JP5664576B2 - 変性ポリシクロオレフィン、紫外線硬化型組成物及びその硬化物 - Google Patents

変性ポリシクロオレフィン、紫外線硬化型組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、変性ポリシクロオレフィン、特に紫外線照射により、優れた機械強度や透明性を有する硬化物を与え、光デバイス・エレクトロニクス用などに有用な紫外線硬化型の変性ポリシクロオレフィンとその製造方法、それを用いた紫外線硬化型組成物及びその硬化物に関する。
製造プロセスにおける簡略化と低コスト化は、環境に配慮した低エネルギー化志向と重なり、様々な分野で積極的に進められている。特に、光・電気電子デバイスの製造プロセスは、接着・封止・埋め込み材料などの硬化のため、膨大なエネルギー・時間・設備を要する加熱工程を伴ったものが多く、改善が求められている。また、この加熱工程の改善は、エネルギーやコストのみならず、他の部材を傷めないという製造技術的な点でも、大きな意味を持つ。
近年、これら課題を解決するため、紫外線硬化型組成物が注目を集めている。紫外線硬化型組成物は、紫外線照射により活性化する光開始剤を含み、この効果で重合あるいは架橋反応が進行し、通常数十秒から十数分という短時間で硬化する。このため、他の部材を痛めにくく、また大きな設備も必要としない。最近では、LEDを利用した紫外線照射装置なども開発され、優れた製造プロセスとなっている。
これまで、紫外線硬化型組成物としては、反応性に優れるアクリル系モノマーあるいはそのポリマーを主成分とする組成物や、エポキシ基を有するポリマーを主成分とする組成物が主流であり、数多くの発明が成されている(例えば特許文献1など)。しかしながら、これらの組成物は、一般に、柔軟性に乏しく脆かった。また、屈折率が高く光学透明性に優れる一方、耐熱変色性が悪いという問題があった。
これを解決すべく、紫外線硬化型アクリル変性シリコーン組成物(特許文献2)が提案されている。しかし、この組成物は、優れた柔軟性・光学特性を有し、また耐熱変色性にも優れるが、破壊強度が低いという問題があった。力学強度を改善する方法として、フィラー(充填材)の配合が挙げられるが、光学特性の低下や、紫外線硬化不良といった別の問題が発生した。
最近、ポリシクロオレフィンを利用した紫外線硬化型組成物が提案されている(特許文献3及び4)。この材料は、ポリシクロオレフィンの持つ優れた光学特性や力学特性により、良好な組成物を与えるが、合成が非常に煩雑であるという製造上の問題があった。
特許第3928713号公報 特許第3894873号公報 国際公開第1998/056011号パンフレット 国際公開第2002/031590号パンフレット 特開2011−202153号公報
Organometallics 2001;20;p2802−2812. J.Mol.Catal.A:Chem.2002;185;p81−85. J.Mol.Catal.A:Chem.2010;330:p1−9. Polymer 2012;53:p308−315.
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、紫外線照射により活性化された光開始剤と反応し、透明性、強靭性を付与することが可能な新規変性ポリシクロオレフィン、それを用いた紫外線硬化型組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。更に、上記新規変性ポリシクロオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
即ち、上記課題を解決するため、本発明では、下記一般式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンを提供する。
Figure 0005664576
(式中、A1〜A4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又はオキセタニル基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる極性を有する置換基である。また、A1とA2又はA1とA3とが、それぞれが結合する炭素原子と共に脂環構造、芳香環構造、カルボンイミド基又は酸無水物基を形成してもよい。R1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR678で示されるシロキシ基(R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜6の1価の有機基)、R5は炭素数1〜6の1価の有機基である。sは0、1又は2であり、i、j、k、lはそれぞれ0であり、h、m、nはそれぞれ2〜6の整数であり、pは0又は1〜4の整数を示す。x、y、z−1、z−2のモル比は、xが0モル%、yが10〜95モル%、z−1が0〜20モル%、z−2が5〜50モル%、(z−1)+(z−2)が5〜50モル%(但し、x、y、z−1、z−2のモル比の合計は100モル%)である。)
本発明者は、紫外線照射により活性化した光開始剤と直ちに反応し、ポリシクロオレフィンのもつ優れた透明性や強靭性を付与することが可能な変性ポリシクロオレフィンを開発すべく鋭意検討を行った結果、後述の一般式(2)で示されるポリシクロオレフィンの側鎖の末端オレフィンと後述の一般式(3)で示される化合物の末端ヒドロシリル基とを反応させると、末端ヒドロシリル基の反応性が高いものであるため、ポリシクロオレフィン側鎖の末端オレフィンと効果的に反応して、上記一般式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンが容易に得られることを見出した。また、本発明者は、このようにして得られた上記一般式(1)の変性ポリシクロオレフィンが新規なものであり、紫外線照射により活性化した光開始剤と直ちに反応し、ポリシクロオレフィンのもつ優れた透明性や強靭性を付与することが可能であり、上記一般式(1)の変性ポリシクロオレフィンを配合した紫外線硬化型組成物は、液状材料として取り扱い性に優れ、更にはその硬化物が優れた強靭性を発揮し、かつ透明性を有し、力学特性及び光学特性に優れることを確認し、本発明を完成させた。
上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンは、これをベースポリマーとした紫外線硬化型組成物としたときに、溶解性を付与するシリコーン側鎖の影響により液状材料としての取り扱い性に優れたものとなる。そして、この変性ポリシクロオレフィンは、紫外線照射により活性化した光開始剤と、側鎖のアクリル基が直ちに反応し、硬化物にポリシクロオレフィンの透明性、強靭性を付与することができる。
