JP5637630B2 - 連続鋳造用耐火物及び連続鋳造用ノズル - Google Patents

連続鋳造用耐火物及び連続鋳造用ノズル Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造用ノズルの内孔面に好適に使用される耐火物、及びその耐火物を使用した連続鋳造用ノズルに関する。
鋼の連続鋳造に際しては、従来から耐スポーリング性に優れたAl−SiO−C質ノズルが広く使用されてきたが、近年の鋼種の多様化に伴って連続鋳造に使用する耐火物の損傷原因やその程度が、溶鋼側から供給される成分の影響を強く受けるようになってきた。
特に、ほうろう鋼に代表されるような高酸素、高Mn等含有鋼の連続鋳造については、溶鋼による耐火物の脱炭作用、及び溶鋼中に存在するFeO、MnO、B、SiO、CaO等の酸化物(溶鋼中に存在する非金属介在物を総称して、以下「スラグ成分」ともいう。)が溶鋼側から供給され続けられることで、耐火物との低融化反応により浸食性の強いAl−SiO−MnO−FeO−CaO系など複合酸化物が耐火物稼働界面や組織中で継続的に生成し、溶鋼と共に流下することで耐火物の損傷が激しくなってくる。
例えば、鍋とタンディッシュ間の無酸素鋳造を目的に適用されている鍋用ロングノズルでは、溶鋼が継続的に衝突する内孔湯当たり部分や溶鋼温度で長時間接触する浸漬部分での損傷が激しく、その寿命が著しく短くなる等の問題が発生している。また、同じ材質系が使用される浸漬ノズルや下部ノズルでも同様の問題が生じている。
このため、耐火物の損傷抵抗性を高めるための一般的な方法として、Al−SiO−C系材質では、脱炭による組織劣化を防止のため、炭素含有量、あるいは前記スラグ成分等との低融化主成分となりうる耐火物側のSiO量を減じ又は含まない組成にする等の対策が試みられてきた。しかし、SiOやCを減じることにより、一定の効果はあるものの、主骨材として添加しているAl成分がMnO、FeO、B、SiO、CaO等と反応し低融点化するため、十分な効果が得られていないのが実状である。
このような状況に鑑み、Al骨材の一部又は全部を、前記スラグ成分と反応しにくい組成の骨材に置換した耐火物も提案されている。
例えば、特許文献1には、主としてアルミナ及び黒鉛からなる配合物に、粒度が0.02〜1.0mm以下のマグネシアを3〜60質量%以下を配合したアルミナ−マグネシア−黒鉛系耐火物、又はこの耐火物中にスピネルを含有する耐火物が提案されている。
特許文献2には、ノズル全体又は溶鋼と接するノズルの内孔部の全部若しくは一部が、鉱物相としてのスピネル又はスピネル及びペリクレースからなる耐火材料が提案されている。
特許文献3には、ノズル全体又は溶鋼と接するノズルの内孔部の全部若しくは一部が、スピネル50〜95質量%、ペリクレース0〜20質量%、黒鉛5〜30質量%、不可避の不純物3質量%以下のスピネル−ペリクレース−黒鉛系の耐火物である浸漬ノズルが提案されている。
多くの場合、これらのマグネシア(ペリクレース)やスピネルは、アルミナよりFeO、MnO等のスラグ成分と低融物を生成し難いことから選択される。特に、上記の特許文献3では、スピネルやペリクレースによって、溶鋼と接触する面付近にMgOの緻密な皮膜が生成することで、耐溶損性、耐スポーリング性等を高めることができることが示されている。
ところが近年、特許文献4にあるように、ほうろう鋼においては、その特性の一つである爪とび性を改善するため、上記のスラグ成分に加えて、Nb、V、Cuなどが添加されるようになっている。特にNbやVは、耐火物の低融化を促進すると同時に、スラグの表面張力を低下させる作用が大きいために、MnO、FeO、B、SiO、CaOなどのスラグ成分と合わさると、浸食性及び浸透性の非常に強い組成のスラグ(例えば、Nb−FeO−MnO−Al−SiO−CaO系)が生成する。
このため、耐火物の損耗量が従来に増して大きくなり、上述したスピネルやマグネシア(ペリクレース)で単純にアルミナを置換しても、Nbを含む鋼種に対しては十分な耐用の向上が得られない場合があることを本発明者らは確認している。
このような耐用不良の第一の理由は、連続鋳造用耐火物の高い気孔率にある。ロングノズル等の連続鋳造用ノズルの溶鋼に接触する耐火物は、耐スポーリング性(主として押し割れの防止)を向上させるために、内張材質として一般的にその見掛け気孔率が18%以上35%以下に設定され、本体のAl−C系材質と一体成形されて使用される場合が多い。また、下部ノズルや浸漬ノズルなどの他の連続鋳造用ノズルでもこのような使用傾向にある。このような内張材質の高気孔率な組織では、スピネル(Al・MgO)やペリクレース(MgO)の骨材を添加したとしても、浸食性、浸透性の強いニオブ酸(Nb)を含むスラグが気孔を介して容易に組織深部に浸透し、耐火物粒子の溶解を早める。
第二の理由は、MgO、CaOなど高い膨張特性を持った成分系が使用しにくい、連続鋳造用耐火物の使用環境にある。特に、ロングノズルは他の耐火物部材と比較して、高い耐スポーリング性が要求される部材である。これは、ロングノズルが、予熱炉やバーナーによって予熱されて一般的に使用される浸漬ノズルとは異なり、予熱が十分でない状態、あるいは無予熱に近い状態で使用される場合も多く、更には、使用後に取り置きされて室温近くまで冷却した後、再度使用されることも少なくないからである。このような使用環境のロングノズルに内張材が適用された場合、その内張材とするスピネル(Al・MgO)やペリクレース(MgO)骨材を添加した耐火物層は、コランダム(Al)と比較して高熱膨張であるために、本体を押し割る可能性が高くなることに加え、フリーのアルミナとの併存下でのスピネル化に伴う体積膨張や、フリーのアルミナが無い場合でもMgO成分の耐火物内での移動に伴う緻密で高弾性な層の生成が原因となり、耐スポーリング性が損なわれやすく耐用向上が図れていない。
以上の理由から、単純なMgO系材質の適用は実用的ではない。そこで、連続鋳造用ノズルの使用環境を考慮し、構造及び材質設計で、耐スポーリング性と耐食性とを兼ね備えさせる提案が行われている。
例えば、特許文献5には溶鋼と接触する部分に、アルミナ、スピネル、マグネシア、ムライト、ZrO含有クリンカー等の耐火性粒子に、炭素を10質量%以下、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物などを0.5質量%以上8質量%以下を添加することで、熱間で耐火物層に軟化特性を付与し、かつ残部の骨材粒度を調整した耐火物を本体材質と一体成形することで、溶鋼への炭素成分の溶出を抑制し、耐スポーリング性と耐食性に優れ、繰り返し使用時の折損トラブルの発生を低減可能としたロングノズルが提案されている。
しかし、この特許文献5のロングノズルによっても、構造体としての耐スポーリング性は確保できるものの、特に上述したNbなどが添加されたほうろう鋼に対しては、浸透性及び浸食性の非常に強い組成のスラグの影響により、耐火物の損傷が大きく耐用が十分でないことを本発明者らは確認した。
