JP5169072B2 - 液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高さの異なるスペーサおよび配向制御用突起を形成する、液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。
垂直配向(VA)方式等の液晶表示装置においては、液晶分子の配向を制御する配向制御用突起や、基板間のギャップを保持するスペーサが設けられている。また近年、液晶表示装置での低温発泡の発生を抑制し、局所的な荷重に対して耐性を向上させるために、高さの異なるスペーサを設ける試みがなされている。
従来では、配向制御用突起およびスペーサを形成する際には、配向制御用突起およびスペーサの高さや物性等が異なるために、フォトリソグラフィー工程を2回行う必要があった。また、配向制御用突起および高さの異なるスペーサを形成する際には、フォトリソグラフィー工程を3回行う必要があった。しかしながら、これでは生産性が低下するという問題がある。
そこで、カラーフィルタの製造効率を向上させる等の目的から、例えば露光光を所望の透過率で透過する半透明膜のパターンが形成された階調マスクを用いて、配向制御用突起とスペーサとを一括して形成する方法や、高さの異なるスペーサを一括して形成する方法等が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
上記階調マスクとしては、例えば図14に示すような、透明基板102と、透明基板102上に形成され、露光光を所望の透過率で透過する半透明膜103と、その半透明膜103上に形成された露光光を実質的に遮光する遮光膜104とを有するものが挙げられる。このような階調マスクは、透明基板102が露出した、光を透過する透過領域113と、遮光膜104によって実質的に光を透過しない遮光領域111と、半透明膜103によって透過する光の量が調整された半透明領域112とを有し、これらの透過率差によって階調を出すことができる。これにより、配向制御用突起とスペーサとを一括して形成したり、高さの異なるスペーサを一括して形成したりすることが可能となる。
また、カラーフィルタの製造効率を向上させる等の目的から、例えば配向制御用突起、第一フォトスペーサ、およびこの第一フォトスペーサより高さの低い第二フォトスペーサにそれぞれ対応する遮光膜のパターンが形成されたフォトマスクを用いて、配向制御用突起と高さの異なるスペーサとを一括して形成する方法等が提案されている(例えば特許文献5参照)。
上記フォトマスクは、例えば図13に示すように、透明基板102上に遮光膜104がパターン状に形成されており、各遮光膜のパターンの幅が、第一フォトスペーサに対応するパターン121>第二フォトスペーサに対応するパターン122>配向制御用突起に対応するパターン123の順に小さくなるものである。このフォトマスクでは、パターンの幅が小さくなるほど回折光が多くなることを利用して、配向制御用突起と高さの異なるスペーサとを一括して形成することが可能となる。
特開2007−171623号公報 特開2007−178649号公報 特開2007−178662号公報 特開2007−178688号公報 特開2007−94064号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の階調マスクを用いて、配向制御用突起およびスペーサ、あるいは、高さの異なるスペーサを同時に形成する場合、半透明領域および透過領域が隣接している領域では、各領域を通過した光の位相のずれによって、干渉波が生じやすくなる。そのため、半透明領域に対応する領域で、目的とするパターンに配向制御用突起やスペーサを形成すること等が困難となる場合があった。
例えば図4に示すように、上記階調マスクを用いて、ポジ型感光性樹脂を露光し配向制御用突起53とスペーサ(高スペーサ51,低スペーサ52)とを一括して形成した場合、光の位相のずれの影響で干渉が生じ、配向制御用突起53の膜厚が半透明領域と透過領域との境界付近で薄膜になり、露光不良パターンが生じてしまうことがある。そのため、カラーフィルタと液晶駆動側基板とを対向させて液晶表示装置とした際に、上記の露光不良パターンにより液晶の配向不良が生じ、高品質な表示が困難となる。
また、特許文献5に記載のフォトマスクを用いる場合、パターンの幅の差異による光の回折効果だけで、それぞれ高さの異なる配向制御用突起、第一フォトスペーサおよび第二フォトスペーサを形成するため、フォトマスクやカラーフィルタのサイズ等によってはパターンの幅の差を大きくすることが難しく、充分に高さの差をつけられない場合があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、階調マスクの半透明領域および透過領域が隣接している領域で光の干渉による露光不良パターンが生じ難く、容易に充分な高さの差をつけることが可能な液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、着色層が形成された基板上にポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、上記ポジ型感光性樹脂からなる高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時に形成する露光・現像工程とを有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、上記階調マスクが、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光膜および半透明膜とを有し、上記透明基板が露出した透過領域、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域および上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域を有し、上記透過領域および上記半透明領域が隣接するパターンを有し、この階調マスクを用いて露光する際の光強度分布のシミュレーションを行った場合に、上記透過領域および上記半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、上記透過領域から上記半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものであることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、階調マスクが、上記のシミュレーションを行った場合に、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものであるので、透過領域および半透明領域が隣接している領域において、回折光の干渉による影響を少ないものとすることができる。したがって、目的とするパターン状に配向制御用突起を形成すること等が可能となる。また、半透明領域では、半透明膜の透過率によって露光後の感光性樹脂層の膜厚を制御することができるので、高スペーサおよび配向制御用突起の高さの差を比較的大きくすること等が容易に可能である。
上記発明においては、上記階調マスクにおいて、上記遮光領域が、上記高スペーサに対応する第1遮光領域と、上記低スペーサに対応する第2遮光領域とを有し、上記第1遮光領域の幅が上記第2遮光領域の幅よりも大きくてもよい。この場合には、階調マスクの第1遮光領域を利用して高スペーサを形成し、第2遮光領域を利用して低スペーサを形成し、半透明領域を利用して配向制御用突起を形成し、高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時に形成することができる。
また上記発明においては、上記階調マスクにおいて、上記半透明領域が、上記低スペーサに対応する第1半透明領域と、上記配向制御用突起に対応する第2半透明領域とを有し、上記第1半透明領域の透過率が上記第2半透明領域の透過率よりも低くてもよい。この場合には、階調マスクの遮光領域を利用して高スペーサを形成し、第1半透明領域を利用して低スペーサを形成し、第2半透明領域を利用して配向制御用突起を形成し、高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時に形成することができる。
さらに本発明においては、上記階調マスクが、上記半透明領域の波長365nmでの透過率をT(%)、上記透過領域を通過した露光光に対する上記半透明領域を通過した露光光の位相の遅れをδ(rad)とした場合に、−δ/ln(T/100)が0.4以下であることが好ましい。−δ/ln(T/100)が上記範囲であることにより、上述したように、階調マスクの透過領域および半透明領域が隣接している領域において、光の干渉による影響を少ないものとすることができるからである。