また、上記式(1)において、x、y、z−1、z−2のモル比が、xが0〜20モル%、yが60〜85モル%、z−1が0〜10モル%、z−2が5〜15モル%、(z−1)+(z−2)が5〜25モル%(但し、x、y、z−1、z−2のモル比の合計は100モル%)である変性ポリシクロオレフィンは、上記した特性がより顕著なものとなる。
また、上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンは、R1、R2、R3、R4及びR5がいずれもメチル基であり、sが2、i、j、k、lがいずれも1、h、mがいずれも2、nが3、pが0であることが好ましく、これにより、生産性、反応性等がより優れたものとなる。
上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンのテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒としてGPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜2,000,000である。このような分子量であることで、強靭性、溶解性、取り扱い性がより優れたものとなる。
上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンは、光開始剤や反応性希釈剤を配合することで、紫外線硬化型組成物とすることができる。
また、上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンは、シリコーン側鎖を有するため、シリコーンに対する溶解性が優れており、例えば反応性希釈剤としてアクリル変性シリコーンを用いることもでき、既存の紫外線硬化型組成物に配合することもできる。
このようにして得られる組成物は、紫外線照射により硬化物とした場合、優れた透明性や強靭性を有する硬化物となる。
上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンは、下記一般式(2)で示される側鎖に末端オレフィンを有するポリシクロオレフィンと、下記一般式(3)で示される末端ヒドロシリル基を有する化合物とのヒドロシリル化反応により、容易に簡単な工程で製造することができる。
Figure 0005664576
(式中、A1〜A4、R1、R2、s、i、j、k、h、pは、それぞれ上記式(1)と同様である。x、y、zのモル比は、xが0モル%、yが10〜95モル%、zが5〜50モル%(但し、x、y、zのモル比の合計は100モル%)である。)
Figure 0005664576
(式中、R3、R4、R5、nは、それぞれ上記式(1)と同様である。)
本発明によれば、紫外線照射により活性化した光開始剤と直ちに反応し、ポリシクロオレフィンの透明性や強靭性を付与することが可能な上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィン及びそれを用いた紫外線硬化型組成物を提供することでき、かかる組成物の硬化物は、光デバイス・エレクトロニクス用などに好適に用いることができる。また、本発明の製造方法によれば、反応性の高い末端ヒドロシリル基と末端オレフィンとのヒドロシリル化反応により、容易に上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンを得ることができる。
実施例1で得られたポリマーの1H−NMR分析結果を示す。 実施例2で得られたポリマーの1H−NMR分析結果を示す。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明では、下記一般式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンを提供する。
Figure 0005664576
上記式(1)中、A1〜A4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又はオキセタニル基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる極性を有する置換基である。好ましくはアルキル基は炭素数1〜6、シクロアルキル基は炭素数3〜6、アリール基、アリーロキシ基は炭素数6〜8、アルコキシ基は炭素数1〜2である。また、A1とA2又はA1とA3とが、それぞれが結合する炭素原子と共に脂環構造、芳香環構造、カルボンイミド基又は酸無水物基を形成してもよい。
この場合、脂環構造としては炭素数4〜10のものが挙げられ、芳香環構造としては、炭素数6〜12のものが挙げられる。これらの構造を例示すると下記の通りである。
Figure 0005664576
(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR678で示されるシロキシ基(R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜6の1価の有機基)、R5は炭素数1〜6の1価の有機基である。炭素数1〜6の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基、フェニル基などのアリール基等が挙げられ、特にアルキル基が好ましく、とりわけメチル基が好ましい。
sは0、1又は2であり、i、j、k、lはそれぞれ0又は1であり、h、m、nはそれぞれ2〜6の整数であり、pは0又は1〜4の整数を示す。x、y、z−1、z−2のモル比は、xが0〜85モル%、yが10〜95モル%、z−1が0〜20モル%、z−2が5〜50モル%、(z−1)+(z−2)が5〜50モル%(但し、x、y、z−1、z−2のモル比の合計は100モル%)である。
上記式(1)中のx、y、z−1、z−2のモル比は、xが0〜85モル%、yが10〜95モル%、z−1が0〜20モル%、z−2が5〜50モル%、(z−1)+(z−2)が5〜50モル%であり、好ましくはxが0〜25モル%、yが70〜95モル%、z−1が0〜15モル%、z−2が5〜30モル%、(z−1)+(z−2)が5〜30モル%であり、より好ましくはxが0〜20モル%、yが60〜85モル%、z−1が0〜10モル%、z−2が5〜15モル%、(z−1)+(z−2)が5〜25モル%である。なお、x、y、z−1、z−2のモル比の合計は100モル%である。
