JP2005105065A - アクリル系粘着剤 - Google Patents

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岡田賢治
Yoshiki Nakagawa
中川佳樹
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Abstract

【課題】 凝集力などの粘着物性を向上させたアクリル系粘着剤組成物。
【解決手段】 以下の2成分(A),(B)を必須成分とする共重合体を含有することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
(A)一般式1
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す)
で表される基を1分子あたり1個以上、分子末端に有するビニル系重合体が、重量比で1〜30%
(B)重合性アクリルモノマーが重量比で60〜99%
【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリル系粘着剤に関する。さらに詳しくは、分子末端に(メタ)アクリロイル系基を有するビニル重合体およびアクリルモノマーを必須成分とするアクリル系粘着剤に関する。
アクリル系粘着剤は粘着付与樹脂を添加しなくともバランスのとれた粘着特性を有し、天然ゴム系粘着剤と並んで大量に生産されている。
一般に、アクリル系粘着剤は、アクリル系モノマーを主成分とするビニル系モノマーを、有機溶剤で溶液重合して得られる粘着剤溶液、又は水系で乳化重合して得られるエマルジョンを、基材に塗布又は含浸し、これを加熱乾燥して得られる。
アクリル系粘着剤は、分子量、分子量分布の問題から、特に凝集力が不足するため、一般に架橋によりこれを改善している。架橋方法としては、各種の形式が開発されており、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、多価カルボン酸、ポリアミン化合物、フェノール樹脂、イオウ化合物等の架橋剤を加える方法等が提案されている。
しかし、このような架橋剤を加える場合には、構造中にアクリル以外の部分が含まれ、耐熱性や耐侯性が低下することが予想される。
また、片末端に重合性基を有し、分散度の低いために粘度が比較的低いアクリルオリゴマー又はアクリルポリマーを共重合させることにより、秩序だったくし型構造を構築し、粘着力などの粘着物性を向上させる手法は報告されていない。
本発明者らはこれまでに、主鎖をリビングラジカル重合により得られるアクリル重合体とし、その末端に(メタ)アクリロイル基を有する重合体について報告しているが(特許文献1)、アクリル系粘着剤の改質、あるいは架橋剤として用いるなどは述べられていない。
特開2000−72816号,特開2000−95826号
本発明は、耐熱性や耐侯性などのアクリル化合物の物性を低下させることなく、架橋したアクリル系粘着剤あるいはくし型のアクリル系粘着剤を提供するものである。
本発明は、以下の構成からなる新規なアクリル系粘着剤を提供するものである。すなわち本発明は、
1)下記の2成分(A),(B)を必須成分とする共重合体を含有することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物であり、
(A)一般式1
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す)
で表される基を1分子あたり1個以上、分子末端に有するビニル系重合体[重合体(I)]、1〜30重量部
(B)重合性アクリルモノマー 60〜99重量部
2)重合体(I)が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物であり、
3)重合体(I)が、アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物であり、
4)重合体(I)が以下の工程:
末端にハロゲン基を有するビニル系重合体に、
一般式2
+-OC(O)C(Ra)=CH2 (2)
(式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを表す。)
で示される化合物を反応させること;
により製造されるものであるアクリル系粘着剤組成物であり、
5)重合体(I)の主鎖が、ビニル系モノマーのリビングラジカル重合により製造されるものであるアクリル系粘着剤組成物であり、
6)リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合であるアクリル系粘着剤組成物であり、
7)重合体(I)の主鎖が、連鎖移動剤を用いたビニル系モノマーの重合により製造されるものであるアクリル系粘着剤組成物であり、
8)重合体(I)の数平均分子量が、3000以上であることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物であり、
9)重合体(I)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比の値が1.8未満のものであるアクリル系粘着剤組成物であり、
10)有機溶剤を含有することを特徴とする上記に記載の溶剤型アクリル系粘着剤組成物であり、
11)水を含有することを特徴とする上記に記載のエマルジョン型アクリル系粘着剤組成物である。
本発明によれば、耐熱性、耐侯性を大きく損なうことなく、凝集力などの粘着物性に優れたアクリル系粘着剤組成物を提供することができる。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、以下の2成分(A),(B)を必須成分とする共重合体を含有することを特徴とするものである。
(A)一般式1
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す)
で表される基を1分子あたり1個以上、分子末端に有するビニル系重合体[重合体(I)]が、重量比で1〜30%
(B)重合性アクリルモノマーが重量比で60〜99%
重合体(I)はアクリル酸エステル系重合体であり、主鎖がリビングラジカル重合により製造されることが好ましい。リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合であることがさらに好ましい。また、溶剤型あるいはエマルジョン型いずれのアクリル系粘着剤でもよい。特に限定はされないが、上記共重合体中に凝集力を付与する成分が含まれてもよく、また組成物中に粘着付与剤や改質剤を添加することが好ましい。
<(A)成分について>
(A)成分は(メタ)アクリロイル系基を分子末端に1個以上有する。系を架橋させる目的で使用する場合には(メタ)アクリロイル系基は2個以上、くし型構造を構築する場合には1個有するのが好ましい。
(メタ)アクリロイル系基のRaにおける炭素数1〜20の有機基としては、前述と同様のものが例示される。また、Raの具体例としては、特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
上記(A)成分の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、芳香族ビニル系モノマー及び(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーであり、さらに好ましくは、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他の上記モノマーと共重合させても良く、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。
上記(A)成分の分子量分布[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比]は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、特に好ましくは1.5以下であり、特別に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。なお、本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルム又はテトラヒドロフラン等を移動相として、ポリスチレンゲルカラム等を使用し、分子量の値はポリスチレン換算値等で求めている。
上記(A)成分の数平均分子量は、下限は、好ましくは500、より好ましくは3000であり、上限は、好ましくは100000、より好ましくは40000である。分子量が500未満であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくくなる傾向があり、また、100000を超えると、ハンドリングが困難になり易い傾向がある。
