図面を用いて、本発明の実施の形態におけるサスペンション用基板、外枠付サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、および、ハードディスクドライブについて説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
第1の実施の形態
まず、図1を用いて、本実施の形態によるサスペンション用基板1について説明する。図1に示すように、サスペンション用基板1は、基板本体2と、基板本体2の両側方に配置され、後述のピエゾ素子54(アクチュエータ素子、図7参照)に接続される一対の素子接続部3a、3bと、を備えている。このうち、基板本体2は、後述するスライダ72(図9参照)が実装されるジンバル部分2aと、FPC基板(外部機器)91に接続されるテール部分2bと、を有し、ジンバル部分2aからテール部分2bに延びるように形成されている。基板本体2のジンバル部分2aは、ピエゾ素子54よりスライダ72の側(先端側)の部分であって、実装される後述のスライダ72の中心を通る長手方向軸線(X)を有している。ジンバル部分2aには、スライダ72に接続される複数のヘッド端子5が設けられ、テール部分2bには、FPC基板91に接続される複数のテール端子(外部機器接続端子)6が設けられている。ヘッド端子5とテール端子6とは、後述する複数の配線13を介してそれぞれ接続されている。
ここで、サスペンション用基板1は、図2に示すように、絶縁層10と、絶縁層10のピエゾ素子54の側の面(一方の面)に設けられた金属支持層11と、絶縁層10の他方の面に設けられた複数の配線13を有する配線層12と、を有している。絶縁層10上には、配線層12を覆う保護層20が設けられている。なお、図1においては、図面を明瞭にするために、保護層20は省略している。また、図2は、第1素子接続部3aの断面構造を示しているが、第2素子接続部3bは、第1素子接続部3aと同様な構造となっている。また、基板本体2は、第1素子接続部3aと同様に金属支持層11、絶縁層10および配線層12が積層された積層構造となっている。さらに、図示しないが、絶縁層10と配線層12との間には、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)からなり、約10〜300nmの厚さを有するシード層(図示せず)が介在されており、絶縁層10と配線層12との密着性を向上させている。
図1および図2に示すように、一対の素子接続部3a、3bは、第1素子接続部3aと第2素子接続部3bとからなっている。各素子接続部3a、3bは、基板本体2における配線層12の複数の配線13のうち一の配線13に接続され、ピエゾ素子54に導電性接着剤(例えば、銀ペースト)を介して電気的に接続される素子接続端子16を有している。このうち素子接続端子16は、上述したヘッド端子5およびテール端子6と共に、各配線13と同一の材料からなり、各配線13と同一平面上(絶縁層10上)に設けられ、各配線13と共に配線層12を構成している。
基板本体2と第1素子接続部3aは、第1連結部4aを介して連結され、基板本体2と第2素子接続部3bは、第2連結部4bを介して連結されている。そして、各素子接続部3a、3bの素子接続端子16は、基板本体2のテール端子6から対応する連結部4a、4bを通って延びる一の配線13に接続されるようになっている。なお、各連結部4a、4bは、金属支持層11を含むことなく、絶縁層10と配線層12と保護層20とが積層された積層構造を有しており、基板本体2よりも柔軟性を有している。すなわち、基板本体2における金属支持層11と素子接続部3a、3bにおける金属支持層11とは、互いに分離されている。
第1素子接続部3aは、第2連結部4bよりもジンバル部分2aの側に配置され、第2素子接続部3bは、第1連結部4aよりもテール部分2bの側に配置されている。また、本実施の形態においては、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、基板本体2のジンバル部分2aの長手方向(長手方向軸線(X)の延びる方向)に対して直交するサスペンション用基板1の幅方向(図1の左右方向)に直線状に延びている。この場合、第1素子接続部3aと第2素子接続部3bは、長手方向軸線(X)に対して非線対称に配置され、長手方向に対して互いにずれて配置されるようになる。
このようなサスペンション用基板を、図3に示すように、幅方向に複数整列させた場合、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aは、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bよりジンバル部分2aの側に配置される。また、この場合、一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bは、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aよりテール部分2bの側に配置される。複数のサスペンション用基板1を幅方向に整列させた場合、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aと、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bとは、互いに入り組むように配置される。
なお、図1に示すように、第1素子接続部3a(より詳細には、第1素子接続部3aの重心)と長手方向軸線(X)との間の距離Laは、第2素子接続部3b(より詳細には、第2素子接続部3bの重心)と長手方向軸線(X)との間の距離Lbと、同一となっていることが好ましい。このことにより、一対のピエゾ素子54を、長手方向軸線(X)から同一の距離に配置させることができ、スライダ72のスウェイ方向(旋回方向Q、図4、図9参照)への変位に対して、第1素子接続部3aに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響と、第2素子接続部3bに接続されたピエゾ素子54の伸縮による影響とを、均等化させることができ、スライダ72のスウェイ方向の変位を容易に調整することができる。ここで、同一とは、厳密に同一という意味に限られることはなく、同一とみなすことができる程度の製造誤差等を含む意味として用いている。
各素子接続部3a、3bは、図1に示すように、平面視で台形状の形状を有している。このうち、第1素子接続部3aは、第1連結部4aからテール部分2bの側に向かって延び、テール部分2bの側に向かって幅が狭くなるような台形形状を有している。また、第2素子接続部3bは、第2連結部4bからジンバル部分2aの側に向かって延び、ジンバル部分2aの側に向かって幅が狭くなるような台形形状を有している。ここで平面視とは、金属支持層11と絶縁層10と配線層12とが積層された積層方向から見た状態、より具体的には、図1に示された状態を意味する。
より具体的には、図1に示すように、第1素子接続部3aは、第1対向縁部17を有し、第1対向縁部17は、平面視で、テール部分2bの側に向かって第1素子接続部3aの幅が狭くなるように、長手方向に対して傾斜している。第2素子接続部3bは、第2対向縁部18を有し、第2対向縁部18は、平面視で、ジンバル部分2aの側に向かって幅が狭くなるように、長手方向に対して傾斜した第2対向縁部18を有している。ここでの素子接続部3a、3bの幅とは、サスペンション用基板1の幅方向における第1素子接続部3aの寸法を意味するものとして用いている。そして、第1素子接続部3aの第1対向縁部17と、第2素子接続部の第2対向縁部18は、互いに平行になっている。
