JP5729454B2 - 水系インク組成物と反応液のセット、記録方法 - Google Patents

水系インク組成物と反応液のセット、記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、記録媒体にインク組成物と反応液とを付着させて印刷を行う記録方法に関して、記録媒体がインク組成物を吸収する物質から構成されるものであっても、吸収しない物質から構成されるものであっても、記録媒体に特別な表面処理を施す事無く、同一のインク組成物セットを用いて、色滲みやカラーブリードの無い画像の印刷を行う記録方法に関する。
水性インク組成物は、水を主成分とし、これに着色成分およびグリセリン等の湿潤剤や浸透剤、界面活性剤、防菌・防黴剤等の添加剤を含有したものが一般的である。また水性インク組成物に用いられる記録媒体は、一般にインク組成物をある程度吸収し色材を浸透させることができるもの、例えば紙、布等が用いられる。
一方、合成樹脂、金属など水性インク組成物を基本的に吸収しない記録媒体に対そして印刷や塗装を行う場合には、一般的に有機溶媒(特に親油性)を用いた溶剤系インク組成物や塗料が用いられてきた。
その理由としては、溶剤系インクや塗料組成物は水に溶解しない性質を有する原材料から構成されたものである為、これらを使用して印刷された画像は、定着性、耐擦性、耐水性に優れ、また乾燥して記録媒体に定着するまでの時間も短い事から生産性の面においても優れている事が挙げられる。
しかしながら、有機溶媒は動植物に対して毒性を示すことが多く、また環境負荷が大きい。従って、その使用、廃棄などに注意が必要であり、取り扱いに不都合が多く、加えて多量に使用する場合には排気処理設備等を設置する必要があった。
そこで非吸収性の記録媒体に印刷、塗装をする場合でも、水性インク組成物を用いた記録方法によれば、安全面、環境面、使用の便宜などの点から好ましいものと考えられる。
しかしながら、非吸収性の記録媒体に水性インクを用いて印刷を行う場合には、記録媒体に対するインクの親和性、所謂「濡れ性」が大きな問題となる。記録媒体に対するインクの濡れ性が低い場合には、インクが濡れ広がらず水滴状になってしまう(はじきの発生)為に、印刷が行えず、反対に濡れ性が高い場合には、インクの各色が互いに入り混じってしまったり(カラーブリードの発生)、インクが印刷範囲の周囲に広がる(滲みの発生)為、画像形成に問題が生ずる。
また記録媒体への印刷においては、水性インク組成物の色材成分が記録媒体に強固に定着する事もまた要求される。
またインクを吸収する記録媒体に印刷を行う場合にも、定着性、耐擦性、耐久性がある程度必要とされる。特に水性インクを用いて、高品質な画像を得る為には、印刷時に色滲みやカラーブリードの発生があってはならず、また普通紙のような一般的な紙の様な記録媒体に印刷する場合には、インクが紙の繊維に沿ってのみ髭のように伸びる現象(フェザリング)の発生も防止する必要が有る。更に、保存環境によっては耐水性も必要とされる場合がある。
これまでに挙げた画像低下要因を説明すると、以下のようになる。
(1)インクが周囲に広がってゆく現象(色滲み)
(2)インクが紙の繊維に沿ってのみ髭のように伸びる現象(フェザリング)
(3)各色が互いに入り混じってしまい色の境界がはっきりしなくなる現象(カラーブリード)
これら画像低下要因の発生を防止する為に、非吸収性の記録媒体には溶剤系インク組成物、塗料が一般的に使用され、また吸収性の記録媒体にも、上記の画像低下要因の発生を避ける為に、溶剤系インク組成物、塗料を使用して印刷を行う場合が多く見られた。
また定着性、耐擦性、耐水性の要求される用途に、水性インクを用いて印刷を行う場合には、記録媒体に予め特別な表面処理又は印刷後に表面処理を施す事が一般的に行われている。即ち前者では記録媒体の印刷面にインク受理層を形成する事等が、後者では保護層の形成、例えばホット及びコールドラミネート処理、オーバーコート層の形成等が公知の手段として数多く知られている。
しかしながらこれら特別な表面処理、印刷面保護処理は印刷装置及び印刷プロセスの複雑化、コストの増大、生産性の低下等を必然的に招いてしまうといった欠点があった。
本発明者らが、前記インク組成物と反応液とからなる二液を用いたインクジェット記録方法によって吸収性の記録媒体に印刷を行ったところ、色滲みやカラーブリードの無い良好な画像が得られた。加えて、非吸収性の記録媒体に同一のインクを使用して印刷を行った場合でも同様に色滲みやフェザリング、カラーブリードの無い良好な画像が得られる事が分かった。
またこれら画像は水性インクを用いて形成したにも関らず定着性、耐擦性、耐水性に優れた特性を有している事も分かった。
従って、本発明は、吸収性及び非吸収性の記録媒体の両方に対し、同一のインク組成物を用いて、色滲みやカラーブリードの無い良好な画像を印刷できる記録方法の提供をその目的としている。
そして、本発明による記録方法は、記録媒体に色材、アニオン性樹脂エマルジョン、水溶性有機溶媒、水から構成される水性インク組成物と、この水性インク組成物と接触したとき凝集物を生じさせる反応剤とカチオン性樹脂エマルジョンを含んでなる反応液とを付着させて印刷を行う記録方法であって、前記反応液を記録媒体上に付着させる工程と、前記インク組成物を記録媒体上に付着させて画像を記録する工程を含んでなるものである。
上記の結果の通り、記録媒体がインク組成物及び反応液を吸収する材質、実質的に吸収しない材質のどちらであっても、顔料、アニオン性樹脂エマルジョン、水溶性有機溶媒、水から構成される水性インク組成物と、この水性インク組成物と接触したとき凝集物を生じさせる反応剤とカチオン性樹脂エマルジョンを含んでなる反応液とを組み合わせたインク組成物セットを使用して記録媒体に印刷を行う記録方法によれば、これら記録媒体に色滲みやカラーブリードの無い画像を印刷する事が可能となる。
(記録方式)
本発明による記録方法は、記録媒体上に後記する反応液を付着させる工程と、後記するインク組成物とを付着させて画像を記録する工程とを含んでなるものである。
本発明による記録方法にあっては、印刷工程ではインク組成物と反応液とを記録媒体に付着させることによって、色材が記録媒体に強固に定着して、色滲みやカラーブリードの無い良好な画像品質が得る事が実現可能である。このような効果が生じる理由は明確ではないが、以下の記載のように推論することが可能である。
先ず記録媒体上にてインク組成物と反応液とが接触することによって、反応液中の反応剤及びカチオン性樹脂エマルジョンがインク組成物中の色材及びアニオン性樹脂エマルジョンの分散状題を破壊して、それを凝集させると考えられる。これらの凝集物が記録媒体表面に固着する事で色材が定着するものと考えられる。
さらに本発明にあっては、インク組成物がアニオン性樹脂エマルジョンを、反応液がカチオン性樹脂エマルジョンを含んでなるが、これら樹脂エマルジョンの存在がこの凝集物の生成とその固着、定着を促進しているものと予想される。
次に反応液とインク組成物とを接触させて、吸収性の記録媒体に形成された画像の印刷面には、接触当初、記録媒体の表面近傍に色材と樹脂エマルジョンとからなる凝集と、その凝集物とは分離した水または水溶性有機溶媒とが存在する。そして、凝集物の定着に不必要な、水または水溶性有機溶媒は記録媒体内部へ浸透又は蒸発し、表面から除去される事によって、凝集物は記録媒体上だけに定着され、樹脂エマルジョンの凝集が促進される。この樹脂エマルジョン同士が合一することで、樹脂皮膜が形成される。この樹脂皮膜は、アニオン性樹脂エマルジョンの表面官能基とカチオン性樹脂エマルジョンの表面官能基とが静電気的に結合する事、加えてそれら表面官能基が記録媒体表面に存在する親水性基と形成する水素結合によってより強固に記録媒体表面に固着し、そして記録媒体表面に画像が定着することになるものと推測される。なお、この凝集反応は瞬時に起こる速い反応である為に、色滲みやカラーブリードの発生を抑える事ができるものと考えられる。
