JP5728103B1 - リンクアーム部材 - Google Patents

リンクアーム部材 Download PDF

Info

Publication number
JP5728103B1
JP5728103B1 JP2014028984A JP2014028984A JP5728103B1 JP 5728103 B1 JP5728103 B1 JP 5728103B1 JP 2014028984 A JP2014028984 A JP 2014028984A JP 2014028984 A JP2014028984 A JP 2014028984A JP 5728103 B1 JP5728103 B1 JP 5728103B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ball
spherical
stud
spherical space
housing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014028984A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015152153A (ja
Inventor
黒田 茂
茂 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NHK Spring Co Ltd
Original Assignee
NHK Spring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NHK Spring Co Ltd filed Critical NHK Spring Co Ltd
Priority to JP2014028984A priority Critical patent/JP5728103B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5728103B1 publication Critical patent/JP5728103B1/ja
Publication of JP2015152153A publication Critical patent/JP2015152153A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Pivots And Pivotal Connections (AREA)

Abstract

【課題】ボールスタッドの球体部と、ハウジングに備わって球体部を摺動可能に収容する支持部材と、の間のガタつきを効果的に抑制でき、球体部の摺動に要するトルクを好適に管理できる構造の接続部を有するリンクアーム部材を提供することを課題とする。【解決手段】サポートバーの両端に接続部が取り付けられているスタビリンクとする。接続部の少なくとも一方はボールジョイント構造であり、ボールスタッド10を傾倒可能に支持するハウジング11を有し、ボールスタッド10は、ボール部102からスタッド部101が延設されて形成される。ハウジング11は、球形空間121にボール部102を摺動可能に収容するボールシート12を有してボールスタッド10を支持し、ボールシート12の球形空間121を形成する壁面121Fには、最大内径部を中心に所定の幅で凹んだ凹溝121aが周回に形成されていることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、車両のサスペンション装置に備わるリンクアーム部材に関する。
特許文献1に示すように、車両には、サスペンション装置とスタビライザ装置が備わっている。サスペンション装置は、路面から車体に伝わる衝撃を軽減する。スタビライザ装置は、車体のロール剛性(捩れに対する剛性)を高める。そして、サスペンション装置とスタビライザ装置は、スタビリンク(リンクアーム部材)を介して連結される。
特開2011−247338号公報
スタビリンクは、サスペンション装置に固定される接続部と、スタビライザ装置に固定される接続部と、がサポートバー(アーム部)の両端に配置されて構成される。つまり、スタビリンクは、サポートバーが2つの接続部をつないで構成される。サポートバーの両端に配設される接続部はボールジョイント構造であり、ボールスタッドと、このボールスタッドを収容するハウジングと、からなる。
接続部を構成するハウジングは、サポートバーの両端に取り付けられる。ハウジングはカップ状の部材でボールスタッドの球体部(ボール部)を摺動自在に収容する。ハウジングの内側には樹脂製の支持部材(ボールシート)が収容されている。ボールシートは、ボールスタッドのボール部を摺動自在に収容する。ボール部がボールシートの内部を自在に転動することによってボールスタッドが自在に傾倒する。このように、スタビリンクの接続部がボールジョイント構造を有することでサスペンション装置とスタビライザ装置が可動に接続される。
そこで、ボールスタッドの滑らかな傾倒(動作)を確保するためには、ボール部とボールシートの摩擦(フリクション)が所定の設計値となるように管理されることが好ましい。しかしながら、ボール部を収容するボールシートは樹脂製である。したがって、寸法の変動が大きく、ボール部とボールシートの摩擦を管理することが容易でないという問題がある。
また、サスペンション装置とスタビライザ装置の間の動作特性は車両の操舵安定性や乗り心地に影響を与える。例えば、ボール部とボールシートの摩擦が大きいと、サスペンション装置とスタビライザ装置の間の動作が硬くなり、乗り心地が低下するなどの問題が生じる。また、ボール部とボールシートの間隙を大きくすると摩擦は小さくなるが、ボール部とボールシートの間にガタつきが発生する。このようなガタつきは騒音の要因となるため、ガタつきが発生すると車両品質が低下する。
そこで、本発明は、ボールスタッドの球体部と、ハウジングに備わって球体部を摺動可能に収容する支持部材と、の間のガタつきを効果的に抑制でき、球体部の摺動に要するトルクを管理できる構造の接続部を有するリンクアーム部材を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、アーム部の両端に接続部が配設されて、一方の前記接続部が第1の構造体に固定され、他方の前記接続部が第2の構造体に固定され、前記接続部の少なくとも一方がボールジョイント構造になっているリンクアーム部材とする。そして、前記ボールジョイント構造の接続部は、前記第1の構造体又は前記第2の構造体に固定されるボールスタッドを傾倒可能に支持するハウジングを有し、前記ボールスタッドは、球体部からスタッド部が延設されて形成され、前記ハウジングは、球形空間に前記球体部を摺動可能に収容する支持部材を有して前記ボールスタッドを支持し、前記支持部材は、熱可塑性の樹脂製であって射出成形され、前記スタッド部が配置される側で前記球形空間が開口する開口部と、前記開口部と対向する底部に形成される凹状の潤滑剤受け部と、を有し、前記支持部材の前記球形空間を形成する壁面には、前記開口部の側から前記潤滑剤受け部の側に向かう前記球形空間の中心軸を軸とする最大内径部を中心に所定の幅で凹んだ凹溝が周回に形成され、前記凹溝は、前記射出成形に使用する金型に形成される凸型によって前記射出成形時に形成され、前記凹溝の幅は、前記球体部を前記球形空間内で摺動させるのに要するトルクが、あらかじめ設定されている所定範囲となるように決定され、前記凹溝の深さは、前記最大内径部の位置における深さ以上であり、前記凹溝の前記球形空間側の端辺は、当該凹溝の側から前記開口部及び前記底部の側に、前記金型が抜けるように傾斜していることを特徴とする。
