JP5699485B2 - ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする金属錯体、およびその金属錯体を用いる金属含有薄膜の製造法 - Google Patents

ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする金属錯体、およびその金属錯体を用いる金属含有薄膜の製造法 Download PDF

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本発明は、新規な金属錯体に関する。本発明は、また、その金属錯体を用いて、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition法;以下、CVD法と称する)により金属含有薄膜を製造する方法に関する。
近年、半導体、電子部品、光学部品など、様々な分野の材料として、金属錯体に関して多くの研究と開発がなされている。
例えば、亜鉛含有膜の一つである酸化亜鉛薄膜は、太陽電池、液晶表示デバイス、透明電極用途として、また、その薄膜が圧電特性を有することから、表面弾性波デバイスなどにも用いられている。このような酸化亜鉛薄膜を得る方法として、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などの方法が開発されているが、最近では、均一な薄膜を製造し易いCVD法による成膜方法が最も盛んに検討されている。
CVD法による亜鉛含有薄膜を製造するための亜鉛錯体としては、例えば、ジエチル亜鉛(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛(例えば、特許文献1参照)、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛(例えば、特許文献1参照)、ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
これらうち、発火性のジエチル亜鉛は、酸素との反応が激しく、反応の制御に問題がある。また、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、あるいはビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛は、高融点の固体であるために、一定の供給量を保つことが困難である上に、配管閉塞を引き起こす恐れがあるという問題があった。また、ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛は、室温で粘性の液体であるために、一定の供給量を保つことには問題ないが、熱安定性が低く、長期の加熱使用で問題があった。このように上記いずれの亜鉛錯体も問題を有しており、それらを用いる亜鉛含有薄膜の製造方法は工業的な製造方法としては有利ではなかった。
銅薄膜は、その導電率の高さから、シリコン半導体での微細配線用途、あるいは、有機EL等のデバイスでの銅配線用途での開発が進んでいる。また、銅の酸化物としては、亜酸化銅(CuO)が、p型導電性で透明性を有していることから、pn接合デバイス等の用途開発が成されている。このような銅含有薄膜を得る方法として、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などの方法が開発されているが、最近では、均一な薄膜を製造し易いCVD法による成膜方法が最も盛んに検討されている。
CVD法による銅薄膜を製造するための銅錯体としては、例えば、(1)1価の銅のβ−ジケトナト銅錯体(例えば、特許文献3参照)、(2)2価の銅のβ−ジケトナト銅錯体(例えば、特許文献2、4、5参照)が知られている。
上記の(1)の銅錯体は、不均化反応を利用して金属銅を析出させることが可能であり、化学的には都合のよい化合物である反面、本質的に熱的に不安定であることから、蒸気圧を得るために加熱気化させる際に多量の原料が分解してしまうという問題があった。一方、上記(2)の銅錯体においては、銅錯体は低融点であるものの、成膜速度に問題があるものや、成膜性は良好であるが、熱安定性の向上が必要で、長期の加熱使用に対しては更なる検討を要するものであった。そのため、成膜対象物上に銅含有薄膜を製造するための工業的により好適な銅錯体が望まれていた。
また、近年、DRAMに代表される半導体メモリーでは、デバイスの微細化に伴って、誘電体材料として、従来用いられてきた酸化シリコンから、より誘電率の高い酸化タンタル等の酸化物が使用されるようになってきている。そのため、電極材料も、従来のポリシリコンでは、誘電体由来の酸素により電気不導体へと酸化されるために、使用が困難な状況にある。そこで、酸化物となっても比抵抗が低い金属として、ルテニウムが注目されている。更に、シリコン半導体の多層銅配線で、その下地金属としてルテニウム金属が着目されており、低抵抗で、且つ平坦性を有するルテニウム金属膜の成膜技術が要望されている。
従来、ルテニウム又はルテニウム含有膜の製造方法としては、スパッタ法が多く用いられてきたが、近年のより微細化した構造への応用は困難となってきている。そうした微細化への潮流の中、CVD法が、ホールやトレンチへの優れた段差被覆性と薄膜の均一性、その量産性から活発に研究が行われている。
CVD法によるルテニウム原子を含有する薄膜製造用原料としては、β−ジケトナトやシクロペンタジエニル誘導体を配位子とするルテニウム錯体が検討されている。β−ジケトナト錯体としては、Ru(dpm)、Ru(od)等の三価のルテニウム錯体や、Ru(dpm)(cod)、Ru(Cp)、Ru(EtCp)、Ru(dmpd)(EtCp)、ビス(6−メチル−2,4−ヘプタンジオナト)(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム等の二価のルテニウム錯体が開示されている(例えば、特許文献6〜10、非特許文献3〜4参照)[但し、dpm:ジピバロイルメタナト;od:オクタン−2,4−ジオナト;cod:1,5−シクロオクタジエン;Cp:シクロペンタジエニル;EtCp:エチルシクロペンタジエニル;dmpd:2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエニルである。]。しかし、これらのルテニウム錯体を使用したルテニウム膜成膜の問題点として、誘導期が長い、表面平坦性が悪い、あるいは下地との密着性が低いなどが指摘されている。
一方、従来の有機ルテニウム錯体の問題点を改善したビス(アセチルアセトナト)(1,5−ヘキサジエン)ルテニウムが開示されており(例えば、特許文献11、非特許文献5参照)、表面平坦性、反応性の改善がなされている。しかしながら、このルテニウム錯体は、熱安定性が十分ではないために、バブリング法での長期加熱使用で問題があった。このように上記いずれのルテニウム錯体も問題を有しており、それらを用いるルテニウム含有薄膜の製造方法は工業的な製造方法としては有利ではなく、更に高性能の有機ルテニウム錯体の開発が望まれていた。
また、半導体や電子部品等の分野の材料として、コバルト膜に関しても多くの研究・開発がなされている。これまでに提案されてきた薄膜製造用コバルト錯体としては、例えば、ビス(アセチルアセトナト)コバルト(例えば、非特許文献6参照)、ビス(ジピバロイルメタナト)コバルト(例えば、非特許文献7参照)、オクタカルボニルジコバルト(例えば、非特許文献7及び特許文献12参照)、コバルトシクロペンタジエニルジカルボニル(例えば、非特許文献9及び特許文献13参照)、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)コバルト(例えば、特許文献14参照)、ビス(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナト)コバルト(例えば、特許文献15及び特許文献16参照)が開示されている。さらに、β−ジケトナトを配位子とするコバルト錯体(特許文献2及び特許文献17参照)も知られている。
従来のコバルト錯体からコバルト膜を成膜する方法としては、オクタカルボニルジコバルトは、コバルトの価数が0価であり、アルゴンやヘリウム等の不活性ガスと共にチャンバー内へ送り、熱分解でコバルト膜を得る方法がとられる(例えば、非特許文献8参照)。この場合、原料のカルボニル由来の炭素、酸素が膜中に含有されやすいという問題があった。また、ビス(アセチルアセトナト)コバルト、コバルトシクロペンタジエニルジカルボニル、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)コバルト(例えば、非特許文献6、非特許文献9、特許文献14参照)のようなコバルト錯体は、価数が1及び2価であるため、還元剤として還元性ガスが必要となり、一般的には水素ガスを還元性ガスとして使用し、コバルト膜を得ている。しかし、この場合は、反応に400℃以上の高温やプラズマ雰囲気が必要であり、高温、もしくはプラズマに耐えない基板には使用することができなかった。また、膜中に配位子由来の炭素が含有されるという問題があった。
還元性ガスとしてアンモニアガスを使用している例も報告されている。特許文献13では、コバルト源として1価のコバルトシクロペンタジエニルジカルボニルを使用し、水素ガスと同様にアンモニアガスを還元性ガスとして用いてコバルト膜を得ている。アンモニアガスの詳しい還元機構について不明ではあるが、コバルト化合物への吸着、配位子の脱離を促進していると言える。また、特許文献13の記載の通り、アンモニアガスは膜表面から有機物の脱離を促す効果があり、結果的にコバルト膜中の炭素の含有量を減らす効果があると言える。しかしながら、特許文献13にはコバルト膜の純度や物性に関しての詳細な記載がなかった。また、各種コバルト錯体に対してアンモニアガスを使用している例はあるが(例えば、特許文献12参照)、0価の錯体であるオクタカルボニルジコバルトに関しては詳細な記載があるものの、他のコバルト錯体を用いた詳細な実施例の記載がなかった。また、この場合、コバルト膜を得るのではなく、コバルト窒化物膜を得ることを目的としていた。同様に、2価のコバルト錯体であるビス(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナト)コバルトを用いて、アンモニアガスを使用している例があるが(例えば、特許文献15及び特許文献16参照)、この場合もコバルト窒化物膜を得ることを目的としており、コバルト膜は得られていなかった。
一方、従来の検討されてきたコバルト錯体は、物性面やその工業的生産性に問題があると言える。例えば、オクタカルボニルジコバルトは、融点が高いため、一定の供給量を保つことが困難である上に、配管内閉塞を引き起こす恐れがあり、CVD用原料としては採用されにくいという問題があった。また、オクタカルボニルジコバルト及びコバルトシクロペンタジエニルジカルボニルは、熱安定性が低く、分解し易いため、長期の加熱使用ができないという欠点があった。これを改良したコバルト錯体として、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)コバルト及びビス(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナト)コバルトが提案されているが、コバルト錯体やその配位子の合成法が煩雑であり、また、その合成過程で発火性のナトリウムやアルキルリチウムを使用する等、工業的生産性に問題があると言える。
コバルト酸化物膜も、ガスセンサー等の用途で多く研究がなされている。例えば、ビス(ジピバロイルメタナト)コバルトを用いたCVD法でコバルト酸化物膜を作製した例が報告されている(例えば、非特許文献7参照)。しかしながら、ビス(ジピバロイルメタナト)コバルトも融点が高いため、前述の通り、CVD用原料としては採用されにくいという問題があった。
ストロンチウム含有膜の一つである酸化ストロンチウム薄膜は、DRAMキャパシタの高誘電体膜や、不揮発性メモリの強誘電体膜(STO、SBT)等に用いられている。このような酸化ストロンチウム薄膜を得る方法としては、例えば、ゾルゲル法、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などの方法が開発されているが、最近では、均一な薄膜を製造し易いCVD法によるストロンチウム含有薄膜の製造法が最も盛んに検討されている。
従来、CVD法によるストロンチウム含有薄膜を製造するためのストロンチウム錯体としては、例えば、シクロペンタジエニル誘導体を配位子に用いたストロンチウム錯体(例えば、特許文献18及び特許文献19参照)、β−ジケトナト誘導体を配位子としたストロンチウム錯体(例えば、特許文献20及び特許文献21参照)、更に、室温で液体のビス(1−(2−メトキシエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(例えば、特許文献20参照)が開示されている。
しかしながら、特許文献18及び特許文献19記載のシクロペンタジエニル誘導体を配位子に用いたストロンチウム錯体は、酸素との反応が激し過ぎるために、ストロンチウム含有薄膜製造時の制御に問題があった。また、特許文献20及び特許文献21記載のβ−ジケトナト誘導体を配位子としたストロンチウム錯体、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ノナンジオナト)ストロンチウムは、高融点の固体であるために、一定の供給量を保つことが困難である上に、配管閉塞を引き起こす恐れがあるという問題があった。また、室温で液体のストロンチウム錯体も提案されているが、当該ストロンチウム錯体は、蒸気圧が低く、ストロンチウム含有薄膜製造時のストロンチウム錯体の供給が難しくなってしまう問題があった。このように上記いずれのストロンチウム錯体も何らかの問題を有しており、それらを用いたストロンチウム含有薄膜の製造法は工業的な製造法としては有利ではなかった。
