JP5714929B2 - 着色硬化性組成物およびカラーフィルタ - Google Patents
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Description
(1)(A)メタノール中における吸収極大が720nm以上を示すシアニン染料、又はスクアリリウム染料、(B)150mgKOH/g以下のカルボン酸、スルホン酸又はリン酸価を有するアルカリ可溶性ポリマーおよび(C)重合性化合物を有し、前記(A)染料が前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中で、少なくもと、620〜670nmに吸収極大を持つことを特徴とする、着色硬化性組成物。
(2)前記(A)染料の前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中での、550nmにおける透過率と/580nmにおける透過率の透過率比(550nm/580nm)が、1.2〜1.0である(1)に記載の着色硬化性組成物。
(3)さらに、光重合開始剤を含有する、(1)または(2)に記載の着色硬化性組成物。
(4)前記(A)染料が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(VI)および(VII)のいずれかで表される化合物である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
nは1〜3の整数である。
Xは、酸素原子、硫黄原子又はCR51R52で示され、R51、R52は、それぞれ、アルキル基である。
M-は、シアニン染料の対アニオンであり、BF4-、PF6-、SbF6-または、下記記一般式(V)で表されるアニオンである:
(5)さらに、前記(A)染料と異なる着色化合物(D)を含む、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
(6)着色化合物(D)が黄色着色化合物である、(5)に記載の着色硬化性組成物。
(7)(A)メタノール中における吸収極大が720nm以上を示すシアニン染料、又はスクアリリウム染料、(B)150mgKOH/g以下のカルボン酸、スルホン酸又はリン酸価を有するアルカリ可溶性ポリマーおよび(C)重合性化合物を有し、前記(A)染料が、前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中にて、H会合を形成することを特徴とする着色硬化性組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いた着色層を有するカラーフィルタ。
(9)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を基板上に適用し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光し、現像して着色領域を形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
(10)(8)に記載のカラーフィルタ、又は(9)に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを有する液晶表示装置。
(11)(8)に記載のカラーフィルタ、又は(9)に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを有する固体撮像素子。
(12)下記一般式(VIII)または(IX)で表される化合物。
M-は、シアニン染料の対アニオンであり、BF4-、PF6-、SbF6-または、下記記一般式(V)で表されるアニオンである:
(13)(12)に記載の化合物であって、R84、R88、R85およびR96が、それぞれ、アルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アリール基またはヘテロアリール基である化合物、R73およびR75が互いに結合して肪族環または芳香族環を形成している化合物。
(14)下記化合物。
このような着色硬化性組成物を採用することにより、耐熱性に優れ、かつ、短波吸収側のスソ引きに優れた組成物が得られる。ここで、短波吸収側のスソ引きに優れるとは、急峻な立ち上がりを示すスペクトルを有することを意味する。特に本発明では、550nm/580nmでの透過率比が小さいほど、染料短波長側のスソの切れが良いと判断する。このように短波長側のスソ引きに優れると、色純度が高く、高輝度かつ高コントラストを両立可能な着色硬化性組成物が得られる。特に、黄色着色剤との組み合わせでグリーン用カラーフィルター優れた着色硬化性組成物が得られる。
本発明の組成物は、前記(A)染料が、前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中にて、H会合を形成し、結果として、上記のような現象を引き起こしていると考えられる。シアニン染料、スクアリリウム染料がH会合体を形成する要因は定かではないが、染料分子とバインダーの相溶性により引き起こされると考えられる。シアニン染料、スクアリリウム染料のH会合体の形成は、適切な酸価に由来する親疎水性を持つバインダーを選択することで達成される。得られたH会合体は、吸収極大を(B)アルカリ性ポリマー中にて、好ましくは、620〜670nmの範囲に波長領域に持ち、より好ましくは、630〜660nmの範囲に波長領域を持つ。
前記(A)染料の前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中での550nmにおける透過率と/580nmにおける透過率の透過率比(550nm/580nm)は、1.2〜1.0であることが好ましく、1.1〜1.0であることがさらに好ましい。
