しかし、上述した複数台のチラーを運転対象とする従来の温度調節装置は、次のような問題点があった。
第一に、複数台のチラーを使用するとしても、いわば制御上の連結運転であって、機械上(流路上)の連結運転とは言えない。結局、複数台のチラーを同時に運転し、それぞれのチラーを独立して制御するため、本来の連結運転のメリット、例えば、負荷率が減少したことにより一部のチラーを停止させるなどの柔軟な運転制御を行うことができない。この結果、各チラーの効率的な運転を確保し、運転全体の観点からの省エネルギ化を図るには限界がある。
第二に、前述した空調装置等のさほど精密性の要求されない他の分野で用いるチラーの連結運転のように、各チラーを単純な並列接続によりシステム構成する場合とは異なり、各用途毎にそれぞれ対応した専用の系統回路を構築する必要があり、様々な用途に対して柔軟に対応できない。したがって、適応性及び汎用性に難があるとともに、コストを低減する観点からも限界がある。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したチラーの連結運転方法及びシステムの提供を目的とするものである。
本発明に係るチラーの連結運転方法は、上述した課題を解決するため、冷却液タンク2に収容した冷却液Lを供給口3sから外部の被冷却部Mに供給するとともに、被冷却部Mから戻り口3rに戻された熱交換後の冷却液Lを冷却液タンク2に収容する冷却液循環系4と、供給口3sから供給する冷却液Lを冷却する冷却装置5と、少なくとも冷却装置5の制御を行う制御系6とを有する複数台のチラーC…を並列接続することにより連結運転するに際し、各チラーC…における冷却液タンク2を共通の均圧管8により接続するとともに、各チラーC…の制御系6…に対してコンピューティング機能を有する集中制御装置7を接続することにより、各チラーC…の負荷率X…を監視し、予め設定した第一監視負荷率Xd以下になったなら、一部のチラーCの冷却液供給機能を除いて停止させ、かつ予め設定した第二監視負荷率Xu以上になったなら、停止させた一部のチラーCを復帰させる制御を行い、他方、チラーCを停止させる際に、運転中の全チラーC…の総制御量Drを、停止させるチラーCを除くチラーC…の台数に分割して各チラーC…に適用する制御を行い、かつ停止させたチラーCを復帰させる際に、運転中の全チラーC…の総制御量Caを、復帰させるチラーCを含むチラーC…の台数に分割して各チラーC…に適用する制御を行うことを特徴とする。
また、本発明に係るチラーの連結運転システム1は、上述した課題を解決するため、冷却液タンク2に収容した冷却液Lを供給口3sから外部の被冷却部Mに供給するとともに、被冷却部Mから戻り口3rに戻された熱交換後の冷却液Lを冷却液タンク2に収容する冷却液循環系4と、供給口3sから供給する冷却液Lを冷却する冷却装置5と、少なくとも冷却装置5の制御を行う制御系6とを有する複数台のチラーC…を並列接続することにより連結運転する連結運転システムを構成するに際して、各チラーC…における冷却液タンク2に共通に接続する均圧管8を備えるとともに、各チラーC…の制御系6…に接続することにより、各チラーC…の負荷率X…を監視し、予め設定した第一監視負荷率Xd以下になったなら、一部のチラーCの冷却液供給機能を除いて停止させ、かつ予め設定した第二監視負荷率Xu以上になったなら、停止させた一部のチラーCを復帰させる制御を行い、他方、チラーCを停止させる際に、運転中の全チラーC…の総制御量Drを、停止させるチラーCを除くチラーC…の台数に分割して各チラーC…に適用する制御を行い、かつ停止させたチラーCを復帰させる際に、運転中の全チラーC…の総制御量Daを、復帰させるチラーCを含むチラーC…の台数に分割して各チラーC…に適用する制御を行う、コンピューティング機能を有する集中制御装置7を備えることを特徴とする。
一方、本発明は、好適な実施の態様により、第一監視負荷率Xd以下になったなら、負荷率Xが上昇中ではないことを条件に、チラーCを停止させる制御を行うことができる。また、チラーCを停止させる際は、各チラーC…に対して、フィードフォワード制御,又は〔停止前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔停止後のチラー運転台数〕により求めた積分制御の操作量に変更する制御を行うことができる。他方、第二監視負荷率Xu以上になったなら、負荷率Xが下降中ではないことを条件に、チラーCを復帰させる制御を行うことができる。また、チラーCを復帰させる際は、負荷率Xの上昇率を求め、この上昇率に基づいて復帰させるチラーCの台数を決定することができる。さらに、チラーCを復帰させる際は、各チラーC…に対して、フィードフォワード制御,又は〔復帰前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔復帰後のチラー運転台数〕により求めたPID制御における積分制御の操作量に変更する制御を行うことができる。