また非吸収性の記録媒体表面に画像を形成した場合には、分離した水または水溶性有機溶媒を洗浄などの方法により除去する事で樹脂皮膜の形成を促進する事が好ましい。なお、上記の機構はあくまで仮定であって、本発明はこの機構に限定して解釈されるものではない。
また、この樹脂皮膜は凝集物が乾燥した後には水に再溶解せず、且つ耐水性を有している為に、記録媒体が吸水した後でも、色滲みやカラーブリードを起こす事が無い。反応液とインク組成物を記録媒体に付着させる順序としては、工程上の不都合がなければ、反応液を記録媒体に付着させその後この記録媒体にインク組成物を付着させる方法、さらに反応液とインク組成物を同時に付着させる方法のいずれかを選択する事ができる。
反応液の記録媒体への付着に関しては、インク組成物を付着させる場所にのみ選択的に反応液を付着させるという方法と、記録媒体全体に反応液を付着させる方法のいずれの態様であってもよい。前者が反応液の消費量を必要最小阻に抑えることができ経済的であるが、反応液とインク組成物双方を付着させる位置にある程度の精度が要求される。一方、後者は、前者に比べ反応液およびインク組成物の付着位置の精度の要求は緩和されるが、記録媒体全体に大量の反応液を付着させることとなり、コストの観点から不利である。従って、いずれの方法を採用するかは、インク組成物と反応液との組み合わせを考慮して決定されてもよい。
反応液を記録媒体に付着させる手段と、インク組成物を記録媒体に付着させる手段は、印刷業界、塗装業界において通常用いられる記録方法が可能であり、例えば、直噴、吹付け、塗布、転写等が挙げられるが、その中でも印刷を行う場合にのみ、液滴を記録媒体に吐出させて印刷を行うオンデマンドインクジェット記録方法が最も好ましい。
本発明において記録媒体は、紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体等、インク組成物に対して吸水性を有するものが挙げられる。本発明によるインクジェット記録方法が適用可能な吸収性記録媒体の具体例としては、紙を基材としたメディア、布・不織布等の天然繊維及び/又は合成繊維、合成樹脂を加工したメディア、無機・有機材料から構成される多孔質膜からなるメディア、吸水性を有する高分子を加工したメディア、そしてこれらを積層した記録媒体、及びこれらのメディアを2つ以上組み合わせ複合化した記録媒体、等が挙げられる。
また、本発明における、実質的に内部にインクを吸収しない基材、即ち非吸収性の記録媒体としては、合成樹脂、ゴム、金属、ガラス、セラミックス等が挙げられ、加えて機能を付加する為に、これら材質を複数組み合わせ複合化した基材も使用する事が出来る。加えて、更に記録媒体に強度や耐久性を増す目的や機能性を追加する為に、吸収性の基材と非吸水性の基材を積層化や複合化等の手段によって組み合わせた記録媒体を使用する事が可能である。
(インク組成物)
本発明による方法に用いられるインク組成物は、色材と、アニオン型樹脂エマルジョンと、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでなる。本発明においてインク組成物とは、モノクロ印刷を行う場合にはブラックインク組成物を意味し、さらにカラー印刷を行う場合にはカラーインク組成物、具体的にはイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、更には色再現範囲を拡大する目的で使用するレッド、グリーン、ブルー、オレンジ、ヴァイオレットのインク組成物を使用する事も可能であり、これらに加えてブラックインク組成物を含むものとする。
(樹脂エマルジョン)
本発明におけるインク組成物、反応液は樹脂エマルジョンを含んでなる。ここで、樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次のような樹脂成分である樹脂分散系組成物を意味する。分散相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、などがあげられる。本発明においてアニオン系樹脂エマルジョンは、後述する反応液中の反応剤、とりわけ多価金属イオンまたはポリアリルアミンもしくはポリアリルアミンの誘導体及びカチオン性樹脂エマルジョンとの相互作用により、色材の記録媒体表面への固着性を促進する効果を有する。
ここでのアニオン系樹脂エマルジョンとは分散相のポリマー粒子表面に水相で解離し、負帯電を示す官能基、カルボキシル基、スルホン基などを有している為、水中で負のゼータ電位を有し、その静電気的反発力によって凝集する事無く、比較的安定に分散状態を保っている、ポリマー微粒子の分散液を指す。
これに対してカチオン性樹脂エマルジョンは分散相であるポリマー粒子表面に4級アンモニウム、ピリジニウム、4級ホスホニウムなどの官能基を有しており、水中で解離して正のゼータ電位を示し、その静電気的反発力によって凝集する事無く、比較的安定に分散状態を保っている、ポリマー微粒子の分散液を指す。
本発明の好ましい態様によれば、これら樹脂エマルジョンは室温以下の最低造膜温度を有するものであることが好ましく、実際には20℃以下の最低造膜温度を有するものであることが好ましい。樹脂エマルジョンの膜形成が室温以下で行うことができれば、印刷された記録媒体を特に加熱手段を必要とせず、室温以下において印刷面の造膜化が自動的に進行し色材が記録媒体に強固に固着するので好ましい。
ここで、「最低造膜温度」とは、樹脂エマルジョンを水に分散させて得られた水分散性樹脂エマルジョンをアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に透明な連続フィルムの形成される最低の温度をいう。最低造膜温度以下の温度領域では白色粉末状となる。さらに本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンのガラス転移点は10℃以下であることが更に好ましい。
「造膜性」とは、樹脂エマルジョンを水に分散させ水分散性エマルジョンの形態としたとき、これの水成分を蒸発させていくと、樹脂皮膜が形成されることを意味する。この樹脂エマルジョンが添加されたインク組成物は、水または水性有機溶剤を蒸発させていくと、樹脂皮膜が同様に形成される性質を有することとなる。この樹脂皮膜は、インク組成物中の色材成分を記録媒体表面に強固に固着する役割を担う。これによって、耐久性および耐水性に優れた画像が実現できると考えられる。
これら樹脂エマルジョンの添加量は、インク組成物、反応液に対して5重量%以上であり、好ましくは8重量%以上である。そして樹脂エマルジョンは、色材に対してその重量比で1〜20の範囲、さらに好ましくは2〜10の範囲で含んでなる。
また、樹脂エマルジョンの粒子径は100nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜80nm程度である。
本発明の好ましい態様によれば、アニオン性樹脂エマルジョンは、その表面にカルボキシル基を有し、さらに二価金属塩と高い反応性を有するものであることが好ましい。具体的には、樹脂エマルジョンは、その0.1重量%の水分散性エマルジョン3容量と、1mol/lの濃度の二価金属塩水溶液1容量とを接触させたとき、波長700nmの光の透過率が初期値の50%となる時間が1×104秒以下(好ましくは1×103秒以下、より好ましくは1×102秒以下))となるような二価金属塩との反応性を有するものである。アニオン性樹脂エマルジョンは、二価金属イオンと接触すると反応して浮遊物を生じ溶液の透明度を落とす。この浮遊物の生成量を光の透過率をもって測定する。ここで、二価金属イオンとは、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+が挙げられそれと塩を形成する陰イオンとしては、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO3 -およびCH3COO-があげられる。