また、前記(A)染料が前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中での550nmにおける透過率が97.0%以上とすることができ、さらには、98.0%以上とすることができる。前記(A)染料が前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中での580nmにおける透過率が85.0%以上とすることができ、さらには、90.0%以上とすることができる。
本発明の着色硬化性組成物は、メタノール中における吸収極大が720nm以上を示すシアニン染料またはスクアリリウム染料を含む。本発明で有用とされるシアニンもしくはスクアリリウム染料は、色相の観点から、メタノール中での吸収極大位置が好ましくは725nm〜780nmであり、更に好ましくは730nm〜770nmである。
nは1〜3の整数である。
Xは、酸素原子、硫黄原子又はCR51R52で示され、R51、R52は、それぞれ、アルキル基である。
M-は、シアニン染料の対アニオンであり、BF4-、PF6-、SbF6-または、下記記一般式(V)で表されるアニオンである:
R6およびR10は、それぞれ、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、フェニル基、または、シアノ基が好ましい。アルキル基の炭素数は、2〜10が好ましい。置換基を有するときは、置換基の炭素数を含めた炭素数が2〜10であることが好ましいが、無置換のアルキル基であることが好ましい。アルキル基は、直鎖であっても分岐であっても環状であってもよいが、直鎖が好ましい。アルコキシカルボニル基のアルコキシ基の炭素数は、1〜4が好ましい。R6およびR10は、同じ基であることがより好ましい。
一般式(I)においては、nは、1であることが好ましい。
R28は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または2つのR28のアルキル基が結合して環を形成していることがより好ましく、水素原子または2つのR28のアルキル基が結合して5員環または6員環を形成していることがさらに好ましい。
R25およびR30、ならびに、R26とR33は、それぞれ、互いに結合して環を形成していることが好ましく、ベンゼン環またはナフタレン環を形成していることがより好ましい。これらの環は、置換基を有していても良く、置換基としては炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。R25およびR30、ならびに、R26とR33は、互いに結合して同じ環を形成していることがより好ましい。
一般式(II)においては、nは、2であることが好ましい。
R17およびR19は、それぞれ、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはR17とR19が結合して環を形成していることがより好ましく、水素原子またはR17とR19が結合して5員環または6員環を形成していることがさらに好ましい。
R21およびR14、ならびに、R15とR23は、それぞれ、互いに結合して環を形成していることが好ましく、ベンゼン環またはナフタレン環を形成していることがより好ましい。これらの環は、置換基を有していても良く、置換基としては炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。R21およびR14、ならびに、R15とR23は、互いに結合して同じ環を形成していることがより好ましい。
一般式(III)においては、nは、1であることが好ましい。
R43およびR48は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。上述のとおり、R37とR43またはR38とR48が互いに結合して5員環または6員環を形成していてもよい。R43およびR48は、同じ基であることがより好ましい。
R45およびR49は、それぞれ、水素原子、アルキル基、または、R36とR45またはR39とR49で互いに結合して5員環または6員環を形成しているか、R45とR46またはR49とR50で互いに結合して、ベンゼン環または5員環または6員環のヘテロ環を形成していることが好ましい。R45およびR49は、それぞれ、水素原子、アルキル基、または、R45とR46またはR49とR50で互いに結合してベンゼン環を形成していることがさらに好ましい。R45およびR49は、同じ基であることがより好ましい。
R40、R41およびR42は水素原子であることが好ましい。
一般式(IV)においては、nは、1であることが好ましい。
M-は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、BF4-、PF6-またはSbF6-が好ましい。
M-は、シアニン染料の対アニオンであり、BF4-、PF6-、SbF6-または、下記記一般式(V)で表されるアニオンである:
R89、R90、R91、R92、R97、R98、R99およびR100は、それぞれ、水素原子であるか、R89、R92、R97およびR100は、水素原子であり、かつ、R90とR91ならびにR98とR99がそれぞれ結合して5員環を形成していることが好ましい。
式(IX)において、R67はR31と、R82はR32と、R72はR27と、R74はR27と、R76はR29と、R83はR35と、R81はR34と、R73はR28と、R75はR28と、それぞれ、好ましい範囲は同じである。
R68、R69、R70、R71、R77、R78、R79およびR80は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であるか、R70、R71、R77およびR78は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R68とR69ならびにR79とR80がそれぞれ結合してベンゼン環を形成していることが好ましい。
特に、一般式(IX)では、R73およびR75が互いに結合して肪族環または芳香族環を形成していることが好ましい。
R71およびR72は、それぞれ、炭素数1〜10の置換または無置換のアルキル基が好ましい。
