JP2010179753A - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】後面衝突時の装置を小さくでき、応答性がよい、後突低減機能を備えた乗物用シートを提供する。
【解決手段】乗物用シートSは、独立して作動可能な回動部材30と、衝撃エネルギーを吸収するロータリーダンパ50を備えている。ロータリーダンパ50は、サイドフレーム15に対して所定の衝撃荷重により、当該荷重によるエネルギーを吸収しつつサイドフレーム15を後方に傾斜させるものであり、回動部材30は、乗員の身体を支持する受圧部材20と連結され、所定の衝撃荷重によって、受圧部材20をシートバックフレーム1の後方側へ沈み込ませる。
【選択図】図14

Description

本発明は、乗物用シートに係り、特に後面衝突時における衝撃の低減を図った乗物用シートに関する。
一般に、自動車などの乗物用シートの後部が追突されたり、後退走行時に大きく衝突したりするなど、いわゆる後面衝突の際には、着座している乗員の頭部が慣性力によって急激に後傾し、頸部が衝撃を受ける虞がある。
そのため、従来から自動車などの乗物用シートには、後面衝突時による衝撃から乗員の頭部や頚部を保護し、頸部への衝撃を軽減するために、シートバック上方に乗員の頭部を後方から受けるヘッドレストを設けている。
しかし、ヘッドレストを設けているだけでは、身体への衝撃を軽減できないだけでなく、後面衝突時に乗員の頭部とヘッドレストとの間の隙間を速やかに減少させないと、頸部へ加わる衝撃を十分に軽減できない場合がある。
このような問題を解消するために、後面衝突時に乗員の後方への移動荷重によってヘッドレストを前方に可動させ、乗員の頭部を支持して頸部への衝撃を軽減するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、シートバックに対して後向きに所定の大きさ以上の荷重が加えられたときに当該荷重によるエネルギーを吸収しつつシートバックを後方に傾斜させるロータリーダンパを備えた技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−341402号公報 特開2008−201215号公報
特許文献1に開示された技術は、後面衝突時に、乗員の胸部後方への移動を受圧部材で受け、この受圧部材の後方への移動に連動してヘッドレストを前方に移動させるものである。このような技術においては、ヘッドレストと連動させるため、別途ヘッドレストの移動機構を設ける必要があり、機構が複雑でコスト高になるだけでなく、シートバックフレームにヘッドレストを動かすための可動部分が必要であるため、剛性が弱くなるのを防ぐ必要があり、通常より剛性を高める必要が生じてしまう。
また、特許文献2に開示された技術は、シートバック本体に対して後向きに所定の大きさ以上の荷重が加えられたときに当該荷重によるエネルギーを吸収しつつシートバック本体を後方に傾斜させるので、後突などによって乗員からシートバック本体に対して所定の大きさ以上の荷重が加えられたときに、そのエネルギーが吸収されつつシートバック本体が全体として後方に傾斜する。従って、従来の場合と比較して、効率良く後突時のエネルギーを吸収し、衝撃を緩和することができる。よって、乗員の頸部への衝撃を低減し、より安全に乗員を保護することができる、という効果を奏するものである。
しかし、一つの衝撃吸収装置、例えばシートバック単体で移動させて、エネルギー吸収を行なおうとすると、シートバックの移動量を大きくする必要があり、装置を大型化する必要がある。
そこで、移動量を小さくして、応答性がよく、確実に後突による衝撃の低減機能を発動でき、より高い安全性を実現できる、より効果的な後突衝撃軽減シートを実現する技術が望まれていた。
本発明の目的は、後面衝突時の装置を小さくでき、応答性がよい、後突による衝撃の低減機能を備えた乗物用シートを提供することにある。
前記課題は、請求項1に係る乗物用シートによれば、独立して作動可能な頸部衝撃低減装置と、衝撃エネルギーを吸収する緩衝装置と、を備え、前記頸部衝撃低減装置と前記緩衝装置は、所定の衝撃荷重により作動すること、により解決される。
上記のように、独立して作動可能な頸部衝撃低減装置と緩衝装置を備えているので、頸部衝撃低減装置の作動量が大きくなるのを抑制でき、乗員への違和感を抑制できる。しかも、頸部衝撃低減装置と緩衝装置によって、頸部衝撃低減装置が可動し、乗員の頭部を支持して頸部への衝撃を軽減することができ、さらに、緩衝装置によってシートバックを後傾したり、乗物用シートそのものが後方へスライドしながら衝撃エネルギーを吸収させることができる。
また、請求項2のように、前記頸部衝撃低減装置は、乗員の身体を支持する受圧部材と連結され、所定の衝撃荷重によって、前記受圧部材をシートバックフレーム後方側へ沈み込ませるようにした衝撃低減部材であり、前記緩衝装置は、前記シートバックフレームのサイド部に対して所定の衝撃荷重により、当該荷重によるエネルギーを吸収しつつ前記サイド部を後方に傾斜させる緩衝連結部であると好適である。
