JP5721519B2 - フェノール系重合体、その製法およびその用途 - Google Patents

フェノール系重合体、その製法およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、フェノール系重合体、その製法およびその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、低溶融粘度で高難燃性である半導体封止材用途に適したフェノール系重合体、その組成物及びその製造法に関する。
フェノールアラルキル樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として用いると耐熱性、耐湿性、機械的性質等の物性に優れ、しかも低粘度の樹脂が製造可能であり作業性が良好であることから、挿入型用や表面実装用樹脂の用途、特に半導体封止用樹脂として使用されている。
特に近年は、半導体パッケージの小型・薄型化及び形状の複雑化に伴い、半導体封止用樹脂には益々低粘度のものが要求されるようになってきており、低粘度であればその流動性が向上することで複雑形状のパッケージ、例えばBGAなどにも対応が可能となり、またフィラーの高充填化が可能となることで、難燃性、半田耐熱性、耐湿信頼性の面でも有利となる。さらに最近はこれに加えて地球環境に配慮した企業活動の重視により有害性のおそれのある物質の削減・撤廃の動きがあり、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を用いない難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の要求が高まっており、汎用パッケージから先端パッケージ用に至る用途で使用されていたフェノールアラルキル樹脂にもハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を用いなくとも優れた難燃性を有することが求められている(例えば特許文献1など)。
最近の発明によると、m−キシレン−ホルマリン−メタノール縮合物を用いたフェノールアラルキル樹脂の変性品が報告されており、これはフェノールアラルキル樹脂よりも高流動性でありながら難燃性、耐熱性、硬化性、軟化点は従来のフェノールアラルキル樹脂と同等の特徴を有するが(特許文献2)、今後は上述の理由によりこれまで以上に高流動性が求められるため、現用硬化剤が維持すべき各種実用特性の絞り込みによりさらなる高流動性の特化を図る改良アプローチが必要である。すなわち従来の改良アプローチは、現用品が持つ複数の実用特性を全て維持させようとするあまり高流動性の改良に限度が生じており、今後のニーズ動向を鑑みて必要最小限の実用特性のみを維持するように各種特性項目を適正に取捨選択すればさらなる高流動化の余地が残されていた。
特開平5−97965 特開2009−242480
本発明では、従来のフェノールアラルキル樹脂と同等の難燃性と軟化点を持ち、著しく低粘度であるフェノール系重合体、その組成物及びその製造方法を提供することにある。
下記一般式(1)で示されるフェノール類、下記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物との反応において、芳香族化合物のフェノール類に対するモル比が0.10〜0.20、酸素含有率が10〜20wt%、25℃における粘度が70〜150mPa・s、数平均分子量が200〜350であるm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物がフェノール類重量の35〜50wt%使用される条件で反応させて得られるフェノール系重合体を提供する。
(式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、式(2)中、Xはハロゲン、OH基又はOCH基である。)
本発明は、前記したフェノール系重合体とエポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂組成物を提供する。
前記一般式(1)で示されるフェノール類、前記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物との反応において、芳香族化合物のフェノール類に対するモル比が0.10〜0.20、酸素含有率が10〜20wt%、25℃における粘度が70〜150mPa・s、数平均分子量が200〜350であるm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物がフェノール類重量の35〜50wt%使用される条件で反応させて得られるフェノール系重合体の製造方法を提供する。
本発明によれば、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに有効なフェノール系重合体及びその製造方法が提供される。
本発明により、とくにエポキシ樹脂硬化剤として有用であり、とりわけ半導体封止用として用いた場合に、著しい高流動性を有する一方で耐コールドフロー性と耐燃性も併せ持つエポキシ樹脂組成物を形成することができるフェノール系重合体、及びそのエポキシ樹脂組成物が提供される。
本発明は、前記一般式(1)で示されるフェノール類、前記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物との反応において、芳香族化合物のフェノール類に対するモル比が0.10〜0.20、酸素含有率が10〜20wt%、25℃における粘度が70〜150mPa・s、数平均分子量が200〜350であるm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物がフェノール類重量の35〜50wt%使用される条件で反応させて得られるフェノール系重合体を提供する。
