JP5624864B2 - 温度制御型水晶振動子及び水晶発振器 - Google Patents
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Description
従来の温度制御型水晶振動子の構成について図8を用いて説明する。図8は、従来の温度制御型水晶振動子の概略構成を示す平面図である(非特許文献1)。尚、図8では、非特許文献1において断面図で記載されている構成を平面図で示している。
更に、熱伝導による放熱を防ぐために、上記構成を真空パッケージ(TO−8パッケージ)に封入して温度制御型水晶振動子を形成している。
SCカットの水晶ブランクを用いた場合、約85℃の温度となるよう制御されている。
尚、水晶振動子に関する技術としては、 "Long term stability (aging) of evacuated hybrid OCXO", Igor Abramzon et al, 2001 IEEE International Frequency Control Symposium and PDA Exhibition (非特許文献1)がある。
非特許文献1には、OCXOについて、温度やエイジングによる周波数変動の影響が記載されている。
特許文献1には、表面弾性波素子において、圧電性基板の櫛型電極と同じ面で電極の両側に温度センサとヒータを配置したものが記載されている。
特許文献2には、水晶振動子のケースの外側に、温度センサとヒータを有する筒状のキャップを設けた構成が記載されている。
特許文献3には、表面実装型水晶振動子において、パッケージの底部裏面に凹部空間を設け、凹部空間に温度補償用電子部品を配置することが記載されている。
特許文献5には、恒温槽を用いた水晶発振器において、発熱用のチップ抵抗と、発振用素子と、温度依存性の大きい温度制御素子を基板の同一面に配置して熱伝導性の物質で直接的に接合することが記載されている。
更に、従来の温度制御型水晶振動子では、パッケージに個別に真空封止する構成であり、小型化及び量産が困難であるという問題点があった。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子は、両面に電極が形成された水晶板と、水晶板の周囲に形成された外周部と、水晶板と外周部とを接続する接続部とを備え、ヒータと温度センサとが、水晶板の一方の面に形成された電極の周囲を囲むように形成され、電極、ヒータ、温度センサがそれぞれ引出線によって外周部の端子に接続されているものであり、温度センサが水晶板と点ではなくより広い面積で接触することにより、水晶板の温度をより正確に検出して出力周波数を安定させると共に、振動や衝撃に対する耐性を向上させることができるものである。
本発明の第1の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子の概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子の概略説明図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子(第1の水晶振動子)は、振動片が形成された水晶ブランク10を、上下から板20と板30とで挟みこんで接合し真空封入した構成となっている。
また、板30の下面には水晶ブランク10の水晶電極5、温度センサ6、ヒータ7と接続する複数の電極31が設けられている。その内の1つは、板20をグランドレベルにするGND電極となっている。尚、水晶ブランク10には、板20をグランドレベルにするためのビアホールが形成されており、板30のGND電極に接続している。例えば、板20を低抵抗のシリコンで形成し、板30を高抵抗のシリコンで形成する。
尚、板20及び30をガラスで形成することも可能であるが、その場合にはシールド効果は得られない。
また、板20、水晶ブランク10、板30の3層を接合した構成としているのは、後述する第2及び第3の実施の形態でも同様である。
次に、第1の水晶振動子の構成について図2を用いて説明する。図2は、第1の水晶振動子の構成を示す模式説明図である。
図2に示すように、第1の水晶振動子は、水晶ブランク10において、内部領域1と、外周部2とを備え、内部領域1と外周部2との間には、分離部4としての間隙が形成されている。また、内部領域1と外周部2とは、接続部3によって接続されている。
尚、内部領域1と外周部2の厚さは同等である。
また、第1の水晶振動子は、接続部3によって振動部分である内部領域1の一辺を保持する片持ちタイプとなっている。
尚、ここでは、温度センサ6が内側、ヒータ7が外側に形成されているが、反対にヒータ7を内側、温度センサ6を外側とすることも可能である。
また、温度センサ6とヒータ7とを別々の面に形成することも可能である。
ヒータ7は、ITO(酸化インジウムスズ)等の抵抗体で形成されており、水晶ブランク10を所望の温度(85℃付近)にまで加熱することが可能なものである。
また、温度センサ6及びヒータ7は、水晶α−β転移温度(573℃)未満の温度でスパッタによって形成されている。
