JP2013006195A - 圧延機での板厚制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の板厚制御方法は、ワークロール2,2を備えた圧延機4で圧延中の圧延材5に対する板厚制御方法であって、ワークロール2,2の幅方向両端における圧延荷重の差である圧延荷重差ΔPと、圧延材5の幅方向両端の板厚差であるウェッジ量ΔHWとを用いて、圧延材5の幅方向端部の板厚である板端の板厚hGを求める。次に、求めた板端の板厚hGとゲージメータ式とを基にして、ワークロール2,2のロールギャップsを求める。求めたロールギャップsを圧延機4に適用し圧延材5の板厚制御を行う。
【選択図】図1
Description
これらの板厚制御技術においては、ゲージメータ式を用いて圧延ロールのロールギャップを予測しており、予測されたロールギャップを満たすように圧延機の圧延ロールがセットアップされると共に圧延中における圧延ロールへの荷重が変更されて、圧延材の板厚が制御される。
特許文献1に開示の板厚制御方法は、板材の板幅方向における両端部の板厚が予め定められた目標値を満たすように、圧延機のワークサイドとドライブサイドの圧下位置をそれぞれ独立に設定するに際し、総圧延荷重に対するワークサイドとドライブサイドのハウジング変形量、ワークロールの胴中央位置の変形量及び板クラウン量の各関係式、ワークロールとバックアップロールの胴中央位置における各ロール径の変化量並びに板幅両端部の板厚についての補正量から構成される板幅方向の板厚プロフィールのゲージメータ板厚モデルを用いてワークサイドとドライブサイドの圧下位置をそれぞれ設定するものである。
しかしながら、ワークサイドとドライブサイドの圧下位置をそれぞれ独立に設定することは、圧延ロールの切り替えに伴う圧下位置のゼロ点調整のズレや、ロール摩耗及びサーマルクラウンによって生じる圧延ロールの幅方向における左右非対称性によるロールシフトなどの影響を受けるので、精度よく行うことは難しい。
そこで本発明は、このような問題に鑑み、ウエッジを有する圧延材において、薄い側の端部の板厚が目標値を下回ることを確実に防止しつつ板厚を制御する板厚制御方法を提供することを目的とする。
本発明の圧延機での板厚制御方法は、ワークロールを備えた圧延機で圧延中の圧延材に対する板厚制御方法において、前記ワークロールの幅方向両端における圧延荷重の差である圧延荷重差と、前記圧延材の幅方向両端の板厚差であるウェッジ量とを用いて、圧延材の幅方向端部の板厚である板端の板厚を求め、求めた板端の板厚とゲージメータ式とを基にして、前記ワークロールのロールギャップを求め、求めたロールギャップを圧延機に適用し圧延材の板厚制御を行うことを特徴とする。
このような本発明における技術的手段は、本願発明者が以下に述べる知見を得て講じたものである。
板ウェッジとは、ワークロールの幅方向における圧延材の両端部の板厚が、互いに異なる状態であって、圧延材の板厚分布が幅方向中央に関して非対称であることを示しており、ミル要因、材料要因、及び計測要因の3つの要因で生じている。
材料要因は、圧延材の偏熱や、圧延材のワークロール入側での板ウェッジなどに影響を受ける要因である。
これらの要因のうち、圧延に直接関係のあるミル要因と材料要因とを考慮して、式(2)に示すように圧延材の非対称性を示す項である板ウェッジ分ΔhWを想定することができる。
図1は、本発明の実施形態にかかる圧延機の板厚制御方法および圧延装置を示す図である。
図1に示すように、圧延装置1は、厚鋼板乃至は薄鋼板を圧延するものであり、圧延機4と、圧延機4を制御する制御部9とを含んで構成されている。
この圧延機4に元板となる圧延材5が導入されて圧延を施され、その後、下工程へ送られる。圧延機4の入側には、圧延材5の入側板厚Hを計測する入側板厚計7が設置され、圧延機4の出側には、圧延材5の出側板厚hを計測する出側板厚計8(図示せず)が設置されている。入側板厚計7及び出側板厚計8としては、γ線板厚計などを採用することができる。