このように、耐火物との低融化反応により浸食性の強いNb−FeO−MnO−Al−SiO−CaO系など複合酸化物の鋼中介在物を伴う溶鋼の連続鋳造においては、耐スポーリング性を備えた上で、優れた耐浸潤性・耐食性が得られる連続鋳造用耐火物及び連続鋳造用ノズルは、これまで提供されていない。特に、溶鋼中の酸素含有量が50ppm以上、Nbを10ppm以上含有する溶鋼(特にほうろう鋼)においては、ほとんど複数チャージ(溶鋼鍋の溶鋼量を1チャージとする)の鋳造ができない状況である。
国際公開第99/38818号 特開平10−305355号公報 特開平11−320047号公報 国際公開第2007/55400号 特開2006−130555公報
本発明が解決しようとする課題は、Nb−FeO−MnO−Al−SiO−CaO系などの耐火物にとって浸食性の強い複合酸化物系の鋼中介在物(浸食性の強いスラグ成分)を含む溶鋼、特に、酸素含有量が50ppm以上、Nbを10ppm以上含有するほうろう鋼等の連続鋳造においても、前記スラグ成分等に対する高い耐浸潤性や耐食性を備えるとともに、耐スポーリング性(耐熱衝撃性と耐押し割れ性を含む。以下同じ。)をも備えた連続鋳造用耐火物及び連続鋳造用ノズルを提供することにある。
なお、「Nb−FeO−MnO−Al−SiO−CaO系などの複合酸化物介在物(浸食性の強いスラグ成分)を伴う溶鋼」としては、ほうろう鋼に代表される高酸素−高Mn含有鋼が挙げられる。
本発明の連続鋳造用耐火物は、耐火物の構成物からフリーの炭素成分からなる構成物を除いた部分を100体積%としたときに、0.045mm以下の大きさの粒子が10体積%以上で50体積%以下、0.045mmより大きく0.21mm以下の大きさの粒子が40体積%以下(ゼロを含む)、0.21mmより大きい粒子が40体積%以上90体積%以下の粒度構成であり、耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに、フリーの炭素成分が3.0質量%以上35.0質量%以下、酸化物換算でのSiO成分及びCaO成分の合計が0.4質量%以上5.0質量%以下の化学組成であり、前記のフリーの炭素成分、SiO成分及びCaO成分を除いた、0.045mm以下の大きさの粒子の残部が、その粒子群全体の平均モル比(Al/MgO)が1.05以上2.35以下の鉱物組成となるコランダム(Al)及びスピネル(Al・MgO)からなる粒子群を含んで構成されており、0.045mm以下の大きさの粒子及びフリーの炭素成分を除く部分が、コランダム(Al)及びスピネル(Al・MgO)のうちのいずれか又は両方から構成されていることを特徴とする。
また、本発明の連続鋳造用ノズルは、前記本発明の連続鋳造用耐火物が、ノズルの内孔面の一部又は全部の領域に配置された連続鋳造用ノズルであって、前記連続鋳造用耐火物の厚さが当該連続鋳造用耐火物の損傷速度に設定使用時間を乗じた値に2mmを加えた値以上であることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
前記の課題の解決にあたっては、最も高い耐浸潤性や耐食性が要求される、溶鋼中の酸素が約50ppm以上で、Nbを約10ppm以上含有する溶鋼(特にほうろう鋼)を対象として検討した。このような溶鋼に関して前記の課題が解決できる耐火物であれば、このレベルより低い酸素、Nb等を含有する溶鋼に対しては、相対的に前記溶鋼に対する場合よりも、より高い耐浸潤性や耐食性が得られる。
本発明は、稼働面及びその内部に気孔を有する耐火物において、溶鋼と接触する側に、被膜状の緻密で薄いスピネル(二次スピネル)層を速やかに生成させることで、耐火物内部を保護し浸潤性や溶損を低減できるとの知見に基づくものである。すなわち、本発明は、二次スピネル層の速やかな形成による薄くて緻密な保護層を溶鋼と接する稼働面に形成させ、ほうろう鋼中などに懸濁しているNb−MnO−SiO−FeOなど含む浸透性の高いスラグ(介在物組成)に対しても顕著な耐食性改善効果を得られる点、しかも連続鋳造用ノズルとしての耐熱衝撃性を損なわずにこの効果を得ることができる点が、従来技術と大きく異なる。
本発明者らは、気孔を有する耐火物表面に速やかに二次スピネル層を生成させるために、耐火物を構成している0.045mm以下の粒度域での化学成分及び鉱物組成が特に重要であることを見いだした。以下、具体的に説明する。
まず、ほうろう特性(耐泡・黒点性、密着性、耐つまとび性)を引き出すために、一般的には溶鋼中酸素濃度が50ppm以上で、合金元素としてMn、Si、Nb、V、B等が所定量添加される。そのため、これらの合金元素は溶鋼中ではその一部が酸化物として存在していると考えられ、特に耐火物の溶損に影響を与える(MnO)、(SiO)、(Nb)、(V)、(B)[( )はスラグの意味]などが、鋼中に存在する(FeO)と融合して低融化した複合酸化物(以下「鋼中低融点スラグ」ともいう。)として存在していると考えられる。なかでも(Nb)及び(V)はスラグ相の表面張力を下げ、低融化を促進する作用を有するため、これらの酸化物を含有するスラグ相は耐火物組織への浸透性、溶損性が強い組成となる。
上記の複合酸化物は、低融点の非金属介在物として溶鋼中に懸濁していると考えられ、それらがまず、溶鋼流と共に耐火物表面と接触することになる。一方、耐火物中に存在する炭素は溶鋼との接触により速やかに溶鋼中へ溶解するために、表面層では酸化物相が露出することになる。その結果、粒度の異なる酸化物粒子が、溶鋼中に懸濁した低融点スラグ微粒子と接触することになる。この鋼中低融点スラグと、耐火物表面は同じ酸化物同士であるため、濡れ性が非常に良好であり、耐火物表面や耐火物の気孔との接触を介して、AlやMgOを含む骨材を溶解させながら組織へ浸透し、耐火物の浸食が進むことになる。結果として、鋼中低融点スラグの組成は、Al、MgO成分を吸収する形で順次変化することになる。
本発明者らは、粒子サイズが微細なほど、スラグ中に素早く粒子が溶解する特徴に着目し、微粒域での化学成分、鉱物組成等を変化させ二次スピネル相の生成を早める検討を行った。ここで、二次スピネル相とは、耐火物原料配合時には添加していないスピネル粒子であり、スラグ中のAl、MgO成分を原料として、スラグ中から新たに結晶化したAl、MgO系のスピネル結晶として成長した相をいう。

検討の結果、二次スピネル相を速やかに生成させるためには、鋳造に供する前の耐火物組織が、次の3つの要件を満たすことが必要であることが判明した。
(要件1)耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに、酸化物換算でのSiO及びCaOの成分を合計で0.4質量%以上5.0質量%以下含有していること。
(要件2)耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに、フリーの炭素成分を3.0質量%以上35.0質量%以下含有していること。
(要件3)前記のフリーの炭素成分、SiO成分及びCaO成分を除いた、0.045mm以下の大きさの粒子の残部が、その粒子群全体の平均モル比(Al/MgO)が1.05以上2.35以下の鉱物組成となるコランダム(Al)及びスピネル(Al・MgO)からなる粒子群を含んで構成されていること。
