第1の実施の形態
図1乃至図11を用いて、本発明の第1の実施の形態におけるサスペンション用基板、外枠付サスペンション用基板、ロードビーム、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブについて説明する。
まず、図1を用いて、本実施の形態によるサスペンション用基板1について説明する。図1に示すように、サスペンション用基板1は、後述するスライダ72(図9参照)が実装されるヘッド部分2aと、外部機器(図示せず)に接続されるテール部分2bとを有し、当該ヘッド部分2aからテール部分2bに延びる基板本体2と、基板本体2の両側方に配置され、後述のピエゾ素子54(アクチュエータ素子、図7参照)に接続される一対の素子接続部3a、3bとを備えている。このうち、基板本体2のヘッド部分2aは、ピエゾ素子54よりスライダ72の側(先端側)の部分であって、直線状に延びており、実装される後述のスライダ72(図9参照)の中心を通る長手方向軸線(X)を有している。また、ヘッド部分2aには、スライダ72に接続される複数のヘッド端子5が設けられ、テール部分2bには、外部機器に接続される複数の外部機器接続端子6が設けられており、ヘッド端子5と外部機器接続端子6とが、後述する複数の配線13を介してそれぞれ接続されている。
ここで、サスペンション用基板1は、図8に示すように、絶縁層10と、絶縁層10のピエゾ素子54の側の面(一方の面)に設けられた金属支持層11と、絶縁層10の他方の面に設けられた複数の配線13を有する配線層12とを有している。絶縁層10上には、配線層12を覆う保護層20が設けられている。なお、図1および図2においては、図面を明瞭にするために、保護層20は省略している。また、図8は、素子接続部3a、3bの断面構造を示しているが、基板本体2の構造も、素子接続部3a、3bと同様な積層構造となっている。さらに、図示しないが、絶縁層10と配線層12との間には、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)からなり、約300nm厚さを有するシード層(図示せず)が介在されており、絶縁層10と配線層12との密着性を向上させている。
図1に示すように、一対の素子接続部3a、3bは、いずれも平面視で円形状の第1素子接続部3aと第2素子接続部3bとからなり、各素子接続部3a、3bは、基板本体2における配線層12の複数の配線13のうち一の配線13に接続され、ピエゾ素子54に導電性接着剤(例えば、銀ペースト)を介して電気的に接続される円形状の素子接続端子16を有している。このうち素子接続端子16は、上述したヘッド端子5および外部機器接続端子6と共に、各配線13と同一の材料からなり、各配線13と同一平面上(絶縁層10上)に設けられ、各配線13と共に配線層12を構成している。
図8に示すように、各素子接続部3a、3bにおいて、金属支持層11には、金属支持層11を貫通する金属支持層注入孔32が設けられ、金属支持層11はリング状に形成されている。また、絶縁層10には、金属支持層注入孔32に対応して、絶縁層10を貫通する絶縁層注入孔33が設けられている。このようにして、配線層12の素子接続端子16が、金属支持層11の側に露出されるようになっている。また、素子接続端子16の絶縁層注入孔33において露出された部分に、ニッケル(Ni)めっきおよび金(Au)めっきが順次施されて、めっき層15が形成されている。このことにより、素子接続端子16の露出された部分が腐食することを防止している。なお、このめっき層15の厚さは、0.1μm〜4.0μmであることが好ましい。
基板本体2と第1素子接続部3aは、第1連結部4aを介して連結され、基板本体2と第2素子接続部3bは、第2連結部4bを介して連結されている。このようにして、各素子接続部3a、3bの素子接続端子16は、基板本体2のヘッド端子5から対応する連結部4a、4bを通って延びる一の配線13に接続されるようになっている。なお、各連結部4a、4bは、金属支持層11を含むことなく、絶縁層10と配線層12と保護層20とが積層された積層構造を有しており、基板本体2よりも柔軟性を有している。
第1素子接続部3aは、第2連結部4bよりもヘッド部分2aの側に配置され、第2素子接続部3bは、第1連結部4aよりもテール部分2bの側に配置されている。とりわけ、図1に示すように、第1素子接続部3aは、第2素子接続部3bより、ヘッド部分2aの側に配置されていることが好ましい。また、本実施の形態においては、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、直線状に形成され、基板本体2のヘッド部分2aの長手方向軸線(X)に対して、直交している。この場合、第1素子接続部3aと第2素子接続部3bとは、長手方向軸線(X)に対して、非線対称に配置されるようになる。
図1に示すように、第1素子接続部3aと長手方向軸線(X)との間の距離Laは、第2素子接続部3bと長手方向軸線(X)との間の距離Lbと、同一となっていることが好ましい。このことにより、一対のピエゾ素子54を、長手方向軸線(X)から同一の距離に配置させることができ、スライダ72のスウェイ方向(旋回方向、図3参照)への変位に対して、第1素子接続部3aに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響と、第2素子接続部3bに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響とを、均等にすることができ、スライダ72のスウェイ方向の変位を容易に調整することができる。ここで、同一とは、当然のことながら厳密に同一という意味ではなく、常識的に同一とみなすことができる程度の誤差を含むものとして用いている。
基板本体2には、金属支持層11を保持する後述のロードビーム61を搭載する際に、ロードビーム61との間でアライメント(位置合わせ)を行うための2つの治具孔25が設けられている。各治具孔25は、基板本体2のヘッド部分2aの長手方向軸線(X)上に配置されている。すなわち、当該長手方向軸線(X)は、各治具孔25を通っている。
次に、サスペンション用基板1の各層を構成する材料について詳細に述べる。