このような高い反応性は、アニオン性樹脂エマルジョンがその表面に比較的多くのカルボキシル基を有することに起因するものと考えられる。
上記の様な高い反応性を示すような多量のカルボキシル基をその表面に有するアニオン性樹脂エマルジョンを含んでなるインク組成物は、撥水処理されたインクジェット記録用ヘッドのノズルプレートに対して親和性が低い。従って、従来ではアニオン性樹脂エマルジョンを含んだインク組成物において問題とされていた、インク組成物がノズルプレートを不均一に濡らし、インク滴の飛行曲がりおよび吐出不良の発生する現象を有効に防止できる為、大きな利点を有する。本発明の好ましい態様によれば、アニオン性樹脂エマルジョンを濃度10重量%で水に分散させた水性エマルジョンのテフロン板上での接触角が70°以上であることが好ましい。さらに、樹脂エマルジョンを濃度35重量%で水に分散させた水分散性エマルジョンの表面張力が、40×10-3N/m(20℃)以上であることが好ましい。上記の様なアニオン性樹脂エマルジョンを利用することによって、インクジェット記録方法において、より飛行曲がりを防止でき、良好な印刷が可能となる。
さらに、これら樹脂エマルジョン表面の高い親水性に起因する分散安定性により、インク組成物は優れた保存安定性が得られるとの利点も有する。
本発明の別の好ましい態様によれば、アニオン性樹脂エマルジョンは、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーに由来する構造を1〜10重量%含んでなり、かつ重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造を有し、架橋性モノマーに由来する構造を0.2〜4重量%含有してなるものが好ましい。重合の際に重合可能な二重結合を二つ以上さらに好ましくは三つ以上有する架橋性モノマー類を共重合させて三次元架橋させた架橋性ポリマーの利用により、ノズルプレート表面がインク組成物によりさらに濡れ難くなり、飛行曲がりをより防止でき、吐出安定性をより向上させることが出来る。
本発明においては、これら樹脂エマルジョンとして単粒子構造のものを利用することができる。一方、本発明においてはコア部とそれを囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有する樹脂エマルジョンを利用することも可能である。本発明において「コアシェル構造」とは、「組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態」を意味する。従って、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部ポリマーの一部がコア粒子内にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、コア部とシェル部の中間に、更にもう一層以上、組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
本発明の好ましい態様によれば、アニオン性樹脂エマルジョンはコア部がエポキシ基を有する樹脂からなり、シェル部がカルボキシル基を有する樹脂から形成されるものであることが好ましい。エポキシ基とカルボキシル基とは互いに反応する性質を有するが、これら二つの基をコア部とシェル部とに分離して存在させる。水または水溶性有機溶媒の減少により、樹脂エマルジョン同士が合一し造膜に伴う圧力によって変形する。これによって、コア部のエポキシ基とシェル部のカルボキシル基とが結合して、網目横造を形成する。これにより、より強度の大きな皮膜を形成することが出来るとの利点が得られる。エポキシ基を有する不飽和ビニルモノマーの量は1〜10重量%であることが好ましい。なお、ここで造膜前の一部のエポキシ基とカルボキシル基との反応は、膜形成能が失われていない限り、本発明にあっては許容されるものである。このような樹脂エマルジョン内に反応性の官能基を共存させ、硬化剤を添加しなくとも造膜時にそれら基を反応させ網目構造を形成する性質を本発明にあっては「自己架橋性」と呼ぶ。
本発明による方法に用いられるアニオン性樹脂エマルジョンは、公知の乳化重合によって得ることができる。すなわち、不飽和ビニルモノマー(不飽和ビニルモノマー)を重合触媒、および乳化剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和ビニルモノマーとしては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルシアン化合物モノマー類、ハロゲン化モノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー挙が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ペンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;および酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化モノマー類;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー類が挙げられる。カルボキシル基を有さないモノマーには、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーの利用が必須となるが、好ましいその例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられ、その中でもメタクリル酸の利用が好ましい。また、使用可能な乳化剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびこれらの混合物が挙げられる。
また、上記したように本発明にあっては、上記モノマー由来の分子を、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造を有することが好ましい。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーの例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンが挙げられる。
さらに、上記モノマーに加えて、アクリルアミド類または水酸基含有モノマーを添加することによって、さらに印刷安定性を向上させることが出来る。アクリルアミド類の例としてはアクリルアミドおよびN,N'−ジメチルアクリルアミドが挙げられる。また、水酸基含有モノマーの例としては2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また本発明による方法に用いられるカチオン性樹脂エマルジョンも公知の乳化重合によって得ることができる。すなわち、不飽和ビニルモノマーを重合触媒、および乳化剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
同様に不飽和ビニルモノマーとしては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー挙が挙げられる。加えて、表面にカチオン性官能基を導入する為に使用するモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノアルキルアクリレート類、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート類、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド類、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド類、及びこれらの4級アンモニウム塩が挙げられる。また、使用可能な乳化剤としては、カチオン系界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびこれらの混合物が挙げられる。
