JP5638979B2 - チェーンテンショナ - Google Patents

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Description

この発明は、自動車エンジンのカムシャフトを駆動するタイミングチェーンの張力保持に用いられるチェーンテンショナに関する。
自動車のエンジンは、一般に、クランクシャフトの回転をタイミングチェーン(以下「チェーン」という)を介してカムシャフトに伝達し、そのカムシャフトの回転により燃焼室のバルブの開閉を行なう。ここで、チェーンの張力を適正範囲に保つために、支点軸を中心として揺動可能に設けたチェーンガイドと、そのチェーンガイドを介してチェーンを押圧するチェーンテンショナとからなる張力調整装置が多く用いられる。
この張力調整装置に組み込まれるチェーンテンショナとして、一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダ内にプランジャを軸方向に摺動可能に挿入し、そのプランジャをシリンダから突出する方向に付勢するリターンスプリングを設け、前記プランジャをシリンダ内への挿入端が開口する有底筒状に形成し、そのプランジャと前記シリンダとで囲まれた圧力室内に作動油を導入する給油通路を設け、その給油通路の圧力室側の端部を前記シリンダの閉塞端に開口させ、前記シリンダの閉塞端に前記給油通路側から圧力室側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブを設け、そのチェックバルブを、前記シリンダの内周に嵌合するバルブシートと、そのバルブシートに形成された弁孔を開閉する弁体と、その弁体を保持するリテーナとで構成したものが知られている(特許文献1)。
このチェーンテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によって、プランジャがシリンダ内に押し込まれる方向(以下、「押し込み方向」という)に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、圧力室内の作動油が、プランジャとシリンダの摺動面間のリーク隙間を通って流出し、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用が生じるので、プランジャはゆっくりと移動する。
一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、リターンスプリングの付勢力によって、プランジャがシリンダから突出する方向(以下、「突出方向」という)に移動し、チェーンの弛みを吸収する。このとき、チェックバルブが開いて、給油通路から圧力室に作動油が流入するので、プランジャは速やかに移動する。
上記チェーンテンショナは、エンジンを停止すると、オイルポンプも停止するので、給油通路内の作動油の油面が下がり、給油通路内にエアが溜まる。その後、エンジンを再始動したときに、給油通路のエアが圧力室に流入し、その流入したエアがプランジャの内部に溜まった状態となる。この状態でプランジャに押し込み方向の荷重が負荷されると、プランジャの内部に溜まったエアが圧縮してプランジャが移動するので、チェーンテンショナのダンパ作用が低下してしまうという問題がある。
そこで、このダンパ作用の低下を抑制するため、上記チェーンテンショナにおいては、シリンダを半径方向に貫通するねじ孔を設け、そのねじ孔にビスをねじ込み、このビスとねじ孔のねじ隙間を通じて圧力室からシリンダの外側にエアを排出するようにしている。ここで、圧力室にエアが溜まるとき、そのエアは圧力室の上部に溜まるので、エア抜き用のビスとねじ孔は、圧力室の上部に配置する必要がある。
このエア抜き用のビスとねじ孔の配置に関し、上記チェーンテンショナは、エンジンカバーに取り付けるに際して、エンジンカバーに形成されたテンショナ取り付け孔にシリンダを挿入し、シリンダの後端外周のフランジをエンジンカバーの外面に重ね合わせ、そのフランジに予め設けた複数の貫通孔と複数のボルトとを使ってフランジをエンジンカバーに固定するようにしている。そのため、取り付けが完了したときのシリンダの軸心回りの取付け角度が一定しており、シリンダの上部となる位置を設計の段階で決めることができるので、その位置にエア抜き用のビスとねじ孔を配置するようにしていた。
一方、この発明の発明者は、エンジンカバーへの取り付け作業の作業性に優れたチェーンテンショナとして、シリンダの外周に雄ねじを形成し、一方、テンショナ取り付け孔の内周には雌ねじを形成し、シリンダの外周の雄ねじをテンショナ取り付け孔の内周の雌ねじにねじ係合させることによってエンジンカバーに取り付けるチェーンテンショナを提案している(特許文献2)。