衝撃低減部材は、所定の衝撃荷重によって受圧部材をシートバックフレーム後方側へ沈み込ませ、緩衝連結部はシートバックが傾倒して衝撃エネルギーを吸収する、というように、独立して作動するので、単体で使用するときよりも各装置の作動量を小さくすることができ、応答性がよくなる。
また、請求項3のように、前記頸部衝撃低減装置と前記緩衝装置は、異なる衝撃荷重で作動する閾値を有すると好適である。
このように、頸部衝撃低減装置と緩衝装置が作動する荷重の閾値を異ならせると、衝突荷重の大きさによって、いずれか一つ、例えば頸部衝撃低減装置だけを作動させたり、同時に頸部衝撃低減装置と緩衝装置を作動させたりすることが可能になる。
さらに、請求項4のように、前記頸部衝撃低減装置と前記緩衝装置は、作動開始時期が異なるように設定されていると、好適である。
このようにすると、作動開始時期を乗員への違和感を抑制しやすい作動タイミングに設定することが可能となるので、頸部衝撃低減装置と緩衝装置が同時に作動することによる違和感を一層低減できる。
なお、作動開始時期が異なる頸部衝撃低減装置と緩衝装置の例としては、各々が異なる衝撃荷重で作動するように設定されており衝撃荷重の大きさによって作動開始時期が異なるものの組合せ等を含むものである。
さらには、請求項5のように、前記所定の衝撃荷重が生じたときに、前記頸部衝撃低減装置の作動が、前記緩衝装置の作動より先に行なわれると、より好適である。
このように、所定の衝撃荷重が生じたときには、頸部衝撃低減装置としての衝撃低減部材が先に作動するので、先に身体を大きく沈み込ませ、この後で、緩衝装置としての緩衝連結部が作動して、衝撃エネルギーを吸収して、衝撃を低減させる。つまり、先に衝撃低減部材が可動するので、乗員をシートバック後方へ沈み込ませ、その後で、シートバックが全体として後方に傾斜する。このため乗員の後方への移動を確実に且つスムーズに行なえるだけでなく、身体が沈み込んでヘッドレストが近づくようになり、次に、緩衝装置としての緩衝連結部が作動して、衝撃エネルギーを吸収しつつシートバックが傾倒するので、身体への衝撃の負荷を軽減することが可能となる。
請求項1の乗物用シートによれば、頸部衝撃低減装置の作動量が大きくなるのを抑制でき、乗員への違和感を抑制できる。しかも、頸部衝撃低減装置と緩衝装置によって、頸部衝撃低減装置が可動し、体がシートに大きく沈み込むことで衝撃を軽減することができ、さらに、緩衝装置によってシートバックを後傾したり、乗物用シートそのものが後方へスライドしながら衝撃エネルギーを吸収させることができる。
請求項2の乗物用シートによれば、単体で使用するときよりも各装置の作動量を小さくすることができ、応答性がよくなる。
請求項3の乗物用シートによれば、衝突荷重の大きさによって、いずれか一つ、例えば頸部衝撃低減装置だけを作動させたり、同時に頸部衝撃低減装置と緩衝装置を作動させたりすることが可能になる。
請求項4の乗物用シートによれば、作動開始時期を乗員への違和感を抑制しやすい作動タイミングに設定することが可能となるので、頸部衝撃低減装置と緩衝装置が同時に作動することによる違和感を一層低減できる。
請求項5の乗物用シートによれば、乗員の後方への移動を確実に且つスムーズに行なえるだけでなく、身体が沈み込んでヘッドレストが近づくようになり、次に、緩衝装置としての緩衝連結部が作動して、衝撃エネルギーを吸収しつつシートバックが傾倒するので、身体への衝撃の負荷を軽減することが可能となる。
シートの概略斜視図である。 シートフレームの概略斜視図である。 衝撃低減部材の可動前のシートバックフレームの概略断面説明図である。 衝撃低減部材の可動後のシートバックフレームの概略断面説明図である。 シートバックフレームの背面からの概略説明図である。 衝撃低減部材と付勢手段との関係を示す拡大説明図である。 衝撃低減部材と付勢手段との分解説明図である。 衝撃低減部材の説明図である。 後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段の状態を示す説明図である。 後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段の状態を示す説明図である。 ロータリーダンパを示す斜視図である。 衝撃低減部材の可動前のシートバックフレームの概略側面図である。 衝撃低減部材の可動後のシートバックフレームの概略側面図である。 ロータリーダンパの作動後のシートバックフレームの概略側面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。また、本明細書において、乗物とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物、地上以外を移動する航空機や船舶など、シートを装着できる移動用のものをいうものとする。また通常の着座荷重とは、着座するときに生じる着座衝撃、乗物の急発進によって生じる加速時の荷重などを含むものである。また後面衝突時の荷重とは、後面衝突によって生じる大きな荷重であり、後方側からの乗物による大きな追突、後退走行時における大きな衝突などを指すものであり、通常の着座時に生じる荷重と同様な荷重領域のものは含まないものである。
