以下、本発明に係る画像取得システムの好適な実施の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム(画像取得システム)10(以下、「撮影システム10」ともいう)が設置された手術室12には、患者14が横臥するベッドである手術台16と、医師18が手術に使用する各種器具を載置する器具台20とが配置されている。また、手術台16の周りには、図示しない麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される。
撮影システム10は、撮影条件に従った線量の放射線(エネルギ)Xを被写体である患者14に照射する撮影装置(エネルギ照射装置、放射線照射装置)22と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器(画像取得部)40(図2参照)を内蔵した放射線検出装置(画像取得装置)である電子カセッテ24と、電子カセッテ24に内蔵されたバッテリ44(図2参照)へと電力を無線(非接触)で供給する給電装置(非接触給電装置、無線給電装置)25と、放射線検出器40で検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、当該撮影システム10を総合的に制御するコンソール(制御装置)28とを備える。撮影システム10において、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)を用いた無線通信により信号の送受信を行うことができる。
また、給電装置25と電子カセッテ24との間は非接触状態であるため、前述のように、給電装置25から電子カセッテ24(のバッテリ44)への電力の給電方式としては、非接触(無線)で電力供給を行う非接触給電方式が採用される。
具体的に、前記非接触給電方式には、(1)マイクロ波帯の電磁波を利用して給電装置25から電子カセッテ24に対して電力供給を行うマイクロ波給電方式、(2)給電装置25に設けられたコイルと電子カセッテ24に設けられたコイルとを近接させた状態で電磁誘導により電力供給を行う電磁誘導方式、(3)給電装置25と電子カセッテ24との間での電磁界の共鳴現象を利用して電力供給を行う共鳴方式、等がある。
また、(3)の共鳴方式についても、給電装置25のコイルと電子カセッテ24のコイルとの共鳴周波数を略同一とし、送信側の給電装置25のコイルが手術室12内の所定空間に高周波電力による電磁界を形成し、一方で、受信側の電子カセッテ24のコイルを前記電磁界内に配置することにより、前記高周波電力の受電を可能とする磁気共鳴方式等がある。
なお、給電装置25から電子カセッテ24への非接触給電(マイクロ波給電方式、電磁誘導方式、共鳴方式、磁気共鳴方式)としては、公知の非接触給電方式を採用することが可能である。
以下の説明では、特に断りがない限り、給電装置25から電子カセッテ24のバッテリ44への給電は、非接触給電方式の一つである磁気共鳴方式により行われるものとして説明する。
撮影装置22は、天井から延びた自在アーム30に連結され、患者14の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であると共に、医師18による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、給電装置25は自在アーム31に連結され、電子カセッテ24の配置に応じた所望の位置に移動可能である。表示装置26は自在アーム32に連結され、表示される放射線画像を医師18が容易に確認できる位置に移動可能である。自在アーム30〜32は、壁や床又は移動可能なワゴン等に設けてもよく、給電装置25や表示装置26は、自在アームを介さずに天井や壁、床等に固定しておいてもよい。なお、給電装置25は、放射線検出装置(電子カセッテ24等)へ印加する磁場M(高周波電力による電磁界)が患者14を避けるように、例えば、当該放射線検出装置の側面水平方向(図1及び図14参照)や底面下方(図15参照)等に配置されることが好ましい。
図2は、図1の電子カセッテ24の一部切断斜視説明図である。電子カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなる箱状のケーシング34を備える。ケーシング34の内部には、放射線Xが照射される照射面36側から順に、患者14による放射線Xの散乱線を除去するグリッド38と、患者14を透過した放射線Xを検出する放射線検出器(放射線変換パネル)40と、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板42とが層状に配設される。ケーシング34の照射面36をグリッド38として構成することもできる。
また、電子カセッテ24には、電源部として機能するバッテリ44と、バッテリ44からの電力によって放射線検出器40の駆動制御等を行うカセッテ制御部46と、放射線検出器40で検出した放射線Xの情報(放射線画像情報)を含む信号をコンソール28との間で無線によって送受信する送受信機48とが備えられる。バッテリ44、カセッテ制御部46及び送受信機48には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、照射面36側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。さらに、電子カセッテ24には、給電装置25で電気エネルギ(高周波電力)から変換され、非接触給電(無線)によって印加される磁場(磁界、磁束)Mを受電し、該磁場Mを電気エネルギに再変換する無線受電部(非接触受電部)49等が設けられる。
図3は、放射線検出器40の回路構成ブロック図である。放射線検出器40は、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層51を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)52のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量(蓄積部)53に蓄積した後、各行毎にTFT52を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層51及び蓄積容量53からなる1つの画素50と1つのTFT52との接続関係のみを示し、その他の画素50の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、電子カセッテ24内に放射線検出器40を冷却する手段を配設することが好ましい。
各画素50に接続されるTFT52には、行方向と平行に延びるゲート線54と、列方向と平行に延びる信号線56とが接続される。各ゲート線54は、ライン走査駆動部58に接続され、各信号線56は、読取回路を構成するマルチプレクサ66に接続される。
ゲート線54には、行方向に配列されたTFT52をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部58から供給される。この場合、ライン走査駆動部58は、ゲート線54を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。
また、信号線56には、列方向に配列されたTFT52を介して各画素50の蓄積容量53に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路64を介してマルチプレクサ66が接続される。マルチプレクサ66は、信号線56を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ68とを備える。アドレスデコーダ68には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ66には、A/D変換器70が接続され、該A/D変換器70によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部46に供給される。
