JP4714982B2 - ポリマーエマルジョンの製造方法およびそれを含んでなるインク組成物 - Google Patents

ポリマーエマルジョンの製造方法およびそれを含んでなるインク組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、ポリマーエマルジョンの製造方法、特にインク組成物に用いられるポリマーエマルジョンの製造方法に関する。
【0002】
背景技術
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出して、文字や図形を記録媒体表面に記録する方法である。インクジェット記録用インクとしては、一般に各種の水溶性染料を水性媒体に溶解させたものが使用されている。また、顔料を水性媒体に分散させたインクが提供されている。顔料を水性媒体に分散させたインクは、水溶性染料に比べて耐水性や耐光性に優れるという特徴を有する。
【0003】
一方で、インクジェット記録用インクに求められる特性としては、長期保存中に物性が変化しないこと、微細なノズルを目詰まりさせないこと、印刷物の濃度が高く鮮明であること、印刷物の保存性(耐水性、耐光性など)が良好であること、などが要求されている。特に、顔料系のインクの場合、印刷中または印刷中断後の再起動時にノズルの目詰まりがないこと、記録媒体上での速乾性、および保存安定性(すなわち、その顔料を長期間安定に分散させること)が良好であることが求められる。
【0004】
これに対して、吐出安定性、分散安定性、および耐擦性を高めるための、顔料インクの提案がされている。例えば特公昭62−1426号公報に顔料と樹脂エマルジョンとを水に分散させたインクが、特開昭55−157668号公報には水不溶の樹脂エマルジョン分散液中に顔料を分散させることが、特開平1−217088号公報には特定の成膜温度を有するエマルジョンを使用することが、特開平3−60068号公報および特開平4−18462号公報には同様に樹脂エマルジョンを用いたインクが、提案されている。また、特開昭56−147859号公報や特開昭56−147860号公報、特公平4−5703号公報には高分子分散剤と水溶性有機溶媒とを用いた水性分散系顔料インクの提案がなされている。また、特開平3−299234号公報や特開平8−259869号公報には、コア部とそれを取り囲むシェル部とからなるコアシェル型の樹脂粒子をインクジェト記録用インクに用いる検討もなされている。
【0005】
また、水溶性ポリマーを含んでなるインク組成物は、場合によっては、インク組成物の粘度が高くなりインクジェット記録方法に適さないものとなってしまうことが観察された。また、インクジェット記録用ヘッドにおいては、ノズルプレートを撥水性に処理し、インク滴がノズルより飛翔しやすいようになされている。水溶性ポリマーを含んだインク組成物は、一般に、撥水性に処理されたノズルプレートをよく濡らす傾向がある。その結果、インク滴の飛行曲がりおよび吐出不良の発生が観察された。さらに、水溶性ポリマーを用いた場合、その水溶性に起因して、得られた印刷画像は耐水性に劣ることがある。さらにまた、インク中の水分の蒸発に伴いインクの粘度が上昇し、その結果ノズルが目詰まりしてしまうことがしばしば観察された。
【0006】
さらにまた、ポリマーエマルジョンは、水と、乳化剤と、重合開始剤とを少なくとも混合し適切な条件下で重合反応させて製造される。製造されたポリマーエマルジョンは一般に酸性値を示し、それ自体の安定性に欠けることがある。このため、従来、製造されたポリマーエマルジョンにアンモニア水を添加してpHを調整していた。
【0007】
【発明の概要】
本発明者は、今般、ポリマーエマルジョンの製造方法において、水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを少なくとも混合して乳化重合反応させることと、そして、その後に、水溶性有機アミンを添加して所望のpH値とすることによって、保存安定性を向上させたポリマーエマルジョンを製造することができるとの知見を得た。さらに、本発明者は、本発明によって製造されたポリマーエマルジョンをインク組成物に添加することによって、インク組成物の保存安定性、目詰まり信頼性、および吐出安定性を向上させるとの知見をも得た。本発明は、これらの知見によるものである。
【0008】
従って、本発明は、保存安定性を向上させたポリマーエマルジョンの製造方法を提供することと、このポリマーエマルジョンを添加することで保存安定性、目詰まり信頼性、吐出安定性を向上させたインク組成物を提供することとを、その目的としている。
【0009】
よって、本発明による、ポリマー微粒子を含んでなるポリマーエマルジョンの製造方法は、水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを少なくとも混合して乳化重合反応することと、そして、その後に、
水溶性有機アミンを添加して所望のpHに調整することとを含んでなるものである。
【0010】
また、本発明の別の態様によれば、インク組成物を提供する。本発明によるインク組成物は、着色剤と、ポリマーエマルジョンと、水と、水溶性有機溶剤とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、ポリマーエマルジョンが、本発明による製造方法によって製造されたものである。
【0011】
【発明の具体的説明】
定義
「ポリマーエマルジョン」とは、連続相が水であり、分散粒子がポリマー微粒子である水性分散液を意味する。「ポリマーエマルジョン」は、樹脂エマルジョンとも呼ばれることがある。「ポリマー微粒子」とは、ポリマー成分の微粒子を意味する。ポリマー微粒子を構成するポリマー成分の具体例としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、などが挙げられる
【0012】
ポリマーエマルジョンの製造方法
本発明による製造方法は、水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを混合して乳化重合反応することと、そして、その後に、水溶性有機アミンを添加して所望のpHに調整することとを含んでなるものである。本発明においては、ポリマーエマルジョンの分散相を形成するポリマー微粒子は、モノマー(特に、不飽和ビニルモノマー)と、乳化剤と、重合開始剤とを用いて乳化重合反応することによって製造される。
【0013】
a)モノマー