本発明によると、ボールジョイント構造の接続部に備わるボールスタッドの球体部が支持部材に摺接する面積を凹溝で調節できる。そして、凹溝の幅を適宜設定して球体部と支持部材の間の摩擦を調節し、球体部の摺動に要するトルクを所定範囲に設定できる。したがって、球体部の摺動に要するトルクを所定範囲に設定することが容易になる。このように、球体部の摺動に要するトルクが所定範囲になるように、球体部と支持部材の間の摩擦を好適に管理できる。また、凹溝以外の部分は、球体部と支持部材が摺接するため、球体部と支持部材の間に生じるガタつきが効果的に抑制される。
また、本発明によると、支持部材が樹脂の射出成形品であるため、大量生産によるコストダウンが可能になる。また、射出成形時に生じる変形(特に、成形収縮による球形空間の変形)で、球体部の摺動に要するトルクが増大する状態であっても、球形空間を形成する壁面に凹溝が形成されるため、球体部の摺動に要するトルクを適宜減少させることができる。そして、球体部の摺動に要するトルクを所定範囲に設定できる。また、凹溝も射出成形で形成されるため凹溝を形成するための後加工も必要ない。
また、本発明は、前記凹溝の前記球形空間側の端辺が面取りされていることを特徴とする。
本発明によると、凹溝の端辺が面取りされているため、凹溝の欠損や応力集中による破損が抑制される。また、支持部材が射出成形される場合、金型と支持部材との離脱が容易になる。
また、本発明は、前記凹溝の深さが0.1mm〜0.2mmであることを特徴とする。
本発明によると、支持部材を射出成形するときの金型から、成形した支持部材を容易に離脱できる深さの凹溝とすることができる。
また、本発明は、前記ハウジングがカップ状を呈し、前記支持部材は、本体部が前記ハウジングに収容されて熱カシメされ、前記本体部の内側に前記球形空間が形成されていることを特徴とする。
本発明によると、支持部材の本体部がカップ状のハウジングに収容される。そして、本体部の内側に、球体部を収容する球形空間が形成される。つまり、ハウジングは、支持部材を介してボールスタッドを支持する。
また、本発明は、前記球体部は、前記スタッド部の中心軸の軸方向における両端が平面状に形成されて2つの平面部を有し、前記ボールスタッドが傾倒する範囲で、前記2つの平面部がそれぞれ前記開口部と前記潤滑剤受け部を臨んで前記球形空間に入り込まないことを特徴とする。
本発明によると、ボールスタッドの球体部は、両端の位置に平面部が形成されている。つまり、球体部は両端の一部が切り落とされた形状になる。したがって、球体部が軽量化され、ひいては、リンクアーム部材が軽量化される。
また、球体部の平面部は、ボールスタッドが傾倒する範囲で球形空間に入り込まない。平面部が球形空間に入り込むと、球体部が壁面に摺接する面積が減少する。このため、球体部の摺動に要するトルクが変動する。ボールスタッドが傾倒する範囲で平面部が球形空間に入り込まない構成とすることで、球体部の摺動に要するトルクを一定に維持できる。
また、本発明は、前記球体部と前記壁面が摺接する面積が、前記凹溝が形成されない場合の60%〜70%になっていることを特徴とする。
本発明によると、凹溝が形成されることによって、球体部が球形空間の壁面に摺接する面積が、凹溝が形成されない場合の60%〜70%に減少している。したがって、凹溝が形成されることで、球体部の摺動に要するトルクが低下する。
また、前記第1の構造体が車体のロール剛性を高めるスタビライザ装置で、前記第2の構造体が前記車体の振動を減衰するサスペンション装置であって、前記スタビライザ装置と前記サスペンション装置を連結することを特徴とする。
本発明によると、ボールスタッドの球体部の摺動に要するトルクが所定範囲になるように、球体部と支持部材の間の摩擦を好適に管理でき、球体部と支持部材の間に生じるガタつきを効果的に抑制できるリンクアーム部材を、車体に備わるスタビライザ装置とサスペンション装置を連結する部材に適用することができる。
本発明によると、ボールスタッドの球体部と、ハウジングに備わって球体部を摺動可能に収容する支持部材の間と、のガタつきを効果的に抑制でき、球体部の摺動に要するトルクを管理できる構造の接続部を有するリンクアーム部材を提供することができる。
スタビリンクがサスペンションダンパとトーションバーを連結する状態を示す斜視図である。 図1のA部を分解した状態を示す分解斜視図である。 スタビリンクの構造を示すように一部を断面した斜視図である。 (a)は中心軸を通って断面したボールシートの断面図、(b)は中心軸を通って断面した、ボールシートとボールスタッドが収容されたハウジングの断面図である。 (a)は、壁面とボール部の球面接触率α1と、ボールスタッドの傾倒に必要なトルク(Tr)と、ボールスタッドのガタつき量(変動量:ΔS)と、の関係を示すグラフ、(b)は、ボールシートの形状の一例を示す断面図である。 開口側平面部が球形空間に入り込んだ状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1はスタビリンクがサスペンションダンパとトーションバーを連結する状態を示す斜視図である。
図1に示すように、車両(図示せず)の走行に使用される車輪Wは、サスペンション装置3を介して車体(図示せず)に取り付けられている。サスペンション装置3は、コイルスプリング3aと、サスペンションダンパ3bと、を有する。サスペンションダンパ3bは、車輪Wを回転可能に支持する。コイルスプリング3aは、車輪Wから加わる衝撃を緩衝する。
サスペンションダンパ3bはコイルスプリング3aを介して車体(図示せず)に取り付けられる。そして、サスペンションダンパ3bの伸縮とコイルスプリング3aの弾性力によって車体に伝わる振動がサスペンションダンパ3bで減衰される。
このように、サスペンション装置3は車体の振動を減衰する。
左右のサスペンション装置3の間にはスタビライザ装置2が連結されている。スタビライザ装置2は、車体のロール剛性(捩れに対する剛性)を高めて車両のローリングを抑制する装置である。スタビライザ装置2は、トーションバー2aを有する。トーションバー2aは、車両の形状に合わせて適宜折り曲げられた棒状のばね部材で構成され、対向する2つの車輪W,Wをそれぞれ支持する2つのサスペンションダンパ3b,3bを連結する。トーションバー2aは、一方のサスペンションダンパ3bから他方のサスペンションダンパ3bに向かう方向に延設される。
トーションバー2aは、車両(図示せず)が旋回するときなど、2つのサスペンションダンパ3b,3bの伸縮量の違いによって主に中央部分2bが捩れ、その捩れを復元するように作用する弾性力で車両のローリングを抑制する。
トーションバー2aとサスペンションダンパ3bは、リンクアーム部材(スタビリンク1)を介して連結される。これによって、スタビライザ装置2とサスペンション装置3がスタビリンク1を介して連結される。
本実施形態のスタビリンク1は、サポートバー1aの両端に接続部1bが備わって構成されている。
図2は図1のA部を分解した状態を示す分解斜視図である。
図2に示すように、スタビリンク1は、棒状のサポートバー1a(アーム部)と接続部1bを含んで構成される。サポートバー1aは、例えば中実の鋼材を素材とする棒状部材である。接続部1bは、サポートバー1aの両端に2つ配設される。接続部1bには、ボールスタッド10が傾倒可能に支持されている。ボールスタッド10はハウジング11に収容されている。接続部1bには、ハウジング11内への異物の侵入を防止するためのダストブーツ13が備わっている。
