JP5694946B2 - 幹細胞から分化細胞を得る方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は概して、幹細胞に関し、より具体的には幹細胞を用いて内胚葉細胞を得るための方法に関する。
背景情報
胚発生の間、体の組織は、3つの主要な細胞集団:外胚葉、中胚葉および胚体(definitive)内胚葉より形成される。一次胚葉としても知られるこれらの細胞集団は、原腸形成として知られる工程を通じて形成される。原腸形成の後に、各一次胚葉は、細胞集団および組織の特定のセットを生ずる。中胚葉は、血液細胞、内皮細胞、心筋、骨格筋および脂肪細胞を生じさせる。胚体内胚葉は、肝臓、膵臓および胚を生ずる。外胚葉は、神経系、皮膚および副腎組織を生じさせる。
ヒト胚性幹細胞(ES)細胞は、数多くの細胞型に分化できる多能性細胞である。免疫不全マウスに注入した場合、胚性幹細胞は、分化型腫瘍(奇形種)を形成する。しかしながら、胚様体(EB)を形成するようにインビトロで誘導された胚性幹細胞は、特定の増殖条件下で複数の組織の特徴を示す多様な細胞型への分化に適している胚性幹細胞株の供給源を提供する。例えば、ES細胞は、神経成長因子およびレチノイン酸の存在下で神経に分化するようになる。
ヒトES細胞およびそれらの分化した子孫は、治療的移植ならびに薬物の試験および開発にとって重要な正常ヒト細胞の供給源である。患者のニーズまたは適切な薬理試験に適している組織型に分化した十分な量の細胞の提供が、これらの目標の両方で必要とされている。これに関連して、胚性幹細胞から分化した細胞を産生する効率的かつ信頼性の高い方法の必要性が存在する。
現在、ヒト胚性幹細胞(hES)は、3つの供給源:不妊症治療後に残り研究用に寄付された胚盤胞、寄付された配偶子(卵母細胞および***)から生成された胚盤胞、および核移植(NT)の産物に由来する。死体胎児組織は、ヒト胚性生殖細胞(hEG)の唯一の供給源である。hES細胞およびhEG細胞は、より特定化された細胞または組織を生ずる可能性を含む、驚くべき科学的可能性および治療上の可能性を提供する。しかしながら、hES細胞およびhEG細胞の供給源についての倫理上の懸念、および研究用NTの使用がヒトを作り出す目的でのNTの使用をもたらしうるという心配から、多くの公の議論や討論が行われている。
哺乳動物卵母細胞の単為生殖活性化は、胚性幹細胞産生のための卵母細胞を調製するために***/NTによる受精に代わるものとして用いられうる。単為生殖活性化は、成体への最終的発生の有無にかかわらず、雄性配偶子からの何の寄与もない、雌性配偶子からの胚性細胞の産生である。
最初のヒト単為生殖幹細胞(hpSC)は、化学的刺激により活性化された未受精の卵母細胞より得られた胚盤胞の内部細胞塊に由来した。これらの細胞は、高い自己複製および3胚葉全ての細胞へのインビトロおよびインビボでの分化など、ヒト胚性幹細胞(hESC)に典型的な特徴を示した。ヒトpSCは、ホモ接合HLA遺伝子型の存在によりヒト集団の多くのセグメントと組織適合性を有し、代替卵母細胞活性化技術(全ての遺伝子座でホモ接合)を用いて、またはHLAホモ接合性が極めて低い(HLAを除く多くの遺伝子座でヘテロ接合)卵母細胞の自然活性化を通じて得られている。これら共通HLAハプロタイプが適合したhpSCは、それらの分化誘導体の移植後に免疫拒絶の危険性を低減する可能性があり、したがって、HLA遺伝子の唯一のセットを有する受精卵母細胞に由来するhESCと比べて、細胞に基づく療法への適用において大きな利点がある。その上、hpSCの誘導は未受精の卵母細胞から始まるため、hpSCの作製はhESCに関連する倫理的な障害を克服する。
多能性幹細胞の2つの有望な用途は、糖尿病または肝細胞不全に関連する特定の肝臓疾患に対する細胞代替療法を含む。高純度の胚体内胚葉(DE)の産生は、肝細胞および膵臓内分泌細胞などの治療上有用なDE系譜の細胞の生成における重要な第一段階である。
胚体内胚葉は、原腸形成の間に他の2つの主要な胚葉−外胚葉および中胚葉と共に形成され、発生の過程で消化管、呼吸器官ならびに肝臓および膵臓を含む他の器官を生じさせる。hESCからのDEの効率的な生成は、2つの条件:アクチビンAまたはNodalなどのトランスフォーミング増殖因子βファミリーメンバーによるシグナル伝達、ならびにホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)を介するインスリン/インスリン様増殖因子のシグナル伝達により生じる多能性自己複製シグナルからの放出を必要とする。さらに、アクチビンAと一緒にWnt3aを加える工程は、内胚葉系中胚葉特異化、DEおよび中胚葉の両能性前駆体の効率を高め、hESCをDE形成への経路へ進むよう惹起する同調性を向上する。
hESC由来のDEの発生能は、インビトロとインビボの両方で実証されている。DEの濃縮集団への分化を第一段階として利用する種々の hESC分化プロトコルが、成熟した肝細胞の特徴のいくつかを示す肝細胞様細胞の産生、または膵ホルモンを合成する能力を有する膵島内分泌様細胞の産生をもたらしている。重症複合免疫不全(SCID)マウスの腎臓皮膜下へのhESC由来DE細胞の移植は、CDX2、ビリンおよび肝細胞特異的抗原を発現する内胚葉器官のより成熟した細胞へのそれらの分化をもたらした。急性肝臓損傷のマウスモデルでは、さらに肝細胞へと分化したhESC由来のDEが、損傷をうけた肝臓に再配置されていることが示された。さらに、hESC由来のDEから分化した膵島内分泌細胞が、ランゲルハンス島に形態的かつ機能的に類似しかつストレプトゾシン誘発性高血糖からマウスを保護するグルコース応答性内分泌細胞にインビボで発達することが示された。
多数の研究が、分化能を部分的に決定する可能性がある、多能性幹細胞および変種の網羅的遺伝子発現パターンの理解に貢献している。遺伝子発現の制御は、ヒストンおよびDNAメチル化の転写後修飾を含む、後成的機構により部分的に調節されている。全体的な後成的機構を破壊する分子的手段は、幹細胞で作動する遺伝回路の解明において役割を果たす可能性がある。全体的な後成的調節のための候補の1つは、薬剤TSA、強力なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である。マウス胚性幹細胞のTSA処理は、Nanog、幹細胞同一性の主要な制御因子を含む重要な多能性因子の抑制、および分化関連遺伝子の活性化をもたらすということが示された。興味深いことに、その研究において、TSAの効果は分化の維持または進行を支持せず、TSAの除去によって、細胞は未分化型の表現形質に復帰した。
分化した細胞の高度に濃縮された培養物を産生する胚体内胚葉細胞への幹細胞の分化のための方法が、本明細書において提供される。
本発明は、特定の条件が幹細胞から胚体内胚葉細胞を生じるのに最適であるという独創性に富んだ発見に基づく。
したがって、本発明は、細胞の後成的状態を変化させる剤の存在下で幹細胞を培養する工程、およびその後、前記剤の非存在下で幹細胞を培養し、それにより胚体内胚葉細胞、中胚葉細胞、外胚葉細胞または内胚葉細胞を産生する工程による、胚体内胚葉細胞、中胚葉細胞、外胚葉細胞または内胚葉細胞を産生する方法を提供する。1つの局面において、胚体内胚葉細胞が産生される。
いくつかの局面において、細胞の後成的状態を変化させる剤は、メチル化変性剤および/またはアセチル化変性剤である。特定の態様において、細胞の後成的状態を変化させる剤は、脱メチル化剤またはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である。
いくつかの態様において、幹細胞は、胚性幹細胞、単為生殖幹細胞、体性幹細胞または人工多能性幹(iPS)細胞である。特定の態様において、幹細胞は、単為生殖細胞である。1つの局面において、単為生殖細胞は、細胞株LLC-6p細胞、LLC-12ph細胞、LLC-2p細胞またはLLC-15ph細胞である。別の態様において、幹細胞はiPS細胞である。
別の態様において、剤の非存在下で幹細胞を培養する工程は、アクチビンA、Wnt3a、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる。
