JP5732728B2 - 振動片、振動子及び発振器 - Google Patents
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Description
特許文献1の振動片は、基部に切り欠き部が形成されていることにより、振動腕から基部への振動漏れが減少し、CI(クリスタルインピーダンス)値(Q値)のばらつきの抑制が図られている。
このエッチング異方性に起因して、振動片は、基部の切り欠き部の先端部分が、オーバーエッチング(エッチング過多)されることによって、本来の位置より基部の中央側に入り込み、例えば、先端が尖ったくさびのような、応力が集中しやすい形状に形成されることがある。
これにより、振動片は、落下時などの衝撃が加わった際に、切り欠き部の先端部分に応力が集中し、その部分から破損する虞がある。
本発明のある形態に係る振動片は、水晶のZ板をエッチング加工して得られた振動片であって、X軸の方向に沿って延在している切り欠き部を有している基部と、前記基部からY軸に沿って前記Y軸のプラス側に突出している振動腕と、を備え、前記切り欠き部は、前記Y軸の方向に前記振動腕と並んで配置され、前記基部の外周側に位置する基端部に前記X軸の方向に対して傾斜した傾斜部を有し、前記基端部の幅が基端側に向けて漸増し、前記傾斜部は、前記切り欠き部に沿った2つの辺のうちの前記Y軸のマイナス側に位置する辺に配置されていることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動片は、前記振動腕には前記Y軸の方向に沿って延在している溝が設けられていることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動片は、前記X軸の方向において、前記切り欠き部の先端は、前記溝よりも前記基部の中心側に位置していることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動片は、音叉型水晶振動片であることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動子は、前記振動片と、前記振動片が収容されているパッケージと、を備えていることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る発振器は、前記振動片と、回路と、を備えていることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動片は、水晶のZ板をエッチング加工して得られた振動片であって、X軸の方向に沿って並んでいる切り欠き部および連結部、前記X軸の方向と交差する方向に沿って前記切り欠き部および前記連結部の一方側に並んでおり、前記連結部に連結されている第1の部分、及び前記交差する方向に沿って前記切り欠き部および前記連結部の他方側に並んでおり、前記連結部に連結されている第2の部分、を含む基部と、前記第1の部分からY軸の方向に沿って突出している振動腕と、を含み、前記切り欠き部は、前記Y軸の方向に前記振動腕と並んで配置され、前記基部の外周側に位置する基端部に前記X軸の方向に対して傾斜した傾斜部を有し、前記基端部の幅が基端側に向けて漸増し、前記傾斜部は、前記切り欠き部に沿った2つの辺のうちの前記Y軸のマイナス側に位置する辺に配置されていることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動片は、前記振動腕には前記Y軸の方向に沿って延在している溝が設けられていることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動片は、前記X軸の方向において、前記切り欠き部の先端は、前記溝よりも前記基部の中心側に位置していることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動片は、音叉型水晶振動片であることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る振動子は、前記振動片と、前記振動片が収容されているパッケージと、を備えていることを特徴とする。
本発明のある別の形態に係る発振器は、前記振動片と、回路と、を備えていることを特徴とする。
振動片は、上記方向に切り欠き部を設けることで、振動漏れをより効果的に抑制できる。そして、振動片は、切り欠き部に傾斜部を有することで、切り欠き部の先端部分におけるエッチングの進行度合いが変化し、オーバーエッチングを抑制できる。
この結果、振動片は、切り欠き部の先端部分における応力集中が緩和されることから、基部の強度が向上し、耐衝撃特性を向上させることができる。
振動片は、一方の辺と傾斜部との成す角度が上記範囲内であることにより、効果的にオーバーエッチングを抑制できる。なお、上記範囲は、発明者らが現物との整合性を検証した上でのエッチングのシミュレーションによる解析結果から得た知見である。
振動片は、他方の辺と傾斜部との成す角度が上記範囲内であることにより、効果的にオーバーエッチングを抑制できる。なお、上記範囲は、発明者らが現物との整合性を検証した上でのシミュレーションによる解析結果から得た知見である。
図1は、第1の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図である。図2は、図1(a)のB部拡大図である。
ここで、Z板とは、切り出し面(主面10a)がZ軸に対して略直交したものをいい、このZ軸に直交した主面10aが、X軸のプラス側から見てY軸からZ軸の方向へ反時計回りまたは時計回りに0度〜数度の範囲で回転した状態で切り出されたものも含まれる。
水晶振動片1は、X軸が電気軸、Y軸が機械軸、Z軸が光軸となるように、水晶の単結晶から切り出される。
