JP5637144B2 - 共重合ポリアミド樹脂、その製造方法、樹脂組成物およびそれらからなる成形品 - Google Patents

共重合ポリアミド樹脂、その製造方法、樹脂組成物およびそれらからなる成形品 Download PDF

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Description

本発明は機械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた性能を有し、かつ品質が非常に安定した共重合ポリアミド樹脂、その製造方法、樹脂組成物およびそれらからなる成形品に関するものである。更に詳しくは、特定のジアミン成分を含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分とジカルボン酸成分からなり、かつ樹脂性状が非常に均質、安定である共重合ポリアミド樹脂、その効率的な製造方法、樹脂組成物およびそれらからなる成形品に関する。
ナイロン6やナイロン66に代表されるポリアミド樹脂は、靱性、耐化学薬品性、電気特性等に優れており、成形材料として自動車部品、機械部品、電気・電子機器部品等に広く利用されている。その中で、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から得られたポリアミド(以下、ナイロンMXD6ということがある)は、従来のポリアミド樹脂に比べて高い強度、高い弾性率、低吸水性という特長を有しており、金属代替材料として、軽量・小型化を要求される電気・電子機器部品や自動車部品への利用が進み、近年、その需要の増加が著しい。
ナイロンMXD6の結晶化速度はナイロン6やナイロン66と比較し遅いため、ナイロンMXD6単独では、射出成形の際、金型内で結晶化し難く、薄肉成形が困難であったり、得られる成形品の変形や機械的強度の低下等の問題が発生し易い。そのため、ナイロンMXD6を成形材料として用いるためには、高結晶化速度であるナイロン66やタルク粉末を配合して結晶化速度を増大させたり、金型温度を高くしたりして成形性を改善する必要がある(特許文献1)。しかしながら、ナイロン66を配合するためにナイロンMXD6単独の場合に比べて吸水率が大きく、それゆえ、吸水による機械的強度の低下が認められる。
上記課題を解決するために、ポリアミドの主原料に、ジアミン成分として、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物、ジカルボン酸成分としてアジピン酸を用いて、高結晶化速度の共重合ポリアミドを得、かかる共重合ポリアミドに無機充填材を配合することが提案されている(特許文献2、特許文献3)。該技術により、従来のナイロンMXD6を用いた成形材料では困難であった薄肉成形を容易にし、成形サイクルの短縮化や金型温度の低温化、吸水による機械的性質の低下抑制などの改善がみられる。しかしながら、従来開示されている製造技術にてパラキシリレンジアミンを含む共重合ポリアミドを製造する場合、パラキシリレンジアミン組成の高い、より高融点の共重合ポリアミドが、極少量ではあるが局所的に生成し、高品質水準での均質な共重合ポリアミドを得ることが困難であった。ポリアミド製造時に局所的にパラキシリレンジアミン組成の高い共重合ポリアミドが生成すると、製造工程温度で溶解せずに重合度の低いまま共重合ポリアミド中に粒状に分散することになる。この不均質なポリアミドは、成形品とした際に分散した高融点ポリアミドの影響により、機械的性能、耐熱性能にバラつきを生じる課題を有している。
一般的なポリアミドの製造方法は、ナイロン塩またはその水溶液を供給原料とし、回分式では一つの反応槽でナイロン塩水溶液を加圧下に加熱し、ジアミン成分の留出を抑えながら均一相で重合を進め、ジアミン成分を固定化した後、系内の水蒸気を徐々に放圧し、最終的に常圧もしくは減圧とし重合を完結させる。このとき、供給原料として約50wt%のナイロン塩の水溶液を用いるのが一般的であるが、溶媒である多量の水と縮合水を除去しなければならず、このとき発泡、水の蒸発潜熱によるポリマーの固化、および反応中の大きな液面変動に伴い反応槽壁面にポリアミドが付着し、熱劣化を起こす等様々な不都合を回避する為の対策が必要である。また、大量の水を除去する為に多くの熱エネルギーを必要とし、更に1回の反応で得られるポリアミド収量が少ない等、技術的にも経済的にも課題が多い。上記パラキシリレンジアミンを含む共重合ポリアミドを製造する場合には、大きな液面変動による壁面付着ポリアミドや、多量の水を除去する際に装置内にかかる還流水とその蒸発潜熱により、伝熱の少ない攪拌軸等へ高融点のパラキシリレンジアミン共重合ポリアミドが析出し易くなり、均質なポリアミドを得ることは困難である。
特許文献4には、ナイロン塩およびナイロン塩の水溶液を供給原料としない重合方法として、ジカルボン酸成分に少量の水を含んだジアミン成分を常圧下220℃以下の温度で滴下して反応を行う方法が開示されている。特許文献5には、ジカルボン酸とジアミンとを混合し、常圧下で重縮合反応を行うに当たり、反応開始温度をジカルボン酸の融点以上とし、原料混合物を含む反応系を実質的に均一溶融状態に保ち得るように昇温しつつ反応を進行させ、反応率が95%に達する以前に反応系の温度を生成する共重合ポリアミドの融点より30℃低い温度以上に昇温し、系内が流動性を失うことなく、均一系で反応を進め得るように反応温度を制御して共重合ポリアミドを製造法する方法が開示されている。上記製造法は、生成するオリゴアミド/ポリアミドを含む反応系を均一溶融状態に保ちつつ、ジアミンを反応系に連続的に添加するところに特徴があり、常圧で反応を行うため重縮合反応装置は、耐圧容器であることを要しない。
また、この製造法は、従来法のポリアミド製造法と比較して、反応系の加圧および降圧などの操作に要する時間、および水溶液法の場合に、溶媒として使用する水の留去に要する時間を全く必要としないため、重縮合に必要な時間を著しく短縮することができ、さらには、水溶液濃縮に必要であった熱量を全く必要としないうえ、一回の反応に仕込み得る量を多くとることができて生産性が高められ、共重合ポリアミドの製造法として極めて有利な方法である。しかしながら、該製造法ではパラキシリレンジアミンを含む共重合ポリアミド製造時に、局所的にパラキシリレンジアミン組成の高いポリアミドの生成および堆積がより顕在化する問題点がある。
上記製造法では、溶融ジカルボン酸から蒸発して重合装置内に析出したジカルボン酸は、同様に蒸発したジアミンと反応し、ナイロン塩もしくはオリゴマーを形成する。メタキシリレンジアミンとジカルボン酸からなる塩に比べパラキシリレンジアミンとジカルボン酸からなる塩は水への溶解度が低い為、反応で発生する縮合水の還流にも溶解し難く、パラキシリレンジアミンのナイロン塩が選択的に堆積し易くなる。堆積したナイロン塩は固体のままアミド化が進行し、水に不溶の高融点のオリゴマーとなる。堆積したオリゴマーは製造工程前半で脱落して反応液に混入した場合は、反応終了までの間に反応液との解重合により均質化しうるが、製造工程後半で混入した場合には粘度の高まった反応液とは充分に混合せず、解重合しきれないため、高融点異物としてポリアミド中に残存することになる。また、バッチ数を重ねて長時間熱履歴を受けた堆積物は、ポリアミドにも不溶のゲル状となり、より性能バラつきや低下を引き起こす恐れがある。
重合反応によって発生する縮合水を主体とする蒸気を反応槽から分縮器に導く配管および分縮器は重合装置の部位の中で最も多くナイロン塩もしくはオリゴマーが付着堆積する為、堆積し続けるとこれらの配管および分縮器を閉塞させ、連続した回分式生産が実施できなくなる。また、ジアミンとジカルボン酸から合成させるポリアミドにおいて、所望の重合度を達成する為にモルバランスの制御が非常に重要であるが、反応槽内の堆積量もバッチ毎に変動する為、高度なモルバランスの制御は難しくなり、ジカルボン酸成分にジアミン成分を常圧下添加する方法では均質で良好な製品を得るには多くの不都合が残されている。
特許文献6には、ジカルボン酸にジアミン全量を非常に短い時間で添加し加圧下で反応させる方法が開示されている。この方法ではジアミン全量を非常に短い時間で添加する為に種々の不都合を伴う。この方法では短時間に多量に発生する縮合水に伴う発泡、液面変動、水の蒸発潜熱によるポリマーの固化、およびモノマーの留出等を回避する為の対策が必要である。特に圧力に関しては高い圧力が必要となり、重合を進めるべく圧力を低下させる工程では発泡を抑えつつ圧力を低下させる為に長時間要し、その間、高温にポリアミドが曝されることとなりポリアミド分子の酸化劣化が促進され黄変しやすい。また、短時間に多量に発生する縮合水を除去し、反応系全体が流動状態を保持し得る温度を維持する為、短時間に多くの熱エネルギーを必要であり、生産量に対して過大な加熱手段を設置する等、技術的にも経済的にも課題が多い。