そして、一方の接続部1bに支持されるボールスタッド10がサスペンションダンパ3bのブラケット3cに締結固定される。また、他方の接続部1bに備わるボールスタッド10がトーションバー2aに締結固定される。
ブラケット3cは、スポット溶接等でサスペンションダンパ3bに取り付けられている。ブラケット3cは、トーションバー2aの側(図示しない車両の中心側)を臨む平面部を有する。ブラケット3cの平面部に取付孔3c1が開口している。一方のボールスタッド10は、周囲に広がる鍔部10aの位置までスタッド部101が取付孔3c1に挿通される。そして、取付孔3c1を挿通したボールスタッド10のスタッド部101に形成されている雄ねじ10SにナットN1が螺合される。また、トーションバー2aの先端部近傍には、取付孔2a1が貫通している。他方のボールスタッド10は鍔部10aの位置までスタッド部101が取付孔2a1に挿通される。そして、取付孔2a1を挿通したボールスタッド10のスタッド部101に形成されている雄ねじ10SにナットN1が螺合する。
例えば、図2に示すように、トーションバー2aの先端部及びその近傍がサスペンションダンパ3bの側を臨む平面状に押しつぶされ、この部分に取付孔2a1が開口している。
また、スタビリンク1は、サポートバー1aの両端に備わるボールスタッド10を介してサスペンションダンパ3bとトーションバー2aに固定される。ボールスタッド10は傾倒可能にスタビリンク1の接続部1bに支持されている。したがって、スタビリンク1は、サスペンションダンパ3b及びトーションバー2aに対して可動になる。
このように、スタビリンク1は、スタビライザ装置2(本実施形態における第1の構造体)と、サスペンション装置3(本実施形態における第2の構造体)に固定されて、スタビライザ装置2とサスペンション装置3を連結するリンクアーム部材である。
図3は、スタビリンクの構造を示すように一部を断面した斜視図である。
図3に示すように、スタビリンク1において、接続部1bは、サポートバー1aの両端に配設されている。したがって、スタビリンク1には2つの接続部1bが備わっている。
接続部1bは、カップ状のハウジング11を有する。ハウジング11は、サポートバー1aの両端に抵抗溶接等で取り付けられている。ハウジング11は鋼材(機械構造用炭素鋼など)を素材とし、内側に樹脂製の支持部材(ボールシート12)が収容されている。ボールシート12は、POM(Polyacetal)、PA6(Polyamide6)、PA66(Polyamide66)などの熱可塑性樹脂を素材とする。
ボールスタッド10は、その一部がボールシート12に収容されて接続部1bに備わる。ボールスタッド10は、略球体状の球体部(ボール部102)とスタッド部101を有する。スタッド部101は、ボール部102から一方向に延設されている。
樹脂製のボールシート12は、本体部12aとフランジ部12bからなり、本体部12aがハウジング11に収容される。ボールシート12の本体部12aはカップ状を呈する。フランジ部12bは、本体部12aの開口側が外方に周囲に広がって形成される。
また、本実施形態において、ボールシート12の本体部12aは、熱カシメでハウジング11に固定される。本体部12aに形成されてハウジング11の底部を貫通するボス12a1が押しつぶされてボールシート12がハウジング11内に固定される。ボス12a1は、加熱された状態で加圧されて押しつぶされる。
ボールシート12の本体部12aは、内側に球形の空間(球形空間121)が形成されている。そして、ボールスタッド10のボール部102が球形空間121に転動自在に収容される。また、ボールスタッド10において、スタッド部101はボール部102とともに動作する。したがって、ボールシート12に収容されたボールスタッド10は、スタッド部101が傾倒可能になる。つまり、ハウジング11は、ボールスタッド10を傾倒可能に支持する。このように、接続部1bには、スタッド部101とボール部102からなるボールスタッド10が傾倒可能に備わってボールジョイント構造を構成している。
ボールスタッド10のスタッド部101には、周囲に広がった鍔部10aが形成されている。また、スタッド部101の先端部(鍔部10aよりも先端側)には、雄ねじ10Sが形成されている。そして、図2に示すように、サポートバー1aの一端に配設されるボールスタッド10のスタッド部101がサスペンションダンパ3bのブラケット3cに開口する取付孔3c1に鍔部10aまで挿通する。その状態で雄ねじ10SにナットN1が螺合して、ボールスタッド10がサスペンションダンパ3bに固定される。
また、サポートバー1aの他端に配設されるボールスタッド10のスタッド部101がトーションバー2aに開口する取付孔2a1に鍔部10aまで挿通する。その状態で雄ねじ10SにナットN1が螺合して、ボールスタッド10がトーションバー2aに固定される。
なお、スタビリンク1においてスタッド部101が延出する方向は、サスペンションダンパ3b(図2参照)とトーションバー2a(図2参照)の位置関係に応じて適宜決定される。
図3に示すように、ハウジング11はフランジ部11aを有する。フランジ部11aは、ハウジング11の開口側が外方に広がって形成される。ハウジング11にボールシート12(本体部12a)が収容された状態で、ハウジング11のフランジ部11aとボールシート12のフランジ部12bが互いに対向する。
そして、互いに対向するフランジ部11a,12bでダストブーツ13の端辺が挟持される。
ダストブーツ13は、ゴムなどの弾性体からなる中空の部材である。ダストブーツ13は、鍔部10aとハウジング11のフランジ部11aの間でボールスタッド10の周囲に配設される。ダストブーツ13は、対向する位置に2つの開口部を有する。一方の開口部は周囲が内側に向かって折れ曲がり、この部分が対向するフランジ部11a,12bで挟持される。ダストブーツ13の他方の開口部は、ボールスタッド10のスタッド部101に密着して固定されている。
このようなダストブーツ13によって、ハウジング11内やボールシート12内への異物(ゴミなど)の侵入が防止される。なお、ダストブーツ13は、スタッド部101が傾倒する動作を妨げない形状になっている。例えば、ダストブーツ13は、大きく外方に膨らんだ形状であることが好ましい。このような形状のダストブーツ13は、余裕を持ってスタッド部101を覆う。したがって、ダストブーツ13は、傾倒するスタッド部101の動作に応じて容易に変形する。このため、ボールスタッド10が傾倒する動作は、ダストブーツ13で妨げられない。これによって、ボールスタッド10の滑らかな傾倒(動作)が確保される。
図4の(a)は中心軸を通って断面したボールシートの断面図、(b)は中心軸を通って断面した、ボールシートとボールスタッドが収容されたハウジングの断面図である。
図4の(a)に示すように、ボールシート12の本体部12aは、外形が円筒形状を呈し、内側に球形空間121が形成されている。球形空間121は、中心点P2を中心とする球面形状に配設される壁面121Fで覆わて形成された空間とする。球形空間121に収容されたボール部102は壁面121Fに摺接する。つまり、球形空間121は、ボール部102が壁面121Fを摺動するように当該ボール部102を収容する。
なお、ボールスタッド10のボール部102が球形空間121に収容されたとき、ボール部102の中心点P1が球形空間121の中心点P2に一致することが好ましい。
このように、ボール部102の中心点P1と球形空間121の中心点P2が一致することで、球形空間121内でボール部102が偏ることなく転動する。
