投与対象
本発明のストレス緩和剤は、ストレスに曝されているヒトを含む哺乳動物に好適に投与できる。この中には、ストレス下にある以外は健康なヒトの他に、他の疾患を併発している患者も含まれる。さらに、β−1,3−1,6−D−グルカンは安全な天然成分であることから、ストレスを受け易い生活環境の健常人も予防的に適時又は常時摂取することができる。
本発明のストレス緩和剤は、ストレスに起因する身体的、精神的不調を予防及び/又は改善する作用を有する。ここで「予防」とは、ストレスに起因する不調の発症を完全に阻止することのみならず、その程度を抑制することも含むものとする。また、「改善」とは、かかる不調から完全に回復することのみならず、不調を緩和することも含むものとする。
本発明におけるストレスとは、精神的、肉体的に負担となる刺激や状況を含む概念である。
本発明のストレス緩和剤は、うつ病、不安障害、胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、気管支喘息、高血圧症、自律神経失調症等ストレスにより惹起される症状を予防及び/又は改善し、より具体的には、心的外傷後ストレス障害、ストレス性胃炎、ストレス性潰瘍、過敏性腸症候群、ストレス性喘息、ストレス性脱毛、ストレス性精神障害、鬱、心身症、パニック障害、ストレス性不眠、ストレス性高血圧症、ストレス性頭痛、ストレス性無月経、ストレス性便秘、ストレス性過食あるいは拒食症、およびストレス性性機能不全等を予防及び/又は改善する。
(II)副交感神経刺激剤及び/又は交感神経抑制剤(ストレス緩和剤)
上記説明したオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来するβ-1,3-1,6-D-グルカンは、副腎交感神経活動の抑制、胃副交感(迷走)神経の亢進、脾臓交感神経活動を抑制することから、交感神経抑制剤及び/又は副交感神経刺激剤として使用することができる。また、交感神経を抑制及び/又は副交感神経を刺激するためストレスを緩和することができ、ストレス緩和剤としても使用することができる。
前述したように、このβ-1,3-1,6-D-グルカンは、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有し、かつ水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下、より好ましくは100cP(mPa・s)以下、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下、よりさらに好ましくは10cP以下のものである。
投与対象は、自律神経系の異常が悪影響を及ぼす種々の疾患に羅患しているヒトを含み、好ましくはストレスを感じているヒトを含む。また、上記グルカンは天然の安全な成分であることから、健常人が常時摂取することもできる。
(III)飲食品組成物
本発明の飲食品組成物は、上記説明したβ−1,3−1,6−D−グルカンを含む。この飲食品組成物は、β−1,3−1,6−D−グルカンを含むことからストレスを緩和する作用、及び交感神経を抑制し及び/又は副交感神経を刺激しストレスを緩和する作用を有するため、健康食品、機能性食品、又は栄養機能食品又は特定保健用食品のような保健機能食品として好適に使用できる。ここで、本発明における健康食品は、一般に「健康によい」として売られている食品全般、又は消費者が健康に良いと積極的な効果を期待して摂取する医薬品以外の食品を含み、健康補助食品を含む。また、本発明における機能性食品は、生体調節機能を充分に効率よく発現するように設計した食品を含む。
従って、本発明の飲食品組成物は、ストレスを緩和するために使用される旨の表示、又は交感神経を抑制及び/又は副交感神経を刺激するため、若しくはストレスを緩和するために使用される旨の表示が付されたものとすることができる。
本発明の飲食品組成物に含まれる飲食品の種類は特に限定されない。β−1,3−1,6−D−グルカンを添加できるものであれば、栄養ドリンク、ジュース、茶、スープのような各種飲料品はもちろんのこと、クッキー、飴、ガム、ゼリー、寒天、プリン、グミ、チョコレート、澱粉加工食品などいかなる飲食品でも用いることができる。パン、うどんのような麺類、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、ドレッシングやマヨネーズなどの加工食品、嚥下用補助食品等も好適である。各飲食品の特性や目的に応じ、製造工程の適切な段階で配合すればよい。
本発明の飲食品組成物中には、1日摂取量が好ましくは1〜1000mg程度、好ましくは10〜500mg程度、さらに好ましくは10〜200mg程度、よりさらに好ましくは25〜100mg程度になるようにβ−1,3−1,6−グルカンが含まれていればよい。特に、難治性のストレスに起因する疾患を有する患者に与えるためのものである場合は、1日摂取量が1〜1000mg程度、特に10〜500mg程度になる量のβ−1,3−1,6−グルカンが含まれていればよい。