Xは、硫黄原子又はCR51R52が好ましく、R51、R52は、メチル基が好ましい。
アルコキシ基として好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基であり、アリールオキシ基として好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基であり、ヘテロ環オキシ基として好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基であり、シリルオキシ基として好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基であり、アシルオキシ基として好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基が挙げられる。また複数のアルコキシ基が脂肪族性基を介して環構造を形成しても良い。
エーテル基、チオエーテル基として好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の(チオ)エーテル基で、例えば、メチル(チオ)エーテル基、エチル(チオ)エーテル基、1−ブチル(チオ)エーテル基、2−ブチル(チオ)エーテル基、t−ブチル(チオ)エーテル基、ドデシル(チオ)エーテル基、シクロヘキシル(チオ)エーテル基等が挙げられる。
カルバモイル基として好ましくは、炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、Nーエチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基が挙げられる。
スルファモイル基として好ましくは、炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、オクタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)であるか、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基が好ましい構造として挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アリール基として好ましくは、炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基であり、ヘテロアリール基として好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロアリール基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)等が挙げられる。
emistry of Heterocyclic Compounds (New York, NY, United States), 1988 , p.736 - 740、Angewandte Chemie, International Edition, 2009 , vol.48, # 35 p.6480 - 6484、前記一般式(VI)又は(VII)の化合物は、Chemistry--A European Journal,
2010 , vol.16, # 17 p.5129 - 5137、Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom), 2010 , vol.46, # 23 p.4073 - 4075等に記載の方法で合成することができる。
本発明で用いるシアニン染料、スクアリリウム染料の着色硬化性組成物中における含有量としては、分子量及びその吸光係数によって異なるが、着色硬化性組成物の全固形分に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。染料の含有量は、5質量%以上であると、良好な色濃度(例えば液晶表示するのに適した色濃度)が得られ、50質量%以下であると、画素のパターニングが良好になる点でより有利である。
本発明の着色硬化性組成物は、150mgKOH/g以下のカルボン酸、スルホン酸又はリン酸価を有するアルカリ可溶性ポリマーを含む。ポリマー酸価(に由来する親疎水性)の選択により、本発明で用いるシアニン染料およびスクアリリウム染料の吸収極大の波長を短波長側にシフトさせ、さらに、短波長側のスソ引きを向上させることができる。これは、本発明で用いるシアニン染料またはスクアリリウム染料が該アルカリ可溶性ポリマー中でH会合体を形成していることに基づくと考えられている。尚、シアニン染料およびスクアリリウム染料本来の吸収極大も残り、そちらの吸収極大の方が大きい場合もある。
本発明における150mgKOH/g以下のカルボン酸、スルホン酸又はリン酸価を有するアルカリ可溶性ポリマーは、低酸価に由来する適度な疎水性により染料のH会合体を形成可能であること以外、特に限定はなく、好ましくは、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。
アルカリ可溶性ポリマーは、現像性の観点から、130mgKOH/g〜50mgKOH/gの酸価であることがより好ましく、更に好ましくは120〜70mgKOH/gの酸価である。
本発明の着色硬化性組成物は、少なくとも一種の重合性化合物を含有する。重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。
また、メタクリル酸エステルとして、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH …(A)
〔一般式(A)中、RおよびR'は、それぞれ独立にH又はCH3を表す。〕