また本発明においては、上記階調マスクにおける上記半透明膜が、クロム、チタン、ニッケル、ニッケル合金およびタンタルからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。このような半透明膜であれば、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れを、比較的小さくすることができるからである。
さらに本発明は、上述した液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルタを提供する。
本発明においては、各領域を通過した光の位相のずれによる干渉波の影響が少ないものとすることができるとともに、高スペーサおよび配向制御用突起の高さの差を比較的大きくすることができ、高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を高精細に形成することが可能となるという効果を奏する。
以下、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法およびカラーフィルタについて詳細に説明する。
A.液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法
まず、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、着色層が形成された基板上にポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、上記ポジ型感光性樹脂からなる高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時に形成する露光・現像工程とを有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、上記階調マスクが、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光膜および半透明膜とを有し、上記透明基板が露出した透過領域、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域および上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域を有し、上記透過領域および上記半透明領域が隣接するパターンを有し、この階調マスクを用いて露光する際の光強度分布のシミュレーションを行った場合に、上記透過領域および上記半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、上記透過領域から上記半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものであることを特徴とするものである。
なお、高スペーサおよび低スペーサとは、高さの異なるスペーサを意味する。高スペーサは低スペーサよりも高さが高いものである。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に用いられる階調マスクの一例を示す模式図である。なお、図1(a)は図1(b)のA−A線断面図である。図1(a)に例示するように、階調マスク1は、透明基板2上にパターン状に半透明膜3および遮光膜4が形成されたものである。また、図1(b)に例示するように、階調マスク1は、透明基板2上に遮光膜4が設けられた遮光領域11a,11bと、透明基板2上に半透明膜3のみが設けられた半透明領域12と、透明基板2が露出した透過領域13とを有しており、半透明領域12と透過領域13とが隣接するパターンを有している。
図1に例示する階調マスクは、この階調マスクを用いて露光する際の光強度分布のシミュレーションを行った場合に、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものとなる。
シミュレーションでは、一般的なフレネル回折に基づく、下記の数式(1)により、基板上の点Pでの光の振幅Eを、対応する階調マスクの開口部(透過領域)の各点からの球面波の積分値として計算により求め、さらに、下記の数式(2)により、点Pでの光強度Iを、計算により求めることができる。
図2は、下記の数式(1)による基板31上の点Pでの光強度分布の計算を説明するための図であり、階調マスク1の開口部(透過領域13)の任意の点Qと、基板31上の任意の点Pとの位置関係を示した模式図である。図2において、点Sは点Qを通過した露光光32が直進した場合の基板31上の位置である。
Figure 0005169072
ここで、数式(1)において、k=2π/λであり、Eは基板上の点Pにおける光の振幅、Aは入射光の強度によって決まる定数、λは入射光の波長、δは線分QSと線分QPのなす角、rは点Qから点Pまでの距離、iは虚数単位である。
I=E×E (2)
ここで、数式(2)において、E はEの共役複素数である。
なお、上記の計算は、階調マスクの開口部(透過領域)および基板上を有限の微小区間に区切り、計算機により行うものとする。
図1に示す階調マスクを用いて、光強度分布をシミュレーションにより求めた結果を図3に示す。なお、図3は、図1(b)のB−B線部分に相当する。シミュレーション条件は、露光ギャップ:150μm、Collimation:1.5°、露光波長:365nm、半透明領域の透過率:30%(365nm)、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れ(位相差):0.02radまたは1.22rad、半透明領域の線幅:15μm、露光方式:プロキシミティ露光方式とした。
図3(a)の場合、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少しており、光強度分布に変曲点をもたない。一方、図3(b)の場合、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少せずに増加する部分がある。
図3(b)のような光強度分布を示す階調マスクを用いて露光を行うと、光の干渉によって半透明領域に対応する領域の膜厚が透過領域との境界付近で薄膜になりやすい。
図4は、図3(b)のような光強度分布を示す階調マスクを用いて、配向制御用突起および高さの異なるスペーサ(低スペーサ・高スペーサ)を形成する例である。まず、図4(a)に例示するように、基板21上に遮光部22および着色層23を形成し、着色層23上に透明電極層24を形成し、その透明電極層24上にポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層25を形成する。次いで、図4(b)に例示するように、上記階調マスク1を介してポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層25に光50を照射すると、光の位相のずれ等の影響で干渉が生じ、配向制御用突起53の膜厚が半透明領域12と透過領域13との境界付近で薄膜になり、露光不良パターンが生じてしまう。この場合、実際に得られるパターンとシミュレーション結果とは一致しているといえる。
これに対し、図3(a)のような光強度分布を示す階調マスクを用いて露光を行うと、光の干渉による露光不良パターンの発生を抑制することができる。
図5は、図3(a)のような光強度分布を示す階調マスクを用いて、配向制御用突起および高さの異なるスペーサ(低スペーサ・高スペーサ)を形成する例である。まず、図5(a)に例示するように、基板21上に遮光部22および着色層23を形成し、着色層23上に透明電極層24を形成し、その透明電極層24上にポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層25を形成する。次いで、図5(b)に例示するように、上記階調マスク1を介してポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層25に光50を照射すると、光の干渉による露光不良パターンは発生せず、図5(c)に例示するように、所望のパターンに高スペーサ51、低スペーサ52および配向制御用突起53を形成することができる。この場合も、実際に得られるパターンとシミュレーション結果とは一致しているといえる。
このように所定の階調マスクを用いた場合には、階調マスクが、上述のシミュレーションを行った場合に、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものであるので、干渉による露光不良パターンの発生を抑制することができ、解像性を向上させることが可能である。