絶縁層10の材料としては、所望の絶縁性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えば、ポリイミド(PI)を用いることが好適である。なお、絶縁層10の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。また、絶縁層10の厚さは、5μm〜30μm、とりわけ8μm〜10μmであることが好ましい。このことにより、金属支持層11と各配線13との間の絶縁性能を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての剛性が喪失されることを防止することができる。
各配線13は、電気信号を伝送するための導体として構成されており、各配線13の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅(Cu)を用いることが好適である。銅以外にも、純銅に準ずる電気特性を有する材料であれば用いることもできる。ここで、各配線13の厚さは、例えば1μm〜18μm、とりわけ9μm〜12μmであることが好ましい。このことにより、各配線13の伝送特性を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての柔軟性が喪失されることを防止することができる。なお、素子接続端子16、ヘッド端子5および外部機器接続端子6は、各配線13と同一の材料、同一の厚みからなっている。
金属支持層11の材料としては、所望の導電性、弾力性、および強度を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、ベリリウム銅、またはその他の銅合金を用いることができ、好ましくはステンレスを用いることが好適である。金属支持層11の厚さは、10μm〜30μm、とりわけ15μm〜20μmであることが好ましい。このことにより、金属支持層11の導電性、剛性、および弾力性を確保することができる。
保護層20の材料としては、樹脂材料、例えば、ポリイミドを用いることが好適である。なお、保護層20の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。
次に、図2を用いて、本実施の形態による外枠付サスペンション用基板41について説明する。ここで、外枠付サスペンション用基板41は、複数のサスペンション用基板1を、長尺の材料板(例えば、金属支持層11と絶縁層10と配線層12との積層材料板35等)から材料取りして、各層のエッチング、めっき処理などを一体的に行い、サスペンション用基板1を製造するためのものである。
図2に示すように、外枠付サスペンション用基板41は、外枠42と、外枠42内において、基板本体2のヘッド部分2aの長手方向に直交する方向に整列されて、外枠42に支持された、複数のサスペンション用基板1と、を備えている。各サスペンション用基板1は、そのヘッド部分2aおよびテール部分2bにおいて、図示しない支持部によって外枠42に支持されている。この支持部を切断することにより、外枠付サスペンション用基板41から個片化された複数のサスペンション用基板1が得られるようになっている。なお、図2においては、6つのサスペンション用基板1が外枠42に支持されている例について示しているが、外枠42に支持されるサスペンション用基板1の個数はこのことに限られることはない。
外枠付サスペンション用基板41においては、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aが、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bよりヘッド部分2aの側に配置されている。また、一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bが、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aよりテール部分2bの側に配置されている。このようにして、互いに隣接するサスペンション用基板1の基板本体2間において、一方のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aと、他方のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bとが、入り組むように配置することができ、当該基板本体2間の距離を低減することができる。
なお、外枠42は、各サスペンション用基板1と一体に作製されるものであって、各サスペンション用基板1と同様に、金属支持層11、絶縁層10および配線層12が積層された構造を有し、配線層12が保護層20で覆われることなく露出している。また、外枠42における配線層12には、各サスペンション用基板1の各配線13が接続されており、外枠42は、各サスペンション用基板1の各配線13の導通検査を行うための検査端子として用いられるようになっている。
次に、図3乃至図8を用いて、本実施の形態によるサスペンション51およびロードビーム61について説明する。図3に示すように、サスペンション51は、ベースプレート52と、ベースプレート52にロードビーム61を介して取り付けられたサスペンション用基板1と、ベースプレート52およびロードビーム61の少なくとも一方に搭載されて接合されると共に、サスペンション用基板1の第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bにそれぞれ接続された一対のピエゾ素子54とを備えている。なお、本実施の形態においては、各ピエゾ素子54は、後述するように、ベースプレート52およびロードビーム61に接合されるようになっている。
ベースプレート52は、ステンレスからなり、図4に示すように、サスペンション用基板1のヘッド部分2aの側に配置されたヘッド側プレート52aと、テール部分2bの側に配置されたテール側プレート52bと、一対のピエゾ素子54(図3参照)の搭載領域70の間に配置され、ヘッド側プレート52aとテール側プレート52bとを連結した可撓部52cと、を有している。
図5に示すように、ロードビーム61は、ベースプレート52と同様にステンレスからなり、サスペンション用基板1のヘッド部分2aの側に配置されたヘッド側ビーム62と、テール部分2bの側に配置されたテール側ビーム63と、一対のピエゾ素子54の搭載領域70の間に配置され、ヘッド側ビーム62とテール側ビーム63とを連結した可撓部64と、を有している。
