JP5635228B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは生物起源物質である糖質から誘導され得る部分を含有し、耐熱性と熱安定性のいずれも良好で、色相、耐候性および剛性に優れたポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、芳香族もしくは脂肪族ジオキシ化合物を炭酸エステルにより連結させたポリマーであり、その中でも2,2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)より得られるポリカーボネート樹脂(以下「PCーA」と称することがある)は、機械的強度や透明性といったその優れた特性から機械部品、自動車部品、電気・電子部品、事務機器部品などの多くの用途に用いられている。またポリカーボネート樹脂に様々な強化剤を添加した強化ポリカーボネート樹脂も、その優れた機械的強度、耐熱性から幅広い用途に用いられている。
さらに、二酸化チタン顔料に代表される白色顔料を高充填し、光反射性に優れた樹脂組成物がある。該樹脂組成物からなる成形品は、液晶表示装置のバックライト用反射板、照光式プッシュスイッチや光電スイッチの反射板、自動販売機の表示内部フレーム、およびストロボリフレクター等に使用されている。
かかる樹脂組成物においては、高輝度かつ高白色の色相などの性能はもちろんのこと、成形品の薄肉・小型化に対応すべく厳しい成形条件(例えば、射出速度の高速化および成形温度の高温化など)にも耐えうる熱安定性が求められている。即ち、成形時の熱劣化における黄色化およびシルバーストリークスのような不良現象が、かかる厳しい成形条件においても生じないことが求められる。かかる黄色化は光反射特性を低下させ、シルバーストリークスはそもそも成形品に存在しないことが前提とされる。また、近年の省エネルギー化の点から反射効率を上げられるように高い光反射性の要求が、並びに薄肉・小型化された成形品においても光透過による反射光量の損失がないように高い遮光性の要求がある。かかる要求においては、多量の二酸化チタン顔料を添加する場合がある。その結果、成形時の樹脂の熱劣化による黄色化およびシルバーストリークスのような成形不良現象はより発生し易くなる。そのため、二酸化チタン顔料を含有するポリカーボネート樹脂組成物においてより高い熱安定性が要求されていた。
二酸化チタン顔料の熱安定化処方として、表面処理剤として酸化アルミニウムおよびオルガノシロキサンを使用することは公知である(特許文献1参照)。また、表面処理剤としての酸化アルミニウム含有量を0.1〜2重量%に規定した二酸化チタン顔料をポリフェニレンエーテル樹脂の如きエンジニリングプラスチックに使用することにより、シルバーストリークが減少可能なことは公知である(特許文献2参照)。また、酸化チタン含有ポリカーボネート樹脂組成物にポリオルガノ水素シロキサンを使用することは公知である(特許文献3参照)。
更に芳香族ポリカーボネート樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩、および二酸化チタン顔料からなる樹脂組成物は公知である(特許文献4参照)。また該特許文献以外でも芳香族ポリカーボネート樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩、および二酸化チタン顔料からなる樹脂組成物は開示され公知である(特許文献5〜8参照)。
一方、一般的にPC−Aを始めとするポリカーボネート樹脂は石油資源から得られる原料を用いて製造されるが、石油資源の枯渇が懸念されており、環境面から植物などの生物起源物質から得られる原料を用いた材料が求められるようになってきている。
生物起源物質を原料として使用されたバイオマス材料の代表例がポリ乳酸であり、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、ポリ乳酸は光反射性に優れた成形材料として使用するに当たっては、その耐熱性は不充分であり、また結晶性ポリマーとしてはその結晶性が低いため射出速度の高速化には対応できないといった問題がある。
一方、生物起源物質を原料として使用されたポリカーボネート樹脂としては、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いた脂肪族ポリカーボネート樹脂が検討されている。
例えば、下記式(a)
Figure 0005635228
に示したエーテルジオールは、たとえば糖類およびでんぷんなどから容易に作られ、3種の立体異性体が知られているが、具体的には下記式(b)
Figure 0005635228
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール(本明細書では以下「イソソルビド」と呼称する)、下記式(c)
Figure 0005635228
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーマンニトール(本明細書では以下「イソマンニド」と呼称する)、下記式(d)
Figure 0005635228
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローLーイジトール(本明細書では以下「イソイディッド」と呼称する)である。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドはそれぞれDーグルコース、Dーマンノース、Lーイドースから得られる。たとえばイソソルビドの場合、Dーグルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
これまで上記のエーテルジオールの中でも、特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。この中で、特にイソソルビドのホモポリカーボネートについては特許文献9,10、非特許文献1,2に記載されている。このホモポリカーボネートのガラス転移温度は、非特許文献1では166℃、また特許文献10では昇温速度10℃/分での示差熱量測定によるガラス転移温度が170℃以上とPC−Aと比較して耐熱性は充分にあり、加えて芳香環のような紫外線吸収部位がないために耐候性が良好であると考えられるが、このような糖質から製造可能なエーテルジオールをポリマーの原料として用いた場合、成形時にポリマーの着色が起こり易く、実用上問題があった。また、このポリカーボネートはスズ触媒の存在下で製造されており、熱分解温度(5%重量減少温度)が300℃前後であり、熱安定性に改良の余地がある。さらに、このような脂肪族ポリカーボネートと二酸化チタン顔料に代表される白色顔料を高充填し、光反射性に優れた樹脂組成物に関する報告例はない。
特公昭60−003430号公報 特開平11−060743号公報 特公昭63−026140号公報 特開2003−183491号公報 特開2002−372609号公報 特開2003−226805号公報 特開2003−213114号公報 特開2003−342462号公報 英国特許出願公開第1079686号明細書 国際公開第2007/013463号パンフレット "Journal of Applied Polymer Science",2002年, 第86巻, p.872〜880 "Macromolecules",1996年,第29巻,p.8077〜8082