図1乃至図14は本発明に係る実施の形態を示し、図1はシートの概略斜視図、図2はシートフレームの概略斜視図、図3は衝撃低減部材の可動前のシートバックフレームの概略断面説明図、図4は衝撃低減部材の可動後のシートバックフレームの概略断面説明図、図5はシートバックフレームの背面からの概略説明図、図6は衝撃低減部材と付勢手段との関係を示す拡大説明図、図7は衝撃低減部材と付勢手段との分解説明図、図8は衝撃低減部材の説明図、図9及び図10は後面衝突前後での衝撃低減部材と付勢手段の状態を示す説明図、図11はロータリーダンパを示す斜視図、図12及び図13は衝撃低減部材の可動前後のシートバックフレームの概略側面図、図14はロータリーダンパの作動後のシートバックフレームの概略側面図である。
本実施の形態に係る乗物用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
乗物用シートSのシートフレームFは、図2で示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、着座部S2を構成する着座フレーム2から構成されている。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
シートバックS1は、シートバックフレーム1に、上述のようにクッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。本実施の形態において、シートバックフレーム1は、図2で示すように、略矩形状の枠体となっており、サイド部とアッパー部とロアー部を備えている。
サイド部は、シートバック幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、上下方向に延在する2本のサイドフレーム15を有している。そして、サイドフレーム15の上端部側を連結する上部フレーム16が、サイド部から上方に延出し、アッパー部を構成している。
また、シートバックフレーム1のロアー部は、サイドフレーム15の下端部側を下部フレーム17で連結して形成されている。下部フレーム17は、サイドフレーム15の下側に連結され下方に延長した延長部17aと、両側を連結する中間部17bを有しており、延長部17aは、着座フレーム2との関係で、支障のない範囲で延長されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
本実施形態のサイドフレーム15は、シートバックフレーム1の側面を構成する延伸部材であり、図6で示すように、平板状の側板15aと、この側板15aの前端部(乗物前方側に位置する端部)からU字型に内側に折り返した前縁部15bと、後端部からL字型に内側へ屈曲した後縁部15cとを有しており、乗物前後方向に配置された側板15aの両端部(前縁部15bと後縁部15c)が、シートバックフレーム1(即ちシート)の内側方向へ屈曲した断面略コ字状をしたものとなっている。
本実施形態の前縁部15bには、図3、図6、図7で示すように、後縁部15c方向へ張り出した突起部15dが形成されており、この突起部15dには、ばねを係止するための係止部としての係止孔34が形成されている。
また、前縁部15bの突起部15dから付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置には、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
そして、下部フレーム17及びサイドフレーム15の間には緩衝装置が設けられており、より具体的には、図2に示すように、これらサイドフレーム15及び下部フレーム17を連結する緩衝装置(緩衝連結部)としてのロータリーダンパ50が配設されている。
このロータリーダンパ50は、図11に示すように、直線状に連結された2つのダンパ部材50a,50bを有している。これらダンパ部材50a,50bは、回転軸Jを中心とする周方向に沿って互いに逆向きに所定の大きさ以上のモーメント荷重(本実施の形態においては、1500N・m以上の荷重)を受けたときに、当該荷重を吸収しつつ相対的に5〜20°回動するようになっている。
そして、図2に示すように、ダンパ部材50aはサイドフレーム15に、ダンパ部材50bは下部フレーム17に、それぞれ溶接ナット(図示せず)及びボルトBで固定されている。ここで、溶接ナットの固定手法としては、電気抵抗溶接を用いることができ、特にプロジェクション溶接を用いることが好ましい。なお、以上のようなロータリーダンパ50としては、従来より公知のものを用いることができる。
上記構成からなる緩衝装置(緩衝連結部)としてのロータリーダンパ50は、例えば、乗物が後突し、所定の衝撃荷重(例えば、1500N・m以上のモーメント荷重)が加えられたときは、サイドフレーム15からロータリーダンパ50のダンパ部材50aへ当該荷重が伝わる。