また、近年、トランジスタの高性能化に伴い、ゲート絶縁膜の材料として、誘電率がシリコン酸化膜の3倍程度ある窒素添加ハフニウムシリケートの採用が本格化している。それに伴い、ソースとドレイン部の拡散層の浅接合化およびゲート電極のメタル化の検討がなされており、それらに対する新材料が要求されている。その新材料としては、コバルトシリサイドやニッケルシリサイド等が候補とされ、拡散層の深さを考慮して、ニッケルシリサイドが有力視されている。このニッケルシリサイドの形成技術に、ニッケルの薄膜形成が要求されている。また、抵抗変化型不揮発メモリ用途として、酸化ニッケル薄膜の形成も要求されている。一方、薄膜形成方法としては、スパッタ法、CVD法が用いられるが、スパッタ法は周辺半導体素子へのダメージ、又はトランジスタ構造の微細化から、CVD法での膜形成がより有用であるとされている。
従来、CVD法によるニッケル含有薄膜を形成するためのニッケル錯体としては、例えば、シクロペンタジエニル誘導体を配位子に用いたニッケル錯体(例えば、特許文献22〜24参照)、β−ケトイミナトニッケル錯体(例えば、特許文献25参照)、ニッケルアミノアルコキシド錯体(例えば、特許文献26参照)、ニッケルアミド錯体(例えば、特許文献27参照)、テトラキス(トリフルオロホスフィン)ニッケル錯体(例えば、特許文献28参照)が開示されている。
しかしながら、CVD法で用いられるニッケル錯体のうち、シクロペンタジエニル系ニッケル錯体やテトラキス(トリフルオロホスフィン)ニッケル錯体は、蒸気圧が高いものの、空気、水分又は熱に対して不安定であるために取り扱いが難しく、多量に使用する工業的な生産の際には問題であった。また、β−ケトイミナトニッケル錯体やニッケルアミド錯体は、高融点の固体であるために、CVD原料用途としては気化量変動の問題があり、更にはCVDでの途中配管内で閉塞を起こす可能性もある。一方、ニッケルアミノアルコキシド錯体は、一部の錯体で低融点であるものの、その多くは固体であり、水分に対して不安定であるため、その製造や取り扱いに問題があった。以上のように、上記いずれの有機ニッケル錯体も問題を有しており、当該有機ニッケル錯体を用いたニッケル含有薄膜の製造方法は工業的な製造方法としては採用し難かった。
また、近年、インジウムを含有する薄膜は、例えば、半導体、電子部品、光学部品等の分野における材料として検討が進められている。特に、インジウム酸化膜は、IZOやITO等の透明電極膜として使用されている。インジウムを含有する薄膜の製造法としては、例えば、塗布熱分解法、PVD法、CVD法等が知られているが、薄膜の組成制御性及び今後のデバイスの微細化傾向を考慮すれば、均一な薄膜を製造し易いCVD法での成膜が好ましい方法であり、それに適した原料化合物が必要とされている。
従来、CVD法によるインジウム含有薄膜の製造原料としては、例えば、アルキルインジウム錯体(例えば、特許文献29〜30参照)や、β−ジケトナトインジウム錯体(例えば、特許文献2、31参照)等が報告されている。
しかしながら、CVD法で用いられるインジウム錯体のうち、トリメチルインジウム等のアルキルインジウム錯体は、蒸気圧が高いものの、僅かの水分や空気の存在により激しく変質し、また、発火性があるために取り扱いが困難であるという欠点を持つ。一方、トリス(アセチルアセトナト)インジウム錯体等のβ−ジケトナトインジウム錯体は、高融点の固体が多く、原料供給時にCVD装置内における配管閉塞の可能性がないとは言えず、CVD法による薄膜製造用原料としては、より好適なものが求められていた。特許文献2記載のβ−ジケトナトインジウム錯体は、この点を改良した低融点のインジウム化合物であるが、熱安定性が低いために長期加熱が必要なバブリング供給において問題を有していた。以上のように、上記いずれのインジウム錯体も、インジウム含有薄膜の工業的な製造原料としての適用においては改良の余地があった。
特開2003−89875号公報 国際公開第2005/087697号パンフレット 特開平5−59551号公報 特開2001−181840号公報 特開2003−292495号公報 特開平6−283438号公報 特開2000−212744号公報 特開2003−306472号公報 特開平11−35589号公報 特開2003−342286号公報 国際公開第2008/013244号パンフレット 米国特許出願公開第2005/0130417号明細書 米国特許出願公開第2006/0157863号明細書 国際公開第2008/111499号パンフレット 国際公開第2004/046417号パンフレット 国際公開第2009/088522号パンフレット 国際公開第2005/035823号パンフレット 特開2009−30164号公報 特開2009−40707号公報 特許3904255号公報 特許3964976号公報 特開2005−93732号公報 特開2006−124743号公報 国際公開第2009/081797号パンフレット 特開2007−302656号公報 特表2008−537947号公報 特開2006−124291号公報 特開2008−231473号公報 特開昭62−287513号公報 国際公開第2000/037710号パンフレット 特許第4092958号公報
Jpn.J.Appl.Phys.,vol.42,568(2003) Jpn.J.Appl.Phys.,vol.43,1114(2004) Chem.Mater.,vol.18,5652(2006) Electrochem.Solid−State.Lett.,vol.9,C107(2006) Jpn.J.Appl.Phys.,vol.47,6427(2008) Jpn.J.Appl.Phys,vol.36,705(1997) Chem.Mater.,vol.13,588(2001) Thin Solid Films,vol.485,95(2005) Jpn.J.Appl.Phys,vol.46,173(1997)
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法によって、成膜対象物上に金属含有薄膜を製造することができる、工業的に好適な金属錯体を提供することであり、特には、低融点を有し、且つ、熱安定性に優れるとともに、CVD法による成膜に適した金属錯体を提供することにある。また、本発明の課題は、当該金属錯体を用いた金属含有薄膜の製造法を提供するものでもある。
本発明は以下の事項に関する。
1. 一般式(I)
Figure 0005699485
(式中、Mは、金属原子を示し、
Xは、一般式(2)
Figure 0005699485
で示されるジアルキルアルコキシメチル基(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝状のアルキル基を示す。)、
Yは、一般式(2)で示される基又は炭素原子数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基、
Zは、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖又は分枝状のアルキル基を示す。
nは、配位子の数を示し、金属Mの価数に等しい。
但し、MがSr又はInであり、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基であって、Zが水素であることを同時に満たす場合、及び、MがNiであり、Rがエチル基、R及びRがメチル基、Yが1−メチル−ペンチル基であって、Zが水素原子又はn−プロピル基であることを同時に満たす場合、及び、MがCuであり、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基であって、Zが水素であることを同時に満たす場合、または、R及びRがメチル基、Rがn−ブチル基、Yがメチル基であって、Zが水素原子であることを同時に満たす場合、及び、MがY(イットリウム)であり、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基もしくはイソプロピル基であって、Zが水素であることを同時に満たす場合を除く。)
で示される、ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナト配位子を有する金属錯体。
2. 一般式(II)
Figure 0005699485
(式中、Mは、金属原子を示し、
Lは、少なくともふたつの二重結合をもつ不飽和炭化水素化合物を示し、
X、Y及びZは、それぞれ、一般式(I)で定義されたX、Y及びZと同義である。
mは、ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナト配位子の数を示し、金属Mの価数に等しい。)
で示される、ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナト配位子を有する金属錯体。
3. 少なくともふたつの二重結合をもつ不飽和炭化水素化合物が、1,5−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである上記2に記載の金属錯体。
4. Mが、Zn、Cu、Ru、Co、Sr、Ni、In、Mg、Al、Ga又はYである上記1〜3のいずれかに記載の金属錯体。
5. 上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体、又は上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体の溶液を金属供給源として用いた化学気相蒸着法による金属含有薄膜の製造法。
6. 上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体、又は上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体の溶液と、水素源又は還元性ガスとを用いた上記5に記載の金属含有薄膜の製造法。
7. 還元性ガスが水素ガス又はアンモニアガスである上記6に記載の金属含有薄膜の製造法。
8. 上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体、又は上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体の溶液と、酸素源とを用いた上記5に記載の金属含有薄膜の製造法。
9. 酸素源が酸素ガスである上記8に記載の金属含有薄膜の製造法。
10. 上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体、又は上記1〜4のいずれかに記載の金属錯体の溶液と、不活性ガスとを用いた上記5に記載の金属含有薄膜の製造法。
11. 使用する溶媒が、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類及びエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である上記5〜10のいずれかに記載の金属含有薄膜の製造法。
本発明の金属錯体は、ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする金属錯体であり、低融点を有し、且つ、熱安定性に優れ、CVD法による成膜に適している。本発明の金属錯体を用いて、良好な成膜特性で、化学気相蒸着法により、成膜対象物上に金属含有薄膜を形成することができる。
亜鉛錯体(4)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 銅錯体(3)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 コバルト錯体(5)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 ニッケル錯体(3)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 本発明の有機インジウム錯体(3)及び特許文献2記載のβ−ジケトナトインジウム錯体の熱重量分析(TG)データを示す図である。 マグネシウム錯体(4)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 アルミニウム錯体(4)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 ガリウム錯体(4)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 イットリウム錯体(3)の熱重量分析(TG)データを示す図である。 実施例において、亜鉛錯体と酸素ガスとを用いて亜鉛含有薄膜を製造するために、また、銅錯体と酸素ガス又は水素ガスを用いて銅含有薄膜を製造するために、また、ストロンチウム錯体と酸素ガスとを用いてストロンチウム含有薄膜を製造するために使用した蒸着装置の構成を示す図である。 実施例において使用した、ルテニウム錯体と水素ガス又は酸素ガスとを用いて、或いは熱分解でルテニウム含有薄膜を製造する蒸着装置の構成を示す図である。 実施例において、コバルト含有薄膜、ニッケル含有薄膜、及びインジウム含有薄膜を製造するために使用した蒸着装置の構成を示す図である。
本発明の金属錯体は、下記の一般式(1)で示される、ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナト配位子を有するものであり、具体的には、前記の一般式(I)で示される金属錯体、及び前記の一般式(II)で示される金属錯体である。
Figure 0005699485
(式中、Xは、一般式(2)
Figure 0005699485
で示されるジアルキルアルコキシメチル基(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝状のアルキル基を示す。)、
Yは、一般式(2)で示される基又は炭素原子数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基、
Zは、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖又は分枝状のアルキル基を示す。)
前記の一般式(1)、一般式(I)及び一般式(II)において、Mは、金属原子を示し、例えばZn、Cu、Ru、Co、Sr、Ni、In、Mg、Al、Ga又はYである。
