JP5631233B2 - 圧延機の板厚制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚板を圧延する圧延機の板厚制御方法に関する。
従来から、圧延装置を用いて厚鋼板を圧延する場合には、当該圧延装置に備えられた圧延機の一対のワークロールの間隙(以下、ロールギャップ量と呼ぶ)を調整して、圧延材の板幅方向端部の出側板厚を目標値に一致させる板厚制御が行われている。
圧延装置は板厚を制御するための板厚制御部を有しており、この板厚制御部では、自動板厚制御(AGC)として、フィードフォワードAGC(FF−AGC)、BISRA−AGC、及びモニタAGCや絶対値AGCが採用されている。
FF−AGCは、例えば、前パスや一つ前の制御周期での圧延機の出側板厚や板の変形抵抗を当該圧延機にフィードフォワードして適用する制御である。BISRA−AGCは、圧延機直下の板厚を圧延荷重を基に推定する制御である。モニタAGCは、出側板厚を実測し、その実測値(積分値)を圧延機へフィードバックする制御である。絶対値AGCは、例えば、板の先端部の圧延に着目した制御であって、通板前に予め決めた固定値の板厚を用いる制御である。上述のモニタAGCや絶対値AGCは、比例動作と積分動作を組み合わせたPI制御を採用している。
特許文献1には、タンデム圧延機に対して上述したAGCを複数用いつつ自動板厚制御を行う技術が開示されている。
特許文献1に開示の金属帯の圧延板厚制御方法は、タンデム圧延設備での金属帯の圧延において、タンデム圧延設備の第2スタンド以降の圧延機に対する自動板厚制御を、金属帯の通板速度が予め定める基準速度以上のとき、板厚変化を予測してフィードフォワード制御するFF方式と、圧延機直下のマスフローから圧延機出側の板厚変化を計算して制御するマスフロー方式とを組合わせて行うものとなっている。あわせて、金属帯の通板速度が前記基準速度未満のとき、前記FF方式と、圧延機直下の板厚をゲージメータ式から算出してフィードバック制御するゲージメータ方式と、圧延機直下の板厚を圧延荷重とロールギャップから推定して制御するBISRA方式との3つの方式を組合わせて行うことを特徴とする。
特許文献1の明細書中では、第2スタンド以降の圧延機に対して、FF方式、マスフロー方式、ゲージメータ方式およびBISRA方式を部分的に組合わせて選択可能であるとしている。
特開平8−24924号公報
通常、厚鋼板の圧延においても、特許文献1に開示された技術のように、複数のAGCが組み合わされて同時に実行されている。しかしながら、複数のAGCが全て同時に実行されているわけではなく、狙った板厚を実現するため、排他的に実行されるAGCや、組み合わせて併用されるAGCがある。
通常、FF−AGCとBISRA−AGCは排他的に実行される自動板厚制御である。例えば、板のトラッキングが良好な板の先端付近ではFF−AGCを用い、前進率や後進率の推定値誤差の積算が大きくなりトラッキングが悪化する板の尾端付近ではBISRA−AGCに切り換えるといったように、従来から排他的に用いられている。
これに対して特許文献1に開示の圧延板厚制御方法では、FF−AGCとBISRA−AGCを組み合わせて使用している。しかし、実際の圧延機において両制御を同時に併用する際の具体的な手法を開示するものとはなっていない。
本願の発明者らは、FF−AGCとBISRA−AGCを単純に組み合わせて同時に併用しても、板厚制御制御の精度を向上させることはできず、むしろ圧延安定性を損ねる可能性すらあることを、現場の実績から知見した。
さらに本願の発明者らは、FF−AGCとBISRA−AGCを同時に併用するに際しては、FF−AGCの寄与度とBISRA−AGCの寄与度を適切に決定することが重要であることを知見するに到った。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、FF−AGCとBISRAーAGCを同時に併用することが可能となる条件を決定する方法を提供し、両AGCを同時に使用することで、例えば、圧下率が大きくなった場合であっても、圧延材の板厚を目標値に確実に近づけることができる圧延機の板厚制御方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の板厚制御方法は、圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機において、ワークロール間のロールギャップ量Sを制御する板厚制御方法であって、FF−AGC
