JP5657900B2 - 熱伝導材料 - Google Patents

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Description

本発明は、パソコン、携帯電話、PDIなどの電子機器や、LED、EL等の照明及び表示機器など、種々の装置の放熱に利用される熱伝導材料に関する。更に詳しくは、架橋性(メタ)アクリロイル基を平均して少なくとも1個有するビニル系重合体(I)、及び、熱伝導性充填材(II)を含有し、硬化前の粘度が6000Pa・s以下で、室温にて流動性を保持し、熱を付与することで硬化可能な組成物を、発熱体と放熱体との間に塗布した後、発熱体と放熱体との間にて硬化させてなる、硬化後の厚みが0.5mm未満の熱伝導材料に関する。
近年、パソコン、携帯電話、PDIなどの電子機器や、LED、EL等の照明及び表示機器などの性能向上は著しく、それは演算素子や発光素子の著しい性能向上によっている。この様に演算素子や発光素子の性能向上に伴い発熱量も著しく増加し、電子機器、照明、表示機器における放熱をどの様に行うかが重要な課題になっている。熱対策として、演算素子や発光素子の発生する熱を出来るだけ迅速に広い面積に拡散させて放熱する方法は冷却効率を上げることを目的としたもので、積極的に冷却をするものではないが、携帯電話やパソコンなどの小型電子機器や照明における冷却方法としては最も現実的なものである。
この様な放熱、伝熱の目的に使用される熱伝導性材料としては、例えばシリコーンゴム等のベースゴムに熱伝導性フィラーを高充填し硬化させた、軟質放熱シートが知られており、各種熱伝導性フィラーとシリコーンゴムとの組合せによる技術が開示されている(特許文献1〜3参照)。
この様な熱伝導を目的とした放熱シートには、材料自体の熱伝導だけでなく、発熱体や放熱体との熱抵抗を低くする必要があることから、発熱体や放熱体との密着性が重要とされている。この発熱体や放熱体との密着性には、発熱体や放熱体表面への密着性、並びに発熱体や放熱体の形状や変形に対する追従性が重要となる。ところが放熱シートの熱伝導率を高くするために熱伝導性フィラーを高充填すると、シートの硬度が硬くなってしまうことから、発熱体や放熱体表面との密着性及び形状追随性が低下してしまうという問題があった。
これらの問題を解決するため、例えば特許文献4には、硬化前のシリコーンゴムに熱伝導性フィラーを高充填した液状物を塗布した後、室温で硬化させることが可能な、室温硬化型熱伝導性シリコーンゴム組成物が開示されており、液状物であるため熱体や放熱体との密着性が非常に良好となり好適である。しかしながら未硬化のシリコーンゴム組成物であることから、使用時に低分子シロキサン成分や環状シロキサン成分の揮発が多くなるという課題がある。シリコーン樹脂にはしばしば低分子成分である環状シロキサンの揮発により、電気部品の接点不良を誘発したり、ハードディスクなどの精密機器の読み取り不良を誘発したりすると言う課題が指摘されている。
一方例えば特許文献5には、ポリαオレフィンオリゴマーに熱伝導性フィラーを高充填させた熱伝導性グリースが開示されている。このような組成物を用いれば、液状物であるため熱体や放熱体との密着性が非常に良好となり、なおかつ使用時に低分子シロキサン成分が揮発する可能性も少ない。しかしながらこのような組成物は室温で硬化することが無いため、発熱体が高温となった際に、低粘度となった液状グリースが流出してしまい、周囲の電子機器を汚染してしまうことがあるという課題を有している。
特許文献6には、ポリアルキレングリコールやポリイソブチレン等の加水分解性シリル基を有する加水分解性シリル基含有オリゴマーをベースに、熱伝導性充填材を配合したものは、優れた強度と密着性を併せ持つ樹脂組成物であることが開示されている。しかしながら加水分解性シリル基含有ポリアルキレングリコール系オリゴマーは耐熱性が十分でない場合があり、また、加水分解性シリル基含有ポリイソブチレン系オリゴマーは、比較的粘度が高くハンドリングが困難なほか、硬化速度が遅いため、1液型組成物として用いるには困難な場合が多い。
また特許文献7、分子量分布が1.8以下のリビングラジカル重合法にて製造されたビニル系重合体に、熱伝導性フィラーを充填した放熱シート用組成物が示されているが、液状物のまま室温硬化型熱伝導性組成物として利用する方法に関しては記されていない。また、硬化形式が湿気硬化型であることより硬化養生に数時間以上を要するため、生産性が劣るという懸念がある。
さらに特許文献8にておいても、特許文献7同様に放熱シート用組成物として利用する具体的な方法に関しては記されていない。
特公平6−55891号公報 特公平6−38460号公報 特公平7−91468号公報 特開2004−352947号公報 特開2008−19319号公報 特開2001−302936号公報 特開2006−274094号公報 特開2006−278476号公報
上述のように、硬化性樹脂組成物や熱伝導性グリースを発熱体や放熱体表面へ塗布する従来技術には様々な課題があった。予め硬化させた放熱シートを用いる場合には、熱抵抗が高くなるという課題があった。放熱シートの厚みをできるだけ薄くすることで、放熱シート自体の熱抵抗を低減させることが可能であるが、発熱体や放熱体表面への密着性及び形状追随性を向上させるために放熱シートを柔らかくしたうえで、かつ厚み0.5mm未満程度の薄いシートにしようとすると、放熱シートが発熱体への貼り付け作業時に破れるなどして破損しやすく、取扱が非常に煩雑になるという課題が生じる。そのため市販されている軟質放熱シートは一般的には0.5mm以上の厚みを有しており、0.5mm未満の厚みとする場合には放熱シートをある程度硬くして対応する必要があった。また従来の熱伝導材においても硬化前の熱伝導材を使用することは可能ではあるが、従来品では硬化前粘度が高いためハンドリング性が悪いことに因る生産性の悪化、また高粘度であるため一旦空気を巻き込んでしまうとその空気が抜けにくい可能性が高くなる。それらに因って熱伝導性が低下するなどの問題が懸念された。
本発明は、優れた耐熱性、耐久性、を有するとともに、従来技術で問題視されている環状シロキサン等による接点障害の可能性が低く、低粘度であるため塗布などの操作が容易かつ生産性が高く、熱を付与することによって硬化させることが可能な、熱硬化型熱伝導性組成物、並びにその組成物を硬化させてなる熱伝導材を目的とする。
本発明者らは上述の現状に鑑み鋭意検討した結果、架橋性(メタ)アクリロイル基を平均して少なくとも1個有するビニル系重合体(I)、及び、熱伝導性充填材(II)を含有し、硬化前の粘度を6000Pa・s以下と低く抑えることにより、塗布性に優れた室温にて流動性を有し、熱を付与することで硬化可能な組成物が得られること、これらの組成物を発熱体と放熱体との間に薄く塗布した後、発熱体と放熱体との間にて硬化させ、硬化後の厚みを0.5mm未満とすることで、発熱体と放熱体との間の熱抵抗を顕著に低減させることが可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の第1は1)架橋性(メタ)アクリロイル基を平均して少なくとも一個有するビニル系重合体(I)、及び、熱伝導性充填材(II)を含有し、硬化前の粘度が6000Pa・s以下の、室温にて流動性を有し、熱を付与することで硬化可能な組成物を発熱体と放熱体との間に塗布した後、発熱体と放熱体との間にて硬化させてなる、硬化後の厚みが0.5mm未満の熱伝導材料に関する。
本発明の第2は2)更に、ビニル系重合体(I)の開始剤(III)を含有することを特徴とする1)に記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第3は3)前記熱伝導材が、可塑剤(IV)を含有することを特徴とする1)に記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第4は4)分子量分布が1.8未満であるビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする1)に記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第5は5)架橋性(メタ)アクリロイル基が一般式(1)で表されることを特徴とする1)〜4)のうち何れかに記載の熱伝導材料に関する。
−OC(O)C(R)=CH2(1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
本発明の第6は6)主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものであるビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする1)〜5)のうち何れかに記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第7は7)主鎖が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする6)に記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第8は8)ビニル系重合体(I)の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたものであることを特徴とする1)〜7)のうち何れかに記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第9は9)ビニル系重合体(I)の主鎖が原子移動ラジカル重合法により製造されたものであることを特徴とする8)記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第10は10)ビニル系重合体(I)の架橋性(メタ)アクリロイル基が分子鎖末端にあることを特徴とする1)〜9)のうち何れかに記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第11は11)熱伝導性充填材(II)が炭素化合物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属炭化物、金属水酸化物、結晶性シリカ、有機ポリマー焼成物、Znフェライトとの複合フェライト、Fe−Al−Si系三元合金、および金属粉末から選ばれる少なくとも1種であることを特徴する1)〜10)のいずれかに記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第12は12)熱伝導性充填材(II)がグラファイト、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、結晶化シリカ、Fe−Al−Si系三元合金、およびカルボニル鉄から選ばれる1種以上であることを特徴する11)に記載の熱伝導材料に関する。
本発明の第13は13)熱伝導性充填材(II)の容積率が、全組成物中25容量%以上であることを特徴する1)〜12)の何れかに記載の熱伝導材料に関する。
本発明の、熱を付与することによって硬化可能な熱伝導性組成物を硬化させてなる熱伝導材は、優れた耐熱性、耐久性を有するとともに、従来技術で問題視されている環状シロキサン等による接点障害、また従来品の硬化前粘度が高いことによるハンドリング性が悪い、熱伝導材中の泡抜けが悪いといった問題が改善され、放熱効果が向上するという特徴を有する。
以下に本発明の熱伝導性組成物の構成について詳述する。
<<ビニル系重合体(I)>>
本発明においては、室温にて流動性を有し、熱を付与することで硬化可能な組成物を得るために、架橋性(メタ)アクリロイル基を分子中に平均して少なくとも一個有するビニル系重合体(I)を使用する。ビニル系重合体(I)の使用量は、硬化前の粘度と硬化性と硬化後の熱抵抗のバランスの観点から、全組成物中0.1重量%〜90重量%とすることが好ましく、1重量%〜60重量%とすることがより好ましく、5重量%〜35重量%とすることが特に好ましい。
(I)成分は、一般式(1):−OC(O)C(R)=CH2 (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表わされる基を1分子あたり2個以上有し、かつ、そのうち分子末端に前記一般式(1)で表わされる基を1個以上有するビニル系重合体である。