このチェーンテンショナは、エンジンカバーへの取り付け用の雄ねじがシリンダの外周に直接設けられているので、テンショナの取り付けに際して別個にボルトを準備する必要がなく、エンジンカバーへの取り付け作業性に優れる。
特開2008−281171号公報 特開2010−90988号公報
しかし、特許文献2のチェーンテンショナは、シリンダを回しながらテンショナ取り付け孔にねじ込んで取り付けるので、取り付けが完了したときのシリンダの軸心回りの取付け角度がねじの位相や締め込み力によって変わり、取り付けが完了したときにシリンダの上部となる位置が一定しない。そのため、上述した特許文献1のようなエア抜き用のビスとねじ孔を採用しても、テンショナの取り付けが完了したときに、エア抜き用のビスとねじ孔が圧力室の上部にこないことがあり、この場合、エア抜き用のビスとねじ孔が機能しないという問題があった。
この発明が解決しようとする課題は、テンショナ取り付け孔にシリンダをねじ込んで取り付けるタイプのチェーンテンショナにおいて圧力室のエアを効果的に排出できるようにすることである。
上記課題を解決するため、一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダの外周に、エンジンカバーのテンショナ取り付け孔の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを形成し、そのシリンダ内にプランジャを軸方向に摺動可能に挿入し、そのプランジャをシリンダから突出する方向に付勢するリターンスプリングを設け、前記プランジャをシリンダ内への挿入端が開口する有底筒状に形成し、そのプランジャと前記シリンダとで囲まれた圧力室内に作動油を導入する給油通路を設け、その給油通路の圧力室側の端部を前記シリンダの閉塞端に開口させ、前記シリンダの閉塞端に前記給油通路側から圧力室側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブを設け、そのチェックバルブを、前記シリンダの内周に嵌合するバルブシートと、そのバルブシートに形成された弁孔を開閉する弁体と、その弁体を保持するリテーナとで構成したチェーンテンショナにおいて、前記バルブシートとシリンダの嵌合面間に、一端が圧力室に連通する複数の軸方向通路を周方向に間隔をおいて設け、その複数の軸方向通路を互いに連通させる周方向通路を前記バルブシートとシリンダの嵌合面間に設け、その周方向通路をシリンダの外側に連通させる径方向通路を前記シリンダに設け、前記軸方向通路と周方向通路と径方向通路とを通じて前記圧力室内のエアをシリンダの外側に排出するようにした。
このようにすると、バルブシートとシリンダの嵌合面間に設けられたエア抜き用の軸方向通路が、周方向に間隔をおいて複数配置されているので、シリンダを回しながらテンショナ取り付け孔にねじ込んでテンショナの取り付けが完了したときのシリンダの軸心回りの取付け角度が一定しない場合でも、いずれかの軸方向通路がシリンダの上部に位置した状態となり、その軸方向通路を通じて圧力室のエアを効果的に排出することができる。
前記複数の軸方向通路としては、例えば、バルブシートのシリンダの内周に対する嵌合面に形成した軸方向溝を採用することができる。このようにすると、シリンダ側に軸方向溝を形成する場合よりも軸方向溝を高精度に加工することができ、エア抜き特性を高精度に管理することが可能である。前記軸方向溝は断面V状に形成すると、断面円弧状や断面方形状とした場合よりも軸方向溝の断面積を低減することができ、軸方向通路を設けることに伴う作動油の消費量の増加を抑えることができる。さらに、この軸方向溝にリード角を設けると、嵌合面の軸方向長さに対して軸方向溝の溝長が長くなるので、軸方向通路の作動油の流路抵抗をより高めることが可能となる。
前記複数の軸方向通路として、前記シリンダのバルブシートの外周に対する嵌合面に形成した軸方向溝を採用することもできる。この軸方向溝の成形は、シリンダをアルミダイカストにより成形する場合、そのアルミダイカストと同時に行なうと軸方向溝の加工コストを抑えることができる。
前記周方向通路としては、例えば、前記バルブシートのシリンダの内周に対する嵌合面の軸方向端部に形成した円周方向に延びる凹部を採用することができる。このようにすると、シリンダ側に周方向通路を形成する場合よりも凹部の加工が容易であり、低コストである。前記周方向通路として、前記シリンダのバルブシートの外周に対する嵌合面に形成した周方向溝を採用してもよい。
前記径方向通路としては、例えば、前記シリンダの周壁を半径方向に貫通するストレート孔を採用することができる。ストレート孔の直径を0.8mm以下とすると、ストレート孔を流れる作動油の流路抵抗を確保することができ、作動油の消費量を抑えることができる。