β−1,3−1,6−D−グルカンは人体に対して無毒性であるから、その添加割合に特に制限はないが、各飲食品の特性、呈味性あるいは経済性等を考慮して、固形、半固形又はゲル状食品の場合、その添加量は組成物全体量に対して通常0.01〜5重量%程度、好ましくは0.01%〜2重量%程度であればよい。ヨーグルトのような半固形状の食品も、食する上で流動性が求められない点で固形状食品に含まれる。上記の範囲であれば、無理なく摂取できる食品量中に、ストレス緩和に有効な1日摂取量のβ−1,3−1,6−グルカンが含まれることになる。また、β−1,3−1,6−D−グルカンの上記含有比率であれば、グルカンの溶解性が良好であり粘度が低く吸収され易い。
また同様の理由で、液体、流動状、又は半流動状の飲料組成物にβ−1,3−1,6−グルカンを含ませる場合のその含有量は、組成物全体に対して、0.01〜5重量%程度が好ましく、0.01〜2重量%程度がより好ましい。上記の範囲であれば、無理なく摂取できる食品量中にストレス緩和に有効な1日摂取量のβ−1,3−1,6−グルカンが含まれることになる。また、β−1,3−1,6−D−グルカンの含有比率が上記範囲であれば、殺菌などの熱処理によってもゲル化や粘度上昇を起こす恐れがない。なお、飲料組成物中のグルカン濃度が高い場合は一部が溶けずに含まれる場合もある。
本発明の飲食品組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、食品分野で慣用の補助成分が含まれていて良い。このような補助成分として、例えばフラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルトースのようなオリゴ糖;ビフィドバクテリウム、ラクトバチラス、エンテロコッカス属のような乳酸菌;アガリクス、マイタケ、シイタケ、メシマコブ、チャーガ、ハナビラタケのようなキノコ類、またはその抽出物;α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンのようなシクロデキストリンや直鎖デキストリンおよび難消化デキストリン;クエン酸、リンゴ酸、ヒアルロン酸のような有機酸;トリプトファン、メチオニン、テアニン、GABA(γ‐アミノ酪酸)などのアミノ酸、β‐カロテン、ルテイン、アスタキサンチン、フコキサンチンなどのβ‐カロチノイド類、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEのようなビタミン類;亜鉛、鉄、マグネシウム、セレン、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ヨウ素のようなミネラル;ラクトフェリン;ローヤルゼリー;プロポリス;カテキン;ウコン;トレハロース;高麗ニンジン;ショウガ;紅花;イチョウ葉またはイチョウ葉エキス;アロエ;サイリウム;シャンピニオン;黒酢;各種香料などが挙げられる。
特に、β−1,3−1,6−D−グルカン0.01〜5重量%(特に0.01〜2重量%)程度と乳酸菌(中でも、殺菌乳酸菌粉末)、オリゴ糖、又は/及びアミノ酸をそれぞれ0.01〜2重量%程度とを含む飲食品組成物が好ましい。この場合の飲食品組成物は、固形、半固形、ゲル状、液体状、流動状、半流動状のいずれの飲食品組成物であってもよい。
また、本発明の飲食品組成物は、一般の飲食品を主体とするものではなく、賦形剤又は担体等とともにβ−1,3−1,6−グルカンを錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などの形状に成形した、例えば固形のいわゆるサプリメント製剤(栄養補助製剤)であってもよい。賦形剤は製剤の項目で例示したものを使用できる。この場合のβ−1,3−1,6−グルカンの含有量は、組成物全体に対して、10〜80重量%程度が好ましく、10〜50重量%程度がより好ましい。
特に、β−1,3−1,6−D−グルカン10〜80重量%(特に10〜50重量%)程度と乳酸菌(中でも、殺菌乳酸菌粉末)、オリゴ糖、又は/及びアミノ酸をそれぞれ1〜10重量%程度とを含むものが好ましい。
本発明の飲食品組成物は、ストレス状態又はストレス状態気味のヒト、ストレスを感じているヒト、自律神経系の異常による疾患に羅患しているヒトが必要時、又は日常的に摂取するのに好適である。
実施例
次に実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)低粘度β−1,3−1,6−グルカンの調製
(1-1)β−グルカンの培養生産
後掲の表1に示す組成を有する液体培地100mlを500ml容量の肩付きフラスコに入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌を行った後、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)GM-NH-1A1株(FERM P-19285)を同培地組成のスラントより無菌的に1白金耳植菌し、130rpmの速度で通気攪拌しつつ、30℃で24時間培養することにより種培養液を調製した。