なお、水晶振動片1は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲(例えば、0度〜5度程度の範囲)で許容できる。
水晶振動片1は、基部10と、一対の振動腕11とを含んで音叉を構成することで、音叉型振動片となっており、支持部14の所定の位置に形成された図示しないマウント電極を介してパッケージなどの外部部材に固定されるようになっている。
水晶振動片1は、振動腕11に形成された図示しない励振電極に、マウント電極を経由して外部から駆動信号が印加されることにより、一対の振動腕11が、所定の周波数(例えば、32kHz)で矢印C方向及び矢印D方向に交互に屈曲振動(共振)する。
切り欠き部12は、基部10をX軸のプラス側からマイナス側へ切り欠いて形成されている。
そして、図2に示すように、切り欠き部12は、切り欠き方向に沿った辺12a,12bの内、Y軸のプラス側に位置する一方の辺としての辺12aと、基部10の外周10bとの間に、切り欠き部12の幅が外周10bに近づくに連れて広がるように形成された傾斜部12cを有する。
傾斜部12cは、上記のように、切り欠き部12においてY軸のプラス側に位置する辺12aに接続され、辺12aとの成す角度θが、3度〜35度の範囲内となるように形成されている。
一方、切り欠き部13は、図1(a)に示すように、切り欠き部12と対になるように設けられ、振動腕11の延びる方向(Y軸方向)に沿った基部10の中心線10cを対称軸として、切り欠き部12と対称形状に形成されている。
図3は、切り欠き部における傾斜部の角度と、先端部分のエッチング形状との関係を示す図である。
シミュレーションによって得られたエッチング形状については、3段階で評価し、応力が集中しやすい形状順に×:不良、○:良、◎:優良、で表している。エッチング形状は、○、◎の評価であれば、応力が集中し難く量産に適用できるものと判断される。
この解析結果によれば、傾斜部12cの角度θは、3度〜35度の範囲内が好ましく、10度〜30度の範囲内がより好ましい。また、角度θは、エッチング異方性の影響を踏まえた傾斜部12cの形成精度の観点からすれば、ほぼ30度とすることが特に好ましい。
この場合には、切り欠き部12の先端部分が、大きくオーバーエッチングされ、実線で示した本来の円弧状の形状より基部10の中央側に入り込み、先端が尖ったくさびのような、応力が集中しやすい形状に形成されている。
これに対して、傾斜部12cの角度θが3度〜35度の範囲内の場合には、切り欠き部12の先端部分におけるエッチングの進行度合いが変化し、オーバーエッチングが抑制され、切り欠き部12の先端部分が、実線で示した本来の円弧状の形状に近似した形状で形成されている。
そして、水晶振動片1は、切り欠き部12に傾斜部12cを有することで、切り欠き部12の先端部分におけるエッチングの進行度合いが変化し、オーバーエッチングを抑制できる。
この結果、水晶振動片1は、切り欠き部12の先端部分における応力集中が緩和されることから、基部10の強度が向上し、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶振動片1は、水晶のエッチング異方性により切り欠き部13の先端部分がオーバーエッチングされ難いことから、切り欠き部13には傾斜部がなくてもよい。
図4は、第2の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は、図4(a)のE−E線での断面図である。図5は、図4(a)のF部拡大図である。
なお、第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図5に示すように、水晶振動片2の切り欠き部12は、切り欠き方向に沿った辺12a,12bの内、Y軸のマイナス側に位置する他方の辺としての辺12bと、基部10の外周10bとの間に、切り欠き部12の幅が外周10bに近づくに連れて広がるように形成された傾斜部12dを有する。
傾斜部12dは、上記のように、切り欠き部12においてY軸のマイナス側に位置する辺12bに接続され、辺12bとの成す角度θ1が、10度〜30度の範囲内となるように形成されている。
一方、切り欠き部13は、図4(a)に示すように、切り欠き部12と対になるように設けられ、振動腕11の延びる方向(Y軸方向)に沿った基部10の中心線10cを対称軸として、切り欠き部12と対称形状に形成されている。
図6は、切り欠き部における傾斜部の角度と、先端部分のエッチング形状との関係を示す図である。
シミュレーションによって得られたエッチング形状については、2段階で評価し、応力が集中しやすい形状順に×:不良、○:良、で表している。エッチング形状は、○の評価であれば、応力が集中し難く量産に適用できるものと判断される。
この解析結果によれば、傾斜部12dの角度θ1は、10度〜30度の範囲内が好ましいことがわかる。
この場合には、第1の実施形態と同様に、切り欠き部12の先端部分が、大きくオーバーエッチングされ、実線で示した本来の円弧状の形状より基部10の中央側に入り込み、先端が尖ったくさびのような、応力が集中しやすい形状に形成されている。
これに対して、傾斜部12dの角度θ1が10度〜30度の範囲内の場合には、切り欠き部12の先端部分におけるエッチングの進行度合いが変化し、オーバーエッチングが抑制され、切り欠き部12の先端部分が、実線で示した本来の円弧状の形状に近似した形状で形成されている。
そして、水晶振動片2は、傾斜部12dと辺12bとの成す角度θ1が、10度〜30度の範囲内となるように形成されている。
この結果、水晶振動片2は、切り欠き部12の先端部分における応力集中が緩和されることから、基部10の強度が向上し、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶振動片2は、水晶のエッチング異方性により切り欠き部13の先端部分がオーバーエッチングされ難いことから、切り欠き部13には傾斜部がなくてもよい。