いくつかの態様において、 胚体内胚葉細胞は、FoxA2、Soxl7、CXCR4、ブラキュリおよびCERlからなる群より選択される1つまたは複数のマーカーを発現する。特定の態様において、胚体内胚葉細胞は、未処理の幹細胞と比べて、E-カドヘリンおよびOct4からなる群より選択される1つまたは複数のマーカーを発現しないかまたは低レベルで発現する。1つの局面において、培養する工程は、合成培地条件下で行われる。
いくつかの態様において、胚体内胚葉細胞は、消化管、呼吸器官または内分泌系の細胞を形成するようにさらに処理される。他の態様において、細胞は、肝臓細胞または膵臓細胞を形成するようにさらに処理される。
本発明の別の態様において、発明の方法により産生される胚体内胚葉細胞の培養物が提供される。1つの局面において、本発明の方法により産生される内胚葉細胞から分化した肝臓細胞または膵臓細胞の培養物が提供される。
[本発明1001]
以下の工程を含む、胚体内(definitive)胚葉細胞、中胚葉細胞、外胚葉細胞、または内胚葉細胞を産生する方法:
a)細胞の後成的状態を変化させる剤の存在下で幹細胞を培養する工程;および
b)その後、前記剤の非存在下で幹細胞を培養し、それによって胚体内胚葉細胞、中胚葉細胞、外胚葉細胞、または内胚葉細胞を産生する工程。
[本発明1002]
細胞の後成的状態を変化させる剤が、脱メチル化剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤が、トリコスタチンA、ボリノスタット(SAHA)、ベリノスタット(PXDl0l)、LAQ824/LBH589、トラポキシンB、エンチノスタット(entinostat)(MS-275)、CI994、モセチノスタット(mocetinostat)(MGCDOl03)、フェニル酪酸、バルプロ酸、イソ吉草酸、吉草酸、バルプロアート、ニコチンアミド、ジヒドロクマリン、ナフトピラノン、および2-ヒドロキシナフアルデヒド、アピシジン、FK228、および酪酸ナトリウムからなる群より選択される、本発明1002の方法。
[本発明1004]
HDAC阻害剤がトリコスタチンA (TSA)である、本発明1003の方法。
[本発明1005]
脱メチル化剤が、5-アザシチジンまたは5-アザ-2'デオキシシチジンである本発明1001の方法。
[本発明1006]
幹細胞が、胚性幹細胞、単為生殖幹細胞、人工多能性幹細胞、および体性幹細胞からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1007]
幹細胞が、単為生殖幹細胞または人工多能性幹細胞である、本発明1006の方法。
[本発明1008]
幹細胞が単為生殖幹細胞である、本発明1006の方法。
[本発明1009]
幹細胞を前記剤の非存在下で培養する工程が、アクチビンA、Wnt3a、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる、本発明1001の方法。
[本発明1010]
TSAが、約1 nMから約1 μMの濃度で存在する、本発明1004の方法。
[本発明1011]
前記剤の存在下で培養する工程が、約24時間行われる、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記剤の非存在下で培養する工程が、約6〜72時間行われる、本発明1001の方法。
[本発明1013]
単為生殖細胞が、LLC-6p細胞、LLC-12ph細胞、LLC-2p細胞、またはLLC-15ph細胞である、本発明1008の方法。
[本発明1014]
胚体内胚葉細胞が、FoxA2、Sox17、CXCR4、ブラキュリ、およびCERlからなる群より選択される1つまたは複数のマーカーを発現する、本発明1001の方法。
[本発明1015]
胚体内胚葉細胞が、未処理の幹細胞と比較して、E-カドヘリン、Oct4、またはその両方を発現していないかまたは低レベルで発現している、本発明1001の方法。
[本発明1016]
培養する工程が、合成培地条件下で行われる、本発明1001の方法。
[本発明1017]
胚体内胚葉細胞が産生される、本発明1001の方法。
[本発明1018]
胚体内胚葉細胞が、消化管、呼吸器官、または内分泌系の細胞を形成するようにさらに処理される、本発明1017の方法。
[本発明1019]
胚体内胚葉細胞が、肝臓細胞または膵臓細胞を形成するようにさらに処理される、本発明1017の方法。
[本発明1020]
本発明1001の方法により産生される胚体内胚葉細胞の培養物。
[本発明1021]
本発明1019の方法により産生される肝臓細胞または膵臓細胞の培養物。
TSA前処理および分化工程、ならびに胚体内胚葉分化のいくつかの重要なマーカーの遺伝子発現の概略図を示す。 リアルタイム定量的PCRにより決定された、hpSCの胚体内胚葉への分化の間のマーカー遺伝子の発現の時間的動態のプロットを示す。アクチビンAおよびWnt3aによるhpSCの処理は、24時間で原始線条発現遺伝子(primitive streak-expressed gene)ブラキュリ(BRACH)の最大発現をもたらす。SOXl7、CERlおよびCXCR4の発現は72時間で最大となる;0 h、分化プロトコルの開始前の多能性hpSC。Y軸は、0 h時点を規準とする相対的遺伝子発現を指し示す。 リアルタイム定量的PCRにより決定された、TSA前処理hpSCの胚体内胚葉分化への分化の間のマーカー遺伝子発現の時間的動態のプロットを示す。図3Aは、多能性遺伝子OCT4、SOX2ならびに分化段階のマーカーCERl、SOXl7、CXCR4の経時的な発現に対するTSA前処理の効果のプロットを示す。図3Bは、TSA前処理を伴うおよび伴わないブラキュリ(BRACH)発現のプロットを示す。
発明の詳細な説明
本組成物、本方法および本培養方法論を記載する前に、本発明は記載された特定の組成物、方法および実験条件に限定されず、したがって組成物、方法および条件は変わることがあるということが理解されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲にのみ限定されることから、本明細書において用いられる用語は、特定の態様を記載することのみを目的とし、限定することを意図していないことも理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、文脈上明確に異なる解釈を要する場合を除き、複数への言及を含む。よって、例えば、「その(the)方法」という言及は、本開示などを読むことによって当業者に明らかになる、1つまたは複数の方法、および/または本明細書において記載される種類の工程を含む。
他に定義されている場合を除き、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属している技術分野における当業者により通常理解される意味と同じ意味を有する。変更および変形は本開示の精神および範囲内に包含されることが理解されることから、本明細書において記載されるものと類似または等価の任意の方法および材料が、発明の実施または試験において用いることができる。本明細書において記述される全ての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
原腸形成と呼ばれる初期のヒト発生で重大な段階は、受精後2〜3週間で起こる。3つの一次胚葉が最初に特異化および組織化されるのがこの時であるため、原腸形成は極めて重要である。外胚葉は、体および神経系全体の外膜の最終的形成を担い、一方、心臓、血液、骨、骨格筋および他の結合組織は、中胚葉に由来する。本明細書において用いられる「胚体内胚葉」は、食道、胃、小腸および大腸を含む腸管全体、ならびに肺、肝臓、胸腺、副甲状腺、甲状腺、胆嚢および膵臓などの腸管に由来する器官の形成を担う胚葉を指す。非常に重要な区別が、胚体内胚葉と原始内胚葉と呼ばれる完全に異なる細胞の系列の間でなされる。「原始内胚葉」は、胚体外組織、主に胎盤の卵黄嚢の壁側内胚葉部分および臓側内胚葉部分、ならびにライヘルト膜(Reichert's membrane)の細胞外マトリックス材料の形成を担う。
原腸形成の間、胚体内胚葉形成の工程は、内胚葉系中胚葉細胞(中胚葉または内胚葉を形成する能力を有する細胞)が原始線条と呼ばれる構造を通って移動する細胞の移動現象によって始まる。胚体内胚葉は、原始線条の前方部分および結節(線条の先端領域の特殊化構造)を通って移動する細胞に由来する。移動が起こると、胚体内胚葉は、最初に腸管の先端に集まり、そして腸管の後端の形成によって終わる。