スイッチング素子として機能するTFT52は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
図4は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25、表示装置26及びコンソール28からなる撮影システム10のブロック説明図である。
コンソール28には、病院内の放射線科で取り扱われる放射線画像情報やその他の情報、例えば、患者14毎の撮影回数(撮影枚数、曝射回数)等のオーダ情報(オーダリング情報)を記憶すると共に、これら各情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS、情報管理システム)29が接続される。さらに、RIS29には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)33が接続される。HIS33にRIS29の機能を統合的に付与した総合的なシステムとして構成することもできる。
撮影装置22は、撮影スイッチ72と、放射線源74と、送受信機76と、線源制御部78とを有する。送受信機76は、無線通信によってコンソール28から撮影条件を受信する一方、コンソール28に対して撮影完了信号等を送信する。線源制御部78は、撮影スイッチ72から供給される撮影開始信号及びコンソール28から供給される撮影条件に基づき放射線源74を駆動制御する。放射線源74は、線源制御部78からの制御に基づき放射線Xを出力する。
給電装置25は、図示しない外部電源等に接続された電源80と、無線通信によってコンソール28から給電開始信号等を受信する一方、コンソール28に対して当該給電装置25のID情報(識別データ)等を送信する送受信機82と、電源80からの電気エネルギを磁場Mに変換して電子カセッテ24へと非接触(無線)で送電するLC共振器(送電部)84と、コンソール28から供給される給電開始信号に基づきLC共振器84を駆動制御する給電制御部86とを備える。
図5は、本実施形態に係る放射線検出装置としての電子カセッテ24の構成をより具体的に示した撮影システム10のブロック説明図である。
図4及び図5に示すように、電子カセッテ24は、放射線検出器40と、バッテリ44と、無線受電部49と、カセッテ制御部46と、送受信機48とを備える。
バッテリ44は、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池で構成され、放射線検出器40、カセッテ制御部46及び送受信機48等、電子カセッテ24の各部に電力を供給する電源である。バッテリ44としては、2次電池以外にも、例えば、電気二重層コンデンサ等の蓄電素子を使用することもでき、要は、充電可能であり且つ電子カセッテ24の電源として適切に機能するものであればよい。
無線受電部49は、給電装置25から非接触(無線)で供給される電力を受電し、バッテリ44へと供給(充電)する機能を奏する。該無線受電部49は、給電装置25のLC共振器84から印加される磁場Mを受けて電気エネルギ(高周波電力)に再変換するLC共振器88と、LC共振器88で再変換された電気エネルギを所望の電力に変換してバッテリ44への供給する充電回路90とを有する。なお、LC共振器88は、コイルとコンデンサとを有するLC共振回路から構成される。また、充電回路90は、LC共振器88で発生した電流を整流して、例えば、所定の定電流でバッテリ44を充電する。
さらに、無線受電部49には、LC共振器88と並設され、該LC共振器88より小型の検出用LC共振器94と、検出用LC共振器94で再変換された電気エネルギを検出するエネルギ検出部96とが備えられる。なお、検出用LC共振器94も、LC共振器88と同様に、コイルとコンデンサとを有するLC共振回路から構成される。また、エネルギ検出部96は、前記電気エネルギを検出することにより、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内にあることを検出し、カセッテ制御部46へと給電エリア検出信号を送信する。
上記のように、給電装置25から電子カセッテ24に対しては、コイルとコンデンサを有するLC共振回路で構成されたLC共振器84からLC共振器88への磁場Mの共鳴(磁気共鳴)を利用する公知の電力送信技術を用い、非接触(無線)による給電(充電)を行うことができる。
図5に示すように、カセッテ制御部46は、アドレス信号発生部98と、画像メモリ100と、運転管理部102と、カセッテIDメモリ104と、データ管理部106とを備える。アドレス信号発生部98は、放射線検出器40を構成するライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60及びマルチプレクサ66のアドレスデコーダ68に対して、アドレス信号を供給する。画像メモリ100は、放射線検出器40によって検出された放射線画像情報を記憶する。すなわち、画像メモリ100には、放射線検出器40に照射され、信号電荷として蓄積された後、読み出されてデジタル信号に変換された放射線画像情報が保存される。
運転管理部102は、無線受電部49及びバッテリ44を駆動制御すると共に、当該電子カセッテ24全体の駆動も制御する。さらに、運転管理部102には、A/D変換終了判定部107と、充電制御部108と、撮影制御部109とが設けられる。
A/D変換終了判定部107は、A/D変換器70による放射線画像情報のA/D変換が終了したか否かを判定する。充電制御部108は、撮影装置22による撮影開始前に給電装置25から当該電子カセッテ24への給電(充電)を禁止する信号(給電禁止信号、充電禁止信号)を発生すると共に、A/D変換終了判定部107でA/D変換が終了したと判定された場合に、給電装置25から当該電子カセッテ24への給電(充電)を許可する信号(給電許可信号、充電許可信号)を発生する。このような充電制御部108は、各信号にそれぞれ対応する複数の制御部(信号発生部)として構成することもできる。撮影制御部109は、撮影装置22による撮影を許可及び禁止する制御信号(撮影許可信号、撮影禁止信号)等を発生する。
充電制御部108で発せられた給電禁止信号や給電許可信号、及び、撮影制御部109で発せられた撮影許可信号や撮影禁止信号は、送受信機48を介してコンソール28へと送信される。コンソール28では、これら各信号を受信すると、給電装置25からの非接触給電(無線給電)の禁止(停止)制御や開始(再開)制御、及び、撮影装置22からの撮影の許可(開始)制御や禁止(停止)制御を実施する。なお、コンソール28を介さず、給電禁止(許可)信号や撮影許可(禁止)信号を電子カセッテ24から給電装置25へと直接的に送信し、例えば、給電制御部86や線源制御部78によって給電禁止(開始)制御や撮影開始(禁止)制御を行うように構成してもよい。
カセッテIDメモリ104は、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報を記憶する。データ管理部106は、当該電子カセッテ24の給電に対応する給電装置25を特定するためのID情報(識別データ)及びエネルギ検出部96からの給電エリア検出信号等を管理する。
送受信機48は、無線通信によりコンソール28から送信要求信号及び給電装置25のID情報を受信する一方、コンソール28に対して、放射線画像情報、カセッテID情報、無線給電可能信号、給電禁止信号、給電許可信号、撮影許可信号及び撮影禁止信号等を送信する。
図4に示すように、表示装置26は、コンソール28から放射線画像情報を受信する受信機110と、受信した放射線画像情報の処理を行う表示制御部112と、表示制御部112で処理された放射線画像情報を表示する表示部114とを備える。
コンソール28は、送受信機116と、撮影条件管理部118と、画像処理部120と、画像メモリ122と、患者情報管理部124と、カセッテ情報管理部126と、給電情報管理部128とを備える。なお、コンソール28は、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26に対して信号の送受信を確実に行うことができるのであれば、手術室12の外部に設置してもよい。
