JP5656380B2 - 導電性インク組成物及び該組成物を用いた太陽電池セル及び太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の導電性インク組成物を用いて形成された集電極は、電極幅がより細線化され、低抵抗化されるため、この電極を備えた太陽電池セル及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールは、高い光電変換効率が得られる。
また本発明の導電性インク組成物を用いて形成されたリード線は、従来のものよりも低抵抗であるため、このリード線を備えた太陽電池モジュールは、高い光電変換効率が得られる。
本発明の導電性インク組成物は、導電性粒子と、加熱硬化性樹脂組成物、硬化剤及び溶剤を含む有機系ビヒクルとを含有する。導電性粒子は平均粒径1nm以上100nm未満のナノ銀粒子と平均フレーク径が0.1μm以上1.0μm以下であるフレーク状導電性粒子とを含有する。
有機系ビヒクルを構成する加熱硬化性樹脂組成物には、従来よりも更に細線化され、接着面積が狭くなった集電極において高い密着性を発現させる必要があるという理由から、エポキシ樹脂組成物を使用する。好適なエポキシ樹脂組成物には、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ビフェニル混合型、クレゾールノボラック型、ナフタレン型、ジシクロペンタジエン型等のエポキシ樹脂組成物が挙げられる。このうち、ビフェニル型又はビフェニル混合型のエポキシ樹脂が特に好ましい。ビフェニル型エポキシ樹脂には、例えば、ビフェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(日本化薬社製:NC−3000、NC−3000L、ジャパンエポキシレジン社製:YX4000、YL6640等)が挙げられる。またビフェニル混合型には、o−クレゾールノボラックのポリグリシジルエーテルとビフェノールグリシジルエーテルとを混合したエポキシ樹脂(日本化薬社製:CER−1020等)が挙げられる。また上記エポキシ樹脂組成物の中でも、特に、室温では、固体で存在し、かつ150℃における溶融粘度が0.1Pa・s以下であるという性質を有するものが特に好ましい。その理由は、硬化剤との反応を瞬時に進めることができ、また、高い密着性を発現させ、比抵抗を低下させるのに好適だからである。一方、150℃における溶融粘度が0.1Pa・sを越えると、硬化反応が瞬時に進まず、密着不良等の不具合が生じやすいため好ましくない。ここで示した溶融粘度の値は、例えば、コーン及びプレート型のICI粘度計(Research Equipment London社製)を用いて測定された値である。
先ず、好ましくは温度20〜30℃、更に好ましくは25℃の条件で、上記溶剤100質量部に対し、上記加熱硬化性樹脂組成物を好ましくは10〜50質量部、更に好ましくは20〜40質量部を混合し、次いで上記硬化剤を適量混合して有機系ビヒクルを調製する。また導電性粒子として、上記ナノ銀粒子とフレーク状導電性粒子とを、又は上記ナノ銀粒子とフレーク状導電性粒子と、更に上記球状導電性粒子とを混合し、十分に振り混ぜたものを用意する。次いで、上記調製された有機系ビヒクルと、上記導電性粒子とを、例えば3本ロールミル等の混練機を用いて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物が調製される。このとき、調製される導電性インク組成物に適性な粘度、及び必要な流動性を持たせるために、有機系ビヒクルを5〜30質量%、導電性粒子を70〜95質量%の割合で混合するのが好ましい。有機系ビヒクルが下限値の5質量%未満、即ち導電性粒子が95質量%を越えると、インク組成物としての適性な流動性が得られ難く、一方、有機系ビヒクルが上限値の30質量%を越える、即ち導電性粒子が70質量%未満になると、導電性粒子が不足し、良好な導電性が得られ難くなるからである。このうち、有機系ビヒクルを8〜20質量%、導電性粒子を80〜92質量%の割合で混合するのが特に好ましい。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂25質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子95質量%、平均粒径20nmのナノ銀粒子5質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を90質量%、有機系ビヒクルの含有割合を10質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂35質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子80質量%、平均粒径50nmのナノ銀粒子5質量%、平均粒径0.2μmの球状導電性粒子15質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を88質量%、有機系ビヒクルの含有割合を12質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂30質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子90質量%、平均粒径20nmのナノ銀粒子5質量%、平均粒径0.3μmの球状導電性粒子5質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を90質量%、有機系ビヒクルの含有割合を10質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂35質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子70質量%、平均粒径80nmのナノ銀粒子10質量%、平均粒径0.1μmの球状導電性粒子20質量%からなる銀粒子を使用したこと以外は、及び導電性粒子の含有割合を88質量%、有機系ビヒクルの含有割合を12質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂20質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径1.0μmのフレーク状導電性粒子80質量%、平均粒径20nmのナノ銀粒子5質量%、平均粒径0.5μmの球状導電性粒子15質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を85質量%、有機系ビヒクルの含有割合を15質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂30質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.2μmのフレーク状導電性粒子70質量%、平均粒径40nmのナノ銀粒子10質量%、平均粒径0.1μmの球状導電性粒子20質量%からなる銀粒子を使用したこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂40質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