以下、本発明の階調マスクおよび表示装置製造用階調マスクについて詳細に説明する。
A.階調マスク
本発明の階調マスクは、遮光膜のパターンおよび半透明膜のパターンの構成により、3つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様に分けて説明する。
I.第1実施態様
本発明の階調マスクの第1実施態様は、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光膜および透過率調整機能を有する半透明膜とを有する階調マスクであって、上記透明基板のみを有する透過領域と、上記透明基板上に上記遮光膜のメインパターンが設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜の補助パターンのみが設けられ、上記半透明膜の補助パターンおよび開口部の少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもつ第2半透明領域とを有することを特徴とするものである。
なお、解像限界以下とは、上記階調マスクを用いた露光における解像限界以下を意味する。
本実施態様の階調マスクについて、図面を参照しながら説明する。
図17は本実施態様の階調マスクの一例を示す模式図である。なお、図17(a)は図17(b)のA−A線断面図である。図17に例示するように、階調マスク61は、透明基板62上に半透明膜64および遮光膜63がパターン状に形成されたものである。この階調マスク61においては、透明基板62のみを有する透過領域71と、透明基板62上に遮光膜のメインパターン63aが設けられた遮光領域72と、透明基板62上に半透明膜のメインパターン64aのみが設けられた第1半透明領域73と、透明基板62上に半透明膜の補助パターン64bのみが設けられた第2半透明領域74とが混在している。そして、第2半透明領域74では半透明膜の補助パターン64bおよび/または開口部64cが解像限界以下の寸法を有している。
本実施態様の階調マスクは、半透明膜の補助パターンのみが設けられた第2半透明領域を有するので、半透明膜の補助パターンおよび/または開口部の寸法や数等を適宜選択することにより、透過率を調整することができる。
ここで、従来のスリットマスクは、遮光膜が微細なパターン状に加工されたものである。これに対し、本実施態様の階調マスクは、半透明膜の補助パターンのみが設けられた第2半透明領域を有している。この半透明膜は透過率調整機能を有し、遮光膜よりも透過率が高く、透明基板よりも透過率が低い。そのため、半透明膜を微細なパターン状に加工することにより、遮光膜を微細なパターン状に加工する場合と比較して、透過領域の透過率に対しての微妙な透過率の調整が可能である。したがって本実施態様においては、従来のスリットマスクでは形成できなかった厚みのパターンを形成することができるような、微妙な透過率の調整が可能である。また、第2半透明領域では半透明膜が微細なパターン状に加工されているので、図17に例示するような第1半透明領域と比較しても、透過領域の透過率に対しての微妙な透過率の調整が可能である。すなわち、本実施態様の階調マスクは、透過率の設計の幅が広いという利点を有する。
また、半透明膜の補助パターンおよび/または開口部の寸法や数等を調整し、半透明膜の補助パターンおよび/または開口部の寸法や数等が異なる、すなわち透過率の異なる第2半透明領域を複数混在させることにより、多階調のマスクとすることが可能となる。したがって、多階調化のために半透明膜の成膜およびパターニングを繰り返し行う必要がなく、比較的簡便な工程で多階調のマスクを得ることができる。
さらに、上記のような透過率の異なる第2半透明領域が複数混在している場合には、透過率が少なくとも4段階に段階的に変化する多階調のマスクとすることができる。そのため、このような階調マスクを用いて感光性樹脂層を露光した場合には、各領域の透過率に応じて感光性樹脂層の光反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することにより、厚みの異なる3種類以上のパターンを一括形成することができる。したがって、本実施態様の階調マスクは、3種類以上のパターンを一括形成する場合に用いることができる。
本実施態様の階調マスクは、図17に例示するように、透過領域、遮光領域および第2半透明領域に加えて、さらに第1半透明領域を有していてもよい。図17に例示する階調マスクにおいては、第2半透明領域に半透明膜の補助パターンを配置することにより、透過領域、遮光領域および第1半透明領域の各領域の透過率に対して、第2半透明領域の透過率を異なるものとすることができる。透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第2半透明領域では透過率が異なるので、上記の階調マスクは、透過率が少なくとも4段階に段階的に変化する多階調のマスクとなる。
上記第1半透明領域では半透明膜のパターンが半透明膜のメインパターンであり、上記第2半透明領域では半透明膜のパターンが微細なパターン状に加工された半透明膜の補助パターンである。そのため、半透明膜を所定のパターンに加工することにより、透過率の異なる第1半透明領域および第2半透明領域を得ることができる。したがって、階調マスクがさらに第1半透明領域を有する場合にも、多階調化のために半透明膜の成膜およびパターニングを繰り返し行う必要がなく、比較的簡便な工程で多階調のマスクを得ることができる。
さらに、上記第1半透明領域では半透明膜のメインパターンが形成され、上記第2半透明領域では半透明膜の補助パターンが形成されているため、第2半透明領域は第1半透明領域よりも高い透過率となり、透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第2半透明領域では透過率が異なるものとなる。そのため、上記階調マスクを用いて感光性樹脂層を露光した場合には、各領域の透過率に応じて感光性樹脂層の光反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することにより、厚みの異なる3種類のパターンを一括形成することができる。したがって、本実施態様の階調マスクが上記第1半透明領域を有する場合、3種類以上のパターンを一括形成する場合に好適に用いることができる。
なお、半透明膜の透過率特性、形成材料、構成、厚みおよび成膜方法等、遮光膜の透過率特性、形成材料、厚み、成膜方法等、透明基板、ならびに階調マスクの製造方法については、第3実施態様に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。以下、本実施態様の階調マスクのその他の構成について説明する。
1.第2半透明領域
本実施態様における第2半透明領域は、透明基板上に半透明膜の補助パターンのみが設けられ、半透明膜の補助パターンおよび開口部の少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもつ領域である。
なお、本実施態様における半透明膜の補助パターンとは、開口部を有し、この半透明膜の補助パターンおよび/または開口部が解像限界以下の寸法をもつものであり、第2半透明領域内で微細なパターン状に形成されている半透明膜の部分をいう。
第2半透明領域では、半透明膜の補助パターンが解像限界以下の寸法であってもよく、半透明膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法であってもよく、半透明膜の補助パターンおよび開口部のいずれもが解像限界以下の寸法であってもよい。これは、目的とする第2半透明領域の透過率に応じて適宜選択される。例えば、半透明膜の補助パターンが解像限界以下の寸法である場合は、半透明膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法である場合と比較して、透過率を高くすることができる。
中でも、半透明膜の補助パターンが解像限界以下の寸法であることが好ましい。上述したように、半透明膜の補助パターンの開口部よりも、半透明膜の補助パターンを微細なパターンとし解像限界以下の寸法とするほうが、透過率をより高くすることができるからである。
半透明膜の補助パターンの形状としては、特に限定されるものではなく、例えば図18(a)〜(e)に示すようなスリット状、図19(a)〜(e)に示すような円形のドット状、図20(a)〜(e)に示すような多角形のドット状、図21(b)に示すような円形の開口部を有する円形のリング状、図21(a),(c)〜(e)に示すような多角形の開口部を有する多角形のリング状など、種々の形状が挙げられる。
また、半透明膜の補助パターンの開口部の形状としては、上記の半透明膜の補助パターンの形状と同様の種々の形状が挙げられる。
例えば、半透明膜の補助パターンの形状がスリット状やドット状である場合、半透明膜の補助パターンは複数のスリットやドットが配列されたものであってもよく、一つのスリットやドットであってもよい。半透明膜の補助パターンの開口部の形状がスリット状やドット状である場合も、上記と同様である。
また、図18(a)〜(e)、図19(a),(b)に例示するように、半透明膜の補助パターン64bが複数のスリットやドットが配列されたものである場合、そのピッチとしては、特に限定されるものではなく、目的とする第2半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。半透明膜の補助パターンの開口部が複数のスリットやドットが配列されたものである場合も、上記と同様である。
なお、後述する第3実施態様における第2半透明領域は、半透明膜の補助パターンの形状がスリット状であり、この半透明膜の補助パターン(スリットパターン)が解像限界以下の寸法をもつものとなる。
第2半透明領域は、上述したように透明基板上に半透明膜の補助パターンのみが設けられた領域である。すなわち、第2半透明領域には、遮光膜は形成されていない、また半透明膜のメインパターンも形成されていない。
また、第2半透明領域においては、半透明膜の補助パターンの幅およびピッチの少なくともいずれか一方が異なる領域が複数存在していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
第2半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第1半透明領域の透過率よりも高ければ、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
第2半透明領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、第2半透明領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
2.第1半透明領域
本実施態様の階調マスクは、透明基板上に半透明膜のメインパターンのみが設けられた第1半透明領域を有することが好ましい。このような第1半透明領域を設けることにより、容易に多階調化することができるからである。
なお、本実施態様における半透明膜のメインパターンとは、解像限界以上の寸法をもつものであり、第1半透明領域の全域に形成されている半透明膜の部分をいう。
この半透明膜のメインパターンの寸法および形状は、第1半透明領域、遮光領域、第3半透明領域の寸法および形状に応じて適宜調整される。
第1半透明領域は、透明基板上に半透明膜のメインパターンのみが設けられた領域である。すなわち、第1半透明領域には、遮光膜は形成されていない、また半透明膜の補助パターンも形成されていない。
第1半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第2半透明領域の透過率よりも低ければ、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
第1半透明領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、第1半透明領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
3.第3半透明領域
本実施態様の階調マスクは、透明基板上に遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンが設けられ、遮光膜の補助パターンおよび開口部の少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されている第3半透明領域を有していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
図22に例示するように、第3半透明領域75は、透明基板62上に遮光膜の補助パターン63bおよび半透明膜のパターン(図22では半透明膜のメインパターン64a)が設けられ、遮光膜の補助パターン63bおよび/または開口部63cが解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部63cにて透明基板62上に半透明膜64が形成されている領域である。ここで、図22(a)は図22(b)のB−B線断面図である。
なお、本実施態様における遮光膜の補助パターンとは、開口部を有し、この遮光膜の補助パターンおよび/または開口部が解像限界以下の寸法をもつものであり、第3半透明領域内で微細なパターン状に形成されている遮光膜の部分をいう。
