JP5647152B2 - 炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置 - Google Patents

炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5647152B2
JP5647152B2 JP2011547231A JP2011547231A JP5647152B2 JP 5647152 B2 JP5647152 B2 JP 5647152B2 JP 2011547231 A JP2011547231 A JP 2011547231A JP 2011547231 A JP2011547231 A JP 2011547231A JP 5647152 B2 JP5647152 B2 JP 5647152B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
composite material
fiber composite
carbon nanofiber
elastomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011547231A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011077598A1 (ja
Inventor
徹 野口
徹 野口
宏之 植木
宏之 植木
茂樹 犬飼
茂樹 犬飼
悟史 飯生
悟史 飯生
正栄 伊藤
正栄 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Schlumberger Holdings Ltd
Original Assignee
Schlumberger Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Schlumberger Holdings Ltd filed Critical Schlumberger Holdings Ltd
Publication of JPWO2011077598A1 publication Critical patent/JPWO2011077598A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5647152B2 publication Critical patent/JP5647152B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/005Reinforced macromolecular compounds with nanosized materials, e.g. nanoparticles, nanofibres, nanotubes, nanowires, nanorods or nanolayered materials
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01DMECHANICAL METHODS OR APPARATUS IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS
    • D01D10/00Physical treatment of artificial filaments or the like during manufacture, i.e. during a continuous production process before the filaments have been collected
    • D01D10/02Heat treatment
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F11/00Chemical after-treatment of artificial filaments or the like during manufacture
    • D01F11/10Chemical after-treatment of artificial filaments or the like during manufacture of carbon
    • D01F11/12Chemical after-treatment of artificial filaments or the like during manufacture of carbon with inorganic substances ; Intercalation
    • D01F11/122Oxygen, oxygen-generating compounds
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B3/00Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties
    • H01B3/002Inhomogeneous material in general
    • H01B3/004Inhomogeneous material in general with conductive additives or conductive layers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2321/00Characterised by the use of unspecified rubbers
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E21EARTH OR ROCK DRILLING; MINING
    • E21BEARTH OR ROCK DRILLING; OBTAINING OIL, GAS, WATER, SOLUBLE OR MELTABLE MATERIALS OR A SLURRY OF MINERALS FROM WELLS
    • E21B47/00Survey of boreholes or wells
    • E21B47/01Devices for supporting measuring instruments on drill bits, pipes, rods or wirelines; Protecting measuring instruments in boreholes against heat, shock, pressure or the like

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Description

本発明は、炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置に関する。
カーボンナノファイバーは、機械的特性に優れ、複合材料として様々な分野でその応用が期待されている。特に、カーボンナノファイバーは電気伝導性にも優れているので、カーボンナノファイバーをエラストマー中に均一に分散した炭素繊維複合材料は例えば電子放出装置へ応用することも提案されている(例えば、特開2008−311083号公報)。
また、エラストマーにカーボンナノファイバーを配合した複合材料は、機械的特性に優れているため、従来のゴム製品の代替品としての様々な用途へも期待されている。しかしながら、このような従来のゴム製品の中にはゴムの絶縁性を利用した製品も少なくないが、カーボンナノファイバーを均一に分散させた炭素繊維複合材料は少量のカーボンナノファイバーの配合でも電気伝導性にも優れるため、電気伝導を望まない製品への適用は難しかった。
本発明の目的は、体積固有抵抗値の高い炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置を提供することにある。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、
エラストマー100質量部に対して、分岐部が無くかつ酸化したカーボンナノファイバーを20質量部〜100質量部含み、
200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜1000MPaであって、
体積固有抵抗値が106Ω・cm〜1018Ω・cmであり、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであり、かつ、前記エラストマーに配合される前に、未処理のカーボンナノファイバーを圧縮処理によって分岐部で切断したことを特徴とする
本発明にかかる炭素繊維複合材料において、
前記エラストマーが含フッ素エラストマーであって、
200℃、10Hzにおける動的弾性率(E’)が15MPa〜300MPaであって、
体積固有抵抗値が1011Ω・cm〜1018Ω・cmであることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料において、
前記エラストマーがエチレン−プロピレンゴムであって、
200℃、10Hzにおける動的弾性率(E’)が10MPa〜200MPaであって、
体積固有抵抗値が10Ω・cm〜1018Ω・cmであることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、
エラストマー100質量部に対して、分岐部を減らしかつ酸化したカーボンナノファイ
バーを20質量部〜100質量部含み、
200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜1000MPaであって、
体積固有抵抗値が10 6 Ω・cm〜10 18 Ω・cmであり、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであり、かつ、前記エラストマーに配合される前に、未処理のカーボンナノファイバーを粉砕処理によって繊維長をほとんど損なうことなく分岐部を減らしたことを特徴とする
本発明にかかる炭素繊維複合材料において、
前記エラストマーがエチレン−プロピレンゴムであって、
200℃、10Hzにおける動的弾性率(E’)が10MPa〜200MPaであって、
体積固有抵抗値が10Ω・cm〜1018Ω・cmであることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料において、
前記カーボンナノファイバーは、最大繊維長が20μm未満であることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料において、
前記未処理のカーボンナノファイバーは、アスペクト比が50〜200であることができる。
本発明にかかる油田用途の絶縁性物品は、前記炭素繊維複合材料を含むことができる。
本発明にかかる電子部品は、前記絶縁性物品を含むことができる。
本発明にかかる検層装置は、筐体と、該筐体内に配置された前記電子部品と、を備えることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、
気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る工程(a)と、
前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、
前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、
前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、
を含み、
前記工程(b)の前記機械的作用は、圧縮処理によってなされ、
前記圧縮処理によって得られた第3のカーボンナノファイバーは、分岐部を有しておらず、
前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであることを特徴とする。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記工程(a)の前記熱処理は、1200℃〜1500℃であることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記工程(b)で得られた前記第3のカーボンナノファイバーは、最大繊維長が20μm未満であることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記圧縮処理は、少なくとも2本の回転するロール間に前記第2のカーボンナノファイバーを投入して、前記第2のカーボンナノファイバーに剪断力と圧縮力とを加えることによって行われることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記圧縮処理は、カーボンナノファイバー同士を結合するためのバインダーを用いないことができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記圧縮処理は、乾式圧縮造粒機で行われることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、
気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る工程(a)と、
前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、
前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、
前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、
を含み、
前記工程(b)の前記機械的作用は、粉砕処理によって前記第2のカーボンナノファイバーの繊維長をほとんど損なうことなく分岐部を減らし
前記第3のカーボンナノファイバーのタップ密度は、前記第2のカーボンナノファイバーのタップ密度の1.5倍〜10倍であり、
前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであることを特徴とする。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記粉砕処理は、前記第2のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積の1.1倍〜5.0倍の窒素吸着比表面積を有する前記第3のカーボンナノファイバーを得ることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記粉砕処理は、衝撃及び/または剪断力を利用した乾式粉砕で行なうことができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