(I)成分における上記一般式(1)で表わされる基((メタ)アクリロイル系基)の数は、1分子あたり平均で1個以上であり、かつ、そのうち分子末端に平均で0.8個以上である。また、分子末端の(メタ)アクリロイル系基が1分子あたり平均で1個以上が好ましい。なお、(I)成分を製造する際、実際には副反応が起こることがあるため、製造されたビニル系重合体の混合物中の上記(メタ)アクリロイル系基の個数の平均値が平均で1個未満になることがある。本発明においては、実際に製造されるビニル系重合体の混合物中の(メタ)アクリロイル系基の個数の平均値が0.8以上である場合は、この混合物を(I)成分という。つまり、(I)成分としては、上記(メタ)アクリロイル系基を1分子あたり平均で1個以上かつ分子末端に平均で0.8個以上有するビニル系重合体を含有する、ビニル系重合体の混合物を含むものである。また、架橋させるという観点から、上記(メタ)アクリロイル系基の個数の平均値は、1分子あたり1.0個以上が好ましく、1.1個以上がより好ましい。上限は、シート化したとき柔軟になるという観点からは、1分子あたり2.0個以下が好ましい。(メタ)アクリロイル系基の個数が平均2.0個を超えても、可塑剤を大量に入れれば柔軟なシートを得ることは可能である。さらに、平均で該(メタ)アクリロイル系基の0.8個以上は分子末端に存在するものであるが、他の(メタ)アクリロイル系基の位置は特に限定されない。架橋点間距離を長くできる点から、いずれも分子末端側近くにある形態が好ましく、いずれも分子末端にある形態が特に好ましい。
さらに、架橋点間距離を長くでき、容易に柔軟なシートが得られるという点から、前記(I)成分が、(I−1)分子の両末端に前記一般式(1)で表わされる基を有するビニル系重合体、および、(I−2)分子の片末端に前記一般式(1)で表わされる基を有するビニル系重合体を含有することが好ましい。(I−1)と(I−2)との重量比は、好ましくは99/1〜1/99、より好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90である。
なお実際には、(I)成分を製造する際副反応が起こることがあるため、製造されたビニル系重合体の混合物中には(メタ)アクリロイル系基を有しない樹脂が少量含まれることがある。前記(I)成分が、(I−1)分子の両末端に前記一般式(1)で表わされる基を有するビニル系重合体99〜1重量%、(I−2)分子の片末端に前記一般式(1)で表わされる基を有するビニル系重合体1〜99重量%、および、(I−3)分子内に前記一般式(1)で表わされる基を有しないビニル系重合体0〜20重量%、(ただし、(I−1)、(I−2)、(I−3)の合計を100重量%とする)からなるものであれば良い。
さらには前記(I)成分が、(I−1)分子の両末端に前記一般式(1)で表わされる基を有するビニル系重合体50〜10重量%、(I−2)分子の片末端に前記一般式(1)で表わされる基を有するビニル系重合体5〜90重量%、および、(I−3)分子内に前記一般式(1)で表わされる基を有しないビニル系重合体0〜20重量%、(ただし、(I−1)、(I−2)、(I−3)の合計を100重量%とする)からなると、より柔軟な放熱シートが得られるため好ましい。
(メタ)アクリロイル系基中のRは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わし、好ましくは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。前記炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、ニトリル基等が挙げられ、これらは水酸基等の置換基を有していてもよい。前記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。Rの好ましい具体例としては、例えば−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表わす)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
(I)成分の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定はなく、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、生成物の物性等の点から、芳香族ビニル系モノマー及び(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーであり、さらに好ましくは、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレートである。さらに、耐油性等の観点から、主鎖を構成するビニル系モノマーは、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル及び2−メトキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも2つを含むことが特に好ましい。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他の前記モノマーと共重合させてもよく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお、上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
(I)成分の分子量分布[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比]には、特に限定はないが、好ましくは1.8未満、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.5以下、特別に好ましくは1.4以下、最も好ましくは1.3以下である。なお、本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルム又はテトラヒドロフランを移動相とし、ポリスチレンゲルカラムを使用し、分子量の値はポリスチレン換算値で求めている。
(I)成分の数平均分子量の下限は、好ましくは500、より好ましくは3000であり、上限は、好ましくは100000、より好ましくは40000である。分子量が500未満であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくくなる傾向があり、また、100000をこえると、ハンドリングが困難になりやすい傾向がある。
<(I)成分の製法>(I)成分の製法については特に限定はない。ビニル系重合体は、一般にアニオン重合あるいはラジカル重合によって製造されるが、モノマーの汎用性あるいは制御の容易さからラジカル重合が好ましい。ラジカル重合の中でも、リビングラジカル重合あるいは連鎖移動剤を用いたラジカル重合によって製造されるのが好ましく、特に前者が好ましい。
(I)成分の製造に用いられるラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端等の制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類することができる。
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題がある。また、フリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題もある。
「制御ラジカル重合法」は、さらに、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行なうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに、分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また、前記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題もある。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリング等による停止反応が起こりやすいため制御が難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができる。したがって、「リビングラジカル重合法」では、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、前記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
なお、リビング重合とは、狭義には、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」は、近年様々なグループで積極的に研究されている。その例としては、例えばジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、79
43頁に示されているようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュルズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228
頁に示されているようなニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)等が挙げられる。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、前記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としては、さらに好ましい。
前記原子移動ラジカル重合法としては、例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュルズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁、サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号パンフレット、WO97/18247号パンフレットあるいはSawamotoら、マクロモレキュルズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁等に記載の方法が挙げられる。
本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、基本的には制御ラジカル重合法が利用され、さらに制御の容易さ等からリビングラジカル重合法が好ましく、特に原子移動ラジカル重合法が好ましい。
まず、制御ラジカル重合法のうちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合法について説明する。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定はないが、本発明に適した末端構造を有するビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
次に、リビングラジカル重合法について説明する。そのうち、まず、ニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤(キャッピング剤)を用いる方法について説明する。この重合法では、一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物には特に限定はないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。
前記ニトロキシフリーラジカル化合物の具体例としては、特に限定はないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。前記ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