次いで、同じ組成の培地200Lを300L容量の培養装置(丸菱バイオエンジ製)に入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌し、上記のようにして得られた種培養液2Lを無菌的に植菌し、200rpm、27℃、40L/minの通気攪拌培養を行った。なお、培地のpHは水酸化ナトリウム及び塩酸を用いてpH4.2〜4.5の範囲内に制御した。96時間後の菌体濁度はOD660nmで23 ODで、多糖濃度は0.5%(w/v)で、置換スルホ酢酸含量は0.09%であった。
<多糖濃度測定>
多糖濃度は、培養液を数mlサンプリングし、菌体を遠心分離除去した後、その上清に最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを加えて多糖を沈殿させて回収した後、イオン交換水に溶解し、フェノール硫酸法で定量した。
<置換スルホ含量測定>
同様にして菌体を除去した培養上清にエタノールを最終濃度が66%となるように添加し、β−グルカンを沈殿回収した。その後、再度イオン交換水に溶解し、再度遠心分離後、その上清に最終濃度が0.9%になるように食塩を加えた後、再度66%エタノールでβ−グルカンを回収した。このβ−グルカン回収精製操作を更に2回繰り返し、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。
このβ−グルカン粉末を燃焼管式燃焼吸収後、イオンクロマト法で組成分析した結果、S含量は239mg/kgであり、この値から計算される置換スルホ酢酸含量は0.09%であった。
Figure 0005740072
(1−2)アルカリ処理
上記のようにして得られた培養液の粘度をBM型回転粘度計(東京計器製)を用いて、30℃、12rpmで測定したところ、1500cP((mPa・s))であった。測定に用いるロータは粘度にあわせて適当なものを選択した。
この培養液に水酸化ナトリウム最終濃度が2.4%(w/v)となるように25%(w/w)水酸化ナトリウムを添加し攪拌したところ(pH13.6)、瞬時に粘度が低下した。引き続いて50%(w/v)クエン酸水溶液でpH5.0となるように中和してから濃度0.5(w/v%)における粘度を測定したところ、そのときの粘度(30℃)は20cP([mPa・s])であった。
次いで、この培養液にろ過助剤としてKCフロック(日本製紙社製)を1wt%添加し、薮田式ろ過圧搾機(薮田機械製)を用いて菌体を除去し、最終的に培養ろ液(約230L)を得た。その多糖濃度は0.5%(w/v)で、ほぼ100%の回収率であった。
(1−3)β−グルカン水溶液の脱塩
上記のβ−グルカン水溶液(培養ろ液)を0.3%に希釈後、限外ろ過(UF)膜(分子量カット5万、日東電工社製)を用いて脱塩を行い、最終的にナトリウムイオン濃度を20mg/100mlに落とした後、50%(w/v)クエン酸水溶液によりpHを3.5に調整した。
引き続いて、ホット充填用加熱ユニット(日阪製作所製)を用いて95℃で、3分間保持することにより殺菌処理を行い、最終製品のβ−グルカン水溶液を得た。この時のβ−グルカンの濃度をフェノール硫酸法により測定したところ0.22%(w/v)であった。また、培養液からのトータル収率は約73%であった。
<硫黄含有量の測定>
また、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。本β−グルカンの組成分析結果からS含量は330mg/kgであり、これから計算される置換スルホ酢酸含量は0.12%であった。
<結合状態の確認>
また、脱塩を行った上記培養ろ液について、コンゴーレッド法によって、480nmから525nm付近への波長シフトを確認することができたのでβ−1,3結合を含むグルカンを含有していることが証明された(K. Ogawa, Carbohydrate Research, 67, 527-535 (1978)、今中忠行 監修, 微生物利用の大展開, 1012-1015, エヌ・ティー・エス(2002))。そのときの極大値へのシフト差分はΔ0.48/500μg多糖であった。
上記培養ろ液15mlを取り出し、30mlのエタノールを添加し、4℃、1000rpm、10minで遠心して、沈殿する多糖を回収した。66%エタノールで洗浄し、4℃、1000rpm、10分間遠心して、沈殿する多糖に2mlのイオン交換水と、1mlの1N水酸化ナトリウム水溶液を添加撹拌後、60℃、1時間保温して沈殿を溶解させた。次に-80℃にて凍結後、一晩、真空凍結乾燥を行い、乾燥後の粉末を1mlの1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、2次元NMRに供した。
2次元NMR(13C−H COSY NMR)106ppmと相関関係を有するH NMRスペクトルを図7に示す。このスペクトルにおいて4.7ppmと4.5ppm付近との2つのシグナルが得られた。
この結果、本β−グルカンがβ−1,3−1,6−Dグルカンであることが証明された(今中忠行 監修、微生物利用の大展開、1012-1015、エヌ・ティー・エス(2002))。それぞれのH NMRシグナルの積分比から、β−1,3結合/β−1,6結合の比は1.15であることが判明した。