耐火物が上記の要件1〜3条件を満たすことにより、連続鋳造中(溶鋼が通過する間)に、当該耐火物との溶鋼との接触界面で、速やかに二次スピネル層を形成することが可能となる。
以下、各要件について詳細を説明する。
本発明者らは、二次スピネルを速やかに生成させる条件として、耐火物中の特に0.045mm以下の粒度域の化学成分、鉱物組成等が重要であることを知見した。この耐火物中の0.045mm以下の粒度域の化学成分、鉱物組成等が重要な理由は、この粒度域が主に粗い粒子間をつなぐマトリックス部に相当する粒度であること、更に、反応性の高い微粉マトリックス部で液相組織を形成させることにより、0.045mmを超える大きさの粒子間をつなぐ二次スピネル相を稼働面のスラグ相中に晶出させることで、稼働面にのみに薄い二次スピネルによる緻密層が速やかに形成できるからである。
連続鋳造中に液相組織を生成させるために、フリーの炭素成分を除く0.045mm以下である微粒等部分(すなわち、フリーの炭素成分以外の当該耐火物の構成物全体から0.045mmを超える大きさの粒子(以下「粗粒及び中粒部分」ともいう。)を除いた残部。)及びフリーの炭素成分(0.045mm以下に限らない)の総量を100質量%としたときに、予め酸化物換算でのSiO及びCaOの成分を合計で0.4質量%以上5.0質量%以下をこの粒度域に存在させる(要件1)。これは、稼働面(溶鋼接触面)への二次スピネル層の生成促進、及び耐火物としての耐スポーリング性の改善を目的とする。
SiOはスピネル相中の反応性の低いMgO成分を、フリーのMgO成分として一旦スラグ中へ溶解し反応性を高め、後述するMg(g)として耐火物組織中での移動を容易にする機能を果たす。SiOは酸化物の形でもSiC、Siなどの非酸化物の形での添加も可能である。
CaOは、コランダムやスピネル粒子の成分、特にAl成分と優先的に反応して少量の液相を生成させる機能を果たす。このCaOにより生成した液相も、MgO成分の移動を容易にする。
また、これらのSiOやCaOを0.045mm以下の微粒等部分の組織中に分散させた状態で存在させることにより、組織中に僅かな(薄い)Al−MgO−SiO−CaO系など液相を生成することができ、後述する耐火物粒度構成による発生応力値の低減に加えて、拘束された耐火物配置環境において、自身の熱膨張、弾性率による発生応力値を低減し、耐火物本体の内孔材質による押し割れの危険性を低減する効果が得られる。
連続鋳造中に、0.045mm以下である微粒等部分中の微粉粒子のコランダムやスピネル中に含まれるAl成分やMgO成分の一部の一定量が、(SiO−CaO)系液相組織中に溶解し、前記微粉粒子成分を含んだ液相を形成することになる。これにより、特に熱力学的に安定相であるスピネル粒子中のAl成分やMgO成分を一旦、(SiO−CaO−Al−MgO)系のスラグ相とすることで、後述するメカニズムにより組織中でのMgO成分移動を容易にすることが可能となる。
一方、溶鋼と接する稼働面部分では、鋼中のNb−MnO−SiO−FeOなどの複合酸化物系スラグ(介在物)と接触し順次反応することで、その稼働面、特に0.045mm以下の耐火物を構成する粒子のAlやMgO成分が、更に前記の液相組織に溶解し、反応性の高い前記微粒等部分での液相量が増える。
この際、SiO、CaOの合量が5質量%より多いと、耐火物組織の耐火度が低下し耐食性が低下するため好ましくなく、また、0.4質量%未満の場合は、初期に生成する液相量が少なくなるため、二次スピネル相による緻密層が速やかに生成できなくなる問題がある。
このように、予め耐火物の微粉領域に液相化成分を存在させること、及び溶鋼中に存在するNb−MnO−SiO−FeOなどの複合酸化物系スラグ(介在物)と接触して反応する過程を経ることにより、耐火物内部では、コランダムやスピネル中からAl成分やMgO成分が溶解したSiO−CaO系液相組織が順次生成する。これにより、熱力学的に安定なスピネル中のMgO成分の耐火物内部での移動が容易となる。また、稼働面では特に微粒等部分のAlやMgO成分のスラグ中への溶解が進行し、AlやMgOの成分含有率の高いスラグ相が稼働面近傍で多く生成すると考えられる。
ここで、0.045mm以下の粒度域の化学成分としてのコランダム及びスピネルの平均モル比(Al/MgO)は、1.05以上2.35以下とアルミナリッチな組成である必要がある。
その第一の理由は、0.045mm以下のスピネル粒子中のAl成分がCaO成分と選択的に反応してその粒子の分解を容易にし、スピネル粒子周辺での液相生成を促進するためである。その第二の理由は、稼働面でのスラグ中の平均モル比(Al/MgO)をアルミナリッチな組成に予め調整することで、耐火物組織内部より気孔を通じて移動してくるMgO成分の移動が促進されて稼働面のスラグ相に吸収されることが促進され、稼働面付近のスラグ中の(MgO)の濃度を上げるためである(後述参照)。スピネル相は熱力学的に安定相であるために、(MgO)成分のスラグ相への継続的な供給により、新たに高融点で緻密な二次スピネル相の生成(晶出)がスラグ中より起こることになる。稼働面に生成する二次スピネル相の組成は、(MgO)の供給量に応じて大きく変化し、耐火物内部よりMgO成分が十分供給される場合は、MgOリッチな二次スピネル相が稼働面付近の耐火物のマトリックス部に生成し、その耐火物の耐食性を高めると考えられる。
このとき、最初に設定する0.045mm以下の化学成分(Al/MgO)の平均モル比が1.05より小さいと二次スピネル相の生成が十分でなく、2.35よりも大きいと二次スピネルは生成するものの低融化成分が残存し溶損傾向となる。
なお、上記の平均モル比を算出するための0.045mm以下の化学成分Al、MgOは、金属Alが存在している場合は、これを酸化物に換算して加算することができる。この理由は、金属Alが存在していても、鋳造中には酸化してコランダムとしてのアルミナになるからである。
また、0.045mm以下の使用可能な酸化物粒子としては鉱物としてのコランダム及びスピネルを含む粒子である。
このコランダムは単一組成の粒子でもよく、スピネル粒子中にスピネルと混在して一体的粒子構造をなして存在している場合でもよい。コランダムはスラグ化成分として添加しているSiOやCaOとのスラグ相を形成しやすく、マトリックス部の緻密化に貢献するため好ましい。
スピネル粒子の使用は、主に次の三点から好ましい。第一点は、MgOより熱膨張率が低く、耐スポーリング性を維持・改善できる点にある。第二点は、スピネル粒子は熱力学的に安定であり、スラグ相への低粘性化の影響が小さい点に加え、溶解したMgO成分の一部が炭素との反応性を増すことで、MgO成分の稼働面側への移動を容易にする点にある。第三点は、スラグ中のFeOの吸収能が優れており、スラグ相の浸透を促進しない点にある。
