以下、図面を参照して、本発明に係る画像記録方法及び画像記録装置の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る画像記録方法及び画像記録装置を、外部装置であるワークステーションとインクジェットプリンタとで構成されるプリンタシステムに適用したものである。このプリンタシステムは、ノズルピッチが600dpiのインクジェットプリンタを用いて、2400dpiの画像を記録するものである。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
図1は、本実施形態に係るプリンタシステムを示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係るプリンタシステム1は、ワークステーション10と、インクジェットプリンタ20とで構成されており、ワークステーション10とインクジェットプリンタ20とがケーブルにより電気的に接続されている。
ワークステーション10は、インクジェットプリンタ20で記録(印刷)する画像を生成するとともに、この画像をラスタデータに変換してインクジェットプリンタ20に転送するものである。このため、ワークステーション10は、描画アプリケーション11と、RIP(Raster Image Processor)12と、エッジ補正部13と、間引処理部14と、I/Fコントローラ15と、を備える。
描画アプリケーション11は、ユーザ操作により、ペジェ曲線を利用したベクタデータで表されたPostScriptデータ(原画像データ)を生成するものである。
RIP12は、描画アプリケーション11で生成されたPostScriptデータに基づいて、AM網点パターンで形成された2値ビットマップデータのAM網点データを生成するものである。RIP12は、まず、描画アプリケーション11で生成されたPostScriptデータを取得し、このPostScriptデータを分析する。次に、RIP12は、レンダリング処理やラスタリング処理を行い、このPostScriptデータを画像化する。次に、RIP12は、スクリーニング処理を行い、この画像化したデータから2400dpiの2値ビットマップデータであるAM網点データを生成する。このAM網点データの各画素には、ドット記録の有無が設定される。次に、RIP12は、このAM網点データを1bit TIFF形式の印刷データに変換する。この印刷データは、2400dpiのAM網点パターンで構成されており、画素毎に、ドットの記録有無が設定されている。なお、描画アプリケーション11で生成した原画像データがフルカラーのデータであれば、色毎に印刷データが生成される。
エッジ補正部13は、実際に記録されるドットの広がりを考慮して、AM網点パターンのドット面積を小さくするために、画像のエッジ部分を補正するものである。例えば、3plのインク液滴でドットを記録すると、ドットの直径が20〜30μmとなるため、エッジのドットゲインが大きくなって階調性が低下する。そこで、エッジ補正部13は、RIP12が生成したAM網点データの各画素のうち、画像のエッジ(画像の輪郭)に対応するエッジ画素(輪郭画素)を検出し、このエッジ画素のドットを補正する。エッジの補正には、後述するように、両エッジ削除、片エッジ削除(有→無)、片エッジ削除(無→有)の3種類があるが、何れの手法によりエッジ画素のドットを補正しても良い。
ここで、図2及び図3を参照して、2400dpiかつ175lpiのAM網において、両エッジ削除を行った場合のドット形状と、片エッジ削除(有→無)を行った場合のドット形状とについて説明する。図2は、AM網におけるドット形状を例示した図であり、(a)は補正前のドット形状、(b)は両エッジ削除を行ったドット形状、(c)は片エッジ削除(有→無)を行ったドット形状を示している。図3は、AM網におけるドットの面積占有率を示した図である。なお、図2において、斜線のハッチングで示した画素は、エッジ補正によりドットを削除した画素である。
図2に示すように、ドット面積占有率が2.5%のドット形状に対して、両エッジ削除を行うと、両エッジのドットが削除されてドット面積占有率が0%になってドットが無くなり、片エッジ削除(有→無)を行うと、片エッジのドットが削除されてドット面積占有率が0.5%のドット形状になる。ドット面積占有率が3.0%のドット形状に対して、両エッジ削除を行うと、両エッジのドットが削除されてドット面積占有率が0.5%のドット形状になり、片エッジ削除(有→無)を行うと、片エッジのドットが削除されてドット面積占有率が1.0%のドット形状になる。ドット面積占有率が10.0%のドット形状に対して、両エッジ削除を行うと、両エッジのドットが削除されてドット面積占有率が4.0%のドット形状になり、片エッジ削除(有→無)を行うと、片エッジのドットが削除されてドット面積占有率が6.5%のドット形状になる。同様に、ドット面積占有率が90.0%である場合、両エッジ削除を行うと、両エッジのドットが削除されてドット面積占有率が82.0%のドット形状になり、片エッジ削除(有→無)を行うと、片エッジのドットが削除されてドット面積占有率が85.0%のドット形状になる。これらを纏めると、図3に示すグラフのようになる。
間引処理部14は、ベタ塗部分でドットが重なりインクが溢れる(ドットが広がる)のを抑制するために、エッジ部分を残してベタ塗り部分のドットを間引くものである。例えば、解像度が2400dpiの各画素の寸法は10.58×10.58μmであるのに対し、3plのインク液滴で記録するドットの直径は20〜30μmとなる。このため、3plのインク液滴で隣接する画素にドットを記録すると、2つのドットが重なってインクが溢れてしまう。そこで、間引処理部14は、注目画素の上下左右の4画素においてドットが記録されると判断すると、この注目画素のドットを削除する(間引く)。
ここで、図4〜図7を参照して、ドット径が21μmのドットを2400dpiの解像度で記録する場合の間引き処理について説明する。図4は、間引き処理の基本概念を説明する図であり、(a)は記録されるドット、(b)は印刷データ上のドット記録有無を示している。図5は、3×3の画素部分がベタ塗である場合を示した図であり、(a)は記録されるドット、(b)は印刷データ上のドット記録有無を示している。図6は、4×4の画素部分がベタ塗である場合を示した図であり、(a)は記録されるドット、(b)は印刷データ上のドット記録有無を示している。図7は、8×8の画素部分がベタ塗である場合を示した図であり、(a)は記録されるドット、(b)は印刷データ上のドット記録有無を示している。なお、図4〜図7の(a)では、間引きするドットを破線で示しており、図4〜図7の(b)では、間引きする注目画素を格子状のハッチングで示している。