特許文献7には、アジピン酸にメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンを含有するジアミン成分を添加して反応を行うに際し、反応後半にジアミン中のパラキシリレンジアミン濃度を低下させる方法が開示されている。この方法では組成の異なるジアミンを準備する必要がある為に機器点数が増えるばかりか、反応中の添加するジアミンの切り替え操作が必要になり操作が煩雑になる為、効率の良い方法とは言い難い。また滴下前半にパラキシリレンジアミン濃度が高いため、装置内に該ナイロン塩やオリゴマーが堆積しやすく、高融点共重合ポリアミドの混入による性状バラつきはより顕著となる。以上のように、パラキシリレンジアミンを含むジアミン成分とジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミドについて、優れた性能を有し、品質の安定した共重合ポリアミドが望まれていた。
特公昭54−32458号公報 特開平7−041670号公報 特開平8−259809号公報 特開昭48―12390号公報 特公平1−14925号公報 特開平6−207004号公報 特開平7−324130号公報
本発明の目的は、パラキシリレンジアミン成分を含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分とジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂について、樹脂性状が非常に均質、安定であり、機械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた性能を有する成形用共重合ポリアミド樹脂、その製造方法、樹脂組成物およびそれらからなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、パラキシリレンジアミンを20モル%以上含むキシリレンジアミンを70モル%以上含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂において、パラキシリレンジアミン組成比が偏って高くなった共重合ポリアミドの局所的な発生を抑制した条件で製造して得られる共重合ポリアミド樹脂が、機械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた性能を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、パラキシリレンジアミンを20モル%以上含むキシリレンジアミンを70モル%以上含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂であって、示差走査熱量計(DSC)測定における融点が当該共重合ポリアミド樹脂より20℃以上高いポリアミド成分を含む長径50μm以上の粒状物が1000個/g以下である共重合ポリアミド樹脂、
前記共重合ポリアミド樹脂100重量部に、タルク0〜30重量部および無機充填物10〜150重量部を配合してなる共重合ポリアミド樹脂組成物、
前記共重合ポリアミド樹脂を成形して得られる成形品、
パラキシリレンジアミンを20モル%以上含むキシリレンジアミンを70モル%以上含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂の製造方法であって、分縮器を備えた回分式反応槽を用い、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを溶媒の非存在下に重縮合し、反応槽内を0.1MPaG以上の圧力で維持し、且つ反応系全体が流動状態を保持し得る温度を維持しつつ、溶融ジカルボン酸成分にジアミン成分を連続的にもしくは間欠的に添加し、且つ反応槽内の気相部温度を、ジアミン成分総量の80%を添加するまでに原料からなるナイロン塩の融点以上とすることを特徴する共重合ポリアミド樹脂の製造方法、
を提供するものである。
本発明にて得られる共重合ポリアミド樹脂は、以下の優れた効果を有する。
(i)機械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた性能を有し、かつ該特性にかかる品質が非常に安定している。
(ii)反応系内へのナイロン塩やオリゴマーの付着防止、ならびにジアミン成分の留出を抑制した製造法にて得られる為、高度なモルバランス制御が容易となり、高度に重合度制御がされた均質で良好な共重合ポリアミド樹脂が得られる。
(iii)溶媒として水を使用しないジアミン成分とジカルボン酸成分の重縮合反応で製造される為、容積当たりの共重合ポリアミド樹脂収量が増え、反応時間の短縮ができる。
(iv)分縮器の閉塞、ならびに反応槽内のポリマーの堆積を抑制することができる為、連続した回分式生産が可能になる。
(V)高度な耐圧仕様の重合装置、複雑な分縮器設計、ならびに過大な加熱手段を設置する必要がない為、製造装置を安価に建設できる。
本発明による方法で用いるジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができ、中でもアジピン酸またはセバシン酸が好ましい。これらは単独使用もしくは併用することができる。ジカルボン酸成分はアジピン酸またはセバシン酸を70モル%以上含むジカルボン酸であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上である。
ジカルボン酸成分にセバシン酸を用いる場合は、硫黄原子濃度が1〜200ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜150ppm、特に好ましくは20〜100ppmである。上記の範囲であると、共重合ポリアミド樹脂を合成する際のYIの増加を抑えることができる。また、共重合ポリアミド樹脂を溶融成形する際のYIの増加を押さえることができ、得られる成形品のYIを低くすることができる。
また、用いるセバシン酸は、ナトリウム原子濃度が1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜300ppm、特に好ましくは20〜200ppmである。
上記の範囲であると、共重合ポリアミド樹脂を合成する際の反応性が良く、適切な分子量範囲にコントロールしやすく、さらに、後述のアミド化反応速度調整の目的で配合するアルカリ金属化合物の使用量を少なくすることができる。また、共重合ポリアミド樹脂を溶融成形する際に増粘を抑制することができ、成形性が良好となると共に成形加工時にコゲの発生を抑制できることから、得られる成形品の品質が良好となる傾向にある。さらに、共重合ポリアミド樹脂とガラスフィラー等をコンパウンドする際にダイで発生する、所謂、目ヤニ等の樹脂劣化物の発生を抑制しやすい傾向にある。
このようなセバシン酸は、植物由来のものであることが好ましい。植物由来のセバシン酸は、不純物として硫黄化合物やナトリウム化合物を含有することから、植物由来のセバシン酸を構成単位とする共重合ポリアミド樹脂は、酸化防止剤を添加しなくてもYIが低く、また、得られる成形品のYIも低い。また、植物由来のセバシン酸は、不純物を過度に精製することなく使用することが好ましい。過度に精製する必要が無いので、コスト的にも優位である。
本発明による方法で用いるジアミン成分は、キシリレンジアミンを70モル%以上、好ましくは90モル%以上含むジアミンである。キシリレンジアミン成分を70モル%以上用いることで、優れた機械的特性および耐熱特性を得ることが可能となる。また本発明で用いるキシリレンジアミンの20モル%以上、好ましくは30モル%以上がパラキシリレンジアミンである。キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの二成分からなることが好ましく、この場合のキシリレンジアミン中のパラキシリレンジアミンは20〜90モル%が好ましく、より好ましくは20〜65モル%、更に好ましくは30〜50モル%である。ジアミン成分中のパラキシリレンジアミン含有率がこの範囲であると、共重合ポリアミド樹脂合成や成形時の加熱による熱劣化を引き起こしがたく、成形も容易となるため好ましい。パラキシリレンジアミン成分を20モル%未満では、得られる共重合ポリアミド樹脂の結晶化速度が小さく、成形性の悪化、成形品の結晶化不良による変形や機械的強度の低下を招く。更に、本発明の効果を損なわない範囲で他のジアミン成分を用いることが出来る。他のジアミン成分として、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等の脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジアミン類等を全ジアミン中に30モル%以下の範囲で使用することができる。
ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外の共重合ポリアミド樹脂成形成分としては、特に限定されないが、カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム;11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸等を挙げることができ、これらの一種もしくは二種以上を含むものであってもよい。