<(A)成分の製法について>
上記(A)成分の製法については特に限定されない。ビニル系重合体は一般に、アニオン重合あるいはラジカル重合によって製造されるが、モノマーの汎用性、あるいは制御の容易さからラジカル重合が好ましい。ラジカル重合の中でも、リビングラジカル重合、あるいは、連鎖移動剤を用いたラジカル重合によって製造されるのが好ましく、特に前者が好ましい。
上記(A)成分を合成する方法において用いられるラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端等の制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題点がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
「制御ラジカル重合法」は、さらに、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応等を起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリング等による停止反応が起こりやすいため制御が難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)等が挙げられる。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。
この原子移動ラジカル重合法としては、例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁;マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁;サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁;WO96/30421号公報;WO97/18247号公報;あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁等が挙げられる。
本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、基本的には制御ラジカル重合が利用され、さらに制御の容易さ等からリビングラジカル重合が好ましく、特に原子移動ラジカル重合法が好ましい。
まず、制御ラジカル重合のうちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明する。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。
特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
次に、リビングラジカル重合について説明する。
そのうち、まず、ニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカル捕捉剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
上記ラジカル捕捉剤は、ラジカル発生剤と併用される。ラジカル捕捉剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって、付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカル捕捉剤1モルに対し、ラジカル発生剤0.1〜10モルが適切である。
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下でラジカルを発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
Macromolecules 1995,28,2993で報告されているように、ラジカル捕捉剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下式のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
Figure 2005105065
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、上式で示されているもののうち、水酸基等の官能基を有するものを用いると、末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
上記のニトロキシド化合物等のラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
次に、本発明におけるリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
当該開始剤を具体的に例示するならば、
65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C65−C(X)(CH32
(上記の各式において、C65はフェニル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
3−C(H)(X)−CO24、R3−C(CH3)(X)−CO24、R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4
(上記の各式において、R3、R4は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
3−C64−SO2
(上記の各式において、R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に上記一般式(3)で表される構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(6)に示す構造を有するものが例示される。
67C(X)−R8−R9−C(R5)=CH2 (6)
(式中、R5は水素原子、又はメチル基、R6、R7は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は他端において相互に連結したもの、R8は−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、又はo−,m−,p−フェニレン基、R9は直接結合、又は1個以上のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1〜20の2価の有機基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
上記R6、R7の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。R6とR7は、他端において相互に連結して環状骨格を形成していてもよい。
9の1個以上のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば、1個以上のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1〜20のアルキレン基等が挙げられる。
一般式(6)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、下記のもの等が挙げられる。
XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
Figure 2005105065
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
Figure 2005105065
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては、さらに一般式(7)で示される化合物が挙げられる。
2C=C(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (7)
(式中、R5、R6、R7、R9、Xは上記に同じ、R10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、又は、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
9は、直接結合、又は、1個以上のエーテル結合を含んでいても良い炭素数1〜20の2価の有機基であるが、R9が直接結合である場合は、ハロゲンが結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R9が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R10としては−C(O)O−、−C(O)−、フェニレン基が好ましい。
