JP5627553B2 - 圧延機の動特性を考慮した板厚制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚板を圧延する圧延機の板厚制御方法に関する。
従来から、圧延装置を用いて厚鋼板を圧延する場合には、当該圧延装置に備えられた圧延機の一対のワークロールの間隙(以下、ロールギャップ量と呼ぶ)を調整して、圧延材の板幅方向端部の出側板厚を目標値に一致させる板厚制御が行われている。
圧延装置は板厚を制御するための板厚制御部を有しており、この板厚制御部では、自動板厚制御(AGC)として、フィードフォワードAGC、BISRA−AGC、及びモニタAGCや絶対値AGCが採用されている。
フィードフォワードAGCは、例えば、前パスや一つ前の制御周期での圧延機の出側板厚や板の変形抵抗を当該圧延機にフィードフォワードして適用する制御である。BISRA−AGCは、ゲージメータ式を前提とするものであり、荷重計測器で計測した圧延荷重をゲージメータ式に適用して圧延機直下の板厚を推定する制御である。モニタAGCは、出側板厚を実測し、その実測値(積分値)を圧延機へフィードバックする制御である。絶対値AGCは、例えば、板の先端部の圧延に着目した制御であって、通板前に予め決めた固定値の板厚を用いる制御である。上述のモニタAGCや絶対値AGCは、比例動作と積分動作を組み合わせたPI制御を採用している。
特許文献1には、次回圧延材に対しても、ゲージメータ式を用いる板厚制御に関する技術が開示されている。
特許文献1に開示の圧延機の板厚制御方法は、ロールギャップオフセット量とミル定数とを含むゲージメータ式を用いて圧延材の板厚を制御する際に、前回圧延時のロールギャップオフセット量とミル定数とを、同圧延時に測定した実測データに基づいて推定し、推定した前回圧延時のロールギャップオフセット量とミル定数とを、前回と次回の圧延条件を考慮して修正し、修正したロールギャップオフセット量とミル定数とを、次回圧延時の板厚制御に適用することを特徴とする技術である。
具体的には、ロールギャップオフセット量Sとミル定数Mを含むゲージメータ式を用いて圧延材の板厚を制御する際、前回(i番目)圧延時のロールギャップオフセット量S0iとミル定数Mとを、同圧延時に測定した実測データ(例えば、圧延中に測定した圧延材の長さ方向の複数点についての圧下位置及び圧延荷重Pと、圧延後に測定した同一複数点についての板厚)に基づいて推定する。その上で、ロールギャップオフセット量S0iとミル定数Mとを、前回と次回(i +1番目)の圧延条件の差を考慮して修正し、修正後のロールギャップオフセット量S0i+1とミル定数Mi+1とを、次回圧延時の板厚制御に適用する。
特開平8−155515号公報
通常、厚鋼板の圧延機は、マスーバネーダンパ系で構成されており、圧延中にワークロールのロール変形や、圧延機のハウジング変形が圧延時間の経過と共に発生、変化するといった動特性を有している。このような変形が発生した状態では、例えば、圧延機のハウジングと油圧シリンダの間に設けられたロードセルが計測した圧延荷重は、上記変形の影響を受けた誤差を含む値となる。
このように計測された圧延荷重が誤差を含むと、その誤差を含む圧延荷重をゲージメータ式に適用して圧延機直下の板厚を推定するBISRA−AGCは、正しい板厚値を推定できなくなるという問題がある。この問題を解決するためには、圧延荷重から圧延機の動特性に起因する誤差を排除する技術が必要となる。
しかし、特許文献1に記載の板厚制御方法は、圧延機の動特性を考慮していないため、計測された圧延荷重は、圧延機の動特性に起因する誤差を含んでしまう。この誤差を含んだ圧延荷重によって、ゲージメータ式を用いるBISRA−AGCは正確な板厚推定値を出力できなくなり、ひいては正確な板厚制御ができなくなるという問題がある。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、圧延機の動特性を考慮した上で、BISRA−AGCを実行するようにし、圧延材の板厚を目標値に確実に近づけることができる圧延機の板厚制御方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の板厚制御方法は、圧延材を圧延する圧延機のロールギャップを制御する板厚制御方法において、前記圧延機の動特性を考慮しつつゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’を算出し、算出された動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いて、ロールギャップの修正量ΔSを求め、得られたロールギャップの修正量ΔSを前記圧延機に適用するものであって、前記ゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’は、下式で算出されることを特徴とする。