また、上記したように本発明にあっては、上記モノマー由来の分子を、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造を有することが好ましい。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーの例としては、ジアクリレート化合物、トリアクリレート化合物、テトラアクリレート化合物、ヘキサアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物、トリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンが挙げられる。
また、コアシェル構造の樹脂エマルジョンは、公知の手法により、一般的には多段階の乳化重合などによって製造される。例えば、特開平4−76004号公報で開示されている方法によって製造することができる。重合に用いられる不飽和ビニルモノマーの例としては、上記したものが同様に挙げられる。
また、上記のコア部へのエポキシ基の導入は、エポキシ基を有する不飽和ビニルモノマーとして、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等を他の不飽和ビニルモノマーと共重合する方法、あるいは一種以上の不飽和ビニルモノマーを重合してコア粒子を調製する際にエポキシ化合物を同時に添加し、複合化させる方法を挙げることができる。重合の容易さや重合安定性等の点から前者の方法が好ましい。
また、乳化重合の際に使用される開始剤、界面活性剤、分子量調整剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。
本発明において、アニオン性樹脂エマルジョンはインク組成物の他の成分と混合されてもよいが、好ましくは水に分散させた後、インク組成物の他の成分と混合されるのが好ましい。
また本発明において、カチオン性樹脂エマルジョンも反応液の他の構成成分と混合されてもよいが、好ましくは水に分散させた後、反応液の他の成分と混合されるのが好ましい。加えて、これら樹脂エマルジョンをインク組成物及び反応液に添加する場合、インク製造工程の最後の添加成分とする事が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲にあることでより良好なインクの耐水性、浸透性が得られる。界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例としてはアニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、カチオン系界面活性剤(例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドなど)、非イオン性(ノニオン系)界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)、両性界面活性剤(例えば、ベタイン、ラウリルスルホベタイン、オクチルスルホベタイン、1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムベタインなど)があげられ、これらを単独または二種以上を混合して用いることができる。また、アセチレングリコール(オレフインY、ならびにサーフイノール82、104、440、465、および485(いずれもAir Products and Chemicals Inc.製))を用いることも可能である。
また、分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200重量部の範囲が適切である。
本発明において上記条件を満足する樹脂エマルジョンとして、公知の樹脂エマルジョンを用いることも可能であり、例えば特公昭62−1426号、特開平3−56573号、特開平3−796178号、特開平3−160068号、特開平4−18462号などに記載の樹脂エマルジョンを用いることができる。
(色材)
本発明による方法に用いられるインク組成物に含まれる色材は、染料、顔料のいずれであっても良いが、耐光性、耐水性の面においては顔料であることが好ましい。また、顔料と染料とを併用することも可能である。
顔料は特に限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ染料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
特に黒インクとして使用されるカーボンブラックとしては、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF 88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等が、キャボット社製のRegal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black6、Special Black5、Special Black4A、Special Black4等が使用できる。イエローインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Yellow1、C.I.Plgment Yellow2、C.I.Pigment Yellow3、C.l.Pigment Yellow12、C.I.Pigment Yellow13、C.I.Pigment Yellow14C、C.I.Pigment Yellow16、C.I.Pigment Yellow17、C.I.Pigment Yellow73、C.I.Pigment Yellow74、C.I.Pigment Yellow75、C.I.Pigment Yellow83、C.I.Pigment Yellow93、C.I.Pigment Yellow95、C.I.Pigment Yellow97、C.I.Pigment Yellow98、C.I.Pigment Yellow114、C.I.Pigment Yellow128、C.I.Pigment Yellow129、C.I.Pigment Yellow151、C.I.Pigment Yellow154等が挙げられる。また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Red5、C.I.Pigment Red7、C.I.Pigment Red12、C.I.Pigment Red48(Ca)、C.I.Pigment Re 4(Mn)、C.I.Pigment Red57(Ca)、C.I.Pigment Red57:1、C.I.Pigment Red112、C.I.Pigment Red123、C.I.Pigment Red168、C.I.Pigment Red184、C.I.Pigment Red202等が挙げられる。シアンインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Blue1、C.I.Pigment Blue2、C.I.Pigment Blue3、C.I.Pigment Blue15:3、C.I.Pigment Blue15:34、C.I.Pigment Blue16、C.I.Pigment Blue22、C.I.Pigment Blue60、C.I.Vat Blue4、C.I.Vat Blue60が挙げられる。
顔料の粒径は、10μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