Conlon et al., 1994; Feldman et al, 1998; Zhou et al., 1993; Aoki et al., 2002; Dougan et al., 2003; Tremblay et al., 2000; Vincent et al., 2003; Alexander et al., 1999; AlexanderおよびStainier, 1999; Kikuchi et al., 2001; Hudson et al., 1997によるゼブラフィッシュ(Zebrafish)およびアフリカツメガエル(Xenopus)での研究、ならびにKanai-Azuma et al., 2002によるマウスでの研究などの、胚体内胚葉の形成のインビボでの解析は、ヒト胚性幹細胞を用いて培養皿中で特定の胚葉細胞型の発生に取り組もうと試みる方法における基礎を構築する。インビトロESC培養に関連して、培養皿中で発生を繰り返す試みに大きな障害をもたらす2つの局面が存在する。第一は、組織化された胚葉構造または器官構造が生じないことである。胚葉および器官特異的な遺伝子マーカーの大部分は、分化hESC培養系において不均一な様式で発現する。したがって、この器官特異的境界の欠如のために、特定の組織または細胞型の形成を評価することは難しい。特定の胚葉または組織型内の1つの細胞型で発現されるほとんど全ての遺伝子は、異なる胚葉または組織型の他の細胞でも同様に発現する。特異的境界がなければ、1〜3遺伝子のわずかな試料によって遺伝子発現特異性を割り当てる手段は、ほとんど存在しない。したがって、非常に多くの遺伝子を調べなければならず、そのうちいくつかは関心対象の器官または組織の特定の細胞型で存在する遺伝子であり、いくつかは発現されない遺伝子である。第二に、特定の発生経路への移動に対する遺伝子発現パターンのタイミングが非常に重要である。
さらに事態を複雑にさせていることに、インビトロでの幹細胞分化は、恐らくインビボよりもはるかに非同期的であることに注意しなければならない。したがって、細胞の1つの群は原腸形成に関連する遺伝子を発現し、その一方で別の群は最終分化を開始している可能性がある。さらに、外因性因子適用によるまたはよらないhESC単層または胚様体(EB)の操作は、全般的な遺伝子発現パターンおよび分化の状態に関して深刻な差異をもたらす可能性がある。これらの理由から、外因性因子の適用は、特定の分化経路への培養を効率的に進めるために、不均一な細胞混合物内の遺伝子発現パターンに応じて、時期を合わせる必要がある。培養容器中の細胞の形態上の関連性を考慮することも有益である。いわゆる胚葉体を形成する際にhESCに一律に影響する能力は、単層として成長および分化したhESCおよびまたは培養容器中のhESCコロニーには最適ではない可能性がある。
多能性細胞の胚体内胚葉細胞への効率的な分化が望ましいことを鑑み、本発明のいくつかの局面は、およそ75〜99%の多能性細胞の胚体内胚葉細胞への変換をもたらすインビトロ方法論に関する。典型的には、そのような方法は、限定されかつ時間的に特定された様式での培養および成長因子条件の適用を包含する。胚体内胚葉細胞の細胞集団のさらなる濃縮は、胚体内胚葉細胞に特異的に結合する試薬を用いる工程による集団中の他の細胞からの胚体内胚葉細胞の単離および/または精製により達成されうる。
したがって、本発明は、剤の存在下で幹細胞を培養する工程であって、剤が細胞の後成的状態を変化させる工程、およびその後、前記剤の非存在下で幹細胞を培養し、それにより胚体内胚葉細胞、中胚葉細胞、外胚葉細胞または内胚葉細胞を産生する工程により、胚体内胚葉細胞、中胚葉細胞、外胚葉細胞または内胚葉細胞を産生する方法を提供する。1つの局面において、胚体内胚葉細胞が産生される。
いくつかの態様において、細胞の後成的状態を変化させる剤は、メチル化変性剤および/またはアセチル化変性剤である。特定の態様において、細胞の後成的状態を変化させる剤は、脱メチル化剤またはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である。脱メチル化剤は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンメチル化阻害剤および/またはヒストン脱メチル化阻害剤であってもよい。いくつかの局面において、脱メチル化剤は、5-アザシチジン、5-アザ-2'デオキシシチジン、5フルオロシトシン、プソイドイソシトシン、ゼブラリン(Zebularine)、プロカインアミド、ポリフェノール(-)-エピガロカテキン-3-没食子酸(EGCG)およびプサンマプリン(Psammaplin)からなる群より選択される。特定の局面において、脱メチル化剤は、5-アザ-2'-デオキシシチジン(DAC)または5-アザシチジンである。他の態様において、アセチル化変性剤は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素およびヒストンアセチルトランスフェラーゼである。
いくつかの態様において、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤は、トリコスタチンA、ボリノスタット(SAHA)、ベリノスタット(PXDl0l)およびLAQ824/LBH589などのヒドロキサム酸;環状テトラペプチド(トラポキシンBなど)、デプシペプチド;エンチノスタット(entinostat)(MS275)、CI994およびモセチノスタット(mocetinostat)(MGCD0103)などのベンズアミド;求電子性ケトン;フェニル酪酸およびバルプロ酸、イソ吉草酸、吉草酸、またはバルプロアート、ニコチンアミド、加えてNADの誘導体、ジヒドロクマリン、ナフトピラノンおよび2-ヒドロキシナフアルデヒドなどの脂肪族酸化合物;アピシジン、FK228、および酪酸ナトリウムであってもよい。1つの態様において、HDAC阻害剤はヒドロキサム酸であり;1つの局面において、HDIはトリコスタチンAである。別の局面において、HDIは酪酸ナトリウム以外である。いくつかの局面において、ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC)阻害剤は、トリコスタチンA(TSA)、酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸 (SAHA)、またはN-ニトロソ-n-メチル尿素である。他の局面において、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤は、ポリイソプレニル化ベンゾフェノン(Garcinol)およびset/TAF-1ベータである。1つの局面において、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤トリコスタチン(TSA)が用いられる。さらに別の局面において、5アザ2'デオキシシチジンおよびトリコスタチン(TSA)の組み合わせが利用される。
本発明の1つの態様において、前処理の存在下で幹細胞を多分化能胚体内胚葉細胞に分化させる工程により、培養液中で胚体内胚葉細胞を産生するための方法が提供される。したがって、1つの態様において、発明の方法は、剤の存在下で幹細胞を培養する工程であって、前記剤が酪酸ナトリウム、トリコスタチンA (TSA)、その機能的同等物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される工程、およびその後、前記剤の非存在下で幹細胞を培養し、胚体内胚葉細胞を産生する工程を含む。
いくつかの態様において、幹細胞は、胚性幹細胞、単為生殖幹細胞、または人工多能性幹(iPS)細胞、または体性幹細胞である。いくつかの態様において、造血幹細胞(HSC)、脂肪由来幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、神経幹細胞、内皮幹細胞、神経冠幹細胞、または胚様幹細胞(ESC)が用いられる。特定の態様において、幹細胞は単為生殖細胞である。1つの局面において、単為生殖細胞は、細胞株LLC-6p細胞、LLC-12ph細胞、LLC-2p細胞、またはLLC-15ph細胞である。別の態様において、幹細胞はiPS細胞である。