但し、sは、ラプラス演算子であり、a〜a、b〜b、c〜cは、ハウジングのバネ定数Ky、ロールの曲げ変形のバネ定数Kb、ロールの偏平変形のバネ定数Kr、ハウジングの弾性変形に対する等価質量My、ロールの曲げ変形に対する等価質量Mb、ロールの偏平変形に対する等価質量Mr、ハウジングの弾性変形に対する粘性係数By、ロールの曲げ変形に対する粘性係数Bb、ロールの偏平変形に対する粘性係数Brを基に算出される係数である。
また、本発明にかかる圧延機の板厚制御方法の最も好ましい他の形態は、圧延材を圧延する圧延機のロールギャップを制御する板厚制御方法において、前記圧延機での圧延荷重に関する伝達関数Np(s)と、ギャップ変化量に関する伝達関数Ns(s)とからゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’を算出し、算出された動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いて、ロールギャップの修正量を求め、得られたロールギャップの修正量を前記圧延機に適用するものであって、前記ゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’は、「ΔP'=Np(s)・ΔP+Ns(s)・ΔS」で算出されることを特徴とする。
但し、Np(s)は、圧延荷重の変動値ΔPに関する伝達関数、Ns(s)は、ギャップ変化量ΔSの速度に関する伝達関数である。
本発明によれば、圧延機の動特性を考慮した上で、BISRA−AGCを実行するようにし、圧延材の板厚を目標値に確実に近づけることができる圧延機の板厚制御方法を提供することができる。
本発明の実施形態による圧延装置の構成を示す概略図である。 本発明の圧延機(粗圧延機乃至は仕上げ圧延機)の構成を示す概略図である。 従来通り計測した荷重をそのまま使用してゲージメータ板厚等を求めた場合において、BISRA−AGCを実行したときの結果を示しており、(a)は、ステップ応答波形のグラフを示す図であり、(b)は、その際の安定性を示すナイキスト線図である。 本発明の実施形態による動特性圧延荷重変動値ΔP’を使用してゲージメータ板厚等を求めた場合において、BISRA−AGCを実行したときの結果を示しており、(a)は、ステップ応答波形のグラフを示す図であり、(b)は、その際の安定性を示すナイキスト線図である。 本発明の実施形態による圧延機及び板厚制御装置の構成を示したブロック図である。 従来の圧延機における動特性モデルを示す図であり、(a)はロール変形のモデル図、(b)はハウジング変形のモデル図である。 圧延機におけるマス−バネ−ダンパ系のモデルを示す図である。
以下、図面を基に、本発明にかかる圧延機の板厚制御方法を説明する。
図1を参照して、厚鋼板等の圧延材を圧延する圧延装置1は、その上流側に圧延材2を加熱する加熱炉3を有し、加熱炉3の下流側には、圧延材2の粗圧延を行う粗圧延機4が備えられている。粗圧延機4の下流側には、仕上げ圧延を行う仕上げ圧延機5が備えられている。加熱炉3で加熱されたスラブは、粗圧延機4や仕上げ圧延機5で複数回(複数パス)圧延されて、製品の厚鋼板となる。
図2には、圧延装置1に備えられている仕上げ圧延機5(以下、圧延機5という)が示されている。圧延機5は、圧延材2を圧延する一対のワークロール6,6とそれをバックアップする一対のバックアップロール7,7とを有している。
さらに、圧延機5には、ワークロール6,6の間隙長(以下、ロールギャップ量Sと呼ぶ)を調整する油圧駆動の圧下装置が備えられている。圧下装置は、例えば油圧シリンダ8と、油圧シリンダ8を制御してワークロール6の圧下位置を調整する油圧圧下位置制御部9とを有している。
ワークロール6の両端を支持するロールチョック10には、圧延機5のフレーム11に支持された油圧シリンダ8の基端が接続され、この油圧シリンダ8を支持するフレーム11には圧延荷重Pを計測するロードセル12が設けられている。
また、ロールチョック10と圧延機5のフレーム11の間には、油圧シリンダ8に沿ってフレーム11からロールチョック10までの距離を測定するリニアゲージ13が設けられており、このリニアゲージ13で測定した距離から、ロールギャップ量S乃至はロールギャップ量の変化量ΔSが得られる。