本発明にあっては、モノマー、好ましくは、不飽和ビニルモノマーを用いる。不飽和ビニルモノマーの具体例としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルシアン化合物モノマー類、ハロゲン化モノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー類が挙げられる。さらに、これらの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、等のメタクリル酸エステル類;および酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル、等のハロゲン化モノマー類;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン、等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー類が挙げられる。カルボキシル基を有さないモノマーには、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーの利用が必須となるが、好ましいその例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。
【0014】
また、本発明にあっては、上記モノマー由来の分子を、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造を有することが好ましい。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーの例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンが挙げられる。
【0015】
さらに、上記モノマーに加えて、アクリルアミド類または水酸基含有モノマーを添加することによって、さらに印刷安定性を向上させることが出来る。アクリルアミド類の例としてはアクリルアミドおよびN,N’−ジメチルアクリルアミドが挙げられる。また、水酸基含有モノマーの例としては2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
【0016】
b)乳化剤、重合開始剤、その他の成分
乳化剤としては、アルキルアリルスルホン酸塩または硫酸塩、アルキルスルホン酸塩または硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ソルビタンモノラウリン酸エステル等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
重合開始剤としては、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。その他の成分としては、重合調整剤、連鎖移動剤、分子量調整剤などが挙げられる。
【0017】
c)乳化重合および反応条件
ポリマー微粒子は、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤と、その他の任意成分を混合して乳化重合反応することで製造される。これら成分の添加量は、適宜定めることができる。また、上記した成分を反応容器に入れて混合し乳化重合反応を行う。乳化重合反応温度は60〜90℃であり、好ましくは70〜80℃程度である。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤と、その他の任意成分を一の反応容器に供給し混合して乳化重合反応させることが好ましい。この反応によれば、水に分散したポリマー微粒子を得ることができる。本発明にあっては、上記した成分を混合する場合や乳化重合反応させる場合はもちろん、反応全般にわたって攪拌することが好ましい。
【0019】
後記するコアシェル構造を有するポリマー微粒子は、公知の手法により、一般的には多段階の乳化重合などによって製造される。例えば、特開平4−76004号公報で開示されている方法によって製造することができる。重合に用いられる不飽和ビニルモノマーの例としては、上記したものが同様に挙げられる。
【0020】
また、上記のコア部へのエポキシ基の導入は、エポキシ基を有する不飽和ビニルモノマーとして、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等を他の不飽和ビニルモノマーと共重合する方法、あるいは一種以上の不飽和ビニルモノマーを重合してコア粒子を調整する際にエポキシ化合物を同時に添加し、複合化させる方法を挙げることができる。重合の容易さや重合安定性等の点から前者の方法が好ましい。
【0021】
d)pH調整
本発明にあっては、上記した乳化重合によって得られたポリマーエマルジョンは、水溶性有機アミンを添加することによって、所望のpHに調整してなる。水溶性有機アミンとしては、アミノアルコールが好ましく、より好ましくは第三級アミノアルコールが好ましい。
第三級アミノアルコールの具体例としては、下記の式(I)または式(II)で表されるものが好ましく、これらの一種または二種以上の混合物が好ましくは用いられる。
【0022】
【化3】
Figure 0004714982
[上記式(I)中、
Rは、アルキル基(好ましくは直鎖状または分岐鎖状の、炭素数が1〜13、好ましくは1〜8であるアルキル基)、アリール基(好ましくは、フェニル基)、または水素原子からなる群から選択される同一または異なる一種または二種のものを表し、
mは1〜3の整数を表す]
【0023】
【化4】
Figure 0004714982
[上記式(II)中、
Rは、アルキル基(好ましくは直鎖状または分岐鎖状の、炭素数が1〜13、好ましくは1〜8であるアルキル基)、アリール基(好ましくは、フェニル基)、または水素原子からなる群から選択される同一または異なる一種または二種のものを表し、
mは1〜3の整数を表す]
【0024】
さらに、第三級アミノアルコールの好ましい具体例としては、N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等が挙げられ、より好ましくはトリエタノールアミン、イソプロパノールアミンが好ましい。
【0025】
水溶性有機アミン添加して所望のpHに調整する場合、具体的にpHが7〜10程度の範囲内、好ましくは7〜9程度の範囲内になるように調整する。従って、水溶性有機アミンの添加量は、ポリマーエマルジョンが上記したpH値の範囲内になる量を添加する。
【0026】
e)製造方法
ポリマーエマルジョンの製造法は、概説すれば以下の通りである。水、乳化剤を仕込み、重合開始剤を添加して、所定温度に調整された攪拌機、環流コンデンサー、滴下装置、温度計等を具備した反応容器に、乳化した重合性モノマーを加えて反応させてポリマーエマルジョンを得る。これに、所望のpHとなるように水溶性有機アミンを添加する。これによって、本発明によるポリマーエマルジョンが製造される。