一般式(7)の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、
CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3
CH2=CHC(X)(CH32、CH2=CHC(H)(X)C25
CH2=CHC(H)(X)CH(CH32
CH2=CHC(H)(X)C65、CH2=CHC(H)(X)CH265
CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH23C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH28C(H)(X)−CO2R、
CH2=CHCH2C(H)(X)−C65
CH2=CH(CH22C(H)(X)−C65
CH2=CH(CH23C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基)
等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64−SO2X、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−O−C64−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式(8)に示す構造を有するものが例示される。
67C(X)−R8−R9−C(H)(R5)CH2−[Si(R112-b(Y)bO]m−Si(R123-a(Y)a (8)
(式中、R5、R6、R7、R8、R9、Xは上記に同じ、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R”)3SiO−(R”は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR”は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11又はR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,又は3を、bは0,1,又は2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。)
ここで、Yの加水分解性基としては、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。
一般式(8)の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2nSi(OCH33
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33
(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33
XCH2C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(CH3)(OCH32
3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH23−Si(OCH33
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH22−O−(CH23−Si(OCH33
o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素)
等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式(9)で示される構造を有するものが例示される。
(R123-a(Y)aSi−[OSi(R112-b(Y)bm−CH2−C(H)(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (9)
(式中、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
一般式(9)の化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C65
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C65
(CH3O)3Si(CH22C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH22C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH29C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH29C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−C65
(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−C65
(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−C65
(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基)
等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基、nは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
2N−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
Figure 2005105065
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基、nは1〜20の整数)
本発明の(A)成分で、末端構造を1分子内に1個有する重合体を得るためには、上記に示した1つの開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。
また、本発明の(A)成分で末端構造を1分子内に2個以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。当該開始剤を具体的に例示するならば、下記のもの等が挙げられる。
Figure 2005105065
Figure 2005105065
この重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては、特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体である。より好ましくは、銅、ニッケル、ルテニウム、及び鉄から選ばれる金属を中心金属とする錯体である。さらに好ましくは、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子を添加することができる。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として好適である。
重合は、無溶剤又は各種の溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、重合は室温〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
<官能基導入法>
上記(A)成分の製造方法は特に限定されないが、例えば上述の方法により反応性官能基を有するビニル系重合体を製造し、反応性官能基を(メタ)アクリロイル系基を有する置換基に変換することにより製造することができる。以下に、本発明の重合体の末端官能基導入について説明する。
ビニル系重合体の末端に(メタ)アクリロイル系基を導入する方法としては、限定はされないが、以下のような方法が挙げられる。
(導入方法1)末端にハロゲン基を有するビニル系重合体と、一般式(2)で示される化合物との反応による方法。
+-OC(O)C(Ra)=CH2 (2)
(式中、Raは水素原子、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属イオン、又は4級アンモニウムイオンを表す。)
末端にハロゲン基を有するビニル系重合体としては、一般式(3)に示す末端構造を有するものが好ましい。
−CR12X (3)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
(導入方法2)末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(4)で示される化合物との反応による方法。