第3半透明領域では、透明基板上に遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンが設けられ、遮光膜の補助パターンおよび/または開口部が解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されていれば、半透明膜のパターンとしては特に限定されるものではない。例えば、図23(a)〜(c)に示すように第3半透明領域75の全域に半透明膜が形成され、半透明膜のメインパターン64aとされていてもよく、また図23(d),(e)に示すように第3半透明領域75にて遮光膜の補助パターンの開口部63cのみに半透明膜が形成され、半透明膜の補助パターン64bとされていてもよい。
なお、本実施態様における半透明膜のメインパターンとは、解像限界以上の寸法をもつものであり、上述したように第1半透明領域の全域に形成されている半透明膜の部分だけでなく、第3半透明領域の全域に形成されている半透明膜の部分をもいう。
また、本実施態様における半透明膜の補助パターンとは、開口部を有し、この半透明膜の補助パターンおよび/または開口部が解像限界以下の寸法をもつものであり、上述したように第2半透明領域内で微細なパターン状に形成されている半透明膜の部分だけでなく、第3半透明領域内で微細なパターン状に形成されている半透明膜の部分をもいう。
さらに、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されているとは、図23(a),(b),(d)に例示するように透明基板の一方の面に遮光膜および半透明膜が形成され、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されている場合だけでなく、図23(c),(e)に例示するように透明基板の一方の面に遮光膜が形成され、透明基板の他方の面に半透明膜が形成され、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されている場合も含まれる。
第3半透明領域では、遮光膜の補助パターンが解像限界以下の寸法であってもよく、遮光膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法であってもよく、遮光膜の補助パターンおよび開口部のいずれもが解像限界以下の寸法であってもよい。これは、目的とする第3半透明領域の透過率に応じて適宜選択される。例えば、遮光膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法である場合は、遮光膜の補助パターンが解像限界以下の寸法である場合と比較して、透過率を低くすることができる。
中でも、遮光膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法であることが好ましい。上述したように、遮光膜の補助パターンよりも、遮光膜の補助パターンの開口部を微細なパターンとし解像限界以下の寸法とするほうが、透過率をより低くすることができるからである。
遮光膜の補助パターンが解像限界以下の寸法をもつ場合、遮光膜の補助パターンの寸法としては解像限界以下であれば特に限定されるものではなく、目的とする第3半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。同様に、遮光膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法をもつ場合、遮光膜の補助パターンの開口部の寸法としては解像限界以下であれば特に限定されるものではなく、目的とする第3半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。
なお、遮光膜の補助パターンおよび開口部の形状等については、上記第2半透明領域の項に記載した半透明膜の補助パターンおよび開口部の形状等と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、半透明膜のメインパターンについては、上記第1半透明領域の項に記載したものと同様であり、半透明膜の補助パターンおよび開口部については、上記第2半透明領域の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、後述する第3実施態様における第3半透明領域は、遮光膜の補助パターンの形状がスリット状であり、この遮光膜の補助パターン(スリットパターン)が解像限界以下の寸法をもち、さらに第3半透明領域の全域に半透明膜が形成され、半透明膜のパターンが半透明膜のメインパターンであるものとなる。
第3半透明領域には、遮光膜のメインパターンは形成されていない。上述したように、第3半透明領域の全域に半透明膜が形成され、半透明膜のパターンが半透明膜のメインパターンとされる場合には、第3半透明領域には半透明膜の補助パターンは形成されない。一方、第3半透明領域にて遮光膜の補助パターンの開口部のみに半透明膜が形成され、半透明膜のパターンが半透明膜の補助パターンとされる場合には、第3半透明領域には半透明膜のメインパターンは形成されない。
また、第3半透明領域においては、遮光の補助パターンの幅およびピッチの少なくともいずれか一方が異なる領域が複数存在していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
第3半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第1半透明領域の透過率より低く、第2半透明領域の透過率より低ければ、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
第3半透明領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、第3半透明領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
4.第4半透明領域
本実施態様の階調マスクは、透明基板上に遮光膜の補助パターンが設けられ、遮光膜の補助パターンおよび開口部の少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板が露出している第4半透明領域を有していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
図24に例示するように、第4半透明領域76は、透明基板62上に遮光膜の補助パターン63bが設けられ、遮光膜の補助パターン63bおよび/または開口部63cが解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部63cにて透明基板62が露出している領域である。ここで、図24(a)は図24(b)のC−C線断面図である。
なお、本実施態様における遮光膜の補助パターンとは、開口部を有し、この遮光膜の補助パターンおよび/または開口部が解像限界以下の寸法をもつものであり、上述したように第3半透明領域内で微細なパターン状に形成されている遮光膜の部分だけでなく、第4半透明領域内で微細なパターン状に形成されている遮光膜の部分をもいう。
第4半透明領域では、遮光膜の補助パターンが解像限界以下の寸法であってもよく、遮光膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法であってもよく、遮光膜の補助パターンおよび開口部のいずれもが解像限界以下の寸法であってもよい。これは、目的とする第4半透明領域の透過率に応じて適宜選択される。例えば、遮光膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法である場合は、遮光膜の補助パターンが解像限界以下の寸法である場合と比較して、透過率を低くすることができる。
遮光膜の補助パターンが解像限界以下の寸法をもつ場合、遮光膜の補助パターンの寸法としては解像限界以下であれば特に限定されるものではなく、目的とする第4半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。同様に、遮光膜の補助パターンの開口部が解像限界以下の寸法をもつ場合、遮光膜の補助パターンの開口部の寸法としては解像限界以下であれば特に限定されるものではなく、目的とする第4半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。
なお、遮光膜の補助パターンおよび開口部の形状等については、上記第2半透明領域の項に記載した半透明膜の補助パターンおよび開口部の形状等と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板が露出しているとは、図24に例示するように、遮光膜の補助パターンの開口部63cにて透明基板62の両方の面が露出している場合をいう。例えば図23(c),(e)に示すように、遮光膜の補助パターンの開口部63cにて透明基板62の一方の面しか露出していない場合は含まれない。
第4半透明領域では、透明基板上に遮光膜の補助パターンが設けられ、遮光膜の補助パターンおよび開口部の少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板が露出していれば、透明基板上に半透明膜のパターンが形成されていてもよい。例えば図24に示すように、第4半透明領域76には、遮光膜の補助パターン63bと同様の位置に、半透明膜の補助パターン64bが形成されていてもよい。
なお、本実施態様における半透明膜の補助パターンとは、開口部を有し、この半透明膜の補助パターンおよび/または開口部が解像限界以下の寸法をもつものであり、上述したように第2半透明領域内で微細なパターン状に形成されている半透明膜の部分、第3半透明領域内で微細なパターン状に形成されている半透明膜の部分だけでなく、第4半透明領域内で微細なパターン状に形成されている半透明膜の部分をもいう。
半透明膜の補助パターンおよび開口部については、上記第2半透明領域の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、後述する第3実施態様における第4半透明領域は、遮光膜の補助パターンの形状がスリット状であり、この遮光膜の補助パターン(スリットパターン)が解像限界以下の寸法をもつものとなる。
第4半透明領域には、遮光膜のメインパターンおよび半透明膜のメインパターンは形成されていない。
また、第4半透明領域においては、遮光の補助パターンの幅およびピッチの少なくともいずれか一方が異なる領域が複数存在していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
第4半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第1半透明領域の透過率より低く、第2半透明領域の透過率より低ければ、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
第4半透明領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、第4半透明領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
5.遮光領域
本実施態様における遮光領域は、透明基板上に遮光膜のメインパターンが設けられた領域である。
なお、本実施態様における遮光膜のメインパターンとは、解像限界以上の寸法をもつものであり、遮光領域の全域に形成されている遮光膜の部分をいう。
遮光領域には、透明基板上に少なくとも遮光膜のメインパターンが形成されていればよく、例えば遮光膜のメインパターンのみが形成されていてもよく、遮光膜のメインパターンおよび半透明膜のパターンが形成されていてもよい。この場合の半透明膜のパターンとしては特に限定されるものではない。
遮光領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、遮光領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
6.透過領域
本実施態様における透過領域は、透明基板のみを有する領域である。すなわち、透過領域には、遮光膜および半透明膜のいずれも形成されていない。
透過領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本実施態様の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、透過領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
7.階調マスク
本実施態様の階調マスクは、透明基板上に遮光膜および半透明膜がパターン状に形成されたものであり、上述した透過領域、遮光領域および第2半透明領域等を有するものであればよく、透明基板、遮光膜および半透明膜の積層順としては特に限定されるものではない。例えば、透明基板、遮光膜および半透明膜の順に積層されていてもよく、透明基板、半透明膜および遮光膜の順に積層されていてもよく、半透明膜、透明基板および遮光膜の順に積層されていてもよい。
また、本実施態様においては、遮光膜上に低反射層が形成されていてもよい。低反射層を設けることにより、階調マスクの使用時において、ハレーションを防止することができるからである。