さらに、圧延装置1には、圧延機4の圧延荷重Pやロールギャップ量sを制御する制御部9が設けられている。
制御部9は、圧延材5の出側板厚hを所定の範囲内に収める又は一定にするように圧延機4を制御する板厚制御の機能を有している。制御部9で行われる制御手法としては、後述する本発明に係る板厚制御方法が採用されるが、それ以外に公知のものが採用可能であり、フィードフォワードAGC、BISRA AGC、モニタAGC、マスフローAGC、張力AGC等を適用可能である。制御部9には、圧延機4の入側板厚Hや、圧延荷重Pや、圧延材張力等の情報が入力され、入力された情報を基にして圧延機4のロールギャップ量sやロール速度が算出され出力される。
以下、図2〜図4を参照しつつ、本実施形態の制御部9で行われる圧延機4の板厚制御方法について説明する。
本実施形態による板厚制御方法は、圧延材5の板幅方向における断面形状である板幅断面形状が、図2に示すような実際の断面形状である左右非対称となっているもの(実圧延形状)に対して、特に有益である。
このように、式(4)に示す中央板厚hcに板クラウン分ΔhCrを加味することで、図2に「ゲージメータ式+板クラウン」として示す紙面左右方向に左右対称の形状における板幅中央の出側板厚(hC+ΔhCr)を予測することができる。
しかし、圧延材5の実際の板幅断面形状は、図2に「板ウェッジ」として示すような「一方の板端の厚みが他方の板端の厚みより薄くなった形状であるくさび形状」を呈する左右非対称の成分を含んでいる。
このような、左右対称となっていない実圧延形状において、出側の中央板厚(hC+ΔhCr)をゲージメータ式へ適用して圧延機4の制御を行うと、圧延材5の一方の板端の厚みが、狙った(予測された)厚みより小さくなってしまうという問題が発生することがある。この問題を回避するためには、現状では、出側の中央板厚(hC+ΔhCr)よりも厚くなるように、つまり予測された板厚に対応するワークロール2,2のロールギャップよりも実際のロールギャップを大きくし、圧延材5を厚めに圧延している。
なお、式(5)で得られる板端の板厚hGは、板幅中央の板厚(hC+ΔhCr)に板ウェッジΔhW分を加味しており、実際の板端の厚みを予測していると考えられる。
そこで、式(6)を近似して、式(7)を得た。
式(8)は、圧延機4の左右荷重差ΔPと圧延材5の入側ウェッジΔHWとを用い、出側板ウェッジΔhWを表現したモデルであって、以降、式(8)をモデルAとする。モデルAの導出の詳細は後述する。なお、このΔHWは、入側板厚計7を用いて計測してもよいし、上工程における圧延機の出側板厚などを採用することができる。左右荷重差ΔPは、荷重計測手段を用いて計測できる。
ここで、図3のフローチャートを参照し、制御部9の上述の動作について説明する。
まず、S1において、制御部9は、ロードセル10によって検出された圧延中のワークサイドの圧延荷重P1とドライブサイドの圧延荷重P2により圧延荷重差ΔP(ΔP=|P1ーP2|)を算出すると共に、入側板厚計7により入側ウェッジΔHWを取得する。
次にS2で、式(8)に示すモデルAにより、出側板ウェッジΔhWを算出する。
S3で、算出した出側板ウェッジΔhWを式(5)に適用して、板端の板厚hGを算出する。
S5で、算出したロールギャップsを圧延機4に適用し、ワークロール2,2間のロールギャップを調整する。このとき、ワークサイドとドライブサイドの圧下量を連動しつつ同じとすることが好ましい。しかしながら、算出したロールギャップsを維持しつつ圧延材の蛇行を招かない範囲で、圧延材の厚い側の端部に対応する圧下量を独立に制御する(例えば、増量する)ことも可能である。
次に、図4を参照して、本発明の板厚制御方法の効果を説明する。