本発明は、前記一般式(1)で示されるフェノール類、前記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物との反応において、芳香族化合物のフェノール類に対するモル比が0.10〜0.20、酸素含有率が10〜20wt%、25℃における粘度が70〜150mPa・s、数平均分子量が200〜350であるm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物がフェノール類重量の35〜50wt%使用される条件で反応させて得られるフェノール系重合体の製造方法を提供する。
前記一般式(1)で示されるフェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノールなどの単環型フェノール化合物が挙げられ、これらを1種もしくは2種以上使用することができるが、特にフェノールが好ましい。
本発明にて使用されるm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物は、m−キシレンをメチレン基で架橋した構造を持ち、かつメチレン基を介して架橋しうる反応性官能基を有するオリゴマー混合物である。これらは、m−キシレン、ホルムアルデヒド、メタノールを酸性触媒存在下で縮合させることで得ることができ、反応性の指標が酸素含有率で与えられる(特開平10−168147)。m−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物の酸素含有率、25℃における粘度、数平均分子量は、原料のm−キシレン、ホルムアルデヒド、メタノールの比率によるが、耐燃性と流動性のバランスを考慮すると、酸素含有率が10〜20wt%、25℃における粘度が70〜150mPa・s、数平均分子量としては200〜350の範囲内が好ましい。なお本化合物は市販されており、入手も容易である。(例えばフドー(株)製「ニカノールY-100」)。
一般式(2)で示される芳香族化合物の例として、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ヨードメチル)ベンゼン、1,4−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(メトキシメチル)ベンゼンなどを挙げることができる。これら芳香族化合物のうち入手性の観点から、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼンの使用が好ましい。
前記で示されるフェノール系重合体は、前記一般式(1)で示されるフェノール類、前記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物を反応させて得ることができる。
前記一般式(1)で示されるフェノール類、前記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物の反応においては、適度な分子量とエポキシ樹脂用硬化剤としての優れた性能を有するフェノール系重合体を得るために、芳香族化合物のフェノール類に対するモル比が0.10〜0.20、好ましくは0.12〜0.15、m−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物がフェノール類重量の35〜50wt%、好ましくは40〜45wt%で反応させるのがよい。
上記反応は、触媒の存在下又は不存在下、60〜150℃程度の温度で1〜10時間程度反応させることによって得ることができる。すなわち前記(2)式において、XがOH基またはOCH基の場合は酸触媒の存在下で反応させることが必要であり、また前記(2)式においてXがハロゲンの場合には、僅かな水を存在させることによって反応を開始させることができ、また反応によって生じるハロゲン化水素によって反応を促進させることができる。
上記反応において使用可能な触媒としては、リン酸、硫酸、塩酸などの無機酸、蓚酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸、塩化亜鉛、塩化第二錫、塩化第二鉄などのルイス酸触媒を単独使用または併用することができる。
生成物のフェノール系重合体を半導体封止のような電子材料用途に使用する場合には、酸が残存するのは好ましくないため、酸触媒として塩酸を用いることにより、縮合反応混合物から減圧によって塩化水素を簡単に除去することができるので好ましい。
上記縮合反応によって得られる縮合反応混合物から、未反応原料、反応副生物、触媒など低沸点成分を除去することによって、反応生成物であるフェノール系重合体を回収することができる。このような反応生成物は、150℃におけるICI溶融粘度が10〜60mPa・s、好ましくは20〜40mPa・sの範囲にある。また上記反応生成物における未反応原料などの除去のために行われる上記減圧下の分離操作は、通常、130℃以上の温度で行われるので、該操作で得られる溶融状態の反応生成物をそのまま急冷・固化することにより、軟化点(JIS K2207)が55〜70℃程度の非晶性固体として単離することができる。前述の温度範囲の軟化点であれば実用において保管時のコールドフローは問題にならないが、本発明が求める高流動性と耐コールドフロー性とのバランスをさらに考慮すると、その温度範囲は60〜65℃であることがより好ましい。