なお、低反射層については、後述する第3実施態様に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様の階調マスクは、透過率が3段階以上に段階的に変化するものである。階調マスクは、3階調の階調マスクに限定されるものではなく、第2半透明領域における半透明膜の補助パターンまたは開口部の寸法を周期的に変化させることにより、3階調以上の多階調の階調マスクとすることが可能である。
また、本実施態様においては、半透明膜のメインパターンおよび補助パターン、ならびに遮光膜の補助パターンを組み合わせることにより、4階調以上の多階調の階調マスクとすることが可能である。例えば図22および図24に示すように、階調マスク61が、透過領域71、遮光領域72および第2半透明領域74の他に、第1半透明領域73、第3半透明領域75、第4半透明領域76を有することにより、多階調化が可能である。この場合、階調マスクは、例えば透過領域、遮光領域、第2半透明領域、および第1半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第2半透明領域、第1半透明領域および第3半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第2半透明領域、および第4半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第2半透明領域、第4半透明領域および第3半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第2半透明領域、第1半透明領域、第4半透明領域および第3半透明領域を有していてもよい。
なお、階調マスクの用途および大きさ等については、後述する第3実施態様に記載するので、ここでの説明は省略する。
II.第2実施態様
本発明の階調マスクの第2実施態様は、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光膜および透過率調整機能を有する半透明膜とを有する階調マスクであって、上記透明基板のみを有する透過領域と、上記透明基板上に上記遮光膜のメインパターンが設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記遮光膜の補助パターンおよび上記半透明膜のパターンが設けられ、上記遮光膜の補助パターンおよび開口部の少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもち、上記遮光膜の補助パターンの開口部にて上記透明基板上に上記半透明膜が形成されている第3半透明領域とを有することを特徴とするものである。
なお、解像限界以下とは、上記階調マスクを用いた露光における解像限界以下を意味する。
本実施態様の階調マスクについて、図面を参照しながら説明する。
図25は本実施態様の階調マスクの一例を示す模式図である。なお、図25(a)は図25(b)のD−D線断面図である。図25に例示するように、階調マスク61は、透明基板62上に半透明膜64および遮光膜63がパターン状に形成されたものである。この階調マスク61においては、透明基板62のみを有する透過領域71と、透明基板62上に遮光膜のメインパターン63aが設けられた遮光領域72と、透明基板62上に半透明膜のメインパターン64aのみが設けられた第1半透明領域73と、透明基板62上に遮光膜の補助パターン63bおよび半透明膜のパターン(図25においては半透明膜のメインパターン64a)が設けられた第3半透明領域75とが混在している。そして、第3半透明領域75では遮光膜の補助パターン63bおよび/または開口部63cが解像限界以下の寸法を有している。
本実施態様の階調マスクは、遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンが設けられ、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されている第3半透明領域を有するので、例えば遮光膜の補助パターンおよび/または開口部の寸法や数等を適宜選択することにより、透過率を調整することができる。
ここで、従来のスリットマスクは、遮光膜が微細なパターン状に加工されたものである。これに対し、本実施態様の階調マスクは、遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンが設けられ、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されている第3半透明領域を有している。この半透明膜は透過率調整機能を有し、遮光膜よりも透過率が高く、透明基板よりも透過率が低い。そのため、遮光膜を微細なパターン状に加工するとともに、遮光膜の開口部に半透明膜を形成することにより、遮光膜を微細なパターン状に加工するだけの場合と比較して、遮光領域の透過率に対しての微妙な透過率の調整が可能である。したがって本実施態様においては、従来のスリットマスクでは形成できなかった厚みのパターンを形成することができるような、微妙な透過率の調整が可能である。また、第3半透明領域では遮光膜が微細なパターン状に加工され、遮光膜の開口部に半透明膜が形成されているので、図25に例示するような第1半透明領域と比較しても、遮光領域の透過率に対しての微妙な透過率の調整が可能である。すなわち、本実施態様の階調マスクは、透過率の設計の幅が広いという利点を有する。
また、遮光膜の補助パターンおよび/または開口部の寸法や数等を調整し、遮光膜の補助パターンおよび/または開口部の寸法や数等が異なる、すなわち透過率の異なる第3半透明領域を複数混在させることにより、多階調のマスクとすることが可能となる。したがって、多階調化のために半透明膜の成膜およびパターニングを繰り返し行う必要がなく、比較的簡便な工程で多階調のマスクを得ることができる。
さらに、上記のような透過率の異なる第3半透明領域が複数混在している場合には、透過率が少なくとも4段階に段階的に変化する多階調のマスクとすることができる。そのため、このような階調マスクを用いて感光性樹脂層を露光した場合には、各領域の透過率に応じて感光性樹脂層の光反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することにより、厚みの異なる3種類以上のパターンを一括形成することができる。したがって、本実施態様の階調マスクは、3種類以上のパターンを一括形成する場合に用いることができる。
本実施態様の階調マスクは、図25に例示するように、透過領域、遮光領域および第3半透明領域に加えて、さらに第1半透明領域を有していてもよい。図25に例示する階調マスクにおいては、第3半透明領域に遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンを配置することにより、透過領域、遮光領域および第1半透明領域の各領域の透過率に対して、第3半透明領域の透過率を異なるものとすることができる。透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第3半透明領域では透過率が異なるので、上記の階調マスクは、透過率が少なくとも4段階に段階的に変化する多階調のマスクとなる。
上記遮光領域には遮光膜のメインパターンが設けられ、上記第1半透明領域には半透明膜のメインパターンが設けられ、上記第3半透明領域には遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンが設けられている。そのため、遮光膜および半透明膜をそれぞれ所定のパターンに加工することにより、透過率の異なる遮光領域、第1半透明領域および第3半透明領域を得ることができる。したがって、階調マスクがさらに第1半透明領域を有する場合にも、多階調化のために半透明膜の成膜およびパターニングを繰り返し行う必要がなく、比較的簡便な工程で多階調のマスクを得ることができる。
さらに、上記第1半透明領域では半透明膜のメインパターンが形成され、上記第3半透明領域では遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンが形成されているため、第3半透明領域は第1半透明領域よりも低い透過率となり、透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第3半透明領域では透過率が異なるものとなる。そのため、上記階調マスクを用いて感光性樹脂層を露光した場合には、各領域の透過率に応じて感光性樹脂層の光反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することにより、厚みの異なる3種類のパターンを一括形成することができる。したがって、本実施態様の階調マスクが上記第1半透明領域を有する場合、3種類以上のパターンを一括形成する場合に好適に用いることができる。
なお、半透明膜の透過率特性、形成材料、構成、厚みおよび成膜方法等、遮光膜の透過率特性、形成材料、厚み、成膜方法等、透明基板、ならびに階調マスクの製造方法については、第3実施態様に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。また、遮光領域および透過領域については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本実施態様の階調マスクの他の構成について説明する。
1.第3半透明領域
本実施態様における第3半透明領域は、透明基板上に遮光膜の補助パターンおよび半透明膜のパターンが設けられ、遮光膜の補助パターンおよび開口部の少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部にて透明基板上に半透明膜が形成されている領域である。
なお、第3半透明領域については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.第1半透明領域
本実施態様の階調マスクは、図25に例示するように、透明基板62上に半透明膜のメインパターン64aのみが設けられた第1半透明領域73を有することが好ましい。このような第1半透明領域を設けることにより、容易に多階調化することができるからである。
なお、第1半透明領域については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.第2半透明領域
本実施態様の階調マスクは、図26に例示するように、透明基板62上に半透明膜の補助パターン64bのみが設けられ、半透明膜の補助パターン64bおよび開口部64cの少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもつ第2半透明領域74を有していてもよい。ここで、図26(a)は図26(b)のE−E線断面図である。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
なお、第2半透明領域については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
4.第4半透明領域
本実施態様の階調マスクは、図27に例示するように、透明基板62上に遮光膜の補助パターン63bが設けられ、遮光膜の補助パターン63bおよび開口部63cの少なくともいずれか一方が解像限界以下の寸法をもち、遮光膜の補助パターンの開口部63cにて透明基板62が露出している第4半透明領域76を有していてもよい。ここで、図27(a)は図27(b)のF−F線断面図である。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
なお、第4半透明領域については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
5.階調マスク
本実施態様の階調マスクは、透明基板上に遮光膜および半透明膜がパターン状に形成されたものであり、上述した透過領域、遮光領域および第3半透明領域等を有するものであればよく、透明基板、遮光膜および半透明膜の積層順としては特に限定されるものではない。例えば、透明基板、遮光膜および半透明膜の順に積層されていてもよく、透明基板、半透明膜および遮光膜の順に積層されていてもよく、半透明膜、透明基板および遮光膜の順に積層されていてもよい。
また、本実施態様においては、遮光膜上に低反射層が形成されていてもよい。低反射層を設けることにより、階調マスクの使用時において、ハレーションを防止することができるからである。
なお、低反射層については、後述する第3実施態様に記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様の階調マスクは、透過率が3段階以上に段階的に変化するものである。階調マスクは、3階調の階調マスクに限定されるものではなく、第3半透明領域における半透明膜の補助パターンまたは開口部の寸法を周期的に変化させることにより、3階調以上の多階調の階調マスクとすることが可能である。
また、本実施態様においては、半透明膜のメインパターンおよび補助パターン、ならびに遮光膜の補助パターンを組み合わせることにより、4階調以上の多階調の階調マスクとすることが可能である。例えば図26および図27に示すように、階調マスク61が、透過領域71、遮光領域72および第3半透明領域75の他に、第1半透明領域73、第2半透明領域74、第4半透明領域76を有することにより、多階調化が可能である。この場合、階調マスクは、例えば透過領域、遮光領域、第3半透明領域、および第1半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第3半透明領域、第1半透明領域および第2半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第3半透明領域、および第4半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第3半透明領域、第4半透明領域および第2半透明領域を有していてもよく、透過領域、遮光領域、第3半透明領域、第1半透明領域、第4半透明領域および第2半透明領域を有していてもよい。