制御とBISRA−AGC制御とを併用することで、前記圧延機のロールギャップの修正量ΔSを求め、求められたロールギャップの修正量ΔSを前記圧延機に適用するものであって、前記圧延材に対して行われた圧延の実績値を基にFF−AGC制御を用いて第1のロールギャップ修正量ΔS f を求め、前記圧延機における圧延荷重の実績値を基にBISRA−AGC制御を用いて第2のロールギャップ修正量ΔS b を求め、第1のロールギャップ修正量ΔS f と第2のロールギャップ修正量ΔS b との線形和により、次式を基に前記圧延機のロールギャップの修正量ΔSを求め、求められたロールギャップの修正量ΔSを圧延機に適用することを特徴とする。
本発明によれば、FF−AGCとBISRA−AGCを同時に使用することで、圧延機を確実に制御でき、例えば、圧下率が大きくなった場合であっても、圧延材の板厚を目標値に確実に近づけることができる板厚制御方法を提供することができる。
本発明の実施形態による圧延装置の構成を示す概略図である。 本発明の圧延機(粗圧延機乃至は仕上げ圧延機)の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態による圧延機及び板厚制御装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施形態による板厚制御部がFF−AGCとBISRA−AGCを併用した場合の板厚制御の結果を示すグラフである。 厚板の長手方向における位置によって変化するFF−AGC及びBISRA−AGCの寄与率の変化を示すグラフである。 ミル定数の推定値Me及び塑性係数推定値Qe,kに推定誤差がない状態で、FF−AGCを実行した場合の結果を示すグラフである。 油圧圧下系の応答遅れ補償として、油圧圧下系の逆特性を使用した場合の結果を示すグラフである。 むだ時間と1次遅れの和(Ls+Ts)だけ時間を進めて圧延制御を実行した場合の結果を示すグラフである。 従来の圧延装置のブロック図である。 従来の板厚制御における板厚偏差を示すグラフであり、(a)は、BISRA−AGCとFF−AGCを同時併用した場合の結果を示し、(b)は、ロールギャップ量を一定とした場合の結果を示している。 従来の板厚制御における板厚偏差を示すグラフであり、(a)は、推定ミル定数Meに推定誤差がなく、「αb=1」として、BISRA−AGCのみを使用した場合の結果を示し、(b)は、推定ミル定数Meに推定誤差がなく、「αb=0.6」として、BISRA−AGCのみを使用した場合の結果を示している。
以下、図面を基に、本発明にかかる圧延機の板厚制御方法を説明する。
図1を参照して、厚鋼板等の圧延材を圧延する圧延装置1は、その上流側に圧延材2を加熱する加熱炉3を有し、加熱炉3の下流側には、圧延材2の粗圧延を行う粗圧延機4が備えられている。粗圧延機4の下流側には、仕上げ圧延を行う仕上げ圧延機5が備えられている。加熱炉3で加熱されたスラブは、粗圧延機4や仕上げ圧延機5で複数回(複数パス)圧延されて、製品の厚鋼板となる。
図2には、圧延装置1に備えられている仕上げ圧延機5(以下、圧延機5という)が示されている。圧延機5は、圧延材2を圧延する一対のワークロール6,6とそれをバックアップする一対のバックアップロール7,7とを有している。
さらに、圧延機5には、ワークロール6,6の間隙長(以下、ロールギャップ量Sと呼ぶ)を調整する油圧駆動の圧下装置が備えられている。圧下装置は、例えば油圧シリンダ8と、油圧シリンダ8を制御してワークロール6の圧下位置を調整する油圧圧下位置制御部9とを有している。
ワークロール6の両端を支持するロールチョック10には、圧延機5のフレーム11に支持された油圧シリンダ8の基端が接続され、この油圧シリンダ8を支持するフレーム11には圧延荷重を計測するロードセル12が設けられている。
また、ロールチョック10と圧延機5のフレーム11の間には、油圧シリンダ8に沿ってフレーム11からロールチョック10までの距離を測定するリニアゲージ13が設けられており、このリニアゲージ13で測定した距離から、ロールギャップ量S乃至はロールギャップ量の変化量ΔSが得られる。
さらに、圧延機5の出側には、圧延材2の出側板厚(出側エッジ厚)を計測するための板厚計(図示せず)が設けられている。板厚計としては、γ線板厚計などを採用することができる。
圧延機5には、ロードセル12が計測した圧延荷重とワークロール6のロール速度とを受けて、圧延材2の出側板厚が所定のものとなるように油圧圧下位置制御部9を制御する板厚制御部14が設けられている。この板厚制御部14はプロコンやPLCから構成されており、内部には、後述するAGC制御系やベンダ制御系などがプログラムの形で組み込まれている。