その後、切断して、個々の温度制御水晶振動子を得るものである。ウエハの状態で接合してから切断するため、個々の水晶片を1つずつパッケージに封入するのに比べて量産性に優れているものである。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子について説明する。
上述した第1の水晶振動子では、細い接続部3の上に、水晶電極5と、温度センサ6と、ヒータ7の引出線を全て並列して形成しており、水晶ブランク10上に引出線のパターンを形成するという製造工程は簡易であるものの、線幅及び間隔を狭くしなければならず、精度の高い微細加工技術が要求される。
本発明の第2の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子(第2の水晶振動子)は、高度な微細加工技術がなくても製造可能なものとしている。
図3に示すように、第2の水晶振動子は、水晶ブランク10において、内部領域1の構成は第1の水晶振動子とほぼ同様であり、両面に水晶電極5が形成され、一方の面の水晶電極5の周囲に温度センサ6と、ヒータ7とが形成されている。
そして、第2の水晶振動子では、水晶電極5、温度センサ6、ヒータ7の引出線をワイヤボンディング9によって形成し、分離部4を跨いで外周部に設けられた端子に接続している。
次に、両持ちタイプの例について図4を用いて説明する。図4は、両持ちタイプの第1の水晶振動子の構成例を示す説明図である。
図4に示すように、両持ちタイプの第1の水晶振動子は、水晶ブランク10において、内部領域1と外周部2とを接続する2つの接続部3a及び3bが設けられている。
接続部3a及び3bは、内部領域1の対向する2辺を保持するように形成されている。
そして、接続部3aの表面には、水晶電極5a、温度センサ6、ヒータ7の引出線が形成され、接続部3bの裏面には、裏面に設けられた水晶電極5bの引出線が形成されている。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子について図5を用いて説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子の構成を示す説明図である。
図5に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子(第3の水晶振動子)は、水晶ブランク10において、内部領域1と外周部2とを接続する2つの接続部3a及び3bが、内部領域1の同一辺上に設けられている。
そして、温度センサ6とヒータ7の引出線は、接続部3a及び3bに形成されて、外周部2の端子に接続されている。
また、水晶電極5の引出線は、接続部3a又は3bを通るように形成される。
これにより、それぞれの接続部3に形成される引出線の数を少なくすることができ、製造工程における加工を容易にすることができるものである。
本発明の実施の形態に係る温度制御型水晶振動子によれば、水晶ブランク10の内部領域1の両面に水晶電極5を設け、一方の面の水晶電極5の周囲を取り囲むように温度センサ6とヒータ7とを形成しているので、温度センサ6と水晶ブランク10との接触面積を広くすることができ、正確な温度検出を行って出力周波数を安定させることができると共に、衝撃に対する耐性を向上させることができる効果がある。
次に、本発明の実施の形態に係る水晶発振器について説明する。
本発明の実施の形態に係る水晶発振器(本発振器)は、上述した本実施の形態に係る温度制御型水晶振動子を備えた発振器である。
図6は、本発振器の回路構成図である。
図6に示すように、本発振器は、外部からの制御電圧の入力端子(AFC)と、出力端子(OUT)の間に、抵抗41と、発振回路(VCXO CORE)42と、出力バッファ(出力Buf)43とが直列に接続され、抵抗41と出力バッファ43との間に、発振回路42に並列に温度制御型水晶振動子11が接続されている。
そして、抵抗41と発振回路42との間にバリキャップダイオード12の一端が接続され、他端が接地されている。
温度制御回路45は、温度センサ6からの検出温度が入力されると、それに基づいてヒータ7への電流を制御する。その際、温度制御回路45は、水晶振動子の周波数−温度特性の変曲点付近の温度を目標温度としてヒータ7を制御する。SCカットの水晶ブランクの場合、85℃付近である。
水晶振動子11は、上述した第1〜第3の水晶振動子のいずれかと同じ構成であり、内部領域1と、温度センサ6と、ヒータ7とを備えている。
そして、本発振器の特徴として、バリキャップダイオード12も水晶ブランク10上に設けて、真空封入する構成としている。
温度制御回路45では、できるだけ温度変動の影響を小さくするため、水晶ブランクの温度を周波数−温度特性の変曲点付近の温度とするようにヒータを制御し、SCカットの水晶では約85℃である。
しかし、水晶振動子の周波数−温度特性は、個々の水晶振動子によってバラツキがあり、変曲点となる温度も変動する。変曲点温度のバラツキは、主として水晶の製造バラツキに起因するものである。