前述した如く、本発明の板厚制御方法は、モデルA(式(8))を用いて出側ウェッジΔhWを予測し、予測した出側ウェッジΔhWを式(5)に適用して中央板厚(hC+ΔhCr)を補正することで板端の板厚hGを求めるものであったが、比較検証のため、式(9)に示すような、入側ウェッジΔHWと左右のロールギャップ差であるレベリング量Δsとを基にした出側板ウェッジΔhWの予測モデル(モデルB)を考えた。ここで、ミル定数Mに関して、圧延ロールの左右一方側のミル定数M1と他方側のミル定数M2との差が無い、あるいは十分に小さいと仮定して、M=M1=M2とする。
図4を参照して、各モデルの効果を比較する。
図4(a)に示すモデルAのヒストグラムでは標準偏差が50であるが、図4(b)に示すモデルBのヒストグラムでは標準偏差は60.5、図4(c)に示すモデルCのヒストグラムでは標準偏差は76.1である。よって、モデルAを採用すると、モデルB及びCを採用した場合に比べて予測誤差のばらつきが小さくなることが分かる。
図5を参照しながら、モデルA〜モデルCの導出手順について、以下に説明する。
図5では、ワークロール2,2と、ワークロール2,2で圧延される圧延材5と、ワークロール2,2の両端を支持する支持系(油圧シリンダ6や圧延機枠組みで構成された支持系)とを示している。圧延材5の板幅方向断面形状はくさび形のウェッジ形状となっており、上方のワークロール2は、水平状態の下方のワークロール2に対して斜めに傾いている。
(モデルA)
まず、本実施形態に係るモデルAの導出手順について説明する。
すなわち本発明の実施形態における出側板ウェッジΔhWであり、入側板厚差ΔHは、すなわち入側板ウェッジΔHWであるので、式(15)から式(8)に示すモデルAを得ることができる。
(モデルB)
次に、比較例として開示したモデルBの導出手順について説明する。
ここで、圧延材5の板幅方向における位置xでの板厚は、式(16)で表すことができる。
また、総圧延荷重である和荷重Pを、式(19)のように表すことができるので、
これは、すなわち本発明の実施形態における出側板ウェッジΔhWであり、入側板厚差ΔHは、すなわち入側板ウェッジΔHWであるので、式(24)から式(9)に示すモデルBを得ることができる。
(モデルC)
次に、モデルCの導出手順について説明する。
これは、すなわち本発明の実施形態における出側板ウェッジΔhWであり、入側板厚差ΔHは、すなわち入側板ウェッジΔHWであるので、式(26)から式(10)に示すモデルCを得ることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 ワークロール
3 バックアップロール
4 圧延機
5 圧延材
6 油圧シリンダ
7 入側板厚計
8 出側板厚計
9 制御部
10 ロードセル
11 チョック部
Claims (3)
- ワークロールを備えた圧延機で圧延中の圧延材に対する板厚制御方法において、
前記ワークロールの幅方向両端における圧延荷重の差である圧延荷重差と、前記圧延材の幅方向両端の板厚差であるウェッジ量とを用いて、圧延材の幅方向端部の板厚である板端の板厚を求め、
求めた板端の板厚とゲージメータ式とを基にして、前記ワークロールのロールギャップを求め、
求めたロールギャップを圧延機に適用し圧延材の板厚制御を行うことを特徴とする圧延機での板厚制御方法。 - 前記ワークロールの圧延荷重差(ΔP)と、前記ワークロール入側でのウェッジ量である入側ウェッジ量(ΔHW)とを用いて、前記ワークロール出側でのウェッジ量である出側ウェッジ量(ΔhW)を算出し、
算出された出側ウェッジ量(ΔhW)を用いて、圧延材の板端の板厚を求め、
求めた板端の板厚(hG)とゲージメータ式とを基にして、前記ロールギャップ(s)を求めることを特徴とする請求項1に記載の圧延機での板厚制御方法。 - 前記圧延材の中央板厚を、ゲージメータ式で得られた圧延材の幅方向中央での板厚(hC)と圧延材の板クラウン(ΔhCr)とから算出し、
算出された中央板厚(hC+ΔhCr)に、出側ウェッジ量(ΔhW)を加算することで、板端の板厚(hG)を求めることを特徴とする請求項2に記載の圧延機での板厚制御方法。
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