このような本発明に係るチラーの連結運転方法及びシステム1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 精度の高い安定した温度制御により流量の一定した冷却液Lが要求される被冷却部Mに対して、複数台のチラーC…を並列接続することにより連結運転する場合であっても、かかる被冷却部Mの要求に対して十分に応えることができるとともに、複数台のチラーを並列接続することにより連結運転するメリット、例えば、負荷率Xが減少(又は増加)したことにより一部のチラーCを停止(又は復帰)させるなどの柔軟な運転制御を行うことができる。この結果、各チラーC…を最も効率の高い負荷率X近辺で運転できるとともに、使用しないチラーC…は停止させることができるなど、全体における有効な省エネルギ化を実現できる。
(2) 各チラーC…を単純な並列接続することにより構成できるため、連結するチラーC…の台数を容易に変更(増減)できる。この結果、様々な用途に対しても柔軟に対応できるなど、適応性及び汎用性に優れた連結運転システム1を構築できるとともに、システム全体のコストダウンにも寄与できる。
(3) 連結運転システム1には、各チラーC…における冷却液タンク2に共通に接続する均圧管8を設けたため、各チラーC…の冷却液タンク2…に収容する冷却液Lの液面を同一高さに維持できる。これにより、各チラーC…間における冷却液Lの相対流量のバラツキ及び冷却能力(温度制御)のバラツキを排除でき、流量及び温度制御の更なる安定化を図ることができる。
(4) 好適な態様により、第一監視負荷率Xd以下になったなら、負荷率Xが上昇中ではないことを条件に、チラーCを停止させる制御を行うようにすれば、負荷率Xが一時的な外乱により第一監視負荷率Xdになった場合等を排除できるため、チラーC…の無用な台数変更を回避でき、システム1全体の安定性を高めることができる。
(5) 好適な態様により、チラーCを停止させる際に、各チラーC…に対して、フィードフォワード制御を行うようにすれば、冷却装置5に備える圧縮機の現在の出力(入力)を強制的に変更した後、通常のPID制御(フィードバック制御)に移行させることができるなど、比較的汎用的な制御方式の利用により容易かつ確実に実施できる。
(6) 好適な態様により、チラーCを停止させる際に、各チラーC…に対して、〔停止前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔停止後のチラー運転台数〕により求めた積分制御の操作量に変更する制御を行うようにすれば、特に、追加部品を要せず、各チラーC…から供給する冷却液Lの温度を検出する既設の温度センサからの検出結果と制御系6の操作量(冷却装置5に備える圧縮機に対する制御信号等)を利用して容易に実施できる。
(7) 好適な態様により、第二監視負荷率Xu以上になったなら、負荷率Xが下降中ではないことを条件に、チラーCを復帰させる制御を行うようにすれば、負荷率Xが一時的な外乱により第二監視負荷率Xuになった場合等を排除できるため、チラーC…の無用な台数変更を回避でき、システム1全体の安定性を高めることができる。
(8) 好適な態様により、チラーCを復帰させる際に、負荷率Xの上昇率を求め、この上昇率に基づいて復帰させるチラーCの台数を決定するようにすれば、かかる上昇率に対応した最適台数のチラーC…を復帰させることができるため、何らかの要因により負荷が急激に大きくなったような場合であっても的確に対応させることができる。
(9) 好適な態様により、チラーCを復帰させる際に、各チラーC…に対して、フィードフォワード制御を行うようにすれば、冷却装置5に備える圧縮機の現在の出力(入力)を強制的に変更した後、通常のPID制御(フィードバック制御)に移行させることができるなど、比較的汎用的な制御方式の利用により容易かつ確実に実施できる。
(10) 好適な態様により、チラーCを復帰させる際に、各チラーC…に対して、〔復帰前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔復帰後のチラー運転台数〕により求めたPID制御における積分制御の操作量に変更する制御を行うようにすれば、特に、追加部品を要せず、各チラーC…から供給する冷却液Lの温度を検出する既設の温度センサからの検出結果と制御系6の操作量(冷却装置5に備える圧縮機に対する制御信号等)を利用して容易に実施できる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る連結運転システム1を構成するチラーCの構成について、図3〜図6を参照して説明する。
例示のチラーCは、外気温が低下した際に、この外気温を利用して冷却液Lを冷却するフリークーリング機能を備えるフリークーリングチラーである。なお、冷却液Lは冷却水Lwを用いた場合を例示する。チラーCは、図4及び図5に示すように、全体を直方体状に形成したキャビネット11を備え、このキャビネット11の上部内部を外気熱交換室Rcとして構成するとともに、下部内部を収納室Riとして構成する。また、キャビネット11の上端には送風ファン12を配設する。