送受信機116は、当該コンソール28と、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及び表示装置26との間で、放射線画像情報や給電禁止(許可)信号、撮影許可(禁止)信号を含む必要な情報を無線通信によって送受信する。撮影条件管理部118は、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理すると共に、さらに、撮影制御部109からの撮影許可信号や撮影禁止信号に基づく撮影装置22の撮影開始制御や撮影禁止制御を行う。画像処理部120は、電子カセッテ24から受信した放射線画像情報に対し、所定の画像処理を行う。画像メモリ122は、画像処理部120で処理された放射線画像情報を記憶する。患者情報管理部124は、撮影対象である患者14の患者情報を管理する。カセッテ情報管理部126は、電子カセッテ24から受信した無線給電可能信号やカセッテID情報を含むカセッテ情報を管理する。給電情報管理部128は、給電装置25の運転制御や給電装置25から送信されたID情報等の管理等を行うと共に、さらに、充電制御部108からの給電禁止信号や給電許可信号に基づく給電装置25の給電禁止制御や給電開始制御(給電再開制御)を行う。
前記撮影条件とは、患者14の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件であり、例えば、撮影部位、撮影方法等の条件を挙げることができる。さらに、撮影条件としては、例えば、RIS29からのオーダ情報として、撮影回数等の条件が挙げられる。前記患者情報とは、患者14の氏名、性別、患者ID番号等、患者14を特定するための情報である。これらの撮影条件及び患者情報を含む撮影のオーダ情報は、コンソール28で直接設定し、あるいは、RIS29を介してコンソール28に外部から供給することができる。また、前記カセッテ情報には、電子カセッテ24を特定するためのカセッテID情報等に加え、データ管理部106からの無線給電可能信号も含まれる。
本実施形態に係る撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について図6のフローチャートを参照して説明する。
撮影システム10は、手術室12に設置されており、例えば、手術中に放射線画像の撮影が必要となった際に使用される。そのため、撮影対象である患者14の患者情報や撮影枚数等は、撮影に先立ち、コンソール28の患者情報管理部124に予め登録しておく。また、撮影部位や撮影方法が事前に決まっている場合には、これらの撮影条件を撮影条件管理部118に予め登録しておく。これらの登録は、RIS29から情報を取得して行うことができる。以上の準備作業が終了した状態で患者14に対する手術が遂行される。
先ず、図6のステップS1において、手術中に放射線画像の撮影を行う際には、医師18又は担当する放射線技師は照射面36を撮影装置22側に向けた状態で、患者14と手術台16との間の所望の位置に電子カセッテ24を設置する。
ここで、コンソール28の運転開始と連動して、又は図示しない運転開始スイッチの操作等により、給電装置25が所定の運転条件(第1の運転条件、低出力運転)で駆動される。従って、電子カセッテ24は、無線受電部49の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96により、当該電子カセッテ24が給電装置25の給電可能エリア内に配置されたことを検出することができる。すなわち、エネルギ検出部96が、電子カセッテ24が給電装置25から受電可能なエリアにあるか否かを検出する受電可否検出部として機能する。この際、給電装置25の給電制御部86は、電子カセッテ24の検出用LC共振器94及びエネルギ検出部96がLC共振器84からの磁場Mの有無を検出できる程度の弱い磁場(第1の磁場)Mを印加する低出力運転を行い、電力消費量を有効に抑えている。
一方、電子カセッテ24では、エネルギ検出部96からデータ管理部106へと給電エリア検出信号が供給される。給電エリア検出信号を受けたデータ管理部106は、給電情報管理部128に記憶された給電装置25のID情報をコンソール28から受信する一方、無線給電可能信号をコンソール28のカセッテ情報管理部126へと送信する。
前記給電エリア検出信号は、さらに、エネルギ検出部96から運転管理部102にも伝達される。給電エリア検出信号を受けた運転管理部102では、当該電子カセッテ24を使用可能な状態へと電源ONし、これにより撮影準備が完了される。勿論、電子カセッテ24の側面等に、医師18等が操作する図示しない電源スイッチを設けることもできる。
撮影システム10では、上記のような撮影準備が完了した後、ステップS2において、カセッテ制御部46又はカセッテ情報管理部126によるバッテリ44の残量管理下に、当該バッテリ44の充電が必要と判断された場合には(ステップS2のNO)、給電開始信号がコンソール28のカセッテ情報管理部126から給電装置25の給電制御部86へと送信される。これにより、撮影システム10では、給電装置25による所望の電力量及びタイミングでの電子カセッテ24への給電(充電)を行うことができる(ステップS3)。なお、手術中、バッテリ44の残量が不足した際等には、電子カセッテ24を所定の撮影位置に配置した状態のまま適宜充電することができる。勿論、撮影準備中(電子カセッテ24の設置作業中)や撮影開始前であっても、バッテリ44の残量が不足している場合には、手術開始前や手術開始後において、すぐに非接触充電(無線充電)を実行し、迅速に撮影準備を完了することができる。
電子カセッテ24への非接触給電(無線給電)に際しては、LC共振器84から電子カセッテ24へと印加される磁場Mを、前記低出力運転よりも十分に強い磁場(第2の磁場)Mに変更した所定の運転条件(第2の運転条件、高出力運転、給電運転)で給電装置25を駆動制御するとよい。また、電子カセッテ24では、LC共振器88と共に、検出用LC共振器94で受けた電力も充電回路90からバッテリ44への充電に使用して、バッテリ44の一層急速な充電を行うこともできる。
撮影システム10では、上記のようにコンソール28を介して電子カセッテ24と給電装置25との間で対応する給電装置25のID情報を確認できる。このため、例えば、給電装置を複数台設置した場合にも、対応する所望の給電装置から電子カセッテ24へと適切に且つ選択的に給電運転を行うことができ、無駄な電力消費や誤動作等を回避することができる。
ステップS2において、バッテリ44が十分な残量を有していると判断されると(ステップS2のYES)、続いて、充電制御部108から給電禁止信号が発せられると共に(ステップS4)、撮影制御部109から撮影許可信号が発せられる(ステップS5)。従って、コンソール28(撮影条件管理部118及び給電情報管理部128)の制御下に、給電装置25が給電禁止状態とされる一方、撮影装置22が撮影可能な撮影開始待機状態とされる。これにより、放射線画像の撮影中に非接触給電(無線給電)が実施され、例えば、バッテリ44から放射線検出器40に供給される電圧等が不安定となって大きく変動し、また、給電装置25から印加される磁場M等に起因したノイズが放射線検出器40側に影響を及ぼすことで撮影された放射線画像にノイズが混入し、放射線画像の品質が低下することを有効に回避することができる。
ステップS6において、医師18又は放射線技師は、撮影装置22を電子カセッテ24に対向する位置に移動させた後、撮影スイッチ72を操作して、放射線画像の撮影を行う。この場合、撮影スイッチ72は、例えば2段階で構成され、1段目のスイッチが操作されることにより放射線源74が所定の管電流等に起動されて照射準備がなされ、2段目のスイッチが操作されることにより放射線Xが照射される。