前記径方向通路として、前記シリンダの周壁を半径方向に貫通するねじ孔とそのねじ孔にねじ込んだビスとのねじ隙間を採用することもできる。このようにすると、ねじ隙間は断面積が小さくかつ長さが長いので、作動油の消費量を効果的に抑えることが可能となる。ビスは、特許文献1のように頭部付きボルトを使用することも可能であるが、全長にわたって雄ねじが形成されたセットスクリュを使用すると、ビスの頭部が無い分、ビスのねじ部を長くすることができるので、作動油の消費量をより効果的に抑えることが可能である。
この発明のチェーンテンショナは、バルブシートとシリンダの嵌合面間に設けられたエア抜き用の軸方向通路が、周方向に間隔をおいて複数配置されているので、シリンダを回しながらテンショナ取り付け孔にねじ込んでテンショナの取り付けが完了したときのシリンダの軸心回りの取付け角度が一定しない場合でも、いずれかの軸方向通路がシリンダの上部に位置した状態となり、その軸方向通路を通じて圧力室のエアを効果的に排出することができる。
この発明の実施形態のチェーンテンショナを組み込んだチェーン伝動装置を示す正面図 図1のII−II線に沿った断面図 図2のバルブシートとシリンダの嵌合面近傍の拡大断面図 (a)は図3に示すバルブシートの正面図、(b)は(a)の側面図 図3に示す周方向通路をシリンダ側に設けた例を示す拡大断面図 図3に示す軸方向通路をシリンダ側に設けた例を示す拡大断面図 (a)は図4に示す軸方向通路にリード角を設けた例を示す正面図、(b)は(a)の側面図 図3に示す径方向通路の他の例を示す拡大断面図 (a)は図4に示すバルブシートの他の例を示す正面図、(b)は(a)の側面図
図1に、この発明の実施形態のチェーンテンショナ1を組み込んだチェーン伝動装置を示す。このチェーン伝動装置は、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、カムシャフト4に固定されたスプロケット5とがチェーン6を介して連結されており、そのチェーン6がクランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達し、そのカムシャフト4の回転により燃焼室のバルブ(図示せず)の開閉を行なう。
チェーン6には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触しており、チェーンテンショナ1は、そのチェーンガイド8を介してチェーン6を押圧している。
図2に示すように、チェーンテンショナ1は、一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダ9と、シリンダ9内に軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャ10とを有する。シリンダ9は、エンジンカバー11内に開口端を向けた姿勢でエンジンカバー11のテンショナ取り付け孔12に挿入されている。シリンダ9は、テンショナ取り付け孔12への挿入部分の外周に雄ねじ13と円筒面14とが形成されている。円筒面14は、雄ねじ13よりもシリンダ9の開口端側に位置しており、雄ねじ13の外径よりも小径である。
一方、テンショナ取り付け孔12の内周には、エンジンカバー11の外面側から内面側に向かって順に、シリンダ9の外周の雄ねじ13にねじ係合する雌ねじ15と、シリンダ9の外周の円筒面14との間に環状の油溜り16を形成するねじ下穴部17と、シリンダ9の外周の円筒面14と嵌合する円筒面18とが形成されている。ねじ下穴部17には、エンジンカバー11に形成された油孔19の油出口が開口している。
シリンダ9には、シリンダ9の外側から、シリンダ9とプランジャ10とで囲まれた圧力室20に作動油を導入する給油通路21が形成されており、エンジンカバー11の油孔19を通ってオイルポンプ(図示せず)から供給された作動油が、油溜り16と給油通路21とを順に通って圧力室20内に導入されるようになっている。
ここで、給油通路21は、シリンダ9の内底面に形成された凹部21Bと、シリンダ9の外周から凹部21Bに至る半径方向のストレート孔21Aからなる。この給油通路21の圧力室20の端部(すなわち凹部21B)は、シリンダ9の閉塞端に開口している。シリンダ9の閉塞端には、給油通路21側から圧力室20側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブ22が組み込まれている。
図3に示すように、チェックバルブ22は、シリンダ9の内周に嵌合するバルブシート23と、そのバルブシート23に形成された弁孔24を開閉する球状の弁体25と、その弁体25を保持するリテーナ26とからなる。バルブシート23の外周には、シリンダ9の内周に嵌合する円筒面27と、シリンダ9の内底面に当接するようにシリンダ9の軸心に直角に形成された平坦面28とが設けられている。
