JP5685860B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤに関する。より詳しくは、本発明の空気入りラジアルタイヤは、走行距離等を改善した空気入りラジアルタイヤに関する。
重荷重用ラジアルタイヤには、カーカス折り返し端部における歪みを緩和するため、当該端部のタイヤ幅方向外側に有機繊維コード又は金属コードを含む補強層を配設する手法が用いられている。
例えば、特許文献1には、補強層のトレッド側端部位における補強層のタイヤ周方向に対するコード角度αと、トレッド側端部位以外の部位における補強層のタイヤ周方向に対するコード角度αとが、α>αの関係を満たし、特に、補強層の上端から1/3hの箇所で角度α(°)を大きくしてコードを曲折させた空気入りタイヤが開示されている(特許文献1の図5〜図7参照)。この空気入りタイヤによれば、αとαとを相違させて複合角度構造にすることによって、補強層のタイヤ径方向内側領域においてコードがタイヤ周方向に対してなす角αを小さくすることでタイヤ周方向剛性を高め、これによりケーシング剛性を向上させることができる。
特開平6−1127号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている空気入りタイヤは、補強層のタイヤ径方向外側領域において、補強層のコードがタイヤ周方向に対してなすコード角が大きい。このため、タイヤ径方向外側領域に歪みが集中するおそれがあり、当該外側領域が故障発生の起点となって、カーカス折り返し端部近傍における故障を助長するおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、カーカス折り返し端部及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制した空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りラジアルタイヤは、カーカス折り返し端部のタイヤ幅方向外側に、有機繊維コード又は金属コードをゴム材で被覆した少なくとも1層の補強層を備え、正規リムに装着し、正規内圧を充填した無負荷状態で、前記補強層が、カーカス折り返し端部よりもタイヤ径方向外側であって前記補強層のタイヤ径方向最外部に位置する第1補強部と、カーカス折り返し端部近傍の領域に配置されてタイヤ径方向位置が少なくともカーカス折り返し端部を含む第2補強部とを有し、前記第1補強部と前記第2補強部とが隣接するか又は重複し、前記第1補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角αと、前記第2補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、α<βを満たすことを特徴としている。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、第1補強部と第2補強部とにおいて、補強層のコード角が異なっている。即ち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、第1補強部における有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角αが、第2補強部における有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βよりも小さい。このため、第2補強部により、カーカス折り返し端部近傍の領域におけるタイヤ径方向の剛性を確保しつつ、第1補強部により、カーカス折り返し端部よりもタイヤ径方向外側の領域であって前記補強層のタイヤ径方向最外部(以下、必要に応じて「タイヤ径方向外側領域」と称する)におけるせん断歪みを低減することができる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部で助長されるせん断歪みを緩和することができる。従って、本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、カーカス折り返し端部及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、前記第1補強部のタイヤ径方向最内部が、ビードコアの重心から0.5×(H+Hc)の距離以上タイヤ径方向距離H未満の位置であることが望ましい。この空気入りラジアルタイヤは、第1補強部のタイヤ径方向最内部が、ビードコアの重心からカーカス折り返し端部までのタイヤ径方向距離Hcとビードコアの重心から補強層のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離Hとの和の0.5倍の距離以上の位置に存在するとともに、ビードコアの重心から補強層のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離H未満の位置に存在する。
第1補強部のタイヤ径方向最内部を、ビードコアの重心からタイヤ径方向距離Hcとタイヤ径方向距離Hとの和の0.5倍の距離以上の位置とすることにより、第2補強部を十分に確保し、これによりタイヤ径方向の剛性を十分に確保することができる。また、第1補強部のタイヤ径方向最内部を、ビードコアの重心からタイヤ径方向距離H未満の位置とすることにより、第1補強部を確保して、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みを低減することができる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部で助長されるせん断歪みを緩和することができる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤによれば、カーカス折り返し端部及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、前記第1補強部は、タイヤ径方向の幅が少なくとも5mmであることが望ましい。第1補強部のタイヤ径方向の幅を少なくとも5mmとすることで、第1補強部を十分に確保して、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みをさらに低減することができる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部で助長されるせん断歪みをさらに緩和することができる。従って、本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、カーカス折り返し端部及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障をさらに抑制することができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、前記第2補強部は、ビードコアの重心から0.9×Hc以上1.1×Hc以下の領域に配置されることが望ましい。第2補強部を、ビードコアの重心から0.9×Hc以上1.1×Hc以下の領域に配置することにより、少なくともこの領域において、第2補強部により、タイヤ径方向の剛性を確保することができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、単一の前記補強層が前記第1補強部及び前記第2補強部を有し、前記第1補強部及び前記第2補強部がこれらの境界部にコード屈曲部を有することが望ましい。単一の補強層が第1補強部及び第2補強部を有し、第1補強部及び第2補強部がこれらの境界部にコード屈曲部を有することにより、コード角αのコードとコード角βのコードとを、1枚の補強層中に連続的に延在させることができる。このため、補強層の剛性をタイヤ径方向において急激に変化させることなく連続的に変化させることができ、これにより、コード角α、βが変化する箇所における故障を抑制することができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、複数の前記補強層が前記第1補強部を有する第1補強層及び前記第2補強部を有する第2補強層からなり、前記第1補強層及び前記第2補強層が一部において積層されていることが望ましい。複数の補強層が第1補強部を有する第1補強層及び第2補強部を有する第2補強層からなり、第1補強層及び第2補強層が一部において積層されていることにより、補強層の製造を簡易なものとすることができる。このため、空気入りラジアルタイヤの製造効率を高めることができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、前記補強層がさらに第3補強部を有し、前記第3補強部は、ビードコアの重心からタイヤ径方向距離Hc以下の領域に配置され、前記第3補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角γと、前記第2補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、γ<βを満たすことが望ましい。
この空気入りラジアルタイヤは、第3補強部と第2補強部とにおいて、補強層のコード角を異ならせている。即ち、この空気入りラジアルタイヤは、第3補強部における有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角γが、第2補強部における有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βよりも小さい。このため、第2補強部により、タイヤ径方向の剛性を確保しつつ、第3補強部により、ビードコアの重心からタイヤ径方向距離Hc以下の領域におけるタイヤ周方向の剛性を向上させることができる。その結果、タイヤ周方向の剛性の向上に起因してケーシング剛性を向上させることができる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、前記有機繊維コード又は前記金属コードのタイヤ径方向外側の終端位置に高低差を設けたことが望ましい。この空気入りラジアルタイヤは、補強層のタイヤ径方向外側領域において、複数のコードのうちの一部がタイヤ径方向最外部まで延在していない。これにより、補強層のタイヤ径方向外側領域のうちタイヤ径方向最外部分におけるコード配設密度を、補強層のタイヤ径方向外側領域のその他の部分におけるコード配設密度に比べて小さくしている。このため、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みをより低減することができる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部で助長されるせん断歪みをさらに緩和することができる。従って、本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、カーカス折り返し端部及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障をさらに抑制することができる。
本発明に係る空気入りラジアルタイヤは、カーカス折り返し端部及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することができる。
図1は、本実施形態の空気入りラジアルタイヤを示す子午断面図である。 図2は、図1に示す空気入りラジアルタイヤの要部Aの一例と、補強層のコード延在方向とを示す図である。 図3−1は、図2に示す補強層の構造の一例を示す概念図である。 図3−2は、図2に示す補強層の構造の一例を示す概念図である。 図4は、図1に示す空気入りラジアルタイヤの要部Aの一例と、補強層のコード延在方向とを示す図である。 図5は、図1に示す空気入りラジアルタイヤの要部Aの一例と、補強層のコード延在方向とを示す図である。 図6は、本発明の実施例に係る空気入りラジアルタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に開示する構成は、適宜組み合わせることができる。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向を意味し、タイヤ幅方向外側とはタイヤ赤道面から遠ざかる側を意味し、タイヤ幅方向内側とはタイヤ赤道面に向かう側を意味する。タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸として回転する方向を意味する。タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向を意味し、タイヤ径方向外側とはタイヤ回転軸から遠ざかる側を意味し、タイヤ径方向内側とはタイヤ回転軸へ向かう側を意味する。タイヤ赤道面とは、タイヤ回転軸に直交するとともに、タイヤ幅の中心を通る平面を意味する。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面上にあってタイヤ径方向に沿う線を意味する。