好ましい配位子は金属(M)によって異なり、MがSr又はInの場合は、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基であって、Zが水素であることは好ましくない。MがNiの場合は、Rがエチル基、R及びRがメチル基、Yが1−メチル−ペンチル基であって、Zが水素原子又はn−プロピル基であることは好ましくない。MがCuの場合は、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基であって、Zが水素であること、または、R及びRがメチル基、Rがn−ブチル基、Yがメチル基であって、Zが水素原子であることは好ましくない。MがY(イットリウム)の場合は、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基もしくはイソプロピル基であって、Zが水素であることは好ましくない。一般に、特に前記の一般式(I)で示される金属錯体の場合、Rは、メチル基ではなく、炭素原子数2〜5の直鎖又は分枝状のアルキル基であることが好ましい傾向があるが、金属(M)によっては、Rがメチル基であることが好ましい場合がある。
また、MがZn、Cu、Co、Sr、Ni、In、Mg、Al、Ga又はYの場合は、一般式(I)で示される金属錯体がより好ましい。一方、MがRuの場合は、一般式(II)で示される金属錯体がより好ましい。
前記の一般式(1)、一般式(I)及び一般式(II)において、Xは、前記の一般式(2)で示されるジアルキルアルコキシメチル基(R、R及びRは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等の炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝状のアルキル基を示す。)、Yは、該一般式(2)で示される基、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素原子数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基、Zは、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜4の直鎖又は分枝状のアルキル基を示す。但し、前記の一般式(I)で示されるストロンチウム錯体、インジウム錯体の場合は、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基であって、Zが水素であることを同時に満たす場合を除く。前記の一般式(I)で示されるニッケル錯体の場合は、Rがエチル基、R及びRがメチル基、Yが1−メチル−ペンチル基であって、Zが水素原子又はn−プロピル基であることを同時に満たす場合を除く。前記の一般式(I)で示される銅錯体は、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基であって、Zが水素であることを同時に満たす場合、または、R及びRがメチル基、Rがn−ブチル基、Yがメチル基であって、Zが水素原子であることを同時に満たす場合を除く。前記の一般式(I)で示されるイットリウム錯体は、R、R及びRが全てメチル基であり、Yがt−ブチル基もしくはイソプロピル基であって、Zが水素であることを同時に満たす場合を除く。
及びRとしては、金属(M)によっても異なるが、通常、炭素原子数1〜4の直鎖又は分枝状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
としては、金属(M)によっても異なるが、通常、炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝状のアルキル基が好ましく、炭素原子数2〜4の直鎖又は分枝状のアルキル基が特に好ましい。前記の一般式(II)で示される金属錯体の場合は、Rがメチル基であることも好ましい。また、前記の一般式(I)で示される銅錯体及びコバルト錯体の場合は、Rは、例えば、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数2〜3のアルキル基であることが好ましい。前記の一般式(I)で示される亜鉛錯体、ルテニウム錯体などの場合は、Rがメチル基であることも好ましい場合がある。
Yとしては、金属(M)によっても異なるが、通常、前記の一般式(2)で示される基、又は炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝状のアルキル基が好ましく、炭素原子数3〜5の直鎖又は分枝状のアルキル基がより好ましく、tert−ブチル基が特に好ましい。
Zとしては、水素原子が好ましい。
前記の一般式(II)で示される金属錯体は、アルコキシアルキルメチル基を有するβ−ジケトナトに加えて、少なくともふたつの二重結合をもつ不飽和炭化水素化合物を配位子とする錯体である。その一般式(II)において、Lは、少なくともふたつの二重結合をもつ不飽和炭化水素化合物を示し、例えば、1,5−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンが好適に使用される。
一般式(I)において、nは、一般式(1)で示される配位子の数を示す。一般式(II)において、mは、一般式(1)で示される配位子の数を示す。n及びmは、金属Mの価数に等しく、整数である。
本発明の亜鉛錯体の具体例としては、例えば、式(A3)から式(A18)で示される。
Figure 0005699485
本発明の銅錯体の具体例としては、例えば、式(B3)から式(B11)で示される。
Figure 0005699485
本発明のルテニウム錯体の具体例としては、例えば、式(C3)から式(C14)で示される。
Figure 0005699485
Figure 0005699485
本発明のコバルト錯体の具体例としては、例えば、式(D3)から式(D10)で示される。
Figure 0005699485
本発明のストロンチウム錯体の具体例としては、例えば、式(E3)から式(E14)で示される。
Figure 0005699485
本発明のニッケル錯体の具体例としては、例えば、式(F3)から式(F11)で示される。
Figure 0005699485
本発明のインジウム錯体の具体例としては、例えば、式(G3)から式(G14)で示される。
Figure 0005699485
本発明のマグネシウム錯体の具体例としては、例えば、式(H3)から式(H18)で示される。
Figure 0005699485
本発明のアルミニウム錯体の具体例としては、例えば、式(I3)から式(I18)で示される。
Figure 0005699485
本発明のガリウム錯体の具体例としては、例えば、式(J3)から式(J18)で示される。
Figure 0005699485
本発明のイットリウム錯体の具体例としては、例えば、式(K3)から式(K14)で示される。
Figure 0005699485
本発明の金属錯体の配位子であるβ−ジケトナトは対応するβ−ジケトンから得られるが、これらのβ−ジケトンは、公知の方法により容易に得ることが出来る。例えば、式(A4)の亜鉛錯体等の配位子であるβ−ジケトナトに対応するβ−ジケトン、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンは、下記式で示される方法等によって容易に得ることが出来る。
Figure 0005699485
なお、本発明の金属錯体は、公知のβ−ジケトナトを配位子とする金属錯体の製造方法を参考にして、例えば、溶媒中で、金属塩化物等の金属化合物および塩基を対応するβ−ジケトンと反応させることにより製造することができる。また、金属水酸化物と対応するβ−ジケトンとを反応させることにより製造することもできる。
本発明の金属錯体は、低融点であり、しかも熱安定性が高いため、CVD法での使用におけるバブリング時の長期の加熱においても問題なく使用できる。CVD法用材料の熱安定性を示す指標として、一般的に熱重量分析(TG)データが引用される(例えば、図A1等参照)。
CVD法においては、薄膜形成のために金属錯体を気化させる必要があるが、本発明の金属錯体を気化させる方法としては、例えば、金属錯体自体を気化室に充填又は搬送して気化させる方法だけでなく、金属錯体を適当な溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。)に希釈した溶液を液体搬送用ポンプで気化室に導入して気化させる方法(溶液法)も使用出来る。
成膜対象物上への亜鉛含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、亜鉛錯体蒸気を酸素、オゾン等の酸化性ガス、あるいは水、あるいはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類と共に加熱した成膜対象物上に送り込んで亜鉛含有薄膜を蒸着させる方法が使用出来る。また、同様な原料供給により、プラズマCVD法で亜鉛含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明のジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする亜鉛錯体を用いて亜鉛含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、亜鉛錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
なお、亜鉛含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸化性ガス、あるいは水蒸気、あるいはアルコール蒸気の含有割合としては、好ましくは3〜95容量%、更に好ましくは5〜90容量%である。
成膜対象物上への銅含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、銅錯体蒸気を酸素、オゾン等の酸化性ガス、あるいは水素、アンモニア等の還元性ガスと共に加熱した成膜対象物上に送り込んで銅含有薄膜を蒸着させる方法が使用出来る。また、同様な原料供給により、プラズマCVD法で銅含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明のジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする銅錯体を用いて銅含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、銅錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
なお、銅含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸化性ガス、あるいは還元性ガスの含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜95容量%である。
成膜対象物上へのルテニウム含有膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機ルテニウム錯体を水素源(例えば、水素ガス、アンモニアガス等の還元性ガスやアルコール類等)、あるいは酸素源(例えば、酸素ガス、オゾンガス等)とともに加熱した基板上に送り込んで金属ルテニウム膜、あるいは酸化ルテニウム膜を蒸着させる方法が使用出来る。また、不活性なガス(例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス)とともに加熱した基板上に送り込んで金属ルテニウム膜を蒸着させる方法も使用できる。また、プラズマCVD法でルテニウム含有膜を蒸着させる方法も使用出来る。
本発明のジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とするルテニウム錯体を用いてルテニウム含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、ルテニウム錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
水素ガス又は酸素ガスによる金属薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する水素ガスあるいは酸素ガスの含有割合は、好ましくは0.05〜97容量%、更に好ましくは0.1〜95容量%である。
なお、本願発明の好ましい態様としては以下の通りである。
(1)本願発明の有機ルテニウム錯体又は有機ルテニウム錯体の溶媒溶液をルテニウムと水素源(特に、水素ガスが好ましい)とを用いて化学気相蒸着法によりルテニウム含有薄膜を製造する。
(2)本願発明の有機ルテニウム錯体又は有機ルテニウム錯体の溶媒溶液をルテニウムと酸素源(特に、酸素ガスが好ましい)とを用いて化学気相蒸着法によりルテニウム含有薄膜を製造する。
(3)本願発明の有機ルテニウム錯体又は有機ルテニウム錯体の溶媒溶液を不活性ガス(特に、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスが好ましい)とを用いて化学気相蒸着法によりルテニウム含有薄膜を製造する。
成膜対象物上へのコバルト含有膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機コバルト錯体を水素源(例えば、水素ガス、アンモニアガス等の還元性ガスやアルコール類等)、あるいは酸素源(例えば、酸素ガス、オゾンガス等)とともに加熱した基板上に送り込んで金属コバルト膜、あるいは酸化コバルト膜を蒸着させる方法が使用出来る。また、不活性なガス(例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス)とともに加熱した基板上に送り込んで金属コバルト膜を蒸着させる方法も使用できる。また、プラズマCVD法でコバルト含有膜を蒸着させる方法も使用出来る。
水素ガス又は酸素ガスによるコバルト薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する水素ガス又は酸素ガスの含有割合は、好ましくは0.1〜99容量%、更に好ましくは0.5〜95容量%である。