また、ボールシート12の本体部12aには開口部12Uが形成されている。開口部12Uは、底部12Dと対向する位置で球形空間121が開口して形成される。開口部12Uは、収容されたボールスタッド10のスタッド部101が配置される側に形成される。また、底部12Dには、熱カシメ用のボス12a1が形成されている。
ボールシート12の本体部12aは、ハウジング11(図4の(b)参照)内に収容される。前記したように、ボールシート12は樹脂を素材とし、射出成形で形成される。一般的に、射出成形による成形品は肉厚の厚い部位ほど成形収縮する。
図4の(a)に示すような断面形状のボールシート12は、底部12Dの側が開口部12Uの側(フランジ部12bの側)よりも肉厚となる。したがって、開口部12Uの側よりも底部12Dの側が大きく収縮する。このため、ボールシート12の本体部12aは、開口部12Uの側の外径φD1が底部12Dの側の外径φD2よりも大きくなる(φD1>φD2)。そして、図4の(b)に示すように、ボールシート12がハウジング11に収容されると、本体部12aの内側に形成される球形空間121は、外径φD1が大きな開口部12Uの側が、外径φD2が小さい底部12Dの側よりも強く締め付けられる。
このため、本体部12aの内側に形成される球形空間121は、開口部12Uの側が底部12Dの側よりも大きく変形する。したがって、ハウジング11に収容されたボールシート12(球形空間121)にボールスタッド10(ボール部102)が収容されると、ボール部102がボールシート12から受ける面圧は、開口部12Uの側が底部12Dの側よりも大きくなる。
また、開口部12Uの側の壁面121Fからボール部102が受ける面圧は、球形空間121を形成する壁面121Fを介して底部12Dの側にも分布する。これによって、ボール部102がボールシート12(壁面121F)から受ける面圧が全面に亘って大きくなり、ボール部102とボールシート12(壁面121F)の間の摩擦が全体的に増大する。つまり、ハウジング11に収容されたボール部102がボールシート12で余計に締め付けられることになり、ボール部102とボールシート12の間の摩擦が全体的に増大する。
このような摩擦の増大を抑制するため、本実施形態のボールシート12には、図4の(a)に示すように球形空間121に凹溝121aが形成されている。具体的に、球形空間121を形成する球面形状の壁面121Fが外方に向かって凹んで凹溝121aが形成されている。
凹溝121aは、球形空間121の中心軸(上下方向中心軸CLv)を軸とする最大内径部を中心に所定の幅Wdで設けられている。凹溝121aは、上下方向中心軸CLvを軸に最大内径部に沿って周回して形成される。本実施形態において、球形空間121の上下方向中心軸CLvは、円形を呈する底部12Dの中心と、円錐状に開口する開口部12Uの中心を結ぶ直線とする。また、本実施形態においては、上下方向中心軸CLvを法線として球形空間121の中心点P2を含む仮想平面が球形空間121を通る部分を、球形空間121の最大内径部とする。
前記したように、ボールシート12は射出成形される。このときの金型に凹溝121aを形成する凸型が形成されていれば、本体部12aの成形と同時に凹溝121aが成形される。このように、凹溝121aをボールシート12の射出成形時に成形することで、凹溝121aを形成するための後加工が不要になり、ボールシート12のコストダウンが可能になる。
凹溝121aと壁面121Fの間の端辺(球形空間121側の端辺)は、凹溝121aの側から開口部12Uの側及び底部12Dの側に傾斜して面取りされている。凹溝121aの端辺は、例えば、球形空間121の中心点P2から凹溝121aの端辺に向かう想像線L1と、所定の面取り角度θcで面取りされている。一例として、面取り角度θcは60度である。
凹溝121aの端辺が面取りされることによって凹溝121aの端辺が欠損しにくくなる。これによってボールシート12の耐久性が向上する。
また、凹溝121aの端辺が面取りされることによって、ボールシート12を射出成形する金型から当該ボールシート12が容易に離脱する。
前記したように、ハウジング11に収容されたボールシート12内で、ボール部102は、開口部12Uの側が余計に締め付けられる。これによって、ボール部102がボールシート12から受ける面圧が全面に亘って大きくなる。
球形空間121を形成する壁面121Fに凹溝121aが形成されることによって、ボールシート12とボール部102の非接触部が形成される。これによって、ボール部102がボールシート12に摺接する面積が減少し、ボールシート12とボール部102の間の摩擦が低減される。したがって、凹溝121aの形状を適宜決定することで、ボール部102とボールシート12の間に好適な摩擦を発生させることができる。
具体的には、凹溝121aの幅Wdを適宜決定することで、ボール部102とボールシート12の間に好適な摩擦を発生させることができる。ひいては、ボールスタッド10の傾倒に要するトルクを、あらかじめ設定されている所定範囲とすることができる。
図5の(a)は、壁面とボール部の球面接触率α1と、ボールスタッドの傾倒に必要なトルク(Tr)と、ボールスタッドのガタつき量(変動量:ΔS)と、の関係を示すグラフ、(b)は、ボールシートの形状の一例を示す断面図である。
図5の(a)に示すグラフは、縦軸がトルク(Tr)、及び、変動量(ΔS)を示し、横軸が壁面121Fとボール部102の接触率(以下、球面接触率α1という)を示す。また、実線はボールスタッド10の傾倒に必要なトルクTr(Nm)を示し、破線はボールスタッド10の変動量ΔS(mm)を示す。球面接触率α1は、凹溝121aが形成されない状態を100%としている。
壁面121Fとボール部102の接触率(球面接触率α1)が高くなるほど(つまり、凹溝121aの幅Wdが狭くなるほど)、ボールシート12とボール部102の摩擦が大きくなる。したがって、図5の(a)に示すグラフに示すように、球面接触率α1が高くなるほどボールスタッド10の傾倒に必要なトルクTrが大きくなる。一方、球面接触率α1が低くなるほど、ボール部102がボールシート12に摺接する面積が少なくなる。したがって、図5の(a)に示すグラフのように、球面接触率α1が低くなるほどボールスタッド10の変動量ΔS(ガタつき)が大きくなる。
以上のことから、ボールスタッド10の傾倒(動作)に必要なトルクTrを小さくするためには、壁面121Fとボール部102の接触率(球面接触率α1)を低くすることが効果的である。一方、ボールスタッド10のガタつきを抑制するためには、球面接触率α1を高くすることが効果的である。
図1に示すように、スタビリンク1は、車両のスタビライザ装置2とサスペンション装置3を可動に接続している。そして、スタビライザ装置2とサスペンション装置3の間の動作特性(動作の硬さ)は、車両の操舵安定性や乗り心地を決定する要因になる。つまり、車両の操舵安定性や乗り心地が向上するように、スタビライザ装置2とサスペンション装置3の間の動作特性が決定される。したがって、スタビリンク1のボールスタッド10(図3参照)の傾倒に必要なトルク(硬さ)は、車両に要求される特性によって決定される。このように、車両に要求される特性に応じて決定されるトルク(以下、定常トルクという)でボールスタッド10が動作するように球面接触率α1が決定されることが必要になる。つまり、スタビリンク1に要求される耐久性や、要求される定常トルク等に応じて球面接触率α1(凹溝121aの幅Wdの大きさ)が決定される。特に、ボールスタッド10の傾倒に必要なトルクは、定常トルクを含む所定範囲内となることが要求される。
