JP5655314B2 - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
詳しくは、本発明の太陽電池モジュールに用いられる太陽電池裏面保護シートは以下のような特徴を有する。即ち、太陽電池裏面保護シートを構成する層のうち、最も太陽電池素子の裏面を封止する封止剤層に近い接着剤層は、ペリレンブラックを含有するものであり、人の目には太陽電池素子とほぼ同色の黒色と映るが、近赤外線を吸収せずに透過する。そして、太陽電池裏面保護シートを構成する他の層が、透過した近赤外線を反射する。
太陽電池裏面保護シートによって反射された近赤外線を太陽電池素子が発電に利用することができるので、エネルギー変換効率を向上できる。
さらに太陽電池裏面保護シート表面が近赤外線を反射するので、太陽電池裏面保護シート自体の蓄熱が抑制され、太陽電池素子が高温になることが抑制でき、その結果エネルギー変換効率の低下を抑制できる。
太陽電池素子には様々な形態があり、その代表的なものとして、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子等が知られている。この中で薄膜結晶太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子は比較的低コストであり、また大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が行われている。またこれらの太陽電池素子の中でも、導体金属基板上にシリコンを積層し、更にその上に透明導電層を形成した非晶質シリコン太陽電池素子に代表される薄膜太陽電池素子は軽量であり、また耐衝撃性やフレキシブル性に富んでいるので、太陽電池における将来の形態として有望視されている。
多層構成の裏面保護シートは、その多層構造により、さまざま性能を付与することができる。例えば、ポリエステルフィルムを用いることで絶縁性を、フッ素系フィルムを用いることで耐候性を、アルミニウム箔を用いることで水蒸気バリア性を付与することができる。
どのような裏面保護シートを用いるかは、太陽電池モジュールが用いられる製品・用途によって、適宜選択され得る。
一般的に黒色顔料としては、着色力が高く、安価であることからカーボンブラックが使われているが、カーボンブラックは可視光領域だけでなく近赤外領域まで吸収を持つため、裏面保護シートが高温になりやすく、その結果太陽電池モジュール全体が高温になりやすいという問題がある。太陽電池素子は一般的に高温になるほど出力が低下しやすいため、太陽電池モジュールが高温になることが望ましくない。
しかし、カーボンブラックを用いて裏面保護シートの受光面側を黒色にした場合、可視領域から近赤外領域までのすべての光が吸収されてしまうため、透過した光を再利用することができない。
前記太陽電池裏面保護シート(V)が、
700〜1200nmの赤外線の反射率が60〜100%のフィルム(2)の表面に、コーティング法により設けられた黒色接着剤層(1)であって、ペリレンブラック顔料を含有し、厚みが0.1〜10μmの黒色接着剤層(1)を担持してなり、
前記黒色接着剤層(1)が、前記非受光面側封止剤層(IV)に接している、
ことを特徴とする太陽電池モジュールに関する。
非受光面側封止剤層(IV)はエチレンービニルアセテート共重合体充填剤層であることが好ましい。
白色フィルム(2−1)または透明フィルム(2−2)−aは、ポリエステルフィルムであることが好ましく、更に白色フィルム(2−1)は発泡ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子とほぼ同色となって外観を損なうことがない。本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子が吸収できずに透過した近赤外線を反射させ、反射した近赤外線を発電に有効利用することで、太陽電池のエネルギー変換効率を増大する効果を奏する。さらには、太陽電池素子が吸収できずに透過した近赤外線を反射させ、太陽電池裏面保護シートが高温になるのを防ぐことによって、太陽電池素子のエネルギー変換効率の低下を抑制することができる。
太陽電池裏面保護シート(V)は、700〜1200nmの赤外線の反射率が60〜100%のフィルム(2)の表面に、ペリレンブラック顔料を含有する黒色接着剤層(1)を担持してなる太陽電池裏面保護シート(V)である。そして、黒色接着剤層(1)は、反射機能を有するフィルム(2)と非受光面側封止剤層(IV)との間に配置される。
図2は、太陽電池裏面封止シート(V)を構成する黒色接着剤層(1)以外のフィルム(2)が白色顔料を含有する白色フィルム(2−1)を具備する、第1の態様を示す。
第1の態様として、さらに(a)〜(d)の態様を例示できる。
図3に示す第2の態様として、さらに(a)〜(k)の態様を例示できる。
白色層(2−2)−bとしては、白色の層間接着剤層が例示できる。後述する図3の(b)、(c)、(d)、(e)、(j)の場合も同様である。
本発明における黒色接着剤層(1)は、フィルム(2)と非受光面側封止剤層(IV)との接着性を向上するために設けられた層であり、650nm以下の波長の光を吸収するが、650〜900nm以上の光は透過し、吸収波長をもたない黒色顔料であるペリレンブラック顔料を含有することを特徴とする。このようなペリレンブラック顔料を含有することによって、人の目には黒色に映るにも関わらず、入射した近赤外線を吸収することなく通過することができる。そして、後述する太陽電池裏面保護シートを構成する他の層、即ちフィルム(2)の反射機能利用することにより、通過近赤外線を反射させ、発電に有効活用すると共に、太陽電池裏面保護シート自体及び太陽電池モジュールが高温になることを抑制することができる。