このとき、ダンパ部材50aが当該荷重による衝撃エネルギーを吸収しつつ、ダンパ部材50bに対して相対的に回動することにより、シートバックフレーム1(シートバックS1)を後方に5〜20°傾斜させる。これにより、後突などによって乗員からシートバックS1に対して1500N・m以上の荷重が加えられたときに、その衝撃エネルギーを吸収しつつシートバックS1が全体として後方に傾斜し、乗員の頸部への衝撃が低減されることになる。
図2で示すように、上部フレーム16は、略U字状の部材であり、上部フレーム16の側面部16aは、サイドフレーム15の側板15aと一部が重なるように配設され、この重なり部分においてサイドフレーム15に固着接合される。
また、アッパー部を構成する上部フレーム16には、ピラー支持部18が配設され、上部フレーム16の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。上記ピラー支持部18には、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラー19(図1参照)がガイドロック(不図示)を介して取り付けられて、ヘッドレストS3が取り付けられるようになっている。
また、アッパー部を構成する上部フレーム16の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材(不図示)の外周部にパッド材3aを設け、パッド材3aの外周に表皮材3bを被覆して構成している。上部フレーム16には、ピラー支持部18が配設されている。このピラー支持部18には、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラー19(図1参照)がガイドロック(不図示)を介して取り付けられて、ヘッドレストS3が取り付けられるようになっている。
シートバックフレーム1の一部を構成するサイド部としてのサイドフレーム15は、前述のように、上下方向に所定の長さで構成されており、左右方向に所定間隔を有して対向して配設されている。そして、シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム15の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える姿勢保持部材としての受圧部材20が配設されている。
本実施形態の受圧部材20は、ヘッドレストS3と連携されずに構成されるもので、樹脂を板状の略矩形状に形成した部材であり、クッションパッド1aと接する側の表面には滑らかな凹凸が形成されている。受圧部材20の裏側の上部側と下部側には、図5で示されるように、ワイヤ21,22を係止するための爪部24,24,・・・が形成されている。
本実施形態の受圧部材20は、連結部材に支持されている。すなわち、連結部材としての2本のワイヤ21,22が両側のサイドフレーム15間に架設され、受圧部材20の裏側の上部側と下部側で、所定位置に形成された爪部24によって受圧部材20と係合し、受圧部材20をクッションパッド1aの背面で、支持している。ワイヤ21,22は、ばね性を有するスチール線材から形成され、図5で示されるように、両側のサイドフレーム15の途中に、屈曲部である凹凸部21a,22aが形成されている。
特に本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、下方に位置するワイヤ22は、凹凸部22aが形成されていることによって、所定以上の荷重(後述する衝撃低減部材の可動又は回動の荷重より大きな荷重)によって大きく変形し、受圧部材20が、より多くの移動量をもって後方へ動くように構成されている。
図3,4及び図6で示すように、本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上部側に係止されたワイヤ21の両端部は、両側のサイドフレーム15(詳しく言うならば、サイドフレーム15に取り付けられた上部フレーム16としてのパイプ部材)に設けられた取付けフック37に掛着されている。一方、下部側に係止されたワイヤ22の両端部は、左右のサイドフレーム15に装着された回動部材30の係止部31に掛着されている。
頸部衝撃低減装置を構成する衝撃低減部材としての回動部材30は、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときに、連結部材(ワイヤ22)を介して伝わる衝撃荷重により乗物後方に可動、すなわち回動するものであり、この回動部材30の乗物後方への移動により受圧部材20を乗物後方へ大きく移動させることができ、乗員にかかる衝撃を低減することができる。
本実施形態の回動部材30は、図6乃至図8で示すように、両側のサイドフレーム15の側板15aの内側に軸部32(後述)を介して回動自在に軸支され、連結部材としての下方位置のワイヤ22を係止すると共に、ワイヤ22を付勢する付勢手段としての引張りコイルばね35と連結されるものである。つまり、回動部材30は、付勢手段と連結しており、連結部材を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢するように構成されている。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