例えば、所定の定常トルクやガタつきの許容値にもとづいて、図5の(a)に一点鎖線で示す範囲が球面接触率α1の好適な範囲と決定される場合、図5の(b)に示すように凹溝121aの形状が決定される。このとき、ボールスタッド10の傾倒に必要なトルクTrが所定の定常トルクを含む所定範囲内で、かつ、変動量ΔSが所定の許容範囲内に収まる範囲が、球面接触率α1の好適な範囲として決定される。
図5の(b)に示すように、中心点P2を中心として、水平方向中心軸CLh(上下方向中心軸CLvと直行する軸)より開口部12Uの側に「θu°」、底部12Dの側に「θd°」の範囲で球形空間121が形成されている場合、水平方向中心軸CLhを中心として中心点P2を軸に広がる角度「θa°」の範囲(水平方向中心軸CLhを中心とするセンター振り分け)に凹溝121aが形成される構成とする。なお、凹溝121aの幅Wdは、水平方向中心軸CLhを中心として中心点P2を軸に広がる角度「θa°」に応じて決定される。
一例として、図5の(b)に示すように、水平方向中心軸CLhより開口部12Uの側に30°(θu=30°)、底部12Dの側に40°(θd=40°)の範囲で球形空間121が形成されている場合、水平方向中心軸CLhを中心とする約25°(θa=25°)の範囲に凹溝121aが形成される構成とすればよい。
この場合、溝部121aが球形空間121に占める割合が約36%(25/(30+40)=0.36)になり、球面接触率α1が約64%になる。約64%の球面接触率α1は、図5の(a)に一点鎖線で示す範囲に含まれる。
例えば、球面接触率α1を70%とする場合、水平方向中心軸CLhを中心とする約21°(θa=21°)の範囲に凹溝121aが形成される構成とすればよい。また、球面接触率α1を60%とする場合、水平方向中心軸CLhを中心とする約28°(θa=28°)の範囲に凹溝121aが形成される構成とすればよい。
なお、前記した具体的な数値(θu=30°,θd=40°,θa=25°等)は、説明を容易にするための一例にすぎない。本発明に係るスタビリンク1のボールシート12は、これらの数値で規定される形状に限定されない。
しかしながら、球面接触率α1があまりに小さいと、ボールスタッド10の変動量ΔS(ガタつき)が大きくなるのに加え、ボール部102が摺動することによる壁面121Fの摩滅が激しくなる。一方、球面接触率α1があまりに大きいと、凹溝121aが形成されることの効果(ボールスタッド10の傾倒に必要なトルクTrを調節する効果)が小さくなる。
球面接触率α1が60%〜70%の範囲であれば(つまり、ボール部102と壁面121Fが摺接する面積が、凹溝121aが形成されない場合の60%〜70%のとき)、ボールスタッド10の傾倒に必要なトルクTrと、変動量ΔSとが、良好な状態になることが、本願出願人の実験計測によって確認された。
なお、変動量ΔS(ガタつき)や壁面121Fの摩滅が商品としての品質を低下させるほど大きくなく、かつ、ボールスタッド10の傾倒に要するトルクTrが商品として必要な範囲に調節できる状態を良好な状態とする。
このように、図5の(a)に示すグラフにもとづいて、好適なトルクTrと変動量ΔS(ガタつき)を実現する球面接触率α1が決定される。また、決定された球面接触率α1にもとづいて、凹溝121aの形状が決定される。
また、凹溝121aの深さDpが浅いほど、ボールシート12を射出成形する金型から当該ボールシート12が容易に離脱する。
一例として、0.1mm〜0.2mm程度の深さ(Dp=0.1〜0.2)の凹溝121aとした。凹溝121aの深さDpを0.1mm〜0.2mmとすることで、射出成形したボールシート12を金型から容易に離脱できることが本願出願人の実験計測によって確認された。なお、凹溝121aの深さDpは前記した数値(0.1mm〜0.2mm)に限定されない。
図4の(a)に示すように凹溝121aが形成される部分(球形空間121の最大内径部)は、壁面121Fが肉薄になって他の部分よりも脆弱になる。しかしながら、ボールシート12の本体部12aは、開口部12Uの側の外径φD1が底部12Dの側の外径φD2よりも大きい。このため、本体部12aの開口部12Uの側は、底部12Dの側よりも強固にハウジング11に嵌まり込む。したがって、ボールスタッド10からボールシート12の本体部12aに印加される力は、外径φD1が大きな開口部12Uの側からハウジング11に伝達されて分散される。さらに、凹溝121aの端辺が面取りされることによって端辺への応力集中が回避される。したがって、本体部12aにボール部102が収容されたボールスタッド10からボールシート12に力が印加されても凹溝121aの部分は容易に破損しない。
つまり、凹溝121aによって本体部12aの一部が脆弱になってもボールシート12が容易に破損しない接続部1bとなっている。
また、図4の(a)に示すように、球形空間121の底部12Dの側(開口部12Uと対向する位置)には凹部が形成されている。この凹部は、グリス等の潤滑剤が溜まる凹状の潤滑剤受け部(グリス溜まり121b)となる。グリス溜まり121bは、球形空間121が上下方向中心軸CLvの軸方向に凹んで形成される。
本体部12aに収容されたボール部102が転動するとき、グリス溜まり121bに溜まるグリスがボール部102の表面に付着する。ボール部102の表面に付着したグリスが、球形空間121の壁面121Fとボール部102の間の潤滑剤となる。
なお、グリス溜まり121bはボールシート12の底部12Dに形成される。したがって、グリス溜まり121bは開口部12Uと対向する位置に形成される。また、上下方向中心軸CLvは、開口部12Uの側からグリス溜まり121bの側に向かう球形空間121の中心軸になる。
球形空間121の開口部12Uは、上下方向中心軸CLvを中心とするロート状に形成され、外方に向かって広がるように傾斜する傾斜面121cを有する。
図4の(b)に二点鎖線で示すようにボールスタッド10が傾倒したときにスタッド部101が傾斜面121cに接触して、それ以上のボールスタッド10の傾倒が抑制される。つまり、傾斜面121cはボールスタッド10が傾倒する範囲を規制する。
図4の(b)に示すように、ボールスタッド10は、実線で示す正立状態から、破線で示すように、傾斜面121cで規制される状態まで自在に傾倒する。本実施形態においては、スタッド部101の中心軸CL1(ボールスタッド10の中心軸とする)が、球形空間121の上下方向中心軸CLvと一致する状態を正立状態とする。
以下、スタッド部101の中心軸CL1と球形空間121の上下方向中心軸CLvがなす角度を傾倒角度θとする。そして、傾斜面121cで傾倒が規制された状態での傾倒角度θを最大傾倒角θmaxとする。つまり、ボールスタッド10は、傾倒角度θが最大傾倒角θmaxになるまで傾倒可能に構成される。なお、ボールスタッド10が正立した状態の傾倒角度θを0とする。したがって、ボールスタッド10が傾倒する範囲は、傾倒角度θが0から最大傾倒角θmaxまで変化する範囲となる。最大傾倒角θmaxは、車両(図示せず)に要求される操舵安定性や乗り心地に応じて適宜決定される。換言すると、スタビリンク1(図1参照)に対する要求仕様として最大傾倒角θmaxが決定される。
また、本実施形態のボールスタッド10のボール部102は、スタッド部101が形成される側、及び、対向する側に平面部が形成される。つまり、ボール部102には、中心軸CL1の軸方向における両端に平面部が形成されている。スタッド部101側の平面部を開口側平面部102a(図4の(b)参照)とする。また、開口側平面部102aと対向する平面部(底部12D側の平面部)を底側平面部102b(図4の(b)参照)とする。2つの平面部(開口側平面部102a,底側平面部102b)は、中心軸CL1と直交する平面になる。