X線光電子分光法(XPS)で測定した、前記第3のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する前記第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加量は、0.5atm%〜2.6atm%であることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
X線光電子分光法(XPS)で測定した、前記第3のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する前記第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加割合は、20%〜120%であることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記工程(c)の熱処理は、前記第3のカーボンナノファイバーの質量を2%〜20%減量して前記第4のカーボンナノファイバーを得ることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記工程(c)で得られた前記第4のカーボンナノファイバーは、X線光電子分光法(XPS)で測定した表面の酸素濃度が2.6atm%〜4.6atm%であることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記工程(c)で得られた前記第4のカーボンナノファイバーは、ラマン散乱分光法によって測定される1600cm−1付近のピーク強度Gに対する1300cm−1付近のピーク強度Dの比(D/G)が0.12〜0.22であることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記工程(c)で得られた前記第4のカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が45m2/g〜60m2/gであることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記第1のカーボンナノファイバーは、アスペクト比が50〜200であることができる。
図1Aは、本発明の一実施形態にかかる第2のカーボンナノファイバーを模式的に示す図である。 図1Bは、本発明の一実施形態にかかる第2のカーボンナノファイバーを模式的に示す図である。 図1Cは、本発明の一実施形態にかかる第2のカーボンナノファイバーを模式的に示す図である。 図1Dは、本発明の一実施形態にかかる第2のカーボンナノファイバーを模式的に示す図である。 図2は、本発明の一実施形態にかかる工程(b)の圧縮処理を模式的に示す斜視図である。 図3は、本発明の一実施形態にかかる第2のカーボンナノファイバーと第3のカーボンナノファイバーとを模式的に示す図である。 図4は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法による工程(d)を模式的に示す図である。 図5は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法による工程(d)を模式的に示す図である。 図6は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法による工程(d)を模式的に示す図である。 図7は、本発明の一実施形態にかかる海底用途の検層装置を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の一実施形態にかかる図7における検層装置の筐体を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明の一実施形態にかかる地下用途の検層装置を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の一実施形態にかかる炭素繊維複合材料は、エラストマー100質量部に対して、分岐部が無くかつ酸化したカーボンナノファイバーを20質量部〜100質量部含み、200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜1000MPaであって、体積固有抵抗値が106Ω・cm〜1018Ω・cmであり、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであり、かつ、前記エラストマーに配合される前に、未処理のカーボンナノファイバーを圧縮処理によって分岐部で切断したことを特徴とする本発明の一実施形態にかかる炭素繊維複合材料は、エラストマー100質量部に対して、分岐部を減らしかつ酸化したカーボンナノファイバーを20質量部〜100質量部含み、200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜1000MPaであって、体積固有抵抗値が10 6 Ω・cm〜10 18 Ω・cmであり、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであり、かつ、前記エラストマーに配合さ
れる前に、未処理のカーボンナノファイバーを粉砕処理によって繊維長をほとんど損なうことなく分岐部を減らしたことを特徴とする。本発明の一実施形態にかかる油田用途の絶縁性物品は、前記炭素繊維複合材料を含むことができる。本発明の一実施形態にかかる電子部品は、前記絶縁性物品を含むことができる。本発明の一実施形態にかかる検層装置は、筐体と、該筐体内に配置された前記電子部品と、を備えることができる。
本発明の一実施形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る工程(a)と、前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、を含み、前記工程(b)の前記機械的作用は、圧縮処理によってなされ、前記圧縮処理によって得られた第3のカーボンナノファイバーは、分岐部を有しておらず、前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであることを特徴とする本発明の一実施形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る工程(a)と、前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、を含み、前記工程(b)の前記機械的作用は、粉砕処理によって前記第2のカーボンナノファイバーの繊維長をほとんど損なうことなく分岐部を減らし、前記第3のカーボンナノファイバーのタップ密度は、前記第2のカーボンナノファイバーのタップ密度の1.5倍〜10倍であり、前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであることを特徴とする。
(I)カーボンナノファイバー
カーボンナノファイバーについて説明する。
本実施の形態に用いる第4のカーボンナノファイバーは、以下に説明する工程(a)〜工程(c)によって得ることができる。
まず、工程(a)として、気相成長法によって製造された未処理の第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得ることができる。この熱処理の温度は、1200℃〜1500℃であることがさらに好ましい。工程(a)における熱処理の温度が気相成長法の反応温度より高温であることで、第1のカーボンナノファイバーの表面構造を整え、表面の欠陥を減少させることができる。また、この熱処理が1100℃〜1600℃とすることで、マトリックス材料例えばエラストマーとの表面反応性が向上し、マトリックス材料中におけるカーボンナノファイバーの分散不良をより改善することができる。このように熱処理されて得られた第2のカーボンナノファイバーは、例えば、ラマン散乱分光法によって測定される1600cm−1付近のピーク強度Gに対する1300cm−1付近のピーク強度Dの比(D/G)が1.25を超えかつ1.6未満であることができる。第2のカーボンナノファイバーのラマンスペクトルにおいて、1300cm−1付近の吸収ピーク強度Dはカーボンナノファイバーを形成する結晶内の欠陥に基づく吸収であり、1600cm−1付近の吸収ピーク強度Gはカーボンナノファイバーを形成する結晶に基づく吸収である。このため、ピーク強度Dとピーク強度Gとの比(D/G)が小さい程、カーボンナノファイバーの結晶化程度が高いことを示す。したがって、ピーク強度Gに対するピーク強度Dの比(D/G)が小さいほどグラファイト化(黒鉛化)度が高く、表面に欠陥の少ないカーボンナノファイバーを意味する。したがって、前記範囲のピーク強度Gに対するピーク強度Dの比(D/G)を有する第2のカーボンナノファイバーは、適度に表面に非結晶部分が存在するため、エラストマーとの濡れ性が良好であり、比較的欠陥も少ないので第2のカーボンナノファイバーの強度も十分であることができる。なお、ここで、第1のカーボンナノファイバーは、工程(a)〜工程(c)における熱処理や圧縮処理などを受けていないため、気相成長法によって製造されたままの未処理のカーボンナノファイバーである。このように気相成長法で製造された未処理の第1のカーボンナノファイバーは、一般的には、不活性ガス雰囲気中において2000℃〜3200℃で熱処理していわゆる黒鉛化(結晶化)処理されて、気相成長の際に第1のカーボンナノファイバーの表面に沈積したアモルファス状の堆積物や残留している触媒金属などの不純物を除去されるが、本実施形態においては、このような黒鉛化処理を行うことなく、第1のカーボンナノファイバーを黒鉛化処理の温度よりも十分に低い1100℃〜1600℃で工程(a)の熱処理を行って第2のカーボンナノファイバーを得ることができる。このように、適度に表面に非晶質部分が存在する第2のカーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料は、一般的な黒鉛化されたカーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料に比べ体積固有抵抗値が高くなることができる。
気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor
Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させて未処理の第1のカーボンナノファイバーを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃〜1000℃の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁に第1のカーボンナノファイバーを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させて第1のカーボンナノファイバーを基板上に生成させる触媒担持反応法(Substrate Reaction Method)等を用いることができる。このような気相成長法で得られた未処理の第1のカーボンナノファイバーの平均直径は、70nm〜100nmであ。また、第1のカーボンナノファイバーのアスペクト比は50〜200であることができる。本発明の詳細な説明においてカーボンナノファイバーの
平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノファイバーのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び平均長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーは、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面を1層もしくは多層に巻いた構造を有する。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
図1A〜図1Dは、本発明の一実施形態にかかる第2のカーボンナノファイバーを模式的に示す図である。
第2のカーボンナノファイバー60は、気相成長法によって製造された未処理の第1のカーボンナノファイバーと概略同じ構造であって、図1Aに示すように長手方向に直線的であることが好ましいが、図1Bに示すように湾曲しているもの、図1Cに示すように折曲部62で折れ曲っているもの、図1Dに示すように分岐部64で複数(図では4本)に枝分かれしているものもある程度含まれる。複合材料に配合された第2のカーボンナノファイバー60は、図1Aのように直線的である程、特に複合材料の柔軟性や耐久性を向上させることができると考えられるが、図1C、図1Dに示すような第2のカーボンナノファイバー60は、折曲部62や分岐部64において応力集中が起きると考えられ、複合材料における補強材としての第2のカーボンナノファイバー本来の性能を減じる傾向があると考えられる。なお、折曲部62は、図1Cに示すように明確に折れ曲っている箇所であって、図1Bのように湾曲しているものは含まない。
次に、工程(b)は、前記工程(a)で得られた第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得ることができる。
工程(b)における機械的作用による処理は、圧縮処理または粉砕処理によって行うことができる。
まず、圧縮処理を用いた工程(b)について説明する。
工程(b)における圧縮処理によって得られた第3のカーボンナノファイバーは、分岐部を有しない。工程(b)における圧縮処理は、第2のカーボンナノファイバーを少なくとも分岐部から切断するための高い圧力が必要である。ここでは、工程(b)について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態にかかる工程(b)を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、圧縮処理は、図中の矢印方向に連続回転する複数例えば少なくとも2本のロール72,74間に原料である第2のカーボンナノファイバー60を投入して、剪断力と圧縮力とを第1のカーボンナノファイバーに加えることによって行う、例えばロールプレス機やローラーコンパクター(ロール式高圧圧縮成形機)のような乾式圧縮造粒機70を採用することができる。工程(a)によって得られた複数の第2のカーボンナノファイバー60を乾式圧縮造粒機70に投入して圧縮処理することで、複数の第3のカーボンナノファイバー80の集合体を得ることができる。ロールプレス機は、通常ロール外周面にポケットを刻まない平滑ロールまたはポケットを刻んだロール等を使用するが、本実施の形態においては第2のカーボンナノファイバーに均等に圧縮力を加えるために平滑ロールを用いることができる。また、2本のロールの間隔は0mmすなわちロール同士が接触するように設定され、さらに2本のロール間には所定の圧縮力F例えば980〜2940N/cmを与えることができ、さらに1500〜2500N/cmを与えることが好ましい。圧縮力Fは、得られたカーボンナノファイバー集合体における分岐部の有無を電子顕微鏡などで確認しながら適当な圧力に設定することができる。980N/cm以上であれば分岐部を有する第2のカーボンナノファイバーを分岐部で切断する。このような圧縮処理は、カーボンナノファイバー全体の均質化のため、複数回例えば2回程度行うことができる。造粒機では、一般に粉体を結合するために水などのバインダーを配合するが、本実施の形態における圧縮処理は、第3のカーボンナノファイバー同士を結合するためのバインダーを用いない乾式造粒であることができる。バインダーを用いると、後工程で第4のカーボンナノファイバーを分散させにくくする虞があり、バインダーを除去する工程がさらに必要になることがあるためである。