すなわち、図3に示すように、サスペンション用基板をその幅方向に複数整列させた場合、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの第1対向縁部17と、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bの第2対向縁部18とは、互いに対向するようになっている。この場合、これらの第1対向縁部17と第2対向縁部18とは、互いに平行となる。ここで、平行とは、厳密に平行という意味に限られることはなく、平行とみなすことができる程度の製造誤差等を含む意味として用いている。
図2に示すように、各素子接続部3a、3bにおいて、金属支持層11には、金属支持層11を貫通する金属支持層開口部32が設けられている。また、絶縁層10の金属支持層開口部32に対応する位置に、絶縁層10を貫通する絶縁層開口部33が設けられている。このようにして、配線層12の素子接続端子16が、絶縁層開口部33および金属支持層開口部32を介して、金属支持層11の側に露出されるようになっている。また、素子接続端子16の絶縁層開口部33において露出された部分に、ニッケル(Ni)めっきおよび金(Au)めっきが順次施されて、めっき層15が形成されている。このことにより、素子接続端子16の露出された部分が腐食することを防止している。なお、このめっき層15の厚さは、0.1μm〜4.0μmであることが好ましい。
また、素子接続部3a、3bにおける保護層20には、素子接続端子16を外方に露出させる保護層開口部21が設けられており、素子接続端子16の保護層開口部21において露出された部分にも、めっき層15が形成されている。この場合、保護層開口部21において露出された素子接続端子16からプローブ等の導通検査器を用いて素子接続端子16とピエゾ素子54との導通検査を行う場合に、プローブと素子接続端子16との間の接触抵抗を低減し、検査精度を向上させることができる。
図1に示すように、基板本体2には、4つの基板治具孔25が設けられている。基板治具孔25は、後述するサスペンション51の製造時にロードビーム61との間でアライメント(位置合わせ)を行うためのものであるとともに、ヘッド付サスペンション71の製造時にスライダ72と位置合わせを行うためのものである。各基板治具孔25は、基板本体2のジンバル部分2aの長手方向軸線(X)上に配置されている。すなわち、当該長手方向軸線(X)は、各基板治具孔25を通っている。
次に、サスペンション用基板1の各層を構成する材料について詳細に述べる。
絶縁層10の材料としては、所望の絶縁性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えば、ポリイミド(PI)を用いることが好適である。なお、絶縁層10の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。また、絶縁層10の厚さは、5μm〜30μm、とりわけ8μm〜10μmであることが好ましい。このことにより、金属支持層11と各配線13との間の絶縁性能を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての剛性が喪失されることを防止することができる。
各配線13は、電気信号を伝送するための導体として構成されており、各配線13の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅(Cu)を用いることが好適である。銅以外にも、純銅に準ずる電気特性を有する材料であれば用いることもできる。ここで、各配線13の厚さは、例えば1μm〜18μm、とりわけ9μm〜12μmであることが好ましい。このことにより、各配線13の伝送特性を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての柔軟性が喪失されることを防止することができる。なお、素子接続端子16、ヘッド端子5およびテール端子6は、各配線13と同一の材料、同一の厚みからなっている。
金属支持層11の材料としては、所望の導電性、弾力性、および強度を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、ベリリウム銅、またはその他の銅合金を用いることができ、ステンレスを用いることが好適である。金属支持層11の厚さは、10μm〜30μm、とりわけ15μm〜20μmであることが好ましい。このことにより、金属支持層11の導電性、剛性、および弾力性を確保することができる。
保護層20の材料としては、樹脂材料、例えば、ポリイミドを用いることが好適である。なお、保護層20の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。保護層20の厚さは、2μm〜30μm、とりわけ2μm〜6μmであることが好ましい。
次に、図3を用いて、本実施の形態による外枠付サスペンション用基板41について説明する。ここで、外枠付サスペンション用基板41は、複数のサスペンション用基板1を、長尺の材料板(例えば、金属支持層11と絶縁層10と配線層12との積層材料板35(図11参照)等)から材料取りして、各層のエッチング、めっき処理などを一体的に行い、複数のサスペンション用基板1を一体的に製造するためのものである。図3においては、7つのサスペンション用基板1が外枠42に支持されている例について示しているが、外枠42に支持されるサスペンション用基板1の個数は7つに限られることはない。
図3に示すように、外枠付サスペンション用基板41は、外枠42と、外枠42内において、サスペンション用基板1の長手方向に対して直交する幅方向に整列されて、外枠42に支持された、複数のサスペンション用基板1と、を備えている。各サスペンション用基板1は、複数のジョイント部49を介して外枠42に支持されている。この外枠付サスペンション用基板41の形態で、後述するベースプレート52とロードビーム61とピエゾ素子54とを有するサスペンション51が製造され、続いて、スライダ72が搭載されてヘッド付サスペンション71が製造されて、その後に、各ジョイント部49が切断されて、個片化されたヘッド付サスペンション71が得られるようになっている。
外枠付サスペンション用基板41においては、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aが、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bよりジンバル部分2aの側に配置されている。また、一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bが、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aよりテール部分2bの側に配置されている。このようにして、互いに隣接するサスペンション用基板1の基板本体2間において、一方のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aと、他方のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bとが、入り組むように配置されて、当該基板本体2間の距離を低減している。