溶融重合中における着色抑制の為、共重合ポリアミド樹脂に燐化合物を添加することができる。燐化合物としては、次亜燐酸、次亜燐酸塩等の次亜燐酸化合物;亜燐酸、亜燐酸塩、亜燐酸エステル等の亜燐酸化合物;燐酸、燐酸塩、燐酸エステル等の燐酸化合物等を使用できる。次亜燐酸塩としては、次亜燐酸カリウム、次亜燐酸ナトリウム、次亜燐酸カルシウム、次亜燐酸マグネシウム、次亜燐酸マンガン、次亜燐酸ニッケル、次亜燐酸コバルトなどを例示できる。亜燐酸塩としては、亜燐酸カリウム、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸カルシウム、亜燐酸マグネシウム、亜燐酸マンガン、亜燐酸ニッケル、亜燐酸コバルトなどを例示でき、亜燐酸エステルとしては、亜燐酸メチルエステル、亜燐酸エチルエステル、亜燐酸イソプロピルエステル、亜燐酸ブチルエステル、亜燐酸ヘキシルエステル、亜燐酸イソデシルエステル、亜燐酸デシルエステル、亜燐酸ステアリルエステル、亜燐酸フェニルエステルなどが例示できる。燐酸塩としては、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸マンガン、燐酸ニッケル、燐酸コバルトなどを例示でき、燐酸エステルとしては、燐酸メチルエステル、燐酸エチルエステル、燐酸イソプロピルエステル、燐酸ブチルエステル、燐酸ヘキシルエステル、燐酸イソデシルエステル、燐酸デシルエステル、燐酸ステアリルエステル、燐酸フェニルエステルなどが例示できる。これらの燐酸系酸化防止剤は単独、または組み合わせて用いてもよい。これらの燐化合物の添加方法は、共重合ポリアミド樹脂の原料であるジアミン成分、もしくはジカルボン酸成分に添加する方法、反応中に添加する方法などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また更に上記燐化合物が熱時劣化等により、共重合ポリアミド樹脂中に凝集したり、異常反応を引き起こすことを抑制するために、アルカリ金属、アルカリ土類金属化合物を併せて添加することも出来る。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムおよび炭酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、クロトン酸、吉草酸、カプロン酸、イソカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ヒドロケイ皮酸、γ‐フェニル酪酸、p‐フェノキシ安息香酸、o−オキシケイ皮酸、o‐β‐クロルフェニルプロピオン酸、m‐クロルフェニルプロピオン酸のアルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物が例示されるが、これら化合物に限定されるものではない。
本発明の共重合ポリアミド樹脂は、示差走査熱量計(DSC)測定における融点が、当該共重合ポリアミド樹脂より20℃以上高いポリアミド成分を含む長径50μm以上の粒状物が1000個/g以下である。好ましくは長径50μm以上の粒状物が800個/g以下、更に好ましくは長径50μm以上の粒状物が600個/g以下である。上記範囲とすることで機械的特性、耐熱特性に優れる共重合ポリアミド樹脂を得ることが出来る。
また、本発明の共重合ポリアミド樹脂より20℃以上高いポリアミド成分を含む長径50μm以上の粒状物が1000個/g以下の内、長径50〜99μmのサイズの粒状物が500個/g以下、長径100〜199μmのサイズの粒状物が500個/g以下、長径200μm以上のサイズの粒状物が100個/g以下であることが望ましい。好ましくは、長径50〜99μmのサイズの粒状物が400個/g以下、長径100〜199μmのサイズの粒状物が400個/g以下、長径200μm以上のサイズの粒状物が80個/g以下、さらに好ましくは、長径50〜99μmのサイズの粒状物が300個/g以下、長径100〜199μmのサイズの粒状物が300個/g以下、長径200μm以上のサイズの粒状物が60個/g以下である。
本発明の共重合ポリアミド樹脂中に存在するこれら高融点のポリアミド成分を含む粒状物の数量を評価する方法は、特に限定されるものではないが、本発明の共重合ポリアミド樹脂の融点より10℃高い樹脂温度にて溶融して得たキャストフィルムをCCDラインセンサーカメラと画像処理ソフトを用いて計測する方法を例示することが出来る。
一般的にポリアミドの合成や成形加工は、ポリアミドが充分に溶融し、かつ熱劣化を抑制するため、その他の制約が無い限り、融点〜+20℃程度の温度範囲で取り扱う。本発明の共重合ポリアミド樹脂組成の場合、20℃以上高いポリアミド成分が生成し易く、この高融点ポリアミドが混入すると、合成、成形加工時に溶融しないで共重合ポリアミド樹脂中に残ることになる。この不均質なポリアミドは、成形品とした際に分散した高融点ポリアミドの影響により、機械的性能、耐熱性能が低い成形品が発生しうるため、機械的性能、耐熱性能にバラつきを生じる課題を有している。また、この高融点の共重合ポリアミド樹脂を充分に溶融させる温度まで成形加工時の温度を高めても、完全な均一化は困難であり、また過度の熱劣化により得られる共重合ポリアミド樹脂の機械的特性、耐熱特性は低下することになる。
本発明の共重合ポリアミド樹脂中の高融点粒状物の数量や寸法を評価する方法としては、従来技術での射出成型、押出成形に際して、溶融した共重合ポリアミド樹脂を非晶状態で冷却固化できるように金型やタッチロール温度を低温に設定して、成形片、フィルム、シート、ボトル等を作成し、得られた成形物を目視やCCDカメラおよび画像処理ソフトによる画像解析等にて、粒状物を数量や寸法を測定する方法が挙げられる。得られた成形物中の粒状物は、成形物より切削等で採取し、DSCによる融点測定にて高融点異物であるかを確認することが出来る。
本発明の共重合ポリアミド樹脂の25℃での相対粘度(96%濃硫酸溶液1g/100mL)は、1.80〜4.20であると好ましく、より好ましくは1.90〜3.50、さらに好ましくは1.95〜3.00である。共重合ポリアミド樹脂の相対粘度が1.80未満の場合には、本発明の共重合ポリアミド樹脂からなる成形品の機械的強度が不充分なだけでなく、耐吸水性、耐薬品性、耐熱老化性等の性状も悪化するため好ましくない。また溶融粘度が過度に低くなるために溶融加工、成形時にダイスウエルや溶融むら、バリが発生しやすくなるため、好ましくない。共重合ポリアミド樹脂の相対粘度が1.80以上であると本発明の共重合ポリアミド樹脂からなる成形品の機械的強度が充分なものとなり、耐吸水性、耐薬品性、耐熱老化性も改善される。
相対粘度が1.80以上の共重合ポリアミド樹脂は、溶融重合時に所定の相対粘度に到達するまで反応を継続することで容易に得ることができる。しかしながら、溶融重合時間(反応時間)が長くなると、ポリアミド分子が損傷を受けたり、非直鎖の分子成長等の異常反応(3次元ポリマー化)が起こり、着色劣化物やゲル等が生成しやすい。特に相対粘度4.20以上になると、上記異常反応を避けることは困難となる。また溶融粘度も非常に高くなるため、成形加工が困難となるため好ましくない。この着色劣化物やゲル等の多い共重合ポリアミド樹脂からなる成形品は、異常な増粘や溶融滞留時の粘度安定性が低く、成形性が著しく悪化するだけでなく、耐吸水性、耐薬品性、耐熱老化性といった諸物性も低下するため好ましくない。
本発明の共重合ポリアミド樹脂は、分縮器を備えた回分式反応槽を用い、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを溶媒の非存在下に重縮合し、反応槽内を0.1MPaG以上の圧力で一定に制御し、且つ反応系全体が流動状態を保持し得る温度を維持しつつ、溶融ジカルボン酸成分にジアミン成分を連続的にもしくは間欠的に添加し、かつ反応槽内の気相部温度を、ジアミン成分総量の80%を添加するまでに原料からなるナイロン塩の融点以上とした製造方法にて得られる。
本発明における回分式反応槽は攪拌装置および分縮器を具備し、耐圧設計されたものを使用する。反応槽気相部の温度を制御するため、反応槽気相部および分縮器に至る配管において、適切な保温または、熱媒ジャケット等による加温設備が具備されていることが望ましい。またジアミン成分およびジカルボン酸成分の留出を抑制する為に、伝熱面の温度を制御可能である分縮器が具備されていることが望ましい。
本発明では所望のモルバランスを有する共重合ポリアミド樹脂(ジアミン成分過剰、ジカルボン酸成分過剰および等モルの場合を含む)を得る為、仕込みのモルバランスは任意に選択される。仕込みのモルバランスの調整方法は例えば溶融状態にあるジカルボン酸成分を溶融槽ごと質量計量器で計量し、反応槽に供給した後、貯槽に入ったジアミン成分を質量計量器で計量しつつ、ジアミン成分を反応系に供給する方法が例示できる。本発明においてジアミン成分およびジカルボン酸成分を計量する場合、ロードセル、天秤等の質量計量器が好適に利用可能である。
以下に本発明の共重合ポリアミド樹脂の詳細な製造方法を説明する。本発明では、まず反応槽にジカルボン酸成分を仕込み、次いで反応槽内の圧力を0.1MPaG以上の設定圧力まで加圧し、0.1MPaG以上の圧力を維持する。共重合ポリアミド樹脂の酸化着色を避ける目的から反応槽へジカルボン酸成分を仕込むに先立ち、反応槽内を予め窒素等の不活性ガスで十分に置換することが望ましい。さらにジカルボン酸を溶融する場合は不活性ガスの雰囲気下で行われることが望ましい。ジカルボン酸成分は反応槽内でその融点以上に加熱されて溶融状態にしても、反応槽とは異なる専用の溶融槽で加熱されて溶融状態にした後に溶融状態で反応槽に仕込まれても、いずれの方法でも構わない。反応槽の利用効率を高める観点から、専用の溶融槽の利用が好ましい。