図3および図5に示すように、ヘッド側ビーム62は、一対のピエゾ素子54のうちの一方のピエゾ素子54のヘッド部分2aの側の縁部が接合される第1テール側縁部62aと、他方のピエゾ素子54のヘッド部分2aの側の縁部が接合される第2テール側縁部62bと、を有している。また、テール側ビーム63は、一方のピエゾ素子54のテール部分2bの側の縁部が接合される第1ヘッド側縁部63aと、他方のピエゾ素子54のテール部分2bの側の縁部が接合される第2ヘッド側縁部63bと、を有している。すなわち、一方のピエゾ素子54は、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aと、テール側ビーム63の第1ヘッド側縁部63aとに接合され、他方のピエゾ素子54は、ヘッド側ビーム62の第2テール側縁部62bと、テール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bとに接合されるようになっている。具体的には、図8に示すように、各ピエゾ素子54は、ロードビーム61の下側(ベースプレート52の側)から、各テール側縁部62a、62b、および、各ヘッド側縁部63a、63bに接合されている。なお、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aおよび第2テール側縁部62bは、可撓部64の両側方に位置付けられており、テール側ビーム63の第1ヘッド側縁部63aおよび第2ヘッド側縁部63bは、可撓部64の両側方に位置付けられている。
ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aおよびテール側ビーム63の第1ヘッド側縁部63aのうち少なくとも一方に、並びに、ヘッド側ビーム62の第2テール側縁部62bおよびテール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bのうち少なくとも一方に、対応する素子接続部3a、3bに向かって開口する凹状切欠部65が設けられている。すなわち、各凹状切欠部65は、円弧状に形成されており、図3に示すように、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62a、および、テール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bに設けられている。ここで、本実施の形態においては、第1素子接続部3aが、第2素子接続部3bよりもヘッド部分2aの側に配置されており、第1素子接続部3aが、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aに近接し、第2素子接続部3bが、テール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bに近接している。このため、図3に示すようにして凹状切欠部65を設けることにより、各素子接続部3a、3bが、ロードビーム61に短絡することを、効果的に防止することができる。なお、ベースプレート52のヘッド側プレート52aのテール側縁部は、ロードビーム61のヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aおよび第2テール側縁部62bよりもヘッド部分2aの側に位置している。また、ベースプレート52のテール側プレート52bのヘッド側縁部は、ロードビーム61のテール側ビーム63の第1ヘッド側縁部63aおよび第2ヘッド側縁部63bよりもテール部分2bの側に位置している。
ところで、凹状切欠部65の開口寸法は、直方体状に形成されたピエゾ素子54の幅方向の寸法(ヘッド部分2aの長手方向に直交する方向の寸法)より小さく、かつ、素子接続部3a、3bの直径(幅方向の寸法)より大きくなっている。具体的には、図6に示すように、ピエゾ素子54の幅方向の寸法をAとし、素子接続部3a、3bの直径をBとした場合、凹状切欠部65の開口寸法Cは、Aよりも小さく、かつ、Bよりも大きくなっている。このことにより、素子接続部3a、3bとロードビーム61とが短絡することを防止すると共に、ピエゾ素子54とロードビーム61との接合面積を確保することができる。
図5に示すように、ロードビーム61には、サスペンション用基板1の各治具孔25に対応して、ビーム治具孔66が設けられており、サスペンション用基板1の基板本体2の金属支持層11にロードビーム61を実装する際に、サスペンション用基板1とロードビーム61との位置合わせを行うことができるようになっている。
ピエゾ素子54は、電圧が印加されることにより伸縮する圧電素子として構成されている。各ピエゾ素子54は、図7に示すように、互いに対向する一対の電極54aと、一対の電極54a間に介在され、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミックスからなる圧電材料部54bとを有している。一対のピエゾ素子54の圧電材料部54bは、互いに180°異なる分極方向となるように形成されており、所定の電圧が印加されると、一方のピエゾ素子54が収縮すると共に、他方のピエゾ素子54が伸長するようになっている。このようなピエゾ素子54は、図3に示すように、ヘッド部分2aの長手方向軸線(X)に対して互いに線対称に配置されている。なお、線対称とは、当然のことながら厳密に線対称という意味ではなく、常識的に線対称とみなすことができる程度の誤差を含むものとして用いている。
図8に示すように、各ピエゾ素子54は、非導電性接着剤からなる非導電性接着部55を介してベースプレート52およびロードビーム61に接合されている。また、ピエゾ素子54の一方(サスペンション用基板1とは反対側)の電極54aは、導電性接着剤からなる図示しない導電性接着部を介して、ベースプレート52に電気的に接続されている。ピエゾ素子54の他方(サスペンション用基板1の側)の電極54aは、導電性接着剤からなる導電性接着部56を介して、素子接続部3a、3bに接合されると共に電気的に接続されている。すなわち、素子接続部3a、3bにおける絶縁層注入孔33および金属支持層注入孔32に、導電性接着剤からなる導電性接着部56が形成され、ピエゾ素子54が、導電性接着部56を介して、素子接続部3a、3bに接合されると共に、ピエゾ素子54の当該他方の電極54aが、導電性接着部56を介して配線層12の素子接続端子16に電気的に接続されている。なお、金属支持層11とピエゾ素子54との間に微小な隙間が形成されているが、この隙間にも導電性接着部56が延びている。また、図8においては、連結部4a、4bの柔軟性により、素子接続部3a、3bの金属支持層11の下面が、ロードビーム61の上面よりも下がっている。