本発明の着色硬化性組成物は、少なくとも一種の光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、前記重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン、2−(アセトキシイミノ)−4−(4−クロロフェニルチオ)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−ブタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、一般式(1)におけるnは1〜2の整数が好ましい。
光重合開始剤の着色硬化性組成物の全固形分中における含有量(2種以上の場合は総含有量)は、本発明の効果をより効果的に得る観点から、3質量%〜20質量%が好ましく、4質量%〜19質量%がより好ましく、5質量%〜18質量%が特に好ましい。
また、さらに本発明の着色硬化性組成物には、その他の構造の染料化合物や顔料化合物およびその分散物を含んでもよい。染料化合物としては、着色画像の色相に影響を与えないものであればどのような構造であってもよく、例えば、アゾ系(例えば、ソルベントイエロー162)、アントラキノン系(例えば、特開2001−10881号公報に記載のアントラキノン化合物)、フタロシアニン系(例えば、米国特許2008/0076044A1に記載のフタロシアニン化合物)、キサンテン系(例えば、シー・アイ・アシッド・レッド289(C.I.Acid.Red 289))、トリアリールメタン系(例えば、シー・アイ・アシッドブルー7(C.I.Acid Blue7)、シー・アイ・アシッドブルー83(C.I.Acid Blue83)、シー・アイ・アシッドブルー90(C.I.Acid Blue90)、シー・アイ・ソルベント・ブルー38(C.I.Solvent Blue38)、シー・アイ・アシッド・バイオレット17(C.I.Acid Violet17)、シー・アイ・アシッド・バイオレット49(C.I.Acid Violet49)、シー・アイ・アシッド・グリーン3(C.I.Acid Green3)、メチン染料、などが挙げられる。
前記染料または顔料の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で使用でき、本発明の着色硬化性組成物の全固形分に対して、0.5質量%〜70質量%であることが好ましい。また、吸収強度比(450nmの吸収/650nmの吸収)が、0.95〜1.05の範囲となるように、着色硬化性組成物に添加されることが好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、少なくとも一種の有機溶剤を含有することができる。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や着色硬化性組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
本発明の着色硬化性組成物に補足的に架橋剤を用い、着色硬化性組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落番号0134〜0147の記載を参照することができる。
本発明の着色硬化性組成物は、界面活性剤を含んでいても良い。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
前記式(1)におけるLは、下記式(2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。
これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物における(I)界面活性剤の添加量は、(A)特定樹脂100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜1重量部であることが更に好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、前述の各成分と必要に応じて任意成分とを混合することで調製される。
なお、着色硬化性組成物の調製に際しては、着色硬化性組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色硬化性組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
本発明のカラーフィルタは、基板と、該基板上に本発明の着色硬化性組成物を含む着色領域と、を設けて構成されたものである。基板上の着色領域は、カラーフィルタの各画素をなす例えば赤(R)、緑(G)、青(B)等の着色膜で構成されている。
硬化させる工程は、(好ましくはマスクを介して)パターン状に露光し、塗布膜の未硬化部を現像液で現像除去して着色領域(着色パターン)を形成することが好ましい。これらの工程を経ることで、各色(3色或いは4色)の画素からなる着色パターンが形成され、カラーフィルタを得ることができる。また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、工程(B)で形成された着色パターンに対して紫外線を照射する工程(C)と、工程(C)で紫外線が照射された着色パターンに対して加熱処理を行なう工程(D)とを更に設けた態様が好ましい。
このような方法により、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質で、かつ低コストに作製することができる。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、より具体的に説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、基板上に直接又は他の層を介して、既述の本発明の着色硬化性組成物を所望の塗布方法により塗布して、着色硬化性組成物からなる塗布膜(着色硬化性組成物層)を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行ない、該着色硬化性組成物層を乾燥させる。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層および/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