【0027】
ポリマーエマルジョン
【0028】
本発明によって製造されるポリマーエマルジョンは、ポリマー微粒子と水との割合が、1:1〜4程度であり、好ましくは1:1〜3程度の範囲である。なお、本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つポリマー成分からなるものが好ましい。また、ポリマー微粒子の平均分子量は、10,000程度以上である。ポリマー微粒子の平均粒子径は400nm程度以下が好ましく、より好ましくは10〜200nm程度である。
【0029】
本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子のガラス転移点は30℃程度以下、好ましくは25℃程度以下、より好ましくは20℃程度以下、であることが好ましい。
【0030】
本発明の好ましい態様によれば、ポリマーエマルジョンの最低成膜温度が、30℃程度以下の、好ましくは室温(約25℃)程度以下の、より好ましくは20℃程度以下であることが好ましい。ポリマー微粒子の成膜形成が30℃以下で行うことができれば、印刷された記録媒体を加熱および乾燥することなく、室温以下において印刷面の成膜化が自動的に進行し顔料が記録媒体に強固に定着するので好ましい。ここで、「最低成膜温度」とは、ポリマー微粒子を水に分散させて得られたポリマーエマルジョンをアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に透明な連続フィルムの形成される最低の温度をいう。最低成膜温度以下の温度領域では白色粉末状となる。
【0031】
「成膜性」とは、ポリマー微粒子を水に分散させてポリマーエマルジョンの形態としたとき、このポリマーエマルジョンの連続相である水成分を蒸発させていくと、ポリマーの皮膜が形成されることを意味する。このポリマー微粒子が添加されたインク組成物は、水または水性有機溶剤がそのポリマー微粒子の周囲より除去された状態となると、ポリマー皮膜が同様に形成される性質を有することとなる。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子は、その表面にカルボキシル基を有し、さらに二価金属塩と高い凝集性を有するものであることが好ましい。
具体的には、ポリマー微粒子は、その微粒子を0.1重量%有するポリマーエマルジョン3容量と、1mol/lの濃度の二価金属塩水溶液1容量とを接触させたとき、波長700nmの光の透過率が初期値の50%となる時間が1×10 秒以下(好ましくは1×10 秒以下、より好ましくは1×10秒以下)となるような二価金属塩との凝集性を有するものである。ポリマー微粒子は、二価金属イオンと接触すると凝集して浮遊物を生じ溶液の透明度を落とす。この浮遊物の生成量を光の透過率をもって測定する。ここで、二価金属イオンとは、Ca +、Cu +、Ni +、Mg +、Zn +、Ba +が挙げられ、それと塩を形成する陰イオンとしては、Cl- 、NO - 、I- 、Br- 、ClO -およびCHCOO- があげられる。このような高い凝集性は、ポリマー微粒子がその表面に比較的多くのカルボキシル基を有することに起因するものと考えられる。上記の様な多量のカルボキシル基をその表面に有するポリマー微粒子を含んでなるインク組成物は、撥水処理されたインクジェット記録用ヘッドのノズルプレートに親和性を有さない。従って、従来、樹脂を含んだインク組成物において問題とされていた、インク組成物がノズルプレートをよく濡らし、その結果インク滴の飛行曲がりおよび吐出不良の発生が有効に防止されるとの大きな利点を有する。また、比較的多量のカルボキシル基を有するポリマー微粒子の利用は、より良好な耐擦性および耐水性を実現する。さらにまた、このポリマー微粒子表面の高い親水性によって、インク組成物は優れた保存安定性が得られるとの利点も有する。
【0033】
本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子を濃度10重量%で水に分散させたポリマーエマルジョンのテフロン板上での接触角が70°程度以上、より好ましくは80°程度以上であることが好ましい。さらに、ポリマー微粒子を濃度35重量%で水に分散させたポリマーエマルジョンの表面張力が、40×10−3N/m(40dyne/cm、20℃))程度、好ましくは50×10−3N/m程度以上であることが好ましい。上記の様なポリマー微粒子を利用することによって、インクジェット記録方法において、より飛行曲がりを防止でき、良好な印刷が可能となる。
【0034】
本発明の別の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーに由来する構造を1〜10重量%含んでなり、かつ重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造を有し、架橋性モノマーに由来する構造を0.2〜4重量%含有してなるものであることが好ましい。重合の際に重合可能な二重結合を二つ以上さらに好ましくは三つ以上有する架橋性モノマー類を共重合させて三次元架橋させた架橋性ポリマーの利用により、ノズルプレート表面がインク組成物によりさらに濡れ難くなり、飛行曲がりをより防止でき、吐出安定性をより向上させることが出来る。
【0035】
本発明においては、ポリマー微粒子として単粒子構造のものを利用することができる。一方、本発明においてはコア部とそれを囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有するポリマー微粒子を利用することも可能である。本発明において「コアシェル構造」とは、「組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態」を意味する。従って、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部ポリマーの一部がコア粒子内にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、コア部とシェル部の中間に、更にもう一層以上、組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
【0036】