バルブシート23とシリンダ9の嵌合面間には、周方向に間隔をおいて複数の軸方向通路29が形成されている。ここで、軸方向通路29は、バルブシート23のシリンダ9の内周に対する嵌合面、すなわち図4(a)、(b)に示すようにバルブシート23の外周の円筒面27に形成された軸方向溝である。この各軸方向溝は、図3に示すように、その一端が圧力室20に連通するように円筒面27の全長にわたって形成されている。これらの軸方向溝は断面V状である。
ここで、軸方向通路29は、図4(a)、(b)に示すように、隣同士の軸方向通路29の間隔がいずれも90度以下となるように形成すると、シリンダ9の軸心回りの取付け角度にかかわらず、いずれかの軸方向通路29がシリンダ9の上部に位置するので好ましい。このような軸方向通路29の配置として、4つ以上の軸方向通路29を周方向に等間隔に配置したものを挙げることができる。
図3に示すように、バルブシート23とシリンダ9の嵌合面間には、軸方向通路29を互いに連通させる周方向通路30が設けられている。ここで周方向通路30は、バルブシート23のシリンダ9の内周に対する嵌合面の軸方向端部、すなわちバルブシート23の外周の円筒面27の軸方向端部に形成された円周方向に延びる凹部である。
この凹部は、バルブシート23をシリンダ9の内周に嵌合させた状態で、バルブシート23とシリンダ9とで囲まれた環状の空間を生じるように形成されており、周方向に間隔をおいて配置された上記複数の軸方向通路29を互いに連通している。このような周方向通路30としては、例えば、図5に示すように、シリンダ9のバルブシート23に対する嵌合面に形成された円周方向に延びる凹部を採用することも可能であるが、図3に示すようにバルブシート23側に形成した凹部を採用すると凹部の加工が容易であり、低コストである。
図3に示すように、シリンダ9には、周方向通路30をシリンダ9の外側に連通させる径方向通路31が設けられている。ここで、径方向通路31は、シリンダ9の周壁を半径方向に貫通するストレート孔であり、その直径は0.8mm以下とされ、作動油の流れを絞るオリフィスを構成している。このようにストレート孔の直径を0.8mm以下とすることにより、ストレート孔を流れる作動油の流路抵抗を確保することができ、作動油の消費量を抑えることができる。また、このストレート孔の径方向外端はシリンダ9の外周の円筒面14に開口し、ストレート孔の径方向内端は、周方向通路30に連通するように、シリンダ9のバルブシート23に対する嵌合面に開口している。
図2に示すように、プランジャ10とシリンダ9の摺動面間には、微小なリーク隙間32が形成されており、そのリーク隙間32を通って圧力室20内の作動油が流出するようになっている。
シリンダ9の閉端には、スパナ係合用の六角頭部33が形成されており、この六角頭部33にスパナ(図示せず)をかけて、雄ねじ13の締め付け操作をすることが可能となっている。六角頭部33とエンジンカバー11の間にはガスケット34が挟み込まれている。ガスケット34は、六角頭部33とエンジンカバー11の間を密封しており、雄ねじ13と雌ねじ15のねじ隙間からエンジンカバー11の外側に作動油が漏れるのを防止している。
プランジャ10は、シリンダ9内への挿入端が開口する有底筒状に形成されており、その内周に雌ねじ35が形成されている。プランジャ10内には、雌ねじ35にねじ係合する雄ねじ36を外周に有するスクリュロッド37が組み込まれている。スクリュロッド37は、一端がプランジャ10から突出しており、その突出端が、シリンダ9内のバルブシート23に当接している。
雄ねじ36と雌ねじ35は、プランジャ10をシリンダ9内に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランクのフランク角が、遊び側フランクのフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている。
圧力室20内には、プランジャ10をシリンダ9から突出する方向に付勢するリターンスプリング38が組み込まれている。リターンスプリング38はコイルばねであり、その一端がスクリュロッド37で支持され、他端でプランジャ10を付勢している。プランジャ10は、シリンダ9からの突出端がチェーンガイド8に当接している。
次に、このチェーンテンショナ1の動作例を説明する。
エンジン作動中にチェーン6の張力が小さくなると、リターンスプリング38の付勢力によってプランジャ10が突出方向に移動し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、チェックバルブ22が開き、オイルポンプから供給される作動油が、給油通路21を通って圧力室20に流入するので、プランジャ10は速やかに移動する。