また、外枠付サスペンション用基板41においては、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの第1対向縁部17と、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bの第2対向縁部18は、互いに対向している。この際、互いに対向する第1対向縁部17と第2対向縁部18とは、互いに平行になっている。
外枠42は、サスペンション用基板1の長手方向に沿って延びる第1支持枠部43および第2支持枠部44を有している。このうち第1支持枠部43は、整列された複数のサスペンション用基板1のうち、図3において最も右側に配置されたサスペンション用基板に隣接して対向している。同様に、第2支持枠部44は、図3において最も左側に配置されたサスペンション用基板1に隣接して対向している。第1支持枠部43および第2支持枠部44は、サスペンション用基板1の幅方向に延びる第3支持枠部45および第4支持枠部46によってそれぞれ連結されており、外枠42は、全体として、矩形枠状に形成されている。なお、各支持枠部43〜46には、複数の枠治具孔50が設けられている。枠治具孔50は、後述するヘッド付サスペンション71の製造時にスライダ72と位置合わせを行うためのものである。
第1支持枠部43には、対向するサスペンション用基板1の第1素子接続部3aに向かって開口する第1枠凹部47が設けられている。すなわち、第1枠凹部47に、第1素子接続部3aの少なくとも一部が入り込むようになっている。また、第2支持枠部44には、対向するサスペンション用基板1の第2素子接続部3bに向かって開口する第2枠凹部48が設けられており、第2枠凹部48に、第2素子接続部3bの少なくとも一部が入り込むようになっている。
なお、外枠42は、各サスペンション用基板1と一体に形成されるものであって、各サスペンション用基板1と同様に、金属支持層11、絶縁層10および配線層12が積層された構造を有し、配線層12が保護層20で覆われることなく露出している。このため、枠治具孔50、第1枠凹部47および第2枠凹部48は、外枠42における金属支持層11、絶縁層10および配線層12を貫通するように形成されている。また、外枠42における配線層12には、各サスペンション用基板1の各配線13が接続されており、外枠42には、各サスペンション用基板1の各配線13の導通検査、ピエゾ素子54、スライダ72との導通検査などを行うための検査端子(図示せず)が設けられている。
次に、図4乃至図8を用いて、本実施の形態によるサスペンション51について説明する。図4に示すように、サスペンション51は、ベースプレート52と、ベースプレート52にロードビーム61を介して取り付けられたサスペンション用基板1と、ベースプレート52およびロードビーム61の少なくとも一方に搭載されて接合されると共に、サスペンション用基板1の第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bにそれぞれ接続された一対のピエゾ素子54と、を備えている。なお、本実施の形態においては、各ピエゾ素子54は、後述するように、ベースプレート52およびロードビーム61に接合されるようになっている。
このうちベースプレート52は、ステンレスからなり、図5に示すように、サスペンション用基板1のジンバル部分2aの側に配置されたヘッド側プレート部52aと、テール部分2bの側に配置されたテール側プレート部52bと、ヘッド側プレート部52aとテール側プレート部52bとを連結した可撓部52cと、を有している。また、ベースプレート52は、ピエゾ素子54を収容する収容開口部52dを有している。この収容開口部52dは、ヘッド側プレート部52a、テール側プレート部52bおよび可撓部52cにより形成されている。
ロードビーム61は、ベースプレート52と同様にステンレスからなり、図6に示すように、サスペンション用基板1のジンバル部分2aの側に配置されたヘッド側ビーム部62と、テール部分2bの側に配置されたテール側ビーム部63と、ヘッド側ビーム部62とテール側ビーム部63とを連結した可撓部64と、を有している。また、ロードビーム61は、ピエゾ素子54の素子接続部3a、3bの側の面を露出させる露出開口部67を有している。この露出開口部67は、ヘッド側ビーム部62と、テール側ビーム部63および可撓部64により形成されている。
図4および図6に示すように、ヘッド側ビーム部62は、一対のピエゾ素子54のうちの一方のピエゾ素子54のジンバル部分2aの側の縁部が接合される第1テール側縁部62aと、他方のピエゾ素子54のジンバル部分2aの側の縁部が接合される第2テール側縁部62bと、を有している。また、テール側ビーム部63は、一方のピエゾ素子54のテール部分2bの側の縁部が接合される第1ヘッド側縁部63aと、他方のピエゾ素子54のテール部分2bの側の縁部が接合される第2ヘッド側縁部63bと、を有している。すなわち、一方のピエゾ素子54は、ヘッド側ビーム部62の第1テール側縁部62aと、テール側ビーム部63の第1ヘッド側縁部63aとに接合され、他方のピエゾ素子54は、ヘッド側ビーム部62の第2テール側縁部62bと、テール側ビーム部63の第2ヘッド側縁部63bとに接合されるようになっている。より具体的には、図8に示すように、各ピエゾ素子54は、ロードビーム61の下側(ベースプレート52の側)から、各テール側縁部62a、62b、および、各ヘッド側縁部63a、63bに接合されている。なお、ヘッド側ビーム部62の第1テール側縁部62aおよび第2テール側縁部62bは、可撓部64の両側方に位置付けられており、テール側ビーム部63の第1ヘッド側縁部63aおよび第2ヘッド側縁部63bは、可撓部64の両側方に位置付けられている。
ヘッド側ビーム部62の第2テール側縁部62bおよびテール側ビーム部63の第1ヘッド側縁部63aに、対応する素子接続部3a、3bに向かって開口する凹状切欠部65が設けられている。このことにより、各素子接続部3a、3bとロードビーム61との間の最小距離を増大させて、各素子接続部3a、3bが、ロードビーム61に短絡することを効果的に防止することができる。また、テール側縁部62a、62bおよびヘッド側縁部63a、63bにピエゾ素子54がロードビーム61によって支持される領域を確保し、ピエゾ素子54の破損を防止することができる。