前記ラジカルキャッピング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定はないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適切である。
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下でラジカルを発生し得るパーオキシドが好ましい。前記パーオキシドには特に限定はないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等が挙げられる。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用し得る。
マクロモレキュルズ(Macromolecules)1995年、28巻、2993頁に報告されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下記のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
Figure 0005657900
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが前記のような水酸基等の官能基を有するものを用いると末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
前記ニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶剤、重合温度等の重合条件には特に限定はないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるのと同様で構わない。
次に、本発明に使用するリビングラジカル重合法としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。この原子移動ラジカル重合法では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、
65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C65−C(X)(CH32
(式中、C65はフェニル基、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、
3−C(H)(X)−CO24、R3−C(CH3)(X)−CO24、R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4
(式中、R3、R4は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、
3−C64−SO2
(式中、R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合法の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に前記官能基を、他方の主鎖末端に前記一般式(1)で表わされる構造を有するビニル系重合体が製造される。前記官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
前記アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては、特に限定はなく、例えば一般式(6):
67C(X)−R8−R9−C(R5)=CH2(6)
(式中、R5は水素原子又はメチル基、R6、R7は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は他端において相互に連結したもの、R8は−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)又はo−,m−,p−フェニレン基、R9は直接結合又は1個以上のエーテル結合を含有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)で示されるものが例示される。
前記置換基R6、R7の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R6とR7は、他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。R9の1個以上のエーテル結合を含有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば1個以上のエーテル結合を含有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基等が挙げられる。
一般式(6)で示されるアルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2
Figure 0005657900
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは0〜20の整数)、
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
Figure 0005657900
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)、
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2)n−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2)n−CH=CH2
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは0〜20の整数)、
o,m,p−XCH2−C64−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)、
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
等が挙げられる。
前記アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては、さらに一般式(7):
2C=C(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (7)
(式中、R5、R6、R7、R9、Xは前記に同じ、R10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)又はo−,m−,p−フェニレン基を表わす)
で示される化合物が挙げられる。
前記R9は、直接結合又は炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含有していてもよい)であるが、直接結合である場合は、ハロゲン原子の結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R9が直接結合でない場合、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R10としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
一般式(7)で示される化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、
CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3
CH2=CHC(X)(CH32、CH2=CHC(H)(X)C25
CH2=CHC(H)(X)CH(CH32、CH2=CHC(H)(X)C65
CH2=CHC(H)(X)CH265
CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH23C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH28C(H)(X)−CO2R、
CH2=CHCH2C(H)(X)−C65
CH2=CH(CH22C(H)(X)−C65
CH2=CH(CH23C(H)(X)−C65
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等をあげることができる。
前記アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例をあげるならば、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−C64−SO2X、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−O−C64−SO2
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、nは0〜20の整数)
等をあげることができる。
前記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物には特に限定はなく、例えば一般式(8):
67C(X)−R8−R9−C(H)(R5)CH2−[Si(R112-a(Y)O]m−Si(R123-n(Y) (8)
(式中、R5、R6、R7、R8、R9、Xは前記に同じ、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11又はR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい、Yは水酸基又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい、nは0、1、2又は3、aは0、1又は2、mは0〜19の整数、ただし、n+ma≧1を満足する)
に示すものが例示される。
一般式(8)で示される化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2nSi(OCH33
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33
(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33
XCH2C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、nは0〜20の整数)、
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(CH3)(OCH32
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)、
o,m,p−XCH2−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)、
o,m,p−XCH2−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH23−Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH22−O−(CH23−Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)
等が挙げられる。
前記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては、さらに一般式(9):
(R123-n(Y)Si−[OSi(R112-a(Y)m−CH2−C(H)(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (9)
(式中、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、n、a、X、Yは前記に同じ、mは0〜19の整数)
で示されるものが例示される。
一般式(9)で示される化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C65