<粒度測定>
次に、レ−ザ回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製LA−920)を用いて培養液の粒度を測定したところ、粒子としては0.3μmと100μm程度の大きさのところにピ−クが見られた。続いて、超音波を照射しながら、粒度測定を行うと、100μmのピ−クはみるみるうちに消失し、0.3μmのピ−クが増え、最終的に0.3μmのみとなった。超音波照射したときの培養液の粒度分布を図8に示す。
0.3μmのピークはβ−1,3−1,6−D−グルカンの一次粒子によるピークであり、100〜200μmのピークはβ−1,3−1,6−D−グルカンの一次粒子が凝集した二次粒子によるピークであると考えられる。
また、二次粒子はマグネチックスタラ−による攪拌、軽い振とうでも同じように消失し、容易に砕けて一次粒子になることが確認された。よって、二次粒子は非常に緩い凝集(緩凝集状態)と考えられる。
<分子量測定>
また、東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))を用いて、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンとβ−1,3−1,6−Dグルカンの1次粒子とを含む溶液の分子量を測定したところ、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンに由来する2〜30万のピークの低分子画分と、1次粒子に由来する見かけ上50〜250万の高分子画分との二種類が検出された。分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
水溶性β−1,3−1,6−D−グルカンと微粒子とを分離するため、上記の微粒子画分と可溶性画分とを含むβ−1,3−1,6−D−グルカン溶液をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。このことから、高分子画分はβ−1,3−1,6−D−グルカンの一次粒子や一次粒子が凝集した二次粒子に相当することが判明した。よって、水溶性β−1,3−1,6−D−グルカンの分子量は2〜30万と考えられる。
(2)粉末化グルカンの調製
(1)において、アルカリ処理および菌体除去処理により調製された微粒子β−1,3−1,6−D−グルカンを含むβ−1,3−1,6−D−グルカン水溶液に、最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを添加して、多糖グルカンを沈殿させ、遠心分離法により回収した。次いで凍結乾燥法によりエタノールと水分を除去し、乾燥β−1,3−1,6−D−グルカンを得た。そのときの収率はエタノール沈殿前の全糖濃度と比較して95%以上であった。
次いで、得られた乾燥β−1,3−1,6−D−グルカンを最終濃度が0.3%(w/v)となるように水に溶解分散後、前述したと同様にして東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ 75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))により0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルクロマトグラフィーを行い、分子量を測定したところ、得られた多糖の分子量は2〜30万のピークの低分子画分と見かけ上50〜250万の高分子画分の二種類からなることが判明した。ここで、分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
一方、水溶性β−1,3−1,6−D−グルカンと微粒子を分離するため、本法で調製したβ−1,3−1,6−D−グルカン水溶液(微粒子と可溶化グルカンを含むもの)をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。よって、本法により得られたβ−1,3−1,6−D−グルカンを乾燥させても、再溶解させれば乾燥前のβ−1,3−1,6−D−グルカンと同様の物理的挙動を再現することが実証された。
(3)高純度β−1,3−1,6−D−グルカン粉末の製造
(1)において得られた培養液(多糖濃度0.5%(5mg/ml))90Lを50%クエン酸水溶液9kgで中和後、濾過助剤(日本製紙ケミカル製粉末セルロ−スKCフロック)を1.8kgプレコートした薮田式濾過圧搾機40D-4を通して、菌体を取り除いた。ろ液を限外濾過スパイラルエレメント(日東電工製NTU3150−S4)で9Lまで濃縮した。本濃縮液を攪拌しながら、エタノール18Lを加え、グルカン/エタノール/水スラリーを得た。スラリーの粘度はBM型粘度計で22mPa・s(30℃)であった。室温で3時間静置し、上澄み液(エタノール/水)約17Lを取り除いた。残ったスラリーの粘度は45mPa・s(30℃)であった。本濃縮スラリー10Lを坂本技研型の噴霧乾燥装置R-3を用いて噴霧乾燥し、360gのβ−1,3−1,6−D−グルカン粉末を得た(回収率80%)。得られたβ−1,3−1,6−D−グルカンの純度はNMRスペクトルの解析の結果、90%以上であった。