一方、エンジン作動中にチェーン6の張力が大きくなると、そのチェーン6の張力によって、プランジャ10が押し込み方向に移動し、チェーン6の緊張を吸収する。このとき、スクリュロッド37は、チェーン6の振動により、雌ねじ35と雄ねじ36の間の軸方向隙間の範囲内で前進と後退を繰り返しながら、プランジャ10に対して回転する。また、圧力室20内の作動油が、プランジャ10とシリンダ9の摺動面間のリーク隙間32を通って流出し、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用が生じるので、プランジャ10はゆっくりと移動する。
エンジン停止時に、カムシャフト4の停止位置によってチェーン6の張力が大きくなる場合があるが、この場合、チェーン6が振動しないので、プランジャ10の雌ねじ35がスクリュロッド37の雄ねじ36で受け止められ、プランジャ10の位置が固定される。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーン6の弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。
また、エンジンを停止すると、オイルポンプが停止して油孔19と給油通路21内の作動油の油面が下がり、油孔19と給油通路21内にエアが溜まる。そのため、エンジンを再始動したときに、油孔19と給油通路21内のエアが圧力室20に流入するが、この場合、圧力室20内に混入したエアは、軸方向通路29と周方向通路30と径方向通路31とを通じてシリンダ9の外側に排出され、圧力室20内のエアによるダンパ作用の低下が抑えられる。
また、エンジン作動中は、複数箇所の軸方向通路29から1箇所の周方向通路30と径方向通路31に向かう作動油の流れが形成される。そして、給油通路21から圧力室20に導入される作動油にエアが気泡として混入したときは、そのエアは作動油と混合した状態で軸方向通路29と周方向通路30と径方向通路31とを通じて排出される。
ところで、上記チェーンテンショナ1は、シリンダ9を回しながらテンショナ取り付け孔12にねじ込んで取り付けるので、取り付けが完了したときのシリンダ9の軸心回りの取付け角度がねじの位相や締め込み力によって変わり、取り付けが完了したときにシリンダ9の上部となる位置が一定しない。しかし、このチェーンテンショナ1は、バルブシート23とシリンダ9の嵌合面間のエア抜き用の軸方向通路29を、周方向に間隔をおいて複数配置しているので、シリンダ9の軸心回りの取付け角度にかかわらず、いずれかの軸方向通路29がシリンダ9の上部に位置した状態となり、その軸方向通路29を通じて圧力室20のエアを効果的に排出することが可能である。
軸方向通路29は、上記実施形態に示すように、バルブシート23のシリンダ9の内周に対する嵌合面に形成した軸方向溝を採用すると、図6に示すように、シリンダ9側に軸方向溝を形成する場合よりも軸方向溝を高精度に加工することができ、エア抜き特性を高精度に管理することが可能である。ここで、上記実施形態の軸方向通路29は、転造加工によって形成すると、安定した加工精度を得ることができ、かつ、切削加工によって形成するよりも低コストである。
軸方向通路29としては、図6に示すように、シリンダ9のバルブシート23の外周に対する嵌合面に形成した軸方向溝を採用することもできる。この場合、軸方向溝の成形は、シリンダ9をアルミダイカストにより成形する場合、そのアルミダイカストと同時に行なうと軸方向溝の加工コストを抑えることができる。
上記実施形態に示すように、軸方向通路29として軸方向溝を採用する場合、その軸方向溝は、図4(a)、(b)に示すように、断面V状に形成すると、断面円弧状や断面方形状とした場合よりも軸方向溝の断面積を低減することができ、軸方向通路29を設けることに伴う作動油の消費量の増加を抑えることができる。この場合、図7(a)、(b)に示すように、軸方向溝にリード角を設けると、嵌合面の軸方向長さに対して軸方向溝の溝長が長くなるので、軸方向通路29の作動油の流路抵抗をより高めることが可能となる。
上記実施形態では、径方向通路31として、シリンダ9の周壁を半径方向に貫通するストレート孔を例に挙げて説明したが、図8に示すように、シリンダ9の周壁を半径方向に貫通するねじ孔39を設け、そのねじ孔39にビス40をねじ込み、そのねじ孔39とビス40のねじ隙間を径方向通路31としてもよい。このようにすると、ねじ隙間は断面積が小さくかつ長さが長いので、ストレート孔よりも流路抵抗の大きいオリフィスとして機能し、作動油の消費量をより効果的に抑えることが可能となる。ここで、ビス40は、頭部付きボルトを使用することも可能であるが、図8に示すように、全長にわたって雄ねじが形成されたセットスクリュを使用すると、ビス40の頭部が無い分、ビス40のねじ部を長くすることができるので、作動油の消費量をより効果的に抑えることが可能である。