本発明においては、ポジ型感光性樹脂を用いるので、階調マスクの遮光領域を利用して高さの最も高い高スペーサを形成し、階調マスクの半透明領域を利用して高さの最も低い配向制御用突起を形成する。
したがって本発明においては、透過領域および半透明領域が隣接する領域で干渉による露光不良パターンの発生を抑制することができることから、目的とするパターン状に感光性樹脂層をパターニングし、配向制御用突起を高精細に形成することが可能となる。
また、半透明領域では、半透明膜が設けられているので、半透明膜の材料や膜厚等を調整することにより、透過率を制御することができる。そのため、半透明領域を所定の透過率に設定することにより、所望の高さの配向制御用突起を形成することが可能である。したがって本発明においては、高スペーサおよび配向制御用突起の高さを調整するために、高スペーサに対応する遮光領域の幅と、配向制御用突起に対応する半透明領域の幅とを考慮する必要がない。一方、従来では、遮光膜のパターン(遮光領域)の幅を調整することによって高スペーサおよび配向制御用突起の高さを制御していたが、フォトマスクやカラーフィルタのサイズ等によって、配向制御用突起に対応する遮光膜のパターン(遮光領域)の幅に対する高スペーサに対応する遮光膜のパターン(遮光領域)の幅が制限されることがあり、高スペーサおよび配向制御用突起の高さの差を充分につけることが困難であった。これに対して本発明においては、上述したように遮光領域の幅によってではなく、半透明領域の透過率によって配向制御用突起の高さを調整するものであるので、高スペーサおよび配向制御用突起の高さの差を比較的大きくすることが容易に可能である。
また本発明においては、上述したように、階調マスクの遮光領域を利用して高スペーサを形成し、階調マスクの半透明領域を利用して配向制御用突起を形成するのであるが、低スペーサについては、階調マスクの遮光領域を利用して形成してもよく、階調マスクの半透明領域を利用して形成してもよい。
階調マスクの半透明領域を利用して低スペーサを形成する場合には、例えば図6に示すように、階調マスク1の遮光領域11を利用して高スペーサ51を形成し、第1半透明領域12aを利用して低スペーサ52を形成し、第1半透明領域12aよりも透過率が高い第2半透明領域12bを利用して配向制御用突起53を形成することができる。この場合には、上述したように本発明においては、透過領域および半透明領域が隣接する領域で干渉による露光不良パターンの発生を抑制することができることから、目的とするパターン状に感光性樹脂層をパターニングし、配向制御用突起および低スペーサを高精細に形成することが可能となる。また、高スペーサの高さに対して、配向制御用突起および低スペーサの高さを比較的低くすることが容易に可能である。
一方、階調マスクの遮光領域を利用して低スペーサを形成する場合には、例えば図5に示すように、階調マスク1の第1遮光領域11aを利用して高スペーサ51を形成し、第1遮光領域11aよりも幅が小さい第2遮光領域11bを利用して低スペーサ52を形成し、半透明領域12を利用して配向制御用突起53を形成することができる。この場合には、高スペーサおよび低スペーサの高さに対して、配向制御用突起の高さを比較的低くすることが容易に可能である。
階調マスクの遮光領域を利用して高スペーサおよび低スペーサを形成する場合の、高スペーサおよび低スペーサの高さの調整について説明する。
図5(b)に例示する階調マスク1は、遮光領域として、高スペーサ51に対応する第1遮光領域11aと、低スペーサ52に対応する第2遮光領域11bとを有している。図5(c)に示すように、高スペーサの高さh1と低スペーサの高さh2とはh1>h2の関係にあり、高スペーサの幅w1と低スペーサの幅w2とはw1>w2の関係にある。そして、図5(b)に示すように、階調マスク1の第1遮光領域11aの幅d1および第2遮光領域11bの幅d2は、それぞれ高スペーサの幅w1および低スペーサの幅w2に対応し、d1>d2の関係にある。
図5(b)において、階調マスク1の上方からの光50は、階調マスク1の透過領域13を経て感光性樹脂層25に照射されるが、近接露光のギャップGが充分に大きいと、照射される光50は、透過領域13の下方の感光性樹脂層25の部分のみでなく、照射される光の回折によって遮光領域11a,11bの下方の感光性樹脂層25の部分にも達する。そのため、ポジ型感光性樹脂が現像液に可溶なものへと光分解される。
この回折される光は、図5(c)に示すような、幅w1の広い高スペーサ51に対応した幅d1の大きな第1遮光領域11aの下方では少なく、幅w2の狭い低スペーサ52に対応した幅d2の小さな第2遮光領域11bの下方では多くなる。
したがって、幅w1の広い高スペーサ51に対応した第1遮光領域11aの下方の感光性樹脂層25の部分では光分解される量が少なく、幅w2の狭い低スペーサ52に対応した第2遮光領域11bの下方の感光性樹脂層25の部分では光分解される量が多くなる。このため、図5(c)に例示するように、高さが高く、幅が広い高スペーサと、高さが低く、幅が狭い低スペーサとが同時に得られることになる。
本発明に用いられる階調マスクは、上述したようにシミュレーションを行った場合に、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、かつ、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、光強度分布に変曲点をもたないものである。
シミュレーションにより得られる光強度分布は、露光ギャップ、露光波長、露光方式などに応じて異なるので、シミュレーション条件は、実際に階調マスクを用いる際の露光条件と同様とすればよい。
なお、「透過領域および半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域」とは、透過領域および半透明領域の境界から半透明領域に向けて5μm以内の領域、および、透過領域および半透明領域の境界から透過領域に向けて5μm以内の領域をいう。
また、「変曲点をもたない」とは、上に凸の状態から上に凹の状態に変わる点、または、上に凹の状態から上に凸の状態に変わる点を有さないことをいう。
透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないことは、シミュレーション結果により確認するものとする。この際、階調マスクを通過する前の露光光の相対強度、すなわち透過領域を通過した露光光の相対強度を1としたときに、±0.001以内の変化は誤差とする。
以下、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について、各工程ごとに詳しく説明する。
1.感光性樹脂層形成工程
本発明における感光性樹脂層形成工程は、着色層が形成された基板上にポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する工程である。
本発明に用いられるポジ感光性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるものを用いることができる。具体的には、ノボラック樹脂をベース樹脂とした感光性樹脂等が挙げられる。
上記ポジ感光性樹脂を含有する感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えばスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等を使用することができる。
塗布後の感光性樹脂層の厚みは、形成する高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起に応じて適宜調整される。例えば図5に示すように、最も高い高スペーサ51の高さに適合するように、感光性樹脂層の厚みが調整される。
上記の感光性樹脂組成物の塗布後は、感光性樹脂層に対して加熱処理(プリベーク)を施してもよい。
本発明に用いられる基板としては、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式による液晶表示装置用のカラーフィルタに適している。
また、本発明における着色層は、例えば赤色パターン、緑色パターンおよび青色パターンから構成されるものである。着色層は、例えば所望の着色剤を含有する感光性樹脂組成物を使用したフォトリソグラフィー法等により形成することができる。さらに、着色層の形成方法としては、印刷法、電着法、転写法、インクジェット法等の一般的な方法を使用することもできる。
着色層の厚みは、例えば0.5〜3.0μmの範囲で設定することができる。
本発明においては、基板上に遮光部が形成されていてもよい。