なお、通常であれば乾式圧縮造粒機70によって2本のロール間で圧縮して板状(フレーク)のカーボンナノファイバー80の集合体に成形した後、さらに粉砕機などで破砕し、所望の大きさに整粒したカーボンナノファイバー80の集合体をつくることができる。このときの粉砕機は、例えば回転刃を高速回転させてその剪断力によりカーボンナノファイバー80の集合体を破砕し、スクリーンを用いて適当なサイズ以下のカーボンナノファイバー80の集合体だけを通して整粒を行うことができる。圧縮処理だけではカーボンナノファイバー80の集合体の大きさにばらつきが大きいが、このようにさらに破砕することでカーボンナノファイバー80の集合体の粒径が適度な大きさに整えられるため、マトリックス材料と混練した時のカーボンナノファイバーの集合体の偏りを防ぐことができる。
この圧縮処理によって第3のカーボンナノファイバーが分岐部で切断され、ふわりとしない所望の嵩密度になって取り扱いが容易になり、例えば板状の第3のカーボンナノファイバー集合体に造粒されることができる。
圧縮処理することによって得られた第3のカーボンナノファイバーについて図3を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態にかかる第3のカーボンナノファイバーを模式的に示す図である。
図3に示すように、圧縮処理によって、図の左上側に示した分岐部64を有する第2のカーボンナノファイバー60が分岐部64から切断され、図の右下側に示したように例えば4本の第3のカーボンナノファイバー80が得られる。したがって、第3のカーボンナノファイバー80は、第2のカーボンナノファイバー60よりも分岐部64を減らすことができ、特に、電子顕微鏡で観察しても分岐部64がなくなる。このように分岐部が無い第3のカーボンナノファイバーは、工程(c)を経て第4のカーボンナノファイバーとなって他の材料と混合したときにも複合材料中の第4のカーボンナノファイバーの分散性を向上させることができ、また、複合材料の柔軟性や耐久性を向上させることができる。さらに、第4のカーボンナノファイバーにも分岐部がないので、複合材料に配合した際に、第4のカーボンナノファイバーの分岐部への応力集中がなく、第4のカーボンナノファイバーの補強材としての性能低下を減少することができる。図1Cで示したような折曲部62を有する第2のカーボンナノファイバーの一部も折曲部62から切断されるため、折曲部62や分岐部64のようないわゆる欠陥部分を有する第3のカーボンナノファイバーを減少させることができる。圧縮処理によって得られた第3のカーボンナノファイバー80の内、折曲部62を有する第3のカーボンナノファイバーを含む割合が100本中10本未満であることができる。折曲部62を有する第3のカーボンナノファイバーを含む割合が100本中10本以上であると、圧縮処理によって十分に欠陥部分を除去できていない可能性がある。このように折曲部62や分岐部64のような欠陥部分が減少した第3のカーボンナノファイバー80は、最大繊維長が20μm未満であることができる。近年、市場の要求としてカーボンナノファイバーの最大繊維長が20μm未満、さらに15μm未満であることが好ましいとされることがある。例えば、第3のカーボンナノファイバーの最大繊維長を20μm未満とすることで、第4のカーボンナノファイバーを配合した複合材料の柔軟性を向上することができる。複数の第3のカーボンナノファイバー80は、嵩密度が0.15〜0.3g/cm3であることができる。嵩密度が0.15〜0.3g/cm3であれば第3のカーボンナノファイバー80が飛散しにくく保管時、運搬時または配合時における扱いが容易になってハンドリング性も良好である。なお、本願における嵩密度は、JIS−K6219−2ゴム用カーボンブラック−造粒粒子の測定−第2部かさ密度の測定にしたがって、1000cm3の円筒容器にカーボンナノファイバーを注ぎ落としてその質量を測定し、嵩密度(g/cm3)を計算して得られたものとする。また、圧縮処理によって得られた複数の第3のカーボンナノファイバー80は、複数の第3のカーボンナノファイバーが寄り集まって板状の塊となった複数の板状の第3のカーボンナノファイバー集合体に造粒されることができる。このように板状の塊になって第3のカーボンナノファイバー80を取り扱うことができるので、保管時、運搬時または配合時における取り扱い性を向上することができる。
次に、粉砕処理を用いた工程(b)について説明する。
工程(b)における粉砕処理によって得られた第3のカーボンナノファイバーのタップ密度は、工程(a)で得られた第2のカーボンナノファイバーのタップ密度の1.5倍〜10倍であることができる。工程(b)は、第3のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積を粉砕処理前の第2のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積の1.1倍〜5.0倍とすることができる。工程(b)によれば、マトリックス材料例えばエラストマーとの表面反応性が向上し、マトリックス材料に対する濡れ性が改善されたカーボンナノファイバーを製造することができる。
第2のカーボンナノファイバーは、繊維が分岐した分岐部分や繊維が屈曲した屈曲部分などの欠陥を有しているが、粉砕処理によって分岐部分付近や屈曲部分で破壊されて欠陥が低減すると共に、カーボンナノファイバーの表面も活性化される。この欠陥低減によってカーボンナノファイバーは分岐部分や屈曲部分が減少するため各繊維の強度は向上し、しかも繊維長がほとんど短くならない程度に粉砕処理されるため、このカーボンナノファイバーを用いた複合材料の物性が向上する。また、カーボンナノファイバーの表面が活性化されることで、カーボンナノファイバーとマトリックス材料との表面反応性が向上し、マトリックス材料中におけるカーボンナノファイバーの分散不良を改善することができる。工程(b)は、衝撃及び/または剪断力を利用した乾式粉砕で行なうことができる。乾式粉砕は、例えば、水または/及び有機溶剤の非存在下で行なうことができる。乾式粉砕は、粉砕後の分散剤の除去及び溶媒の乾燥、乾燥凝集した繊維の解繊という後処理工程がなく、有利である。このような乾式粉砕は、周速度が50〜200m/sで0.5〜60分間行なわれることができる。乾式粉砕としては、高速回転ミル、ボールミル、媒体攪拌ミル、ジェット粉砕機などを用いることができるが、衝撃力を利用した繊維を押し砕く方法による回転式粉砕機、円振動ミル、遠心ミルなどの振動ボールミルを採用することができる。
このように、粉砕処理は、例えば前記圧縮処理と同様に、分岐部を有する第2のカーボンナノファイバーが分岐部から切断され、分岐部を減らすことができる。したがって、粉砕処理された第3のカーボンナノファイバーは、第2のカーボンナノファイバーよりも分岐部を減らすことができ、特に、電子顕微鏡で観察しても分岐部がなくなることができる。
粉砕処理後の第3のカーボンナノファイバーのタップ密度は、粉砕処理前の第2のタップ密度の1.5倍〜10倍であることができる。このように適度な粉砕処理を行うことで、第2のカーボンナノファイバーの繊維長をほとんど損なうことなく、マトリックス材料例えばエラストマーとの濡れ性を良好にすることができる。粉砕処理後の第3のカーボンナノファイバーは、タップ密度が0.03〜0.2g/cmであることができる。タップ密度は、タップ法により測定された見かけ密度であって、第3のカーボンナノファイバーの嵩度合いを表している。したがって、粉砕処理によって第3のカーボンナノファイバーにおける分岐箇所や欠陥が減少すると、密に詰まり易くなり、タップ密度は増加する傾向がある。前記範囲のタップ密度を有する粉砕処理された第3のカーボンナノファイバーは、マトリックス材料例えばエラストマーとの濡れ性が良好となる傾向がある。
また、粉砕処理後の第3のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積は、粉砕処理前の第2のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積の1.1倍〜5.0倍であることができる。このように窒素吸着比表面積が増大すると、マトリクス材料と第3のカーボンナノファイバーとの接点が増加することになり、マトリクス材料中で分散し易くなる。粉砕処理後の第3のカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が22〜100m/gであることが好ましい。前記範囲の窒素吸着比表面積を有する粉砕処理された第3のカーボンナノファイバーは、マトリックス材料例えばエラストマーとの濡れ性が良好となる傾向がある。
最後に、工程(c)として、前記工程(b)で得られた第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得ることができる。
工程(c)は、例えば、大気雰囲気の炉内に第3のカーボンナノファイバーを配置し、600℃〜800℃の温度範囲の所定温度に設定し、熱処理することによって、表面が所望の酸素濃度に酸化された第4のカーボンナノファイバーを得ることができる。この工程(c)で熱処理する時間は、所定温度の熱処理炉内で第3のカーボンナノファイバーを保持する時間であって、例えば10分〜180分であることができる。酸素を含有する雰囲気は、大気中でもよいし、酸素雰囲気でもよいし、適宜酸素濃度を設定した雰囲気を用いてもよいが、熱処理炉の内容量や処理する第3のカーボンナノファイバーの量によって熱処理炉に導入する酸素の量を適宜調節することができる。第4のカーボンナノファイバーの表面が工程(c)で所望の酸素濃度に酸化されるのに十分な酸素濃度が雰囲気中に存在すればよい。熱処理の温度は、600℃〜800℃の範囲で所望の酸化処理を得るために適宜設定することができる。通常、800℃付近で第3のカーボンナノファイバーは燃焼して繊維に大きなダメージを負うため、温度設定と熱処理の時間は実験を繰り返しながら慎重に設定することが望ましい。なお、熱処理の温度や熱処理の時間は、工程(c)に用いる炉内の酸素濃度や炉の内容積、処理する第3のカーボンナノファイバーの量などによって適宜調整することができる。また、本実施の形態における熱処理温度とは、熱処理炉内の雰囲気温度を示す。
工程(c)は、X線光電子分光法(XPS)で測定した、第3のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加量が、0.5atm%〜2.6atm%になるように酸化処理を行うことができる。このような第3のカーボンナノファイバーの表面酸素濃度に対する第4のカーボンナノファイバーの表面酸素濃度の増加量は、工程(b)における機械的作用による処理を圧縮処理によって行った場合は0.9atm%〜2.6atm%であることができ、さらに1.0atm%〜2.6atm%であることができ、工程(b)における機械的作用による処理を粉砕処理によって行った場合は0.9atm%〜1.9atm%であることができ、さらに1.0atm%〜1.6atm%であることができる。また、工程(c)は、X線光電子分光法(XPS)で測定した、第3のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加割合が、20%〜120%になるように酸化処理を行うことができる。このような第3のカーボンナノファイバーの表面酸素濃度に対する第4のカーボンナノファイバーの表面酸素濃度の増加割合は、工程(b)における機械的作用による処理を圧縮処理によって行った場合は60%〜120%であることができ、工程(b)における機械的作用による処理を粉砕処理によって行った場合は43%〜90%であることができ、さらに48%〜76%であることができる。工程(c)で得られた第4のカーボンナノファイバーのX線光電子分光法(XPS)で測定した表面の酸素濃度は、2.6atm%〜4.6atm%であることができ、工程(b)における機械的作用による処理を圧縮処理によって行った場合は3.0atm%〜4.6atm%であることができ、さらに3.1atm%〜4.6atm%であることができ、工程(b)における機械的作用による処理を粉砕処理によって行った場合は3.0atm%〜4.0atm%であることができ、さらに3.1atm%〜3.7atm%であることができる。このように、第3のカーボンナノファイバーの表面が適度に酸化していることで、第4のカーボンナノファイバーとエラストマーとの表面反応性が向上し、エラストマー中におけるカーボンナノファイバーの分散不良を改善することができる。
