JP5701101B2 - 現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ、電子写真装置 - Google Patents
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Description
また、荷電制御粒子と表面層のバインダー樹脂との密着性が充分でなく、表面層が削れると荷電制御粒子がすぐに表面層から脱落しい、当該脱落部分におけるトナーの帯電付与能が不十分となり、高温高湿下でかぶりの原因となる場合があった。
更に近年、高画質化対応の為、トナーが小粒径化し、以前には問題にならなかった現像ローラ表面の微小な問題が画像不良として発生しやすくなる傾向にある。
よって、非磁性一成分現像法を用いた電子写真装置においては高速化、長寿命化、高画質化を達成する為に、それらは解決しなければならない課題の一つである。
即ち、本発明は、軸芯体と表面層とを有する現像ローラであって、該表面層はポリウレタン樹脂及び該ポリウレタン樹脂中に分散している樹脂粒子を含有し、該表面層は表面に該樹脂粒子に由来する凸部を有し、該樹脂粒子は、下記構造式(1)および下記構造式(2)で示される構成単位から選ばれるいずれか一方または両方と下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする現像ローラに関する。
また、本発明は、上記の現像ローラを有していることを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明の現像ローラは、図1に示すように、円柱状または中空円筒状の軸芯体2、及び表面層4を有している。また、軸芯体2が円柱状の場合には、図1に示すように軸芯体2と表面層4の間に弾性層3を有する。特に非磁性一成分接触現像系プロセスでは、弾性層3を有する現像ローラが好適に用いられる。
軸芯体2は、現像剤ローラ1の電極および支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金、クロム又はニッケルで鍍金処理を施した鉄の如き導電性の材質で構成される。
弾性層3は、感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを過不足なく供給することができるように、適切なニップ幅とニップ圧をもって感光体に押圧可能な硬度や弾性を現像ローラ1に付与するために設けられる。弾性層3は種々のゴム材を用いることができる。ゴム材に使用するゴムとしては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。この中でも、押圧による圧縮応力歪みの小さいシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらのシロキサンの共重合体が挙げられる。
表面層4にバインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を含有している。
ポリオール成分としては特に限定されるものではないが。ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、アクリルポリオールを用いることができる。また、これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートの如き脂環式ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の如き芳香族イソシアネート及びこれらの共重合物や、そのブロック体を用いることができる。
表面層中の、ポリウレタン樹脂に分散されている樹脂粒子は、表面層に凸部を形成するためのものである。そして、当該樹脂粒子は、下記構造式(1)および下記構造式(2)で示される構成単位から選ばれるいずれか一方または両方と下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体を含有する。
更に、これらの部分を電子顕微鏡を用いて詳細に観察すると、画像弊害は外添剤32の付着蓄積が少ない部分で発生し、樹脂粒子31の露出・脱落後に再び外添剤32が付着蓄積された部分では発生していないことが分かった。
一方で、図5のように耐久寿命後半に表面に外添剤32が付着堆積した現像ローラと、未使用の現像ローラとを用いて比較検討を行うと、表面に外添剤32が付着堆積した現像ローラの帯電付与性が向上していることも確認されている。つまり、正常な部分は耐久寿命後半にかけて外添剤32が付着蓄積することにより、現像ローラ表面上のトナーの流動性が増し帯電付与性が向上している。これに対し、樹脂粒子31の露出・脱落が生じた部分は表面の外添剤32の付着が無くなり正常な部分と比較すると帯電付与性が低くなっている。また、耐久寿命後半はトナーが劣化し、帯電しにくくなる。よって、これらの部分で帯電不良が生じ、かぶりが発生するものと考えている。また、樹脂粒子31の露出・脱落が生じた部分は外添剤32が少なく、現像剤量規制部材に印加されるバイアスの影響をより受けやすくなる。その結果、チャージアップが生じやすく、ガサツキ画像の原因となると考えている。