モル比がこのような範囲である変性ポリシクロオレフィンは、透明性、強靭性に優れる。また、溶解性にも優れるため、液状材料としての作業性にも優れたものとなる。
また、上記式(1)においては、R1、R2、R3、R4及びR5がいずれもメチル基、sが2、i、j、k、lがいずれも1、h、mがいずれも2、nが3、pが0であることが好ましい。このようなR1〜R5、s、i、j、k、l、h、m、n、pであることにより、上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンの生産性、光開始剤との反応性等がより優れたものとなる。
上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンは、テトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒とするGPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、好ましくは5,000〜2,000,000であり、より好ましくは8,000〜1,500,000である。分子量が5,000より小さいと、力学特性の点で劣る場合があり、2,000,000より大きいと、溶解性及び作業性の点で劣る場合がある。
上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンは、下記一般式(2)で示されるポリシクロオレフィンと下記一般式(3)で示される化合物とのヒドロシリル化反応により容易に製造することができる。
Figure 0005664576
(式中、A1〜A4、R1、R2、s、i、j、k、h、pは、それぞれ上記式(1)と同様である。x、y、zのモル比は、xが0〜85モル%、yが10〜95モル%、zが5〜50モル%(但し、x、y、zのモル比の合計は100モル%)である。)
Figure 0005664576
(式中、R3、R4、R5、nは、それぞれ上記式(1)と同様である。)
上記ヒドロシリル化反応に用いるヒドロシリル化反応触媒としては、従来から公知のものが全て使用することができる。例えば、白金金属を担持したカーボン粉末、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応生成物、白金とジビニルテトラメチルジシロキサン等のビニルシロキサンとの錯体、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒;パラジウム系触媒;ロジウム系触媒などの白金族金属系触媒が挙げられる。また、反応条件、溶媒の使用等については、特に限定されず、上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンが合成されるように適宜調整すればよく、ポリマーが上記組成比(z−1、z−2が上記モル比)となるように上記式(2)のポリシクロオレフィンと上記式(3)の化合物とを適切量使用しヒドロシリル化反応させればよい。
通常、上記式(3)のような化合物をヒドロシリル化反応に用いると、アクリル基と末端ヒドロシリル基が反応し、副生成物が得られる場合がある。しかしながら、上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンは、アクリル基よりもヒドロシリル化反応性の高い末端オレフィンを側鎖に有するため、迅速に上記式(3)の化合物とのヒドロシリル化反応が進行し、上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンを調製することができる。
上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンは、下記式(4)、(5)、(6)で示されるシクロオレフィンモノマーを付加重合することにより得ることができる。
Figure 0005664576
(上記式(4)中、A1〜A4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又はオキセタニル基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる極性を有する置換基である。また、A1とA2又はA1とA3とが、それぞれが結合する炭素原子と共に脂環構造、芳香環構造、カルボンイミド基又は酸無水物基を形成してもよい。iは0又は1である。)
Figure 0005664576
(上記式(5)中、R1、R2は、それぞれ炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR678で示されるシロキシ基(R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜6の1価の有機基)である。sは0、1又は2であり、jは0又は1である。hは2〜6の整数を示す。)
Figure 0005664576
(上記式(6)中、kは0又は1であり、pは0又は1〜4の整数である。)
シクロオレフィンモノマーの付加重合触媒としては、周期律表第8族元素、第9族元素及び第10族元素より選択された金属、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)などを中心金属とする遷移金属錯体が挙げられる。優れた物性を併せ持つ本発明の上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンを得るためには、上記式(4)、(5)、(6)で示されるシクロオレフィンモノマーへの反応性が高いことが必要であり、この点から、特にパラジウムを中心金属とし特定の配位子を有する化合物(a)、イオン性ホウ素化合物(b)を併せて使用することが好ましく、場合によっては更にホスフィン化合物(c)を併せて使用することが好ましい。
更に、上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンを合成するためには、上記式(6)で示されるシクロオレフィンモノマーの内部オレフィン側に対し高い反応性を示すことが必要である。末端オレフィンにも高い反応性を示してしまう場合、架橋構造が形成されゲル化してしまうことが知られている(非特許文献1,2,3)。この点を考慮すると、パラジウムを中心金属とする化合物(a)としては、特に0価のパラジウム錯体がよい(特許文献5、非特許文献4)。
化合物(a)、(b)、(c)の詳細は下記のとおりである。
〔化合物(a)〕