このように工程(c)で酸化処理された第4のカーボンナノファイバーの質量は、第3のカーボンナノファイバーの質量より例えば2%〜20%減量することができ、この減量の範囲であれば第4のカーボンナノファイバーが適度に酸化していると推測できる。第4のカーボンナノファイバーの質量が第3のカーボンナノファイバーの質量より2%未満しか減量していないと、第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度が低いため濡れ性の向上が得にくい傾向がある。また、第3のカーボンナノファイバーの質量より20%を超えて減量した第4のカーボンナノファイバーは、減量が20%以下の第4のカーボンナノファイバーに比べて濡れ性がほとんど変わらないにもかかわらず、酸化処理によるカーボンナノファイバーの減量による損失が大きく、しかも熱処理のエネルギー消費量に対して経済的にも不利になる傾向がある。第3のカーボンナノファイバーの表面が酸化することによって、第3のカーボンナノファイバーの表面の炭素の一部が炭酸ガスとして気化して減量することになるからである。第4のカーボンナノファイバーの質量が第3のカーボンナノファイバーの質量より20%を超えなければ繊維長がほとんど短くならないと推測できるため好ましい。なお、第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度は、XPS(X線光電子分光法)によって分析することができる。XPSによる酸素濃度の分析は、第4のカーボンナノファイバーの表面に付着した不純物を除去するために、測定前の第4のカーボンナノファイバーに対し例えば0.5分〜1.0分間のアルゴンガスエッチングを行い、第4のカーボンナノファイバーの清浄な表面を出してから分析を行うことが好ましい。このアルゴンガスエッチングのアルゴンガス濃度は、5×10−2Pa〜20×10−2Paであることができる。また、XPSによる酸素濃度の分析は、XPS装置の金属台の上に導電性接着剤である例えばカーボンテープを貼り、そのカーボンテープ上に第4のカーボンナノファイバーをふりかけてカーボンテープに付着させ、カーボンテープに付着しなかった余分な第4のカーボンナノファイバーを振り落として取り除いた状態で行うことができる。このように、XPSによる酸素濃度の分析においては、第4のカーボンナノファイバーをカーボンテープ上に押しつけてブロック状に固めることなく、なるべく粉体に近い状態で分析することができる。なお、第3のカーボンナノファイバーも同様にXPS装置で測定することができる。
工程(c)によって得られた第4のカーボンナノファイバーは、ラマン散乱分光法によって測定される1600cm−1付近のピーク強度Gに対する1300cm−1付近のピーク強度Dの比(D/G)が0.12〜0.22であることができる。第4のカーボンナノファイバーのラマンピーク比(D/G)は、その表面の結晶に欠陥が多くなるため、第3のカーボンナノファイバーのラマンピーク比(D/G)よりも大きくなる。第4のカーボンナノファイバーは、そのラマンピーク比(D/G)が第3のカーボンナノファイバーのラマンピーク比(D/G)より0.02以上増加する程度に酸化することが望ましい。また、第4のカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が34m/g〜58m/gであることができる。第4のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積は、その表面が荒れるため、第3のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積よりも大きくなる。第4のカーボンナノファイバーは、その窒素吸着比表面積が第3のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積より9m/g以上増加する程度に酸化することが望ましい。工程(c)に用いられる第4のカーボンナノファイバーの平均直径は第1のカーボンナノファイバーの平均直径とほとんど変わらない。このような気相成長法で得られた第4のカーボンナノファイバーの平均直径は、70nm〜100nmであることができる。このような第4のカーボンナノファイバーを用いることにより、エラストマーとの表面反応性が向上し、エラストマーに対する濡れ性を改善することができ、体積固有抵抗値が高く電気絶縁性能に優れた炭素繊維複合材料を得ることができる。第4のカーボンナノファイバーのエラストマーへの配合量は、用途に応じて設定することができるが、第4のカーボンナノファイバーはエラストマーとの濡れ性が向上しているため、例えば同じ剛性の炭素繊維複合材料を製造する場合、従来よりも配合量を減らすことができる。
(II)エラストマー
次に、炭素繊維複合材料の製造方法に用いられるエラストマーについて説明する。
エラストマーは、重量平均分子量が5000〜500万であることができ、さらに2万〜300万であることができる。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーは、第4のカーボンナノファイバーを分散させるために良好な弾性を有している。エラストマーは、粘性を有しているので凝集した第4のカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによって第4のカーボンナノファイバー同士を分離することができるため好ましい。エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃、観測核がHで測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100〜3000μ秒であることができ、さらに200〜1000μ秒であることができる。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわち第4のカーボンナノファイバーを分散させるために適度な弾性を有することができる。また、エラストマーは粘性を有しているので、エラストマーと第4のカーボンナノファイバーとを混合したときに、エラストマーは高い分子運動により第4のカーボンナノファイバーの相互の隙間に容易に侵入することができる。また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃、観測核がHで測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100〜2000μ秒であることができる。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、上記の条件を有する未架橋体を架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ上記範囲に含まれることができる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90°パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかるエラストマーは中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90°パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーの末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、例えば、二重結合、三重結合、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつであることができる。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーと第4のカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、第4のカーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。そして、エラストマーと、第4のカーボンナノファイバーと、を混練する際に、エラストマーの分子鎖が切断されて生成したフリーラジカルは、第4のカーボンナノファイバーの欠陥を攻撃し、第4のカーボンナノファイバーの表面にラジカルを生成すると推測できる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、パーフロロエラストマー(FFKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。特に、エラストマーの混練の際にフリーラジカルを生成しやすい極性の高いエラストマー、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)などが好ましい。また、極性の低いエラストマー、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)であっても、混練の温度を比較的高温(例えばEPDMの場合、50℃〜150℃)とすることで、フリーラジカルを生成するので本発明に用いることができる。なお、フッ素ゴムに代表される含フッ素エラストマーを用いることで第4のカーボンナノファイバーを配合することで、比較的高い体積固有抵抗値を有する炭素繊維複合材料を得ることができる。また、エラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、エラストマーは架橋体あるいは未架橋体のいずれであってもよいが、未架橋体を用いることが好ましい。
(III)炭素繊維複合材料の製造方法
本発明の一実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る
工程(a)と、前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、を含み、前記工程(b)の前記機械的作用は、圧縮処理によってなされ、前記圧縮処理によって得られた第3のカーボンナノファイバーは、分岐部を有しておらず、前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであることを特徴とする本発明の一実施形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る工程(a)と、前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、を含み、前記工程(b)の前記機械的作用は、粉砕処理によって前記第2のカーボンナノファイバーの繊維長をほとんど損なうことなく分岐部を減らし、前記第3のカーボンナノファイバーのタップ密度は、前記第2のカーボンナノファイバーのタップ密度の1.5倍〜10倍であり、前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであることを特徴とする。工程(a)〜(c)については、前記(I)において説明したので省略する。工程(d)について図4〜図6を用いて詳細に説明する。
図4〜図6は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法による工程(d)を模式的に示す図である。図4〜図6に示すように、2本ロールのオープンロール2における第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば0.5mm〜1.5mmの間隔で配置され、図4〜図6において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。
まず、図4に示すように、第1のロール10に巻き付けられたエラストマー30の素練りを行ない、エラストマー分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたエラストマーのフリーラジカルが工程(c)で得られた第4のカーボンナノファイバーと結びつきやすい状態となる。
次に、図5に示すように、第1のロール10に巻き付けられたエラストマー30のバンク34に、第4のカーボンナノファイバー90を投入し、混練する。エラストマー30と第4のカーボンナノファイバー90とを混合する工程は、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
さらに、図6に示すように、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、0.5mm以下とすることができ、より好ましくは0〜0.5mmの間隔に設定し、混合物36をオープンロール2に投入して薄通しを1回〜複数回行なう。薄通しの回数は、例えば1回〜10回程度行なうことができる。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00であることができ、さらに1.05〜1.2であることができる。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。このように狭いロール間から押し出された炭素繊維複合材料50は、エラストマー30の弾性による復元力で図6のように大きく変形し、その際にエラストマー30と共に第4のカーボンナノファイバー90が大きく移動する。薄通しして得られた炭素繊維複合材料50は、ロールで圧延されて所定厚さのシート状に分出しされる。この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0〜50℃とすることができ、より好ましくは5〜30℃の比較的低い温度に設定して行われ、エラストマー30の実測温度も
0〜50℃に調整することができる。このようにして得られた剪断力により、エラストマー30に高い剪断力が作用し、凝集していた第4のカーボンナノファイバー90がエラストマー分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30中に分散される。特に、エラストマー30は、弾性と、粘性と、第4のカーボンナノファイバー90との化学的相互作用と、を有するため、第4のカーボンナノファイバー90を容易に分散することができる。そして、第4のカーボンナノファイバー90の分散性および分散安定性(第4のカーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料50を得ることができる。
より具体的には、オープンロールでエラストマーと第4のカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーが第4のカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によって第4のカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。第4のカーボンナノファイバーの表面が例えば酸化処理によって適度に活性が高いと、特にエラストマー分子と結合し易くなることができる。次に、エラストマーに強い剪断力が作用すると、エラストマー分子の移動に伴って第4のカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していた第4のカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。本実施の形態によれば、炭素繊維複合材料が狭いロール間から押し出された際に、エラストマーの弾性による復元力で炭素繊維複合材料はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した炭素繊維複合材料をさらに複雑に流動させ、第4のカーボンナノファイバーをエラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散した第4のカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