次に、図9により、本実施の形態におけるヘッド付サスペンション71について説明する。図9に示すヘッド付サスペンション71は、上述したサスペンション51と、サスペンション用基板1のヘッド端子5に接続されたスライダ72とを有している。
次に、図10により、本実施の形態におけるハードディスクドライブ81について説明する。図10に示すハードディスクドライブ81は、ケース82と、このケース82に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク83と、このディスク83を回転させるスピンドルモータ84と、ディスク83に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク83に対してデータの書き込みおよび読み取りを行うスライダ72を含むヘッド付サスペンション71とを有している。このうちヘッド付サスペンション71は、ケース82に対して移動自在に取り付けられており、ケース82にはヘッド付サスペンション71のスライダ72をディスク83上に沿って移動させるボイスコイルモータ85が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション71は、ボイスコイルモータ85にアーム86を介して取り付けられている。
次に、図11を用いて、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち本実施の形態によるサスペンション用基板1の製造方法について説明する。なお、図11においては、サスペンション用基板1の素子接続部3a、3bを示しており、以下の説明では、主に素子接続部3a、3bについての製造方法の説明を行うが、サスペンション用基板1の基板本体2および連結部4a、4b、並びに、外枠42においても、素子接続部3a、3bにおける各工程と同様の工程が同時に行われ、サスペンション用基板1を作製することができる。
まず、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられた金属支持層11と、絶縁層10の他方の面に設けられた配線層12とを有する長尺の積層材料板35を準備する(図11(a)参照)。
この場合、まず、金属支持層11を準備し、この金属支持層11上に、非感光性ポリイミドを用いた塗工方法により絶縁層10が形成される。続いて、絶縁層10上に、ニッケル、クロム、および銅がスパッタ工法により順次コーティングされ、シード層(図示せず)が形成される。その後、このシード層を導通媒体として、銅めっきにより配線層12が形成される。このようにして、絶縁層10と、金属支持層11と、配線層12とを有する長尺の積層材料板35が得られる。
次に、外枠付サスペンション用基板41の形状に対応するように、以下の工程が行われる。
まず、配線層12において、複数の配線13と、素子接続端子16とが形成されると共に、金属支持層11において、金属支持層11を貫通する金属支持層注入孔32が形成される(図11(b)参照)。この場合、まず、配線層12の上面および金属支持層11の下面に、フォトファブリケーションの手法により、ドライフィルムを用いて、パターン状のレジスト(図示せず)が形成される。ここでは、配線層12において、複数の配線13、素子接続端子16を形成すると共に、金属支持層11に金属支持層注入孔32を形成するように、パターン状のレジストが形成される。次に、配線層12および金属支持層11のうちレジストから露出された部分がエッチングされる。ここで、配線層12および金属支持層11をエッチングする方法は、特に限定されるものではないが、ウェットエッチングを行うことが好ましい。とりわけ、エッチング液は、金属支持層11の材料の種類に応じて適宜選択することが好ましいが、例えば、金属支持層11がステンレスからなる場合には、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは剥離される。
次に、絶縁層10上に、配線層12の各配線13および素子接続端子16を覆う保護層20が設けられる(図11(c)参照)。この場合、まず、非感光性ポリイミドが、ダイコータを用いて、絶縁層10上にコーティングされる。続いて、コーティングされた非感光性ポリイミドを乾燥させて、保護層20が形成される。次に、形成された保護層20を所望の形状とするようにパターン状のレジスト(図示せず)が形成される。続いて、保護層20のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、所望の形状の保護層20が得られる。その後、レジストは剥離される。
続いて、絶縁層10に、絶縁層10を貫通する絶縁層注入孔33が形成されると共に、絶縁層10が所望の形状に外形加工される(図11(d)参照)。この場合、まず、絶縁層10上に、パターン状のレジストが形成され、絶縁層10のうちレジストから露出された部分がエッチングされて、絶縁層10に絶縁層注入孔33が形成されると共に、絶縁層10が外形加工される。ここで、絶縁層10をエッチングする方法は、特に限定されるものではないが、ウェットエッチングを行うことが好ましい。とりわけ、エッチング液は、絶縁層10の材料の種類に応じて適宜選択することが好ましいが、例えば、絶縁層10がポリイミド樹脂からなる場合には、有機アルカリエッチング液等のアルカリ系エッチング液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは剥離される。
次に、配線層12の素子接続端子16のうち絶縁層注入孔33において露出された部分に、金めっきが施される(図11(e)参照)。すなわち、素子接続端子16の露出された部分が、酸洗浄されて、電解めっき法によりニッケルめっきおよび金めっきが順次施されて、0.1μm〜4.0μmの厚さを有するめっき層15が形成される。この場合、スライダ72に接続されるヘッド端子5と、外部機器接続端子6にも、同様にしてめっきが施される。なお、めっきを施す方法として、電解めっき法ではなく、治具めっき法を用いても良い。また、めっきの種類としては、ニッケルめっき、金めっきに限定されるものではなく、銀(Ag)めっき、銅(Cu)めっきを施すようにしても良い。