遮光部は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等によりクロム等の金属薄膜を形成し、この金属薄膜をパターニングすることにより形成することができる。この場合、遮光部の厚みは、200〜5000Å程度とすることができる。
また、遮光部は、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物等を用いて樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングすることにより形成することもできる。さらに、遮光部は、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂組成物を用いて樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングすることにより形成することもできる。
また、基板上に透明電極層が形成されていてもよい。
透明電極層の形成材料としては、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、またはその合金等を挙げることができる。
透明電極層の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法を用いることができる。
この透明電極層の厚みは、例えば200〜5000Å程度とすることができる。
2.露光・現像工程
本発明における露光・現像工程は、感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、ポジ型感光性樹脂からなる高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時に形成する工程である。
以下、階調マスク、ならびに、高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起の形成方法について説明する。
(1)階調マスク
本発明に用いられる階調マスクは、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光膜および半透明膜とを有し、上記透明基板が露出した透過領域、上記透明基板上に上記遮光膜が設けられた遮光領域および上記透明基板上に上記半透明膜のみが設けられた半透明領域を有し、上記透過領域および上記半透明領域が隣接するパターンを有する階調マスクであって、この階調マスクを用いて露光する際の光強度分布のシミュレーションを行った場合に、上記透過領域および上記半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、上記透過領域から上記半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものである。
以下、階調マスクの各構成について説明する。
(i)透過領域および半透明領域
本発明に用いられる階調マスクにおける透過領域は、透明基板が露出した領域である。
また、本発明に用いられる階調マスクにおける半透明領域は、透明基板上に半透明膜のみが設けられた領域である。
ここで、光の干渉による露光不良パターンの発生は、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れによるものである。透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れが比較的大きい場合には、光の干渉による露光不良パターンが生じやすく、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れが比較的小さい場合には、光の干渉による露光不良パターン生じにくくなる。
したがって、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れを、干渉波を生じない程度に小さくすることが好ましい。この位相差限界は半透明領域の透過率によって異なる。具体的には、半透明領域の波長365nmでの透過率をT(%)、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れをδ(rad)とした場合に、−δ/ln(T/100)が、干渉波を生じない程度に小さいことが望ましい。より具体的には、−δ/ln(T/100)が0.4以下であることが好ましい。−δ/ln(T/100)を上記範囲とすることにより、干渉の影響を小さくし、所望のパターンを形成することができるからである。一方、−δ/ln(T/100)が上記範囲を超えると、光の回り込み等による干渉の影響が大きくなり、感光性樹脂を露光した際に、露光不良パターンが生じるおそれがある。
なお、上記各領域を通過した露光光の位相は、商品名MPM−100(レーザーテック社製)により測定することができる。これにより、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れδを求めることができる。
また、半透明領域の波長365nmでの透過率Tは、階調マスクの透明基板の透過率をリファレンス(100%)として、半透明領域の透過率を測定することにより算出することができる。透過率を測定する装置としては、紫外・可視分光光度計(例えば日立U-4000等)、またはフォトダイオードアレイを検出器としている装置(例えば大塚電子MCPD等)を用いることができる。
−δ/ln(T/100)を上記範囲内とする方法としては、後述するように、半透明膜の材料の屈折率や半透明膜の膜厚を制御する方法等が挙げられる。
本発明に用いられる階調マスクは、異なる透過率特性をもつ2種類の半透明領域(第1半透明領域および第2半透明領域)を有していてもよい。この場合、図6に例示するように、第1半透明領域を利用して低スペーサを形成し、第1半透明領域よりも透過率が高い第2半透明領域を利用して配向制御用突起を形成することができる。
低スペーサに対応する第1半透明領域の透過率および配向制御用突起に対応する第2半透明領域の透過率としては、第1半透明領域の透過率が第2半透明領域の透過率よりも低く、所望の低スペーサおよび配向制御用突起の高さの差を実現できれば特に限定されるものではない。
なお、第1半透明領域の透過率および第2半透明領域の透過率とは、波長365nmでの透過率をいう。上記透過率は、上述の方法により算出することができる。
具体的には、第1半透明領域の波長365nmでの透過率としては、目的とする低スペーサの高さや使用するポジ型感光性樹脂の種類等に応じて異なるものであり一概には規定できないが、5%〜40%程度とすることができる。また、第2半透明領域の波長365nmでの透過率としては、同様に目的とする配向制御用突起の高さや使用するポジ型感光性樹脂の種類等に応じて異なるものであり一概には規定できないが、20%〜60%程度とすることができる。
異なる透過率特性をもつ2種類の半透明領域を設ける方法としては、例えば、後述するように半透明膜を複数層が積層されたものとする方法や、半透明膜の膜厚や半透明膜の材料を調整する方法等が挙げられる。
透過領域および半透明領域の形状としては、透過領域および半透明領域が隣接するパターンとなるものであれば特に限定されるものではなく、目的とする高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起の形状に応じて適宜選択される。配向制御用突起に対応する半透明領域の形状としては、例えば、線形、楔形などが挙げられる。また、低スペーサに対応する半透明領域の形状としては、例えば、円形、矩形、多角形などが挙げられる。
(ii)遮光領域
本発明に用いられる階調マスクにおける遮光領域は、透明基板上に遮光膜が設けられた領域である。
遮光領域は、透明基板上に遮光膜が形成された領域であればよく、透明基板上に遮光膜のみが形成されていてもよく、透明基板上に遮光膜および半透明膜が形成されていてもよい。透明基板上に遮光膜および半透明膜が形成されている場合、透明基板、遮光膜および半透明膜の積層順としては特に限定されるものではなく、例えば図1(a)に示すように透明基板2/半透明膜3/遮光膜4の順であってもよく、図7に示すように透明基板2/遮光膜4/半透明膜3の順であってもよい。
本発明に用いられる階調マスクは、異なる幅をもつ2種類の遮光領域(第1遮光領域および第2遮光領域)を有していてもよい。この場合、図5に例示するように、第1遮光領域を利用して高スペーサを形成し、第1遮光領域よりも幅の小さい第2遮光領域を利用して低スペーサを形成することができる。