1C(O)C(Ra)=CH2 (4)
(式中、Raは水素原子、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。X1は塩素、臭素、又は水酸基を表す。)
(導入方法3)末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(5)で示される化合物との反応による方法。
HO−R’−OC(O)C(Ra)=CH2 (5)
(式中、Raは水素原子、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
以下にこれらの各方法について詳細に説明する。
<導入方法1>
導入方法1は末端にハロゲン基を有するビニル系重合体と、一般式(2)で示される化合物との反応による方法である。
+-OC(O)C(Ra)=CH2 (2)
(式中、Raは水素原子、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属イオン、又は4級アンモニウムイオンを表す。)
末端にハロゲン基を有するビニル系重合体としては、特に限定されないが、一般式(3)に示す末端構造を有するものが好ましい。
−CR12X (3)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を表す。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
末端にハロゲン基を有するビニル系重合体、特に、一般式(3)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(2)で表される化合物としては、特に限定されない。
aにおける炭素数1〜20の有機基としては、前述と同様のものが例示される。Raの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、4級アンモニウムイオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられる。M+として好ましくは、アルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。
一般式(2)のオキシアニオンの使用量は、一般式(3)のハロゲン末端に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1.0〜1.2当量である。
この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が用いられる。
反応温度は特に限定されないが、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃である。
<導入方法2>
導入方法2は、末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(4)で示される化合物との反応による方法である。
1C(O)C(Ra)=CH2 (4)
(式中、Raは水素原子、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。X1は塩素、臭素、又は水酸基を表す。)
一般式(4)で表される化合物としては、特に限定されない。
aにおける炭素数1〜20の有機基としては、前述と同様のものが例示される。Raの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、水酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する当該方法は、特に限定されないが、以下のような方法が例示される。
(a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、下記一般式(10)等で表される一分子中に重合性のアルケニル基及び水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
2C=C(R13)−R14−R15−OH (10)
(式中、R13は水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。R14は−C(O)O−(エステル基)、又は、o−,m−もしくはp−フェニレン基を表す。R15は直接結合、又は1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
ここで、R13は水素原子、メチル基が好ましい。また、R14がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R14がフェニレン基のものはスチレン系化合物である。
なお、一分子中に重合性のアルケニル基及び水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にゴム的な性質を期待する場合には、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基及び水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(11)に示される化合物等が挙げられる。
2C=C(R13)−R16−OH (11)
(式中、R13は上記と同じ。R16は1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
上記一般式(11)で示される化合物としては、特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
(c)特開平4−132706号公報等に開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合により得られる一般式(3)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(3)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(12)等で表される水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
+-(R17)(R18)−R16−OH (12)
(式中、R16及びM+は上記と同じ。R17、R18はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引基、又は、一方が上記電子吸引基で、他方が水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表す。)
17及びR18の電子吸引基としては、−CO2R(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2)(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等が挙げられる。置換基Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基である。R17、R18としては、−CO2R、−C(O)R、−CNが特に好ましい。
(e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(3)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式(3)で表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(13)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式(14)等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
HO−R16−O-+ (13)
(式中、R16及びM+は上記と同じ。)
HO−R16−C(O)O-+ (14)
(式中、R16及びM+は上記と同じ。)
本発明では、(a)〜(b)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がより容易である点から(b)の方法がさらに好ましい。
また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
一般式(4)で表される化合物の使用量は、ビニル系重合体の末端水酸基に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。
この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が用いられる。
反応温度は特に限定されないが、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜100℃である。