顔料は分散剤で水性媒体中に分散させた顔料分散液としてインクに添加するのが好ましい。顔料分散液を調製するのに用いられる分散剤としては、一般に顔料分散液を調製するのに用いられている分散剤、例えば高分子分散剤、界面活性剤を使用することができる。なお、この顔料分散液に含まれる界面活性剤がインク組成物の界面活性剤としても機能するであろうことは当業者に明かであろう。
高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質類;アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類;サポニンなどのグルコシド類; アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。さらに、高分子分散剤の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ステレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルステレン−アクリル酸共重合体、ステレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、および酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。
インク組成物における色材の含有量は、0.5〜25重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度である。
(水、水溶性有機溶媒、界面活性剤、及び他の成分)
本発明による方法に用いられるインク組成物の溶媒は水および水溶性有機溶媒を主成分として用いる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明に使用するインク組成物は、高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶媒剤の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
この中でも沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の利用が好ましい。沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の使用はインク組成物の保水性と湿潤性をもたらす。この結果、インク組成物を長期間保管しても色材の凝集や粘度の上昇がなく、優れた保存安定性を実現できる。さらに、開放状態(室温で空気に触れている状態)で放置しても流動性と再分散性を長時間維持するインク組成物が実現できる。
さらに、インクジェット記録方法においては、印字中もしくは印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりが生じることもなく、高い吐出安定性が得られる。
沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の例としては、エチレングリコール(沸点:197℃;以下括弧内は沸点を示す)、プロピレングリコール(187℃)、ジエチレングリコール(245℃)、ペンタメチレングリコール(242℃)、トリメチレングリコール(214℃)、2−ブテン−1,4−ジオール(235℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(243℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(197℃)、N−メチル−2−ピロリドン(202℃)、1,3−ジメチル−2−イミタゾリジノン(257〜260℃)、2−ピロリドン(245℃)、グリセリン(290℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(243℃)、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール(198℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(190℃)、ジプロピレングリコール(232℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(249℃)、テトラエチレングリコール(327℃)、トリエチレングリコール(288℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(230℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)が挙げられる。沸点が200℃以上であるものが好ましい。これら水溶性有機溶媒は単独または2種以上混合して使用することができる。
これら水溶性有機溶媒の含有量は、インク組成物に対して好ましくは0.5〜40重量%程度であり、より好ましくは2〜20重量%である。
また本発明の好ましい態様によれば、本発明に用いられるインク組成物は記録媒体に対する親和性を向上する(所謂、「濡れ性」を向上する)為に、各種界面活性剤を含んでなる事が出来る。本発明による方法に用いられるインク組成物は、さらに界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の例としては、上記した樹脂エマルジョンの調製において用いた界面活性剤と同一のものも好適に用いることができる。例えば、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、カチオン系界面活性剤(例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドなど)、非イオン性(ノニオン系)界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)、両性界面活性剤(例えば、ベタイン、ラウリルスルホベタイン、オクチルスルホベタイン、1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムベタインなど)があげられ、これらを単独または二種以上を混合して用いることができる。また、アセチレングリコール(オレフインY、ならびにサーフイノール82、104、440、465、および485(いずれもAir Products and Chemicals Inc.製))を用いることも可能である。これらを好適に組み合わせる事で、インク組成物の濡れ性を制御する事が可能であるが、互いに異なる極性の官能基を有する2種類の界面活性剤、即ち、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤、両性界面活性剤とアニオン系界面活性剤、両性界面活性剤とカチオン系界面活性剤の組み合わせを同一のインクに添加する事は好ましくない。なぜならば、それぞれの界面活性剤分子のアニオン、カチオン性の官能基が静電気的な引力により、分子間で会合する為に、インク組成物の粘度が増大したり、顔料粒子の分散状態が破壊されたりするからである。加えて顔料粒子の分散状態での帯電と逆の極性を有する界面活性剤の添加も好ましくない、これは静電気的な反発力により分散状態を保っている顔料粒子のゼータ電位が中和されてしまい、反発力を失って凝集する為である。従って、負帯電により分散している顔料粒子を含む顔料インク中へカチオン系界面活性剤を添加する事は好ましくなく、同様に正帯電型の顔料分散インク中へアニオン系界面活性剤を添加する事もまた好ましくない。
そして本発明の好ましい態様によれば、本発明による方法に用いられるインク組成物は、糖、三級アミン、水酸化アルカリ金属、またはアルギン酸誘導体を含んでなることができる。糖および三級アミンの添加は湿潤性をもたらす。また、三級アミンと水酸化アルカリ金属の添加は、インク組成物中の色材および樹脂エマルジョンのインク中での分散安定化をもたらす。