図1は、本実施形態の空気入りラジアルタイヤを示す子午断面図である。図1に示す空気入りラジアルタイヤ1は、正規リムに装着し、正規内圧を充填した無負荷状態である。ここで、正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば"Measuring Rim"を意味する。また「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧を意味し、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" を意味する。
図1に示すように、空気入りラジアルタイヤ1は、トレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4及びビード部5とを含んで構成されている。また、空気入りラジアルタイヤ1は、カーカス6、ビード保護層7、及びベルト層8を有するとともに、カーカス6のタイヤ幅方向外側に補強層9を有する。
トレッド部2は、空気入りラジアルタイヤ1の外部に露出したものであり、その表面が空気入りラジアルタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。このトレッド面21には、タイヤ周方向に延在する複数の周方向溝22と、これら周方向溝22により区画形成された複数の陸部をなすリブ23とが形成されている。本実施形態では、トレッド部2のタイヤ幅方向の中央であってタイヤ赤道面C上となるクラウンセンターCLの位置を含み7本の周方向溝22が形成され、これら周方向溝22により8本のリブ23が形成されている。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りラジアルタイヤ1におけるタイヤ幅方向の両外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51、硬質ビードフィラ52、及び軟質ビードフィラ53を含む。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラ52、53は、カーカス6がビードコア51の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配設されている。
カーカス6は、ゴム材で被覆された有機繊維やスチールで形成されており、コードを空気入りラジアルタイヤ1のタイヤ赤道線に直交する態様で、空気入りラジアルタイヤ1のタイヤ周方向に沿って配設されている。カーカス6は、タイヤ幅方向において、トレッド部2から、その両側のショルダー部3及びサイドウォール部4を介してビード部5のビードコア51に対してトロイド状に架け渡されている。ビード保護層7は、ゴム材で被覆された有機繊維やスチールで形成されており、コードを空気入りラジアルタイヤ1のタイヤ赤道線に直交する態様で、ビード部5においてカーカス6を包み込むように配設されている。ビード保護層7のタイヤ幅方向外側の終端部は、カーカス6のタイヤ幅方向外側の終端部よりも、タイヤ径方向内側に位置している。
ベルト層8は、トレッド部2においてカーカス6よりもタイヤ径方向外側に設けられている。ベルト層8は、ゴム材で被覆された有機繊維やスチールで形成された複数のベルトが積層されたものであり、カーカス6をタイヤ周方向に沿って覆うものである。本実施形態におけるベルト層8は、タイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に向かって第1ベルト81、第2ベルト82、第3ベルト83、第4ベルト84、及び第5ベルト85の順で積層された5層構造を有している。
補強層9は、カーカス6の折り返し部のタイヤ幅方向外側に設けられており、そのタイヤ径方向外側の終端部は、カーカス6のタイヤ径方向終端部(折り返し端部6a)よりも、タイヤ径方向外側に位置している。補強層9は、複数の有機繊維コード又は金属コードを配列して圧延加工し、ゴム材で被覆したコード層である。
なお、図1に示す例では、補強層9は1層であるが、本実施形態はこれに限られず、複数層とすることもできる。補強層9を複数層とする場合には、補強層9の有機繊維コード又は金属コードは、ビード部剛性を高めるために、互いに交差させることが好ましい。しかしながら、本実施形態における補強層9は、このような態様に限られず、コードが互いに交差していない態様も含む。
以上のように構成される空気入りラジアルタイヤ1は、そのビード部5が次のように構成されている。図2は、図1に示す空気入りラジアルタイヤの要部Aの一例と、補強層のコード延在方向とを示す図である。図2において、左図は図1と同様にタイヤ子午断面視による図であり、右図はタイヤ側面視による図である。また、図2の左図及び右図は、タイヤ径方向において対応しており、この対応関係を点線によって示している。
図2の右図における符号について、Hcはビードコアの重心51aからカーカス折り返し端部6aまでのタイヤ径方向距離であり、Huはビードコアの重心51aからコード角βからコード角αに変化するコード屈曲部Xまでのタイヤ径方向距離であり、Hはビードコアの重心51aから補強層9のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離である。