図4に示すように、ある注目画素αの上下左右の画素βにドットが記録される場合を考える。この場合、各画素の寸法が10.58×10.58μmであるのに対し、各画素に記録されるドットの径が21μmであるため、注目画素αに記録されるドットと上下左右の画素βに記録されるドットとが重なり合い、上下左右の画素βに記録されるドットで注目画素αが埋められる。そこで、この注目画素αのドットを間引くことで、注目画素αでのドットの重なり合いが少なくなる。
同様に、図5〜図7に示すように、3×3、4×4、8×8の画素部分がベタ塗である場合も、それぞれ、エッジ部分の画素を除き、上下左右の全画素にドットが記録される注目画素を間引く。これにより、画像の輪郭が不明確になるのを防止しつつ、ドットが重なり合うことによりインクが溢れるのを抑制することができる。
I/Fコントローラ15は、インクジェットプリンタ20との通信を制御することで、RIP12が生成した印刷データをインクジェットプリンタ20に転送するものである。
図1に示すように、インクジェットプリンタ20は、インク液滴を吐出することで記録媒体に画像を記録する画像記録装置であるため、バッファ21と、プリント機構部30と、制御装置40と、を備えている。
バッファ21は、ワークステーション10のI/Fコントローラ15から転送された印刷データを一時的に格納する一時記憶装置である。
図8は、インクジェットプリンタのプリント機構部を示す概略構成図である。図8に示すように、プリント機構部30は、記録媒体Mを載置するフラットベッド31と、インク液滴を吐出するインクジェットヘッド32と、インクジェットヘッド32を搭載するキャリッジ33と、キャリッジ33を主走査方向Sに移動可能に保持すると共に主走査方向Sに直交する副走査方向Fに搬送されるYバー34と、を備える。そして、このインクジェットヘッド32には、インク液滴を吐出する多数のノズル35が、600dpiに相当するドットピッチで形成されている。このため、キャリッジ33を主走査方向Sに移動させることで、インクジェットヘッド32を記録媒体Mに対して主走査方向Sに移動させることができ、Yバー34を副走査方向Fに搬送することで、インクジェットヘッド32を記録媒体Mに対して副走査方向Fに搬送することができる。
そして、プリント機構部30は、制御装置40からの制御により、主走査方向Sにキャリッジ33を移動させながらノズル35からインク液滴を吐出させることで、印刷データにおける左右方向(横方向)の画素にドットを記録することができ、更に、Yバー34を所定幅ずつ副走査方向Fに搬送することで、順次、印刷データにおける上下方向(縦方向)の画素にドットを記録することができる。このため、印刷データの左右方向は主走査方向Sに対応し、印刷データの上下方向は副走査方向Fに対応する。そして、プリント機構部30は、パス毎にこのようなキャリッジ33の主走査方向Sへの移動とYバー34の副走査方向Fへの搬送とを繰り返すことで、所定パス数のマルチパス記録により記録媒体Mに画像を記録することが可能となっている。
制御装置40は、プリント機構部30を制御して、8パスのマルチパス記録で2400dpiの画像を記録させるものである。なお、制御装置40は、例えば、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。そして、後述する制御装置40の各制御は、CPUやRAM上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませ、CPUの制御のもとで動作させることで実現される。このため、このコンピュータソフトウェアには、後述する制御装置40の各機能を実現するプログラムが組み込まれている。
ここで、図9を参照して、本実施形態におけるマルチパス記録の仕組みについて説明する。図9は、8パスのマルチパス記録を説明するための図である。図9に示すように、インクジェットヘッド32に形成されるノズル35のノズルピッチが600dpiであるのに対し、記録媒体Mに記録する画像の記録解像度は2400dpiである。このため、印字解像度はノズルピッチの4倍となる。
そこで、従来は、4パスのマルチパス記録を行うことで、2400dpiの画像を記録していた。すなわち、1パス目で記録媒体Mの1ライン目の全ての画素にドットを記録し、2パス目で記録媒体Mの2ライン目の全ての画素にドットを記録し、3パス目で記録媒体Mの3ライン目の全ての画素にドットを記録し、4パス目で記録媒体Mの4ライン目の全ての画素にドットを記録している。
これに対し、本実施形態では、副走査方向Fに対応する上下方向(縦方向)に4ライン×主走査方向Sに対応する左右方向(横方向)に4列で構成される2次元領域の16画素を一つのブロック(単位領域)Zとするとともに、左右に隣接する2画素を1組の画素組とし、このブロックZを構成する画素組数と同じパス数、すなわち8パスのマルチパス記録で画像を印刷する。そして、Yバー34及びキャリッジ33の搬送制御と、インク液滴の吐出タイミング制御とにより、パス毎に順次ブロックZの各画素に画素組毎にドットを記録していくことで、記録媒体Mに2400dpiの解像度の画像を記録する。
そこで、図1に示すように、制御装置40は、このような画像の記録を可能とするために、マスクパターン処理部41と、並び替え処理部42と、各ノズル35から吐出するインク液滴の吐出タイミングを制御する吐出タイミング制御部43と、キャリッジ33の主走査方向Sへの移動制御を行うキャリッジ駆動制御部44と、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御を行う搬送制御部45と、を備える。なお、上述したように、キャリッジ33を主走査方向Sに移動させることで、インクジェットヘッド32を主走査方向Sに移動させることができ、Yバー34を副走査方向Fに搬送することで、インクジェットヘッド32を副走査方向Fに搬送することができる。