反応槽を設定圧力まで加圧する工程の時期は、反応槽内のジカルボン酸成分へのジアミン成分の添加を開始するまでに設定圧力まで到達していればよい。設定圧力に到達後は、反応槽内の圧力を設定圧力で一定に制御することが望ましい。反応中の圧力変動は飽和水蒸気温度ならびに分縮器内を流通する気体の線速が変動する為、分縮器における縮合水と反応原料の分離能力が低下し、反応原料、特にジアミン成分の反応系外への留出が避けがたく、モルバランスの制御が難しくなる。したがってジアミン成分の添加開始以降に設定圧力まで加圧する方法は好ましくない。反応槽内の加圧は窒素等の不活性ガスや水蒸気によるものでよい。設定圧力は、ジアミン添加中の反応槽内の圧力における飽和水蒸気温度が150℃以下になるように選定することが好ましい。使用するジアミン成分およびジカルボン酸成分によって必要な圧力は異なるが、一般的には0.1〜0.4MPaGの範囲が好ましい。
反応槽内の圧力が設定圧力に到達後、その圧力で一定に制御し、且つ反応系全体が流動状態を保持し得る温度を維持しつつ、ジカルボン酸成分にジアミン成分を連続的にもしくは間欠的に添加する。ジカルボン酸成分へジアミン成分を添加する際、アミド化反応が進行する温度である150℃以上の温度にジカルボン酸が昇温されることが好ましく、且つ中間体として生成するオリゴマーおよび/または低分子量ポリアミドが溶融状態になって反応系全体が流動状態を保持しうる温度に設定されていることが好ましい。通常180〜310℃、好ましくは180〜290℃から選択される温度にて行われる。
本発明による具体的なジアミン成分の添加操作は、反応槽中で溶融状態にあるジカルボン酸成分を撹拌し、ジアミン成分を連続的にもしくは間欠的に添加し、且つ反応混合物の温度を逐次昇温させ、反応系全体が流動状態を保持し得る温度に保持することによって行われる。
昇温速度はアミド化反応熱,縮合水の蒸発潜熱,供給熱等に依存するため、ジアミン成分の添加速度が適時調整され、添加終了時点で反応混合物の温度は共重合ポリアミド樹脂の融点以上、且つ(融点+35℃)未満が好ましく、より好ましくは(融点+15℃)未満、更に望ましくは(融点+5℃)以上、且つ(融点+10℃)未満に調整される。本発明でいう融点とは示差走査熱量計(DSC)の測定等で観測される結晶融解熱に起因する吸熱ピーク温度を指し、反応系の融点は適宜DSC等で測定することにより確認できる。
本発明では、ジアミン成分の添加工程で反応槽内気相部温度をジアミン成分総量の80%を添加するまでに原料からなるナイロン塩の融点以上とするものである。好ましくはジアミン成分総量の70%、更に好ましくは60%添加するまでに反応槽気相部温度を高めておくことが望ましい。
ジアミン成分の添加工程では、反応槽気相部に発生する縮合水の他にジアミンやジカルボン酸の蒸気も存在する。キシリレンジアミンやジカルボン酸は水に比べて露点が高いため装置気相部で凝縮しやすく、装置壁面の凝縮した箇所でナイロン塩を形成する。気相部温度がナイロン塩の融点以下の場合、ナイロン塩は固体で装置気相部壁面に堆積し、堆積した状態でアミド化が進行する為、更に高融点のポリアミドオリゴマーとなり、堆積が顕在化する。特に本発明の共重合ポリアミド樹脂では、パラキシリレンジアミン組成比が偏って高くなった共重合ポリアミド樹脂の局所的な発生と製造工程での反応液への混入により、機械的特性、耐熱特性の品質バラつきの要因となる。
一般にナイロン塩は、ある程度水に対する溶解度を有するため、製造工程での縮合水還流量を増すことは、ナイロン塩の堆積抑制に一定の効果を持つ場合があるが、還流液の再蒸発に必要な熱量が必要であることに加え、そのために昇温時間を要したり、過度の伝熱を与えるための局部加熱により、逆にポリアミド反応液の熱劣化を引き起こすこととなる。更に本発明のパラキシリレンジアミン基を含有する共重合ポリアミド樹脂では、ナイロン塩の水溶解度が低いためその効果は充分に得られず、また還流水量を増す条件となると還流液温度自体も低下し、よりナイロン塩の溶解度が低下するため、実際に目的とする効果を得ることは困難となる。そのため装置内への堆積と共重合ポリアミド樹脂中への高融点ポリアミドの混入を回避することは困難となる。本発明における共重合ポリアミド樹脂を製造する方法として、反応槽内を加圧にすることにより還流水温度は高くなるため、ナイロン塩の水への溶解度も上昇するが、還流液中の水組成は低く、その効果だけで還流液中の水にナイロン塩を全て溶解させて洗い落とすには不十分であった。
製造工程中の装置内堆積と共重合ポリアミド樹脂中への高融点ポリアミドの混入を抑制するため、上記のような状況を踏まえて鋭意検討の結果、驚くべきことに、従来考えられるようなナイロン塩を製造工程中の縮合水の還流による洗浄ではなく、ジアミン添加工程途中までにナイロン塩を溶融させてジアミンを主成分とする還流液により洗浄させることで飛躍的に堆積抑制に効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明では、ジアミン成分の添加工程で反応槽内気相部温度をジアミン成分総量の80%添加するまでに原料からなるナイロン塩の融点以上とするものである。ナイロン塩の融点は後述の方法で求めることができる。80%添加するまでにナイロン塩の融点以上とすることで、一時的に堆積したナイロン塩も溶融して還流液により速やかに反応液中に戻され、以降の工程で反応液中に均一化されるため、優れた性状の共重合ポリアミド樹脂を安定した品質で得ることが出来る。気相部温度が80%添加以降でナイロン塩の融点以上となる場合、ジアミン添加工程途中であれば幾分の効果も得られるが、重縮合反応の進行に伴い液粘度が増すために分散して均一化し難く、反応しきらないで高融点ポリアミドとして混入する恐れが高く好ましくない。またジアミン滴下工程以降であると還流液による洗浄効果も得られず、液粘度も相当高くなるために共重合ポリアミド樹脂中に高融点ポリアミドの混入は避け難くなる。
反応の進行と共に生成する縮合水は、分縮器、さらに冷却器を通して反応系外に留去される。ここで、分縮器の内部温度は150℃以下に制御されていることが好ましい。縮合水と共に蒸気として反応系外に留出するジアミン成分、ジカルボン酸成分等は、分縮器で水蒸気と分離され、反応槽に再度戻される。分縮器の内部温度が150℃を超えての連続した生産は、分縮器内部で縮合水に溶解されないポリアミドオリゴマーが堆積する。これらはバッチ数を重ねる毎に分縮器内部のポリマー量は増加し、分縮器内部の閉塞を引き起こし連続した回分式生産を困難にさせる。
反応の進行と共に生成する縮合水を効率良く反応系外に留去する為には、分縮器の内部温度は150℃を下回り、且つ飽和水蒸気温度以上、且つ+5℃以下の範囲の温度で制御することが望ましい。分縮器の内部温度が飽和水蒸気温度より高い場合には、分縮器での還流量が減少する為、分縮器に付着したナイロン塩もしくはオリゴマーの洗浄効果が期待できない為、好ましくない。さらに分縮器の内部温度が飽和水蒸気温度より低い場合には、縮合水の還流量が多くなり、反応系内に戻った多量の縮合水により、反応混合物の温度が低下する為、熱エネルギーを余分に必要になる、また気相部の温度も低下し、ナイロン塩、オリゴマー堆積の顕在化と共重合ポリアミド樹脂中への高融点ポリアミドの混入が避け難くなること、更に水の蒸発潜熱によるポリマーの固化・析出し、溶融状態を保持し得ない危険性がある為、好ましくない。好適な分縮器の内部温度を達成する為に反応槽の圧力を適宜選定することが望ましい。例えば反応槽内の所定圧力が0.3MPaGの場合、分縮器の内部設定温度は143℃〜148℃に調整される。
本発明では、ジアミン成分を添加終了後、反応槽内の圧力を大気圧以下まで低下させる。その際、減圧状態まで低下させ、気相部分に存在する水蒸気を反応系外に留去し、アミド化平衡を利用し重合度を更に高めることが好ましい。圧力低下中は反応系全体が流動状態を保持し得る温度に維持される。反応槽内の圧力を低下させる過程で、生成したポリアミドの発泡が抑制される圧力低下速度が選択される。反応槽の規模や圧力にもよるが、0.1〜0.6MPa/時の範囲で圧力を低下させることが好ましい。0.6MPa/時より速く圧力を低下させると、発泡により液面が上昇し、反応槽側面や撹拌翼等にポリマーが付着する。これらは次バッチ以降で溶解されず、バッチ数を重ねる毎に付着量は増加し熱履歴を受け、これらの付着堆積物が欠落した場合、ポリマーに混入すると品質不良を招くほか、撹拌翼を破損する等の問題点があり好ましくない。また、0.1MPa/時より遅く圧力を低下させると、ポリアミドの熱履歴増加に伴う黄変および生産性の低下等の不都合を招き好ましくない。