図3に示される如く、本実施形態における板厚制御部14は、AGC制御系として、FF−AGC(フィードフォワードAGC)とBISRA−AGCとを実行し、油圧圧下位置制御部9を制御している。尚、図3において、絶対値AGC及びモニタAGCが示されているが、本実施形態においては実行されていない、又は存在しないものとする。
FF−AGCは、例えば、圧延材2に対して行われた圧延の実績値、すなわち前パスや一つ前の制御周期での圧延機5の出側板厚や板の変形抵抗を当該圧延機5にフィードフォワードして適用する制御である。また、BISRA−AGCは、ゲージメータAGCの一種であり、圧延機5の弾性や圧延材2の変形抵抗を考慮した上で、圧延機5の出側板厚を求めるものであって、例えば、圧延荷重を基にミル定数などを用いて出側板厚を推定し、その値を基に圧延機5の制御を行うものである。
板厚制御部14におけるFF−AGCとBISRA−AGCの適用方法を説明する前に、従来の板厚制御における適用方法を説明する。
図9に示されるように、従来の板厚制御においては、FF−AGCとBISRA−AGCのうちいずれか一方のAGCだけが実行されるように排他的に処理されていて、同時に併用されることはない。
図10及び図11を用いて、その理由を説明する。
図10(a)は、従来の板厚制御において、BISRA−AGCとFF−AGCを同時併用した場合の結果を示している。図10(a)では、ミル定数推定値Meと今パスの塑性係数の推定値Qe,kに推定誤差がなく、BISRAのチューニング率αbを1としている。
図10(b)は、これに対して、ロールギャップ量Sを一定とした場合、すなわち、制御を行わなかった無制御状態での板厚偏差を示している。
図10(a)、図10(b)のいずれの結果においても、厚板の先端部と尾端部で大きな板厚偏差が生じているが、ロールギャップ量Sを一定とした図10(b)の場合と比較すると、BISRA−AGCとFF−AGCを同時併用した図10(a)の場合における板厚偏差は大きくなっており悪化している。
従来、このような理由から、FF−AGCとBISRA−AGCは同時併用されることは無く、互いに排他的に実行されている。
ところで、FF−AGCは、搬送される厚板をトラッキングすることにより、前パスの情報を基にして今パスにおける厚板の各位置でのギャップ量を逆算している。通常、トラッキングを行う際は、ロール周速度に前進率あるいは後進率の推定値を掛け合わせることによって厚板のマスフローを算出しているが、前進率あるいは後進率の推定値が含む誤差などによって、正確にトラッキングすることは困難である。これによってその推定値誤差は厚板の尾端に近づく程、誤差積算して大きくなり、ついに尾端部では、FF−AGCによって板厚偏差を悪化させてしまうという結果を招く。
また、BISRA−AGCは、ミル定数推定値Meに推定誤差がない場合、チューニング率αbを1とできるが、Meに推定誤差がある場合αbを1とすると、不安定化することがある。このため、Meの推定誤差に応じてαbを1以下にしなければならず、一般にαbは0.6〜0.7程度に抑えられている。αbが0.6〜0.7程度の場合、BISRA−AGCだけでは板厚偏差を0にすることはできず、他のAGCとの併用が必須となる。しかし、上述の通り、従来の板厚制御方法ではFF−AGCとの併用は困難である。
図11(a)は、Meに推定誤差がなく、「αb=1」とし、BISRA−AGCのみを使用した場合の結果である。ワークロール6のギャップ操作量が大きな厚板の先尾端では油圧圧下系の応答遅れにより、若干の誤差が発生しているが、先尾端を除いた厚板の定常部では板厚変動がほぼ0に抑制されている。
図11(b)は、Meに推定誤差がなく、「αb=0.6」とし、BISRA−AGCのみを使用した場合の結果である。前述の通り、αbを1より小さくするとBISRA−AGCだけでは板厚変動を抑えることができていない。BISRA−AGCは、ロックオン時を基準とした板厚変動を抑制するAGCであり、αbを1より小さくすると板厚偏差にオフセット誤差が発生してしまう。しかし板厚変動の量は、ギャップを一定とし、制御を行わなかった場合よりも小さくなっている。
次に、本実施形態による板厚制御部14における、FF−AGCとBISRA−AGCの適用方法を説明する。
板厚制御部14は、FF−AGCとBISRA−AGCとを同時に実行して併用しつつ、上述した従来の板厚制御よりも良好な板厚制御を行うものである。以下、詳しく説明する。
図3にFF−AGCとBISRA−AGCを併用した場合の制御ブロック図を示す。