高スペーサに対応する第1遮光領域の幅および低スペーサに対応する第2遮光領域の幅としては、第1遮光領域の幅が第2遮光領域の幅よりも大きく、所望の高スペーサおよび低スペーサの高さの差を実現できれば特に限定されるものではない。具体的には、第1遮光領域の幅としては、目的とする高スペーサの大きさに応じて適宜設定され、15μm〜60μm程度とすることができる。また、第2遮光領域の幅としては、目的とする低スペーサの大きさに応じて適宜設定され、10μm〜30μm程度とすることができる。
遮光領域の形状としては、透過領域および半透明領域が隣接するパターンとなるものであれば特に限定されるものではなく、目的とする高スペーサおよび低スペーサの形状に応じて適宜選択される。高スペーサおよび低スペーサに対応する遮光領域の形状としては、例えば、円形、矩形、多角形などが挙げられる。
(iii)半透明膜
本発明に用いられる階調マスクにおける半透明膜は、透明基板上にパターン状に形成されるものであり、透過率調整機能を有するものである。
上述したように、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れは比較的小さいことが好ましく、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れが所定の値以下となることが好ましい。
このような光の位相差を実現可能な半透明膜の材料としては、例えば、クロム、チタン、ニッケル、ニッケル合金、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、コバルト、コバルト合金等の金属が挙げられる。これらの中でも、パターニング性の観点から、クロム、チタン、ニッケル、ニッケル合金、タンタルが好ましい。すなわち、半透明膜が、クロム、チタン、ニッケル、ニッケル合金およびタンタルからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
半透明領域は、透明基板上に半透明膜のみが設けられた領域であり、透過領域は、透明基板が露出した領域である。したがって、半透明膜の位相差が比較的小さい場合には、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れを比較的小さくすることができる。
この半透明膜の位相差は、半透明膜を構成する材料の屈折率と、半透明膜の膜厚との積で示される。そのため、半透明膜を構成する材料は、屈折率が比較的小さいことが好ましい。
このような屈折率が比較的小さい材料としては、例えば、クロム、タンタル、チタン等の金属、およびこれらの金属を含む化合物などが挙げられる。
ここで、半透明膜として金属を一般的な手法により成膜する場合、微量の酸素および窒素が膜中に通常含まれてしまう。本発明の効果を実現するためには、金属を用いて成膜された半透明膜中の金属の含有量は、97%以上であることが好ましく、中でも99%以上であることが好ましい。また、金属を用いて成膜された半透明膜中の窒素の含有量は、3%以下であることが好ましく、中でも2%以下であることが好ましい。さらに、金属を用いて成膜された半透明膜中の酸素の含有量は、3%以下であることが好ましく、中でも2%以下であることが好ましい。
また、半透明膜の透過率としては、所望の高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起の高さの差を実現できれば特に限定されるものではない。
半透明膜は、単層であってもよく、上述した材料からなる膜が複数層積層されたものであってもよい。なお、半透明膜が上述した材料からなる膜が複数層積層されたものである場合には、膜の積層数としては、通常2層〜3層程度とすることが好ましく、特に2層とすることが位相差の制御等の面から好ましい。
また、半透明膜の透過率はその膜厚により変わるため、半透明膜の膜厚は目的とする透過率に応じて適宜選択される。
半透明膜の成膜方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
例えば、スパッタリング法によりクロムを用いて半透明膜を成膜する場合は、Arガス等のキャリアガスを反応装置内に導入し、Crターゲットを用いた反応性スパッタリング法にて半透明膜を成膜することができる。この際、Arガス等のキャリアガスの他に、窒素ガス等が反応装置内に導入されることがあるが、各ガスの流量の割合を制御することで半透明膜の組成が制御されることから、Arガスの流量を1とすると窒素ガスの流量比は0.2以下であることが好ましい。
また、半透明膜は、上記半透明領域の形状に応じて、透明基板上にパターン状に形成される。
(iv)遮光膜
本発明に用いられる階調マスクにおける遮光膜は、透明基板上にパターン状に形成されるものである。
遮光膜は、実質的に露光光を透過しないものであり、露光波長における平均透過率が0.1%以下であることが好ましい。このような遮光膜としては、一般にフォトマスクに用いられる遮光膜を用いることができ、例えば、クロム、モリブデンシリサイド、タンタル、アルミニウム、ケイ素、チタン等の金属の膜、あるいは、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素等の金属の酸化物や窒化物などの膜が挙げられる。また、ニッケル合金、コバルト合金、ニッケル−コバルト合金、およびこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物などの膜も用いることができる。
中でも、遮光膜としては、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等のクロム系膜;ニッケルを主成分とするNi−Cu−TiおよびNi−Ta−Cu−Ti、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のニッケル合金系膜;コバルトを主成分とするCo−Cu−TiおよびCo−Ta−Cu−Ti、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のコバルト合金系膜;ニッケルおよびコバルトを主成分とするNi−Co−Cu−Ti、およびその酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物等のニッケル−コバルト合金系膜が好適に用いられる。上記クロム系膜は、単層であってもよく、2層以上が積層されたものであってもよい。
また、遮光膜は、低反射機能を有していてもよい。低反射機能により、露光光の乱反射を防止することができるので、より鮮明なパターンを形成することができる。遮光膜に低反射機能を付加するには、例えば遮光膜表面に露光光の反射を防止する酸化クロム等のクロム化合物を含有させればよい。この場合、遮光膜が、表面に向かって徐々に含有成分が変化する傾斜界面により形成されたものであってもよい。
遮光膜の膜厚としては、特に限定されるものではなく、遮光膜の種類等によって適宜選択される。例えばクロム膜の場合には50nm〜150nm程度であることが好ましい。
また、遮光膜の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
遮光膜は、上記遮光領域の形状に応じて、透明基板上にパターン状に形成される。
(v)透明基板
本発明に用いられる階調マスクにおける透明基板は、一般にフォトマスクに用いられる基板を使用することができる。例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等の光学研磨された低膨張ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。中でも、石英ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れている。
(vi)階調マスク
本発明に用いられる階調マスクは、上記の透過領域、半透明領域および遮光領域が形成されているものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて例えばアライメント用の領域等が形成されていてもよい。
また、階調マスクの大きさとしては、用途に応じて適宜調整されるが、例えば300mm×400mm〜1,600mm×1,800mm程度とすることができる。
本発明に用いられる階調マスクの製造方法は、透明基板上に半透明膜および遮光膜をパターン状に形成することにより、透過領域および半透明領域が隣接するパターンを有するように所定の位置に透過領域、半透明領域、および遮光領域を配置することができる方法であれば特に限定されるものではない。
中でも、階調マスクの製造方法は、半透明膜を形成するための材料として、この階調マスクを用いて露光する際の光強度分布のシミュレーションを行った場合に、上記透過領域および上記半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、上記透過領域から上記半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものとなる材料を選択し、上記材料を用いて上記半透明膜を成膜する半透明膜成膜工程を有することが好ましい。
なお、階調マスクを用いて露光する際の光強度分布のシミュレーションを行った場合に、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないことについては、上述したとおりであるので、ここでの説明は省略する。
また、半透明膜を形成するための材料として、半透明領域の波長365nmでの透過率をT(%)、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れをδ(rad)とした場合に、−δ/ln(T/100)が0.4以下となる材料を選択することが好ましい。
なお、上記半透明領域の波長365nmでの透過率をT(%)、上記透過領域を通過した露光光に対する上記半透明領域を通過した露光光の位相の遅れをδ(rad)とした場合に、−δ/ln(T/100)が0.4以下となることについても、上述したとおりであるので、ここでの説明は省略する。
また、階調マスクの製造方法については、一般的な方法を適用することができ、例えば特開2007−178649号公報等に詳しく記載されている。
(2)高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起の形成方法
本発明においては、ポジ型感光性樹脂からなる高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時に形成することができる。
本工程においては、まず、感光性樹脂層を階調マスクを介して露光する。露光方式としては、上述したようにシミュレーションを行った場合に、透過領域および半透明領域の境界から所定の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度を単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものとすることができれば、特に限定されるものではなく、例えばプロキシミティ露光方式、ミラープロジェクション露光方式等を挙げることができる。この露光により、照射部分で酸発生反応が生じる。
上記の露光後は、現像が行われる。現像により、感光性樹脂層が部分的に除去される。感光性樹脂としてポジ型感光性樹脂を用いるので、露光により分解した部分が選択的に除去され、その他の部分が残存する。この現像は、一般的な現像方法に従って行うことができる。
また、露光および現像後、形成された高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起に対して加熱処理(ポストベーク)を施してもよい。この加熱処理は、例えば温度100〜250℃、処理時間10〜60分程度で適宜設定することができる。
3.その他の工程
本発明においては、感光性樹脂層形成工程前または露光・現像工程後に、カラーフィルタにおける各種部材を形成する工程を必要に応じて行うことができる。
例えば、高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を覆うように配向膜を形成する配向膜形成工程を行うことができる。配向膜は、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸タイプポリイミド、変性ポリイミド等の有機化合物を、一般的な印刷法、塗布方法により塗布し、その後、焼成することにより形成することができる。
配向膜の厚みは、500〜1000Å程度とすることができる。
4.用途
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、所定の階調マスクを用いていることから、特に大型の液晶表示装置用のカラーフィルタの製造に適している。
また、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、モノクロの液晶表示装置用の基板の製造に適用することもできる。
B.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、上述した液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするものである。
本発明のカラーフィルタは、ポジ型感光性樹脂からなる高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を有するものであり、この高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を構成するポジ型感光性樹脂が同一であるものである。
また、カラーフィルタのその他の構成としては、一般的なカラーフィルタと同様とすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[参考例1]
(階調マスクの作製)
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとし、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望の遮光膜中間パターンを得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
次いで、遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。このとき、半透明膜の膜厚は10nmとした。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:N2=5:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
次に、半透明膜上に市販のフォトレジスト(東京応化製 ip−3500)を再度、厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレート上で15分ベークした。
続いて半透明膜パターンとなる像を再度、レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で描画し、専用デベロッパー(東京応化社製 NMD3)で現像し、レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをマスクとして、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)で半透明膜および遮光膜をエッチングし、半透明膜パターンおよび遮光膜パターンを得た。エッチングは半透明膜および遮光膜に対して行った。
最後に残ったレジストを剥膜し、パターン寸法検査、パターン欠陥検査などの検査工程を経て、必要に応じてパターン修正を行い、階調マスクを得た。
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが100mm×100mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1000Å)を形成した。このクロム薄膜上にポジ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成した。次いで、このレジストパターンをマスクとして、クロム薄膜をエッチングして、線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスを形成した。
次に、下記組成の赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) 4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
次いで、ガラス基板上にブラックマトリックスを覆うように赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色パターン用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色パターンを形成した。この赤色パターンは、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色パターン、青色パターンを形成した。これにより、赤色パターン、緑色パターン、青色パターンが配列された着色層を形成した。
次に、ブラックマトリックス、着色層を覆うように酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極層(厚み1500Å)をスパッタリング法により形成した。