エラストマーに第4のカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程(d)は、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集した第4のカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができる。
工程(d)は、薄通し後の分出しされた炭素繊維複合材料に架橋剤を混合し、架橋して架橋体の炭素繊維複合材料としてもよい。また、炭素繊維複合材料は、架橋させずに成形してもよい。炭素繊維複合材料は、オープンロール法によって得られたシート状のままでもよいし、工程(d)で得られた炭素繊維複合材料を一般に採用されるゴムの成形加工例えば、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法、押出成形法、カレンダー加工法などによって所望の形状例えばシート状に成形してもよい。
本実施の形態にかかる工程(d)において、通常、エラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。これらの配合剤は、例えばオープンロールにおける第4のカーボンナノファイバーの投入前にエラストマーに投入することができる。
なお、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法においては、ゴム弾性を有した状態のエラストマーに第4のカーボンナノファイバーを直接混合したが、これに限らず、以下の方法を採用することもできる。まず、第4のカーボンナノファイバーを混合する前に、エラストマーを素練りしてエラストマーの分子量を低下させる。エラストマーは、素練りによって分子量が低下すると、粘度が低下するため、凝集した第4のカーボンナノファイバーの空隙に浸透しやすくなる。原料となるエラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃、観測核がHで測定した、未架橋体における、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100〜3000μ秒のゴム状弾性体である。この原料のエラストマーを素練りしてエラストマーの分子量を低下させ、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が3000μ秒を越える液体状のエラストマーを得る。なお、素練り後の液体状のエラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は、素練りする前の原料のエラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)の5〜30倍であることができる。この素練りは、エラストマーが固体状態のままで行なう一般的な素練りとは異なり、強剪断力を例えばオープンロール法で与えることによってエラストマーの分子を切断し分子量を著しく低下させ、混練に適さない程の流動を示すまで、例えば液体状態になるまで行なわれる。この素練りは、例えばオープンロール法を用いた場合、ロール温度20℃(素練り時間最短60分)〜150℃(素練り時間最短10分)で行なわれロール間隔dは例えば0.5mm〜1.0mmで、素練りして液体状態のエラストマーに第4のカーボンナノファイバーを投入する。しかしながら、エラストマーは液体状で弾性が著しく低下しているため、エラストマーのフリーラジカルと第4のカーボンナノファイバーが結びついた状態で混練しても凝集した第4のカーボンナノファイバーはあまり分散されない。
そこで、液体状のエラストマーと第4のカーボンナノファイバーとを混合して得られた混合物中におけるエラストマーの分子量を増大させ、エラストマーの弾性を回復させてゴム状弾性体の混合物を得た後、先に説明したオープンロール法の薄通しなどを実施して第4のカーボンナノファイバーをエラストマー中に均一に分散させる。エラストマーの分子量が増大した混合物は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃、観測核がHで測定した、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が3000μ秒以下のゴム状弾性体である。また、エラストマーの分子量が増大したゴム状弾性体の混合物の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は、素練りする前の原料エラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)の0.5〜10倍であることができる。ゴム状弾性体の混合物の弾性は、エラストマーの分子形態(分子量で観測できる)や分子運動性(T2nで観測できる)によって表すことができる。エラストマーの分子量を増大させる工程は、混合物を加熱処理例えば40℃〜100℃に設定された加熱炉内に混合物を配置し、10時間〜100時間行なわれることができる。このような加熱処理によって、混合物中に存在するエラストマーのフリーラジカル同士の結合などによって分子鎖が延長され、分子量が増大する。また、エラストマーの分子量の増大を短時間で実施する場合には、架橋剤を少量、例えば架橋剤の適量の1/2以下を混合させておき、混合物を加熱処理(例えばアニーリング処理)し架橋反応によって短時間で分子量を増大させることもできる。架橋反応によってエラストマーの分子量を増大させる場合には、この後の工程で混練が困難にならない程度に架橋剤の配合量、加熱時間及び加熱温度を設定することができる。
ここで説明した工程(d)によれば、第4のカーボンナノファイバーを投入する前にエラストマーの粘性を低下させることで、エラストマー中に第4のカーボンナノファイバーをより均一に分散させることができる。より詳細には、先に説明した製造方法のように分子量が大きいエラストマーに第4のカーボンナノファイバーを混合するよりも、分子量が低下した液体状のエラストマーを用いた方が凝集した第4のカーボンナノファイバーの空隙に侵入しやすく、薄通しの工程において第4のカーボンナノファイバーをより均一に分散させることができる。また、エラストマーが分子切断されることで大量に生成されたエラストマーのフリーラジカルが第4のカーボンナノファイバーの適度に酸化された表面とより強固に結合することができるため、さらに第4のカーボンナノファイバーを均一に分散させることができる。したがって、ここで説明した工程(d)によれば、先に説明した工程(d)よりも少量の第4のカーボンナノファイバーでも同等の性能を得ることができ、高価な第4のカーボンナノファイバーを節約することで経済性も向上する。
(IV)炭素繊維複合材料
次に、工程(d)によって得られた炭素繊維複合材料について説明する。
炭素繊維複合材料は、エラストマー100質量部に対して、機械的作用により分岐部が無く又は減らしかつ酸化したカーボンナノファイバーを20質量部〜100質量部含み、200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜1000MPaであって、体積固有抵抗値が106Ω・cm〜1018Ω・cmである。炭素繊維複合材料は、エラストマーと、該エラストマー中に均一に分散した第4のカーボンナノファイバーと、を含むことができる。
一般に、エラストマーやプラスチックなどは、室温での体積固有抵抗値が1012(Ω・cm)を超えるものが多く、絶縁性の高いもので体積固有抵抗値が1018(Ω・cm)程度の電気絶縁性を有している。しかしながら、一般に市販されているカーボンナノファイバー、例えば気相成長炭素繊維などをエラストマーに均一に分散させて配合した場合、気相成長炭素繊維が比較的少量であっても101(Ω・cm)程度の体積固有抵抗値を示すことがわかっている。つまり、カーボンナノファイバーによってエラストマーを補強しようとすると、エラストマーの絶縁性を維持することができなくなり、補強と絶縁性とを同時に得ることが難しいということが従来の技術常識であった。なお、本実施形態において体積固有抵抗値といえば、室温におけるJIS−7194に準拠して四探針法により測定された値をいうものとする。
本実施の形態における炭素繊維複合材料は、比較的大量に第4のカーボンナノファイバーを配合しかつ均一に分散させて所望の強度を得ても、電気伝導し難く、体積固有抵抗値が高いものであることができる。炭素繊維複合材料は、カーボンナノファイバーの補強により高い強度や耐熱性を有することができ、しかも、ゴム材料としての電気絶縁性を要求される用途にも採用することが可能になる。必要とされる電気絶縁性は、ゴム材料の用途にもよるが、例えば体積固有抵抗値が106(Ω・cm)以上を要求される場合があり、特に体積固有抵抗値が107(Ω・cm)以上を要求されることが多く、これらの用途にも適用可能である。
油田用途の絶縁性物品は、炭素繊維複合材料を含むことができる。電子部品は、前記絶縁性物品を含むことができる。検層装置は、筐体と、該筐体内に配置された前記電子部品と、を備えることができる。
体積固有抵抗値が106(Ω・cm)以上を要求される用途としては、例えば油田に用いられる検層装置におけるアナログ信号を用いた通信において有効であり、体積固有抵抗値が107(Ω・cm)以上を要求される用途としては、例えば検層装置におけるデジタル信号を用いた通信において有効であり、通信速度を上げるためにはさらに体積固有抵抗値が108(Ω・cm)以上を要求されることがあり、特に、体積固有抵抗値が109(Ω・cm)以上を要求されることがある。炭素繊維複合材料は、体積固有抵抗値が106Ω・cm〜1018Ω・cmであり、107Ω・cm〜1018Ω・cmであることができ、さら
には108Ω・cm〜1018Ω・cmであることができ、特に109Ω・cm〜1018Ω・cmであることができる。例えば、工程(b)で圧縮処理を採用した第4のカーボンナノファイバーと、エラストマーに含フッ素エラストマーと、を用いた炭素繊維複合材料は、200℃における動的弾性率(E')が15MPa〜300MPaであって、体積固有抵抗値が1011Ω・cm〜1018Ω・cmであることができる。例えば、工程(b)で圧縮処理を採用した第4のカーボンナノファイバーと、エラストマーにエチレン−プロピレンゴムと、を用いた炭素繊維複合材料は、200℃における動的弾性率(E')が10MPa〜200MPaであって、体積固有抵抗値が107Ω・cm〜1018Ω・cmであることができる。例えば、工程(b)で粉砕処理を採用した第4のカーボンナノファイバーと、エラストマーにエチレン−プロピレンゴムと、を用いた炭素繊維複合材料は、200℃における動的弾性率(E')が10MPa〜200MPaであって、体積固有抵抗値が108Ω・cm〜1018Ω・cmであることができる。なお、本実施の形態において動的弾性率(E')は、JIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行って測定されるものとする。
炭素繊維複合材料は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって150℃、観測核がHで測定した、無架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100〜3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0〜0.2であることができる。炭素繊維複合材料の150℃で測定したT2n及びfnnは、マトリックスであるエラストマーに第4のカーボンナノファイバーが均一に分散されていることを表すことができる。つまり、エラストマーに第4のカーボンナノファイバーが均一に分散されているということは、エラストマーが第4のカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、第4のカーボンナノファイバーによって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、第4のカーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、炭素繊維複合材料の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、第4のカーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より短くなり、特に第4のカーボンナノファイバーが均一に分散することでより短くなる。
また、エラストマー分子が第4のカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、第4のカーボンナノファイバーによってエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、第4のカーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は、fn+fnn=1であるので、第4のカーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より小さくなる。したがって、炭素繊維複合材料は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が上記の範囲にあることによって第4のカーボンナノファイバーが均一に分散されていることがわかる。
また、第4のカーボンナノファイバーの周囲には、エラストマーの一部が混練中に分子鎖切断され、それによって生成されたフリーラジカルが第4のカーボンナノファイバーの表面をアタックして吸着したエラストマー分子の凝集体と考えられる界面相が形成される。界面相は、例えばエラストマーとカーボンブラックとを混練した際にカーボンブラックの周囲に形成されるバウンドラバーに類似するものと考えられる。このような界面相は、第4のカーボンナノファイバーを被覆して保護し、また、カーボンナノファイバーを所定量以上配合することで界面相同士が連鎖した界面相に囲まれてナノメートルサイズに分割されたエラストマーの小さなセルを形成すると推定される。このような小さなセルが炭素繊維複合材料の全体にほぼ均質に形成されることで、単に2つの材料を複合したことによる効果を超えた効果を期待することができる。
(V)検層装置
図7は、本発明の一実施形態にかかる海底用途の検層装置を模式的に示す断面図である。図8は、本発明の一実施形態にかかる図7における検層装置の筐体を模式的に示す断面図である。図9は、本発明の一実施形態にかかる地下用途の検層装置を模式的に示す断面図である。
