JP5654293B2 - 半導体チップの実装方法及び半導体装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、ゴム粒子、エラストマー等の応力緩和剤はマトリクス樹脂と相分離し、相界面で光の散乱が起こりやすいため、応力緩和剤の添加によって接着剤の透明性が低下し、カメラによるパターン又は位置表示の認識が困難となって、半導体装置の生産性の向上が妨げられることが問題となっている。
以下、本発明を詳述する。
上記エポキシ樹脂は特に限定されないが、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を含有することが好ましい。上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を含有することで、得られる半導体接合用接着剤の硬化物は、剛直で分子の運動が阻害されるため優れた機械的強度及び耐熱性を発現し、また、吸水性が低くなるため優れた耐湿性を発現する。
これらの多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよく、また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の汎用されるエポキシ樹脂と併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂と反応する官能基を有する高分子化合物を含有することで、本発明の半導体接合用接着剤に製膜性又は可撓性を付与することができ、接合信頼性に優れた半導体接合用接着剤が得られる。
上記光硬化性官能基は特に限定されず、例えば、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。
上記硬化剤は特に限定されず、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の加熱硬化型酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、カチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、酸無水物系硬化剤が好ましい。
また、上記ビシクロ骨格を有する酸無水物は上記エポキシ樹脂に対する溶解性が高いことから、得られる半導体接合用接着剤の透明性をより向上させることができる。
更に、上記ビシクロ骨格を有する酸無水物を用いることにより、得られる半導体接合用接着剤の硬化物が優れた機械的強度、耐熱性、電気特性等を発現することができる。
上記硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、硬化速度、硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
また、上述のように上記常温で液状のイミダゾール化合物は、立体的に嵩高いビシクロ骨格を有する酸無水物と併用して使用されることが好ましい。これにより、得られる半導体接合用接着剤の貯蔵安定性及び熱安定性を高めることができる。
更に、上記常温で液状のイミダゾール化合物を用いることで、イミダゾール化合物を微小に粉砕する必要がなく、より容易に半導体接合用接着剤を製造することができる。
上記誘導体は特に限定されず、例えば、カルボン酸塩、イソシアヌル酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩等の塩、エポキシ化合物との付加物等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、2−エチル−4−メチルイミダゾール及びその誘導体が好ましい。
上記応力緩和剤は、ゴム成分からなるコア層と、アクリル樹脂からなるシェル層とを有する平均粒子径が0.1〜2μmのコアシェル粒子である。
また、上記アクリル樹脂は、上記エポキシ樹脂及び上記エポキシ樹脂と反応する官能基を有する高分子化合物と屈折率が近い。そのため、上記応力緩和剤と、上記エポキシ樹脂及び上記エポキシ樹脂と反応する官能基を有する高分子化合物との相界面での光の散乱が抑制され、本発明の半導体接合用接着剤は高い透明性を維持することができる。
また、上記コアシェル粒子のコア層を構成するゴム成分は、応力緩和剤としての性能を充分に発現するために、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましい。
また、上記コアシェル粒子のシェル層を構成するアクリル樹脂は、コアシェル粒子同士の融着を抑制し、上記エポキシ樹脂及び上記エポキシ樹脂と反応する官能基を有する高分子化合物に対する分散性を高める点から、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることが好ましい。
上記無機フィラーを含有することで、得られる半導体接合用接着剤の硬化物の線膨張率を下げることができ、より高い接合信頼性を実現することができる。
上記フィラーAと上記フィラーBとを含有することで、高い接合信頼性を維持しながら、得られる半導体接合用接着剤の粘度の増大、及び、該粘度の増大による流動性の低下を抑制し、塗工性を向上させることができ、同時に、透明性を高め、例えば、半導体チップをボンディングする際、カメラによるパターン又は位置表示の認識が容易となる。
また、半導体接合用接着剤の粘度の増大、及び、該粘度の増大による流動性の低下を抑制することで、表面に突起電極を有するウエハに対する半導体接合用接着剤からなる接着剤層の追従性を向上させることもできる。
上記球状シリカを用いることで、得られる半導体接合用接着剤の接合信頼性を更に高めることができ、また、粘度の増大、及び、該粘度の増大による流動性の低下を更に抑制し、塗工性、及び、表面に突起電極を有するウエハに対する半導体接合用接着剤からなる接着剤層の追従性を更に向上させることができる。