黒色接着剤をフィルムに塗工して、硬化性接着剤層を形成し、非受光面側封止剤(IV)と張り合わせる際に、前記硬化し接着剤層を硬化させ、黒色接着剤層(1)とすることができる。
あるいは、非受光面側封止剤(IV)と加熱下に付着し得る樹脂とペリレンブラック顔料を含有するフィルムを、接着剤を介して又は直にフィルム上に積層し、前記樹脂フィルムを接着剤層(1)として用いることもできる。後者の場合、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等にペリレンブラックを混合し、T−ダイ押出機等を用いてフィルム化することにより得ることができる。
ペリレンブラック顔料としては、BASF(株)製のPaliogen BlackやLumogen Blackなどが挙げられる。
ポリエステル系樹脂(B1)を構成する水酸基成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分の他、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多官能アルコールが例示できる。
常法に従いこれらのカルボン酸成分と水酸基成分とを重合させて所定のポリエステル樹脂としたものが本発明で使用できる。
水酸基成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加したポリエーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエン系ポリオールなどのポリマーポリオールなどが使用できる。
イソシアネート化合物としては、後述するポリイソシアネート化合物(C)と同様のものを例示できる。トリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネートや、これらジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、これらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート体、これらジイソシアネートのビューレット結合体、ポリメリックジイソシアネートなどが例示できる。
水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤としては、イソシアネート化合物が好ましく、硬化後に太陽電池モジュールを構成する接着層(1)の耐久性の点からイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物(C)が好ましい。
フィルム(2)は700〜1200nmの赤外線の反射率が60〜100%であることを特徴とし、80%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。ペリレンブラック顔料が吸収せず透過した近赤外領域の光が、フィルム(2)により反射されることにより、遮熱効果と光電変換効率向上の効果が生じる。
白色フィルム(2−1)は、フィルム(2)が上記のような近赤外線反射機能を有すれば、多層構成のフィルム(2)のどの位置に配されても良いが、反射効率を考慮すると黒色接着剤層(1)と直に接する位置に配されることが好ましい。
着色力、耐候性、コストの観点から酸化チタンが望ましい。
気泡を含有しない白色顔料含有白色フィルム(2−1)と、気泡を含有する発泡ポリエウステルフィルムを積層して用いることもできる。
金属箔としては、アルミニウム箔、鉄箔、亜鉛合板などを使用することができ、これらの中でも、耐腐食性の観点から、アルミニウム箔が好ましく、厚みは10μmから100μmであることが好ましく、更に好ましくは20μmから50μmであることが好ましい。
両者の積層には、従来公知の種々の接着剤を用いることができる。
蒸着される金属酸化物もしくは非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属のフッ化物なども使用することができ、これらは単独もしくは組み合わせて使用することができる。
これらの金属酸化物もしくは非金属無機酸化物は、従来公知の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのPVD方式や、プラズマCVD、マイクロウェーブCVDなどのCVD方式を用いて蒸着することができる。
水蒸気バリア性付与層や耐候性付与層は、黒色接着剤層(1)の形成に先んじて白色フィルム(2−1)に設けられていることが好ましい。
白色層(2−2)−bとしては、透明フィルムと蒸着層または耐候性付与層を接着するのに用いられる層間接着剤に、白色顔料や体質顔料を加え白色にした白色接着剤層や、多くの場合、太陽電池裏面保護シート(V)の最非受光面側に位置する耐候性付与層を白色にした白色耐候性付与層などが挙げられる。
白色の耐候性付与層は、耐候性に優れる白色のコーティング剤から形成することもできるし、接着剤を用いて耐候性に優れる白色のフィルムを貼り合せ、耐候性付与層とすることもできる。
白色層(2−2)−bを用いることで、受光面側から黒色接着剤層(1)を透過した近赤外線を白色層(2−2)−bが反射し、受光面側に入射させることができる。
白色フィルム(2−1)上にもしくは透明フィルム(2−2)−a上に、あるいは白色フィルム(2−1)上にもしくは透明フィルム(2−2)−a上に水蒸気バリア性付与層(4)や耐候性付与層(5)を積層してなる多層フィルム上に、黒色接着剤を塗工し、有機溶剤等の揮発性生成を揮発・乾燥させ、黒色接着剤層(1)を形成し、本発明の太陽電池用裏面保護シートを得ることができる。