これらの作用に関して、樹脂粒子中の共重合体が大きく作用していると考えている。この共重合体が帯電付与性とチャージアップ抑制に寄与するメカニズムは定かではないが、以下のように考えている。
一般的に電子写真装置に用いられる帯電付与剤は、その構造内に窒素を有するものが多い。本発明で用いる樹脂粒子は前記共重合体中に、前記構造式(1)および前記構造式(2)で示されるピリジニウム基または、前記構造式(3)で示される3級アミノ基という形で分子構造内に窒素を有している。これらの構造が帯電付与効果をもたらしているものと考えられる。更に、本発明においては前記構造式(1)および前記構造式(2)で示されるピリジニウム基が特に帯電付与に寄与していると考えられる。これはピリジニウム基の共役π電子と、置換基のアルキル基の電子供与性によるものと考えられる。また、ピリジニウム基を有することで、共重合体自体が過剰に帯電する前に電荷を逃がす作用を有する為、チャージアップ抑制効果をもたらしているものと考えられる。
また、耐久後半に表面層が削れても樹脂粒子が図7のように脱落しにくいことも確認された。その理由としては以下のように考えられる。現像剤ローラの表面層はバインダーとしてポリウレタン樹脂を含有している。ポリウレタン樹脂に含まれるウレタン基のN−H結合において、電気陰性度の高い窒素原子と結合している水素原子は弱い正電荷を帯びている。また、樹脂粒子の共重合体中に含まれる前記構造式(3)で示される3級アミノ基は非共有電子対を有している。このため、ウレタン基の水素原子と3級アミノ基の間で水素結合が形成されると考えられる。このように水素結合が形成されることで、樹脂粒子が表面層から脱落が抑制されるものと考えられる。
このような構造を形成する具体的なモノマーとしてはN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートまたはアクリレートを意味する(以下、同様)。
ラジカル重合法の開始剤としては、一般にラジカル重合法に使用される従来公知の化合物が用いられ、具体的には、2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等を例示できる。このラジカル開始剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種類以上を混合して使用してもよい。ラジカル開始剤の使用量は、重合する化合物の合計を100質量部とした時、0.1から5質量部の範囲であることが好ましい。
このとき用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等を例示できる。その中でも、本発明においては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類を用いるとよい。
本発明で用いられる樹脂粒子の作成方法としては、公知の重合体樹脂粒子の作成方法を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、前記共重合体を樹脂粒子のメインバインダーとして用いる場合は以下のような作成方法がある;乳化重合、懸濁重合により共重合体の重合時に樹脂粒子を作成する方法、共重合体の重合後に重合体溶液をフラッシュ蒸発して樹脂粒子を作成する方法、共重合体を溶融して樹脂粒子を作成する方法、共重合体を機械的に粉砕して樹脂粒子を作成する方法。また、共重合体を粉砕する際、冷凍粉砕することにより樹脂粒子を作成する方法もある。また、前記共重合体を樹脂粒子の添加剤として用いる場合は以下のような作成方法がある;共重合体を作成後、樹脂粒子のメインバインダーと共に溶融混練してペレットを作成した後、得られたペレットを機械的に粉砕して樹脂粒子を作成する方法。
ここで、本発明における樹脂粒子の粒子径測定の具体例を示す。先ず、樹脂粒子を粉体のまま測る場合は、コールターカウンターマルチサイザー等を用いて測定することができる。例えば、電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料(樹脂粒子)を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解質液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、コールターカウンターマルチサイザーにより17μm又は100μm等の樹脂粒子サイズに適宜合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3〜64μmの粒度分布等を測定するものとする。この条件で測定した質量平均粒子径をコンピュータ処理により求める。
本発明の樹脂粒子について、その添加量は塗工後の表面層中の質量割合として、1〜80質量%が好ましい。この範囲にすることで、画像濃度と画像均一性を両立することができる。
本発明の電子写真装置の一例を図3に示す。図3において、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーの各色トナー毎に設けられる画像形成ユニットa〜dが設けられる。各画像形成ユニットa〜dには、それぞれ矢印方向に回転する静電潜像担持体としての感光体5が設けられる。各感光体5の周囲には、感光体5を一様に帯電するための帯電装置11、一様に帯電処理した感光体5にレーザー光10を照射して静電潜像を形成する不図示の露光手段、静電潜像を形成した感光体5にトナーを供給し静電潜像を現像する現像装置9が設けられる。
各画像形成ユニットa〜dの感光体5の上のトナー像を、転写搬送ベルト20によって搬送される記録材22に転写するための電荷を印加する転写バイアス電源18が設けられる。転写バイアスは転写搬送ベルト20の裏面に配置される転写ローラ17を介して印加される。各画像形成ユニットa〜dにおいて形成される各色のトナー像は、各画像形成ユニットa〜dに同期して可動される転写搬送ベルト20によって搬送される記録材22の上に、順次重畳して転写されるようになっている。
一方、各画像形成ユニットには記録材22に転写されずに各感光体5の上に残存する転写残トナーを除去し表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング装置12が設けられる。クリーニングされた感光体5は画像形成可能状態とされて待機するようになっている。
現像剤容器7の中には、現像剤供給ローラ6と、現像剤量規制部材8とが設けられている。これらはそれぞれ現像ローラ1に当接配置されている。現像剤供給ローラ6は、現像ローラ1にトナーを供給すると同時に、現像後現像ローラ1の上に使用されずに残留するトナーを掻き取る。現像剤量規制部材8は、現像ローラ1の上のトナーを薄膜状に形成すると共に、摩擦帯電する。現像剤量規制部材8には現像剤量規制部材バイアス電源13が接続され、現像ローラ1には現像ローラバイアス電源14が接続され、画像形成時において、現像剤量制部材8と現像ローラ1にはそれぞれ電荷が印加される。現像剤量規制部材バイアス電源13から出力される電圧は現像ローラバイアス電源14から出力される電圧より50V乃至400V低い電圧が出力される
また、本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例を図4に示す。図4に示す電子写真プロセスカートリッジは、現像装置9と、感光体5、クリーニング装置12を有し、これらが一体化されて電子写真装置本体に着脱自在に設けられる。現像装置9としては電子写真装置で説明したものと同様のものを挙げることができる。本発明の電子写真プロセスカートリッジは、上記の他、感光体5の上のトナー像を記録材22に転写する転写部材などを上記の部材と共に一体的に設けたものであってもよい。
(樹脂粒子1の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で表1に示す材料を混合し、系が均一になるまで撹拌した。
得られたペレットをアトマイザー粉砕機で、液体窒素を用いてペレット状樹脂の脆化温度以下(−150℃)に冷却して粉砕した。その後分級を行って、平均粒子径10.1μmの樹脂粒子を得た。これを樹脂粒子1とする。
使用する重合成分の種類と重量(質量部)を表2のとおりに変更した以外は、樹脂粒子1の製造例と同様にして、共重合体を作成し、樹脂粒子2〜20を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)、樹脂粒子の平均粒子径を表2に示す。
H2VPCl :1−n−ヘキシル−2‐ビニルピリジニウムクロライド
Td2VPCl :1−n−トリデシル−2−ビニルピリジニウムクロライド
M4VPCl :1−メチル−4−ビニルピリジニウムクロライド
H4VPCl :1−n−ヘキシル−4‐ビニルピリジニウムクロライド
H4VPF :1−n−ヘキシル−4‐ビニルピリジニウムフロライド
H4VPBr :1−n−ヘキシル−4‐ビニルピリジニウムブロマイド
H4VPPTSA :1−n−ヘキシル−4‐ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩
Td4VPCl :1−n−トリデシル−4−ビニルピリジニウムクロライド
4VP :4−ビニルピリジン
DMAEMA :ジメチルアミノエチルメタクリレート
DEAEMA :ジエチルアミノエチルメタクリレート
DMABMA :ジメチルアミノブチルメタクリレート
DMAEA :ジメチルアミノエチルアクリレート
BMA :n−ブチルメタクリレート
(実施例1)
<軸芯体2の製造>
軸芯体2として、外径8mm、長さ280mmのSUS304製の軸芯体にプライマ−(商品名:DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
ついで、軸芯体2を金型に配置し、表3に示す材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