なお、凹状切欠部65は、図4に示すように、ヘッド側ビーム部62の第1テール側縁部62aおよびテール側ビーム部63の第2ヘッド側縁部63bにも設けられていることが好ましい。ここで、一般的に、サスペンション用基板1は、ハードディスクドライブ81(図10参照)のディスク83の両側に配置されて使用される。このことにより、ディスク83の両側に配置される一対のサスペンション用基板1は、長手方向軸線(X)に対して、互いに反転した関係となっている。このため、このような一対のサスペンション用基板1は、第2連結部4bよりもジンバル部分2aの側に配置されている第1素子接続部3aが、図4のように基板本体2の右側に配置される第1のサスペンション用基板1と、基板本体2の左側に配置される第2のサスペンション用基板1と、からなる。このうち第2のサスペンション用基板1を有するサスペンション51において、図4の左側に配置される第2素子接続部3bは、ヘッド側ビーム部62に近接し、右側に配置される第1素子接続部3aは、テール側ビーム部63に近接する。このため、図4に示すように、ヘッド側ビーム部62の各テール側縁部62a、62b、および、テール側ビーム部63の各ヘッド側縁部63a、63bに、凹状切欠部65をそれぞれ設けることにより、図6に示すロードビーム61は、上述の第1のサスペンション用基板1、第2のサスペンション用基板1のいずれにも使用することができ、ロードビーム61のバリエーション数が増大することを防止できる。
図8に示すように、ベースプレート52のヘッド側プレート部52aのテール側縁部は、ロードビーム61のヘッド側ビーム部62の第1テール側縁部62aおよび第2テール側縁部62bよりもジンバル部分2aの側に位置している。また、ベースプレート52のテール側プレート部52bのヘッド側縁部は、ロードビーム61のテール側ビーム部63の第1ヘッド側縁部63aおよび第2ヘッド側縁部63bよりもテール部分2bの側に位置している。このようにして、ベースプレート52の収容開口部52dに、ピエゾ素子54が収容されるようになっている。
図6に示すように、ロードビーム61には、サスペンション用基板1の各基板治具孔25に対応して、ビーム治具孔66が設けられている。このビーム治具孔66を用いることにより、サスペンション用基板1の基板本体2の金属支持層11にロードビーム61を実装する際に、サスペンション用基板1とロードビーム61との位置合わせを行うようになっている。
ところで、ピエゾ素子54は、電圧が印加されることにより、図4および図9のP方向に伸縮する圧電素子として構成されており、スライダ72をスウェイ方向(旋回方向、図4および図9の矢印Q方向)に移動させるためのものである。各ピエゾ素子54は、図7に示すように、互いに対向する一対の電極54aと、一対の電極54a間に介在され、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミックスからなる圧電材料部54bと、を有している。一対のピエゾ素子54の圧電材料部54bは、互いに180°異なる分極方向となるように形成されており、所定の電圧が印加されると、一方のピエゾ素子54が収縮すると共に、他方のピエゾ素子54が伸長するようになっている。このようなピエゾ素子54は、図4に示すように、サスペンション用基板1の長手方向に沿って配置されており、その伸縮方向が、当該長手方向に平行となっている。また、ピエゾ素子54は、長手方向に対して互いに線対称に配置されており、各ピエゾ素子54の伸縮が、スライダ72に均等に伝達されるようになっている。ここで線対称とは、厳密に線対称という意味に限られることはなく、線対称とみなすことができる程度の製造誤差等を含む意味として用いている。
図8に示すように、各ピエゾ素子54は、非導電性接着剤からなる非導電性接着部55を介してベースプレート52およびロードビーム61に接合されている。また、ピエゾ素子54の一方(サスペンション用基板1とは反対側)の電極54aは、導電性接着剤からなる第1導電性接着部56を介して、ベースプレート52のヘッド側プレート部52aに電気的に接続されている(なお、第1導電性接着部56は、テール側プレート部52bに電気的に接続されてもよく、あるいは、一方のピエゾ素子54からベースプレート52の可撓部52cを介して他方のピエゾ素子54に延びるように一体に形成されていてもよい)。また、ピエゾ素子54の他方(サスペンション用基板1の側)の電極54aは、導電性接着剤からなる第2導電性接着部57を介して、素子接続部3a、3bに接合されると共に電気的に接続されている。すなわち、素子接続部3a、3bにおける絶縁層開口部33および金属支持層開口部32に、導電性接着剤が注入されて第2導電性接着部57が形成され、ピエゾ素子54が、第2導電性接着部57を介して、素子接続部3a、3bに接合されると共に、ピエゾ素子54の当該他方の電極54aが、第2導電性接着部57を介して配線層12の素子接続端子16に電気的に接続されている。
次に、図9により、本実施の形態におけるヘッド付サスペンション71について説明する。図9に示すヘッド付サスペンション71は、上述したサスペンション51と、サスペンション用基板1のヘッド端子5に接続されたスライダ72と、を備えている。
次に、図10により、本実施の形態におけるハードディスクドライブ81について説明する。図10に示すハードディスクドライブ81は、ケース82と、このケース82に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク83と、このディスク83を回転させるスピンドルモータ84と、ディスク83に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク83に対してデータの書き込みおよび読み取りを行うスライダ72を含むヘッド付サスペンション71と、を備えている。このうちヘッド付サスペンション71は、ケース82に対して移動自在に取り付けられており、ケース82にはヘッド付サスペンション71のスライダ72をディスク83上に沿って移動させるボイスコイルモータ85が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション71は、ボイスコイルモータ85にアーム86を介して取り付けられるとともに、ハードディスクドライブ81を制御する制御部(図示せず)に接続されたFPC基板91(図9参照)に接続されている。このようにして、電気信号が、サスペンション用基板1とFPC基板91を介して、制御部とスライダ72との間で伝送されるようになっている。
次に、本実施の形態によるサスペンション用基板1をサブトラクティブ法により製造する場合について説明する。なお、図11においては、サスペンション用基板1の素子接続部3a、3bの断面構造を示しており、以下の説明では、主に素子接続部3a、3bについての製造方法の説明を行うが、サスペンション用基板1の基板本体2および連結部4a、4b、並びに、外枠42においても、素子接続部3a、3bにおける各工程と同様の工程が同時に行われる。また、サスペンション用基板1は、アディティブ法により製造することも可能である。
まず、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面(接続されるピエゾ素子54側の面)に設けられた金属支持層11と、絶縁層10の他方の面に設けられた配線層12と、を有する長尺の積層材料板35を準備する(図11(a)参照)。この場合、まず、金属支持層11を準備し、この金属支持層11上に、非感光性ポリイミドを用いた塗工方法により絶縁層10が形成される。続いて、絶縁層10上に、ニッケル、クロムおよび銅がスパッタ工法により順次コーティングされ、シード層(図示せず)が形成される。その後、このシード層を導通媒体として、銅めっきにより配線層12が形成される。このようにして、絶縁層10と金属支持層11と配線層12とを有する長尺の積層材料板35が得られる。
この得られた長尺の積層材料板35を用いて、外枠付サスペンション用基板41の形態で、以下の工程が行われる。