化合物(a)は、周期律表第10族元素であるパラジウムを中心金属とし特定の配位子を有する化合物であり、特に0価のパラジウムを中心金属とする化合物である。この具体例としては、0価のパラジウム1個にジベンジリデンアセトン2個が配位した錯体であるビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、0価のパラジウム2個にジベンジリデンアセトン3個が配位した錯体であるトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、0価のパラジウム1個にエチレンが1個、トリシクロヘキシルホスフィンが2個配位した錯体である(エテン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、0価のパラジウム1個に一酸化炭素が1個、トリフェニルホスフィンが3個配位した錯体であるカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、0価のパラジウム1個に、t−ブチルイソシアニドが2個配位した錯体であるビス(t−ブチルイソシアニド)パラジウムなどが挙げられる。これらの中で、取り扱い性の面や、入手しやすい点及び錯体の安定性を考慮すると、特にビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムが好ましい。
〔化合物(b)〕
化合物(b)は、イオン性ホウ素化合物である。この具体例としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−エチルエーテルコンプレックスなどが挙げられる。これらの中で、有機溶媒への溶解性、入手しやすい点を考慮すると、特にトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
〔化合物(c)〕
化合物(c)は、ホスフィン化合物であり、特に炭素数3〜6のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基から選ばれる置換基を有するホスフィン化合物が好適である。この具体例としては、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジt−ブチルフェニルホスフィンなどが挙げられる。これらの中で、触媒の活性と安定性の両立の面から、特にトリシクロヘキシルホスフィンが好ましい。
本発明では、化合物(a)としてビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムあるいはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、化合物(b)としてトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、更に化合物(c)を添加する場合は、化合物(c)としてトリシクロヘキシルホスフィンを用いて、上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンを製造することが、好ましい態様の一つである。
上記触媒を構成する化合物(a)、(b)、(c)は、以下の範囲の使用量で用いられる。
化合物(a)は、上記式(4)、(5)、(6)で示されるモノマーの合計1モルに対して100万分の1〜100分の1モルが好ましく、より好ましくは10万分の1〜1,000分の1モルである。化合物(a)の使用量が多すぎると目的とする分子量の重合体が得られない場合があり、少なすぎると重合活性が低下する場合がある。
また、化合物(b)は、化合物(a)1モルに対して1〜2モルが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5モルである。化合物(b)の使用量が多すぎると重合体中に残存し、着色する場合があり、少なすぎると重合活性が低下する場合がある。
化合物(c)を用いる場合は、化合物(a)1モルに対して、0.25〜2モルが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5モルである。化合物(c)の使用量が多すぎると重合活性が低下する場合があり、少なすぎると触媒の安定性が低下する場合がある。
上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンは、付加重合触媒、特に上記化合物(a)、(b)、更に必要により(c)からなる触媒を用い、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状ポリシロキサン溶媒などから選ばれる1種又は2種以上の溶媒中で重合を行うことにより製造することができる。
溶媒の使用量は、溶媒(S)と上記式(4)、(5)、(6)で示されるシクロオレフィンモノマー(上記式(4)、(5)、(6)で示されるシクロオレフィンモノマーの合計量)(M)の質量比(S/M)が、1〜30の範囲、特に1〜20の範囲とすることが好ましい。溶媒の使用量が少なく、S/Mの質量比が小さすぎると、溶液粘度が高く、取り扱い性が困難になる場合があり、また、溶媒の使用量が多く、上記質量比が大きすぎると、重合活性の点で劣る場合がある。
付加重合触媒、特に上記化合物(a)、(b)、(c)からなる触媒を上記式(4)、(5)、(6)で示されるシクロオレフィンモノマーと接触混合させる場合、〈操作手順1〉化合物(b)、(c)、上記シクロオレフィンモノマー及び上記溶媒からなる溶液に、化合物(a)を上記溶媒に溶解した溶液を投入混合してもよく、〈操作手順2〉化合物(b)、上記シクロオレフィンモノマー及び溶媒からなる溶液に、化合物(a)、(c)を上記溶媒に溶解した溶液を投入混合してもよく、〈操作手順3〉上記シクロオレフィンモノマー及び溶媒からなる溶液に、化合物(a)、(b)、(c)を上記溶媒に溶解した溶液を投入混合してもよい。これら手順の中でも、触媒活性種の効率的な発生の点から、〈操作手順3〉がより好ましい。
重合方法としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、上述した操作手順により反応容器中に仕込み、0〜150℃、特に20〜100℃の範囲の温度で1〜72時間、特に2〜48時間重合することが好ましい。なお、反応温度が低すぎると重合活性の点で劣る場合があり、高すぎるとゲル化を引き起こしたり、分子量の調節が困難になる場合がある。