表面層4の材料として、表4に示す材料を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
樹脂粒子1を表9のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜15の現像ローラを得た。
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4の材料として、表5に示す材料を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。その後、樹脂粒子1を表9のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例16〜18の現像ローラを得た。
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4の材料として、表6に示す材料を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。その後、樹脂粒子1を表9のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例19〜21の現像ローラを得た。
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4の材料として、表7に示す材料を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。その後、樹脂粒子1を表9のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例22〜24の現像ローラを得た。
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4の材料として、表8に示す材料を撹拌混合し、総固形分比30質量%になるようにトルエンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
上記原料混合液に樹脂粒子2を20.0質量部加え、さらにボールミルで撹拌分散して表面層形成用塗料を得た。その後、実施例1と同様の方法で比較例1の現像ローラを得た。
樹脂粒子2を表9のとおりに変更した以外は比較例1と同様の方法で比較例2、3の現像ローラを得た。
(比較例4〜8)
樹脂粒子1を表9のとおりに変更した以外は実施例1と同様の方法で比較例4〜7の現像ローラを得た。
(比較例9)
樹脂粒子1をナイロン樹脂粒子(商品名:VESTOSINT 2159、ダイセル・エボニック株式会社)に変更した以外は実施例1と同様の方法で比較例8の現像ローラを得た。
本実施例中における重量平均分子量(Mw)の測定に用いた装置、並びに条件は以下のとおりである。
測定機器:HLC−8120GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー社製)×2本
溶媒:THF(20mM トリエチルアミン添加)
温度:40℃
THFの流速:0.6ml/分
評価には図3に示す電子写真装置の構成を有する日本ヒューレット・パッカード社製レーザービームプリンタ「CLJ4700dn(商品名)」を用いた。なお、予め、プロセススピードを1.5倍にすることにより、プリント速度を30枚/分から45枚/分に改造した(以下、改造機という)。また、カートリッジ内の現像剤量規制部材を厚さ80μmのSUS304製に変更した(以下、改造カートリッジという)。トナーは個数平均粒径7.0μmのマゼンタトナーを使用した。
現像ローラを改造カートリッジに装填後、環境温度35℃湿度90%RHの高温高湿環境に移動し、24時間放置した。また、現像材料規制部材の現像ローラへの押圧は30gf/cmとした。その後、同環境下、改造カートリッジを改造機に装填し、45枚/分の速度で印字率0.5%にてLETTERサイズ紙(商品名:「Business Multipurpose 4200」、XEROX社製)を30000枚出力した。その際、1枚出力するごとに1度停止する間欠モード(10秒/枚の出力間隔)とした。更に、同環境下で72時間放置した。その後、9枚/分の速度で白ベタ画像出力中にプリンタを停止し、かぶり評価を行った。かぶりの評価基準は以下のようである。感光体の上に付着したトナーを透明のテープ(商品名:「ポリエステルテープNo.550」、ニチバン(株)社製)で剥がしとった。次に、このテープを白色の紙(商品名:「Business Multipurpose 4200」、XEROX社製)に貼り付けて、反射濃度計(商品名:「TC−6DS/A」、東京電色社製)にて反射濃度を測定した。その際、フィルターにグリーンフィルターを使用した。透明テープのみを白色の紙に貼り付けて基準とし、基準に対する反射率の低下量(%)をかぶり値(%)とし、以下の基準によりかぶり評価を行った。
A:0.5%未満であり良好な性能である。
B:0.5%以上1.0%未満であり、ほぼ問題ないレベルである。
C:1.0%以上2.5%未満であり、ややかぶりが目視できるが、実用上問題ないレベルである。