なお、得られたβ−1,3−1,6−D−グルカン粉末を1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、NMRスペクトルを測定したところ、1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを得た。また、得られたβ−1,3−1,6−D−グルカン粉末の濃度0.5(w/v%)の水溶液の粘度は200cP以下であった(pH5.0、30℃)。
(4)ストレス緩和効果の検討
マウスの拘束ストレスに対する改善効果
低粘度化β―1,3−1,6−グルカンが、拘束により誘発されるストレスを抑制することを以下のようにして確認した。
1) 使用物質
低粘度化処理グルカンとして、上記(3)の項目で得た高純度β―1,3−1,6−グルカン粉末を超純水を用いて、投与量が25mg、50mg、100mg/kgになるよう調製したものを用いた。
2)使用動物
Balb/cマウス(雄性、8週齢)を日本クレア(株)から購入し、1週間予備飼育した後に健康なマウスを選択して実験に使用した。本動物実験は、「愛媛大学動物実験指針」並びに「実験動物の飼育および保管などに関する基準」(昭和55年3月総理府告示第6号)に則って計画し、愛媛大学動物倫理委員会の承認を得た後、実施した。
3)拘束ストレス負荷
β−グルカンは、毎朝、7日間経口投与した。強制拘束は投与3日目、5日目および7日目の19時から翌朝7時までの12時間行った。強制拘束には100箇所以上の通気孔を開けた50mlのプラスチックチューブを用い、拘束時には傷や痛みを伴わないように留意した。強制拘束中は餌と水の摂取ができないため、拘束コントロール群(水を毎朝経口投与し、強制拘束を行う)とは別に、拘束なしで、餌と水を夜間与えないコントロール群(絶飲食対照群)を置いた。
即ち、第1群(正常群)は、拘束は行わず、通常の餌と水の摂取に加えて、超滅菌水を1日1回連続7日間単回経口投与した。
第2群(絶飲食対照群)、拘束は行わないが、投与3日目、5日目および7日目の19時から翌朝7時までの12時間に、餌と水を与えなかった。また、超滅菌水を1日1回連続7日間単回経口投与した。
第3群(拘束コントロール群)は、強制拘束を投与3日目、5日目および7日目の19時から翌朝7時までの12時間行った。また、超滅菌水を1日1回連続7日間単回経口投与した。
第4群(β−グルカン25mg/kg投与群)は、強制拘束を投与3日目、5日目および7日目の19時から翌朝7時までの12時間行った。また、マウス個体あたり、β−グルカン25mg/kgを1日1回連続7日間単回経口投与した。
第5群(β−グルカン50mg/kg投与群)は、強制拘束を投与3日目、5日目および7日目の19時から翌朝7時までの12時間行った。また、マウス個体あたり、β−グルカン50mg/kgを1日1回連続7日間単回経口投与した。
第6群(β−グルカン100mg/kg投与群)は、強制拘束を投与3日目、5日目および7日目の19時から翌朝7時までの12時間行った。また、マウス個体あたり、β−グルカン100mg/kgを1日1回連続7日間単回経口投与した。
7日目(3回目)の拘束解除と同時にエーテル麻酔下で無菌的に脾臓を摘出し、下大静脈から採血した。
4)血中コルチコステロン濃度の測定
採取した血液は遠心分離して血漿を分離し、測定まで−20℃以下で保存した。血中コルチコステロン濃度はEIAキット(Diagnostic Systems Laboratories,Inc.,TX,USA)を用いて測定した。
5)脾臓免疫機能の評価および測定
無菌的に摘出した脾臓を培養液(5%ウシ胎児血清および抗生剤を含むRPMI1640)中でホモジナイズしてナイロンメッシュでろ過し、脾臓細胞を分離した。脾臓細胞の一部をマルチウェルプレートに加え、コンカナバリンA(ConA)を10μg/mlとなるように加えて、CO2インキュベーター(37℃、5% CO2)で培養した。48時間後、培養上清を回収し、測定まで−20℃以下で保存した。培養液中のインターロイキン6(IL−6)およびIL−12をそれぞれELISAキット(R&D Systems,Inc.,MN,USAおよびPierce Biotechnology,Inc.,IL,USA)を用いて測定した。
分離した脾臓細胞からリンパ球分離試薬(CEDARLANE Laboratories Ltd.,Ontario,Canada)を用いてリンパ球を分離した。NK感受性のマウスリンパ腫細胞YAC−1をBCSCF−AM(DOJINDO Laboratories,Kumamoto,Japan)で蛍光標識し標的細胞とした。マウスリンパ球とYAC−1細胞を100:1となるように調整してマルチウェルプレートへ加え、CO2インキュベーター(37℃、5% CO2)で2時間培養した。培養上清を回収し、蛍光強度を測定し、標識YAC−1細胞の総蛍光強度に対する%を算出し、NK活性とした。
6)結果
<脾臓重量>