<導入方法3>
導入方法3は、末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(5)で示される化合物との反応による方法である。
HO−R’−OC(O)C(Ra)=CH2 (5)
(式中、Raは水素原子、又は、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
aにおける炭素数1〜20の有機基としては、前述と同様のものが例示される。Raの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
R’の炭素数2〜20の2価の有機基としては、例えば、炭素数2〜20のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等)、炭素数6〜20のアルキレン基、炭素数7〜20のアルキレン基等が挙げられる。
一般式(5)で表される化合物としては、特に限定されないが、特に好ましい化合物として、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上記の通りである。
ジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。これらは、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することもできる。また、ブロックイソシアネートを使用しても構わない。
より優れた耐候性を得る点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
ジイソシアネート化合物の使用量は、ビニル系重合体の末端水酸基に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。
また、反応溶媒としては特に限定されないが、非プロトン性溶媒等が好ましい。反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0〜250℃、より好ましくは20〜200℃である。
一般式(5)で表される化合物の使用量は、残存イソシアネート基に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量である。
また、反応溶媒としては特に限定されないが、非プロトン性溶媒等が好ましい。反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0〜250℃、より好ましくは20〜200℃である。
<(B)成分について>
(B)成分の重合性アクリルモノマーの種類は、(A),(B)成分を必須成分とする共重合体の主成分である。ここで主成分とは共重合体中の重量比で60%以上のことである。
(B)成分の重合性アクリルモノマーの種類は特に限定されるものではない。例示するならば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。また、下式の化合物等も挙げることができる。なお、下式において、nは0〜20の整数を示す。
Figure 2005105065
Figure 2005105065
Figure 2005105065
Figure 2005105065
Figure 2005105065
これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。
上記のなかでも生成物の物性等から、好ましくは、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマーであり、より好ましくは一般的にアクリル系粘着剤として用いられる、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、2−メトキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタアクリル酸メチル、デシルアクリレート、グリシジルメタアクリレートである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他の上記モノマーと共に用いても良く、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。
また、(B)成分の重合性アクリルモノマーの配合量は特に限定されるものではないが、架橋密度や粘度の観点から、重量比で60%以上であることが好ましい。
<粘着剤組成物について>
本発明の粘着剤組成物は、下記の2成分(A),(B)を必須成分とする共重合体を含有することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物である。その共重合体の(A),(B)成分の比率は特に制限されるものではないが、その目的に応じて、適正な比率にすることができる。硬化物の粘着物性、例えばボールタック、粘着力、保持力のバランスや配合物の粘度等の観点から、(A)成分は重量比で1〜30%、(B)成分は重量比で60〜99%であることが好ましい。
また、目的に応じて、(A),(B)成分以外の重合性モノマー及び/又はオリゴマーや各種添加剤を共重合体成分として併用しても構わない。
重合性モノマー及び/又はオリゴマーとしては、ラジカル重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマー、あるいはアニオン重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。
ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかでも、本発明の重合体と類似する(メタ)アクリル基を持つものが好ましい。
アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基等が挙げられる。なかでも、本発明の重合体と類似するアクリル官能性基を持つものが好ましい。特に凝集力を付与する成分として、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。
上記のモノマーの具体例としては、アクリル酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、N−ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマー、多官能モノマー等が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等が;アクリルアミド系モノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が;共役ジエン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレン等が;ビニルケトン系モノマーとしては、メチルビニルケトン等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトールポリヘキサノリドヘキサアクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂;COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂;ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を、水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}と反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂;上記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂;ポリエステルアクリレート系樹脂等が挙げられる。
これらのモノマー及びオリゴマーは、目的に応じて選択される。
上記(A),(B)成分以外の重合性モノマー及び/又はオリゴマーの配合量は、共重合体成分中全体に対して、好ましくは1〜35重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。
本発明の粘着剤組成物は、好ましくは(メタ)アクリル系重合体を主成分とするものであるため、粘着付与樹脂を添加する必要は必ずしもないが、必要に応じて、各種のものを使用することができる。粘着付与樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂等が挙げられる。
上記粘着付与樹脂の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0.1〜50重量%であり、より好ましくは1〜30重量%である。