糖の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖[(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される]、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。これら糖類の添加量は0.1〜40重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜30重量%程度である。
三級アミンの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリイソプロペノールアミン、ブチルジエタノールアミン等が挙げられる。これらは単独または混合して使用されてよい。これら三級アミンのインク組成物への添加量は、0.1〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは、0.5〜5重量%である。
水酸化アルカリ金属の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムであり、その添加量は0.01〜5重量%程度が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量%程度である。
アルギン酸誘導体の好ましい例としては、アルギン酸アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)アルギン酸有機塩(例えば、トリエタノールアミン塩)、アルギン酸アンモニウム塩、等が挙げられる。このアルギン酸誘導体のインク組成物への添加量は、好ましくは0.01〜1重量%程度であり、より好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
アルギン酸誘導体の添加により良好な画像が得られる理由は明確ではないが、反応液に存在する多価金属塩が、インク組成物中のアルギン酸誘導体と反応し、色材の分散状態を変化させ、色材の記録媒体への定着が促進されることに起因するものと考えられる。
その他、保存安定性を向上させるために必要に応じて、インク組成物にpH調整剤、防腐剤、防かび剤等を添加することき可能である。
(反応液)
本発明において用いられる反応液は反応剤とカチオン性樹脂エマルジョンを含んでなり、ここで「反応剤」とは、インク組成物中の顔料および/またはアニオン性樹脂エマルジョン等の分散状態を破壊し、凝集させ得るものである。その例としては、多価金属塩、ポリアミン、およびポリアミン誘導体が挙げられる。
また、カチオン性樹脂エマルジョンも静電気的相互作用により、アニオン性樹脂エマルジョンと反応し凝集する性質を有している。
反応液に用いることができる多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶なものである。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+等の二価金属イオン、Al3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンがあげられる。陰イオンとしては、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO3 -およびCH3COO-等があげられる。
とりわけ、Ca2+またはMg2+より構成される金属塩は、反応液のpH、得られる印刷物の品質という二つの観点から、好適な結果を与える。
これら多価金属塩の反応液中における濃度は印刷品質、日詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、好ましくは0.1〜40重量%程度であり、より好ましくは5〜25重量%程度である。
本発明の好ましい態様によれば、反応液に含まれる多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する硝酸イオンまたはカルボン酸イオンとから構成され、水に可溶なものである。特に硝酸イオンが好ましい。
反応液に用いることができるポリアリルアミンおよびポリアリルアミン誘導体は水に可溶で、水中でプラスに荷電するカチオン性高分子である。
上記以外に、アリルアミンとジアリルアミンが共重合したポリマーやジアリルメチルアンモニウムクロライドと二酸化硫黄との共重合体を使用することができる。
これらポリアリルアミンおよびポリアリルアミン誘導体の含有量は、反応液の0.5〜10重量%であることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、反応液はポリオールを含んでも良い。ここで、このポリオールは、20℃での蒸気圧が0.01mmHg、以下であるものであり、かつその添加量は多価金属塩に対して重量比で1以上、好ましくは1.0〜5.0とされる。さらに本発明の好ましい態様によれば、このポリオールの反応液に対する添加量は10重量%以上であるのが好ましく、より好ましくは10〜30重量%程度である。
ポリオールの好ましい具体例としては、多価アルコール、例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。さらに、ポリオールの好ましい具体例としては糖、例えば単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシシール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。
これらポリオールは単独で添加されても、二つ以上の混合物として添加されてよい。二以上の混合物として添加される場合、その添加量は、合計として多価金属塩に対して重量比で1以上とされる。
本発明の好ましい態様によれば、反応液は高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなる。高沸点有機溶媒は、反応液の乾燥を防止する。高沸点有機溶媒の好ましい例としては、前記ポリオールとも一部重なるが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。本発明の好ましい態様によれば、反応液はトリエチレングリコールモノブチルエーテルおよびグリセリンを組み合わせて含んでなることが好ましい。
高沸点有機溶媒の添加量は特に限定されないが、反応液に対して、好ましくは0.5〜40重量%程度であり、より好ましくは2〜20重量%程度である。
本発明の好ましい態様によれば、反応液は低沸点有機溶剤を含んでも良い。低沸点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。低沸点有機溶剤の添加量は0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
本発明の好ましい態様によれば、反応液は界面活性効果を有する物質を含んでも良い。これらの化合物としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤、メタノール、エタノール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロヒレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルなどがあげられ、これらを反応液に添加する事で、記録媒体に対する反応液の浸透性、親和性(「濡れ性」)を改良する事が可能となる。
そして上記化合物の代表的なものとして具体的にはオルフインY、サーフィノール82、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485(いずれも製造: Air Products and Chemicals Inc.)等がある。これらは単独でまたは2種類以上添加してもい。