なお、階調マスクの用途および大きさ等については、後述する第3実施態様に記載するので、ここでの説明は省略する。
III.第3実施態様
本発明の階調マスクの第3実施態様は、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光膜および透過率調整機能を有する半透明膜とを有する階調マスクであって、上記半透明膜のパターンが、メインパターンと、当該階調マスクを用いた露光における解像限界以下のスリット幅をもつスリットパターンとからなり、上記透明基板のみを有する透過領域と、上記透明基板上に上記遮光膜のパターンが設けられた遮光領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のメインパターンのみが設けられた第1半透明領域と、上記透明基板上に上記半透明膜のスリットパターンのみが設けられた第2半透明領域とを有することを特徴とするものである。
本発明の階調マスクについて、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の階調マスクの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、階調マスク1は、透明基板2上に遮光膜3および半透明膜4がパターン状に形成されたものである。半透明膜4のパターンは、メインパターン4aと、解像限界以下のスリット幅をもつスリットパターン4bとから構成されている。階調マスク1においては、透明基板2のみを有する透過領域11と、透明基板2上に遮光膜3のパターンおよび半透明膜のメインパターン4aが設けられた遮光領域12と、透明基板2上に半透明膜のメインパターン4aのみが設けられた第1半透明領域13と、透明基板2上に半透明膜のスリットパターン4bのみが設けられた第2半透明領域14とが混在している。
本発明においては、第1半透明領域に半透明膜のメインパターンを配置し、第2半透明領域に半透明膜のスリットパターンを形成することにより、第1半透明領域と第2半透明領域とで透過率を異なるものとすることができる。透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第2半透明領域では透過率が異なるので、本発明の階調マスクは、透過率が少なくとも4段階に段階的に変化する多階調のマスクとすることができる。
半透明膜のパターンは、メインパターンと、微細なスリット状に加工されたスリットパターンとから構成されており、半透明膜を所定のパターンに加工することにより、透過率の異なる第1半透明領域および第2半透明領域を得ることができる。したがって、多階調化のために半透明膜の成膜およびパターニングを繰り返し行う必要がなく、比較的簡便な工程で多階調のマスクを得ることができる。
次に、図1に示す階調マスク1を用いて、感光性樹脂層を露光する例を図2に示す。階調マスク1の透過領域11では、露光光がそのまま透明基板2を透過する。また、第1半透明領域13では、半透明膜4が透過率調整機能を有しているので、露光光が所定の透過率で透過する。さらに、第2半透明領域14では、解像限界以下のスリット幅で半透明膜のスリットパターン4bが形成されているため、第1半透明領域13よりも高い透過率で、露光光が透過する。このように、透過領域11と第1半透明領域13と第2半透明領域14とで、露光光の透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の光硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することにより、厚みの異なる3種類のパターン30a、30bおよび30cを一括形成することができる。
このように、本発明の階調マスクは、3種類以上のパターンを一括形成する場合に好適に用いることができる。
さらに、本発明の階調マスクは、従来のスリットマスクと比較して、次のような利点を有する。
図3に例示する階調マスク101は、透明基板102上に遮光膜103および半透明膜104がパターン状に形成されたものである。遮光膜103のパターンは、メインパターン103aと、解像限界以下のスリット幅をもつスリットパターン103bとから構成され、同様に、半透明膜104のパターンは、メインパターン104aと、解像限界以下のスリット幅をもつスリットパターン104bとから構成されている。階調マスク101においては、透明基板102のみを有する透過領域111と、透明基板102上に遮光膜のメインパターン103aが設けられた遮光領域112と、透明基板102上に遮光膜のスリットパターン103bが1つ設けられた第1領域113と、透明基板102上に遮光膜のスリットパターン103bが3つ設けられた第2領域114と、透明基板102上に半透明膜のスリットパターン104bが1つ設けられた第3領域115と、透明基板102上に半透明膜のメインパターン104aおよび遮光膜のスリットパターン103bが設けられた第4領域116とが混在している。
従来のスリットマスクでは、第1領域113および第2領域114のように、遮光膜のスリットパターン103bのスリット幅やピッチを変えることにより、透過率を調整することができる。このため、透過領域111および遮光領域112の他に、第1領域113および第2領域114のような遮光膜のスリットパターンが形成された領域を設けることにより、多階調化していた。図3に示す例では、透過領域111と第1領域113と第2領域114とで透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の光硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することにより、厚みの異なる3種類のパターン130a、130bおよび130cを一括形成することができる。
しかしながら、表示装置に製造に用いられるような大型のマスクでは、微細なパターンの線幅は1.0μm程度が限界であった。このため、第1領域113にて遮光膜のスリットパターン103bのスリット幅をそれ以上細くすることができない場合には、パターン130aの厚みとパターン130bの厚みの中間の厚みのパターンが得られるように透過率を調整することができない。同様に、第2領域114にて遮光膜のスリットパターン103bのスリット幅をそれ以上細くすることができず、また遮光膜のスリットパターン103bのピッチをそれ以上狭くすることができない場合には、パターン130cの厚みよりも薄いパターンが得られるように透過率を調整することができない。
これに対し、本発明の階調マスクは、半透明膜のスリットパターンのみが設けられた第2半透明領域を有するので、例えば半透明膜のスリットパターン104bが1つ形成された第3領域115(第2半透明領域)を設けることにより、パターン130aの厚みとパターン130bの厚みの中間の厚みのパターン130dが得られるように透過率を調整することが可能である。また、本発明の階調マスクは、遮光膜のスリットパターンおよび半透明膜のメインパターンが設けられた第3半透明領域を有していてもよいので、例えば半透明膜のメインパターン104aおよび遮光膜のスリットパターン103bが形成された第4領域116(第3半透明領域)を設けることにより、パターン130cの厚みよりも薄いパターン130eが得られるように透過率を調整することが可能である。
このように本発明においては、従来では形成できなかった厚みのパターンを形成することができるような、微妙な透過率の調整が可能である。すなわち、本発明の階調マスクは、透過率の設計の幅が広いという利点を有する。
以下、本発明の階調マスクの各構成について説明する。
1.半透明膜
本発明における半透明膜は、透明基板上にパターン状に形成され、透過率調整機能を有するものである。また、半透明膜のパターンは、メインパターンと、階調マスクを用いた露光における解像限界以下のスリット幅をもつスリットパターンとからなるものである。
半透明膜のメインパターンは、第1半透明領域に配置されるものであるが、遮光領域に配置されていてもよい。また、本発明の階調マスクが後述する第3半透明領域を有する場合は、この第3半透明領域にも半透明膜のメインパターンが配置される。
この半透明膜のメインパターンの寸法および形状は、第1半透明領域、遮光領域、第3半透明領域の寸法および形状に応じて適宜調整される。
また、半透明膜のスリットパターンは、第2半透明領域に配置されるものである。
この半透明膜のスリットパターンのスリット幅は、階調マスクを用いた露光における解像限界以下のサイズであれば特に限定されるものではなく、目的とする第2半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。また、半透明膜のスリットパターンのピッチは、特に限定されるものではなく、目的とする第2半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。
半透明膜の透過率特性としては、特に限定されるものではないが、2つの好ましい態様を挙げることができる。
半透明膜の透過率特性の第1の態様は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が6.5%〜13.0%の範囲内であるという透過率特性である。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、輝線スペクトルの端部がおおよそ300nmであり、I線の波長が365nmであることから、各波長での透過率の差が上記範囲であれば、長波長域(350nm〜450nm程度)だけでなく短波長域(300nm〜350nm程度)の光も所定の透過率で半透明膜を透過する。短波長域の光は、エネルギーが高く、反応速度(硬化速度もしくは分解速度)が速いという利点がある。このため、短波長域の光を有効に利用することにより、露光時間を短縮することが可能である。また、ネガ型感光性樹脂を用いた場合、短波長域での露光は、感光性樹脂層が表面から硬化する傾向にあるので、感光性樹脂層内部からの不純物の拡散を抑えることができる。したがって、半透明膜がこのような透過率特性を有する場合には、パターンの形成に有利となる。
上記の365nmおよび300nmでの透過率の差の好ましい範囲は、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって異なる。本発明の階調マスクを用いた一括露光により、例えば高さの異なるパターンを形成する場合であって、各パターンの高さの差を3μm以上とする場合は、上記の365nmおよび300nmでの透過率の差が6.5%〜10.0%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは6.5%〜9.0%の範囲内である。また、各パターンの高さの差を3μm以下とする場合には、上記の365nmおよび300nmでの透過率の差が10.0%〜13.0%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10.5%〜12.0%の範囲内である。
また、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が10.5%〜21.0%の範囲内であることが好ましい。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、H線の波長が405nmである。上記の場合と同様に、短波長域の光を有効に利用することができるからである。
上記の405nmおよび300nmでの透過率の差の好ましい範囲は、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって異なる。本発明の階調マスクを用いた一括露光により、例えば高さの異なるパターンを形成する場合であって、各パターンの高さの差を3μm以上とする場合は、上記の405nmおよび300nmでの透過率の差が10.5%〜15.5%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは12.0%〜14.0%の範囲内である。また、各パターンの高さの差を3μm以下とする場合には、上記の405nmおよび300nmでの透過率の差が15.5%〜21.0%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは16.0%〜18.0%の範囲内である。
さらに、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が13.5%〜27.0%の範囲内であることが好ましい。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、G線の波長が436nmである。この場合も同様に、短波長域の光を有効に利用することができるからである。