D:2.5%以上5.0%未満であり、かぶりが目視できるが、実用上問題ないレベルである。
E:5%以上であり実用上問題があるレベルである。
更に、前記の改造機を環境温度15℃湿度10%RHの低温低湿環境に移動し、24時間放置した。その後、印字濃度25%のハーフトーン画像を出力し、この画像を目視にて観察し、チャージアップ要因のガサツキ画像を以下の基準により評価した。
A:全くガサツキを感じなく、なめらかな画像である。
B:ガサツキをあまり感じない。
C:ややガサツキ感はあるが、ほぼ実用上問題ないレベルである。
D:ガサツキ感があるが、実用上問題ないレベルである。
E:非常にガサツキ感があり実用上問題があるレベルである。
更に、前記の画像評価後の現像ローラを改造カートリッジから取り出し、表面に付着しているトナーをエアーブローにより除去した。
次に、現像ローラの表面を観察し、樹脂粒子の露出・脱落状況の確認を行った。観察にはレーザー顕微鏡(商品名:VK−8700、キーエンス社製)を用いた。また、樹脂粒子の脱落・露出部分と前記画像評価時の画像弊害部分を照らし合わせた。その結果、樹脂粒子の脱落・露出が生じた部分を中心に画像弊害が生じていることが確認された。また、観察結果を以下の基準により評価した。
A:樹脂粒子の露出が認められるが、脱落は認められない。
B:樹脂粒子の露出、脱落が認められ、脱落は全樹脂粒子の10%未満である。
C:樹脂粒子の露出、脱落が認められ、脱落は全樹脂粒子の10%以上である。
次に、現像ローラ表面を走査電子顕微鏡(商品名:S−4800、日立ハイテク社製)を用いて観察した。その結果、樹脂粒子の露出や脱落が認められた部分は外添剤の付着量が少なくなっていることが確認された。
画像評価結果及び現像ローラ表面観察結果を表9に示す。
比較例1〜3の現像ローラは、いずれも高温高湿下でのかぶりと低温低湿下でのガサツキが悪く、樹脂粒子の脱落が生じやすいものであった。
比較例6の現像剤ローラでは、表面層が含有している樹脂粒子18は、共重合体中に前記構造式(1)または前記構造式(2)で示される構成単位のいずれも有していない。その為、この現像ローラは、高温高湿下でのかぶりに問題があった。
比較例7の現像剤ローラでは、表面層が含有している樹脂粒子19は、共重合体中に前記構造式(1)または前記構造式(2)で示される構成単位のいずれも有していない。具体的には、ピリジニウム基は有するが、ハロゲンイオンまたはパラトルエンスルホン酸を有しない。その為、この現像ローラは、低温低湿下でのガサツキに問題があった。
比較例8の現像剤ローラでは、表面層が含有している樹脂粒子20は、共重合体中に前記構造式(1)または前記構造式(2)または前記構造式(3)で示される構成単位、のいずれも有していない。ただし、n−ブチルメタクリレートを有する。その為、この現像ローラは、高温高湿下でのかぶりが悪く、樹脂粒子の脱落が生じやすいものであった。
比較例9の現像剤ローラでは、表面層はナイロン粒子を含有し、共重合体中に前記構造式(1)または前記構造式(2)または前記構造式(3)で示される構成単位、のいずれも有していない。その為、この現像ローラは、高温高湿下でのかぶり、低温低湿下でのガサツキ、樹脂粒子の脱落に問題があるものであった。
2‥‥軸芯体
3‥‥弾性層
4‥‥表面層
5‥‥感光体
6‥‥現像剤供給ローラ
7‥‥現像剤容器
8‥‥現像剤量規制部材
9‥‥現像装置
10‥‥レーザー光
11‥‥帯電装置
12‥‥クリーニング装置
13‥‥ブレードバイアス電源
14‥‥現像ローラバイアス電源
15‥‥定着装置
16‥‥駆動ローラ
17‥‥転写ローラ
18‥‥転写バイアス電源
19‥‥テンションローラ
20‥‥転写搬送ベルト
21‥‥従動ローラ
22‥‥記録材
23‥‥給紙ローラ
24‥‥吸着ローラ
25‥‥吸着バイアス電源
26‥‥浸漬槽
27‥‥液送ポンプ
28‥‥攪拌タンク
29‥‥昇降装置
Claims (4)
- 軸芯体と表面層とを有する現像ローラであって、
該表面層は、ポリウレタン樹脂及び該ポリウレタン樹脂中に分散している樹脂粒子を含有し、かつ表面に該樹脂粒子に由来する凸部を有し、
該樹脂粒子は、下記構造式(1)および下記構造式(2)で示される構成単位から選ばれるいずれか一方または両方と、下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする現像ローラ:
- 前記構造式(1)、(2)のX1 ―、X2 ―がフッ素イオン、塩素イオンであることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
- 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジであって、請求項1または2に記載の現像ローラを有していることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
- 請求項1または2に記載の現像ローラを有していることを特徴とする電子写真装置。
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