外気熱交換室Rcの内部には、凝縮器13と外気熱交換器14を配設する。この場合、図6に示すように、凝縮器13は、冷媒が循環する冷凍サイクルを用いた冷却装置5を備える内部冷却系U1を構成するとともに、外気熱交換器14は、空冷用空気(外気)Aと冷却水Lwの熱交換を行う外気冷却系U2を構成する。冷却装置5(内部冷却系U1)及び外気冷却系U2は、いずれも後述する冷却水Lwを冷却する機能を備える。特に、外気冷却系U2は、外気温が低下した際に、この外気温を利用して冷却水Lwを冷却する上述したフリークーリング機能を有する。
外気熱交換器14は、図5及び図6に示すように、一対の平坦状に形成した熱交換ユニット14p,14qの組合わせにより構成し、外気熱交換室Rcの内部に側面から見てV形となるように配設する。これにより、送風ファン12は、二つの熱交換ユニット14p,14qの内面により挟まれる内部空間の上方に配設されるとともに、送風方向Fwの下流側位置に配設される。また、二つの熱交換ユニット14p,14qに対向するキャビネット11の側面(正面,背面)には吸気口11i,11iを設けるとともに、送風ファン12の上方に位置するキャビネット11の上端には排気口11eを設ける。
熱交換ユニット14pは、冷却水Lwを通す冷却液管をジグザグ形状に湾曲形成し、外周面に多数の放熱用フィンを付設した一般的な熱交換器の形態により実施可能である。熱交換ユニット14pは、鉛直線に対して所定の傾倒角度(例えば、15〔゜〕前後)で起立(傾斜)させて配設する。他方の熱交換ユニット14qも熱交換ユニット14pと同様に構成するとともに、鉛直線に対して所定の傾倒角度(例えば、15〔゜〕前後)で起立(傾斜)させて配設する。この場合、熱交換ユニット14pと14qの傾倒方向は反対方向となる。これにより、図5に示すように、側面から見てV形となる外気熱交換器14が得られる。
一方、凝縮器13も二つの凝縮ユニット13p,13qの組合わせにより構成する。凝縮ユニット13pは、一般的な凝縮器構造、即ち、冷媒を通す冷媒管をジグザグ形状に湾曲形成した冷媒管ユニットの外周面に多数の放熱用フィンを付設した構造を有している。他方の凝縮ユニット13qも凝縮ユニット13pと同様に構成する。そして、各凝縮ユニット13p,13qは、図5に示すように、送風ファン12の送風方向Fwの下流側から、各熱交換ユニット14p,14qに対してそれぞれ重なり合うように配設する。このような構成により、凝縮器13は、送風方向Fwの下流側から外気熱交換器14に対面するため、凝縮器13及び外気熱交換器14を配設する際のデッドスペースが無くなり、全体の小型化に寄与できるとともに、送風ファン12の共用化を容易に実現できる。加えて、通常、外気熱交換器14の温度は、凝縮器13の温度よりも低くなるため、送風方向Fwを考慮すれば、より効率的な熱交換を行わせることができる。
さらに、収納室Riには、図4に示すように、凝縮器13を除く圧縮機17等の内部冷却系U1における冷凍サイクルの構成部品類、及び外気熱交換器14を除く循環ポンプ18等の外気冷却系U2における構成部品類を配設する。また、冷却水Lwを収容する冷却液タンク2,冷却液タンク2の冷却水Lwを冷却装置5における熱交換器(冷却部)19(図6)を介して外部に送出する圧送ポンプ20,及びインバータ等の電装部品が実装される制御盤21をそれぞれ配設する。
他方、図6は、チラーCの全体系統回路を示す。同図中、U1及びU2は前述した内部冷却系及び外気冷却系をそれぞれ示す。内部冷却系U1において、5は冷凍サイクルにより構成した冷却装置であり、前述した凝縮器13の冷媒入口は、圧縮機17を介して熱交換器(冷却部)19の一次側19fの流出口に接続するとともに、一次側19fの流入口は電子膨張弁22を介して凝縮器13の冷媒出口に接続する。これにより、冷媒が循環する公知の冷凍サイクルが構成され、後述する供給口3sから外部に供給する冷却水Lwを冷却することができる。この場合、圧縮機17には圧縮機インバータ17iが接続され、圧縮機17における圧縮機モータの回転数が可変制御される。なお、23は冷媒に対する高圧圧力スイッチを示す。
また、熱交換器19の二次側19sに接続し、かつ冷却水Lwを循環させる冷却液循環系4を備える。これにより、熱交換器19を用いて冷媒と冷却水Lwの熱交換が行われる。冷却液循環系4は、熱交換器19の二次側19sの冷却液入口を、圧送ポンプ20を介して冷却液タンク2のタンク供給口2iに接続するとともに、熱交換器19の二次側19sの冷却液出口を、後述する外部の供給配管Psが接続される供給口3sに接続し、さらに、後述する外部の戻り配管Prが接続される戻り口3rは、冷却液タンク2のタンク戻り口2rに接続する。これにより、冷却液タンク2に収容した冷却水Lwを供給口3sから外部の被冷却部Mに供給するとともに、被冷却部Mから戻り口3rに戻される熱交換後の冷却水Lwを冷却液タンク2に収容する冷却液循環系4が構成される。なお、圧送ポンプ20の吸込口がタンク供給口2iを兼用する。