軸部32は、図7で示すように、軸部材32aと、回動部材30に設けられた軸孔32bと、サイドフレーム15の側板15aに設けられた孔部32cと、嵌め合わせ部材32dとから構成されており、軸部材32aを軸孔32bに挿通して孔部32cに嵌着し、軸部材32aの先端側から嵌め合わせ部材32dを嵌合して、回動部材30を回転自在に軸支している。
このように回動部材30は、サイドフレーム15の側板15aに沿って設けられており、側板15aと、前縁部15bと、後縁部15cとで囲まれた断面略コ字状のサイドフレーム15の内側に設けられているので、回動部材30がサイドフレーム15からシート内側方向へ突出する量を抑制でき、コンパクトな配置が可能となり、乗員との干渉を抑制できる。
本実施形態の連結部材(ワイヤ22)の係止部31は、連結部材であるワイヤ22の折れ曲がった鈎状端部を取り付けるのを容易とするために、長孔から形成されている。この係止部31の形成部30cは、回動部材30を構成するベース部30aの外周側に連続して第1立上り部30bをベース部30aから立ち上がるように形成し、この第1立上り部30bから外周方向に延出して形成されている。第1立上り部30bは、軸部32を中心とした場合に、回動阻止部39のストッパ部39a,39b間の所定間隔の間の位置から概略90度離れた位置に形成している。
本実施形態の付勢手段の係止部(係止孔33)は、付勢手段である引張りコイルばね35の端部を係止するものであり、上記係止部31が形成される形成部30cの、係止部31より乗物前方側に形成されている。すなわち、図6に示すように、係止孔33は軸部32と係止部31のワイヤ22が掛着される位置を結ぶ線Yより乗物前方の位置に形成されている。
本実施形態における付勢手段は、ばね線材をコイリング成形した引張りコイルばね35であり、図6で示すように、回動部材30の係止孔33とサイドフレーム15の突起部15dの係止孔34に係止され、これによって、回動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ付勢するものである。また、引張りコイルばね35の両端部には、それぞれ係止するためのフック35aが半円状に成形されている。
本実施形態の回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、回動部材30が回動したときに、回動を阻止するためのものであり、図8に示すように、軸部32を中心に回動した時に側板15aと摺接するベース部30aの外周側に連続してベース部30aより立ち上がった第2立上り部30dから更に外周方向に延出した延出部が2箇所、所定間隔で(凹部を介して)形成されている。
この延出部がストッパ部39a,39bとなっており、回動部材30の回動の規制を行うものである。ストッパ部39a,39b間の所定間隔は、回動部材30の回動設定範囲の上限と下限位置で回動を規制するために、常時にはストッパ部39aがサイドフレーム15の後縁部15cに当接して、回動部材30の回動を阻止しているが、後面衝突によって回動部材30が回動したときに、ストッパ部39bが後縁部15cに当接して回動が止まるように設定されている。つまり、回動部材30の回動設定範囲の上限と下限位置で回動を規制するために、回動前の初期位置を設定するストッパ部39aと、回動後の停止位置を設定するストッパ部39bとが、所定の間隔をおいて形成されている。
この回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)は、後述する付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
上述した回動部材30は、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、両側のそれぞれの回動部材30の係止部31に、ワイヤ22の両端部である鈎部22cが掛着されており、各々の回動部材30が個別に作動するように構成されている。また、回動部材30は、ヘッドレストS3と関係せずに、独立して作動するように構成されている。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ22を介して、回動部材30を後方回動させる張力が生じるが、一方、引張りコイルばね35が回動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ回動させるように付勢している。ここで、回動部材30に連結されている引張りコイルばね35は、通常の着座時において生じる荷重領域ではたわまない荷重特性を有しているため、回動部材30は常に初期位置側のストッパ部39aがサイドフレーム15の後縁側15cに当接し、初期位置に制止されている。つまり、回動部材30を回動させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成している。