具体的には、予め抵抗値の異なる複数種類のチップ抵抗46を用意しておき、実装された水晶振動子の周波数−温度特性に応じて最適な抵抗値のチップ抵抗46を温度制御回路45に接続する。
これにより、水晶振動子の特性にバラツキがあっても、温度による周波数変動が小さくなる変曲点温度で動作させることができ、安定した出力が得られるものである。
次に、本発振器における水晶振動子の構成について図7を用いて説明する。図7は、本発振器における水晶振動子の構成を示す説明図である。
図7に示すように、本発振器における水晶振動子は、基本的な構成は、図2に示した第1の水晶振動子と同様であり、水晶ブランク10の内部領域1の両面に水晶電極5を備え、一方の面に、水晶電極5の周囲に温度センサ6とヒータ7とが形成されている。
バリキャップダイオード12を表面実装型の構成とすれば、ワイヤボンディングの代わりに配線パターンのみで搭載可能となる。
このように、水晶ブランク上にバリキャップダイオード12を設けて、真空封入することにより、温度変動による出力周波数変動を抑え、出力を一層安定させることができるものである。
本発明の実施の形態に係る水晶発振器によれば、水晶振動子11と、発振回路42を含むLSIとを備え、水晶振動子11の水晶ブランク10上に、発振回路42に接続するバリキャップダイオード12を搭載して真空封入した構成としているので、バリキャップダイオード12の温度変動は水晶と同様に温度センサ6で温度を検出することができ、精度の高い温度制御を行って出力周波数を安定させることができる効果がある。
Claims (14)
- 電極が両面に設けられた水晶板と、前記水晶板を加熱するヒータと、前記水晶板の温度を検出するセンサとを備えた温度制御型水晶振動子であって、
前記水晶板と、前記水晶板の周囲を囲むように形成された外周部と、前記水晶板と前記外周部とを接続する接続部とを有する水晶ブランクを備え、
前記水晶ブランクにおいて、前記ヒータ及び前記センサが、前記水晶板の一方又は他方の面において形成された前記電極の周囲を囲むよう形成され、
前記電極、前記ヒータ、前記センサが、各々引出線によって前記外周部の端子に接続されている温度制御型水晶振動子。 - 電極の引出線、ヒータの引出線、及びセンサの引出線が、接続部上に形成されていることを特徴とする請求項1記載の温度制御型水晶振動子。
- 電極の引出線、ヒータの引出線、及びセンサの引出線が、ワイヤボンディングであることを特徴とする請求項1記載の温度制御型水晶振動子。
- ヒータ及びセンサが、水晶のα−β転移温度未満で形成された抵抗体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の温度制御型水晶振動子。
- 水晶板の一辺に接続部が設けられ、片持ち型であること特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の温度制御型水晶振動子。
- 接続部が同一辺上の二箇所に設けられていることを特徴とする請求項5記載の温度制御型水晶振動子。
- 水晶板の対向する二辺に接続部が設けられ、両持ち型であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の温度制御型水晶振動子。
- 水晶板が、凹部を備えた2枚のシリコン板の間に挟まれて、前記両シリコン板の凹部に格納された状態で、真空接合されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の温度制御型水晶振動子。
- シリコン板は、電磁界を遮蔽するシールド効果が得られる抵抗率を有することを特徴とする請求項8記載の温度制御型水晶振動子。
- 請求項1乃至9のいずれか記載の温度制御型水晶振動子と発振回路と温度制御回路とを備えた水晶発振器であって、
前記発振回路の入力側に設けられるバリキャップダイオードを前記温度制御型水晶振動子の水晶板に設けたことを特徴とする水晶発振器。 - バリキャップダイオードを、水晶板の前記ヒータが形成された面に設けたことを特徴とする請求項10記載の水晶発振器。
- バリキャップダイオードを、水晶板の前記ヒータが形成された面とは異なる面に設けたことを特徴とする請求項10記載の水晶発振器。
- 温度制御回路に、ヒータへの電流を調整するチップ抵抗を接続したことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか記載の水晶発振器。
- 発振回路と温度制御回路とが集積回路で構成され、
前記集積回路に、設定された抵抗値によりヒータへの電流を調整する抵抗と、複数の抵抗値を記憶する不揮発性メモリとを備え、
前記不揮発性メモリに記憶された複数の抵抗値の中から選択された抵抗値が前記抵抗に設定されることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか記載の水晶発振器。
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