TFT方式液晶駆動用基板における基板としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。例えば、TFT方式液晶駆動用基板の表面に、窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を形成した基板を用いることができる。
スリットノズル塗布法において、スリット・アンド・スピン塗布法とスピンレス塗布法は、塗布基板の大きさによって条件は異なるが、例えば、スピンレス塗布法により第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)を塗布する場合、スリットノズルからの着色硬化性組成物の吐出量は、通常、500マイクロリットル/秒〜2000マイクロリットル/秒、好ましくは800マイクロリットル/秒〜1500マイクロリットル/秒であり、また、塗工速度は、通常、50mm/秒〜300mm/秒、好ましくは100mm/秒〜200mm/秒である。
また、塗布工程で用いられる着色硬化性組成物の固形分としては、通常、10%〜20%、好ましくは13%〜18%である。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗布膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5μm〜5.0μmの範囲が好ましい。
また、プリベーク処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて50℃〜140℃の温度範囲で、好ましくは70℃〜110℃程度であり、10秒〜300秒の条件にて行うことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
また、着色硬化性組成物により形成される着色硬化性組成物層の厚みは、目的に応じて適宜選択される。液晶表示装置用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、1.0μm〜4.0μmの範囲が更に好ましく、1.5μm〜3.5μmの範囲が最も好ましい。また、固体撮像素子用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、0.3μm〜2.5μmの範囲が更に好ましく、0.3μm〜1.5μmの範囲が最も好ましい。
なお、着色硬化性組成物層の厚みは、プリベーク後の膜厚である。
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、基板上に前述のようにして形成された着色硬化性組成物からなる膜(着色硬化性組成物層)に対し、例えばフォトマスクを介して露光が行なわれる。露光に適用し得る光もしくは放射線としては、g線、h線、i線、j線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm2〜10000mJ/cm2の露光量で照射することが好ましい。
レーザー光源を用いた露光方式では、光源として紫外光レーザーを用いる。
照射光は、波長が300nm〜380nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である紫外光レーザーがレジストの感光波長に合致しているという点で好ましい。具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
被露光物(パターン)の露光量としては、1mJ/cm2〜100mJ/cm2の範囲であり、1mJ/cm2〜50mJ/cm2の範囲がより好ましい。露光量がこの範囲であると、パターン形成の生産性の点で好ましい。
液晶表示装置用のカラーフィルタを製造する際には、プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション露光機により、主として、h線、i線を使用した露光が好ましく用いられる。また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。なお、TFT方式液晶駆動用基板を用いてカラーフィルタを製造する際には、用いられるフォトマスクは、画素(着色パターン)を形成するためのパターンの他、スルーホール或いはコの字型の窪みを形成するためのパターンが設けられているものが使用される。
また、露光は、着色硬化性組成物層中の色材の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
現像液は、未硬化部における着色硬化性組成物の塗布膜(着色硬化性組成物層)を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。例えば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。
現像に用いられる有機溶剤としては、本発明の着色硬化性組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
前記アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度は、好ましくはpH11〜13、更に好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整するのがよい。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
現像は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像ムラを防ぐこともできる。また、基板を傾斜させて現像することもできる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