外気冷却系U2は、前述した外気熱交換器14を備え、この外気熱交換器14の冷却液流入口は、循環ポンプ18を介して冷却液タンク2のタンク供給口2sに接続するとともに、外気熱交換器14の冷却液流出口は、戻り配管を介して冷却液タンク2のタンク戻り口2bに接続する。これにより、冷却液タンク2に収容した冷却水Lwを外気熱交換器14に循環させる冷却液循環回路24が構成される。その他、25はバイパスバルブ、26はタンクドレンバルブ、27は水圧計をそれぞれ示す。
一方、吸気口11i,11iの近傍には、散水機構31を構成する噴霧ノズルNs…,Ns…を配設する。各噴霧ノズルNs…,Ns…は、斜め上方に噴霧できるように、それぞれ熱交換ユニット14p,14qに向けて配設し、より広い範囲に拡散できるように最適位置及び角度を選定する。例示の場合、図4に示すように、各熱交換ユニット14p,14qに対して、離間した二つの噴霧ノズルNs,Ns…をそれぞれ配設した。各噴霧ノズルNs…は、各熱交換ユニット14p,14qの設置面上に取付ける。これにより、各噴霧ノズルNs…は、各熱交換ユニット14p,14qに対して送風方向Fwの上流側に配されるとともに、各熱交換ユニット14p,14qの外面に対して、予め設定した所定角度(例えば、30〔゜〕前後)で噴霧可能となる。熱交換ユニット14p,14qの外面における噴霧位置は中央位置から下寄り位置に設定する。さらに、各噴霧ノズルNs…は、図6に示すように、給水弁32を介して水Lwmが供給される給水口33に接続する。この給水口33には、外部の水道管等の給水源を接続する。この場合、給水弁32には、各噴霧ノズルNs…に対する水Lwmの供給又は停止を行う電磁開閉弁や各噴霧ノズルNs…に対する水Lwmの供給量を可変制御可能な制御弁を用いることができる。その他、図6中、34は水圧計、35は外気温センサをそれぞれ示す。
また、チラーCは、少なくとも冷却装置5を制御することにより冷却水Lwの温度制御を行う制御系6を備える。制御系6は、図3に示すチラーコントローラ41を備える。なお、図3は、本実施形態に係る連結運転システム1の制御に関係する制御系のみを抽出して示す。チラーコントローラ41は、チラーCの全体における各種制御を司るコンピューティング機能を有し、CPU及び各種ドライブユニット等のハードウェアを含むコントローラ本体42を備える。コントローラ本体42はメモリ42mを含み、このメモリ42mには、チラーCにおける冷却水Lwの温度制御及び一連の動作を実行するためのシーケンス制御プログラム等を格納するプログラムエリア42mpを有するとともに、設定データを含む各種データを書込むデータエリア42mdを有する。コントローラ本体42には操作部43及び表示部44が付属し、この操作部43及び表示部44はキャビネット11の前面パネル等に配設される。さらに、コントローラ本体42の出力ポートには、圧縮機インバータ17i及び電子膨張弁22等を接続する。
このように構成されるチラーCは、一台のチラーCにより独立したチラーとして運転することができる。したがって、運転時には圧送ポンプ20が作動し、冷却液タンク2内の冷却水Lwは、熱交換器(冷却部)19及び供給口3sを介して外部に供給され、後述する被冷却部Mを冷却できるとともに、被冷却部Mにより熱交換された冷却水Lwは、戻り口3rを介して再び冷却液タンク2に戻される。この際、供給口3sから供給される冷却水Lwの温度は、供給口3s付近に配した不図示の出口温度センサにより検出されるとともに、チラーコントローラ41により、圧縮機17に接続した圧縮機インバータ17iや電子膨張弁22を含む冷却装置5等が制御され、冷却水Lwの温度が予め設定した目標温度となるように温度制御される。また、送風ファン12の回転により、外気熱交換室Rc内が吸引されることにより、キャビネット11の側面(正面,背面)に設けた吸気口11i,11iから空冷用空気(外気)Aが吸気され、熱交換ユニット14p,14q及び凝縮ユニット13p,13qを通過してキャビネット11の上端に設けた排気口11eから排気される。そして、負荷が大きいなどの所定の条件下で、噴霧ノズルNs…から水Lwmが噴霧され、蒸発時の潜熱の利用により空冷用空気Aが冷却されるとともに、外気温が低下した等の所定の条件下で、循環ポンプ18が作動し、冷却液タンク2の冷却水Lwが熱交換ユニット14p,14qに循環されることにより冷却水Lwに対して外気温による冷却、即ち、フリークーリングが行われる。
次に、このようなチラーCを利用した本実施形態に係るチラーの連結運転システム1の構成について、図2〜図6を参照して説明する。
本実施形態は、四台のチラーC…を連結した例であり、図2に示すように、四台のチラーC…を並べて設置する。一方、図2中、Mは連結運転システム1から供給される冷却水Lwにより冷却される工作機械等の被冷却部を示す。また、各チラーC…と被冷却部Mは供給配管Ps及び戻り配管Prにより接続する。この場合、供給配管Psの一端口(流出口)は被冷却部Mの給入口Miに接続するとともに、戻り配管Prの一端口(流入口)は被冷却部Mの排出口Meに接続する。他方、各チラーC…における供給口3sは供給開閉弁51及び流量を一定に維持する定流量弁52の直列接続回路を介して供給配管Psの中途に合流接続するとともに、各チラーC…における戻り口3rは戻り開閉弁53を介して戻り配管Prの中途に分岐接続する。この際、被冷却部Mに対して最も上流側に位置するチラーCの供給口3s及び戻り口3rは、供給配管Psの他端口(流入口)及び戻り配管Prの他端口(流出口)にそれぞれ接続する。これにより、各チラーC…における冷却水Lの循環経路は、供給配管Ps及び戻り配管Prを介して並列接続される。