別の態様において、剤の非存在下で幹細胞を培養する工程は、アクチビンA、Wnt3a、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる。
幹細胞は、幹細胞の後成的状態を変化させるのに十分な量の剤で前処理される。必要とされる剤の量は、個々の剤の力価によって様々である。そのような量は、当業者に公知の方法および本明細書で提供される方法により、容易に同定される。1つの局面において、TSAの存在下での細胞の前処理培養工程は、約12〜48時間、好ましくは約24時間行われる。別の局面において、TSAの非存在下で培養する工程は、約6〜96時間、または約6〜72時間、好ましくは約24〜72時間行われる。別の態様において、TSAは、約1 nMから1 μMまたは約100 nMから1 μMの濃度で存在する。別の態様において、培養する工程は、合成培地条件下で行われる。
特定の態様にしたがって、胚体内胚葉細胞が産生される。これらの細胞は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞であってもよい。本発明のいくつかの態様において、胚体内胚葉細胞は、特定のマーカーを発現しているか、または有意に発現していない。1つの非限定的局面において、胚体内胚葉細胞は、SOX17、CXCR4、MIXLl、GATA4、HNF3b、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQl、CMKORlおよびCRIPlから選択される1つまたは複数のマーカーを発現する。別の態様において、胚体内胚葉細胞は、FoxA2および/またはSox17を発現する。別の態様において、胚体内胚葉細胞は、OCT4、αフェトプロテイン(AFP)、トロンボモジュリン(TM)、SPARCおよびSOX7から選択される1つまたは複数のマーカーを有意に発現しない。別の態様において、胚体内胚葉細胞は、E-カドヘリンおよび/またはOct4を発現しない。
いくつかの態様において、細胞は、消化管、呼吸器官、内分泌系の細胞を形成するようにさらに処理される。例えば、内胚葉系細胞は、消化器系、呼吸器官、または内分泌系の器官の細胞に分化する可能性がある。特定の局面において、細胞は、肝臓細胞または膵臓細胞を形成するようにさらに処理される。発明のいくつかの態様において、AFPを発現し始める(分化の7日目または8日目)肝細胞前駆体は、移植に用いられうる。
他の態様において、中胚葉細胞が産生される。これらの細胞は、中胚葉系列に由来する任意の細胞を形成するようにさらに処理される可能性がある。いくつかの態様において、中胚葉細胞は、当技術分野において公知の方法により骨細胞、筋細胞、結合組織または血液細胞に分化する可能性がある。
他の態様において、外胚葉細胞が産生される。これらの細胞は、外胚葉系列に由来する任意の細胞を形成するようにさらに処理される可能性がある。いくつかの態様において、外胚葉細胞は、当技術分野において公知の方法により神経系または皮膚の細胞に分化する可能性がある。
本発明の他の態様によれば、多能性細胞から胚体内胚葉を産生する方法が記載される。1つの態様において、多能性細胞は、桑実胚に由来する。別の態様において、多能性幹細胞は、幹細胞である。これらの方法で用いられる幹細胞は、限定されないが、胚性幹(ES)細胞を含みうる。ES細胞は、胚性内部細胞塊または胚性生殖堤から派生しうる。胚性幹細胞は、限定されないが、ヒトを含む種々の哺乳動物種を含むさまざまな動物種から生じうる。1つの態様において、ヒト胚性幹細胞が、胚体内胚葉を産生するために用いられる。
本明細書において記載される胚体内胚葉細胞を含む胚体内胚葉細胞培養物および組成物は、胚性幹細胞などの多能性細胞から産生されうる。本明細書において用いられる「胚性」は、たった1つの接合子から始まり、発生させた配偶子細胞以外の多能性細胞または全能性細胞をもはや含んでいない多細胞性構造で終了する、生物体の発生段階の範囲を指す。用語「胚性」は、配偶子融合物に由来する胚に加えて、体細胞核移植に由来する胚を指す。胚体内胚葉細胞を得るための好ましい方法は、胚体内胚葉産生の出発材料として、ヒト胚性幹細胞(hESC)を利用する。この方法で用いられる胚性幹細胞は、桑実胚、胚性内部細胞塊から生じた細胞、または胚性生殖堤から得られた細胞であってもよい。ヒト幹細胞は、当技術分野において公知である方法を用いて、実質的な分化を伴わない多能性状態で培養物中で維持されうる。そのような方法は、例えば、その開示が参照により全体として本明細書において組み入れられる、米国特許第5,453,357号、第5,670,372号、第5,690,926号、第5,843,780号、第6,200,806号および第6,251,671号に記載されている。
本明細書において用いられるヒト胚性幹細胞は、血清を含むまたは含まないいずれの培養物中でも維持されうる。いくつかの態様において、血清代替物が用いられる。他の態様において、その開示が参照により全体として本明細書において組み入れられる、米国特許出願第2003/0190748号に記載の技術などの無血清培養技術が用いられる。
幹細胞は、胚体内胚葉に分化することが望まれるまで、通常の継代により多能性状態で培養物中で維持される。1つの態様において、胚体内胚葉への分化は、幹細胞培養に、胚体内胚葉への分化を促進するのに十分な量でTGFβスーパーファミリーの成長因子を提供する工程により達成される。胚体内胚葉の産生に有用であるTGFβスーパーファミリーの成長因子は、Nodal/アクチビンまたはBMPサブグループから選択される。1つの態様において、成長因子は、Nodal、アクチビンA、アクチビンBおよびBMP4からなる群より選択される。加えて、成長因子Wnt3aおよび他のWntファミリーメンバーは、胚体内胚葉細胞の産生に有用である。別の態様において、上記成長因子の任意の組み合わせが用いられうる。
本明細書において用いられる「単為生殖」(「単為生殖活性化」("parthenogenically activated")および「単為生殖活性化」("parthenogenetically activated")が互換的に用いられる)は、***の進入なしに卵母細胞の活性化を起こす工程を指し、全ての雌性起源のDNAを含む、卵母細胞または胚細胞、例えば卵割球の活性化により得られる栄養外胚葉および内部細胞塊を含む初期胚の発生を指す。したがって、「単為生殖生物」は、そのような活性化により得られる、結果として生じる細胞を指す。さらに、「胚盤胞」は、外側の栄養芽細胞および内側の細胞塊(ICM)で作られる細胞の中空ボールを含む、受精したまたは活性化した卵母細胞の卵割段階を指す。よって、「胚盤胞形成」は、卵母細胞の受精または活性化の後の工程をさし、ここで卵母細胞は、外側の栄養芽細胞およびICMで作られる細胞の中空ボールへの発生を可能にする時間(例えば、5から6日)、培地中で引き続き培養される。
本明細書で用いられる「活性化」は、受精したまたは未受精の卵母細胞が、限定されないが、例えば減数***の中期IIにおいて、それぞれ1つの染色分体を伴う一倍体数の染色体を有する卵母細胞をもたらす、染色分体対の分離、第二極体の放出を典型的に含む工程を経る、工程を指す。活性化は、それにより全ての雄性または雌性起源のDNAを含む細胞が、認識できる内部細胞塊および栄養外胚葉を有する胚に発達するよう誘導され、多能性細胞の産生に有用だが、それ自体は生存可能な子孫に発達することができない可能性がある方法を含む。活性化は、例えば以下の条件のうち1つの条件下で行われてもよい:(1)第二極体放出を引き起こさない条件;(ii)極体放出を引き起こすが極体放出が阻害される条件;または(iii)一倍体卵母細胞の最初の細胞***が阻害される条件。
単為生殖は自然界では珍しい形態の生殖ではないが、ほ乳類がこの形態の生殖を行う能力があることは知られていない。しかしながら、近交系マウス株LT/Svのメス由来の卵母細胞において、10%の比率で自然な単為生殖をみることができる(Ozil and Huneau, Development (2001). 128:917-928; Vrana et al., Proc Natl Acad Sci USA (2003) 100(Suppl1):11911-11916; Berkowitz and Goldstein, New Eng J Med (1996) 335(23): 1740-1748)。胎盤哺乳類由来の卵母細胞は、インビトロで単為生殖を起こすよう誘導することができるが、胚発生は成功していない。