また、上記化合物(a)、(b)、(c)からなる触媒を用いた場合、特に分子量調節剤を添加する必要はないが、分子量調節剤を併せて用いることで分子量調節効果を高めてもよい。分子量調節剤としては、水素、エチレン,ブテン,1−ヘキセン,1−オクテンなどのα−オレフィン、シクロペンテン,シクロオクテンなどのシクロアルケン、スチレン,3−メチルスチレン,ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、トリス(トリメチルメトキシ)ビニルシラン,ジビニルジヒドロシラン,ビニルシクロテトラシロキサンなどのビニルケイ素化合物が挙げられる。
上述した溶媒とシクロオレフィンモノマーの比率、重合温度、重合時間などの反応条件は、一概に限定することが難しく、上記式(2)に示される特定構造のポリシクロオレフィンを得るべく、目的に応じて適宜調整し、使い分けることが望ましい。
重合の停止は、水、アルコール、ケトン、有機酸などから選ばれた化合物によって行われる。重合体溶液に、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸などの酸の水とアルコール混合物を添加することで、触媒残渣を重合体溶液から分離・除去することができる。また、触媒残渣の除去には、活性炭、珪藻土、アルミナ、シリカなどを用いての吸着除去や、フィルターなどによる濾過分離除去などが適用できる。
上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンは、重合体溶液をメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類中に入れて、凝固し、60〜150℃で6〜48時間減圧乾燥することにより得ることができる。この工程で、重合体溶液中に残存する触媒残渣や未反応モノマーも除去される。
また、この工程は、上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンと、上記式(3)で示される化合物とのヒドロシリル化反応後にも行うと良い。これにより、上述した副生成物や未反応物、触媒残渣を除去することができる。
このようにして得られる上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンは、下記一般式(7)、(8)、(9)で示される繰り返し単位を含む。上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンと上記式(3)で示される化合物とのヒドロシリル化反応物である上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンは、下記一般式(7)、(8)、(9)、(10)で示される繰り返し単位を含む。
Figure 0005664576
(上記式(7)中のA1〜A4及びiは、上記式(1)と同様である。)
Figure 0005664576
(上記式(8)中のR1、R2、s、j、hは、上記式(1)と同様である。)
Figure 0005664576
(上記式(9)中のk、pは、上記式(1)と同様である。)
Figure 0005664576
(上記式(10)中のR3、R4、R5、l、m、nは、上記式(1)と同様である。)
ここで、上記式(7)で示される繰り返し単位は、例えばiが0、A1〜A4がいずれも水素原子の場合、2,3付加構造単位を示すものであるが、上記式(4)で示されるシクロオレフィンモノマーを付加重合することによる2,7付加構造単位となっているものが含まれていてもよい。また、上記式(8)、(9)、(10)で示される繰り返し単位においても、同様である。また、上記式(7)、(8)、(9)、(10)で示される構造単位は、ランダムに存在してもよく、またブロック状に偏在してもよい。
以上のように調製された本発明の上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィン(A)は、光開始剤(B)及び反応性希釈剤(C)と組み合わせることで、紫外線硬化型の組成物とすることができる。
〔光開始剤(B)〕
光開始剤(B)としては、アクリル系官能基の光硬化に使用されるものとして公知のものをいずれも使用することができる。例えば、ベンゾイン及び置換ベンゾイン(例えば、アルキルエステル置換ベンゾイン)、ミカエル(Michler’s)ケトン、ジエトキシアセトフェノン(“DEAP”)のようなジアルコキシアセトフェノン、ベンゾフェノン及び置換ベンゾフェノン、アセトフェノン及び置換アセトフェノン、キサントン及び置換キサントンなどである。望ましい光開始剤の具体例としては、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、アゾビスイソブチロニトリル、N−メチルジエタノールアミンベンゾフェノン、及びこれらの混合物がある。可視光線開始剤も用いることができ、その例としては、カムホキノンパーオキシエステル開始剤及び非フルオレン−カルボン酸パーオキシエステルがある。とりわけ望ましい光開始剤は、DEAPである。
光開始剤(B)は商業的にも入手でき、例えば、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals社からIRGACURE及びDAROCURの商品名で入手することができる。具体的には、例えば、IRGACURE 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、369(2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン)、500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの組み合わせ)、651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルフェニル)ホスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの組み合わせ)及び819[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド];DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン)及び4265(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの組み合わせ)があり、可視光線(青色)光開始剤としては、d1−カムホルキノン及びIRGACURE784DC(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン)がある。