その後、金属支持層11の外形加工が行われる(図11(f)参照)。この場合、金属支持層11の下面に、フォトファブリケーションの手法により、ドライフィルムを用いて、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、塩化鉄系エッチング液等により、金属支持層11のうちレジストから露出された部分がエッチングされ、金属支持層11が外形加工される。この場合、各連結部4a、4bにおける金属支持層11は、このエッチングにより除去される。その後、レジストは剥離される。
このようにして、外枠42と、複数のサスペンション用基板1とを有する外枠付サスペンション用基板41が作製される。
その後、作製された外枠付サスペンション用基板41において、外枠42から、各サスペンション用基板1が切り離されて、個片化された、複数のサスペンション用基板1が得られる。
次に、本実施の形態におけるサスペンション51の製造方法について説明する。
まず、ベースプレート52およびロードビーム61を準備すると共に、上述したサスペンション用基板1を準備する。
次に、図3に示すように、ベースプレート52に、ロードビーム61を介して、サスペンション用基板1が、溶接により取り付けられる。この場合、まず、ベースプレート52にロードビーム61が溶接により固定され、続いて、ロードビーム61に設けられたビーム治具孔66と、サスペンション用基板1に設けられた治具孔25とにより、ロードビーム61とサスペンション用基板1とのアライメントが行われる。その後、溶接により、ロードビーム61とサスペンション用基板1が互いに接合されて固定される。
次に、ピエゾ素子54が、接着剤を用いてベースプレート52およびロードビーム61に接合されると共に、サスペンション用基板1の素子接続部3a、3bにそれぞれ接続される。すなわち、ピエゾ素子54は、非導電性接着剤からなる非導電性接着部55を介してベースプレート52およびロードビーム61に接合されると共に、導電性接着剤からなる図示しない導電性接着部が形成されて、ピエゾ素子54の一方(サスペンション用基板1とは反対側)の電極54aは、ベースプレート52に導電性接着部を介して電気的に接続される。この場合、一対のピエゾ素子54は、ロードビーム61のヘッド側ビーム62の各テール側縁部62a、62b、および、テール側ビーム63の各ヘッド側縁部63a、63bに接合される。
また、ピエゾ素子54の他方(サスペンション用基板1の側)の電極54aは、導電性接着剤を用いて、サスペンション用基板1の素子接続部3a、3bに接合されると共に電気的に接続される。この場合、金属支持層11とピエゾ素子54との間の隙間から、絶縁層注入孔33および金属支持層注入孔32に導電性接着剤が注入されて導電性接着部56が形成される。このようにして、ピエゾ素子54がサスペンション用基板1の素子接続部3a、3bに接合されると共に、ピエゾ素子54の一方の電極54aが配線層12の素子接続端子16に電気的に接続される。この際、金属支持層11とピエゾ素子54との間の隙間にも、導電性接着剤が充填される(図8参照)。
このようにして、一対のピエゾ素子54がロードビーム61およびベースプレート52に搭載されて接合され、各ピエゾ素子54にサスペンション用基板1の各素子接続部3a、3bが接続されたサスペンション51が得られる。
このサスペンション51のヘッド端子5に、スライダ72が接続されて図9に示すヘッド付サスペンション71が得られる。さらに、このヘッド付サスペンション71がハードディスクドライブ81のケース82に取り付けられて、図10に示すハードディスクドライブ81が得られる。
図10に示すハードディスクドライブ81においてデータの書き込みおよび読み取りを行う際、ボイスコイルモータ85によりヘッド付サスペンション71のスライダ72がディスク83上に沿って移動し、スピンドルモータ84により回転しているディスク83に所望のフライングハイトを保って近接する。このことにより、スライダ72とディスク83との間で、データの受け渡しが行われる。この間、サスペンション用基板1のヘッド端子5(図1参照)と外部機器接続端子6との間を延びる各配線13により電気信号が伝送される。
スライダ72を移動させる際、ボイスコイルモータ85が、スライダ72の位置を大まかに調整し、ピエゾ素子54が、スライダ72の位置を微小調整する。すなわち、サスペンション用基板1の素子接続部3a、3bの側のピエゾ素子54の電極54aに所定の電圧を印加することにより、一方のピエゾ素子54がヘッド部分2aの長手方向に収縮すると共に、他方のピエゾ素子54が伸長する(図3参照)。この場合、ベースプレート52の可撓部52bとロードビーム61の可撓部64とが弾性変形し、ロードビーム61の先端側に位置するスライダ72がスウェイ方向(旋回方向)に移動することができる。このようにして、スライダ72を、ディスク83の所望のトラックに、迅速に、かつ精度良く位置合わせすることができる。
このように本実施の形態によれば、ロードビーム61のヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aに、第1素子接続部3aに向かって開口する凹状切欠部65が設けられ、テール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bに、第2素子接続部3bに向かって開口する凹状切欠部65が設けられている。このことにより、ピエゾ素子54と接続された第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bと、ロードビーム61のヘッド側ビーム62およびテール側ビーム63との間の最小距離をそれぞれ増大させて、各素子接続部3a、3bがロードビーム61に短絡することを防止することができる。
とりわけ、本実施の形態においては、第1素子接続部3aが、第2素子接続部3bよりヘッド部分2aの側に配置されているため、第1素子接続部3aが、ロードビーム61のヘッド側ビーム62に近接し、第2素子接続部3bが、ロードビーム61のテール側ビーム63に近接している。しかしながら、上述したように、第1素子接続部3aが近接するヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62a、および第2素子接続部3bが近接するテール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bに、凹状切欠部65が設けられている。このことにより、第1素子接続部3aとヘッド側ビーム62との間の最小距離を増大させると共に、第2素子接続部3bとテール側ビーム63との間の最小距離を増大させることができる。この場合、ロードビーム61に対する素子接続部3a、3bの位置ずれを、ある程度許容することができる。また、素子接続部3a、3bの外方にはみ出した導電性接着部56が、ヘッド側ビーム62またはテール側ビーム63に達することを防止することができる。この結果、各素子接続部3a、3bがロードビーム61に短絡することを防止することができる。