リンス工処理は、通常は純水で行なうが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
本発明のカラーフィルタは、コントラストが高く、色濃度ムラの小さい、色特性の良好であることから、固体撮像素子又は液晶表示素子に好適に用いることができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、着色硬化性組成物を用いて形成された着色パターン(画素)に対して、紫外線照射による後露光を行なうこともできる。
上記のような紫外線照射による後露光が行なわれた着色パターンに対して、さらに加熱処理を行なうことが好ましい。形成された着色パターンを加熱処理(いわゆるポストベーク処理)することにより、着色パターンを更に硬化させることができる。この加熱処理は、例えば、ホットプレート、各種ヒーター、オーブンなどにより行なうことができる。
加熱処理の際の温度としては、100℃〜300℃であることが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。また、加熱時間は、10分〜120分程度が好ましい。
なお、単色の着色硬化性組成物層の形成、露光、現像が終了する毎に(1色毎に)、前記工程(C)および/又は工程(D)を行なってもよいし、所望の色数の全ての着色硬化性組成物層の形成、露光、現像が終了した後に、一括して前記工程(C)および/又は工程(D)を行なってもよい。
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子や固体撮像素子に用いることが可能であり、特に液晶表示装置の用途に好適である。液晶表示装置に用いた場合、染料を着色剤として用い、良好な色相を達成しながら、分光特性およびコントラストに優れた画像の表示が可能になる。
基板上のブラックマトリックスは、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料の加工顔料を含有する着色硬化性組成物を用い、塗布、露光、および現像の各工程を経て、その後、必要に応じて、ポストベークすることにより形成することができる。
本発明の液晶表示素子および固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えてなるものである。より具体的には、例えば、カラーフィルタの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明の液晶表示素子であるパネルが得られる。また、例えば、受光素子上にカラーフィルタを形成することにより、本発明の固体撮像素子が得られる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color−filter On Array)方式にも供することが可能である。
1−1.合成中間体(S−4A)の合成
2‘−アミノアセトフェノン(8.5g、東京化成社製)とベンジルフェニルケトン(11.76g)(東京化成社製)を酢酸(40ml、和光純薬社製)に室温(25℃)下混合、溶解させた。次に、濃硫酸(7.0g、和光純薬社製)を滴下し、110℃で10時間攪拌し反応させた。反応液を冷却後、水300mlに再沈し、得られた析出物を濾過し乾燥させ、合成中間体S−4A粗体を得た。
更にろ過液に酢酸エチル(200ml)を投入し、炭酸水素ナトリウムでpH7まで中和後、酢酸エチル層を分離、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に濃縮し、合成中間体S−4A粗体を得た。次に得られた二つのS−4A粗体を混合し、アセトン(50ml)で室温下1時間攪拌し、析出物をろ過し乾燥させ、合成中間体S−4A(8.9g)を得た(収率50%)。
S−4A(0.9g)とヨードブタン(1.12g、東京化成社製)をスルホラン(1ml、和光純薬社製)に室温(25℃)下で混合させた。次に反応液を140℃で4時間攪拌し反応させた。反応液を冷却後、酢酸エチル(10ml)に再沈し、得られた析出物を濾過し乾燥させ、合成中間体S−4B(0.33g)を得た(収率23%)。
前記のようにして得られた合成中簡体(S−4A)(0.33g)とオルト蟻酸エチル(0.15g、和光純薬社製)をピリジン(1ml、和光純薬社製)に室温(25℃)下で混合し、溶解させた。次に、反応液を120℃で10時間攪拌し反応させた。反応液を冷却後、水300mlに再沈し、得られた析出物を濾過し乾燥させ、S−4粗体を得た。
得られたS−4粗体を酢酸エチル(10ml)に投入し、70℃で1時間攪拌し、析出物をろ過乾燥させ、S−4(ヨウ素塩)を青色結晶粉末として得た。
得られたS−4(ヨウ素塩)をメタノール(5ml)に溶解させ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(0.5g、東京化成社製)を水(1ml)に溶解させた液を滴下し、更に水1mlを混合し室温下1時間攪拌した。
得られた析出物を濾過し乾燥させ、例示化合物(S−4:上記構造、8.5g)を緑色結晶粉末として得た。得られた例示化合物(s−4)について、MALDI−MASSによる質量分析を行った結果、M+=713.39であり、目的化合物であることを確認した。
1−1.合成中間体(S−25A)の合成
2,4−ルチジン(4.28g、東京化成社製)と2−ブロモプロピオフェノン(9.36g、東京化成社製)をアセトン(40ml、和光純薬社製)に室温(25℃)下で混合、溶解させた。次に加熱還流下で、6時間攪拌し反応させた。反応液を冷却後、水120mlと炭酸カリウム(2.4g、和光純薬社製)を投入し、100℃で2時間加熱攪拌した。
得られた反応液に酢酸エチル(200ml)を投入し、酢酸エチル層を分離、硫酸マグネシウムで乾燥させた後に濃縮し、合成中間体S−25A粗体を得た。得られた粗体をカラムクロマトグラフィーにより精製し、合成中間体S25A(4.3g)を得た。