光開始剤(B)の配合量は、通常、本発明の変性ポリシクロオレフィン(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。
〔反応性希釈剤(C)〕
反応性希釈剤(C)としては、H2C=CGCO2Rによって示されるような(メタ)アクリレート類が挙げられる。上記式中、Gは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカリル基、アラルキル基又はアリール基から選ばれ、これらのいずれかは、必要に応じ、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カルバメート、アミン、アミド、イオウ、スルホネート、スルホン等で置換又は封鎖し得る。
反応性希釈剤(C)としてとりわけ望ましい(メタ)アクリレート類の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。更に、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート(“EBIPA”又は“EBIPMA”)のようなビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリレート、シトロネリルアクリレート及びシトロネリルメタクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(“HDDA”又は“HDDMA”)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(“ETTA”)、トリエチレングリコールジアクリレート及びトリエチレングリコールジメタクリレート(“TRIEGMA”)、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレート等が挙げられる。
更に、本発明の上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンは、シリコーンに対しても高い溶解性を示すため、下記に示すようなシリコーン系の反応性希釈剤を用いることも好ましい形態の一つである。
Figure 0005664576
(上記式中、R9は、それぞれ炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR678で示されるシロキシ基(R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜6の1価の有機基)である。X=0〜20、Y=1〜200)
Figure 0005664576
(上記式中、R9は、それぞれ炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR678で示されるシロキシ基(R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜6の1価の有機基)である。X=0〜30、Y=1〜200)
Figure 0005664576
(上記式中、R9は、それぞれ炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR678で示されるシロキシ基(R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜6の1価の有機基)である。X=0〜20、Y=1〜200)
これらの(メタ)アクリレート類及びシリコーン系の反応性希釈剤は、1種を単独でも2種以上を組み合わせても使用できる。
反応性希釈剤(C)の配合量は、通常、本発明の変性ポリシクロオレフィン(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜300質量部、より好ましくは0.05〜250質量部である。
〔その他の成分〕
本発明の紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、本発明の目的、効果を妨げない範囲でその他の成分を配合することができる。
〔改質剤〕
本発明の組成物は、特定の用途において所望されるような硬化又は未硬化特性を改変させる他の成分も含ませ得る。例えば、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリアルキル−又はトリアリル−イソシアヌレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の接着促進剤を、上記式(1)の変性ポリシクロオレフィン(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部、好ましくは1〜10質量部含ませ得る。
〔溶剤〕
本発明の組成物には、希釈剤として溶剤を用いることができる。この溶剤は、上記式(2)で示されるポリシクロオレフィンの調製に使用し得る溶媒と同様のものが使用できる。
本発明の組成物の希釈剤として溶剤を用いる場合、その配合量は特に限定されないが、本発明の変性ポリシクロオレフィン(A)100質量部に対し、通常、1〜2,500質量部、特に5〜1,500質量部が好適である。
本発明の上記式(1)で示される変性ポリシクロオレフィンは、シリコーンに対する溶解性に優れていることから、公知の紫外線硬化型のシリコーン組成物に配合することもできる。式(1)の変性ポリシクロオレフィンを配合することで、力学特性を向上させることができる。なお、式(1)の変性ポリシクロオレフィンの添加量は、シリコーン組成物100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。少なすぎると配合効果が得られない場合があり、多すぎると作業性及び流動性の面で劣る場合がある。
本発明にかかわる紫外線硬化型組成物を硬化させるのに有用なUV線源としては、種々の紫外線波長帯域において紫外線エネルギーを発出するように設計された通常の水銀蒸気ランプや、発光ダイオード(LED)素子が挙げられる。例えば、有用なUV線波長範囲は、220〜400nmである。また、硬化に有用なUV照射量は、硬化に十分な照射量であれば特に制限されないが、好ましくは1,000〜10,000mJ/cm2であり、より好ましくは1,500〜7,500mJ/cm2である。