上記実施形態では、軸方向通路29の流路抵抗を高めるために、軸方向通路29として軸方向溝を採用したが、図9(a)、(b)に示すように、バルブシート23の外周の円筒面27に、円周の一部を平面に沿って切り取った形成のDカット部41を周方向に間隔をおいて複数設け、そのDカット部41とシリンダ9の内周との間に軸方向通路29が形成されるようにしてもよい。
1 チェーンテンショナ
9 シリンダ
11 エンジンカバー
12 テンショナ取り付け孔
13 雄ねじ
15 雌ねじ
20 圧力室
21 給油通路
22 チェックバルブ
23 バルブシート
24 弁孔
25 弁体
26 リテーナ
27 円筒面
29 軸方向通路
30 周方向通路
31 径方向通路
38 リターンスプリング
39 ねじ孔
40 ビス

Claims (10)

  1. 一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダ(9)の外周に、エンジンカバー(11)のテンショナ取り付け孔(12)の内周に形成された雌ねじ(15)にねじ係合する雄ねじ(13)を形成し、そのシリンダ(9)内にプランジャ(10)を軸方向に摺動可能に挿入し、そのプランジャ(10)をシリンダ(9)から突出する方向に付勢するリターンスプリング(38)を設け、前記プランジャ(10)をシリンダ(9)内への挿入端が開口する有底筒状に形成し、そのプランジャ(10)と前記シリンダ(9)とで囲まれた圧力室(20)内に作動油を導入する給油通路(21)を設け、その給油通路(21)の圧力室(20)側の端部を前記シリンダ(9)の閉塞端に開口させ、前記シリンダ(9)の閉塞端に前記給油通路(21)側から圧力室(20)側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブ(22)を設け、そのチェックバルブ(22)を、前記シリンダ(9)の内周に嵌合するバルブシート(23)と、そのバルブシート(23)に形成された弁孔(24)を開閉する弁体(25)と、その弁体を保持するリテーナ(26)とで構成したチェーンテンショナにおいて、
    前記バルブシート(23)とシリンダ(9)の嵌合面間に、一端が圧力室(20)に連通する複数箇所の軸方向通路(29)を周方向に間隔をおいて設け、
    その複数の軸方向通路(29)を互いに連通させる1箇所のみの周方向通路(30)を前記バルブシート(23)とシリンダ(9)の嵌合面間に設け、
    その周方向通路(30)をシリンダ(9)の外側に連通させる1箇所のみの径方向通路(31)を前記シリンダ(9)に設け、
    エンジン作動中は、前記複数箇所の軸方向通路(29)から前記1箇所の周方向通路(30)と径方向通路(31)に向かう作動油の流れが形成され、前記複数箇所の軸方向通路(29)と、前記1箇所の周方向通路(30)と径方向通路(31)とを通じて前記圧力室(20)内のエアをシリンダ(9)の外側に排出するようにしたことを特徴とするチェーンテンショナ。
  2. 前記複数の軸方向通路(29)が、前記バルブシート(23)のシリンダ(9)の内周に対する嵌合面(27)に形成した軸方向溝である請求項1に記載のチェーンテンショナ。
  3. 前記軸方向溝を断面V状に形成した請求項2に記載のチェーンテンショナ。
  4. 前記軸方向溝にリード角を設けた請求項3に記載のチェーンテンショナ。
  5. 前記複数の軸方向通路(29)が、前記シリンダ(9)のバルブシート(23)の外周に対する嵌合面に形成した軸方向溝である請求項1に記載のチェーンテンショナ。
  6. 前記シリンダ(9)をアルミダイカストにより成形し、そのアルミダイカストで前記軸方向溝を成形した請求項5に記載のチェーンテンショナ。
  7. 前記周方向通路(30)が、前記バルブシート(23)のシリンダ(9)の内周に対する嵌合面(27)の軸方向端部に形成した円周方向に延びる凹部である請求項1から6のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  8. 前記径方向通路(31)が前記シリンダ(9)の周壁を半径方向に貫通する直径が0.8mm以下のストレート孔である請求項1から7のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  9. 前記径方向通路(31)が、前記シリンダ(9)の周壁を半径方向に貫通するねじ孔(39)とそのねじ孔(39)にねじ込んだビス(40)とのねじ隙間である請求項1から7のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  10. 前記ビス(40)が、全長にわたって雄ねじが形成されたセットスクリュである請求項9に記載のチェーンテンショナ。
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