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C65
(CH3O)3Si(CH22C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH22C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH29C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH29C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−C65
(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−C65
(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−C65
(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−C65
(以上の式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
前記ヒドロキシル基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物には特に限定はなく、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
前記アミノ基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物には特に限定はなく、下記のようなものが例示される。
2N−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
前記エポキシ基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物には特に限定はなく、下記のようなものが例示される。
Figure 0005657900
(式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
一般式(1)で表わされる基を1分子あたり2個以上、分子末端に有するビニル系重合体を得るためには、2個以上の開始点を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
Figure 0005657900
Figure 0005657900
等が挙げられる。この重合において用いられるビニル系モノマーには特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
また、重合触媒として用いられる遷移金属錯体には特に限定はないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族又は11族元素を中心金属とする金属錯体、例えば銅、ニッケル、ルテニウム、鉄の金属錯体である。さらに好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。
前記1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等が挙げられる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジル、その誘導体、1,10−フェナントロリン、その誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子を添加することができる。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加することができる。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤又は各種の溶剤中で行なうことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を混合して用いてもよい。また、重合は、室温〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲で行なうことができる。
<官能基導入法>(I)成分の製造方法には特に限定はないが、例えば前述の
方法により反応性官能基を有するビニル系重合体を製造し、反応性官能基を(メタ)アクリロイル系基を有する置換基に変換することにより製造することができる。以下に、反応性官能基を有するビニル系重合体の末端を一般式(1)で表わされる基に変換する方法について説明する。
ビニル系重合体の末端に(メタ)アクリロイル系基を導入する方法には特に限定はないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(導入方法1)末端にハロゲン基(ハロゲン原子)を有するビニル系重合体と、一般式(2):
+-OC(O)C(R)=CH2 (2)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、M+はアルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表わす)
で示される化合物との反応による方法。末端にハロゲン基を有するビニル系重合体としては、一般式(3):
−CR12X (3)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす)
で示される末端基を有するものが好ましい。
(導入方法2)末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(4):
1C(O)C(R)=CH2 (4)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、X1は塩素原子、臭素原子又は水酸基を表わす)
で示される化合物との反応による方法。
(導入方法3)末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(5):
HO−R’−OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表わす)
で示される化合物との反応による方法。
以下に、前記各方法について詳細に説明する。
[導入方法1]導入方法1は、末端にハロゲン基を有するビニル系重合体と、一般式(2)で示される化合物との反応による方法である。末端にハロゲン基を有するビニル系重合体には特に限定はないが、一般式(3)に示される末端基を有するものが好ましい。一般式(3)中のR1、R2におけるビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基としては、水素原子、メチル基、カルボニル基、カルボキシレート基、トルイル基、フルオロ基、クロロ基、トリアルコキシシリル基、フェニルスルホン酸基、カルボン酸イミド基、シアノ基等が挙げられる。末端にハロゲン基を有するビニル系重合体、特に一般式(4)で表わされる末端基を有するビニル系重合体は、前述の有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいはハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(2)で表わされる化合物には特に限定はない。一般式(2)中のRにおける炭素数1〜20の有機基としては、前述と同様のものが例示され、その具体例としても前述と同様のものが例示される。一般式(2)中のM+は、オキシアニオンの対カチオンであり、その種類としては、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
前記アルカリ金属イオンとしては、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられる。これらのうち、好ましいものとしてはアルカリ金属イオンが、より好ましいものとしてはナトリウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。
一般式(2)で示される化合物の使用量は、一般式(3)で示される末端基に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1.0〜1.2当量である。前記反応を実施する溶剤には特に限定はないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が好ましく用いられる。反応温度には特に限定はないが、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃である。
[導入方法2]導入方法2は、末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(4)で示される化合物との反応による方法である。一般式(4)で表わされる化合物には特に限定はない。一般式(4)中のRにおける炭素数1〜20の有機基としては、前述と同様のものが例示され、その具体例としても前述と同様のものが例示される。
前記末端に水酸基を有するビニル系重合体は、前述の有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合させる方法、あるいは水酸基を有する化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合させる方法により製造されるが、好ましくは前者である。
末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する方法には特に限定はないが、例えば以下の方法が例示される。(a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、一般式(10):
2C=C(R13)−R14−R15−OH (10)
(式中、R13は水素原子又は炭素数1〜20の有機基、R14は−C(O)O−(エステル基)又はo−,m−もしくはp−フェニレン基、R15は直接結合又は1個以上のエーテル結合を含有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表わす)
で示される一分子中に重合性のアルケニル基及び水酸基を併せもつ化合物等を第2のモノマーとして反応させる方法。
前記R13としては、水素原子、メチル基が好ましい。また、R14がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R14がフェニレン基のものはスチレン系化合物である。R15の具体例はR9の具体例と同じである。なお、一分子中に重合性のアルケニル基及び水酸基を併せもつ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にゴム的な性質を期待する場合には、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基及び水酸基を有する化合物を反応させる方法。前記化合物には特に限定はないが、例えば一般式(11):
2C=C(R13)−R16−OH (11)
(式中、R13は前記と同じ、R16は1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表わす)
で示される化合物等が挙げられる。前記R16の具体例は、R9の具体例と同じである。一般式(11)で示される化合物には特に限定はないが、入手が容易であるという点から、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
(c)特開平4−132706号公報等に開示されているような方法で、原子移動ラジカル重合により得られる一般式(3)で示される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(3)で示される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(12):