本発明のジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とするコバルト錯体を用いてコバルト含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは150〜700℃、更に好ましくは200〜600℃、コバルト錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
なお、本願発明の好ましい態様としては以下の通りである。
(1)本願発明の有機コバルト錯体又は有機コバルト錯体の溶媒溶液と水素源(特に、水素ガス、アンモニアガスが好ましい)とを用いて化学気相蒸着法によりコバルト含有薄膜を製造する。
(2)本願発明の有機コバルト錯体又は有機コバルト錯体の溶媒溶液と酸素源(特に、酸素ガスが好ましい)とを用いて化学気相蒸着法によりコバルト含有薄膜を製造する。
(3)本願発明の有機コバルト錯体又は有機コバルト錯体の溶媒溶液と不活性ガス(特に、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスが好ましい)とを用いて化学気相蒸着法によりコバルト含有薄膜を製造する。
成膜対象物上へのストロンチウム含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機ストロンチウム錯体蒸気を酸素源(例えば、酸素、オゾン等の酸化性ガス)、水、又はメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類と共に加熱した成膜対象物上に送り込んでストロンチウム含有薄膜を蒸着させる方法が使用出来る。なお、これらのガス(気化した液体も含む)は不活性ガス等で希釈されていてもよい。また、同様な原料供給により、プラズマCVD法でストロンチウム含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明の有機ストロンチウム錯体を用いてストロンチウム含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、有機ストロンチウム錯体を気化させる温度は、好ましくは60〜400℃、更に好ましくは100〜300℃である。
なお、ストロンチウム含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸素源(例えば、酸化性ガス)、水蒸気又はアルコール蒸気の含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜98容量%である。
成膜対象物上へのニッケル含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機ニッケル錯体蒸気を酸素源(例えば、酸素、オゾン等の酸化性ガス)、水、又はメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類と共に加熱した成膜対象物上に送り込んでニッケル含有薄膜を蒸着させる方法が使用出来る。なお、これらのガス(気化した液体も含む)は不活性ガス等で希釈されていてもよい。また、同様な原料供給により、プラズマCVD法でニッケル含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明の有機ニッケル錯体を用いてニッケル含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、有機ニッケル錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
なお、ニッケル含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸素源(例えば、酸化性ガス)、水蒸気又はアルコール蒸気、又は還元性ガスの含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜98容量%である。
成膜対象物上へのインジウム含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機インジウム錯体蒸気を窒素ガス又はアルゴンガスなどの不活性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法;有機インジウム錯体を酸素等の酸化性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法;水素、アンモニア等の還元性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法が好適に採用される。また、同様な有機インジウム錯体の供給方法により、プラズマCVD法でインジウム含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明の有機インジウム錯体を用いてインジウム含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物の温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、有機インジウム錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
なお、インジウム含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸化性ガス又は還元性ガスの含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜98容量%である。
成膜対象物上へのアルミニウム含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機アルミニウム錯体蒸気を窒素ガス又はアルゴンガスなどの不活性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法;有機アルミニウム錯体を酸素等の酸化性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法;水素、アンモニア等の還元性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法が好適に採用される。また、同様な有機アルミニウム錯体の供給方法により、プラズマCVD法でアルミニウム含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明の有機アルミニウム錯体を用いてアルミニウム含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物の温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、有機アルミニウム錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
なお、アルミニウム含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸化性ガス又は還元性ガスの含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜98容量%である。
成膜対象物上へのガリウム含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機ガリウム錯体蒸気を窒素ガス又はアルゴンガスなどの不活性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法;有機ガリウム錯体を酸素等の酸化性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法;水素、アンモニア等の還元性ガスとともに加熱した成膜対象物上に送り込む方法が好適に採用される。また、同様な有機ガリウム錯体の供給方法により、プラズマCVD法でガリウム含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明の有機ガリウム錯体を用いてガリウム含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物の温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、有機ガリウム錯体を気化させる温度は、好ましくは30〜250℃、更に好ましくは60〜200℃である。
なお、ガリウム含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸化性ガス又は還元性ガスの含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜98容量%である。
成膜対象物上へのマグネシウム含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機マグネシウム錯体蒸気を酸素源(例えば、酸素、オゾン等の酸化性ガス)、水、又はメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類と共に加熱した成膜対象物上に送り込んでマグネシウム含有薄膜を蒸着させる方法が使用出来る。なお、これらのガス(気化した液体も含む)は不活性ガス等で希釈されていてもよい。また、同様な原料供給により、プラズマCVD法でマグネシウム含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明の有機マグネシウム錯体を用いてマグネシウム含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、有機マグネシウム錯体を気化させる温度は、好ましくは60〜400℃、更に好ましくは100〜300℃である。
なお、マグネシウム含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸素源(例えば、酸化性ガス)、水蒸気又はアルコール蒸気の含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜98容量%である。
成膜対象物上へのイットリウム含有薄膜の蒸着方法としては、公知のCVD法で行うことが出来、例えば、常圧又は減圧下にて、有機イットリウム錯体蒸気を酸素源(例えば、酸素、オゾン等の酸化性ガス)、水、又はメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類と共に加熱した成膜対象物上に送り込んでイットリウム含有薄膜を蒸着させる方法が使用出来る。なお、これらのガス(気化した液体も含む)は不活性ガス等で希釈されていてもよい。また、同様な原料供給により、プラズマCVD法でイットリウム含有薄膜を蒸着させることも出来る。
本発明の有機イットリウム錯体を用いてイットリウム含有薄膜を蒸着させる場合、その蒸着条件としては、例えば、反応系内の圧力は、好ましくは1Pa〜200kPa、更に好ましくは10Pa〜110kPa、成膜対象物温度は、好ましくは50〜900℃、更に好ましくは100〜600℃、有機イットリウム錯体を気化させる温度は、好ましくは60〜400℃、更に好ましくは100〜300℃である。
なお、イットリウム含有薄膜を蒸着させる際の全ガス量に対する酸素源(例えば、酸化性ガス)、水蒸気又はアルコール蒸気の含有割合としては、好ましくは3〜99容量%、更に好ましくは5〜98容量%である。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
参考例1(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積500mlのフラスコに、カリウムt−ブトキシド41.0g(365mmol)を加え、反応系内をアルゴンで置換した後、テトラヒドロフラン200mlを加えた。次いで、水冷下、ピナコリン22.7g(226mmol)をゆるやかに滴下後、続いて2−エトキシイソ酪酸メチル23.2g(159mmol)を滴下して、攪拌しながら55℃で2時間反応させた。反応終了後、水冷下で酢酸26g、水30mlを加えた後、ヘキサン200mlを加えて、有機層を分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮した後、濃縮物を減圧蒸留(57℃、49Pa)し、無色液体として、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン28.5gを得た(単離収率:84%)。
2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオンの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.19(9H,s)、1.21(3H,t)、1.30(0.45H,s)、1.36(5.55H,s)、3.39(2H,q)、3.85(0.15H,s)、6.05(0.93H,s)、15.6(0.93H,s)
IR(neat(cm−1));2976、2936、2908、2876、1604(br)、1460、1361、1287、1239、1214、1181、1118、1072、971、860、811、517
(なお、1604cm−1のピークは、β−ジケトン特有のピークである。)
MS(m/e);127、87、59、43
比較例A1(ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)(以下、亜鉛錯体(1’)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積50mlのフラスコに、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液6.56g(34.0mmol)を加え、氷冷下、2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオン6.00g(34.8mmol)をゆるやかに滴下し、5分間攪拌させた。次いで、塩化亜鉛(II)2.26g(16.6mmol)をメタノール20mlに溶解させた溶液をゆるやかに滴下し、氷冷下、攪拌しながら30分間反応させた。反応終了後、反応液から減圧下でメタノールを留去した。その後、ヘキサン20ml及び水20mlを加え、有機層を分液した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮した後、濃縮物を減圧蒸留(160℃、27Pa)し、粘性のある黄色液体として、ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)4.91gを得た(単離収率:73%)。