まず、配線層12において複数の配線13と素子接続端子16とが形成されると共に、金属支持層11において金属支持層11を貫通する金属支持層開口部32が形成される(図11(b)参照)。この場合、まず、配線層12の上面および金属支持層11の下面に、フォトファブリケーションの手法により、ドライフィルムを用いてパターン状のレジスト(図示せず)が形成され、配線層12および金属支持層11のうち露出された部分がエッチングされる。このようにして、複数の配線13、素子接続端子16および金属支持層開口部32が得られる。ここで、配線層12および金属支持層11をエッチングする方法は、特に限定されるものではないが、ウェットエッチングを行うことが好ましい。とりわけ、エッチング液は、金属支持層11の材料の種類に応じて適宜選択することが好ましいが、例えば、金属支持層11がステンレスからなる場合には、塩化第二鉄水溶液等の塩化鉄系エッチング液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは剥離される。
次に、絶縁層10上に、配線層12の各配線13および素子接続端子16を覆う所望の形状の保護層20が形成される(図11(c)参照)。この場合、まず、非感光性ポリイミドが、ダイコータを用いて、絶縁層10上にコーティングされ、これを乾燥させて、保護層20が形成される。続いて、形成された保護層20上に、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、保護層20のうち露出された部分がエッチングされ、保護層20を硬化させる。このようにして、保護層20が所望の形状に外形加工される。この際、保護層20に、保護層開口部21が形成される。なお、保護層20をエッチングする方法は、特に限定されるものではないが、ウェットエッチングを行うことが好ましい。とりわけ、エッチング液は、保護層20の材料の種類に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、保護層20がポリイミド樹脂により形成される場合には、有機アルカリエッチング液等のアルカリ系エッチング液を用いることができる。その後、レジストが除去される。
保護層20が得られた後、絶縁層10において絶縁層開口部33が形成されると共に、絶縁層10が所望の形状に外形加工される(図11(d)参照)。この場合、まず、パターン状のレジストが形成され、絶縁層10のうち露出された部分がエッチングされて、絶縁層10が所望の形状に外形加工される。この際、素子接続部3a、3bにおいては、絶縁層開口部33が形成される。ここで、絶縁層10をエッチングする方法は、保護層20をエッチングする方法と同様に、特に限定されるものではないが、ウェットエッチングを行うことが好ましい。とりわけ、エッチング液は、絶縁層10の材料の種類に応じて適宜選択することが好ましいが、例えば、絶縁層10がポリイミド樹脂からなる場合には、有機アルカリエッチング液等のアルカリ系エッチング液を用いることができる。エッチングが行われた後、レジストは剥離される。
続いて、配線層12の素子接続端子16のうち絶縁層開口部33および保護層開口部21において露出された部分に、めっき層15が形成される(図11(e)参照)。すなわち、素子接続端子16の露出された部分が、酸洗浄されて、電解めっき法によりニッケルめっきおよび金めっきが順次施されてめっき層15が形成される。この場合、スライダ72に接続されるヘッド端子5と、テール端子6にも、同様にしてめっきが施される。また、めっきの種類としては、ニッケルめっき、金めっきに限定されるものではなく、銀(Ag)めっき、パラジウム(Pd)めっきを施すようにしても良い。
その後、金属支持層11が所望の形状に外形加工される(図11(f)参照)。この場合、まず、パターン状のレジスト(図示せず)が形成され、金属支持層11のうち露出された部分がエッチングされて、金属支持層11が所望の形状に外形加工される。この際、連結部4a、4bにおける金属支持層11はエッチングによって除去され、素子接続部3a、3bにおける金属支持層11は、基板本体2における金属支持層11と分離される。エッチング液には、例えば塩化第二鉄水溶液を用いることが好適である。その後、レジストは除去される。
このようにして、外枠42と、複数のサスペンション用基板1とを有する外枠付サスペンション用基板41が作製される。
次に、本実施の形態におけるサスペンション51の製造方法について説明する。
まず、ベースプレート52に、ロードビーム61を介して、上述のようにして得られたサスペンション用基板1が、溶接により取り付けられる。この場合、まず、ベースプレート52にロードビーム61が溶接により固定され、続いて、ロードビーム61に設けられたビーム治具孔66と、サスペンション用基板1に設けられた基板治具孔25とにより、ロードビーム61とサスペンション用基板1とのアライメントが行われる。その後、サスペンション用基板1の金属支持層11に溶接が施されて、ロードビーム61とサスペンション用基板1が互いに接合されて固定される。
次に、ピエゾ素子54が、接着剤を用いてベースプレート52およびロードビーム61に接合されると共に、サスペンション用基板1の素子接続部3a、3bにそれぞれ接続される。この場合、まず、ピエゾ素子54が非導電性接着部55を介してベースプレート52およびロードビーム61に接合される。次いで、導電性接着剤が塗布されて第1導電性接着部56が形成され、第1導電性接着部56を介して、ピエゾ素子54の一方(サスペンション用基板1とは反対側)の電極54aが、ベースプレート52に電気的に接続される。この場合、一対のピエゾ素子54は、ロードビーム61のヘッド側ビーム部62のテール側縁部62a、62b、および、テール側ビーム部63の各ヘッド側縁部63a、63bに接合される。
また、ピエゾ素子54の他方(サスペンション用基板1の側)の電極54aは、第2導電性接着部を介してサスペンション用基板1の素子接続部3a、3bに接合されると共に電気的に接続される(図8参照)。なお、素子接続部3a、3bの金属支持層開口部32および絶縁層開口部32に導電性接着剤が予め注入されており、ピエゾ素子54をベースプレート52およびロードビーム61に接合した際、素子接続部3a、3bとピエゾ素子54とが接続される。
このようにして、一対のピエゾ素子54がロードビーム61およびベースプレート52に搭載されて接合され、各ピエゾ素子54にサスペンション用基板1の各素子接続部3a、3bが接続された一対のピエゾ素子54を含むサスペンション51が得られる。
得られたサスペンション51のジンバル部分2aにスライダ72が搭載されて、図9に示すヘッド付サスペンション71が得られる。この際、スライダ72は、サスペンション用基板1のヘッド端子5に接続される。
次に、外枠付サスペンション用基板41の各ジョイント部49(図3参照)が切断されて、外枠42から各ヘッド付サスペンション71が切り離される。このようにして、個片化された複数のヘッド付サスペンション71が得られる。
その後、得られたヘッド付サスペンション71がハードディスクドライブ81のケース82に取り付けられて、図10に示すハードディスクドライブ81が得られる。