本明細書において用いられる「多分化能」または「多分化能細胞」は、限定された数の他の特定の細胞型を生じさせることができる細胞型を指す。上記のように、胚体内胚葉細胞は、外胚葉または中胚葉から生じる組織に分化せず、むしろ消化管ならびに消化管に由来する器官に分化する。1つの態様において、胚体内胚葉細胞は、hESCに由来する。そのような工程は、膵臓、肝臓、肺、胃、小腸および甲状腺などのヒト内胚葉由来組織の効率的産生の基礎を提供しうる。例えば、胚体内胚葉の産生は、幹細胞の機能的インスリン産生β細胞への分化における第一段階となる可能性がある。有用な量のインスリン産生β細胞を得るためには、膵島/β細胞の運命に到達する前に起こる分化段階の各々が高効率の分化であることが望ましい。幹細胞の胚体内胚葉細胞への分化はおそらく、機能的膵島/β細胞の産生に向かう最も初期の段階であることから、この段階での高効率の分化は特に望ましい。
本明細書で用いられる「多能性細胞」は、未分化の状態で長期間、理論上無期限にインビトロで維持され、異なる分化組織型、すなわち外胚葉、中胚葉および内胚葉を生じさせうる、雌性起源または雄性起源の全てのDNAを含む細胞の活性化により産生される胚由来の細胞を指す。細胞の多能性状態は好ましくは、適切な条件下で雄性発生法または雌性発生法により産生される胚の内部細胞塊または内部細胞塊由来の細胞を培養する工程により、例えば、線維芽細胞支持細胞層もしくは別の支持細胞層上でまたは白血病抑制因子(LIF)を含む培地で培養する工程により維持される。そのような培養細胞の多能性状態は、種々の方法、例えば、(i)多能性細胞の特徴を示すマーカーの発現を確認する工程;(ii)多能性細胞の遺伝子型を発現する細胞を含むキメラ動物の産生;(iii)インビボで異なる分化細胞型の産生を伴う動物、例えばSCIDマウスへの、細胞の注入;および(iv)(例えば、支持細胞層非存在下またはLIF非存在下での培養した際の)胚様体および他の分化した細胞型への細胞のインビトロでの分化の観察により確認されうる。
本明細書において用いられる「分化」は、ある特殊化した機能を呈し、かつ他のある特殊化した機能的ユニットへと変化する能力を失っている細胞をもたらす、細胞内で生じる変化を指す。分化の能力がある細胞は、全能性細胞、多能性細胞または多分化能細胞のいずれかであってもよい。分化は、成熟した成体細胞に対して部分的または完全であってもよい。
細胞培養物または細胞集団中の胚体内胚葉細胞の量を決定するために、培養物または集団中の他の細胞からこの細胞型を区別する方法が望ましい。したがって、1つの態様において、方法はさらに、その存在、非存在および/または相対的発現レベルが胚体内胚葉に特異的である細胞マーカーに関する。本明細書において用いられる「発現」とは、物質または基質の産生ならびに物質または基質の産生のレベルまたは量を指す。よって、特異的マーカーの発現を決定する工程は、発現するマーカーの相対量または絶対量のいずれか検出する工程、またはただ単にマーカーの有無を検出する工程を指す。本明細書において用いられる「マーカー」とは、観察されうるまたは検出されうる任意の分子を指す。例えば、マーカーは、限定されないが、特定の遺伝子の転写物などの核酸、遺伝子のポリペプチド産物、非遺伝子産物ポリペプチド、糖タンパク質、糖質、糖脂質、脂質、リポタンパク質または低分子を含みうる。
例えば、1つの態様において、マーカーの発現の存在、非存在および/またはレベルは、定量的PCR(Q-PCR)により決定される。例示的な遺伝子マーカーは、限定されないが、FoxA2、Sox17、CXCR4、Oct4、AFP、TM、SPARC、Sox7、MIXLl、GATA4、HNF3b、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQl、CMKORl、CRIPl、E-カドヘリン、および他のマーカーなどを含み、定量的Q-PCRにより決定される可能性がある。別の態様において、上記遺伝子により発現されたタンパク質を検出するために、免疫組織化学的検査が用いられる。別の態様において、Q-PCRおよび免疫組織化学技術が、そのようなマーカーの量または相対的割合を同定および決定するために一緒に用いられる。
したがって、細胞培養物中または細胞集団中の胚体内胚葉細胞を同定することならびに胚体内胚葉細胞の割合を決定することが可能である。例えば、1つの態様において、胚体内胚葉細胞または産生された細胞集団は、FoxA2および/またはSox17を発現するが、Oct4および/またはE-カドヘリンを発現しない。
別の態様において、本発明は、胚体内胚葉を含む細胞培養物ならびに胚体内胚葉細胞中に濃縮された細胞集団を提供する。よって、1つの態様において、培養物中の約50〜99%、60〜99%、70〜99%、75〜99%、80〜99%、85〜99%、90〜99% または95〜99%の細胞が、胚体内胚葉細胞である。別の態様において、幹細胞集団などの多能性細胞集団を実質的に純粋な胚体内胚葉細胞集団へ変換することが企図される。
本明細書において用いられる「合成培地条件」は、そこでの最適な成長に必要とされる成分濃度が詳述されている、細胞を培養するための環境を指す。例えば、細胞の使用(例えば、治療用途)に応じて、外因性のタンパク質を含む条件から細胞を取り除く工程が重要であり、すなわち、培養条件は、動物質を含まない条件である、または非ヒト動物タンパク質を含まない。
いくつかの態様において、前処理後の培養条件は、分化の1、2および3日目に高レベルのアクチビンAを使用することを含む。他の態様は、前処理工程の後、分化の第1日目にWnt3aを使用することを含む。さらに他の態様において、培養条件は、分化の4から8日目にFGF4およびBMP2の使用を含む。さらなる態様において、基本の分化培地:Glutamax Iおよび5%ヒト血清アルブミンが追加されたRPMI 1640が、分化の1から8日目に用いられてもよい。さらに他の態様において、分化の1日目に血清を含まない培地の使用が含まれる。1つの局面において、低血清培地(0.2%血清)が、分化の2および3日目に用いられる。別の局面において、分化培地中に2%血清が、分化の4から8日目に用いられる。
「分化細胞」は、特定の分化した状態、すなわち非胚性状態を有する非胚細胞を指す。3つの最初期の分化細胞型は、内胚葉、中胚葉および外胚葉である。
本発明で用いられる細胞の多能性状態は、種々の方法により確認される。例えば、細胞は、特徴的なES細胞マーカーの有無を試験されうる。ヒトES細胞の場合、そのようなマーカーの例は、上記で同定されており、SSEA-4、SSEA-3、TRA-1-60、TRA-1-81およびOCT4を含み、当技術分野において公知である。
また、多能性は、適切な動物、例えばSCIDマウス内に細胞を注入する工程、および分化した細胞および組織の産生を観察する工程により確認されうる。多能性を確認するさらに別の方法は、対象の多能性細胞を用いてキメラ動物を生じる工程、および導入された細胞の異なる細胞型への寄与を観察する工程である。キメラ動物を産生するための方法は、当技術分野において周知であり、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,642,433号に記載されている。
多能性を確認するさらに別の方法は、分化を支持する条件(例えば、線維芽細胞支持細胞層の除去)下で培養する際に、胚葉体および他の分化した細胞型へのES細胞分化を観察することである。この方法は利用されており、対象の多能性細胞が組織培養物中で胚葉体および異なる分化した細胞型を生じさせることが確認されている。
完全に雌性起源のDNAに由来する、結果として生じる多能性細胞および細胞株、好ましくはヒトの多能性細胞および細胞株は、多くの治療用途および診断用途を有する。そのような多能性細胞は、多数の疾患状態の治療において細胞移植療法または遺伝子療法(遺伝的に改変される場合)用に用いられる可能性がある。