上記の436nmおよび300nmでの透過率の差の好ましい範囲は、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって異なる。本発明の階調マスクを用いた一括露光により、例えば高さの異なるパターンを形成する場合であって、各パターンの高さの差を3μm以上とする場合は、上記の436nmおよび300nmでの透過率の差が13.5%〜20.0%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは13.5%〜17.0%の範囲内である。また、各パターンの高さの差を3μm以下とする場合には、上記の436nmおよび300nmでの透過率の差が20.0%〜27.0%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは20.0%〜23.0%の範囲内である。
また、波長300nmでの透過率は、半透明膜の厚みおよび本発明の階調マスクの用途によって異なるものではあるが、3.5%〜70%の範囲内であることが好ましく、中でも7.0%〜70%の範囲内であることが好ましい。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、発光スペクトルの端部がおおよそ300nmであることから、波長300nmでの透過率が上記範囲であれば、短波長域の光をより確実に利用することができるからである。
上記の300nmでの透過率の好ましい範囲は、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって異なる。本発明の階調マスクを用いた一括露光により、例えば高さの異なるパターンを形成する場合において、各パターンの高さの差を3μm以上とする場合は、上記の300nmでの透過率が3.5%〜15.0%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは7.0%〜10.0%の範囲内である。また、各パターンの高さの差を3μm以下とする場合には、上記の300nmでの透過率が15.0%〜70.0%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは20.0%〜50.0%の範囲内である。
さらに、波長250nm〜600nmにおける平均透過率は、10%〜60%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20%〜50%の範囲内である。平均透過率が上記範囲未満では、本発明の階調マスクを用いたパターン形成において、第1半透明領域と遮光領域との透過率の差が出にくくなる場合があり、また平均透過率が上記範囲を超えると、第2半透明領域と透過領域との透過率の差が出にくくなる場合があるからである。
なお、上述した各波長での透過率は、階調マスクに使用する透明基板の透過率をリファレンス(100%)として、半透明膜の透過率を測定することができる。装置としては、紫外・可視分光光度計(例えば日立U-4000等)、またはフォトダイオードアレイを検出器としている装置(例えば大塚電子MCPD等)を用いることができる。
また、半透明膜の透過率特性の第2の態様は、波長300nm〜450nmの範囲内における透過率分布が7%以下であるという透過率特性である。例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、発光スペクトルの端部がおおよそ300nmであり、I線の波長が365nm、H線の波長が405nm、G線の波長が436nmであることから、各波長を含む300nm〜450nmの範囲内における透過率分布が上記範囲であれば、露光光の長波長域(350nm〜450nm程度)も短波長域(300nm〜350nm程度)もほぼ一定の透過率で半透明膜を透過するので、露光光を有効に活用することができる。また、ある波長における透過率を調整することにより、露光波長域全体において透過率を所定の範囲内に調整することができ、現像後の感光性樹脂層の膜厚を制御することができる、すなわち感光性樹脂層の膜厚制御が容易である。したがって、半透明膜がこのような透過率特性を有する場合にも、パターンの形成に有利となる。
波長300nm〜450nmの範囲内における透過率分布は、中でも、5%以下であることが好ましい。
また、波長250nm〜600nmにおける透過率分布は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下である。一般に、液晶表示装置などの表示装置の製造工程において、パターン形成での露光条件として露光波長域を250nm〜600nmの範囲内で設定することが多いため、250nm〜600nmにおける透過率分布が上記範囲であれば、広い波長域を有効に利用することができるからである。
さらに、波長300nmでの透過率は、半透明膜の膜厚および本発明の階調マスクの用途によって異なるものではあるが、10%〜70%の範囲内であることが好ましい。上述したように、例えば露光装置に高圧水銀ランプを用いた場合、発光スペクトルの端部がおおよそ300nmであることから、波長300nmでの透過率が上記範囲であれば、短波長域の光をより確実に利用することができるからである。
中でも、本発明の階調マスクを用いた一括露光により、例えば高さの異なるスペーサを形成する場合であって、各パターンの高さの差を3μm以上とする場合は、300nmでの透過率が10%〜30%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10%〜20%の範囲内である。また、各パターンの高さの差を3μm以下とする場合には、300nmでの透過率が30%〜70%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは30%〜50%の範囲内である。
また、半透明膜の波長250nm〜600nmにおける平均透過率は、10%〜60%の範囲内であることが好ましい。平均透過率が上記範囲未満では、本発明の階調マスクを用いたパターン形成において、第1半透明領域と遮光領域との透過率の差が出にくくなる場合があり、また平均透過率が上記範囲を超えると、第2半透明領域と透過領域との透過率の差が出にくくなる場合があるからである。
なお、透過率分布は、300nm〜450nmにおける最大透過率(Tmax)と最小透過率(Tmin)との差を、300nm〜450nmにおける平均透過率(Tav)を2倍した値で割った値に、100を乗じた値である。(透過率分布=(Tmax−Tmin)/(2Tav)×100)
また、透過率の測定方法については、透過率特性の第1の態様に記載した方法と同様である。
第1の態様の透過率特性を有する半透明膜の形成材料としては、例えばクロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素等の酸化物、窒化物、炭化物などが挙げられる。半透明膜および遮光膜を同一エッチング設備、工程でパターニングし得るという利点から、半透明膜の形成材料は遮光膜と同系の材料であることが好ましい。後述するように遮光膜の形成材料がクロム系材料であることが好ましいことから、半透明膜の形成材料も、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロムなどのクロム系材料であることが好ましい。これらのクロム系材料は、機械的強度に優れており、さらには退光性がなく安定しているため、長時間の使用に耐えうるという利点を有する。
第1の態様の場合、半透明膜の形成材料が酸化窒化炭化クロム(CrxOyNzCw)であることが特に好ましい。ここで、wは<0.01、CrとOとNとの元素比率はCr:30〜60%、O:30〜70%、N:0〜40%であることが好ましく、中でもCr:35〜45%、O:40〜60%、N:2〜20%であることが好ましい。
また、第2の態様の透過率特性を有する半透明膜の形成材料としては、例えばクロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、ニッケル等の金属の膜、あるいは、クロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、ニッケル等の金属の窒化物、炭化物などが挙げられる。
例えば金属、金属窒化物および金属炭化物は吸収係数が比較的大きいため、波長300nm〜450nmにおいて透過率分布が所定の範囲となり、上述の透過率特性を有する場合が多い。これに対し、金属の酸化物は吸収係数が比較的小さく、長波長(紫外・可視領域)になるほど吸収係数がほぼゼロに近づくため、波長が長くなるほど透過率が高くなるような透過率特性を示す場合が多い。したがって、半透明膜の形成材料としては、上述したように金属、金属窒化物、金属炭化物が用いられるのである。なお、上述の透過率特性を満たしていれば、金属、金属窒化物、金属炭化物を用いた半透明膜は微量の酸素を含んでいてもよい。
第2の態様の場合においても、半透明膜および遮光膜を同一エッチング設備、工程でパターニングし得るという利点から、半透明膜の形成材料は遮光膜と同系の材料であることが好ましい。後述するように遮光膜の形成材料がクロム系材料であることが好ましいことから、半透明膜の形成材料も、クロム、窒化クロムなどのクロム系材料であることが好ましい。
第2の態様では、半透明膜の形成材料が金属であることがより好ましい。金属は、金属窒化物、金属炭化物等よりも吸収係数が高いので、金属を用いることにより、上述したような好適な透過率特性を満たす半透明膜とすることができるからである。
特に、半透明膜の形成材料はクロムであることが好ましい。上述したように、パターニングの点で半透明膜の形成材料が遮光膜と同系の材料であることが好ましく、遮光膜の形成材料がクロム系材料であることが好ましいからである。クロムを用いた半透明膜は、微量の酸素や窒素を含んでいてもよいが、半透明膜中のクロム含有量が80%以上であることが好ましく、特に95%以上であることが好ましい。上述した好適な透過率特性を満足する半透明膜とすることができるからである。
また、第2の態様では、半透明膜の形成材料として、モリブデンシリサイド、タンタルも好ましく用いられる。タンタルを用いた半透明膜は、上記のクロムの場合と同様に、微量の酸素や窒素を含んでいてもよい。
半透明膜は、単層であってもよく、複数の層で構成されていてもよい。
半透明膜の厚みとしては、上述した透過率特性を満たす膜厚であることが好ましい。第1の態様の透過率特性を満たす半透明膜の厚みとしては、例えばクロムを用いた場合は5〜50nm程度であることが好ましく、また酸化クロムを用いた場合は5nm〜150nm程度であることが好ましい。また、第2の態様の透過率特性を満たす半透明膜の厚みとしては、例えばクロムを用いた場合は5nm〜20nm程度であることが好ましい。半透明膜の透過率はその厚みにより変わるので、厚みを制御することで所望の透過率とすることができる。また、半透明膜が酸素、窒素、炭素などを含む場合は、その透過率は組成により変わるので、厚みと組成とを同時にコントロールすることで所望の透過率を実現できる。
半透明膜のパターンは、半透明膜を成膜し、パターニングすることにより形成することができる。半透明膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。例えばスパッタリング法を用いて酸化窒化炭化クロム膜を成膜する場合は、Arガス等のキャリアガス、酸素(炭酸)ガス、窒素ガスを反応装置内に導入し、Crターゲットを用いた反応性スパッタリング法にて酸化窒化炭化クロム膜を成膜することができる。この際、酸化窒化炭化クロム膜の組成の制御は、Arガス、酸素(炭酸)ガス、窒素ガスの流量の割合を制御することにより行うことができる。なお、半透明膜のパターニング方法については、後述の階調マスクの製造方法の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
2.遮光膜
本発明における遮光膜は、透明基板上にパターン状に形成され、実質的に露光光を透過しないものである。
遮光膜のパターンは遮光領域に配置されるものであり、遮光領域はこの遮光膜のパターンによって画定される。この遮光膜のパターンの寸法および形状は、遮光領域の寸法および形状に応じて適宜調整される。
また、遮光膜のパターンは、メインパターンと、階調マスクを用いた露光における解像限界以下のスリット幅をもつスリットパターンとからなるものであってもよい。本発明の階調マスクが後述する第3半透明領域を有する場合は、遮光膜のメインパターンは遮光領域に配置され、遮光膜のスリットパターンは第3半透明領域に配置される。
この遮光膜のメインパターンの寸法および形状は、遮光領域の寸法および形状に応じて適宜調整される。
また、遮光膜のスリットパターンのスリット幅は、階調マスクを用いた露光における解像限界以下のサイズであれば特に限定されるものではなく、目的とする第3半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。また、遮光膜のスリットパターンのピッチは、特に限定されるものではなく、目的とする第3半透明領域の透過率に応じて適宜調整される。
遮光膜の露光波長における平均透過率は0.1%以下であることが好ましい。なお、平均透過率の測定方法については、上記半透明膜の項に記載した方法と同様である。