一方、予め0.045mm以下の粒度域にMgO(ペリクレース)微粉末を添加する方法も考えられる。一般的にMgO成分は鋼中に存在するスラグ化成分との接触でも低融点化合物を作り難く、耐食性の面では好ましいとされる。ところが、開気孔を有する耐火物では、この開気孔を介してスラグ相が組織中への浸透し、徐々にMgO成分がMgイオンとして気孔に浸透するスラグ中への溶解が進み、スラグの低粘性化をもたらす。その結果、MgOを含有した耐火物では、Al系耐火物に比べてスラグの浸透が深くなる。特に、スラグ中のFeO成分がFeイオンの形で多く存在する場合は、粒子間をつなぐ炭素質ボンドが消失する(C+(FeO)→CO(g)+Fe)。この結果、骨材粒子の脱落による損傷が進行しやすくなり耐用改善が望めなくなる。一方、熱力学的に安定なスピネル相はMgO粒子に比べてスラグの低粘化効果が小さい。更に、MgO自体の熱膨張率がアルミナ、スピネルと比較して大きく、ロングノズルの使用環境を考慮すると耐スポーリング性の面で不利であること等により、MgO(ペリクレース)の使用は好ましくない
また、0.045mm以下の大きさの粒子及びフリーの炭素成分を除く部分(粗粒及び中粒部分)には、コランダム(Al)、スピネル(Al・MgO)のうちのいずれか1種又は両方を使用する。この粗粒及び中粒部分では骨材の溶解速度が遅いので、スピネル粒子あるいはコランダムのどちらでも、スラグ等に対する耐食性が本発明の耐火物の耐用性を決定付ける程度に損なうことはない。また、これらは耐スポーリング性の維持・改善にも有効である。
二次スピネル生成メカニズムについて、反応式によりさらに詳しく説明する。
マトリックス部に存在するスピネル中、あるいはスラグ相に溶解したMgO成分と、共存させているSiO成分は、炭素との共存下、後記(式1)、(式2)に示す反応を生じる。耐火物が溶鋼と接触している面(稼働面)では、溶鋼が流動していることから負圧域が形成されるので、この(式1)、(式2)の反応により生成したガス成分は、耐火物組織中の気孔を通じて、稼働面側に移動する。更に、(式1)、(式2)で生成したSiO(g)とMg(g)のガス成分は、移動途中や稼動面近傍にてMgO(s)とSi(l)を生成する(式3)。稼働面近傍で生成したMgO(s)は、耐火物稼動面で微粉末を溶解した複合酸化物スラグ(例えば鋼介在物スラグNb−MnO−SiO−FeOと微粉骨材成分との混合物)相に吸収され、そのスラグのMgO濃度を上げることになる(式4)。また、生成したSi(l)は溶鋼中に溶解する。稼動面スラグ中でのMgOの活量が1を超えると、スラグ中でMgOが固相の形で晶出することになる。このときスラグ中でMgOが単体(ペリクレース)として生成するより、スラグ中に豊富に存在するアルミナ成分と結合し、熱力学的に更に安定な化合物であるスピネルAl・MgO(二次スピネル相)を生成すると考えられる。したがって、二次スピネル相はマトリックス部に存在するスラグ中から生成、成長することになる(式5)。
MgO(s)+C → Mg(g)+CO(g) … (式1)
SiO(s)+C → SiO(g)+CO(g) … (式2)
Mg(g)+SiO(g) → MgO(s)+Si(l) … (式3)
MgO(s) → (MgO) … (式4)
(MgO)+(Al) → Al・MgO(S) … (式5)
以上の過程を経ることにより、稼働面側に、耐火物を構成する粒子間をつなぐマトリックス部を中心に、スラグ相と接触する耐火物を構成する粒子あるいはスラグ相中で核生成、成長した二次スピネル相が生成し緻密な層が形成される。また、マクロ的には、組織中にMgO成分の偏在を招くことになる。すなわち、稼働面側の二次スピネル相生成側にMgO成分が多い領域が形成され、その下部には相対的にAlが多くMgOが少ない層が生成する。つまり表層部がMgO質に富んだ組織になる。
ここで、上記反応における炭素量としては、0.045mm以下の大きさの粒子と耐火物中のフリーの炭素成分の全量との合計を100質量%としたときに、フリーの炭素成分が3.0質量%以上35.0質量%以下である必要があり、好ましくは5質量%以上15質量%以下である。なお、フリーの炭素成分とは、SiC等の他の成分と結合した化合物ではなく、主として粒子等の耐火物構成物間を繋ぐ連続的組織の炭素と粒子状の炭素質粉末(黒鉛、カーボンブラック等)を意味する。
フリーの炭素成分は、上記の(式1)及び(式2)の反応を促進するための必須成分であるとともに、スラグなどの浸透を防止し、耐スポーリング性を改善する作用がある。
フリーの炭素成分としては、混練時に成形性、強度付与を目的に添加するフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ピッチ、タールなど固定炭素の高い樹脂(以下、「ボンド炭素」ともいう。)が使用できる。このボンド炭素に加え、結晶をもつ黒鉛、無煙炭などの炭素粉末あるいは結晶性をもたない炭素粉末、それらの混合組織をもつ炭素粉末のいずれか1種以上を併用することもできる。耐食性や耐摩耗性等の向上のため、ボンド炭素だけでも構わない。これらは、耐火物組織内を安定的かつ強度に還元雰囲気にするために、0.045mm以下の粉末で使用することが好ましいが、耐スポーリング性向上に寄与する等の特性の発現をより高めるためには、0.045mm超1mm以下のサイズでの使用も可能である。
フリーの炭素成分が3.0質量%より少ないと上記(式1)及び(式2)の反応進行ないし稼働面側のスラグ層へのMgO成分の供給が遅れて、稼働面での緻密層の形成が困難となる。また、35.0質量%より多いと、上記(式1)及び(式2)の反応の進行の面では好ましいものの、溶鋼との接触により容易に溶解消失するため、稼働面はポアーの多い耐火物組織となり、溶鋼側からの複合酸化物による接触面積ないしは組織内部への浸透が増えるために溶損速度が増大し、耐食性の低下を招来する危険性が高まる。
以上のようなメカニズムで生成した緻密な層の存在により浸透性、浸食性の強い溶鋼側からの複合酸化物(スラグ)の浸入を抑制し、耐火物組織を保護することが可能となる。
ところで、連続鋳造用ノズルは耐スポーリング性の観点から、その本体材質には一般的に耐スポーリング性に優れた低膨張なAl−SiO−C系あるいはAl−C系材質(以下、これらを「AG系材質」ともいう。)が適用される。本発明の材質は、耐食性向上の観点から溶鋼との接触部、例えば内孔面の一部又は全部の領域に配置される場合が多く、多くはAG系材質と一体成形して使用される。この場合、本体材質と内孔面に配置された材質(以下「内張材質」ともいう。)の物性差により、内張材質が本体材質を押し割る等の機械的な損傷を生じる危険性が高まることがある。
この機械的な損傷に関しては、鋳造温度域までの内張材質の発生応力値を低減することで、その発生の危険性を低減ないしはなくすることが可能と考えられる。本発明者らは、この発生応力値を低減することに主眼をおき鋭意検討を加えた。
前述した耐食性を向上させる三つの要件、及び本発明の耐火物組織中の液相による応力緩和効果に加えて、下記「要件4」を加えることにより、耐食性に優れ、なおかつ耐スポーリング性に優れた連続鋳造用ノズルの実現が可能となる。