絶飲食対照群の脾臓重量は、正常群と比較して有意に低下していた。また、拘束を繰り返した後の脾臓重量は、正常群および絶飲食対照群と比較して著しく低下した。拘束ストレスによる脾臓重量の低下に対して、β−グルカンは影響を及ぼさなかった。(表2)
Figure 0005740072
脾臓重量は平均値±標準誤差で示した(n=6)。
*はP<0.05で拘束ストレスコントロール群との間に有意差あり
One-way ANOVA検定で有意な差異が認められたものについて、さらにFishers Protected LSDによる多重検定群間検定を行った。
<血中コルチコステロン濃度>
血中コルチコステロン濃度は、拘束ストレスによって正常群と比較して有意に上昇した。また、絶飲食によっても上昇する傾向が認められた。これに対して、β−グルカン投与群では、血中コルチコステロン濃度の上昇を抑制する傾向が認められ、β−グルカン50mg/kg投与群では、拘束コントロール群および絶飲食対照群と比較して有意な血中コルチコステロン濃度の低下が見られた。(図1)
<脾臓細胞のサイトカイン分泌能>
摘出した脾臓から分離した脾臓細胞から分泌されるIL−12およびIL−6は拘束ストレスによって著しく低下した。これに対してβ−グルカン投与群はIL−12およびIL−6の拘束ストレスによる低下を抑制し、β−グルカン100mg/kg投与群ではIL−12の分泌量は拘束コントロール群と比較して有意に上昇していた。しかしながら、この低下抑制効果は、正常群および絶飲食対照群の高い分泌量には及ばなかった。(図2および図3)
コンカナバリンA刺激によって、脾臓細胞からのIL−12分泌量は約2倍に、IL−6分泌量は約31倍に上昇した。コンカナバリンAで刺激した脾臓細胞からのIL−12およびIL−6分泌量は拘束ストレスによって著しく低下した。これに対してβ−グルカン(100mg/kg)投与はIL−12およびIL−6の拘束ストレスによる低下を有意に抑制した。(図2および図3)
<脾臓リンパ球のNK活性>
脾臓リンパ球のNK活性は、拘束ストレスによって著しく低下した。β−グルカン(50mg/kgおよび100mg/kg)投与によって、拘束ストレスによるNK活性の低下は有意に抑制された。(表3)
Figure 0005740072
NK活性は平均値±標準誤差で示した(n=6)。
エフェクター細胞/ターゲット細胞 = 100 : 1
*はP<0.05で拘束ストレスコントロール群との間に有意差あり
One-way ANOVA検定で有意な差異が認められたものについて、さらにFishers Protected LSDによる多重検定群間検定を行った。
この結果、低粘度化処理グルカンはマウスの拘束ストレスに対して拮抗作用を有することが分かる。
(5)ラット自立神経系に対する電気生理学的測定法を用いた機能評価
ストレスに関係する自律神経系(交感神経及び副交感神経)に対するβ−グルカンの作用を検討するためにラットを用いて副腎及び脾臓を支配する交感神経と胃を支配する副交感(迷走)神経の活動を電気生理学的に測定した。
1) 使用物質
低粘度化処理グルカンとして、上記(3)の項目で得た高純度β―1,3−1,6−グルカン粉末を60℃に熱した水に溶解し、室温にまで冷却して十二指腸内に投与した。
2)使用動物
実験には12時間毎の明暗周期(8時〜20時まで点灯)下に24℃の恒温動物室にて1週間以上飼育した体重約300gのWistar系雄ラットを使用した。餌(オリエンタル酵母、MF)及び水は自由摂食させた。
3)自律神経系の電気生理学的測定
自律神経の活動を検討するために、3時間絶食後明期の中間期にurethane(1g/kg、ip)麻酔下で開腹し、副腎と脾臓を支配する交感神経と胃を支配する副交感神経を銀電極で釣り上げ、既述の方法(○文献1−10参照)にて神経活動を測定した。尚、手術開始から測定終了までチューブを気管に挿入して気道を確保し、保温装置にて体温(ラット直腸温)を35.0±0.5℃に保つようにした。
○文献1−10
文献1:Yamano T. et al. Neurosci. Lett. 313:78-82, 2001.
文献2:Niijima A. et al. Auton. Neurosci.:Basic & Clin. 97:99-102, 2002.
文献3:Nagai K. et al. Exp. Biol. Med. (Maywood) 228:1138-1145, 2003.
文献4:Shen J. et al. Neurosci. 380:289-294, 2005.
文献5:Shen J. et al. Neurosci. 383:188-193, 2005.
文献6:Tanida M. et al. Am. J. Physiol. 288:R447-455, 2005.
文献7:Tanida M, et al. Brain Res. 1058: 44-55, 2005.
文献8:Tanida M. et al. Neurosci. Lett. 398:102-106, 2006.
文献9:Tanida M. et al. Neurosci. Lett. 389:109-114, 2005.
文献10:Yamano T. et al. Life Sci. (in press) 2006.