このような遮光膜の形成材料としては、一般にフォトマスクに用いられる遮光膜の形成材料を用いることができる。遮光膜の形成材料としては、例えばクロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素などが挙げられる。中でも、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等のクロム系材料が好適に用いられる。このようなクロム系材料は、最も使用実績があり、コスト、品質の点で好ましいからである。クロム系材料を用いた遮光膜は、単層であってもよく、2層以上が積層されたものであってもよい。
また、遮光膜は、低反射機能を有していてもよい。低反射機能により、露光光の乱反射を防止することができるので、より鮮明なパターンを形成することができる。遮光膜に低反射機能を付加するには、例えば遮光膜表面に露光光の反射を防止する酸化クロム等のクロム化合物を含有させればよい。この場合、遮光膜が、表面に向かって徐々に含有成分が変化する傾斜界面により形成されたものであってもよい。
遮光膜の厚みとしては、特に限定されるものではなく、例えばクロムを用いた場合には50nm〜150nm程度とすることができる。
遮光膜のパターンは、遮光膜を成膜し、パターニングすることにより形成することができる。遮光膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。なお、遮光膜のパターニング方法については、後述の階調マスクの製造方法の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
3.第1半透明領域および第2半透明領域
本発明における第1半透明領域は、透明基板上に半透明膜のメインパターンのみが設けられた領域である。すなわち、第1半透明領域には、遮光膜は形成されていない、また半透明膜のスリットパターンも形成されていない。
本発明における第2半透明領域は、透明基板上に半透明膜のスリットパターンのみが設けられた領域である。すなわち、第2半透明領域には、遮光膜は形成されていない、また半透明膜のメインパターンも形成されていない。
また、第2半透明領域においては、半透明膜のスリットパターンのスリット幅およびピッチの少なくともいずれか一方が異なる領域が複数存在していてもよい。例えば図5に示すように、半透明膜のスリットパターン4bが1つ形成された第2半透明領域14aと、半透明膜のスリットパターン4bが2つ形成された第2半透明領域14bと、半透明膜のスリットパターン4bが5つ形成された第2半透明領域14cとが混在していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。
第1半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第2半透明領域の透過率よりも低ければ、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
また、第2半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第1半透明領域の透過率よりも高ければ、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
第1半透明領域および第2半透明領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、第1半透明領域および第2半透明領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
本発明の階調マスクは、図4に例示するように、透明基板2上に遮光膜のスリットパターン3bおよび半透明膜のメインパターン4aが設けられた第3半透明領域15を有していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。この第3半透明領域には、遮光膜のメインパターンおよび半透明膜のスリットパターンは形成されていない。
第3半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第1半透明領域の透過率より低く、第2半透明領域の透過率より低ければ、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
第3半透明領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。
また、本発明の階調マスクは、図4に例示するように、透明基板2上に遮光膜のスリットパターン3bが設けられた第4半透明領域16を有していてもよい。これにより、さらなる多階調化が可能となる。図4に例示するように、この第4半透明領域16には、遮光膜のスリットパターン3bと同様の位置に、半透明膜のスリットパターン4bが形成されていてもよい。また、第4半透明領域には、遮光膜のメインパターンおよび半透明膜のメインパターンは形成されていない。
第4半透明領域の透過率は、透過領域の透過率より低く、遮光領域の透過率より高く、第1半透明領域の透過率より低く、第2半透明領域の透過率より低ければ、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクを用いて形成するパターンによって適宜選択される。
第4半透明領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。
4.透過領域および遮光領域
本発明における透過領域は、透明基板のみを有する領域である。すなわち、透過領域には、遮光膜および半透明膜のいずれも形成されていない。
本発明における遮光領域は、透明基板上に遮光膜のパターンが設けられた領域である。遮光領域には、透明基板上に少なくとも遮光膜のパターンが形成されていればよく、例えば遮光膜のパターンのみが形成されていてもよく、遮光膜のパターンおよび半透明膜のパターンが形成されていてもよい。本発明の階調マスクが上記第3半透明領域を有する場合は、遮光領域は、透明基板上に遮光膜のメインパターンが設けられた領域となる。
透過領域および遮光領域の寸法および形状としては、特に限定されるものではなく、本発明の階調マスクの用途に応じて適宜調整される。例えば、透過領域および遮光領域の形状としては、円形、矩形、枠体、多角形、線形など、種々の形状とすることができる。
5.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、一般にフォトマスクに用いられる基板を使用することができる。透明基板としては、例えばホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等の光学研磨された低膨張ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。中でも、石英ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れている。
6.階調マスク
本発明の階調マスクは、透明基板上に遮光膜および半透明膜がパターン状に形成されたものであり、上述した透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第2半透明領域等を有するものであればよく、透明基板、遮光膜および半透明膜の積層順としては特に限定されるものではない。例えば、図1に示すように透明基板2、遮光膜3および半透明膜4の順に積層されていてもよく、図6(a)に示すように透明基板2、半透明膜4および遮光膜3の順に積層されていてもよく、図6(b)に示すように半透明膜4、透明基板2および遮光膜3の順に積層されていてもよい。
本発明においては、遮光膜上に低反射層が形成されていてもよい。低反射層を設けることにより、階調マスクの使用時において、ハレーションを防止することができるからである。
低反射層としては、例えば酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等の膜が挙げられる。これらの膜は、遮光膜にクロム系材料を用いた場合、遮光膜のエッチング時に同時にエッチングすることが可能である。
本発明の階調マスクは、透過率が4段階以上に段階的に変化するものである。階調マスクは、4階調の階調マスクに限定されるものではなく、第2半透明領域における半透明膜のスリットパターンのスリット幅およびピッチを周期的に変化させることにより、4階調以上の多階調の階調マスクとすることが可能である。例えば図5に示すように、半透明膜のスリットパターン4bのピッチを周期的に変化させることにより、3種類の第2半透明領域14a、14bおよび14cの透過率を異なるものとすることができる。
また、本発明においては、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターン、ならびに遮光膜のスリットパターンを組み合わせることにより、4階調以上の多階調の階調マスクとすることが可能である。例えば図4に示すように、階調マスク1が、透明基板2上に遮光膜のスリットパターン3bおよび半透明膜のメインパターン4aが設けられた第3半透明領域15や、透明基板2上に遮光膜のスリットパターン3bが設けられた第4半透明領域16を有していることにより、多階調化が可能である。
本発明の階調マスクは、リソグラフィー法などのように、露光工程を経て製造される様々な製品の製造に用いることができる。中でも、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等の表示装置の製造、特に大型の表示装置の製造に用いることにより、本発明の効果を最大限に利用することができる。
本発明の階調マスクを用いた一括露光により3種類以上のパターンを同時に形成する用途として、具体的には液晶表示装置または液晶表示装置用カラーフィルタにおける厚みの異なるスペーサおよび配向制御用突起の同時形成、液晶表示装置または液晶表示装置用カラーフィルタにおける厚みの異なるスペーサおよびオーバーコート層の同時形成、半透過型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置用カラーフィルタにおけるスペーサ、透過部用配向制御用突起および反射部用配向制御用突起の同時形成、液晶表示装置または液晶表示装置用カラーフィルタにおけるスペーサ、配向制御用突起および遮光部の同時形成、半透過型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置用カラーフィルタにおけるスペーサ、オーバーコート層およびギャップ調整層の同時形成、液晶表示装置または液晶表示装置用カラーフィルタにおけるスペーサ、白色用オーバーコート層および赤色・緑色・青色用オーバーコート層の同時形成などを挙げることができる。
本発明の階調マスクの大きさとしては、用途に応じて適宜調整されるが、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置の製造に用いられる場合には、300mm×400mm〜1,600mm×1,800mm程度とすることができる。
7.階調マスクの製造方法
次に、本発明の階調マスクの製造方法について説明する。
本発明の階調マスクの製造方法としては、透明基板上に半透明膜および遮光膜をパターン状に形成することにより、所望の位置に透過領域、遮光領域、第1半透明領域および第2半透明領域等を配置することができる方法であれば特に限定されるものではない。
本発明の階調マスクの製造方法の一例としては、透明基板上に遮光膜を成膜したマスクブランクを用いて、遮光膜をパターニングし、遮光膜の中間パターンを形成する第1パターニング工程と、遮光膜の中間パターンが形成された透明基板の全面に半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程と、遮光膜の中間パターンおよび半透明膜をパターニングして、遮光膜のパターンならびに半透明膜のメインパターンおよびスリットパターンを形成する第2パターニング工程とを有する製造方法が挙げられる。
上記の階調マスクの製造方法の例を図7に示す。
まず、透明基板2上に遮光膜53を成膜したマスクブランク50を準備する(図7(a))。次に、遮光膜53上にポジ型レジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜51を形成する(図7(b))。次いで、パターン露光および現像を行うことにより第1レジストパターン51´を形成する(図7(c))。この際、得られる階調マスクにおける第1半透明領域13および第2半透明領域14では第1レジスト膜51が除去され、透過領域11および遮光領域12では第1レジスト膜51が残存するようにパターン露光する。そして、第1レジストパターン51´より露出している遮光膜53をエッチングし、残存している第1レジストパターン51´を除去して、遮光膜中間パターン53´を形成する(図7(d))。図7(a)〜(d)は第1パターニング工程である。
次に、遮光膜中間パターン53´が形成された透明基板2の全面に、半透明膜54を成膜する(図7(e)、半透明膜成膜工程)。
次に、半透明膜54上にポジ型レジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜52を形成する(図7(f))。次いで、パターン露光および現像を行うことにより第2レジストパターン52´を形成する(図7(g))。この際、得られる階調マスクにおける透過領域11では第2レジスト膜52が除去され、遮光領域12および第1半透明領域13では第2レジスト膜52が残存し、第2半透明領域14では第2レジスト膜52がスリット状にパターニングされるようにパターン露光する。そして、第2レジストパターン52´より露出している半透明膜54をエッチングし、続いて、下層の遮光膜中間パターン53´が露出している箇所をさらにエッチングし、残存している第2レジストパターン52´を除去して、遮光膜3のパターン、半透明膜のメインパターン4aおよびスリットパターン4bを形成する(図7(h))。図7(f)〜(h)は第2パターニング工程である。