すなわち、医師18等による撮影スイッチ72の操作に基づき、撮影装置22の線源制御部78は、コンソール28に対して撮影条件の送信を要求する信号を送信する。コンソール28は、受信した前記要求に基づいて、撮影条件管理部118に登録されている当該患者14の撮影部位に係る撮影条件や撮影枚数を撮影装置22へと送信する。線源制御部78は、前記撮影条件を受信すると、当該撮影条件に基づいて放射線源74を制御し、所定の線量からなる放射線Xを患者14に照射(曝射)する。勿論、前記撮影条件は、予めコンソール28から線源制御部78の図示しないメモリ等に送信されていてもよい。
患者14を透過した放射線Xは、電子カセッテ24のグリッド38によって散乱線が除去された後、放射線検出器40に照射され、放射線検出器40を構成する各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換された後、蓄積容量53に電荷として保持される(図3参照)。次いで、各蓄積容量53に保持された患者14の放射線画像情報である電荷情報(信号電荷)は、カセッテ制御部46を構成するアドレス信号発生部98からライン走査駆動部58及びマルチプレクサ66に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
すなわち、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線54に接続されたTFT52のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ66のアドレスデコーダ68は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部58によって選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して順次読み出す。
放射線検出器40の選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路64によってサンプリングされ、マルチプレクサ66を介してA/D変換器70に供給され、デジタル信号へとA/D変換される(ステップS7)。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部46の画像メモリ100に一旦記憶される。
同様にして、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部98から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線54に接続されている各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して読み出し、マルチプレクサ66及びA/D変換器70を介してA/D変換し(ステップS7)、カセッテ制御部46の画像メモリ100に記憶させる。
画像メモリ100に記憶された放射線画像情報は、無線通信によってコンソール28へと送信される。コンソール28に送信された放射線画像情報は、画像処理部120において所定の画像処理が施された後、患者情報管理部124に登録されている患者14の患者情報と関連付けられた状態で画像メモリ122に記憶される。
画像処理の施された放射線画像情報は、コンソール28から表示装置26へと送信される。放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部112によって表示部114を制御しつつ画像表示処理を行い、放射線画像を表示する。このため、医師18は、表示部114に表示された放射線画像を確認しながら手術を遂行することができる。
このような撮影システム10では、例えば、手術中に複数回の放射線画像撮影が行われ、電子カセッテ24のバッテリ44の残量が不足した場合であっても、給電装置25により電子カセッテ24への非接触給電(無線給電)ができるため、電子カセッテ24を所定の撮影位置に設置した状態のまま適宜充電を行うことができる。ところが、放射線画像の撮影中、特にA/D変換が終了するまでの間は、得られた放射線画像情報がアナログ信号であることから、上記した非接触給電(無線給電)によるノイズの影響を大きく受け、撮影された放射線画像に当該ノイズが混入し、品質の高い放射線画像の取得が困難となる可能性がある。
そこで、本実施形態に係る撮影システム10では、A/D変換終了判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を設け、少なくとも放射線検出器40で検出された放射線画像情報のデジタル信号への変換が完了するまでの間は非接触給電(無線給電)を禁止するように制御される。
すなわち、撮影システム10では、放射線画像の撮影に際し、医師18等によって撮影スイッチ72が操作され、又は、撮影装置22の線源制御部78によるコンソール28への撮影条件の送信要求がなされた際等、実質的な撮影準備が開始されると、コンソール28は、撮影装置22の制御を行うと同時に又は撮影装置22の制御に先立ち、電子カセッテ24に対しても撮影開始信号を送信してカセッテ制御部46を駆動制御し、当該電子カセッテ24を撮影準備完了状態とする(ステップS1、S2)。同時に、電子カセッテ24では、充電制御部108から給電禁止信号を発生すると共に、撮影制御部109から撮影許可信号を発生し、給電装置25を給電禁止状態とする一方、撮影装置22を撮影待機状態する(ステップS4、S5)。
続いて、撮影が開始されると(ステップS6)、放射線検出器40で検出された放射線画像情報がA/D変換器70によってA/D変換される(ステップS7)。このような放射線Xの照射及び検出した放射線画像情報のA/D変換は、予め設定された所定枚数の撮影(所定回数の曝射)が終了するまで行われる(ステップS8)。
そして、所定枚数の撮影が終了した場合には(ステップS8のYES)、ステップS9において、当該所定枚数の撮影直後のA/D変換が終了したか否かがA/D変換終了判定部107によって判定される。A/D変換終了判定部107で前記A/D変換が終了した、つまり、今回の撮影で得られた放射線画像情報のデジタル信号化が全て完了したものと判定されると(ステップS9のYES)、次に、ステップS10において、充電制御部108から給電許可信号が発せられる。
前記給電許可信号は、電子カセッテ24からコンソール28へと送信され、例えば給電情報管理部128の管理下に、給電装置25による給電を開始する制御、又は給電をすぐに開始できるように給電装置25を給電開始待機状態(給電再開待機状態)にする制御が行われる(ステップS12)。これにより、所定枚数の撮影の後、取得した全ての放射線画像情報のA/D変換が終了すると、迅速にバッテリ44への非接触給電(無線給電)を実施することができる(ステップS13)。なお、前記の給電開始待機制御を実施する場合には、例えば、コンソール28が前記給電許可信号を受信した状態で、ステップS11に示すように、カセッテ制御部46やカセッテ情報管理部126によるバッテリ44の残量を考慮した上で、続いて給電開始制御を実施するとよい。また、前記給電許可信号は、電子カセッテ24から給電装置25へとコンソール28を介さずに直接的に送信され、給電装置25の給電制御部86や電子カセッテ24のカセッテ制御部46によって給電開始制御や給電開始待機制御が実行されてもよい。
この場合、上記ステップS9でのA/D変換の終了判定は、例えば、患者14を透過した放射線Xが放射線検出器40に照射され、各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換された後、蓄積容量53に信号電荷として蓄積される期間(蓄積期間)、蓄積容量53に蓄積された電荷が読み取られる期間(読み取り期間)、及び、読み取られた電荷(アナログ信号)がA/D変換器70でデジタル信号へと変換される期間(A/D変換期間)の終了を判定条件とすると好適である。これら3つの期間は、特に画像信号(放射線画像情報)へのノイズの重畳による影響が顕著であるからである。すなわち、前記蓄積期間及び前記読み取り期間では、その電荷が微小であるためノイズの影響が大きく、また、デジタル信号への変換期間では、A/D変換前はデジタル信号に比べてノイズ耐性の低いアナログ信号であり、さらに当該アナログ信号に重畳したノイズがそのままデジタル信号に変換されて画像データに現れ易いためである。