本発明の好ましい態様によれば、反応液はpH調整のためにトリエタノールアミンを含んでなる。トリエタノールアミンが添加される場合、その添加量は、0〜2.0重量%程度が好ましい。
また、この反応液は、後記のインク組成物の項で記載した色材や体質顔料を添加して着色され、インク組成物の機能を兼ね備えたものとされてもよい。
以下に、本発明の実施態様を示すが、これらの実施例は本発明の内容を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
アニオン性樹脂エマルジョン分散液の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下漏斗を付けたフラスコに、蒸留水100ml、および過硫酸カリウム0.1gを加え、攪拌下に窒素置換しながら、内温を70℃まで加熱した。次いで、蒸留水100ml、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0g、スチレン30g、2−エチルヘキシルアクリレート55g、メタクリル酸5gを攪拌して乳化物を調製した。これを滴下漏斗を用いて上記フラスコ内に徐々に滴下した。得られた乳濁液を室温まで冷却し、この乳濁液を0.4μmのフィルターで濾過し、樹脂エマルジョンの濃度が30%となるように蒸留水で調製した。得られた乳濁液は、最低造膜温度が約20℃のものであり、後述する反応液と混合すると凝集する特性を示した。
カチオン性樹脂エマルジョン分散液の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下漏斗を付けたフラスコに、蒸留水100ml、および過硫酸カリウム0.1gを加え、攪拌下に窒素置換しながら、内温を75℃まで加熱した。次いで、蒸留水260ml、ノニオン系界面活性剤サーフィノール-465を2.0g、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド100g、2-ヒドロキシエチルアクリレート30g、アクリロニトリル100g、ブチルアクリレート70gを攪拌して混合物を調製した。これを滴下漏斗を用いて3時間で上記フラスコ内に徐々に滴下した。得られた乳濁液を室温まで冷却し、水酸化カリウムで中和した後、この乳濁液を0.4μmのフィルターで濾過し、樹脂エマルジョンの濃度が30%となるように蒸留水で調製した。
インク組成物の調製
下記の組成からなるインク組成物を調製した。調製は下記の要領で行った。顔料と分散剤と水とを混合して、サンドミル(安川製作所製)中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後、ガラスビーズを取り除き、顔料分散液を調製した。
次いで、顔料、分散剤を除く溶剤を混合してインク溶媒として、上記の顔料分散液を攪拌しながらインク溶媒を徐々に液下して、常温で20分攪拌した。その後、アニオン性樹脂エマルジョン分散液を徐々に滴下して、常温にて10分攪拌混合した後に、5μmのメンブランフィルターで濾過して、インクジェット記録用インク組成物とした。
ブラック顔料インク組成物
カーボンブラックMA-7(色材、三菱化学社製) 5重量(以下wtと略す)%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 10wt%
グリセリン 10wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
カラーインクセット
シアン顔料インク
C.I.ピグメントシアン 15:3(色材) 2wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 10wt%
ジエチレングリコール 10wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
マゼンタ顔料インク
C.I.ピグメントレッド 122(色材) 3wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 20wt%
グリセリン 5wt%
ジエチレングリコール 5wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
イエロー顔料インク
C.I.ピグメントイエロー 74(色材) 3.5wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 15wt%
グリセリ 8wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
反応液の調製
反応液を下記の組成に従って調製した。調製は下記の要領で行った。硝酸マグネシウムをイオン交換水に溶解し、これにマグネティックスターラーを用いて攪拌混合しながらグリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの順に添加した。
次いで、カチオン性樹脂エマルジョン分散液を徐々に滴下して、常温にて10分攪拌混合した後に、5μmのメンブランフィルターで濾過して、反応液とした。
反応液
硝酸マグネシウム・6水和物 25wt%
カチオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 10wt%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5wt%
グリセリン 10wt%
イオン交換水 残量
記録媒体1:普通紙
Xerox P(ゼロックス(株)製)
記録媒体2:普通紙
Xerox 4024(ゼロックス(株)製)
記録媒体3:PETフィルム
Xerox Film<枠なし>A4(富士ゼロックス(株)製)
記録媒体4:アルミニウム板
厚さ0.3(mm)
記録媒体5:塩化ビニルシート
Viewcal900(リンテック(株)製)
記録媒体6:ポリオレフィンシート
ユポ FPG110(王子油化合成紙(株))
(実施例2)
ブラック顔料インク組成物
カーボンブラックMA-7(色材、三菱化学社製) 5重量(以下wtと略す)%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 15wt%
グリセリン 10wt%
サーフィノール465(界面活性剤) 1wt%
ラウリルスルホベタイン(両性界面活性剤) 0.5wt%
イオン交換水 残量
カラー顔料インクセット
シアン顔料インク
C.I.ピグメントシアン15:3(色材) 2wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 15wt%
ジエチレングリコール 10wt%
サーフィノール465(系界面活性剤) 1wt%
イオン交換水 残量
マゼンタ顔料インク
C.I.ピグメントレッド 122(色材) 3wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 15wt%
グリセリン 5wt%
ジエチレングリコール 5wt%
サーフィノール465(界面活性剤) 1wt%
イオン交換水 残量
イエロー顔料インク
C.I.ピグメントイエロー74(色材) 3.5wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
アニオン性樹脂エマルジョン(固形分濃度として) 15wt%
グリセリン 8wt%
サーフィノール465(界面活性剤) 1wt%
イオン交換水 残量
インク組成を上記組成に変更し、他の部分は実施例1と同様な方法で記録媒体1〜6に印刷を行い、同様な評価を実施した。
(比較例1)
ブラック染料インク組成物
Project Fast Black2(色材、AVECIA社製) 3.5wt%
グリセリン 10wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 7wt%
イオン交換水 残量