(要件4)耐火物の構成物からフリーの炭素成分からなる構成物を除いた部分を100体積%としたときに、0.045mm以下の大きさの粒子が10体積%以上で50体積%以下、0.045mmより大きく0.21mm以下の大きさの粒子が40体積%以下(ゼロを含む)、0.21mmより大きい粒子が40体積%以上90体積%以下の粒度構成とすること。(これを図に示すと、図1の範囲となる。)
上記のように、0.21mmより大きい粒子(粗粒)を最も多くし、0.045mm以下の粒子(微粒)を次に多くし(粗粒と同じ割合の場合を含む)、0.045mmより大きく0.21mm以下の粒子(中粒)を最も少なくすること、いわゆるギャップ粒度構成にすることで、耐火物組織中の空隙率を高めることが可能となる。このことが、組織中での粒子の動き(すなわち、粒子及び空隙の再配列。これを組織面に着目すると局部的な「座屈」と表現することも可能。)を容易にし、熱間での発生応力値の低下をもたらすことが可能となる。上記の範囲外の粒度構成では、粒子の再配列が困難となるため最大発生応力値が大きくなり、押し割れの危険性が高まる。連続鋳造用ノズルの内径が大きいほど、また肉厚が薄いほど、破壊しやすくなる。連続鋳造に使用される一般的なノズル形状では、最大発生応力値としては、溶鋼注入試験の結果から、最大10MPa以下である必要があり、好ましくは5MPa以下であると、ほぼ押し割れの危険性はほぼなくなる。
なお、このような耐スポーリング性の要素としての粒度構成に関して、耐火物の構成物からフリーの炭素成分からなる構成物を除くのは、主に次の理由による。連続鋳造用ノズルの耐火物内に発生する機械的な応力に対しては、それ自体の変形等が小さい(ほとんど皆無)酸化物等の固体状粒子相互の構造的な関係が大きく影響するので、そのような粒子相互の関係以外の要素を排除して評価することが、耐スポーリング性を明確にかつ最も有効に評価できるからである。この粒子相互の関係以外の要素とは、炭素成分である黒鉛、その他の粒子状の炭素(後述)であり、これらは耐スポーリング性への影響(改善効果)が大きいので、この粒度構成の特定においては炭素成分を除外した相対的な割合とする。
上記粒度構成にすることで10MPa以下の最大発生応力値とすることが可能となる。0.045mm以下の大きさの粒子が10体積%未満の場合、0.21mmより大きい粒子が90体積%を超える場合、及び0.045mmより大きく0.21mm以下の大きさの粒子が40体積%を超える場合は、耐火物内の0.045mm以下の大きさの粒子が均一に分散し難くなって、その偏在により耐火物の破壊の基点となり得る歪みを耐火物組織内に生じやすくなる。0.045mm以下の大きさの粒子が50体積%を超える場合、及び0.21mmより大きい粒子が40体積%未満の場合は、耐火物組織が一体的な構造に近くなって、応力分散ないし破壊の発生と破壊の拡大を防止する機能を果たす粗粒が相対的に少なくなり、応力が広範囲に伝播し、破壊しやすくなる。
ここで「最大発生応力値」とは、発生応力試験装置を用いて内張材質で製造された測定用試料を測定した結果より得られる。最大発生応力値の測定方法は次のとおりである。
(1)外径50mm、高さ50mmの円柱形状の耐火物を測定用試料として、非酸化雰囲気を作ることができる電気炉内にセットする。
(2)上下より固定された押し棒により初期荷重0.2MPaを試料に負荷する。
(3)試料セット後、試料近傍にセットした熱電対で測温しながら1500℃まで昇温する。
(4)昇温とともに試料の熱膨張により、固定された押し棒に試料の熱膨張量、弾性率に応じた応力が伝達される。
(5)この応力を温度毎にロードセルにて読み込むことで発生応力を測定し、プロットする。
(6)この発生応力の中の最大値を最大発生応力とする。
溶鋼由来のスラグ成分等に対する高い耐浸潤性や耐食性を備えるとともに、耐スポーリング性をも備えた連続鋳造用耐火物及び連続鋳造用ノズルを得ることができる。特に、溶鋼中の酸素が約50ppm以上で、Nbを約10ppm以上含有する溶鋼(典型的にはほうろう鋼)の連続鋳造においては、アルミナ質や炭素を含有しないアルミナ質等の従来の耐火物よりも極めて優れた耐浸潤性や耐食性を得ることができる。更には、単一物質としてはスラグ等に対する耐食性が前記アルミナ質等よりも高いと従来いわれているMgO(ペリクレース)質の耐火物よりも、優れた耐浸潤性や耐食性を得ることができる。
これらの効果により、複数チャージ(溶鋼鍋の溶鋼量を1チャージとする)又は従来よりも長い時間の連続鋳造に耐え得る連続鋳造用耐火物及び連続鋳造用ノズルを提供することができる。
本発明の耐火物の、フリーの炭素成分を除いた構成物を100体積%としたときの、粒度構成の範囲を示す図である。 本発明の耐火物を内孔面全面に設置したロングノズルの例を示す断面図である。 本発明の耐火物を内孔面全面に設置した浸漬ノズルの例を示す断面図である。 本発明の耐火物を内孔面全面に設置した下部ノズルの例を示す断面図である。
本発明の耐火物及びこれを使用した連続鋳造用ノズルの製造方法について述べる。
酸化物に換算した際のSiOの原料としては、無定形のシリカ、結晶性のシリカ、金属Si、SiC等を使用することができる。Siは熱処理後の強度及び弾性率を高め、耐熱衝撃性を低下させることからSi添加量は、耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに0.5質量%以内に制限することが好ましい。
酸化物に換算した際のCaOの原料としては、Caの炭酸化物、水酸化物を含む、約1000℃以上の加熱処理後にCaOとなるCaO系の化合物、珪酸カルシウム(ポルトランドセメント等)などを使用することができる。
これらSiO及びCaOの原料は、0.045mm以下の粒子サイズとするが、その耐火物組織内での分散性を高めるために、可能な限り小さなサイズ(微粉末)であることが好ましい。
アルミナ質及びスピネル質の粒子としては、焼結法、電融法等の製造方法の如何にかかわらず、前述の成分、モル比の鉱物組成となる原料であれば使用することができる。
なお、微粒等部分、粗粒及び中粒部分粒子それぞれに使用する粒子形状は破砕粒でも非破砕粒のいずれでもかまわないが、微粒等部分(0.045mm以下)に使用する粒子は、破砕粒が反応性に富むことから好ましい。
粒子状(骨材粒子)の炭素成分としては、鱗状黒鉛、土状黒鉛粒子、人造黒鉛等の六角網面の結晶が発達した黒鉛質骨材、又はいわゆるカーボンブラック等の非晶質の炭素の微粒子の使用が好適である。特に、天然で産出する鱗状黒鉛の使用が耐スポーリング性の点で最も好ましい。黒鉛質骨材中の炭素含有量は90.0質量%以上(不可避の不純物を除き100質量%を含む)であることが好ましい。その理由は90.0質量%未満の純度であると、不純物相互又は不純物と他の原料粒子等との焼結反応等によって耐火物組織の高弾性率化等を招来し、耐スポーリング性が低下するためである。
これらの黒鉛質骨材は、前述のとおり、炭素質結合組織間の充填材として添加することにより、構造体強度を高め、熱伝導率を上げ、熱膨張率を低下させる作用により、耐スポーリング性を改善できる。また、結合材を含め、炭素が酸化物等の間に均一に分散して存在することで、酸化物の焼結や低融化反応を抑制する効果があり、鋳造途中の品質が安定化できる。