本発明の好ましい態様によれば、コア部がエポキシ基を有するポリマーからなり、シェル部がカルボキシル基を有するポリマーから形成されるものであることが好ましい。エポキシ基とカルボキシル基とは互いに反応する性質を有するが、これら二つの基をコア部とシェル部とに分離して存在させる。水または水溶性有機溶媒の減少により、ポリマー微粒子同士が合一し成膜に伴う圧力によって変形する。これによって、コア部のエポキシ基とシェル部のカルボキシル基とが結合して、網目構造を形成する。これにより、より強度の大きな皮膜を形成することが出来るとの利点が得られる。エポキシ基を有する不飽和ビニルモノマーの量は1〜10重量%であることが好ましい。なお、ここで成膜前の一部のエポキシ基とカルボキシル基との反応は、膜形成能が失われていない限り、本発明にあっては許容されるものである。このようなポリマー微粒子内に反応性の官能基を共存させ、硬化剤を添加しなくとも成膜時にそれら基を反応させ網目構造を形成する性質を本発明にあっては「自己架橋性」と呼ぶ。
【0037】
インク組成物
本発明におけるインク組成物は、着色剤と、ポリマー微粒子と、水と、水溶性有機溶剤とを少なくとも含んでなるものであって、ポリマー微粒子が、上記した製造方法によって製造されたポリマーエマルジョンの形態で使用されることを特徴とするものである。本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印字方式が挙げられる。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。
【0038】
a)ポリマーエマルジョン
ポリマーエマルジョンは、上記した本発明による製造方法によって製造されたポリマーエマルジョンを用いる。
ポリマーエマルジョンの含有量は、ポリマーエマルジョンを構成するポリマー微粒子のインク組成物に対する含有量によって適宜定めることができる。よって、ポリマー微粒子の含有量は、インク組成物に対して0.1〜30重量%程度であり、好ましくは5〜30重量%である。
【0039】
b)着色剤
本発明におけるインク組成物は着色剤として顔料を用いる。顔料は耐光性、耐水性の面で優れた着色剤である。
顔料は特に限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネスト法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ染料 (アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0040】
黒インクとして使用されるカーボンブラックとしては、三菱化学製のNo.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B 等が、コロンビア社製の Raven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700 等が、キャボット社製のRegal 400R,Regal 330R,Rega l660R,Mogul L,Monarch 700, Monarch 800, Monarch 880, Monarch 900, Monarch 1000, Monarch 1100, Monarch 1300, Monarch 1400 等が、デグッサ社製の Color Black FW1,Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black FW18, Color Black FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex 35, Printex U, Printex V, Printex 140U, Special Black 6, Special Black 5, Special Black 4A, Special Black 4 等が使用できる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1, C.I.Pigment Yellow 2, C.I.Pigment Yellow 3, C.I.Pigment Yellow 12, C.I.Pigment Yellow 13, C.I.Pigment Yellow 14C, C.I.Pigment Yellow 16 ,C.I.Pigment Yellow 17, C.I.Pigment Yellow 73, C.I.Pigment Yellow 74, C.I.Pigment Yellow 75, C.I.Pigment Yellow 83, C.I.Pigment Yellow 93, C.I.Pigment Yellow95, C.I.Pigment Yellow97, C.I.Pigment Yellow 98, C.I.Pigment Yellow114, C.I.Pigment Yellow128, C.I.Pigment Yellow129, C.I.Pigment Yellow151, C.I.Pigment Yellow154 等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Red 7, C.I.Pigment Red 12, C.I.Pigment Red 48(Ca), C.I.Pigment Red 48(Mn), C.I.Pigment Red 57(Ca), C.I.Pigment Red 57:1, C.I.Pigment Red 112, C.I.Pigment Red 123, C.I.Pigment Red 168, C.I.Pigment Red 184, C.I.Pigment Red 202 等が挙げられる。
さらに、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Blue 1, C.I.Pigment Blue 2, C.I.Pigment Blue 3, C.I.Pigment Blue 15:3, C.I.Pigment Blue 15:34, C.I.Pigment Blue 16, C.I.Pigment Blue 22, C.I.Pigment Blue 60, C.I.Vat Blue 4 , C.I.Vat Blue 60が挙げられる。
【0041】
顔料の含有量はインク組成物に対して0.1〜25重量%範囲程度が好ましく、より好ましくは1〜15重量%範囲程度である。また、顔料の粒径は、10μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
【0042】