前記蓄積期間の一部には、放射線源74から放射線Xを曝射する時間が含まれる。つまり、前記蓄積を開始し、可及的に早いタイミングで曝射開始し、曝射を停止した後、直ちに前記読み取り以降の動作が行われるとよく、これら各動作でのタイムラグを可及的に少なくすると、いわゆる暗電流の抑制に好適であり、得られる放射線画像の品質を一層向上させることができる。また、前記読み取り期間とは、TFT52をONして各増幅器62等を介してA/D変換器70へと信号が流れる期間であり、該読み取り期間と前記デジタル信号への変換期間とは時間軸的には略同時、実際には読み取り期間(の開始)が僅かに早く発生することになる。
上記ステップS9でのA/D変換の終了判定は、得られた放射線画像情報がA/D変換された後(前記A/D変換期間の終了後)、画像メモリ100への保存が終了した時点に設定されると一層好適である。そうすると、A/D変換ほどではないが、多少はノイズの影響を受けると考えられる画像メモリ100へのデータ転送時に、非接触給電(無線給電)によるノイズの影響が及ぶことを有効に避けることができ、データ化け等を惹起することを防止することができる。勿論、画像メモリ100から送受信機48、116によるデータ送信完了時をA/D変換の終了時点と判定し、非接触給電(無線給電)によるノイズの影響を一層確実に回避するように制御することもできる。
なお、上記ステップS10での給電許可信号の発生は、上記ステップS9でのA/D変換終了後であれば、例えば、当該デジタル信号の電子カセッテ24からコンソール28への送信が完了した後等、所定のタイミングで実施可能であることは言うまでもない。
このように、撮影システム10では、撮影中に給電禁止制御を実施した場合であっても(ステップS4)、ノイズの影響が比較的少ないA/D変換終了後には、迅速にバッテリ44への給電を開始(再開)することができる(ステップS10〜S13)。このため、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減り、次回の撮影前に迅速に充電をしておきたい場合等に、特に有効である。なお、上記したステップS1〜S13による撮影や給電が終了した後、再び撮影を行う予定がある場合等には、ステップS13(ステップS11)の終了後、ステップS1等の各手順へと戻ればよい。
なお、このような撮影システム10では、バッテリ44への充電は、コンソール28の制御下に撮影時以外に適宜行うように構成してもよいことは言うまでもない。
以上のように、本実施形態に撮影システム10では、電子カセッテ24を患者14に対して所望の撮影位置に設置した状態であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。このため、手術中に電子カセッテ24のバッテリ44への充電が必要となった場合であっても、当該電子カセッテ24を移動等させることなく充電を行うことができ、当該電子カセッテ24及び撮影システム10全体の取り扱い性を向上させることができる。さらに、電子カセッテ24のバッテリ44の残量不足による撮影及び手術の中断・延長を有効に回避することができる。
また、撮影システム10(電子カセッテ24)では、A/D変換終了判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を備え、撮影開始前に給電禁止信号が発せられると共に、A/D変換が終了すると給電許可信号が発せられる。従って、少なくとも放射線検出器40で検出された放射線画像情報のデジタル信号への変換が完了するまでの間は非接触給電(無線給電)が禁止されるため、特にノイズの影響を受け易いアナログ信号での放射線画像情報に、給電装置25からの非接触送電(無線送電)に起因したノイズが影響を及ぼすことを防止して、高品質な放射線画像の取得が可能になる。しかも、充電制御部108から給電禁止信号が発生されると、撮影制御部109から撮影許可信号が発せられるため、一層確実に撮影中の給電を禁止することができる。
さらに、前記ノイズの影響を比較的受けにくいA/D変換終了後には、充電制御部108からの給電許可信号の発生により迅速に給電を開始(再開)できることから、例えば、撮影で使用されてバッテリ44の残量が大幅に減った場合であっても、撮影終了後に迅速に充電を行い、次の撮影に備えることができる。
撮影システム10では、対応する給電装置25の給電可能エリア内に電子カセッテ24が配置されると、コンソール28を介して自動的に電子カセッテ24と給電装置25との間での情報の送受信が行われ、電子カセッテ24が撮影可能な状態に駆動制御される。従って、電子カセッテ24に手動の電源スイッチ等を設けることを省略することができ、操作スイッチの操作忘れ等による撮影ミスの発生を防止することができる。このため、電子カセッテ24及び撮影システム10の取り扱い性を一層向上させることができる。この場合、電子カセッテ24のエネルギ検出部96で所望の磁場Mが検出されない場合には、例えば、無線給電不能信号をデータ管理部106からカセッテ情報管理部126に送信し、さらに、前記の無線給電不能信号を表示装置26へと送信することにより、表示部114にて医師等にその旨を通知することができる。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム10aのブロック説明図である。
本実施形態に係る撮影システム10aは、コンソール28にRIS29及びHIS33が接続されていない以外は基本的に上記第1の実施形態に係る撮影システム10(図4及び図5参照)と同様であるが、撮影手順、特に非接触給電(無線給電)に係る制御方法が異なっている。すなわち、当該撮影システム10aでは、図8〜図10のフローチャートに示される第1〜第3の撮影手順による動作が行われる。この撮影システム10aは、RIS29やHIS33が接続されないシステム、例えば、RIS29等を所有しない病院や回診用の撮影システム等に好適に用いられる。
先ず、図8を参照して、撮影システム10aの第1の撮影手順について説明する。なお、図8において、図6と同様のステップ番号(S1等)が付与された制御ステップは、同様又は同一の動作が実施されるものとして詳細な説明を省略し、以下同様とする。
当該第1の撮影手順は、図6に示すステップS8の代わりに、ステップS8aを実行する以外は、基本的に図6に示す撮影システム10の撮影手順と同様である。
撮影システム10aでは、RIS29が接続されていないことから、撮影枚数(撮影回数、曝射回数)に関するオーダ情報を取得することができない。そこで、ステップS8aにおいて、撮影装置22による放射線Xの照射が終了したか否か、例えば、撮影スイッチ72がOFFとされたか否かを判定する。
すなわち、放射線Xの照射が終了したと判定された場合には(ステップS8aのYES)、例えば、コンソール28の制御下に、撮影スイッチ72がOFFされた情報が充電制御部108に供給される。さらに、ステップS9において、A/D変換終了判定部107により、今回の撮影で得られた放射線画像情報のデジタル信号化が全て完了したか否かが判定される。
このように、当該撮影システム10aの第1の撮影手順では、放射線Xの照射が終了し(ステップS8aのYES)、且つ、A/D変換が終了した(ステップS9のYES)と判定された場合に、ステップS10において、充電制御部108から給電許可信号が発せられる。これにより、所望の撮影枚数の情報がRIS29経由で得られない場合であっても、放射線Xの照射の停止、例えば、撮影スイッチ72のOFFにより所望の撮影枚数の終了を判断することができ、アナログ信号の放射線画像情報に給電装置25からの非接触送電(無線送電)に起因したノイズが影響を及ぼすことを防止し、さらに、A/D変換終了後には充電制御部108からの給電許可信号の発生により迅速に給電を開始(再開)することができる。