マスクパターン処理部41は、印刷データをブロックZ単位に分割し、所定のマスクパターンに基づいて、左右に隣接する2画素により構成される画素組単位で各ブロックZにおける各画素のドット記録順序を決定(設定)するものである。マスクパターンは、ブロックZにおける各画素のドット記録順序が登録されたものであり、予めインクジェットプリンタの記憶装置などに格納されている。また、本実施形態では、分割される各ブロックの番号を、副走査方向F後方から前方に向けて順次1番から番号付けするものとする。このため、副走査方向Fにおいて最後方のブロックは、第1ブロックとなる。
そして、マスクパターン処理部41は、印刷データをバッファ21から読み出してブロックZ単位に分割し、記憶装置に格納されているマスクパターンを参照して各ブロックZにおける各画素のドット記録順序を決定する。更に、マスクパターン処理部41は、この決定したドット記録順序で印刷データの各画素を配列する。
ここで、図10を参照して、マスクパターンに登録されたドット記録順序について説明する。図10は、マスクパターンを示した図であり、(a)は画素組群、(b)はドット記録順序を示している。図10に示すように、マスクパターンは、ブロックZと同様に、副走査方向Fに対応する上下方向(縦方向)に4ライン×主走査方向Sに対応する左右方向(横方向)に4列の16画素で構成されている。
図10(a)に示すように、マスクパターンは、主走査方向Sに対応する左右方向に4画素かつ副走査方向Fに対応する上下方向に4画素の計16画素で構成されている。また、このマスクパターンは、左右に隣接する2画素が一組の画素組を構成している。このマスクパターンの各画素組は、第一画素組群A、第二画素組群B、第三画素組群C及び第四画素組群Dの4つの画素組群に分けられている。第一画素組群Aは、上下左右斜めに互いに隣接することなく、上下左右斜めに1画素組ずつ離間した(1画素組ずつ隔てた)位置であって同じ列上に配置される2画素組で構成される画素組群となっている。また、第二画素組群Bは、第一画素組群Aの左右に配置される2画素組で構成される画素組群となっており、第三画素組群Cは、第一画素組群Aの上下に配置される2画素組で構成される画素組群となっており、第四画素組群Dは、第一画素組群の斜めに配置される2画素組で構成される画素組群となっている。
図10(b)に示すように、マスクパターンのドット記録順序は、左右及び上下に隣接画素組が連続しない順序となっている。具体的に説明すると、マスクパターンのドット記録順序は、第一画素組群Aが第一順位、第二画素組群Bが第二順位、第三画素組群Cが第三順位、第四画素組群Dが第四順位となっている。なお、ドット記録順序は、第一順位→第二順位→第三順位→第四順位の順番である。そして、同じ画素組の2画素は、同一順位となっており、同じ画素組群の2画素組は、下に配置される画素組が先の順位で、上に配置される画素組が後の順位となっている。すなわち、1ライン目の1,2列目の2画素が1番目、3ライン目の1,2列目の2画素が2番目、1ライン目の3,4列目の2画素が3番目、3ライン目の3,4列目の2画素が4番目、2ライン目の1,2列目の2画素が5番目、4ライン目の1,2列目の2画素が6番目、2ライン目の3,4列目の2画素が7番目、4ライン目の3,4列目の2画素が8番目となる。
ここで、図11を参照して、マスクパターンを上述したドット記録順序とすることによる効果について説明する。図11は、画素組群ごとのドット記録状態を示した図である。
まず、図11(a)に示すように、第一画素組群Aの各画素組にドットを記録する際、第一画素組群Aの各画素組に左右上下斜めに隣接する画素組には、何れもドットが記録されていない。このため、第一画素組群Aの各画素組に記録されるドットは、他のドットに引っ張られることがなく、位置がずれない。
次に、図11(b)に示すように、第二画素組群Bの各画素組にドットを記録する際、既に第一画素組群Aの各画素組にドットが記録されている。しかしながら、第二画素組群Bの各画素組は、第一画素組群Aの各画素組により左右から挟まれているため、第二画素組群Bの各画素組に記録されるドットは、第一画素組群Aの各画素組に記録された各ドットにより左右均等な力でバランスよく引っ張られる。このため、第二画素組群Bの各画素組に記録されるドットは、位置がずれ難くなる。
次に、図11(c)に示すように、第三画素組群Cの各画素組にドットを記録する際、既に第一画素組群A及び第二画素組群Bの各画素組にドットが記録されている。しかしながら、第三画素組群Cの各画素組は、第一画素組群Aの各画素組により上下から挟まれていると共に、第二画素組群Bの各画素組により斜めから挟まれているため、第三画素組群Cの各画素組に記録されるドットは、第一画素組群A及び第二画素組群Bの各画素組に記録された各ドットにより上下及び斜めから均等な力でバランスよく引っ張られる。このため、第三画素組群Cの各画素組に記録されるドットは、位置がずれ難くなる。
次に、図11(d)に示すように、第四画素組群Dの各画素組にドットを記録する際、既に第一画素組群A、第二画素組群B、及び第三画素組群Cの各画素組にドットが記録されている。しかしながら、第四画素組群Dの各画素組は、第一画素組群Aの各画素組により斜めから挟まれ、第二画素組群Bの各画素組により上下から挟まれ、更に第三画素組群Cの各画素組により左右から挟まれているため、第四画素組群Dの各画素組に記録されるドットは、第一画素組群A、第二画素組群B及び第三画素組群Cの各画素組に記録された各ドットにより上下左右斜めの8方向から均等な力でバランスよく引っ張られる。このため、第四画素組群Dの各画素組に記録されるドットは、位置がずれ難くなる。
並び替え処理部42は、インクジェットヘッド32に記録された各ノズル35のノズル配列と、記録解像度に応じたインクジェットヘッド32(Yバー34)の副走査方向Fへの搬送スケジュールとに基づいて、ノズル35からインク液滴を吐出する順、すなわち、実際にドットが記録される順に、マスクパターン処理部41で配列された各画素を再配列するものである。このノズル配列及びインクジェットヘッド32の搬送スケジュールは、予めインクジェットプリンタの記憶装置などに格納されている。そこで、並び替え処理部42は、記憶装置に格納されているノズル配列及び2400dpiの解像度に対応するインクジェットヘッド32の搬送スケジュールを参照して、実際にドットが記録される順を計算し、この計算した順に印刷データの各画素を再配列する。