一方、図2及び図6に示すように、密閉構成した内部中空の均圧管8を水平に設置する。この均圧管8は、所定の径以上を確保した管部材8pの両端を閉塞して構成できる。このため、各チラーC…には、均圧ポート(均圧管接続口)55…を設け、この均圧ポート55…の内端を冷却液タンク2…の下部寄りに接続するとともに、均圧ポート55…の外端を均圧開閉弁56…を介して直近に位置する管部材8pの周面に接続する。これにより、各チラーC…の冷却液タンク2…は均圧管8を介して連通する。このため、冷却水Lwの温度が外気温の影響を受けないように、外部に露出する、各チラーC…の均圧ポート55…から均圧管8までの全体を断熱材により覆うことが望ましい。このように、各チラーC…の冷却液タンク2…に共通に接続する均圧管8を設ければ、各チラーC…の冷却液タンク2…に収容する冷却液Lの液面を同一高さに維持できるため、各チラーC…間における冷却液Lの相対流量のバラツキ及び冷却能力(温度制御)のバラツキを排除でき、流量及び温度制御の更なる安定化を図ることができる。
他方、コンピューティング機能を有する集中制御装置7を別途配設する。集中制御装置7は、図3に示すように、CPU等のハードウェアを含む集中制御装置本体62を備える。集中制御装置本体62は、メモリ62mを含み、このメモリ62mには、少なくとも本実施形態に係る連絡運転方法を実行するための各種演算処理及び制御処理等を実行するためのソフトウェア等を格納するプログラムエリア62mpを有するとともに、設定データを含む各種データを書込むデータエリア62mdを有する。また、集中制御装置本体62には操作部63及び表示部64が付属する。
したがって、集中制御装置7は、本実施形態に係る連結運転方法に関係して、次のような基本的処理を行うことができる。即ち、連結運転システム1の運転時には、各チラーC…の負荷率X…を監視し、予め設定した第一監視負荷率Xd以下になったなら、一部のチラーCの冷却液供給機能を除いて停止させ、かつ予め設定した第二監視負荷率Xu以上になったなら、停止させた一部のチラーCを復帰させる制御を行うとともに、チラーCを停止させる際に、運転中の全チラーC…の総制御量Drを、停止させるチラーCを除くチラーC…の台数に分割して各チラーC…に適用する制御を行い、かつ停止させたチラーCを復帰させる際に、運転中の全チラーC…の総制御量Daを、復帰させるチラーCを含むチラーC…の台数に分割して各チラーC…適用する制御を行うことができる。
さらに、集中制御装置本体62は、各チラーC…に備えるコントローラ本体42…に対して双方向通信可能に接続する。この場合、集中制御装置本体62に内蔵する通信部と各コントローラ本体42…に内蔵する通信部を有線通信方式又は無線通信方式により接続する。一方、図2に示すように、被冷却部Mに供給する冷却水Lwの温度を検出する供給冷却水温度センサ65を供給配管Psに付設する。この場合、供給冷却水温度センサ65の付設位置は、チラーCの供給口3sを供給配管Psに接続した合流点であって最も被冷却部M側に位置する合流点peの下流側位置を選定することが望ましい。そして、供給冷却水温度センサ65は集中制御装置本体62のセンサ入力ポートに接続する。また、被冷却部Mから戻される熱交換された冷却水Lwの温度を検出する戻り冷却水温度センサ66を戻り配管Prに付設する。この場合、戻り冷却水温度センサ66の付設位置は、チラーCの戻り口3rを戻り配管Prに接続した分岐点であって最も被冷却部M側に位置する分岐点pjの上流側位置を選定することが望ましい。そして、戻り冷却水温度センサ66は集中制御装置本体62のセンサ入力ポートに接続する。
次に、本実施形態に係るチラーの連結運転方法を含む連結運転システム1の動作について、図2〜図6を参照しつつ図1及び図7に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る連結運転方法の処理手順を示すフローチャートである。今、連絡運転システム1が運転中であって各チラーC…は全て稼動中である場合を想定する(ステップS1)。連絡運転システム1の運転中は、供給冷却水温度センサ65により被冷却部Mに供給される冷却水Lwの温度(検出温度Td)が検出され、集中制御装置7に付与される。これにより、集中制御装置7は、検出温度Tdが予め設定した目標温度Toとなるように、各チラーC…に対して、各チラーC…の動作状態に対応した最適なチラー目標温度Toc…を付与(送信)する。一方、各チラーC…はそれぞれ独立した制御が行われる。