本発明の好ましい態様の一つとしては、顔料は、分散剤なしに水に分散可能なものを利用することが好ましい。この顔料は、その表面に、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはスルホン基の少なくとも一種の官能基またはその塩が結合するような表面処理により、分散剤なしに水に分散可能とされたものである。具体的には、例えば、真空プラズマなどの物理的処理や化学的処理(例えば、次亜塩素酸、スルホン酸などによる酸化処理)により、官能基または官能基を含んだ分子をカーボンブラックの表面にグラフトさせることによって得ることができる。本発明において、一つのカーボンブラック粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類およびその程度は、インク中での分散安定性、色濃度、およびインクジェットヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されていよい。
【0043】
本発明において好ましく用いられる上記顔料は、例えば特開平8−3498号公報記載の方法によって得ることが得きる。この公報記載の方法によって処理されたカーボンブラックは、その表面活性水素含有量が1.5〜2.5mmol/gと高い値を示す。その結果、水に極めてよく分散する。また、上記顔料として市販品を利用することも可能であり、好ましい例としてはオリエント化学工業株式会社製のマイクロジェットCW1または2が挙げられる。
【0044】
本発明の好ましい別の態様によれば、顔料は分散剤で水性媒体中に分散させた顔料分散液としてインクに添加することも好ましい。顔料分散液を調整するのに用いられる分散剤としては、一般に顔料分散液を調整するのに用いられている分散剤、例えば高分子分散剤、界面活性剤を使用することができる。なお、この顔料分散液に含まれる界面活性剤がインク組成物の界面活性剤としても機能するであろうことは当業者に明かであろう。
【0045】
高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類;アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類;サボニンなどのグルコシド類;アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。さらに、高分子分散剤の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、および酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。上記の塩としては、ジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどとの塩が挙げられる。これらの共重合体は、重量平均分子量が3,000〜30,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜15,000である。
【0046】
また、分散剤として好ましい界面活性剤の例としては、具体例としては、アルカンスルホン酸塩、a−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン塩、ジアルキルスルホこはく酸塩等のスルホン酸型;アルキル硫酸エイテル塩、硫酸化油、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル型;脂肪酸塩(石鹸)、アルキルザルコシン塩などのカルボン酸型;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩などのリン酸エステル型;等で代表されるアニオン性界面活性剤、また、アルキルピリジウム塩などのピリジウム型;アルキルアミノ酸塩などのアミノ酸型、アルキルジメチルベタインなどのベタイン型;などで代表される両性イオン性界面活性剤、さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどのエチレンオキシド付加型;グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、シュガーアルキルエステなどのポリオールエステル型;多価アルコールアルキルエーテルななどのポリオールエーテル型;アルカノールアミン脂肪酸アミドなどのアルカノールアミド型;などで代表される非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
これらの分散剤の添加量は、顔料に対して1〜50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。
【0047】
c)水、水溶性有機溶媒、およびその他の成分
本発明におけるインク組成物の溶媒は水および水溶性有機溶媒を主成分として用いる。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、本発明に使用するインク組成物は、水溶性有機溶媒として高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶媒の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0049】
この中でも沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の利用が好ましい。沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の使用はインク組成物の保水性と湿潤性をもたらす。この結果、インク組成物を長期間保管しても顔料の凝集や粘度の上昇がなく、優れた保存安定性を実現できる。さらに、開放状態(室温で空気に触れている状態)で放置しても流動性と再分散性を長時間維持するインク組成物が実現できる。さらに、インクジェット記録方法においては、印刷中もしくは印刷中断後の再起動時にノズルの目詰まりが生じることもなく、高い吐出安定性が得られる。
【0050】
沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の例としては、エチレングリコール(沸点:197℃;以下括弧内は沸点を示す)、プロピレングリコール(187℃)、ジエチレングリコール(245℃)、ペンタメチレングリコール(242℃)、トリメチレングリコール(214℃)、2−ブテン−1,4−ジオール(235℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(243℃)、2−メチル−2,4ーペンタンジオール(197℃)、N−メチル−2−ピロリドン(202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(257〜260℃)、2−ピロリドン(245℃)、グリセリン(290℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(243℃)、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール(198℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(190℃)、ジプロピレングリコール(232℃)、トリエチレングリコルモノメチルエーテル(249℃)、テトラエチレングリコール(327℃)、トリエチレングリコール(288℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(230℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)が挙げられる。沸点が200℃以上であるものが好ましい。これら水溶性有機溶媒は単独または2種以上混合して使用することができる。
【0051】
これら高沸点有機溶媒の含有量は、インク組成物に対して好ましくは0.01〜10重量%範囲程度であり、より好ましくは0.1〜5重量%範囲程度が好ましい。
【0052】
本発明においては、低沸点有機溶剤を含むこともできる。その好ましい具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどが挙げられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶媒の添加量はインク組成物に対して0.5〜10重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の程度の範囲である。
【0053】
本発明におけるインク組成物は、三級アミンまたは水酸化アルカリを含んでなることができる。三級アミンの添加は湿潤性をもたらす。また、三級アミンと水酸化アルカリの添加は、インク組成物中の顔料およびポリマー微粒子のインク中での分散安定化をもたらす。
【0054】
三級アミンの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリイソプロペノールアミン、ブチルジエタノールアミン等が挙げられる。これらは単独または混合して使用されてよい。これら三級アミンの添加量は、インク組成物に対して0.1〜10重量%範囲程度であり、より好ましくは、0.5〜5重量%範囲程度が好ましい。
【0055】
水酸化アルカリの例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムであり、その添加量はインク組成物に対して0.01〜5重量%範囲程度であり、より好ましくは0.05〜3重量%範囲程度が好ましい。
【0056】
本発明によるインク組成物は、さらに界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の具体例としては、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)、両性界面活性剤(例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)等が挙げられる。これらは単独または二種以上を併用することができる。
【0057】
これら界面活性剤の添加量はインク組成物に対して0.01〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
【0058】
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、グリコールエーテル類および/またはアセチレングリコール系界面活性剤をさらに含んでなることが好ましい。
【0059】
本発明において用いられるグリコールエーテル類は、上記した水溶性有機溶媒としても用いられるものであるが、その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどが挙げあれ、これらの一種または二種以上の混合物として用いることができる。
【0060】
本発明においてはアセチレングリコール系界面活性剤を含んでなるのが好ましい。この添加によってインク組成物の記録媒体への浸透性が高くでき、種々の記録媒体においてにじみの少ない印刷が期待できる。本発明において用いられるアセチレングリコール系界面活性剤の好ましい具体例としては、下記の式(III)で表わされる化合物が挙げられる。
【化5】
Figure 0004714982
[上記式中、0≦m+n≦50、R、R、R、およびRは独立してアルキル基(好ましくは直鎖状または分岐鎖状の、炭素数が6以下であるアルキル基)である]
【0061】
上記の式(III)で表される化合物の中で特に好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられる。上記の式(III)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を利用することも可能であり、その具体例としてはサーフィノール104、82、465、485、またはTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上 日信化学社製 商品名)が挙げられる。界面活性剤の添加量はインク組成物に対して0.01〜10重量%程度範囲であり、より好ましくは0.1〜5重量%程度範囲が好ましい。
【0062】
d)糖または糖の誘導体
本発明の好ましい態様よれば、インク組成物は糖または糖の誘導体を含んでなるのが好ましい。糖または糖の誘導体の添加はインク組成物に保水性をもたらす。
【0063】
糖の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖の誘導体としては、前記した糖類の還元糖[(例えば、糖アルコール(一般式HOCH (CHOH)CHOH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される]、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。糖または糖の誘導体の添加量は、インク組成物に対して、0.1〜40重量%範囲程度が好ましく、より好ましくは2.5〜20重量%範囲程度である。
【0064】
e)グリセリン
本発明の好ましい態様によれば、顔料を含むインク組成物は、グリセリンを含んでなるのが好ましい。グリセリンの添加は記録ヘッドのノズル前面でのインク組成物の乾燥を有効に防止し、ノズルの目詰まりを防ぐ。グリセリンの添加量はインク組成物に対して、5〜40重量%範囲程度であり、好ましくは10〜20重量%範囲程度が好ましい。