本発明は上記問題点を解決し、高い生物起源物質含有率を有し、優れた耐熱性、熱安定性、耐候性および成形性を有し、かつ色相および光反射性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意検討を行った結果、下記式(1)
Figure 0005635228
で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂中に含まれる炭素−炭素二重結合成分がポリマーの着色に深く関わりがある事を見出した。そして、ポリマー末端に生成する下記式(2)または(3)で表される炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合をある特定の数値以下にしたポリカーボネート樹脂(A成分)と二酸化チタン顔料(B成分)からなるポリカーボネート樹脂組成物が優れた耐熱性、熱安定性、耐候性および成形性を有し、かつ着色が少ないことを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明によれば
1.下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であって、ポリマー末端に下記式(2)および下記式(3)で表される炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合の合計量が上記カーボネート構成単位に対して0.3%以下であるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、二酸化チタン顔料(B成分)0.1〜80重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物、
Figure 0005635228
Figure 0005635228
Figure 0005635228
2.上記B成分は、アルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理されている二酸化チタン顔料である前項1記載のポリカーボネート樹脂組成物、
3.上記B成分は、(i)その熱重量解析(TGA)による23℃〜100℃における重量減少を(a)重量%、および23℃〜300℃における重量減少を(b)重量%としたとき、0.05≦(b)−(a)≦0.6を満たし、(ii)その蛍光X線測定におけるTi元素、Al元素、およびSi元素に由来する重量割合をそれぞれ(c)重量%、(d)重量%および(e)重量%としたとき、0.001≦(d)/(c)≦0.01を満たし、かつ0.001≦(e)/(c)≦0.02を満たす二酸化チタン顔料(B成分)である前項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物、および
4.前項1記載のポリカーボネート樹脂組成物から形成された光反射材、
が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であり、全カーボネート構成単位中、前記式(1)で表わされる構成単位は60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましい。最も好適には、前記式(1)のカーボネート構成単位のみからなるホモポリカーボネート樹脂である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は上記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であって、ポリマー末端に上記式(2)および上記式(3)で表される炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合の合計量が上記カーボネート構成単位に対して0.3%以下であり、0.2%以下が好ましく、0.15%以下が特に好ましい。なお該割合はポリカーボネートのHNMRの積分値から下記のようにして求めたものである。
すなわち、上記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂のHNMR(重溶媒:CDCl)において、図1中Hで表されるプロトンの積分強度を1とした時の炭素−炭素二重結合成分の積分強度(6.5〜6.7ppmのピーク:図2参照)をLとすると該割合は下記式(A)で表される。
Figure 0005635228
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、ポリカーボネート樹脂の15重量%塩化メチレン溶液の光路長30mmで測定した時の溶液b値が5.0以下であり、4.5以下が好ましく、4.0以下が特に好ましい。なお溶液b値は上記溶液を、光路長30mmの試料管に入れて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度の下限が0.14以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.22以上である。また比粘度の上限は0.55以下であることが好ましく、0.45以下であることがより好ましく、更に好ましくは0.37以下である。比粘度が0.14より低くなると本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物より得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.55より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な流動性を有する溶融温度が分解温度より高くなってしまい好ましくない。また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600sec−1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にあることが好ましく、0.4×10〜3.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.4×10〜2.4×10Pa・sの範囲にあることがさらに好ましい。溶融粘度がこの範囲であると機械的強度に優れ、成形性も成形時のシルバーの発生等が無く良好である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、そのガラス転移温度(Tg)が好ましくは120〜175℃であり、より好ましくは145〜170℃であり、さらに好ましくは145〜165℃である。Tgが120℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、175℃を超えると成形時の溶融流動性に劣る。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その5%重量減少温度が好ましくは320〜400℃であり、より好ましくは330〜400℃である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、溶融成形時の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、上記式(a)で表されるエーテルジオールを含むジオール成分および炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造することができる。エーテルジオールとしては、具体的には下記式(b)、(c)および(d)