図2の左図に示すように、タイヤ子午断面視で、カーカス折り返し端部6aのタイヤ幅方向外側に、補強層9がカーカス6の延在方向とほぼ平行に形成されている。ここで、カーカス折り返し端部とは、単数又は複数のカーカスのうち、タイヤ径方向の最も外側まで延在するカーカスの折り返し端部を意味し、図2の左図に示す例においては、カーカス6の折り返し端部6aを意味する。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、補強層9が、カーカス折り返し端部6aよりもタイヤ径方向外側であって補強層9のタイヤ径方向最外部に位置する第1補強部9aと、カーカス折り返し端部近傍の領域に配置されてタイヤ径方向位置が少なくともカーカス折り返し端部6aを含む第2補強部9bとを有する。第1補強部9aと第2補強部9bとは隣接するか又は重複している。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、図2の右図に示すように、第1補強部9aの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角αと、第2補強部9bの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、α<βを満たす。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、補強層9が、タイヤ径方向外側領域の第1補強部9aと、カーカス折り返し端部6aの近傍の領域の第2補強部9bとを含み、第1補強部9aのコード角αと第2補強部9bのコード角βとが異なっている。即ち、図2に示す空気入りラジアルタイヤ1は、第1補強部9aにおける有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角αが、第2補強部9bにおける有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βよりも小さい。このため、補強層9の第2補強部9bにより、カーカス折り返し端部6aの近傍の領域におけるタイヤ径方向の剛性を確保しつつ、補強層9の第1補強部9aにより、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みを低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みを緩和することが可能となる。従って、本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することが可能となる。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、コード角αが、0°<α≦20°を満たすことがより好ましい。0°<αを満たすことにより、補強層9のタイヤ径方向外側領域でのタイヤ径方向の剛性を確保することができる。また、α≦20°を満たすことにより、補強層9のタイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みをさらに低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みをさらに緩和することが可能となる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障をさらに抑制することが可能となる。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、コード角βが30°<β≦60°を満たすことがより好ましい。30°<βを満たすことにより、補強層9のカーカス折り返し端部6aの近傍の領域におけるせん断歪みをさらに低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みをさらに緩和することが可能となる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障をさらに抑制することが可能となる。また、α≦60°を満たすことにより、タイヤ周方向の剛性を向上させることが可能となる。その結果、タイヤ周方向の剛性の向上に起因してケーシング剛性を向上させることが可能となる。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、図2に示すように、第1補強部9aのタイヤ径方向最内部が、ビードコアの重心から0.5×(H+Hc)の距離以上タイヤ径方向距離H未満の位置であることが好ましい。第1補強部9aのタイヤ径方向最内部を、ビードコアの重心51aからタイヤ径方向距離Hcとタイヤ径方向距離Hとの和の0.5倍の距離以上の位置とすることにより、第2補強部9bを十分に確保し、これによりタイヤ径方向の剛性を十分に確保することが可能となる。また、第1補強部9aのタイヤ径方向最内部を、ビードコアの重心51aからタイヤ径方向距離H未満の位置とすることにより、第1補強部9aを確保して、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みを低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みを緩和することができる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することが可能となる。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、第1補強部9aのタイヤ径方向最内部が、ビードコアの重心51aから0.9×Hの距離以下の位置であることがより好ましい。第1補強部9aのタイヤ径方向最内部を、ビードコアの重心51aからタイヤ径方向距離Hの0.9倍の距離以下の位置とすることにより、第1補強部9aを十分に確保し、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みをさらに低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みをさらに緩和することが可能となる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障をさらに抑制することが可能となる。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、第1補強部9aが、タイヤ径方向の幅が少なくとも5mmであることが好ましい。第1補強部9aのタイヤ径方向の幅を少なくとも5mmとすることにより、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みをさらに低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みをさらに緩和することができる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障をさらに抑制することが可能となる。