なお、ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)の物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.14(12H,d)、1.35(6H,d)、2.49(2H,m)、3.36(6H,s)、3.65(2H,q)、5.72(2H,s)
IR(neat(cm−1));2972、2932、1582、1513、1432、1333、1211、1118、912、805、558
元素分析(C1830Zn);炭素:53.1%、水素:7.45%、亜鉛:16%(理論値;炭素:53.0%、水素:7.41%、亜鉛:16.0%)
MS(m/e);641、406
実施例A1(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)(以下、亜鉛錯体(4)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、エーテル40ml、水1mlおよび参考例1と同様な方法で合成した2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン4.85g(22.6mmol)を入れた後、NaOH 0.94g(23.4mmol)を加えて、室温下10分攪拌した。その後、メタノール5mlに塩化亜鉛1.53g(11.2mmol)を溶解させたメタノール溶液を室温下で滴下し、10分間反応させた。その後、濾過し、濾液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(160℃、41Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)3.94gを得た(単離収率:71%)。
なお、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.19(24H,m)、1.37(12H,s)、3.43(4H,m)、6.10(2H,s)
IR(neat(cm−1));2974、2933、1558、1502、1390、1359、1222、1182、1132、1109、1072、971、858、814、744、535、483
元素分析(C2442Zn);炭素:58.5%、水素:8.63%、亜鉛:13%(理論値;炭素:58.6%、水素:8.60%、亜鉛:13.3%)
MS(m/e);446、403、87、57
実施例A2(ビス(2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)(以下、亜鉛錯体(6)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、エーテル20ml及び2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン2.06g(9.0mmol)を入れた後、水1mlに溶解させたNaOH0.32g(8.0mmol)を加えて、室温下10分攪拌した。その後、水0.5mlに塩化亜鉛0.55g(4.0mmol)を溶解させた水溶液を室温下で滴下し、10分間反応させた。その後、水洗してエーテル層を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(180℃、61Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、ビス(2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)0.52gを得た(単離収率:25%)。
なお、ビス(2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));0.95(6H,t)、1.19(18H,s)、1.36(12H,s)、1.61(4H,m)、3.32(4H,m)、5.80(2H,s)
IR(neat(cm−1));2964、2936、2904、2874、1575、1559、1513、1501、1464、1390、1373、1359、1283、1223、1181、1132、1109、1078、1014、994、951、876、834、815、739、642、534、486
元素分析(C2646Zn);炭素:61.5%、水素:9.00%、亜鉛:12.5%(理論値;炭素:60.1%、水素:8.92%、亜鉛:12.6%)
MS(m/e);461、417、360、101、59
実施例A3(ビス(2−n−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)(以下、亜鉛錯体(15)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、28%のナトリウムメチラート/メタノール溶液5.75g(29.8mmol)を入れ、室温下、2−n−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン7.11g(29.4mmol)を滴下した。滴下後、塩化亜鉛2.00g(14.7mmol)をメタノール5mlに溶解させたメタノール溶液を室温下滴下し、その後、攪拌しながら30分間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮して、メチルシクロヘキサン50mlを加えた。反応溶液を濾過して、濾液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(180℃、9Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、ビス(2−n−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)7.10gを得た(単離収率:88.3%)。
なお、ビス(2−n−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));0.93(6H,t)、1.19(18H,s)、1.35(12H,s)、1.41(4H,m)、1.56(4H,m)、3.36(4H,m)、6.10(2H,s)
IR(neat(cm−1));2961、2934、2870、1559、1514、1502、1463、1390、1360、1284、1223、1181、1132、1077、1036、987、951、895、850、816、747、643、609、537、488
元素分析(C2850Zn);炭素:61.8%、水素:9.30%、亜鉛:11.7%(理論値;炭素:61.4%、水素:9.19%、亜鉛:11.9%)
MS(m/e);461、417、360、101、59
実施例A4(熱安定性試験)
実施例A1で得られた亜鉛錯体(4)及び比較例A1で得られた亜鉛錯体(1’)との熱安定性の比較試験を160℃で行った。結果を表A1に示した。その結果、亜鉛錯体(4)はほとんど変化が見られないが、亜鉛錯体(1’)は10%以上分解している。この結果、亜鉛錯体(4)の熱安定性が高いことが分かる。
Figure 0005699485
また、図A1に、本発明の室温下液体のビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛錯体(亜鉛錯体(4))のTGデータを示した。これによると、本発明の亜鉛錯体(4)は熱分解なく100%気化し、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例A5(CVD成膜実験)
実施例A1で得られた亜鉛錯体(4)を用いて、CVD法による蒸着実験を行い、成膜特性を評価した。
評価試験には、図2に示す装置を使用した。気化器5(ガラス製アンプル)にある亜鉛錯体7は、ヒーター6で加熱されて気化し、マスフローコントローラー1Aを経て導入されたヘリウムガスに同伴し気化器5を出る。気化器5を出たガスは、マスフローコントローラー1Bで導入された酸素ガスとともに反応器11に導入される。反応系内圧力は真空ポンプ手前のバルブ14の開閉により、所定圧力にコントロールされ、圧力計12によってモニターされる。ガラス製反応器の中央部はヒーター10で加熱可能な構造となっている。反応器に導入された亜鉛錯体は、反応器内中央部にセットされ、ヒーター10で所定の温度に加熱された被蒸着基板9の表面上で反応分解し、基板9上に酸化亜鉛膜が析出する。反応器11を出たガスは、トラップ13、真空ポンプを経て、大気中に排気される構造となっている。
蒸着条件及び蒸着結果(成膜特性)を表A2に示す。なお、被蒸着基板としては、6mm×20mmサイズの矩形のものを使用した。
Figure 0005699485
該結果より、本発明のジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする亜鉛錯体を用いることにより、優れた成膜特性を有する亜鉛含有薄膜を製造することが可能であることが分かる。
比較例B1(ビス(2−エトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)銅(II)(以下、銅錯体(1’)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積300mlのフラスコに、酢酸銅1水和物15.1g(75.6mmol)と、溶媒として、メチルシクロヘキサン90ml及び水25mlを入れ、その懸濁溶液に2−エトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト29.4g(158mmol)を滴下した。更に室温下、攪拌しながら、水酸化ナトリウム6g(150mmol)を水25mlに溶解させた水溶液を滴下した。室温下、1時間反応させた後、有機層を分液し、水洗後濾液を濃縮した。その濃縮物を減圧蒸留(175℃、11Pa)し、粘性のある暗緑色液体として、ビス(2−エトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)銅(II)31gを得た(単離収率:94%)。
IR(neat(cm−1));2974、2934、2874、1569、1511、1426、1364、1321、1240、1156、1120、962、905、804、574、
元素分析(C2034Cu);炭素:55.0%、水素:7.95%、銅:14%(理論値;炭素:55.4%、水素:7.90%、銅:14.6%)
MS(m/e);433、390、317、249、175、113、45
実施例B1(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)銅(II)(以下、銅錯体(3)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積50mlのフラスコに、水酸化銅1.05g(10.8mmol)と、溶媒として、1,2−ジメトキシエタン15ml、更に、参考例1と同様な方法で合成した2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト3.00g(14.0mmol)及び水0.1gを入れ、室温下、攪拌しながら15分間反応させた。反応終了後、濾過を行い、濾液を濃縮した後、濃縮物を減圧蒸留(160℃、24Pa)し、粘性のある暗緑色粘性液体として、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)銅(II)2.77gを得た(単離収率:53%)。
IR(neat(cm−1));2974、2902、1561、1500、1411、1360、1223、1182、1140、1108、1072、859、808、747、640、541、504
元素分析(C2442Cu);炭素:58.61%、水素:8.70%、銅:13%(理論値;炭素:58.8%、水素:8.64%、銅:12.9%)
MS(m/e);403、87、57
実施例B2(熱安定性試験)
実施例B1で得られた銅錯体(3)及び比較例B1で得られた銅錯体(1’)との熱安定性の比較試験を200℃で行った。結果を表B1に示した。その結果、銅錯体(3)はほとんど変化が見られないが、銅錯体(1’)は完全に分解している。この結果、銅錯体(3)の熱安定性が高いことが分かる。
Figure 0005699485
また、図B1に、本発明の室温下液体のビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)銅錯体(銅錯体(3))のTGデータを示した。これによると、本発明の銅錯体(3)は熱分解がなく100%気化し、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例B3〜B4(CVD成膜実験)
実施例B1で得られた銅錯体(3)を用いて、CVD法による蒸着実験を行い、成膜特性を評価した。
評価試験には、図2に示す装置を使用した。気化器5(ガラス製アンプル)にある銅錯体7は、ヒーター6で加熱されて気化し、マスフローコントローラー1Aを経て導入されたヘリウムガスに同伴し気化器5を出る。気化器5を出たガスは、マスフローコントローラー1Bで導入された酸素ガス又は水素ガスとともに反応器11に導入される。反応系内圧力は真空ポンプ手前のバルブ14の開閉により、所定圧力にコントロールされ、圧力計12によってモニターされる。ガラス製反応器の中央部はヒーター10で加熱可能な構造となっている。反応器に導入された銅錯体は、反応器内中央部にセットされ、ヒーター10で所定の温度に加熱された被蒸着基板9の表面上で反応分解し、基板9上に酸化銅膜又は銅膜が析出する。反応器11を出たガスは、トラップ13、真空ポンプを経て、大気中に排気される構造となっている。