このようにして得られる上記反応生成物であるフェノール系重合体は、保管時のコールドフローもなく、成形温度域での溶融粘度が低く加工性に優れており、その硬化物は耐燃性に優れ、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに使用することができる。したがってエポキシ樹脂硬化剤として有用であり、エポキシ樹脂系半導体封止材における硬化剤として使用するとコールドフローもなく、流動性に優れたエポキシ樹脂組成物となり、それを硬化させた半導体装置は耐難性に優れる。
上記エポキシ樹脂組成物において、上記フェノール系重合体とともに使用することができるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などの一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独使用でも2種類以上併用してもよい。耐湿性、熱時低弾性率、難燃性を考慮すると、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの2官能型エポキシ樹脂や、フェノ−ルビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物などから選ばれる芳香環の多い多官能型エポキシ樹脂を使用するのが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化に際しては、硬化促進剤を併用することが好ましい。かかる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂をフェノール樹脂系硬化剤で硬化させるための公知の硬化促進剤を用いることができ、例えば、3級アミン化合物、4級アンモニウム塩、イミダゾール類、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラナフトエ酸ボレートなどのホスホニウム塩、トリフェニルホスホニオフェノラート、ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンの反応物などのベタイン状有機リン化合物を挙げることができる。中でも低吸水性や信頼性の観点から、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩、ベタイン状有機リン化合物の使用が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤、カップリング剤、離型剤、着色剤、難燃剤、低応力剤などを添加または予め反応して用いることができる。また他の硬化剤を併用することもできる。このような他の硬化剤の例として、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールビフェニルアラルキル樹脂、フェノールナフチルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂などを挙げることができる。
上記エポキシ樹脂組成物を半導体封止用に使用する場合は、無機充填剤の添加は必須である。このような無機充填剤の例として、非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、ガラス、珪酸カルシウム、マグネサイト、クレー、タルク、マイカ、マグネシア、硫酸バリウムなどを挙げることができるが、とくに非晶性シリカ、結晶性シリカ、硫酸バリウムが好ましい。また優れた成形性を維持しつつ充填剤の配合量を高めるために細密充填を可能とするような粒度分布の広い球形の充填剤を使用することが好ましい。
カップリング剤の例としては、メルカプトシラン系、ビニルシラン系、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシランカップリング剤やチタンカップリング剤を、離型剤の例としてはカルナバワックス、パラフィンワックスなど、また着色剤としてはカーボンブラックなどをそれぞれ例示することができる。難燃剤の例としては、リン化合物、金属水酸化物など、低応力剤の例としては、シリコンゴム、変性ニトリルゴム、変性ブタジエンゴム、変性シリコンオイルなどを挙げることができる。
本発明のフェノール系重合体とエポキシ樹脂の配合比は、耐熱性、機械的特性などを考慮すると、水酸基/エポキシ基の当量比が0.5〜1.5、特に0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。また他の硬化剤と併用する場合においても水酸基/エポキシ基の当量比が上記割合となるようにするのが好ましい。硬化促進剤は、硬化特性や諸物性を考慮すると、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。さらに半導体封止用のエポキシ樹脂組成物においては、無機充填剤の種類によっても異なるが、半田耐熱性、成形性(溶融粘度、流動性)、低応力性、低吸水性などを考慮すると、無機充填剤を組成物全体の60〜93重量%を占めるような割合で配合することが好ましい。
エポキシ樹脂組成物を成形材料として調製する場合の一般的な方法としては、所定の割合の各原料を、例えばミキサーによって充分混合後、熱ロールやニーダーなどによって混練処理を加え、さらに冷却固化後適当な大きさ粉砕し、必要に応じタブレット化するなどの方法を挙げることができる。このようにして得た成形材料は、例えば低圧トランスファー成形などにより半導体を封止し、半導体装置を製造することができる。エポキシ樹脂組成物の硬化は、例えば100〜250℃の温度範囲で行うことができる。
以下に実施例、比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
[実施例1]