このような無機フィラーを含有することで、得られる半導体接合用接着剤の透明性を低下させることなく、硬化物の機械的強度を確保し、また、線膨張率を低下させて、高い接合信頼性を実現することができる。
上記エポキシ樹脂との屈折率の差が0.1を超える無機フィラーを用いると、得られる半導体接合用接着剤を透過する光の散乱が増し、半導体接合用接着剤の透明性が低下して、半導体チップをボンディングする際、カメラによるパターン又は位置表示の認識が困難となることがある。本発明の半導体接合用接着剤は、上記エポキシ樹脂との屈折率の差が0.05以下である無機フィラーを含有することがより好ましい。
表面処理することで、上記無機フィラーの凝集を抑制し、上記エポキシ樹脂及び上記エポキシ樹脂と反応する官能基を有する高分子化合物との親和性を高めることができる。これにより、得られる半導体接合用接着剤の接合信頼性を更に高めることができ、また、粘度の増大、及び、該粘度の増大による流動性の低下を更に抑制し、塗工性、及び、表面に突起電極を有するウエハに対する半導体接合用接着剤からなる接着剤層の追従性を更に向上させることができる。
上記アルコキシシランは特に限定されないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが特に好ましい。
これらのカップリング剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤は特に限定されず、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられる。このような光重合開始剤として、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物や、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物や、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物や、フォスフィンオキシド誘導体化合物や、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ヘイズ値が70%を超えると、半導体接合用接着剤の透明性が低下して、半導体チップをボンディングする際、カメラによるパターン又は位置表示の認識が困難となることがある。本発明の半導体接合用接着剤は、ヘイズ値が60%以下であることがより好ましい。
本発明の半導体接合用接着剤は透明性が高いことから、本発明の半導体接合用接着剤を用いて半導体チップをボンディングする際には、カメラによるパターン又は位置表示の認識が容易となり、半導体装置の生産性を向上させることができる。
上記接着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は150μmである。上記接着剤層の厚みが5μm未満であると、得られる接着剤層の硬化物の接着力が不足することがある。上記接着剤層の厚みが150μmを超えると、接着剤層が厚くなりすぎ、透明性が低下して、半導体チップをボンディングする際、カメラによるパターン又は位置表示の認識が困難となることがある。上記接着剤層の厚みは、より好ましい下限は15μm、より好ましい上限は50μmである。
上記塗工する方法は特に限定されず、例えば、コンマコート、グラビアコート、キャスティング等を用いる方法が挙げられる。
上記ウエハは特に限定されず、例えば、シリコン、ガリウム砒素等の半導体からなり、金、銅、銀−錫ハンダ、アルミニウム、ニッケル等からなる突起電極を有するウエハが挙げられる。
上記貼り合わせる方法は特に限定されないが、ラミネーターを用いる方法が好ましい。
また、上記工程2を行う前には、上記突起電極は上記接着剤層中に埋もれている。そして、上記工程2の研削時にかかる圧力によって上記突起電極の頂部から接着剤が押し除かれ、これにより、後の工程において上記基材層を剥離した後には、上記突起電極の頂部が上記接着剤層から露出することができる。
エネルギー線を照射して上記接着剤層を半硬化させることにより、上記接着剤層の粘着力が低下し、後の工程における上記基材層の剥離が容易になる。また、このとき、上記接着剤層は完全な硬化ではなく「半硬化」することから、上記接着剤層は、後の工程における基板又は他の半導体チップとの接着時には、なお充分な接着力を発揮することができる。なお、本明細書において「半硬化」とは、ゲル分率が10〜60重量%であることを意味する。
このとき、上記接着剤層の接着剤は、上記突起電極の表面よりも上記基材層側に付着しやすいことから、上記突起電極の表面に残存する接着剤の量は抑制される。
上記ダイシングの方法は特に限定されず、例えば、従来公知の砥石等を用いて切断分離する方法等が挙げられる。
なお、本明細書中、半導体チップの実装とは、基板上に半導体チップを実装する場合と、基板上に実装されている1以上の半導体チップ上に、更に半導体チップを実装する場合との両方を含む。
この他の態様として、工程3で得られた接着剤層が付着したウエハ上に、接着剤層を介して他のウエハを積層してウエハ積層体を製造し、得られたウエハ積層体を一括的にダイシングして、接着剤層が付着した半導体チップの積層体を得てもよい。
本発明の半導体チップの実装方法を用いて製造される半導体装置もまた、本発明の1つである。
(1)半導体接合用接着フィルムの製造
表1の組成に従って、下記に示す材料をメチルエチルケトンに加えて固形分濃度が50重量%となるように調整し、ホモディスパーを用いて攪拌混合することにより、半導体接合用接着剤溶液を調製した。得られた半導体接合用接着剤溶液を、基材層としての厚み25μmの離型処理したPETフィルム上にアプリケーター(テスター産業社製)を用いて塗工し、100℃5分で乾燥させることにより、厚み40μmの接着剤層を有する半導体接合用接着フィルムを得た。
・HP−7200L(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、DIC社製)