蒸着条件及び蒸着結果(成膜特性)を表B2に示す。なお、被蒸着基板としては、6mm×20mmサイズの矩形のものを使用した。
Figure 0005699485
該結果より、本発明のジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする銅錯体を用いることにより、優れた成膜特性を有する銅含有薄膜を製造することが可能であることが分かる。
参考例C2(ビス(アセチルアセトナト)(1,5−ヘキサジエン)ルテニウム(II)(Ru錯体(1’)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、三塩化ルテニウム三水和物8.87g(33.9mmol)、1,5−ヘキサジエン6.12g(74.5mmol)及びイソプロプロピルアルコール60mlを加え、攪拌しながら70℃で4時間反応させた後、アセチルアセトン10.6g(106mmol)及び水酸化ナトリウム4.22g(106mmol)を混合した水溶液を滴下し、攪拌しながら0.5時間反応させた。反応終了後、メチルシクロヘキサン60ml及び水30mlを加え、有機層を分液した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮した後、濃縮物を減圧下で蒸留(140℃、39Pa)し、黄褐色粘性液体として、ビス(アセチルアセトナト)(1,5−ヘキサジエン)ルテニウム(II)10.3gを得た(単離収率:80%)。
なお、ビス(アセチルアセトナト)(1,5−ヘキサジエン)ルテニウム(II)の物性値は以下の通りであった。
IR(neat(cm−1));3067、2923、1576、1517、1400、1268、1201、1022、933、767、620、432
実施例C1(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)(1,5−ヘキサジエン)ルテニウム(II)(以下、ルテニウム錯体(5)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積200mlのフラスコに、三塩化ルテニウム三水和物3.42g(13.1mmol)、1,5−ヘキサジエン3.45g(42.0mmol)及びエタノール20mlを加え、70℃で攪拌しながら3時間反応させた。その後、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン9.87g(45.6mmol)、水酸化ナトリウム1.63g(40.8mmol)およびエタノール25g/水10gを混合した溶液を滴下し、攪拌しながら0.5時間反応させた。反応終了後、ヘキサン100ml及び水60mlを加え、有機層を分液、水洗した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮した後、濃縮物を減圧下で蒸留(180℃、51Pa)し、褐色の粘性液体として、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)(1,5−ヘキサジエン)ルテニウム(II)5.88gを得た(単離収率:74%)。
なお、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)(1,5−ヘキサジエン)ルテニウム(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
IR(neat(cm−1));2971、2929、2871、2821、1592、1570、1522、1439、1426、1363、1331、1211、1156、1119、1060、915、869、793、576
(β−ジケトン特有のピーク(1604cm−1)が消失し、β−ジケトナト特有のピーク(1570cm−1)が観察された)
元素分析(C3052Ru);炭素:59.0%、水素:8.63%、ルテニウム:16.5%(理論値;炭素:59.1%、水素:8.60%、ルテニウム:16.6%)
実施例C2(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト(2,4−ヘキサジエン)ルテニウム(II)(以下、ルテニウム錯体(6)と称する)の合成)
実施例C1において、1,5−ヘキサジエンの代わりに、2,4−ヘキサジエン3.45g(42.0mmol)を用いたこと以外は、実施例C1と同様にして反応を行った。その結果、黄褐色粘性液体として、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)(2,4−ヘキサジエン)ルテニウム(II)6.82gを得た(単離収率:86%)。
なお、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)(2,4−ヘキサジエン)ルテニウム(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
IR(neat(cm−1));2972、2929、2871、2821、1571、1570、1522、1439、1426、1363、1331、1211、1156、1119、1060、915、869、793、576
(β−ジケトン特有のピーク(1604cm−1)が消失し、β−ジケトナト特有のピーク(1571cm−1)が観察された)
元素分析(C3052Ru);炭素:59.2%、水素:8.58%、ルテニウム:16.4%(理論値;炭素:59.1%、水素:8.60%、ルテニウム:16.6%)
実施例C3(熱安定性試験)
実施例C2で得られたルテニウム錯体(6)と参考例C2で得られたルテニウム錯体(1‘)について、160℃での熱安定性試験を行った。結果を表C1に示した。この結果、ルテニウム錯体(6)は熱安定性に優れていることが分かる。
Figure 0005699485
実施例C4〜C7(蒸着実験;ルテニウム薄膜の製造)
実施例C1〜C2で得られた有機ルテニウム錯体(ルテニウム錯体(5)及び(6))を用いて、CVD法による蒸着実験を行い、成膜特性を評価した。
評価試験には、図3に示す装置を使用した。気化器5(ガラス製アンプル)にあるルテニウム錯体7は、ヒーター6で加熱されて気化し、マスフローコントローラー1Aを経て導入されたヘリウムガスに同伴し気化器5を出る。気化器5を出たガスは、マスフローコントローラー1Bで導入された水素ガスあるいは酸素ガスとともに反応器11に導入される。また、酸素ガスをヘリウムガスで希釈する場合は、マスフローコントローラー1Cで導入されたヘリウムガスを酸素ガスラインに添加することにより行われる。なお、熱分解を行う場合はバルブ2を閉にし、水素ガス又は酸素ガスの供給を停止する。反応系内圧力は真空ポンプ手前のバルブ14の開閉により、所定圧力にコントロールされ、圧力計12によってモニターされる。ガラス製反応器の中央部はヒーター10で加熱可能な構造となっている。反応器に導入されたルテニウム錯体は、反応器内中央部にセットされ、ヒーター10で所定の温度に加熱された被蒸着基板9の表面上で反応分解し、基板9上にルテニウム含有膜が析出する。反応器11を出たガスは、トラップ13、真空ポンプを経て、大気中に排気される構造となっている。
蒸着条件及び蒸着結果(膜特性)を表C2に示す。なお、被蒸着基板としては、6mm×20mmサイズの矩形のものを使用した。なお、表中の酸素とは酸素ガスを、水素とは水素ガスを、希釈ヘリウムとはヘリウムガスを示す。
Figure 0005699485
該結果より、本発明の有機ルテニウム錯体(ルテニウム錯体(5)及び(6))が、水素ガス還元雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、又は不活性なガス下(熱分解)により、優れたルテニウム含有膜成膜性を有することが分かる。
実施例D1(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)コバルト(II)(以下、コバルト錯体(5)と称する)の合成
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液6.00g(31.1mmol)を加え、氷冷下、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン7.00g(32.7mmol)をゆるやかに滴下し、5分間攪拌させた。次いで、塩化コバルト(II)6水塩2.00g(8.37mmol)をメタノール15mlに溶解させた溶液をゆるやかに滴下し、室温下、攪拌しながら60分間反応させた。反応終了後、反応液から減圧下でメタノールを留去した。その後、エーテル60ml及び水30mlを加え、有機層を分液した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮した後、濃縮物を減圧蒸留(170℃、45Pa)し、粘性のある暗紫色液体として、(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)コバルト(II)5.90gを得た(単離収率;78%)。
ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)コバルト(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
IR(neat(cm−1));3420(br),2973,2931,2902,2871,1577,1522,1500,1454,1423,1389,1360,1281,1232,1167,1130,1109,1072,1024,971,917,858,802,743,528
(β−ジケトン特有のピーク(1604cm−1)が消失し、β−ジケトナト特有のピーク(1577cm−1)が観察された)
EI−MS(m/e);485、428、226、87
CI−MS(m/e);486、428、215、169、87
実施例D2(熱安定性の評価)
本発明のビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)コバルト(II)(コバルト錯体(5))の熱安定性の評価を行った。その結果を図D1に示した。
図D1のTGデータの結果より、本発明のコバルト錯体(5)は、低温で気化し、残渣が少なく、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例D3〜D5(蒸着実験;コバルト含有薄膜の製造)
実施例D1で得られたコバルト錯体を用いて、CVD法による蒸着実験を行い、成膜特性を評価した。
評価試験には、図4に示す装置を使用した。気化器3(ガラス製アンプル)にあるコバルト錯体20は、ヒーター10Bで加熱されて気化し、マスフローコントローラー1Aを経て予熱器10Aで予熱後導入されたヘリウムガスに同伴し気化器3を出る。気化器3を出たガスは、マスフローコントローラー1B、ストップバルブ2を経て導入されたアンモニアガスもしくは水素ガス、酸素ガスとともに反応器4に導入される。反応系内圧力は真空ポンプ手前のバルブ6の開閉により、所定圧力にコントロールされ、圧力計5によってモニターされる。反応器の中央部はヒーター10Cで加熱可能な構造となっている。反応器に導入されたコバルト錯体は、反応器内中央部にセットされ、ヒーター10Cで所定の温度に加熱された被蒸着基板21の表面上で還元もしくは酸化熱分解し、基板21上にコバルト含有薄膜が析出する。反応器4を出たガスは、トラップ7、真空ポンプを経て、大気中に排気される構造となっている。
蒸着条件及び蒸着結果(膜特性)を表D1に示す。なお、被蒸着基板としては、6mm×20mmサイズの矩形のものを使用した。
Figure 0005699485
以上の結果より、本発明の有機コバルト錯体(コバルト錯体(5))が、アンモニアガス還元雰囲気下、水素ガス雰囲気下又は酸素ガス雰囲気下により、優れたコバルト含有膜成膜性を有することが分かる。
実施例E1(ビス(2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)の合成(以下、ストロンチウム錯体(4)と称する))
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、酸化ストロンチウム0.4g(3.9mmol)及びテトラヒドロフラン10mlを加えた。次いで、2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン1.4g(6.1mmol)を水冷下にて滴下させた後、水0.2gを滴下して1時間反応させた。
反応終了後、反応液を減圧下にて濃縮し、濃縮物にヘキサン10mlを加えた。得られた溶液を濾過後、濾液を濃縮した後に、濃縮物を減圧蒸留(310℃、19Pa)して、黄色固体として、ビス(2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)1.2gを得た(単離収率:72.3%)。
ビス(2−n−プロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));0.81(6H,b)、1.04(18H,b)、1.27(12H,b)、1.56(4H,b)、3.28(4H,b)、5.55(2H,b)
IR(neat(cm−1));2966、1606、1597、1531、1499、1429、1389、1361、1272、1225、1174、1123、1080、1019、861、794、735、475
元素分析(C2646Sr);炭素:57.4%、水素:8.8%、ストロンチウム:16.0%(理論値;炭素:57.6%、水素:8.6%、ストロンチウム:16.2%)
融点;84〜86℃
実施例E2(ビス(2−イソプロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)の合成(以下、ストロンチウム錯体(5)と称する))
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、酸化ストロンチウム2.2g(21.2mmol)及びテトラヒドロフラン20mlを加えた。次いで、2−イソプロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン5.1g(22.3mmol)を水冷下にて滴下させた後、水0.2gを滴下して1時間反応させた。