上記の方法では、遮光膜のみ、または半透明膜のみを選択的にエッチングする必要がない。このため、遮光膜および半透明膜に用いる材料が限定されないという利点を有する。例えば、遮光膜および半透明膜に同系の材料、具体的にはクロム系材料を用いることができる。また、エッチング選択性が要求されないので、複数のエッチング技術(複数の装置・エッチャントなど)を用いる必要がなく、製造コストを削減することができる。さらに、遮光膜および半透明膜にクロム系材料を用いた場合には、従来のバイナリマスクと同様のプロセスで階調マスクを製造することができ、複雑な工程を要しないという利点も有する。
また、本発明の階調マスクの製造方法の他の例としては、透明基板上に半透明膜および遮光膜がこの順に積層されたマスクブランクを用いて、半透明膜および遮光膜をパターニングし、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターン、ならびに遮光膜の中間パターンを形成する第1パターニング工程と、遮光膜の中間パターンのみをパターニングして、遮光膜のパターンを形成する第2パターニング工程とを有する製造方法が挙げられる。
上記の階調マスクの製造方法の例を図8に示す。
まず、透明基板2上に半透明膜54および遮光膜53がこの順に積層されたマスクブランク50を準備する(図8(a))。次に、遮光膜53上にポジ型レジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第1レジスト膜51を形成する(図8(b))。次いで、パターン露光および現像を行うことにより第1レジストパターン51´を形成する(図8(c))。この際、得られる階調マスクにおける透過領域11では第1レジスト膜51が除去され、遮光領域12および第1半透明領域13では第1レジスト膜51が残存し、第2半透明領域14では第1レジスト膜51がスリット状にパターニングされるようにパターン露光する。そして、第1レジストパターン51´より露出している遮光膜53をエッチングし、続いて、下層の半透明膜54が露出している箇所をさらにエッチングし、残存している第1レジストパターン51´を除去して、半透明膜のメインパターン4aおよびスリットパターン4b、ならびに遮光膜中間パターン53´を形成する(図8(d))。図8(a)〜(d)は第1パターニング工程である。
次に、半透明膜のメインパターン4aおよびスリットパターン4b、ならびに遮光膜中間パターン53´が形成された透明基板2上にポジ型レジスト材料を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、第2レジスト膜52を形成する(図8(e))。続いて、パターン露光および現像を行うことにより第2レジストパターン52´を形成する(図8(f))。この際、得られる階調マスクにおける第1半透明領域13では第2レジスト膜52が除去され、透過領域11および遮光領域12では第2レジスト膜52が残存し、第2半透明領域14では半透明膜のスリットパターン4bに対応させて第2レジスト膜52がスリット状にパターニングされるようにパターン露光する。そして、第2レジストパターン52´より露出している遮光膜中間パターン53´をエッチングし、残存している第2レジストパターン52´を除去して、遮光膜3のパターンを形成する(図8(g))。図8(e)〜(g)は第2パターニング工程である。
上記の方法では、階調マスクの製造工程の途中で半透明膜成膜工程を行う必要がない。このため、半透明膜の成膜時のリスク(欠陥や汚れなど)を低減することができる。また、TAT(Turn Around Time)の短縮化が可能である。
なお、階調マスクの製造方法については、特開2005−84366公報、特開2005−181827公報、特開2005−208128公報、特開2006−18001公報を参照することができる。
B.表示装置製造用階調マスク
次に、本発明の表示装置製造用階調マスクについて説明する。
本発明の表示装置製造用階調マスク(以下、単に「階調マスク」という場合がある。)は、上述した階調マスクが表示装置の製造に用いられることを特徴とするものである。
本発明の階調マスクを用いて、表示装置に適用されるカラーフィルタにおける各種部材を形成する方法について図面を参照しながら説明する。
図9は、本発明の階調マスクを用いて、カラーフィルタにおける厚みの異なるスペーサおよび配向制御用突起を形成する例である。まず、図9(a)に示すように、基板22上に遮光部23および着色層24を形成し、この着色層24上に透明電極層25を形成し、さらに透明電極層25上にネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層26を形成する。次いで、図9(b)に示すように、感光性樹脂層26を階調マスク1を介して露光する。階調マスク1では、透過領域11、遮光領域12、第1半透明領域13および第2半透明領域14で透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することによって、形状や厚みの異なる3種類のパターン(高スペーサ31a、低スペーサ31bおよび配向制御用突起31c)が形成される。
図10は、本発明の階調マスクを用いて、カラーフィルタにおける厚みの異なるスペーサおよびオーバーコート層を形成する例である。まず、図10(a)に示すように、基板22上に遮光部23および着色層24を形成し、この着色層24上にネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層26を形成する。次いで、図10(b)に示すように、感光性樹脂層26を階調マスク1を介して露光する。階調マスク1では、透過領域11、遮光領域12、第1半透明領域13および第2半透明領域14で透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することによって、形状や厚みの異なる3種類のパターン(高スペーサ32a、低スペーサ32bおよびオーバーコート層32c)が形成される。
図11は、本発明の階調マスクを用いて、カラーフィルタにおけるスペーサおよび配向制御用突起を形成する例であり、半透過型液晶表示装置に用いられるカラーフィルタにおいて、非表示領域にスペーサを形成し、透過部および反射部に均一な厚みの配向制御用突起を形成する例である。まず、図11(a)に示すように、基板22上に遮光部23および着色層24を形成し、この着色層24上にギャップ調整層27を形成し、そのギャップ調整層27を覆うように透明電極層25を形成し、さらに透明電極層25上にネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層26を形成する。表示領域のうち、ギャップ調整層27が設けられている領域は反射部rであり、ギャップ調整層27が設けられていない領域は透過部tである。次いで、図11(b)に示すように、感光性樹脂層26を階調マスク1を介して露光する。階調マスク1では、透過領域11、遮光領域12、第1半透明領域13および第2半透明領域14で透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することによって、形状、厚み、高さの異なる3種類のパターン(スペーサ33a、透過部用配向制御用突起33bおよび反射部用配向制御用突起33c)が形成される。
図12は、本発明の階調マスクを用いて、カラーフィルタにおけるスペーサ、配向制御用突起および遮光部を形成する例である。まず、図12(a)に示すように、基板22上に着色層24を形成し、その着色層24上に透明電極層25を形成し、さらに透明電極層25上にネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層26を形成する。次いで、図12(b)に示すように、感光性樹脂層26を階調マスク1を介して露光する。階調マスク1では、透過領域11、遮光領域12、第1半透明領域13および第2半透明領域14で透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することによって、形状や厚みの異なる3種類のパターン(スペーサ34a、配向制御用突起34bおよび遮光部34c)が形成される。
図13は、本発明の階調マスクを用いて、カラーフィルタにおけるスペーサ、ギャップ調整層およびオーバーコート層を形成する例であり、半透過型液晶表示装置に用いられるカラーフィルタにおいて、非表示領域にスペーサを形成し、反射部にギャップ調整層を形成し、着色層を覆うようにオーバーコート層を形成する例である。まず、図13(a)に示すように、基板22上に遮光部23および着色層24を形成し、その着色層24上にネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層26を形成する。次いで、図13(b)に示すように、感光性樹脂層26を階調マスク1を介して露光する。階調マスク1では、透過領域11、遮光領域12、第1半透明領域13および第2半透明領域14で透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することによって、形状や厚みの異なる3種類のパターン(スペーサ35a、ギャップ調整層35bおよびオーバーコート層35c)が形成される。表示領域のうち、ギャップ調整層35bが設けられている領域は反射部rであり、ギャップ調整層35bが設けられていない領域は透過部tである。
図14は、本発明の階調マスクを用いて、カラーフィルタにおけるスペーサおよびオーバーコート層を形成する例であり、液晶表示装置に用いられ、1ピクセルが4色(赤・緑・青・白)のサブピクセルで構成されるカラーフィルタにおいて、スペーサと、赤色・緑色・青色および白色に応じて厚みの異なるオーバーコート層とを形成する例である。
ここで、1ピクセルが4色(赤・緑・青・白)のサブピクセルで構成されるカラーフィルタにおいては、例えば図15に示すように、赤R・緑G・青B・白Wのサブピクセルがモザイク状に配列されており、基板22上に、赤R・緑G・青Bのサブピクセルに応じて赤色パターン24R、緑色パターン24Gおよび青色パターン24Bが形成され、白Wのサブピクセルに相当する部位には着色層は形成されていない。
まず、図14(a)に示すように、基板22上に、遮光部23と、赤R・緑G・青Bのサブピクセルに応じて赤色パターン(図示せず)、緑色パターン(図示せず)および青色パターン24Bから構成される着色層とを形成し、その着色層上にネガ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層26を形成する。このとき、白Wのサブピクセルに相当する部位には着色層は形成されない。次いで、図14(b)に示すように、感光性樹脂層26を階調マスク1を介して露光する。階調マスク1では、透過領域11、遮光領域12、第1半透明領域13および第2半透明領域14で透過率が異なるので、各領域の透過率に応じて、感光性樹脂層の硬化反応の程度が異なるものとなり、露光後に現像することによって、形状や厚みの異なる3種類のパターン(スペーサ36a、赤色・緑色・青色(RGB)用オーバーコート層36bおよび白色(W)用オーバーコート層36c)が形成される。
このように、本発明の階調マスクは、透過率が4段階以上に段階的に変化するものとすることができ、表示装置を構成する、形状、厚み、高さ等の異なる3種類以上の部材を一括形成する場合に好適に用いることができる。
なお、階調マスクについては、上記「A.階調マスク」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
次いで、遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.5:0.5
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
・基板搬送速度:62cm/min
このとき、酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は35nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。
次に、酸化窒化炭化クロム膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜および遮光膜をエッチングし、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターン、ならびに遮光膜パターンを得た。エッチングは半透明膜および遮光膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、階調マスクを得た。
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1000Å)を形成した。このクロム薄膜上にポジ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成した。次いで、このレジストパターンをマスクとして、クロム薄膜をエッチングして、線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスを形成した。