後面衝突時の回動部材30について、図3は衝撃低減部材の回動前、図4は衝撃低減部材の回動後を示し、図9において鎖線は後面衝突前、実線は後面衝突後の状態を示しており、図10において図10(a)は後面衝突前、図10(b)は後面衝突後の状態を示している。
また、図12乃至図14は側面図であり、図12は後面衝突前、図13は後面衝突後の衝撃低減部材の可動後を示し、図14は緩衝装置(緩衝連結部)であるロータリーダンパの作動後を示すものである。
後面衝突時においては、図9及び図10で示すように、後方から衝撃を受けて慣性で乗員が後方に移動しようとすると、この荷重が受圧部材20(図9及び図10では不図示)と、受圧部材20に係止されたワイヤ22を介して、回動部材30を後方(図9及び図10では右側)に回動させる方向に張力がかかる。このときの張力は、回動部材30を初期位置に留めている引張りコイルばね35を伸長させ、回動部材30を後方に回動させるのに十分な荷重となる。
回動部材30が回動を始める力の閾値は、通常の着座荷重よりも大きな値に設定されている。
ここで、回動部材30が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
前記のように、回動部材30を後方に回動させることで、係止部31に掛着されているワイヤ22が後方に移動し、それと共にワイヤ22に係止されている受圧部材20と、受圧部材20に支持されているクッションパッド1aが後方に移動し、乗員をシートバックS1内に沈み込ませることができる。
そして、本実施形態では、図14で示すように、衝撃荷重で、緩衝連結部であるロータリーダンパ50が作動して衝撃エネルギーを吸収しながらシートバックS1が傾倒するものであり、上記回動部材30とは、独立して作動する。そして、ロータリーダンパ50は衝撃エネルギーを吸収しつつサイドフレーム15を後方に傾斜させる。
このとき、回動部材30の可動とロータリーダンパ50が作動する荷重の閾値を異なるように設定する。例えば、最初に回動部材30が可動し、所定の衝撃荷重以上になった場合に、ロータリーダンパ50が作動するように設定する。
このように荷重設定を行うと、図12乃至図14で示すように、先に回動部材30が可動するので、乗員をシートバックS1の後方へ沈み込ませ、その後で、シートバックS1が全体として後方に傾斜するようにできる。このため乗員の後方への移動を確実に且つスムーズに行なえるだけでなく、身体が沈み込んでヘッドレストS3が近づくようになり、次に、ロータリーダンパ50が作動して、衝撃エネルギーを吸収しつつシートバックS3が傾倒するので、身体への衝撃の負荷を軽減することが可能となる。
なお、上記実施形態では、先に回動部材30を可動させるようにしているが、各々が異なる衝撃荷重で作動するように設定(異なる衝撃荷重で作動する閾値)されており、衝撃荷重の大きさによって作動開始時期が異なるものの組合せ等を含むように構成できる。例えば、一定の衝撃荷重になるまでは、回動部材30とロータリーダンパ50のいずれか一方を作動するように設定し、一定の衝撃荷重を超えた場合には、他方を作動させたり、所定の衝撃荷重で、回動部材30とロータリーダンパ50を両方を同時に作動させたり、これらを時間的にずらす(作動開始時期が異なるように設定)こと等の組み合わせを行なうことが可能である。このように、作動開始時期を乗員への違和感を抑制しやすい作動タイミングに設定することが可能となるので、頸部衝撃低減装置と緩衝装置が同時に作動することによる違和感を一層低減できる。
以下に、後面衝突時の回動部材30の回動特性について、図9及び図10を参照してさらに詳しく説明する。なお、回動部材30は、前述したヘッドレストS3とは、個別に作動するものである。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は回動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34に係止されている。
つまり、初期状態において、引張りコイルばね35は距離xだけ伸びており、これにより回動部材30は、回転モーメントMで、図10(a)で示す矢印の回動方向に付勢されており、この回動部材30と連結された連結部材(ワイヤ22)が前方側に付勢されている。このとき、回動阻止部39のストッパ部39aが、サイドフレーム15の後縁部15cと当接して、引張りコイルばね35によって回動部材30がM1方向へ回動するのを阻止している。
後面衝突により、ワイヤ22に所定以上の張力が生じ、引張りコイルばね35に抗して回動部材30が回動を始めると、引張りコイルばね35が伸びて、回動部材30に設けた係止孔33は、軸部32の回動中心Oを中心に回動しつつ後方へ移動することになる。そして、図9で示すように、回動部材30は、回動阻止部39のストッパ部39bが、サイドフレーム15の後縁部15cと当接して、回動部材30の回動を阻止するまで回動する。これにより、図3で示す状態から図4で示す状態に、受圧部材20はシートフレーム1の後方へ大きく移動して、沈み込み量が大きくなる。