なお、第1補強部9aのタイヤ径方向の幅は、タイヤサイズによって適宜変更することが好ましい。例えば、タイヤサイズ12R22.5以上の場合は、少なくとも7mmとすることが好ましい。また、第1補強部9aのタイヤ径方向の幅は、ビードコアの重心51aから補強層9のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離Hによっても適宜変更することが好ましい。例えば、タイヤ径方向距離Hが70mm以上の場合は、少なくとも7mmとすることが好ましい。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、第2補強部が、ビードコアの重心51aから0.9×Hc以上1.1×Hc以下の領域に配置されることが好ましい。第2補強部を、ビードコアの重心51aから0.9×Hc以上1.1×Hc以下の領域に配置することで、少なくともこの領域においては、第2補強部9bにより、タイヤ径方向の剛性を確保することができる。第2補強部は、ビードコアの重心51aから0.8×Hc以上1.2×Hc以下の領域に配置されることがより好ましい。第2補強部を、ビードコアの重心51aから0.8×Hc以上1.2×Hc以下の領域に配置することで、さらに広い範囲の領域においては、第2補強部9bにより、タイヤ径方向の剛性を高めることができる。
本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、補強層9のタイヤ径方向外側領域の第1補強部9aとカーカス折り返し端部6aの近傍の領域の第2補強部9bとにおいて、補強層9のコード角α、βが異なっているが、補強層9の構造については、以下のような構造を採用することができる。
図3−1及び図3−2は、いずれも、図2に示す補強層の構造の一例を示す概念図である。本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、図3−1に示すように、単一の補強層9が第1補強部9a及び第2補強部9bを有し、第1補強部9a及び第2補強部9bがこれらの境界部にコード屈曲部Xを有する構造とすることができる。図3−1に示す例は、第1補強部9aと第2補強部9bとが隣接する例である。また、本実施形態の空気入りラジアルタイヤ1は、図3−2に示すように、複数の補強層91、92が第1補強部9aを有する第1補強層91及び第2補強部9bを有する第2補強層92からなり、第1補強層91及び第2補強層92が一部において積層されている構造とすることもできる。図3−21に示す例は、第1補強部9aと第2補強部9bとが重複する例である。
これらの補強層9(91、92)の構造のうち、図3−1に示す補強層9の構造は、コード角α、βを連続的に変化させている。このため、この例は、補強層9の剛性をタイヤ径方向において急激に変化させることなく連続的に変化させることができる点で好ましい。従って、図3−1に示す補強層9の構造によれば、このような補強層9の剛性の連続的な変化に起因して、コード角α、βが変化する箇所における故障を抑制することができる。
これに対し、図3−2に示す補強層91、92の構造は、コード角αの第1補強部9aを有する第1補強層91と、コード角βの第2補強部9bを有する第2補強層92とを、これらの一部において積層している。このため、この例は、補強層全体の製造を簡易なものとすることができる点で好ましい。従って、図3−2に示す補強層91、92の構造によれば、空気入りラジアルタイヤ1の製造効率を高めることができる。
ここで、図3−1及び図3−2の各々において、上述したタイヤ径方向距離Hu(ビードコアの重心51aからコード角βからコード角αに変化するコード屈曲部Xまでのタイヤ径方向距離)を導くために使用するコード屈曲部Xについて説明する。コード屈曲部Xとは、タイヤ側面視(図2の右図)において、補強層9のタイヤ径方向外側領域の第1補強部9aとカーカス折り返し端部6aの近傍の領域の第2補強部9bとの境界部である。図3−1に示すように、単一の補強層9を構成する第1補強部9a及び第2補強部9bがこれらの境界にコード屈曲部Xを有する構造においては、コード屈曲部Xは、コード角がコード角α、βの平均角度となる、補強層9のタイヤ径方向高さ位置の部分を意味する。また、図3−2に示すように、第1補強部9aを有する第1補強層91及び第2補強部9bを有する第2補強層92が一部において積層されている構造においては、コード屈曲部Xは、2枚の補強層9の重複部分のタイヤ径方向中点位置の部分を意味する。
図4は、図1に示す空気入りラジアルタイヤの要部Aの一例と、補強層のコード延在方向とを示す図である。図4に示す例は、補強層9中に、コード角γの第3補強部9cを設けた点で図2に示す例と異なる。図4において、左図は図1と同様にタイヤ子午断面視による図であり、右図はタイヤ側面視による図である。また、図4の左図及び右図は、タイヤ径方向において対応しており、この対応関係を点線によって示している。
図4の右図における符号について、Hcはビードコアの重心51aからカーカス折り返し端部6aまでのタイヤ径方向距離であり、Huはビードコアの重心51aからコード角βからコード角αに変化するコード屈曲部Xまでのタイヤ径方向距離であり、Hはビードコアの重心51aから補強層9のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離であり、Hlはビードコアの重心51aからコード角βからコード角γに変化するコード屈曲部Yまでのタイヤ径方向距離である。