前記のようにして得られた合成中簡体(S−25A、0.22g)と、N−[(3−(アニリノメチレン)−2−クロロ−1−シクロヘキセン−1−イル)メチレン]アニリン塩酸塩(0.54g、Aldrich社製)を無水酢酸(5ml、和光純薬社製)に室温(25℃)下で混合し、溶解させた。次に、反応液を100℃で2時間攪拌し反応させた。反応液を冷却後、水30mlに再沈し、得られた析出物を濾過し乾燥させ、S−4粗体(Cl−塩)を得た。
得られたS−4(Cl−塩)をメタノール(5ml)に溶解させ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(0.5g、東京化成社製)を水1mlに溶解させた液を滴下し、更に水1mlを混合し室温下1時間攪拌した。
得られた析出物を濾過し乾燥させ、例示化合物(S−25:上記構造、0.12g)を緑色結晶粉末として得た。得られた例示化合物(S−25)について、MALDI−MASSによる質量分析を行った結果、M+=819.24であり、目的化合物であることを確認した。
(Y−1)C.I.ピグメントイエロー150を12.8部とメチルメタクリレート/メタクリル酸(80/20)[質量比]共重合体(重量平均分子量:12,000)7.2部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80.0部と混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させて得られた顔料分散液
(Y−2)C.I.ソルベントイエロー16210.0部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(和光純薬社製)90.0部に溶解させたもの
(T−1)光重合性化合物:カヤラドDPHA(日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物)
(U−1)バインダー樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(85/15[質量比]共重合体(重量平均分子量:12,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40.0質量%)酸価(100mgKOH/g)
(V−1)光重合開始剤:2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン(チバスペシャルティケミカルズ社製)
(V−2)光重合開始剤:2−(アセトキシイミノ)−4−(4−クロロフェニルチオ)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−ブタノン(チバスペシャルティケミカルズ社製)
(W−1)光重合開始助剤:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(チバスペシャルティケミカルズ社製)
(X−1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(X−2)溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル
(Y−1)界面活性剤:メガファックF781−F(大日本インキ化学工業(株)製)
(シアン着色膜の作製)
着色硬化性組成物(塗布液)の調製
下記組成中の成分を混合して、着色硬化性組成物1を調製した。
<組成>
・発明の化合物S−1 ・・・6.9質量部
・前記(T−1) ・・・103.4質量部
・前記(U−1) ・・・212.2質量部(固形分換算値:84.9質量部)
・前記(V−1) ・・・・21.2質量部
・前記(W−1) ・・・・・3.5質量部
・前記(X−1) ・・・・71.9質量部
・前記(X−2) ・・・・・3.6質量部
・前記(Y−1) ・・・・0.06質量部
上記で得られた着色硬化性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、600〜700nmにおける最大吸光度が1.5〜2.0となるように塗布し、100℃のオーブンで180秒間乾燥させ、基板上に着色膜を作製した。
上記で得られた基板について下記の評価を行なった。
<色相の評価>
作製した着色膜について、紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で、エタノール中における染料の吸収極大位置、H会合体吸収極大位置、および550nm/580nmでの透過率を測定した。ここで、H会合体吸収極大位置とは、本発明で用いる染料のエタノール中における吸収極大位置よりも短波長側に見られる吸収極大である。かかる吸収極大のシフトは本発明で用いるアルカリ可溶性ポリマーに配合することによって成し遂げられるものであり、本発明で用いる染料のH会合体が形成されていることを予測させるものである。
H会合体の吸収極大が630nm以下のものは短波すぎており、黄色着色剤との組合せで色純度の高い緑色フィルタを作成できないことを示す。また透過率は両波長領域で高いことが好ましく、透過率比は短波側のスソ切れを表すため、透過率比が小さいほど好ましい。
作製した着色膜について、200℃/30分の条件で加熱し、加熱前後の吸収スペクトル変化を紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で測定し、吸収極大値(吸収極大位置でのabs.変化率)変化率を評価した。
本変化率値が低いほど、耐熱性は高いものと評価できる。
(緑着色膜の作製)
着色硬化性組成物(塗布液)の調製
下記組成中の成分を混合して、着色硬化性組成物を調製した。
<組成>
・発明の化合物S−1 ・・・6質量部
・黄色着色物(前記(Y−2)) ・・・吸収強度比(450nmの吸収/650nmの吸収)が0.95〜1.05の範囲に収まるよう、黄色着色物の量を調整し加えた。
・前記(T−1) ・・・103.4質量部
・前記(U−1) ・・・212.2質量部(固形分換算値:84.9質量部)
・前記(V−1) ・・・・21.2質量部
・前記(W−1) ・・・・・3.5質量部