ここで、図12及び図13を参照して、インクジェットヘッド32の副走査方向Fへの搬送スケジュールとドット記録位置について具体的に説明する。
図12は、ノズル配列と記録画素との関係を示した図である。図12に示すように、インクジェットヘッド32には、600dpiのノズルピッチで1260個のノズル35が記録されている。そして、各ノズル35で4ラインの画素にドットを記録するため、インクジェットヘッド32の記録幅は、5040ラインとなる。なお、本実施形態では、各ノズル35のノズル番号を、副走査方向F前方から後方に向けて順に1〜1260番とする。
図13は、インクジェットヘッドの搬送スケジュールを示した図である。図13に示すように、インクジェットヘッド32(Yバー34)の搬送スケジュールは、各パス間における副走査方向Fへの送り量で表される。なお、この送り量を搬送量とも言う。具体的に説明すると、搬送スケジュールは、後述するように、1パス目は、1個のノズル35のみでドットを記録し、2パス目以降は、約158個のノズル35で形成されるパス幅で順次ドットを記録するものとなる。このため、搬送スケジュールは、1パス目〜3パス目までが630ライン、4パス目が631ライン、5パス目〜7パス目までが630ライン、8パス目が629ラインの送り量となる。なお、1パス目の搬送及び搬送量とは、1パス目と2パス目との間に行う搬送及びこの搬送量を意味し、2パス目〜8パス目も同様である。
次に、図14を参照して、プリンタシステム1の処理動作について説明する。図14は、プリンタシステムにおける処理動作を示すシーケンス図である。
図14に示すように、まず、ワークステーション10では、描画アプリケーション11が、ユーザからの操作入力に基づいて、PostScriptデータを生成する(ステップS1)。
次に、ワークステーション10では、RIP12が、ステップS1で生成したPostScriptデータのAM網点処理を行う(ステップS2)。このAM網点処理では、PostScriptデータを分析して画像化し、AM網点データのAM網点データを生成する。そして、この生成したAM網点データを1bit TIFF形式の印刷データに変換する。
次に、ワークステーション10では、エッジ補正部13が、ステップS2で生成したAM網点データのエッジ補正処理を行う(ステップS3)。エッジ補正処理は、上述したように、画像のエッジに対応するエッジ画素を検出し、このエッジ画素のドットを補正することにより行う。エッジの補正は、両エッジ削除、片エッジ削除(有→無)、片エッジ削除の何れを行ってもよく、如何なる手法によりエッジの補正を行っても良い。ここで、図15を参照して、エッジ補正処理の一例について説明する。
図15は、エッジ補正部によるエッジ補正処理の一例を示したフローチャートである。図15に示すように、まず、エッジ補正部13は、処理を開始するに当たり、注目画素を指定する(ステップS301)。なお、図15において、Yは、副走査方向Fにおける位置を示しており、Xは、主走査方向Sにおける位置を示している。
次に、エッジ補正部13は、注目画素、注目画素の1ライン前の画素、注目画素の1ライン後の画素の3画素を基準に、主走査方向S(ライン方向)に8画素をサンプリングする(ステップS302)。なお、注目画素に対応するサンプリング画素をY0とし、注目画素の1ライン前の画素に対応するサンプリング画素をY−1とし、注目画素の1ライン後の画素に対応するサンプリング画素をY+1とする。
次に、エッジ補正部13は、Y0とY−1の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&Y1に格納する(ステップS303)。同様に、エッジ補正部13は、Y0とY+1の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&Y2に格納する(ステップS304)。そして、エッジ補正部13は、&Y1と&Y2の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&Yに格納する(ステップS305)。
次に、エッジ補正部13は、注目画素、注目画素の1列前の画素、注目画素の1列後の画素の3画素を基準に、副走査方向F(列方向)に8画素をサンプリングする(ステップS306)。なお、注目画素に対応するサンプリング画素をX0とし、注目画素の1列前の画素に対応するサンプリング画素をX−1とし、注目画素の1列後の画素に対応するサンプリング画素をX+1とする。
次に、エッジ補正部13は、X0とX−1の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&X1に格納する(ステップS307)。同様に、エッジ補正部13は、X0とX+1の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&X2に格納する(ステップS308)。そして、エッジ補正部13は、&X1と&X2の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&Xに格納する(ステップS309)。
次に、エッジ補正部13は、エッジ補正が両エッジ削除であるか否かを判断する(ステップS310)。なお、ステップS310の判断は、ユーザの操作入力により行ってもよく、予め設定された情報に基づいて行ってもよい。
ステップS310においてエッジ補正が両エッジ削除であると判断すると(ステップS310:YES)、エッジ補正部13は、&Yと&Xの画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&1に格納する(ステップS311)。そして、この&1を処理結果として格納し、後述するステップS316に進む。
ステップS310においてエッジ補正が両エッジ削除でないと判断すると(ステップS310:NO)、エッジ補正部13は、エッジ補正が片エッジ削除(無→有)であるか否かを判断する(ステップS312)。なお、ステップS312の判断は、ユーザの操作入力により行ってもよく、予め設定された情報に基づいて行ってもよい。
ステップS312においてエッジ補正が片エッジ削除(無→有)であると判断すると(ステップS312:YES)、エッジ補正部13は、&Y1と&X1の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&1に格納する(ステップS313)。そして、この&1を処理結果として格納し、後述するステップS316に進む。