さらに、圧延機5の出側には、圧延材2の出側板厚(出側エッジ厚)を計測するための板厚計14が設けられている。板厚計14としては、γ線板厚計などを採用することができる。
圧延機5には、ロードセル12が計測した圧延荷重Pと板厚計14が計測した出側板厚とを受けて、圧延材2の出側板厚が所定のものとなるように油圧圧下位置制御部9を制御する板厚制御部15が設けられている。この板厚制御部15はプロコンやPLCから構成されており、内部には、後述するAGC制御系やベンダ制御系などがプログラムの形で組み込まれている。
図2及び図5に示される如く、本実施形態における板厚制御部15は、BISRA−AGCを実行して油圧圧下位置制御部を制御している。
BISRA−AGCは、ゲージメータ式を用いたAGC(ゲージメータAGC)の一種であり、圧延機5の弾性や圧延材2の変形抵抗を考慮した上で、圧延機5の出側板厚を求めるものであって、例えば、ロードセル12が計測した圧延荷重Pを基にミル定数などを考慮して出側板厚を推定し、その値を基に圧延機5の制御を行うものである。
尚、図2及び図5においては、AGC制御系として、比例制御と積分制御を組み合わせたPI制御を採用するモニタAGCと及び絶対値AGCが示されているが、本実施形態においては実行されていないものとする。FF−AGCも示されているが、本実施形態による板厚制御部15においてFF−AGCも実行されていないものとする。
まず、図6を参照しつつ、本実施形態による圧延機5を従来の板厚制御方法によって制御した際に生じる問題点について、説明する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、圧延機5は、マス−バネ−ダンパ系としてモデル化することが可能である。すなわち、ワークロール、バックアップロール及びハウジングなどの質量(マス)と、圧延荷重Pが加えられたときのワークロール、バックアップロール及びハウジングなどの弾性変形(バネ)と、当該弾性変形量や圧延荷重変化などの緩衝(ダンパ)とを用いて、圧延機5を表現可能である。
圧延機5は、このようなマス−バネ−ダンパ系で構成されているため、圧延中にワークロールやバックアップロールのロール変形や、圧延機5のハウジング変形が圧延時間の経過と共に発生、変化するといった動特性を有している。
ロードセル12で計測された圧延荷重Pは、この圧延機5の動特性の影響を受けて誤差を含んでしまう。このような誤差を含んだ圧延荷重Pによっては、式(1)に示すゲージメータ式は、誤差を含んだ圧延荷重Pの変動量である圧延荷重変動値ΔPについては正確に成り立たなくなる。
このように、ゲージメータ式を満たさない圧延荷重変動値ΔPを用いると、ゲージメータ式を前提として動作するBISRA−AGCにも誤差が発生する。
また、ゲージメータ式に基づくゲージメータ板厚Δhgが、広く板圧延の制御で使用されている。しかし、ゲージメータ式を満たさない圧延荷重変動値ΔPを用いると、式(2)に示すように、ゲージメータ板厚Δhgは、真の板厚Δhとは一致しない。
ゲージメータ板厚Δhgは、平衡点近傍の微小変位に関する板厚であるが、静的なミル変形モデルから推定されるミル伸びεとロールギャップ量Sとから絶対板厚の推定値hgを式(3)にて推定する場合も、圧延機5の動特性の影響をしていないため、ゲージメータ板厚Δhgと同様に、推定値hgは真の板厚hと一致しない。
これに加えて、板圧延ではゲージメータ板厚Δhgや絶対板厚の推定値hgをフィードバックしてPI制御するゲージメータ板厚AGCや絶対値AGCなどが広く使用されている。しかし、ゲージメータ板厚Δhgも絶対板厚の推定値hgも、真の板厚hと一致していないので、それらAGCにも誤差が発生してしまう。
上述のような従来の板厚制御方法での問題点を解消すべく、圧延機5に動特性が存在する状態で、式(4)に示すようにゲージメータ式を満足させる動特性圧延荷重変動値ΔP’について説明する。
本実施形態による板厚制御部15は、式(4)に示すようにゲージメータ式を満足する動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いる。
この動特性圧延荷重変動値ΔP’は、式(5)に示すように、ΔP及びΔSの各項に伝達関数を有する式で与えられる。なお、式(5)の導出の詳細は、本明細書の最後にて説明する([式(5)の導出に関して]を参照)。
ただし、Kyはハウジングのバネ定数、Kbはロールの曲げ変形のバネ定数、Krはロールの偏平変形のバネ定数、Myはハウジングの弾性変形に対する等価質量、Mbはロールの曲げ変形に対する等価質量、Mrはロールの偏平変形に対する等価質量、Byはハウジングの弾性変形に対する粘性係数、Bbはロールの曲げ変形に対する粘性係数、Brはロールの偏平変形に対する粘性係数である。