十二指腸内投与は、十二指腸に挿入したポリエチレンtubeを使用し、1匹あたりの投与量は1mlで、投与速度は1ml/minであった。投与効果については、10ngから10mgまでのβ−グルカンを水1mlに溶解して十二指腸内に投与し、自律神経の活動を電気生理学的に測定して、その活動を上昇あるいは低下を測定した。対照実験としては溶媒である水を1ml同様の条件で十二指腸内投与することで行った。データは5分間毎の5秒あたりの発電頻度(pulse/5sec)の平均値にて解析し、投与前の値を100%として百分率で表し、平均値±標準誤差で示した。統計計算は分散分析法(ANOVA with repeated measures)および Mann-Whitney U-testにて行った。
4)結果
<副腎交感神経活動測定のためのβ−グルカン投与量の決定>
10ngから10mgまでのβ−グルカンを十二指腸内投与し副腎交感神経活動(Adrenal sympathetic nerve activity、ASNA)の測定を行った実際のデータとそれを投与前値を100%とした5分間毎の平均活動量として表したものである。1μg(=1000ng)から10mgの広範囲の投与量で副腎交感神経活動が低下し、投与35分後までにもっとも著明に低下したのは10μgのβ−グルカンを投与した時であった。そこで、最も効果の強かった10μgを十二指腸内に投与したときの副腎交感神経の活動変化について検討した。
<副腎交感神経活動に対するβ−グルカンの十二指腸内投与効果>
10μgのβ−グルカンおよび対照実験として行った溶媒である水を、それぞれ、十二指腸内投与した時の実際の副腎交感神経活動の変化について検討した。対照水投与時には殆ど神経活動に変化は認められなかったが、10μgのβ−グルカンの十二指腸内投与により副腎交感神経活動が著明に低下することが認められた。これらのデータを、投与前の神経活動を100%として5分毎の平均活動量として示したものを図4に示す。
水投与対照動物では殆ど副腎交感神経活動(ASNA)は変化しないのに対して、10μgのβ−グルカン投与群では投与5分後から15分後にかけて急速に活動が低下し、その後約30〜40%のレベルに留まった。両群の値を5分後から60分後まで群として分散分析法(ANOVA with repeated measures)により解析すると両者の値に有意差(p<0.0005; F=364)が認められた。なお、投与前の副腎交感神経活動の値は水投与群とβ−グルカン投与群で、それぞれ、102.5 ± 2.6 spikes/5secと132.7 ± 15.7 spikes/5secであり両者の間に統計学的有意差は認められなかった(Mann-Whitney U-testにてp=0.4)。
<胃副交感(迷走)神経活動測定のためのβ−グルカン投与量の決定>
0.1μgから10μgまでの量のβ−グルカンを十二指腸内投与した時の実際の胃副交感神経活動(Gastric Vagal Nerve Activity、GVNA)の変化について測定した。0.1μgのβ−グルカン投与は胃副交感神経活動をやや低下させたが、1μgと10μgのβ−グルカンの十二指腸内投与は胃副交感神経活動を著明に増加させた。そこで、この内最も効果の強かった1μgのβ−グルカンの胃副交感神経活動に対する作用を水投与作用とともに各3匹ずつのラットを用いて検討した。
<胃副交感(迷走)神経活動に対するβ−グルカンの十二指腸内投与効果>
1μgのβ−グルカンおよび対照実験として行った溶媒である水を、それぞれ、十二指腸内投与した時の実際の胃副交感(迷走)神経活動の変化について検討した。図5にはその時の実際の測定データと投与前の神経活動を100%として5分毎の平均活動量として示したものを示す。
対照水投与は胃副交感神経活動を殆ど変化させなかったが、1μgのβ−グルカンの十二指腸内投与は水投与後と比較すると有意に(P<0.0005、F=22.9)胃を支配する副交感神経活動を上昇させた。なお、投与前の胃交感神経活動の値は水投与群とβ−グルカン投与群で、それぞれ、112.3 ± 28.3 spikes/5secと129.4 ± 41.1 spikes/5secであり統計学的有意差は認められなかった(Mann-Whitney U-testにてp=0.4)。
<脾臓交感神経活動のためのβ−グルカン投与量の決定>
0.1μgから10μgのβ−グルカンの十二指腸内投与後の脾臓交感神経活動(Splenic Sympathetic Nerve Activity、SSNA)の変化について測定した。0.1μg、1μg、10μgと投与量に依存してβ−グルカンは脾臓交感神経活動を抑制した。そこで、3匹ずつのラットを用いて脾臓交感神経活動に対する10μgのβ−グルカンおよび水の十二指腸内投与効果について検討した。
<脾臓交感神経活動に対するβ−グルカンの十二指腸内投与効果>
10μgのβ−グルカンおよび対照実験として行った溶媒である水を、それぞれ、十二指腸内投与した時の実際の脾臓交感神経活動の変化について検討した。その結果を図6に示す。
対照水投与は脾臓交感神経活動をやや上昇させたが、10μgのβ−グルカン投与は水投与後と比較すると有意に(P<0.0005、F=68.9)脾臓交感神経活動を増加させた。なお、投与前の脾臓交感神経の活動は水投与群とβ−グルカン投与群で、それぞれ、116.0 ± 17.9 spikes/5secと116.2 ± 16.6 spikes/5secであり統計学的有意差は認められなかった(Mann-Whitney U-testにてp=1)。