即ち、各チラーC…の供給口3s…から外部に供給される冷却水Lw…の温度(チラー検出温度Tdc…)がチラー目標温度Toc…となるように、温度に対するPID制御(フィードバック制御)が行われる。例示の場合、冷却水Lwの目標温度Toは25〔℃〕に設定されている。この目標温度Toに対するディファレンシャル(公差)は±1〔℃〕、即ち、上ディファレンシャル温度Touが26〔℃〕、下ディファレンシャル温度Todが24〔℃〕であり、高精度の温度制御が要求される。これにより、各チラーC…では、供給口3s…の近傍に付設された不図示の出口温度センサにより供給口3s…から外部に供給される冷却水Lw…の温度(チラー検出温度Tdc…)が検出され、検出温度Tdc…が目標温度Toc…となるように、温度に対するPID制御(フィードバック制御)が行われる。
一方、連結運転システム1の運転中、集中制御装置7は、各チラーC…の負荷率X…を監視する(ステップS2,S3)。負荷率Xは、定格負荷に対する稼動中の実負荷の割合であり、各チラーC…の制御系6における制御信号等により得れるため、各負荷率X…に係わるデータが各コントローラ本体42から集中制御装置本体62に送信される。ところで、チラーCにおいては、通常、最も効率の高い運転を行う最適負荷率が存在する。例示したチラーCの最適負荷率が、例えば、40〔%〕であるとすれば、負荷率が40〔%〕よりも低下したり或いは上昇することにより運転効率は低下する。このため、チラーCの最適負荷率を考慮して、予め、下限閾値となる第一監視負荷率Xdと上限閾値となる第二監視負荷率Xuを設定し、この負荷率Xd,Xuに基づいて負荷率Xに対する監視を行う。本実施形態では、第一監視負荷率Xdを30〔%〕、第二監視負荷率Xuを50〔%〕にそれぞれ設定したものとして説明する。
今、運転中に、負荷が低下し、各チラーCの負荷率Xも低下することにより、四台のチラーC…の全ての負荷率X…が第一監視負荷率Xd以下になった場合を想定する(ステップS4)。これにより、集中制御装置7は、チラーC…における負荷率X…が第一監視負荷率Xd以下になった時点の負荷率Xの変化状態を判断する。この際、負荷率Xの変化状態が安定した状態或いは下降中の状態にあるときは、一台のチラーCを、冷却液供給機能を除いて停止させるための処理を行う(ステップS5)。この場合、冷却液供給機能には、少なくとも圧送ポンプ20の動作が含まれる。したがって、チラーCの停止により、冷却装置4及び循環ポンプ18の動作等が停止することになる。なお、負荷率Xの変化状態が上昇中にあるときは、チラーCを停止させるための処理は行わない。
このように、第一監視負荷率Xd以下になったなら、負荷率Xが上昇中ではないことを条件に、チラーCを停止させる制御を行うようにすれば、負荷率Xが一時的な外乱により第一監視負荷率Xdになった場合等を排除できるため、チラーC…の無用な台数変更を回避でき、システム1全体の安定性を高めることができる利点がある。例示の場合、全てのチラーC…における負荷率X…が第一監視負荷率Xd以下になったことを条件としたが、この際の台数は任意であり、例えば、半分の二台のチラーC…が第一監視負荷率Xd以下になったことを条件とするなど、任意に設定できる。また、負荷率Xの変化状態の判断は、最後に第一監視負荷率Xd以下になったチラーCに対して行ってもよいし、全てのチラーC…における変化状態の平均に基づいて判断してもよい。さらに、停止させるチラーCは、判断時における最も運転期間の長いチラーCを選定することが望ましい。
チラーCを停止させる際には、運転中の全チラーC…の総制御量Drを、停止させるチラーCを除くチラーC…の台数に分割して各チラーC…に適用する制御を行う。具体的には、まず、〔停止前のPID制御における積分制御の操作量の総和(蓄積偏差)〕/〔停止後のチラー運転台数〕の演算処理により積分制御の操作量を求める(ステップS6)。そして、求めた積分制御の操作量を、停止させるチラーC以外の各チラーC…に適用する(ステップS7)。例示の場合、四台のチラーC…における積分制御の操作量を加算した総和を1/3に分割した操作量を求め、停止させるチラーC以外の各チラーC…における操作量となるように変更処理する。また、操作量の変更とともに、選択した一台のチラーCを停止させる制御を行う(ステップS8)。この場合、前述したように、圧送ポンプ20の動作を停止させることなく、圧縮機17における圧縮機モータの作動を停止したり循環ポンプ18の作動を停止させる等の制御を行う。これにより、停止させたチラーCからは温調されない冷却水Lwが供給されるため、被冷却部Mに供給される冷却水Lwの全体流量は変化しない。