図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、図2に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1と同様に、タイヤ子午断面視で、カーカス折り返し端部6aのタイヤ幅方向外側に、補強層9がカーカス6の延在方向とほぼ平行に形成されている(図4の左図参照)。また、図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、図2に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1と同様に、第1補強部9aの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角αと、第2補強部9bの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、α<βを満たす(図4の右図参照)。このため、図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、図2に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1と同様に、補強層9の第2補強層9bにより、カーカス折り返し端部6aの近傍の領域におけるタイヤ径方向の剛性を確保しつつ、補強層9の第1補強層9aにより、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みを低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みを緩和することが可能となる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することが可能となる。
図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、補強層9がさらに第3補強部9cを有し、第3補強部9cは、ビードコアの重心51aからタイヤ径方向距離Hc以下の領域に配置され、第3補強部9cの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角γと、第2補強部9bの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、γ<βを満たす。
図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、第3補強部9cと第2補強部9bとにおいて、補強層9のコード角γ、βが異なっている。即ち、この空気入りラジアルタイヤ1は、第3補強部9cにおける有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角γが、第2補強部9bにおける有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βよりも小さい。このため、第2補強部9bにより、タイヤ径方向の剛性を確保しつつ、第3補強部9cにより、ビードコアの重心51aからタイヤ径方向距離Hc以下の領域(以下、必要に応じて「タイヤ径方向内側領域」と称する)におけるタイヤ周方向の剛性を向上させることが可能となる。その結果、タイヤ周方向の剛性の向上に起因してケーシング剛性を向上させることが可能となる。従って、図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、図2に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1に比べて、タイヤ周方向の剛性の向上に起因してケーシング剛性を向上させることができる点でより好ましい例である。
図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、コード角γが0°<γ≦30°を満たすことがより好ましい。0°<γを満たすことにより、補強層9のタイヤ径方向内側領域でのタイヤ径方向の剛性を確保することが可能となる。また、γ≦30°を満たすことにより、補強層9のタイヤ径方向内側領域でのタイヤ周方向の剛性を向上させることが可能となる。その結果、タイヤ周方向の剛性の向上に起因してケーシング剛性を向上させることが可能となる。
図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、第3補強部9cのタイヤ径方向最外部が、ビードコアの重心51aから0.2×Hc以上0.8×H以下の位置であることがより好ましい。第3補強部9cのタイヤ径方向最外部を、ビードコアの重心51aからタイヤ径方向距離Hcの0.2倍以上の位置とすることにより、第3補強部9cを十分に確保することにより、タイヤ周方向の剛性をさらに向上させることが可能となる。その結果、タイヤ周方向の剛性の向上に起因してケーシング剛性をさらに向上させることが可能となる。また、第3補強部9cのタイヤ径方向最内部を、タイヤ径方向距離Hcの0.8倍以下の位置とすることにより、第2補強部9bを十分に確保することにより、カーカス折り返し端部6aの近傍におけるタイヤ径方向の剛性を十分に確保することができる。
図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、補強層9のタイヤ径方向内側領域の第3補強部9cとカーカス折り返し端部6aの近傍の領域の第2補強部9bとにおいて、補強層9のコード角γ、βが異なっているが、補強層9の構造については、以下のような構造を採用することができる。
即ち、図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、単一の補強層9が第2補強部9b及び第3補強部9cを有し、第2補強部9b及び第3補強部9cがこれらの境界部にコード屈曲部を有する構造(単一構造)とすることができる。即ち、単一構造とは、第2補強部9bと第3補強部9cとが隣接する構造である。また、図4に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、複数の補強層が第1補強部9aを有する第1補強層及び第2補強部9bを有する第2補強層からなり、第1補強層及び第2補強層が一部において積層されている構造(複合構造)とすることもできる。即ち、複合構造とは、第2補強部9bと第3補強部9cとが重複する構造である。
これらの補強層の構造のうち、上記の単一構造は、コード角γ、βを連続的に変化させている。このため、この例は、補強層9の剛性をタイヤ径方向において急激に変化させることなく連続的に変化させることができ、コード角γ、βが変化する箇所における故障を抑制することができる点で好ましい。
これに対し、上記の複合構造は、コード角βの第2補強部9bを有する第2補強層と、コード角γの第3補強部9cを有する第3補強層とを、これらの一部において積層している。このため、この例は、補強層全体の製造を簡易なものとすることができ、空気入りラジアルタイヤ1の製造効率を高めることができる点で好ましい。