このように均一に分散した状態で炭素を存在させるために、粒子サイズは1mm以下の黒鉛質骨材の使用が可能であるが、組織の均質性、及び組織中でのMgO成分移動の観点からは、よりは好ましくは0.045mm以下である。
なお、これらの黒鉛質骨材等は、耐食性の向上のために使用しなくても構わないが、0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに、ボンド炭素を含む35.0質量%以下の範囲で併用することができる。これは、内張材質として、MgO成分の組織内移動の促進による二次スピネル相の生成促進に加え、本体材質との膨張量の調整(歩留まり、熱スポーリング性改善)機能をも高めることを目的とする。
これらの原料粒子を混和して均一な粒子混合物にする。そして、この粒子混合物に、結合組織を担う炭素質原料(フリーの炭素成分)としてのフェノール樹脂、ピッチ、タール等の結合材を適宜選択して添加し、均一に混練して成形用のはい土を得る。この結合材となる原料は粉体でも液体でもよいが、成形に適したはい土の特性に合わせて、はい土の可塑性を調整することが重要である。
次に、前記の本発明の耐火物のはい土から得られる耐火物を内孔側層に設置した連続鋳造用ノズルの製造方法について一例を述べる。
前記の本発明の耐火物のはい土とは別に、外周側層すなわち連続鋳造用ノズルの本体用のはい土を作製する(一般的な製造方法でよい)。次に、成形用鋳型に内孔側層及び外周側層を形成するための、所定の大きさに仕切られた複数の空間を設ける工程と、成形用鋳型内の各空間にそれぞれ専用に作製したはい土を充填し、その空間の仕切りを除去する等によって隣接するはい土を直接接触させる。
これらの直接接触させたはい土を、CIP装置により同時に加圧して一体的に成形する。得られた成形体を、非酸化雰囲気中又は表面に酸化防止処理を施した状態での酸化雰囲気中で、600℃以上1300℃以下での熱処理をする。なお、この熱処理をする工程に先立って、前記温度より低い温度で、揮発分の除去や樹脂の硬化等を目的とする独立した熱処理工程を含んでもよい。最後に通常の連続鋳造用ノズルの製造と同様に、適宜加工等を行う。
前記の各工程の基本的な操作・作業方法、使用する装置等は、一般的な連続鋳造用ノズルの製造方法と同様でよい。
なお、本発明の耐火物を使用した連続鋳造用ノズルの製造方法については、前述の内孔側層として他の材質との一体的な製造方法にとどまらず、(1)筒状の成形体として製造した管体を別に製造した本体部分の内孔に装着し、モルタル等で固定する方法や、(2)ノズル本体部分と内孔側層部分とを本発明の材質一種による単体として成形等を行う方法を採用することができる。
ここで、前記の本発明の耐火物を連続鋳造用ノズルの内孔面の一部又は全部の領域に配設する際には、その厚さは当該耐火物のタンディッシュ内のスラグ等に対する損傷速度(mm/単位時間)に設定使用時間を乗じた値に、2mmを加えた値以上であることが必要である。この損傷速度と設定使用時間は、個別の操業ごとに固有の変動条件(溶鋼量、スラグ組成、温度、鋳造速度等)によって決定されるものであるが、少なくとも設定使用時間は、それぞれの取鍋一基分の溶鋼全量(1チャージ分)の所用鋳造時間に整数(すなわち所定のチャージ数)を乗じた値にする必要がある。
本発明の耐火物はその組織内に液相を形成することが特徴の一つであって、この液相の存在が応力緩和機能を示す一方で、機械的な外力等によって変形や剥離を生じる原因になることもある。本発明の耐火物層の厚さに前述の2mmを加えるのは、この変形や剥離を防止するためである。この変形や剥離の現象が生じる条件は一定ではないが、概ね50〜150mm程度の径の内張り構造の場合、本発明の耐火物層の厚さが概ね2mm以上残存している場合には、ほとんど発生しないとの経験を得ていることから、2mmを加えることとした。
なお、本発明の耐火物は、前述のとおり、連続鋳造用ノズルの内孔面のみに内孔側層として配置することを第一の実施の形態としている。しかし、内孔側層のみにとどまらず他の部分、例えば前記の「本体部分」等や連続鋳造用ノズル全体に使用することも可能である。
また、連続鋳造用ノズルの内孔面の一部に配置する場合の例としては、ロングノズルでは、取鍋の下部ノズルに近い損耗の大きい部分を中心とした上部側のみに、下部ノズルでは、その上部のスライディングノズルに近い損耗の大きい部分や浸漬ノズルとの接合部付近の損耗の大きい部分を中心とした部分のみに、浸漬ノズルではモールド内の溶鋼上端面にほぼ一致する部分付近の損耗の大きい部分を中心とした領域のみに設置することが可能である。
図2〜4は、本発明の耐火物を内孔面全面に配置した連続鋳造用ノズルの例を示す。図2はロングノズル11、図3は浸漬ノズル12、図4は下部ノズル13である。図面中、符号1は本体の耐火物層、符号2は内孔、符号3は本発明の耐火物層(内張)、符号4は本体の耐火物層のうち、ジルコニア−黒鉛質の層(モールドパウダー部用)を示す。
本発明の耐火物及び連続鋳造用ノズルについて、試験室における実験によって得た実施例、及び実際の設備における連続鋳造操業に供した実施例を以下に述べる。
以下に示す実施例A〜Eの試験条件、評価方法は次のとおりである。
実施例A〜Eにおいては、後記の「評価1〜4」の試験を各々の試料について実施し、各結果の設定基準を全て満たすか否かを総合評価とし、これら全てを満たした場合に連続鋳造用ノズルとしての使用が可能かつ本発明の課題が解決できる実施例とした。試料は、前記の本発明の耐火物の製造方法に述べた方法に準じた方法で作製した。
<評価1の試験条件>
1550〜1570℃の溶鋼([O]:100ppm、[Nb]:20ppm、[Mn]:200ppm)中に、棒状耐火物試料(□20×160mm、1000℃非酸化雰囲気焼成後の見掛け気孔率25%に調整した試料)を100mm浸漬後30分間保持して引き上げ、冷却後の耐火物稼働表面における組織(二次スピネル層の有無)を観察し、その結果を次のとおり○、△及び×として評価した。○及び△が、効果が認められたということである。
○:二次スピネル層のみ(融液なく、粗粒及び中粒と合体し緻密層形成)
△:二次スピネル層が融液中から生成(残部融液)
×:融液のみで二次スピネル生成なし
<評価2の試験条件>
前記と同じ溶鋼を作製し、1550〜1570℃の溶鋼中でプロペラ状の棒状試験試料(□20×40mm)を水平面で回転速度200rpmで120分間浸漬回転後引き上げ、初期寸法からの摩耗量を時間で除した数値で、耐溶鋼摩耗性(1550℃−120分)として評価した。
その評価は次のとおりであり、○及び△が、効果が認められたということである。なお、「耐溶鋼摩耗性」については、外見上の損耗有無を観察しているのであって、機械的な狭義の「摩耗現象」のメカニズムに起因する損傷に限定するものではなく、化学的溶損によるものも含んでいる。
○:<15μm/min
△:15〜30μm/min
×:>30μm/min
<評価3の試験条件>
前記「最大発生応力値」の部分に記載したとおりである。この最大発生応力値が10MPa以下であるものが、効果が認められたということである。