反応終了後、反応液を減圧下にて濃縮し、濃縮物にヘキサン20mlを加えた。得られた溶液を濾過後、濾液を濃縮した後に、濃縮物を減圧蒸留(310℃、17Pa)して、黄色固体として、ビス(2−イソプロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)4.4gを得た(単離収率:72.6%)。
ビス(2−イソプロポキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.07(18H,s)、1.17(12H,d)、1.31(12H,s)、3.78(2H,b)、5.64(2H,s)
IR(neat(cm−1));2966、1606、1596、1532、1499、1429、1389、1361、1272、1225、1174、1123、1080、1019、861、794、735、475
元素分析(C2646Sr);炭素:57.4%、水素:8.8%、ストロンチウム:16.0%(理論値;炭素:57.6%、水素:8.6%、ストロンチウム:16.2%)
融点;62〜65℃
実施例E3(ビス(2−sec−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)の合成(以下、ストロンチウム錯体(6)と称する))
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、酸化ストロンチウム1.5g(14.5mmol)及びテトラヒドロフラン30mlを加えた。次いで、2−sec−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン5.5g(22.7mmol)を水冷下にて滴下させた後、水0.2gを滴下して1時間反応させた。
反応終了後、反応液を減圧下にて濃縮し、濃縮物にヘキサン10mlを加えた。得られた溶液を濾過後、濾液を濃縮した後に、濃縮物を減圧蒸留(310℃、24Pa)して、黄色固体として、ビス(2−sec−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)2.9gを得た(単離収率:44.8%)。
ビス(2−sec−ブトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ストロンチウム(II)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));0.82(6H,t)、1.08(24H,s)、1.21(12H,b)、1.43(2H,m)、1.50(2H,m)、3.50(2H,m)、5.66(2H,s)
IR(neat(cm−1));2966、1606、1596、1532、1499、1429、1389、1361、1272、1225、1174、1123、1080、1019、861、794、735、475
元素分析(C2850Sr);炭素:59.0%、水素:8.9%、ストロンチウム:15.3%(理論値;炭素:59.0%、水素:8.8%、ストロンチウム:15.4%)
融点;42〜52℃
実施例E4〜E6(蒸着実験;ストロンチウム含有薄膜の製造)
実施例E1〜E3で得られた有機ストロンチウム錯体を用いて、CVD法による蒸着実験を行い、成膜特性を評価した。
評価試験には、図2に示す装置を使用した。気化器5(ガラス製アンプル)にある有機ストロンチウム錯体7は、ヒーター6で加熱されて気化し、マスフローコントローラー1Aを経て導入されたヘリウムガスに同伴し気化器5を出る。気化器5を出たガスは、マスフローコントローラー1Bで導入された酸素ガスとともに反応器11に導入される。反応系内圧力は真空ポンプ手前のバルブ14の開閉により、所定圧力にコントロールされ、圧力計12によってモニターされる。ガラス製反応器の中央部はヒーター10で加熱可能な構造となっている。反応器に導入されたストロンチウム錯体は、反応器内中央部にセットされ、ヒーター10で所定の温度に加熱された被蒸着基板9の表面上で反応分解し、基板9上に酸化ストロンチウム膜が析出する。反応器11を出たガスは、トラップ13、真空ポンプを経て、大気中に排気される構造となっている。
蒸着結果(成膜特性)を表E1に示す。なお、ストロンチウム含有薄膜の製造における共通条件は以下の通りである。
ストロンチウム錯体気化温度;220℃
Heキャリアー流量;30ml/min.
酸素流量;350ml/min.
蒸着基板;SiO/Si(6mm×20mmサイズ)
基板温度;525℃
反応系内圧力;3990Pa
蒸着時間;30分
Figure 0005699485
該結果より、本発明の有機ストロンチウム錯体(ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とするストロンチウム錯体)を用いることにより、優れた特性を有するストロンチウム含有薄膜を製造することが可能であることが分かる。
実施例F1(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ニッケル(II)(以下、ニッケル錯体(3)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、28%のナトリウムメチラート/メタノール溶液5.02g(26.0mmol)を入れ、室温下、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン6.12g(28.6mmol)を滴下した。滴下後、塩化ニッケル6水和物3.00g(12.6mmol)をメタノール20mlに溶かしたメタノール溶液を室温下滴下し、その後、攪拌しながら5分間反応させた。反応終了後、水20ml、メチルシクロヘキサン30mlを加え分液し、その濾液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(190℃、20Pa)し、粘性のある暗緑色液体として、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ニッケル(II)4.60gを得た(単離収率:75%)。
IR(neat(cm−1));2973、2932、2902、2871、1579、1500、1426、1390、1360、1282、1233、1167、1072、974、858、787、746、530、486
元素分析(C2442Ni);炭素:59.5%、水素:8.70%、ニッケル:12%(理論値;炭素:59.4%、水素:8.72%、ニッケル:12.1%)
MS(m/e);484、427、87、57
実施例F2(熱安定性の評価)
本発明のビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ニッケル錯体(ニッケル錯体(3))の熱安定性の評価を行った。その結果を図F1に示した。
図F1のTGデータの結果より、本発明のニッケル錯体(3)は、低温で気化し、残渣が少なく、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例F3〜F5(蒸着実験;ニッケル含有薄膜の製造)
実施例F1で得られた有機ニッケル錯体を用いて、CVD法による蒸着実験を行い、成膜特性を評価した。
評価試験には、図4に示す装置を使用した。気化器3(ガラス製アンプル)にあるニッケル錯体20は、ヒーター10Bで加熱されて気化し、マスフローコントローラー1Aを経て予熱器10Aで予熱後導入されたヘリウムガスに同伴し気化器3を出る。気化器3を出たガスは、マスフローコントローラー1B、ストップバルブ2を経て導入された酸素ガス、水素ガスもしくはアンモニアガスとともに反応器4に導入される。反応系内圧力は真空ポンプ手前のバルブ6の開閉により、所定圧力にコントロールされ、圧力計5によってモニターされる。反応器の中央部はヒーター10Cで加熱可能な構造となっている。反応器に導入されたニッケル錯体は、反応器内中央部にセットされ、ヒーター10Cで所定の温度に加熱された被蒸着基板21の表面上で酸化熱分解もしくは還元分解され、基板21上にニッケル含有薄膜が析出する。反応器4を出たガスは、トラップ7、真空ポンプを経て、大気中に排気される構造となっている。
蒸着条件及び蒸着結果(成膜特性)を表F1に示す。なお、被蒸着基板としては、6mm×20mmサイズの矩形のものを使用した。
Figure 0005699485
該結果より、本発明の有機ニッケル錯体(ジアルキルアルコキシ基を有するβ−ジケトナトを配位子とする有機ニッケル錯体)を用いることにより、優れた特性を有するニッケル含有薄膜を製造することが可能であることが分かる。
実施例G1(トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III)(以下、有機インジウム錯体(3)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積200mlのフラスコに、28%のナトリウムメチラート/メタノール溶液5.31g(27.5mmol)を入れ、室温下、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン6.22g(27.5mmol)を滴下した。滴下後、塩化インジウム4水和物2.50g(8.53mmol)をメタノール20mlに溶かしたメタノール溶液を室温下滴下し、その後、攪拌しながら30分間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮した。ここに水50ml、メチルシクロヘキサン50mlを加え分液し、そのメチルシクロヘキサン溶液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(180℃、11Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III)5.11gを得た(単離収率:79.0%)。
なお、トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.12(27H,s)、1.19(9H,t)、1.31(18H,s)、3.40(6H,q)、6.02(3H,s)
IR(neat(cm−1));2975、2933、2903、2875、1562、1515、1503、1415、1383、1357、1287、1222、1183、1132、1108、1072、971、859、813、743、628、530、487
元素分析(C3663In);炭素:57.5%、水素:8.9%、インジウム:15.0%(理論値;炭素:57.3%、水素:8.4%、インジウム:15.2%)
MS(m/e);754、710、541、87
密度;1.10g/cm(24℃)
比較例G1(トリス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III)(特許文献2記載の有機インジウム錯体)(以下、In(mopd)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、28%のナトリウムメチラート/メタノール溶液4.26g(22.1mmol)を入れ、氷冷下、2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオン3.80g(22.1mmol)を滴下した。滴下後、塩化インジウム4水和物2.04g(6.96mmol)をメタノール15mlに溶かしたメタノール溶液を室温下滴下し、その後、攪拌しながら30分間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮した。ここに水40ml、エーテル40mlを加え分液し、そのエーテル溶液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(175℃、31Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、トリス(2−メトキシ−6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III)3.27gを得た(単離収率:74.0%)。
なお、トリス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III)は、以下の物性値で示される。
IR(neat(cm−1));2975、2933、1571、1539、1515、1429、1402、1363、1331、1230、1120、952、914、809、554
元素分析(C2745In);炭素:51.3%、水素:7.3%、インジウム:18.0%(理論値;炭素:51.6%、水素:7.2%、インジウム:18.3%)
MS(m/e);628、598、457、227、115、59
実施例G2(熱安定性の評価)
本発明の有機インジウム錯体(3)(トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III))及び比較例G1のIn(mopd)(トリス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)インジウム(III))の安定性評価を行った。その結果を図G1に示した。
図G1のTGデータの結果より、本発明の有機インジウム錯体(3)は、低温で気化し、残渣が少なく、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例G3(蒸着実験;インジウム含有薄膜の製造)
実施例G1で得られた有機インジウム錯体を用いて、CVD法による蒸着実験を行い、成膜特性を評価した。
評価試験には、図4に示す装置を使用した。気化器3(ガラス製アンプル)にある有機インジウム錯体20は、ヒーター10Bで加熱されて気化し、マスフローコントローラー1Aを経て予熱器10Aで予熱後導入されたヘリウムガスに同伴し気化器3を出る。気化器3を出たガスは、マスフローコントローラー1B、ストップバルブ2を経て導入された酸素ガス、水素ガス又はアンモニアガスとともに反応器4に導入される。反応系内圧力は真空ポンプ手前のバルブ6の開閉により、所定圧力にコントロールされ、圧力計5によってモニターされる。反応器の中央部はヒーター10Cで加熱可能な構造となっている。反応器に導入された有機インジウム錯体は、反応器内中央部にセットされ、ヒーター10Cで所定の温度に加熱された被蒸着基板21の表面上で酸化熱分解もしくは還元分解され、基板21上にインジウム含有薄膜が析出する。反応器4を出たガスは、トラップ7、真空ポンプを経て、大気中に排気される構造となっている。