ここで、上述したタイヤ径方向距離Hl(ビードコアの重心51aからコード角βからコード角γに変化するコード屈曲部Yまでのタイヤ径方向距離)を導くために使用するコード屈曲部Yについて説明する。コード屈曲部Yとは、タイヤ側面視(図4の右図)において、補強層9のタイヤ径方向内側領域の第3補強部9cとカーカス折り返し端部6aの近傍の領域の第2補強部9bとの境界部である。上記の単一構造の場合においては、コード屈曲部Yは、コード角がコード角γ、βの平均角度となる、補強層9のタイヤ径方向高さ位置の部分を意味する。また、上記の複合構造の場合においては、コード屈曲部Yは、2枚の補強層9の重複部分のタイヤ径方向中点位置の部分を意味する。
図5は、図1に示す空気入りラジアルタイヤの要部Aの一例と、補強層のコード延在方向とを示す図である。図5に示す例は、補強層9の有機繊維コード又は金属コードのタイヤ径方向外側の終端位置に高低差を設けた点で図2に示す例と異なる。図5において、左図は図1と同様にタイヤ子午断面視による図であり、右図はタイヤ側面視による図である。また、図5の左図及び右図は、タイヤ径方向において対応しており、この対応関係を点線によって示している。
図5の右図における符号について、Hcはビードコアの重心51aからカーカス折り返し端部6aまでのタイヤ径方向距離であり、Huはビードコアの重心51aからコード角βからコード角αに変化するコード屈曲部Xまでのタイヤ径方向距離であり、Hはビードコアの重心51aから補強層9のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離である。
図5に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、図2に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1と同様に、タイヤ子午断面視で、カーカス折り返し端部6aのタイヤ幅方向外側に、補強層9がカーカス6の延在方向とほぼ平行に形成されている(図5の左図参照)。また、図5に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、図2に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1と同様に、第1補強部9aの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角αと、第2補強部9bの有機繊維コード又は金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、α<βを満たす(図5の右図参照)。このため、図5に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1は、図2に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1と同様に、補強層9の第2補強層9bにより、カーカス折り返し端部6aの近傍の領域におけるタイヤ径方向の剛性を確保しつつ、補強層9の第1補強層9aにより、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みを低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みを緩和することが可能となる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することが可能となる。
図5に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、有機繊維コード又は金属コードのタイヤ径方向外側の終端位置に高低差を設けている。即ち、図5に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、補強層9のタイヤ径方向外側領域において、複数のコードのうちの一部をタイヤ径方向最外部まで延在させていない。これにより、補強層9のタイヤ径方向外側領域のうちタイヤ径方向最外部分におけるコード配設密度を、補強層9のタイヤ径方向外側領域のその他の部分におけるコード配設密度に比べて小さくしている。このため、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みをより低減することが可能となる。その結果、当該せん断歪みに起因してカーカス折り返し端部6aで助長されるせん断歪みをさらに緩和することが可能となる。従って、このような構成の空気入りラジアルタイヤ1によれば、カーカス折り返し端部6a及び補強層9のタイヤ径方向外側端部の故障をさらに抑制することが可能となる。
図5に示す要部を含む空気入りラジアルタイヤ1では、有機繊維コード又は金属コードのタイヤ径方向外側の終端位置に高低差を設ける態様を、同図に示すように、コード1本おきに高低差を設ける態様とすることは勿論、コード2本おきに高低差を設ける態様やコード3本おきに高低差を設ける態様など、いかなる態様とすることもできる。
本実施形態、及び従来例に係る空気入りラジアルタイヤを作製し、評価した。なお、本実施形態によるものが実施例である。
図6は、本発明の実施例に係る空気入りラジアルタイヤの性能試験の結果を示す図表である。タイヤサイズを11R22.5で共通にし、図2に示す要部を含む図1に示す構成の空気入りラジアルタイヤ、又は図4に示す要部を含む図1に示す構成の空気入りラジアルタイヤにおいて、図6に示す諸事項(第1補強部9aにおいてコードがタイヤ周方向に対してなすコード角α、第2補強部9bにおいてコードがタイヤ周方向に対してなすコード角β、ビードコアの重心51aからコード角βからコード角αに変化するコード屈曲部Xまでのタイヤ径方向距離Hu、第3補強部9cにおいてコードがタイヤ周方向に対してなすコード角γ、ビードコアの重心51aからコード角βからコード角γに変化するコード屈曲部Yまでのタイヤ径方向距離Hl)を満たす、従来例1、2、及び実施例1〜6の空気入りラジアルタイヤをそれぞれ製造した。