また、支持部14、錘部16、溝部17は、なくてもよい。また、振動腕11の屈曲振動の方向は、振動腕11の厚み方向(Z軸方向)であってもよい。また、傾斜部12cと傾斜部12dとは、併用されてもよい。
次に、第3の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた振動子について説明する。
図7は、第3の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は、図7(a)のG−G線での断面図である。
パッケージ80は、パッケージベース81、シームリング82、蓋体85などから構成されている。
パッケージベース81は、水晶振動片1を収容できるように凹部が形成され、その凹部に水晶振動片1の図示しないマウント電極と接続される接続パッド88が設けられている。
接続パッド88は、パッケージベース81内の配線に接続され、パッケージベース81の外周部に設けられた外部接続端子83と導通可能に構成されている。
水晶振動片1は、パッケージベース81の接続パッド88に導電性接着剤84を介して接着固定されている。そして、パッケージ80は、パッケージベース81の凹部を覆う蓋体85とシームリング82とがシーム溶接されている。
パッケージベース81の貫通穴86には、金属材料などからなる封止材87が充填されている。この封止材87は、減圧雰囲気内で溶融後固化され、パッケージベース81内が減圧状態を保持できるように、貫通穴86を気密に封止している。
水晶振動子5は、外部接続端子83を介した外部からの駆動信号により水晶振動片1が励振され、所定の周波数(例えば、32kHz)で発振する。
なお、水晶振動子5は、水晶振動片1に代えて水晶振動片2を用いても、同様の効果を得ることができる。
次に、第4の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた発振器について説明する。
図8は、第4の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、図8(a)は平面図、図8(b)は図8(a)のJ−J線での断面図である。
図8に示すように、水晶発振器6は、第1の実施形態の水晶振動片1と、水晶振動片1を発振させる発振回路を有する回路素子としてのICチップ91と、水晶振動片1及びICチップ91を収容するパッケージ80と、を備えている。
ICチップ91は、パッケージベース81の底部に固着され、金線などの金属ワイヤー92により他の配線と接続されている。
水晶発振器6は、ICチップ91の発振回路からの駆動信号により水晶振動片1が励振され、所定の周波数(例えば、32kHz)で発振する。
なお、水晶発振器6は、水晶振動片1に代えて水晶振動片2を用いても、同様の効果を得ることができる。
Claims (12)
- 水晶のZ板をエッチング加工して得られた振動片であって、
X軸の方向に沿って延在している切り欠き部を有している基部と、
前記基部からY軸に沿って前記Y軸のプラス側に突出している振動腕と、
を備え、
前記切り欠き部は、前記Y軸の方向に前記振動腕と並んで配置され、前記基部の外周側に位置する基端部に前記X軸の方向に対して傾斜した傾斜部を有し、前記基端部の幅が基端側に向けて漸増し、
前記傾斜部は、前記切り欠き部に沿った2つの辺のうちの前記Y軸のマイナス側に位置する辺に配置されていることを特徴とする振動片。 - 請求項1において、
前記振動腕には前記Y軸の方向に沿って延在している溝が設けられていることを特徴とする振動片。 - 請求項2において、
前記X軸の方向において、前記切り欠き部の先端は、前記溝よりも前記基部の中心側に位置していることを特徴とする振動片。 - 請求項1乃至3の何れか一項において、
前記振動片は音叉型水晶振動片であることを特徴とする振動片。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載の振動片と、
前記振動片が収容されているパッケージと、
を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載の振動片と、
回路と、
を備えていることを特徴とする発振器。 - 水晶のZ板をエッチング加工して得られた振動片であって、
X軸の方向に沿って並んでいる切り欠き部および連結部、
前記X軸の方向と交差する方向に沿って前記切り欠き部および前記連結部の一方側に並んでおり、前記連結部に連結されている第1の部分、
及び前記交差する方向に沿って前記切り欠き部および前記連結部の他方側に並んでおり、前記連結部に連結されている第2の部分、
を含む基部と、
前記第1の部分からY軸の方向に沿って突出している振動腕と、を含み、
前記切り欠き部は、前記Y軸の方向に前記振動腕と並んで配置され、前記基部の外周側に位置する基端部に前記X軸の方向に対して傾斜した傾斜部を有し、前記基端部の幅が基端側に向けて漸増し、
前記傾斜部は、前記切り欠き部に沿った2つの辺のうちの前記Y軸のマイナス側に位置する辺に配置されていることを特徴とする振動片。 - 請求項7において、
前記振動腕には前記Y軸の方向に沿って延在している溝が設けられていることを特徴とする振動片。 - 請求項7において、
前記X軸の方向において、前記切り欠き部の先端は、前記溝よりも前記基部の中心側に位置していることを特徴とする振動片。 - 請求項7乃至9の何れか一項において、
前記振動片は音叉型水晶振動片であることを特徴とする振動片。 - 請求項7乃至10の何れか一項に記載の振動片と、
前記振動片が収容されているパッケージと、
を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項7乃至10の何れか一項に記載の振動片と、
回路と、
を備えていることを特徴とする発振器。
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