この点について、マウス胚性幹(ES)細胞がほぼあらゆる細胞型に分化する能力を有することが公知である。したがって、本発明に従って産生されるヒト多能性(ES)細胞は、同様の分化能を有するはずである。発明による多能性細胞は、公知の方法に従って、誘導され、所望の細胞型を得るよう分化される。例えば、発明に従って産生されるヒトES細胞は、細胞を分化させる分化培地中および条件下で、そのような細胞を培養する工程により誘導され、造血幹細胞、筋細胞、心筋細胞、肝臓細胞、膵島細胞、網膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞、尿路細胞などへ分化しうる。ES細胞の分化をもたらす培地および方法は、適切な培養条件として当技術分野において公知である。
例えば、Palacios et al, Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 92:7530-7537 (1995)は、最初に、レチノイン酸を欠く懸濁培養培地でそのような細胞の凝集物を培養する工程、続いてレチノイン酸を含む同じ培地中で培養する工程、続いて細胞を付着させる基質に細胞凝集物を移す工程を含む誘導法に幹細胞を供することによる、胚細胞株からの造血幹細胞の産生を教示する。
さらに、Pedersen, J. Reprod. Fertil. Dev., 6:543-552 (1994)は、造血細胞、筋細胞、心筋細胞、神経細胞を特に含む種々の分化した細胞を産生する胚性幹細胞のインビトロ分化のための方法を開示する多数の論文を参照する総説である。
未分化hpSCのTSA前処理を含めることがhESCの分化プロトコルを用いる胚体内胚葉(DE)分化の効果を改善しうるということを実証する研究が、本明細書において提供される。この前処理は、前処理しないhpSCによる45%の最高値と比較して70%まで胚体内胚葉細胞数の増加をもたらした。いかなる特定の理論にとらわれることも望まないが、TSA処理により引き起されるヒストン脱アセチル化酵素の阻害が、未分化hpSCのクロマチン構造の再編成をもたらし、培地中に提供されるアクチビンAおよびWnt3aシグナルに対する未分化細胞の応答能を改善することが提示される。文献の報告では、主要な構造的クロマチンタンパク質は、運動過多性であり、胚性幹細胞内でクロマチンに緩く結合しているが、分化時には、運動過多性のタンパク質はクロマチン上に固定化されるようになることが示された(Meshorer et al., Dev Cell 10(l):105-16, 2006)。Karanzali et al (Genome Biol 9(4):R65, 2008)は、分化した表現型への完全なコミットメントの前に、クロマチン「過寛容性(over-permissiveness)」の時期(window)が存在し、未分化ESCのTSA処理がこの一過性の局面を促進する可能性があることを示唆した。
クロマチン構造の再編成の1つの潜在的成果は、ブラキュリ遺伝子の発現能力の変化である可能性がある。TSAで24時間処理されたhpSC培養物では、有意に高いレベルのブラキュリ転写物が観察された。加えて、TSA処理培養物は、分化の2日目までにより急速なブラキュリの消失を示した。これらの観察は、試験を行った4つのhpSC株全てにわたって一致していた。高濃縮胚体内胚葉は、ブラキュリのピーク形状の発現を表す培養物から生じ、遺伝子発現上昇はアクチビンAシグナル伝達の最初の48時間の間に急速な発現低下により変化することが以前に示されている(D'Amour et al, Nat. Biotechnol 23:1534-41, 2005)。いかなる特定の理論にとらわれることも望まないが、観察されたTSAによるブラキュリ効果は、胚体内胚葉のより高い割合の産生をもたらす、原始線条の中間を経るhpSCの同期的移行を補助する可能性があると、本発明者らは仮定する。
本発明者らの観察は、TSAにより処理されたhpSCから生じた細胞型が真正の胚体内胚葉であることを指し示す。タンパク質レベルおよびRNAレベルでのマーカー解析は、DEの形成と一致し、有意なレベルの胚体外内胚葉または他の系列が産生されている可能性を排除する。さらに、hpSCに由来するDEは、CERl、SOXl7およびCXCR4などのマーカーを発現する前に、ブラキュリ発現のピークを経てまず移行する。これは、脊椎動物の胚におけるDEの原始線条の中間からの発生によく似ている。ブラキュリ発現が原始内胚葉系列では同定されていないことから、SOX17発現がブラキュリ陽性前駆体で惹起されるという観察は、SOX17陽性細胞は原始内胚葉よりはむしろ胚体内胚葉であるという結論をさらに強化する(Wilkinson D.G. et al., Nature 343:657-9, 1990)。hESCからのDEの形成について以前に記載したように、本発明者らは、原始線条におけるものと類似する上皮間葉移行に関係する分化と一致する、アクチビンA処理後のE-カドヘリン発現の減少を認めた(D'Amour et al, Nat. Biotechnol 23:1534-41, 2005)。
他の報告は、hESCからの内胚葉細胞型の生産の間における、異なるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である酪酸ナトリウム(NaB)の使用を記載している。本発明者らのプロトコルと対照的に、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はアクチビンAの添加と同時に、延長した様式で用いられた(Jiang J. et al., Stem Cells 25(8): 1940-53, 2007; Hay D. et al., PNAS 105(34):12301-6, 2008; and Hay D. et al., Stem Cells 26(4):894-902, 2008)。本発明者らは、TSAと同様の様式でのhpSCのNaB前処理の利用もまたhpSCに由来するDEの割合を増加させたことを見いだした。しかしながら、アクチビンAと同時に適用したNaBまたはTSAは、hpSCから産生されるDEの割合を増加させなかった。いかなる特定の理論にとらわれることも望まないが、hpSCおよびhESCは、それらの基礎状態クロマチン構造が異なっていて、したがってそれらのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤への応答性が異なっているという可能性がある。
以前に発表されたデータは全て、インビトロおよびインビボでのhpSCの自然発生的分化能を実証しているだけであり、hpSCの分化能についてはほとんど知られていない(Revazova et al, Cloning Stem Cells 9(3):432-49, 2007; Revazova et al, Cloning Stem Cells 10(1): 11-24, 2008; Lin et al, Cell Research 17:999-1007, 2007; Mai et al, Cell Research 17:1008-1019, 2007)。単為生殖幹細胞由来の動物に関するいくつかの報告は、単為生殖多能性幹細胞が全期の(full-term)発生能を有し、そして体の成熟細胞および機能的細胞へと分化しうるということを示唆する。霊長類単為生殖幹細胞から生じたドーパミンニューロンは、中脳局所的および細胞特異的転写因子の持続的発現を示し、その固有のアイデンティティを確立しその生存を可能にさせる;さらにこれらの単為生殖ドーパミンニューロンの移植は、半身パーキンソン症、6-ヒドロキシドーパミン破壊ラットで運動機能を回復させる。さらに、生きている単為生殖生物胎仔が、胎盤発生に寄与する四倍体胚補完法によってインビトロで培養したマウス単為生殖幹細胞から生まれた。
本明細書において提供されるデータは、hpSCが少なくともDE方向の直接的分化のシグナルに応答し、そして同型の分化細胞の濃縮集団を産生することができるということを示す。アクチビンA-シグナル伝達適用前のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤TSAによる未分化のhpSCの処理はDE誘導を促進するということが、見いだされた。この作業は、hpSCからの肝細胞および膵臓内分泌細胞などの胚体内胚葉系列の治療上有用な組織適合性細胞の産生における第一段階を提供する。
