JP5614575B2 - 多層回路基板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、ヒートシンク付きの半導体素子が半田ボールを介して実装された多層回路基板が提案されている(例えば特許文献2を参照)。
多層回路基板の本体をヒートシンクに接着するために両者間に介在する樹脂層の樹脂が、例えば熱硬化性樹脂である場合、加熱プレスの工程において、十分に硬化する前の樹脂が加圧の影響を受けるため、樹脂層の厚みが薄くなる。このため、熱硬化後の接着層の厚みが薄くなる傾向にある。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、放熱性が良く短絡故障のおそれがない多層回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の導体層(11,12,13,14)を絶縁層(21,22,23)を介して積層してなる基板本体(2)と、放熱板(3)とが、絶縁性の第1および第2の接着層(4A,5A)を介して接合され、上記複数の導体層のうちの最下導体層(14)は、上記基板本体の周縁から離隔した端面と、上記放熱板に対向する対向面と、上記対向面と上記端面とで形成されるエッジ部と、を有する導体パターン(141〜145)を含む、多層回路基板(1)の製造方法であって、第1の樹脂を硬化させて、上記最下絶縁層の上記下面と上記導体パターンの上記端面および上記対向面とを覆うように上記基板本体に接合された第1の接着層を形成する工程と、上記基板本体および上記放熱板を積層方向に加圧しつつ上記放熱板と上記第1の接着層との間に介在させた第2の樹脂を硬化させて第2の接着層を形成する工程と、を含むものである(請求項3)。
本発明によれば、第2の接着層を形成する工程では、既に硬化している第1の接着層は、基板本体と放熱板との間で加圧されても、所要の厚み(t4A)を確保することができる。したがって、第2の接着層を形成する工程において、第2の接着層の厚みが、加圧の影響で、具体的には最下層の導体パターンのエッジ部で特に強く加圧されることによる影響で、部分的に薄くなるようなことがあっても、基板本体と放熱板との間に、第1の接着層の上記所要の厚み以上の距離を確保することができる。したがって、製造された多層回路基板において、導体パターンと放熱板とを確実に絶縁しておくことができる。このように絶縁性の確保の信頼性が高いので、可及的に、両接着層の厚みを十分に薄くすることが可能となり、その結果、放熱板への放熱性を高くすることができる。
また、上記第1の接着層および上記第2の接着層の合計厚みの最大値(tsummax)が、上記基板本体の各絶縁層の厚み(t1,t2,t3)よりも薄くされている場合がある(請求項4)。上述したように、基板本体と放熱板との間には、第1の接着層の上記所要の厚み(t4;t4A)以上の距離を確保することができる。したがって、上記第1の接着層および上記第2の接着層の合計厚みの最大値を基板本体の各絶縁層の厚みよりも薄くすることが実質的に可能となり、その結果、基板本体を放熱板に十分に近づけて配置することができ、放熱性をより向上することができる。
上記第1の樹脂および上記第2の樹脂の少なくとも一方として、接着剤として公知のエポキシ系樹脂を用いることができる。また、第1の樹脂および第2の樹脂の少なくとも一方に、熱伝導性を高めるためにセラミックが含有されていてもよい。また、第1および第2の樹脂の少なくとも一方に、絶縁抵抗を下げない範囲で熱伝導性を高めるために、金属およびカーボンの少なくとも一方が含有されていてもよい。
図1は本発明の多層回路基板の製造方法により製造された多層回路基板の断面図である。図1に示すように、多層回路基板1は、基板本体2と、例えばアルミニウム板からなる放熱板3とを備えている。基板本体2と放熱板3とが、絶縁性の2層の接着層としての第1の接着層4および第2の接着層5を介して接続されている。
表面層としての第1の導体層11の導体パターン111,112には、電子部品(図示せず)が実装される。基板本体2の最下層の導体層である第4の導体層14には、複数の導体パターン141〜145が形成されている。第1の導体層11の導体パターン111は、ビアホール61,62を介して、第4の導体層14の導体パターン141,142に接続されている。また、第1の導体層11の導体パターン112は、ビアホール63,64を介して、第4の導体層14の導体パターン143、144に接続されている。発熱する電子部品を実装している表面層としての第1の導体層11から、ビアホール61〜64を介して、基板本体2の最下層の第4の導体層14へ熱が逃がされ、ひいては、放熱板3側へ放熱されるようになっている。
次いで、図2を参照して、本多層回路基板1の製造方法を説明する。まず、図2(a)に示すように、放熱板3の表面3aに、硬化前の状態(すなわち,未硬化または半硬化の状態)にある熱硬化性樹脂としての第1の樹脂40を例えば層状に塗布する。未硬化状態の第1の樹脂40を繊維束に含浸させている、いわゆるプリプレグの場合は、そのプリプレグを放熱板3に貼り付けることになる。