上記染料をインク溶媒に加え、常温で20分攪拌して溶解した。そして5μmのメンブランフィルターで濾過して、インクジェット記録用インク組成物とした。
ブラックインク組成のみを上記組成に変更し、反応液を用いずに実施例1と同様な方法で記録媒体1〜6に印刷を行い、同様に評価を実施した。
(比較例2)
ブラック顔料インク組成物
カーボンブラックMA-7(色材、三菱化学社製) 5重量(以下wtと略す)%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
グリセリン 10wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
カラーインクセット
シアン顔料インク
C.I.ピグメントシアン 15:3(色材) 2wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
ジエチレングリコール 10wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
マゼンタ顔料インク
C.I.ピグメントレッド 122(色材) 3wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
グリセリン 5wt%
ジエチレングリコール 5wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
イエロー顔料インク
C.I.ピグメントイエロー 74(色材) 3.5wt%
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1wt%
グリセリン 8wt%
サーフィノール465
(界面活性剤、Air Product and Chemicals,Inc製) 1wt%
イオン交換水 残量
インクセットの組成を上記に変更し、反応液を使用せず、実施例1と同様な方法で記録媒体1〜3に印刷を行い、同様な評価を実施した。
(比較例3)
反応液を使用しない事以外は、実施例1と同様な方法で記録媒体1〜3に印刷を行い、同様な評価を実施した。
(比較例4)
比較例2と同一のインクセットを使用し、実施例1と同一の反応液を用いて、実施例1と同様な方法で記録媒体1、2、3に印刷を行い、同様な評価を実施した。
(評価試験)
下記の表1に記載の通りの組み合わせによって例とした。下記の評価の対象とした印刷物は、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタEM−900Cを利用し、上記例のインク組成物と反応液とを、常温・常圧下にて、記録媒体に印刷する事によって得る事が出来た。印刷は反応液、ブラックインク、及びカラーインクを記録媒体に同時に吐出する事により行った。その後記録媒体を自然乾燥してから以下の評価を実施した。
<評価項目1:印刷後の色滲み評価>
印刷物について、印刷直後の滲みを、目視によって以下の基準により評価した。
A:滲みの無い、良好な画像が得られた。
B:滲みが僅かに生じた。
C:ヒゲ状の滲みが発生していた。
D:色の境界がはっきりしない程、滲みが起こった。
<評価項目2:印刷後のカラーブリード評価>
印刷物について、色境界での不均一な色の混じりを、目視によって以下の基準により評価した。
A:色混じりの無い、良好な画像が得られた。
B:色混じりが僅かに生じた。
C:色混じりの発生が認められた。
D:色の境界がはっきりしない程、色混じりが起こった。
<評価項目3:印刷後のフェザリング評価>
印刷物について、ヒゲ状の滲み出しの有無を目視によって以下の基準により評価した。
A:ヒゲ状の滲み出し無い、良好な画像が得られた。
B:ヒゲ状の滲み出しが僅かに生じた。
C:ヒゲ状の滲み出し発生が認められた。
−:滲み、カラーブリードの影響で評価できなかった。
<評価項目4:総合評価>
印刷物は十分に自然乾燥した。記録媒体3〜6に関しては、イオン交換水を用いて十分に洗浄した後に十分に自然乾燥してから目視によって評価した。
その結果は以下の表1に示される通りであった。
Figure 0005729454

Claims (8)

  1. 少なくとも色材、アニオン性樹脂エマルジョン、水溶性有機溶媒、水を含む水性インク組成物と、前記水性インク組成物と接触したときに凝集物を生じさせる多価金属塩である反応剤、カチオン性樹脂エマルジョンを含む反応液のセットであって、
    前記水性インク組成物を構成するアニオン性樹脂エマルジョンの添加量が、水性インク組成物に対して10〜20重量%であり、前記反応液に含むカチオン性樹脂エマルジョンの添加量が反応液に対して10〜30重量%であり
    前記水性インク組成物及び前記反応液を吸収しない記録媒体へ前記水系インク組成物と前記反応液をそれぞれインクジェット記録方法により付着させる第一の記録方法と紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体の何れかである前記水性インク組成物及び前記反応液を吸収する記録媒体に前記水系インク組成物と前記反応液をそれぞれインクジェット記録方法により付着させる第二の記録方法と、に用いるものであり、
    紫外線照射によりインク組成物あるいは反応液に含むモノマーを光重合させて行われる記録方法に用いるものではなく、
    前記アニオン性樹脂エマルジョンは、その表面にカルボキシル基を有し、その0.1重量%の水分散性エマルジョン3容量に、1mol/lの濃度の二価金属塩水溶液1容量を接触させたときに、波長700nmの光の透過率が初期値の50%となる時間が1×104秒以下となるような二価金属塩との反応性を有するものであり、ここで、二価金属塩は、二価金属イオンが、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+の何れかであり、それと塩を形成する陰イオンとして、Cl-、No3 -、Br-、ClO3 -、I-、Br-、CHCOO-の何れかである、
    水系インク組成物と反応液のセット。
  2. 前記水性インク組成物の色材が顔料である、請求項1に記載の水系インク組成物と反応液のセット。
  3. 前記水性インク組成物がアニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を含有する事を特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の水系インク組成物と反応液のセット。
  4. 前記水系インク組成物が界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤と、ノニオン系界面活性剤とを併用するものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水系インク組成物と反応液のセット。
  5. 前記水性インク組成物及び前記反応液を吸収しない媒体が、金属、セラミックス、ゴム、合成樹脂の何れかである、請求項1〜4の何れか一項に記載の水系インク組成物と反応液のセット。
  6. 前記多価金属塩を反応液に対して5〜25重量%含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水系インク組成物と反応液のセット。
  7. 前記記録媒体上に水性インク組成物の液滴を付着させる工程が前記反応液を記録媒体に付着させる工程と同時に行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水系インク組成物と反応液のセット。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水系インク組成物と反応液のセットの水系インク組成物と反応液を、それぞれインクジェット記録方法により記録媒体へ付着させて行う記録方法。
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