式(5)に示す動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いることによって、板厚制御部15は、式(6)を前提としたBISRA−AGCを実行する。
また、ゲージメータ板厚Δhgについても、動特性圧延荷重変動値ΔP’を、圧延荷重変動値ΔPの代わりに使用することで、式(7)に示すように真の板厚Δhと一致するゲージメータ板厚Δhgを得ることができる。
これに加えて、絶対板厚の推定値hgについても同様に、P+ΔP’(Pは、ΔP’の平衡点)を圧延荷重Pの代わりに使用することで、真の板厚Δhと一致する絶対板厚の推定値hgを得ることができる。
図3及び図4を参照しつつ、このような動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いてゲージメータ板厚などを求め、BISRA−AGCを実行したときの制御結果について、説明する。
図3は、図6に示すモデル化されたマス−バネ−ダンパ系の動特性が存在するとし、従来どおり計測した荷重をそのまま使用してゲージメータ板厚等を求め、BISRA−AGCの制御ゲイン(チューニング率)αを0.75としてBISRA−AGCを実行したときの結果である。
図4は、式(5)の動特性圧延荷重変動値ΔP’を使用してゲージメータ板厚等を求め、BISRA−AGCの制御ゲインαを0.75としてBISRA−AGCを実行したときの結果である。
図3(a)では、遅れ時間1秒前後におけるステップ応答が大きくふらつきハンチング気味であるのに対して、図4(a)では、ハンチングせずにきれいに0に寄り付いている。
また、図3(b)では、安定余裕が非常に小さいのに対して、動特性圧延荷重変動値ΔP’を使用した図4(b)では安定余裕が大きく、非常に安定した制御が実現されている。
図3に示す状態から更にBISRA−AGCの制御ゲインαを高め、制御系の時定数を早めると、式(5)による動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いない場合、板厚制御は不安定化する。しかし、動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いた場合は、板厚制御は不安定化することなく、ステップ応答及び安定性は、図4に示す状態で安定する。このことは、図4(b)で示す「安定余裕」の範囲が、図3(b)で示す「安定余裕」の範囲より広いことからも明らかである。
また、式(5)によると、ラプラス演算子sの3次の動特性となっており、特にロールギャップ量ΔSの速度の項は分子のs次数も3次と高く、高次モードを省略しても支障はない。また、一般に質量は粘性やバネ定数に比べ非常に小さいため、例えばcは他のc〜cに比べ小さく、c=0と省略しても問題ない。
[変形例]
ところで、式(5)では、ハウジングのバネ定数Kyやハウジングの弾性変形に対する等価質量Myなどの物理パラメータから伝達関数の係数を与えているが、パラメータ同定の手法を用いて、各係数及び係数の次数を決定しても良い。
例えば、ギャップ変化量ΔSの速度と、圧延荷重変動値ΔPと、出側板厚Δhの時系列データが与えられた場合、式(4)から動特性圧延荷重変動値ΔP’を求める。ここで、式(5)から式(8)の関係が成立する。
よって、各時系列データに対して式(8)に基づいて最小自乗法などを用いることにより伝達関数の係数を同定することができる。
また、伝達関数の次数もAIC(赤池情報量基準)などを用いることにより決定することができる。このように、次数と係数を同定して得られた圧延荷重変動値ΔPに関する伝達関数Np(s)と、ギャップ変化量ΔSの速度に関する伝達関数Ns(s)とから、式(5)の代わりに、式(9)によって動特性圧延荷重変動値ΔP’を与えてもよい。
また、油圧圧下系の遅れ時間Tに対して、式(10)によって動特性圧延荷重変動値ΔP’を与えてもよい。
ここで、αは、BISRA−AGCのゲインを示す定数であり、1のとき100%、0のときは0%となる。
式(10)によれば、油圧圧下系の遅れ時間Tを補償し圧延制御の応答性を高めることができる。
なお、以上示した如く、圧延機の動特性を考慮しつつゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’を算出し、算出された動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いて、ロールギャップの修正量ΔSを求め、得られたロールギャップの修正量ΔSを圧延機に適用するといった本願発明に係る圧延機の板厚制御方法を用いることで、圧延材の板厚を目標値に確実に近づけることが可能となる。