以下の実施例は、例証を意図しており、発明を限定しない。
実施例1
胚体内胚葉細胞の産生
以下の実施例は、LLC-12phおよび LLC-6p単為生殖細胞株に由来する内胚葉様細胞の産生を実証する。これら内胚葉様細胞は、種々の培養培地のプロトコルにしたがって得られた(Dl-アクチビンA+Wnt3a; D2-アクチビンA; D3-アクチビンA; 下記の表1〜4参照)。一方で、培養に先だって、単為生殖細胞を前処理剤(トリコスタチンA(TSA))に曝露した。
(表1)phSC培養培地
Figure 0005694946
(表2)分化培地1(D1)
Figure 0005694946
(表3)分化培地2(D2)
Figure 0005694946
(表4)分化培地3(D3)
Figure 0005694946
したがって、胚体内胚葉細胞を生じるためのプロトコルは以下の通りである:(i)約24時間、培養培地および培養細胞への100 μM トリコスタチンA(TSA)の添加(phSC培養培地+TSA);(ii)約24時間phSC培養培地+TSA中で細胞の培養;(iii)培養物からTSAを除去する(すなわち、約24時間培養培地D1中で細胞の培養);(iv)約24時間培養培地D2中で細胞の培養;および(v)約24時間培養培地D3中で細胞の培養。
免疫染色は、単為生殖に由来するLLC-6p細胞についてFoxA2(転写因子)の表面マーカー発現、およびE-カドヘリン、未分化細胞のマーカーの発現の欠如を示した。実際に、細胞の圧倒的大部分は、FoxA2を発現した。
単為生殖幹細胞株LLC-6pに由来する分化細胞のコロニーの免疫染色は、胚体内胚葉のマーカーの1つであるSox17(転写因子)の発現を示したが、Oct4、未分化細胞のマーカーの発現を示さなかった。例示的実験において、細胞の大部分はSoxl7を発現し、ただ単一の細胞のみがOct4を発現した。Oct4陽性細胞は、小さな「キャップ(cap)」様のコロニーの状態であった。共存実験は、細胞の大部分がSox17またはOct4のいずれかを発現することを示した。したがって、細胞は、胚体内胚葉となったか分化しなかったかのいずれかであり、すなわち他の種類の細胞は存在しなかった。
実施例2
ヒト単為生殖幹細胞は、トリコスタチンA前処理後に胚体内胚葉細胞の濃縮集団を産生する
以下の実施例は、胚体内胚葉の濃縮集団を産生する、ヒト単為生殖幹細胞(hpSC)の直接的分化を例示する。さらに、直接的分化プロトコルを適用する前のトリコスタチンA (TSA)による未分化hpSCの処理が、最終集団中の胚体内胚葉細胞の割合を有意に増加させるということが見いだされた。胚体内胚葉に向かって分化するTSA前処理hpSCならびにTSA未処理hpSCは、脊椎動物の原腸形成の間の胚体内胚葉分化の過程およびhESCの胚体内胚葉への分化の間に生じるものと類似の遺伝子発現の時系列を示した。hpSCからの胚体内胚葉系列の発生は、例えばhpSCから始まる、肝臓疾患および膵臓疾患に対する細胞に基づく治療の開発に向かう重要な第一段階を意味する。
細胞培養。未分化のhpSCおよびhESCを、15%ノックアウト血清リプレースメント(Invitrogen)、0.05 mM 非必須アミノ酸(NEAA)(Invitrogen)、2mM Glutamax-I(Invitrogen)、ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)、55 μM 2-メルカプトエタノール(Invitrogen)、5 ng/ml 組換えヒトFGF-basic(PeproTech)および20 ng/ml 組換えヒトアクチビンA(R&D Systems)を追加したノックアウトDMEM/F12(Invitrogen)中のマウス胚線維芽細胞支持細胞層上で維持し;TSA前処理として培養培地に24時間100 nM TSA(Sigma)を追加した。培養物を5〜7日ごとに1:4〜1:6の分割比で手動で継代した。分化は、最初の24時間のみGlutamax-I、ペニシリン/ストレプトマイシン、0.5 mg/ml ヒト血清アルブミン(Sigma)、100 ng/ml 組換えヒトアクチビンA、75 ng/ml組換えマウスWnt3a(R&D Systems)を追加したRPMI 1640(Invitrogen)中で行われた。分化後の数日間、0.2% ヒトAB血清(Fisher BioReagents)および100 ng/ml ヒト組換えアクチビンAを追加したRPMI 1640を培地とした。分化を開始する前に、幹細胞をDPBS(HyClone)中で簡単に洗った。図1は、TSA前処理および分化法、ならびに胚体内胚葉分化のいくつかの重要なマーカーの遺伝子発現の概略図を示す。プロトコルは、2つの段階:TSA前処理段階(オレンジ色)およびDE分化段階(緑色)に分けられる。TSA前処理は、「-24」時間から「0」時間までの時間間隔でhpSCの多能性状態を支持する培養条件を背景にして行われる。分化は、アクチビンAシグナル伝達およびWnt3aシグナル伝達を適用しかつ培養培地にTSAを与えないでおくことにより「0」時間の時点から開始する。各細胞集団の特徴を示す複数のマーカーを列記する。「+」記号は、分化の間の遺伝子発現の動態を示し、マーカーのmRNA/タンパク質の正確な量を反映していない。
免疫染色。培養物を20分間室温で4% wt/vol パラホルムアルデヒドのPBS中で固定し、40分間0.1% Triton X-100のPBS中で透過処理した。以下の抗体および希釈溶液を用いた:ラット抗Soxl7、1:500(D'Amour et al, Nat. Biotechnol 23:1534-41, 2005);ヤギ抗ブラキュリ(AF 2085、R&D Systems)、1:100;ウサギ抗Oct-4(sc-9081 、Santa Cruz Biotechnology);マウス抗E-カドヘリン(13-700、Invitrogen)、1:100;マウス、ヤギ、ラットおよびウサギに対するAlexa-488およびAlexa-546結合ロバ抗体(Invitrogen)、1:1000。スライドをDAPIを含むVectashieldマウンティングメディア(Vector Laboratories)中でマウントした。
リアルタイム定量的PCR。試料収集、逆転写およびリアルタイムPCR反応は、以前に記載されている(D'Amour et al, Nat. Biotechnol 23:1534-41, 2005)。
フローサイトメトリー。細胞をTrypLE(Invitrogen)を用いて5分間溶解し、次いで沈殿させ、3% FBSを含むPBS(バッファー)で再懸濁した。標識化を1×106個の細胞当たり10 μlのCXCR4-PE(555976、BD Biosciences)により30分室温で行った。細胞をバッファーで洗い、1% wt/vol パラホルムアルデヒドで再懸濁した。フローサイトメトリーデータをBeckton Dickinson FACS Caliberで取得し、FACSDivaソフトウエア(BD Bioscience)を用いて解析した。
TSA前処理は胚体内胚葉の割合を増加させる。以前に記載のプロトコル(D'Amour et al, Nat Biotechnol 23:1534-41, 2005;およびD'Amour et al, Nat Biotechnol 24:1392-401, 2006)にしたがって、アクチビンAを含む低血清条件による3日間の処理を用いて、hpSCを胚体内胚葉(DE)に分化させた。加えて、hpSC分化の開始を同期化し、内胚葉系中胚葉特異化を亢進するために、Wnt3aを分化の最初の24時間に加えた。このようなアプローチを用いて、SOXl7およびCXCR4を含む脊椎動物胚体内胚葉に関連する遺伝子の発現を観察し、CERlの発現はDEの前方形質が発生したことを示唆する(図2)。24時間でブラキュリ発現の一過性の増加が観察され、内胚葉系中胚葉中間を経る移行が示唆された。3日後にhpSCの一部がSOX17発現DEへと分化していたが、多能性マーカーOCT4の発現を維持しSOX17を発現しない細胞の有意な集団もまた観察された。分化後72時間、SOX17免疫反応性細胞は、分化条件を適用する前にTSAで処理されたhpSC培養物で最も多数となる。同じ分化法を受ける未処理hpSC培養物では、SOXl7+細胞の相対的割合は、OCT4免疫反応性細胞より少ない。