ステップS312においてエッジ補正が片エッジ削除(無→有)でないと判断すると(ステップS312:NO)、エッジ補正部13は、エッジ補正が片エッジ削除(有→無)であるか否かを判断する(ステップS314)。なお、ステップS314の判断は、ユーザの操作入力により行ってもよく、予め設定された情報に基づいて行ってもよい。
ステップS314においてエッジ補正が片エッジ削除(有→無)であると判断すると(ステップS314:YES)、エッジ補正部13は、&Y2と&X2の画素ごとのAND(論理積)をとり、その演算結果を&2に格納する(ステップS315)。そして、この&1を処理結果として格納し、後述するステップS316に進む。
ステップS314においてエッジ補正が片エッジ削除(有→無)でないと判断すると(ステップS314:NO)、エッジ補正部13は、処理を行うことなくステップS316に進む。
以上の処理が終了すると、次に、エッジ補正部13は、注目画素を1列横に移動させる(ステップS316)。
そして、エッジ補正部13は、1ラインが終了したか否かを判断し(ステップS317)、1ラインが終了していないと判断すると(ステップS317:NO)、ステップS302に戻り、再度上述した処理を行う。
一方、1ラインが終了したと判断すると(ステップS317:YES)、エッジ補正部13は、注目画素を1列下に移動させる(ステップS318)。
そして、エッジ補正部13は、全ラインが終了したか否かを判断し(ステップS319)、全ラインが終了していないと判断すると(ステップS319:NO)、ステップS301に戻り、再度上述した処理を行う。
一方、全ラインが終了したと判断すると(ステップS319:YES)、エッジ補正部13は、エッジ補正処理を終了する。
このようにしてエッジ補正処理が終了すると、次に、ワークステーション10では、間引処理部14が間引処理を行い、ステップS3でエッジ補正したAM網点データのベタ塗り部分のドットを間引く。この間引処理は、注目画素の上下左右の4画素においてドットが記録されると判断すると、この注目画素のドットを削除するものであるが、ベタ塗り部分のドットを間引くことができれば、如何なる手法により間引処理を行っても良い。ここで、図16を参照して、間引処理の一例について説明する。
図16は、間引処理部による間引処理の一例を示したフローチャートである。図16に示すように、まず、間引処理部14は、処理を開始するに当たり、注目画素を指定する(ステップS401)。
次に、間引処理部14は、注目画素を中心とした3画素×3画素の領域を切り出し(ステップS402)、注目画素の左右上下の画素にドットを記録するか否かを判断する(ステップS403)。
ステップS403において、注目画素の左右上下の少なくとも1つの画素にドットが記録されないと判断すると(ステップS403:NO)、間引処理部14は、間引きを行うことなくステップS406に進む。
ステップS403において、注目画素の左右上下の全ての画素にドットを記録すると判断すると(ステップS403:YES)、間引処理部14は、注目画素のドットを削除する(ステップS405)。
次に、間引処理部14は、注目画素を1列横に移動させる(ステップS406)。
そして、間引処理部14は、1ラインが終了したか否かを判断し(ステップS407)、1ラインが終了していないと判断すると(ステップS407:NO)、ステップS402に戻り、再度上述した処理を行う。
一方、1ラインが終了したと判断すると(ステップS407:YES)、間引処理部14は、注目画素を1列下に移動させる(ステップS408)。
そして、間引処理部14は、全ラインが終了したか否かを判断し(ステップS409)、全ラインが終了していないと判断すると(ステップS409:NO)、ステップS402に戻り、再度上述した処理を行う。
一方、全ラインが終了したと判断すると(ステップS402:YES)、間引処理部14は、間引処理を終了する。
なお、上記では、ステップS2とステップS3及びS4とを分けて処理するように説明したが、実際には、ステップS2を処理する際に、ステップS3及びS4を行う。すなわち、PostScriptデータに基づいてAM網点データを作成すると、まず、エッジ補正処理と間引き処理とを行った後、印刷データを生成する。
次に、ワークステーション10のI/Fコントローラ15において、印刷データをインクジェットプリンタ20に転送する転送処理を行う(ステップS15)。
このようにしてワークステーション10からインクジェットプリンタ20に転送された印刷データは、インクジェットプリンタ20のバッファ21に一時的に格納される。
次に、インクジェットプリンタ20では、マスクパターン処理部41がマスクパターン処理を行い、印刷データにおけるブロックZごとのドット記録順序を決定する(ステップS5)。マスクパターン処理は、上述したように、まず、バッファ21に格納された印刷データを読み出し、この読み出した印刷データをブロックZ単位に分割する。そして、記憶装置などに格納されているマスクパターン(図10参照)を参照して、ブロックZごとに、左右に隣接する2画素で構成される画素組単位で、各画素のドット記録順序を決定し、この決定したドット記録順序で印刷データの各画素を配列する。
次に、インクジェットプリンタ20では、並び替え処理部42が並び替え処理を行い、記憶装置に格納されている記録解像度に応じたインクジェットヘッド32の搬送スケジュールとインクジェットヘッド32のノズル配列とを参照して、ステップS5で配列された印刷データの各画素を、実際にドットが記録される順に再配列する。(ステップS6)。すなわち、ステップS6では、並び替え処理を行うことで、インクジェットプリンタ20において、パス毎にインクジェットヘッド32が副走査方向Fに搬送される8パスのマルチパス印字により、パス毎にステップS5で決定された順序で各画素にドットを記録させることが可能となる。