Figure 0005635228
Figure 0005635228
Figure 0005635228
で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
特に、カーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール)由来のカーボネート構成単位を含んでなるポリカーボネート樹脂が好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)の製造方法としては、前記式(a)で表されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを混合し、エステル交換反応によって生成するアルコールまたはフェノールを高温減圧下にて留出させる溶融重合法が好ましく用いられる。
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃〜280℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180℃〜270℃の範囲である。
また、反応初期にはエーテルジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、徐々に減圧にして反応後期には系を1.3×10−3〜1.3×10−5MPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる方法が好ましい。反応時間は通常0.5〜4時間程度である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)の製造に用いる炭酸ジエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜18のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(p−ブチルフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
炭酸ジエステルは全ジオール化合物に対してモル比で1.02〜0.98となるように混合することが好ましく、より好ましくは1.01〜0.98であり、さらに好ましくは1.01〜0.99である。炭酸ジエステルのモル比が1.02より多くなると、炭酸ジエステル残基が末端封止として働いてしまい充分な重合度が得られなくなってしまい好ましくない。また炭酸ジエステルのモル比が0.98より少ない場合でも、充分な重合度が得られず好ましくない。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。該重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物などが挙げられる。本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)を得る方法としては、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを組み合わせて使用することが好ましく、色相が良好なポリカーボネート樹脂を得るためにはアルカリ金属濃度の調整が重要になってくる。アルカリ金属は触媒として加える以外に例えば原料である前記式(a)で表されるエーテルジオール中に含まれるような場合もあるため(特表2005−509667号公報参照)、エーテルジオール中に含まれるアルカリ金属含有量も加味してアルカリ金属濃度を調整することが好ましい。
本発明においては、常圧で加熱溶融させた時のアルカリ金属の濃度を、溶融溶液中好ましくは0.1〜1.0ppm、より好ましくは0.1〜0.7ppm、特に好ましくは0.1〜0.5ppmに調整する。該アルカリ金属濃度が0.1ppmより少なくなると、充分な重合触媒活性が小さく目的の比粘度を有するポリカーボネート樹脂を得る事ができず、また1.0ppmより大きくなると触媒活性の制御が困難となり分解および色相の悪化を引き起こしてしまう。なお溶融溶液とはエーテルジオール及び炭酸ジエステルを混合し溶融した時点での溶融溶液であると定義する。アルカリ金属の濃度(=含有量)は、各原料について、乾式灰化し、硝酸で溶解後、純水にて定溶し、原子吸光光度法にて定量したものの合計とした。なお、原子吸光光度計は日立製作所社製Z5000を用いた。
また、アルカリ金属化合物と組み合わせて用いる含窒素塩基性化合物の量は、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属との割合が重量比で50/1〜2000/1(含窒素塩基性化合物/アルカリ金属)の範囲となるように配合することが好ましい。この割合は100/1〜2000/1であることがより好ましく、100/1〜1000/1であることが特に好ましい。含窒素塩基性化合物とアルカリ金属の割合がこの範囲にあると色相が良好なポリカーボネート樹脂(A成分)を得ることができる。
また、反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよいが、特に酸化防止剤である下記式(4)で示される有機リン化合物が好ましい。
Figure 0005635228
上記式(4)中、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、特に水素原子、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、またはtert−ペンチル基が好ましい。
は炭素原子数4〜10のアルキル基であり、炭素原子数4〜6のアルキル基が好ましく、特にイソブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、またはシクロヘキシル基が好ましい。
は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基が好ましく、特に水素原子、または炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。
上記式(4)の好ましい具体例として、ビス(2―tertーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2―tertーペンチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2―シクロヘキシルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4ージーtertーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6ージーtertーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,6ージーtertーブチルー4ーエチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられ、特にビス(2,6ージーtertーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。かかる酸化防止剤は、1種または2種以上の混合物であってもよい。