本実施形態では、回動部材30が回動して受圧部材20が移動するとき、引張りコイルばね35の上端部は、回動部材30の上方の係止孔34に固定されているため、係止孔33の移動方向と、引張りコイルばね35が伸長する方向が一致しない構成となっている。
すなわち、回動部材30の回動量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、回動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
つまり、引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32を回転中心とした円弧状の軌跡を描くのに対し、引張りコイルばね35の上端部を係止する係止孔34は、回動部材30の上方に固着接合されている固定端として形成されている。
このため、軸部32の回動中心Oと、引張りコイルばね35の両端が係止されている係止孔33,34が一直線状に並ぶときに引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)が最大となるが、この最大荷重点の直前域、すなわち、回動部材30側に取り付けられた係止孔33の描く軌跡が、引張りコイルばね35の他端部を係止している係止孔34と最も遠い位置となる回動量の近傍では、引張りコイルばね35を係止する係止孔33と係止孔34の間の距離の変化量が小さくなるために、回動角度に対する引張りコイルばね35の引張り荷重の変化量が微小となる領域が生じる。
本実施形態では、回動部材30がストッパ39bで制止される位置の後方回動量が、引張りコイルばね35の最大荷重点の直前になるように設定されている。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
ここで、付勢手段(引張りコイルばね35)と、連結部材(ワイヤ22)と、衝撃低減部材(回動部材30)と、荷重との関係についてさらに説明する。図10(a)(b)で示される記号は、
=F×a、M′=F′×a′
,M′回転モーメント
,F′後方への荷重
,F′ばねの引張り力
a,a′回動中心と付勢手段(ばね)の固定位置との距離であり、詳しくは付勢手段の両端を結ぶ第1仮想線L1と、この第1仮想線L1に平行で回動中心を通る第2仮想線L2との間の距離で、aは回動前の距離、a′は回動後の距離、
b,b′回動中心と連結部材(ワイヤ)との距離であり、衝撃低減部材と連結部材(ワイヤ)の連結部分を通る水平線と平行な第3仮想線L3と、この第3仮想線L3に平行で回動中心を通る第4仮想線L4との間の距離で、bは回動前の距離、b′は回動後の距離、
x,x′ばねの伸び、
′=F+Δx×k、ここでk:ばね定数、Δx=x′−xである。
本実施形態においては、通常の乗車時にも着座状態を良好に保持するために、ある程度反力を有する必要があり、通常着座時の回動部材30の保持荷重を一定にしたまま、衝突時の作動荷重を低くすることが好ましい。このため回動部材30が作動する時の荷重を低く設定することが好ましく、回動部材30を回動する力に対する反力、すなわち引っ張りコイルばね35が回動部材30を回動させるモーメントが、初期(通常の着座時)に最も高く、回動すると低くなるように設定される。
本実施形態では、図10に示すように、回動部材30が回動していけば回動していくほど引張りコイルばね35が回動中心Oに近づき、距離aが短くなるように構成されている。したがって、初期状態の回転モーメントM(F×a)が最も高く、回動する時(及び回動後)の回転モーメントM′(F′×a′)が回転モーメントMより低くなるような引張りコイルばね35を用いており、回動部材30を回動させる回転モーメントが、初期は高く、回動するにつれて徐々に低くなっている。
例えば、ばねの引張り力F′が2倍で、回動中心とばねの固定位置との距離a′が半分より少なくなっていれば、衝撃低減部材を回動させる力が弱くなっていることが理解できる。
このように、衝撃低減部材としての回動部材30は、初期状態の回転モーメントM(F×a)が最も高く、回動するにしたがって回転モーメントM′(F′×a′)が回転モーメントMより低くなる、すなわち、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が徐々に低下していくため、後面衝突時に回動部材30が回動を始めるとその後は動きやすくなる。
図10(a)(b)において、回動部材30と引張りコイルばね35と連結部材(ワイヤ22)との間で、静止状態において、つり合うためには、回転モーメント(M=F×a)、後方への荷重(F)、ばねの引張り力(F)、回動中心とばねの固定位置との距離(a)、回動中心と連結部材(ワイヤ22)との距離(b)とすると、式1で示されるように、F×b:乗員からの力(回動部材30を動かす力)とF×a:回転モーメント(留まる力)が均衡しているか、或いは、回転モーメントが大きい必要がある。なお、回転モーメントが大きい場合には、回動部材30はストッパ部39aで回動が阻止される。
×b≦F×a ・・・(式1)