次に、インクジェットプリンタ20では、吐出タイミング制御部43、キャリッジ駆動制御部44及び搬送制御部45がプリント機構部30を制御し、記録媒体Mに2400dpiの画像を形成する(ステップS7)。ステップS7では、ステップS6で各画素が再配列された印刷データに基づいて、キャリッジ駆動制御部44がキャリッジ33の主走査方向Sへの移動制御を行い、吐出タイミング制御部43がインクジェットヘッド32の各ノズル35から吐出されるインク液滴の吐出タイミング制御を行い、搬送制御部45がYバー34の副走査方向Fへの搬送制御を行う。これにより、パス毎に、図13に示したラインだけインクジェットヘッド32(Yバー34)が副走査方向Fに搬送され、キャリッジ33が主走査方向Sに移動している際に各ノズルからインク液滴が吐出されることで、各ブロックZの画素に順次ドットが記録される。
ここで、図17〜図24を参照して、各パスにおけるインクジェットヘッド32とドット記録位置との関係について説明する。図17は、1パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図、図18は、2パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図、図19は、3パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図、図20は、4パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図、図21は、5パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図、図22は、6パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図、図23は、8パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図、図24は、9パス目におけるインクジェットヘッドの搬送位置とドット記録位置との関係を示した図である。
図17に示すように、1パス目の走査を行う際は、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、1番ノズルが第1ブロックの1ライン目に対応付けられている。このため、1パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズルが第1ブロックの1列目及び2列目に来たときに1番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第1ブロックにおけるドット記録番号が1番の2画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を630ライン(157+1/2ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜158番ノズルをそれぞれ第158ブロック〜第1ブロックの3ライン目に対応付ける。
図18に示すように、2パス目では、1番ノズル〜158番ノズルがそれぞれ第158ブロック〜第1ブロックの3ライン目に対応付けられている。このため、2パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズル〜158番ノズルが第158ブロック〜第1ブロックの1列目及び2列目に来たときに1番ノズル〜158番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第158ブロック〜第1ブロックにおけるドット記録番号が2番の2画素にドットが記録される。これにより、第1ブロックには、ドット記録番号が1番及び2番の4画素にドットが記録され、第2ブロック〜第158ブロックには、ドット記録番号が2番の2画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を630ライン(157+1/2ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜316番ノズルをそれぞれ第316ブロック〜第1ブロックの1ライン目に対応付ける。
図19に示すように、3パス目では、1番ノズル〜316番ノズルがそれぞれ第316ブロック〜第1ブロックの1ライン目に対応付けられている。このため、3パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズル〜316番ノズルが第316ブロック〜第1ブロックの3列目及び4列目に来たときに1番ノズル〜316番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第316ブロック〜第1ブロックにおけるドット記録番号が3番の画素にドットが記録される。これにより、第1ブロックには、ドット記録番号が1番〜3番の6画素にドットが記録され、第2ブロック〜第158ブロックには、ドット記録番号が2番及び3番の4画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を630ライン(157+1/2ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜473番ノズルをそれぞれ第473ブロック〜第1ブロックの3ライン目に対応付ける。
図20に示すように、4パス目では、1番ノズル〜473番ノズルがそれぞれ第473ブロック〜第1ブロックの3ライン目に対応付けられている。このため、4パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズル〜473番ノズルが第473ブロック〜第1ブロックの3列目及び4列目に来たときに1番ノズル〜473番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第473ブロック〜第1ブロックにおけるドット記録番号が473番の画素にドットが記録される。これにより、第1ブロックには、ドット記録番号が1〜4番の8画素にドットが記録され、第2ブロック〜第158ブロックには、ドット記録番号が2番〜4番の6画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を631ライン(157+3/4ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜631番ノズルをそれぞれ第631ブロック〜第1ブロックの2ライン目に対応付ける。