次に、下記組成の赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) 4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
次いで、ガラス基板上にブラックマトリックスを覆うように赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色パターン用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色パターンを形成した。この赤色パターンは、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色パターン、青色パターンを形成した。これにより、赤色パターン、緑色パターン、青色パターンが配列された着色層を形成した。
次に、ブラックマトリックス、着色層を覆うように酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極層(厚み1500Å)をスパッタリング法により形成した。
次に、透明電極層上にネガ型感光性樹脂組成物(JSR製 オプトマーNN850)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:100mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、凸形状の3種類のパターンを同時に形成した。この3種類のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。結果を表1に示す。
上記の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、高さの異なる2種類のスペーサ(セル保持用カラムスペーサ)、および配向制御用突起を所望の寸法にて形成することができた。
[実施例2]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
次いで、遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.5:0.5
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
・基板搬送速度:30cm/min
このとき、酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は75nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。
次に、酸化窒化炭化クロム膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜および遮光膜をエッチングし、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターン、ならびに遮光膜パターンを得た。エッチングは半透明膜および遮光膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、階調マスクを得た。
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが100mm×100mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1000Å)を形成した。このクロム薄膜上にポジ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成した。次いで、このレジストパターンをマスクとして、クロム薄膜をエッチングして、線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスを形成した。
次に、下記組成の赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) 4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
次いで、ガラス基板上にブラックマトリックスを覆うように赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色パターン用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色パターンを形成した。この赤色パターンは、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色パターン、青色パターンを形成した。これにより、赤色パターン、緑色パターン、青色パターンが配列された着色層を形成した。
次に、着色層上にネガ型感光性樹脂組成物(JSR製 オプトマーNN850)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:100mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、3種類のパターンを同時に形成した。この3種類のパターンの一部について断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、また3種類のパターンの寸法等を測定した。結果を表2に示す。
上記の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、高さの異なる2種類のスペーサ(セル保持用カラムスペーサ)、およびオーバーコート層を同時に形成することができた。
[比較例1]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜のメインパターンおよびスリットパターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜のメインパターンおよびスリットパターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
次いで、遮光膜パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.5:0.5
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
・基板搬送速度:62cm/min
このとき、酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は35nmとした。酸化窒化炭化クロム膜の分光スペクトルを図16に示す。
次に、酸化窒化炭化クロム膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、半透明膜のメインパターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜をエッチングし、半透明膜のメインパターンを得た。エッチングは半透明膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、透過領域、遮光領域(遮光膜メインパターン)、第1半透明領域(半透明膜メインパターン)および第4半透明領域(遮光膜スリットパターン)を有する階調マスクを得た。
(カラーフィルタの作製)
実施例1と同様にして、基板上にブラックマトリックス、着色層および透明電極層を形成した。
次に、透明電極層上にネガ型感光性樹脂組成物(JSR製 オプトマーNN850)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:100mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、凸形状の3種類のパターンを同時に形成した。この3種類のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。結果を表3に示す。
上記の階調マスクを露光プロセスに用いた場合には、所望の高さを有するスペーサを形成できなかった。
[実施例3]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
次いで、遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:N2=4:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
・基板搬送速度:65cm/min
半透明膜の膜厚は10nmとした。半透明膜の分光スペクトルを図28(a)に示す。
次に、半透明膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜および遮光膜をエッチングし、半透明膜のメインパターンおよびスリットパターン、ならびに遮光膜パターンを得た。エッチングは半透明膜および遮光膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、透過領域、遮光領域(遮光膜メインパターン)、第1半透明領域(半透明膜メインパターン)および第3半透明領域(遮光膜補助パターン・半透明膜スリットパターン)を有する階調マスクを得た。
(カラーフィルタの作製)
実施例1と同様にして、基板上にブラックマトリックス、着色層および透明電極層を形成した。
次に、透明電極層上にポジ型感光性樹脂組成物(ロームアンドハース社製 LC130)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:60mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、凸形状の3種類のパターンを同時に形成した。この3種類のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。結果を表4に示す。
上記の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、高さの異なる2種類のスペーサ(セル保持用カラムスペーサ)、および配向制御用突起を所望の寸法にて形成することができた。
[比較例2]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
次いで、遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、クロム膜(第1半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:N2=4:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
・基板搬送速度:65cm/min
第1半透明膜の膜厚は10nmとした。第1半透明膜の分光スペクトルを図28(a)に示す。
次に、第1半透明膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、第1半透明膜のメインパターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で第1半透明膜をエッチングし、第1半透明膜のメインパターンを得た。エッチングは第1半透明膜に対して行った。
次いで、遮光膜中間パターンおよび1半透明膜のメインパターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、クロム膜(第2半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:N2=4:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
・基板搬送速度:45cm/min
第2半透明膜の膜厚は30nmとした。第2半透明膜の分光スペクトルを図28(b)に示す。
次に、第2半透明膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。続いて、第2半透明膜のメインパターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で第2半透明膜および遮光膜をエッチングし、第2半透明膜のメインパターンを得た。エッチングは第2半透明膜および遮光膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、透過領域、遮光領域(遮光膜メインパターン)、半透明領域a(第1半透明膜メインパターン)および半透明領域b(第2半透明膜メインパターン)を有する階調マスクを得た。
(カラーフィルタの作製)
実施例1と同様にして、基板上にブラックマトリックス、着色層および透明電極層を形成した。
次に、透明電極層上にポジ型感光性樹脂組成物(ロームアンドハース社製 LC130)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:60mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、凸形状の3種類のパターンを同時に形成した。この3種類のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。結果を表5に示す。
比較例2と実施例3とでは同様の結果が得られた。比較例2では、実施例3と比較してマスク作製に約1.5倍のコストがかかることから、本発明の構成の階調マスクを用いることにより、コスト削減を図れることが確認された。