形成される黒色接着剤層(1)の厚みは0.1〜10μmである。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)と、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池素子(III)と、太陽電池の非受光面側に位置する封止材層(IV)と、詳述した太陽電池用裏面保護シート(V)を必須の構成層とし、前記非受光面側封止材層(IV)に太陽電池裏面封止シート(V)の黒色接着剤層(1)が接するように、太陽電池裏面封止シート(V)を積層することによって、得ることができる。非受光面側封止材層(IV)と太陽電池用裏面保護シート(V)とを積層する際、減圧下に両者を接触させ、次いで加熱・加圧下に重ね合わせることによって得ることができる。
黒色接着剤層(1)が熱硬化性の場合、常圧に戻した後、さらに高温条件下に置いて、黒色接着剤層(1)の硬化を進行させることもできる。
テレフタル酸ジメチル99.6部、エチレングリコール92.2部、ネオペンチルグリコール72.2部、および酢酸亜鉛0.02部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜210℃に加熱し、エステル交換反応を行なった。理論量の97%のメタノールが留出した後、イソフタル酸77.5部、アゼライン酸166.9部を仕込み、160〜240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。このまま反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧し、酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、数平均分子量が41、000、水酸基価が3.2(mgKOH/g)、酸価が0.7(mgKOH/g)、Tgが−10℃のポリエステルポリオールを得、酢酸エチルで希釈して、固形分50%のポリエステル樹脂溶液B1−1を得た。
ポリエステル樹脂溶液B1中のポリエステル樹脂は、水酸基価が4.6(mgKOH/g)、酸価が0.8(mgKOH/g)、Tgが28℃であった。
Mnの測定はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、数平均分子量(Mn)の決定はポリスチレン換算で行った。
ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
アルミニウムパンに試料約10mgを秤量してDSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパンとした。)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。その後10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)を算出した(単位:℃)。
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、数平均分子量が25、000、水酸基価が4.4(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが39℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液B2を得た。
ジエチレングリコール117部、ネオペンチルグリコール319部、イソフタル酸192部、テレフタル酸188部、アジピン酸214部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜240℃に加熱し、エステル化反応を行なった。このまま反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧し、酸価が1mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止し、数平均分子量が10、000、水酸基価が19(mgKOH/g)、酸価が0.9(mgKOH/g)、Tgが0℃のポリエステル樹脂を得、酢酸エチルで希釈して、固形分50%のポリエステル樹脂溶液B3を得た。
MEKオキシムでブロックされた、イソホロンジイソシアネートの三量体と、MEKオキシムでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を、重量比1:1で混合し、酢酸エチルで希釈して固形分50%の樹脂溶液としたものを硬化剤溶液とする。
黒色顔料(A)、酸価を有する樹脂溶液(B)、硬化剤溶液(C)、顔料を表1に示す組成にて混合し、接着剤1〜7を得た。
各黒色接着剤を東洋紡(株)製、テトロンS、厚み188μm、以下「透明基材A」という)に塗工、乾燥し、10μmの接着剤層を作成し、各接着剤層について、分光光度計V−570(日本分光製)を用いて波長600〜1200nmの範囲の透過率を測定した。
<太陽電池用裏面保護シートの作成>
白色顔料含有白色ポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーE20、厚み50μm、以下「白基材B」という)の一方の面にポリエステル接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(東洋インキ製造(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、下記の蒸着PET(三菱樹脂(株)製、テックバリアLX、厚み12μm)の蒸着面を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、白基材B−蒸着PET積層体を作成した。