本発明の粘着剤組成物には、物性を調整するために各種の添加剤、例えば、老化防止剤、可塑剤、物性調整剤、溶剤等を配合してもよい。
(メタ)アクリル系重合体は本来、耐熱性、耐候性、耐久性に優れた重合体であるので、老化防止剤は必ずしも必要ではないが、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤を適宜用いることができる。
酸化防止剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。例えば、MARK PEP−36、MARK AO−23等のチオエーテル系酸化防止剤(以上いずれもアデカアーガス化学製)、Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上いずれも日本チバガイギー製)等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には以下のものが例示できる。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(α−メチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
商品名で言えば、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業製)、MARK AO−30、MARK AO−40、MARK AO−50、MARK AO−60、MARK AO−616、MARK AO−635、MARK AO−658、MARK AO−80、MARK AO−15、MARK AO−18、MARK 328、MARK AO−37(以上いずれもアデカアーガス化学製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上いずれも日本チバガイギー製)、SumilizerGA−80(住友化学製)等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
さらに、アクリレート基とフェノール基を併せ持つモノアクリレートフェノール系酸化防止剤、ニトロキシド化合物等が挙げられる。
モノアクリレートフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(商品名スミライザーGS)等が例示される。
ニトロキシド化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが例示される。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
酸化防止剤は光安定剤(例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名サノール)等)と併用してもよく、併用することによりその効果をさらに発揮し、特に耐熱性が向上することがあるため特に好ましい。なお、予め酸化防止剤と光安定剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー製)等を使用しても良い。
上記酸化防止剤の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
可塑剤としては、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;塩化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必要とするものではない。なお、これら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
上記可塑剤の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0.1〜20重量%であり、より好ましくは1〜10重量%である。
重合体の製造時に用いてもよい溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。
また、本発明の粘着剤組成物には、各種支持体(プラスチックフィルム、紙等)に対する接着性を向上させるために、各種接着性改良剤を添加してもよい。接着性改良剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。
上記接着性改良剤の配合量は、組成物全体に対して、好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。
<粘着剤について>
本発明の粘着剤は、上記粘着剤組成物を硬化(固化)させることにより得られるものである。また、本発明の粘着剤組成物は、テープ、シート、ラベル、箔等に広く適用することができる。例えば、合成樹脂製又は変成天然物製のフィルム、紙、あらゆる種類の布、金属箔、金属化プラスチック箔、アスベスト又はガラス繊維布等の基質材料に、溶剤型、エマルション型又はホットメルト型等の形で前記粘着剤組成物を塗布し、活性エネルギー線や熱により硬化させることにより、粘着剤を得ることができる。
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。
下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
下記実施例中、「平均末端(メタ)アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりに導入された(メタ)アクリロイル基数」であり、1H NMR分析およびGPCにより求められた数平均分子量により算出した。
(製造例1)(アクリロイル両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)の合成)
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤としてアクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレートをモル数で25/46/29の比率で重合し、数平均分子量16500、分子量分布1.13の末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)を得た。
この重合体400gをN,N−ジメチルアセトアミド(400mL)に溶解させ、アクリル酸カリウム10.7gを加え、窒素雰囲気下、70℃で6時間加熱攪拌し、アクリロイル基末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)(以下、重合体〔1〕という)の混合物を得た。この混合液のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去した後、残さにトルエンを加えて、不溶分をろ過により除去した。濾液のトルエンを減圧留去して、重合体〔1〕を精製した。精製後の重合体〔1〕の数平均分子量は16900、分子量分布は1.14、平均末端アクリロイル基数は1.8であった。
(製造例2)(アクリロリル基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)の製造および精製)
攪拌機付き反応槽にCuBr(4.2部)、アセトニトリル(44.0部)を加え、窒素雰囲気下で70℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(100部)、2−ブロモブチル酸エチル(9.5部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)(0.17部)を添加し、重合を開始させた。80℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(400部)を連続的に滴下した。アクリル酸エステルの滴下途中にトリアミン(0.68部)を分割添加した。反応率が96%に達した時点で残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、数平均分子量11800、分子量分布1.08の臭素基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(以下、重合体〔2’〕という)を得た。
重合体[2’](100部)に対してろ過助剤2部(ラヂオライト900、昭和化学工業(株)製)、メチルシクロヘキサン(100部)を加えて窒素雰囲気下で80℃にて加熱攪拌して、固形分を濾別することにより、重合体[2’]のメチルシクロヘキサン溶液を得た。