+-(R17)(R18)−R16−OH (12)
(式中、R16及びM+は前記と同じ、R17、R18はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引基又は一方が前記電子吸引基で、他方が水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表わす)
で示される水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲン原子を置換する方法。
前記電子吸引基としては、−CO2R(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2)(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等が挙げられ、−CO2R、−C(O)R、−CNが特に好ましい。置換基Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基である。
(e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(3)で示される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかるのちにアルデヒド類又はケトン類を反応させる方法。
(f)重合体末端のハロゲン原子、好ましくは一般式(3)で示されるハロゲン原子を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(13):HO−R16−O−M+(13)(式中、R16及びM+は前記と同じ)で示される水酸基含有化合物等や、一般式(14):
HO−R16−C(O)O-+ (14)
(式中、R16及びM+は上記と同じ)で示される水酸基含有化合物等を反応させて、前記ハロゲン原子を水酸基含有置換基に置換する方法。
(a)〜(b)のような水酸基を導入する方法にハロゲン原子が直接関与しない場合、制御がより容易である点から(a)の方法がさらに好ましい。
また、(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲン原子を変換することにより水酸基を導入する場合、制御がより容易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
一般式(4)で示される化合物の使用量は、ビニル系重合体の末端水酸基に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。前記反応を実施する溶剤には特に限定はないが、求核置換反応であるため極性溶剤が好ましく、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が好ましく用いられる。反応温度は特に限定はないが、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃である。
[導入方法3]導入方法3は、末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(5):
HO−R’−OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表わす)
で示される化合物との反応による方法である。
一般式(5)中のRにおける炭素数1〜20の有機基としては、前述と同様のものが例示され、その具体例としても前述と同様のものが例示される。一般式(5)中のR’の炭素数2〜20の2価の有機基としては、例えば炭素数2〜20のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等)、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基等が挙げられる。一般式(5)で示される化合物には特に限定はないが、特に好ましい化合物としては、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。前記末端に水酸基を有するビニル系重合体は、前記のとおりである。
ジイソシアネート化合物には特に限定はなく、従来公知のものをいずれも使用することができる。具体例としては、例えばトルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ブロックイソシアネートを使用しても構わない。より優れた耐候性を得る点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
ジイソシアネート化合物の使用量は、ビニル系重合体の末端水酸基に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。一般式(5)で示される化合物の使用量は、残存イソシアネート基に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。また、反応溶剤には特に限定はないが、非プロトン性溶剤等が好ましい。反応温度には特に限定はないが、好ましくは0〜250℃、より好ましくは20〜200℃である。
<<熱伝導性充填材(II)>>
本発明の熱伝導性充填材は、市販されている一般的な良熱伝導性充填材を用いることが出来る。なかでも、熱伝導率、入手性、絶縁性・電磁波シールド性・電磁波吸収性など特定の電気特性を付与可能である、等の観点から、グラファイト、ダイヤモンド、等の炭素化合物;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物;炭化ホウ素、炭化アルミニウム、炭化ケイ素等の金属炭化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;結晶性シリカ:アクリロニトリル系ポリマー焼成物、フラン樹脂焼成物、クレゾール樹脂焼成物、ポリ塩化ビニル焼成物、砂糖の焼成物、木炭の焼成物等の有機性ポリマー焼成物;Znフェライトとの複合フェライト;Fe−Al−Si系三元合金;金属粉末、等が好ましく挙げられる。
さらに、入手性や熱伝導性の観点から、グラファイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、結晶化シリカがより好ましく、グラファイト、α―アルミナ、六方晶窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、Mn−Zn系ソフトフェライト、Ni−Zn系ソフトフェライト、Fe−Al−Si系三元合金( センダスト)、カルボニル鉄、鉄ニッケル合金( パーマロイ)がより好ましく、球状化グラファイト、丸み状あるいは球状のα―アルミナ、球状化六方晶窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、Mn−Zn系ソフトフェライト、Ni−Zn系ソフトフェライト、球状Fe−Al−Si系三元合金( センダスト)、カルボニル鉄、が特に好ましい。
本発明でカルボニル鉄を用いる場合には、還元カルボニル鉄粉であることが望ましい。還元カルボニル鉄粉とは、標準グレードではなく、還元グレードに分類されるカルボニル鉄粉であり、標準グレードに比べ、カーボンと窒素の含有量が低いことが特徴である。
また、これらの熱伝導性充填材は、ビニル系重合体(I)に対する分散性が向上する点から、シランカップリング剤(ビニルシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、イソシアナートシラン、クロロシラン、アミノシラン等)やチタネートカップリング剤(アルコキシチタネート、アミノチタネート等)、又は、脂肪酸(カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸、ソルビン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸等)や樹脂酸(アビエチン酸、ピマル酸、レボピマール酸、ネオアピチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、コルム酸、セコデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸等)等により、表面が処理されたものであることが好ましい。
これらのうち、一部の熱伝導率を挙げると、例えば、シリカは1.5W/mK、アルミナは20W/mK、酸化マグネシュウムは40W/mK、窒化ホウ素は60W/mK、窒化アルミは70W/mK、銅は398W/mK、アルミは237W/mK、等の良好な熱伝導率を示す。
このような熱伝導性充填材の使用量としては、本発明の組成物から得られる熱伝導性材料の熱伝導率を高くすることができる点から、熱伝導性充填材の容積率(%)が全組成物中の25容量%以上となることが好ましい。25容量%よりも少ない場合は、熱伝導性が十分でなくなる傾向がある。さらに高い熱伝導率を望む場合は、熱伝導性充填材の使用量を、全組成物中の40容量%以上とすることがより好ましい。
ここで熱伝導性充填材の容積率(%)とは、樹脂分及び熱伝導性充填材のそれぞれの重量分率と比重から算出されるものであり、次式により求められる。なお、次式においては、熱伝導性充填材を単に「充填材」と記載した。
充填材容積率(容量%)=(充填材重量比率/充填材比重)÷[(樹脂分重量比率/樹脂分比重)+(充填材重量比率/充填材比重)]×100
ここで、樹脂分とは、熱伝導性充填材を除いた全成分を指し、具体的にはビニル系重合体(I)、開始剤(III)、可塑剤(IV)その他粘着付与樹脂等各種添加剤を指す。
また、ビニル系重合体(I)に対する熱伝導性充填材の充填率を高める1手法として、粒子径の異なる熱伝導性充填材を2種類以上併用することが好適である。この場合、粒子径の大きい熱伝導性充填材を10μmを超えるものとし、粒子径の小さい熱伝導性充填材を10μm以下とすることが好ましい。
また、これら熱伝導性充填材は、同一種類の熱伝導性充填材だけでなく、種類の異なる2種以上を併用することもできる。また本発明の効果を妨げない程度に、熱伝導性充填材以外の各種充填材を必要に応じて用いても良い。熱伝導性充填材以外の各種充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、ケイソウ土、白土、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、非晶質球形シリカ等)、カーボンブラックのような補強性充填材;ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂の有機ミクロバルーン、PVC粉末、PMMA粉末など樹脂粉末などの充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填材等が挙げられる。 これら充填材のうちでは沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、酸化チタン、タルクなどが好ましい。なおこれら充填材の中には、わずかに熱伝導性充填材としての機能を有しているものもあり、また炭素繊維、各種金属粉、各種金属酸化物、各種有機繊維のように、組成、合成方法、結晶化度、結晶構造によっては優れた熱伝導性充填材として使用可能となるものもある。
<<開始剤(III)>>
(III)成分の開始剤としては、特に限定はないが、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス系開始剤等が挙げられる。なお、光重合開始剤、熱重合開始剤、レドックス系開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として使用してもよいが、混合物として使用する場合には、各種開始剤の使用量は、後述のそれぞれの範囲内にあることが好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤、近赤外光重合開始剤等が挙げられ、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤が好ましく、光ラジカル開始剤が特に好ましい。光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾイル等が挙げられる。これらのうち、α−ヒドロキシケトン化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等)、フェニルケトン誘導体(例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン等)が好ましい。