図2は、リアルタイム定量的PCRにより決定されたhpSCの胚体内胚葉への分化の間のマーカー遺伝子発現の時間的動態のプロットを示す。アクチビンA およびWnt3aによるhpSCの処理は、24時間で原始線条発現遺伝子ブラキュリ(BRACH)の最大発現をもたらす。SOXl7、CERlおよびCXCR4の発現は、72時間で最大となる;0h、分化プロトコルの開始前の多能性hpSC。Y軸は、0h時点に規準化された相対的遺伝子発現を指し示す。
胚体内胚葉産生の効率を高め、残存するOCT4陽性細胞の数を低減するために、hpSCの分化刺激に応答する能力を調節する複数の異なるアプローチを検討した。TSAによるhpSCの24時間の処理がSOX17を発現する胚体内胚葉の割合を有意に増加させるということを発見した。TSA前処理を伴いまたはなしで産生されたhpSC由来の胚体内胚葉の相対的割合は、SOX17の免疫局在性により示される。TSAで前処理されたhpSCに由来するSOX17陽性細胞の割合は、分化の72時間後で70%より大きい。さらに、胚体内胚葉細胞の部分を細胞表面サイトカイン受容体CXCR4に対するフローサイトメトリーにより定量化した。分化の3日後に常に45%より少ないCXCR4陽性細胞を産生した、前処理しないhpSCとは対照的に、TSA前処理hpSCは、70%と高い割合のCXCR4陽性細胞により示される、胚体内胚葉への実質的に改良された分化を示した。
hpSCは、原始線条中間を介して胚体内胚葉に分化する。未分化hpSCのTSA前処理が、いくらかの細胞死ならびに細胞形態上の変化をもたらすということが観察された。しかしながら、本発明者らはブラキュリ発現のわずかな上昇を観察したが、多能性遺伝子OCT4およびSOX2、またはCERl、SOX17およびCXCR4を含むDE関連遺伝子の発現の有意な変化はなかった(図3A、3B)。アクチビンAおよびWnt3aの添加による顕在性分化の開始は、SOX2およびOCT4遺伝子発現の減少と同時に起こる、ブラキュリ発現の急速な誘導を刺激した(図3A、3B)。さらに、TSA前処理hpSCは、TSA前処理をしていない培養物と比較して、24 hでブラキュリ遺伝子発現の高いピークレベルを、48 hでより鋭い動態での発現の低下を示した(図3B)。CERlおよびSOXl7転写物もまた、最初の24時間に発現の急速な増加を示し、一方CXCR4の発現はさらに24時間遅れ、そしてこれらDEマーカーの発現は、ブラキュリがもはや検出されない3日目まで維持された(図3A)。hESCのDEへの分化が、hESCがブラキュリ発現の開始と同時に起こる上皮間葉移行を受ける原腸形成の間に生じる工程を連想させる工程を経て進み、そしてSOX17陽性細胞はブラキュリ陽性前駆体に由来するということは以前に実証されている。hpSC分化の間のSOX17発現細胞の起源を追跡するために、SOX17およびブラキュリの免疫反応を経時的に特徴付けた。24時間で、SOX17陽性細胞は存在しないが、コロニーの周辺部に相当な数のブラキュリ陽性の核が存在した。しかしながら、分化の48時間までにはSOX17を発現する細胞の半分以上がブラキュリにも免疫応答性であり、72時間で、細胞の大部分がSOX17を発現したが、一方ブラキュリタンパク質はもはや検出できなかった。加えて、分化の開始後24時間までには、本発明者らは、ブラキュリ陽性細胞が観察されたコロニーの周辺部特異的に、E-カドヘリン細胞表面免疫局在性が低減するのを観察した。特に、分化培養物の免疫蛍光標識は、SOX17のブラキュリ(BRACH)との共発現を実証した。TSA前処理後、分化プロトコルの開始(0h)前には、SOX17およびブラキュリに対する免疫反応を検出できなかった。よって、TSA前処理hpSCの胚体内胚葉への分化の間、内胚葉系中胚葉遺伝子発現の動態ならびにE-カドヘリンの発現および局在は、hESC分化の間に生ずるものと類似していた。
図3は、リアルタイム定量的PCRにより決定された、TSA前処理hpSCの胚体内胚葉への分化の間のマーカー遺伝子発現の時間的動態のプロットを示す。図3Aは、hpSCのTSA前処理が多能性遺伝子OCT4、SOX2ならびに分化段階のマーカーCERl、SOXl7、CXCR4の発現に有意な変更をもたらさなかったということを示す(-24h、TSA処理前;0h、TSA処理後、分化プロトコル開始前)。分化条件の適用は、72時間で最大に達するSOXl7、CERlおよびCXCR4発現の活性化と同時に、SOX2およびOCT4の抑制をもたらした。(Y軸は、0h時点に規準化された相対的遺伝子発現を指し示す。)図3Bは、TSA前処理していない培養物(-TSA)と比較して、TSA前処理したhpSCが、24hでより高レベルのブラキュリ(BRACH)発現を、48hでブラキュリのmRNAの急な消失動態を示した(+TSA)ということを示す。 (-24h、TSA処理前;0h、TSA前処理後、分化プロトコルの開始前。Y軸は0h時点に規準化された相対的遺伝子発現を指し示す。)
Figure 0005694946
TSA前処理は、複数のhpSC株からの胚体内胚葉産生の効率を改善する。本TSA前処理法ならびに記載の分化プロトコルを、4つのヒト単為生殖幹細胞株:phESC-1、phESC-3、phESC-5(Revazova et al., Cloning Stem Cells 9(3):432-49, 2007)およびhpSC-Hhom-1(Revazova et al., Cloning Stem Cells 10(1 ):11-24, 2008)に適用した。これまで提示した全データは、phESC-3株を用いて得られた。試験した4株全てについて、TSA前処理法の使用が、フローサイトメトリーを用いるCXCR4陽性細胞の量により決定される胚体内胚葉細胞の数を、未処理培養物に対して1.4〜1.8倍量まで増加させた。さらに、TSAで前処理した全hpSC株から胚体内胚葉への分化の間、遺伝子発現の動態は、細胞が同じ発生的に適切な中間体を経て移行し、胚体内胚葉の適切なマーカーを発現することを示した。
発明は、上記実施例を基準として記載されているが、変形および変更が発明の精神および範囲内に包含されることが理解されると考えられる。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (13)

  1. 以下の工程を含む、胚体内(definitive)胚葉細胞を産生する方法:
    a)トリコスタチンA (TSA)の存在下かつアクチビンAの非存在下多能性幹細胞を培養する工程;および
    b)その後、TSAの非存在下かつアクチビンAの存在下幹細胞を培養し、それによって胚体内胚葉細胞を産生する工程。
  2. 多能性幹細胞が、胚性幹細胞、単為生殖幹細胞、人工多能性幹細胞、および体性幹細胞からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 多能性幹細胞が、単為生殖幹細胞または人工多能性幹細胞である、請求項2記載の方法。
  4. 多能性幹細胞が単為生殖幹細胞である、請求項2記載の方法。
  5. TSAが、約1 nMから約1 μMの濃度で存在する、請求項1記載の方法。
  6. 前記剤の存在下で培養する工程が、約24時間行われる、請求項1記載の方法。
  7. 前記剤の非存在下で培養する工程が、約6〜72時間行われる、請求項1記載の方法。
  8. 単為生殖細胞が、LLC-6p細胞、LLC-12ph細胞、LLC-2p細胞、またはLLC-15ph細胞である、請求項4記載の方法。
  9. 胚体内胚葉細胞が、FoxA2、Sox17、CXCR4、ブラキュリ、およびCERlからなる群より選択される1つまたは複数のマーカーを発現する、請求項1記載の方法。
  10. 胚体内胚葉細胞が、未処理の幹細胞と比較して、E-カドヘリン、Oct4、またはその両方を発現していないかまたは低レベルで発現している、請求項1記載の方法。
  11. 培養する工程が、合成培地条件下で行われる、請求項1記載の方法。
  12. 胚体内胚葉細胞が、消化管、呼吸器官、または内分泌系の細胞を形成するようにさらに処理される、請求項1記載の方法。
  13. 胚体内胚葉細胞が、肝臓細胞または膵臓細胞を形成するようにさらに処理される、請求項1記載の方法。
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