検層装置(logging tool)は、例えば掘削された坑井(borehole)内及び坑井周辺の地層、油層などの物理的特性や坑井あるいはケーシングの幾何学的特性(孔径、方位、傾斜等)、油層の流れの挙動などを深度毎に記録するための装置であって、例えば油田(oilfield)において用いることができる。油田用途の検層装置としては、例えば、図7,8に示す海底(subsea)用途と、図9に示す地下(underground)用途と、が挙げることができる。検層装置には、ワイヤーライン検層(Wireline log/logging)や泥水検層(Mud logging)などがあり、測定機器が掘削アッセンブリーに装備されている掘削中検層(LWD:Logging While Drilling)や掘削中測定(MWD:Measurement While Drilling)などがあるが、ここではワイヤーライン検層に用いる検層装置について説明する。
図7に示すように、海洋でのワイヤーライン検層を用いた地下資源の探査は、例えば海152に浮くプラットホーム150から海底154に設けられた縦穴や横穴などで構成される坑井156内に検層装置として例えばダウンホール装置(Downhole Apparatus)160を進入させ、地中の地質構造などを探査し、目標物質である例えば石油の有無を探査する。ダウンホール装置160は、例えばプラットホームから延びる長いケーブルもしくはコミュニケーション・リンクの先端に固定され、図8に示すような複数の圧力容器などの筐体161を内部に有する。筐体161の内部には、例えば電気検層(SP検層、ノルマル検層、インダクション検層、ラテロ検層、マイクロ比抵抗検層など)、放射能検層(ガンマ線検層、中性子検層、密度検層、核磁気共鳴検層など)、音波検層(音波(音響)検層、アレー・音波検層、セメント・ボンド検層など)、地質情報検層(ディップメーター、FMIなど)、震探検層(チェックショット速度検層、VSPなど)、サンプリング検層(サイドウォール・コアリング検層、RFT,MDTなど)、補助検層(キャリパー(坑径)測定、坑井幾何学特性検層、温度検層など)、特別検層(過酷条件下での検層(Logs in hostile environment)、掘削管経由検層(measurement through drill pipe)など)などの探査用電子機器が探査の目的に合わせて選択して封入されて配置され、地中の地質構造などを探査することが可能であるが、地下深く掘削された坑井156内部では高温にさらされるとともに、坑井156へ進入する際の振動や衝撃を受けるため、筐体161内の電子機器にも高い耐熱性と高い強度が要求される。
筐体161の内部には、電気コネクタ162が例えば複数配置され、あるいは、複数の筐体161がその端部内に形成された電気コネクタ162によって互いに連結されている。電気コネクタ162は、互いに離間配置された複数のピン162aと、複数のピン162aを固定する支持部162bと、を含み、支持部162bは、炭素繊維複合材料によって形成することができ、例えば図8の筐体161の両端部に配置された電気コネクタ162のように炭素繊維複合材料で形成した支持部162bによって複数のピン162a間の絶縁性を維持したまま固定することができる。電気コネクタ162のピン162aは、ダウンホール装置160振動や衝撃を受け、あるいは電線163に接続される場合にはその電線163が振動で振れるため、ピン162aを確実に固定する強度が要求されるが、炭素繊維複合材料によってピン162aを固定することで坑井156内の高温の過酷な環境においても比較的長時間利用可能であり、しかもカーボンナノファイバーで補強しているにもかかわらず例えば一般にピン間に要求される体積固有抵抗値10(Ω・cm)以上の絶縁性能を有することができる。また、電気コネクタ162の支持部162bは、筐体161におけるフィードスルー(feedthrough)として機能することができる。フィードスルーは、例えば米国特許第7,226,312号に示され、参考文献としてここに援用する。
また、筐体161の内部には、複数の電線163が配置され、例えば電気コネクタ162のピン162aなどに接続されている。電線163は、例えば芯材として導電性金属の導線と、導線を被覆した被覆部と、を含み、被覆部は、炭素繊維複合材料によって形成することができる。このように炭素繊維複合材料で被覆された電線163は、ダウンホール装置160の高温の過酷な環境下における振動や衝撃に耐え、かつ、絶縁性を有することができる。電線は、例えば米国特許第6,446,723号に示され、参考文献としてここに援用する。
さらに、筐体161に接続されて該筐体161の外部に延びる、電線などの複数の芯線を束ねたケーブル164が配置されている。ケーブル164は、芯線と、該芯線を被覆した被覆部と、を含み、被覆部は、炭素繊維複合材料によって形成することができる。ケーブル164の芯線は、複数の芯線例えば電線で形成することができる。このようなケーブル164は、ワイヤーライン検層においては地下にある筐体161と地上にあるデータ取得システムとの間でのデータやコマンドの送受信や電力を筐体161内の電子機器に送る役割を有することができる。このようなケーブル164は、坑井156内に延びるロッド内面との接触による摩耗や破断に耐え、かつ、絶縁性を有することができる。ケーブルは、例えば米国特許第7,259,331号に示され、参考文献としてここに援用する。
また、筐体161の内部には、例えば複数のコイル165が配置され、これらコイル165にはマグネットワイヤが巻きつけられている。マグネットワイヤは、コイルワイヤと呼ばれることもある。このマグネットワイヤは、導線と、該導線を被覆した被覆部と、を含み、被覆部は、炭素繊維複合材料によって形成することができる。被覆部は、炭素繊維複合材料を用いることで薄い絶縁被膜として形成され、ダウンホール装置160の高温の過酷な環境下における振動や衝撃に耐え、かつ、絶縁性を有することができる。マグネットワイヤを炭素繊維複合材料によって被覆することによって、絶縁性を維持しながら、第4のカーボンナノファイバーによる伝熱効果によって効果的に放熱することができる。マグネットワイヤは、例えば米国特許第6,898,997号に示され、参考文献としてここに援用する。
さらに、筐体161の内部には、例えば複数の電子部品167を配置した電気基板166が配置されている。
また、筐体161の内部には、例えば複数の電子部品167の自己発熱による過熱を防止するため、放熱シート167aを配置することができる。放熱シート167aは、ヒートシンクとも呼ばれ、例えば電子部品167の表面に接触して、図8においては電子部品167と電気基板166との間に配置されているが、電気基板166とは反対側の電子部品167の表面に接触するように配置することもできる。放熱シート167aを炭素繊維複合材料によって形成することによって、電子部品167との絶縁性を維持しながら、第4のカーボンナノファイバーによる伝熱効果によって効果的に放熱することができる。さらに、この放熱シート167aを免振シートとして用いることもでき、電子部品167の耐衝撃性を向上させることができる。放熱シートは、例えば米国特許公開2008/0223579号に示され、参考文献としてここに援用する。免振シートは、例えば米国特許第6,280,874号、米国特許公開第2009/0183941号、及び米国特許公開第2009/0151589号に示され、参考文献としてここに援用する。
さらに、筐体161内に配置された電子部品167や筐体161の壁部161a内に埋め込まれた電子部品(センサ168)は、炭素繊維複合材料によって全体を覆うように封入することができる。このように電子部品167の全体を炭素繊維複合材料によって防水構造とすることができる。例えば、センサ168は、センサ168に接続された図示しないリード線を含む電線163とともに、筐体161の壁部161aに形成された開口168a内に配置され、その開口168aを炭素繊維複合材料168bによって封入(モールドとも呼ぶことがある)されている。また、図示していないが、電気基板166上の電子部品167の全体を覆うように電子部品167を炭素繊維複合材料内に封入してもよい。このように炭素繊維複合材料168bによって覆われたセンサ168や電子部品167は、筐体161の外部や筐体161内部の水分に対して防水構造をとるとともに、絶縁性能を有することができる。
なお、炭素繊維複合材料を用いた前記各部品における強度や絶縁性などの要求性能に応じて第4のカーボンナノファイバーの配合量やその他の配合剤例えばカーボンブラックなどを適宜配合することができる。また、図7,8を用いて説明した検層装置は、本発明の一実施形態であって、図8では筐体161、電気コネクタ162、ケーブル164、コイル165、電気基板166、放熱シート167a、及び防水構造を1つの検層装置に組み込んだ例を説明したが、これに限らず、検層用途に合わせて選択して組み込むことができる。
図9に示すように、地表153でのワイヤーライン検層を用いた地下資源の探査は、例えば検層トラック151aやウインチ151bなどで構成された地上装置151と、ウインチ151bから坑井156内に延びるワイヤーライン155の先端に固定された例えばダウンホール装置(Downhole Apparatus)160によって行うことができる。ダウンホール装置160については、前記海底用途の検層装置と基本的には同様であるので、ここでは説明を省略する。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)カーボンナノファイバーの作成
(1−1)縦型加熱炉(内径17.0cm、長さ150cm)の頂部に、スプレーノズルを取り付ける。加熱炉の炉内壁温度(反応温度)を1000℃に昇温・維持し、スプレーノズルから4重量%のフェロセンを含有するベンゼンの液体原料20g/分を100L/分の水素ガスの流量で炉壁に直接噴霧(スプレー)散布するように供給する。この時のスプレーの形状は円錐側面状(ラッパ状ないし傘状)であり、ノズルの頂角が60°である。このような条件の下で、フェロセンは熱分解して鉄微粒子を作り、これがシード(種)となってベンゼンの熱分解による炭素から、第1のカーボンナノファイバーを生成成長させた。本方法で成長した第1のカーボンナノファイバーを5分間隔で掻き落としながら1時間にわたって連続的に製造した。
(1−2)比較例サンプルを製造するためのカーボンナノファイバーとして、黒鉛化カーボンナノファイバー(表では「S」と示す)と、粉砕処理カーボンナノファイバー(表では「SH」と示す)と、酸化処理カーボンナノファイバー(表では「SO」と示す)と、を得た。
黒鉛化カーボンナノファイバー(S)は、前記(1−1)で得られた第1のカーボンナノファイバーを、さらに不活性ガス雰囲気中において2800℃で熱処理して黒鉛化した。黒鉛化カーボンナノファイバー(S)は、平均直径87nm、平均長さ9.1μm、表面の酸素濃度2.1atm%であった。黒鉛化カーボンナノファイバー(S)は、市販されているカーボンナノファイバーであって、昭和電工社製の商品名VGCF−Sである。
粉砕処理カーボンナノファイバー(SH)は、前記黒鉛化カーボンナノファイバー(S)を、大阪ケミカル社製回転式粉砕機ワンダーブレンダーWB−1(ステンレス粉砕刃、周速度180m/s)に入れ、0.5分間粉砕処理を行って得た。
酸化処理カーボンナノファイバー(SO)は、前記黒鉛化カーボンナノファイバー(S)120gを容器(寸法は300mm×300mm×150mm)に入れ、50ml/minで大気雰囲気を連続流入した加熱炉(寸法は700mm×350mm×900mm)に入れ、表1に示す工程(c)の熱処理温度と熱処理時間で加熱炉内で保持して熱処理することで酸化処理を行って得た。なお、加熱炉内の実際の温度は、設定温度に対し±30℃の範囲であった。
(1−3)工程(b)で圧縮処理を用いた第4のカーボンナノファイバー(表では「SAPO」と示す)は、前記(1−1)で得られた第1のカーボンナノファイバーを、不活性ガス雰囲気中で前記気相成長法における反応温度より低温である表1に示す工程(a)の熱処理温度(1200℃)で熱処理して第2のカーボンナノファイバー(SA)を得て、第2のカーボンナノファイバー(SA)を2本のロールを有する乾式圧縮造粒機に投入して表1に示す工程(b)のロール処理を行って第3のカーボンナノファイバー(SAP)を得て、第3のカーボンナノファイバー(SAP)を大気雰囲気の加熱炉に入れ、表1に示す工程(c)の熱処理温度(650℃)と熱処理時間(2時間)で加熱炉内で保持して熱処理することで酸化処理を行って得た。なお、第4のカーボンナノファイバーの製造における工程(b)のロール処理は、第2のカーボンナノファイバー(SA)を、2本のロールを有する乾式圧縮造粒機に投入して得た。乾式圧縮造粒機はロールプレス機(ロール径は150mm、ロールは平滑ロール、ロール間隔は0mm、ロール間の設定圧縮力(線圧)は1960N/cm、ギア比1:1.3、ロール回転数3rpm)であった。ロール処理カーボンナノファイバーは、直径が約2〜3cmの板状の塊(カーボンナノファイバー集合体)に造粒された。その造粒された板状の塊をさらに、8枚の回転刃を有する破砕造粒整粒機(回転数15rpm、スクリーン5mm)を通して破砕し、粒径を整えた。また、第4のカーボンナノファイバーの製造における工程(c)の酸化処理は、前記酸化処理カーボンナノファイバー(SO)の製造条件と同様であったのでここでの説明は省略する。
工程(b)で粉砕処理を用いた第4のカーボンナノファイバー(表では「SAHO」と示す)は、前記(1−1)で得られた第1のカーボンナノファイバーを、不活性ガス雰囲気中で前記気相成長法における反応温度より低温である表1に示す工程(a)の熱処理温度(1200℃)で熱処理して第2のカーボンナノファイバー(SA)を得て、第2のカーボンナノファイバー(SA)を大阪ケミカル社製回転式粉砕機ワンダーブレンダーWB−1(ステンレス粉砕刃、周速度180m/s)に入れ、表1に示す工程(b)の粉砕処理を0.5分間行って第3のカーボンナノファイバー(SAH)を得て、第3のカーボンナノファイバー(SAH)を大気雰囲気の加熱炉に入れ、表1に示す工程(c)の熱処理温度(650℃)と熱処理時間(2時間)で加熱炉内で保持して熱処理することで酸化処理を行って得た。なお、第4のカーボンナノファイバーの製造における工程(b)の粉砕処理は、前記粉砕処理カーボンナノファイバー(SH)の製造条件と同様であり、第4のカーボンナノファイバーの製造における工程(c)の酸化処理は、前記酸化処理カーボンナノファイバー(SO)の製造条件と同様であったのでここでの説明は省略する。
(1−4)このようにして得られた各カーボンナノファイバー(S,SH,SO,SAPO,SAHO)について、嵩密度、繊維長、欠陥の割合、質量残量率、ラマンピーク比、タップ密度、窒素吸着比表面積、酸素濃度、酸素濃度の増加量及び酸素濃度の増加割合を測定し、その結果を表1に示した。表1において、測定していない欄は「−」で示した。
嵩密度の測定は、零タップ密度とも呼ばれることがあり、JIS−K6219−2に従って測定した。