次に、透明電極層上にポジ型感光性樹脂組成物(ロームアンドハース社製LC100VL、固形分量15%)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:50mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、スペーサおよび配向制御用突起を同時形成した。
[参考例2]
(階調マスクの作製)
下記のように半透明膜を成膜した以外は、参考例1と同様にして階調マスクを作製した。
遮光膜中間パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した後、酸化窒化炭化クロム膜(半透明膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。このとき、酸化窒化炭化クロム膜の膜厚は33nmとした。
<成膜条件>
・ガス流量比 Ar:CO2:N2=1:0.5:0.5
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
(カラーフィルタの作製)
参考例1と同様にして、カラーフィルタを作製した。
[参考例1,2の評価]
参考例1,2の階調マスクについて、光強度分布をシミュレーションにより求めた。シミュレーション条件は、露光ギャップ:150μm、Collimation:1.5°、露光波長:365nm、半透明領域の透過率T:30%(365nm)、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れ(位相差)δ:0.02radまたは1.22rad、半透明領域の線幅:15μm、露光方式:プロキシミティ露光方式とした。シミュレーション結果を図3に示す。
参考例1の階調マスク(図3(a))では、透過領域および半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないことがわかった。一方、参考例2の階調マスク(図3(b))では、透過領域および半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少せず、光強度分布に変曲点をもっていた。
参考例1,2の階調マスクを用いて形成されたスペーサおよび配向制御用突起の断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。なお、スペーサの断面形状は截頭円錐となっているものを○とし、配向制御用突起の断面形状はかまぼこ状になっているものを○、突起周辺部に意図しないパターンが残るものを×とした。評価結果を表1に示す。
Figure 0005169072
参考例1の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、スペーサおよび配向制御用突起として最適な形状および寸法をもつパターンを形成することができた。
[参考例3]
(階調マスクの作製)
図8に示すような、透明基板2上に半透明膜3が設けられた半透明領域12と、透明基板2が露出した透過領域13とを有し、半透明領域12と透過領域13とが隣接するパターンを有する階調マスク1について、光強度分布をシミュレーションにより求めた。なお、図8(a)は図8(b)のC−C線断面図である。
シミュレーション条件は、露光ギャップ:150μm、Collimation:1.5°、露光波長:365nm、半透明領域の透過率T:10%〜90%(365nm)、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れ(位相差)δ:0.01rad〜1.28rad、半透明領域の線幅:15μm、露光方式:プロキシミティ露光方式とした。
シミュレーション結果から、光強度分布の形状を評価した。ここで、透過領域および半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないを○とし、それ以外を×とした。光強度分布の形状の評価と、−δ/ln(T/100)の値を表2に示す。
Figure 0005169072
シミュレーションを行った場合に、−δ/ln(T/100)が0.4以下のときには、透過領域および半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないことがわかった。
[参考例4]
(階調マスクの作製)
半透明膜の膜厚を16nmとし、高スペーサを形成するための遮光領域と、低スペーサを形成するための半透明領域とを有するように、遮光膜および半透明膜をパターン描画した以外は、参考例1と同様にして階調マスクを作製した。
(カラーフィルタの作製)
スペーサおよび配向制御用突起を形成するかわりに、上記階調マスクを使用して高さの異なるスペーサ(高スペーサ・低スペーサ)を形成する以外は、参考例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
[参考例5]
(階調マスクの作製)
半透明膜の膜厚を52nmとし、高スペーサを形成するための遮光領域と、低スペーサを形成するための半透明領域とを有するように、遮光膜および半透明膜をパターン描画した以外は、参考例2と同様にして階調マスクを作製した。
(カラーフィルタの作製)
スペーサおよび配向制御用突起を形成するかわりに、上記階調マスクを使用して高さの異なるスペーサ(高スペーサ・低スペーサ)を形成する以外は、参考例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
[参考例4,5の評価]
参考例4,5の階調マスクについて、光強度分布をシミュレーションにより求めた。シミュレーション条件は、露光ギャップ:150μm、Collimation:1.5°、露光波長:365nm、半透明領域の透過率T:15%(365nm)、透過領域を通過した露光光に対する半透明領域を通過した露光光の位相の遅れ(位相差)δ:0.03radまたは1.93rad、半透明領域の直径:30μm、露光方式:プロキシミティ露光方式とした。シミュレーション結果を図9に示す。
参考例4の階調マスク(図9(a))では、透過領域および半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないことがわかった。一方、参考例5の階調マスク(図9(b))では、透過領域および半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、透過領域から半透明領域に向けて光強度が単調に減少せず、光強度分布に変曲点をもっていた。
参考例4,5の階調マスクを用いて形成された高さの異なるスペーサの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。なお、スペーサの断面形状は截頭円錐となっているものを○とし、突起周辺部に意図しないパターンが残るものを×とした。評価結果を表3に示す。
Figure 0005169072
参考例4の階調マスクを用いることにより、高さの異なるスペーサとして最適な形状および寸法をもつパターンを形成することができた。
[実施例1]
(階調マスクの作製)
参考例1と同様にして、図10に示すような、透明基板2上に遮光膜4が設けられ、高スペーサに対応する第1遮光領域11aと、透明基板2上に遮光膜4が設けられ、低スペーサに対応する第2遮光領域11bと、透明基板2上に半透明膜3のみが設けられ、配向制御用突起に対応する半透明領域12と、透明基板2が露出した透過領域13とを有し、半透明領域12と透過領域13とが隣接するパターンを有する階調マスク1を作製した。なお、図10(a)は図10(b)のD−D線断面図である。
第1遮光領域の幅(直径)d1は30μm、第2遮光領域の幅(直径)d2は15μm、半透明領域の幅d3は15μmとした。また、半透明膜の透過率特性は、波長365nmでの透過率が30%、波長406nmでの透過率が30%、波長436nmでの透過率が30%であった。
また、この階調マスクについて、参考例1と同様にして光強度分布をシミュレーションにより求めたところ、シミュレーション結果は、参考例1の階調マスクと同様であった。
(カラーフィルタの作製)
参考例1と同様にして、基板上にブラックマトリックスおよび着色層を形成し、さらに透明電極層を形成した。
次に、透明電極層上にポジ型感光性樹脂組成物(ロームアンドハース社製LC100VL、固形分量15%)をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥後、100℃にて3分間プリベークした。その後、上記の階調マスクを介して下記条件にて露光した。
<露光条件>
・露光量:50mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