【0065】
本発明によるインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
【0066】
f)インク組成物の製造
本発明によるインク組成物は、前記成分を適切な方法で分散、混合することによって製造することができる。着色剤と水性溶媒とその他の成分とを適切な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合して、均一な分散液を調整する。次に、水、水溶性有機溶媒、糖、pH調整剤、防腐剤、防かび剤等を加えて充分溶解させてインク溶液を調整する。充分に攪拌した後に、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するためにろ過を行って目的のインク組成物を得る。
【0067】
インクジェット記録方法
本発明による記録方法は、記録媒体上にインク組成物を付着させて画像を記録する工程とを含んでなるものである。本発明にあっては、インク組成物は上記したものをもちいることができる。
【0068】
本発明において記録媒体は、紙などのインク組成物に対して吸収性を有するもの、インク組成物に対して実質的に非吸収性のもののいずれであっても好適に用いられる。本発明によるインクジェット記録方法が適用可能な記録媒体の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を基材とするプラスチックシート、黄銅、鉄、アルミニウム、SUS、銅等の金属表面または非金属の基材に蒸着等の手法により金属コーティング処理をした記録媒体、紙を基材として撥水処理などがなされた記録媒体、布等の繊維表面に撥水処理等がなされた記録媒体、無機質の材料を高温で焼成した、いわゆるセラミックス材料からなる記録媒体などが挙げられる。
【0069】
【実施例】
本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明は本実施例の内容に限定されるものではない。
ポリマーエマルジョンの調製
ポリマー微粒子を分散粒子とするポリマーエマルジョンを下記の方法によって調製した。また、得られたポリマーエマルジョンの諸特性を以下の方法によって測定した。
【0070】
ポリマーエマルジョンの調製方法
攪拌機、温度計、還流冷却器、および滴下漏斗を備えたフラスコに、過硫酸カリウム0.5重量部と純水80重量部とを加えて溶解し攪拌しながら、内温を70℃まで加熱した。一方、下記の表1および表2(表1および表2中、数値の単位は重量部を表す)に示した通りの各成分を混合し攪拌して乳化物を調製した。この乳化物を滴下漏斗を用いて上記フラスコ内に3時間かけて徐々に滴下し乳化重合反応を行った。得られたポリマーエマルジョンをトリエタノールアミン(例および比較例)またはアンモニア(比較例)とを添加して固型分40重量%、pH8に調製してポリマーエマルジョンの形態とした。得らたポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が20℃程度で、その平均粒子経が150nmであった。
【0071】
最低成膜温度の測定
最低成膜温度測定装置を用いて測定した。アルミニウム製の試料板上の温度勾配が平衡に達したところで、ポリマーエマルジョンを薄く延ばして乾燥させた。乾燥終了後に試料板上を観察したとき、最低成膜温度以上の温度領域では透明な連続フィルムが形成されるが、最低成膜温度以下の温度領域では白色粉末状となる。この境界の温度を最低成膜温度として測定した。
【0072】
接触角の測定
接触角測定装置を用いて25℃で測定した。ポリマー微粒子が10重量%となるように調製したポリマーエマルジョンの一滴を、表面が平滑なテフロン板上に滴下し、その時の接触角を顕微鏡で読み取る方法で測定を行った。
【0073】
表面張力の測定
ポリマー微粒子が35重量%となるように調製したポリマーエマルジョンを、25℃において、全自動平衡式エレクトロ表面張力ディジオマチックESB−IV型(協和科学株式会社製)を使用して測定を行なった。
【0074】
二価金属イオンとの反応における半減期の測定
ポリマー微粒子が0.1重量%となるように調製したポリマーエマルジョン3mlを、分光光度計用セルに気泡の入らないように入れ、分光光度計の試料室にセットした。セル内に1mol/lの塩化マグネシウム水溶液1mlを滴下すると同時に波長700nmでの透過率の時間変化を測定した。初期の透過率に対する所定時間の透過率が50%となる時間を求めた。
【0075】
インク組成物の調製
下記の表3および4(表3および表4中、数値の単位は重量%を表す)に示した通りの各成分を次の操作を行うことによってインク組成物を調製した。先ず、顔料と分散剤と水とを混合し、サンドミル(安川製作所製)中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、重量で混合物の1.5倍量)とともに2時間分散させた。その後、ガラスビーズを取り除き顔料の水系分散液を調製した。一方、ポリマーエマルジョンおよびその他の成分を混合し常温で20分間撹拌して攪拌物を得た。この攪拌物に上記顔料の水系分散液を徐々に滴下し、さらに20分間撹拌した。これを、5μmのメンブランフィルターでろ過してインク組成物を得た。
【0076】
評価試験
ポリマーエマルジョンの評価試験
上記で調製したポリマーエマルジョンを50mlをポリプロピレン容器に室温(約20℃)で入れた。その後、60℃で4週間放置した後、ポリマーエマルジョンのpHおよび粘性を調べた。評価は下記の基準に従って行った。その結果は、下記表1または表2に示した通りであった。表1および表2において、MFTはポリマーエマルジョンの最低成膜温度を示し、γは表面張力を示す。
評価A:初期値と比較して、pH、粘度に変化がなかった。
評価B:初期値と比較して、pHが1割低下して、粘度が1割上昇した。
評価C:初期値と比較して、pHが2割以上低下して、粘度が2割以上昇した。
【0077】
インク組成物の評価試験
上記のインク組成物について、下記のインク評価試験を行った。なお、評価2および3における印刷方法は以下の通りであった。インクジェットプリンタMJ−700C(セイコーエプソン株式会社製)によって、以下の各紙に文字の印刷を行った。インクの吐出量は0.07μg/dot、密度は360dpiであった。用いた印刷試験用紙は以下の通りであった。
Xerox P紙(ゼロックス株式会社)
Xerox 4024紙(ゼロックス株式会社)
Xerox R紙(ゼロックス株式会社:再生紙)
やまゆり紙(本州製紙株式会社:再生紙)
【0078】
評価1:保存安定性