この結果、チラーCを停止させる直前における四台の各チラーC…の負荷率X…が30〔%〕であったとすれば、一台のチラーCを停止させた後の各チラーC…の負荷率X…は40〔%〕(最適負荷率)になる。この後、三台のチラーC…の稼動中に、再度、負荷率X…が30〔%〕以下になれば、同様の処理により、一台のチラーCを停止させる制御を行う(ステップS8,S3,S4,S5…)。したがって、負荷率X…が徐々に低下した場合、この負荷率X…の低下の状態に対応して稼動させるチラーC…の台数を順次減らすことができ、最終的には一台のチラーCのみでの稼動が可能になる。このように、チラーCを停止させる際に、各チラーC…に対して、〔停止前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔停止後のチラー運転台数〕により求めた積分制御の操作量に変更する制御を行うようにすれば、特に、追加部品を要せず、各チラーC…から供給する冷却液Lの温度を検出する既設の温度センサからの検出結果と制御系6の操作量(冷却装置5に備える圧縮機に対する制御信号等)を利用して容易に実施できる利点がある。
図7は、このような処理を行った場合の温度変化データを示す。例示した図7は、理解を容易にするため、二台のチラー(第一チラー,第二チラー)C…の運転中に負荷率X…が第一監視負荷率Xd(30〔%〕)以下になり、tc時点で1台のチラーCを停止させた状態を示している。同図から明らかなように、tc時点までは、第一チラーCから供給される冷却水Lwの温度はチラー検出温度T1に制御され、第二チラーCから供給される冷却水Lwの温度はチラー検出温度T2に制御され、被冷却部Mに供給される冷却水Lwの温度、即ち、供給冷却水温度センサ65により検出される検出温度Tdは目標温度To付近に制御されている。そして、tc時点で第一チラーCを停止させた後は、第一チラーCのチラー検出温度T1が上昇するとともに、このときの温度変化は、オーバーシュートを経て常温時の水温である27〔℃〕付近に安定する。一方、第二チラーCのチラー検出温度T2は、tc時点で積分制御の操作量が変更されるため、第一チラーCのチラー検出温度T1に対してほぼ反対の温度変化を示し、22〔℃〕付近に制御される。この結果、被冷却部Mに供給される冷却水Lwの温度(検出温度Td)は目標温度To付近に維持される。また、tc時点直後の検出温度Tdは、一時的に不安定な挙動を示すが、上ディファレンシャル温度Touを越えることはない。
他方、今、二台のチラーC…が停止状態にあり、残りの二台のチラーC…が稼動中である場合を想定する。そして、運転中に、二台のチラーC…の双方の負荷率X…が第二監視負荷率Xu以上になったものとする(ステップS3,S4,S9)。これにより、集中制御装置7は、チラーC…における負荷率X…が第二監視負荷率Xu以上になった時点における負荷率Xの変化状態を判断し、この変化状態が安定した状態或いは上昇中の状態にあるときは、停止しているチラーCを復帰させる処理、即ち、冷却液供給機能を除いて停止させた機能を復帰させる処理を行う(ステップS10)。したがって、負荷率Xの変化状態が下降中であるときは、チラーCを復帰させるための処理は行わない。このように、第二監視負荷率Xu以上になったなら、負荷率Xが下降中ではないことを条件に、チラーCを復帰させる制御を行うようにすれば、負荷率Xが一時的な外乱により第二監視負荷率Xuになった場合等を排除できるため、チラーC…の無用な台数変更を回避でき、システム1全体の安定性を高めることができる利点がある。例示の場合、全てのチラーC…における負荷率X…が第二監視負荷率Xu以上になったことを条件としたが、この際の台数は任意であり、例えば、半分の一台のチラーCが第二監視負荷率Xu以上になったことを条件とするなど、任意に設定できる。また、負荷率Xの変化状態の判断は、最後に第二監視負荷率Xu以上になったチラーCに対して行ってもよいし、全てのチラーC…における変化状態の平均に基づいて判断してもよい。さらに、停止させるチラーCは、判断時における最も停止期間の長いチラーCを選定することが望ましい。
ところで、前述した負荷率Xの低下中にチラーCを停止させる処理は、いわば、余力のある状態での停止処理となるため、一台ずつ順次停止させることができる。しかし、負荷率Xの上昇中にチラーCを復帰させる処理は、いわば余力が無くなる状態での復帰処理となるため、負荷が急速に大きくなった場合には、冷却能力が追従できない場合も想定される。そこで、負荷率Xが上昇した際には、負荷率Xの上昇率を演算処理により求める(ステップS11)。そして、上昇率の大きさに対応して復帰させるチラーCの台数を決定する(ステップS12)。即ち、求めた上昇率の度合に基づいて復帰させるチラーCの台数を決定する。したがって、例示の場合、上昇率が設定した基準を越えているときは、二台のチラーC…を同時に復帰させることもできる。このように、チラーCを復帰させる際に、負荷率Xの上昇率を求め、この上昇率に基づいて復帰させるチラーCの台数を決定するようにすれば、かかる上昇率に対応した最適台数のチラーC…を復帰させることができるため、何らかの要因により負荷が急激に大きくなったような場合であっても的確に対応できる利点がある。
一方、チラーCを復帰させる際には、運転中の全チラーC…の総制御量Daを、復帰させるチラーCを含むチラーC…の台数に分割して各チラーC…適用する制御を行う。具体的には、まず、〔復帰前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔復帰後のチラー運転台数〕の演算処理により積分制御の操作量を求める(ステップS13)。そして、求めた積分制御の操作量を、復帰させるチラーCを含む運転中の各チラーC…に適用する(ステップS14)。例示の場合、二台のチラーC…における積分制御の操作量を加算した総和を1/3に分割した操作量を求め、復帰させるチラーCを含む各チラーC…における操作量となるように変更処理する。また、操作量の変更とともに、選択した一台のチラーCを復帰させる制御を行う(ステップS15)。即ち、停止させた圧縮機17における圧縮機モータや循環ポンプ18等を作動可能に復帰させる。
この結果、チラーCを復帰させる直前における二台の各チラーC…の負荷率X…が50〔%〕であったとすれば、一台のチラーCを復帰させた後の各チラーC…の負荷率X…は33.3〔%〕になる。この後、三台のチラーC…の稼動中に、再度、負荷率X…が50〔%〕以上になれば、同様の処理により、チラーCを復帰させる制御を行う(ステップS15,S3,S4,S9…)。したがって、負荷率X…が上昇した場合、この負荷率X…の上昇の状態に対応して稼動させるチラーCの台数を順次増やすことができ、最終的には四台全てのチラーC…を稼動させることができる。このように、チラーCを復帰させる際に、各チラーC…に対して、〔復帰前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔復帰後のチラー運転台数〕により求めたPID制御における積分制御の操作量に変更する制御を行うようにすれば、特に、追加部品を要せず、各チラーC…から供給する冷却液Lの温度を検出する既設の温度センサからの検出結果と制御系6の操作量(冷却装置5に備える圧縮機に対する制御信号等)を利用して容易に実施できる利点がある。
よって、このような本実施形態に係るチラーの連結運転方法及び連結運転システム1によれば、精度の高い安定した温度制御により流量の一定した冷却水Lwが要求される被冷却部Mに対して、複数台のチラーC…を並列接続することにより連結運転する場合であっても、かかる被冷却部Mの要求に対して十分に応えることができるとともに、複数台のチラーを並列接続することにより連結運転するメリット、例えば、負荷率Xが減少(又は増加)したことにより一部のチラーCを停止(又は復帰)させるなどの柔軟な運転制御を行うことができる。この結果、各チラーC…を最も効率の高い負荷率X近辺で運転できるとともに、使用しないチラーC…は停止させることができるなど、全体における有効な省エネルギ化を実現できる。また、各チラーC…を単純な並列接続することにより構成できるため、連結するチラーC…の台数を容易に変更(増減)できる。この結果、様々な用途に対しても柔軟に対応できるなど、適応性及び汎用性に優れた連結運転システム1を構築できるとともに、システム全体のコストダウンにも寄与できる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,制御手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、実施形態では、チラーCを停止させる際に、各チラーC…に対して、〔停止前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔停止後のチラー運転台数〕により求めた積分制御の操作量に変更する制御を行い、また、チラーCを復帰させる際に、各チラーC…に対して、〔復帰前のPID制御における積分制御の操作量の総和〕/〔復帰後のチラー運転台数〕により求めたPID制御における積分制御の操作量に変更する制御を行う場合を示したが、他の制御方式を用いてもよく、要は、チラーCの停止時又は復帰時に冷却水Lwの温度(検出温度Td)がディファレンシャルを外れない制御方式であれば各種制御方式を採用できる。したがって、例えば、チラーCの停止時又は復帰時から一定期間は予め設定した動作パターンとなるようにオープンループ制御する方式を採用したり、フィードフォワード制御方式を採用するなどしてもよい。特に、フィードフォワード制御方式を採用した場合には、冷却装置5に備える圧縮機の現在の出力(入力)を強制的に変更した後、通常のPID制御(フィードバック制御)に移行させることができるなど、比較的汎用的な制御方式の利用により容易かつ確実に実施できる。
一方、第一監視負荷率Xd及び第二監視負荷率Xuは、それぞれ単一の設定値を適用してもよいし、適用時のチラーC…の台数に対応してそれぞれ異なる大きさの設定値を適用してもよい。異なる大きさの設定値を適用する場合には、全設定値に対する最適化を図ることができる。その他、外気熱交換器14の構成として、V形に構成した例を挙げたが、最も一般的な構成となる一つ又は二つの熱交換ユニット14p,14qを平行に起立させた構成或いはX形の構成等の他の構成を排除するものではない。なお、冷却液Lには、例示した冷却水Lwをはじめ、不凍液等の各種溶液が含まれるとともに、水Lwmには、水道水や井戸水等の各種清水が含まれる。また、本発明における制御上の冷却とは加熱も含まれる概念である。