次に、図9を参照して、撮影システム10aの第2の撮影手順について説明する。当該第2の撮影手順は、図8のステップS8a、S9に代えて、ステップS8b、S9bを実行する制御方法である。
図9のステップS8bでは、図6及び図8のステップS9と略同様に、A/D変換終了判定部107による放射線画像情報のA/D変換の終了判定を実行する。次に、ステップS8bでA/D変換が終了したと判定されると(ステップS8bのYES)、ステップS9bが実行される。
ステップS9bでは、例えば、A/D変換終了判定部107の終了判定を受けた充電制御部108により、ステップS8bのA/D変換の終了後、所定時間(一定時間)が経過したか否かを判定する。ここで、A/D変換の終了後に所定時間が経過したと判定された場合には(ステップS9bのYES)、次に、ステップS10において、充電制御部108から給電許可信号が発せられる。すなわち、ステップS9bでは、A/D変換の終了後に所定時間の経過を判定することにより、A/D変換されたデジタル信号の放射線画像情報の画像メモリ100へのデータ転送時間(保存時間)を担保して、つまり該データ転送に係る時間を待って、給電開始信号を発生するため、転送されるデータにノイズが影響することを有効に回避することができる。
次に、図10を参照して、撮影システム10aの第3の撮影手順について説明する。当該第3の撮影手順は、図8のステップS7、S8a、S9に代えて、ステップS7cを実行する制御方法である。
図10のステップS7cでは、ステップS6の撮影開始、すなわち、放射線Xの照射が開始された後、所定時間(一定時間)が経過したか否かを判定する。この場合、ステップS7cでの所定時間のカウント開始時点、つまり放射線Xの照射が開始された時点としては、例えば、撮影スイッチ72(上記した2段目のスイッチ)の操作後や放射線検出器40で放射線Xを検出し始めた時点等が挙げられる。
ステップS7cにおいて、撮影開始後に所定時間が経過したと判定された場合には(ステップS7cのYES)、次に、ステップS10において、充電制御部108から給電許可信号が発せられる。すなわち、ステップS7cでは、撮影開始後に所定時間の経過を判定することにより、上記した蓄積期間、読み取り期間及びA/D変換期間、さらには、A/D変換されたデジタル信号の放射線画像情報の画像メモリ100へのデータ転送時間(保存時間)において、非接触給電(無線給電)が実行されることを防止して、得られる放射線画像情報に非接触給電(無線給電)によるノイズが影響することを有効に回避することができる。この場合、前記A/D変換終了判定部107は、放射線Xの照射開始からの所定時間を考慮してA/D変換が終了したと判定すればよく、つまり、A/D変換終了判定部107の機能を充電制御部108に統合することができる。
なお、撮影システム10aにおいても、上記した撮影システム10の場合と同様に、給電許可信号の発生タイミング(ステップS10)を画像メモリ100から送受信機48、116を介してコンソール28まで送信された後に設定することも可能である。
また、撮影システム10aにおいて、例えば、予め所定の撮影枚数をコンソール28等で設定可能な場合には、当該撮影枚数に従って、図6に示す制御フローと同様な制御を行うこともできる。
図11は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第1の変形例に係る放射線画像撮影システム10bのブロック説明図である。
上記した撮影システム10、10aでは、給電装置25の給電禁止制御や撮影装置22の撮影開始制御に係るA/D変換終了判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を電子カセッテ24に設けていた。これに対し、撮影システム10bでは、A/D変換終了判定部107a、充電制御部108a及び撮影制御部109aをコンソール28に設けている。
撮影システム10bにおいて、A/D変換終了判定部107aは、例えば、A/D変換後の放射線画像情報が画像メモリ100からコンソール28へと送信された場合等にA/D変換が終了したと判定し、充電制御部108aや撮影制御部109aに通知することにより、図6等に示される撮影手順に基づく動作を実施する。なお、電子カセッテ24に設けられたA/D変換終了判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109については、コンソール28の制御下に、その機能を使用しないように設定しておけばよい。勿論、撮影システム10bでは、A/D変換終了判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を省略した、簡易型の電子カセッテを用いることもできる。
また、図11に示すように、撮影システム10bでは、A/D変換終了判定部107a、充電制御部108a及び撮影制御部109aに加えて、又は代えて、撮影装置22にA/D変換終了判定部107b、充電制御部108b及び撮影制御部109bを設け、給電装置25にA/D変換終了判定部107c、充電制御部108c及び撮影制御部109cを設けてもよい。すなわち、A/D変換終了判定部、充電制御部及び撮影制御部は、コンソール28、撮影装置22、給電装置25及び電子カセッテ24のうち、少なくともいずれか1つにまとめて設けられていれば、上記撮影システム10、10aと同様な動作を行うことができ、当然、別途専用のコンソール等を設置してもよい。複数の機器にA/D変換終了判定部、充電制御部及び撮影制御部が設けられている場合には、例えば、コンソール28の制御下に任意の機器に搭載されたA/D変換終了判定部、充電制御部及び撮影制御部を選択的に使用するように設定し、他の機器のA/D変換終了判定部、充電制御部及び撮影制御部の機能を使用しないように構成すればよい。
なお、電子カセッテ24では、上記のようにA/D変換終了判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109を搭載しているため、例えば、既設の放射線画像撮影システムに対しても、コンソール28の制御プログラム等を多少変更するだけで、上記のA/D変換終了後の給電許可に係る制御機能等を容易に付加することができる利点がある。
上記した放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、手術中に使用される放射線画像を表示装置26に表示するものとしたが、手術中以外において通常の放射線画像の撮影のみを行う場合にも適用可能であることは言うまでもない。同様に、電子カセッテ24は、手術室12で使用される場合に限られるものではなく、例えば、検診や病院内での回診にも適用することができる。
また、第1実施形態の説明の冒頭でも述べたように、給電装置25は、電子カセッテ24に対して非接触(無線)による給電が可能であればよい。例えば、LC共振器84、88及び検出用LC共振器94(磁気共鳴方式)に代えて、それぞれを誘電体で構成すると共に磁場Mの代わりに電場を用いるもの(電界共鳴方式)としてもよく、前記のようないわゆる共鳴型の無線給電装置以外のものであってもよい。すなわち、給電装置25から電子カセッテ24に供給される電気エネルギを変換した供給エネルギとしては、例えば、光エネルギや熱エネルギ等も適用可能である。
さらに、放射線画像撮影システム10、10a、10bでは、例えば、電子カセッテ24に収容される放射線検出器40は、入射した放射線Xの線量を光電変換層51によって直接電気信号に変換するものであるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
さらにまた、光変換方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光変換方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
さらに、例えば、撮影装置22、給電装置25、表示装置26及びコンソール28間等での信号の送受信を有線通信によって行うこともできる。電子カセッテ24と外部機器との間での無線通信は、通常の電波による通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信で行うようにしてもよい。