本発明では、ジアミン成分を添加終了後、圧力低下させる前に、反応系全体が流動状態を保持し得る温度を維持しつつ、反応槽内を設定圧力で5分間以上3時間以下保持することが好ましく、10分間以上1時間以下がより好ましい。ジアミン成分の添加初期には、ジアミン成分に対しカルボキシル基が相当過剰に存在し、ジアミン成分の反応速度つまり固定化速度は極めて速い。しかし、添加終了時にはカルボキシル基が相当量消費されており、添加初期と比較しジアミン成分の固定化速度は極めて遅くなる。また、重合度の増加により、反応混合物の撹拌効率が低下しジアミン成分の固定化に一層不利となる。固定化されなかったジアミン成分は、反応混合物中もしくは反応系内の気相部分に存在し、あるいは分縮器で凝縮されたものは、再度反応混合物に添加される。ジアミン成分の添加を終了した後に、設定圧力で少なくとも5分間以上保持することで、この様なジアミン成分が固定化され、仕込みのモルバランスが精度良くポリアミドのモルバランスに再現される。また、設定圧力で保持する時間の上限は、ジアミン成分の固定化の状況に依存するため一概にはいえない。しかし、ジアミン成分の固定化が終了した後の必要以上の保持は意味がなく、熱履歴の増加および生産性の低下等の不都合を招き好ましくない。従って、保持時間は一般的には3時間以内が望ましい。
前記圧力低下後、得られたポリアミドを反応槽から排出する際には通常、反応槽を加圧して行う。この場合、窒素等の不活性ガスを用いることが好ましい。本発明によれば、排出後の反応槽内にはナイロン塩やオリゴマーの付着が少ないため、引き続き次バッチの反応ができるので、連続した回分式生産が可能である。本発明によって得られたポリアミドを原料に用いて固相重合を行い、さらに重合を進めて、より高分子量のポリアミドを製造することができる。また、本発明によって得られたポリアミドを溶融状態で連続式重合機に供給して、重合をさらに進めて、より高分子量のポリアミドを製造することができる。
本発明の共重合ポリアミド樹脂組成物は、前記共重合ポリアミド樹脂に、タルクおよび無機充填物を配合してなるものであり、使用する無機充填物は、この種の組成物一般に用いられるものであれば特に制限はなく、粉末状、繊維状、粒状及びフレーク状の無機充填物もしくはこれらを併用したものが使用できる。無機充填物の配合割合は、機械的性能等を考慮すると、共重合ポリアミド樹脂100重量部に対し、10〜150重量部であると好ましい。
繊維状充填物としては、ガラス繊維、チタン酸カリウムや硫酸カルシウムのウィスカー、カーボン繊維及びアルミナ繊維等が使用できる。粉末状充填物としては、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下の粒径を有したものであり、カオリナイト、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、硫化物及び金属酸化物等が使用できる。
本発明の共重合ポリアミド樹脂組成物に配合するタルクは、さらに結晶化を促進させるためである。使用するタルクは、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下の粒径を有したものであり、共重合ポリアミド樹脂100重量部に対し30重量部以下の割合で配合される。タルクの配合割合が共重合ポリアミド樹脂100重量部に対し30重量部を超えると、成形時の樹脂の流動性の低下や、得られる成形品の機械的性能が低下する等の弊害を招くので、好ましくない。
本発明の共重合ポリアミド樹脂組成物には、目的を損なわない範囲で、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6,66、ポリエステル、オレフィン等の他樹脂をブレンドでき、また、カオリナイト、マイカ、モンモリロナイトを有機化処理した板状無機充填剤、各種エラストマー類などの耐衝撃性改質材、結晶核剤;脂肪酸アミド系、脂肪酸金属塩系化合物等の滑剤;銅化合物、有機もしくは無機ハロゲン系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、硫黄系化合物、リン系化合物等の酸化防止剤;熱安定剤、着色防止剤、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、離型剤、可塑剤、着色剤、難燃剤などの添加剤、酸素捕捉能を付与する化合物であるコバルト金属を含む化合物や共重合ポリアミド樹脂のゲル化防止を目的としたアルカリ化合物等の添加剤を添加することができる。
本発明の成形品は、本発明の共重合ポリアミド樹脂または共重合ポリアミド樹脂組成物を成形してなり、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、延伸、真空成形などの成形法が適用できる。この成形品は、エンジニアリングプラスチックとして成形体のみならず、フィルム、シート、中空容器、繊維、チューブ等の形態にも成形可能であり、産業資材、工業材料、家庭用品などに好適に使用することが出来る。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例および比較例によって何ら限定されるものではない。なお、各分析方法は以下の通りである。
(1)相対粘度
ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下速度(tO)も同様に測定した。tおよびt0から次式(A)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 (A)
(2)末端アミノ基濃度
ポリアミド樹脂0.3〜0.5gを精秤し、フェノール/エタノール=4/1容量溶液30ccに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、撹拌しつつN/100塩酸水溶液で中和滴定して求めた。
(3)末端カルボキシル基濃度
共重合ポリアミド樹脂0.3〜0.5gを精秤し、ベンジルアルコール30ccに窒素気流下160〜180℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、窒素気流下80℃以下まで冷却し、撹拌しつつメタノールを10cc加え、N/100水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
(4)数平均分子量
末端アミノ基および末端カルボキシル基の滴定定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2 /(〔NH2〕+〔COOH〕)
(〔NH2〕は末端アミノ基濃度(μeq/g)、〔COOH〕は末端カルボキシル基濃度(μeq/g)を表す。)
(5)黄色度(YI)
色差計(日本電色工業(株)製 ZE−2000)を用い、試料の反射によるXYZ表色系の三刺激値X、Y、ZをJIS K7103に従い、ペレットの状態で測定した。
(6)融点
示差走査熱量計(島津製作所(株)製 DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下で測定した。
(7)共重合ポリアミド樹脂原料となるナイロン塩調製と融点測定
原料組成となるジアミンとジカルボン酸(モル比1:1)を、飽和溶解度以下となる量の水の入ったフラスコ中に添加し、攪拌しながら80℃まで昇温して完溶させて、ナイロン塩水溶液を作成した。完溶した水溶液をエバポレータに移し替えて、湯浴中で減圧しながら水を留去した。得られたナイロン塩を90℃、1昼夜真空乾燥を行い、DSCにて融点測定を行った。融解ピークが2本以上出る場合は、高融点側のピーク温度をナイロン塩融点として採用した。
(8)共重合ポリアミド樹脂中の粒状物の計測
同方向2軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製 BTN−25−S2−24−L型 スクリュー径25mmφ、Tダイ幅150mm)を用いて、以下の条件で共重合ポリアミドフィルムを作成。得られたフィルム中の粒状物の数量と寸法は、CCDラインセンサーカメラと画像処理ソフトを用いてオンラインで計測した。
バレル、Tダイ設定温度:共重合ポリアミド樹脂融点より10℃高い温度
スクリュー回転数:40rpm、フィードスクリュー回転数: 24rpm
冷却ロール温度:80℃
冷却ロール速度:3.2m/min、引取ロール速度:3.3m/min
フィルム厚み: 50μm
CCDラインセンサーカメラ(マミヤ・オーピー製MLY5000F)
画素数:5000画素、動作基本周波数:40MHz
走査周期:131μs/Scan、視野幅:125mm
幅方向分解能:25μm、走行方向分解能:7μm
調光:ハロゲン照明装置による自動調光
粒状物計測の画像処理ソフト(株式会社三鈴エリー製欠陥検査装置GX70W)
暗欠陥を計測。予め目視計測との一致を確認した。
(9)成形品の機械的性能
射出成形機(ファナック100α)にて融点より20℃高い温度にて溶融し、射出圧力600kgf/cm2、射出時間1.0sec、金型温度80℃の条件で射出成形片を得た。得られた射出成形片は160℃、1時間熱風乾燥機中にてアニール処理を施した後、絶乾状態で以下の試験を行った。試験本数は10本で行い、平均値及び標準偏差を求めた。
Figure 0005637144
<実施例1>