繊維長の測定及び欠陥を有する割合の測定は、カーボンナノファイバーを走査型電子顕微鏡(SEM)で5000倍にて40視野本撮影し、視野毎に50本ずつ合計200本の繊維について、繊維長及び欠陥を有する繊維の本数を計測して求めた。欠陥は、分岐部と折曲部を有する繊維の本数をそれぞれ数え、欠陥(分岐部と折曲部)の割合は、各欠陥を有する繊維の本数が200本中に含まれる割合(%)を計算した。また、最大繊維長が20μm以上あるカーボンナノファイバーの割合(表1には「20μm以上の割合」と示した)を計算した。
第4のカーボンナノファイバー(SAPO)の質量残量率の測定は、第3のカーボンナノファイバー(SAP)の質量を100質量%としたときにおける第4のカーボンナノファイバー(SAPO)の質量の割合を質量残量率とした。第4のカーボンナノファイバー(SAHO)の質量残量率の測定は、第3のカーボンナノファイバー(SAH)の質量を100質量%としたときにおける第4のカーボンナノファイバー(SAHO)の質量の割合を質量残量率とした。また、酸化処理カーボンナノファイバー(SO)の質量残量率の測定は、黒鉛化カーボンナノファイバー(S)の質量を100質量%としたときにおける酸化処理カーボンナノファイバー(SO)の質量の割合を質量残量率とした。
ラマンピーク比の測定は、KAISER OPTICAL SYSTEM社製HOLOLAB−5000型(532nmND:YAG)を用いてラマン散乱分光法によって各カーボンナノファイバーにおける1600cm−1付近のピーク強度Gに対する1300cm−1付近のピーク強度Dの比(D/G)を測定した。
窒素吸着比表面積の測定は、ユアサアイオニクス社製NOVA3000型(窒素ガス)を用いて各カーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積(m/g)を測定した。表には記載していないが、第3のカーボンナノファイバー(SAH)の窒素吸着比表面積は、38(m/g)であった。
酸素濃度の測定は、第3のカーボンナノファイバー(SAPもしくはSAH)、黒鉛化カーボンナノファイバー(S)、酸化処理カーボンナノファイバー(SO)及び第4のカーボンナノファイバー(SAPOもしくはSAHO)をXPS(X線光電子分光分析法(X−ray Photoelectron Spectroscopy))を用いて測定した。具体的には、例えば第4のカーボンナノファイバーについて説明すると、まず、第4のカーボンナノファイバーを金属台上のカーボンテープ上にふりかけてカーボンテープに付着させ、カーボンテープに付着しなかった余分な第4のカーボンナノファイバーを振り落として取り除いて、金属台をXPS装置の中に装着した。XPS装置は、日本電子社製の「マイクロ分析用X線光電子分光装置JPS−9200(以下、XPS装置)を用いた。そして、次に、粉体状の試料である第4のカーボンナノファイバーをアルゴンガス濃度8×10−2Pa、0.5分間でアルゴンガスエッチングを行い、第4のカーボンナノファイバーの清浄な表面を出した。さらに、XPS装置のX線源を分析径1mm、対陰極Al/Mgツインターゲット、加速電圧10kV、エミッション電流30mAに設定して第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度を測定した。XPSによって検出された第4のカーボンナノファイバーの表面の元素は酸素と炭素であった。他のカーボンナノファイバーについても同様に測定を行った。
各カーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の測定結果に基づいて、酸化処理を行う前の第3のカーボンナノファイバー(SAP)の表面酸素濃度(a)に対する第4のカーボンナノファイバー(SAPO)の表面酸素濃度(b)の増加量(c=b−a)及び表面酸素濃度の増加割合(d=100・c/a)を計算し、表1に示した。また、酸化処理を行う前の第3のカーボンナノファイバー(SAH)の表面酸素濃度(a)に対する第4のカーボンナノファイバー(SAHO)の表面酸素濃度(b)の増加量(c=b−a)及び表面酸素濃度の増加割合(d=100・c/a)を計算し、表1に示した。また、酸化処理を行う前の黒鉛化処理カーボンナノファイバー(S)の表面酸素濃度(a)に対する酸化処理カーボンナノファイバー(SO)の表面酸素濃度(b)の増加量(c=b−a)及び表面酸素濃度の増加割合(d=100・c/a)を計算し、表1に示した。
Figure 0005647152
(2)実施例1〜8及び比較例1〜9の炭素繊維複合材料サンプルの作製
(2−1)実施例1〜2及び比較例1〜5サンプルとして、ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表2,3に示す100質量部(phr)の含フッ素エラストマー(「FKM」)を投入して、ロールに巻き付かせた。次に、表2,3に示す質量部(phr)の前記(1)で得られた各カーボンナノファイバーを、トリアリルイソシアネート、パーオキサイド等の配合剤と共にエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。配合剤を投入し終わったら、配合剤を含む混合物をロールから取り出した。ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、さらに混合物をロールに投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした複合材料を投入し、分出しして無架橋体の炭素繊維複合材料を得た。このようにして得られた炭素繊維複合材料をロールで圧延後、170℃、10分間プレス成形(キュア)した後、さらに200℃、24時間ポストキュアして、実施例1〜2及び比較例1〜5の架橋体の炭素繊維複合材料(厚さ1mmのシート形状)を得た。なお、表2,4における「FKM」がデュポン・ダウ・エラストマー・ジャパン社製の3元系の含フッ素エラストマーのバイトンGF−600S(重量平均分子量50,000、T2n/30℃が50μ秒)であった。
(2−2)実施例3〜8及び比較例6〜9サンプルとして、オープンロール(ロール設定温度20℃)に、表2、3,5に示す所定量のEPDM(エチレン−プロピレンゴム)を投入し素練り後、(1)で得られた各カーボンナノファイバーをエラストマーに投入し混練りの後、第1の混練工程を行いロールから取り出した。さらに、その混合物をロール温度100℃に設定されたオープンロールに再度投入し、第2の混練工程を行って取り出した。次に、この混合物をオープンロール(ロール温度10〜20℃、ロール間隔0.3mm)に巻きつけ、薄通しを繰り返し5回行なった。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。さらに、ロール間隙を1.1mmにセットして、薄通しして得られた炭素繊維複合材料を投入し、分出しした。分出ししたシートを90℃、5分間圧縮成形して厚さ1mmの実施例3〜8及び比較例6〜9の無架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを得た。さらに、薄通しして得られた無架橋の炭素繊維複合材料にパーオキサイド2質量部(phr)を混合し、ロール間隙を1.1mmにセットしたオープンロールに投入し、分出しした。分出しして金型サイズに切り取ったパーオキサイドを含む炭素繊維複合材料を金型にセットし、175℃、100kgf/cm、20分間圧縮成形して厚さ1mmの実施例3〜5及び比較例6〜8の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを得た。なお、表2、3、5において、「EPDM」はJSR社製のエチレン−プロピレンゴムの商品名EP103AFであった。また、比較例1、6は、カーボンナノファイバーを配合しなかったが、同様の混練工程を行った。
(3)パルス法NMRを用いた測定
実施例1〜8及び比較例1〜9の各無架橋体の炭素繊維複合材料サンプルについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90°パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90°x−Pi−180°x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は、150℃であった。この測定によって、各サンプルについて第1のスピン−スピン緩和時間(T2n/150℃)と第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)とを求めた。測定結果を表2〜4に示した。なお、同様に測定した原料ゴムの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)も表2〜5に示した。なお、実施例1〜5,7,8の炭素繊維複合材料サンプルについては、カーボンナノファイバーによる磁場をみだす影響があり、測定ができなかった。
(4)硬度(Hs)、100%モジュラス(M100)、引張強さ(TB)、破断伸び(EB)、動的弾性率(E’)及び体積固有抵抗値の測定
実施例1〜8及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS−A))をJIS K 6253に基づいて測定した。
実施例1〜8及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルをJIS6号形のダンベル形状に切り出した試験片について、東洋精機社製の引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い引張強さ(TB(MPa))、破断伸び(EB(%))及び100%応力(M100)を測定した。
実施例1〜8及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを短冊形(40×1×5(巾)mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃、動的ひずみ±0.05%、周波数10HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行い測定温度が30℃及び200℃における動的弾性率(E’、単位はMPa)を測定した。
実施例1〜8及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプル(幅50mm×長さ50mm×厚さ1mm)をJIS K 6271に基づいて、23℃における体積固有抵抗値(Ω・cm)を測定した。その測定結果に基づいて、炭素繊維複合材料サンプルの電気絶縁性を評価し、体積固有抵抗値が1×10以上であれば絶縁性が良好(表では「○」と示す)とし、体積固有抵抗値が1×10未満であれば絶縁性が低い(表では「×」と示す)とした。
Figure 0005647152
Figure 0005647152
Figure 0005647152
Figure 0005647152
表2〜5の結果からも明らかなように、実施例1〜2の第4のカーボンナノファイバーを配合した架橋体の炭素繊維複合材料は、比較例1〜5の炭素繊維複合材料に比べて、第4のカーボンナノファイバーを大量に配合しても体積固有抵抗値が高く、電気絶縁性が良好であった。また、実施例3〜8の第4のカーボンナノファイバーを配合した架橋体の炭素繊維複合材料は、比較例6〜9の炭素繊維複合材料に比べて、第4のカーボンナノファイバーを大量に配合しても体積固有抵抗値が高く、電気絶縁性が良好であった。
2 オープンロール
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
60 第2のカーボンナノファイバー
62 折曲部
64 分岐部
70 乾式圧縮造粒機
72 第1のロール
74 第2のロール
80 第3のカーボンナノファイバー
90 第4のカーボンナノファイバー
150 プラットホーム
160 ダウンホール装置
161 筐体
162 電気コネクタ
163 電線
164 ケーブル
165 コイル
166 電気基板
167 電子部品
168 センサ

Claims (26)

  1. エラストマー100質量部に対して、分岐部が無くかつ酸化したカーボンナノファイバーを20質量部〜100質量部含み、
    200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜1000MPaであって、
    体積固有抵抗値が106Ω・cm〜1018Ω・cmであり、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであり、かつ、前記エラストマーに配合される前に、未処理のカーボンナノファイバーを圧縮処理によって分岐部で切断した、炭素繊維複合材料。
  2. 請求項において、
    前記エラストマーが含フッ素エラストマーであって、
    200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が15MPa〜300MPaであって、
    体積固有抵抗値が1011Ω・cm〜1018Ω・cmである、炭素繊維複合材料。
  3. 請求項において、
    前記エラストマーがエチレン−プロピレンゴムであって、
    200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜200MPaであって、
    体積固有抵抗値が107Ω・cm〜1018Ω・cmである、炭素繊維複合材料。
  4. エラストマー100質量部に対して、分岐部を減らしかつ酸化したカーボンナノファイバーを20質量部〜100質量部含み、
    200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜1000MPaであって、
    体積固有抵抗値が10 6 Ω・cm〜10 18 Ω・cmであり、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmであり、かつ、前記エラストマーに配合される前に、未処理のカーボンナノファイバーを粉砕処理によって繊維長をほとんど損なうことなく分岐部を減らした、炭素繊維複合材料。
  5. 請求項において、
    前記エラストマーがエチレン−プロピレンゴムであって、
    200℃、10Hzにおける動的弾性率(E')が10MPa〜200MPaであって、
    体積固有抵抗値が108Ω・cm〜1018Ω・cmである、炭素繊維複合材料。
  6. 請求項1〜のいずれか1項において、
    前記カーボンナノファイバーは、最大繊維長が20μm未満である、炭素繊維複合材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記未処理のカーボンナノファイバーは、アスペクト比が50〜200である、炭素繊維複合材料。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の炭素繊維複合材料を含む、油田用途の絶縁性物品。