図21に示すように、5パス目では、1番ノズル〜631番ノズルがそれぞれ第631ブロック〜第1ブロックの2ライン目に対応付けられている。このため、5パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズル〜631番ノズルが第631ブロック〜第1ブロックの1列目及び2列目に来たときに1番ノズル〜631番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第631ブロック〜第1ブロックにおけるドット記録番号が5番の画素にドットが記録される。これにより、第1ブロックには、ドット記録番号が1〜5番の10画素にドットが記録され、第2ブロック〜第158ブロックには、ドット記録番号が2番〜5番の8画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を630ライン(157+1/2ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜788番ノズルをそれぞれ第788ブロック〜第1ブロックの4ライン目に対応付ける。
図22に示すように、6パス目では、1番ノズル〜788番ノズルがそれぞれ第788ブロック〜第1ブロックの4ライン目に対応付けられている。このため、6パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズル〜788番ノズルが第788ブロック〜第1ブロックの1列目及び2列目に来たときに1番ノズル〜788番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第788ブロック〜第1ブロックにおけるドット記録番号が6番の画素にドットが記録される。これにより、第1ブロックには、ドット記録番号が1〜6番の12画素にドットが記録され、第2ブロック〜第158ブロックには、ドット記録番号が2番〜6番の10画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を630ライン(157+1/2ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜946番ノズルをそれぞれ第946ブロック〜第1ブロックの2ライン目に対応付ける。
図23に示すように、8パス目では、1番ノズル〜1103番ノズルがそれぞれ第1103ブロック〜第1ブロックの4ライン目に対応付けられている。このため、8パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズル〜1103番ノズルが第1103ブロック〜第1ブロックの3列目及び4列目に来たときに1番ノズル〜1103番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第1103ブロック〜第1ブロックにおけるドット記録番号が8番の画素にドットが記録される。これにより、第1ブロックには、ドット記録番号が1〜8番の16画素にドットが記録され、第2ブロック〜第158ブロックには、ドット記録番号が2番〜8番の14画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を629ライン(157+1/4ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜1260番ノズルをそれぞれ第1261ブロック〜第2ブロックの1ライン目に対応付ける。
図24に示すように、9パス目では、1番ノズル〜1260番ノズルがそれぞれ第1261ブロック〜第2ブロックの1ライン目に対応付けられている。このため、9パス目では、インクジェットヘッド32(キャリッジ33)を主走査方向Sに移動させ、1番ノズル〜1260番ノズルが第1261ブロック〜第2ブロックの1列目及び2列目に来たときに1番ノズル〜1260番ノズルからインク液滴を吐出させることで、第1261ブロック〜第2ブロックにおけるドット記録番号が1番の画素にドットが記録される。これにより、第2ブロック〜第158ブロックには、ドット記録番号が1番〜8番の16画素にドットが記録される。そして、Yバー34の副走査方向Fへの搬送制御により、インクジェットヘッド32を630ライン(157+1/2ブロック)副走査方向Fに搬送することで、1番ノズル〜1418番ノズルをそれぞれ第1576ブロック〜第159ブロックの3ライン目に対応付ける。
以下、順次ドットの記録が行われるが、このようにパス毎にインクジェットヘッド32を副走査方向Fに搬送しながらドットを記録していくと、ブロック毎にドットが記録される順序が変わる。
図25は、各ブロックにおけるドット記録順序を示した図である。図25に示すように、第1ブロックは、ドット記録順序が1番の2画素(画素組)からドットが記録されるのに対し、第2ブロック〜第158ブロックは、ドット記録順序が2番の2画素(画素組)からドットが記録され、第159ブロック〜第316ブロックは、ドット記録順序が3番の2画素(画素組)からドットが記録される。更に、第947ブロック〜第1103ブロックは、ドット記録順序が8番の画素からドットが記録され、次の第1104ブロック〜第1261ブロックになると、ドット記録順序が1番の2画素(画素組)からドットが記録される。
このように、パス毎にインクジェットヘッド32を副走査方向Fに搬送すると、ブロック毎にドットの記録開始画素が変わるが、従来のように所定ライン毎に連続してドットを記録するのではなく、全体的にドットの記録順序が不均一となる。このため、各画素に記録されたドットが規則的に一方向に引っ張られるのを防止することができ、バンディングの発生を抑制することができる。
このように、本実施形態に係るプリンタシステム1によれば、主走査方向Sに対応する左右方向に4画素かつ副走査方向Fに対応する上下方向に4画素の16画素で構成されるブロックZ毎に印刷データにおける各画素のドット記録順序を設定するため、ドット記録順序を、左右及び上下の二次元的に設定することができる。そして、左右又は上下に隣接する2画素で構成される画素組単位でドット記録順序を設定するため、画像記録の高速化を図ることができる。しかも、左右方向及び上下方向に隣接する画素組を連続させずにドットの記録順序を設定することで、ブロックZごとにドットが規則的に一方向に引っ張られるのを防止することができるため、バンディングの発生を抑制することができる。