フェノール1347.7g(14.336モル)、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン350.0g(2.000モル)、及びニカノールY−100(フドー(株)製、数平均分子量270)592.7gを、下部に抜出口のある4つ口フラスコに仕込み、温度を上昇させると、系内が50℃でスラリー状態になり、70℃で均一に溶け、塩化水素の発生が始まり、70℃で1時間保持した後、昇温させ95℃で2時間保持後、さらに150℃で1時間熱処理を加えた。反応で出てくる塩化水素はそのまま系外へ揮散させ、アルカリ水でトラップした。この段階で未反応の1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼンは残存しておらず、全て反応したことをガスクロマトグラフィで確認した。反応終了後、減圧することにより、系内に残存する塩化水素及び未反応のフェノールを系外へ除去した。最終的に30torrで150℃まで減圧処理することで、残存フェノールがガスクロマトグラフィで未検出になった。この反応生成物を150℃に保持しながら抜き出し、淡黄褐色で透明なフェノール重合体(1)1389.6gを得た。
このフェノール系重合体(1)のJIS K 2207に基づく軟化点は61℃であった。またICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融粘度は20mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した水酸基当量は178g/eqであった。このフェノール系重合体(1)を3mm以下の粒子に粉砕後、この粉砕物150gを10cm×10cmの正方空間に敷き詰めて上部より7kgの荷重をかけて15℃下1ヶ月放置したが、ブロッキングは観測されなかった。
[実施例2]
下記一般式(3)で示されるエポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC−3000P、フェノールビフェニルアラルキル型、エポキシ当量272g/eq)、実施例1で得たフェノール系重合体(1)、溶融シリカおよびリン系硬化促進剤テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−メチルフェニルボレート(北興産業(株)、TPP−MK)を表2に示す割合
で配合し、充分に混合した後、85±3℃の2本ロールで3分混練し、冷却、粉砕することにより成形用組成物を得た。トランスファー成形機でこの成形用組成物を圧力100kgf/cm2で175℃2分間成形した後、180℃6時間のポストキュアを行い、ガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得た。
(式中、Gはグリシジル基、nは1〜10の数である。)
[比較例1]
下記一般式(4)に示されるフェノールアラルキル樹脂(エア・ウォーター(株)製、HE100C−10)をフェノール重合体(2)とした。
このフェノール系重合体(2)のJIS K 2207に基づく軟化点は63℃であった。またICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融粘度は100mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した水酸基当量は168g/eqであった。このフェノール系重合体(2)を3mm以下の粒子に粉砕後、この粉砕物150gを10cm×10cmの正方空間に敷き詰めて上部より7kgの荷重をかけて15℃下1ヶ月放置したが、ブロッキングは観測されなかった。
(式中、nは1〜8の数である。)
[比較例2]
フェノール168.8g(1.796モル)、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン77.0g(0.440モル)及びニカノールY−100(フドー(株)製、数平均分子量270)30.4gを、下部に抜出口のある4つ口フラスコに仕込み、温度を上昇させると、系内が50℃でスラリー状態になり、70℃で均一に溶け、塩化水素の発生が始まり、70℃で1時間保持した後、昇温させ95℃で2時間保持後、さらに150℃で1時間熱処理を加えた。反応で出てくる塩化水素はそのまま系外へ揮散させ、アルカリ水でトラップした。この段階で未反応の1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン、ニカノールは残存しておらず、全て反応したことをガスクロマトグラフィで確認した。反応終了後、減圧することにより、系内に残存する塩化水素及び未反応のフェノールを系外へ除去した。最終的に30torrで150℃まで減圧処理することで、残存フェノールがガスクロマトグラフィで未検出になった。この反応生成物を150℃に保持しながら抜き出し、淡黄褐色で透明なフェノール重合体(3)152.1gを得た。
このフェノール系重合体(3)のJIS K 2207に基づく軟化点は64℃であった。またICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融粘度は50mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した水酸基当量は175g/Eqであった。このフェノール系重合体(3)を3mm以下の粒子に粉砕後、この粉砕物150gを10cm×10cmの正方空間に敷き詰めて上部より7kgの荷重をかけて15℃下1ヶ月放置したが、ブロッキングは観測されなかった。
[比較例3]
実施例2において、実施例1で得たフェノール系重合体(1)に代えて比較例1のフェノール系重合体(2)を用いる以外は同様に成形用組成物を調製し、これよりガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得た。
[比較例4]