ここで、素子接続部3a、3bとロードビーム61との最小距離を増大させることを目的として、ヘッド側ビーム62とテール側ビーム63との間の距離を増大させた場合、ピエゾ素子54の露出部分が増え、ピエゾ素子54が破損するという問題がある。しかしながら、本実施の形態によれば、上述したように、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62a、および、テール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bに、凹状切欠部65が設けられているため、ヘッド側ビーム62とテール側ビーム63との間の距離を増大させることなく、各素子接続部3a、3bとロードビーム61との間の最小距離を増大させることができる。このため、ピエゾ素子54の破損を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、凹状切欠部65の開口寸法は、ピエゾ素子54の幅方向の寸法より小さく、かつ、素子接続部3a、3bの直径より大きくなっている。このことにより、素子接続部3a、3bとロードビーム61のヘッド側ビーム62およびテール側ビーム63との間の最小距離を増大させると共に、ピエゾ素子54とロードビーム61との接合面積を確保することができる。
また、本実施の形態によれば、凹状切欠部65は、円弧状に形成されている。このため、素子接続部3a、3bが、ロードビーム61に対して2次元的に位置ずれした場合であっても、各素子接続部3a、3bとロードビーム61のヘッド側ビーム62およびテール側ビーム63との間の最小距離を増大させることができ、各素子接続部3a、3bがロードビーム61に短絡することを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、一対のピエゾ素子54は、ヘッド部分2aの長手方向軸線(X)に対して互いに線対称に配置されている。すなわち、一対のピエゾ素子54が、ヘッド部分2aの長手方向について互いに同一位置に配置されると共に、長手方向軸線(X)への距離が互いに同一となる。このことにより、上述したように、第1素子接続部3aと第2素子接続部3bとが、長手方向にずれて配置されている場合であっても、一対のピエゾ素子54が線対称に配置されているため、スライダ72のスウェイ方向への変位に対して、第1素子接続部3aに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響と、第2素子接続部3bに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響とを、均等にすることができる。この結果、スライダ72のスウェイ方向の変位を容易に調整することができる。
また、本実施の形態によれば、第1素子接続部3aは、第2連結部4bよりもヘッド部分2aの側に配置され、第2素子接続部3bは、第1連結部4aよりもテール部分2bの側に配置される。このことにより、サスペンション用基板1を整列させて材料取りする場合、すなわち、外枠付サスペンション用基板41として構成する場合に、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aを、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bのヘッド部分2aの側に配置させ、当該第2素子接続部3bを、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aよりテール部分2bの側に配置させることができる。このため、互いに隣接するサスペンション用基板1の基板本体2の間の距離を低減することができ、材料取りを効率良く行うことができる。言い換えると、外枠42に支持されるサスペンション用基板1の数(面付数)を増大させることができる。この結果、ピエゾ素子54に接続可能なサスペンション用基板1を効率良く製造することができる。
また、本実施の形態によれば、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、直線状に形成されている。このことにより、上述したように、外枠付サスペンション用基板41において、複数のサスペンション用基板1の基板本体2間の距離を低減させることができるサスペンション用基板1の平面形状を簡素化することができる。
また、本実施の形態によれば、第1素子接続部3aと長手方向軸線(X)との間の距離Laが、第2素子接続部3bと長手方向軸線(X)との間の距離Lbと、同一になっている。このことにより、一対のピエゾ素子54を、長手方向軸線(X)から同一の距離に配置させることができる。このため、スライダ72のスウェイ方向への変位に対して、第1素子接続部3aに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響と、第2素子接続部3bに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響とを、均等にすることができ、スライダ72のスウェイ方向の変位を容易に調整することができる。