図12は、電子カセッテ24の変形例に係る電子カセッテ500の構成図である。電子カセッテ500には、ケーシング502の放射線照射面側に、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線504が形成される。このガイド線504を用いて、電子カセッテ500に対する被写体(患者14)の位置決めを行い、また、放射線Xの照射範囲を設定することにより、放射線画像情報を適切な撮影領域に記録することができる。
電子カセッテ500の撮影領域外の部位には、当該電子カセッテ500に係る各種情報を表示する表示部506を配設する。この表示部506には、電子カセッテ500に記録される患者14のID情報、電子カセッテ500の使用回数、累積曝射線量、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電状態(残容量)、放射線画像情報の撮影条件、患者14の電子カセッテ500に対するポジショニング画像等を表示させる。この場合、放射線技師は、例えば、表示部506に表示されたID情報に従って患者14を確認すると共に、当該電子カセッテ500が使用可能な状態にあることを事前に確認し、表示されたポジショニング画像に基づいて患者14の所望の撮影部位を電子カセッテ500に位置決めして、最適な放射線画像情報の撮影を行うことができる。
また、電子カセッテ500に取手部508を形成することにより、当該電子カセッテ500の取り扱い、持ち運びが容易になる。
電子カセッテ500の側部には、ACアダプタの入力端子510と、USB(Universal Serial Bus)端子512と、メモリカード514を装填するためのカードスロット516とを配設すると好適である。
入力端子510は、電子カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電機能が低下しているとき、あるいは、バッテリ44を充電するのに十分な時間を確保できないとき、ACアダプタを接続して外部から電力を供給することにより、当該電子カセッテ500を直ちに使用可能な状態とすることができる。
USB端子512又はカードスロット516は、電子カセッテ500がコンソール28等の外部機器との間で無線通信による情報の送受信を行うことができないときに利用することができる。すなわち、USB端子512にケーブルを接続することにより、外部機器との間で有線通信による情報の送受信を行うことができる。また、カードスロット516にメモリカード514を装填し、このメモリカード514に必要な情報を記録した後、メモリカード514を取り出して外部機器に装填することにより、情報の送受信を行うことができる。
手術室12や病院内の必要な箇所には、図13に示すように、電子カセッテ24が装填され、内蔵されるバッテリ44の充電を行うクレードル518を配置すると好適である。この場合、クレードル518は、上記の給電装置25に類似した図示しない非接触の給電装置によるバッテリ44の充電だけでなく、クレードル518の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、RIS29、HIS33、コンソール28等の外部機器との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル518に装填された電子カセッテ24に記録された放射線画像情報を含めることができる。
また、クレードル518に表示部520を配設し、この表示部520に対して、装填された当該電子カセッテ24の充電状態や、電子カセッテ24から取得した放射線画像情報を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
さらに、複数のクレードル518をネットワークに接続し、各クレードル518に装填されている電子カセッテ24の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ24の所在を確認できるように構成することもできる。
図14は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第2の変形例に係る放射線画像撮影システム10cの説明図である。
上記した撮影システム10等では、照射された放射線Xを検出し、放射線画像情報を取得する放射線検出装置として電子カセッテ24を用いた構成を説明した。これに対して、当該撮影システム10cでは、電子カセッテ24の代わりに、患者14が横臥するベッドである撮影台150にビルトインされた放射線検出装置152を用いて臥位撮影を行う構成を説明する。
撮影システム10cにおいて、放射線検出装置152は上記の電子カセッテ24と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。制御部46aは、電子カセッテ24を構成するカセッテ制御部46と略同様に機能するものであり、A/D変換終了判定部107、充電制御部108及び撮影制御部109等を有する。
また、撮影台150の下面には、その長手方向に沿ってレール156が設けられており、放射線検出装置152は、ケーシング154に設けられたスライダ機構(図示せず)により、レール156に沿って矢印X方向(水平方向)の所望の位置に移動可能である。従って、撮影台150に横臥した患者14の所望の撮影部位へと放射線検出装置152を容易に移動させることができる。
以上より、撮影システム10cでは、放射線検出装置152を移動可能とする一方、当該放射線検出装置152には上記の電子カセッテ24と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、放射線検出装置152への電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置152を円滑に移動させることができ、取り扱い性を向上させることができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への非接触給電(無線給電)と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、品質の高い放射線画像の取得が可能である。
なお、図14に示すように、撮影システム10cでは、撮影台150の脚部に車輪158を設けた構成としてもよい。この場合、撮影台150自体を室内の所望の位置に容易に移動可能であり、必要に応じてレール156をなくし、放射線検出装置152を撮影台150に固定した構成とすることもできる。
図15は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第3の変形例に係る放射線画像撮影システム10dの説明図である。
撮影システム10dは、上記の撮影システム10cと同様に電子カセッテ24を用いず、図示しない床面及び壁面160に固定されて起立した支柱162に対して着脱自在な放射線検出装置164を用いて立位撮影を行うシステムである。
放射線検出装置164は、上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様な構成及び構造からなり、放射線検出器40、バッテリ44、無線受電部49、制御部46a及び送受信機48等を備え、これら各機器が放射線Xを透過させる材料で形成された箱状のケーシング154内に収納されている。
この場合、立位撮影台として機能する放射線検出装置164の背面には、鉛直方向に離間した一対のフック部材166、168が設けられている。一方、支柱162の放射線検出装置164に対向する側面には装着凹部170が形成され、該装着凹部170内には、水平方向(患者14の肩幅方向)に延び、前記フック部材166、168に対応して鉛直方向に離間した一対のシャフト172、174が固定されている。また、下方のフック部材168は図示しないばね機構により、支軸176を支点として上方に揺動可能である(図15中の2点鎖線参照)。