光アニオン開始剤としては、例えば、1,10−ジアミノデカン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、カルバメート類及びその誘導体、コバルト−アミン錯体類、アミノオキシイミノ類、アンモニウムボレート類等が挙げられる。
近赤外光重合開始剤としては、近赤外光吸収性陽イオン染料等を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号公報、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体等を用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
これらの光重合開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、前記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
(III)成分として光重合開始剤を使用する場合、その添加量は特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、(I)成分100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.025〜7重量部である。
また、熱重合開始剤としては、特に制限はないが、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤等が挙げられる。
適切なアゾ系開始剤としては、限定されるわけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO33)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO50)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO52)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO64)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO88)(全てDuPontChemicalから入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(和光純薬より入手可能)等が挙げられる。
適切な過酸化物開始剤としては、限定されるわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox16S)(AkzoNobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol11)(ElfAtochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox21−C50)(AkzoNobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
適切な過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
好ましい熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物開始剤からなる群から選ばれる。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、並びにこれらの混合物である。
熱重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。(III)成分として熱重合開始剤を使用する場合、熱重合開始剤は触媒的に有効な量で存在し、その添加量は特に限定されないが、本発明の(III)成分及び他に添加可能な後述のモノマー及び/又はオリゴマー混合物の合計量を100重量部とした場合に、好ましくは約0.001〜10重量部、より好ましくは約0.025〜7重量部である。
さらに、(III)成分として使用可能なレドックス(酸化還元)系開始剤は、幅広い温度領域で使用できる。特に、下記開始剤種は常温で使用できることが有利である。適切なレドックス系開始剤としては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤と還元剤(メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)の組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンの組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ;有機過酸化物と遷移金属の組み合わせ、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートの組み合わせ等が挙げられる。好ましいレドックス系開始剤としては、有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、有機過酸化物と遷移金属の組み合わせであり、より好ましくは、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとコバルトナフテートの組み合わせである。
レドックス系開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。(B)成分としてレドックス系開始剤を使用する場合、レドックス系開始剤は触媒的に有効な量で存在し、その添加量は特に限定されないが、本発明の(A)成分及び他に添加可能な後述のモノマー及び/又はオリゴマー混合物の合計量を100重量部とした場合に、好ましくは約0.001〜10重量部、より好ましくは約0.025〜7重量部である。
<<可塑剤(IV)成分>>
本発明の熱伝導材には、各種可塑剤を必要に応じて用いても良い。可塑剤を後述する充填材と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填材を混合できたりするためより有利となるが、必ずしも添加しなければならないものではない。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、これらポリエーテルポリオールの水酸基の片末端または両末端もしくは全末端をアルキルエステル基またはアルキルエーテル基などに変換したアルキル誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル、E−PS等のエポキシ基含有可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。
なかでも数平均分子量500〜15,000の重合体である高分子可塑剤は、添加することにより、該硬化性組成物の粘度やスランプ性および該組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持し、該硬化物にアルキッド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)を改良できる。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
上記で高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15,000と記載したが、好ましくは800〜10,000であり、より好ましくは1,000〜8,000である。分子量が低すぎると熱により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、アルキッド塗装性が改善できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
これらの高分子可塑剤の中ではポリエーテル系可塑剤と(メタ)アクリル系重合体可塑剤が高伸び特性あるいは高耐候性の点から好ましい。アクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207、特公平5−58005、特開平1−313522、USP5010166)にて作製されるため本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが例えば東亞合成品のARUFON UPシリーズ(UP−1000、UP−1021、UP−1110、UP−2000、UP−2130)(SGOと呼ばれる)等が挙げられる(防水ジャーナル2002年6月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、粘度の点から狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
なお、粘度の点から言えば、主鎖に分岐構造を有する方が同一分子量では粘度が低くなるので好ましい。上述の高温連続重合法はこの例として挙げられる。
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。また、例えば、本発明のビニル系重合体と架橋性官能基を有する重合体任意成分の一つであるポリエーテル系重合体とを混合した組成物の場合には、混合物の相溶性の点から、フタル酸エステル類、アクリル系重合体が特に好ましい。
なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、架橋性(メタ)アクリロイル基を有する重合体100重量部に対して5〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、20〜100重量部がさらに好ましい。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくく、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する傾向がある。
<<その他配合剤>>
また、本発明の熱伝導材料においては、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<重合性のモノマー及び/又はオリゴマー>前記重合性のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、ラジカル重合性の基を有する、モノマー及び/又はオリゴマー、あるいは、アニオン重合性の基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが、硬化性の点から好ましい。
前記ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかでも、本発明に使用するビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
前記アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基等が挙げられる。なかでも、本発明に使用するビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
前記モノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、ビニルエステル系モノマー、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマー、ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系モノマー、多官能モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。また、下式で示される化合物等もあげることができる。なお、下式において、nは0〜20の整数を示す。