これら各試験タイヤをリムサイズ8.25×22.5のリムに装着し、規定空気圧の80%の低空気圧条件下、かつ、荷重を29.42kNとした条件下で、ドラム試験を実施し、タイヤが故障するまでの走行距離を指数化した。その結果を図6に併記する。当該指数は、その値が大きいほど優れた結果を示すものである。
また、ドラム試験においてタイヤが故障した際に、タイヤのいずれの箇所が故障したかを調査した。特に、図2又は図4に示すカーカス6の折り返し端部6aでの故障(カーカス端部故障)、及び図2又は図4に示す補強層9のタイヤ径方向外側端部での故障(補強層端部故障)についての有無を図6に併記する。
図6から明らかなように、実施例1〜6の空気入りラジアルタイヤはいずれも、従来例1、2の空気入りラジアルタイヤに比べて、タイヤが故障するまでの走行距離が伸びており、しかも補強層端部故障がみられなかった。これは、実施例1〜6の空気入りラジアルタイヤはいずれも、α<βの関係を満たすためであると考えられる。
実施例1〜6の空気入りラジアルタイヤを個別にみると、実施例2〜6の空気入りラジアルタイヤはいずれも、第1補強層9aのタイヤ径方向最内部が、0.5×(Hc+H)以上タイヤ径方向距離H未満の位置を満たすため、実施例1の空気入りラジアルタイヤに比べて、タイヤが故障するまでの走行距離が伸びている。これは、実施例2〜6の空気入りラジアルタイヤはいずれも、タイヤ径方向の剛性を十分に確保することができるとともに、タイヤ径方向外側領域におけるせん断歪みを低減することができるためであると考えられる。
また、実施例3〜6の空気入りラジアルタイヤはいずれも、実施例2の空気入りラジアルタイヤに比べて、タイヤが故障するまでの走行距離が伸びている。これは、実施例3〜6の空気入りラジアルタイヤはいずれも、γ<βを満たすため、タイヤ周方向の剛性の向上に起因してケーシング剛性を向上させることができるからであると考えられる。
以上のように、本発明の空気入りラジアルタイヤは、カーカス折り返し端部及び補強層のタイヤ径方向外側端部の故障を抑制することに有用である。
1 空気入りラジアルタイヤ
2 トレッド部
21 トレッド面
22 周方向溝
23 リブ
3 ショルダー部
4 サイドウォール部
5 ビード部
51 ビードコア
51a ビードコアの重心
52 硬質ビードフィラ
53 軟質ビードフィラ
6 カーカス
6a カーカス折り返し端部
7 ビード保護層
8 ベルト層
81、82、83、84、85 ベルト
9、91、92 補強層
9a 第1補強部
9b 第2補強部
A 要部
C タイヤ赤道面
CL クラウンセンター
H ビードコアの重心から補強層のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離
Hc ビードコアの重心からカーカス折り返し端部までのタイヤ径方向距離
Hl ビードコアの重心からコード角βからコード角γに変化するコード屈曲部Yまでのタイヤ径方向距離
Hu ビードコアの重心からコード角βからコード角αに変化するコード屈曲部Xまでのタイヤ径方向距離
X、Y コード屈曲部
α、β、γ 補強層のコードがタイヤ周方向に対してなすコード角

Claims (7)

  1. カーカス折り返し端部のタイヤ幅方向外側に、有機繊維コード又は金属コードをゴム材で被覆した少なくとも1層の補強層を備える空気入りラジアルタイヤであって、
    正規リムに装着し、正規内圧を充填した無負荷状態で、前記補強層が、カーカス折り返し端部よりもタイヤ径方向外側であって前記補強層のタイヤ径方向最外部に位置する第1補強部と、カーカス折り返し端部近傍の領域に配置されてタイヤ径方向位置が少なくともカーカス折り返し端部を含む第2補強部と、第3補強部とを有し、前記第1補強部と前記第2補強部とが隣接するか又は重複し、
    前記第1補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角αと、前記第2補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、α<βを満たし、
    ビードコアの重心からカーカス折り返し端部までのタイヤ径方向距離をHcとし、ビードコアの重心から前記補強層のタイヤ径方向最外部までのタイヤ径方向距離をHとしたとき、
    前記第3補強部は、ビードコアの重心からタイヤ径方向距離Hc以下の領域に配置され、前記第3補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角γと、前記第2補強部の前記有機繊維コード又は前記金属コードがタイヤ周方向に対してなすコード角βとが、γ<βを満たし、かつ前記第3補強部のタイヤ径方向最外部が、ビードコアの重心から0.2×Hc以上0.8×H以下の位置であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 記第1補強部のタイヤ径方向最内部は、ビードコアの重心から0.5×(H+Hc)の距離以上タイヤ径方向距離H未満の位置である請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記第1補強部は、タイヤ径方向の幅が少なくとも5mmである請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記第2補強部は、ビードコアの重心から0.9×Hc以上1.1×Hc以下の領域に配置される請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 単一の前記補強層が前記第1補強部及び前記第2補強部を有し、前記第1補強部及び前記第2補強部がこれらの境界部にコード屈曲部を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 複数の前記補強層が前記第1補強部を有する第1補強層及び前記第2補強部を有する第2補強層からなり、前記第1補強層及び前記第2補強層が一部において積層されている請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記有機繊維コード又は前記金属コードのタイヤ径方向外側の終端位置に高低差を設けた請求項1から6のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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