共重合ポリアミド樹脂の合成には、温度調整されたオイルが流通する分縮器、全縮器、撹拌機、窒素ガス導入管およびジアミンの滴下口を備えたオイルジャケット付き50リットルのステンレス製の反応槽を用いた。反応槽気相部温度を制御するため、反応槽のオイルジャケットが付いている以外の槽外壁面には、温調機能を有する電気ヒーター加熱装置、分縮器に至る配管部はオイルジャケットを設置し、共重合ポリアミド樹脂合成中は装置内の気相部壁面を230℃に温調を行った。反応槽に精秤したアジピン酸(純度:99.85wt%)15.000kgを仕込み、十分窒素置換した。300℃の熱媒をジャケットに流して昇温を開始し、撹拌しつつアジピン酸を溶解させ流動状態にした。その間、反応槽内に窒素の供給を開始し、反応槽内の圧力を0.4MPaGまで加圧した。190℃まで加熱したところで、溶融したアジピン酸を撹拌しながら、メタキシリレンジアミン70モル%とパラキシリレンジアミン30モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)13.909kgを2時間かけて滴下した。この間、連続的に昇温して混合キシリレンジアミンの滴下終了時の内温が265℃になるように加熱を調節し、反応槽の圧力を0.4MPaGで制御し、留出する水は内部温度を150℃で制御した分縮器、および冷却器を通して反応系外に除いた。またこの間、反応槽気相部の温度も随時上昇し、ジアミン添加総量の70%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点227℃以上となった。混合キシリレンジアミンの滴下終了後、引き続き撹拌しながら0.2℃/分の昇温速度を昇温し、15分間反応槽の圧力を0.4MPaGで保持した。更に80kPaAまで0.6MPa/時の速度で圧力を低下させ、80kPaAで5分間保持した。その後、加熱を中止し、窒素で加圧して反応槽下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷した後ペレット形状に切断し、非晶状態にある共重合ポリアミド樹脂を得た。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.12、数平均分子量は15800、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−5、融点は258℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.06〜2.14、数平均分子量は14,800〜16,000、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−6〜−3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は104個/g、50〜99μmは53個/g、100〜199μmは42個/g、200μm以上は9個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点258℃の他に282℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4280MPaであり、その標準偏差は18、曲げ強度が174MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度174℃、その標準偏差は1であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
<実施例2>
反応槽の圧力を0.2MPaGとし、留出する水は内部温度を120〜124℃で制御した分縮器、および冷却器を通して反応系外に除いた以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.09、数平均分子量は15300、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−4、融点は258℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.05〜2.12、数平均分子量は14,700〜15,800、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−6〜−3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は147個/g、50〜99μmは75個/g、100〜199μmは57個/g、200μm以上は15個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点258℃の他に280℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4265MPaであり、その標準偏差は15、曲げ強度が174MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度175℃、その標準偏差は1であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
<実施例3>
メタキシリレンジアミン60モル%とパラキシリレンジアミン40モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に反応液を連続的に昇温して混合キシリレンジアミンの滴下終了時の内温が275℃としたこと、またこの間、装置気相部壁面を240℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の70%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点230℃以上に制御した以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.10、数平均分子量は15500、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−3、融点は269℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.07〜2.13、数平均分子量は14,900〜15,900、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−5〜−1と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は261個/g、50〜99μmは133個/g、100〜199μmは102個/g、200μm以上は26個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点269℃の他に293℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4270MPaであり、その標準偏差は23、曲げ強度が172MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度179℃、その標準偏差は2であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
<実施例4>
メタキシリレンジアミン50モル%とパラキシリレンジアミン50モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に反応液を連続的に昇温して混合キシリレンジアミンの滴下終了時の内温が285℃としたこと、またこの間、装置気相部壁面を250℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の75%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点238℃以上に制御した以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.11、数平均分子量は15700、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.993、YIは−1、融点は278℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.06〜2.16、数平均分子量は14,800〜16,300、モルバランスは0.992〜0.994、YIは−3〜1と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は632個/g、50〜99μmは319個/g、100〜199μmは278個/g、200μm以上は35個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点278℃の他に302℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4263MPaであり、その標準偏差は28、曲げ強度が171MPaであり、その標準偏差は2、熱変形温度189℃、その標準偏差は2であり機械的特性、耐熱特性に優れ、品質も非常に安定していた。
<実施例5>