図10に示すハードディスクドライブ81においてデータの書き込みおよび読み取りを行う際、ボイスコイルモータ85によりヘッド付サスペンション71のスライダ72がディスク83上に沿って移動し、スピンドルモータ84により回転しているディスク83に所望のフライングハイトを保って近接する。このことにより、スライダ72とディスク83との間で、データの受け渡しが行われる。この間、サスペンション用基板1とFPC基板を介して、FPC基板に接続されている制御部(図示せず)とスライダ72との間で電気信号が伝送される。このような電気信号は、サスペンション用基板1においては、各配線13によってヘッド端子5とテール端子6との間で伝送される。
スライダ72を移動させる際、ボイスコイルモータ85が、スライダ72の位置を大まかに調整し、ピエゾ素子54が、スライダ72の位置を微小調整する。すなわち、サスペンション用基板1の素子接続部3a、3bの側のピエゾ素子54の電極54aに、配線13および素子接続端子16を介して所定の電圧を印加することにより、長手方向軸線(X)に沿った方向(図4および図9の矢印P方向)に、一方のピエゾ素子54が収縮すると共に他方のピエゾ素子54が伸長する。この場合、ベースプレート52の可撓部52cとロードビーム61の可撓部64とが弾性変形し、ロードビーム61の先端側に位置するスライダ72がスウェイ方向(旋回方向Q)に移動することができる。このようにして、スライダ72を、ディスク83の所望のトラックに、迅速に、かつ精度良く位置合わせすることができる。
このように本実施の形態によれば、第1素子接続部3aは、第2連結部4bよりもジンバル部分2aの側に配置され、第2素子接続部3bは、第1連結部4aよりもテール部分2bの側に配置される。このことにより、サスペンション用基板1を長手方向に対して直交する幅方向に整列させた場合、すなわち、外枠付サスペンション用基板41の形態において、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aを、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bよりジンバル部分2aの側に配置させ、一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bを、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aよりテール部分2bの側に配置させることができる。すなわち、互いに隣接するサスペンション用基板1の基板本体2間において、一方のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aと、他方のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bとは、入り組むように配置される。このことにより、サスペンション用基板1を整列させた場合、当該一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aが、当該他のサスペンション用基板1の第2連結部4aに干渉することを防止するとともに、当該一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bが、当該他のサスペンション用基板1の第1連結部4bに干渉することを防止できる。このため、互いに隣接するサスペンション用基板1の基板本体2の間の距離を低減することができ、材料取りを効率良く行うことができる。すなわち、外枠42に支持されるサスペンション用基板1の面付数を増大させ、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させることができる。この結果、基板本体2の両側方に配置されるピエゾ素子54に接続可能なサスペンション用基板1を効率良く製造することができる。
また、本実施の形態によれば、サスペンション用基板1を整列させた場合に、互いに隣接する第1素子接続部3aの第1対向縁部17と、第2素子接続部3bの第2対向縁部18とが、互いに対向するとともに、互いに平行になっている。このことにより、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させながら、素子接続部3a、3bの平面面積を増大させるように材料取りを行うことができる。この場合、素子接続部3a、3bと第2導電性接着部57との接触面積を増大させて、接合信頼性を向上させることができる。とりわけ、本実施の形態によれば、第1素子接続部3aは、テール部分2bの側に向かって延び、第1素子接続部3aの第1対向縁部17は、平面視で、テール部分2bの側に向かって当該第1素子接続部3aの幅が狭くなるように、長手方向に対して傾斜している。同様に、第2素子接続部3bは、ジンバル部分2aの側に向かって延び、第2素子接続部3bの第2対向縁部18は、平面視で、ジンバル部分2aの側に向かって第2素子接続部3bの幅が狭くなるように、長手方向に対して傾斜している。このことにより、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させながら、素子接続部3a、3bの面積をより一層増大させることができる。
また、本実施の形態によれば、外枠42の第1支持枠部43に第1枠凹部47が設けられている。このことにより、外枠付サスペンション用基板41において、第1枠凹部47に隣接するサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの少なくとも一部を入り込ませることができる。同様に、外枠42の第2支持枠部44に第2枠凹部48が設けられている。このことにより、外枠付サスペンション用基板41において、第2枠凹部48に隣接するサスペンション用基板1の第2素子接続部3bの少なくとも一部を入り込ませることができる。このため、サスペンション用基板1の面付けの効率をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、外枠付サスペンション用基板41において、各サスペンション用基板1の基板本体2に設けられた位置合わせ用の基板治具孔25が、列状に配置される。このことにより、素子接続部3a、3bを有していないサスペンション用基板1を製造する場合と同じ位置関係で、素子接続部3a、3bを有するサスペンション用基板1を幅方向に整列することができる。このため、サスペンション用基板1の製造装置を共通化させることができ、サスペンション用基板1を効率良く製造することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、素子接続部3a、3bは、平面視で台形状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図12(a)に示すように、素子接続部3a、3bが、平面視で三角形状に形成されていてもよい。この場合であっても、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させるとともに、素子接続部3a、3bの平面面積を増大させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、第1素子接続部3aの第1対向縁部17は、平面視で、テール部分2bの側に向かって幅が狭くなるように、長手方向に対して傾斜し、第2素子接続部3bの第2対向縁部18は、平面視で、ジンバル部分2aの側に向かって幅が狭くなるように、長手方向に対して傾斜している例について説明した。