この制御ブロック図において、圧延機5のロールギャップの修正量ΔSを求めるに際しては、次の各ステップを経る。
まず、ひとつ前の圧延機での圧延や前パスでの圧延の実績値を基に、FF−AGCを用いて第1のロールギャップ修正量ΔSfを求める(ステップS1)。
次に、圧延機5における圧延荷重の実績値(ミル伸び等)を基に、BISRA−AGCを用いて第2のロールギャップ修正量ΔSbを求める(ステップS2)。
この上で、式(1)に示す条件と、式(2)に示す線形和により、圧延機5のロールギャップの修正量ΔSを求める(ステップS3)。
こうして求めたロールギャップの修正量ΔSを圧延機5に適用する(ステップS4)。
本実施形態による圧延機5の板厚制御部14は、ステップS1〜ステップS4において、ロールギャップ修正量ΔSに占める第1のロールギャップ修正量ΔSfの割合であるFF−AGCの寄与率(チューニング率)αfと、ロールギャップ修正量ΔSに占める第2のロールギャップ修正量ΔSbの割合であるBISRA−AGCの寄与率(チューニング率)αbを考慮してロールギャップの修正量ΔSを算出する。
図4に、本実施形態による板厚制御部14が、FF−AGCとBISRA−AGCを併用した場合における板厚制御の結果を示す。
図4のグラフが示すように、厚板の先端部及び尾端部において、油圧圧下系の応答遅れによる板厚偏差がわずかに発生している。
しかし、図11(a)と比較すると、その板厚変動は非常に小さいものであり、先尾端を除いた厚板の定常部では板厚偏差がほぼ0に抑制されている。
図5に示すように、寄与率αfと寄与率αbは、先端から尾端にかけての厚板の長手方向における位置に応じて変化させることが可能である。例えば、一方で、トラッキング誤差がない先端部ではFF−AGCの寄与率αfを1(100%)とし、トラッキング誤差が積算する尾端に向けて小さくする。他方で、寄与率αfを小さくする代わりに、式(1)を満たすようにBISRA−AGCの寄与率αbを、尾端に向けて増加させるようにする。
また、図5より明らかなように、BISRA−AGCの寄与率αbを増加させるにあたっては、FF−AGCの寄与率αfが0(0%)に近づいたとしても、BISRA−AGCの寄与率αbを1(100%)にはせず1未満とする。こうすることで、ミル定数に推定誤差が存在する場合でも、板厚制御の不安定化を回避することができる。
このように、FF−AGCの寄与率αfとBISRA−AGCの寄与率αbを、厚板の長手方向における位置に応じて変化させることで、上述したように板厚偏差を最小化することが可能となる。いいかえれば、FF−AGCとBISRA−AGCを同時に使用することで、圧延機5を確実に制御でき、例えば、圧下率が大きくなった場合であっても、圧延材2の板厚を目標値に確実に近づけることができる。
ところで、図3に示すように、本実施形態のFF−AGCは、圧延の一次遅れ及び無駄時間を補償する手段(油圧圧下系の逆特性)を有している。
図2に示す厚板の仕上圧延機5などのシングルリバース圧延機の構成もあわせて参照しつつ、FF−AGCの位相遅れ(一次遅れ及び無駄時間)を補償する方法について、以下参考のために考察する。
図3は、式(3)に示す目標出側板厚hd近傍の平衡点[出側板厚hd,入側板厚H0,荷重P0,ギャップS0]からの微小変化に対して線形近似したときのブロック図である。
図3のブロック図において、Mはミル定数、Qは塑性係数、MeはMの推定値、QeはQの推定値、Lhは圧延直下から板厚計までの板搬送に伴うむだ時間、Lsは油圧圧下系を「一次遅れ+むだ時間」で近似した場合のむだ時間、Tsは一次遅れ時定数、αbはBISRA−AGCのチューニング率である。
FF−AGCについて、以下詳細に説明する。ミル定数の推定値Meは、板幅や荷重から推定される。塑性係数Qは、図3から式(4)のように算出される。
ここで、ミル定数の推定値Meは、ΔhとΔHとΔP、あるいはΔhとΔHとΔSとM(≒Me)から逆算可能であり、式(5)によって推定することができる。
塑性係数Qは板温度の関数であり、通常、板が冷却されると塑性係数Qは大きくなる。式(5)などで前パス(k−1パス)にて推定された塑性係数推定値Qe,k-1に、板搬送に伴う空冷による温度降下を加味し、今パスでの塑性係数推定値Qe,kを算出する。これにより、フィードフォワード(FF)計算によって得られるギャップ操作量ΔSfは、式(6)で与えられる。
ここで、板搬送時間が短い場合は、塑性係数推定値Qe,k=Qe,k-1としても良い。
図3に示す線形を仮定したのブロック図に基づいて、式(5)及び式(6)を導出したが、特許公報3466523などに開示のように非線形性などを加味して算出することもできる。