[式(5)の導出に関して]
上述した発明で用いる式(5)の導出に関し、以下にその詳細を述べることにする。
式(5)は、図6のマス−バネ−ダンパ系で示される圧延機5の動特性を考慮して立式したものである。
図6、図7を参照しつつ、式(5)の導出について説明する。図7は、左右対称の圧延機5の右側又は左側におけるマス−バネ−ダンパ系のモデルを示しており、当該モデルは、ロールの質量M、ロールに加わる荷重P〜P、板厚h、及び、油圧シリンダX、上ロール重心位置X、圧延材上面の変位量X、圧延材下面の変位量X、下ロール重心位置Xで構築されている。このモデルを基に、式(5)を導出する。
まず、図7のモデルより、式(11)〜式(16)が成立する。まず、荷重Pは、式(11)のように表される。
次に、荷重P及び荷重Pに関して、ワークロールの質量Mとワークロールの加速度から、式(12)の運動方程式が成立する。
また、荷重Pは、式(13)及び式(14)のように表される。
さらに、荷重P及び荷重Pに関して、ワークロールの質量Mとワークロールの加速度から、式(15)の運動方程式が成立する。
ここで、荷重Pに関して、式(16)が成立する。
式(11)〜式(16)をふまえて、以下の計算を行う。まず、式(11)を変形して、変位量Xを表す式(17)を導く。
この式(17)と式(12)から、荷重Pを表す式(18)を導く。
このように導かれた式(18)と式(13)から、変位量Xを表す式(19)を導く。
次に、式(14)と式(16)から、変位量Xを表す式(20)を導く。
さらに、式(15)及び式(16)から、式(21)が得られ、この式(21)より変位量Xは、式(22)のように表される。
加えて、式(19)及び式(20)から、板厚hを表す式(23)が得られる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 圧延装置
2 圧延材
3 加熱炉
4 粗圧延機
5 仕上げ圧延機
6 ワークロール
7 バックアップロール
8 油圧シリンダ
9 油圧圧下位置制御部
10 ロールチョック
11 フレーム
12 ロードセル
13 リニアゲージ
14 板厚計
15 板厚制御部

Claims (2)

  1. 圧延材を圧延する圧延機のロールギャップを制御する板厚制御方法において、
    前記圧延機の動特性を考慮しつつゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’を算出し、算出された動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いて、ロールギャップの修正量ΔSを求め、得られたロールギャップの修正量ΔSを前記圧延機に適用するものであって、
    前記ゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’は、下式で算出されることを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
    但し、sは、ラプラス演算子であり、a0〜a3、b0〜b3、c0〜c3は、ハウジングのバネ定数Ky、ロールの曲げ変形のバネ定数Kb、ロールの偏平変形のバネ定数Kr、ハウジングの弾性変形に対する等価質量My、ロールの曲げ変形に対する等価質量Mb、ロールの偏平変形に対する等価質量Mr、ハウジングの弾性変形に対する粘性係数By、ロールの曲げ変形に対する粘性係数Bb、ロールの偏平変形に対する粘性係数Brを基に算出される係数である。
  2. 圧延材を圧延する圧延機のロールギャップを制御する板厚制御方法において、
    前記圧延機での圧延荷重に関する伝達関数Np(s)と、ギャップ変化量に関する伝達関数Ns(s)とからゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’を算出し、算出された動特性圧延荷重変動値ΔP’を用いて、ロールギャップの修正量を求め、得られたロールギャップの修正量を前記圧延機に適用するものであって、
    前記ゲージメータ式を満足する圧延荷重変動値ΔP’は、下式で算出されることを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
    但し、Np(s)は、圧延荷重の変動値ΔPに関する伝達関数、Ns(s)は、ギャップ変化量ΔSの速度に関する伝達関数である。
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