<評価4の試験条件>
AG本体(Al:68質量%、C:27質量%、SiC:5質量%)に本発明の耐火物を内孔側に一体的構造として配置(内張り)し(AG:φ120/φ70mm、内張り:φ70/φ50mm)、高さ300mmの内孔に1600℃の溶銑を注湯して内孔より熱衝撃を与え、この注湯法による押し割れの発生を次のとおり○及び×で評価した。○が、効果が認められたということである。
○:割れなし、
×:押し割れ発生
[実施例A]
実施例Aは、フリーの炭素成分、SiO成分及びCaO成分を除いた、0.045mm以下の大きさの粒子の残部の鉱物組成及びAl/MgOモル比の影響を主に調査した例である。
表1に、各試料の構成と評価結果を示す。なお、この表1及び後に示す表2〜5では、配合設計を粒子の体積割合で示しているが、作製された耐火物中でもこの配合設計と同じ粒度構成を維持することになる。また、各表において「FC」は、フリーの炭素成分を示す。
Figure 0005637630
前記残部の鉱物組成が、コランダムとスピネルが共存する場合で、かつAl/MgOモル比が1.05〜2.35の実施例(実施例1〜実施例4)が、全ての評価基準を満たしていることがわかる。
比較例1は0.045mm以下の微粒部分だけでなく、全ての酸化物粒子をペリクレースであるマグネシアとした例、比較例2は同じく全ての酸化物粒子をペリクレースであるマグネシア粒子及びスピネル粒子とした例であるが、これら比較例では特に二次スピネルの生成が観察できず、スラグの組織内部への浸透が観られ、耐溶鋼摩耗性が低い。更に最大発生応力が大きくなって耐スポーリング性が劣っている。
これらのことから、ペリクレースであるマグネシアは存在させないことが必要であることがわかる。
また、コランダムを含まないスピネルのみの場合である比較例3及び比較例4では、二次スピネルの生成は観察できるものの少なく、耐溶鋼摩耗性が低い。更に、SiO及びCaOの成分を加えてもなお最大発生応力が大きくなって耐スポーリング性が劣っている。
このことから、コランダムの存在が必要であることがわかる。
Al/MgOモル比が2.35を超える、比較例5及び比較例6では、評価1の二次スピネル層の生成状態が悪化し、評価2の耐溶鋼摩耗性が低くなることがわかる。これはAl/MgOモル比が2.35を超えた場合はコランダムが相対的に過剰となり、スラグ成分との低融物生成等が多くなったためと考えられる。
[実施例B]
実施例Bは、コランダムとスピネルの共存に関し、粒度分布との関係を調査した例である。すなわち、0.045mm以下の微粒部分、0.045mmを超え0.21mm以下の中粒部分、0.21mmを超える粗粒部分の、それぞれでのコランダムとスピネル共存有無の影響を調査したものである。
表2に、各試料の構成と評価結果を示す。
Figure 0005637630
先に説明した実施例3のほか、微粒部分はコランダムとスピネルが共存していて、中粒部分と粗粒部分がコランダムで構成されている実施例5、中粒部分と粗粒部分がスピネルで構成されている実施例6のいずれも良好な結果となった。
しかし、微粒部分をコランダムのみから構成し、中粒部分又は粗粒部分がコランダムとスピネルの共存である比較例7及び比較例8、並びにスピネルが共存しない比較例9では、いずれも二次スピネルの生成が観察できず、スラグの組織内部への浸透が観られ、耐溶鋼摩耗性が劣る結果となった。
このことから、0.045mm以下の微粒部分はコランダムとスピネルが共存していることが必要であることがわかる。また、中粒部分又は粗粒部分はコランダム又はスピネルのいずれか一方のみから構成されていても好結果を得られることがわかる。
[実施例C]
実施例Cは、粒度構成の影響を調査した例である。すなわち、耐火物の構成物からフリーの炭素成分を除いた部分を100体積%としたときに、0.045mm以下の微粒部分、0.045mmを超え0.21mm以下の中粒部分、0.21mmを超える粗粒部分、それぞれの相対的な体積割合が、耐火物の特性に及ぼす影響を調査したものである。
表3に、各試料の構成と評価結果を示す。
Figure 0005637630
微粒部分の割合が10体積%以上で50体積%以下、中粒部分の割合が40体積%以下(ゼロを含む)、粗粒部分の割合が40体積%以上90体積%以下の場合である、実施例2(表1の各実施例も同じ)、実施例7〜13では、二次スピネルの生成状態に若干の差異があるものの、総合評価では良好な結果となった。
これに対し、微粒部分の割合が10体積%未満の比較例10、比較例13及び比較例14では、二次スピネルの生成状態と耐溶鋼摩耗性又は耐押し割れ性が劣る結果となった。
微粒部分の割合が50体積%を超える比較例11、及び粗粒部分が40体積%より小さい比較例12では耐押し割れ性が劣る結果となり、粗粒部分の割合が90体積%を超える比較例14では二次スピネルの生成状態及び耐溶鋼摩耗性が劣る結果となった。
また、前記実施例2(最大粒子径は1.0mm)の最大粒子径のみを2.0mmとした実施例12、3.0mmとした実施例13のいずれについても、全ての評価が良好な結果を得た。むしろ二次スピネルの生成状態は最大粒子径が大きい方がやや良好である。
これらのことから、微粒部分の割合が10体積%以上で50体積%以下、中粒部分の割合が40体積%以下(ゼロを含む)、粗粒部分の割合が40体積%以上90体積%以下の粒度構成であることが必要であることがわかる。また、最大粒子径は本発明の耐火物の前記各評価には影響されないこと、少なくとも調査した3.0mmまでは良好であることがわかる。したがって、最大粒子径は、連続鋳造用ノズルの大きさ等の構造体として許容できる大きさであれば、3.0mmにとどまらず使用することが可能であると判断できる。
[実施例D]
実施例Dは、耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときのフリーの炭素成分の量の影響を調査した例である。
表4に、各試料の構成と評価結果を示す。
Figure 0005637630
フリーの炭素成分がボンド炭素のみからなって3.0質量%の場合である実施例14、及びボンド炭素に粒子状の炭素(黒鉛)が加わって、8質量%、10質量%、20質量%、35質量%の場合である実施例2、実施例15、実施例16、実施例17の場合に、二次スピネルの生成状態はもちろん、耐溶鋼摩耗性及び耐押し割れ性も優れる良好な結果となった。
これに対し、フリーの炭素成分がボンド炭素のみからなって2.5質量%の場合である比較例15では、二次スピネルの生成状態が基準内ではあるが低下し、耐溶鋼摩耗性が劣る結果となった。
これは、耐火物組織内部で均一な又は十分な還元雰囲気が形成できなかったこと、及び結合に寄与する炭素が少なすぎて、組織内部での破壊(微細なものを含む)が生じたためと考えられる。
また、フリーの炭素成分がボンド炭素と粒子状の炭素(黒鉛)からなって35.5質量%の場合である比較例16では、二次スピネルの生成状態が基準内ではあるが低下し、耐溶鋼摩耗性が劣る結果となった。