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スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。アクリルアミド系モノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。共役ジエン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。ビニルケトン系モノマーとしては、メチルビニルケトン等が挙げられる。ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系モノマーとしては、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトールポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂;ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を、水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}と反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂;前記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂;ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリ(メタ)アクリルアクリレート系樹脂(重合性の反応基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂)等が挙げられる。
上記のうち、(メタ)アクリロイル系基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。また、(メタ)アクリロイル系基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。さらに、表面硬化性の向上や、作業性向上のための粘度低減のために、モノマーを用いる場合には、分子量が1000以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
重合性のモノマー及び/又はオリゴマーの使用量としては、表面硬化性の向上、タフネスの付与、粘度低減による作業性の観点から、(I)成分100重量部(以下、単に部ともいう)に対して、1〜200部が好ましく、5〜100部がより好ましい。
<離型性付与剤>本発明の放熱シート用組成物は離型性を付与する等の目的で、必要に応じて有機カルボン酸化合物を含有してもよい。有機カルボン酸化合物としては、例えば、ステアリン酸化合物等が挙げられ、ステアリン酸化合物以外にも炭素数1〜18の飽和脂肪酸化合物、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸化合物、2〜36の脂肪族ジカルボン酸化合物等が挙げられる。ステアリン酸化合物としては、ステアリン酸鉛、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等のステアリン酸金属塩;ステアリン酸、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸メチル等が挙げられる。これらのうち、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛が好ましい。なお、上記有機カルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
その他成分の使用量は、離型性とシートの物性バランスの観点から、(I)成分100重量部に対して、好ましくは0.025〜5重量部、より好ましくは0.05〜4重量部である。
<接着性付与樹脂>本発明の放熱シート用組成物は、好ましくは(メタ)アクリル系重合体を主成分とするものであるため、接着性付与樹脂を添加する必要は必ずしもないが、必要に応じて、各種のものを使用することができる。具体例をあげるならば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂等である。接着性付与樹脂の使用量は、放熱シートの機械物性、耐熱性、耐油性と接着性のバランスの観点から、(I)成分100部に対して、0.1〜100部が好ましい。
<老化防止剤>本発明の放熱シート用組成物には、物性を調製するために老化防止剤を配合してもよい。アクリル系重合体は、本来、耐熱性、耐候性、耐久性に優れた重合体であるので、老化防止剤は必ずしも必要ではないが、従来公知の酸化防止剤、光安定剤を適宜用いることができる。また、老化防止剤は、重合時の重合制御にも用いることができ、物性制御を行なうことができる。
酸化防止剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。酸化防止剤としては、例えば、アデカスタブPEP−36、アデカスタブAO−23(以上、いずれも(株)アデカ製)等のチオエーテル系;Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上、いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等のリン系酸化防止剤;ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、以下のものを例示することができる。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
商品名で言えば、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業(株)製)、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−616、アデカスタブAO−635、アデカスタブAO−658、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−15、アデカスタブAO−18、アデカスタブ328、アデカスタブAO−37(以上いずれも(株)アデカ製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上、いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、SumilizerGA−80(以上、いずれも住友化学工業(株)製)等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
さらに、アクリレート基とフェノール基を併せもつモノアクリレートフェノール系酸化防止剤、ニトロキシド化合物等が挙げられる。モノアクリレートフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(商品名スミライザーGS)等が例示される。
ニトロキシド化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが例示される。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
酸化防止剤は光安定剤と併用してもよく、併用することによりその効果をさらに発揮し、特に耐熱性が向上することがあるため特に好ましい。予め酸化防止剤と光安定剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上、いずれも日本チバガイギー(株)製)等を使用してもよい。
分子中に(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系重合体を用いて、光ラジカル硬化により放熱シートを作製する場合、重合が速く進行するために、その制御が難しく、重合が行き過ぎた場合には過架橋状態となり、得られた放熱シートが十分な伸びを示さない等、機械強度が不十分な場合が少なくない。重合を制御する方法として、重合に関与する官能基をメタアクリロイル基にすることにより、アクリロイル基の場合よりも重合性を低下させることもできるが、この場合、極端に重合性が低下することが多く実用的ではない。また一般に、重合禁止剤を用いることがあるが、これは重合そのものを抑制させる目的であり、重合の制御には適さない。一方、得られた放熱シートの耐熱性、耐侯性を向上させるために、老化防止剤を添加することがあるが、これは放熱シートの初期物性を向上させる目的では使用されていない。上記モノアクリレートフェノール系酸化防止剤は、酸化防止剤としてだけではなく、重合を制御することができ、放熱シートの伸びを改善することもできる。放熱シートの物性制御を容易に行なえることから、上述と同じものが例示される。当該モノアクリレートフェノール系酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノアクリレートフェノール系酸化防止剤をはじめとする上記各種酸化防止剤の使用量は、特に限定されないが、得られる放熱シートの機械物性によい効果を与えることを目的として、(I)成分100部に対して0.01部以上が好まし
く、0.05部以上がより好ましい。また、5.0部以下が好ましく、3.0部以下がより好ましく、2.0部以下がさらに好ましい。
<溶剤>本発明の放熱シート用組成物には、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性等の観点から、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、通常、沸点が50〜180℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性に優れることから好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ジオキサン等の環状エーテル系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。溶剤の使用量は、放熱シートの仕上がり、作業性、乾燥のバランスの観点から、(I)成分100部に対して、1〜900部が好ましい。
<接着性改良剤>本発明の放熱シート用組成物には、各種支持体(プラスチックフィルム等)に対する接着性を向上させるために各種接着性改良剤を添加してもよい。接着性改良剤としては、例示するならば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。接着性改良剤の使用量は、放熱シートの機械物性(伸びと強度)と接着性のバランスの観点から、(I)成分100部に対して、0.1〜20部が好ましい。
<<硬化前の粘度>>
本発明の熱伝導材は、硬化前の粘度が6000Pa・s以下の、流動性を有する室温にて硬化可能な組成物を、発熱体と放熱体との間に厚み0.5mm以下に塗布した後、発熱体と放熱体との間にて硬化させて得られるものである。硬化前の粘度を6000Pa・s以下と低く保つことにより、発熱体と放熱体との間の隙間にくまなく硬化前の組成物が入り込み、固化後の熱抵抗を低減させることが可能である。硬化前の粘度が6000Pa・sを超えると、発熱体と放熱体との間の隙間を埋める効果が低くなってしまう。硬化前の粘度は好ましくは4000Pa・s以下、より好ましくは2500Pa・s以下、最も好ましくは2000Pa・s以下である。硬化前の粘度は、23℃・50%R.H.雰囲気下でBS型粘度計を用いて2rpmの条件で測定した値を用いる。硬化前の粘度の下限値に特に制限は無いが、あまり粘度が低すぎると塗布してから硬化が完了するまでの間に流失してしまう懸念があるため、一般的には0.1Pa・s以上のものが用いられる。
<<硬化後の厚み>>