ここで、圧延加重Pは、例えば式(7)に示すように、平均変形抵抗Kfと圧下力関数Qpと接触弧長Ldと板幅Wの積で与えられる。
このように圧延加重P,入側板厚H,出側板厚h,板幅Wが与えられれば、圧下力関数Qp,接触弧長Ldは決定されるため、温度依存の平均変形抵抗Kfは、式(7)を変形した式(8)で与えられる。
ここで、前パスにおいて圧延加重P,入側板厚H,出側板厚h,板幅W、板速Vが既知なので、式(8)を満たす前パスでの板温度TK-1を逆算することができる。逆算されたTK-1に板搬送に伴う温度降下を加味し、今パスでの板温度TKを算出し、今パスにて出側板厚がhdとするための圧延荷重Pkを、式(9)を満たすように導出する。
これに続いて、圧延荷重Pkにおけるミル伸びSf−hdを算出し、ミル伸び+hdから、FF−AGCによるロールギャップ量Sfを得ることができる。
偏熱などにより板長手方向に温度分布が存在し、かつ温度変動と入側板厚変動にかかわらずロールギャップを一定とした場合に、図10(b)のような出側板厚の変動が発生する条件について考える。
図6は、このような条件下のもと、ミル定数の推定値Me及び塑性係数推定値Qe,kに推定誤差がない状態で、FF−AGCを実行した場合の結果を示している。
図6を参照すると、FF−AGCを実行することで、無制御の図10(b)に比較して出側板厚偏差は大幅に減少している。しかし、ミル定数の推定値Me及び塑性係数推定値Qe,kに推定誤差がないにも関わらず、厚板の先尾端で板厚偏差が発生している。これは、油圧圧下系の応答遅れによるもので、大きくギャップ操作を行っている先端及び尾端でΔSとΔSdに乖離が発生し、出側板厚偏差が発生している。
そこで油圧圧下系の応答遅れ補償を行う。
図7は、油圧圧下系の応答遅れ補償として、油圧圧下系の逆特性を使用した場合の結果を示している。油圧圧下系の逆特性を用いることによって、厚板の長手方向全長にわたって板厚偏差がほとんどない結果となっている。
油圧圧下系は、1次遅れ及びむだ時間を要素に含んでおり、図3に示す逆特性を得るためには未来値(1次遅れ及びむだ時間に起因して将来生じる応答)が必要となる。本実施形態におけるFF−AGCでは、板長手全長に渡って未来値が既知であり、未来に出力すべき値が分かっているため、油圧圧下系の逆特性を実現することができる。
図7では、位相遅れ補償として油圧圧下系の逆特性を使用した。しかし、逆特性の代わりに、むだ時間と1次遅れ時間の和(Ls+Ts)だけ時間を進めて制御する位相進み特性を与えても良い。
図8は、(Ls+Ts)だけ時間を進めて制御した場合の結果である。油圧圧下系の逆特性ではないため、若干、板厚偏差が発生しているが、図6に比べ、先端部及び尾端部における板厚偏差が大幅に改善されている。
このように、FF−AGCとBISRA−AGCを同時に併用することと合わせて、上述した圧延の一次遅れ及び無駄時間を補償する手段(油圧圧下系の逆特性)を適用することで、さらに確実に圧延機5を制御でき、圧延材2の板厚を目標値に確実に近づけることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 圧延装置
2 圧延材
3 加熱炉
4 粗圧延機
5 仕上げ圧延機
6 ワークロール
7 バックアップロール
8 油圧シリンダ
9 油圧圧下位置制御部
10 ロールチョック
11 フレーム
12 ロードセル
13 リニアゲージ
14 板厚制御部

Claims (1)

  1. 圧延材を圧延する一対のワークロールを備えた圧延機において、ワークロール間のロールギャップ量Sを制御する板厚制御方法であって、
    FF−AGC制御とBISRA−AGC制御とを併用することで、前記圧延機のロールギャップの修正量ΔSを求め、
    求められたロールギャップの修正量ΔSを前記圧延機に適用するものであって、
    前記圧延材に対して行われた圧延の実績値を基にFF−AGC制御を用いて第1のロールギャップ修正量ΔS f を求め、
    前記圧延機における圧延荷重の実績値を基にBISRA−AGC制御を用いて第2のロールギャップ修正量ΔS b を求め、
    第1のロールギャップ修正量ΔS f と第2のロールギャップ修正量ΔS b との線形和により、次式を基に前記圧延機のロールギャップの修正量ΔSを求め、
    求められたロールギャップの修正量ΔSを圧延機に適用することを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
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