図4の(b)に実線で示すように、ボールスタッド10が正立した状態で、開口側平面部102aは開口部12Uを臨み、球形空間121に入り込んでいない。また、ボールスタッド10が正立した状態で、底側平面部102bはグリス溜まり121bを臨み、球形空間121に入り込んでいない。
また、図4の(b)に二点鎖線で示すように、傾倒角度θが最大傾倒角θmaxとなった状態(ボールスタッド10の傾倒が傾斜面121cで規制された状態)で、開口側平面部102aが球形空間121に入り込んでいないことが好ましい。さらに、傾倒角度θが最大傾倒角θmaxとなった状態で、底側平面部102bが球形空間121に入り込んでいないことが好ましい。つまり、開口側平面部102aと底側平面部102bが球形空間121に入り込むことなく、ボールスタッド10が傾倒する。換言すると、ボールスタッド10が傾倒する範囲で、平面部(開口側平面部102a,底側平面部102b)が球形空間121に入り込まない。
図6は、開口側平面部が球形空間に入り込んだ状態を示す図である。
本実施形態においては、図6に示すように開口側平面部102aの少なくとも一部が球面形状の壁面121Fで囲まれた領域に入り込んだ状態を、開口側平面部102aが球形空間121に入り込んだ状態とする。同様に、底側平面部102bが球形空間121を形成する球面形状の壁面121Fで囲まれた領域に入り込んだ状態を、底側平面部102bが球形空間121に入り込んだ状態とする。
2つの平面部(開口側平面部102a,底側平面部102b)の少なくとも一方が球形空間121に入り込んた状態と、2つの平面部が球形空間121に入り込まない状態では、ボールスタッド10(ボール部102)がボールシート12(壁面121F)に摺接する面積が異なる。
したがって、ボールスタッド10の傾倒で2つの平面部の少なくとも一方が球形空間121に入り込むと、ボールスタッド10が正立した状態と傾倒した状態で、ボール部102とボールシート12の間の摩擦が異なる。
これに対し、本実施形態では、開口側平面部102aと底側平面部102bが球形空間121に入り込むことなくボールスタッド10が傾倒する。このため、ボールスタッド10が正立した状態と傾倒した状態で、ボール部102とボールシート12の間の摩擦が一定になる。したがって、傾倒角度θが変化してもボールスタッド10の傾倒に要するトルクは変化しない。換言すると、ボールスタッド10は一定のトルクで傾倒(動作)する。
また、図6に示すように、球形空間121の壁面121Fはボール部102で押圧される。一方、開口側平面部102aが球形空間121に入り込んだ部分は壁面121Fが押圧されない。そして、x1部に示すように、ボール部102で押圧される部分は僅かに壁面121Fが変形する。このため、開口側平面部102aの端辺が壁面121Fを摺動するときに抵抗が生じ、ボールスタッド10の滑らかな傾倒が阻害される。底側平面部102bが球形空間121に入り込んだ場合も同様にボールスタッド10の滑らかな傾倒が阻害される。しかしながら、本実施形態では、開口側平面部102a及び底側平面部102bが球形空間121に入り込まない。このため、ボールスタッド10の滑らかな傾倒は阻害されない。
さらに、ボール部102の平面部(開口側平面部102a,底側平面部102b)が球形空間121に入り込むとき、平面部の端辺が壁面121Fに接する瞬間にショックが生じる場合がある。このようなショックがサスペンション装置3(図1参照)等を介して車体(図示せず)に伝達されると乗り心地の低下につながる。
本実施形態では、開口側平面部102aと底側平面部102bが球形空間121に入り込まないため、ボールスタッド10の傾倒(動作)によるショックは生じない。したがって、ボールスタッド10が傾倒しても乗り心地は低下しない。
以上のように、本実施形態のスタビリンク1(図1参照)は、図4の(b)に示すように、ハウジング11にボールシート12が収容された接続部1bを有する。そして、ボールシート12の球形空間121に、ボールスタッド10のボール部102が転動自在に収容されている。
球形空間121を形成する壁面121Fには、最大内径部を中心とする幅Wdの凹溝121aが形成されている。
この構成によって、ボール部102と壁面121Fの間の摩擦が好適に管理される。また、ボール部102と壁面121Fの間のガタつきが効果的に抑制される。
また、ボール部102には、中心軸CL1の軸方向における両端に平面部(開口側平面部102a,底側平面部102b)が形成されている。この構成によって、ボール部102が軽量化され、ひいては、スタビリンク1(図1参照)が軽量化される。
そして、ボールスタッド10が傾倒する範囲では、開口側平面部102a及び底側平面部102bが球形空間121に入り込まない。この構成によって、ボールスタッド10の滑らかな傾倒(動作)が確保される。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、図4の(a)に示すように、本実施形態の凹溝121aは断面形状が矩形となっている。しかしながら、凹溝121aの断面形状は矩形に限定されない。例えば、壁面121Fが円弧状に窪んだ断面形状の凹溝121aであってもよい。
また、図4の(a)には1本の凹溝121aが形成されている。この構成に限定されず、2本以上の凹溝121aが形成されている構成であってもよい。
また、最大内径部からずれた位置(開口部12Uの側、又は、底部12Dの側)に凹溝121aが形成されている構成であってもよい。
また、図4の(a)に示すように、凹溝121aの球形空間121側の端辺が所定の面取り角度θcで面取りされている。この構成に替わり、凹溝121aの球形空間121側の端辺が曲面に面取りされる構成(R面取り)であってもよい。
また、図4の(a)に示すように、本実施形態のボールシート12は、熱カシメでハウジング11に固定されているが、他の方法(圧入、接着等)でボールシート12がハウジング11に固定される構成であってもよい。
また、図3に示すように、本実施形態のハウジング11にはボールシート12が収容され、ボールシート12に球形空間121が形成されている。しかしながら、ハウジング11に球形空間121が形成され、この球形空間121にボールスタッド10のボール部102が収容される構成であってもよい。つまり、ボールシート12が備わらない構成であってもよい。このような構成であれば、簡素な構造のハウジング11とすることができる。
また、スタビリンク1(図3参照)は、サポートバー1aの両端にボールジョイント構造の接続部1bが備わる構成に限定されない。例えば、サポートバー1aの一端のみにボールジョイント構造の接続部1bが備わる構成であってもよい。この場合、他端には別の構造(例えば、ボールブッシュ構造)の接続部が備わる構成であってもよい。
1 スタビリンク(リンクアーム部材)
1a サポートバー(アーム部)
1b 接続部(ボールジョイント構造の接続部)
2 スタビライザ装置(第1の構造体)
3 サスペンション装置(第2の構造体)
10 ボールスタッド
11 ハウジング
12 ボールシート(支持部材)
12a 本体部
12D 底部
12U 開口部
101 スタッド部
102 ボール部(球体部)
102a 開口側平面部(平面部)
102b 底側平面部(平面部)
121 球形空間
121a 凹溝
121b グリス溜まり(潤滑剤受け部)
121F 壁面
CL1 中心軸(スタッド部の中心軸)
CLv 上下方向中心軸(球形空間の中心軸)