次いで、水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、その後、230℃、30分間の加熱処理を施し、高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時形成した。これにより、図11に示すような、基板2上に遮光部(ブラックマトリックス)22、着色層(赤色パターン23R,緑色パターン23G,青色パターン23B)および透明電極層24が形成され、その上に高スペーサ51、低スペーサ52および配向制御用突起53が形成されたカラーフィルタを得た。なお、図11(a)は図11(b)のE−E線断面図である。
得られた高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起の断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。
Figure 0005169072
上記の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、高さの異なる2種類のスペーサ(高スペーサおよび低スペーサ)および配向制御用突起を所望の高さで同時に形成することができた。
[実施例2]
(階調マスクの作製)
参考例1と同様にして、図12に示すような、透明基板2上に遮光膜4が設けられ、高スペーサに対応する遮光領域11と、透明基板2上に半透明膜3のみが設けられ、低スペーサに対応する第1半透明領域12aと、透明基板2上に半透明膜3のみが設けられ、配向制御用突起に対応する第2半透明領域12bと、透明基板2が露出した透過領域13とを有し、各半透明領域12a,12bと透過領域13とが隣接するパターンを有する階調マスク1を作製した。なお、図12(a)は図12(b)のF−F線断面図である。
遮光領域の幅(直径)d4は30μm、第1半透明領域の幅(直径)d5は30μm、第2半透明領域の幅d6は15μmとした。また、第1半透明領域の波長365nmでの透過率は15%、第2半透明領域の波長365nmでの透過率は30%であった。
また、この階調マスクについて、参考例4と同様にして光強度分布をシミュレーションにより求めたところ、シミュレーション結果は、参考例4の階調マスクと同様であった。
(カラーフィルタの作製)
実施例1と同様にして、基板上にブラックマトリックスおよび着色層を形成し、さらに透明電極層を形成し、そして高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時形成した。
得られた高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起の断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。
Figure 0005169072
上記の階調マスクを露光プロセスに用いることにより、高さの異なる2種類のスペーサ(高スペーサおよび低スペーサ)および配向制御用突起を所望の高さで同時に形成することができた。
[比較例]
(階調マスクの作製)
参考例1と同様にして遮光膜をパターニングし、図13に示すような、透明基板102上に遮光膜104が設けられた、高スペーサに対応するパターン121と、低スペーサに対応するパターン122と、配向制御用突起に対応するパターン123とを有する階調マスク101を作製した。なお、図13(a)は図13(b)のG−G線断面図である。
パターン121の幅(直径)d7は30μm、パターン122の幅(直径)d8は15μm、パターン123の幅d9は7μmとした。
(カラーフィルタの作製)
実施例1と同様にして、基板上にブラックマトリックスおよび着色層を形成し、さらに透明電極層を形成し、そして高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時形成した。
得られた高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起の断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察し、寸法を測定した。
Figure 0005169072
上記の階調マスクを露光プロセスに用いた場合には、配向制御用突起が目的とする高さ(1.5μm)にできあがらなかった。この場合、線幅を細くすれば、高さが目的とする値に近づくが、線幅が細くなりすぎてしまう。したがって、上記のような階調マスクでは、目的とする高さと線幅を同時に実現できないということがわかる。
また、配向制御用突起は、プロセスのばらつきの影響を受けやすく、高さが1.3〜2.4μm、線幅が7〜12μmであり、大きなばらつきがあった。
本発明に用いられる階調マスクの一例を示す模式図である。 光強度分布のシミュレーションを説明するための図である。 シミュレーション結果を示すグラフである。 従来の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明に用いられる階調マスクの他の例を示す模式図である。 参考例3における階調マスクを示す模式図である。 参考例4,5における階調マスクのシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例1における階調マスクを示す模式図である。 実施例1における液晶表示装置用カラーフィルタを示す模式図である。 実施例2における階調マスクを示す模式図である。 比較例における階調マスクを示す模式図である。 従来の階調マスクの一例を示す模式図である。
符号の説明
1 … 階調マスク
2 … 透明基板
3 … 半透明膜
4 … 遮光膜
11 … 遮光領域
12 … 半透明領域
13 … 透過領域
21 … 基板
23 … 着色層
25 … 感光性樹脂層
51 … 高スペーサ
52 … 低スペーサ
53 … 配向制御用突起

Claims (5)

  1. 着色層が形成された基板上にポジ型感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、前記感光性樹脂層を、階調マスクを用いて露光し、現像して、前記ポジ型感光性樹脂からなる高スペーサ、低スペーサおよび配向制御用突起を同時に形成する露光・現像工程とを有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、
    前記階調マスクが、透明基板と、前記透明基板上にパターン状に形成された遮光膜および半透明膜とを有し、前記透明基板が露出した透過領域、前記透明基板上に前記遮光膜が設けられた遮光領域および前記透明基板上に前記半透明膜のみが設けられた半透明領域を有し、前記透過領域および前記半透明領域が隣接するパターンを有し、
    前記階調マスクが、前記半透明領域の露光光の波長365nmでの透過率をT(%)、前記透過領域を通過した露光光に対する前記半透明領域を通過した露光光の位相の遅れをΔ(rad)とした場合に、−Δ/ln(T/100)が0.4以下となるように、前記半透明膜の材料の屈折率、および前記半透明膜の膜厚の少なくとも一方を調整されたものであり、
    当該階調マスクを用いて露光する際の光強度分布のシミュレーションを行った場合に、前記透過領域および前記半透明領域の境界から5μm以内の距離の領域で、前記透過領域から前記半透明領域に向けて光強度が単調に減少し、光強度分布に変曲点をもたないものであることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  2. 前記階調マスクにおいて、前記遮光領域が、前記高スペーサに対応する第1遮光領域と、前記低スペーサに対応する第2遮光領域とを有し、前記第1遮光領域の幅が前記第2遮光領域の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  3. 前記階調マスクにおいて、前記半透明領域が、前記低スペーサに対応する第1半透明領域と、前記配向制御用突起に対応する第2半透明領域とを有し、前記第1半透明領域の透過率が前記第2半透明領域の透過率よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  4. 前記階調マスクにおける前記半透明膜が、クロム、チタン、ニッケル、ニッケル合金およびタンタルからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むこと特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルタ。
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