なお、本実施の形態においては、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62a、および、テール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bに、凹状切欠部65がそれぞれ設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図12に示すように、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aおよびテール側ビーム62の第1ヘッド側縁部63aに凹状切欠部65をそれぞれ設けてもよい。この場合、図12には示していないが、凹状切欠部65は、ヘッド側ビーム62の第2テール側縁部62bおよびテール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bにも、それぞれ設けられることが好ましい。ここで、一般的に、サスペンション用基板1は、ハードディスクドライブ81(図10参照)のディスク83の両側に配置されて使用される。このことにより、ディスク83の両側に配置される一対のサスペンション用基板1は、長手方向軸線(X)に対して、互いに反転した関係となっている。このため、このような一対のサスペンション用基板1は、第2連結部4bよりもヘッド部分2aの側に配置されている第1素子接続部3aが、図3のように基板本体2の左側に配置される第1のサスペンション用基板1と、基板本体2の右側に配置される第2のサスペンション用基板1と、からなる。このうち第2のサスペンション用基板1を有するサスペンション51において、図3の左側に配置される第2素子接続部3bは、テール側ビーム63に近接し、右側に配置される第1素子接続部3aは、ヘッド側ビーム62に近接する。このため、図12に示すように、ヘッド側ビーム62の各テール側縁部62a、62b、および、テール側ビーム63の各ヘッド側縁部63a、63bに、凹状切欠部65をそれぞれ設けることにより、上述の第1のサスペンション用基板1、第2のサスペンション用基板1のいずれにも対応することができ、各素子接続部3a、3bがロードビーム61に短絡することを確実に防止することができる。
また、本実施の形態においては、凹状切欠部65が、円弧状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図13に示すように、凹状切欠部65が、矩形状に形成されていてもよい。なお、図13においては、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aおよびテール側ビーム63の第1ヘッド側縁部63aに、凹状切欠部65がそれぞれ設けられている例について示しているが、これに限らず、図3に示すように、ヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62a、およびテール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bにのみ、矩形状の凹状切欠部65を設けてもよい。
また、本実施の形態においては、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、直線状に形成され、基板本体2のヘッド部分2aの長手方向軸線(X)に対して、直交している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、第1素子接続部3aを、第2連結部4bよりもヘッド部分2aの側に配置し、第2素子接続部3bを、第1連結部4aよりもテール部分2bの側に配置することができれば、任意の形状とすることができる。
また、本実施の形態においては、第1素子接続部3aは、第2連結部4bよりもヘッド部分2aの側に配置され、第2素子接続部3bは、第1連結部4aよりもテール部分2bの側に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各素子接続部3a、3bがロードビーム61に短絡することを防止するためには、各素子接続部3a、3bと、各連結部4a、4bとの関係は、任意とすることができる。
また、本実施の形態においては、サブトラクティブ法により、サスペンション用基板1の配線層12を製造する例について説明したが、アディティブ法により、サスペンション用基板1の配線層12を製造してもよい。さらに、本実施の形態においては、金属支持層11と絶縁層10と配線層12とが積層された積層材料板35からサスペンション用基板1を製造する例について説明したが、金属支持層11を形成するステンレス板からサスペンション用基板1を製造するようにしてもよい。この場合、まず、金属支持層11に、パターン状に絶縁層10が形成され、続いて、この絶縁層10上に、パターン状の配線層12が形成され、その後、配線層12を覆う保護層20を形成すればよい。
また、本実施の形態においては、一対のピエゾ素子54は、ベースプレート52およびロードビーム61に接合されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、一対のピエゾ素子54が、任意の位置で、ベースプレート52のみに接合されるようにしても良く、あるいは、ロードビーム61のみに接合されるようにしても良い。
さらに、本実施の形態においては、サスペンション用基板1が全体として直線状に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ヘッド部分2aより外部機器接続端子6の側の部分が、直線状に延びていない場合であっても、本発明を適用することができる。
第2の実施の形態
次に、図14および図15により、本発明の第2の実施の形態におけるサスペンション用基板、外枠付サスペンション用基板、ロードビーム、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブについて説明する。
図14および図15に示す第2の実施の形態においては、第1連結部が、テール部分側に開口する第1凹部を有し、第2連結部が、ヘッド部分側に開口する第2凹部を有している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一である。なお、図14および図15において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図14に示すように、本実施の形態におけるサスペンション用基板1において、第1連結部4aは、テール部分2bの側に開口する第1凹部91aを有し、V字状に形成されている。第2連結部4bは、ヘッド部分2aの側に開口する第2凹部91bを有し、V字状に形成されている。また、第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bは、基板本体2のヘッド部分2aの長手方向軸線(X)に対して、線対称に配置されている。すなわち、第1素子接続部3aと第2素子接続部3bは、長手方向にずれることなく配置され、第1素子接続部3aと長手方向軸線(X)との間の距離Laは、第2素子接続部3bと長手方向軸線(X)との間の距離Lbと、同一となっている。