Claims (7)

  1. アーム部の両端に接続部が配設されて、一方の前記接続部が第1の構造体に固定され、他方の前記接続部が第2の構造体に固定され、
    前記接続部の少なくとも一方がボールジョイント構造になっているリンクアーム部材であって、
    前記ボールジョイント構造の接続部は、前記第1の構造体又は前記第2の構造体に固定されるボールスタッドを傾倒可能に支持するハウジングを有し、
    前記ボールスタッドは、球体部からスタッド部が延設されて形成され、
    前記ハウジングは、球形空間に前記球体部を摺動可能に収容する支持部材を有して前記ボールスタッドを支持し、
    前記支持部材は、熱可塑性の樹脂製であって射出成形され、前記スタッド部が配置される側で前記球形空間が開口する開口部と、前記開口部と対向する底部に形成される凹状の潤滑剤受け部と、を有し、
    前記支持部材の前記球形空間を形成する壁面には、前記開口部の側から前記潤滑剤受け部の側に向かう前記球形空間の中心軸を軸とする最大内径部を中心に所定の幅で凹んだ凹溝が周回に形成され、
    前記凹溝は、前記射出成形に使用する金型に形成される凸型によって前記射出成形時に形成され、
    前記凹溝の幅は、前記球体部を前記球形空間内で摺動させるのに要するトルクが、あらかじめ設定されている所定範囲となるように決定され
    前記凹溝の深さは、前記最大内径部の位置における深さ以上であり、
    前記凹溝の前記球形空間側の端辺は、当該凹溝の側から前記開口部及び前記底部の側に、前記金型が抜けるように傾斜していることを特徴とするリンクアーム部材。
  2. 前記凹溝の前記球形空間側の端辺が面取りされていることを特徴とする請求項1に記載のリンクアーム部材。
  3. 前記凹溝の深さが0.1mm〜0.2mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリンクアーム部材。
  4. 前記ハウジングがカップ状を呈し、
    前記支持部材は、本体部が前記ハウジングに収容されて熱カシメされ、
    前記本体部の内側に前記球形空間が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のリンクアーム部材。
  5. 前記球体部は、前記スタッド部の中心軸の軸方向における両端が平面状に形成されて2つの平面部を有し、
    前記ボールスタッドが傾倒する範囲で、前記2つの平面部がそれぞれ前記開口部と前記潤滑剤受け部を臨んで前記球形空間に入り込まないことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のリンクアーム部材。
  6. 前記球体部と前記壁面が摺接する面積が、前記凹溝が形成されない場合の60%〜70%になっていることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のリンクアーム部材。
  7. 前記第1の構造体が車体のロール剛性を高めるスタビライザ装置で、
    前記第2の構造体が前記車体の振動を減衰するサスペンション装置であって、
    前記スタビライザ装置と前記サスペンション装置を連結することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のリンクアーム部材。
JP2014028984A 2014-02-18 2014-02-18 リンクアーム部材 Active JP5728103B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014028984A JP5728103B1 (ja) 2014-02-18 2014-02-18 リンクアーム部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014028984A JP5728103B1 (ja) 2014-02-18 2014-02-18 リンクアーム部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5728103B1 true JP5728103B1 (ja) 2015-06-03
JP2015152153A JP2015152153A (ja) 2015-08-24