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、下記例中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Cyはシクロヘキシル基をそれぞれ表す。
ポリマー類の分子量、分子量分布、モノマー由来の組成比、ポリマー類及びその硬化物の破壊強度、破壊伸び、光透過率、硬さ、溶解性は下記の方法で評価した。また、組成物の硬化は、日本電池社製コンベアタイプUV照射装置にて高圧水銀灯(80W/cm2)、高圧水銀灯から被照射試料までの距離10cm、コンベア移動速度、即ち、試料の速度1m/minの条件で高圧水銀灯下を通過させる工程を4回行って紫外線の照射を4回行い、所定の厚みで硬化させた。
(1)実施例中で得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、THFを溶媒とするGPCによりポリスチレンを標準物質として用いて求めた。
(2)ポリマー中の組成比は、1H−NMRにより得られたピークの積分比から求めた。
(3)破壊強度及び破壊伸びは、膜厚100μmのフィルムを2号ダンベル形状に打ち抜き、それを試験機のプローブに固定して、50mm/minの速度で引っ張り測定した。
(4)光透過率は分光光度計((株)日立製作所製、U−3310)を用いて400nmの波長で測定した。
(5)硬さは、JIS−K−6253の規定に準じて、デュロメータタイプDにより測定した。
(6)溶解性は、トルエン中に浸漬し、23℃で24時間放置し形状を観察した。
[実施例1]
変性ポリシクロオレフィン(HP−1)の調製
ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(C1714O)2]0.0114g(2.0×10-5mol)、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{[Ph3C][B(C654]}0.0184g(2.0×10-5mol)をそれぞれトルエン10mlに溶解させ、触媒溶液を調製した。
次に、窒素置換したガラス製容器中で、下記式(11)で表されるシクロオレフィンモノマーAm171.8g(0.64mol)及び下記式(12)で表されるシクロオレフィンモノマーBm19.2g(0.16mol)をトルエン1,000mlに溶解した。そこへ、調製した上記触媒溶液を添加し、85℃で24時間重合反応を行った。
反応終了後、多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄後、85℃で8時間減圧乾燥し、134g(収率70%)のポリマー(P−1)が得られた。
得られたポリマー(P−1)のGPC測定による分子量はMn=8,600、分子量分布Mw/Mn=1.74であった。1H−NMRスペクトルにより、ポリマー中のシクロオレフィンモノマーAm由来の構造体(Am−1)及びシクロオレフィンモノマーBm由来の構造体(Bm−1)の組成比は(Am−1)/(Bm−1)=83/17(mol/mol)であった。
Figure 0005664576
次に、得られたポリマー(P−1)100g、トルエン200g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体トルエン溶液(白金原子を1質量%含有)0.5gからなる溶液を85℃で加熱撹拌し、そこに下記式(13)で表される化合物Cm18gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に85℃で4時間反応を行った。
反応終了後、多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄後、85℃で8時間減圧乾燥し、105gの変性ポリマー(HP−1)が得られた。
Figure 0005664576
得られた変性ポリマー(HP−1)のGPC測定による分子量はMn=9,000、分子量分布Mw/Mn=1.64であった。1H−NMRスペクトルにより、ポリマー中のシクロオレフィンモノマーAm由来の構造体(Am−1)、シクロオレフィンモノマーBm由来の構造体(Bm−1)及びシクロオレフィンモノマーBmと化合物Cmとの付加反応由来の構造体(Cm−1)の組成比は(Am−1)/(Bm−1)/(Cm−1)=83/7/10(mol/mol/mol)であった。図1に変性ポリマー(HP−1)の1H−NMRスペクトルを示す。
[実施例2]
変性ポリシクロオレフィン(HP−2)の調製
ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(C1714O)2]0.0114g(2.0×10-5mol)、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{[Ph3C][B(C654]}0.0184g(2.0×10-5mol)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)0.0056g(2.0×10-5mol)をそれぞれトルエン10mlに溶解させ、触媒溶液を調製した。
次に、窒素置換したガラス製容器中で、上記式(11)で表されるシクロオレフィンモノマーAm171.8g(0.64mol)及び上記式(12)で表されるシクロオレフィンモノマーBm19.2g(0.16mol)をトルエン1,000mlに溶解した。そこへ調製した上記触媒溶液を添加し、70℃で5時間重合反応を行った。
反応終了後、多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄後、85℃で8時間減圧乾燥し、151g(収率79%)のポリマー(P−2)が得られた。
得られたポリマー(P−2)のGPC測定による分子量はMn=396,000、分子量分布Mw/Mn=2.23であった。1H−NMRスペクトルにより、ポリマー中のシクロオレフィンモノマーAm由来の構造体(Am−2)及びシクロオレフィンモノマーBm由来の構造体(Bm−2)の組成比は(Am−2)/(Bm−2)=82/18(mol/mol)であった。
次に、得られたポリマー(P−2)100g、トルエン900g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体トルエン溶液(白金原子を1質量%含有)0.5gからなる溶液を85℃で加熱撹拌し、そこに上記式(13)で表される化合物Cm18gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に85℃で6時間反応を行った。