その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、白基材B−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体を作成した。
分光光度計V−570(日本分光製)を用いて、白基材B側から得られた白基材B−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体の反射率を、波長600〜1200nmの範囲で測定した。
前記太陽電池用裏面保護シート1を2枚用意し、サンビック(株)製のEVAシート(厚み450μ、スタンダードキュアタイプ、以下同)の両面に接着剤層が接するように、前記EVAシートを2枚の太陽電池用裏面保護シート1で挟み、真空ラミネーターで温度150℃、脱気時間5分、プレス圧力1atm、プレス時間10分、アフターキュア150℃−15分で加熱加圧圧着し、接着力測定用のサンプルを作製した。
接着力測定用のサンプルの一部について、温度121℃、相対湿度100%RH、2気圧の環境条件で48時間のプレッシャークッカー試験を行った。
プレッシャークッカー試験をしなかったもの(初期)、試験をしたもの(湿熱経時後)、それぞれを15mm幅の長方形にカットし、試験片とした。各試験片について、引っ張り試験機を用いて荷重速度100mm/minでT字剥離試験を行った。
○:20N/15mm以上
△:5N/15mm以上〜20N/15mm未満
×:5N/15mm未満
色度は、色彩色差計CR−300(コニカミノルタ製)を用いて、太陽電池用裏面保護シート1の黒接着剤面側から、Lab等色系で測定した。
反射率は、分光光度計V−570(日本分光製)を用いて、太陽電池用裏面保護シート1の黒接着剤面側から、波長600〜1200nmの範囲で測定した。
遮熱性は、室温23℃に調整した部屋内で、縦280mm、横465mm、高さ190mmの発泡スチロールの箱の上に70mm×70mmに切断した黒色の紙を置き、さらに黒色の紙にちょうど重なる様に70mm×70mmに切断した太陽電池用裏面保護シート1を置き、太陽電池用裏面保護シート1の真上15cmの地点から125Wの赤外線ランプを照射して、塗膜直下10cmの地点の内部の温度上昇を測定した。
白板ガラス・・・太陽電池表面封止シート(I)
酢酸ビニル−エチレン共重合体フィルム(EVA)・・・受光面側封止材層(II)
多結晶シリコン太陽電池素子・・・太陽電池素子(III)
EVA非受光面側封止材層(IV)
及び太陽電池裏面保護シート1を重ねた後、真空ラミネーターに入れ、1Torr程度に真空排気して、プレス圧力としては大気圧の圧力をかけた状態で、150℃30分間加熱後、さらに150℃で30分間加熱し、10cm×10cm角の光電変換効率評価用太陽電池モジュール1を作製した。
得られた太陽電池モジュール1の太陽電池出力を測定し、JISC8912に従って、ソーラーシュミレーター(英弘精機製、SS−100XIL)を用いて光電変換効率を測定した。
実施例1と同様にして、太陽電池用裏面保護シート2−19を作成し、接着力、色度、反射率の測定試験並びに遮熱性試験を行った。
さらに同様にして、太陽電池モジュールを作成し、光電変換効率を求めた。
なお、表4、5において、
発泡白基材C:東洋紡(株)製、クリスパーK1212、厚み50μm
保護フィルムB:東レ(株)製、ルミラーX10S、厚み50μm
保護コーティング液C:ミクニペイント製、スプラ#005UV、厚み15μm
白基材Bの一方の面にポリエステル系接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(東洋インキ製造(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、38μmのアルミニウム箔を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、白基材B−アルミ箔積層体を作成した。
さらに、白基材B−アルミ箔積層体のアルミニウム面にポリエステル系接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm)を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、白基材B−アルミ箔−ポリフッ化ビニルフィルム積層体を作成した。
さらに、白基材B−アルミ箔−ポリフッ化ビニルフィルム積層体の白基材B面に、ポリエステル系接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、硬化性接着剤層−白基材B−アルミ箔−ポリフッ化ビニルフィルム積層体を得た。
分光光度計V−570(日本分光製)を用いて、白基材B側から得られた硬化性接着剤層−白基材B−アルミ箔−ポリフッ化ビニルフィルム積層体の反射率を、波長600〜1200nmの範囲で測定した。
前記接着剤層に、黒接着シート1を重ね合わせ、太陽電池用裏面保護シート20を作成した。
さらに実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作成し、光電変換効率を求めた。
赤外線を吸収するカーボンブラック顔料を用いた比較例1は、近赤外線を反射できないため、太陽電池モジュールの温度上昇を招き、日中での出力低下が起こると考えられる。反射機能を持たない比較例2は、接着剤層(1)がペリレンブラック顔料なので近赤外線を透過させるが、モジュールの設置場所が黒色である場合は近赤外線を吸収するため、結果として、モジュールの温度が上昇する恐れがある。