・EXA−4710(ナフタレン型エポキシ樹脂、DIC社製)
・マープルーフG−2050M(グリシジル基含有アクリル樹脂、重量平均分子量20万、日油社製)
・マープルーフG−017581(グリシジル基含有アクリル樹脂、重量平均分子量1万、日油社製)
・YH−309(酸無水物系硬化剤、JER社製)
・フジキュア7000(常温で液状のイミダゾール化合物、富士化成社製)
(1)フィラーA
・SX009−MJF(フェニルトリメトキシシラン表面処理球状シリカ、平均粒子径0.05μm、アドマテックス社製)
(2)フィラーB
・SE−1050−SPT(フェニルトリメトキシシラン表面処理球状シリカ、平均粒子径0.3μm、アドマテックス社製)
・AC−4030(ゴム成分からなるコア層と、アクリル樹脂からなるシェル層とを有するコアシェル粒子、平均粒子径0.5μm、ガンツ化成社製)
・AC−3355(ゴム成分からなるコア層と、アクリル樹脂からなるシェル層とを有するコアシェル粒子、平均粒子径0.5μm、ガンツ化成社製)
・AC−3816(ゴム成分からなるコア層と、アクリル樹脂からなるシェル層とを有するコアシェル粒子、平均粒子径0.5μm、ガンツ化成社製)
・J−5800(ゴム成分からなるコア層と、アクリル樹脂からなるシェル層とを有するコアシェル粒子、平均粒子径1μm、三菱レイヨン社製)
・X−52−7030(シリコーン複合粒子、平均粒子径0.8μm、信越シリコーン社製)
・TPAE−826(ポリアミドエラストマー、富士化成工業社製)
直径20cm、厚み700μmであり、表面に高さ40μm、幅100μm×100μmの正方形の銅バンプが400μmピッチで多数形成されている半導体ウエハ(シリコンウエハ)を用意した。半導体接合用接着フィルムから接着剤層を保護するPETフィルムを剥がし、真空ラミネーターを用いて、真空下(1torr)、70℃で半導体ウエハの銅バンプを有する面に半導体接合用接着フィルムを貼り付けた。
実施例及び比較例で得られた接着剤層が付着した半導体チップ、又は、半導体チップ実装体について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1−1)カメラによる自動認識
接着剤層が付着した半導体チップを、ボンディング装置(FC3000S、東レエンジニアリング社製)を用いて基板上に圧着する際、カメラによって半導体チップのパターンを自動認識可能か否かについて観察した。
10個の試験サンプルについて評価を行い、10個全ての試験サンプルで半導体チップのパターンを自動認識可能であった場合を○、7〜9個の試験サンプルで半導体チップのパターンを自動認識可能であった場合を△、6個以下の試験サンプルで半導体チップのパターンを自動認識可能であった場合を×とした。
(2−1)ボンディング後導通率
半導体チップ実装体における上下電極の導通を、ハンドテスターにより確認した。導通率を以下のとおり算出した。
導通率(%)={(導通したパッド数)/(測定したパッド数)}×100
半導体チップ実装体を120℃、85RH%に96時間放置して吸湿させた後、半田リフロー炉(プレヒート150℃×100秒、リフロー[最高温度260℃])に3回通過させた後、半導体チップの基板からの剥離が発生した半導体チップ実装体の個数を確認した。
20個の半導体チップ実装体のうち、剥離が発生した半導体チップ実装体が0個であった場合を○、1〜3個であった場合を△、4〜20個であった場合を×とした。
上記(2−2)にて耐リフロー性試験を行った後の半導体チップ実装体について、−55〜125℃(30分/1サイクル)、1000サイクルの温度サイクル試験を行った。温度サイクル試験の途中で適宜半導体チップ実装体を取り出して導通抵抗値の変化を確認し、導通抵抗値が温度サイクル試験前の初期抵抗値から5%以上変化した時点でのサイクル数を評価した。
Claims (3)
- 半導体接合用接着剤からなる接着剤層と、基材層とを有する半導体接合用接着フィルムを用いる半導体チップの実装方法であって、
前記半導体接合用接着フィルムの接着剤層と、表面に突起電極を有するウエハの突起電極を有する面とを貼り合わせる工程1と、
前記ウエハを、前記半導体接合用接着フィルムに固定した状態で裏面から研削する工程2と、
前記研削後のウエハに貼り合わせられた前記半導体接合用接着フィルムから、基材層を剥離して、接着剤層が付着したウエハを得る工程3と、
前記接着剤層が付着したウエハ表面の切断線を、カメラに自動的に認識させて、前記接着剤層が付着したウエハを前記切断線に沿ってダイシングして、接着剤層が付着した半導体チップに個片化する工程4と、
前記接着剤層が付着した半導体チップのパターン又は位置表示と、基板又は他の半導体チップのパターン又は位置表示とを、カメラに自動的に認識させて位置合わせを行い、前記接着剤層が付着した半導体チップを、接着剤層を介して前記基板又は他の半導体チップに接着して半導体チップを実装する工程5とを有し、
前記半導体接合用接着剤は、エポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂と反応する官能基を有する高分子化合物、硬化剤及び応力緩和剤を含有し、前記応力緩和剤がゴム成分からなるコア層とアクリル樹脂からなるシェル層とを有する平均粒子径が0.1〜2μmのコアシェル粒子であり、前記応力緩和剤の含有量が5〜20重量%であり、かつ、前記半導体接合用接着剤のヘイズ値が70%以下である
ことを特徴とする半導体チップの実装方法。 - 更に、工程5により半導体チップを実装した後、加熱することにより接着剤層を完全に硬化させる工程6を有することを特徴とする請求項1記載の半導体チップの実装方法。
- 請求項1又は2記載の半導体チップの実装方法を用いて製造されることを特徴とする半導体装置。
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