しかしながら、このことに限られることなく、例えば、図12(b)に示すように、第1素子接続部3aが、第1対向縁部17を含むように半円形状に形成され、第2素子接続部3bが、第2対向縁部18を含むように半円形状に形成されていてもよい。この場合においても、第1素子接続部3aの第1対向縁部17および第2素子接続部3bの第2対向縁部18は、平面視で、長手方向に対してそれぞれ傾斜している。図12(b)に示す形態によれば、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させるとともに、素子接続部3a、3bの平面面積を増大させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、第1素子接続部3aの第1対向縁部17と、第2素子接続部3bの第2対向縁部18とが、長手方向に対してそれぞれ傾斜している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図12(c)に示すように、第1素子接続部3aの第1対向縁部17と、第2素子接続部3bの第2対向縁部18とが、長手方向に沿って延びるように形成されていてもよい。この場合においても、第1対向縁部17と第2対向縁部18とは、互いに平行となる。図12(c)に示す形態によれば、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させるとともに、素子接続部3a、3bの平面面積を増大させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、基板本体2の長手方向に対して直交する幅方向に直線状に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図13に示すように、第1連結部4a、第2連結部4bは、平面視で湾曲するように形成されていてもよい。図13に示す形態では、第1連結部4aは、テール部分2bの側に開口するように凹状に湾曲し、第2連結部4bは、ジンバル部分2aの側に開口するように凹状に湾曲している。この場合、第1連結部4aおよび第2連結部4bの線長を長くすることができる。このことにより、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、サスペンション用基板1に対して垂直方向(図1および図4の紙面に垂直な方向)の柔軟性を増大させることができる。このため、素子接続部3a、3bをピエゾ素子54に接合した後に、第2導電性接着部57にかかる応力を低減し、第2導電性接着部57が素子接続部3a、3bまたはピエゾ素子54から剥離することを防止できる。この結果、素子接続部3a、3bとピエゾ素子54との接合信頼性を向上させることができる。
さらに、上述した本実施の形態において用いた図面は、サスペンション用基板1が全体として直線状に延びている例を示しているが、これに限られることはなく、ジンバル部分2aよりテール端子6の側の部分が、直線状に延びていない場合であっても、本発明を適用することができる。
第2の実施の形態
次に、図14により、本発明の第2の実施の形態におけるサスペンション用基板、外枠付サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブについて説明する。
図14に示す第2の実施の形態においては、第1連結部および第2連結部が、サスペンション用基板の幅方向に対して傾斜している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一である。なお、図14において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図14に示すように、本実施の形態におけるサスペンション用基板1においては、第1連結部4aは、サスペンション用基板1の長手方向に直交する幅方向に対して、テール部分2bの側に傾斜している。第2連結部4bは、当該幅方向に対して、ジンバル部分2aの側に傾斜している。より具体的には、第1素子接続部3aの中心(または重心)が、第1連結部4aの基板本体2の側の端部よりテール部分2bの側に位置している。また、第2素子接続部3bの中心(または重心)が、第2連結部4bの基板本体2の側の端部よりジンバル部分2aの側に位置している。そして、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、いずれも直線状に形成されている。なお、図14に示す形態では、第1素子接続部3a、第2素子接続部3bは、いずれも平面視で円形状に形成されており、その中心と重心とは一致している。
また、本実施の形態においても、図14に示すように、サスペンション用基板1の長手方向に対して直交する幅方向に複数整列させた場合、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aは、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bよりジンバル部分2aの側に配置されるとともに、一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bは、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aよりテール部分2bの側に配置される。すなわち、複数のサスペンション用基板1を幅方向に整列させた場合、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aと、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bとは、互いに入り組むように配置される。
このように本実施の形態によれば、第1連結部4aおよび第2連結部4bが、サスペンション用基板1の幅方向に対してそれぞれ傾斜しているため、幅方向に沿って直線状に形成されている場合よりも、第1連結部4aおよび第2連結部4bの線長を長くすることができる。このことにより、第1連結部4aおよび第2連結部4bは、サスペンション用基板1に対して垂直方向(図14の紙面に垂直な方向)の柔軟性を増大させることができる。このため、素子接続部3a、3bをピエゾ素子54に接合した後に、第2導電性接着部57(図8参照)にかかる応力を低減し、第2導電性接着部57が素子接続部3a、3bまたはピエゾ素子54から剥離することを防止できる。この結果、素子接続部3a、3bとピエゾ素子54との接続信頼性を向上させることができるとともに、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1連結部4aが、サスペンション用基板1の幅方向に対してテール部分2bの側に傾斜するとともに、第2連結部4bが、当該幅方向に対してジンバル部分2aの側に傾斜している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図15に示すように、第1連結部4aが、サスペンション用基板1の幅方向に対してジンバル部分2aの側に傾斜するとともに、第2連結部4bが、当該幅方向に対してテール部分2bの側に傾斜してもよい。この場合においても、素子接続部3a、3bとピエゾ素子54との接続信頼性を向上させることができるとともに、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bが、いずれも平面視で円形状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図16に示すように、第1素子接続部3aおよび第2素子接続部3bが、図1に示す素子接続部3a、3bと同様に、第1対向縁部17および第2対向縁部18を含むように、平面視で台形状に形成されていてもよい。この場合、上述した効果に加えて、素子接続部3a、3bの平面面積を増大させることができ、素子接続部3a、3bとピエゾ素子54との接続信頼性をより一層向上させることができる。