従って、本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールによって、日中の温度上昇による光電変換効率の低下を抑制することができる。
なお、実施例6は、接着剤層(1)がペリレンブラック顔料を有し、フィルム(2)に反射機能を有するため、近赤外領域の反射率は他実施例と同様に高いが、接着剤層(1)の形成に使用された水酸基を有する樹脂(B)のガラス転移温度が低かったので、湿熱後の接着力が低下する。
赤外線を吸収するカーボンブラック顔料を用いた比較例1、反射機能を持たない比較例2は、近赤外線を反射できないため、近赤外線を太陽電池素子に再び入射することできず、光電変換効率が向上することは無い。
(II):太陽電池の受光面側に位置する封止材層
(III):太陽電池セル
(IV):太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層
(V):太陽電池裏面保護シート
(1)、(1’):太陽電池裏面保護シート(V)の表面に位置し、太陽電池裏面保護シート(V)と太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)とを積層するための接着剤層であって、ペリレンブラックを含有する接着剤層(1)
(2):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、ペリレンブラックを含有する接着剤層(1)以外の層であって、近赤外線反射機能を有するフィルム
(2−1):近赤外線反射機能を有するフィルム(2)を構成する、白色顔料を含有する白色フィルム
(2−2)−a:近赤外線反射機能を有するフィルム(2)を構成する、透明フィルム
(2−2)−b:近赤外線反射機能を有するフィルム(2)を構成する、白色の接着剤層もしくは白色のコーティング層
(3):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する層間接着剤層であって、近赤外線通過機能及び反射機能のいずれをも有しない接着剤層
(4−1):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、金属酸化物もしくは非金属無機酸化物の蒸着層
(4−2):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、金属箔
(5−1):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、耐候性付与フィルム
(5−2):太陽電池裏面保護シート(V)を構成する、耐候性付与コーティング層
Claims (9)
- 太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)、及び前記非受光面側封止剤層(IV)に接してなる太陽電池裏面保護シート(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池裏面保護シート(V)が、
700〜1200nmの赤外線の反射率が60〜100%のフィルム(2)の表面に、コーティング法により設けられた黒色接着剤層(1)であって、ペリレンブラック顔料を含有し、厚みが0.1〜10μmの黒色接着剤層(1)を担持してなり、
前記黒色接着剤層(1)が、前記非受光面側封止剤層(IV)に接している、
ことを特徴とする太陽電池モジュール。
- フィルム(2)が、白色顔料を含有する白色フィルム(2−1)を具備するか、または透明フィルム(2−2)−aと白色の接着剤層もしくは白色のコーティング層(2−2)−bとを具備することを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
- 白色フィルム(2−1)又は透明フィルム(2−2)−aが、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項2記載の太陽電池モジュール。
- 白色フィルム(2−1)が、発泡ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項3記載の太陽電池モジュール。
- 白色フィルム(2−1)と黒色接着接着剤層(1)とが直に接しており、黒色接着接着剤層(1)が接していない白色フィルム(2−1)の他方の側に、金属箔、あるいは金属酸化物もしくは非金属無機酸化物の蒸着層の少なくとも一つをさらに具備することを特徴とする請求項3又は4記載の太陽電池モジュール。
- 黒色接着剤層(1)100重量%中、ペリレンブラック顔料を0.5〜20重量%含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の太陽電池モジュール。
- 黒色接着剤層(1)の厚さ1μm当たり、ペリレンブラック顔料を1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の太陽電池モジュール。
- 黒色接着剤層(1)が、水酸基を有する樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有する接着剤から形成されることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 非受光面側封止剤層(IV)がエチレンービニルアセテート共重合体充填剤層であることを特徴とする、請求項1〜8いずれか記載の太陽電池モジュール。
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