ジカルボン酸成分として、セバシン酸(純度:99.70wt%、硫黄原子濃度30ppm、ナトリウム原子濃度54ppm)15.135kgを仕込み、ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン70モル%とパラキシリレンジアミン30モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)10.100kgを滴下したこと、ジアミン滴下工程中に反応液を連続的に昇温してジアミン滴下終了時の内温が250℃となるようにしたこと、またこの間に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の35%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点191℃以上に制御した以外は、実施例1と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.05、数平均分子量は14900、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−5、融点は214℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.00〜2.13、数平均分子量は14200〜15900、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−7〜−3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は198個/g、50〜99μmは102個/g、100〜199μmは75個/g、200μm以上は21個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点214℃の他に250℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2920MPaであり、その標準偏差は14、曲げ強度が135MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度145℃、その標準偏差は2であり品質も非常に安定していた。
<実施例6>
ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン60モル%とパラキシリレンジアミン40モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の40%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点197℃以上に制御した以外は、実施例5と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.07、数平均分子量は15100、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−5、融点は223℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.04〜2.10、数平均分子量は14700〜15500、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−7〜−3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は217個/g、50〜99μmは114個/g、100〜199μmは79個/g、200μm以上は24個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点223℃の他に260℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2900MPaであり、その標準偏差は12、曲げ強度が134MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度152℃、その標準偏差は2であり品質も非常に安定していた。
<実施例7>
ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン40モル%とパラキシリレンジアミン60モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の50%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点202℃以上に制御した以外は、実施例5と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.11、数平均分子量は15600、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−4、融点は242℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.05〜2.16、数平均分子量は14600〜16100、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−6〜−2と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は225個/g、50〜99μmは120個/g、100〜199μmは83個/g、200μm以上は22個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点242℃の他に281℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2930MPaであり、その標準偏差は15、曲げ強度が136MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度170℃、その標準偏差は1であり品質も非常に安定していた。
<実施例8>
ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン20モル%とパラキシリレンジアミン80モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)を用いたこと、ジアミン滴下工程中に装置気相部壁面を230℃に温調し、反応槽気相部の温度をジアミン添加総量の55%を滴下した時点で、混合キシリレンジアミンとセバシン酸からなるナイロン塩の融点207℃以上に制御した以外は、実施例5と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.10、数平均分子量は15500、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−4、融点は263℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.04〜2.14、数平均分子量は14400〜16000、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−6〜−2と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は283個/g、50〜99μmは145個/g、100〜199μmは112個/g、200μm以上は26個/gであり粒状物は非常に少なくフィルム外観も良好であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点263℃の他に292℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が2950MPaであり、その標準偏差は12、曲げ強度が135MPaであり、その標準偏差は1、熱変形温度191℃、その標準偏差は2であり品質も非常に安定していた。
<比較例1>
反応槽の圧力を常圧とし、留出する水は内部温度を100〜104℃で制御した分縮器、および冷却器を通して反応系外に除いた以外は、実施例3と同様の装置にて同条件で共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。所定の分子量相当の攪拌トルクまで粘度増加がみられなかったため、減圧を開始してから30分反応を継続して共重合ポリアミド樹脂を得た。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.01、数平均分子量は14300、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.988、YIは−1、融点は269℃であり、相対粘度、数平均分子量、モルバランスは低いものであった。反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、反応槽の気相部にはナイロン塩もしくはポリアミドオリゴマーが多量付着しており、分縮器内部の一部が白色固形物により閉塞していた。閉塞部分をバッチ終了毎に洗浄して同方法で10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は1.96〜2.18、数平均分子量は13,700〜16,500、モルバランスは0.986〜0.995、YIは−4〜5とバラつきが大きいものであった。また得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は3230個/g、50〜99μmは1592個/g、100〜199μmは1386個/g、200μm以上は252個/gであり粒状物が非常に多くフィルム外観は凹凸が大きく不良であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点269℃の他に300℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4246MPaであり、その標準偏差は94、曲げ強度が172MPaであり、その標準偏差は7、熱変形温度183℃、その標準偏差は9であり機械的特性、耐熱特性のバラつきが大きく、品質が不安定であった。