・前記(X−1) ・・・・71.9質量部
・前記(X−2) ・・・・・3.6質量部
・前記(Y−1) ・・・・0.06質量部
上記で得られた着色硬化性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、600〜700nmにおける最大吸光度が1.5〜2.0となるように塗布し、100℃のオーブンで180秒間乾燥させ、基板上に着色膜を作製した。
上記で得られた基板について、前記した色相、耐熱性に関する評価を行なった。結果を以下に示す。
また比較例1と実施例2または実施例13の比較より、シアニン染料の特徴であるメチン鎖周りに置換基を有することが、耐熱性付与に対し大きな効果の見られることが分かった。
これは従来から言われるシアニン染料の脆弱性を改良する有効な方法であり、同時に長波化効果を示す為、H会合体の吸収極大位置の最適化を同時に行える効果的な施策であることが確認された。
Claims (10)
- (A)下記一般式(VIII)または(IX)で表され、かつ、メタノール中における吸収極大が720nm以上を示すシアニン染料、
(B)150mgKOH/g以下のカルボン酸、スルホン酸又はリン酸価を有するアルカリ可溶性ポリマーおよび
(C)重合性化合物
を有し、前記(A)染料が前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中で、少なくとも、620〜670nmに吸収極大を持つことを特徴とする、着色硬化性組成物。
R93〜R95およびR72〜R76は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アリール基、ヘテロアリール基であり、これらの基は置換基を有していても良い。
R89、R90、R91、R92、R97、R98、R99およびR100は、水素原子であるか、R89、R92、R97およびR100は、水素原子であり、かつ、R90とR91ならびにR98とR99がそれぞれ結合して5員環を形成している。
R68、R69、R70、R71、R77、R78、R79およびR80は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であるか、R70、R71、R77およびR78は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R68とR69ならびにR79とR80がそれぞれ結合してベンゼン環を形成している。
M-は、シアニン染料の対アニオンであり、BF4-、PF6-、SbF6-または、下記記一般式(V)で表されるアニオンである:
- 前記(A)染料の前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中での、550nmにおける透過率と580nmにおける透過率の透過率比(550nm/580nm)が、1.2〜1.0である請求項1に記載の着色硬化性組成物。
- さらに、光重合開始剤を含有する、請求項1または2に記載の着色硬化性組成物。
- さらに、メタノール中における吸収極大が720nm以上を示すシアニン染料又はスクアリリウム染料と異なる着色化合物(D)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- 着色化合物(D)が黄色着色化合物である、請求項4に記載の着色硬化性組成物。
- (A)下記一般式(VIII)または(IX)で表され、かつ、メタノール中における吸収極大が720nm以上を示すシアニン染料、
(B)150mgKOH/g以下のカルボン酸、スルホン酸又はリン酸価を有するアルカリ可溶性ポリマーおよび
(C)重合性化合物
を有し、前記(A)染料が、前記(B)アルカリ可溶性ポリマー中にて、H会合を形成することを特徴とする着色硬化性組成物。
R93〜R95およびR72〜R76は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アリール基、ヘテロアリール基であり、これらの基は置換基を有していても良い。
R89、R90、R91、R92、R97、R98、R99およびR100は、水素原子であるか、R89、R92、R97およびR100は、水素原子であり、かつ、R90とR91ならびにR98とR99がそれぞれ結合して5員環を形成している。
R68、R69、R70、R71、R77、R78、R79およびR80は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であるか、R70、R71、R77およびR78は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R68とR69ならびにR79とR80がそれぞれ結合してベンゼン環を形成している。
M-は、シアニン染料の対アニオンであり、BF4-、PF6-、SbF6-または、下記記一般式(V)で表されるアニオンである:
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いた着色層を有するカラーフィルタ。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を基板上に適用し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光し、現像して着色領域を形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
- 請求項7に記載のカラーフィルタ、又は請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを有する液晶表示装置。
- 請求項7に記載のカラーフィルタ、又は請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを有する固体撮像素子。
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