径2.0μmのフレーク状導電性粒子80質量%、平均粒径70nmのナノ銀粒子10質量%、平均粒径0.5μmの球状導電性粒子10質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を90質量%、有機系ビヒクルの含有割合を10質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂30質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径10.0μmのフレーク状導電性粒子93質量%、平均粒径50nmのナノ銀粒子7質量%からなる銀粒子を使用したこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂25質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.05μmのフレーク状導電性粒子95質量%、平均粒径20nmのナノ銀粒子5質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を88質量%、有機系ビヒクルの含有割合を12質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂30質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子30質量%、平均粒径50nmのナノ銀粒子70質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を75質量%、有機系ビヒクルの含有割合を25質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂30質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子100質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を88質量%、有機系ビヒクルの含有割合を12質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂30質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子70質量%、平均粒径50nmのナノ銀粒子10質量%、平均粒径5.0μmの球状導電性粒子20質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を88質量%、有機系ビヒクルの含有割合を12質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
ブチルカルビトールアセテート100質量部に対し、エポキシ樹脂35質量部として有機系ビヒクルを調製したこと、また以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径2.0μmのフレーク状導電性粒子80質量%、平均粒径0.5μmの球状導電性粒子20質量%からなる銀粒子を使用したこと、及び導電性粒子の含有割合を90質量%、有機系ビヒクルの含有割合を10質量%としたこと以外は、参考例1と同様に、導電性インク組成物を調製し、電極を形成した。
実施例1〜6、参考例1,2及び比較例1〜6で得られた導電性インク組成物について粘度、スクリーン印刷性、スクリーン目詰まり及び最小線幅を評価した。また実施例1〜6、参考例1,2及び比較例1〜6の導電性インク組成物を用いて形成された電極について比抵抗を評価した。その結果を以下の表2に示す。
(1)粘度:レオメータ(ティー・エー・インスツルメント社製 AR1000)を用いて、400mmコーンを使用し、ずり速度10S-1とした時の値を測定した。
(2)スクリーン印刷性:スクリーン印刷法により100×100mm角のガラス基板上に印刷されたパターンについて、パターン形状が確認できた場合を「良好」とし、印刷時のかすれ等でパターン形状が僅かに乱れた場合を「可」とし、また印刷時にレオロジー特性の関係からパターンが全く印刷できなかったり、著しいかすれによりライン欠損が全体にわたってみられた場合を「不可」とした。
(3)スクリーン目詰まり:スクリーン版が目詰まりして連続印刷が困難な場合、又はライン形状に目詰まりによる未塗布箇所がみられた場合を「有」とし、未塗布箇所がみられなかった場合を「無」とした。
(4)最小線幅:40、50、70、100、150及び200μmの線幅で開口部が設計されたスクリーン版を用いて100×100mm角のガラス基板上にパターンを印刷し、ラインが重ならずに乱れることなく印刷できた最小の線幅を最小線幅とした。
(5)比抵抗:100×100mm角のガラス基板上に形成された10×10mm角の電極について、表面固有抵抗表面抵抗計(三菱化学社製:ローレスタ)にて四端子四探針方式を用いて測定した表面抵抗値と、レーザー顕微鏡(キーエンス社製:VK−9600)を用いて測定した膜厚の値から、電極の比抵抗値(Ω・cm)を算出した。
Claims (6)
- 導電性粒子と、加熱硬化性樹脂組成物、硬化剤及び溶剤とを含む有機系ビヒクルからなり、太陽電池セルの集電極又は太陽電池セル同士を電気的に接合するリード線の形成に用いられる導電性インク組成物において、
前記導電性粒子が平均粒径1nm以上100nm未満のナノ銀粒子と平均フレーク径が0.1μm以上1.0μm以下であるフレーク状導電性粒子とを含有し、
前記導電性粒子が前記フレーク状導電性粒子を前記ナノ銀粒子より質量割合でより多く含有し、
前記導電性粒子が平均粒径0.1〜0.5μmの球状導電性粒子を更に含み、
前記導電性粒子がフレーク状導電性粒子を50〜95質量%含有し、
前記導電性粒子がナノ銀粒子を1〜10質量%含有し、
前記ナノ銀粒子が球状と、球状以外の異方性の粒子とを含み、
前記加熱硬化性樹脂組成物と導電性粒子の含有割合が質量比で2〜15:75〜95であり、
前記フレーク状導電性粒子がAg粒子であり、
前記球状導電性粒子がAg粒子であり、
前記加熱硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂組成物であり、前記溶剤100質量部に対して前記エポキシ樹脂組成物を20〜40質量部含有し、
前記硬化剤がイミダゾール類、第3級アミン類、又はフッ化ホウ素を含むルイス酸、或いはその化合物である
ことを特徴とする導電性インク組成物。 - 基板に塗布後、温度100〜280℃の範囲内で加熱硬化する請求項1記載の導電性インク組成物。
- 請求項1又は2記載の導電性インク組成物を用いて集電極を形成する太陽電池セルの製造方法。
- 前記集電極を透明導電層上に形成する請求項3記載の太陽電池セルの製造方法。
- 請求項3又は4記載の方法で得られる太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールの製造方法。
- 請求項1又は2記載の導電性インク組成物を用いて形成されたリード線により太陽電池セル同士を電気的に接合させる太陽電池モジュールの製造方法。
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