<比較例2>
反応槽気相部壁面の加温を行わなかった以外は、実施例3と同様に共重合ポリアミド樹脂の合成を行った。気相部の温度は、ジアミン総量の80%滴下時点で208℃、滴下終了時点で227℃と混合キシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩の融点230℃以下であり、以降の0.4MPa保持中に230℃以上となった。得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.09、数平均分子量は15300、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−6、融点は269℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.07〜2.14、数平均分子量は14,900〜16,000、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−7〜−3と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。また得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は1148個/g、50〜99μmは572個/g、100〜199μmは493個/g、200μm以上は83個/gであり粒状物が多くフィルム外観は凹凸が大きく不良であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点269℃の他に290℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4268MPaであり、その標準偏差は51、曲げ強度が173MPaであり、その標準偏差は4、熱変形温度184℃、その標準偏差は4であり機械的特性、耐熱特性のバラつきは大きく、品質が不安定であった。
<比較例3>
温度調整されたオイルが流通する分縮器、全縮器、撹拌機、窒素ガス導入管およびジアミンの滴下口を備えたオイルジャケット付き50リットルのステンレス製の反応槽に、アジピン酸(純度:99.85wt%)10.000kg、メタキシリレンジアミン60モル%とパラキシリレンジアミン40モル%含有する混合キシリレンジアミン(純度:99.95wt%)9.270kg、蒸留水19kgを入れ、十分窒素置換した。装置を密閉した状態で内容物を攪拌しながら207℃まで5.7時間かけて昇温し、反応圧力が1.9MPaに到達したら圧力を保持しつつ、1時間かけて仕込水および反応生成水を装置外に留去し、その間に反応温度を212℃まで昇温した。引き続き水を留去しつつ、反応圧力を常圧まで4時間で降下させて、その間に反応温度を277℃まで昇温した。その後、反応系内圧を600mmHgまで10分間で連続的に減圧し、その後、5分間反応を継続した。実施例1と同様にペレット化して共重合ポリアミド樹脂を得た。
得られた共重合ポリアミド樹脂の相対粘度は2.08、数平均分子量は15100、共重合ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)は0.994、YIは−3、融点は269℃であった。また続けて合計10バッチ連続して反応を行ったところ、相対粘度は2.04〜2.16、数平均分子量は14,700〜16,300、モルバランスは0.993〜0.995、YIは−6〜−1と安定していた。10バッチ連続して反応を行った反応槽内および分縮器内部の状況を観察したところ、固形物は一切認められなかった。また得られた共重合ポリアミド樹脂をフィルム化して粒状物を計測したところ、50μm以上の粒状物の総量は1422個/g、50〜99μmは721個/g、100〜199μmは610個/g、200μm以上は91個/gであり粒状物が多くフィルム外観は凹凸が大きく不良であった。粒状部を切除したものの融点を測定したところ、共重合ポリアミド樹脂融点269℃の他に295℃の融点を有するものが含まれていた。得られた共重合ポリアミド樹脂を用いて成形片を作成し、性能を評価したところ、曲げ弾性率が4251MPaであり、その標準偏差は65、曲げ強度が173MPaであり、その標準偏差は4、熱変形温度173℃、その標準偏差は4であり機械的特性、耐熱特性のバラつきは大きく、品質が不安定であった。
実施例1〜8及び比較例1〜3の製造条件及び物性評価結果を第1表に示す。表中、PXDAはパラキシレンジアミン、MXDAはメタキシレンジアミンを示す。
Figure 0005637144
本発明で得られる共重合ポリアミド樹脂は械的特性、耐熱特性、化学的物理的特性及び成形特性のいずれにも優れた特性を有し、かつ品質が非常に安定しているため成形品、フィルム、シート、繊維など幅広い分野に好適に利用される。

Claims (13)

  1. パラキシリレンジアミンを20モル%以上含むキシリレンジアミンを70モル%以上含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂であって、示差走査熱量計測定における融点が当該共重合ポリアミド樹脂より20℃以上高いポリアミド成分を含む長径50μm以上の粒状物が1000個/g以下である共重合ポリアミド樹脂。
  2. 濃硫酸溶液(1g/100mL濃度)、25℃での相対粘度が1.80〜4.20の範囲である請求項1に記載の共重合ポリアミド樹脂。
  3. 直鎖脂肪族ジカルボン酸成分の70モル%以上がアジピン酸またはセバシン酸である請求項1に記載の共重合ポリアミド樹脂。
  4. キシリレンジアミンがメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの二成分からなる請求項1に記載の共重合ポリアミド樹脂。
  5. 当該共重合ポリアミド樹脂の融点より10℃高い樹脂温度にて溶融して得た共重合ポリアミド樹脂のキャストフィルム中に存在する、当該共重合ポリアミド樹脂の融点より20℃以上高い融点を有するポリアミド成分を含む長径50μm以上の粒状物が1000個/g以下である、請求項1に記載の共重合ポリアミド樹脂。
  6. 当該共重合ポリアミド樹脂の融点より10℃高い樹脂温度にて溶融して得た共重合ポリアミド樹脂のキャストフィルム中に存在する、当該共重合ポリアミド樹脂の融点より20℃以上高い融点を有するポリアミド成分を含む長径200μm以上の粒状物が100個/g以下である、請求項1に記載の共重合ポリアミド樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の共重合ポリアミド樹脂100重量部に、タルク0〜30重量部および無機充填物10〜150重量部を配合してなる共重合ポリアミド樹脂組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の共重合ポリアミド樹脂を成形して得られる成形品。
  9. 請求項7に記載の共重合ポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品。
  10. パラキシリレンジアミンを20モル%以上含むキシリレンジアミンを70モル%以上含む少なくとも2成分以上からなるジアミン成分と、炭素数6〜18の直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分からなる共重合ポリアミド樹脂の製造方法であって、分縮器を備えた回分式反応槽を用い、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを溶媒の非存在下に重縮合し、反応槽内を0.1MPaG以上の圧力で維持し、且つ反応系全体が流動状態を保持し得る温度を維持しつつ、溶融ジカルボン酸成分にジアミン成分を連続的にもしくは間欠的に添加し、且つ反応槽内の気相部温度を、ジアミン成分総量の80%を添加するまでに原料からなるナイロン塩の融点以上とすることを特徴する共重合ポリアミド樹脂の製造方法。
  11. 濃硫酸溶液(1g/100mL濃度)、25℃での相対粘度が1.80〜4.20の範囲である請求項10に記載の共重合ポリアミド樹脂の製造方法。
  12. 直鎖脂肪族ジカルボン酸成分の70モル%以上がアジピン酸またはセバシン酸である請求項10に記載の共重合ポリアミド樹脂の製造方法。
  13. キシリレンジアミンがメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの二成分からなる請求項10に記載の共重合ポリアミド樹脂の製造方法。
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