酸化防止剤の配合量はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.02〜0.3重量部が好ましく、0.05〜0.3重量部がより好ましく、0.05〜0.25重量部が特に好ましい。酸化防止剤がこの範囲内にあると、ポリカーボネート樹脂(A成分)を製造する際の熱分解による分子量低下や色相悪化などを抑える事ができる。
上記製造法により得られたポリカーボネート樹脂に触媒失活剤を添加する事もできる。触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましく、更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。またスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられ、その中でもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用する事ができる。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、その特性を損なわない範囲で脂肪族ジオール類および/または芳香族ビスフェノール類との共重合としても良い。全ジオール成分中、該脂肪族ジオール類および/または芳香族ビスフェノール類の割合は40モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、10モル%以下が特に好ましい。
脂肪族ジオールとしては、下記式(α)で表される脂肪族ジオールが好ましく用いられる。
Figure 0005635228
(式中、mは1〜20の整数)
具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖状ジオール類や、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式アルキレン類などが挙げられ、中でも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、およびシクロヘキサンジメタノールが好ましい。
芳香族ビスフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン等が挙げられる。
また、上記式(1)で表されるエーテルジオール、上記式(2)で表される脂肪族ジオールおよび芳香族ビスフェノールに加えて他のジオール残基を含むこともできる。その他のジオールとしてはジメタノールベンゼン、ジエタノールベンゼンなどの芳香族ジオールなどを挙げることができる。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その特性を損なわない範囲で末端基を導入することもできる。かかる末端基は、対応するヒドロキシ化合物を重合時に添加することにより導入することができる。該末端基としては下記式(5)または(6)で表される末端基が好ましい。
Figure 0005635228
Figure 0005635228
上記式(5),(6)中、Rは炭素原子数4〜30のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数4〜30のパーフルオロアルキル基、または下記式(7)
Figure 0005635228
であり、好ましくは炭素原子数4〜20のアルキル基、炭素原子数4〜20のパーフルオロアルキル基、または上記式(7)であり、特に炭素原子数8〜20のアルキル基、または上記式(7)が好ましい。Xは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミノ結合およびアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合が好ましいが、より好ましくは単結合、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合であり、なかでも単結合、エステル結合が好ましい。aは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、特に1が好ましい。
また、上記式(7)中、R,R,R,RおよびRは、夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、好ましくは夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基および炭素原子数6〜10のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、特に夫々独立してメチル基及びフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が好ましい。bは0〜3の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2〜3の整数が好ましい。cは4〜100の整数であり、4〜50の整数が好ましく、特に8〜50の整数が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、植物などの再生可能資源から得られる原料を用いたカーボネート構成単位を主鎖構造に持つことから、これらのヒドロキシ化合物もまた植物などの再生可能資源から得られる原料であることが好ましい。植物から得られるヒドロキシ化合物としては、植物油から得られる炭素数14以上の長鎖アルキルアルコール類(セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール)などが挙げられる。
本発明に用いるB成分は二酸化チタン顔料である。かかる二酸化チタン顔料は、通常各種着色用途に使用されるものが使用でき、それ自体広く知られたものである。TiO100重量%からなる二酸化チタン顔料も存在する(尚、本発明においては二酸化チタン顔料の二酸化チタン成分を”TiO”と表記し、表面処理剤を含む顔料全体について”二酸化チタン顔料”と表記する)。しかしながら、通常、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズ、亜鉛などの各種金属の酸化物による表面処理がなされる。本発明においても、好ましい二酸化チタン顔料は、金属酸化物の表面処理がなされたものである。尚、これらの表面処理のための金属酸化物成分は、一部がTiO粒子の内部に存在する態様であってもよい。
更にB成分の二酸化チタン顔料は有機化合物で表面処理されていることがより好ましい。かかる表面処理剤としては、ポリオール系、アミン系、およびシリコーン系などの各種処理剤を使用することができる。ポリオール系表面処理剤としては、例えばペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、およびトリメチロールプロパンなどが挙げられ、アミン系表面処理剤としては、例えばトリエタノールアミンの酢酸塩、およびトリメチロールアミンの酢酸塩などが挙げられ、シリコーン系表面処理剤としては、例えばハロゲン置換有機ケイ素化合物およびアルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物が例示され、特に後者の有機ケイ素化合物が好ましい。ハロゲン置換有機ケイ素化合物としてはアルキルクロロシランが例示され、アルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物としては、アルキルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシロキサン、およびアルキルハイドロジェンシロキサンなどが例示される。
かかるシラン化合物およびシロキサン化合物は、そのアルキル基の一部がフェニル基で置換されていてもよいが、いずれもフェニル基の置換がないものがより好ましい。かかるアルキル基の炭素数は好ましくは1〜30、より好ましくは1〜12である。アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
アルキルアルコキシシラン化合物はアルコキシ基を1〜3のいずれを含有するものであってもよく、またこれらの混合物であってもよいが、2〜3のアルコキシ基が好ましく、特に3のアルコキシ基が好ましい。アルキルアルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、およびオクタデシルトリメトキシシランなどが例示される。
シロキサン化合物におけるアルコキシ基およびSi−H基の含有割合は、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シロキサン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。
一般的にシロキサン化合物の構造は、以下に示す4種類のシロキサン単位を任意に組み合わせることによって構成される。すなわち、
M単位:(CHSiO1/2、H(CHSiO1/2、H(CH)SiO1/2、(CH(CH=CH)SiO1/2、(CH(C)SiO1/2、(CH)(C)(CH=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位、
D単位:(CHSiO、H(CH)SiO、HSiO、H(C)SiO、(CH)(CH=CH)SiO、(C)2SiO等の2官能性シロキサン単位、
T単位:(CH)SiO3/2、(C)SiO3/2、HSiO3/2、(CH=CH)SiO3/2、(C)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位、
Q単位:SiOで示される4官能性シロキサン単位である。
上記シロキサン化合物の構造は、具体的には、示性式としてDn、Tp、MmDn、MmTp、MmQq、MmDnTp、MmDnQq、MmTpQq、MmDnTpQq、DnTp、DnQq、DnTpQqが挙げられる。この中で好ましいシリコーン化合物の構造は、MmDn、MmTp、MmDnTp、MmDnQqであり、さらに好ましい構造は、MmDnまたはMmDnTpである。
ここで、前記示性式中の係数m、n、p、qは各シロキサン単位の重合度を表す1以上の整数であり、各示性式における係数の合計がシロキサン化合物の平均重合度となる。この平均重合度は好ましくは2〜150の範囲、より好ましくは3〜80の範囲である。またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、結合する水素原子や有機残基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。
表面処理される有機化合物の量は、B成分100重量%当り1重量%以下が好ましく、0.6重量%以下が更に好ましい。一方下限としては0.05重量%以上が挙げられる。アルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理された二酸化チタン顔料は、本発明の樹脂組成物により良好な光反射性を与える。
本発明の二酸化チタン顔料の好適な態様は、(i)その熱重量解析(TGA)による23℃〜100℃における重量減少を(a)重量%、および23℃〜300℃における重量減少を(b)重量%としたとき、0.05≦(b)−(a)≦0.6を満たし、(ii)その蛍光X線測定におけるTi元素、Al元素、およびSi元素に由来する重量割合をそれぞれ(c)、(d)および(e)としたとき、0.001≦(d)/(c)≦0.01を満たし、かつ0.001≦(e)/(c)≦0.02を満たすものである。
上記(b)−(a)の値の下限はより好ましくは0.15であり、かかる値の上限はより好ましくは0.3である。上記(d)/(c)の下限はより好ましくは0.003であり、その上限はより好ましくは0.01である。上記(e)/(c)の下限はより好ましくは0.005であり、その上限はより好ましくは0.015である。
上記(b)−(a)が0.6以下、(d)/(c)が0.01以下、および(e)/(c)が0.02以下であると熱安定性の効果がより顕著に発揮される。(b)−(a)が0.05以上、並びに(d)/(c)および(e)/(c)が0.001以上であると、良好な色相が得られ、特に高充填時には良好な光反射特性が得られる。
尚、上記条件(i)における熱重量解析(TGA)の測定は、TGA測定装置において窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で900℃まで昇温する測定条件により行われる。上記条件(ii)における蛍光X線測定から元素の重量割合を算出する操作は、通常各元素の標品から求められた元素重量とピークの強度から算出される較正線に基づき算出することができる。近年は蛍光X線測定装置に定量可能なプログラムが内蔵され、該装置から直接元素の重量割合を求めることができる。該装置としては例えば(株)堀場製作所製MESA−500型を例示することができ、元素の重量割合の算出に好適に利用することができる。かかる算出は、MESA−500型における基礎パラメータ法により行われる。
B成分におけるTiOは結晶形がアナタース型、ルチル型のいずれのものでもよく、それらは必要に応じて混合して使用することもできる。初期の機械特性や長期耐候性の点でより好ましいのはルチル型である。尚、ルチル型結晶中にアナタース型結晶を含有するものでもよい。更にTiOの製法は硫酸法、塩素法、その他種々の方法によって製造された物を使用できるが、塩素法がより好ましい。また本発明の二酸化チタン顔料は、特にその形状を限定するものではないが粒子状のものがより好適である。二酸化チタン顔料の平均粒子径は、0.01〜0.4μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましく、0.15〜0.25μmが更に好ましい。かかる平均粒子径は電子顕微鏡観察から、個々の単一粒子径を測定しその数平均により算出される。
TiO表面への各種金属酸化物による被覆は、通常行われている種々の方法によって行うことができる。例えば以下の1)〜8)の工程から製造される。すなわち、1)乾式粉砕後の未処理TiOを水性スラリーとする、2)該スラリーを湿式粉砕して微粒化する、3)微粒スラリーを採取する、4)該微粒スラリーに金属塩の水溶性化合物を添加する、5)中和して金属の含水酸化物でTiO表面の被覆をする、6)副生物の除去、スラリーpHの調整、濾過、および純水洗浄を行う、7)洗浄済みケーキを乾燥する、8)該乾燥物をジェットミル等で粉砕する方法が挙げられる。かかる方法以外にも例えばTiO粒子に活性な金属化合物を気相中で反応させる方法が挙げられる。更にTiO表面への金属酸化物表面処理剤の被覆においては、表面処理後に焼成を行うこと、表面処理後に再度表面処理を行うこと、および表面処理後に焼成し再度表面処理を行うことがいずれも可能である。また金属酸化物による表面処理は高密度な処理および低密度(多孔質)な処理のいずれも選択できる。
上記条件(i)および(ii)の調整は、表面処理のための金属酸化物の調整並びにその焼成処理の条件によって調整できる。本発明の二酸化チタン顔料は、かかる条件から明らかなように酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素によって表面処理される。これらはいずれの順序であってもまた混合物として表面処理されてもよいが、好ましくは酸化アルミニウム処理の後に酸化ケイ素処理されたものである。更に好適には上述のように該金属酸化物処理のなされた後にアルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理された二酸化チタン顔料である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて蛍光増白剤を含有することができる。蛍光増白剤の含有は反射光量を高める効果がある。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。蛍光増白剤としては公知のビスベンゾオキサゾール、クマリンおよびビス(スチリル)ビフェニルなどが利用できる。中でもクマリン系蛍光増白剤が好ましい。クマリン系蛍光増白剤としては、トリアジン−フェニルクマリン、ベンゾトリアゾール−フェニルクマリン、およびナフトトリアゾール−フェニルクマリンなどが例示される。例えば下記式(8)で表される蛍光増白剤が好ましい。
Figure 0005635228
(但し、上記式中R10はアミノ基、アルキル基置換アミノ基、水酸基、および下記式(8−i)、(8−ii)または(8−iii)のいずれかを示し、R11は水素原子またはフルオロアルキル基を示し、R12は水素原子、アルキル基、またはアリール基のいずれかを示す。)
Figure 0005635228
Figure 0005635228
Figure 0005635228
蛍光増白剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.0005〜0.5重量部、更に好ましくは0.001〜0.1重量部である。かかる範囲においてより良好な光反射性が達成される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、さらに良好な色相かつ安定した流動性を得るため、リン系安定剤を含有することが好ましい。殊にリン系安定剤として、下記式(9)に示すペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を配合することが好ましい。
Figure 0005635228
[式中R21、R22はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、または炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。なお、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていてもよい。]
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、より具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
他のリン系安定剤としては、前記以外の各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
さらに他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができ、少なくともペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を有効量配合することが好ましい。リン系安定剤はポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、用途に応じてその他各種の添加剤(機能付与剤)を添加してもよく、例えば可塑剤、光安定剤、重金属不活性化剤、衝撃吸収剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などである。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、用途に応じて各種の有機および無機のフィラー、繊維などを複合化して用いることもできる。フィラーとしては例えばカーボン、タルク、マイカ、ワラストナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどを挙げることができる。繊維としては例えばケナフなどの天然繊維のほか、各種の合成繊維、ガラス繊維、石英繊維、炭素繊維などが挙げられる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、例えば脂肪族ポリエステルの他、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル、ABS、ポリウレタンなどや、ポリ乳酸を始めとする各種の生物起源物質からなるポリマーなどと混合しアロイ化して用いることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた光反射率、熱安定性、耐候性、色相、剛性および成形性を有することから、各種の光反射材に好適に利用される。より具体的には各種ランプリフレクターが挙げられ、例えば蛍光灯など照明灯用の反射板、液晶表示装置など各種表示装置のバックライト用反射板、スイッチ類用の反射板、LEDアレイ用の反射板、並びにこれらの機能が複合した反射板などが例示される。即ち本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、搬送容器、遊戯具および雑貨などの各種用途に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。但し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。また、実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
(1)光線反射率:射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度300℃、金型温度100℃で成形した算術平均粗さ(Ra)が0.03μmである厚さ2mmの成形板(長さ90mm×幅50mm)を、カラーコンピューター(東京電色製TC−1800MK−II)により測定した。波長450nm〜850nmにおける最も低い反射率の値で評価した。
(2)耐紫外線性:上記評価(1)と同様の成形板を、キセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製:WEL−SUN:HC−B)を使用しブラックパネル温度63℃、湿度50%で1000時間した後の色相(YI)と処理前の色相(YI)の差をΔYIとして示した。色相(YI)は、日本電色(株)色差計SE2000で測定した。
(3)曲げ弾性率
曲げ試験をISO178に従って行った。なお、試験片(形状:長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)は、日本製鋼所(株)製 JSWJ−75EIIIを用いてシリンダ温度250℃、金型温度90℃にて成形した。
(4)荷重たわみ温度(1.80MPa):上記(3)にて成形した曲げ試験片を用いてISO75−1および75−2で規定される高荷重下(1.80MPa)の荷重たわみ温度を測定した。
(5)比粘度 ηsp
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。なお比粘度ηspは下記式から求められる。
ηsp=t/t−1
t :試料溶液のフロータイム
:溶媒のみのフロータイム
(6)溶融粘度
(株)東洋精機製キャピラリーレオメータ(キャピログラフ 型式1D)を用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、測定温度250℃にて測定速度を任意に変更し測定した結果得られたShear Rate/Viscosityカーブより600sec-1での溶融粘度を読み取った。
(7)ガラス転移温度
TA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定した。
(8)5%重量減少温度
TA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定した。
(9)色相(溶液b値)
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を15重量%として、光路長30mmの試料管に入れる。次いで20℃にて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。b値はJIS Z8722に規定する三刺激値X、Y、Zからハンターの色差式から誘導されるもので、数値が低いほど色相が無色に近いことを示す。
(10)炭素−炭素二重結合成分の割合
ペレットを重溶媒(CDCl)に溶解し、HNMR測定を行い上記式(1)で表されるカーボネート構成単位中の特定プロトンの積分値と上記式(2)または(3)で表される炭素−炭素二重結合成分に由来する特定プロトンの積分値との比から炭素−炭素二重結合成分の割合を算出した。 この割合を算出する方法については、製造例4を具体例として以下に示す。なお、NMRはJEOL製JNM−AL400を用いた。
(11)アルカリ金属含有量
試料を乾式灰化し、硝酸で溶解後、純水にて定溶し、原子吸光光度法によりアルカリ金属含有量を定量した。なお、日立製作所社製Z5000を用いた。
[参考例1] イソソルビドの製造
ソルビトールの70%水溶液(ソルビット(登録商標)D−70(東和化成工業株式会社製)を容量2Lのガラス製攪拌機つきの減圧反応器に1930重量部仕込み、40Torrの減圧下で、120℃まで加熱し、水を留出した。次いで、98%濃硫酸32重量部を添加して、減圧下で24時間反応させ、水262重量部を留出した。この反応液を80℃まで冷却し、40%の水酸化ナトリウム水溶液でpH7.2(1%水溶液)まで中和した。この反応液を、減圧下で130℃まで加熱し、水を留出させて除去し、粗イソソルビド1076重量部を得た。この粗イソソルビドを減圧蒸留器に仕込み、9Torrまでの減圧下でバス温度210℃まで加熱し、約3時間かけて788重量部の留出物を得た。次に純水760重量部を上記留出物に添加し、希釈溶解した。次いで、粉末状の活性炭146重量部を添加し、60℃、6時間攪拌した後、活性炭をろ過して、無色透明な水溶液1434重量部を得た。この水溶液を減圧蒸留器に仕込み、130℃、50Torrで水を留出した後、190℃、9Torrで蒸留し、白色のイソソルビド734重量部を得た。このイソソルビドのアルカリ金属含有量は1.1ppmであった。
[参考例2] アルカリ金属濃度の異なるイソソルビドの調整
参考例1で得られたイソソルビドを再結晶(再結晶溶媒:メタノール)精製した。この再結晶イソソルビドのアルカリ金属含有量は0.2ppmであった。
更に再結晶後のイソソルビドを190℃、9Torrで再び蒸留精製を行った。この蒸留精製イソソルビドのアルカリ金属含有量は0ppmであった。
一方、ロケット社製イソソルビド(POLYSORB―P)のアルカリ金属含有量を測定したところ、4.6ppmであった。
[参考例3] ジフェニルカーボネートの製造
撹拌翼、温度計、コンデンサー及びガス吹込管を設けた反応槽にイオン交換水330.8部、48.6%の苛性ソーダ水溶液106.0部及びフェノール(試薬特級)118.1部を仕込んでナトリウムフェノラート水溶液を調整し、内温を20℃に水浴で冷却した。反応槽に撹拌下64.16部のホスゲンガスを40分かけて吹込んだ。この間反応槽を水浴で冷却して内温を略30℃に保持した。ホスゲンガス吹込み終了後、室温で3時間撹拌を続け反応を終了した。生成したジフェニルカーボネートを濾取し、400部のイオン交換水で5回洗浄した後、50℃で10時間減圧乾燥した。融点80〜81℃のジフェニルカーボネート127.7部(収率95%フェノール基準)を得た。このジフェニルカーボネートのアルカリ金属含有量を測定したところ0ppm(検出限界以下)であった。
以下のポリカーボネート樹脂の製造例4〜6においては、参考例1、2で得られたイソソルビドおよび参考例3で得られたジフェニルカーボネートを用いてポリマーを合成した。
[製造例4] ポリカーボネート樹脂の製造
アルカリ金属(ナトリウム)含有量が0ppmのイソソルビド(以下「ISS−1」と称する)1608重量部(11モル)と同含有量が0ppmのジフェニルカーボネート(以下「DPC」と称する)2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下「TMAH」と称する)を0.31重量部(DPC成分1モルに対して3×10−4モル)、および水酸化ナトリウム(以下「NaOH」と称する)を6.6×10−4重量部(DPC成分1モルに対して1.5×10−6モル)仕込み、更に安定剤としてビス(2,6ージーtertーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(以下「P−1」と称する)をDPCに対して500ppm添加して窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
この溶融溶液中の、アルカリ金属の濃度及び含窒素塩基性化合物/アルカリ金属化合物の割合を仕込み量から計算すると、アルカリ金属の濃度は0.1ppmであり、含窒素塩基性化合物/アルカリ金属化合物の割合は828/1である。
仕込み成分が完全に溶融した後、撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温した後、20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に260℃まで昇温し、最終的に260℃、6.66×10−5MPaで1時間反応せしめた。その結果、比粘度が0.41のポリマーが得られた。このポリマーの250℃,600sec−1における溶融粘度は2.59×10Pa・s、ガラス転移温度は167℃、5%重量減少温度は357℃、溶液b値は3.7であった。
[炭素−炭素二重結合成分の割合の測定]
製造例4で得られたポリマーのHNMR(重溶媒:CDCl)測定結果を図1に示した。図1中イソソルビドのHに帰属されるピーク(ケミカルシフト4.9ppm付近)の積分強度を1とした時の炭素−炭素二重結合成分に帰属されるピーク(ケミカルシフト6.5〜6.7ppm)の積分強度は0.0015であった。これらのピークはいずれもプロトン1つ分に相当するので、炭素−炭素二重結合成分の割合は、
0.0015/(1+0.0015)×100=0.15(%)と算出される。
[製造例5] ポリカーボネート樹脂の製造
「ISS−1」の代わりにアルカリ金属(ナトリウム)含有量が0.2ppmのイソソルビドを用い、重合触媒としてTMAHを0.11重量部(DPC成分1モルに対して1.0×10−4モル)、およびNaOHを1.1×10−4重量部(DPC成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込み、安定剤P−1をDPCに対して1000ppm添加した以外は製造例1と同様に重合させ比粘度0.36のポリマーを得た。このポリマーの250℃,600sec−1における溶融粘度は1.91×10Pa・s、ガラス転移温度は165℃、5%重量減少温度は362℃、溶液b値は2.9、炭素―炭素二重結合成分の割合は0.11%であった。
[製造例6] ポリカーボネート樹脂の製造
ISS−1の代わりにアルカリ金属(ナトリウム)含有量が4.6ppmのイソソルビドを用い、重合触媒としてTMAHを0.21重量部(DPC成分1モルに対して2.0×10−4モル)のみを仕込み、安定剤P−1を添加しなかった以外は製造例1と同様に重合させ比粘度0.23のポリマーを得た。このポリマーの250℃,600sec−1における溶融粘度は0.66×10Pa・s、ガラス転移温度は158℃、5%重量減少温度は354℃、溶液b値は16.3、炭素―炭素二重結合成分の割合は0.74%であった。
[実施例1〜4、比較例1]
表1記載の樹脂組成物を以下の要領で作成した。表1の割合の各成分を計量して、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ポリカーボネート樹脂に添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)テクノベル社製KZW15−25MG)を使用した。押出条件は吐出量14kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで250℃ とした。得られたペレットを100℃で12時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1に示した。
また、表1に記載の使用した原材料等は以下の通りである。
(A成分)
A−1:製造例4にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
A−2:製造例5にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
A−3:製造例6にて製造したポリカーボネート樹脂ペレット
(B成分)
B−1:二酸化チタン(石原産業(株)製タイペークPC−3(商品名)、該二酸化チタンは、塩素法で製造されたルチル型結晶であり、熱重量装置(TGA)による23℃〜100℃における重量減少を(a)重量%、および23℃〜300℃における重量減少を(b)重量%としたときの(b)−(a)が0.57、かつ蛍光X線測定におけるAl元素/Ti元素の重量割合比が0.014、およびSi元素/Ti元素の重量割合比が0.018の二酸化チタン顔料である)
尚、蛍光X線測定における各元素の重量割合の算出は、(株)堀場製作所製MESA−500型を用いて、基礎パラメータ法により行った。かかる算出方法は、他の二酸化チタン顔料において同じである。
B−2:二酸化チタン(レジノカラー工業(株)製 ホワイトDCF−T−17007、該二酸化チタンは、塩素法で製造されたルチル型結晶であり、熱重量装置(TGA)による23℃〜100℃における重量減少を(a)重量%および23℃〜300℃における重量減少を(b)重量%としたときの(b)−(a)が0.28、かつ蛍光X線測定におけるAl元素/Ti元素の重量割合比が0.008、およびSi元素/Ti元素の重量割合比が0.009の二酸化チタン顔料である)
(その他の成分)
HP:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製:Irganox1076)
CE:環状イミノエステル系紫外線吸収剤(竹本油脂(株)製:CEi−P)
PSR:クマリン系蛍光増白剤(ハッコールケミカル(株)製:ハッコールPSR−B(商品名))
Figure 0005635228
本発明のポリカーボネート樹脂のHNMRを測定した積分値0〜8ppmの図である。 図1における積分値6〜7ppmのピークの拡大図である。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であって、ポリマー末端に下記式(2)および下記式(3)で表される炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合の合計量が上記カーボネート構成単位に対して0.3%以下であるポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、二酸化チタン顔料(B成分)0.1〜80重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0005635228
    Figure 0005635228
    Figure 0005635228
  2. 上記B成分は、アルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理されている二酸化チタン顔料である請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 上記B成分は、(i)その熱重量解析(TGA)による23℃〜100℃における重量減少を(a)重量%、および23℃〜300℃における重量減少を(b)重量%としたとき、0.05≦(b)−(a)≦0.6を満たし、(ii)その蛍光X線測定におけるTi元素、Al元素、およびSi元素に由来する重量割合をそれぞれ(c)重量%、(d)重量%および(e)重量%としたとき、0.001≦(d)/(c)≦0.01を満たし、かつ0.001≦(e)/(c)≦0.02を満たす二酸化チタン顔料(B成分)である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物から形成された光反射材。
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