そして、上下左右の4画素がドットを記録する注目画素のドットを削除することで、所謂ベタ塗部のドットが間引かれるため、ドットが重なりすぎてインクが溢れるのを抑止することができる。しかも、上述したように、各画素組では左右又は上下に隣接する2画素に同順位でドットが記録されるため、このようにドットを間引くことで、同じ画素組であっても隣接画素に同時にドットが記録されるのを防止することができる。図26を参照して具体的に説明する。図26は、ベタ塗部における間引処理の効果を説明する図であり、(a)は間引処理を行わない場合、(b)は間引処理を行った場合を示している。図26(a)に示すように、ベタ塗部で間引処理を行わないと、各画素組を構成する2画素に同時にドットを記録するため、画素組間ではドット同士が引き寄せ合わないが、画素組を構成するドット同士が引き寄せ合ってしまう。これに対し、図26(b)に示すように、ベタ塗部で間引処理を行うと、各画素組を構成する2画素のうち一方の画素にしがドットが記録されないため、画素組内でドットが引き寄せあうのを防止することができる。このため、より効果的にバンディングの発生を抑制することができる。
また、上下左右斜めに1画素組ずつ離間した2画素組で構成される第一画素組群Aを第一順位とすると、第一画素組群にドットを記録する際は未だ上下左右斜めの隣接する画素組にドットが記録されていないため、他のドットにより引っ張られることなく第一画素組群の各画素組にドットを記録することができる。そして、残りの画素組は第一画素組群Aに挟まれる画素組となるため、第一画素組群Aに記録されたドットは、残りの画素組に記録されるドットを少なくとも双方向から引っ張ることで、残りの画素組に記録されるドットの位置を保持することができる。このように、第一順位として第一画素組群Aにドットを記録することで、第一画素組群に記録されたドットを、残りの画素組に記録されるドットをその位置に留まらせておくアンカーとして機能させることができる。
更に、第二順位又は第三順位となる第二画素組群B及び第三画素組群Cは、第一画素組群Aにより左右又は上下が挟まれるため、第二画素組群B及び第三画素組群Cに記録されるドットは、アンカーとして機能する第一画素組群Aに記録されるドットにより左右又は上下から均等な力でバランスよく引っ張られる。これにより、第二画素組群B及び第三画素組群Cに記録されるドットの位置がずれるのを抑制することができる。更に、第四順位となる第四画素組群Dは、第一画素組群Aにより斜めが挟まれるとともに、第二画素組群B及び第三画素組群Cにより上下及び左右が挟まれるため、第四画素組群Dに記録されるドットは、第一画素組群A、第二画素組群B及び第三画素組群Cに記録されたドットにより左右上下斜めの8方向から均等な力でバランスよく引っ張られる。これにより、第四画素組群Dに記録されるドットの位置がずれるのを抑制することができる。
そして、ブロックZを構成する画素組数と同じ8パスのマルチパス印字とすることで、画像記録の高速化を図りつつ、適切にバンディングの発生を抑制することができる。
また、パス毎にインクジェットヘッド32を副走査方向Fに搬送して画素組毎に異なるノズル35でドットを記録すると、パスの位置に応じてドット記録順序におけるドット記録の開始画素組が変動するが、パス毎にインクジェットヘッド32により記録される画像組のライン位置が変わるため、インクジェットヘッド32の継目を目立たせなくすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、マスクパターン処理及び並び替え処理を、インクジェットプリンタ20の制御装置40(マスクパターン処理部41及び並び替え処理部42)において行うものとして説明したが、ワークステーション10において行うものとしても良い。この場合、このマスクパターン処理及び並び替え処理は、RIP12において行っても良い。
また、上記実施形態では、パス毎にインクジェットヘッド32を副走査方向Fに搬送して、同じブロックZの各画素組には異なるノズル35でドットを記録するものとして説明したが、例えば、同じブロックZの全画素組に同じノズル35でドットを記録するものとしても良い。このように、同じブロックZの全画素組に同じノズル35でドットを記録することで、全てのブロックZにおいて、マスクパターン処理部41で決定されたドット記録順序における1番目の画素組からドットを記録することができる。
また、上記実施形態では、Yバー34(インクジェットヘッド32)を副走査方向Fに搬送することで、インクジェットヘッド32と記録媒体Mとを副走査方向Fに相対的に移動させるものとして説明したが、記録媒体Mを副走査方向Fに搬送することで、インクジェットヘッド32と記録媒体Mとを副走査方向Fに相対的に移動させるものとしてもよい。
また、上記実施形態では、マスクパターン及び各ブロックを、4×4の画素で構成されるものとして説明したが、偶数(ライン)×偶数(列)の画素で構成されるものであれば、如何なる構成であっても良い。例えば、2×2や6×6の他、4×8などライン方向と列方向とで異なる数の画素で構成されるものであっても良い。
また、上記実施形態では、2画素で1組の画素組を構成するものとして説明したが、左右又は上下に隣接する画素間であれば、3以上の画素で1組の画素を構成しても良い。但し、間引処理によりドットを間引く場合は、隣接する画素組間でドットが隣接しないように、画素組を構成する画素の数を偶数とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、第一画素組群Aを構成する各画素組が同じ列上に配置されるものとして説明したが、別の列上に配置されるものとしても良い。例えば、図27に示すように、1ライン目の1列目及び2列目の2画素で構成される画素組と、3ライン目の3列目及び4列目の2画素で構成される画素組とを、第一画素組群Aとしても良い。この場合、第二画素組群Bは、1ライン目の3列目及び4列目の2画素で構成される画素組と、3ライン目の1列目及び2列目の2画素で構成される画素組とで構成される。また、第三画素組群Cは、2ライン目の1列目及び2列目の2画素で構成される画素組と、4ライン目の3列目及び4列目の2画素で構成される画素組とで構成される。また、第四画素組群Dは、2ライン目の3列目及び4列目の2画素で構成される画素組と、4ライン目の1列目及び2列目の2画素で構成される画素組とで構成される。