反応終了後、多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄後、85℃で8時間減圧乾燥し、102gの変性ポリマー(HP−2)が得られた。
得られたポリマー(HP−2)のGPC測定による分子量はMn=393,000、分子量分布Mw/Mn=2.11であった。1H−NMRスペクトルにより、ポリマー中のシクロオレフィンモノマーAm由来の構造体(Am−2)、シクロオレフィンモノマーBm由来の構造体(Bm−2)及びシクロオレフィンモノマーBmと化合物Cmとの付加反応由来の構造体(Cm−2)の組成比は(Am−2)/(Bm−2)/(Cm−2)=82/10/8(mol/mol/mol)であった。図2に変性ポリマー(HP−2)の1H−NMRスペクトルを示す。
[実施例3〜5]
実施例1で得られた変性ポリシクロオレフィン(HP−1)、反応性希釈剤としてエチルアクリレート及びメチルメタクリレート、光開始剤としてジエトキシアセトフェノン(DEAP)を以下の配合量(単位:質量部)で配合し、組成物とした。得られた組成物を、型枠に流し込み、上記条件下にて紫外線硬化した。得られた硬化物の物性を表1に示す。
[比較例1,2]
エチルアクリレート及びメチルメタクリレート、光開始剤としてジエトキシアセトフェノン(DEAP)を以下の配合量(単位:質量部)で配合し、組成物とした。得られた組成物を、型枠に流し込み、上記条件下にて紫外線硬化した。表1に結果を示す。エチルアクリレートを用いた場合、硬化物は得られたものの、非常に脆く、取り扱いが困難であった。また、その硬化物はトルエンに完全に溶解した。メチルメタクリレートを用いた場合、本条件下では、硬化物は得られなかった。
Figure 0005664576
[実施例6〜8]
実施例2で得られた変性ポリシクロオレフィン(HP−2)、溶剤としてトルエン、反応性希釈剤としてエチルアクリレート及びメチルメタクリレート、光開始剤としてジエトキシアセトフェノン(DEAP)を以下の配合量(単位:質量部)で配合し、組成物とした。得られた組成物を、型枠に流し込み、トルエンを揮発させた後、上記条件下にて紫外線硬化した。得られた硬化物を85℃で6時間減圧乾燥させ、厚み100μmの透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示す。
Figure 0005664576
[実施例9,10及び比較例3]
光開始剤を含有する紫外線硬化型アクリル変性シリコーン組成物である信越化学工業(株)製KER−4000−UVを100質量部に対し、実施例1で得られた変性ポリシクロオレフィン(HP−1)を表3に示す配合量で配合し、60℃の乾燥機中で完全に溶解させ、組成物S1及びS2を調製した。次に組成物S1及びS2に紫外線を照射し所定の硬化物を得た。硬化物の物性を、KER−4000−UVと比較し表3に示す。
Figure 0005664576
KER−4000−UVは脆いためフィルムとして取り扱うことができず、力学特性及び光透過率を測定することができなかった。
以上の結果から、本発明の変性ポリシクロオレフィンが、反応性の高い末端ヒドロシリル基と末端オレフィンのヒドロシリル化反応により容易に調製できることを示しており、更に、その組成物は流動性に優れ、紫外線照射後には速やかに反応が進行し力学特性や光学特性に優れる硬化物となることが確認できた。また、既存のシリコーン組成物に本発明の変性ポリシクロオレフィンを配合することで、容易に力学特性を向上させることができることが確認できた。
よって、本発明の変性ポリシクロオレフィン、その組成物及び硬化物は、光デバイス・エレクトロニクス用のフィルム、封止剤、接着剤などに有用である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で示される変性ポリシクロオレフィン。
    Figure 0005664576
    (式中、R 1、R2、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR678で示されるシロキシ基(R6、R7及びR8はそれぞれ炭素数1〜6の1価の有機基)、R5は炭素数1〜6の1価の有機基である。sは0、1又は2であり、h、m、nはそれぞれ2〜6の整数であり、pは0又は1〜4の整数を示す。y、z−1、z−2のモル比は、yが10〜95モル%、z−1が0〜20モル%、z−2が5〜50モル%、(z−1)+(z−2)が5〜50モル%(但し、y、z−1、z−2のモル比の合計は100モル%)である。)
  2. 上記式(1)において、y、z−1、z−2のモル比が、yが60〜85モル%、z−1が0〜10モル%、z−2が5〜15モル%、(z−1)+(z−2)が5〜25モル%(但し、y、z−1、z−2のモル比の合計は100モル%)である請求項1記載の変性ポリシクロオレフィン。
  3. 上記式(1)中のR1、R2、R3、R4及びR5がいずれもメチル基、sが2、h、mがいずれも2、nが3、pが0である請求項1又は2記載の変性ポリシクロオレフィン。
  4. GPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜2,000,000である請求項1、2又は3記載の変性ポリシクロオレフィン。
  5. (A)請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変性ポリシクロオレフィン、
    (B)光開始剤、
    (C)反応性希釈剤
    を含有する紫外線硬化型組成物。
  6. (C)成分がアクリル変性シリコーンである請求項5記載の紫外線硬化型組成物。
  7. 請求項5又は6に記載の組成物を紫外線照射することにより得られる硬化物。
  8. 下記一般式(2)で示されるポリシクロオレフィンと下記一般式(3)で示される化合物とのヒドロシリル化反応により、上記式(1)の変性ポリシクロオレフィンを得る、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変性ポリシクロオレフィンの製造方法。
    Figure 0005664576
    (式中、R 1、R2、s、h、pは、それぞれ上記式(1)と同様である。y、zのモル比は、yが10〜95モル%、zが5〜50モル%(但し、y、zのモル比の合計は100モル%)である。)
    Figure 0005664576
    (式中、R3、R4、R5、nは、それぞれ上記式(1)と同様である。)
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