  9. 請求項に記載の絶縁性物品を含む、電子部品。
  10. 筐体と、該筐体内に配置された請求項に記載の電子部品と、を備える、検層装置。
  11. 気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る工程(a)と、
    前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、
    前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、
    前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、
    を含み、
    前記工程(b)の前記機械的作用は、圧縮処理によってなされ、
    前記圧縮処理によって得られた第3のカーボンナノファイバーは、分岐部を有しておらず、
    前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  12. 請求項11において、
    前記工程(a)の前記熱処理は、1200℃〜1500℃である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  13. 請求項11または12において、
    前記工程(b)で得られた前記第3のカーボンナノファイバーは、最大繊維長が20μm未満である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  14. 請求項11において、
    前記圧縮処理は、少なくとも2本の回転するロール間に前記第2のカーボンナノファイバーを投入して、前記第2のカーボンナノファイバーに剪断力と圧縮力とを加えることによって行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  15. 請求項11〜14のいずれか1項において、
    前記圧縮処理は、カーボンナノファイバー同士を結合するためのバインダーを用いない、炭素繊維複合材料の製造方法。
  16. 請求項1115のいずれか1項において、
    前記圧縮処理は、乾式圧縮造粒機で行われる、炭素繊維複合材料の製造方法。
  17. 気相成長法によって製造された第1のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理して第2のカーボンナノファイバーを得る工程(a)と、
    前記第2のカーボンナノファイバーを機械的作用によって処理して、第2のカーボンナノファイバーの分岐部を減らして、第3のカーボンナノファイバーを得る工程(b)と、
    前記第3のカーボンナノファイバーを酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して、酸化した第4のカーボンナノファイバーを得る工程(c)と、
    前記第4のカーボンナノファイバーを、エラストマーに混合し、剪断力で該エラストマー中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程(d)と、
    を含み、
    前記工程(b)の前記機械的作用は、粉砕処理によって前記第2のカーボンナノファイバーの繊維長をほとんど損なうことなく分岐部を減らし
    前記第3のカーボンナノファイバーのタップ密度は、前記第2のカーボンナノファイバーのタップ密度の1.5倍〜10倍であり、
    前記第4のカーボンナノファイバーは、平均直径が70nm〜100nmである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  18. 請求項17において、
    前記粉砕処理は、前記第2のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積の1.1倍〜5.0倍の窒素吸着比表面積を有する前記第3のカーボンナノファイバーを得る、炭素繊維複合材料の製造方法。
  19. 請求項17または18において、
    前記粉砕処理は、衝撃及び/または剪断力を利用した乾式粉砕で行なう、炭素繊維複合材料の製造方法。
  20. 請求項1719のいずれか1項において、
    X線光電子分光法(XPS)で測定した、前記第3のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する前記第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加量は、0.5atm%〜2.6atm%である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  21. 請求項1120のいずれか1項において、
    X線光電子分光法(XPS)で測定した、前記第3のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する前記第4のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加割合は、20%〜120%である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  22. 請求項1121のいずれか1項において、
    前記工程(c)の熱処理は、前記第3のカーボンナノファイバーの質量を2%〜20%
    減量して前記第4のカーボンナノファイバーを得る、炭素繊維複合材料の製造方法。
  23. 請求項1122のいずれかにおいて、
    前記工程(c)で得られた前記第4のカーボンナノファイバーは、X線光電子分光法(XPS)で測定した表面の酸素濃度が2.6atm%〜4.6atm%である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  24. 請求項1123のいずれか1項において、
    前記工程(c)で得られた前記第4のカーボンナノファイバーは、ラマン散乱分光法によって測定される1600cm-1付近のピーク強度Gに対する1300cm-1付近のピーク強度Dの比(D/G)が0.12〜0.22である、炭素繊維複合材料の製造方法。
  25. 請求項1124のいずれか1項において、
    前記工程(c)で得られた前記第4のカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が45m2/g〜60m2/gである、炭素繊維複合材料の製造方法。
  26. 請求項11〜25のいずれか1項において、
    前記第1のカーボンナノファイバーは、アスペクト比が50〜200である、炭素繊維複合材料の製造方法。
JP2011547231A 2009-12-25 2009-12-25 炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置 Expired - Fee Related JP5647152B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2009/071907 WO2011077598A1 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011077598A1 JPWO2011077598A1 (ja) 2013-05-02
JP5647152B2 true JP5647152B2 (ja) 2014-12-24

Family

ID=44195154

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011547231A Expired - Fee Related JP5647152B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5647152B2 (ja)
WO (1) WO2011077598A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5763991B2 (ja) * 2011-07-05 2015-08-12 日信工業株式会社 炭素繊維複合材料、油田装置及び炭素繊維複合材料の製造方法
WO2013146254A1 (ja) 2012-03-29 2013-10-03 東海ゴム工業株式会社 導電性組成物および導電膜
JP6615444B2 (ja) 2013-10-17 2019-12-04 日信工業株式会社 ゴム組成物の製造方法及びゴム組成物
KR102087224B1 (ko) * 2018-05-28 2020-03-10 울산과학기술원 아라미드 섬유/환원그래핀옥사이드/폴리에스테르 복합체
CN112213521B (zh) * 2020-08-18 2023-11-03 中国航空制造技术研究院 一种纤维复合材料界面区硬度的评估方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009127038A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Showa Denko Kk 樹脂組成物およびその製造方法、並びに、その用途
JP2009215403A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Teijin Ltd シート状熱伝導性成形体
WO2009128374A1 (ja) * 2008-04-16 2009-10-22 日信工業株式会社 カーボンナノファイバー及びその製造方法、カーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009127038A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Showa Denko Kk 樹脂組成物およびその製造方法、並びに、その用途
JP2009215403A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Teijin Ltd シート状熱伝導性成形体
WO2009128374A1 (ja) * 2008-04-16 2009-10-22 日信工業株式会社 カーボンナノファイバー及びその製造方法、カーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2011077598A1 (ja) 2013-05-02
WO2011077598A1 (ja) 2011-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20150065635A1 (en) Carbon fiber composite material, method of producing the same, insulating article, electronic part, and logging tool
JP6998879B2 (ja) グラフェン強化無機マトリックス複合物のケミカルフリー製造
US9926427B2 (en) Chemical-free production of graphene-reinforced polymer matrix composites
JP5179979B2 (ja) カーボンナノファイバー及びその製造方法、カーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料
JP5647152B2 (ja) 炭素繊維複合材料及びその製造方法、絶縁性物品、電子部品、及び検層装置
US8614273B2 (en) Seal member
McClory et al. Thermosetting polyurethane multiwalled carbon nanotube composites
WO2010004633A1 (ja) カーボンナノファイバーの製造方法及びカーボンナノファイバー並びにカーボンナノファイバーを用いた炭素繊維複合材料の製造方法及び炭素繊維複合材料
US20110156357A1 (en) Dynamic seal member
JP2007515502A (ja) 導電性組成物及びその製造方法
WO2014197078A2 (en) Method of fabricating carbon nanotube sheet scrolled fiber reinforced polymer composites and compositions and uses thereof
JPWO2011077596A1 (ja) シール部材
JP5763991B2 (ja) 炭素繊維複合材料、油田装置及び炭素繊維複合材料の製造方法
KR100795876B1 (ko) 도전성 폴리머, 그 제조 방법 및 용도
JP5670817B2 (ja) 炭素繊維複合材料の製造方法、炭素繊維複合材料及び油田装置
WO2011077595A1 (ja) 動的シール部材
US20130012644A1 (en) Carbon Fiber Composite Material, Oilfield Apparatus Thereof, and Method for Manufacture of The Same
JP5844064B2 (ja) 炭素繊維複合材料の製造方法
JP5592401B2 (ja) シール部材
JP5171786B2 (ja) カーボンナノファイバー集合体、カーボンナノファイバーの製造方法及び炭素繊維複合材料の製造方法
JP2005264134A (ja) 導電性ポリマー、その製造方法及びその用途
JP2012209193A (ja) カーボンナノファイバーを用いた電極用多孔質体、電極、電池、キャパシタ、水処理装置、油田装置及び電極用多孔質体の製造方法
JP5670818B2 (ja) 炭素繊維複合材料の製造方法、炭素繊維複合材料及び油田装置
US20210348019A1 (en) Composite materials, uses, and methods
Zaldivar et al. The effect of surface treatment on graphite nanoplatelets used in fiber reinforced composites

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5647152

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees