JP5673936B2 - 太陽電池モジュール用フロントシート、それを用いた太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュール用フロントシートの製造方法 - Google Patents
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Description
前記太陽電池モジュール用フロントシートが、第1の発明〜第3の発明のいずれかの太陽電池モジュール用フロントシートであって、かつ前記太陽電池モジュール用フロントシートが、第2の透明フィルム側の面を前記太陽電池素子に向けて配置されている、太陽電池モジュールである。
本発明の太陽電池モジュールによれば、良好なガスバリア性を示す太陽電池モジュール用フロントシートを用いることで、耐久性に優れる太陽電池モジュールが得られる。
本発明による太陽電池モジュール用フロントシートの製造方法によれば、良好なガスバリア性を示し、かつ樹脂製フィルム間の密着性が高い太陽電池モジュール用フロントシートを製造することが可能となる。
太陽電池モジュール用フロントシートは、太陽電池モジュールの太陽電池素子の受光面側に用いられる封止用基板である。なお、太陽電池モジュール用バックシートは、太陽電池素子の受光面と反対面側に用いられる封止用基板である。
第1の透明フィルム1は、樹脂製の透明なフィルムである。
第2の透明フィルム5は、ポリエステル樹脂製基材2に、有機層3、無機層4がこの順に形成された透明なフィルムである。
ポリエステル樹脂製基材2は、第2の透明フィルム5の基材であり、ポリエステル樹脂からなる。ポリエステル樹脂は熱や光で比較的収縮しにくいので、第2の透明フィルム5の基材にポリエステル樹脂を用いることによって、熱や光によって基材が収縮し、無機層4にひび割れが発生してガスバリア性が低下することを防げる。また、ポリエステル樹脂は耐溶剤性や耐熱性が高いので、ポリエステル樹脂製基材上に有機層3や無機層4を形成する際に溶剤を使用したり熱負荷がかかったりする場合であっても、溶剤や熱によって基材が劣化し、無機層4に微小な穴空き等の欠陥が生じてガスバリア性が低下することも防げる。
有機層3は、ヒドロキシル基を有さないオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在する構成単位を含むアクリル樹脂を有する層である。有機層3がヒドロキシル基を有さないオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在する構成単位を含むアクリル樹脂を有することで、良好なガスバリア性が得られる。ここで、有機層中のヒドロキシル基の有無は、JIS K 1557−1970に準拠して測定できる。すなわち、試料を無水酢酸を含むピリジン溶液とし、ピリジン還流下で、ヒドロキシル基をアセチル化する。イミダゾールを触媒にして、この反応を促進させ、過剰のアセチル化試薬は水によって加水分解し、生成した酢酸を水酸化ナトリウムの標準液で滴定して計測できる。
特に、R1,R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ互いに独立で水素原子又はメチル基であることが好ましく、R1,R2,R3,R4,R5,R6が同一でかつ水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
特に、R1,R2,R3,R4,R5,R6はそれぞれ互いに独立で水素原子又はメチル基であることが好ましく、R1,R2,R3,R4,R5,R6が同一でかつ水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
無機層4は、上記した有機層3上に形成され、ガスバリア性を示す無機化合物を有する一又は二以上の層であり、水蒸気等のガスを遮断するガスバリア機能を担う層である。
接着層6は、前記第1の透明フィルムのいずれか一方の面側と前記第2の透明フィルムの有機層及び無機層を有する面側に配置され、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムの無機層とを積層させる層である。そして、第1の透明フィルム1は、接着剤等による接着層6を介し、第2の透明フィルム5の無機層側に積層され、無機層側が貼り合わせ面となることで、第2の透明フィルム5を構成する無機層4及び有機層3等の各層が、第1の透明フィルム1に保護される。その結果、太陽電池モジュール用フロントシート10のハンドリング、太陽電池素子側の封止材の影響等で、無機層4が破壊されることがなくガスバリア性を維持できることになる。
太陽電池モジュール用フロントシート10は、第1の透明フィルム1、第2の透明フィル5、及び接着層6以外のフィルム又は層を有していても良い。
また、第1の透明フィルム1、又は第2の透明フィルム5は、第1の透明フィルム1又は第2の透明フィルム5を構成する上述のフィルム又は層以外のフィルム又は層を有していてもよい。例えば、第1の透明フィルム1の光入射側の面には、反射防止層、ハードコート層、防曇層、防汚層、保護層等の機能層が形成されていても良い。また、第1の透明フィルム1又は第2の透明フィルム5は、帯電防止層、平滑化層、応力緩和層、易接着層を有していてもよい。
以上のような構成とすることで、本発明による太陽電池モジュール用フロントシート10は、例えば、水蒸気に対するガスバリア性を0.05g/m2 ・day以下とすることも可能となる。水蒸気に対するガスバリア性、つまり、水蒸気透過率は、例えば、市販の水蒸気透過率測定装置(米国MOCON社製、PERMATRANなど)を用いて測定することができる。
本発明による太陽電池モジュールは、図2の断面図で例示する太陽電池モジュール20のように、太陽電池素子21と、該太陽電池素子21の前面側である光入射面側に配置される上記した太陽電池モジュール用フロントシート10と、該太陽電池素子21の後面側に配置される太陽電池モジュール用バックシート22とを備える太陽電池モジュールである。このとき、太陽電池モジュール用フロントシート10は、第1の透明フィルム1側を光入射面として、第2の透明フィルム5を太陽電池素子21側に向けて配置される。さらに、太陽電池素子21は、前面側の太陽電池モジュール用フロントシート10と後面側の太陽電池モジュール用バックシート22と、これらを接着する封止材23とによって、密閉された構成となっている。
本発明の太陽電池モジュール用フロントシートは、製造方法を特に限定されるものではないが、例えば、第1の透明フィルムを準備する準備工程、第2の透明フィルムを作製する作製工程、及び積層工程を経て製造することができる。
第1の透明フィルムを準備する準備工程は、樹脂製の第1の透明フィルムを準備する工程であり、第1の透明フィルムを公知の方法で適宜作製して準備しても、市販品を譲り受けて準備してもよい。樹脂製の第1の透明フィルムを作製する場合の公知の方法としては、例えば、溶融させたモノマー又はポリマーを溶融押し出しで製膜する方法を挙げることができる。製膜後、必要に応じて公知の延伸法により1軸延伸又は2軸延伸してもよい。
第2の透明フィルムを作製する作製工程は、ポリエステル樹脂製基材上に、ヒドロキシル基を有さないオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在する構成単位を含むアクリル樹脂を有する有機層、及びガスバリア性を示す無機化合物を有する無機層をこの順に有する第2の透明フィルムを作製する工程である。
有機層形成工程は、上述のポリエステル樹脂製基材2上に、例えば、公知の塗工法や印刷法でヒドロキシル基を有さないオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在する構成単位を含むアクリル樹脂を層形成させる方法を用いることができる。あるいは、公知の塗工法や印刷法でヒドロキシル基を有さないオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在する構成単位を含むアクリレートを層形成させた後に、紫外線重合法、電子線重合法、又は熱重合法などの公知の方法で重合させる方法を用いることができる。
無機層4の形成は、緻密で均一な膜を形成できる方法であれば良く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD)、あるいは、プラズマCVD法、熱CVD法などの化学気相成長法(CVD)などの気相成長法が好ましい。なかでも、イオンプレーティング法は、原料をプラズマガンで発生させたプラズマビームでイオン化させ、有機層に堆積させる方法であり、高い成膜速度を得られるために好ましい。
積層工程では、上述の準備工程で準備した第1の透明フィルムと上述の作製工程で作製した第2の透明フィルムとを、前記第1の透明フィルムのいずれか一方の面側に前記第2の透明フィルムの有機層及び無機層を有する面側を向く様にして、第1の透明フィルムと第2の透明フィルムの無機層との間に接着層を介して積層する積層工程である。
本発明による太陽電池モジュール用フロントシートの製造方法では、上述の準備工程、作製工程、及び積層工程以外の工程を含んでいてもよい。そのような工程として、例えば、第1の透明フィルム1に反射防止層を形成する工程、第2の透明フィルムの作製工程内にてポリエステル樹脂製基材面に易接着処理を施す工程、などを挙げることができる。
各性能は次の方法で評価した。
水蒸気に対するガスバリア性の評価として、温度40℃相対湿度90%RHの条件にて、下記耐光試験前後の水蒸気透過率を、米国MOCON社製の水蒸気透過率測定装置(PERMATRAN)を使用して測定した。評価は、0.05g/m2・day(40℃90%RH)以下を可(○)、0.05g/m2・day(40℃90%RH)を超過を不可(×)とした。
耐光試験は、試料を、紫外線劣化促進試験機(岩崎電気株式会社製のアイスーパーUVテスターSUV−W23)を用いて、紫外線照射強度100mW/cm2、槽内環境:60℃50%RH、照射時間:168時間の条件にて、紫外線を照射することによっておこなった。
無機層の表面凹凸の評価として、原子間力顕微鏡AFM(セイコーインスツル株式会社製のNanopics(登録商標)1000)と光干渉式表面形状測定装置(東レエンジニアリング株式会社製のSP500)を用いて、P−V値及びRaを測定した。
(密着性)
密着性評価として、引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製のテンシロン万能材料試験機)を使用して、幅15mmの試料の第1の透明フィルム1と第2の透明フィルム5を90度方向に速度5mm/sで剥離したときの引張張力を測定した。評価は、5N/15mm以上が可(○)、5N/15mm超過が不可(×)とした。
第1の透明フィルムとして、紫外線吸収剤を含有した厚さ33μmのアクリル樹脂製フィルム(株式会社カネカ製、商品名:サンデュレン(登録商標))を準備した。このフィルムの紫外光領域である240〜400nmの範囲の各波長の透過率は5%未満である。
上記一般式[2](R1〜R6は水素原子、n1=n2=1、n1+n2=2)の化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステル A−BPEF):38質量部、トルエン:60質量部、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](重合開始剤、米国lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部。
上記により、実施例1の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。
下記の組成に調整した紫外線硬化型の組成物(2)を用いて有機層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。
前記一般式[2](R1〜R6は水素原子、n1=n2=1、n1+n2=2)の化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステル A−BPEF):34.2質量部、ポリエステルアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):3.8重量部、トルエン:60質量部、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](重合開始剤、米国lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部。
第1の透明フィルムとして、厚さ25μmのフッ素樹脂フィルム(テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)、旭硝子株式会社製、商品名:アフレックス(登録商標))を使用し、接着剤として、紫外線吸収機能を示す官能基を有するアクリル樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:UV−G101)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。この接着層の紫外光領域である240〜400nmの範囲の各波長の透過率は5%未満である。
有機層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムの有機層が形成された面とは反対側の面を0℃で冷却されている冷却ローラに接触させながら、有機層上に酸化珪素亜鉛層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。
有機層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムの有機層が形成された面とは 反対側の面を20℃で冷却されている冷却ローラに接触させながら、有機層上に酸化珪素亜鉛層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、参考例の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。
有機層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。
有機層を下記一般式[3](R1〜R6は水素原子、n1=n2=1、n1+N2=2)で表される構成単位を有するアクリル樹脂とするために、下記の組成に調整した紫外線硬化型の組成物(3)を用いて有機層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。なお、紫外線硬化型の組成物(3)で用いている下記一般式[4](R1〜R6は水素原子、n1=n2=1、n1+N2=2)の化合物は、その構造内に、ヒドロキシル基を有するオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在するものであるので、下記一般式[4](R1〜R6は水素原子、n1=n2=1、n1+n2=2)の化合物を用いて形成された有機層は、下記一般式[3]のヒドロキシル基を有するオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在する構成単位を含むアクリル樹脂を有するものである。
下記一般式[4](R1〜R6は水素原子、n1=n2=1、n1+N2=2)の化合物:34.2質量部、ポリエステルアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):3.8重量部、トルエン:60質量部、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](重合開始剤、米国lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部。
下記の組成に調整した紫外線硬化型の組成物(4)を用いて有機層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3の太陽電池モジュール用フロントシートを作製した。なお、紫外線硬化型の組成物(4)で用いているポリエステルアクリレートは、その構造内にオキシアルキレン基及びフルオレン基が存在しないものである。
ポリエステルアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):38重量部、トルエン:60質量部、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](重合開始剤、米国lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部。
評価結果を表1に示す。
2 ポリエステル樹脂製基材
3 有機層
4 無機層
5 第2の透明フィルム
6 接着層
10 太陽電池モジュール用フロントシート
20 太陽電池モジュール
21 太陽電池素子
22 太陽電池モジュールバックシート
23 封止材
L 光
Claims (5)
- 樹脂製の第1の透明フィルムと、
ポリエステル樹脂製基材上に、有機層、及びガスバリア性を示す無機化合物を有する無機層をこの順に有する第2の透明フィルムと、
前記第1の透明フィルムのいずれか一方の面側と前記第2の透明フィルムの有機層及び無機層を有する面側に配置され、前記第1の透明フィルムと前記第2の透明フィルムの無機層とを積層させる接着層と、
を有する太陽電池モジュール用フロントシートであって、
前記有機層が、アクリル樹脂を有し、
前記有機層のアクリル樹脂が、ヒドロキシル基を有さないオキシアルキレン基、及びフルオレン基が存在する構成単位を含み、
前記有機層が、該有機層の表面近傍に凹凸を有し、
前記無機層が、前記有機層の凹凸を有する表面に沿うように形成されてなり、該無機層の表面にP−V値が200nm以上、かつ、Raが35nm以上である凹凸を有する、
太陽電池モジュール用フロントシート。 - 上記一般式[1]中、n1+n2が1〜6である、請求項2記載の太陽電池モジュール用フロントシート。
- 太陽電池モジュール用フロントシート、太陽電池素子、及び太陽電池モジュール用バックシートを備えた太陽電池モジュールにおいて、
前記太陽電池モジュール用フロントシートが、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池モジュール用フロントシートであって、かつ前記太陽電池モジュール用フロントシートが、第2の透明フィルム側の面を前記太陽電池素子に向けて配置されている、太陽電池モジュール。 - 樹脂製の第1の透明フィルムを準備する準備工程と、
ポリエステル樹脂製基材上に、下記一般式[2](一般式[2]中、n1,n2は0又は正の整数で、n1+n2は1〜6である。R1,R2は水素原子又はメチル基であり、R3, R4は水素原子、メチル基又はエチル基であり、R5,R6は水素原子、メチル基又はエチル基である。)で表される化合物と重合開始剤とを含む組成物を紫外線で架橋させて有機層を形成する有機層形成工程、及び
第2の透明フィルムを作製する作製工程と、
前記準備工程で準備した第1の透明フィルムと前記作製工程で作製した第2の透明フィルムとを、前記第1の透明フィルムのいずれか一方の面側に前記第2の透明フィルムの有機層及び無機層を有する面側を向く様にして、前記第1の透明フィルムと前記第2の透明フィルムの無機層との間に接着層を介して積層する積層工程と、
を有する、太陽電池モジュール用フロントシートの製造方法。
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