Family

ID=53437899

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014028984A Active JP5728103B1 (ja) 2014-02-18 2014-02-18 リンクアーム部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5728103B1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108819128A (zh) * 2018-06-01 2018-11-16 象山华鼎塑料制品有限公司 一种塑料弹簧成型模具
CN113994111A (zh) * 2019-07-17 2022-01-28 日本发条株式会社 球座、球窝接头以及球窝接头的制造方法

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5923189B1 (ja) 2015-02-17 2016-05-24 日本発條株式会社 スタビリンク
JP6204521B2 (ja) 2016-03-17 2017-09-27 日本発條株式会社 ボールジョイント、及びこれを用いたスタビリンク
JP6832206B2 (ja) 2017-03-29 2021-02-24 日本発條株式会社 ボールジョイント、及びこれを用いたスタビリンク
JP7181149B2 (ja) * 2019-04-12 2022-11-30 日本発條株式会社 ボールジョイントのボールシート固定構造及びボールシート固定方法
JP7402506B2 (ja) * 2020-01-29 2023-12-21 株式会社ソミックマネージメントホールディングス ボールジョイント
JP7449765B2 (ja) 2020-04-10 2024-03-14 株式会社Dnpファインケミカル 感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置
KR20230079024A (ko) 2020-09-29 2023-06-05 가부시키가이샤 디엔피 파인 케미칼 광경화성 착색 수지 조성물, 경화물, 컬러 필터, 표시 장치

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55161916U (ja) * 1979-05-09 1980-11-20
JPH0972330A (ja) * 1995-08-31 1997-03-18 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd ボールジョイント
JPH11101220A (ja) * 1997-09-29 1999-04-13 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd ボールジョイント
JP2011169353A (ja) * 2010-02-16 2011-09-01 Nhk Spring Co Ltd ボールジョイント装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55161916U (ja) * 1979-05-09 1980-11-20
JPH0972330A (ja) * 1995-08-31 1997-03-18 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd ボールジョイント
JPH11101220A (ja) * 1997-09-29 1999-04-13 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd ボールジョイント
JP2011169353A (ja) * 2010-02-16 2011-09-01 Nhk Spring Co Ltd ボールジョイント装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108819128A (zh) * 2018-06-01 2018-11-16 象山华鼎塑料制品有限公司 一种塑料弹簧成型模具
CN113994111A (zh) * 2019-07-17 2022-01-28 日本发条株式会社 球座、球窝接头以及球窝接头的制造方法
CN113994111B (zh) * 2019-07-17 2023-09-15 日本发条株式会社 球座、球窝接头以及球窝接头的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015152153A (ja) 2015-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5728103B1 (ja) リンクアーム部材
WO2016132885A1 (ja) スタビリンク
US9027912B2 (en) Vibration damping device
WO2017057371A1 (ja) ボールジョイント
WO2018181035A1 (ja) ボールジョイント、これを用いたスタビリンク、及びスタビリンク付きスタビライザ
JP2008075682A (ja) ボールジョイントのベアリングシート及びボールジョイント
JP6223052B2 (ja) ダンパ取付装置
KR101077632B1 (ko) 차량의 콘트롤암
WO2021152941A1 (ja) ボールジョイント
JP4430408B2 (ja) ボールジョイント
JP5803854B2 (ja) ヘッドレスト支持構造
JP3938711B2 (ja) 防振装置
JP5396252B2 (ja) 筒形防振装置
JP5860273B2 (ja) スタビライザブッシュおよび軸受装置
JP4100298B2 (ja) ゴムブッシュ
KR20160060175A (ko) 요크 유격 보상장치
JP2020122532A (ja) ボールジョイント構造
JP2021089051A (ja) ブラケット付き筒型防振装置
JP2019211058A (ja) ボールジョイント
JP2002120533A (ja) 防振装置
JP2002103936A (ja) トーコレクトブッシュおよびそれを用いたサスペンション機構
JP2002096616A (ja) トーコレクトブッシュおよびそれを用いたサスペンション機構
JP2011255797A (ja) フロント用ダブルウィッシュボーンサスペンション

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150324

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5728103

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250