第3の実施の形態
次に、図17により、本発明の第3の実施の形態におけるサスペンション用基板、外枠付サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブについて説明する。
図17に示す第3の実施の形態においては、第1連結部における絶縁層に第1絶縁層凹部が設けられるとともに、第2連結部における絶縁層に第2絶縁層凹部が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一である。なお、図17において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図17に示すように、第1連結部4aにおいて、絶縁層10の幅は配線13の幅より大きくなっている。同様に、第2連結部4bにおける絶縁層10の幅は、第2連結部4bにおける配線層12の配線13の幅より広くなっている。また、第1連結部4aに、テール部分2bの側に開口する第1絶縁層凹部95が設けられ、第2連結部4bに、ジンバル部分2aの側に開口する第2絶縁層凹部96が設けられている。
また、図17に示すように、このような第1連結部4aおよび第2連結部4bを含むサスペンション用基板1をその長手方向に対して直交する幅方向に複数整列させた場合、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aは、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2連結部4bよりジンバル部分2aの側に配置されるとともに、一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bは、当該第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1連結部4aよりテール部分2bの側に配置される。すなわち、複数のサスペンション用基板1を幅方向に整列させた場合、一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aと、当該第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bとは、互いに入り組むように配置される。
そして、この場合、一のサスペンション用基板1の第1絶縁層凹部95に、当該一のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bが対向する。また、一のサスペンション用基板1の第2絶縁層凹部96に、当該一のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bの側に隣接する他のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aが対向する。なお、図17に示す形態では、第1絶縁層凹部95および第2絶縁層凹部96は、いずれも平面視で円弧状に形成されているが、これに限られることはない。また、本実施の形態では、第1連結部4aおよび第2連結部4bにおける絶縁層10および配線層12の配線13は、サスペンション用基板1の幅方向に直線状に延びるように形成されている。
このように本実施の形態によれば、第1連結部4aにおいて、絶縁層10の幅は配線13の幅より大きくなっているとともに、第2連結部4bにおいて、絶縁層10の幅は配線13の幅より大きくなっている。このことにより、第1連結部4aおよび第2連結部4bの剛性を増大させることができる。また、第1連結部4aにテール部分2bの側に開口する第1絶縁層凹部95が設けられ、第2連結部4bにジンバル部分2aの側に開口する第2絶縁層凹部96が設けられている。このことにより、サスペンション用基板1を長手方向に対して直交する幅方向に整列させた場合、すなわち、外枠付サスペンション用基板41を形成する場合に、一のサスペンション用基板1の第1連結部4aが、隣接する他のサスペンション用基板1の第2素子接続部3bに干渉することを防止することができ、一のサスペンション用基板1の第2連結部4bが、隣接する他のサスペンション用基板1の第1素子接続部3aに干渉することを防止することができる。このため、材料取りを効率良く行うことができる。この結果、第1連結部4aおよび第2連結部4bの変形を抑制することができるとともに、サスペンション用基板1の面付けの効率を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1連結部4aおよび第2連結部4bにおける絶縁層10が、直線状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図18(a)に示すように、第1連結部4aにおける絶縁層10は、基板本体2から第1素子接続部3aに向かって幅が徐々に狭くなるように形成されていてもよい。同様に、第2連結部4bにおける絶縁層10は、基板本体2から第2素子接続部3bに向かって幅が徐々に狭くなるように形成されていてもよい。この場合、素子接続部3a、3bに導電性接着剤を介してピエゾ素子54を接合した後、第1連結部4a、第2連結部4bに負荷される応力が基板本体2の側の端部に集中することを抑制し、負荷される応力を均等化させることができ、信頼性を向上させることができる。さらに、例えば、図18(b)に示すように、第1連結部4aにおける配線層12の配線13は、基板本体2から第1素子接続部3aに向かって幅が徐々に狭くなるように形成されていてもよい。同様に、第2連結部4bにおける配線層12の配線13は、基板本体2から第2素子接続部3bに向かって幅が徐々に狭くなるように形成されていてもよい。この場合、素子接続部3a、3bに負荷される応力が基板本体2の側の端部に集中することを抑制し、負荷される応力をより一層均等化させることができ、信頼性をより一層向上させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、連結部4a、4bにおける配線層12の配線13は、直線状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、連結部4a、4bにおける配線13は、曲線状に形成されていてもよく、その平面形状は任意とすることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるサスペンション用基板、外枠付サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施の形態を部分的に組み合わせることも可能である。