実施例2において、実施例1で得たフェノール系重合体(1)に代えて比較例2で得たフェノール系重合体(3)を用いる以外は同様に成形用組成物を調製し、これよりガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得た。
これら成形材料の物性を、次の方法により測定した。
(1)組成物の溶融粘度
エポキシ樹脂組成物2.5gをタブレットにして、高下式フローテスター(温度175℃、オリフィス径1mm、長さ1mm)にて測定した。
(2)難燃性
厚み1.6mm×幅10mm×長さ135mmのサンプルを用い、UL−94に準拠して残炎時間を測定し評価した。
これらの評価結果を表2に示す。
表1に記載のフェノール系重合体はそれぞれ同等の軟化点を有し、実用を想定した長期保管においてもコールドフローは観測されなかった。その一方で実施例1のフェノール系重合体の溶融粘度[mPa・s]は0.2であり、実施例1と同じm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物による変性処理を行っている比較例2の0.5に対し40%低く著しい低粘度化を実現した。以上より、本発明が与えるフェノール系重合体は、従来のフェノールアラルキル樹脂タイプの硬化剤と同等の耐コールドフロー性を有しながらも著しい低粘度化を実現していることがわかる。
表2において、実施例1樹脂が持つ溶融粘度はエポキシ樹脂組成物として使用されたときに高流動性として発揮されることがわかる。すなわち、実施例2の溶融粘度[Pa・s]は0.7であり比較例4の70%に相当する著しい低粘度である。その上、表中のエポキシ樹脂組成物群の難燃性評価ではFmax、Ftotalともにいずれも同等であることから、実施例1の樹脂は従来のフェノールアラルキル樹脂タイプの硬化剤と同等の耐コールドフロー性に加えて耐燃性も同等であることがわかる。
以上より、本発明が与えるフェノール系重合体は従来のフェノールアラルキル樹脂タイプの硬化剤が有する耐コールドフロー性と耐燃性の特徴を維持しながら著しい高流動性を賦与させたものであり、従来のアプローチではこれら特徴の発揮は困難なものである。
本発明が与える硬化剤および組成物は、耐コールドフロー性と耐燃性を兼ね備える高流動タイプの半導体封止材料用途に適する。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で示されるフェノール類、下記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物との反応において、芳香族化合物のフェノール類に対するモル比が0.10〜0.20、酸素含有率が10〜20wt%、25℃における粘度が70〜150mPa・s、数平均分子量が200〜350であるm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物がフェノール類重量の35〜50wt%使用される条件で反応させて得られるフェノール系重合体。
    (式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、式(2)中、Xはハロゲン、OH基又はOCH基である。)
  2. 150℃におけるICI溶融粘度が10〜60mPa・s、および軟化点が55〜70℃である請求項1に記載のフェノール系重合体。
  3. 前記フェノール類がフェノールである請求項1または2に記載のフェノール系重合体。
  4. 下記一般式(1)で示されるフェノール類、下記一般式(2)で示される芳香族化合物、およびm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物との反応において、芳香族化合物のフェノール類に対するモル比が0.10〜0.20、酸素含有率が10〜20wt%、25℃における粘度が70〜150mPa・s、数平均分子量が200〜350であるm−キシレン・ホルムアルデヒド・メタノールの縮合物がフェノール類重量の35〜50wt%使用される条件で反応させて得られるフェノール系重合体の製造方法。
    (式(1)中、R は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、式(2)中、Xはハロゲン、OH基又はOCH 基である。)
  5. 150℃におけるICI溶融粘度が10〜60mPa・s、および軟化点が55〜70℃である請求項4に記載のフェノール系重合体の製造方法。
  6. 前記フェノール類がフェノールである請求項4または5に記載のフェノール系重合体の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール系重合体からなるエポキシ樹脂用硬化剤。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール系重合体からなるエポキシ樹脂用硬化剤とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
  9. さらに無機充填剤を含有する請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. さらに硬化促進剤を含有する請求項8または9に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 半導体封止用である請求項8〜10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
  13. 請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置。
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