従って、フック部材168の揺動動作を利用して、フック部材166、168をシャフト172、174へと容易に且つ確実に装着可能且つ離脱可能であり、つまり、放射線検出装置164を支柱162に容易に且つ確実に着脱することができる。さらに、放射線検出装置164は、支柱162に装着された状態で図示しないスライド機構によって矢印Y方向(鉛直方向)にも移動可能とされている。
なお、図15中の参照符号178は、ケーシング154の両幅方向に固定されたフレームであり、撮影台である放射線検出装置164に対して患者14が所望の撮影姿勢をした際に当該撮影姿勢を維持するために把持する棒部材である。
以上より、撮影システム10dでは、放射線検出装置164を支柱162に対して着脱可能且つ移動可能とする一方、当該放射線検出装置164には上記の電子カセッテ24や放射線検出装置152と略同様にバッテリ44及び無線受電部49を内蔵しているため、電源ケーブル等が不要である。従って、ケーブル類の影響を受けることなく放射線検出装置164を容易に移動及び着脱することができる。また、上記の撮影システム10等と同様に、給電装置25からバッテリ44への非接触給電(無線給電)と撮影装置22による撮影とを適宜制御することができ、品質の高い放射線画像の取得が可能である。
図16は、図4及び図11に示す放射線画像撮影システム10、10bの第4の変形例に係る放射線画像撮影システム10eの説明図である。
この撮影システム10eは、運転管理部102にA/D変換終了判定部107及び撮影制御部109が配置され、一方で、撮影装置22、給電装置25及びコンソール28に、充電制御部108a、108b、108cがそれぞれ配置されている点で、上記した撮影システム10、10b(図4及び図11参照)とは異なる。
なお、図16では、撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及びコンソール28中、運転管理部102、A/D変換終了判定部107、撮影制御部109及び充電制御部108a、108b、108c以外の構成要素については、図示を省略している。
また、撮影装置22、給電装置25及びコンソール28に、充電制御部108a、108b、108cがそれぞれ配置されているが、いずれか1つの装置に充電制御部が配置されていればよい。つまり、第4の変形例では、A/D変換終了判定部、撮影制御部及び充電制御部が少なくとも2つの装置(撮影装置22、電子カセッテ24、給電装置25及びコンソール28のうちの2つ)に振り分けられた状態で配置されていれば、図5の運転管理部102と同等の機能を発揮することが可能である。従って、第4の変形例は、図16の例に限定されることはなく、例えば、一方の装置にA/D変換終了判定部のみが配置され、他方の装置に撮影制御部及び充電制御部が配置される場合も適用可能である。
そして、図16の撮影システム10eにおいて、運転管理部102内のA/D変換終了判定部107及び撮影制御部109は、電子カセッテ24の状態(動作モード)を認識して充電制御部108a、108b、108cに各種の信号として通知し、充電制御部108a、108b、108cは、通知された動作モード(信号)に基づいて、最適な給電状態を特定し、特定した最適な給電状態に応じた信号を生成する。
第4の変形例に係る撮影システム10eにおいても、第1の実施形態に係る撮影システム10及び第1の変形例に係る撮影システム10bと同様の効果を得ることができる。
図17は、図4に示す放射線画像撮影システム10の第5の変形例に係る放射線画像撮影システム10fの説明図である。
この撮影システム10fは、給電装置25の給電制御部86が相互インダクタンス検出部200を有し、無線受電部49がリレー202を有する点で、第1実施形態に係る撮影システム10(図4及び図5参照)とは異なる。なお、図17においても、給電装置25のLC共振器84及び給電制御部86と、電子カセッテ24のバッテリ44及び無線受電部49以外の構成要素については、図示を省略している。
一例として、給電装置25のLC共振器84は、コイル204とコンデンサ206とが並列接続されたLC並列共振回路から構成され、一方で、電子カセッテ24のLC共振器88又は検出用LC共振器94は、コイル208とコンデンサ210とが並列接続されたLC並列共振回路から構成されるものとする。また、リレー202は、充電制御部108から信号(電流)が供給される操作コイル212と、前記電流に基づく操作コイル212の励磁に起因してオン又はオフする有接点のスイッチ214とから構成されるものとする。なお、スイッチ214の一端は、コイル208及びコンデンサ210と接続され、他端は、充電回路90に接続されている。
ここで、充電制御部108がバッテリ44への充電を決定して、操作コイル212に電流を流すと、操作コイル212は、前記電流に基づく磁束を発生して、図示しない電磁石を磁化する。これにより、スイッチ214を構成する鉄片が前記電磁石側に吸引され、オフからオンに切り替わる。この結果、給電装置25からバッテリ44への非接触給電が可能となる。
一方、非接触給電が行われているときに、LC共振器84のコイル204と、LC共振器88又は検出用LC共振器94のコイル208とは、相互インダクタンスmiで磁気結合している。
この状態において、充電制御部108がバッテリ44に対する充電の停止(禁止)を決定し、操作コイル212への通電を停止すると、操作コイル212による磁束の発生が停止する。これにより、前記鉄片は、前記電磁石から離間し、スイッチ214は、オンからオフに切り替わる。この結果、コイル208と充電回路90及びバッテリ44との電気的接続が遮断され、コイル204とコイル208との間の相互インダクタンスmiが急変する。
相互インダクタンス検出部200は、コイル204に流れる電流を検出しており、前記電流の大きさが時間的に急変したときには、スイッチ214のオンからオフへの切り替えに起因して相互インダクタンスmiが急変したものと判断する。
給電制御部86は、相互インダクタンス検出部200が相互インダクタンスmiの急変を検出したときに、充電制御部108がバッテリ44に対する充電の停止(禁止)を決定したものと判断し、LC共振器84に対する電気エネルギ(高周波電力)の供給を停止する。
第5の変形例に係る撮影システム10fでは、給電装置25は、何らかの原因で給電禁止信号が供給されない場合であっても、相互インダクタンス検出部200による相互インダクタンスmiの時間的な急変の検出に基づいて、非接触給電を停止することができるので、バッテリ44に対する給電制御を正確に且つ確実に行うことが可能となる。すなわち、給電装置25は、充電制御部108からの給電禁止信号の供給がなくても、バッテリ44への給電を禁止すべきか否かを自己判断することができる。
なお、上記の説明では、バッテリ44が十分な残量を有していると判断されたときに、撮影許可信号及び給電禁止信号が発せられ、撮影開始に起因した充電禁止制御が行われる。バッテリ44が十分な残量を有している場合には、このような充電禁止制御に代替して、電子カセッテ24の側面に設けられ、医師18や技師が操作する図示しない電源スイッチの投入を撮影開始とみなし、撮影許可信号及び給電禁止信号を発することにより、充電の禁止制御を行ってもよい。
以上のように、本実施形態に係る撮影システム10、10a〜10fでは、放射線検出装置である電子カセッテ24や放射線検出装置152、164が移動可能であるが、これらが所望の撮影位置に設定された場合であっても、給電装置25によって当該電子カセッテ24への給電を容易に行うことができる。しかも、A/D変換終了判定部、充電制御部及び撮影制御部を備えていることから、少なくとも検出された放射線画像情報のA/D変換が終了するまでは非接触(無線)による給電が実施されることがない。このため、当該非接触送電(無線送電)に起因したノイズによる影響を回避して高品質な画像を撮影及び取得可能である一方、非撮影中(撮影終了)には迅速な充電を行うことができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。