蒸着条件及び蒸着結果(成膜特性)を表G1に示す。なお、被蒸着基板としては、6mm×20mmサイズの矩形のものを使用した。
Figure 0005699485
該結果より、本発明の有機インジウム錯体(ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とするインジウム錯体)を用いることにより、優れた成膜特性を有するインジウム含有薄膜を製造することが可能であることが分かる。
実施例H1(ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)マグネシウム(II)(以下、マグネシウム錯体(4)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、水酸化マグネシウム0.44g(7.5mmol)、メタノール5mlおよび水5mlを入れ、室温下、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン4.00g(18.7mmol)を滴下した。10分間反応させた後、反応液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(230℃、32Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、ビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)マグネシウム(II)2.88gを得た(単離収率:84.7%)。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.04(18H,s)、1.11(6H,t)、1.28(12H,s)、3.38(4H,q)、5.73(2H,s)
IR(neat(cm−1));2973、2933、2903、2872、1606、1528、1504、1455、1432、1390、1360、1285、1233、1165、1131、1109、1072、977、857、791、733、621、528、483
元素分析(C2442Mg);炭素:64.0%、水素:9.6%、マグネシウム:5.2%(理論値;炭素:63.9%、水素:9.4%、マグネシウム:5.4%)
MS(m/e);451、393、127、87
実施例H2(熱安定性の評価)
本発明のビス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)マグネシウム(II)(マグネシウム錯体(4))の熱安定性の評価を行った。その結果を図H1に示した。
図H1のTGデータの結果より、本発明のマグネシウム錯体(4)は、低温で気化し、残渣が少なく、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例I1(トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)アルミニウム(III)(以下、アルミニウム錯体(4)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン3.00g(14.0mmol)とメタノール12mlを入れ、ここに水3mlに溶解した水酸化ナトリウム0.56g(14.1mmol)を滴下した。滴下後、塩化アルミニウム0.63g(5.18mmol)を水6mlに溶かした水溶液を室温下滴下し、その後、攪拌しながら5分間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮した。ここに水6ml、ヘキサン15mlを加え分液し、水洗をした後、その溶液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(160℃、27Pa)し、無色透明の固体として、トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)アルミニウム(III)2.41gを得た(単離収率:77.5%)。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.08(27H,m)、1.16〜1.22(18H,m)、1.30(9H,m)、3.38(6H,m)、5.96(3H,m)
IR(neat(cm−1));2978、2933、2904、2876、1579、1545、1508、1454、1436、1404、1373、1360、1306、1240、1226、1183、1145、1109、1073、970、862、804、745、657、550、508、454
元素分析(C3663Al);炭素:65.0%、水素:9.6%、アルミニウム:4.0%(理論値;炭素:64.8%、水素:9.5%、アルミニウム:4.1%)
MS(m/e);666、622、453、408、59
融点;40℃
実施例I2(熱安定性の評価)
本発明のトリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)アルミニウム(III)(アルミニウム錯体(4))の熱安定性の評価を行った。その結果を図I1に示した。
図I1のTGデータの結果より、本発明のアルミニウム錯体(4)は、低温で気化し、残渣が少なく、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例J1(トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガリウム(III)(以下、ガリウム錯体(4)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積100mlのフラスコに、28%のナトリウムメチラート/メタノール溶液4.91g(25.5mmol)を入れ、室温下、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン6.00g(28.0mmol)を滴下した。滴下後、塩化ガリウム1.40g(8.0mmol)をメタノール5mlに溶かしたメタノール溶液を室温下滴下し、その後、攪拌しながら30分間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮した。ここに水10ml、メチルシクロヘキサン30mlを加え分液し、そのメチルシクロヘキサン溶液を濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(170℃、11Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガリウム(III)5.19gを得た(単離収率:92.0%)。
なお、(トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガリウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.11(27H,s)、1.22(18H,s)、1.33(9H,t)、3.39(6H,q)、5.96(3H,s)
IR(neat(cm−1));2975、2933、2903、2875、1569、1545、1516、1504、1425、1389、1358、1297、1238、1183、1140、1108、1072、961、860、807、746、638、536、495
元素分析(C3663Ga);炭素:61.2%、水素:9.2%、ガリウム:9.6%(理論値;炭素:60.9%、水素:9.0%、ガリウム:9.8%)
MS(m/e);708、664、495、281、59
実施例J2(熱安定性の評価)
本発明のトリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガリウム(III)(ガリウム錯体(4))の熱安定性の評価を行った。その結果を図J1に示した。
図J1のTGデータの結果より、本発明のガリウム錯体(4)は、低温で気化し、残渣が少なく、熱に対する安定性が高いことが分かる。
実施例K1(トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イットリウム(III)(以下、イットリウム錯体(3)と称する)の合成)
攪拌装置、温度計を備えた内容積200mlのフラスコに、28%のナトリウムメチラート/メタノール溶液3.02g(15.65mmol)を入れ、室温下、2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン3.60g(16.8mmol)を滴下した。滴下後、塩化イットリウム6水和物1.57g(5.18mmol)をメタノール10mlに溶かしたメタノール溶液を室温下滴下し、その後、攪拌しながら30分間反応させた。反応終了後、水30ml、メチルシクロヘキサン30mlを加え分液し、メチルシクロヘキサン溶液を水洗して濃縮した。濃縮物を減圧蒸留(190℃、33Pa)し、粘性のある淡黄色粘性液体として、トリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イットリウム(III)2.90gを得た(単離収率:76.9%)。
H−NMR(CDCl,δ(ppm));0.97〜1.37(54H,m)、3.38(6H,q)、6.05(3H,s)
IR(neat(cm−1));2974、2932、2903、2874、1577、1543、1503、1412、1390、1359、1285、1224、1180、1134、1108、1072、971、857、802、739、614、523、487
元素分析(C3663Y);炭素:59.8%、水素:9.0%、イットリウム:12.0%(理論値;炭素:59.3%、水素:8.7%、イットリウム:12.2%)
MS(m/e);728、684、641、423、87
実施例K2(熱安定性の評価)
本発明のトリス(2−エトキシ−2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イットリウム(III)(イットリウム錯体(3))の熱安定性の評価を行った。その結果を図K1に示した。
図K1のTGデータの結果より、本発明のイットリウム錯体(3)は、低温で気化し、残渣が少なく、熱に対する安定性が高いことが分かる。
本発明は、新規なジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナトを配位子とする金属錯体を用いて、CVD法により、金属含有薄膜を製造する方法に関する。本発明の金属錯体は、低融点を有し、且つ熱に対しての安定性に優れるとともに、CVD法による成膜に適している。
(図2,図3)
5 気化器
11 反応器
6 気化器ヒーター
10 反応器ヒーター
7 原料金属錯体融液
9 基板
1A,1B,1C マスフローコントローラー
12 圧力計
13 トラップ
2,3,4,14 バルブ
(図4)
3 気化器
4 反応器
10A 予熱器
10B 気化器ヒーター
10C 反応器ヒーター
20 原料金属錯体融液
21 基板
1A,1B,1C マスフローコントローラー
5 圧力計
7 トラップ
1,2,6,8 バルブ

Claims (9)

  1. 一般式(I)
    Figure 0005699485
    (式中、Mは、Zn、Cu、Co、Sr、Ni、In、Mg、Al、Ga又はYを示し
    は、炭素原子数2〜4の直鎖又は分枝状のアルキル基を示す
    nは、配位子の数を示し、金属Mの価数に等しい
    で示される、ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナト配位子を有する金属錯体。
  2. 一般式(II)
    Figure 0005699485
    (式中Lは、1,5−ヘキサジエン又は2,4−ヘキサジエンを示す。
    で示される、ジアルキルアルコキシメチル基を有するβ−ジケトナト配位子を有する金属錯体。
  3. 請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体、又は請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体の溶液を金属供給源として用いた化学気相蒸着法による金属含有薄膜の製造法。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体、又は請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体の溶液と、水素源又は還元性ガスとを用いた請求項に記載の金属含有薄膜の製造法。
  5. 還元性ガスが水素ガス又はアンモニアガスである請求項に記載の金属含有薄膜の製造法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体、又は請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体の溶液と、酸素源とを用いた請求項に記載の金属含有薄膜の製造法。
  7. 酸素源が酸素ガスである請求項に記載の金属含有薄膜の製造法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体、又は請求項1〜のいずれかに記載の金属錯体の溶液と、不活性ガスとを用いた請求項に記載の金属含有薄膜の製造法。
  9. 使用する溶媒が、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類及びエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である請求項のいずれかに記載の金属含有薄膜の製造法。
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