本発明の熱伝導材は、硬化後の厚みを0.5mm未満とすることにより、優れた熱抵抗低減効果を示すものである。硬化後の厚みが0.5mm以上あると、熱伝導材自体の熱抵抗が増えてしまうため、熱抵抗低減効果が低くなってしまい好ましくない。硬化後の厚みは、硬化前の組成物を塗らない状態で、発熱体と放熱体とを密着させ、発熱体から放熱体までの全体の寸法を測定した後、発熱体と放熱体との間に硬化前の組成物を薄く塗布し、発熱体と放熱体とを密着させて硬化させ、硬化後に再度発熱体から放熱体までの全体の寸法を測定し、硬化前と硬化後との寸法変化から測定することができる。硬化後の熱伝導材の厚みは好ましくは0.4mm以下、より好ましくは0.3mm以下、最も好ましくは0.2mm以下である。また硬化後の熱伝導材の厚みの下限は特に制限は無いが、一般的には0.01mm以上である。
<<使用法、用途>>
本発明の組成物は、発熱体と放熱体との間に薄く塗布した後、発熱体と放熱体との間にて厚みを0.5mm未満となるよう硬化させて使用される。
本発明の組成物は、発熱材料とヒートスプレッダー、ヒートスプレッダーと冷却部材、との間にある熱を伝えるサーマルインターフェイスとして用いることが出来る。また、ヒートスプレッダー自身としても使用可能である。発熱材料としては、特に限定はされないが、発熱性のあるヒーター、温度センサ、演算素子、トランジスタ、発光素子などの電子部品等が挙げられる。冷却部材としては、特に限定はされないが、放熱材料として放熱フィン等のヒートシンク等、グラファイトシート(グラファイトフィルム)、液体セラミックスやペルチェ素子等が挙げられる。これらの発熱材料からの熱を冷却部材等に放散させる熱伝導性材料として好適に用いられるものであり、放熱材料自身として用いても構わないということである。また、ヒートスプレッダーと冷却部材を兼ねても構わない。
本発明の組成物は、ビニル系重合体をベース樹脂として用いることから、耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐水性に優れるため、過酷な使用に耐え得るものである。また、電気絶縁性のフィラーを主体に使用する場合は電気絶縁性にも優れ、電気絶縁性が求められる部位に使用できる。一方、電気導電性のフィラーを主体に使用する場合には、電気導電性に優れ、電気導電性が求められる部位にも使用できる。
更に、本発明の組成物は、発熱体と放熱体との間に塗布した後、発熱体と放熱体との間にて硬化させてなるものであるため、これら発熱材料や放熱材料との密着性に優れ、多少の凹凸があっても充分に熱を伝えることが可能である。
熱伝導性を活かした用途として限定はされないが、環状シロキサンによる接点障害が起きないため、携帯電話やパソコンなどの小型電子機器に特に好適である。更に、自動車や家電等の電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、電気電子用ポッティング剤等の様々な用途に利用可能である。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
下記合成例、実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
本発明における重合体の合成例を以下に示した。
下記合成例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
(合成例1) 架橋性(メタ)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)共重合体の合成例:臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤として、アクリル酸n−ブチルを重合し、数平均分子量22500、分子量分布1.15の末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル)を得た。この重合体300gをN,N−ジメチルアセトアミド(300mL)に溶解させ、アクリル酸カリウム8.3gを加え、窒素雰囲気下、70℃で3時間加熱攪拌し、アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(以下、重合体〔1〕という)の混合物を得た。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去した後、残渣にトルエンを加えて、不溶分をろ過により除去した。濾液のトルエンを減圧留去して、重合体〔1〕を精製した。精製後の重合体〔1〕の数平均分子量は22800、分子量分布は1.15、平均末端アクリロイル基数は2.0であった。
(合成例2) 架橋性(メタ)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)共重合体の合成例:臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、2−ブロモブチル酸エチルを開始剤として、アクリル酸n−ブチルを重合し、数平均分子量11800、分子量分布1.08の片末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル)を得た。この重合体1050gをN,N−ジメチルアセトアミド(1050g)に溶解させ、アクリル酸カリウム19.7gを加え、窒素雰囲気下、70℃で3時間加熱攪拌し、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(以下、重合体〔2〕という)の混合物を得た。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去した後、残渣にトルエンを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液のトルエンを減圧留去して、重合体〔2〕を精製した。精製後のアクリロイル基片末端重合体〔2〕の数平均分子量は11900、分子量分布は1.09、平均末端アクリロイル基数は0.90であった。
(実施例1)
合成例で得られた重合体〔1〕、熱伝導性充填剤:AS−40(丸み状アルミナ、昭和電工製)、開始剤:パーブチルI(t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、日本油脂製)、可塑剤:UP−1021(アクリル系可塑剤、東亞合成製)、酸化防止剤:アデカスタブAO−60(アデカ製)、を表1の配合表に従い、充分に混合、さらに3本ペイントロールに3回通して混練し、熱硬化性組成物を得た。得られた混合物を、発熱体である15mm角のセラミックヒーター上に0.2mm厚のフィルム状に塗工し、放熱体である同寸法の金属性ヒートシンクで挟みつけた後、180℃雰囲気下にて15分間静置し硬化させ、熱伝導材料を得た。
また得られた混合物を別途、標準ニッケル円板状プレート(純度:99.9%、直径:約12.7mm、厚み:約1.0mm)の全面に厚み約0.2mmとなるよう塗布し、その上にもう一枚標準ニッケル円板状プレートを重ねた後、2kgの錘をプレート上にかけた状態で、180℃雰囲気下にて15分間静置し硬化させ、熱抵抗測定用サンプルを得た。サンプル全体の厚みを測定後、既知の標準ニッケル円板状プレートの厚みを差し引くことにより、熱伝導材料の厚みを算出した。
(実施例2〜8、比較例2〜3)
重合体、熱伝導性充填剤、開始剤、可塑剤、その他添加剤に下記のものを用い、表1に示す割合で混合した以外は実施例1と同様にして、熱伝導材料を得た。
(比較例1)
実施例1で得られたものと同様の組成物を、厚み1.2mmとなるよう保護フィルム上に塗布することにより、厚み約1.2mmの柔軟なシート状に硬化させた。これを発熱体と放熱体との間に挟み、熱伝導剤とした以外は実施例1と同様にして、熱伝導材料を得た。
熱伝導性充填剤:
BF083(水酸化アルミニウム、日本軽金属製)
酸化亜鉛1種(酸化亜鉛 堺化学工業製)
[硬化前粘度]
得られた組成物にて硬化前の粘度を、23℃でBS型粘度計を用いて2rpmにて測定した。
[熱伝導率]
得られた厚み0.2mmの熱伝導材料から12.7mmφの円板状サンプルを切り出し、サンプル表面にレーザー光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレーFC−153)を塗布し乾燥させた後、ASTM E1461に準拠し、NETZSCH製のXeフラッシュアナライザーLFA447Nanoflashを用い、厚み方向の熱拡散率を測定した。また熱容
量が既知である参照標準物質との比較からサンプルの比熱を算出した。さらに別途水上置換法により測定した密度とから、次式により厚み方向の熱伝導率を算出した。
〔熱伝導率〕=〔熱拡散率〕×〔密度〕×〔比熱〕
[熱抵抗]
得られた熱抵抗測定用サンプルを用いて、得られたサンプル厚みにおける単位面積当たりの硬化物の熱抵抗(K/W)を、NETZSCH製のXeフラッシュアナライザーLFA447Nanoflashにより測定した。
Figure 0005657900
表1の実施例1〜8の結果からわかるように、何れの実施例も熱抵抗を低く抑えることができた。

Claims (11)

  1. 架橋性(メタ)アクリロイル基を平均して少なくとも一個有し、主鎖が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体であるビニル系重合体(I)、及び、熱伝導性充填材(II)を含有し、硬化前の粘度が6000Pa・s以下で室温にて流動性を保持し、熱を与えることで硬化可能な組成物を発熱体と放熱体との間に塗布した後、発熱体と放熱体とを密着させて、加熱により発熱体と放熱体との間にて硬化させてなる、硬化後の厚みが0.5mm未満の熱伝導材料。
  2. 更に、ビニル系重合体(I)の熱重合開始剤(III)を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導材料。
  3. 前記熱伝導材料が、可塑剤(IV)を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導材料。
  4. 分子量分布が1.8未満であるビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導材料。
  5. 架橋性(メタ)アクリロイル基が一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1〜4のうち何れかに記載の熱伝導材料。
    −OC(O)C(R)=CH(1)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
  6. ビニル系重合体(I)の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項1〜のうち何れかに記載の熱伝導材料。
  7. ビニル系重合体(I)の主鎖が原子移動ラジカル重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項記載の熱伝導材料。
  8. ビニル系重合体(I)の架橋性(メタ)アクリロイル基が分子鎖末端にあることを特徴とする請求項1〜のうち何れかに記載の熱伝導材料。
  9. 熱伝導性充填材(II)が炭素化合物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属炭化物、金属水酸化物、結晶性シリカ、有機ポリマー焼成物、Znフェライトとの複合フェライト、Fe−Al−Si系三元合金、および金属粉末から選ばれる少なくとも1種であることを特徴する請求項1〜のいずれかに記載の熱伝導材料。
  10. 熱伝導性充填材(II)がグラファイト、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、結晶化シリカ、Fe−Al−Si系三元合金、およびカルボニル鉄から選ばれる1種以上であることを特徴する請求項に記載の熱伝導材料。
  11. 熱伝導性充填材(II)の容積率が、全組成物中25容量%以上であることを特徴する請求項1〜10の何れかに記載の熱伝導材料。
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