これは、フリーの炭素成分が溶鋼と接触する面積が多くなって、その溶鋼中への溶解量が多くなり、溶鋼に対し抵抗性の大きい二次スピネル部分との相対的なバランスが壊れたためと考えられる。そのため、本発明の耐火物に必要な程度の耐溶鋼摩耗性を下回る結果となった。
これらのことから、耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに、フリーの炭素成分を3.0質量%以上35.0質量%以下含有する場合に、二次スピネルの生成状態、耐押し割れ性が優れるのみならず、耐溶鋼摩耗性も良好な結果となることがわかる。
[実施例E]
実施例Eは、耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときの、酸化物換算でのSiO成分及びCaO成分の合計量の影響を調査した例である。
表5に、各試料の構成と評価結果を示す。
Figure 0005637630
SiO成分及びCaO成分の合計量が0.4質量%の場合である実施例18、1.0質量%の場合である実施例19、2.0質量%の場合である実施例2、3.0質量%の場合である実施例20、実施例21、実施例22、及び5.0質量%の場合である実施例23の場合に、二次スピネルの生成状態はもちろん、耐溶鋼摩耗性及び耐押し割れ性も優れる良好な結果となった。
また、SiO成分及びCaO成分の合計量が3.0質量%と同一で、その相対的な構成割合が1:9の場合である実施例21、9:1の場合である実施例22のいずれも、これらとSiO成分及びCaO成分の合計量が3.0質量%と同一で、その相対的な構成割合が1:1の場合である実施例20と差異のない良好な結果が得られた。
これに対し、SiO成分及びCaO成分の合計量が0.3質量%の場合である比較例17では、二次スピネルの生成状態と耐溶鋼摩耗性が基準内ではあるが低下し、耐押し割れ性が劣る結果となった。
これは、SiO成分及びCaO成分の合計量がスピネルを分解するのに相対的に十分ではなかったこと、液相量が少なかったため応力緩和能も低下したためと考えられる。
また、SiO成分及びCaO成分の合計量が5.2質量%の場合である比較例18では、二次スピネルの生成状態、耐溶鋼摩耗性が劣る結果となった。
これは、SiO成分及びCaO成分の合計量が相対的に多すぎて、液相量が多くなりすぎ、耐火物組織の脆弱化を招来したためと考えられる。
これらのことから、耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに、SiO成分及びCaO成分の合計量が0.4質量%以上5.0質量%以下の場合に、二次スピネルの生成状態、耐押し割れ性、耐溶鋼摩耗性のいずれも良好な結果となることがわかる。更に、SiO成分及びCaO成分の相対的な構成割合は本発明の耐火物の特性に影響を及ぼさないことがわかる。
[実施例F]
実施例Fは、本発明の耐火物を連続鋳造用ノズルに適用して、実操業に供した例である。
操業条件は、溶鋼:溶鋼中の酸素含有量が100ppm、Nb含有量が20ppm、Mn含有量が150pppm、炭素含有量が50ppmのほうろう鋼、溶鋼温度(タンディッシュ内):約1530℃〜約1570℃、鋳造時間:240分(2チャージ)である。以下に示す実施例24〜26及び比較例19〜21の連続鋳造用ノズルを実操業に供した。
(実施例24)
前記実施例2の耐火物を、図2に示すロングノズルの内孔面全面に配置した例である。
(実施例25)
前記実施例13の耐火物を、図4に示すタンディッシュの下部ノズルの内孔面全面に配置した例である。
(実施例26)
前記実施例12の耐火物を、図3に示す浸漬ノズルの吐出孔を除く内孔面全面に配置した例である。
(比較例19)
前記比較例2の耐火物を、図2に示すロングノズルの内孔面全面に配置した例である。
(比較例20)
前記比較例2の耐火物を、図4に示すタンディッシュの下部ノズルの内孔面全面に配置した例である。
(実施例21)
前記比較例2の耐火物を、図3に示す浸漬ノズルの吐出孔を除く内孔面全面に配置した例である。
実操業での連続鋳造の結果、実施例24では比較例19に対し、最大損耗速度が、比較例19を100とする指数で68と、大幅に減少した。また破壊も観られなかった。また、比較例19のロングノズルでは複数の連続するチャージでは使用できなかったが、実施例24の連続鋳造用ノズルでは、複数の連続するチャージでは使用できることを確認した。
実施例25では比較例20に対し、最大損耗速度が、比較例20を100とする指数で52と、大幅に減少した。また破壊も観られなかった。
実施例26では比較例21に対し、最大損耗速度が、比較例21を100とする指数で70と、大幅に減少した。また破壊も観られなかった。
これらのように、いずれも実施例も比較例(従来の連続鋳造用ノズル)と比較して耐用性が大幅に改善した。
本発明の耐火物は、取鍋からタンディッシュへの注湯に使用するロングノズル、スライディングノズルの上下部ノズル、タンディッシュからモールドへの注湯に使用する浸漬ノズル等に使用することができる。本発明の耐火物は、特に耐スポーリング性に優れるので、予熱温度がやや低い(例えば、600℃程度の低温)状態から注湯を開始するような条件での使用においても、損傷の少ない、優れた耐用を得ることができる。
1 本体の耐火物層
2 内孔
3 本発明の耐火物層(内張り)
4 本体の耐火物層のうち、ジルコニア−黒鉛質の層(モールドパウダー部用)
11 ロングノズル
12 浸漬ノズル
13 下部ノズル

Claims (2)

  1. 耐火物の構成物からフリーの炭素成分からなる構成物を除いた部分を100体積%としたときに、0.045mm以下の大きさの粒子が10体積%以上で50体積%以下、0.045mmより大きく0.21mm以下の大きさの粒子が40体積%以下(ゼロを含む)、0.21mmより大きい粒子が40体積%以上90体積%以下の粒度構成であり、
    耐火物中の0.045mm以下の大きさの粒子とフリーの炭素成分の合計を100質量%としたときに、フリーの炭素成分が3.0質量%以上35.0質量%以下、酸化物換算でのSiO成分及びCaO成分の合計が0.4質量%以上5.0質量%以下の化学組成であり、
    前記のフリーの炭素成分、SiO成分及びCaO成分を除いた、0.045mm以下の大きさの粒子の残部が、その粒子群全体の平均モル比(Al/MgO)が1.05以上2.35以下の鉱物組成となるコランダム(Al)及びスピネル(Al・MgO)からなる粒子群を含んで構成されており、
    0.045mm以下の大きさの粒子及びフリーの炭素成分を除く部分が、コランダム(Al)及びスピネル(Al・MgO)のうちのいずれか又は両方から構成されている連続鋳造用耐火物。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造用耐火物が、ノズルの内孔面の一部又は全部の領域に配置された連続鋳造用ノズルであって、前記連続鋳造用耐火物の厚さが当該連続鋳造用耐火物の損傷速度に設定使用時間を乗じた値に2mmを加えた値以上である連続鋳造用ノズル。
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