次いで、図2(d)に示すように、第1の接着層4の表面に例えば塗布された第2の樹脂50の上に、予め形成されたサブアセンブリとしての基板本体2を載せて、真空状態とする。そして、互いの間に、第1の接着層4および硬化前の第2の樹脂50の層を介在させた基板本体2および放熱板3を上下から積層方向X1に加圧しつつ加熱する。これにより、第2の樹脂50を熱硬化させて、図2(e)に示すように、第4の導体層14および第1の接着層4間を接合した第2の接着層5を形成するとともに、多層回路基板1を形成する。
したがって、第2の接着層5を形成する工程において、加圧の影響で第2の接着層5の厚みが、例えば基板本体2の最下層である第4の導体層14の導体パターン141〜145のエッジ部分の影響で、部分的に薄くなるようなことがあっても、基板本体2と放熱板3との間に、既に硬化している第1の接着層4の厚みt4〔図2(e)を参照〕以上の距離を確保することができる。したがって、製造された多層回路基板において、導体パターン141〜144と放熱板3とを確実に絶縁しておくことができる。このように絶縁性の確保の信頼性を高くすることができるので、可及的に、両接着層4,5の厚みを十分に薄くすることが可能となり、その結果、放熱板3への放熱性を高くすることができる。
なお、第1の接着層4および第2の接着層5を形成するための第1の樹脂40および第2の樹脂50は、異なる材料からなっていてもよいが、同じ材料からなっていることが好ましい。すなわち、同じ材料からなっている場合、両樹脂40,50のなじみがよいので、第1の接着層4と第2の接着層5の間の接着力を高くできるうえで好ましい。
次いで、図3は本発明の別の実施の形態に係る多層回路基板の製造方法を示している。その製造方法では、まず、図3(a)に示すように基板本体2の下面に第1の樹脂40を塗布等する。次いで、塗布等した第1の樹脂40を硬化させて、図3(b)に示すように、基板本体2の最下層に接合された第1の接着層4Aを形成する。
したがって、次の第2の接着層5Aを形成する工程において、加圧の影響で第2の接着層5Aの厚みが、例えば基板本体2の最下層である第4の導体層14の導体パターン141〜145のエッジ部分の影響で、部分的に薄くなるようなことがあっても、基板本体2と放熱板3との間に、既に硬化している第1の接着層4Aの厚みt4〔図2(e)を参照〕以上の距離を確保することができる。したがって、製造された多層回路基板1Aにおいて、導体パターン141〜145と放熱板3とを確実に絶縁しておくことができる。このように絶縁性の確保の信頼性を高くすることができるので、可及的に、両接着層4A,5Aの厚みを十分に薄くすることが可能となり、その結果、放熱板3への放熱性を高くすることができる。
Claims (5)
- 複数の導体層を絶縁層を介して積層してなる基板本体と、放熱板とが、絶縁性の第1および第2の接着層を介して接合され、
上記複数の導体層のうちの最下導体層は、上記基板本体の周縁から離隔した端面と、上記放熱板に対向する対向面と、上記対向面と上記端面とで形成されるエッジ部と、を有する導体パターンを含む、多層回路基板
の製造方法であって、
第1の樹脂を硬化させて放熱板に接合された第1の接着層を形成する工程と、
上記基板本体および上記放熱板を積層方向に加圧しつつ、上記最下導体層の上記導体パターンの上記対向面と上記放熱板との間に上記第1の接着層が介在する状態で上記基板本体と上記第1の接着層との間に介在させた第2の樹脂を硬化させて第2の接着層を形成する工程と、を含む多層回路基板の製造方法。 - 請求項1において、上記第1の接着層および上記第2の接着層は、第1の樹脂および第2の樹脂を熱硬化させて形成される多層回路基板の製造方法。
- 複数の導体層を絶縁層を介して積層してなる基板本体と、放熱板とが、絶縁性の第1および第2の接着層を介して接合され、
最下絶縁層の下面に形成された最下導体層は、上記基板本体の周縁から離隔した端面と、上記放熱板に対向する対向面と、上記対向面と上記端面とで形成されるエッジ部と、を有する導体パターンを含む、多層回路基板
の製造方法であって、
第1の樹脂を硬化させて、上記最下絶縁層の上記下面と上記導体パターンの上記端面および上記対向面とを覆うように上記基板本体に接合された第1の接着層を形成する工程と、
上記基板本体および上記放熱板を積層方向に加圧しつつ上記放熱板と上記第1の接着層との間に介在させた第2の樹脂を硬化させて第2の接着層を形成する工程と、を含む多層回路基板の製造方法。 - 請求項1から3の何れか一項において、上記第1の接着層および上記第2の接着層の合計厚みの最大値が、上記基板本体の各絶縁層の厚みよりも薄くされている多層回路基板の製造方法。
- 請求項1から4の何れか1項において、上記第1の樹脂および上記第2の樹脂は同じ材料からなる多層回路基板の製造方法。
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