図15に示すように、本実施の形態における外枠付サスペンション用基板41においては、図14に示す複数のサスペンション用基板1が、ヘッド部分2aの長手方向に対して直交する方向に整列されており、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの一部が、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bの第2凹部91b内に収容されている。また、一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bの一部が、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aの第1凹部91a内に収容されている。このようにして、互いに隣接するサスペンション用基板1の基板本体2間において、一方のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aと、他方のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bとが、入り組むように配置され、当該基板本体2間の距離を低減することができる。
このように本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、ロードビーム61のヘッド側ビーム62の第1テール側縁部62aに、第1素子接続部3aに向かって開口する凹状切欠部65が設けられ、テール側ビーム63の第2ヘッド側縁部63bに、第2素子接続部3bに向かって開口する凹状切欠部65が設けられている。このことにより、ピエゾ素子54と接続された第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bと、ロードビーム61のヘッド側ビーム62およびテール側ビーム63との間の最小距離をそれぞれ増大させて、各素子接続部3a、3bがロードビーム61に短絡することを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bは、基板本体2のヘッド部分2aの長手方向軸線(X)に対して、線対称に配置されている。このことにより、このようなサスペンション用基板1を有するサスペンションにおいて、第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bを、対応するピエゾ素子54の中央部にそれぞれ配置させることができる。このため、第1素子接続部3aがロードビーム61のヘッド側ビーム62に近接することを防止すると共に、第2素子接続部3bがロードビーム61のテール側ビーム63に近接することを防止することができる。この結果、第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bと、ロードビーム61のヘッド側ビーム62およびテール側ビーム63との間の最小距離を増大させて、各素子接続部3a、3bがロードビーム61に短絡することを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、第1連結部4aは、テール部分2bの側に開口する第1凹部91aを有し、第2連結部4bは、ヘッド部分2aの側に開口する第2凹部91bを有している。このことにより、サスペンション用基板1を整列させて材料取りする場合、すなわち、外枠付サスペンション用基板41として構成する場合に、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの一部を、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bの第2凹部91b内に収容させ、第2素子接続部3bの一部を、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aの第1凹部91a内に収容させることができる。このため、一のサスペンション用基板1の基板本体2と、隣接する他のサスペンション用基板1の基板本体2との間の距離を低減することができ、材料取りを効率良く行うことができる。このため、ピエゾ素子54に接続可能なサスペンション用基板1を効率良く製造することができる。
なお、本実施の形態においては、第1連結部4aおよび第2連結部4bが、V字状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1連結部4aおよび第2連結部4bが、円弧状に形成されていてもよい。すなわち、第1連結部4aが、隣接する他のサスペンション用基板の第2素子接続部3bの少なくとも一部を収容可能な第1凹部91aを有していれば、任意の形状とすることができる。同様に、第2連結部4bが、隣接する他のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの少なくとも一部を収容可能な第2凹部91bを有していれば、任意の形状とすることができる。
また、本実施の形態においては、第1連結部4aの第1凹部91aが、隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bの一部を収容すると共に、第2連結部4bの第2凹部91bが、隣接する他のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの一部を収容する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1凹部91aが第2素子接続部3bの全体を収容するように第1連結部4aを形成してもよい。同様にして、第2凹部91bが第1素子接続部3aの全体を収容するように第2連結部4bを形成してもよい。
さらに、本実施の形態においては、第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bは、基板本体2のヘッド部分2aの長手方向軸線(X)に対して、線対称に配置されている例について説明したが、このことに限られることはない。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるサスペンション用基板、外枠付サスペンション用基板、ロードビーム、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。