100部の重合体[2’]に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を重合体[2’]のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で80℃にて加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することで片末端重合体(重合体[2’’])を得た。 重合体[2’’]の数平均分子量は11800、分子量分布は1.08であった。
得られた重合体[2’’](100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部)に溶解し、アクリル酸カリウム(1.87部、浅田化学工業(株)製)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(0.01部)を加え、70℃で8時間加熱攪拌した。反応終了時の重合体は数平均分子量11900、分子量分布は1.08であった。反応混合物を100℃にて4時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去して、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[2’’’]という)の粗生成物を得た。重合体[2’’’]の数平均分子量は12200、分子量分布は1.15であった。この重合体(100部)に対して100部のメチルシクロヘキサンで溶解させ不溶分を除去し、重合体溶液を80℃にて4時間減圧下溶媒を留去してアクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[2]という)を得た。精製後の重合体[2]の数平均分子量は12200、分子量分布は1.18、平均末端アクリロイル基数は0.87であった。
(実施例1)
アクリル酸ブチル60重量部、アクリル酸2−エチルへキシル26重量部、アクリル酸10重量部、製造例1で得られた重合体[1]4重量部を溶液重合させて、アクリル系粘着剤組成物を得た。このものの溶剤を揮発させることにより粘着剤を得た。
(実施例2)
アクリル酸ブチル60重量部、アクリル酸2−エチルへキシル26重量部、アクリル酸10重量部、製造例2で得られた重合体[2]4重量部を溶液重合させて、アクリル系粘着剤組成物を得た。このものの溶剤を揮発させることにより粘着剤を得た。
(比較例1)
重合体[1]を添加しない以外は実施例1と同様にして粘着剤を得た。
実施例1〜2と比較例1で作製した粘着剤の凝集力に関する物性を表1に示した。
Figure 2005105065

Claims (23)

  1. 以下の2成分(A),(B)を必須成分とする共重合体を含有することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
    (A)一般式1
    −OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
    (式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す)
    で表される基を1分子あたり1個以上、分子末端に有するビニル系重合体[重合体(I)]が、重量比で1〜30%
    (B)重合性アクリルモノマーが重量比で60〜99%
  2. 重合体(I)が、一般式1で表される基を分子末端に少なくとも1個有するものである請求項1記載のアクリル系粘着剤組成物。
  3. aが水素、または、炭素数1〜20の炭化水素基であることを特徴とする請求項1または2に記載のアクリル系粘着剤組成物。
  4. aが水素、または、メチル基であることを特徴とする請求項3記載のアクリル系粘着剤組成物。
  5. 重合体(I)が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  6. 重合体(I)が、アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする請求項5に記載のアクリル系粘着剤組成物。
  7. 重合体(I)が、スチレン系重合体である請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  8. 重合体(I)が以下の工程:
    末端にハロゲン基を有するビニル系重合体に、
    一般式2
    +-OC(O)C(Ra)=CH2 (2)
    (式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを表す。)
    で示される化合物を反応させること;
    により製造されるものである請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  9. 末端にハロゲン基を有するビニル系重合体が一般式3
    −CR12X (3)
    (式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
    で示されるものである請求項8記載のアクリル系粘着剤組成物。
  10. 重合体(I)が以下の工程:
    末端に水酸基を有するビニル系重合体に、
    一般式4
    XC(O)C(Ra)=CH2 (4)
    (式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
    で示される化合物を反応させること;
    により製造されるものである請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  11. 重合体(I)が以下の工程:
    (1)末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、
    (2)残存イソシアネート基と一般式5
    HO−R’− OC(O)C(Ra)=CH2 (5)
    (式中、Raは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
    で示される化合物と反応させること;
    により製造されるものである請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  12. 重合体(I)の主鎖が、ビニル系モノマーのリビングラジカル重合により製造されるものである請求項1〜11のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  13. リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合であることを特徴とする請求項12に記載のアクリル系粘着剤組成物。
  14. 原子移動ラジカル重合の触媒である遷移金属錯体が銅、ニッケル、ルテニウム、または鉄の錯体より選ばれることを特徴とする請求項13に記載のアクリル系粘着剤組成物。
  15. 遷移金属錯体が銅の錯体であることを特徴とする請求項14に記載のアクリル系粘着剤組成物。
  16. 重合体(I)の主鎖が、連鎖移動剤を用いたビニル系モノマーの重合により製造されるものである請求項1〜11のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  17. 重合体(I)の数平均分子量が、3000以上であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  18. 重合体(I)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比の値が1.8未満のものである請求項1〜17のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物。
  19. 有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の溶剤型アクリル系粘着剤組成物。
  20. 水を含有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のエマルジョン型アクリル系粘着剤組成物。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載のアクリル系粘着剤組成物を固化させることにより得られるアクリル系粘着剤。
  22. 請求項19に記載の溶剤型アクリル系粘着剤組成物から溶媒を揮発させることにより得られるアクリル系粘着剤。
  23. 請求項19に記載のエマルジョン型アクリル系粘着剤組成物から水を揮発させることにより得られるアクリル系粘着剤。

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