上記で調製したインク組成物を50mlをポリプロピレン容器に室温(約20℃)で入れた。その後、60℃で4週間放置した後、ポリマーエマルジョンのpHおよび粘性を調べた。評価は下記の基準に従って行った。その結果は、下記表3または表4に示した通りであった。
評価A:初期値と比較して、pH、粘度に変化がなかった。
評価B:初期値と比較して、pHが1割低下して、粘度が1割上昇した。
評価C:初期値と比較して、pHが2割以上低下して、粘度が2割以上昇した。
【0079】
評価2:目詰まり信頼性
プリンタにインク組成物を充填し、10分間連続して英数文字を印刷した。その後、プリンターを停止し、キャップをせずに、温度40℃、湿度25%の環境下で、1週間放置した。放置後に再び英数文字を印刷し、放置前と同等の印刷品質が得られるまでに要した復帰動作の回数を調べた。評価は下記の基準に従って行った。その結果は、下記の表3または表4に示した通りであった。
評価A:0〜2回の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られた。
評価B:3〜5回の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られた。
評価C:6回以上の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られないかった。
【0080】
評価3:吐出安定性
プリンタにインク組成物を充填し、英数文字を連続印刷して、ドット抜けおよびインクの飛び散りを観察する。ドット抜けおよびインクの飛び散りが発生する記録紙の枚数を調べて、下記の基準で評価した。その結果は、下記の表3または表4に示した通りであった。
評価A:5,000枚超過であった。
評価B:1,000以上5,000枚以内であった。
評価C:1,000枚未満であった。
【0081】
【表1】
Figure 0004714982
【0082】
【表2】
Figure 0004714982
【0083】
【表3】
Figure 0004714982
【0084】
【表4】
Figure 0004714982

Claims (16)

  1. カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーに由来する構造を1〜10重量%含んでなり、かつ重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造を有し、該架橋性モノマーに由来する構造を0.2〜4重量%含有するポリマー微粒子を含んでなるポリマーエマルジョンの製造方法であって、
    水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを少なくとも混合して乳化重合反応させ、その後に、
    第三級アミノアルコールを添加して所望のpHに調整することを含んでなる、方法。
  2. 第三級アミノアルコールが下記の式(I)または式(II)で表される一種または二種以上の混合物である、請求項に記載の方法。
    Figure 0004714982
    [上記式(I)中、
    Rはアルキル基、アリール基、または水素原子からなる群から選択される同一または異なる一種または二種のものを表し、
    mは1〜3の整数を表す]
    Figure 0004714982
    [上記式(II)中、
    Rはアルキル基、アリール基、または水素原子からなる群から選択される同一または異なる一種または二種のものを表し、
    mは1〜3の整数を表す]
  3. 第三級アミノアルコールがトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリンからなる群から選択される一種または二種以上の混合物である、請求項に記載の方法。
  4. 所望のpHが7〜9である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. ポリマー微粒子の粒径が400nm以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. ポリマー微粒子のガラス転移点が30℃以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. ポリマーエマルジョンが、その最低成膜温度が30℃以下のものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. ポリマー微粒子が、成膜性を有し、その表面にカルボキシル基を有し、かつ、そのポリマー微粒子を0.1重量%有するポリマーエマルジョン3容量と、1mol/lの濃度の二価金属塩水溶液1容量とを接触させたとき、波長700nmの光の透過率が初期値の50%となる時間が1×10 秒以下となるような二価金属塩との反応性を有するものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. ポリマー微粒子を10重量%含んでなるように調整したポリマーエマルジョンが、テフロン板上での接触角が70°以上のものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. ポリマー微粒子を35重量%含んでなるように調整したポリマーエマルジョンの表面張力が、40×10−3N/m(20℃)以上のものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. ポリマー微粒子がコアシェル構造を有するものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. コア部がエポキシ基を有するポリマーからなり、シェル部がカルボキシル基を有するポリマーからなる、請求項11に記載の方法。
  13. ポリマー微粒子が自己架橋性を有するものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって製造された、ポリマーエマルジョン。
  15. 着色剤と、ポリマーエマルジョンと、水と、水溶性有機溶剤とを少なくとも含んでなるインク組成物であって、
    該ポリマーエマルジョンが、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって製造されたものである、インク組成物。
  16. ポリマーエマルジョンを構成するポリマー微粒子の含有量が、インク組成物に対して0.01〜30重量%である、請求項15に記載のインク組成物。
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