一方、衝撃低減部材が動いた状態において、つり合うためには、式2で示されるように、F′×b′:乗員からの力(回動部材30を動かす力)とF′×a′:回転モーメント(留まる力)が均衡している或いは、乗員からの力が大きい必要がある。なお、乗員からの力が大きい場合で所定位置まで衝撃低減部材が動いた場合には、回動部材30はストッパ部39bで回動が阻止される。
′×b′≧F′×a′ ・・・(式2)
以上のように、回動部材30が回動を始めるときの張力の閾値は、通常の着座荷重では回動しない高い値に設定されている。一方、後面衝突時にワイヤ22を介して回動部材30に掛かる張力は衝撃エネルギーであるため、閾値に比して大きな値を有している。
また、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が、回動部材30が回動するにしたがって低下していく。
そのため、後面衝突により回動部材30が回動を始めるとストッパ39bで制止されるまで、途中で停止することなく回動することになり、確実に乗員をシートバックS1の内部に沈み込ませることができる。
回動部材30は、ワイヤ22を介して生じる張力に対し、上述したような回動特性を有しているために、後面衝突が生じた場合は確実に、且つ効率よく乗員をシートバックS1のクッションパッド1aに沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
前記実施形態では、緩衝装置として、ロータリーダンパを用いて、シートバックを傾倒させる例を示しているが、乗物用シートそのものをスライドして後方へ移動させるように構成してもよい。この場合には、乗物用シートのスライド装置に、所定の衝撃荷重によって、離脱するロック装置や、所定の衝撃荷重で後方移動を行なうリニアダンパなどを利用した緩衝装置を用いることができるものである。
前記実施形態では、衝撃低減部材をサイドフレームの両側に設けた例を示しているが、一方側のサイドフレームのみに設ける構成としてもよい。この場合には、衝撃低減部材が設けられていない側のサイドフレームには、連結部材(ワイヤ)を直接係止するように構成することができる。
また、本発明によれば、乗員がシートバックに沈み込む際に、ヘッドレストの前方への移動と連動しないため、後面衝突時の乗員の後方への移動エネルギーのロスが少なく、乗員をより深くシートクッションへ沈み込ませることができる。
なお、前記実施形態では、具体例として、自動車のフロントシートのシートバックS1について説明したが、これに限らず、後部座席のシートバックについても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。
S 乗物用シート
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 切り欠き部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,22a 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30 回動部材(衝撃低減部材)
30a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部
31 係止部
32 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33,34 係止孔
35 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39 回動阻止部
39a,39b ストッパ部
50 ロータリーダンパ
50a,50b ダンパ部材
B ボルト

Claims (5)

  1. 独立して作動可能な頸部衝撃低減装置と、衝撃エネルギーを吸収する緩衝装置と、を備え、前記頸部衝撃低減装置と前記緩衝装置は、所定の衝撃荷重により作動すること、を特徴とする乗物用シート。
  2. 前記頸部衝撃低減装置は、乗員の身体を支持する受圧部材と連結され、所定の衝撃荷重によって、前記受圧部材をシートバックフレーム後方側へ沈み込ませるようにした衝撃低減部材であり、
    前記緩衝装置は、前記シートバックフレームのサイド部に対して所定の衝撃荷重により、当該荷重によるエネルギーを吸収しつつ前記サイド部を後方に傾斜させる緩衝連結部であることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記頸部衝撃低減装置と前記緩衝装置は、異なる衝撃荷重で作動する閾値を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物用シート。
  4. 前記頸部衝撃低減装置と前記緩衝装置は、作動開始時期が異なるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
  5. 前記所定の衝撃荷重が生じたときに、前記頸部衝撃低減装置の作動が、前記緩衝装置の作動より先に行なわれることを特徴とすることを特徴とする請求項4記載の乗物用シート。
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