これらの結果は0.1から10μgのβ−グルカンは副腎および脾臓を支配する交感神経の活動を抑制し、胃副交感神経の活動を促進することを示している。
以上の事実はβ−グルカンが副腎と脾臓を支配する交感神経活動を抑制し、胃副交感神経活動を促進して、血糖低下、血圧低下、腸管での消化・吸収促進、食慾促進、リンパ球のNK活性上昇などを引き起し、免疫促進効果や便秘改善効果を持つことを示唆する。脾臓の交感神経活動抑制はリンパ球のTh1(T helper 1 )細胞系を優位にするので、花粉症などのアレルギー反応の軽減効果も期待される。
(6)飲食品組成物の処方例
処方例1(クッキー)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 1重量%
殺菌乳酸菌末 0.2重量%
カテキン 1重量%
クッキー 残量

処方例2(サプリメント)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 10重量%
コラーゲンペプチド 42重量%
ヒアルロン酸 0.06重量%
殺菌乳酸菌末 1重量%
ビタミンC 10重量%
ビタミンB2 0.03重量%
ビタミンB6 0.03重量%
賦形剤(デンプンなど) 残量

処方例3(サプリメント)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 1重量%
コラーゲンペプチド 42重量%
ヒアルロン酸 0.06重量%
ビタミンC 10重量%
ビタミンB2 0.03重量%
ビタミンB6 0.03重量%
ナイアシン 0.15重量%
賦形剤(デンプンなど) 残量

処方例4(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
ミルクオリゴ糖 0.8重量%
ラクトフェリン 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部

処方例5(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
テアニン 0.8重量%
GABA 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部

処方例6(ドリンク剤)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン
(オーレオバシジウム属由来) 0.2重量%
紅花エキス 7%
イチョウ葉エキス 7%
高麗人参エキス 7%
ザクロエキス 1%
天草エキス 3.5%
桂皮エキス 3.5%
陳皮エキス 3.5%
ウコンエキス 2.1%
生姜エキス 1%
ハチミツ 3%
水 残部
拘束ストレスにさらされたBalb/cマウスの血漿中コルチコステロン濃度に対するβ−グルカンの効果を示す。 血漿中コルチコステロン濃度は平均値±標準誤差で示した(n=6)。 *はP<0.05で拘束ストレスコントロール群との間に有意差あり One-way ANOVA検定で有意な差異が認められたものについて、さらにFishers Protected LSDによる多重検定群間検定を行った。 拘束ストレスにさらされたBalb/cマウスの脾臓からのIL-12分泌に対するβ−グルカンの効果を示す。 脾臓細胞は5%FBSを含むRPMI1640中で48時間、コンカナバリンA(final conc. 10μg/ml)を添加、または無添加条件化で培養した。 *はP<0.05で拘束ストレスコントロール群との間に有意差あり One-way ANOVA検定で有意な差異が認められたものについて、さらにFishers Protected LSDによる多重検定群間検定を行った。 拘束ストレスにさらされたBalb/cマウスの脾臓からのIL-6分泌に対するβ−グルカンの効果を示す。 脾臓細胞は5%FBSを含むRPMI1640中で48時間、コンカナバリンA(final conc. 10μg/ml)を添加、または無添加条件化で培養した。 *はP<0.05で拘束ストレスコントロール群との間に有意差あり One-way ANOVA検定で有意な差異が認められたものについて、さらにFishers Protected LSDによる多重検定群間検定を行った。 ダイソーβ−グルカン(10ug/ml)の十二指腸投与による副腎交感神経活動(ASNA)の変化を示す。 ダイソーβ−グルカン(1ug/ml)の十二指腸投与による胃副交感神経活動(GVNA)の変化を示す。 ダイソーβ−グルカン(10ug/ml)の十二指腸投与による脾臓交感神経活動(SSNA)の変化を示す。 NMRスペクトルを示す。 帰属: H−NMRの4.5ppm付近のピーク:1位の水素(β1→6結合)4.4729ppm H−NMRの4.7ppm付近のピーク:1位の水素(β1→3結合)4.7258ppm 超音波照射後の粒度分布を示す。

Claims (1)

  1. 以下の(1)〜(3)の性質:
    (1) オーレオバシジウム・プルランスGM-NH-1A1株又はオーレオバシジウム・プルランスGM-NH-1A2株に由来する;
    (2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
    (3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
    を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、ストレス状態における血中コルチコステロン低下剤。
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